JP2022110394A - 構造体の解析方法、解析装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】ナゲット部における破断を精度良く、かつ、計算負荷を抑制して評価することが可能な構造体の解析方法、解析装置及びプログラムを提供する。【解決手段】構造体の解析方法は、第一節点列に生じる所定時刻における6分力を取得する6分力取得ステップS1と、第二節点列の各節点における状態量である荷重または変位の少なくとも一方を演算する状態量演算ステップS2と、部分解析モデルに対して第二節点列の各節点における前記状態量を拘束条件として部分解析を実施する部分解析ステップと、演算した応力及び歪みに基づいて、ナゲット部における破断状態を評価するナゲット部破断評価ステップとを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、構造体の解析方法、解析装置及びプログラムに関する。
従来、自動車車両等の構造体の設計においては、コンピュータシミュレーションにより、衝突性能などの構造体の構造特性の解析が行なわれている。構造体の構造特性の解析手法としては、例えば有限要素法解析が用いられる。有限要素法解析では、構造体を複数の節点をつないだ要素によってモデル化し、各要素に生じる応力及び歪みを求めることで、構造体の各部分に生じる応力及び歪みを求めることができる。ところで、このような解析対象となる構造体は、複数の板状部材を互いにスポット溶接で接合することにより一体とした構造とする場合がある。このような構造体では、スポット溶接により形成され、板状部材同士を連結するナゲット部での破断評価が、構造体の構造特性を評価する上で重要となる。
例えば、特許文献1では、上記のようなナゲット部の破断解析方法として、スポット溶接される鋼板それぞれの板厚と、引張強さと、伸びと、ナゲット部の化学成分と、溶接部のナゲット径と、溶接部の隣接する溶接部、エッジ又は稜線との距離で決まる有効幅と、断面高さとの少なくとも一つに基づいて、所定の破断モードでの溶接部の最大許容荷重値を求める手順と、所定の破断モードに応じて、溶接部の最大許容荷重値に到達後の時々刻々の許容荷重値を求め、当該許容荷重値が0となる変位又は時刻を求める手順とを実施することが提案されている。
国際公開2011/126057号
しかしながら、特許文献1の方法では、ナゲット内破断を考慮し、また、ナゲット部の化学成分に基づいてナゲット部の許容荷重値を設定しているものの、解析方法が弾性解析となっていて正確な予測ができず、特に、母材及びHAZ軟化部に対するナゲット内部の強度差が小さくなる高強度材の場合には、HAZ軟化部よりもナゲット内部で破断するケースを正確に解析できなかった。また、構造体全体として弾塑性解析を実施してナゲット部の破断を評価しようとすると、計算負荷が大きくなってしまう問題があった。
上記事情に鑑み、本発明は、互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材と、複数の板状部材が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部とを有する構造体について、ナゲット部における破断を精度良く、かつ、計算負荷を抑制して評価することが可能な構造体の解析方法、解析装置及びプログラムを提供することを目的としている。
本発明の一態様の構造体の解析方法は、互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材と、複数の前記板状部材が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部とを有する構造体の解析方法であって、外力によって時間とともに変形する前記構造体について、前記構造体において前記厚さ方向視して前記ナゲット部を内部に含む閉ループを形成する複数の節点から構成された第一節点列に生じる所定時刻における6分力を取得する6分力取得ステップと、取得した前記第一節点列における6分力、及び、前記厚さ方向視して前記第一節点列内に含まれるとともに前記ナゲット部を囲むように予め設定された複数の節点から構成された第二節点列に基づいて、前記第二節点列の各節点における状態量である荷重または変位の少なくとも一方を演算する状態量演算ステップと、前記第二節点列の各節点及び前記第二節点列内の複数の節点を含み、少なくとも一部が前記ナゲット部を模擬する部分解析モデルに対して、演算した前記第二節点列の各節点における前記状態量を拘束条件として、部分解析を実施し、前記部分解析モデルの各節点間に生じる応力及び歪みを演算する部分解析ステップと、演算した応力及び歪みに基づいて、ナゲット部における破断状態を評価するナゲット部破断評価ステップと を備える。
本発明の一態様の解析装置は、互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材と、複数の前記板状部材が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部とを有する構造体の解析装置であって、外力によって時間とともに変形する前記構造体について、前記構造体において前記厚さ方向視して前記ナゲット部を内部に含む閉ループを形成する複数の節点から構成された第一節点列に生じる所定時刻における6分力を取得する6分力取得部と、取得した前記第一節点列における6分力、及び、前記厚さ方向視して前記第一節点列内に含まれるとともに前記ナゲット部を囲むように予め設定された複数の節点から構成された第二節点列に基づいて、前記第二節点列の各節点における状態量である荷重または変位の少なくとも一方を演算する状態量演算部と、前記第二節点列の各節点及び前記第二節点列内の複数の節点を含み、少なくとも一部が前記ナゲット部を模擬する部分解析モデルに対して、演算した前記第二節点列の各節点における前記状態量を拘束条件として、部分解析を実施し、前記部分解析モデルの各節点間に生じる応力及び歪みを演算する部分解析処理部と、演算した応力及び歪みに基づいて、ナゲット部における破断状態を評価するナゲット部破断評価部とを備える。
本発明の一態様のプログラムは、互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材と、複数の前記板状部材が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部とを有する構造体の解析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、外力によって時間とともに変形する前記構造体について、前記構造体において前記厚さ方向視して前記ナゲット部を内部に含む閉ループを形成する複数の節点から構成された第一節点列に生じる所定時刻における6分力を取得する6分力取得手段、取得した前記第一節点列における6分力、及び、前記厚さ方向視して前記第一節点列内に含まれるとともに前記ナゲット部を囲むように予め設定された複数の節点から構成された第二節点列に基づいて、前記第二節点列の各節点における状態量である荷重または変位の少なくとも一方を演算する状態量演算手段、前記第二節点列の各節点及び前記第二節点列内の複数の節点を含み、少なくとも一部が前記ナゲット部を模擬する部分解析モデルに対して、演算した前記第二節点列の各節点における前記状態量を拘束条件として、部分解析を実施し、前記部分解析モデルの各節点間に生じる応力及び歪みを演算する部分解析処理手段、及び、演算した応力及び歪みに基づいて、ナゲット部における破断状態を評価するナゲット部破断評価手段として機能させる。
本発明により、互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材と、複数の板状部材が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部とを有する構造体について、ナゲット部における破断を精度良く、かつ、計算負荷を抑制して評価することができる。
実施形態の構造体の解析方法を説明するフロー図である。 実施形態の構造体の解析方法による解析対象となる構造体の一例を示す斜視図である。 実施形態の構造体の解析方法による解析対象となる構造体を模擬する構造解析モデルにおいて、ナゲット部周辺を示す説明図である。 実施形態の構造体の解析方法による解析対象となる構造体のうち、ナゲット部周辺を模擬する部分解析モデルの一例として梁モデルを説明する説明図である。 実施形態の構造体の解析方法による解析対象となる構造体のうち、ナゲット部周辺を模擬する部分解析モデルの一例としてソリッドモデルを説明する説明図である。 実施形態の構造体の解析方法において、ナゲット部の剛性パラメータの演算方法を説明する説明図であって、応力と歪みの関係を示すグラフである。 実施形態の構造体の解析方法において、部分解析ステップの詳細を説明するフロー図である。 実施形態の構造体の解析方法において、ナゲット部破断評価ステップの詳細を説明するフロー図である。 実施形態の解析装置のハード構成の一例を示すブロック図である。 実施形態における制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
以下、実施形態の構造体の解析装置、構造体の解析方法、及び、プログラムを、図面を参照して説明する。まず実施形態の解析装置が実行する構造特性の解析方法を説明する。
(構造体の解析方法の概要)
本実施形態における構造体の解析方法は、外力によって時間とともに変形する構造体を解析する方法である。本実施形態の構造体の解析方法は、例えば、自動車の車体の全部または一部を構造体とした車体解析に用いられる。構造体の解析方法には、例えば、衝突性能を解析する衝突性能解析がある。また、構造体の解析方法には、構造特性として構造体全体の強度を解析する強度解析や、構造特性として疲労特性を解析する疲労解析などが挙げられる。本実施形態では、以下、衝突性能を解析する衝突性能解析を例にして説明する。解析対象は、互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材と、複数の板状部材が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部とを有する構造体である。構造体は、例えば、自動車である。衝突性能解析方法の解析対象は、必ずしも自動車そのものでなくてもよく、自動車を構成する一部分のみとしてもよい。
図1は、実施形態の構造体100の解析方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態の構造体100の解析方法は、構造解析ステップS1と、6分力取得ステップS2と、状態量演算ステップS3と、部分解析ステップS4と、ナゲット部破断評価ステップS5と、更新ステップS6とを備える。そして、本実施形態の構造体100の解析方法では、単位時刻ごとに構造解析ステップS1、6分力取得ステップS2、状態量演算ステップS3、部分解析ステップS4、ナゲット部破断評価ステップS5を繰り返し実施するとともに、ナゲット部破断評価ステップS5の評価結果に基づいて必要に応じて更新ステップS6において、以下詳細を示す構造体100を模擬した構造解析モデルM1を更新して次の時刻における構造解析ステップS1を実施する。以下各ステップ及び、各ステップで実施される詳細なステップについて説明する。
まず、構造解析ステップS1では、解析対象である構造体100をモデル化した構造解析モデルM1を用いて、構造解析を行う。上記のとおり、解析対象の構造体100は、少なくとも一部において互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材101と、複数の板状部材101が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部102とを有している。図2に示すように、本実施形態の構造体100は、一例として、板状部材101である第一板状部材101Aと第二板状部材101Bが互いに厚さ方向に重ね合わされていて、スポット溶接され接合されている。ナゲット部102では第一板状部材101Aと第二板状部材101Bの母材が互いに溶融し一体となっている。本実施形態では、構造体100は、ナゲット部102を複数備えている。複数のナゲット部102は、一列に間隔を有して配されている。そして、図3に示すように、構造解析モデルM1は、例えば、板状部材101のそれぞれをシェル要素としてモデル化している。ここで、図2及び図3に示すように、ナゲット部102の軸方向、すなわち第一板状部材101Aと第二板状部材101Bの厚さ方向をX方向、X方向に延びる軸をX軸とする。また、ナゲット部102の配列する方向をY方向、Y方向に延びる軸をY軸とする。さらに、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とし、Z方向に延びる軸をZ軸とする。また、各パラメータにおけるX軸、Y軸及びZ軸の各成分には小文字のx、y、zを付して以下説明を行う。
本実施形態の構造解析ステップS1では、有限要素法による衝突解析を実施する。なお、構造解析の手法については有限要素法に限らず、他の解析手法によっても良い。また、構造解析の種類としては衝突解析に限らず、例えば上記のとおり強度解析や疲労解析としても良い。本実施形態の構造解析ステップS1で用いられる構造解析モデルM1は、有限要素法で用いられる一般的な複数のメッシュから構成されたモデルで良い。ナゲット部102においても、ナゲット部102の外周が模擬できる程度の簡易なメッシュの組み合わせで良い。
本実施形態の構造解析ステップS1では、予め設定された境界条件に基づいて、各メッシュの各節点における6分力を演算する。ここでいう6分力とは、作用する力のX軸成分、Y軸成分及びZ軸成分と、X軸回りモーメント、Y軸回りモーメント及びZ軸回りモーメントである。本実施形態の構造解析ステップS1は、具体的には例えばインクリメンタル法を用いて実施し、単位時刻ごとの各時刻における6分力を各節点で演算する。なお、本実施形態では、構造解析ステップS1では、所定時刻について実施した後、以降の各ステップを実行し、その結果に基づいて所定時刻から単位時刻後の時刻を所定時刻として再度構造解析ステップS1を実施することを繰り返す。
すなわち、構造解析ステップS1を所定時刻に実施した後、6分力取得ステップS2として、構造解析ステップS1における演算結果から、複数の節点から構成された第一節点列N1において、所定時刻におけるこれら各節点に生じる6分力を抽出する。ここでいう所定時刻とは、上記構造解析ステップS1が実施される単位時刻間隔となる各時刻のいずれかの時刻をいう。図3に示すように、第一節点列N1は、X方向視してナゲット部102を内部に含む閉ループLを形成する。第一節点列N1は、ナゲット部102を形成するに際して板状部材101の母材に生じる熱影響部(HAZ部)を厚さ方向視して含むように設定することが好ましい。なお、径寸法について、上限は特に限定されないが、後述する部分解析ステップS4での精度及び計算負荷の観点で大きすぎないことが好ましい。また、第一節点列N1によって形成される閉ループLの形状も特に限定されないが、ナゲット部102の外周形状と略相似形状となる多角形状であることが精度の観点でより好ましい。そして、本実施形態の構造体100では、複数のナゲット部102を有することから、各ナゲット部102において第一節点列N1が設定され、それぞれの第一節点列N1において6分力を抽出する。
次に、状態量演算ステップS3として、第一節点列N1内における状態量として荷重または変位を演算する。具体的には、図4に示すように、状態量演算ステップS3では、X方向視して第一節点列N1内に含まれる複数の節点から構成された第二節点列N2を予め設定する。第二節点列N2は、X方向視してナゲット部102を囲むように設定されている。第二節点列N2は、ナゲット部102の外周に略一致するように設定しても良いし、ナゲット部102の外周よりも外側に位置していても良い。第二節点列N2は、第一節点列N1と一致するように設定しても良い。第二節点列N2は、ナゲット部102における熱影響部を含むように設定されることが好ましい。第二節点列N2は、ナゲット部102の外周形状と略相似形状となる多角形状となることが精度の観点で好ましい。
本実施形態では、第二節点列N2は熱影響部を含むように熱影響部の外周に沿った8つの節点にて6角形状に構成されている。そして、第一節点列N1及び第二節点列N2の各節点を含む複数の節点による節点群が構成されている。節点群は、第一節点列N1と第二節点列N2の間、また、第二節点列N2内の節点を含むようにしても良い。なお、後述する部分解析ステップS4及びナゲット部破断評価ステップS5を実施して破断状態を評価する上で影響が大きいのはナゲット部外周近傍である。このため、当該ナゲット部外周近傍において節点間距離を小さくして細かいメッシュに設定するとともに、第二節点列内部において外周から遠い部分については比較的粗いメッシュに設定すると、解析精度を向上させつつ、計算負荷を低減させる観点で好ましい。本実施形態では、第二節点列N2内において、ナゲット部外周に沿った8つの節点から構成される節点列、さらに当該節点列と相似形状となり当該節点列の内側に位置する8つの節点、及び、ナゲット部102の中心に位置する一つの節点とが、節点群を構成する節点として設定されている。
そして、この節点群と、6分力取得ステップS2において取得されている第一節点列N1の各節点における荷重または変位に基づいて、第二節点列N2の各節点における荷重または変位を演算する。第二節点列N2の各節点における荷重は、例えば、節点群によって形成される複数のメッシュの形状関数の一次結合を用いて表現する。一次結合における各係数は最小二乗法などの行列計算で求めることができる。これにより、所定時刻における溶接周辺(第二節点列N2の各節点)における荷重または変位を演算することができる。なお、上記においては荷重または変位としたが荷重及び変位の両方を求めるものとしても良い。
次に、部分解析ステップS4では、状態量演算ステップS3において演算された第二節点列N2の各節点における状態量(応力、歪み)を拘束条件として、ナゲット部を含む部分に限定した部分構造解析を実施する。部分構造解析は、予め設定された部分解析モデルM2によって実施される。具体的には、図4及び図5に示すように、部分解析モデルM2は、第二節点列N2及び第二節点列N2内に設定された各節点とで構成され、第一板状部材101A及び第二板状部材101Bのそれぞれに設定されたシェル要素E1を含んでいる。部分解析モデルM2には梁モデルM2AやソリッドモデルM2Bが適用される。図4に示すように、梁モデルM2Aでは、各板状部材101に設定される上記シェル要素E1と、各シェル要素E1の中心節点を結ぶ梁要素E2とによって構成される。シェル要素E1としては、特に限定されないが、例えばスパイダーメッシュを適用しても良い。スパイダーメッシュは、節点が蜘蛛の巣状に配置された四角形有限要素である。特に、スパイダーメッシュは、概円状の領域に対し、最外周の輪郭形状と同心状の概円領域で内部と外部との二つに分割される。内部は、四角形要素を主体とした要素で構成され、必要に応じて同心円中心部を節点として持つ。また、外部は半径方向に対し必要に応じて、さらに同心状の概円領域で分割され、その分割された概円環状領域は内部領域から順番に1層、2層、3層・・・と数え上げ、各層は四角計要素を主体とした要素で構成される。梁要素E2は、X方向に並ぶ一以上の節点により構成されていて、少なくともナゲット部102のX方向中心位置に設定された節点を含む。ナゲット部102のX方向中心位置は、互いに接合される隣り合う板状部材101の対向する面同士に含まれる、または、対向する面同士のX方向中間に位置する面に含まれる点であり、通常、ナゲット部102の最大径となる円環部分が通る点に相当する。
また、図5(a)に示すように、ソリッドモデルM2Bは、上記シェル要素E1と、シェル要素E1を貫通しナゲット部102に相当する部分に配されたソリッド要素E3とによって構成される。図5(b)に示すように、ソリッド要素E3は、シェル要素E1におけるナゲット部102の外周を模擬する節点列及び当該節点列内部に位置する節点と対応する複数の節点が、X方向に沿って配列し、これら複数の節点を結ぶことで形成される複数のメッシュによって構成されている。なお、上記モデルは一例であるが、計算負荷の観点から、上記のような梁モデルM2AやソリッドモデルM2Bが好ましく、特に梁モデルM2Aがより好ましい。
そして、部分解析ステップS4では、このように予め設定された部分解析モデルM2に対して、演算した前記第二節点列N2の各節点における前記状態量を拘束条件として、部分構造解析を実施し、前記部分解析モデルM2の各節点間に生じる応力及び歪みを演算する。まず、本実施形態の部分解析ステップS4で用いる弾塑性構成式について説明する。本実施形態では、板状部材101同士が厚さ方向であるX方向に互いに接合する構造体100を解析対象としている。このため、X軸と直交するY軸及びZ軸の垂直応力成分を0と仮定し、また、YZ平面におけるせん断応力成分を0と仮定すれば、九方向応力成分に基づいて一般式から弾塑性構成式を以下の式(1)のように表すことができる。
Figure 2022110394000002
ただし、上記式(1)において、Sは以下の式(2)で表される。
Figure 2022110394000003
また、式(1)、(2)において、各記号は以下のように定義される。
Figure 2022110394000004
また、本実施形態では、上記のとおり板状部材101同士が厚さ方向であるX方向に互いに接合する構造体100を解析対象としている。すなわち、対角成分以外の影響度が小さいため、対角成分を除く成分を省略して、弾塑性構成式は以下の式(3)のように表すことができる。
Figure 2022110394000005
さらに、せん断成分の影響度が小さいことを考慮して、X方向に直交する断面に生じる垂直応力成分を除く成分を省略して、弾塑性構成式は以下の式(4)のように表すことができる。
Figure 2022110394000006
これら、式(1)、(3)、(4)のいずれかを採用することにより、以下の手順で示す部分解析ステップS4における応力、歪みの計算について、計算精度を確保しつつ、計算負荷を抑制し、計算速度を向上させることができる。
次に、ナゲット部102における応力歪み特性の取り扱いの一例について説明する。ナゲット部102の応力歪み特性(応力歪みの相関データ)は、接合される板状部材101の互いの応力歪み特性及び板厚の影響を受ける。すなわち、ナゲット部102の応力歪み特性は、接合される複数の板状部材101の応力歪み特性の溶融体積分率、すなわち板厚の重み付け和により定めることができる。接合される複数の板状部材101の応力歪み特性は、各板状部材101を形成する材質の応力歪み特性を予め取得することで得ることができる。図6は、異なる応力歪み特性を有する2つの板状部材101をスポット溶接により接合した例を示している。図6に示すように、スポット溶接により形成されたナゲット部102の応力歪み特性を示す応力歪み線Q3は、第一板状部材101Aの応力歪み特性を示す応力歪み線Q1と、第二板状部材101Bの応力歪み特性を示す応力歪み線Q2との間に位置する。そして、応力歪み線Q3は、第一板状部材101Aの板厚T1と、第二板状部材101Bの板厚T2に基づいて按分した位置(応力歪み線Q1からT2/(T1+T2)だけ応力歪み線Q2側へ離れた位置)を通るように定めることができる。なお、本例は、ナゲット部102における応力歪み特性の取り扱いの一例を示したにすぎず、厚さを考慮せずに平均値を求めても良いし、第一板状部材101Aと第二板状部材101Bとをスポット溶接したナゲット部102のサンプルを用意して、当該サンプルの強度試験結果からナゲット部102における応力歪み特性を得るものとしても良い。
次に、部分解析ステップS4で実施される部分構造解析のより詳細なステップの一例について説明する。一例とされる部分構造解析は、特に特定の解析モデルに限定されないが、例えば、参考文献1(橋口公一,“最新弾塑性学”,株式会社朝倉書店,1990年5月20日,p.95-139,146-161,176-186)に開示されている下負荷面モデルに基づく解析方法を用いることができる。具体的には、図7に示すように、部分解析ステップS4は、材料条件設定ステップS411と、拘束条件設定ステップS412と、応力・歪み速度設定ステップS413と、応力速度パラメータ演算ステップS421と、弾性構成マトリクス演算ステップS422と、塑性歪み速度パラメータ演算ステップS423と、弾塑性構成マトリクス演算ステップS424と、応力・歪み速度演算ステップS425と、除荷・負荷判定ステップS426と、応力・歪み演算ステップS431と、塑性パラメータ演算ステップS432と、硬化・軟化パラメータ演算ステップS433とを備える。
まず、材料条件設定ステップS411を実施する。材料条件設定ステップS411では、部分解析モデルM2における材料定数を設定する。材料定数としては、例えば、縦弾性係数、せん断弾性係数などの剛性パラメータと、部分解析モデルM2の各要素に前時刻で生じている応力及び歪みとが挙げられる。縦弾性係数、せん断弾性係数などの剛性パラメータは、例えば前述のとおり、図6に基づく考え方により、部分解析モデルM2が対象とするナゲット部102により接合される各板状部材101の応力歪み特性(応力歪みの相関データ)及び板厚に基づいて計算できる。これら材料定数は、本ステップにおいて演算しても良いし、予め演算した結果を記憶しておいても良い。また、これらの材料定数は、部分解析モデルM2の全体で同じ値を設定しても良いし、部分解析モデルM2を構成する要素ごとに設定しても良い。部分解析モデルM2の各要素に前時刻で生じている応力及び歪みは、前時刻において部分解析ステップS4が実施されて求められた部分解析モデルM2の各要素の応力及び歪みの演算結果が記憶部7に記憶され、当該記憶部7に記憶された応力及び歪みを参照することで得られる。なお、材料条件設定ステップS411は、構造解析ステップS1の各時刻の結果と対応して時刻ごとに実施されるが、同じ材料定数を用いる場合には、事前または1回目に実施してその後省略しても良いし、各時刻で実施される部分解析ステップS4ごとに実施しても良い。
次に、拘束条件設定ステップS412を実施する。拘束条件設定ステップS412では、解析対象となる部分解析モデルM2の拘束条件を設定する。拘束条件は、状態量演算ステップS3において求められた第二節点列N2の各節点における荷重または変位である。
次に、応力・歪み速度設定ステップS413を実施する。応力・歪み速度設定ステップS413では、これ以降のステップで演算に用いる応力速度及び歪み速度の初期値を設定する。応力速度及び歪み速度の初期値は、部分解析モデルM2を構成する要素ごとに与えられる。応力速度及び歪み速度の初期値は、例えば、当該応力・歪み速度設定ステップS413を実施する部分解析ステップS4の時刻よりも単位時刻前、すなわち前回の部分解析ステップS4において各要素で求められた応力速度及び歪み速度が、対応する各要素に設定される。前回の部分解析ステップS4において各要素で求められた応力速度及び歪み速度は、部分解析ステップS4を実施した際に記憶部7に記憶され、記憶部7に記憶された応力速度及び歪み速度を参照することで得られる。なお、前回の部分解析ステップS4での計算結果をそのまま用いても良いし、一定の係数を掛けるなどの前処理をしても良い。また、前回の部分解析ステップS4の計算結果を用いずに、応力速度及び歪み速度の初期値は、予め設定された固定値としても良い。
次に、応力速度パラメータ演算ステップS421を実施する。応力速度パラメータ演算ステップS421では、その後の弾性構成マトリクス演算ステップS422、塑性歪み速度パラメータ演算ステップ423、弾塑性構成マトリクス演算ステップS424、及び、応力・歪み速度演算ステップS425などで用いられる応力速度に関するパラメータを演算する。このようなパラメータとしては、等方硬化変数と、正規降伏背応力及び下降伏背応力と、正規降伏背応力及び下降伏背応力それぞれの平均応力及び偏差応力と、正規降伏面の大きさに対する下負荷面の大きさの比などが挙げられる。
次に、弾性構成マトリクス演算ステップS422を実施する。弾性構成マトリクス演算ステップS422では、材料条件設定ステップS411で設定された材料定数に基づいて、予め定義された弾性構成マトリクスの各成分を演算する。さらに、弾性構成マトリクス演算ステップS422では、材料条件設定ステップS411で設定された材料定数に基づいて、予め定義された弾性構成逆マトリクスの各成分を演算する。弾性構成マトリクス及び弾性構成逆マトリクスは、例えば、上記式(1)、(3)または(4)で示される数式における弾性項に基づいて定義され、予め記憶部7に記憶されている。
次に、塑性歪み速度パラメータ演算ステップS423を実施する。塑性歪み速度パラメータ演算ステップS423では、応力速度パラメータ演算ステップS421で求めた演算結果に基づいて塑性歪み速度に関するパラメータを演算する。このようなパラメータとしては、正規降伏面の大きさに対する下負荷面の大きさの比の関数U、塑性係数などが挙げられる。
次に、弾塑性構成マトリクス演算ステップS424を実施する。弾塑性構成マトリクス演算ステップS424では、弾性構成マトリクス演算ステップS422及び塑性歪み速度パラメータ演算ステップS423の演算結果に基づいて、弾塑性係数マトリクスの各成分を演算する。弾塑性係数マトリクスは、例えば、上記式(1)、(3)または(4)で示される数式における塑性項に基づいて定義され、予め記憶部7に記憶されている。
次に、応力・歪み速度演算ステップS425を実施する。応力・歪み速度演算ステップS425では、弾性構成マトリクス演算ステップS422で求められた弾性構成マトリクス及び弾塑性構成マトリクス演算ステップS424で求められた弾塑性係数マトリクス、及び、上記式(1)、(3)または(4)で示される弾塑性構成式に基づいて、部分解析モデルM2における各要素の応力速度及び歪み速度が求められる。
次に、除荷・負荷判定ステップS426を実施する。除荷・負荷判定ステップS426では、応力・歪み速度演算ステップS425の演算結果に基づいて、部分解析モデルM2の各要素が除荷状態にあるのか、負荷状態にあるのかを判定する。除荷状態か負荷状態かのいずれかの状態かを判定するには、対象となるナゲット部102における応力歪み線Q3が用いられる。ここで、応力歪み線Q3を、弾性範囲を示す直線と、塑性範囲を示す直線との折れ線として表現することで、判定に係る計算負荷を低減させることができる。いずれかの要素が除荷状態にある場合(YES)には、応力・歪み速度演算ステップS425の再計算を実施する。一方、全ての要素が負荷状態にある場合(NO)には、次の応力・歪み演算ステップS431に移行する。すなわち、除荷・負荷判定ステップS426において全ての要素が負荷状態であると判定されるまで、応力・歪み速度演算ステップS425を繰り返し実施する。
応力・歪み演算ステップS431では、部分解析モデルM2の各要素における応力及び歪みを演算する。部分解析モデルM2の各要素における応力及び歪みは、応力・歪み速度演算ステップS425で求められた部分解析モデルM2の各要素の応力速度及び歪み速度と、拘束条件設定ステップS412で設定された応力及び歪みに基づいて演算される。そして、応力・歪み演算ステップS431では、記憶部7に記憶されている部分解析モデルM2の各要素における応力及び歪みを、当該ステップで演算した結果の応力及び歪みに更新する。なお、この際に、記憶部7に記憶されている部分解析モデルM2の各要素における応力速度及び歪み速度も、応力・歪み速度演算ステップS425の結果に更新しても良い。
次に、塑性パラメータ演算ステップS432を実施する。塑性パラメータ演算ステップS432では、塑性ひずみ速度、及び、塑性歪み速度の法線・接線成分を演算する。塑性歪み速度は、応力・歪み演算ステップS431の演算結果に基づいて求められる。最後に、硬化・軟化パラメータ演算ステップS433として、硬化・軟化に関するパラメータを演算する。硬化・軟化に関するパラメータとしては、等方硬化変数、正規降伏背応力、下降伏背応力、塑性履歴パラメータなどが挙げられる。そして、塑性パラメータ演算ステップS432及び硬化・軟化パラメータ演算ステップS433では、記憶部7に記憶されている前時刻で演算された塑性ひずみ速度、塑性歪み速度の法線・接線成分、及び、硬化・軟化に関するパラメータをこれらステップで演算した結果に更新する。以上により、部分解析ステップS4を完了する。
次に、ナゲット部破断評価ステップS5を実施する。ナゲット部破断評価ステップS5では、部分解析ステップS4で演算した応力及び歪みに基づいて、ナゲット部102における破断状態を評価する。図8に示すように、本実施形態のナゲット部破断評価ステップS5は、破断判定ステップS51と、破断方向判断ステップS52とを有する。破断判定ステップS51では、破断の有無を判定する。また、破断方向判断ステップS52は、破断判定ステップS51で破断が生じていると判定された場合に破断の方向を判断する。以下、各ステップの詳細について説明する。
本実施形態の破断判定ステップS51は、部分解析ステップS4で演算された所定時刻におけるナゲット部102の歪みから求められるX方向に直交するYZ断面における降伏領域の比率及び歪みエネルギーの少なくとも一方に基づいて破断の有無を判定する。より具体的には、本実施形態の破断判定ステップS51は、第一判定ステップS511と、第二判定ステップS512とを有する。第一判定ステップS511では、部分解析ステップS4で演算された所定時刻におけるナゲット部102の歪みから、X方向に直交するYZ断面における降伏領域の比率及び歪みエネルギーの少なくとも一方を求める(ステップS511a)。そして、演算結果が第一閾値を超えているか否か判定する(S511b)。すなわち、降伏領域の比率を採用する場合には、当該YZ平面における降伏領域の比率を求め、予め設定された降伏領域に関する第一閾値を超えているか否か判定する。また、歪みエネルギーを採用する場合には、当該YZ平面における歪みエネルギーを求め、予め設定された歪みエネルギーに関する第一閾値を超えている否か判定する。降伏領域の比率及び歪みエネルギーの両者を採用する場合には、いずれか一方が対応する第一閾値を超えているか否かに基づいて判定しても良いし、両方がそれぞれ対応する第一閾値を超えているか否かに基づいて判定しても良い。いずれに場合においても、第一閾値を超えていないと判定された場合にはナゲット部102で破断が生じていないと判定し、更新ステップS6に進む。一方、第一判定ステップS511で第一閾値を超えていると判定された場合には第二判定ステップS512を実施する。
すなわち、第二判定ステップS512では、ナゲット部102における相当応力及び相当歪みの少なくとも一方を求める(ステップS512a)。そして、演算結果が第二閾値を超えているか否か判定する(S512b)。なお、相当応力及び相当歪みは、部分解析ステップS4で既に求めている場合には、部分解析ステップS4の結果を用いても良い。そして、相当応力を採用する場合には、ナゲット部102における相当応力について、予め設定され記憶部7に記憶された相当応力に関する第二閾値を超えているか否か判定する。また、相当歪みを採用する場合には、ナゲット部102における相当歪みについて、予め設定され記憶部7に記憶された相当歪みに関する第二閾値を超えているか否か判定する。相当応力及び相当歪みの両者を採用する場合には、いずれか一方が対応する第二閾値を超えているか否かに基づいて判定しても良いし、両方がそれぞれ対応する第二閾値を超えているか否かに基づいて判定しても良い。いずれの場合においても、第二閾値を超えていないと判定された場合にはナゲット部102で破断が生じていないと判定し、更新ステップS6に進む。一方、第二判定ステップS512で第二閾値を超えていると判定された場合には、ナゲット部102で破断が生じていると判定し、破断方向判断ステップS52を実施する。
破断方向判断ステップS52では、破断の方向を判断する。具体的には、部分解析ステップS4の結果に基づいて、応力及び歪みに関する各パラメータのX方向成分、Y方向成分、Z方向成分を対比してX方向、Y方向、Z方向のどの方向における応力及び歪みの寄与度が高いか判断し、これに基づいて破断の方向を判断する。例えば、各方向成分のパラメータを比較してパラメータが最も高い方向を破断の方向として判断する。寄与度の程度については、例えば主方向や3軸応力度を用いて複合的に判断しても良い。応力及び歪みに関するパラメータとして、例えば、X方向、Y方向及びZ方向それぞれの垂直応力、せん断応力及び歪みエネルギーをそれぞれ対比する。そして、対比の結果、寄与度の高い方向に破断が生じるものと判断する。
次に、構造解析モデルM1を更新する更新ステップS6を実施する。すなわち、更新ステップS6では、ナゲット部破断評価ステップS5の結果に基づいて、対象となるナゲット部102が破断したと判断された場合、構造解析モデルM1において対象となるナゲット部102と対応するする要素を消去した構造解析モデルM1に更新する。また、破断方向判断ステップS52における破断の方向の判断結果を、更新ステップS6後に実施する構造解析ステップS1における要素消去の計算パラメータの中で緩和時間として反映させたり、破断方向に沿って多くの要素を消去させたりするなど要素消去方法に反映させるものとしても良い。なお、ナゲット部破断評価ステップS5でいずれのナゲット部102でも破断が認められない場合には構造解析モデルM1の要素の消去処理は行わない。そして、所定の時刻において上記一連のステップを実施した後、当該所定の時刻から単位時刻進めた次の時刻を所定の時刻として、同様のステップを順次実施する。これを単位時刻ごとに実施していく。
次に、実施形態における構造体の解析方法が実行される解析装置の一例を説明する。 図9は、実施形態の解析装置のハード構成の一例を示す図である。図9に示すように、解析装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ2とメモリ3とを備える制御部4を備え、プログラムを実行する。解析装置1は、プログラムの実行によって制御部4、入力部6、記憶部7及び出力部8を備える装置として機能する。より具体的には、プロセッサ2が記憶部7に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ3に記憶させる。プロセッサ2が、メモリ3に記憶させたプログラムを実行することによって、解析装置1は、制御部4、入力部6、記憶部7及び出力部8を備える装置として機能する。
入力部6は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部6は、これらの入力装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部6は、自装置に対する各種情報の入力を受け付ける。各種情報は、例えば、成形解析情報を含む。入力部6は、入力された情報を制御部4に出力する。
記憶部7は、例えば、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体を用いて構成される。記憶部7は解析装置1に関する各種情報を記憶する。記憶部7は、例えば、入力部6に入力された成形解析情報を記憶する。記憶部7は、例えば、加工硬化関係情報を予め記憶する。記憶部7は、例えば、焼付硬化関係情報を予め記憶する。
出力部8は、各種情報を出力する。出力部8は、例えば、解析結果の衝突性能を示す情報を出力する。出力部8は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部8は、これらの表示装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。
図10は、実施形態における制御部4の機能構成の一例を示す図である。図10に示すように、本実施形態の解析装置1の制御部4は、全体構造解析部10と、部分構造解析部20とを備える。全体構造解析部10と部分構造解析部20とは、別々のプログラムとして実行されても良いし、一体のプログラムとして実行されても良い。以下に各機能構成部で実行される処理の詳細を説明するが、各機能構成部で実行される処理の詳細は、本実施形態の上記構造体100の解析方法のとおりである。このため、各機能構成部で実行される処理は、対応する構造体100の解析方法の各ステップ名で示し、詳細は構造体100の解析方法の各ステップで記載したとおりである。
全体構造解析部10は、記憶部7に記憶された構造解析モデルM1に基づいて、構造体100の全体の構造解析を行う。すなわち、全体構造解析部10は、本実施形態の構造体100の解析方法の構造解析ステップS1を実行する。本実施形態の全体構造解析部10では、上記のとおり例えばインクリメンタル法を用いて実施し、単位時刻ごとの各時刻における6分力を各節点で演算する。全体構造解析部10は、各時刻において演算された6分力を部分構造解析部20に出力する。全体構造解析部10は、演算された6分力を部分構造解析部20に出力後、後述するように部分構造解析部20から演算指令を取得するまでの間、次の時刻の演算に移行せずに待機状態となる。そして、全体構造解析部10は、更新部70から出力される演算指令を受け付けると、単位時刻だけ進行した次の時刻の演算に移行する。
本実施形態の部分構造解析部20は、6分力取得部30と、状態量演算部40と、部分解析処理部50と、ナゲット部破断評価部60と、更新部70とを備える。6分力取得部30は、本実施形態の構造体100の解析方法の6分力取得ステップS2を実行する。すなわち、6分力取得部30は、全体構造解析部10から出力された所定時刻における6分力を取得する。
また、状態量演算部40は、本実施形態の構造体100の解析方法の状態量演算ステップS3を実行する。すなわち、状態量演算部40は、構造解析モデルM1の第一節点列N1内における状態量として、第二節点列N2の各節点における荷重または変位を演算し、部分解析処理部50に出力する。
また、部分解析処理部50は、記憶部7に記憶された部分解析モデルM2に基づいて、状態量演算部40において演算された第二節点列N2の各節点における状態量(応力、歪み)を拘束条件として、部分構造解析を実行する。すなわち、部分解析処理部50は、本実施形態の構造体100の解析方法の部分解析ステップS4を実行する。本実施形態の部分解析処理部50は、材料条件設定部511と、拘束条件設定部512と、応力・歪み速度設定部513と、応力速度パラメータ演算部521と、弾性構成マトリクス演算部522と、塑性歪み速度パラメータ演算部523と、弾塑性構成マトリクス演算部524と、応力・歪み速度演算部525と、除荷・負荷判定部526と、応力・歪み演算部531と、塑性パラメータ演算部532と、硬化・軟化パラメータ演算部533とを備える。
材料条件設定部511は、本実施形態の構造体100の解析方法の材料条件設定ステップS411を実行する。すなわち、材料条件設定部511は、記憶部7に記憶された部分解析モデルM2における材料定数を読み出し、材料定数として設定する。また、拘束条件設定部512は、本実施形態の構造体100の解析方法の拘束条件設定ステップS412を実行する。すなわち、拘束条件設定部512は、当該時刻において状態量演算部40で演算された第二節点列N2の各節点における荷重または変位を取得し、対応節点における荷重または変位として設定する。さらに、拘束条件設定部512は、記憶部7に記憶された前時刻において部分解析処理部50によって演算された部分解析モデルM2の各要素に生じている応力及び歪みを取得し、部分解析モデルM2の各要素の応力及び歪みに設定する。
応力・歪み速度設定部513は、本実施形態の構造体100の解析方法の応力・歪み速度設定ステップS413を実行する。すなわち、応力・歪み速度設定部513は、これ以降の処理で演算に用いる応力速度及び歪み速度の初期値を設定する。本実施形態では、部分解析処理部50によって演算された部分解析モデルM2の各要素に生じている応力速度及び歪み速度を取得し、部分解析モデルM2の各要素の応力速度及び歪み速度に設定する。
応力速度パラメータ演算部521は、本実施形態の構造体100の解析方法の応力速度パラメータ演算ステップS421を実行し、応力速度に関するパラメータを演算する。また、弾性構成マトリクス演算部522は、本実施形態の構造体100の解析方法の弾性構成マトリクス演算ステップS422を実行する。すなわち、弾性構成マトリクス演算部522は、予め定義された弾性構成マトリクス及び弾性構成逆マトリクスの各成分を演算する。
塑性歪み速度パラメータ演算部523は、本実施形態の構造体100の解析方法の塑性歪み速度パラメータ演算ステップS423を実行し、塑性歪み速度に関するパラメータを演算する。また、弾塑性構成マトリクス演算部524は、本実施形態の構造体100の解析方法の弾塑性構成マトリクス演算ステップS424を実行し、弾塑性係数マトリクスの各成分を演算する。
応力・歪み速度演算部525は、本実施形態の構造体100の解析方法の応力・歪み速度演算ステップS425を実行し、部分解析モデルM2における各要素の応力速度及び歪み速度を求める。また、応力・歪み速度演算部525は、除荷・負荷判定部526から再計算指令を受けた場合には、再度応力速度及び歪み速度を演算する。
除荷・負荷判定部526は、本実施形態の構造体100の解析方法の除荷・負荷判定ステップS426を実行する。すなわち、除荷・負荷判定部526は、応力・歪み速度演算部525で演算された応力速度及び歪み速度に基づいて、部分解析モデルM2の各要素が除荷状態にあるのか、負荷状態にあるのかを判定する。除荷・負荷判定部526は、いずれかの要素が除荷状態にある場合には、応力・歪み速度演算部525に再計算指令を出力する。一方、除荷・負荷判定部526は、全ての要素が負荷状態にある場合には、応力・歪み演算部531に応力歪み演算指令を出力する。
応力・歪み演算部531は、本実施形態の構造体100の解析方法の応力・歪み演算ステップS431を実行する。すなわち、応力・歪み演算部531は、部分解析モデルM2の各要素における応力及び歪みを演算する。そして、応力・歪み演算部531は、記憶部7に記憶されている部分解析モデルM2の各要素における応力及び歪みを、今回演算した結果の応力及び歪みに更新する。
塑性パラメータ演算部532は、本実施形態の構造体100の解析方法の塑性パラメータ演算ステップS432を実行する。塑性パラメータ演算部532は、塑性ひずみ速度、及び、塑性歪み速度の法線・接線成分を演算する。さらに、塑性パラメータ演算部532は、記憶部7に記憶されている塑性ひずみ速度を、演算した塑性歪み速度に更新する。また、硬化・軟化パラメータ演算部533は、本実施形態の構造体100の解析方法の硬化・軟化パラメータ演算ステップS433を実行する。すなわち、硬化・軟化パラメータ演算部533は、硬化・軟化に関するパラメータを演算する。硬化・軟化パラメータ演算部533は、記憶部7に記憶されている硬化・軟化に関するパラメータを、演算した硬化・軟化に関するパラメータに更新する。
ナゲット部破断評価部60は、本実施形態の構造体100の解析方法のナゲット部破断評価ステップS5を実行する。本実施形態のナゲット部破断評価部60は、破断判定部611と、破断方向判断部612とを有する。破断判定部611は、部分解析処理部50により演算された所定時刻におけるナゲット部102の歪みから、X方向に直交するYZ断面における降伏領域の比率及び歪みエネルギーの少なくとも一方を求める。そして、破断判定部611は、降伏領域の比率及び歪みエネルギーの少なくとも一方に基づいて破断の有無を判定する。
本実施形態の破断判定部611は、第一判定部611aと、第二判定部611bとを有する。第一判定部611aは、部分解析処理部50により演算されたナゲット部102の歪みから、X方向に直交するYZ断面における降伏領域の比率または歪みエネルギーを求める。そして、第一判定部611aは、YZ断面における降伏領域の比率または歪みエネルギーとなる演算値と対応し、記憶部7に記憶された第一閾値を参照し、演算値が第一閾値を超えているか否か判定する。演算値が第一閾値を超えていない場合には、第一判定部611aは、ナゲット部102で破断が生じていないと判定し、更新部70に更新指令を出力する。一方、第一判定部611aは、演算値が第一閾値を超えていると判定した場合には、第二判定部611bに対して第二判定指令を出力する。なお、上記では、YZ断面における降伏領域の比率または歪みエネルギーにより判定するとしたが、両方により判定するものとしても良く、本実施形態の構造体100の解析方法の第一判定ステップS511に記載のとおりである。
第二判定部611bは、第二判定指令を受け付けると、ナゲット部102における相当応力または相当歪みを求める。なお、相当応力または相当歪みは、部分解析処理部50での処理において既に求めている場合には、部分解析処理部50による処理結果を用いても良い。そして、第二判定部611bは、相当応力または相当歪みとなる演算値と対応し、記憶部7に記憶された第二閾値を参照し、演算値が第二閾値を超えているか否かを判定する。演算値が第二閾値を超えていないと判定された場合には、第二判定部611bは、ナゲット部102で破断が生じていないと判定し、更新部70に更新指令を出力する。一方、第二判定部611bは、演算値が第二閾値を超えていると判定した場合には、ナゲット部102で破断が生じていると判定し、破断方向判断部612に方向判断指令を出力するとともに、評価結果を更新部70に出力する。
破断方向判断部612は、破断判定部611で破断と判定され方向判断指令が出力した場合、方向判断指令を受け付ける。破断方向判断部612は、方向判断指令を受け付けると、本実施形態の構造体100の解析方法の破断方向判断ステップS52を実行し、破断の方向を判断する。具体的には、破断方向判断部612は、部分解析処理部50の演算結果から、応力及び歪みに関する各パラメータのX方向成分、Y方向成分、Z方向成分を取得する。そして、破断方向判断部612は、各パラメータのX方向成分、Y方向成分、Z方向成分を対比してX方向、Y方向、Z方向のどの方向における応力及び歪みの寄与度が高いか判断し、これに基づいて破断の方向を判断するとともに、更新部70に更新指令を出力する。
更新部70は、更新指令を受け付けるととともに、ナゲット部破断評価部60による評価結果を受け付ける。更新部70は、更新指令を受け付けると、受け付けた評価結果に基づいて対象となるナゲット部102が破断したと判断された場合、記憶部7に記憶された構造解析モデルM1において対象となるナゲット部102と対応する要素を消去した構造解析モデルM1に更新する。そして、更新部70は、構造解析モデルM1の更新後、全体構造解析部10に演算指令を出力する。
以上のように、本実施形態の構造体100の解析方法、解析装置及び解析装置に当該解析方法を実行させるプログラムによれば、互いに厚さ方向(X方向)に重ね合わされた複数の板状部材101と、複数の前記板状部材101が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部102とを有する構造体100の構造解析をするにあたって、構造体100の全体の構造解析を実施する構造解析ステップS1と、ナゲット部102の応力及び歪みを求める部分解析ステップS4とを別に実施している。そして、本実施形態では、この部分解析ステップS4によって得られた応力及び歪みに基づいてナゲット部102における破断状態を評価している。このため、ナゲット部102の形状に応じて詳細な部分解析モデルM2で部分解析ステップS4を実施して精度良く、ナゲット部102の応力及び歪みを求めてナゲット部102の破断状態を評価することができる。その一方、全体としてはナゲット部102も含めて構造解析モデルM1で全体構造解析を実施することにより、ナゲット部102の形状に関わらず計算負荷を低くして構造体100の全体の構造解析を実施することができる。すなわち、ナゲット部102を含む構造体100の解析について、計算負荷を抑えつつ、ナゲット部102の破断の影響を精度良く評価することが可能となる。
また、構造体100の全体の構造解析モデルM1と、ナゲット部102を解析する部分解析モデルM2とを別とすることで、部分解析モデルM2についてはナゲット部102の形状に適したモデルとすることができ、精度向上と計算負荷低減との両立を図ることができる。例えば、ナゲット部102を含む部分をモデル化した部分解析モデルM2について、板状部材101に含まれる部分をナゲット部102の形状に即したスパイダー状のメッシュ構成としたシェル要素E1とし、板状部材101同士を連結する部分を梁要素E2やソリッド要素などとすることで、精度向上と計算負荷低減との両立を図ることができる。
そして、単位時刻ごとに、構造解析ステップS1と部分解析ステップS4とを繰り返すことで、部分解析ステップS4で解析したナゲット部102に生じる応力及び歪みを精度良く、かつ計算負荷を抑制して求めつつ、求めた結果を構造解析ステップS1での計算結果に反映することができる。特に、部分解析ステップS4での演算結果に基づいてナゲット部破断評価ステップS5を実施し、その結果破断と評価したナゲット部102の状態を構造解析ステップS1での計算結果に反映することでより精度を向上させることができる。
また、部分解析ステップS4において用いられる弾塑性構成式として、板状部材101同士を接合するナゲット部102の構造解析である点を考慮して、厚さ方向に直交する断面に生じる応力成分を省略した式(1)を採用することで、計算精度を確保しつつ、計算負荷を低減させることができる。また、弾塑性構成式として、式(1)からさらに、対角成分を除く成分を省略した以下の式(3)を採用することで、計算精度を確保しつつさらに計算負荷を低減させることができる。また、弾塑性構成式として、式(3)からさらに、厚さ方向に直交する断面に生じる垂直応力成分を除く成分を省略した以下の式(4)を採用することで、計算精度を確保しつつさらに計算負荷を低減させることができる。
また、本実施形態では、部分解析ステップS4において用いられる材料定数のうち、縦弾性係数やせん断弾性係数などの剛性パラメータが、ナゲット部102によって接合される複数の板状部材101のそれぞれの材質に関して予め取得された応力歪みの相関データと、複数の板状部材101同士の厚みの比に基づいて求められる。このようにすることで、ナゲット部102の強度に影響する複数の板状部材101の材質及び厚さに基づいてナゲット部102の剛性パラメータを求めることができ、ナゲット部102の剛性パラメータを精度良く設定することができる。
また、ナゲット部破断評価ステップS5では、演算された所定時刻におけるナゲット部102の歪みから求められる厚さ方向に直交する断面における降伏領域の比率または歪みエネルギーの少なくとも一方に基づいて破断の有無を判定している。このため、塑性変形の程度を精度良く反映させて破断を評価することができる。さらに、ナゲット部破断評価ステップS5において、破断判定ステップS51では、降伏領域の比率及び歪みエネルギーの少なくとも一方が予め設定された対応する第一閾値を超えているか否か判定する第一判定ステップと、降伏領域の比率または歪みエネルギーの少なくとも一方が第一閾値を超えている場合に、ナゲット部102における相当応力及び相当歪みの少なくとも一方が予め設定された対応する第二閾値を超えているか否か判定し、第二閾値を超えている場合に、破断が生じていると判定するようにしている。このように、二段階で破断を評価することでより精度良く破断を評価することができる。
さらに、ナゲット部破断評価ステップS5では、破断方向判断ステップS52として、破断が生じていると判定された場合に、各成分の応力及び歪みエネルギーに基づいて破断の方向を判断するようにしている。このため、破断すると評価された場合に、その破断がどの方向に影響を及ぼすか、構造体100の全体に対する影響度がどの程度かを破断の方向に基づいて評価することができる。
なお、解析装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
解析装置1は、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、解析装置1が備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。例えば、全体構造解析部10と、部分構造解析部20とはそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1 解析装置
30 6分力取得部
40 状態量演算部
50 部分解析処理部
60 ナゲット部破断評価部
100 構造体
101 板状部材
102 ナゲット部
531 応力・歪み演算部
L 閉ループ
M1 構造解析モデル
M2 部分解析モデル
N1 第一節点列
N2 第二節点列
S1 6分力演算ステップ(構造解析ステップ)
S2 6分力取得ステップ
S3 状態量演算ステップ
S4 部分解析ステップ
S5 ナゲット部破断評価ステップ
S6 更新ステップ
S51 破断判定ステップ
S52 破断方向判断ステップ
S411 材料条件設定ステップ
S412 拘束条件設定ステップ
S425 応力・歪み速度演算ステップ
S431 応力歪み演算ステップ
S511 第一判定ステップ
S512 第二判定ステップ

Claims (12)

  1. 互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材と、複数の前記板状部材が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部とを有する構造体の解析方法であって、
    外力によって時間とともに変形する前記構造体について、前記構造体において前記厚さ方向視して前記ナゲット部を内部に含む閉ループを形成する複数の節点から構成された第一節点列に生じる所定時刻における6分力を取得する6分力取得ステップと、
    取得した前記第一節点列における6分力、及び、前記厚さ方向視して前記第一節点列内に含まれるとともに前記ナゲット部を囲むように予め設定された複数の節点から構成された第二節点列に基づいて、前記第二節点列の各節点における状態量である荷重または変位の少なくとも一方を演算する状態量演算ステップと、
    前記第二節点列の各節点及び前記第二節点列内の複数の節点を含み、少なくとも一部が前記ナゲット部を模擬する部分解析モデルに対して、演算した前記第二節点列の各節点における前記状態量を拘束条件として、部分解析を実施し、前記部分解析モデルの各節点間に生じる応力及び歪みを演算する部分解析ステップと、
    演算した応力及び歪みに基づいて、ナゲット部における破断状態を評価するナゲット部破断評価ステップとを備える構造体の解析方法。
  2. 前記部分解析ステップは、前記部分解析モデルの剛性パラメータを含む材料定数を設定する材料条件設定ステップと、
    前記部分解析モデルの拘束条件を設定する拘束条件設定ステップと、
    前記弾塑性構成式、前記材料定数及び前記拘束条件に基づいて前記部分解析モデルにおける応力速度及び歪み速度を求める応力・歪み速度演算ステップと、
    求められた前記応力速度及び前記歪み速度に基づいて前記部分解析モデルにおける応力及び歪みを求める応力歪み演算ステップとを備え、
    前記6分力取得ステップを前記単位時間ごとに実施し、
    順次、前記単位時間ごとの各時刻を前記所定時刻として、各前記時刻より前記単位時間前の前時刻における前記応力・歪み速度演算ステップ及び前記応力歪み演算ステップによって求められた前記ナゲット部における前記応力速度、前記歪み速度、前記応力及び前記歪みを取得し、前記部分解析ステップを実施することで、前記所定時刻における前記ナゲット部の応力及び歪みを求める請求項1に記載の構造体の解析方法。
  3. 前記部分解析ステップでは、前記弾塑性構成式として、九方向応力成分に基づいて表される基本式から、前記厚さ方向に直交する断面に生じる応力成分を除く応力成分を省略した式(1)に基づいて、前記ナゲット部に生じる応力及び歪みを演算する請求項1または請求項2に記載の構造体の解析方法。
    Figure 2022110394000007
    ただし、
    Figure 2022110394000008
    Figure 2022110394000009
  4. 前記部分解析ステップでは、前記弾塑性構成式として、前記式(1)からさらに、対角成分を除く成分を省略した以下の式(3)に基づいて、前記ナゲット部に生じる応力及び歪みを演算する請求項3に記載の構造体の解析方法。
    Figure 2022110394000010
  5. 前記部分解析ステップでは、前記弾塑性構成式として、前記式(3)からさらに、厚さ方向に直交する断面に生じる垂直応力成分を除く成分を省略した以下の式(4)に基づいて、前記ナゲット部に生じる応力及び歪みを演算する請求項4に記載の構造体の解析方法。
    Figure 2022110394000011
  6. 前記厚さ方向に隣り合う少なくとも2つの前記板状部材が異なる材質により形成されており、
    前記ナゲット部の応力歪みの相関データは、複数の前記板状部材のそれぞれの材質に関して予め取得された応力歪みの相関データと、複数の前記板状部材同士の厚みの比に基づいて求められ、
    前記剛性パラメータは前記ナゲット部の応力歪みの相関データに基づいて求められる請求項1から5のいずれか一項に記載の構造体の解析方法。
  7. 前記ナゲット部破断評価ステップは、演算された前記所定時刻における前記ナゲット部の歪みから求められる前記厚さ方向に直交する断面における降伏領域の比率または歪みエネルギーの少なくとも一方に基づいて破断の有無を判定する破断判定ステップを有する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の構造体の解析方法。
  8. 前記破断判定ステップは、前記降伏領域の比率及び前記歪みエネルギーの少なくとも一方が予め設定された対応する第一閾値を超えているか否か判定する第一判定ステップと、
    前記降伏領域の比率または前記歪みエネルギーの少なくとも一方が前記第一閾値を超えている場合に、前記ナゲット部における相当応力及び相当歪みの少なくとも一方が予め設定された対応する第二閾値を超えているか否か判定し、前記第二閾値を超えている場合に、破断が生じていると判定する第二判定ステップとを備える請求項7に記載の構造体の解析方法。
  9. 前記ナゲット部破断評価ステップは、破断が生じていると判定された場合に、各成分の応力及び歪みエネルギーに基づいて破断の方向を判断する破断方向判断ステップを有する請求項7または請求項8に記載の構造体の解析方法。
  10. 予め定められた前記構造体に係る構造解析モデルに基づいて、前記構造体において前記第一節点列に生じる前記所定時刻における6分力を演算する6分力演算ステップと、
    前記ナゲット部における破断状態の評価結果に基づいて前記構造解析モデルを更新する更新ステップとを備え、
    前記更新ステップでは、前記単位時間ごとに求められる前記ナゲット部における破断状態の評価結果に基づいて順次前記構造解析モデルを更新し、
    前記6分力演算ステップでは、前記単位時間前に更新された前記構造解析モデルに基づいて6分力を演算する請求項1から9のいずれか一項に記載の構造体の解析方法。
  11. 互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材と、複数の前記板状部材が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部とを有する構造体の解析装置であって、
    外力によって時間とともに変形する前記構造体について、前記構造体において前記厚さ方向視して前記ナゲット部を内部に含む閉ループを形成する複数の節点から構成された第一節点列に生じる所定時刻における6分力を取得する6分力取得部と、
    取得した前記第一節点列における6分力、及び、前記厚さ方向視して前記第一節点列内に含まれるとともに前記ナゲット部を囲むように予め設定された複数の節点から構成された第二節点列に基づいて、前記第二節点列の各節点における状態量である荷重または変位の少なくとも一方を演算する状態量演算部と、
    前記第二節点列の各節点及び前記第二節点列内の複数の節点を含み、少なくとも一部が前記ナゲット部を模擬する部分解析モデルに対して、演算した前記第二節点列の各節点における前記状態量を拘束条件として、部分解析を実施し、前記部分解析モデルの各節点間に生じる応力及び歪みを演算する部分解析処理部と、
    演算した応力及び歪みに基づいて、ナゲット部における破断状態を評価するナゲット部破断評価部とを備える解析装置。
  12. 互いに厚さ方向に重ね合わされた複数の板状部材と、複数の前記板状部材が互いにスポット溶接されることで形成されたナゲット部とを有する構造体の解析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    外力によって時間とともに変形する前記構造体について、前記構造体において前記厚さ方向視して前記ナゲット部を内部に含む閉ループを形成する複数の節点から構成された第一節点列に生じる所定時刻における6分力を取得する6分力取得手段、
    取得した前記第一節点列における6分力、及び、前記厚さ方向視して前記第一節点列内に含まれるとともに前記ナゲット部を囲むように予め設定された複数の節点から構成された第二節点列に基づいて、前記第二節点列の各節点における状態量である荷重または変位の少なくとも一方を演算する状態量演算手段、
    前記第二節点列の各節点及び前記第二節点列内の複数の節点を含み、少なくとも一部が前記ナゲット部を模擬する部分解析モデルに対して、演算した前記第二節点列の各節点における前記状態量を拘束条件として、部分解析を実施し、前記部分解析モデルの各節点間に生じる応力及び歪みを演算する部分解析処理手段、及び、
    演算した応力及び歪みに基づいて、ナゲット部における破断状態を評価するナゲット部破断評価手段として機能させるプログラム。
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