JP2003329521A - 感圧センサ - Google Patents

感圧センサ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 よって本発明が解決しようとする課題は、感
圧センサにおけるスペーサシート並びに電極シート状基
材と粘着剤の密着性を改善させて、感圧特性を改善する
こと、特に低温領域での感圧特性を向上させた感圧セン
サを提供することにある。 【解決手段】 一対の電極シート状基材とこの間に挿入
されるスペーサシートが粘着剤によって接着されている
感圧センサにおいて、少なくとも前記シート状基材と前
記粘着剤の間に微細な空隙が存在しないように接着(密
着)されている感圧センサとすることによって、解決さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の電極シート
状基材とこの間に挿入されるスペーサシートが粘着剤に
よって接着(密着)された感圧センサに関し、特に温度
特性を改善したものである。
【0002】
【従来の技術】感圧センサは、対向して配置される一対
のシート状基材の接点部に電極が設けられ、その間には
スペーサシートが挿入されて積層した構造からなるもの
で、接点部の電極が押圧力によって接触して導通するよ
うになっている。そして前記電極の一方には、感圧イン
ク等により形成され圧力に応じて抵抗値が変化するよう
になっている。また、前記電極シート状基材と前記スペ
ーサシートは粘着剤等により接着(密着)されている。
そして前記シート材料としては、ポリエチレンテレフタ
テート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PE
N)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリイミド
樹脂(PI)等が、また前記粘着剤としては、アクリル
樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等の粘着剤
が通常使用されている。
【0003】このような構造の感圧センサは、前記感圧
インクの特性によってかなり影響されるので前記インク
については、種々の改良が加えられているが、温度特性
(温度依存性)については前記感圧インクのみの改良だ
けでは完全ではなかった。特に低温領域においては、前
記電極シート状基材と前記粘着剤のなじみ(密着性)の
問題が大きく感圧特性に影響していることが判明した。
そこで前記粘着剤の特性や粘着剤の接着機構等について
の検討が、行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明が解決し
ようとする課題は、感圧センサにおけるスペーサシート
並びに電極シート状基材と粘着剤の密着性を良好なもの
として、感圧特性を改善すること、特に低温領域での感
圧特性(抵抗値)の上昇を抑えることができる感圧セン
サを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記解決しようとする課
題は、請求項1に記載されるように一対の電極シート状
基材とこの間に挿入されるスペーサシートが粘着剤によ
って接着(密着)されている感圧センサにおいて、少な
くとも前記シート状基材と前記粘着剤の境界部分に、微
細な空隙が存在しないように接着(密着)されているこ
とを特徴とする感圧センサとすることによって、解決さ
れる。
【0006】また請求項2に記載されるように、前記接
着(密着)をシート状基材上の熱プレス温度が60〜1
40℃で行うことを特徴とする感圧センサとすることに
よって、解決される。
【0007】さらにまた請求項3に記載されるように、
前記粘着剤は、前記熱プレス時の弾性率が5×10
a以下であるものを用いることを特徴とする感圧センサ
とすることによって、解決される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
請求項1に記載される発明は、一対の電極シート状基材
とこの間に挿入されるスペーサシートが粘着剤によって
接着(密着)されている感圧センサにおいて、少なくと
も前記シート状基材と前記粘着剤の境界部分に、微細な
空隙部分が存在しないように接着(密着)されている感
圧センサに関するもので、このような構成のものとする
ことによって、温度特性を向上させ、安定した感圧セン
サとすることができる。
【0009】まず本発明の感圧センサについて図1によ
り説明すると、1は感圧センサで、上部電極2を形成し
たシート状基材3、下部電極4が形成されたシート状基
材5と、その間に介在させるスペーサシート6が、粘着
剤7によって接着(密着)されて構成されるものであ
る。通常、前記スペーサシート6には、その両面に粘着
剤が塗布されたものが使用される。そして前記シート状
基材3、5並びにスペーサシート6は、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)、ポリイミド樹脂(PI)やポリエーテルイ
ミド樹脂(PEI)からなる可撓性を有するシート状の
材料が用いられる。また前記粘着剤7としては、アクリ
ル樹脂系、ウレタン樹脂系やシリコーン樹脂系の粘着剤
が良く用いられる。なお、上部電極2は、銅箔等から形
成されたくし歯状の電極であり、下部電極4は、感圧性
塗料等からなる印刷回路として形成される。
【0010】そして前記感圧センサ1は、通常手作業に
より貼り合わせ、常温でのラミネート工法によって一体
化して製造するが、このようにして得た感圧センサにつ
いて感圧特性を調べると、温度依存性が見られ特に低温
度領域において、抵抗値が非常に高くなっていることが
ある。この原因について種々調べたところ、前記スペー
サシート6に設けられる粘着剤7とシート状基材3、5
との密着性に問題があることが判明した。これは前記粘
着剤7のシート状基材3、5とのなじみの問題が関係す
るものと思われる。すなわち、前述の工法によって製造
された場合に、図1のAあるいはBで示すような、前記
シート状基材3、5と粘着剤7の境界面に微細な空隙
(完全に接着していないか又は接着力が弱い部分)が見
られることである。そしてこの微細な空隙部分A、B
が、特に低温領域での抵抗値の上昇に影響するものと考
えられる。よってこの種の感圧センサにおいては、シー
ト状基材と粘着剤の界面に微細な空隙の存在しないもの
が、好ましいものであることがわかった。
【0011】そこで、このような微細な空隙を無くすこ
とを検討した。まず前記スペーサシートの粘着剤につい
て、粘断性特性の温度依存性を測定した。その結果、室
温付近での弾性率は大きく、そのために粘着剤とシート
状基材の密着性が十分に上がらないと考えられる。これ
は前記粘着剤とシート状基材との境界部分に微細な空隙
部分が存在していることを示していると思われる。そこ
でこのような微細な空隙を無くす方法として、前記粘着
剤に温度を加えることによって粘弾性が低下して密着性
を向上することができ、微細な空隙の存在が減少されこ
のことによって、感圧センサの低温度領域での圧力の上
昇が少なくなり、抵抗値の上昇もなくすことができるこ
とがわかった。
【0012】そこで、粘着剤の粘弾性を低下させる温度
条件について種々の実験を行った。その結果請求項2に
記載されるように、前記接着(密着)工程をシート状基
材上で測定した熱プレス温度が60〜140℃で行うこ
とによって解決できることが判明した。すなわち前記温
度範囲で、感圧センサを熱プレスするかまたは他の方法
で製造した感圧センサに、前記温度範囲の再加熱を行う
ようにすることによって、微細な空隙部分を無くすこと
ができるようになる。このような温度範囲とするのは、
この熱プレス温度が60℃未満では、粘着剤の弾性率が
十分に下がらないために密着性が不十分であり、また1
40℃を越えると前記基板の変形等が生じたりするので
この温度未満とすべきであるが、基本的には前記基板材
料の種類によって、選定されることになる。
【0013】さらにまた前記微細な空隙部分を無くす方
法として、前記粘着剤そのものの特性について検討した
結果から、前記粘着剤は、前記熱プレス時の弾性率が5
×10Pa以下であるものを用いるのが効果があるこ
とがわかった。すなわち、用いる粘着剤が前記熱プレス
時に弾性率が5×10Pa以下となるようにすること
によって、粘着剤は十分に軟らかくなり、シート状基材
と十分に濡れるようになり密着性が向上し、微細な空隙
が発生しないようにすることができる。このような手段
によっても、感圧センサの低温領域で抵抗値が高くなる
ことを防止することができることがわかった。
【0014】本発明は以上のように、感圧センサの粘着
剤とシート状基材の境界面での微細な空隙をなくすこと
によって、感圧センサの温度依存性特に低温領域の抵抗
値の上昇を防止できる。また前記感圧センサの製造時
に、60〜140℃の間で熱プレスを行うか、製造され
た感圧センサを再度前記温度範囲で熱プレスすることに
よって、粘着剤とシート状基材の境界面の微細な空隙を
なくすことができる。さらには、前記粘着剤を、熱プレ
ス時の弾性率が5×10Pa以下とすることによって
も、同様に微細な空隙をなくすことができ、特に低温領
域での抵抗値の上昇を抑えることが可能となる。
【0015】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明の効果を述べ
る。図1の構造の感圧センサを、表1の熱プレス温度条
件でそれぞれ作製し、常温における20接点における感
度のばらつき並びに温度特性を測定した。なお、前記感
圧センサの各構成材料は以下の通りである。 ・シート状基材3、5は、100μm厚さのPEN。 ・スペーサシート6は、100μm厚さのPET。 ・粘着剤7は、厚さ25μmのアクリル系粘着剤。 ・電極2は、カーボンペースト。 ・電極4は、感圧ペースト。
【0016】
【表1】
【0017】結果は表1から明らかなとおり、実験例2
〜6並びに8に記載される条件で作製されたものは、常
温での20接点における感度のばらつきが±22%以内
と安定しており、また温度特性についても−30℃〜8
0℃の温度範囲におけるスイッチのオン荷重の変動率
(%)が、実験例1並びに7と比較しても小さくなって
いることがわかる。特に実験例3〜6並びに8に記載さ
れるものは好ましいものであることがわかる。この感圧
センサについて、シート状基材と粘着剤層との間の密着
性について観察したところ、前記微細な空隙部分は見ら
れなかった。このように、感圧センサの製造時或いは従
来の熱ラミネート工法で製造後に熱プレスにより再加熱
処理を行うことによって、抵抗値の温度依存性を改善す
ることが可能となり、実用的な感圧センサを得ることが
できる。
【0018】以上のように本発明は、感圧センサの粘着
剤とシート状基材の境界面での微細な空隙をなくすこと
によって、感圧センサの温度依存性特に低温領域の抵抗
値の上昇を防止できる。また、前記感圧センサの製造時
に60(好ましくは80)〜140℃の温度で熱プレス
を行うか、製造された感圧センサを再度前記温度で熱プ
レスすることによって、粘着剤とシート状基材の境界面
の微細な空隙をなくすことができる。さらに、前記粘着
剤として、熱プレス時の弾性率が5×10Pa以下の
ものとすることによっても、同様に微細な空隙をなくす
ことができ、特に低温領域での抵抗値の上昇を抑えるこ
とが可能となる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明は一対の電
極シート状基材とこの間に挿入されるスペーサシートが
粘着剤によって接着されている感圧センサにおいて、少
なくとも前記シート状基材と前記粘着剤の間に微細な空
隙がないように接着(密着)されている感圧センサとし
たので、感度のばらつきが小さくまた温度特性について
も−30℃〜80℃の温度範囲、特に低温領域における
スイッチのオン荷重の変動率(%)を極めて小さくする
ことができ、安定した特性の感圧センサを得ることがで
きる。
【0020】また、感圧センサの製造時或いは製造後の
再加熱の熱プレス温度をシート状基板上で60〜140
℃で行うようにしたこと、さらにまたスペーサシートの
粘着剤として、熱プレス時の弾性率が5×10Pa以
下であるようなものを用いることによって、得られる感
圧センサのシート状基材と粘着剤の境界部分には、微細
な空隙がないものとすることが出きるので、このような
感圧センサは、感度のばらつきが小さくまた温度特性に
ついても−30℃〜80℃の温度範囲、特に低温領域に
おけるスイッチのオン荷重の変動率(%)を極めて小さ
くすることができ、実用的な感圧センサを得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の感圧センサの概略横断面図で
ある。
【符号の説明】
1 感圧センサ 2 くし歯状上部電極 3、5 シート状基材 4 下部電極 6 スペーサシート 7 粘着剤 A、B 微細な空隙部分

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極シート状基材とこの間に挿入
    されるスペーサシートが粘着剤によって接着(密着)さ
    れている感圧センサにおいて、少なくとも前記シート状
    基材と前記粘着剤の境界部分に、微細な空隙が存在しな
    いように接着(密着)されていることを特徴とする、感
    圧センサ。
  2. 【請求項2】 前記接着(密着)は、熱プレス温度をシ
    ート状基材上の温度が60〜140℃で行うことを特徴
    とする、請求項1に記載の感圧センサ。
  3. 【請求項3】 前記粘着剤は、前記熱プレス時の弾性率
    が5×10Pa以下であるものを用いることを特徴と
    する、請求項1または2のいずれかに記載の感圧センサ。
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KR101820225B1 (ko) 2016-02-05 2018-01-19 한양대학교 산학협력단 압력 센서 및 이의 동작 방법
KR20190036814A (ko) * 2017-09-28 2019-04-05 스피나 시스템즈 주식회사 에어홀을 구비한 압력센싱시트 및 이의 제조방법
JP7558047B2 (ja) 2020-12-02 2024-09-30 日東電工株式会社 スペーサ

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KR102018775B1 (ko) 2017-09-28 2019-11-04 스피나 시스템즈 주식회사 에어홀을 구비한 압력센싱시트의 제조방법
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