JP2003329884A - 光コネクタ用フェルール及びその製造方法 - Google Patents

光コネクタ用フェルール及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003329884A
JP2003329884A JP2002135833A JP2002135833A JP2003329884A JP 2003329884 A JP2003329884 A JP 2003329884A JP 2002135833 A JP2002135833 A JP 2002135833A JP 2002135833 A JP2002135833 A JP 2002135833A JP 2003329884 A JP2003329884 A JP 2003329884A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferrule
optical connector
molded body
guide hole
chamfered portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002135833A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichiro Otsuka
健一郎 大塚
Toshifumi Hosoya
俊史 細谷
Hiroshi Hayami
宏 早味
Yoshito Sakamoto
義人 阪本
Shinya Nishikawa
信也 西川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2002135833A priority Critical patent/JP2003329884A/ja
Publication of JP2003329884A publication Critical patent/JP2003329884A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Mechanical Coupling Of Light Guides (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガイド孔における面取部を容易に形成でき、
その作業時間を十分短縮できる光コネクタ用フェルール
の製造方法及びフェルールを提供することを目的とす
る。 【解決手段】 本発明は、光ファイバが挿入固定される
収容孔7、ピン12が挿入されるガイド孔11が接合端
面6から内部に延び、ガイド孔11の接合端面6側に面
取部13が形成されるフェルール3Aの製造方法におい
て、電離放射線で架橋構造を形成し得る成分を含む樹脂
組成物からなり端面6、ガイド孔11及び収容孔7を有
するフェルール成形体15を溶融成形し、切削加工でガ
イド孔11に面取部13を形成し、フェルール成形体1
5に電離放射線を照射してフェルール成形体15に架橋
構造を形成しフェルール3Aを得る。この場合、切削加
工が容易となり、加工時間が十分短縮される。また電離
放射線による架橋構造は常温で形成でき、熱収縮に伴う
歪み等の残留を十分抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光コネクタの構成
部品の一つであり、光ファイバの端部を位置決め固定す
る光コネクタ用フェルール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバの端部同士を接続する手段と
して、MTコネクタやMPOコネクタなどの光コネクタ
が一般に知られている。光コネクタは、光ファイバの端
部を位置決め固定した一対のフェルールを相互に接合す
ることにより光ファイバの端部を光学的に接続するもの
である。
【0003】フェルールは一般に、光ファイバの端部を
収容する光ファイバ収容孔と、ガイドピンを挿入するた
めのガイド孔を有し、これら光ファイバ収容孔及びガイ
ド孔は、他のフェルールと接合される接合端面から内部
に延びている。そして、フェルール同士を接合して光コ
ネクタを構成する場合、フェルール同士の接続状態を維
持するために、一対のガイドピンがガイド孔に挿入され
るのが一般的である。
【0004】このとき、接合端面においてガイド孔の開
口径が小さいため、挿入時にフェルールのガイド孔周辺
部が欠損することがある。そこで、ガイド孔周辺部の欠
損防止のために、フェルールにおいて、ガイド孔の接合
端面側にテーパ部が形成されることがあり、このテーパ
部により、ガイドピンがガイド孔に容易に挿入されるよ
うになる(例えば特開平9−68627号公報)。ここ
で、同公報に記載のフェルールは、熱硬化性エポキシ樹
脂にシリカの粉末を充填した成形用樹脂を硬化させるこ
とにより形成されており、テーパ部は、成形用樹脂の硬
化後に研削加工によって形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の公報に記載のフェルールの製造方法は、以下に
示す課題を有していた。
【0006】すなわち上記従来の公報に記載の製造方法
は、熱硬化性エポキシ樹脂にシリカの粉末を充填した成
形用樹脂を硬化させた後にテーパ部を形成している。す
なわちフェルールが極めて硬くなった状態でテーパ部が
形成されている。このため、研削作業が困難となり、加
工時間が長くなり、ひいてはフェルールの量産性が確保
できないという問題があった。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、ガイド孔における面取部を容易に形成でき、そ
の作業時間を十分に短縮できる光コネクタ用フェルール
の製造方法及び光コネクタ用フェルールを提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る光コネクタ用フェルールの製造方法
は、光ファイバが挿入固定される1つ又は複数の光ファ
イバ収容孔と、ガイドピンが挿入される一対のガイド孔
とが接合端面から内部に延在し、前記一対のガイド孔の
それぞれの前記接合端面側に、回転体の一部に相当する
面取部が形成されている光コネクタ用フェルールの製造
方法において、電離放射線によって架橋構造を形成し得
る成分を含む樹脂組成物からなり且つ前記接合端面、前
記ガイド孔及び前記光ファイバ収容孔を有するフェルー
ル成形体を溶融成形する成形工程と、切削、研削又は研
磨加工により、ガイド孔の前記接合端面側に前記面取部
を形成する面取部形成工程と、前記フェルール成形体に
電離放射線を照射し、前記成分により前記フェルール成
形体中に架橋構造を形成して前記光コネクタ用フェルー
ルを得る架橋工程とを含むことを特徴とする。
【0009】この製造方法によれば、切削、研削又は研
磨加工時に、上記成分により架橋構造が十分には形成さ
れておらず、フェルール成形体の機械的強度は、この段
階ではフェルールよりもかなり小さい。このため、切
削、研削又は研磨加工作業が容易となり、加工時間が十
分に短縮される。また加工後は、フェルール成形体に電
離放射線を照射して成分により架橋構造を形成するた
め、フェルールの機械的強度は、フェルール成形体より
も十分に大きくなる。このため、得られるフェルール
は、繰り返し着脱に対して十分な耐久性を有する。更に
電離放射線の照射によって常温でフェルール成形体を架
橋できるため、熱収縮に伴う歪みの発生等が十分に抑制
され、得られるフェルールの寸法精度を向上させること
が可能となる。
【0010】また本発明に係る光コネクタ用フェルール
の製造方法は、光ファイバが挿入固定される1つ又は複
数の光ファイバ収容孔と、ガイドピンが挿入される一対
のガイド孔とが接合端面から内部に延在し、前記一対の
ガイド孔のそれぞれの前記接合端面側に、回転体の一部
に相当する面取部が形成されている光コネクタ用フェル
ールの製造方法において、架橋構造を形成し得る成分を
含む樹脂組成物からなり且つ前記接合端面、前記ガイド
孔及び前記光ファイバ収容孔を有するフェルール成形体
の20℃における曲げ弾性率が、1〜10GPaの範囲
内となるように前記フェルール成形体を溶融成形する成
形工程と、切削、研削又は研磨加工により、前記ガイド
孔の前記接合端面側に前記面取部を形成する面取部形成
工程と、前記成分により前記フェルール成形体中に架橋
構造を形成して前記光コネクタ用フェルールを得る架橋
工程とを含むことを特徴とする。
【0011】この製造方法によれば、切削、研削又は研
磨加工時に、フェルール成形体の曲げ弾性率が小さく、
比較的柔らかい状態となっている。このため、切削、研
削又は研磨加工が容易となり、加工時間が十分に短縮さ
れる。また加工後は、フェルール成形体に成分により架
橋構造が形成されるため、フェルールの機械的強度は、
フェルール成形体よりも十分に大きくなる。このため、
得られるフェルールは、繰り返し着脱に対して十分な耐
久性を有する。
【0012】上記製造方法においては、前記架橋工程に
おいて、前記光コネクタ用フェルールの曲げ弾性率が、
10GPa以上であって、前記フェルール成形体の曲げ
弾性率の1.5倍以上となるように架橋構造を形成する
ことが好ましい。
【0013】この場合、繰り返し着脱に対して十分な耐
久性を有するフェルールが得られる。
【0014】更に上記成形工程において、前記成分が、
電離放射線の照射によって架橋構造を形成し得る成分で
あり、前記架橋工程において、前記フェルール成形体に
電離放射線を照射して前記フェルール成形体中に架橋構
造を形成し、前記光コネクタフェルールを得ることが好
ましい。
【0015】この場合、熱によって架橋構造を形成する
場合に比べ架橋にかかる時間が著しく短縮される。また
熱によって架橋構造を形成する場合における熱収縮に伴
う歪みの発生等が十分に抑制されるため、フェルールの
寸法精度を向上させることが可能となる。
【0016】また上記成形工程において、前記成分が、
分子内に非共役炭素間二重結合を有するポリエステル樹
脂、及び分子内に複数個の非共役炭素間二重結合を有す
る多官能性モノマー又は多官能性オリゴマーから構成さ
れ、前記樹脂組成物が充填剤を55〜90体積%含有す
ることが好ましい。
【0017】この場合、フェルール成形体に電離放射線
を照射すると、ポリエステル樹脂における炭素間二重結
合の部分に多官能性モノマー又は多官能性オリゴマーの
官能基が結合してポリエステル樹脂の分子鎖間に架橋構
造が形成されるため、得られるフェルールの機械的強度
をより向上させることが可能となる。また樹脂組成物が
上記含有量の充填剤を含有するため、成形時には樹脂組
成物の流動性が良好となり、フェルール成形体の架橋後
は、収縮を十分に抑止することができる。
【0018】また本発明の光コネクタ用フェルールは、
上記製造方法により製造されるものである。
【0019】このフェルールによれば、フェルールに架
橋構造が形成されており、その機械的強度が十分に大き
いため、繰り返し着脱に対して十分な耐久性を有するこ
ととなる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る光コネクタ用
フェルールの実施形態について、図面を参照しつつ説明
する。
【0021】まず本発明の光コネクタフェルールの第1
実施形態について説明する。図1は、本実施形態の光コ
ネクタ用フェルールを用いた光コネクタとしてのMPO
コネクタの外観を示す斜視図である。図1に示すよう
に、MPOコネクタは、光コネクタプラグ1A,光コネ
クタプラグ1Bを有しており、光コネクタプラグ1A
は、ガイドピンの無いコネクタプラグとして構成され、
光コネクタプラグ1Bは、ガイドピン12をもったコネ
クタプラグとして構成されている。このような光コネク
タプラグ1A,1Bは、アダプタ2を介して着脱自在に
接続されている。
【0022】光コネクタプラグ1Aは、フェルール3A
を有し、このフェルール3Aには、単心の光ファイバ心
線または多心(ここでは8心)の光ファイバテープ心線
4Aが組み付けられている。光コネクタプラグ1Bは、
フェルール3Bを有し、このフェルール3Bには、光フ
ァイバテープ心線4Aと同じ心数を有する光ファイバテ
ープ心線4Bが組み付けられている。これらのフェルー
ル3A,3Bは、ハウジング5A,5Bにそれぞれ収容
されている。
【0023】ここで、フェルール3Aについて、図2〜
図6を用いて詳細に説明する。なお、フェルール3B
は、フェルール3Aと同一構成であるため、その説明は
ここでは省略する。
【0024】図2に示すように、フェルール3Aは、相
手側の光コネクタプラグ1Bと接合される接合端面6か
ら内部に向かって延びる8本の光ファイバ収容孔7を有
している。図3に示すように、この光ファイバ収容孔7
には、光ファイバ導入溝8を介してテープ心線収納穴部
9が連通している。そして、テープ心線4Aの先端から
被覆を除去することにより露出された8本の光ファイバ
がそれぞれ光ファイバ収容孔7に挿入され、テープ心線
収納穴部9にテープ心線4Aが挿入される。
【0025】図4に示すように、光ファイバは、フェル
ール3Aの上面に形成された開口部10より注入される
接着剤によりフェルール3Aに固定される。またフェル
ール3Aの接合端面6は光ファイバ収容孔7の中心軸線
に直角な平面に対して8度の傾斜角度(図5中の符号
α)をなしている(ただし、図5には光ファイバを示し
ていない)。ここで、光ファイバの先端も同様に8度の
傾斜角度をなしている。これにより、MPOコネクタに
おいて、フレネル反射等による反射戻り光の影響が低減
される。
【0026】また図5に示すように、光ファイバ収容孔
7の両側には、フェルール3Aの接合端面6から内部に
向かって光ファイバ収容孔7に対して平行に延びる1対
のガイド孔11が形成されており、各ガイド孔11に
は、光コネクタ1Bに設けられたガイドピン12が挿入
される。
【0027】図2、図5に示すように、このようなガイ
ド孔11の一部を形成するフェルール3A,3Bの接合
端面6側の開口縁部にはロート状の面取部13が形成さ
れており、ガイド孔11の開口が接合端面6側に広くな
っている。面取部13は、回転体の表面の一部に相当す
るような形態として形成されている。この面取部13
は、回転体である円錐の表面の一部に相当する形態を有
している。また、図5に示すように、ガイド孔11の中
心軸線P1と面取部13の中心軸線P2とは、平行であり
一致していない。このように、ガイド孔11の中心軸線
1に対して面取部13の中心軸線P2の位置をずらすこ
とによって、傾斜面として形成された接合端面6上にお
いて、面取部13が接合端面6からはみ出すことなく形
成されるようになる。即ち、図5におけるL1とL2の
寸法をほぼ等しくすることができる。仮に、上述した二
つの中心軸線P1,P2が一致するようであると、L2よ
りもL1の方が大きくなり、面取部13がL1側で接合
端面6からはみ出してしまうおそれがある。なお、面取
部13の中心軸線P2とは上述した回転体の回転軸線の
ことを言い、図5における二つの中心軸線P1,P2は、
何れも図5の紙面に沿って平行な一平面上にある。
【0028】ガイド孔11及び面取部13の周辺を図6
に示す。図6(a)はガイド孔11及び面取部13の中心
軸線方向P1,P2から接合端面6を見た図であり、図6
(b)はガイド孔11及び面取部13の両中心軸線P1,P
2を通る平面を切断面とする断面図である。なお、この
図においては、L1=L2とされており、かつ、理解を容
易にするために上述した傾斜角度αを多少強調して示し
てある。図6において、ガイド孔11の中心軸線P1
対する面取部13の中心軸線P2の偏心量はガイド孔1
1の半径以下とされており、これによってガイドピン1
2がガイド孔11に対して円滑に案内される。
【0029】このように面取りをすることで、ガイド孔
11の端部欠損に起因するPC接続不良防止や光ファイ
バ端部の損傷防止、ガイド孔端部が接合端面6側に盛り
上がるように変形することによるPC接続不良防止、挿
入性の向上などの効果を十分に得ることができる。
【0030】なお、接合端面6を一対のガイド孔11の
中心軸線P1に直角な平面に対して8度の角度を持つよ
うに形成した場合、各面取部13の接合端面6上の開口
径(図5中のD)は、ガイド孔11の内径(図5中の
d)の1.05〜2.0倍の範囲内とされることが好ま
しい。1.05倍未満であると、ほとんど面取部13が
形成されないこととなるため、面取部13を形成させる
ことの効果が得られなくなる傾向がある。一方、2.0
倍を超えるようであると、面取部13の開口径が大きく
なりすぎるため実用的でなくなる傾向がある。また、面
取部13の傾斜が充分でなくなるため、ガイドピン12
の先端をガイド孔11に案内する効果も弱くなる傾向が
ある。なお、ここに言う開口径とは、接合端面6上の平
面における最大径である。接合端面6上においては、面
取部13の開口形状は、正円とならずに楕円や楕円に近
い形状となる場合が多いが、このような場合も考慮し
て、開口径は最大径とする。
【0031】またフェルール3A,3Bは、ポリエステ
ル樹脂、多官能性モノマー又は多官能性オリゴマーに由
来する架橋構造を有し、無機充填剤を55〜90体積%
含有している。更に、フェルール3A、3Bの20℃に
おける曲げ弾性率は、10GPa以上であり、好ましく
は15GPa以上である。
【0032】このため、アダプタ2に対する光コネクタ
プラグ1A,1Bの装着・脱着を多数回繰り返しても、
フェルール3A,3Bにおけるガイド孔11の周辺部の
欠損が十分に防止され、接続損失の増大を十分に防止す
ることができる。なお、上記ポリエステル樹脂、多官能
性モノマー又は多官能性オリゴマー、無機充填剤につい
ての説明は後述する。
【0033】次に、前述したフェルール3A、3Bの製
造方法について説明する。なお、フェルール3A及びフ
ェルール3Bは同一構成を有し、その製造方法も同一で
あるため、ここではフェルール3Aの製造方法のみにつ
いて説明する。
【0034】まずフェルール3Aを構成する樹脂組成物
を用意する。樹脂組成物としては、電離放射線の照射に
よって架橋構造を形成し得る成分及び無機充填剤を含む
ものを用いる。
【0035】上記成分は、電離放射線の照射によって架
橋し得るものであればよく、このような成分は、分子内
に非共役炭素間二重結合を有するポリエステル樹脂、及
び分子内に複数個の非共役炭素間二重結合を有する多官
能性モノマー又は多官能性オリゴマーから構成される。
この場合、電離放射線の照射によって、ポリエステル樹
脂の非共役炭素間二重結合と多官能性モノマー又は多官
能性オリゴマーの官能基とが結合し、多くの架橋構造が
形成されるようになる。このため、多官能性モノマーや
多官能性オリゴマーが無い場合に比べてフェルール3A
の機械的強度を十分に大きくすることができ、繰り返し
着脱に対してフェルール3Aに十分な耐久性を与えるこ
とができる。
【0036】上記ポリエステル樹脂としては、ジオール
と、不飽和ジカルボン酸又はその酸無水物との重縮合物
が挙げられる。このポリエステル樹脂は、エステル交換
法や直接重合法などの公知の方法によって製造すること
ができる。
【0037】上記ジオールとしては、例えばエチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−へキサンジオール、シクロヘキサンジメ
タノール、ビスフェノールA、ビスフェノールA−エチ
レンオキサイド付加物、ビスフェノールA−プロピレン
オキサイド付加物等を挙げることができる。
【0038】上記不飽和ジカルボン酸としては、例えば
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸や、フマル酸、イタコン酸
等を挙げることができ、上記不飽和ジカルボン酸の酸無
水物としては、例えば無水マレイン酸を挙げることがで
きる。
【0039】ポリエステル樹脂中の不飽和ジカルボン酸
又はその無水物のモル比は、電離放射線の照射による架
橋特性や架橋物のガラス転移温度等の観点から、好まし
くは10〜50モル%、より好ましくは10〜30モル
%である。またポリエステル樹脂の重量平均分子量は、
好ましくは50000〜200000であり、より好ま
しくは80000〜150000である。
【0040】また上記多官能性モノマーとしては、例え
ばエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタ
ンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、トリアリルイソシアヌレート等が用いられ、
上記多官能性オリゴマーとしては、例えばポリエステル
アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリ
レート等が用いられる。多官能性オリゴマーの分子量は
通常、500〜1000である。
【0041】上記ポリエステル樹脂及び上記多官能性モ
ノマー又は上記多官能性オリゴマーの総量中における上
記多官能性モノマー又は多官能性オリゴマーの含有率
は、好ましくは10〜50重量%であり、より好ましく
は20〜40重量%である。含有率が10重量%未満で
は、電離放射線の照射による架橋が十分になされない傾
向があり、50重量%を超えると、フェルール3Aの曲
げ強度や曲げ弾性率が低下する傾向がある。
【0042】また上記樹脂組成物中に含まれる充填剤
は、無機充填剤を含んでおり、この無機充填剤として
は、例えば溶融シリカ、合成シリカ、合成アルミナ、ク
レー、タルク、マイカ、亜鉛華、窒化アルミニウム、炭
化ケイ素、ウィスカ等の無機材料を用いることができ
る。無機充填剤の形状は、真球状、粒状、粉状、ウィス
カ状、針状、テトラポット状など、任意の形状でよい。
粒径は、中心粒径がサブミクロン〜数十ミクロンの範囲
のものを使用することができる。無機充填剤としては、
熱膨張係数の観点から、真球状のシリカや合成シリカの
破砕物が好ましい。
【0043】樹脂組成物中の充填剤の含有率は、好まし
くは55〜90体積%であり、より好ましくは60〜9
0体積%である。含有率が55体積%未満では、後述す
るフェルール成形体の収縮率が大きすぎて精密成形がで
きず、またフェルール3Aの強度が小さくなり、MPO
コネクタにおける伝送特性等が安定しなくなる傾向があ
る。一方、含有率が90体積%を超えると、樹脂組成物
の成形時の流動性が低下し、フェルール3Aの量産性が
低下する傾向がある。
【0044】なお、無機充填剤として、溶融シリカとウ
ィスカの混合物を用いる場合、樹脂組成物中の溶融シリ
カの含有率は60〜80重量%、ウィスカの含有率は1
5重量%以下であって、これらの合計含有率は、80重
量%以下であることが好ましい。
【0045】上記充填剤は、無機充填剤を表面処理した
ものであってもよく、無機充填剤は、例えばシランカッ
プリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウ
ム系カップリング剤により表面処理することができる。
無機充填剤としてシリカやアルミナを用いる場合は、シ
ランカップリング剤による処理が有効であり、シランカ
ップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラ
ン等のビニルシラン、γ,γ’−ジアリルアミノプロピ
ルトリメトキシシラン等のアリル系シラン、γ−アクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン等のアクリル系シランが
挙げられる。
【0046】無機充填剤の表面処理方法としては、
(1)上記ポリエステル樹脂や多官能性モノマー等に無
機充填剤を溶融混練する際に、上記カップリング剤を添
加するインテグラルブレンド法、(2)ニートのシラン
カップリング剤、又はシランカップリング剤を有機溶剤
で希釈した溶液を、室温又は高温下で無機充填剤にスプ
レイ塗布するスプレイ法、(3)シランカップリング剤
を0.1M濃度程度の酢酸水溶液中に添加し、この中に
無機充填剤を添加してスラリー状とし、室温〜60℃程
度の温度で数時間攪拌後、これをろ過して無機充填剤を
捕集し、100〜120℃の恒温槽内で攪拌、乾燥する
湿式法、が挙げられる。これらのうち、無機充填剤をシ
ランカップリング剤で均一且つ確実に表面処理する観点
からは、(3)の湿式法が最も好ましい。
【0047】なお、樹脂組成物は、上記ポリエステル樹
脂、多官能性モノマー又は多官能性オリゴマー及び無機
充填剤のほか、必要に応じて、酸化防止剤等を含有して
もよい。
【0048】次に、こうして用意した樹脂組成物を溶融
成形し、図7(a)に示すフェルール成形体15を作製
する(成形工程)。溶融成形には、射出成形法、トラン
スファー成形法、圧縮成形法等の既知の成形法を用いる
ことができる。このとき、一対の金型を用意し、金型に
光ファイバ収容孔7の数に応じてピンを平行に並べ、更
にその両側にガイド孔を形成するためのピンを並べる。
この状態で、樹脂組成物を注入して溶融成形する。溶融
成形が終了したら、金型から成形品を取り出し、ピンを
抜き取る。これにより、光ファイバ収容孔7及びガイド
孔11を有するフェルール成形体15を得ることができ
る。ここで、樹脂組成物は、フェルール成形体15の2
0℃における曲げ弾性率が1〜10GPaの範囲内とな
るように溶融成形する。フェルール成形体15の曲げ弾
性率が1GPa未満では、後述するドリル加工時にフェ
ルール成形体15が変形を起こし、曲げ弾性率が10G
Paを超えると、後述するドリル加工時に、ドリルの刃
の摩耗が激しくなる傾向がある。フェルール成形体15
の曲げ弾性率が上記範囲内になるようにするためには、
例えば樹脂組成物の射出成形によりフェルール成形体1
5を作製する場合は次の条件でフェルール成形体15を
作製すればよい。すなわち、樹脂温度は通常、180〜
220℃、保圧は通常、10〜50MPa、保圧時間は
通常、1〜10秒とすればよい。
【0049】次に、フェルール成形体15にドリル加工
を施すことにより、ガイド孔11に対して面取部13を
形成する(面取部形成工程)。ドリル加工に際しては、
図7(b)に示すように、先端部が円錐形状をしたドリ
ル20を使用する。ドリル20を使用する理由は、以下
の通りである。すなわち、刃先の形状を変更するだけ
で、面取部13の形状を容易に変えることができ、極め
て汎用性が高くなる。更に、成形時に予め面取部13を
形成する場合に比して、面取部13の加工精度を高める
ことができ、面取部13の加工位置の変更の自由度が高
くなる。
【0050】このとき、フェルール成形体15において
は、樹脂組成物中の上記成分は、熱によって一部架橋し
ているものの、架橋の度合いが十分ではない。従って、
フェルール成形体15の機械的強度は、フェルール成形
体15が完全に架橋された後に比べると、十分に低いも
のである。このため、ドリル加工作業が極めて容易とな
り、加工時間を十分に短くすることができ、ひいてはフ
ェルール3Aの生産性を向上させることができる。また
ドリル20の素材として、ダイアモンド等の超硬素材を
用いなくても、ドリル20の刃の摩耗を十分に低減する
ことができ、ドリル20の交換頻度を極めて減少させる
ことができる。
【0051】ドリル20の刃先角度γは、ドリル加工を
予定した面取部13の開き角度に対応しており、刃先角
度γを90〜150度の範囲内にすることで、ドリル2
0を利用した切削加工時の安定性が増し、良好な面取部
13が形成されることが実験により確かめられている。
【0052】次に、図7(c)に示すように、フェルー
ル成形体15に電離放射線を照射し、上記成分によりフ
ェルール成形体15中に架橋構造を形成して図7(d)
に示すフェルール3Aを得る(架橋工程)。電離放射線
の照射により、多官能性モノマー又は多官能性オリゴマ
ーの官能基とポリエステル樹脂の炭素間二重結合とが結
合し、十分な架橋構造を形成する。このため、フェルー
ル3Aの機械的強度が十分に向上し、繰り返し着脱に対
して十分な耐久性を有するようになる。
【0053】ここで、電離放射線の照射は、フェルール
3Aの曲げ弾性率が、10GPa以上であって、フェル
ール成形体15の曲げ弾性率の1.5倍以上となるよう
に架橋構造を構成することが好ましい。フェルール3A
の曲げ弾性率が10GPa未満では、フェルール3Aに
おけるガイド孔11の周辺部が欠損し、少ない着脱回数
で接続損失が増大する傾向がある。またフェルール3A
の曲げ弾性率がフェルール成形体15の曲げ弾性率の
1.5倍未満では、成形体状態で十分架橋が進んでいる
ことになり、電離放射線の照射の効果が得られなくなる
傾向がある。なお、フェルール3Aの曲げ弾性率は、好
ましくは50GPa以下であり、フェルール成形体15
の曲げ弾性率に対するフェルール3Aの曲げ弾性率の比
率は、好ましくは50以下である。
【0054】ここで、電離放射線としては、γ線、電子
線、X線などが用いられる。これらのうち電子線が好ま
しい。電子線を用いる場合、処理速度が速くなり、秒単
位のサイクルで架橋処理を行うことが可能となる。加速
電圧は、フェルール成形体15を透過する電圧であれば
よく、通常は0.1〜10MeVである。なお、γ線を
用いる場合は、線量率が加速電子線に比べて低いため、
架橋処理には時間を要する。しかし、透過距離が大きい
ため、例えばフェルール成形体を箱詰めにして一括して
γ線を照射すれば、フェルール成形体1個あたりの架橋
処理時間を加速電子線と同等とすることができる。
【0055】電離放射線の照射線量は、加速電子線及び
γ線のいずれの場合も好ましくは50〜800kGyで
あり、より好ましくは50〜500kGyである。照射
線量が50kGy未満では、架橋が不十分となる傾向が
あり、800kGyを超えると、フェルール3Aの機械
的強度が却って低下する傾向がある。
【0056】上記のように電離放射線を用いてフェルー
ル成形体15中に架橋構造を形成する場合、その架橋プ
ロセスは常温で行うことができ、加熱条件下に行うもの
はないため、加熱に伴うフェルール成形体15の収縮や
歪みの残留が極めて少なくなり、フェルール3Aの寸法
精度をより高くすることができる。
【0057】最後に、テープ心線4Aの先端から被覆を
除去し、光ファイバを露出させる。そして、フェルール
3Aの後端部から光ファイバを光ファイバ収容孔7に挿
入し、被覆を除去していないテープ心線4Aの部分をテ
ープ心線収納穴部9に挿入する。次いで、フェルール3
Aの開口部10より接着剤を充填し、光ファイバ収容孔
7に光ファイバを固定する。続いて、このフェルール3
Aに対して、図7(d)に示すように、光ファイバ収容
孔7に直交する平面に対して接合端面がα=8°の傾斜
角度をなすように接合端面6を斜め研磨する。このと
き、光ファイバの先端も同様に8度の傾斜角度をなすよ
うに研磨する。これにより、MPOコネクタにおいて、
フレネル反射等による反射戻り光の影響が低減される。
【0058】なお、フェルール成形体15の成形によ
り、その接合端面6が予め光ファイバ収容孔7の中心軸
線P1に直交する平面に対して8°の傾斜角度をなすよ
うにし、光ファイバを光ファイバ収容孔7の端部から突
出させて固定し、光ファイバの先端面を光ファイバ収容
孔7の中心軸線に対して直角となるように研磨するよう
にしてもよい。研磨後に、光ファイバの先端が僅かに接
合端面6から突出するようにすれば、いわゆるPC(Phy
sical Contact)接続を行って接続損失を低減することが
できる。なお、研磨時に、接合端面の一部が光ファイバ
収容孔7の中心軸線に対して直角となるように研磨され
ても構わない。
【0059】次に、本発明の光コネクタ用フェルールの
第2実施形態について説明する。本実施形態の図6相当
図を図8に示す。本実施形態のフェルール3Cは、上述
した第一実施形態のフェルール3A(3B)と面取部の
形成形態のみが異なる。
【0060】図8には、ガイドピン12を有しない側の
フェルール3Cが示されている。上述した第1実施形態
と同様に、ガイドピン12を有するタイプのフェルール
と共に使用されるが、ガイドピン12を有するフェルー
ルについても、ガイドピン12の有無以外に違いはない
ので詳しい説明を省略する。
【0061】本実施形態においては、面取部13の中心
軸P2が、ガイド孔11の中心軸P1に対して角度γを有
するように面取部13が形成されている。これは、一対
のガイド孔11の双方について同様である。このよう
に、面取部13の中心軸P2とガイド孔11の中心軸P1
との間に角度γを設けることによっても、上述した第1
実施形態と同様に、接合端面6上において、面取部13
を接合端面6からはみ出させることなく形成することが
容易となる。即ち、図8におけるL1とL2の寸法をほぼ
等しくすることができる。
【0062】二つの中心軸に角度を持たせることで、面
取部13を接合端面6からはみ出させることなく形成す
ることができ、面取部13を形成することによる効果を
充分に得ることができる。面取部13を形成することに
よる効果とは、ガイド孔11の端部欠損に起因するPC接
続不良防止や光ファイバ端部の損傷防止、ガイド孔端部
が接合端面6側に盛り上がるように変形することによる
PC接続不良防止、挿入性の向上などの効果である。
【0063】ここで、上述した角度γは、上述した角度
α以下とされることが好ましく、角度αと等しいことが
特に好ましい。本実施形態においては、γ=αとされて
いる。ガイドピン12は面取部13によってガイド孔1
1に案内されるが、その際の案内方向は面取部13の中
心軸P2方向である。このため、面取部13によって案
内される方向となる中心軸P2方向と、ガイドピン12
の最終的な挿入方向となるガイド孔11の中心軸P1
向との間に大きな角度があると、ガイドピンがこじられ
やすくなり、ガイドピン12の円滑な挿入が行い難くな
る傾向がある。
【0064】さらに、面取部13の形成を考えると、面
取部13は接合端面6に対してその中心軸P2が直角と
なる(即ち、上述した角度γが角度αと等しくなる)よ
うにすることが、製造上最も都合がよい。
【0065】特に、面取部13をドリルなどで製造する
場合は、研削面となる接合端面6に対して面取部13の
中心軸P2が直角となっていると、研削中心位置を正確
に決められるのでよい。また、研削時にもドリルが安定
するので好ましい。なお、角度γを角度αと等しくでき
ない場合であっても、できるだけ近い値となる方がよ
い。上述したことをバランスよく両立させるには、上述
した角度γは角度α以下とされることが好ましく、角度
αと等しいことが特に好ましい。
【0066】また、面取部13の中心軸P2と接合端面
6との交点(面取部13によって研削されている部分に
おける接合端面6の延長面上を含む:図8におけるQ
点)は、ガイド孔11を延長したときにその内部に位置
することが好ましい。このようにすることで、図8中の
1とL2との寸法を、ほぼ等しくすることができる。特
に、上述したQ点をガイド孔11の中心軸P1上に位置
するようにすれば、L1=L2とすることができるので特
に好ましい。
【0067】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。例えばフェルール3Aの製造過程で、
面取部13がドリル加工によって形成されているが、ド
リル加工に限らず、ドリル加工以外の切削加工、研削加
工又は研磨加工によって形成されてもよい。
【0068】また上記実施形態では、成形、面取部形
成、電子線照射、光ファイバ固定、研磨の順序で加工を
行ったが、光ファイバ固定と研磨の工程は、成形と面取
部形成の間、若しくは面取部形成と電子線照射の間に行
っても構わない。電子線照射の前に研磨工程を入れると
曲げ弾性率が小さいために研磨の作業性が良好になると
いう利点がある。しかしながら、通常の石英コア光ファ
イバは電子線の照射によって内部欠陥が増大し損失増を
起こす場合があるので、研磨後に電子線照射を行う場合
は加速電圧を300keV以下にする必要がある。
【0069】また上記フェルール3Aの製造過程で、電
離放射線の照射によって架橋構造を形成し得る成分が用
いられているが、この成分に代えて、熱によって架橋構
造を形成するもの、即ち熱硬化性樹脂が用いられてもよ
い。この場合、樹脂組成物は、多官能性モノマー又は多
官能性オリゴマーに代えてジクミルパーオキサイドなど
の架橋剤を含有する。この場合も、樹脂組成物は、フェ
ルール成形体15の20℃における曲げ弾性率が1〜1
0GPaの範囲内となるように溶融成形する。この状態
では、熱硬化性樹脂が完全に架橋していないため、ガイ
ド孔11の接合端面6側に面取部13を形成すれば、切
削、研削又は研磨加工を容易に行うことができ、加工時
間を十分に短縮することができ、ひいてはフェルール3
Aの量産性を上げることができる。このような熱硬化性
樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、上記のポリエステ
ル樹脂などが挙げられる。
【0070】更に、上記実施形態の光コネクタはMPO
コネクタであるが、本発明の光コネクタ用フェルール
は、特にこれには限定されず、MTコネクタ等の他の種
類の光コネクタに適用することも可能である。
【0071】以下、本発明の内容を、実施例を用いてよ
り具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定
されるものではない。
【0072】
【実施例】(実施例1)
【0073】フェルールを以下のようにして作製した。
【0074】すなわち、まず2,6−ナフタレンジカル
ボン酸/フマル酸ジメチル/1,4−ブタンジオール=
30/20/50(モル比)のモノマー組成物をエステ
ル交換後に、減圧下で重縮合する方法により重合して共
重合ポリエステル樹脂を用意した。この共重合ポリエス
テル樹脂の重量平均分子量は115000であった。
【0075】次に、上記共重合ポリエステル樹脂のペレ
ットを80重量部、多官能性モノマーとしてのトリアリ
ルイソシアヌレートを20重量部、酸化防止剤としての
イルガノックス1010を1重量部用意し、2軸混合機
(45mmφ、L/D=32)を用いてバレル温度19
0℃、スクリュー回転数60rpmにて溶融混合し、吐
出ストランドを水槽で冷却し、ストランドカットしてポ
リエステル樹脂を主体とする樹脂組成物(ポリエステル
樹脂組成物)のペレットを得た。
【0076】このポリエステル樹脂組成物のペレット1
00重量部に対して、粒径0.5μmと5μmに2つの
極大値を有する真球状の溶融シリカをγ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシランで表面処理したものを4
00重量部(ポリエステル樹脂組成物中の真球状の溶融
シリカの体積分率は65%)添加し、これを2軸混合機
(45mmφ、L/D=32)を用いてバレル温度22
0℃、スクリュー回転数60rpmの条件で溶融混合し
た。そして、吐出ストランドを水槽で冷却し、ストラン
ドカットして、溶融シリカを充填したポリエステル樹脂
組成物のペレットを得た。
【0077】そして、型締め力30tの射出成形機によ
り、このペレットを用いて8心接続用のフェルール成形
体を得た。このとき、樹脂温度は220℃、保圧50M
Pa、保圧時間10秒とした。このとき、フェルール成
形体の20℃における曲げ弾性率を測定したところ、曲
げ弾性率は、4.2GPaであった。なお、曲げ弾性率
は、ASTM−D790に従って測定した。このとき、
測定温度は、23℃、スパン間距離は50mm、曲げ速
度2mm/minとした。
【0078】次に、刃先角度118°、直径6mmのド
リルをガイド孔に接触させてガイド孔の周辺部を切削加
工し、ガイド孔の接合端面側に面取部を形成した。
【0079】このとき、ガイド孔11の中心軸線P1
対してドリル20の中心軸線P3を平行にした状態で、
ドリル20の中心位置を、ガイド孔11の中心に加工し
た。
【0080】次に、フェルール成形体に加速電圧3Me
Vの電子線を300kGyだけ照射し、フェルールを得
た。
【0081】最後に、8個の光ファイバ収容孔にそれぞ
れ、光ファイバ心線の先端の被覆を除去して露出した光
ファイバを挿入し、開口部から接着剤を注入して硬化さ
せ、光ファイバを光ファイバ収容孔に固定した。その
後、フェルール成形体の接合端面を斜め研磨し、光ファ
イバ収容孔の中心軸線に直交する平面に対して8°の傾
斜角度をなすようにした。
【0082】このフェルールについて、上記と同様にし
て曲げ弾性率を測定したところ、曲げ弾性率は、22G
Paであった。
【0083】更に、上記と同様にして、フェルールをも
う一つ用意し、各フェルールをハウジングに収容して光
コネクタプラグを構成した。そして、これら光コネクタ
プラグをアダプタ2に差し込んで装着した後、脱着し、
これを繰り返すことにより、フェルールについての繰り
返し着脱による接続損失の変化を調べた。接続損失は、
以下のようにして調べた。
【0084】すなわちまず一方の光コネクタプラグに組
み付けたテープ状光ファイバ心線に、レーザダイオード
(安藤電気製、安定化光源AQ−4139)を用いて波
長1.3μmのレーザ光を導入し、他方のテープ状光フ
ァイバ心線から出射される光をパワーメータ(安藤電気
製、光パワーメータAQ−1135E)で検出し、レー
ザ光の強度とパワーメータで受光される光の強度の比か
ら接続損失を算出した。こうして着脱を500回繰り返
し、1回目の接続損失と500回目の接続損失を上記の
ようにして算出し、1回目の接続損失からの光損失変動
を算出した。その結果、光損失変動は0.3dB以下で
あり、500回着脱したにもかかわらず、接続損失はほ
とんど増大していないことが分かった。(比較例1)
【0085】実施例1で用いた共重合ポリエステル樹脂
100重量部に対し、実施例1で用いた表面処理溶融シ
リカ400重量部及びジクミルパーオキサイド2重量部
添加し、これを90℃に加熱したロールを用いて混合
し、得られるシート状の材料を冷却した後ペレタイザー
で粉砕し、溶融シリカを充填した熱硬化タイプのポリエ
ステル樹脂組成物のペレットを得た。
【0086】次に、実施例1で用いた射出成形機によ
り、このポリエステル樹脂組成物を用いて8心接続用の
フェルール成形体を作製した。このとき、樹脂温度は1
80℃、保圧50MPa、保圧時間30秒とした。その
後、フェルール成形体を170℃の恒温槽内で30分間
アフターキュアした。アフターキュア後のフェルール成
形体について、実施例1と同様にして曲げ弾性率を測定
したところ、曲げ弾性率は、8GPaであった。その
後、実施例1と同様にして、ドリルをガイド孔に接触さ
せ、ガイド孔の接合端面側に面取部13を形成した。次
に、8個の光ファイバ収容孔にそれぞれ、光ファイバ心
線の先端の被覆を除去して露出した光ファイバを挿入
し、開口部から接着剤を流し込んで硬化させ、光ファイ
バを光ファイバ収容孔に固定した。その後、フェルール
成形体の接合端面を斜め研磨し、光ファイバ収容孔の中
心軸線に直交する平面に対して8°の傾斜角度をなすよ
うにした。
【0087】こうして得られたフェルールについて、実
施例1と同様にして曲げ弾性率を測定したところ、曲げ
弾性率は、8GPaであった。
【0088】更に、実施例1と同様にして繰り返し着脱
による接続損失の変化を調べた。その結果、接続損失の
変動は0.5dB以上であり、500回の着脱により、
接続損失がかなり増大してしまうことが分かった。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように本発明による光コネ
クタ用フェルールの製造方法によれば、切削、研削又は
研磨加工によりガイド孔に面取部を形成した後、フェル
ール成形体に十分に架橋構造を形成するため、ガイド孔
における面取部の形成作業を容易に行うことができ、そ
の作業時間を十分に短縮でき、ひいてはフェルールの量
産性を向上させることができる。
【0090】また本発明の光コネクタ用フェルールによ
れば、十分な架橋構造を有しているため十分な機械的強
度を有し、多数回の着脱を行っても接続損失の増大を十
分に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光コネクタ用フェルールを適用し
た光コネクタの外観を示す斜視図である。
【図2】図2に示すフェルールの接合端面側の正面図で
ある。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図1に示すガイドピン無し光コネクタプラグの
フェルールの平面図である。
【図5】図4のV-V線断面図である。
【図6】ガイド孔と面取部との関係を示しており、(a)
はガイド孔と面取部の中心軸線方向から接合端面をみた
図であり、(b)はガイド孔と面取部の両中心軸線を通る
平面を切断面とする断面図である。
【図7】本発明の光コネクタ用フェルールの製造方法の
一連の工程を示す図である。
【図8】本発明に係る光コネクタ用フェルールの第2実
施形態の図6相当図である。
【符号の説明】 1A,1B…光コネクタプラグ、3A,3B…フェルー
ル、4A,4B…光ファイバテープ心線、6…接合端
面、7…光ファイバ収容孔、11…ガイド孔、12…ガ
イドピン、13…面取部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早味 宏 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 阪本 義人 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 西川 信也 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 Fターム(参考) 2H036 JA01 QA18 QA20 QA49 4J027 AB02 AB07 AB08 AB10 AB15 AB16 AB18 AB23 AB25 AE01 AE07 BA13 BA19 BA20 BA24 BA26 BA29 CA14 CA18 CA19 CC03 CC06 CC08 CD01 CD03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバが挿入固定される1つ又は複
    数の光ファイバ収容孔と、ガイドピンが挿入される一対
    のガイド孔とが接合端面から内部に延在し、前記一対の
    ガイド孔のそれぞれの前記接合端面側に、回転体の一部
    に相当する面取部が形成されている光コネクタ用フェル
    ールの製造方法において、 電離放射線の照射によって架橋構造を形成し得る成分を
    含む樹脂組成物からなり且つ前記接合端面、前記ガイド
    孔及び前記光ファイバ収容孔を有するフェルール成形体
    を溶融成形する成形工程と、 切削、研削又は研磨加工により、前記ガイド孔の前記接
    合端面側に前記面取部を形成する面取部形成工程と、 前記フェルール成形体に電離放射線を照射し、前記成分
    により前記フェルール成形体中に架橋構造を形成して前
    記光コネクタ用フェルールを得る架橋工程と、を含むこ
    とを特徴とする光コネクタ用フェルールの製造方法。
  2. 【請求項2】 光ファイバが挿入固定される1つ又は複
    数の光ファイバ収容孔と、ガイドピンが挿入される一対
    のガイド孔とが接合端面から内部に延在し、前記一対の
    ガイド孔のそれぞれの前記接合端面側に、回転体の一部
    に相当する面取部が形成されている光コネクタ用フェル
    ールの製造方法において、 架橋構造を形成し得る成分を含む樹脂組成物からなり且
    つ前記接合端面、前記ガイド孔及び前記光ファイバ収容
    孔を有するフェルール成形体の20℃における曲げ弾性
    率が1〜10GPaの範囲内となるように前記フェルー
    ル成形体を溶融成形する成形工程と、 切削、研削又は研磨加工により、前記ガイド孔の前記接
    合端面側に前記面取部を形成する面取部形成工程と、 前記成分により前記フェルール成形体中に架橋構造を形
    成して前記光コネクタ用フェルールを得る架橋工程と、
    を含むことを特徴とする光コネクタ用フェルールの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記架橋工程において、前記光コネクタ
    用フェルールの曲げ弾性率が、10GPa以上であっ
    て、前記フェルール成形体の曲げ弾性率の1.5倍以上
    となるように架橋構造を構成することを特徴とする請求
    項1又は2に記載の光コネクタ用フェルールの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記成形工程において、前記成分が、電
    離放射線の照射によって架橋構造を形成し得る成分であ
    り、前記架橋工程において、前記フェルール成形体に電
    離放射線を照射して前記フェルール成形体中に架橋構造
    を形成し、前記光コネクタフェルールを得ることを特徴
    とする請求項2又は3に記載の光コネクタ用フェルール
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記成形工程において、前記成分が、分
    子内に炭素間二重結合を有するポリエステル樹脂、及び
    分子内に複数個の炭素間二重結合を有する多官能性モノ
    マー又は多官能性オリゴマーから構成され、前記樹脂組
    成物が充填剤を55〜90体積%含有することを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか一項に記載の光コネクタ用
    フェルールの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、4又は5のいずれか一項に記
    載の光コネクタ用フェルールの製造方法により製造され
    る光コネクタ用フェルール。
JP2002135833A 2002-05-10 2002-05-10 光コネクタ用フェルール及びその製造方法 Pending JP2003329884A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002135833A JP2003329884A (ja) 2002-05-10 2002-05-10 光コネクタ用フェルール及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002135833A JP2003329884A (ja) 2002-05-10 2002-05-10 光コネクタ用フェルール及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003329884A true JP2003329884A (ja) 2003-11-19

Family

ID=29698050

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002135833A Pending JP2003329884A (ja) 2002-05-10 2002-05-10 光コネクタ用フェルール及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003329884A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006282917A (ja) * 2005-04-01 2006-10-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 耐熱性ポリエステル樹脂成形品とその製造方法
JP2007163626A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Furukawa Electric Co Ltd:The 光コネクタ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006282917A (ja) * 2005-04-01 2006-10-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 耐熱性ポリエステル樹脂成形品とその製造方法
JP2007163626A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Furukawa Electric Co Ltd:The 光コネクタ
JP4593452B2 (ja) * 2005-12-12 2010-12-08 古河電気工業株式会社 光コネクタ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH09512647A (ja) 光ファイバー・フェルール
US20140199027A1 (en) Fiber optic connector
JPS61502496A (ja) 光ファイバ用コネクタおよびこのコネクタにより構成された成品
WO1994023321A1 (en) Terminal of optical fiber, method of its manufacture, and structure for connecting the terminal and optical device
JP2006528786A (ja) 光フェルール
JPH09222536A (ja) 多心光コネクタ
CA2864886A1 (en) Fiber optic connector, fiber optic connector and cable assembly, and methods for manufacturing
JPH11326704A (ja) 光ファイバ―アレイ及びその製造方法
US10610970B2 (en) Methods and systems to form optical surfaces on optical fibers
JP3433422B2 (ja) ガイド穴を有する光コネクタ用多心フェルール
WO1999053352A1 (fr) Piece de positionnement d'une fibre optique
JP2003329884A (ja) 光コネクタ用フェルール及びその製造方法
JPH06299072A (ja) 光ファイバ用コネクタフェルール
JP2001174666A (ja) 光フェルール
JP4123123B2 (ja) 光電気複合部品
KR20020032306A (ko) 파이버 어레이, 그 제조 방법 및 그러한 파이버 어레이를이용한 광 디바이스
JP3035839B2 (ja) 光コネクタ用接着剤の硬化方法
JPH10186175A (ja) 光コネクタフェルールおよびその成形用樹脂組成物
JPH09152522A (ja) 光ファイバ整列部品と光導波路基板との接続構造
JPWO2020149302A1 (ja) 光コネクタの製造方法
JP3669329B2 (ja) 光コネクタの製造方法
US7699534B2 (en) Plastic ferrule
JP4305793B2 (ja) 保持具付き光伝送媒体の製造方法
JP4036030B2 (ja) 光コネクタおよびその製造方法
WO2024116542A1 (ja) 光ファイバ保持部材、光コネクタ、光ファイバ保持部材の製造方法、及び、光コネクタの製造方法