JP2003328976A - 自吸式ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転子への異物の噛み込み、絡み付きを防
ぎ、ポンプ内の異物の付着、残留を低減する自吸式ポン
プを提供する。 【解決手段】 吸水口１１を有するモータ部１０と、ポ
ンプ部３０と、吐出口５１を有する吐出部５０を備え、
モータ部１０では固定子１４の内周に沿って磁性体を有
する回転子１７がモータ部１０の中心に設けられた固定
軸２０に回転自在に支持され、ポンプ部３０では回転子
１７に設けられた羽根車１８が固定軸２０を中心に回転
し吸水口１１から流れてきた水を吐出口５１へ送る自吸
式ポンプ１であって、モータ部１０を流れる水の流水路
２３が、回転子１７の外周部と固定子１４の内周壁との
間に設けらている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、キャンドタイプの
自吸式ポンプに関し、回転子への異物の噛み込み、絡み
付きを防ぎ、ポンプ内の異物の付着、残留を低減する自
吸式ポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より自吸式ポンプは、例えば、追い
焚き機能付き風呂装置等に用いられる循環式給湯器の循
環ポンプとして使用され、浴槽の水を再加熱し装置内を
循環させ再び浴槽に供給する働きをしている。

【０００３】従来例の自吸式ポンプを、図２に示すポン
プ要部の縦断面図を用いて説明する。図２において、自
吸式ポンプ１００は、吸水口１１１を備えた吸水管１１
２を有するモータ部１１０と、ポンプ部１３０と、吐出
口１５１を有する吐出部１５０とからなり、モータ部１
１０と、ポンプ部１３０とが立形に形成され、上部ケー
シング１６１と下部ケーシング１６２とがパッキン１６
３を挟み一体に構成されている。

【０００４】モータ部１１０は、上部ケーシング１６１
の外周に沿ってリング状に設けられた固定子１１４と、
固定子１１４の側部に配されたセンサレス駆動型駆動回
路１１５がモールド樹脂１１６によってモールドされ、
また、固定子１１４の内周に沿って上部ケーシング１６
１内に配された磁性体１１８を有する回転子１１７とか
ら構成されている。

【０００５】回転子１１７は、回転軸１２１と、回転軸
１２１の基部に接続された羽根車１２２と、さらに羽根
車１２２に接続された磁性体１１８とからなり、回転軸
１２１によってモータ部１１０の中心に配された固定軸
１２０に回転自在に支持されている。

【０００６】また、モータ部１１０には、流水路１２３
が回転子１１７の回転軸１２１の外周部と磁性体１１８
との間に設けられ、吸水口１１１から吸水した水をポン
プ部１３０に流すようになっている。

【０００７】前記ポンプ部１３０では、回転子１１７に
設けられた羽根車１２２が回転し、流水路１２３から流
れてきた水を吐出部１５０の吐出口１５１へ送りポンプ
１００外部に吐出して水を装置内に循環させるものであ
る。

【０００８】上記従来の自吸式ポンプ１００では、吸水
口１１１から吸水した水中１１３に混在する異物１２
４、特に毛髪や糸くずなどの長尺状の異物が流水路１２
３を通過する際に、回転子１１７の遠心力、或いは回転
子１１７の構成物（例えば、回転軸１２１と磁性体１１
８に挟まれた羽根車１２２の上部接続端部１１９）が原
因となって、例えば、図２に示すように、回転軸１２１
と磁性体１１８の間に噛み込んだり、また回転子１１７
に絡んで巻き付いてしまうことがある。

【０００９】この異物１２４が回転子１１７に付着し残
留すると、流水路１２３での流れを悪化させて異物１２
４がますます回転子１１７に付着し易くなり、さらに回
転子１１７の回転を阻害して回転不良を引き起こしポン
プ特性を低下させたり、最悪の場合には回転子１１７の
回転を停止させ固定子１１４の過熱によりポンプ１００
を故障に至らせるという問題がある。

【００１０】上記問題の対策として、吸水管１１２内に
ストレーナを設けてモータ部１１０への異物１２４の流
入を防ぐことができるが、その設置スペースを必要とし
てポンプが大きくなり、コストも高くなるという問題、
流量面積を縮小してポンプ特性を低下させる問題や、ま
たストレーナに溜まる異物を定期的に除去する必要があ
りその負担が増加するという問題がある。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、モー
タ部、特に回転子への異物の噛み込みや絡み付きを防止
して、ポンプ内部の異物の付着や残留に起因する問題を
解消するもので、たとえ毛髪や糸くずなどがポンプ内に
流れ込んでもそのままポンプ外に吐出することができ、
異物による回転子の回転不良によるポンプ特性の低下や
故障を防止し、また、固定子の冷却効果の向上、回転子
の製造管理や組み立て性の向上を図ることのできる自吸
式ポンプを提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、吸水
口を有するモータ部と、ポンプ部と、吐出口を有する吐
出部を備え、前記モータ部では、固定子の内周に沿って
磁性体を有する回転子が、モータ部の中心に設けられた
固定軸に回転自在に支持され、前記ポンプ部では、前記
回転子に設けられた羽根車が前記固定軸を中心に回転
し、前記モータ部の前記吸水口から流れてきた水を前記
吐出部の前記吐出口へ送る自吸式ポンプであって、前記
モータ部を流れる水の流水路が、前記回転子の外周部と
前記固定子の内周壁との間に設けられたことを特徴とす
る自吸式ポンプである。

【００１３】請求項２の発明は、前記回転子と前記羽根
車とが磁性樹脂により一体に形成されたことを特徴とす
る請求項１に記載の自吸式ポンプである。

【００１４】請求項３の発明は、前記固定軸の上端を保
持する保持部が、山形状であり、前記吸水口から吸水さ
れた水を前記回転子の外周部に導く流水路を形成したこ
とを特徴とする請求項１又は２に記載の自吸式ポンプで
ある。

【００１５】この発明の自吸式ポンプによれば、吸水口
からの流水は回転子の外周部と固定子の内周壁との間に
設けられた流水路を通過しポンプ部に流れ込むようにな
り、この流水路中には異物の流れを遮るような障害物が
排除されているので、流水中に混在する異物は流水と共
にそのままポンプ部に流れる。従って、毛髪、糸くずな
どの長尺状の異物が含まれていても、回転子が異物を噛
み込んだり、絡み付かせることがなく、異物はポンプ部
を経て吐出口からポンプ外部に吐出することができ、ま
た、流水路が固定子に近づき、その発熱部の冷却効果が
向上することもできる。

【００１６】さらに、山形状の固定軸上端の保持部によ
り、吸水口からの水を回転子の外周部の流水路に効率よ
く導くことができるので、流水中の異物が固定軸周辺に
侵入するのを防ぐことができる。

【００１７】また、回転子と羽根車とが磁性樹脂により
一体化されることで、回転子の成形寸法管理の向上や回
転振れ防止を図ることができ、さらに部品点数減、その
組み立て性の向上によるコストダウンも可能となる。

【００１８】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態について、図１
に示す自吸式ポンプ１の縦断面図に基づき説明する。

【００１９】自吸式ポンプ１は、吸水口１１を備えた吸
水管１２を有するモータ部１０と、ポンプ部３０とが立
形に形成され、さらに吐出口５１を有する吐出部５０を
備えて、上部ケーシング６１と下部ケーシング６２がパ
ッキン６３を挟み一体に構成されている。

【００２０】モータ部１０は、上部ケーシング６１の外
周に沿ってリング状に設けられた固定子１４と、固定子
１４の側部に配されたセンサレス駆動型駆動回路１３
と、固定子１４の内周に沿って上部ケーシング６１内に
回転自在に配された回転子１７とから構成されている。

【００２１】固定子１４は、鉄心１５とそれに巻回され
た巻線１６とからなり、鉄心１５の側部に配されたセン
サレス駆動型駆動回路１３と共に全体がモールド樹脂２
７でモールドされ、モータ部１０の電気部品を保護し耐
水性を向上している。

【００２２】回転子１７は、磁性樹脂により成形された
円筒状体を有し、中心軸部に固定軸２０に挿入するため
の貫通孔が設けられ、またその基部１９には羽根車１８
が配されて全体が磁性樹脂により一体成形されたもので
ある。

【００２３】そして、回転子１７は、下部ケーシング６
２の下部軸保持部６４と上部ケーシング６１により形成
された支持体６６の中心に設けられた上部軸保持部６５
とに挟持された固定軸２０に、上下の軸受２２ａ、２２
ｂ及びスラストワッシャー２１を介して、羽根車１８が
ポンプ部３０に位置するようにモータ部１０の中心に回
転自在に支持されている。

【００２４】そして、このモータ部１０を流れる水の流
水路２３は、回転子１７の外周部と固定子１４の内周壁
である上部ケーシングの内周壁６７との間の円筒状の空
間部に設けられている。

【００２５】また、モータ部１０の入口部分に位置する
上部ケーシング６１に設けられている上部軸保持部６５
は、モータ部１０の中心軸を頂とする山形状に形成され
ている。

【００２６】この自吸式ポンプ１では、回転子１７の回
転によってポンプ部３０の羽根車１７が固定軸２０を中
心に回転し、その自吸作用により吸水口１１から吸水さ
れた水がモータ部１０の流水路２３を流れてポンプ部３
０に流れ込み、さらに羽根車１８の回転作用により吐出
部５０に送られ、吐出口５１からポンプ１外部に吐出さ
れるもので、ポンプ１内に水が充満すると本格的な吐水
運転を開始して水を装置内に循環させるものである。

【００２７】上記構成の自吸式ポンプ１では、モータ部
１０の水は、回転子１７の外周部と固定子１４内側のケ
ーシング内周壁６７との間に設けられた円筒状空間部を
流水路２３として流れるので、この流水路２３は流水を
遮るような障害物が無く、外部から吸引された水中に混
在する異物２４は流水と共にそのままポンプ部３０に流
れ込むことになる。

【００２８】また、モータ部１０入口に位置する山形状
を有する固定軸保持部６５は、吸水口１１から吸引され
る水流２５を、回転子１７外周の流水路２３に均一に分
散させ導く働きをする。これにより、水中に含まれる異
物２４はその山頂周辺部を通り抜けて流水路２３に流れ
るので、異物２４が固定軸２０の周辺部に侵入するのを
防ぎ、軸部に配されたスラストワッシャー２１等への絡
み付きを防止することができる。なかでも、保持部６５
は頂が曲面である山形状であることが、長尺状の異物の
引っ掛かりを防ぐ効果もあり好ましい。

【００２９】これにより、水中に毛髪や糸くずなどの長
尺状の異物が含まれていても、モータ部１０において
は、異物を噛み込んだり、回転子１７に絡み付くことが
なく、また流水路２３には異物が引っ掛かりの原因とな
る障害物が排除され回転子１７に巻き付くトラブルを防
ぐことができる。

【００３０】従って、自吸式ポンプ１では、水中に混在
する異物２４は流水と共に流水路２３をスムーズに通過
してポンプ部３０に流れ込み、ポンプ部３０における羽
根車１８の回転作用により吐出部５０に送られ吐出口５
１からそのままポンプ１外に吐出される。

【００３１】また、モータ部１０では、流水路２３が従
来のポンプ構造よりも固定子１４に接近して配置される
ので、固定子１４の巻線１６や駆動回路１３の発熱をよ
り効果的に冷却することができ、過熱による故障の防止
やポンプの連続運転にも対応できるようになる。

【００３２】また、回転子１７は羽根車１８と共に磁性
樹脂により一体成形されるので、回転子１７成形時の寸
法管理が容易となり、成形精度も向上することで回転子
１７の回転振れを防止することができ、さらに回転子１
７の部品点数減や組み立て工数減によるコストダウン、
或いはストレーナ等の異物除去装置を不要とすることで
ポンプの小形化、コストダウンを図ることもできる。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の自吸式ポ
ンプでは、モータ部の流水路を回転子外周部に設けるこ
とで、ポンプ内に流入する毛髪や糸くず等の異物の噛み
付きや絡み付きを防止してポンプ内の異物の残留を低減
することで、回転子の回転不良や異物付着による流量の
低下に基づくポンプ特性の低下や故障が防止できる。ま
た、固定子の冷却効果の向上も図ることができる。

【００３４】さらに、回転子の一体成形化により、成形
寸法管理の容易化、回転振れの減少、製造コスト減によ
る安価な自吸式ポンプの提供が可能となり、この自吸式
ポンプを用いた風呂装置等の信頼性を向上することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施形態の自吸式ポンプの縦断面図である。

【図２】 従来例の自吸式ポンプの縦断面図である。

【符号の説明】

１……軸流ポンプ １０……モータ部 １１……吸水口 １４……固定子 １７……回転子 １８……羽根車 ２０……固定軸 ２３……流水路 ３０……ポンプ部 ５０……吐出部 ５１……吐出口 ６１……上部ケーシング ６２……下部ケーシング

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】吸水口を有するモータ部と、ポンプ部と、
   吐出口を有する吐出部を備え、 前記モータ部では、固定子の内周に沿って磁性体を有す
   る回転子が、モータ部の中心に設けられた固定軸に回転
   自在に支持され、 前記ポンプ部では、前記回転子に設けられた羽根車が前
   記固定軸を中心に回転し、前記モータ部の前記吸水口か
   ら流れてきた水を前記吐出部の前記吐出口へ送る自吸式
   ポンプであって、 前記モータ部を流れる水の流水路が、前記回転子の外周
   部と前記固定子の内周壁との間に設けられたことを特徴
   とする自吸式ポンプ。
2. 【請求項２】前記回転子と前記羽根車とが磁性樹脂によ
   り一体に形成されたことを特徴とする請求項１に記載の
   自吸式ポンプ。
3. 【請求項３】前記固定軸の上端を保持する保持部が、山
   形状であり、前記吸水口から吸水された水を前記回転子
   の外周部に導く流水路を形成したことを特徴とする請求
   項１又は２に記載の自吸式ポンプ。