JP2003329068A - ベンチレーテッドロータ - Google Patents

ベンチレーテッドロータ

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JP2003329068A
JP2003329068A JP2002135269A JP2002135269A JP2003329068A JP 2003329068 A JP2003329068 A JP 2003329068A JP 2002135269 A JP2002135269 A JP 2002135269A JP 2002135269 A JP2002135269 A JP 2002135269A JP 2003329068 A JP2003329068 A JP 2003329068A
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JP2002135269A
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Jiro Takamitsu
二郎 高光
Takao Murakami
貴夫 村上
Masahiko Shinto
雅彦 新堂
Hiroyuki Kondo
弘之 近藤
Tsutomu Matsunaga
勤 松永
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベンチレーテッドロータの冷却性能を従来よ
り向上させる。 【解決手段】 複数の隔壁52,54を、その全長にわ
たって、その内周側端を通るロータ10の半径に対し
て、外周側の部分ほど回転方向前方に位置するように傾
斜させるとともに、外周側端の近傍部の傾斜角度が、内
周側端の近傍部の傾斜角度より大きくなるように湾曲さ
せ、外周側端と内周側端とを結ぶ直線が、その内周側端
を通るロータの半径に対してなす角度を35度に選定す
る。CFDの計算によれば、隔壁傾斜角の増加に伴って
通風孔を通過する風量が減少する領域においてロータの
冷却性能が極大値を示す角度が存在し、かつ、その冷却
性能は、冷却風量が極大となり、隔壁傾斜角が負である
ロータにおける冷却性能より高く、ロータ10に従来よ
り優れた冷却性能が得られる。長隔壁に連通穴を設けて
長隔壁の後方の通風孔に空気を流入させて冷却させても
よい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスクブレーキ
用のロータに関するものであり、特に、互いに反対向き
の2つの摩擦面を備えたディスクロータの内周側から外
周側へ貫通する複数の通風孔が形成されたベンチレーテ
ッドロータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ベンチレーテッドロータ(以下、特に必
要がない限りロータと略称する)においては、従来、
「通風孔を通過する風量が最大であるロータが冷却性能
も最良である」と考えられ、通風孔を流れる空気の流量
を多くすることに努力が払われてきた。そのため、従来
は、複数の通風孔の間に形成される隔壁の内周側端部
が、特開平6−33961号公報や特許第317076
2号公報に記載されているように、内周側端を通るロー
タの半径に対して外周側に向かうに従って、車両前進時
の回転方向の後方に向かう向きに傾斜させられていた。
【0003】また、上記特開平6−33961号公報に
は、複数の隔壁を交互に長隔壁および短隔壁とし、短隔
壁の内周側端が長隔壁の内周側端より外周側に位置する
ようにして、通風孔の内周側の開口面積をできる限り大
きくすることが記載されており、特許第3170762
号公報には、隔壁に、その隔壁を厚さ方向に貫通して隔
壁の両側の通風孔を互いに連通させる連通穴を形成し、
その連通穴を通過する空気の流れにより、隔壁の回転方
向に関して後ろ側の面からの流れの剥離を抑制すること
が記載されており、いずれもロータの冷却性能向上に有
効であるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】しかしながら、本発明の発明者らは、ロータの冷却
性能は、必ずしも通風孔内の空気の流量(風量)が多い
ほど良くなるわけではないという事実を発見した。すな
わち、隔壁の内周側端部を、内周側端を通るロータの半
径に対して従来とは逆向きに傾斜させると、空気が通風
孔に流入し難くなって、通風孔を流れる風量は減少する
のであるが、冷却性能はかえって向上するという事実を
発見したのである。
【0005】本発明は、この事実の発見に基づいて、ベ
ンチレーテッドロータの冷却性能を従来より向上させる
ことを課題としてなされたものであり、本発明によっ
て、下記各態様のベンチレーテッドロータが得られる。
各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付
し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載す
る。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするため
であり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組
合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈さ
れるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載
されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用し
なければならないわけではない。一部の事項のみを選択
して採用することも可能なのである。
【0006】なお、以下の各項において、 (1)項が請求
項1に相当し、 (3)項が請求項2に、 (4)項が請求項3
に、 (5)項が請求項4に、 (8)項が請求項5に、(11)項
が請求項6に、(12)項が請求項7に、(13)項が請求項8
にそれぞれ相当する。
【0007】(1)互いに反対向きの2つの摩擦面を備
えたディスクロータに、そのディスクロータの内周側か
ら外周側へ貫通する複数の通風孔が形成されたベンチレ
ーテッドロータであって、前記複数の通風孔の互いに隣
接するものの間にそれぞれ形成される隔壁の内周側端部
が、その内周側端を通る当該ベンチレーテッドロータの
半径に対して、外周側に向かうに従って回転方向前方に
向かう向きに傾斜させられたことを特徴とするベンチレ
ーテッドロータ。ロータは正逆両方向に回転するが、こ
の回転方向前方は、ロータが車両に装着された状態にお
いて、車両前進時の回転方向である正方向に回転する際
における回転方向前方である。内周側端部の望ましい傾
斜角度は、隔壁の湾曲の有無、湾曲の大きさ、短隔壁の
有無、連通穴の有無、ダストカバー,エアスクープ等ロ
ータ周辺の構造、その他の事情によって変化するが、隔
壁の内周側端部を、その内周側端を通るロータの半径に
対して外周側に向かうに従って回転方向前方に向かう向
きに傾斜させることによって、従来のように、隔壁の内
周側端部を、外周側に向かうに従って回転方向後方に向
かう向きに傾斜させる場合に比較してロータの冷却性能
を向上させることができる。ダストカバーにエア導入用
のガイドであるエアスクープが設けられれば、ダストカ
バー内へ風が強制的に送り込まれ、ロータの冷却性能が
向上する。本発明においてもエアスクープの配設を排除
するものではないが、本発明に従えば、エアスクープを
設けなくても優れた冷却性能を得ることができる。ロー
タは、一体に製造してもよく、別々に製造された複数の
部材を組み合わせて固定し、一体のロータとすることに
より製造してもよい。 (2)項ないし(13)項にそれぞれ記
載のロータについても同様である。
【0008】(2)前記隔壁が全長にわたって、外周側
の部分ほど回転方向前方に位置するように傾斜させられ
た (1)項に記載のベンチレーテッドロータ。 (3)前記隔壁の前記外周側端と内周側端とを結ぶ直線
が、当該ベンチレーテッドロータの前記内周側端を通る
半径に対してなす角度が20°〜60°の角度範囲から
選定された (1)項または (2)項に記載のベンチレーテッ
ドロータ。前述のように、ロータの内周側端部の望まし
い傾斜角度は、他の条件との関係で変わるのであるが、
一般的には、ロータの半径に対してなす角度が20°〜
60°の角度範囲から選定されることが望ましく、25
°以上あるいは30°以上とされること、および55°
以下あるいは50°以下とされることがさらに望まし
い。 (4)前記隔壁が、前記外周側端の近傍部の傾斜角度
が、前記内周側端の近傍部の傾斜角度より大きくなるよ
うに湾曲させられた (1)項ないし (3)項のいずれかに記
載のベンチレーテッドロータ。隔壁は、外周側端の近傍
部の傾斜角度が内周側端の近傍部の傾斜角度より小さく
なるように湾曲させられたものとすることも、湾曲しな
い直線的なものとすることも可能であるが、本項に記載
のベンチレーテッドロータにおけるように、外周側端の
近傍部の傾斜角度が内周側端の近傍部の傾斜角度より大
きくなるように湾曲させられたものとすることが望まし
い。通風孔の横断面積を内周側端から外周側端までほぼ
一定にすることが容易になることや、隔壁が長くなって
ベンチレーテッドロータ全体としての伝熱面積が大きく
なること等がその理由である。
【0009】(5)前記複数の隔壁の一部のものの内周
側端が他の隔壁の内周側端より外周側に位置させられた
(1)項ないし (4)項のいずれかに記載のベンチレーテッ
ドロータ。隔壁の数が比較的少ない場合(50枚未満、
例えば40枚)には、全ての隔壁の内周側端が一円周上
に位置するようにすることができる。しかし、隔壁の数
が多い場合(50枚以上、例えば60枚)には全ての隔
壁の内周側端を一円周上に位置させると、互いに隣接す
る隔壁の内周側端部間の距離が小さくなって通風孔の流
入口面積が狭くなり、通風孔を流れる空気の量が不足す
るため、複数の隔壁の一部のもの(例えば1枚おきのも
の)の内周側端を他の隔壁の内周側端より外周側に位置
させ、実質的に流入口面積を大きくすることが望まし
い。 (6)前記複数の隔壁の前記一部のものが短隔壁、前記
他の隔壁がその短隔壁より長い長隔壁とされた (5)項に
記載のベンチレーテッドロータ。 (7)前記複数の隔壁の1つおきのものの内周側端が別
の1つおきの隔壁の内周側端より外周側に位置させられ
た (5)項または (6)項に記載のベンチレーテッドロー
タ。
【0010】(8)前記複数の隔壁の少なくとも一部の
ものに、その一部の隔壁を貫通してその隔壁の両側の通
風孔を連通させる連通穴が形成された (1)項ないし (7)
項のいずれかに記載のベンチレーテッドロータ。隔壁に
連通穴を形成すれば、隔壁の片側から反対側へ空気が流
れることを許容することができ、それによって、両側の
通風孔内の空気の流動状態を変化させ、例えば、空気と
隔壁との間の熱伝達率を増大させることができる。特
に、内周側端が内周側に位置させられる隔壁と、外周側
に位置させられる隔壁とが混在するタイプのロータにお
いては、内周側端が内周側に位置させられる隔壁のロー
タ回転方向の後ろ側に位置する通風孔への空気の流入量
が不足し勝ちであるので、その隔壁に連通穴を設け、後
ろ側の通風孔への空気の流入を許容することが望まし
い。連通穴の形成位置,横断面積,隔壁に対する傾斜角
等を適宜選定することにより、後ろ側の通風孔への空気
の流入量や流入方向を適宜変更することができる。ま
た、連通穴は、隔壁の高さ全体にわたって形成すること
も、高さの一部に形成することも可能であり、前者の場
合は、連通穴の形成によって隔壁が連通穴の両側の部分
に分離されたと考えることもできる。 (9)前記内周側端が他の隔壁より内周側に位置させら
れた隔壁に、前記連通穴が形成された (5)項ないし (7)
項のいずれかに記載のベンチレーテッドロータ。
【0011】(10)前記連通穴が、前記内周側端が他
の隔壁の内周側端より内周側に位置させられた隔壁の、
前記他の隔壁の内周側端より内周側に形成された (9)項
に記載のベンチレーテッドロータ。ここでは、上記他の
側壁を第一隔壁と称し、内周側端が他の隔壁より内周側
に位置させられた隔壁を第二隔壁と称する。ロータ回転
方向における隔壁前方の通風孔から隔壁後方の通風孔へ
連通穴を流れる空気は、ロータ内周側から外周側へ向か
う向きの成分を有しているため、連通穴が、第二隔壁
の、第一隔壁の内周側端より内周側に形成されても、連
通穴を通過した空気は第一隔壁の前方の通風孔に流入す
る。この空気はできる限り長く第一隔壁に沿って流れる
ことが、第一隔壁前方の通風孔の内壁面からできる限り
多くの熱を奪う上で望ましいため、第一隔壁の内周側端
より僅かに外周側の位置へ流入することが望ましい。連
通穴はこの要求が満たされる位置および向きで形成され
ることが望ましいのである。
【0012】(11)前記複数の通風孔の長手方向に直
角な切断平面による横断面積が、通風孔の長手方向にお
いてほぼ一定とされた (1)項ないし(10)項のいずれかに
記載のベンチレーテッドロータ。隔壁が、直線状を成
し、厚さが一定のものである場合には、通風孔の横断面
積(通風孔の長手方向、すなわち通風孔の中心線に直角
な切断平面による横断面の面積)は外周側ほど大きくな
る。したがって、通風孔の横断面積を一定とするために
は、通風孔の、ロータの回転軸線に平行な軸方向の寸法
である高さと、軸方向および通風孔の長手方向の両方に
直角な方向の寸法である幅との少なくとも一方を外周側
ほど小さくすることが必要となる。それに対し、隔壁が
湾曲させられている場合には、通風孔も湾曲する。した
がって、ロータ半径方向の位置が同じであれば、隔壁の
内周側端を通るロータ半径に対する傾斜角度が大きくな
るほど通風孔の幅が小さくなる。そのため、隔壁が湾曲
している場合には、湾曲の程度を適宜選定することによ
って、通風孔の横断面積を長手方向について一定とする
ことが容易となる。
【0013】(12)互いに反対向きの2つの摩擦面を
備えたディスクロータに、そのディスクロータの内周側
から外周側へ貫通する複数の通風孔が形成されたベンチ
レーテッドロータであって、前記複数の通風孔の互いに
隣接するものの間にそれぞれ形成される隔壁の内周側端
と外周側端とを結ぶ直線の、当該ベンチレーテッドロー
タの前記内周側端を通る半径に対する角度である隔壁傾
斜角が、当該ベンチレーテッドロータの回転方向を正と
した場合にその隔壁傾斜角の増加に伴って前記通風孔を
通過する風量が減少する領域において、当該ベンチレー
テッドロータの冷却性能が極大値をとる角度である冷却
性極大角の近傍領域に選定されたベンチレーテッドロー
タ。ロータが車両に装着された状態において、車両前進
時におけるロータの回転方向が正の回転方向である。隔
壁傾斜角は、ロータの冷却性能改善のみの観点からすれ
ば、冷却性極大角に選定されるべきであるが、実際に
は、ロータの製造の容易さや熱容量の確保等別の理由に
よって、冷却性極大角からある程度外れた角度に選定せ
ざるを得ない、あるいは選定することが望ましい場合も
ある。それらの場合も本発明に包含されるものとする。
従来は、隔壁傾斜角が負とされ、通風孔を通過する風量
(冷却風量と称する)が可及的に大きくなるようにされ
ていたが、本発明者らの実験によって、冷却風量が最大
となるように設計されたロータの、材質、摩擦面の外径
および内径、両摩擦面間の距離、隔壁の数,厚さおよび
高さを同一に保って、隔壁傾斜角を増加させると、冷却
風量は当然単調に減少するが、冷却性能は逆に向上する
ことが判明した。ただし、やがて隔壁傾斜角の増大につ
れて冷却性能が低下するに到る。すなわち、従来利用さ
れていなかった隔壁傾斜角の領域に、ロータの冷却性能
が極大値を示す角度が存在し、しかも、その極大値が従
来の冷却風量が極大となる隔壁傾斜角における冷却性能
より良くなることが判明したのである。その理由は、未
だ完全には解明されていないが、冷却性極大角の前後に
おいては、隔壁傾斜角の増大につれて通風孔を通過する
冷却風の速度が増加することから、この冷却風の速度増
大が冷却性能向上の一因となっていると推測される。冷
却風量が減少するにもかかわらず、風速が増大するのは
一見不思議な感じがするのであるが、隔壁傾斜角が正の
領域で増大するにつれて通風孔の横断面積が減少し、そ
れにつれて冷却風の速度が増大するため、不思議なこと
ではない。また、摩擦面の外径と内径とが一定の状態
で、隔壁傾斜角が正の領域で増大すれば、通風孔や隔壁
の長さが増大し、ロータの冷却風との接触面積が増大す
る。この接触面積増大も冷却性能向上の一因であると推
測される。しかしながら、冷却風速度や接触面積が増大
すれば、必ず冷却性能が向上するわけではないことも実
験によって確認されている。これは、隔壁傾斜角が冷却
性極大角を超えて増加すると、冷却風量減少の影響が、
冷却風速度や接触面積の増大の影響を上回るためではな
いかと推測される。隔壁は、(1)項のロータと同様に、
内周側端部を、その内周側端を通るロータの半径に対し
て、外周側に向かうに従って回転方向前方に向かう向き
に傾斜させてもよく、内周側端を通るロータの半径に対
して、外周側に向かうに従って回転方向後方に向かう向
きに傾斜させてもよい。後者の場合、通風孔の冷却風の
入口部分のみについて見れば、隔壁傾斜角が負である
が、入口の横断面積が大きく、通風孔に流入する冷却風
量が多く得られ、その後、隔壁が急激に回転方向前方へ
湾曲させられて、傾斜角が急激に正になることにより、
多量の冷却風が大きい速度で流れるとともに、ロータの
冷却風との接触面積の増大により、冷却性能が向上する
と推測される。前記 (1)項ないし(11)項のいずれかに記
載の特徴は、本項のベンチレーテッドロータにも適用可
能である。
【0014】(13)当該ベンチレーテッドロータの冷
却性能が、比較ロータの冷却性能、すなわち材質、摩擦
面の外径および内径、両摩擦面間の距離、隔壁の数,厚
さおよび高さが同一でかつ前記隔壁傾斜角が前記通風孔
を通過する風量が極大となる角度に選定されたベンチレ
ーテッドロータの冷却性能より、その比較ロータの冷却
性能と前記冷却性能の極大値との差の20%以上に相当
する量大きくなる領域から前記隔壁傾斜角が選定された
(12)項に記載のベンチレーテッドロータ。上記比較ロー
タは、「通風孔を通過する風量が最大であるものが冷却
性能も最良である」との従来の技術思想通りに製造され
たロータに相当する。また、上記隔壁傾斜角の選定領域
が、前記(12)項における「冷却性極大角の近傍領域」で
あることになる。本発明に係るロータの冷却性能が比較
ロータの冷却性能より大きくなる量は、比較ロータの冷
却性能と冷却性能極大値との差の40%以上,60%以
上とされることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。図1において10は、車両用
ディスクブレーキ装置のベンチレーテッドロータ(以
後、特に必要がない限りロータと略称する)である。ロ
ータ10は、有底円筒状のハット部12と、ハット部1
2の円筒状部14から半径方向外向きに延び出させられ
た円環状の摩擦板部16とを有し、ハット部12におい
てアクスルハブ20に固定されている。アクスルハブ2
0は、スピンドル22に相対回転不能かつ軸方向に相対
移動不能に取り付けられるとともに、車体(図示省略)
によって回動可能に支持されたステアリングナックル2
4により回転可能に支持されており、ロータ10がスピ
ンドル22の軸線まわりに回転させられる。
【0016】ロータ10の摩擦板部16は互いに反対向
きの摩擦面30,32を備え、それら摩擦面30,32
にそれぞれ対向してインナパッド34とアウタパッド3
6とがマウンティングブラケット38に支持されて配設
されている。インナパッド34が油圧シリンダ40によ
って摩擦板部16の摩擦面30に摩擦接触させられ、そ
の反力によってキャリパ42が移動することによりアウ
タパッド36が摩擦面32に摩擦接触させられてロータ
10の回転を抑制する。本実施形態においては、インナ
パッド34,アウタパッド36,油圧シリンダ40,キ
ャリパ42等が車輪回転抑制装置44を構成している。
図1において符号46は、ダストカバーである。
【0017】ロータ10を詳細に説明する。ロータ10
には、その内周側から外周側へ貫通する複数の通風孔5
0が形成され、これら複数の通風孔50の互いに隣接す
るものの間にそれぞれ隔壁が形成されている。本実施形
態においては、隔壁は複数枚、例えば、60枚形成され
ており、これら隔壁は、本実施形態においては、図2に
示すように、一部のものが短隔壁52、他の隔壁が短隔
壁52より長い長隔壁54とされ、短隔壁52と長隔壁
54とが交互に形成されるとともに、短隔壁52の内周
側端が長隔壁54の内周側端より外周側に位置させられ
ている。複数の隔壁の1つおきのものの内周側端が別の
1つおきの隔壁の内周側端より外周側に位置させられて
いるのである。短隔壁52および長隔壁54の各外周側
端の、ロータ10の半径方向における位置は同じであ
り、ロータ10の回転軸線を中心とする一円周上に位置
する。
【0018】複数の長隔壁54はそれぞれ、内周側端部
が、その内周側端を通るロータ10の半径に対して、外
周側に向かうに従って回転方向前方に向かう向きに傾斜
させられ、本実施形態においては、その全長にわたっ
て、その内周側端を通るロータ10の半径に対して、外
周側の部分ほど回転方向前方に位置するように傾斜させ
られるとともに、外周側端の近傍部の傾斜角度が、内周
側端の近傍部の傾斜角度より大きくなるように湾曲させ
られている。回転方向前方は、ロータ10が車両に取り
付けられた状態において、車両前進時の回転方向である
正方向に回転する際における回転方向前方である。ま
た、長隔壁54の外周側端と内周側端とを結ぶ直線が、
ロータ10の長隔壁54の内周側端を通る半径に対して
なす角度である隔壁傾斜角は、本実施形態においては、
製造の容易さを考慮して35度とされている。
【0019】短隔壁52は、長隔壁54の内周側端部が
除去された形状,寸法を有し、長隔壁54と同様に、全
長にわたって、外周側の部分ほど回転方向前方に位置す
るように傾斜させられ、かつ、その内周側端を通るロー
タ10の半径に対する傾斜角度が外周側の部分ほど大き
くなるように湾曲させられている。また、隔壁傾斜角は
35度よりやや大きくされており、複数の通風孔50の
長手方向に直角な切断平面による横断面積が、通風孔5
0の長手方向にほぼ一定とされている。通風孔50は湾
曲させられており、湾曲した中心線に直角な切断平面に
よる横断面積がほぼ一定とされているのである。なお、
短隔壁52は、上述の通り、長隔壁54の内周側端部が
除去されたものに相当し、この部分が除去されないと仮
定した場合の隔壁傾斜角度は長隔壁のそれと同じであ
る。
【0020】車輪の回転を抑制する際には、油圧シリン
ダ40に油圧が供給されてインナパッド34,アウタパ
ッド36がそれぞれ摩擦面30,32に押し付けられ、
それによりロータ10の回転が抑制され、車輪の回転が
抑制される。この際、ロータ10の温度が上昇するが、
車輪の回転に伴って風が車両内側からダストカバー46
とロータ10との間へ流入するとともに、通風孔50の
ロータ内周側の開口である入口ないし流入口から通風孔
50内に流入する。ロータ10の回転によって通風孔5
0内の空気に遠心力が作用し、外周側へ流れ、その結
果、内周側の空気が吸引されることとなるのであり、通
風孔50内を通過する風(冷却風と称する)によりロー
タ10から熱が奪い取られ、ロータ10が冷却される。
【0021】本ロータ10において短隔壁52および長
隔壁54は全部で60枚形成されていて、少なくない
が、短隔壁52と長隔壁54とは交互に1つずつ形成さ
れるとともに、短隔壁52の内周側端は、長隔壁54の
内周側端より外周側に位置させられているため、通風孔
50の流入口面積が実質的に大きくされ、通風孔50を
流れる空気の量が不足することが回避される。
【0022】本実施形態のロータ10は、従来のベンチ
レーテッドロータに比較して冷却性能に優れていること
がCFD(Computational Fluid Dynamics)に基づく計
算により確認されている。この計算の妥当性は、図3お
よび図4のグラフに示すように、ロータの送風特性およ
び放熱性能についてそれぞれ、実験装置60,62によ
り得られる実験値と、CFDの計算により得られる値と
を比較することにより確認されている。
【0023】実験装置60を図5および図6に基づいて
説明する。実験装置60の基本的な構成は、ファンの特
性を調べるために使用される装置と同じであり、ロータ
の送風特性が調べられる。ロータ10はシロッコファン
と称される遠心ファンに近いものであるからである。実
験装置60のケーシング63内の空間は仕切壁64によ
って2つに仕切られており、仕切壁64の一方の側の空
間を画定する側壁にはベルマウス66が設けられ、他方
の側の空間を画定する側壁には円筒状の取付部68が設
けられ、実験用のロータ70が回転可能に取り付けられ
るようにされている。ロータ70は、駆動源としての直
流モータ72,プーリ74,76およびベルト78を含
む回転駆動装置80によって回転させられる。ロータ7
0には、前記ロータ10と同様に、多数の通風孔81が
設けられており、ロータ70の回転によってベルマウス
66からケーシング63内に空気が吸い込まれ、通風孔
81を通過して外へ流出する。
【0024】上記仕切壁64には補助送風機82が設け
られ、ベルマウス66からケーシング63内に空気を吸
い込むようにされている。また、ケーシング63のロー
タ70が取り付けられる側の空間内には整流金網84が
設けられ、整流金網84に対して補助送風機82とは反
対側に、前記取付部68によってロータ70が取り付け
られるようにされるとともに、圧力が測定されるチャン
バ86が設けられている。ベルマウス66内の圧力およ
びチャンバ86内の圧力はそれぞれ、圧力測定器88,
90により測定される。また、ロータ70の複数の通風
孔81のうちの1つの中に熱電式の風速計92が設けら
れ、通風孔81を通る冷却風の流速が測定される。
【0025】実験装置60においてロータ70は、回転
駆動装置80により予め設定された速度で回転させら
れ、ベルマウス66からケーシング63内に空気が吸い
込まれる。同時に補助送風機82が作動させられ、それ
によってもベルマウス66からケーシング63内に空気
が吸い込まれる。これら吸い込まれた空気は整流金網8
4により流れを整えられてチャンバ86内に流入し、ロ
ータ70の通風孔81に吸い込まれ、通風孔81を通っ
て外部へ放出される。補助送風機82の作動により、チ
ャンバ86内の圧力が、車両のホイール内の圧力、すな
わち、ロータの内周側空間とほぼ同様の圧力に調整さ
れ、その状態で測定されるベルマウス66内の圧力に基
づいて、ロータ70全体の冷却風量が取得される。この
ロータ70全体の冷却風量はすべての通風孔81を流れ
る空気の流量の合計であるため、ロータ70全体の冷却
風量から各通風孔内の空気流量(通風孔毎の冷却風量)
を取得することができる。また、通風孔81の出口圧力
は大気圧であるため、チャンバ86内の圧力に基づいて
ロータ70の送風抵抗ΔPが得られる。さらに、風速計
92によって通風孔81を通る冷却風の速度が測定され
ることにより、冷却風の流速と風量との関係が得られ
る。
【0026】冷却風の風量と送風抵抗との関係は、補助
送風機82による送風量を変えることにより、複数組取
得される。補助送風機82の送風量を多くするほど、ベ
ルマウス66内の風量および流速が増大してベルマウス
66内の圧力が低減するが、チャンバ86内の圧力が増
大し、送風抵抗が減少する。
【0027】実験装置62を図7に基づいて説明する。
実験装置62はロータの放熱性能を調べるための装置で
あり、本実施形態では台上試験機とされている。実験装
置62は、実験用のロータ70を回転させる回転駆動装
置100,ロータ70の回転を抑制する回転抑制装置1
02およびロータ70の通風孔81を通過する風の量を
調整する風量調整治具104を備えている。
【0028】回転駆動装置100は、電動モータ110
を駆動源として構成されている。回転抑制装置102
は、ロータ10の回転を抑制する前記回転抑制装置44
と同様に構成され、一対の摩擦パッド112,114,
油圧シリンダおよびキャリパ(図示省略)を備えてい
る。風量調整治具104は、ロータ70の内周側近傍を
覆うカバー118を備えている。カバー118は、ロー
タ70に対して、その回転軸線に平行な方向において接
近,離間可能に設けられ、カバー118のロータ70と
の距離の調節により、ロータ70内に流入する風量が調
整される。なお、ロータ70の複数の通風孔81の1つ
に前記熱電式の風速計92が設けられる。
【0029】実験装置62によりロータ70の放熱性能
を調べる際には、回転駆動装置100によりロータ70
を予め設定された速度で回転させ、その状態で回転抑制
装置102によりロータ70の回転を抑制する。摩擦パ
ッド112,114をロータ70の互いに反対向きの2
つの摩擦面にそれぞれ押し付けては離し、このブレーキ
ング動作を繰り返し行い、ロータ70全体の温度が、例
えば、400℃に上昇した状態でブレーキを開放する。
ロータ70は回転させ続ける。
【0030】そして、ロータ70の温度と時間との関係
を調べる。その結果を図8のグラフに示す。ここではロ
ータ70の温度が400℃から200℃に下がるまでの
時間が測定され、その時間tに基づいて次式に従って冷
却係数BVが求められる。BV=ln[(400−Tair)
/(200−Tair)]/tただし、Tairは大気温度で
ある。
【0031】前記実験装置60による実験において、通
風孔81を通る冷却風の流速と風量との関係が取得され
ており、実験装置62において通風孔81を通る冷却風
の流速を風速計92により検出することによって風量が
得られ、冷却風量と冷却係数により表される放熱性能と
の関係が得られる。風量は、カバー118のロータ70
に対する距離を調節することにより調整され、その調整
に伴って変化する流速から風量が得られ、冷却係数と冷
却風量との関係が複数組得られる。
【0032】実験装置60,62においてはそれぞれ、
3種類のロータについて送風特性および放熱性能が取得
された。1つは、複数の隔壁が前記ロータ10の隔壁5
2,54と同様に湾曲させられたロータ(スパイラルロ
ータと称する)であり、1つは、直線上の通風孔がロー
タの回転方向前方に向かう向きに傾斜させられたロータ
(斜めフィンロータと称する)であり、1つは、従来の
ベンチレーテッドロータと同様に、直線状の通風孔が半
径方向に放射状に延びる状態で設けられたロータ(スト
レートロータと称する)である。これら3種類のロータ
においては、外径や厚み等が互いに異なっているが、実
験値と計算値との一致を確認するためには差し支えな
い。
【0033】図3に示すように、上記3種類のロータは
それぞれ異なる送風特性を有するが、実験装置60の実
験により得られる実験値と、CFDの計算により得られ
る値とは、いずれのロータについてもそれぞれほぼ同じ
である。また、図4に示すように、上記3種類のロータ
の各放熱性能は異なるが、実験装置62の実験により得
られる実験値と、CFDの計算により得られる値とは、
いずれのロータについてもそれぞれほぼ同じであり、ロ
ータの送風特性についても放熱性能についても、CFD
に基づく計算により得られる値が妥当であることがわか
る。
【0034】また、図示は省略するが、ロータの通風孔
を通過する冷却風の流れの方向についても、実際に観察
するとともに、CFDによる計算を行い、両者が一致す
ることを確認した。観察は、例えば、油膜法およびスチ
レントレーサ法により行った。油膜法は、油をロータに
塗布し、ロータを回転させ、停止させた直後に表面の軌
跡を見る方法であり、スチレントレーサ法は、ロータを
回転させるとともに、スチレンボールを風の流れに乗せ
て飛ばし、静止して設けられた高速度カメラでロータの
多数時点の撮影を行い、後にその画像を処理してスチレ
ンボールの軌跡を見る方法である。いずれの方法によっ
ても、冷却風の実験により得られる流れと、CFDの計
算により得られる流れとが一致する結果が得られた。
【0035】このようにCFDによれば、隔壁の数,傾
斜角,長さ等が異なる複数種類のロータを実際に用いな
くても、実際に用いて実験を行ったのと同様の結果を得
ることができる。そのため、以下に説明するように、隔
壁傾斜角が異ならされた複数種類、例えば、7種類のロ
ータのそれぞれについてCFDの計算により冷却性能を
取得し、比較した。
【0036】上記7種類のロータは、本実施形態におい
ては、図9に示すように、隔壁傾斜角が互いに異ならさ
れている。これら7種類のロータは、通風孔を通過する
冷却風量が極大となる(最大でもある)ように設計され
たロータ、すなわち図9においての隔壁を有するロー
タの、材質、摩擦面の外径および内径、両摩擦面間の
距離、隔壁の数、厚さおよび高さを同一に保って、隔壁
傾斜角を7種類(ロータを含む)に異ならせたロータ
であって、図9に示すないしの各隔壁をそれぞれ有
するロータないしである。また、ロータないし
の各々においては、ロータ10と同様に、長短2種類の
隔壁が交互に形成されるとともに、短隔壁の内周側端が
長隔壁の内周側端より外周側に位置させられている。図
9に示す隔壁ないしは長隔壁である。同じロータの
短隔壁および長隔壁には共に、同じ丸付きの数字を付し
て説明する。隔壁の長さに関係のない説明においては、
単に隔壁と称し、長短を区別しないこととする。
【0037】この冷却風量が最大となるように設計され
たロータは、通風孔を通過する風量が最大であるもの
が冷却性能も最良である、との従来の技術思想通りに製
造されたロータであり、その隔壁は、その内周側端部
が、内周側端を通るロータの半径に対して外周側に向か
うに従って、車両前進時の回転方向の後方に向かう向き
に傾斜させられており、隔壁傾斜角は負である。隔壁が
ロータの半径上に位置する場合、隔壁傾斜角が0度であ
るとする。隔壁は、内周側端と外周側端とを結ぶ直線
が、ロータの隔壁の内周側端を通る半径に対して、車
両前進時の回転方向において後方側に位置するように傾
斜させられているのであり、その隔壁傾斜角が通風孔を
通過する風量が極大となる角度に選定されている。ま
た、隔壁は、その全長にわたって、隔壁の内周側端
と外周側端とを結ぶ直線より、回転方向後方側に位置す
るように湾曲させられている。
【0038】ロータ,の各隔壁,はそれぞれ、
隔壁傾斜角が負であって、その絶対値がロータの隔壁
より大きくされている。ロータないしの各隔壁
ないしはそれぞれ、隔壁傾斜角が正であって、それぞ
れ全長にわたって、その内周側端を通るロータないし
の各半径に対して、外周側の部分ほど回転方向前方に
位置するように傾斜させられるとともに、外周側端の近
傍部の傾斜角度が、内周側端の近傍部の傾斜角度より大
きくなるように湾曲させられている。隔壁の傾斜角は
40度であり、ロータ10の長隔壁52の傾斜角よりや
や大きい。隔壁ないしは、車両前進時のロータ回転
方向を正方向とした場合に、隔壁ほど隔壁傾斜角が増
加させられている。
【0039】上記7種類のロータないしの各隔壁
ないしをそれぞれ形成する通風孔について、CFDの
計算により、冷却風の流れの方向,流速,熱伝達率およ
び圧力を取得した。その結果を、隔壁,,につい
て図10ないし図21に代表的に示す。流速について
は、隔壁,,をそれぞれ形成する通風孔について
取得した結果を図22ないし図24に示す。隔壁につ
いての取得結果の図示は省略する。
【0040】前述のように、ロータの送風特性および放
熱性能についての実験装置60,62による実験結果
と、各実験に対応するCFDによる計算値との一致が確
認されており、また、冷却風の流れの方向についても、
油膜法等による実際の観察結果とCFDによる計算結果
との一致が確認されていることから、CFDの計算によ
り得られる冷却風の流れの方向,流速,熱伝達率等は、
実際の方向および値であるとすることができる。冷却風
の流速からレイノルズ数が得られ、ヌッセルト数が得ら
れることにより、熱伝達率が得られる。熱伝達性を表す
ヌッセルト数は、レイノルズ数の0.8乗に比例し、レ
イノルズ数は管内平均流速に比例するからである。通風
孔内の圧力分布については実験を行っていないが、流速
について実験値とCFDの計算値との一致が確認されて
いるため、圧力分布については、実験を行わなくても、
実際の値と一致するとすることができる。
【0041】隔壁を形成する通風孔について冷却風の
流れを見れば、図10に示すように、冷却風は短隔壁
を形成する隣接する2つの通風孔に共通の入口に流入し
た後、その方向を殆ど変えることなく、それら2つの通
風孔にそれぞれ流入し、通風孔の外周側の開口である出
口ないし流出口から外へ流出する。流速は、図11に示
すように、通風孔の入口側の方が出口側より大きく、か
つ、上記2つの通風孔のうち、回転方向後方側(長隔壁
の前側)の通風孔の方が、前方側(長隔壁の後方
側)の通風孔より大きい。熱伝達率は、図12に示すよ
うに、回転方向後方側の通風孔の方が前方側の通風孔よ
り大きく、後方側の通風孔においては入口側の方が出口
側より大きくなっている。圧力分布は、図13に示すよ
うに、2つの通風孔においてそれぞれ、通風孔の入口側
から出口側へ向かうに従って徐々に高くなっている。な
お、図10においては、冷却風の流れの方向は、取得さ
れ、記録された方向の全部をそのまま図として示すこと
は難しく、冷却風の流れのイメージを線で示す。ロータ
,について示す流れの方向についても同じである。
【0042】隔壁を形成する通風孔について冷却風の
流れを見れば、図14に示すように、冷却風は、短隔壁
を形成する隣接する2つの通風孔に共通の入口へ流入
した後、その方向を大きく変えて上記2つの通風孔内を
通り、出口から流出する。流速は、図15に示すよう
に、上記2つの通風孔の両方において、短隔壁を形成
する2つの通風孔より大きく、入口側より出口側の方が
大きく、回転方向後方側の通風孔の方が前方側の通風孔
より大きくなっている。熱伝達率は、図16に示すよう
に、2つの通風孔においてそれぞれ、短隔壁を形成す
る2つの通風孔より大きく、入口側より出口側の方が大
きく、回転方向後方側の通風孔の方が前方側より大きく
なっている。圧力は、図17に示すように、短隔壁を
形成する2つの通風孔の各々において、通風孔の長手方
向にわたって圧力が同じである部分が生じ、かつ、回転
方向後方側の通風孔においては、入口側の方が出口側よ
り高い。
【0043】隔壁を形成する通風孔について冷却風の
流れを見れば、図18に示すように、冷却風は短隔壁
を形成する隣接する2つの通風孔に共通の入口へ流入し
た後、その方向をロータにおけるより更に大きく変え
て上記2つの通風孔に流入する。流速は、図19に示す
ように、上記2つの通風孔の両方において、短隔壁を
形成する2つの通風孔より大きく、入口側より出口側の
方が大きく、回転方向後方側の通風孔の方が前方側より
大きい。熱伝達率は、図20に示すように、2つの通風
孔の両方において、短隔壁を形成する2つの通風孔よ
り大きく、入口側より出口側の方が大きく、回転方向後
方側の通風孔の方が全体的に前方側より大きい。圧力
は、図21に示すように、短隔壁を形成する2つの通
風孔において入口側の方が出口側より高く、短隔壁を
形成する2つの通風孔におけるより最大値が大きく、最
小値が小さい。
【0044】隔壁ないしをそれぞれ形成する通風孔
について流速を比べれば、図22,図11,図23,図
24,図15および図19にそれぞれ示すように、短隔
壁ないしを形成する2つの通風孔のうち、回転方向
において後方側の通風孔の方が前方側の通風孔より流速
が大きく、2つの通風孔のいずれにおいても、隔壁傾斜
角が大きくなるほど流速が大きくなるとともに、出口側
の方が入口側より大きくなっている。
【0045】以上の結果から、隔壁傾斜角度が大きいほ
ど、通風孔の入口における冷却風の流れの方向の変化が
大きく、流速,熱伝達率および圧力が大きくなることが
わかり、流速の大小と圧力の高低とは逆の傾向を示す
が、流速の大小と熱伝達率の大小とは同じ傾向を示し、
圧力が低いほど流速が大きく、流速が大きいほど熱伝達
率が大きいことがわかる。
【0046】また、通風孔内部の平均風速を、図25の
グラフに示す。平均風速は、ここでは、短隔壁を形成す
る隣接する2つの通風孔の長手方向のほぼ中央にそれぞ
れ計測ポイントが設定され、各計測ポイントにおいて測
定された風速の平均である。この平均風速もCFDの計
算により取得される。図25のグラフから明らかなよう
に、ロータの通風孔内部の平均風速を100%とすれ
ば、隔壁傾斜角が増加するほど、平均風速の変化量が大
きく、風速が大きい。
【0047】隔壁ないしをそれぞれ有するロータ
ないしの各冷却性能を、放熱面積およびロータ冷却風
量と共に図26のグラフに示す。冷却風量および冷却性
能は、CFDの計算により取得された値に基づいて計算
される。CFDの計算により取得された冷却風の流速
と、通風孔の形状,寸法等とに基づいて冷却風量が計算
され、冷却風の質量,放熱面積および熱伝達率から冷却
性能が計算されるのである。このグラフにおいては、ロ
ータをベースロータないし比較ロータとし、ロータ
について得られる冷却性能,放熱面積および冷却風量を
それぞれ100%とし、他のロータの冷却性能等が示さ
れている。
【0048】図26のグラフから明らかなように、冷却
風量が極大(最大でもある)であるロータより、隔壁
傾斜角が大きく、冷却風量が少ないロータの方が冷却
性能が大きい。ロータは、隔壁傾斜角が負である領域
において冷却風量が極大を示し、ロータは、隔壁傾斜
角が正である領域において冷却性能が極大を示してお
り、冷却風量が少ないために、従来、利用されていなか
った隔壁傾斜角の領域、すなわちロータ回転方向におい
て傾斜角が正である領域内に、ロータ冷却性能が極大を
示す角度である冷却性極大角が存在し、しかもその冷却
性能の極大値が、従来の冷却風量が極大となる隔壁傾斜
角における冷却性能より良いことが判明したのである。
【0049】その理由は以下のように推測される。CF
Dの計算結果から明らかなように、冷却性極大角の前後
においては、隔壁傾斜角の増大につれて通風孔を通過す
る冷却風の速度が増加することから、冷却風の速度増大
が冷却性能向上の一因となっていると推測される。図2
2,図11,図23,図24,図15および図19から
明らかなように、隔壁傾斜角が大きいほど、通風孔の横
断面積が減少しており、冷却風量が減少しても流速が増
大するのである。
【0050】ロータの冷却風との接触面積の増大も冷却
性能向上の一因であると推測される。図24,図15お
よび図19から明らかなように、摩擦面の外径と内径と
が一定の状態で、隔壁傾斜角が正の領域で増大させられ
れば、通風孔や隔壁の長さが増大し、ロータの冷却風と
の接触面積が増大するのである。
【0051】また、通風孔の入口部分における圧力の増
大も冷却性能向上の一因であると推測される。図13,
図17,図21に示すように、隔壁傾斜角が大きいほ
ど、通風孔の入口部分における圧力が高くなる。車両の
走行に伴って、空気がロータの内周側空間に流入し、通
風孔の内周側の圧力が上昇する。また、ロータの回転に
よって通風孔内の空気に遠心力が作用し、外周側へ移動
させられる。その結果、内周側の空気が吸引されること
となり、その空気の流れと長隔壁の内周側端部とが衝突
して流れの向きが変わり、それによっても内周側端部近
傍の圧力が上昇する。その圧力上昇は隔壁傾斜角が大き
いほど大きく、内周側端部近傍の圧力の上昇が大きくな
って、冷却性能の向上に寄与すると推測される。
【0052】このような通風孔の入口における圧力の上
昇は、通風孔への空気の流入が妨げられることによって
生じるものであり、一見、冷却性能低下の原因になりそ
うであるが、実際にはそうならない。その理由は以下の
ように推測される。隔壁傾斜角の増大に伴う冷却風の流
速の増大および接触面積の増大によりロータの冷却性能
の向上効果が得られると同時に、通風孔入口への空気の
流入が妨げられる現象も生じるのであるが、この流入が
妨げられることによる不利益は、通風孔の入口における
圧力上昇、ひいてはその圧力上昇に起因する通風孔内の
流速増大により取り戻されるため、結果として通風孔入
口への空気の流入が妨げられることは不利益とはなら
ず、ロータの冷却性能の向上効果が得られるものと推測
されるのである。
【0053】傾斜角が最も大きい隔壁は、隔壁より
冷却性能が低い。その理由は、隔壁傾斜角が冷却性極大
角を超えて増加すると、ロータの冷却風量の減少の影響
が冷却風の流速増大や接触面積の増大等の影響を上回る
ためではないかと推測される。ロータの冷却風量が減少
すれば、通風孔を通る冷却風の熱容量が減少し、冷却風
の温度が上昇してロータとの温度差が少なくなり、ロー
タにおいては、実際には熱伝達率が減少し、それが冷
却性能を低下させると推測されるのである。
【0054】図20に示すCFDの計算結果では、ロー
タの熱伝達率がロータのそれより高いが、これは、
冷却風の温度上昇および熱容量を考慮に入れない場合の
結果であり、実際にはロータから熱を奪い取る冷却風の
熱容量が不足して実効熱伝達率が低くなり、冷却性能が
低下すると推測される。CFDによる冷却性能の計算で
は、冷却風の温度上昇および熱容量が考慮されるため、
ロータについては実際には冷却性能が下がる結果とな
り、隔壁傾斜角が増大し、流速や接触面積が増大すれ
ば、必ず冷却性能が向上するわけではないことが確認さ
れている。
【0055】ロータ10において長隔壁54の傾斜角が
35度に設定され、冷却性能が極大を示す隔壁を有す
るロータよりやや小さくされている。ロータ10の隔壁
傾斜角は、車両前進時におけるロータの回転方向を正と
した場合に、その隔壁傾斜角の増加に伴って通風孔を通
過する風量が減少する領域において、冷却性極大角の近
傍領域に選定されているのである。隔壁を有するロー
タが、通風孔の傾斜角度が、通風孔を通過する風量が
極大となる角度に選定された比較ロータであるが、本実
施形態では、その比較ロータの冷却性能よりほぼ8%大
きい冷却性能が得られる。請求項8に記載の発明との関
係で言えば、本実施形態のロータ10は、その冷却性能
が、比較ロータたるロータの冷却性能より、そのロー
タの冷却性能と冷却性能の極大値との差の90%に相
当する量大きいロータとなっているのであり、ダストカ
バー46にエアスクープが設けられていなくても、従来
のベンチレーテッドロータより高い冷却性能が得られる
ことがわかる。
【0056】ロータ10においては隔壁の数が多いが、
長さが異なる2種類の隔壁52,54が交互に形成され
ているため、通風孔50に流入する空気の量の不足が回
避され、横断面積が小さい多数の通風孔50内をそれぞ
れ、空気が高速で通過し、より冷却性能の高いロータ1
0が得られる。隔壁の傾斜角を高い冷却性能が得られる
大きさに選定することにより、車両が100km/h以上の
高速で走行している状態から停止させられる場合に発生
する熱によってもブレーキ装置が過熱しない冷却性能の
ロータを得ることができる。
【0057】なお、ロータには複数の隔壁が設けられる
が、その数および厚さは、製造上の制約およびロータ自
体に必要とされる熱容量による制約を受ける。急ブレー
キ時等に、ロータの温度が一時的にでも過大なることを
回避するために、ロータ自体に一定の熱容量が必要であ
るからである。また、車種によって最適な数および厚さ
が異なり、適宜選定される。
【0058】通風孔を形成する隔壁に連通穴を設けても
よい。その実施形態を図27ないし図32に基づいて説
明する。本実施形態のベンチレーテッドロータ150に
おいて通風孔152は、図27に示すように、前記ロー
タ10と同様に、交互に配置された短隔壁154および
長隔壁156により画定されている。これら短隔壁15
4および長隔壁156はそれぞれ、前記短隔壁および長
隔壁と同じ形状,寸法を有し、短隔壁154は、その内
周側端が長隔壁156の内周側端より外周側に位置させ
られており、長隔壁156の短隔壁154の内周側端よ
り内周側に、長隔壁156を貫通して連通穴158が形
成され、長隔壁156の両側の通風孔152を連通させ
ている。本実施形態においては、連通穴158は、長隔
壁156の高さ全体にわたって形成されており、長隔壁
156の中心線にほぼ直角に設けられている。ロータ1
50は、長隔壁156に連通穴158が設けられている
ことを除いて、ロータ10と同様の構成を有する。
【0059】このように長隔壁156に連通穴158が
形成されたロータ150についても、ロータ冷却性能等
についてCFDの計算が行われ、優れた冷却性能が得ら
れることが確認されている。なお、CFDの計算は、前
記ロータの長隔壁に、長隔壁156と同様に連通穴
を設けたロータ(ロータ´と称する)について行っ
た。それにより得られる冷却風の流れの方向,流速,熱
伝達率および圧力をそれぞれ図28ないし図31に示
す。これらの図から明らかなように、冷却風は、長隔壁
´の回転方向前方の通風孔内に流入するとともに、連
通穴を通って短隔壁´の回転方向前方(長隔壁´の
回転方向後方)の通風孔に流入する。それにより長隔壁
´の前後の通風孔内の空気の流動状態が変化させら
れ、前記ロータよりも、短隔壁´の前方(長隔壁
´の後方)の通風孔を通過する冷却風の流速が増大し、
熱伝達率が増大し、圧力が低下する。
【0060】連通穴は、長隔壁´の中心線にほぼ直角
な向きに設けられており、長隔壁´の前方の通風孔か
ら後方の通風孔へ連通穴を流れる空気は、ロータ内周側
から外周側へ向かう向きの成分を有している。そのた
め、連通穴は、長隔壁´の、短隔壁´の内周側端よ
り内周側に形成されているが、連通穴を通過した空気は
短隔壁´の前方の通風孔に流入し、短隔壁´に沿っ
て流れ、短隔壁´の前方(長隔壁´の後方)の通風
孔の内壁面から熱を奪う。ロータ´においては、長さ
が異なる2種類の隔壁が交互に設けられ、内周側端が内
周側に位置させられる長隔壁´の後ろ側に位置する通
風孔への空気の流入量が不足し勝ちであるが、長隔壁
´に連通穴が設けられることにより、後ろ側の通風孔へ
の空気の流入が許容され、流入量の不足が解消されて冷
却性能が向上する。
【0061】このように長隔壁が連通穴を有するロータ
´についての冷却性能の計算結果を図32のグラフに
示す。このグラフから明らかなように、ロータ´に
は、連通穴を有さない前記ロータより高い冷却性能が
得られ、ロータ150においては、ロータ10より高い
冷却性能が得られる。
【0062】隔壁は、湾曲しない直線的なものとしても
よい。その実施形態を図33に示す。本実施形態のベン
チレーテッドロータ200において、複数の隔壁202
は、一直線状に設けられている。これら隔壁202の長
さはいずれも同じであり、その全長にわたって、外周側
の部分ほど、その内周側端を通る半径に対して、ロータ
200の回転方向前方に位置するように一直線状に傾斜
させられており、通風孔204も同様に傾斜させられた
一直線状を成す。隔壁202の内周側端と外周側端とを
結ぶ直線が、隔壁202の内周側端を通るロータ200
の半径に対してなす角度は、例えば、45度とされてい
る。なお、隔壁202の幅(ロータの軸方向および隔壁
の長手方向の両方に直角な方向の寸法)は外周側ほど大
きくされ、通風孔204の横断面積の長手方向における
増大が小さくなるようにされている。図示は省略する
が、本ロータ200と同様に直線状の隔壁を有するロー
タについてCFDによるロータ冷却性能等の計算が行わ
れ、ロータ200において、従来のベンチレーテッドロ
ータよりも高い冷却性能が得られることが確認されてい
る。隔壁を直線的に設ける場合でも、隔壁を回転方向前
方側に傾斜させれば、隔壁を傾斜させず、あるいは回転
方向後方側に傾斜させる場合より高い冷却性能が得られ
るのである。
【0063】隔壁を直線状に設ける場合にも、前記ロー
タ10,150と同様に、複数の隔壁の一部と別の一部
との長さを互いに異ならせてもよく、短隔壁と長隔壁と
を交互に形成してもよく、長隔壁の内周側端部を短隔壁
の内周側端部より内周側に位置させ、長隔壁の内周側端
部に連通穴を設けてもよい。
【0064】また、隔壁の内周側端部を、その内周側端
を通るロータの半径に対して、外周側に向かうに従って
回転方向前方に向かう向きに傾斜させる場合、外周側端
部は、回転方向後方に向かう向きに傾斜させてもよい。
【0065】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるベンチレーテッドロー
タを備えた車両用ディスクブレーキ装置を示す側面図
(一部断面)である。
【図2】上記ベンチレーテッドロータに設けられた短隔
壁,長隔壁および通風孔の一部を示す正面図である。
【図3】上記ベンチレーテッドロータの送風特性の取得
にあたり、実験装置により得られる実験値とCFDによ
り得られる計算値との一致を示すグラフである。
【図4】上記ベンチレーテッドロータの放熱性能の取得
にあたり、実験装置により得られる実験値とCFDによ
り得られる計算値との一致を示すグラフである。
【図5】上記送風特性を調べるための実験装置を概略的
に示す正面図(一部断面)である。
【図6】上記送風特性を調べるための実験装置を概略的
に示す側面図(一部断面)である。
【図7】上記放熱性能を調べるための実験装置を概略的
に示す正面図(一部断面)である。
【図8】上記放熱性能を調べるための実験装置により得
られるロータ温度と時間との関係を示すグラフである。
【図9】本発明に係るベンチレーテッドロータの冷却効
果を検証するために、それぞれCFDによる計算が行わ
れる7種類のロータであって、傾斜角が互いに異ならさ
れた7種類の隔壁を示す図である。
【図10】上記7種類のロータのうち、ロータについ
てCFDにより得られる冷却風の流れを示す図である。
【図11】上記ロータについてCFDにより得られる
流速を示す図である。
【図12】上記ロータについてCFDにより得られる
熱伝達率を示す図である。
【図13】上記ロータについてCFDにより得られる
圧力分布を示す図である。
【図14】上記7種類のロータのうち、ロータについ
てCFDにより得られる冷却風の流れを示す図である。
【図15】上記ロータについてCFDにより得られる
流速を示す図である。
【図16】上記ロータについてCFDにより得られる
熱伝達率を示す図である。
【図17】上記ロータについてCFDにより得られる
圧力分布を示す図である。
【図18】上記7種類のロータのうち、ロータについ
てCFDにより得られる冷却風の流れを示す図である。
【図19】上記ロータについてCFDにより得られる
流速を示す図である。
【図20】上記ロータについてCFDにより得られる
熱伝達率を示す図である。
【図21】上記ロータについてCFDにより得られる
圧力分布を示す図である。
【図22】上記7種類のロータのうち、ロータについ
てCFDにより得られる冷却風の流速を示す図である。
【図23】上記7種類のロータのうち、ロータについ
てCFDにより得られる冷却風の流速を示す図である。
【図24】上記7種類のロータのうち、ロータについ
てCFDにより得られる冷却風の流速を示す図である。
【図25】前記7種類のロータについてそれぞれCFD
により得られるロータ内部の平均風速を示すグラフであ
る。
【図26】前記7種類のロータについてそれぞれCFD
により得られるロータ冷却性能等を示すグラフである。
【図27】本発明の別の実施形態であるベンチレーテッ
ドロータの隔壁および通風孔の一部を示す正面図であ
る。
【図28】図27に示すロータについてCFDにより得
られる冷却風の流れを示す図である。
【図29】図27に示すロータについてCFDにより得
られる冷却風の流速を示す図である。
【図30】図27に示すロータについてCFDにより得
られる熱伝達率を示す図である。
【図31】図27に示すロータについてCFDにより得
られる圧力分布を示す図である。
【図32】図27に示すロータについて得られる冷却性
能を前記ロータと比較して示すグラフである。
【図33】本発明の別の実施形態であるベンチレーテッ
ドロータの隔壁および通風孔を示す正面図である。
【符号の説明】
10:ベンチレーテッドロータ 30,32:摩擦面
50:通風孔 52:短隔壁 54:長隔壁 150:ベンチレー
テッドロータ 152:通風孔 154:短隔壁
156:長隔壁 158:連通穴 200:ベン
チレーテッドロータ 202:隔壁 204:通風
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新堂 雅彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 近藤 弘之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 松永 勤 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J058 AA43 AA48 AA53 BA37 CB23 CB28 DE02 DE05 FA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに反対向きの2つの摩擦面を備えた
    ディスクロータに、そのディスクロータの内周側から外
    周側へ貫通する複数の通風孔が形成されたベンチレーテ
    ッドロータであって、 前記複数の通風孔の互いに隣接するものの間にそれぞれ
    形成される隔壁の内周側端部が、その内周側端を通る当
    該ベンチレーテッドロータの半径に対して、外周側に向
    かうに従って回転方向前方に向かう向きに傾斜させられ
    たことを特徴とするベンチレーテッドロータ。
  2. 【請求項2】 前記隔壁の前記外周側端と内周側端とを
    結ぶ直線が、当該ベンチレーテッドロータの前記内周側
    端を通る半径に対してなす角度が20°〜60°の角度
    範囲から選定されたことを特徴とする請求項1に記載の
    ベンチレーテッドロータ。
  3. 【請求項3】 前記隔壁が、前記外周側端の近傍部の傾
    斜角度が、前記内周側端の近傍部の傾斜角度より大きく
    なるように湾曲させられたことを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のベンチレーテッドロータ。
  4. 【請求項4】 前記複数の隔壁の一部のものの内周側端
    が他の隔壁の内周側端より外周側に位置させられたこと
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のベン
    チレーテッドロータ。
  5. 【請求項5】 前記複数の隔壁の少なくとも一部のもの
    に、その一部の隔壁を貫通してその隔壁の両側の通風孔
    を連通させる連通穴が形成されたことを特徴とする請求
    項1ないし4のいずれかに記載のベンチレーテッドロー
    タ。
  6. 【請求項6】 前記複数の通風孔の長手方向に直角な切
    断平面による横断面積が、通風孔の長手方向においてほ
    ぼ一定とされたことを特徴とする請求項1ないし5のい
    ずれかに記載のベンチレーテッドロータ。
  7. 【請求項7】 互いに反対向きの2つの摩擦面を備えた
    ディスクロータに、そのディスクロータの内周側から外
    周側へ貫通する複数の通風孔が形成されたベンチレーテ
    ッドロータであって、 前記複数の通風孔の互いに隣接するものの間にそれぞれ
    形成される隔壁の内周側端と外周側端とを結ぶ直線の、
    当該ベンチレーテッドロータの前記内周側端を通る半径
    に対する角度である隔壁傾斜角が、当該ベンチレーテッ
    ドロータの回転方向を正とした場合にその隔壁傾斜角の
    増加に伴って前記通風孔を通過する風量が減少する領域
    において、当該ベンチレーテッドロータの冷却性能が極
    大値をとる角度である冷却性極大角の近傍領域に選定さ
    れたことを特徴とするベンチレーテッドロータ。
  8. 【請求項8】 当該ベンチレーテッドロータの冷却性能
    が、比較ロータの冷却性能、すなわち材質、摩擦面の外
    径および内径、両摩擦面間の距離、隔壁の数,厚さおよ
    び高さが同一でかつ前記隔壁傾斜角が前記通風孔を通過
    する風量が極大となる角度に選定されたベンチレーテッ
    ドロータの冷却性能より、その比較ロータの冷却性能と
    前記冷却性能の極大値との差の20%以上に相当する量
    大きくなる領域から前記隔壁傾斜角が選定されたことを
    特徴とする請求項7に記載のベンチレーテッドロータ。
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