JP2003328071A - 連続焼鈍炉用通板材およびその製造方法 - Google Patents

連続焼鈍炉用通板材およびその製造方法

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JP2003328071A
JP2003328071A JP2002134496A JP2002134496A JP2003328071A JP 2003328071 A JP2003328071 A JP 2003328071A JP 2002134496 A JP2002134496 A JP 2002134496A JP 2002134496 A JP2002134496 A JP 2002134496A JP 2003328071 A JP2003328071 A JP 2003328071A
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steel
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temperature
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JP2002134496A
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Akio Tosaka
章男 登坂
Takashi Tsukada
隆史 塚田
Mitsumasa Matsunaga
光正 松永
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JFE Steel Corp
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JFE Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続焼鈍用通板材通板材としての特性の劣化
が小さく、多数回の繰り返し使用が可能な鋼板と製造方
法を提案する。 【解決手段】 C:0.001〜0.08mass%、Si:0.50mass
%以下、Mn:0.05〜1.5mass%、P:0.20mass%以下、
S:0.015mass%以下、Al:0.1mass%以下、N:0.005m
ass%以下、Nb:0.005〜0.10mass%を含有する鋼スラブ
を、加熱温度が1000℃以上、仕上圧延出側温度が800℃
以上、巻取温度が400℃以上である熱間圧延を行い、酸
洗したのち、冷間圧延することにより、使用に供する前
の固溶Nb量が0.005mass%以上の通板材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄鋼板の製造工程
の1つである連続焼鈍ラインにおいて、焼鈍条件を変更
する際に用いる通板材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続焼鈍ラインでは、1つのラインで、
一般用冷延鋼板から超深絞り用冷延鋼板まで製造するほ
か、各種の高張力鋼板も製造している。そのため、連続
焼鈍ラインでは、各々の鋼板の要求特性に応じて、種々
の異なった条件の焼鈍が行われている。しかし、連続焼
鈍ラインの炉体は大型で、熱的慣性が大きいため、焼鈍
条件の変更は瞬時には行えない。そこで、焼鈍材が変化
するのに伴って焼鈍条件を変更する場合には、通常、
「つなぎ材」と称する通板材を通板し、この通板材がラ
インを通過する間に、炉温や冷却条件等を所定の条件に
調整することが行われている。
【0003】さらに焼鈍条件は、鋼板の板厚・板幅など
によっても変化させる必要があり、この場合にも、通板
材が使用されている。というのは、同種の製品であって
も、板厚が厚く、板幅が広いものほど熱容量が大きいた
め、同一の温度に加熱するにはより多くの熱量を投入す
る必要があり、そのためには、炉内温度はより高く設定
するか、炉内の滞留時間をより長くする(ライン速度を
低減する)といった焼鈍条件の変更が必要となるからで
ある。とくに、板幅変化が大きい場合には、鋼板の炉内
破断が起こり易いため、通板材の使用は、操業トラブル
回避のためには重要である。
【0004】上記通板材は、高温かつ張力を付加された
状態で焼鈍炉を通過するため、この間に高温変形(クリ
ープ変形)を生じて、板厚や板幅の減少が起こるほか、
焼鈍中のフェライト(α)−オーステナイト(γ)間の相変
態によって起こる膨張・収縮によって鋼板形状の乱れ
(平坦度の劣化)などの形状劣化が生じる。そのため、何
回か使用された通板材は、寸法の変化や形状の変化があ
る基準値を超えるようになると、炉内破断や蛇行トラブ
ルなどといったの操業トラブル等の不具合発生の原因と
なるため廃却される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記通板材
には、従来、何らかの欠陥を含むために製品にできない
材料が当てられることが多かった。そのため、必ずしも
高温強度を有する鋼板が使用されていたわけではなく、
わずか数回の使用で廃棄されることが多かった。また、
一本のコイル内でも、長手方向に不連続的に焼鈍条件
(通板条件)が変化するために、板厚、板幅、平坦度が長
手方向で不連続に変化し、そのため、より少ない使用回
数で廃棄される例もあった。さらに、生産量の増大や生
産品種の拡大および不具合品の減少によって、通板材が
不足する場合があり、このような場合には、やむを得ず
製品となる鋼板を通板材に転用して使用する場合もあ
り、製造コストを上げる要因にもなっていた。
【0006】上記の問題は、いわゆる耐熱鋼を用いれば
解決できる。しかし、耐熱鋼板は、高温強度や高温クリ
ープ特性には優れるものの、合金元素を多量に含むため
高コストであり、しかも、高強度であるために圧延性
(生産性)に劣り、板厚0.2〜1.8mm程度の薄板で広幅の鋼
板を低コストで製造することは難しい。このような事情
から、通板材として用いられる鋼板には、製品となる鋼
板とは別の特性、すなわち普通鋼並の成分組成を有して
製造コストが低く、しかも、連続焼鈍炉を通過する際に
大きな変形を生ずることなく繰り返し使用可能な特性が
求められる。
【0007】本発明の目的は、普通鋼並の成分組成を有
する鋼でありながら、高温条件下でも通板材としての特
性の劣化が小さく、多数回の繰り返し使用が可能な連続
焼鈍用通板材とその製造方法を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題を
解決するために、種々の成分組成を有し、種々の製造方
法で製造した鋼板について、通板材としての特性評価実
験を行った。その結果、通板板が、高温かつ張力付与下
でも高い強度(塑性変形しない)を有するためには、低炭
素鋼をベースとした成分組成でかつ固溶Nbを多く含有し
ていることのほか、フェライト−オーステナイト変態温
度が高いことが有効であることを知見し、本発明を完成
させた。
【0009】すなわち、上記知見に基づく本発明は、
C:0.001〜0.08mass%、Si:0.50mass%以下、Mn:0.0
5〜1.5mass%、P:0.20mass%以下、S:0.015mass%
以下、Al:0.1mass%以下、N:0.005mass%以下、Nb:
0.005〜0.10mass%、残部はFeおよび不可避的不純物か
らなる組成を有するとともに、固溶Nb量が0.005mass%
以上であることを特徴とする連続焼鈍炉用通板材であ
る。
【0010】なお、本発明の鋼板は、上記成分組成に加
えてさらに、Cr:0.005〜0.20mass%、Mo:0.005〜0.20
mass%、B:0.0005〜0.0040mass%、Ti:0.005〜0.10m
ass%、V:0.005〜0.10mass%のうちから選ばれる少な
くとも1種以上を含有することが好ましい。
【0011】また、本発明は、C:0.001〜0.08mass
%、Si:0.50mass%以下、Mn:0.05〜1.5mass%、P:
0.20mass%以下、S:0.015mass%以下、Al:0.1mass%
以下、N:0.005mass%以下、Nb:0.005〜0.10mass%を
含有する鋼スラブを、加熱温度が1000℃以上、仕上圧延
出側温度が800℃以上、巻取温度が400℃以上である熱間
圧延を行い、酸洗したのち、冷間圧延することにより、
使用に供する前の固溶Nb量が0.005mass%以上の鋼材と
することを特徴とする連続焼鈍炉用通板材の製造方法を
提案する。
【0012】なお、本発明の製造方法においては、上記
冷間圧延後の鋼材を、さらに、900℃以下の温度に加熱
し、500℃までを20℃/sec以上で冷却する焼鈍を行うこ
とにより使用に供する前の固溶Nb量が0.005mass%以上
の鋼材とすることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る鋼の成分組成
を限定する理由について説明する。 C:0.001〜0.08mass% Cは、その含有量が0.08mass%を超えるとフェライト−
オーステナイト変態温度の低下が大きくなり過ぎる。そ
のため、フェライト−オーステナイト変態温度以上の高
温焼鈍を行うと、加熱時には、フェライトからオーステ
ナイトへの逆変態が進行して体積収縮が起こり、一方、
均熱終了後の冷却時には加熱時とは逆に、オーステナイ
トからフェライトへの変態によって体積膨張が起こるた
め、鋼板形状が大きく乱れる。この現象は、鋼板内の温
度や冷却速度のバラツキが大きい場合に特に著しく、絞
り込み等の操業トラブルを引き起こす。一方、C量が0.
001mass%を下回ると、高温域で、フェライト粒が部分
的に異常粒成長して鋼板組織が不均一となり、機械的性
質が大きく変動する結果、使用中に破断を生じ易くなり
好ましくない。従って、C量は0.001〜0.08mass%の範
囲に制限する。加熱・冷却に対する鋼板組織の安定性を
より高めるには、0.002〜0.05mass%がより好ましい。
【0014】Si:0.5mass%以下 Siは、鋼板の高温強度を高める元素であり、適宜含有さ
せることができる。この効果を顕著に発揮させるために
は、0.005mass%以上含有させることが好ましい。しか
し、0.5mass%を超えて添加すると、焼鈍中に鋼板表面
に生ずる酸化皮膜(焼鈍後にはテンパーカラーとして認
識される)によって、炉内のロールにピックアップが発
生し、表面欠陥を発生する危険がある。このため、Siは
0.5mass%以下、好ましくは0.3mass%以下とする。
【0015】Mn:0.05〜1.5mass% Mnは、Sによる熱間割れを防止するのに有効な元素であ
り、この効果を得るためには、0.05mass%以上添加する
必要がある。しかし、1.5mass%を超えて添加すると、
フェライト−オーステナイト変態温度が大きく低下し、
焼鈍中に起こる逆変態・変態に起因して鋼板の歪みが大
きくなり好ましくない。また、多量のMn添加は、鋼板表
面への元素濃化を引き起こし、炉内ロールへの酸化物の
ピックアップを生ずる危険がある。従って、Mnは0.05〜
1.5mass%の範囲とする。より高い繰り返し使用回数が
要求される場合には、1.0mass%以下とすることが望ま
しい。
【0016】P:0.20mass%以下 Pは、鋼のフェライト−オーステナイト変態温度を上昇
させて焼鈍中のフェライトからオーステナイトへの逆変
態を抑制するため、これに起因する鋼板形状の乱れを防
止するのに有効な元素であり、0.005mass%以上含有す
ることが好ましい。しかし、0.20mass%を超えて含有す
ると、鋼板強度が高くなり、脆化する傾向がある。さら
に、焼鈍炉入側で、先行材と後行材とをシーム溶接する
際、溶接部が脆化する傾向があるので好ましくない。よ
って、Pの添加量は0.20mass%以下とする。好ましくは
0.005〜0.15mass%の範囲とするのがよい。
【0017】S:0.015mass%以下 Sは、介在物として鋼中に存在し、鋼板の延性と伸びフ
ランジ性を低下させ、鋼板エッジ荒れ部への応力集中に
よる炉内破断の危険性を増加させるので、できるだけ低
くすることが望ましい。しかし、過度の低減は、溶製コ
ストの上昇を招くため望ましくない。よって、鋼板特性
と製造コストの観点から、0.015mass%以下とする。望
ましくは0.01mass%以下である。
【0018】Al:0.1mass%以下 Alは、鋼の脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上
させるのに有用な元素である。また、鋼板組織の均一・
微細化のためにも望ましい元素であり、0.02%以上含有
することが好ましい。しかし、0.1mass%を超えて含有
させても、上記効果や延性の安定化効果は飽和してしま
い、コストの増加となる。そこで、Alの上限は0.1mass
%とする。材質のバラツキを抑えるためには0.02〜0.06
mass%が望ましい。
【0019】N:0.0050mass%以下 Nは、適正量を含有させることにより、AlNやNbNとい
った窒化物を形成し、鋼板の微視組織を均一かつ微細な
組織に保つという望ましい効果がある。この効果を得る
ためには、Nを0.0020%以上含有することが好ましい。
しかし、Nを0.0050mass%超えて含有した場合には、析
出物が粗大化する結果、組織の微細化効果が失われ、逆
に組織が不均一に粗大化するため好ましくない。また、
スラブ段階での割れ発生の危険性が増大する。よって、
Nは0.0050mass%以下とする。
【0020】Nb:0.005〜0.10mass% Nbは、後述する固溶Nb量を安定して確保し、鋼の高温域
での変形抵抗を高めることにより、高温高張力下で焼鈍
炉内を通板する際に生ずる塑性変形量を小さく抑えるの
に有効な元素である。この効果を得るためには、Nbは0.
005mass%以上含有させる必要がある。一方、その含有
量が0.10mass%を超えると、鋼板の変形抵抗が顕著に大
きくなり、熱間・冷間圧延が困難となるという問題を生
じる。よって、Nbは0.005〜0.10mass%の範囲で含有さ
せる。より好ましくは、0.01〜0.06mass%である。
【0021】固溶Nb量:0.005mass%以上 固溶Nbは、本発明では特に重要な役割を担うものであ
り、連続焼鈍における高温・張力付与状態での鋼板の塑
性変形量を小さく抑えるのに大きな効果を有する。そし
て、本発明の要求特性である繰り返し熱処理に対する耐
久性を確保するためには、使用に供する前の状態におい
て、固溶Nbを0.005%以上含有していることが重要であ
る。
【0022】なお、上記固溶Nb量は、化学分析により求
めた鋼中のNb量から析出Nb量を差引いて求めたものであ
る。この析出Nbの測定方法は、例えば、広く用いられて
いる電解抽出分析を用いることが好ましい。なお、上記
測定方法では、粒径として概ね0.2μm以上の析出Nbを測
定可能であるが、極めて微細なNb(C,N)の析出物は、
析出Nbとしては検出されずに固溶Nb量として算出される
可能性もある。しかし、発明者らは、上記のようにして
求めた固溶Nbが、繰り返し通板回数と良い相関があるこ
とを知見している。すなわち、固溶Nb、あるいは、通常
行われる分析法では析出Nbとして検出できないような微
細なNb(C,N)の析出物が、連続焼鈍における高温・張
力付与下で生ずる鋼板の塑性変形量を小さく抑えるのに
非常に有効である。
【0023】本発明は、上記必須成分の他に、下記元素
のうちのいずれか1種以上を選択して添加することがで
きる。 Cr:0.005〜0.20mass% Crは、高温域での変形抵抗を増加させる望ましい効果が
あり、重要な選択的添加元素の一つであり、0.005〜0.2
0mass%の範囲で含有することができる。 Mo:0.005〜0.20mass% Moは、Crと同様に、高温域での変形抵抗を増加させる望
ましい効果があり、重要な選択的添加元素の一つであ
り、0.005〜0.20mass%の範囲で含有することができ
る。 B:0.0005〜0.0040mass% Bは、付加的に鋼板の高温クリープ変形を抑制する好ま
しい効果がある。この効果を発揮するためには、0.0005
mass%以上の含有が好ましい。一方、0.0040mass%を超
えて含有した場合には、その効果が飽和するほか、スラ
ブの表面割れなどの発生を招くので好ましくない。 Ti:0.005〜0.10mass% Tiは、組織を均一かつ微細化する効果を有するので、延
性や伸びフランジ性の改善に寄与する。また、Sを固定
する望ましい効果があるため、0.005〜0.10mass%の範
囲で添加することができる。 V:0.005〜0.10mass% Vは、Cr,Moの効果を補う望ましい効果があるほか、高
温域で結晶組織の粗大化を抑制する効果があるため、最
終的に得られる鋼板の機械的強度も高くバラツキの小さ
いものとなる。これらの選択的に添加可能な元素は、複
合して添加しても個々の元素が有する望ましい効果が相
殺されることはない。
【0024】なお、本発明の鋼板は、その組織をフェラ
イト相の面積率:90%以上とすることが好ましい。とい
うのは、本発明の鋼板は、フェライト−オーステナイト
変態温度以上の高温域に加熱される場合にはα→γ変態
を、また、高温域から冷却される場合にはγ→α変態を
起こす。しかし、室温時にフェライト以外の炭化物相な
どが多量に存在すると、これらの相にはオーステナイト
安定化元素が濃化しているため、高温に加熱される際に
生成するオーステナイト量が増大する。そのため、繰り
返し熱処理により受けるα→γ変態、γ→α変態に伴っ
て起こる収縮・膨張量も増大する。しかも、これらの変
態は可逆的な変化ではないため、変態が繰返される度に
収縮・膨張による歪が蓄積し、変形歪となって鋼板の平
坦度を悪化させて、繰り返し使用回数を低下させる。よ
って、高温域での繰り返し焼鈍による変態歪を小さく抑
え、形状劣化を防止するためには、通板材として使用に
供する前の段階における鋼板組織は、フェライト面積率
が90%以上であることが望ましい。
【0025】次に、本発明の通板材を製造する方法のう
ち特徴的な条件について、その限定理由を説明する。ス
ラブは、鋼成分のマクロ偏析を防止し、均一性を確保す
るためには連続鋳造法で製造することが望ましいが、造
塊法、薄スラブ鋳造法によって製造してもよい。
【0026】また、スラブ製造後、熱間圧延する際の加
熱方法は、いったん室温まで冷却し、その後、再加熱す
る従来法の外、冷却しないで温片のままで加熱炉に装入
するかあるいはわずかの保熱をおこなった後、直ちに圧
延する直送圧延や直接圧延などの省エネルギープロセス
を採用することができる。
【0027】スラブ加熱温度(SRT)は、初期状態とし
て固溶状態のNb量を確保する観点から下限が規定され、
1000℃以上とする必要がある。上限温度は、酸化ロスの
増大などから1280℃以下とすることが望ましい。
【0028】仕上圧延の出側温度(FDT)は、本発明の
重要な要件である固溶Nb量を確保するためには、800℃
以上とすることが必要である。仕上圧延温度が800℃を
下回ると、固溶Nbが、Nb(C,N)として歪み誘起析出す
る結果、最終的に残存する固溶Nb量が低減し、鋼の高温
域での変形抵抗を高めることが難しくなる。また、800
℃未満の温度で圧延を終了した場合、板厚・板幅方向で
均一な組織を得られず、繰り返しの熱処理をうけた時の
異常変形の発生につながるため好ましくない。また、機
械的性質のバラツキを低減するという観点からは、850
℃以上の仕上圧延温度が望ましい。
【0029】熱延後の巻取温度(CT)は、400℃以上と
する。巻取温度が400℃を下回ると、鋼板の形状が乱
れ、圧延トラブルの原因となる。また、冷間圧延性も顕
著に低下する。一方、巻取温度が750℃を上回ると、コ
イルの長手方向の材質差が顕著となるほか、酸化膜が厚
くなり、脱スケール性が悪化するので700℃以下とする
ことが好ましい。
【0030】仕上圧延終了後〜巻取までの冷却は、常法
に従い、空冷と水冷を適宜組み合わせて行えばよい。な
お、水冷に際しては、冷却中の平均冷却速度を40℃/se
c以上とすることが、Nbの析出を抑制し、析出物を微細
化するのに有効である。一方、水冷する場合の冷却速度
の上限は、フェライト面積率を90%以上とし、かつ材質
の均一性と形状の均一性を確保するためは、300℃/sec
以下とするのが好ましい。以上の熱延条件を満たすこと
により、固溶Nb量を安定して0.005mass%以上確保する
ことが可能となる。
【0031】熱延に続く酸洗工程は、常法に準じて行え
ばよい。また、酸洗後の冷間圧延は、鋼板の機械的性質
を安定させるために、冷間圧下率を40%以上とするのが
好ましい。
【0032】本発明の鋼板は、上記冷間圧延後、焼鈍を
行っても、行わなくても良いが、焼鈍を行う場合には、
焼鈍温度は900℃以下とする。焼鈍温度が900℃を超える
と、焼鈍終了後の鋼板の組織が粗大化する傾向があり、
繰り返し使用回数が減少する。望ましくは880℃以下で
ある。
【0033】焼鈍後から500℃までの冷却は、平均冷却
速度20℃/sec以上とすることが好ましい。この冷却速
度が20℃/secを下回ると、Nbの析出が顕著となって固
溶状態のNb量が減少し、また、微細析出Nb量も低減する
ため、通板材として使用する際の高温域での変形抵抗
(強度)が低下する。固溶Nb量をさらに安定して確保する
には、30℃/sec以上の冷却速度とするのが望ましい。
一方、冷却速度の上限は、前記好ましいフェライト面積
率を確保しつつ鋼板の形状の乱れを抑えるためには、30
0℃/sec以下とするのが好ましい。500℃未満の温度域
の冷却は、通常の冷却方法で行えばよい。
【0034】
【実施例】(実施例1)表1に示す成分組成を含み、残
部が実質的にFeからなる鋼を転炉で溶製してスラブと
し、この鋼スラブを、表2,3に示す条件で熱間圧延を
行った。この際、仕上圧延終了から巻取までの冷却は、
空冷と水冷を適宜組み合わせて行い、水冷に際しては、
50〜70℃/secの冷却速度となるよう制御した。その
後、この熱延板を、酸洗し、冷間圧延して冷延板とし、
焼鈍を行わずに通板材とした。なお、この通板材につい
ては、繰り返し使用する前の固溶Nb量、フェライト面積
率を調査し、結果を、表2,3に併記した。ここで、上
記固溶Nb量は、前述した方法により分析し、また、フェ
ライト面積率は、圧延方向と直交する方向すなわち板幅
方向の断面を光学顕微鏡により400倍にて観察して測定
した。上記冷延板を、表2,3に示す条件で連続焼鈍ラ
インの通板材として使用し、固溶Nbの減少等により鋼板
組織が粗大化しあるいは板厚や板幅の減少により鋼板形
状(平坦度)の劣化などが生じて再使用に耐えなくなるま
での繰り返し使用回数を調査した。この結果も、表2,
3中に併記したが、本発明の鋼板は、比較鋼に比べ格段
に優れた使用回数を示すことがわかる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】(実施例2)C:0.015%、Si:0.005mass
%、Mn:0.8mass%、P:0.009mass%、S:0.001mass
%、Al:0.055mass%、N:0.0025mass%およびNb:0.0
18mass%の鋼スラブを素材とし、表4に示すような製造
条件で、熱間圧延、冷間圧延を行い、冷延板とした。な
お、熱延終了後から巻取までの冷却は、実施例1と同様
に行い、水冷に際しては、50〜70℃/secの冷却速度と
なるよう制御した。この冷延板について、実施例1と同
様に、固溶Nb量とフェライト面積率を調査した。そし
て、この冷延板を、通板材として繰り返し使用し、再使
用不可能となるまでの使用回数を調査した。なお、この
実施例においては、冷延後、通板材として使用に供する
前に、連続焼鈍法にて事前焼鈍を行った場合についても
調査した。上記の結果を表4中に併記したが、本発明に
従い製造した鋼板は、通板材として優れた耐久性(繰り
返し使用回数)を示すことがわかる。
【0039】
【表4】
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
連続焼鈍工程における「つなぎ材」として好適な、寸法
変化や形状劣化の小さく多数回使用ができるという特性
を有する通板材を安価に製造することができるので、操
業トラブルの防止に役立つほか、製品の製造コストの低
減にも大きく寄与する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松永 光正 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA04 EA05 EA11 EA15 EA17 EA18 EA19 EA23 EA25 EA27 EA31 EA32 EB02 EB06 EB08 FA02 FA03 FC03 FC04 FE01 FJ04 FJ05 FJ06 FK03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.001〜0.08mass%、Si:0.50mass%
    以下、Mn:0.05〜1.5mass%、 P:0.20mass%以下、
    S:0.015mass%以下、 Al:0.1mass%以下、N:0.00
    5mass%以下、 Nb:0.005〜0.10mass%、残部はFeおよ
    び不可避的不純物からなる組成を有するとともに、固溶
    Nb量が0.005mass%以上であることを特徴とする連続焼
    鈍炉用通板材。
  2. 【請求項2】上記成分組成に加えてさらに、Cr:0.005
    〜0.20mass%、 Mo:0.005〜0.20mass%、B:0.0005
    〜0.0040mass%、Ti:0.005〜0.10mass%、V:0.005〜
    0.10mass%のうちから選ばれる少なくとも1種以上を含
    有することを特徴とする請求項1に記載の連続焼鈍炉用
    通板材。
  3. 【請求項3】C:0.001〜0.08mass%、Si:0.50mass%
    以下、Mn:0.05〜1.5mass%、 P:0.20mass%以下、
    S:0.015mass%以下、 Al:0.1mass%以下、N:0.00
    5mass%以下、 Nb:0.005〜0.10mass%を含有する鋼ス
    ラブを、加熱温度が1000℃以上、仕上圧延出側温度が80
    0℃以上、巻取温度が400℃以上である熱間圧延を行い、
    酸洗したのち、冷間圧延することにより、使用に供する
    前の固溶Nb量が0.005mass%以上の鋼材とすることを特
    徴とする連続焼鈍炉用通板材の製造方法。
  4. 【請求項4】上記冷間圧延後の鋼材を、さらに、900℃
    以下の温度に加熱し、500℃までを20℃/sec以上で冷却
    する焼鈍を行うことにより、使用に供する前の固溶Nb量
    が0.005mass%以上の鋼材とすることを特徴とする請求
    項3に記載の連続焼鈍炉用通板材の製造方法。
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