JP2003329774A - 入力関数持続モニタ - Google Patents

入力関数持続モニタ

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JP2003329774A JP2003058590A JP2003058590A JP2003329774A JP 2003329774 A JP2003329774 A JP 2003329774A JP 2003058590 A JP2003058590 A JP 2003058590A JP 2003058590 A JP2003058590 A JP 2003058590A JP 2003329774 A JP2003329774 A JP 2003329774A
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Iyakuhin Fukusayou Higai Kyuusai Kenkyu Shinko Chosa Kiko
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、流体の放射活性の測定装置、およ
び測定方法に関する。 【解決手段】流体を導入する測定エリアに対して、複数
組のシンチレータを配置し、更に直線上に配置された2
つのシンチレータを相互に光学的に連結したγ線の測定
装置が提供された。複数組のシンチレータは、いずれも
定められた測定エリアを通過する直線上に配置し、ポジ
トロン核種から180℃の方向に放出されるγ線を同時
計測する。本発明の装置により、PETにおける入力関数
の連続モニタリングが可能となる。更に本発明の装置に
より、遅延を伴わない正確な測定結果を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体の放射活性の
測定装置、および測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線検出器は、様々な分野で利用され
ている。特に気体や液体などの流体を試料とする放射線
検出器は重要である。たとえば、ポジトロンCT装置およ
びシングルフォトンCT装置の付属品として、検査時に血
中の放射能を連続的にモニターする装置が用いられてい
る。この装置は、血中放射能連続モニター装置と呼ばれ
ている。ポジトロン(陽電子)は、電子と反対の電荷を
有する反粒子である。電子との衝突により、ポジトロン
はγ線を放出して消滅する(β+崩壊)。ポジトロンを
原子核に有する元素は、ポジトロン核種と呼ばれる。ポ
ジトロン核種は、軽元素に陽子ビームや重陽子ビームを
照射して、陽子数が中性子数に対して相対的に大きな元
素を作り出すことによって得ることができる。ポジトロ
ン核種には、11C、13N、15O、18Fなどの存在が知ら
れている。たとえば、通常元素である16Oの中性子数は
8であるのに対して、ポジトロン核種である15Oの中性
子数は7で、その陽子数8よりも少ない。そのため15
はポジトロンを放出して陽子数が7に減少し、安定な窒
素元素となる。
【0003】ポジトロン核種の半減期は、11Cでも約2
0分、15Oでは118−130秒と、たいへん短い。急
速に放射活性が低下するため、トレーサーの標識合成
や、動態測定には時間的な制約を伴う。反面、次のよう
な利点を有することから、核医学領域で生体の診断に応
用されている。ポジトロン核種を利用した診断方法は、
ポジトロン放出断層法(PET:Positron Emission Tomog
raphy)と呼ばれている。 (1)これらのポジトロン核種は、もともと生体中に存
在する分子を構成する元素の同位元素である。したがっ
て生体中に存在する分子を修飾することなくトレーサー
として、生体の代謝状態を観察することができる。 (2)半減期が短いため、生体の被曝が低い(反復検査
や負荷検査が可能)。 (3)半減期が短いので、比放射能が高く、極微量の核
種で診断が可能。
【0004】PETは次のような原理に基づいて、生体内
のトレーサーの3次元空間における位置を画像化する。
先に述べたように、ポジトロンは電子と衝突してγ線を
放出する。γ線のエネルギーは511keVで、2本の電
磁波(γ線)を互いに180゜方向に放出する。放出され
るγ線を一直線上に設置した放射線検出器で測定し、同
時計数回路で計数すれば、原子核崩壊がその直線上で起
こったことがわかる。更にこの検出器を360゜方向に
設置すると、X線CTとほぼ同じ原理でポジトロン核種の
分布を断層画像化することができる。しかも放射線の検
出量は定量的にとらえることができる。
【0005】またPETでは、体内のポジトロン核種の濃
度を断層画像として蓄積しているため、任意の部分に関
心領域(ROI)を設定すれば、その部分のポジトロン核種
の濃度を知ることもできる。更に、使用したトレーサー
の代謝経路が既知で、かつ体内動態の解析モデルが確立
していれば、そのトレーサーの体内での挙動を定量的に
把握することができる。PETのこのような特徴を利用し
て、各種の臓器の代謝状態を生体外から無侵襲で観察す
ることができる。PETによる診断方法としては、例えば
次のような診断が実用化されている。 トレーサー 診断目的15 Oガス 脳局所酸素代謝 [15O]COガス 脳局所血液量 [15O]CO2ガス 脳局所血流量15 O−HO 脳局所血流量18 F−DG グルコース代謝18 F−DOPA ドーパミン系神経伝達機能
【0006】PET検査においては、生体に投与したトレ
ーサーの血中濃度を把握しておく必要がある。特にトレ
ーサーの体内での挙動(生理作用)を定量的に把握する
場合には、トレーサーの血中濃度の定量は必須となる。
PETのように、生体内に放射性核種を導入する検査方法
において、投与された放射性核種の動脈血中濃度は動脈
入力関数とよばれる。
【0007】入力関数は、生体に投与するトレーサーの
量によって変動する。しかし、入力関数をトレーサーの
投与量にもとづいて正確に予測することはできない。被
検者の代謝機能、体格、あるいは血液量によって生体内
のトレーサー濃度は変動するためである。したがって、
生体内のトレーサー濃度を正しく把握するには、実際の
被検者の体内におけるトレーサーの濃度を測定する必要
がある。特に放射性核種の半減期が短いPETでは、放
射線を計測しているときの入力関数の連続測定が重要な
情報となる。血中の放射能を連続的に測定するための装
置は、血中放射能連続的モニター装置と呼ばれる。
【0008】従来の血中放射能連続的モニター装置とし
ては、プラスチックシンチレータを光電子増倍管に光学
結合したシンチレーション検出器が最も一般的である。
これは被検者の血管から引き出した血液を通すチューブ
をプラスチックシンチレータの表面に配置し、チューブ
内の血液から放出されるβ線(ポジトロン)を検出す
る。この方式はシンプルであるが、被検者からのγ線も
プラスチックシンチレータで検出してしまう場合があ
る。この現象を避けるために、測定するポジトロンは最
もエネルギーの高い15Oに限定される。それに加えて、
γ線による発光パルスより高い電圧に閾値を設定して測
定するため、感度が低下するという問題点があった。
【0009】また異なる方式の装置としては2個のBGO
シンチレーション検出器を用い、チューブ内のポジトロ
ンが消滅した時に発生する消滅γ線を同時計数を行うこ
とにより血中放射能濃度を測定する装置も存在する。こ
の方式はβ線のエネルギーに関係なく測定できる利点は
ある。しかしBGO結晶は発光量が少ないことに加えて、
発光後の減衰時間が比較的長いため、計数率特性が低
い。従ってこの方式では、被検者からのγ線を遮蔽する
ための吸収係数の高い遮蔽体が必要となる。実際には、
遮蔽体である鉛の厚みを増すことなどで対応しなければ
ならない。その結果、検出器全体は大きくまた重くな
り、被検者の近傍で測定することを妨げるという問題点
があった。
【0010】被検者の近くにモニタリング装置を置くこ
とは、動脈血中放射能濃度をリアルタイムに測定するた
めに大切な条件である。被検者から離れた場所にあるモ
ニタリング装置で測定するためには、カテーテル挿入部
からモニタリング装置までの距離に応じて血液チューブ
の中における滞在時間(遅延時間)が長くなる。そのた
め、遅延時間に対する補正を行わなくてはならない。ま
た遅延時間が長くなればなるほど形のなまりが生じてし
まい、この補正をいっそう困難にしてしまう。以前の研
究に基づくと、脳血流量などの機能画像の定量化におい
て、遅延時間が重大な誤差を生じる原因となる危険性が
指摘されている。
【0011】
【文献1】 G. D. Hutchins, R.D. Hichwa, and R.A. K
oeppe, CONTINUOUS FLOWINPUT FUNCTION DETECTOR FOR
H215O BLOOD FLOW STUDIES IN POSITRON EMISSION TOMO
GRAPHY, IEEE Transaction on Nuclear Science, Vol.
33: pp546 -547,1986.
【文献2】 H. Iida, I. Kanno, A. Inugami, S. Miur
a, M. Murakami, K. Takahashi, K. Kamimura, Continu
ous-monitoring Detector -system of Arterial H215O
Concentration for Positron-emission Tomography: Co
nstruction of theSystem and Correction for the Dis
persion and the time shift Nuclear Medicine 24, p
p. 1587 -1594, 1987.
【文献3】 L. Eriksson, S. Holte, Chr. Bohm, M. Ke
sselberg, and B. Hovander, AUTOMATED BLOOD SAMPLIN
G SYSTEM FOR POSITRON EMISSION TOMOGRAPHY, IEEE Tr
ansaction on Nuclear Science , Vol. 35: pp703-707,
1988.
【文献4】 L. Eriksson and I. Kanno, Blood samplin
g devices and measurements, Med. Prog. through Tec
h. 17: pp. 249 -257, 1991.
【文献5】 Votaw JR, Shulman SD. Performance evalu
ation of the Pico-Count flow-through detector for
use in cerebral blood flow PET studies, J. Nucl. M
ed. 39: pp. 509-515, 1998.
【文献6】 Yamamoto S, Tarutani K, Suga M, Minato
K, Watabe H, Iida H. Development of a Phoswich Det
ector for a Continuous Blood-Sampling System. IEEE
Trans Med Image;48:1408-1411, 2001.
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、小型で高感
度な、流体中の放射能測定装置、およびこの装置を用い
た測定方法の提供を課題とする。より具体的には、使用
する放射性核種の制限を受けず、高い感度と計数率特性
で精度高く流体内の放射能濃度を計測することができ
る、放射能測定装置の提供を課題とする。更に本発明
は、放射能連続モニター装置として利用することができ
る放射能測定装置の提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの課題を
解決すべく種々検討した結果、特定のシンチレータの配
置、あるいは特定のシンチレータの利用により、放射線
を高い効率で測定しうることを見出した。そしてこのよ
うな構成に基づいて、小型化が可能な放射線測定装置を
実現できること明らかにして本発明を完成した。すなわ
ち本発明は、以下の放射線の測定装置、並びに測定方法
に関する。 〔1〕次の要素で構成される流体の放射線の測定装置。 a)放射線を測定すべき流体を収容する測定エリア、 b)前記測定エリアにおけるγ線を計測するために配置
された、光学的に連結された2つのシンチレータのペ
ア、および c)光学的に連結されたシンチレータによってγ線を同
時計測するための電子回路 〔2〕4組の、光学的に連結された2つのシンチレータ
のペアを有する〔1〕に記載の装置。 〔3〕4つのシンチレータが、測定エリアを挟んで2つ
づつ並列に配置され、測定エリアを通過する対角線上と
平行線上にあるシンチレータがそれぞれ光学的に連結さ
れている〔2〕に記載の装置。 〔4〕シンチレータの減衰時間が150n秒以下である
〔1〕に記載の装置。 〔5〕測定エリアが、装置の中を通過する流体の流路の
一部である、〔1〕に記載の装置。 〔6〕付加的に、各シンチレータのシグナルを独立して
計測するための電子回路を有する〔1〕に記載の装置。 〔7〕次の工程を含む、流体の放射活性物質の測定方
法。 1)次の要素で構成される流体の放射線の測定装置を用
い、測定エリアに被検流体を導入する工程、および a)放射線を測定すべき流体を収容する測定エリア、 b)前記測定エリアにおけるγ線を計測するために配置
された、光学的に連結された2つのシンチレータのペ
ア、および c)光学的に連結されたシンチレータによってγ線を同
時計測するための電子回路 2)同時計測されたγ線強度を流体中の放射活性物質濃
度と関連付ける工程 〔8〕流体が、ポジトロンCTの被検者から採取された
血液である〔7〕に記載の方法。
〔9〕血液を測定エリアに連続的に導入することによっ
て、ポジトロンCTの入力関数を連続的にモニタする
〔8〕に記載の方法。 〔10〕放射線の測定装置として、付加的に、各シンチ
レータのシグナルを独立して計測するための電子回路を
有する装置を用い、かつ流体がSPECTの被検者から
採取された血液である〔7〕に記載の方法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、次の要素で構成される
流体の放射線の測定装置に関する。 a)放射線を測定すべき流体を収容する測定エリア、 b)前記測定エリアにおけるγ線を計測するために配置
された、光学的に連結された2つのシンチレータのペ
ア、および c)光学的に連結されたシンチレータによってγ線を同
時計測するための電子回路
【0015】本発明において、シンチレータの光学的な
連結とは、独立した2つのシンチレータにおける発光の
同時計測(coincidence)を意味する。光学的に連結され
た2つのシンチレータを、本発明においてペアという。
本発明における1つのシンチレータは、複数の他のシン
チレータとペアを構成することができる。本発明では、
少なくとも1組のペアが用いられる。複数とは、少なく
とも2組のペアを言う。本発明における望ましいペアの
数は、3以上、あるいは4以上である。
【0016】本発明において、各シンチレータは、放射
線を測定すべき流体を収容する測定エリアにおけるγ線
を計測できるように配置される。測定エリアにおけるγ
線を2つの光学的に連結されたシンチレータで計測する
ためには、測定エリアを挟んで直線上に前記2つのシン
チレータを配置する。更に本発明においては、複数組の
ペアを用いた場合には、複数組のペアによって測定エリ
アのγ線が同時計測される。
【0017】ポジトロンは電子と衝突して2本のγ線を
放出する。このとき放出される2本のγ線は、互いに18
0゜方向に放出される。したがって、流路を挟んで直線
上に配置されたシンチレータでγ線が同時計測されれ
ば、2つのシンチレータの間で1つのポジトロンからγ
線が放出されたことがわかる。本発明の測定装置におけ
る複数のシンチレータのペアは、相互に異なる位置、あ
るいは角度において、測定エリアのγ線を計測する。そ
の結果、測定エリアのγ線の確実な捕捉により、高い感
度が達成される。
【0018】本発明の測定装置において、たとえば4つ
のシンチレータが、測定対象である測定エリアを挟んで
2つづつ並列に配置され、測定エリアを通過する対角線
上と平行線上にあるシンチレータがそれぞれ光学的に連
結された配置が用いられる。このようなシンチレータの
配置を示したのが図5である。このような配置により、
測定エリアに対して1/2、2/3、3/4、および4/1の4組の
ペアを配置することができる。このような配置は、1つ
のシンチレータが複数のシンチレータとペアを構成する
ことができる。つまり少ないシンチレータで、より多く
のペア数を配置するための合理的な配置ということがで
きる。その他、測定エリアに沿って測定エリアを挟むよ
うにシンチレータのペアを配置することで2組以上の同
時計測が可能となる。
【0019】本発明の装置は、1組のシンチレータのペ
アを有する場合を含む。1組のシンチレータであって
も、減衰時間が150n秒以下、望ましくは80n秒以下
で、かつ高い発光強度を有するシンチレータを使用する
ことにより、装置の小型化と、高感度な測定を実現する
ことができる。
【0020】本発明における測定エリアは、前記シンチ
レータに挟まれた位置に配置される、測定対象となる流
体を保持するための空間を言う。測定エリアは、一時的
に流体を保持するための形状を備えていれば良い。たと
えば、本発明の装置内に、測定すべき流体を導入するた
めの流路の任意の位置を測定エリアとすることができ
る。測定エリアは、遅延を小さくするために、できるだ
け小さいエリアとするのが望ましい。遅延とは、放射線
の検知の時間的なずれを言う。より具体的には、本発明
における複数組のペアを構成する、あるペアによるγ線
の同時測定に対して、他のペアの同時測定に時間的なず
れが生じた場合、このずれを遅延という。たとえばPE
Tで用いる放射性核種は、極めて短時間で崩壊する。そ
のため、試料の放射線強度は時間とともに大きく変動し
ている。
【0021】装置内を流体が移動している場合には、測
定エリアの大きさが、遅延の原因となる。測定エリアに
対して複数組のペアが時間的なずれをともなって同時測
定する場合、得られる測定値は遅延時間の間に低下した
放射線強度の平均値を意味している。したがって、測定
エリアを小さくすることが、遅延を小さくするために重
要な条件となる。
【0022】本発明において許容される測定エリアの長
さは、一般に10cm以下、たとえば5cm以下を例示する
ことができる。この程度の大きさであれば、不安定な放
射性核種を扱うPETであっても、本発明によって遅延時
間の小さい測定が可能となる。また測定エリアの内径
は、一般に0.5mm-1.5mmとする。測定エリアの容積は、
測定感度や試料の取り扱い上の問題を生じない範囲で、
できるだけ小さくすることによって、微量の試料による
測定が可能となる。特に、PETなどの被検者の血液を試
料とすると場合には、試料が少なくできることは、被検
者の負担を小さくする上で重要な条件である。試料とし
て血液を用い、測定エリアにつながる流路に血液を連続
的に供給するとき、流路の内径は、採血量、吸引速度、
単位時間当たりの計測数を考慮して決定することができ
る。これらの各要因の関係は、たとえば次式によって示
すことができる。 採血量÷検査時間÷( 内径×内径×3.14)= 吸引速度 内径×内径× 3.14 ×測定エリア長 × 血中濃度 × 検
出効率 = 計測数 例として、図1に示すような装置を用いた場合には、各
要素の数値は次のようになる。 測定エリア長 = 4cm 検出効率 = 10% 更にこの条件で、採血量10cc、検査時間5分、血中濃
度10μCi/ccとすると、計測数=1000counts/sec
以上、吸引速度1cm/sec 以上であれば、流路および測
定エリアの内径は0.5mm以上1mm以下という条件とな
る。
【0023】測定エリアは、本発明の装置内を通過する
流体試料の通過速度と、検知すべき放射性核種の崩壊速
度とによって変化する。例えば通過速度が速く、かつ比
較的安定な核種を測定対象とするときには、より大きな
測定エリアとしても、大きな遅延は生じない。
【0024】本発明において、発光強度が大きく、かつ
減衰時間が短いシンチレータを用いることによって、よ
り効率的、かつ高感度な測定が期待できる。シンチレー
タは、放射線を光信号に変換する作用を有する化合物を
言う。ポジトロン核種のγ線のエネルギーが511keV
であるのに対して、SPECTで用いられる放射線核種のγ
線エネルギーは70〜140keVと小さい。エネルギー
の小さいγ線を十分な感度で検出するには、発光強度の
大きさが重要な条件となる。また、エネルギーの小さい
γ線の検出には、シンチレータの減衰時間も大切な条件
である。発光強度が十分であっても、減衰時間が長いシ
ンチレータでは、高感度な測定は期待できない。
【0025】本発明において、望ましいシンチレータ
は、たとえば150n秒以下の減衰時間を有する。より
具体的には、100n秒以下、好ましくは80n秒以下、
より好ましくは70n秒以下の減衰時間を有するシンチ
レータを示すことができる。このような減衰時間を有す
るシンチレータは公知である。具体的には、GSOと呼ば
れるシンチレータを本発明における望ましいシンチレー
タとして示すことができる。GSOは、Cerium-doped gado
rinium orthosilicate Gd2SiO5:Ce 化合物からなる市販
のシンチレータ(日立化成株式会社製)である。GSOの
減衰時間は化合物の合成比率により可変であるが60n
秒以下に設定することが可能であり、本発明における望
ましいシンチレータである。この他に減衰時間の短いシ
ンチレータとして、LSOを示すこともできる。LSOは、GS
Oよりも更に短い減衰時間を有するため、ポジトロン核
種の測定には有用である。ただし、結晶自身が微量の放
射線を発生しているため、エネルギーの弱いSPECTの測
定には適さない。
【0026】本発明において、望ましいシンチレータを
用いた場合、本発明の装置は、PETのみならずSPE
CTに用いられる放射性核種を測定することもできる。
SPECTで用いられる放射線核種のγ線エネルギーが小さ
いことは既に述べた。たとえばSPECTに用いられる
代表的な放射性核種のγ線のエネルギーは次のとおりで
ある。99m Tc:140keV201 Ti:70keV123 I:159keV
【0027】このようなエネルギーの小さいγ線は、こ
れまでPETの入力関数のモニタリングに利用されていた
装置では、十分な感度で測定することはできなかった。
そのため、PETとSPECTの測定には、別の放射線測定装置
が用いられていた。これに対して本発明による放射線の
測定装置は、望ましいシンチレータを利用することで、
PETのみならずSPECTに用いられる放射性核種の高感度な
測定が可能となる。例えば図4に示すエネルギースペク
トルを有するシンチレータであるGSOでは、140keV、
70keV、あるいは159keVのγ線の測定が可能である
ことがわかる。
【0028】最近のSPECT装置では、PETと同程度の精度
が実現されつつある。高精度化によって、PETと同様に
機能画像の定量化が検討されている。機能画像の定量化
のためには、PET検査で行われているような持続血中放
射能濃度モニタリング装置が望まれる。しかしSPECTに
おける血中放射濃度は、従来は注射筒で頻繁に採血を繰
り返すことにより行っていた。SPECTで用いられていた
プラスチックシンチレータでは、持続採血を実現するこ
とはできない。また公知のプラスチックシンチレータで
は、同時計測回路も利用できない。加えてプラスチック
シンチレータに用いられるBGO結晶は、発光量が少ない
ため一般のSPECT薬剤の放射線信号の検出には不向きで
もあった。
【0029】本発明によるシンチレータとしてGSOを利
用したモニタリング装置では、その高い発光量のため
に、SPECT用の薬剤でも放射能濃度検出できるようにな
った。また、チューブを囲む幾何学設計により、極めて
高い感度が実現できる。また減衰時間の短いシンチレー
タの利用によって、高い計数率特性も実現できる。その
ため本発明の装置をSPECTに応用する場合には、2つの
シンチレータのみであっても、十分な測定感度を達成す
ることができる。つまり本発明の測定装置における、1
組のシンチレータのペアを構成する2つのシンチレータ
を用いて、SPECTのための放射線を測定することができ
る。
【0030】またこれらの望ましいシンチレータは、高
い計数率特性を有するため、鉛などによるシールドも最
小化することができる。減衰時間が短いためにバックグ
ランドノイズを小さく抑えられる結果、外部からの放射
線の影響を受けにくいのである。したがって、これらの
シンチレータの使用により、本発明の測定装置の大きさ
は、たとえば従来のプラスチックシンチレーション検出
器タイプの装置とそれほど変わらないサイズにすること
ができる。消滅ガンマ線を同時計数する方式の装置に比
べ大きさおよび重さを大幅に減少することが可能とな
る。
【0031】共通の機器構成で、異なる放射性核種を測
定できることは、経済的に有利である。たとえば放射線
の測定装置を構成するシンチレータは、経時的に劣化す
る。2つの放射線測定装置を1つの装置で兼用できるこ
とは、シンチレータのコストを1/2にできることを意
味している。
【0032】本発明において、光学的に連結されたシン
チレータによってγ線を同時計測するための電子回路に
は、たとえば図2に示した電子回路図に基づく電子回路
を用いることができる。図2に示した回路図からなる電
子回路は、4個の個々のGSO検出器の信号を光電子増倍
管(PMT)により電気信号に変換する。電気信号は増幅回
路(AMP)によって増幅され、次いで弁別回路(Discrimina
tor)によって信号を弁別し511keVのγ線による信号が取
り出される。4個のシンチレータからの信号の中から2
個の組合せを4組取り出し、同時に511keVのγ線を検出
した組合せを同時検出(Coinsidence)回路によって識別
する。そしてCoinsidence回路で識別された信号の回数
を計数(scalar)回路によって計数する。同時計数を可能
とする部分は、2つの弁別された信号が同時に発生した
時に、信号が出力され、これを計数する部分を指す。本
発明において、同時とは、たとえば20n秒以下、より好
ましくは10n秒程度の範囲で同時にシグナルが計測され
ることを言う。
【0033】本発明の測定装置において、測定エリアに
試料を連続的に供給するために、装置の外部から装置内
に至る流体の流路を用いることができる。本発明におい
て、流路を設ける場合には、通常、流路の特定の領域が
測定エリアとして利用される。本発明の測定エリアは、
測定すべきγ線を透過し、測定対象の流体に対して不活
性な素材で構成する。たとえば血液を測定対象流体とす
る場合には、ポリエチレンやシリコンのチューブなどが
用いられる。流路に用いるチューブのサイズは、一般的
に臨床検査で用いられているもので、外径が4mm以下の
ものが使用可能である。素材は通常のポリエチレン製の
ものが用いられているが、その素材は制限されない。流
路を構成する素材がγ線の透過性に劣る素材であって
も、測定エリアに相当する領域をγ線透過性の素材とす
ることができれば問題は無い。
【0034】また本発明は、次の工程を含む、流体の放
射活性物質の測定方法に関する。 1)次の要素で構成される流体の放射線の測定装置を用
い、流路に被検流体を導入する工程、および a)放射線を測定すべき流体を収容する測定エリア、 b)前記測定エリアにおけるγ線を計測するために配置
された、複数組の、光学的に連結された2つのシンチレ
ータのペア、および c)光学的に連結されたシンチレータによってγ線を同
時計測するための電子回路 2)同時計測されたγ線強度を流体中の放射活性物質濃
度と関連付ける工程
【0035】本発明において、前記要素a)−c)を有
する流体の放射線の測定装置は、具体的には先に述べた
ようにして構成することができる。この装置を用い、本
発明に基づいて流体試料の放射線を測定するには、まず
前記測定エリアに流体を導入する。流体は、連続的に導
入することもできるし、バッチで導入することもでき
る。試料を連続的に導入すれば、放射線の連続測定が可
能である。連続的に試料を導入するためには、装置内に
流体試料を導入するための流路を利用するのが有利であ
る。
【0036】本発明において、工程1)で同時計測され
たγ線強度を流体中の放射活性物質濃度と関連付ける工
程は、測定エリアを占める流体の体積と計測されたγ線
強度に基づいて、流体の放射活性物質濃度を決定するこ
とによって行われる。測定エリアを占める流体の体積は
予めわかっている。また、通常、その流体中に含まれて
いる核種もわかっているので、γ線強度の定量結果に基
づいて、放射活性物質の量を知ることもできる。したが
って、測定エリアのγ線の強度から、放射活性物質濃度
を決定することができる。
【0037】本発明によって、たとえば、流体試料とし
てポジトロンCTの被検者から採取された血液のγ線を
測定することができる。本発明の測定方法によれば、遅
延の小さい測定が可能である。半減期の短い核種におい
ては、遅延が測定精度に与える影響が特に大きい。した
がって、本発明の測定方法は、半減期の短い核種を用い
るPETの被検者の血液の、正確な放射活性物質濃度の測
定に有用である。
【0038】更に本発明の方法においては、測定エリア
に試料を連続的に供給することによって、放射活性物質
濃度の経時的に追跡することもできる。PETにおいて
は、刻々と変化する血中の放射活性物質を常にモニタで
きることが望まれる。したがって、本発明の測定方法
は、装置への血液の連続的導入によって、ポジトロンC
Tの入力関数を連続的にモニタする方法として有用であ
る。
【0039】本発明の測定装置は、複数組のシンチレー
タの利用により、小さな測定エリアで高い感度を得るこ
とができる。このことは、微量の試料で十分な感度を得
られることを意味している。つまり本発明によれば、PE
Tの被検者から採取された微量の血液によって、高感度
な測定が可能となる。測定に必要な血液試料が少なけれ
ば、被検者の負担も小さくなる。
【0040】本発明の測定方法は、PETのみならずSPECT
の被検者から採取された血液の放射活性物質濃度の測定
に応用することもできる。既に述べたように、SPECTに
用いられる核種のγ線のエネルギーは、PETよりも小さ
い。しかし、測定エリアに対して複数のシンチレータを
配置した本発明の測定装置を用いれば、微量の血液試料
であっても、高感度にγ線を検出できる。したがって、
本発明の放射活性物質濃度の測定方法は、SPECTの被検
者から採取された血液を試料とする測定においても有用
である。
【0041】なおSPECTにおいて測定が必要な放射性核
種は、γ線を1方向にしか放出しないので、PETにおけ
る放射性核種のように同時測定の必要はない。放射活性
の測定装置を構成するシンチレータで、SPECTに用いら
れる放射性核種のγ線を計測する場合には、各シンチレ
ータのシグナルを独立に計測すればよい。実際の機器構
成としては、たとえば図2の電子回路図において、CFD
の出力を同時計数回路(coincidence)をバイパスし
て、直接スケーラーに入力することで、それぞれの検出
器の計数率をモニターすることができる。あるいは同時
計数回路において、シグナルをANDではなくOR処理をす
ることで、SPECT用の核種の測定が可能である。具体的
には、シグナルのor処理によって、1/2のシンチレー
タ、および3/4のシンチレータの計数率をモニターでき
る。なお本発明の測定装置において、SPECT用の核種か
ら発せられる放射線を測定する場合には、本発明の装置
が備える複数のシンチレータのうち、任意のシンチレー
タを検出器として用いることができる。したがって、た
とえば4つのシンチレータを備えた装置であっても、そ
のうちの一部のシンチレータのみを用いて、測定するこ
とができる。
【0042】本発明の放射活性物質の測定方法は、実際
のPETにおいて、たとえば次のように利用される。脳局
所酸素代謝の検査は、PETによる生体機能検査として代
表的なものである。脳局所酸素代謝の検査には、トレー
サーとして合成された、被検者が吸引した15Oガスの、
血液から脳組織への移行、更に脳から血液への移行が観
察される。このとき、血中の15O濃度は、各組織におけ
る酸素の移行レベルの評価にあたって必須の情報とな
る。PETによる脳局所酸素代謝の検査においては、血中
15O濃度は、血中入力関数に相当する。以下に実施例
により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の内容
は実施例に限定されるものではない。
【0043】
【実施例】〔実施例1〕本発明の放射線測定装置とし
て、図1に示す構造の装置を作成した。この装置は、4
つのシンチレータABC、およびDを有する。4つのシ
ンチレータはABとCDの2列に配置される。一方、装
置内の流路は、4つのシンチレータに対して、AB間お
よびCD間の間を通過するように配置した。このような
配置とすることにより、シンチレータAB間からCD間
にかけてのエリアが、測定エリアとなる。更に流路を挟
むシンチレータA−B、C−Dに加えて、対角線上に位
置するシンチレータB−CとD−Aをも光学的に連結す
ることによって、4組のシンチレータのペアによる同時
計測が可能となっている。
【0044】シンチレータには、GSO(Cerium-doped
gadorinium orthosilicate Gd2SiO5:Ce 化合物、日立
化成株式会社製)を用いた。GSOは、図3(511ke
V光子)および図4(140keV光子)のようなエネルギ
ースペクトルを示す。つまりGSOは、511keVのγ線に対
するエネルギー分解能12%、140keVのγ線に対するエ
ネルギー分解能21%を有する。511keVのγ線がPET用ト
レーサーに、140keVはSPECTトレーサー(99mTc)に相当す
る。
【0045】更に、シンチレータ毎に光電子倍増管(ph
otomultiplier tube;PMT)を配置した。各PMTの
信号は、図2に示すような電子回路図に基づく回路で同
時計測した。すなわち 、4個の個々のGSO検出器の信号
を光電子増倍管により電気信号に変換する。電気信号は
AMPのよって増幅し、Disciriminatorによって信号を弁
別し511keVのγ線による信号を取り出す。4個検出器か
らの信号の中から2個の組合せを4組取りだし、同時に
511keVのγ線を検出した組合せをCoinsidence回路によ
って識別する。Coinsidence回路で識別された信号の回
数をscalar回路によって計数する。シンチレータ全体は
外界からのγ線の影響から遮蔽するために、適当な遮蔽
材で覆われている。実際には、2cm厚の鉛材で遮蔽し
た。この測定装置に対して、放射活性物質を測定すべき
血液は、流路に対して矢印方向に供給される。
【0046】この装置の測定エリアに、 11Cフルマゼニ
ル(FMZ)の入ったチューブ(カニューレ)を配置してγ
線の同時測定を行った結果を図5に示した。この図は、
4つのシンチレータ1−4の全ての組み合せ(すなわ
ち、1−2、3−4、1−4、および2−3)につい
て、同時計測の結果をまとめたものである。測定エリア
に対する各シンチレータの配置と、光学的な連結の組み
合せを図中に示した。図中の4つの四角形(1−4)に
挟まれた矢印が測定エリアに相当する。この測定エリア
に対して、両矢印で示した4方向に配置されたシンチレ
ータで同時計測が行われる。いずれのシンチレータ間の
計測結果も、ほぼ同じ形で推移している。この結果か
ら、本発明の装置によって、複数組のシンチレータによ
る同時計測を、遅延無く計数できることが明らかであ
る。
【0047】〔実施例2〕実施例1に示した本発明の装
置を用いて、実際にラットの血中の放射活性物質濃度を
測定した。次の成分を投与したラットの血中の各核種の
濃度を測定した。ラットに次のトレーサーを投与し、持
続動脈採血をモニターした。 [18F]フルオロデオキシグルコース(Fluoro-2-deoxy-glu
cose;FDF) [11C]フルマゼニル(Flumazenil;FMZ) [15O]H2O [99mTc]エイチエムパオ(hexamethyl propyleneamine ox
ime;HMPAO)
【0048】各トレーサーを0.5−1.0mLの生理食
塩水で希釈し、ペントバルビタール麻酔下のラット(雄
性SDラット8週令)の尾静脈に投与した。投与したトレ
ーサー量は、次のとおりである。 [18F]FDG 0.5mCi [11C]FMZ 1.0mCi [15O]H2O 0.5mCi [99mTc]HMPAO 0.18mCi
【0049】各トレーサーを投与したラットの大腿動脈
にカニューレを挿入して採血した。採取血液をヘパリン
処理し、実施例1の持続モニター装置の検出部にカニュ
ーレを配置し、γ線を計測した。シリンジポンプで一定
速度で吸引することにより、経時的に動脈採血し、γ線
を連続測定した。なおこれらのトレーサーのうち、[9 9m
Tc]HMPAOはポジトロン核種ではないので、同時計測では
なく、各シンチレータの計数結果の総計である。測定結
果を図6−図9に示した。いずれの核種についても、十
分な統計量が計測でき、矛盾のない形の入力関数が得ら
れていることがわかる。
【0050】〔実施例3〕シンチレータのサイズの至適
条件を明らかにするために、モンテカルロシミュレーシ
ョンにより、シンチレータの幾何学的構造について検討
した。シンチレータ結晶の体積(8cm3)を一定とした
時の、長さおよび奥行きと計数率の関係をシミュレーシ
ョンした。シンチレータの高さは次の式によって決ま
る。 高さ=体積÷長さ÷奥行き シンチレータ結晶の長さ4cm、4.5cm、および5cm
に、また奥行きを5mm〜15mmに変化させて計数率の変
化を予測した。測定エリアには内径1mmの血液チューブ
を用い、測定エリア中には500kBq/mLの放射線量を有
する試料が存在すると想定した。2つのシンチレータの
間隔は2mmとし、シンチレータの間に測定エリアを配置
した。シンチレータと測定エリアの配置と、高さ、長
さ、および奥行きがシンチレータのどの部分のサイズに
相当するのかを図10に示した。シミュレーションの結
果は図10のとおりである。シンチレータの幾何学的構
造は、高さ20 mm×奥行き8 mm×長さ50 mmの形状のシン
チレータ結晶を向い合せに2 mmの間隔で配置すると絶対
検出効率が最も良いことが確かめられた。このようにし
て、シンチレータの幾何学的構造を設計することができ
る。
【0051】
【発明の効果】本発明により、高感度にγ線の測定が可
能な装置が提供される。本発明の装置は、小型化が可能
である。本発明の測定装置は、特にポジトロン核種の測
定に有用である。本発明の測定装置は、小さい測定エリ
アに対して、複数組のシンチレータのペアを配置するこ
とができる。その結果、遅延の少ない測定結果を得るこ
とができる。更に複数組のシンチレータの利用によっ
て、微量の試料であっても高感度な測定が可能である。
【0052】また本発明の測定装置は、測定エリアに対
して複数のシンチレータを配置した構造を有している。
その結果、本発明の装置をポジトロン核種以外の核種か
ら放出されるγ線の計測に用いた場合には、より高感度
な測定が可能となる。たとえば、SPECTに用いられる、
低エネルギー核種も、本発明の装置を用いれば、高感度
に測定することができる。
【0053】本発明の測定装置は、流体中の放射活性物
質の測定に有用である。たとえば、PETによる生体の検
査においては、入力関数のモニタリングが必須である。
公知の測定方法では、測定核種が制限される、測定感度
を高めにくい、モニタリング装置の配置が制限されるな
どの問題点を有していた。これに対して本発明の測定装
置は、小型化と高感度化が同時に達成される。その結
果、装置の配置が制限されない。たとえば被検者の近く
に本発明の測定装置を配置することもできる。被検者の
近くで入力関数のモニタリングを行うことにより、より
短時間で、測定試料の採取から実際の測定までを完了で
きる。この特徴は、入力関数を正しく把握する上で、大
きな利点である。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線測定装置の一部断面斜視図を示
す。ABCDが4つのGSOシンチレータを、PMTは光電子
倍増管を示す。矢印は、試料である血液の導入方向を示
す。
【図2】本発明の放射線測定装置に装備された、複数組
のシンチレータのペアでγ線を同時測定するための電子
回路の回路図。[PM-AMP]は光電子倍増管とその信号を増
幅する増幅器、[CFD]はdiscriminator、[COIN]は各シン
チレータのシグナルから同時に検出されたシグナルを識
別する装置、[SCALAR]は、[COIN]で識別されたシグナル
を計数する装置である。
【図3】GSOシンチレータの、511keVのγ線に対
するエネルギースペクトルを示す図。出力信号をオシロ
スコープにより観測し、デジタルカメラでディスプレー
を画像化した。縦軸は発光強度、横軸はγ線の放射エネ
ルギー強度を示す。
【図4】GSOシンチレータの、140keVのγ線に対
するエネルギースペクトルを示す図。出力信号をオシロ
スコープにより観測し、デジタルカメラでディスプレー
を画像化した。縦軸は発光強度、横軸はγ線の放射エネ
ルギー強度を示す。
【図5】11Cフルマゼニル(FMZ)を、4つのシンチレータ
を有する本発明の測定装置によって測定した結果を示す
図。縦軸は計数値(count/秒)、横軸は時間(秒)を示
す。
【図6】トレーサーとして[18F]FDGを投与したラットの
動脈入力関数を測定した結果を示す図。縦軸は計数値(M
Bq/cc)、横軸は計測時間(秒)を示す。図中に示したグ
ラフは、横軸を拡大した図である。
【図7】トレーサーとして[11C]FMZを投与したラットの
動脈入力関数を測定した結果を示す図。縦軸は計数値(M
Bq/cc)、横軸は計測時間(秒)を示す。図中に示したグ
ラフは、横軸を拡大した図である。
【図8】トレーサーとして[15O]H2Oを投与したラットの
動脈入力関数を測定した結果を示す図。縦軸は計数値(M
Bq/cc)、横軸は計測時間(秒)を示す。
【図9】トレーサーとして[99mTc]HMPAOを投与したラッ
トの動脈入力関数を測定した結果を示す図。縦軸は計数
値(MBq/cc)、横軸は計測時間(秒)を示す。
【図10】シンチレータのサイズと計数率の関係を示す
図。図中、縦軸は計数率(cps)を、横軸はシンチレータ
の奥行き(cm)を示す。グラフの上に示した図は、シンチ
レータの奥行き、高さ、および長さが、それぞれ測定エ
リアに対してどの方向のサイズに相当するのかを示して
いる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久冨 信之 大阪府豊中市北緑丘2−1−19−602 (72)発明者 山本 誠一 兵庫県神戸市東灘区向洋町中5−11−501 −2406 Fターム(参考) 2G088 EE01 EE02 EE07 EE13 EE25 FF04 FF07 GG16 GG18 GG20 HH07 HH09 JJ03 JJ04 JJ05 JJ09 KK11 KK15 LL02 LL11 4C082 AC03 AC05 AE01 AP01 AR02 AR12

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の要素で構成される流体の放射線の測定
    装置。 a)放射線を測定すべき流体を収容する測定エリア、 b)前記測定エリアにおけるγ線を計測するために配置
    された、光学的に連結された2つのシンチレータのペ
    ア、および c)光学的に連結されたシンチレータによってγ線を同
    時計測するための電子回路
  2. 【請求項2】4組の、光学的に連結された2つのシンチ
    レータのペアを有する請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】4つのシンチレータが、測定エリアを挟ん
    で2つづつ並列に配置され、測定エリアを通過する対角
    線上と平行線上にあるシンチレータがそれぞれ光学的に
    連結されている請求項2に記載の装置。
  4. 【請求項4】シンチレータの減衰時間が150n秒以下
    である請求項1に記載の装置。
  5. 【請求項5】測定エリアが、装置の中を通過する流体の
    流路の一部である、請求項1に記載の装置。
  6. 【請求項6】付加的に、各シンチレータのシグナルを独
    立して計測するための電子回路を有する請求項1に記載
    の装置。
  7. 【請求項7】次の工程を含む、流体の放射活性物質の測
    定方法。 1)次の要素で構成される流体の放射線の測定装置を用
    い、測定エリアに被検流体を導入する工程、および a)放射線を測定すべき流体を収容する測定エリア、 b)前記測定エリアにおけるγ線を計測するために配置
    された、光学的に連結された2つのシンチレータのペ
    ア、および c)光学的に連結されたシンチレータによってγ線を同
    時計測するための電子回路 2)同時計測されたγ線強度を流体中の放射活性物質濃
    度と関連付ける工程
  8. 【請求項8】流体が、ポジトロンCTの被検者から採取
    された血液である請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】血液を測定エリアに連続的に導入すること
    によって、ポジトロンCTの入力関数を連続的にモニタ
    する請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】放射線の測定装置として、付加的に、各
    シンチレータのシグナルを独立して計測するための電子
    回路を有する装置を用い、かつ流体がSPECTの被検
    者から採取された血液である請求項7に記載の方法。
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