JP2003327297A - 炭酸飲料注出器、炭酸飲料注出装置および炭酸飲料の取り扱い方法 - Google Patents

炭酸飲料注出器、炭酸飲料注出装置および炭酸飲料の取り扱い方法

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JP2003327297A JP2003059113A JP2003059113A JP2003327297A JP 2003327297 A JP2003327297 A JP 2003327297A JP 2003059113 A JP2003059113 A JP 2003059113A JP 2003059113 A JP2003059113 A JP 2003059113A JP 2003327297 A JP2003327297 A JP 2003327297A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 手軽に旨い炭酸飲料を味わうことができ、し
かも、容器に炭酸飲料が残存する間、炭酸飲料の旨みを
確実に維持する。 【解決手段】 容器2の口部9に装着させる装着部12
と、前記容器2内に所定圧のガスを送り込むガス供給路
13と、前記容器2内に挿入されてこの容器2内の炭酸
飲料が取り出される取出路14と、取り出された炭酸飲
料を注出させる注出部16と、取り出された前記炭酸飲
料の注出部16への通過を許可するバルブ20と、この
バルブ20の開閉状態を制御する操作レバー60とが一
体的なユニットとして構成された炭酸飲料注出器10に
おいて、前記バルブ20は、前記炭酸飲料を前記取出路
14から前記注出部16へ液体のまま通過させる第1通
路21と、前記炭酸飲料を泡状に形成する泡形成部を有
し、泡状の前記炭酸飲料を前記注出部16に通過させる
第2通路25とを炭酸飲料注出器10に備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器に収容された
炭酸飲料をコップなどに注出する炭酸飲料注出器、この
炭酸飲料注出器が装着される容器を備えた炭酸飲料注出
装置、並びに炭酸飲料注出装置を使用して炭酸飲料を取
り扱う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭等でビールや発泡酒等の炭酸飲料を
コップに移し換えて飲む場合、従来から、缶や壜などの
包装容器に収容されたものを購入し、これら包装容器か
ら直接コップに注ぎ込むことが行われている。一方、レ
ストランやビヤホールでは、専用のディスペンサを用意
し、このディスペンサでビール等をコップやジョッキに
注ぎ込むことが行われている。例えば、このようなディ
スペンサを利用してビールを注ぐ場合、泡立ち加減を調
整してビールの「こく」や「旨み」を引き立たせること
が可能となる。
【0003】近年、このような「こく」や「旨み」のあ
る本格的なビールや発泡酒を家庭で手軽に味わうことが
できないかという市場の要請が出てきた。しかし、缶や
壜などから直にビール等を注ぐ場合、「こく」や「旨
み」を引き立たせるように泡立てることはある程度の熟
練が必要で困難である。その一方、上記ディスペンサは
高価であり、家庭でこのようなディスペンサを購入する
ことも困難である。
【0004】このため、ビール等の炭酸飲料を容器に収
容し、この容器にコンパクトな注出器を取り付けて、手
軽に本格的な「こく」及び「旨み」のある炭酸飲料を注
出させる注出器の開発が進められるようになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、対象が
ビール等の炭酸飲料であるため、注出時の泡立ち加減を
調整することが、依然として困難であった。また、通常
用いられる缶や壜に比べ、容量が大きいため、すべてを
飲みきるまでにある程度の期間を要し、この間、旨み等
を維持させて保管する必要もある。この旨みを維持する
ことが困難で、旨い炭酸飲料を飲もうとすれば、一度に
飲みきってしまうことが必要であった。さらに、このよ
うなディスペンサでは、炭酸飲料を収容する容器が壜や
缶に比べその容量が大きく、容器の保管自体が困難であ
る。
【0006】本発明は、かかる問題点に鑑み成されたも
のであり、手軽に旨い炭酸飲料を味わうことができ、し
かも、容器に炭酸飲料が残存する間、炭酸飲料の旨みを
確実に維持することが可能な炭酸飲料注出器、炭酸飲料
注出装置および炭酸飲料の取り扱い方法を提供する。ま
た、注出される飲料の流れの安定化と、注出停止後の液
だれの防止とを図ることができる炭酸飲料注出器を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決するために、容器(2)の口部(9)に装着させる
装着部(12)と、前記容器(2)内に所定圧のガスを
送り込むガス供給路(13)と、前記容器(2)内に挿
入されてこの容器(2)内の炭酸飲料が取り出される取
出路(14)と、取り出された炭酸飲料を注出させる注
出部(16)と、取り出された前記炭酸飲料の注出部
(16)への通過を許可するバルブ(20)と、このバ
ルブ(20)の開閉状態を制御する操作レバー(60)
とが一体的なユニットとして構成された炭酸飲料注出器
(10)において、前記バルブ(20)は、前記炭酸飲
料を前記取出路(14)から前記注出部(16)へ液体
のまま通過させる第1通路(21)と、前記炭酸飲料を
泡状に形成する泡形成部を有し、泡状の前記炭酸飲料を
前記注出部(16)に通過させる第2通路(25)とを
備えた炭酸飲料注出器(10)を採用することとした。
【0008】例えば、ビールや発泡酒を飲む場合、いわ
ゆる「きれ」を好む者、「こく」を好む者、人それぞれ
好みに差がある。「きれ」のあるビール又は「こく」の
あるビールは注出された際の泡の状態に大きく左右され
る。上記構成を採用することで、注出されるビールにつ
いて、泡のほとんど形成されない「きれ」のあるビール
を注出すること、又はきめの細かい泡を有する「こく」
のあるビールを注出することを極めて容易に行うことが
でき、家庭で手軽に本格的な旨みのあるビールを味わう
ことができる。
【0009】なお、上記バルブ(20)について、第1
通路(21)には、その内部にてこの第1通路(21)
の軸方向に移動して、この第1通路(21)内の内周面
に形成されたシート面(24)と当接してブロックする
第1スプール(30)と、前記第2通路(25)が内部
に形成され、前記第1スプール(30)に対してその軸
線上で相対に移動可能な第2スプール(31)と、前記
第1スプール(30)と前記第2スプール(31)との
間に取り付けられて、これら両スプールを前記軸線の逆
方向に付勢する付勢部材(33)とが設けられ、前記付
勢部材(33)が前記第2スプール(31)を前記第1
スプール(30)に当接せしめて前記第2通路(25)
と前記第1通路(21)との連通部をブロックするよう
構成するとよい。このように第1通路(21)の内部に
2つのスプールを設け、これらを同一の軸線上で相互に
移動可能に構成し、かつ、第2通路(25)を前記第2
スプール(31)の内部に設けることで、バルブ(2
0)をコンパクトに形成できる。これにより炭酸飲料注
出器(10)自体をコンパクトに形成できる。
【0010】また、上記炭酸飲料注出器(10)におい
て、本発明では、前記操作レバー(60)はこの炭酸飲
料注出器(10)に枢軸を介して回転可能に取り付けら
れ、かつ、前記操作レバー(60)と前記第2スプール
(31)とはリンクを介して連結され、前記操作レバー
(60)を一方向に回転させて、前記リンクを介して前
記第1スプール(30)と前記第2スプール(31)と
を一体的に移動させて前記第1通路(21)のみを開状
態とする一方、前記操作レバー(60)を他方向に回転
させて、前記リンクを介して、前記付勢部材(33)の
付勢力に抗して前記第2スプール(31)を前記第1ス
プール(30)に対して移動させて前記連通部を開状態
とするよう構成した。
【0011】このように、第1通路(21)内に設けら
れた両スプール(30,31)の動きを操作レバー(6
0)の動きと連動させることで、極めて容易に通路の切
り換えを行え、好みの状態で炭酸飲料を注出することを
容易に行える。
【0012】なお、この炭酸飲料注出器(10)につい
て、前記操作レバー(60)を前記他方向に回転するよ
う付勢し、開状態である前記第1通路(21)が閉鎖さ
れるように前記第1スプール(30)及び前記第2スプ
ール(31)を前記リンクを介して一体に移動せしめる
復帰手段(80)を設けることで、上述の構成とこの構
成とが協働し、操作レバー(60)から手を離せば、第
1通路(21)及び第2通路(25)のいずれもがブロ
ックされた状態に自動的に復帰する。これにより、容器
(2)に収容された炭酸飲料が勝手に注出される等の不
都合を確実に防止する。
【0013】炭酸飲料を適切な温度に冷却するために、
上記炭酸飲料注出器(10)を冷蔵庫に収納することも
必要である。家庭用の冷蔵庫は、その内部に種々の物が
存在することが一般的である。このため、冷蔵庫に上記
炭酸飲料注出器(10)を収納すると、前記操作レバー
(60)が押される等して、誤作動を起こすおそれもあ
る。本発明では、前記第1通路(21)及び前記第2通
路(25)のいずれをも閉鎖する状態で前記操作レバー
(60)がこの炭酸飲料注出器(10)に対してロック
されるロック機構(100)を備え、このロック機構
(100)は、操作レバー(60)又は前記炭酸飲料注
出器(10)のケーシングの周面のいずれか一方に設け
られた係合爪(101)と、他方に設けられ、前記係合
爪(101)と係脱自在に係合する係合溝(102)と
から構成され、前記炭酸飲料注出器(10)の外殻をな
すケーシングに設けられた係合爪(101)又は係合溝
(102)は、このケーシングの周面に沿って周方向に
回転可能に設けられるように構成している。これによ
り、操作レバー(60)は機械的にロックされ、誤作動
を起こすことを確実に防止できる。なお、操作レバー
(60)のロック及びロックの解除はケーシングの周面
に沿って前記係合爪(101)を回転させるだけで行う
ことができる。
【0014】また、本発明では上記課題を解決するため
に、容器(2)の口部(9)に装着させる装着部(1
2)と、前記容器(2)内に所定圧のガスを送り込むガ
ス供給路(13)と、前記容器(2)内に挿入されてこ
の容器(2)内の炭酸飲料が取り出される取出路(1
4)と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出部(1
6)と、取り出された前記炭酸飲料の注出部(16)へ
の通過を許可するバルブ(20)と、このバルブ(2
0)の開閉状態を制御する操作レバー(60)とが一体
的なユニットとして構成された炭酸飲料注出器(10)
において、前記装着部(12)の内部には、前記ガス供
給路(13)を含めるようにして前記容器(2)の内部
空間から仕切られた高圧部屋(50)が設けられ、この
高圧部屋(50)には、その内部から前記容器(2)の
内部へ前記ガス供給路(13)から供給されるガスを逃
がす弁手段が設けられている炭酸飲料注出器(10)を
採用している。この炭酸飲料注出器(10)において、
前記高圧部屋(50)は、前記装着部(12)の内部に
て前記ガス供給路(13)及び前記取出路(14)を外
部から囲む壁面と、この壁面の下部を密閉する蓋部とか
らなり、前記蓋部には、前記取出路(14)に設けられ
たチューブ(14)が貫通する貫通孔(52a)が形成
され、前記弁手段はこのチューブ(14)の収縮を利用
してチューブ(14)の外周面と前記貫通孔(52a)
の内周部との間から前記ガスを前記容器(2)の内部に
供給するよう構成するとよい。
【0015】容器(2)にはビール等の炭酸飲料が収容
されている。このため、泡が極めて容易に発生しやす
い。この泡が炭酸飲料注出器(10)に浸入すると、予
期せぬ誤作動を起こすおそれがある。また、ガスボンベ
(3)からは、高圧の炭酸ガスが供給される。この炭酸
ガスにより、容器(2)内の炭酸飲料が炭酸飲料注出器
(10)に浸入することもあり得る。上記構成を採用す
れば極めて簡便な機構によりかかる不都合を阻止でき
る。
【0016】また、本発明では上記課題を解決するため
に、容器(2)の口部(9)に装着させる装着部(1
2)と、前記容器(2)内に所定圧のガスを送り込むガ
ス供給路(13)と、前記容器(2)内に挿入されてこ
の容器(2)内の炭酸飲料が取り出される取出路(1
4)と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出部(1
6)と、取り出された前記炭酸飲料の注出部(16)へ
の通過を許可するバルブ(20)と、このバルブ(2
0)の開閉状態を制御する操作レバー(60)とが一体
的なユニットとして構成された炭酸飲料注出器(10)
において、前記容器(2)の内部と外気とを連通せしめ
る連通路(111)と、この連通路(111)の内周面
に形成されたシート面(24)に付勢されてこの連通路
(111)を閉鎖するシール部材(116,118)
と、この連通路(111)に挿入され、前記シール部材
(116,118)が付勢される付勢力に抗して前記シ
ール部材(116,118)を移動させてこの連通路
(111)を開放せしめる開放部材(115)を備えて
構成されるガスパージ機構を設けた。
【0017】容器(2)のキャップを開け、炭酸飲料注
出器(10)を容器(2)の口部(9)に最初に装着さ
せるときに、容器(2)内に空気が混入する。この空気
は、容器(2)内の炭酸飲料にとって好ましいものでは
ない。本発明によれば、開放部材(115)を炭酸飲料
注出器(10)の外部から操作して、容器(2)の上部
に浸入する空気を容易に排気することができる。
【0018】また、本発明では上記課題を解決するため
に、容器(2)の口部(9)に装着させる装着部(1
2)と、前記容器(2)内に所定圧のガスを送り込むガ
ス供給路(13)と、前記容器(2)内に挿入されてこ
の容器(2)内の炭酸飲料が取り出される取出路(1
4)と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出部(1
6)と、取り出された前記炭酸飲料の注出部(16)へ
の通過を許可するバルブ(20)と、このバルブ(2
0)の開閉状態を制御する操作レバー(60)とが一体
的なユニットとして構成された炭酸飲料注出器(10)
において、前記注出部(16)は、その内周部の径が先
端に向かうにつれ末広がり状に形成され、かつ、内周部
の下部が斜め下方に傾けられて先方に延びている炭酸飲
料注出器(10)を採用した。
【0019】本発明によれば、注出部(16)に炭酸飲
料が残留することを効果的に防止することができる。こ
のため、注出部(16)からの液垂れのない取り扱いや
すい炭酸飲料注出器(10)を得ることができる。
【0020】なお、上記の末広がり形状を実現するた
め、前記注出部(16)の内周部(16a)の下部(1
6c)が、前記バルブ(20)側の端(16d)から前
記先端(16b)まで斜め下方に傾けられて先方に延び
てもよい。あるいは、前記注出部(16)の内周部(1
6a)の下部(16c)が、前記バルブ(20)側の端
(16d)から前記先端(16b)に向かって前記内周
部の上部(16e)に対して平行に延びる平行部(16
c1)と、該平行部との接合位置から前記先端まで斜め
下方に傾けられて先方に延びている傾斜部(16c2)
とを備えていてもよい。
【0021】前記注出部(16)にはノズル(7)が接
続され、該ノズルの内部流路(7c)には当該内部流路
の断面積を減少させる絞り部(7d)が設けられてもよ
い。このような絞り部を設けた場合には、ノズル内にお
ける飲料の通過範囲をその内部流路の一部に制限して整
流作用を生じさせることにより、絞り部の下流側におけ
る飲料の流れを安定させることができる。なお、前記絞
り部は前記ノズルの上部から下方に向かって突出するよ
うに設けられてもよい。
【0022】また、本発明では上述した課題を解決する
ため、容器(2)の口部(9)に装着させる装着部(1
2)と、前記容器(2)内に所定圧のガスを送り込むガ
ス供給路(13)と、前記容器(2)内に挿入されてこ
の容器(2)内の炭酸飲料が取り出される取出路(1
4)と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出部(1
6)と、取り出された前記炭酸飲料の注出部(16)へ
の通過を許可するバルブ(20)と、このバルブ(2
0)の開閉状態を制御する操作レバー(60)とが設け
られた炭酸飲料注出器(10)において、前記注出部
(16)にはノズル(7)が接続され、該ノズル(7)
の内部流路(7c)には当該内部流路の断面積を減少さ
せる絞り部(7d)が前記ノズル(7)の上部から下方
に向かって突出するように設けられている炭酸飲料注出
器を採用した。
【0023】本発明によれば、ノズル内における飲料の
通過範囲が絞り部により内部流路の一部に制限されるこ
とにより、整流作用が生じて絞り部よりも下流側におけ
る飲料の流れが安定するようになる。
【0024】前記ノズル(7)には先端に向かって下り
勾配を形成するように延びる傾斜部(7b)が設けら
れ、前記絞り部(7d)は前記傾斜部の上端部に設けら
れてもよい。この場合には、内部通路の入口付近で整流
作用が得られるので、ノズルから注がれる飲料の流れが
より安定する。
【0025】さらに、本発明では上記課題を解決するた
めに、容量が1000ml〜2000mlとなるように
その外寸が定められ、かつ、その上端に口部(9)の形
成された容器(2)、この容器(2)内に所定圧のガス
を送り込むガス供給路(13)と、前記容器(2)内に
挿入されてこの容器(2)内の炭酸飲料が取り出される
取出路(14)と、取り出された炭酸飲料を注出させる
注出部(16)と、取り出された前記炭酸飲料の注出部
(16)への通過を許可するバルブ(20)と、このバ
ルブ(20)の開閉状態を制御する操作レバー(60)
とが一体的なユニットとして構成された炭酸飲料注出器
(10)、並びに、前記炭酸飲料注出器(10)を介し
て前記容器(2)に供給される所定圧のガスが充填さ
れ、前記炭酸飲料注出器(10)とチューブ(6)を介
して接続され、このチューブ(6)に対して着脱自在で
あると共に、ホルダ(5)を介して前記容器(2)の外
面に着脱自在なガスボンベ(3)とを備え、前記バルブ
(20)には、前記炭酸飲料を前記取出路(14)から
前記注出部(16)へ液体のまま通過させる第1通路
(21)と、前記炭酸飲料を泡状形成する泡形成部を有
し、泡状の前記炭酸飲料から前記注出部(16)に通過
させる第2通路(25)とが形成された炭酸飲料注出装
置(1)を採用する。
【0026】容器(2)に収容された炭酸飲料を数日掛
けて飲みきる場合、炭酸飲料を適切に冷却することで、
旨みを損なうことなく炭酸飲料を飲みきることができ
る。家庭にて炭酸飲料を冷却するには、冷蔵庫が使用さ
れる。しかしながら、家庭用の冷蔵庫は、その収容スペ
ースに限りがあり、あまり容積の大きな物を収容するに
は不向きである。本発明によれば、容器(2)の容量が
1000ml〜2000mlとなるように形成されてい
るので、家庭用の冷蔵庫に収容することができ、適切に
冷却できる。また、容器(2)に上記構成の炭酸引用注
出器を取り付けているので、適切に冷却された炭酸飲料
を好みに応じて注出することができる。例えば、炭酸飲
料がビールの場合、泡の量を調節し、いわゆる「こく」
や「きれ」を自在に調整して注出できる。
【0027】さらに、本発明では上記課題を解決するた
めに、容量が1000ml〜2000mlとなるように
その外寸が定められ、かつ、その上端に口部(9)の形
成された容器(2)と、この容器(2)の前記口部
(9)に対し着脱自在に構成され、前記容器(2)に収
容された炭酸飲料を注出せしめる炭酸飲料注出器(1
0)と、前記炭酸飲料注出器(10)を介して前記容器
(2)に供給される所定圧のガスが充填され、前記炭酸
飲料注出器(10)とチューブ(6)を介して接続さ
れ、このチューブ(6)に対して着脱自在でると共に、
ホルダ(5)を介して前記容器(2)の外面に着脱自在
なガスボンベ(3)と、から構成される炭酸飲料注出装
置(1)を使用して、炭酸飲料を取り扱う方法であっ
て、前記炭酸飲料を前記容器(2)に収容し、この容器
(2)に炭酸飲料が残存する間、前記炭酸飲料注出器
(10)を前記容器(2)に装着させると共に、前記ガ
スボンベ(3)を前記チューブ(6)に接続させた状態
でこのガスボンベ(3)を前記ホルダ(5)で前記容器
(2)の外面に装着させた状態を維持する炭酸飲料の取
り扱い方法を採用した。
【0028】本発明によれば、容器(2)に前記炭酸飲
料注出器(10)を装着した状態で炭酸飲料を保存する
ので、容器(2)内の炭酸ガスが抜け出ることを防止す
ることができる。なお、ガスボンベ(3)は別体として
設けられ、チューブ(6)を介して炭酸飲料注出器(1
0)の本体と接続されているため、炭酸飲料注出装置
(1)を保管する際に、ガスボンベ(3)の取り扱いが
問題となる。しかし、ガスボンベ(3)をホルダ(5)
で容器(2)に保持させる構成を採用することで、飲料
が容器(2)に残存する間、このホルダ(5)を利用し
てガスボンベ(3)を容器(2)に保持させておけば、
ガスボンベ(3)を炭酸飲料注出装置(1)と一体的に
することができ、取り扱いを容易にすることができる。
【0029】なお、上記炭酸飲料の取り扱い方法におい
て、前記容器(2)に炭酸飲料が残存する間、この炭酸
飲料を注出する各時点同士の間で、この時間が所定の時
間を超える場合に、前記容器(2)に前記炭酸飲料注出
器(10)を装着させ、かつ、前記ガスボンベ(3)
を、前記チューブ(6)に接続させたまま前記容器
(2)の外面に装着させた状態で冷蔵庫内に保管すれば
よい。
【0030】以上の説明では本発明の理解を容易にする
ために添付図面に示した実施形態の参照符号を括弧書に
て付記したが、本発明が図示の実施形態に限定されない
ことはもちろんである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0032】図1は、本発明の一実施形態にかかる炭酸
飲料注出装置1の側面図を示している。この炭酸飲料注
出装置1は、内部にビール等の炭酸飲料を収容する筒状
の容器2と、この容器2の上端に形成された口部9に装
着させる炭酸飲料注出器10とから主として構成されて
いる。
【0033】容器2は、その胴部2aが円筒状に形成さ
れている一方、容器2の上部2bはドーム状に形成され
ている。この図1に示す容器2は胴部2aの上端縁とド
ーム状の上部2bの下端縁とが、いわゆる「かしめ」に
より一体に形成されている。また、ドーム状の上部2b
には、この容器2を開放させる円筒状の口部9がその中
央部にて上方に突出するように形成されており、後にそ
の詳細を説明する炭酸飲料注出器10が、この口部9に
着脱自在に取り付けられる。また、容器2の下端部に
は、当該炭酸飲料注出装置1の前方に張り出す液垂れ受
け部8が設けられている。この液垂れ受け部8は、炭酸
飲料注出器10から垂れ落ちる飲料を受けるために設け
られたものであり、胴部2aの外周面に当該液垂れ受け
部8を着脱自在に保持させるホルダ8aと、垂れ落ちた
炭酸飲料を受け止める皿のように形成されたトレー部8
bとから構成されている。
【0034】一方、容器2に装着された炭酸飲料注出器
10は、本体11と、本体11から前方下側に向けて延
びるノズル7と、容器2の内部に本体11を介して炭酸
ガスを供給せしめるガスボンベ3とを備えている。本体
11は、外殻をなす略円筒状のケーシング11aを有
し、ケーシング11aの内部に、容器2に収容されてい
る炭酸飲料を取り出し、コップなどに炭酸飲料を注出さ
せる機構を備えている。この機構については後に詳細を
説明する。
【0035】容器2の内部に炭酸ガスを供給するガスボ
ンベ3は、筒状に形成されておりその内部に所定圧に加
圧されている炭酸ガスを収容している。このガスボンベ
3は、このガスボンベ3の先端を自在に着脱させる減圧
弁4に取り付けられる。減圧弁4は、チューブ6で本体
11と接続されており、ガスボンベ3内の高圧炭酸ガス
を所定の圧力まで減圧させて本体11に炭酸ガスを送り
出している。また、このガスボンベ3は、容器2の胴部
にボンベホルダ5により保持される。ボンベホルダ5
は、ガスボンベ3の周面を挟み込むようにして保持する
ボンベ保持部5aと、容器2の周面を保持する容器保持
部5bとから構成されていて、ガスボンベ3を下から減
圧弁4に装着させた状態で、ガスボンベ3を容器2と一
体的な状態に維持させている。
【0036】炭酸飲料注出器10の本体11から前方に
延びるノズル7は、その根元が本体11に装着され、先
端部が斜め下方に向けて延びている。このノズル7は、
容器2内から取り出され、炭酸飲料注出器10から外部
に注出される炭酸飲料をコップなどに円滑に案内するも
のである。
【0037】本発明にかかる炭酸飲料注出装置1は、家
庭にある通常の冷蔵庫の内部でも保管することができる
ように形成されており、容器2の容量は、1000ml
〜2000mlに形成され、家庭用の冷蔵庫のドアポケ
ットに十分に収まるように、その外径が70mm〜12
0mmに形成されている。また、炭酸飲料注出器10自
体の高さが、50mm〜100mmに形成されており、
容器2の口部9に炭酸飲料注出器10を装着させた状態
でも、その全高が400mm以内となるように形成され
ている。なお、発明者等の検討によれば、容量が100
0ml以下であれば市販の家庭用冷蔵庫のドアポケット
に装置1をほぼ100%収容でき、2000ml程度で
は市販の家庭用冷蔵庫のうちほぼ50%の冷蔵庫のドア
ポケットに装置1を収容できることが確認されている。
但し、1000mlよりも容量が小さいと使用時に容器
2を頻繁に取り替える必要があり、他方、容量が200
0mlを越えると半数以上の家庭用冷蔵庫のドアポケッ
トに収容不可能となる。これらの事情を考慮すれば、工
業的には容器2の容量を1000ml〜2000mlの
間に設定することが望ましい。容器2の形成を容易に行
うこと、並びに内容物を迅速に冷却すること等を勘案す
ると、容器2をアルミニウム合金で形成するとよい。
【0038】図2〜図4は、本発明の一実施形態にかか
る炭酸飲料注出器10の構造を示している。図2は、炭
酸飲料注出器10を前後方向に切断した断面図を示し、
図3は左右方向に切断した断面図をそれぞれ示したもの
である。また、図4は炭酸飲料注出器10を後方から見
た背面図を示すものである。
【0039】炭酸飲料注出器10の本体11は、その外
殻をなす略円筒状のケーシング11aを有し、その下部
が容器2の口部9に装着させる装着部12として構成さ
れている。そして、この本体11は、ガスボンベ3から
供給される炭酸ガスを容器2の内部に導入させるガス供
給路13と、容器2に収容された炭酸飲料を取り出すチ
ューブ14と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出
部16と、取り出された炭酸飲料を注出部16へ通過さ
せるか否かを制御するバルブ20と、このバルブ20の
開閉状態を操作する操作レバー60とが一体的なユニッ
トとして構成されている。なお、一体的なユニットと
は、容器2に対して一体的に取り付け、取り外しが可能
であることを意味する。
【0040】装着部12の内周面には、容器2の口部9
に形成されたねじ部と螺合するねじが形成されており、
容器2の口部9からスクリューキャップが取り外された
後の口部9に、ねじ込むようにして、この炭酸飲料注出
器10の本体11を装着させている。
【0041】ガス供給路13は、図3に示すように、本
体11の側面部と本体11の下部とを連通するように形
成されている。本体11の側面には取付口40が設けら
れており、減圧弁4から延びるチューブ6の先端に設け
られたカップリング41が、この取付口40に取り付け
られている。カップリング41は、取付口40に対して
自在に着脱できるように構成されていて、取付口40に
装着された際、チューブ6の先端と本体11に形成され
たガス供給路13とを連通せしめている。一方、本体1
1の下部では、ガス供給路13の先端が容器2の内部に
向けて突出するように形成されている。そして、この突
出する部分には下方に向けて先細りとなるように形成さ
れたガスノズル17が装着されており、容器2の内部に
ガスを確実に送り込むことができるようになっている。
【0042】また、本体11の下部には、装着部12の
内側において、ガスノズル17を含め本体11の下部を
囲い込むようにして形成された高圧部屋50が形成され
ている。この高圧部屋50は、本体11の下部から下方
に向けて突出する環状の壁部51と、壁部51の下端を
密閉する蓋体52とから構成されている。蓋体52の内
面側にはその周縁部に壁部51との隙間をシールするO
リング53が取り付けられている。また、蓋体52には
孔52aが形成されており、本体11から下方に延びる
チューブ14を貫通させている。この高圧部屋50は、
その内部をガスボンベ3から供給される炭酸ガスを充満
させて高圧に保つことで、炭酸飲料注出器10の下部か
ら浸入等を防止している。なお、チューブ14は弾力性
があり収縮するため、このチューブ14が弁体としての
機能を有し、高圧部屋50が所定の圧力に達すると、チ
ューブ14と孔の間に隙間が形成され、高圧部屋50に
充満された炭酸ガスが容器2の内部に噴出されるように
構成されている。
【0043】蓋体52を貫通し、容器2の内部に挿入さ
れている取出路としてのチューブ14は、その下端部に
おもり15が取り付けられている。このおもり15はチ
ューブ14の下端が容器2の底面にまで到達せしめ、容
器2に収容された炭酸飲料を残すことなく取り出すこと
ができるように設けられたものである。なお、チューブ
14の全長に対する内径の比が0.5%〜0.67%と
なるものを選定すれば、このチューブ14を炭酸飲料が
通過する際に過剰に泡立つことを防止できる。
【0044】本体11の内部に設けられたバルブ20
は、その下部が容器2の内部に向けて突出するように形
成されており、取出路としてのチューブ14はその上端
がこの突出する部分に接続されている。一方、注出部1
6はバルブ20の前面にて前方に突出するように、バル
ブ20と一体に形成されている。注出部16は、その全
長が短く形成された管体であり、その内部に形成された
通路はその径が注出部16の先端に向かうにつれ、末広
がりとなるように形成されている。また、注出部16に
形成された通路の下部は斜め下方に傾くように先方に向
け延びている。この注出部16の内周面の開き角度とし
ては、15度〜30度の範囲に形成するとよい。なお、
注出部16の内周面には四フッ化エチレン重合体の被膜
が形成されている。そして、この注出部16には前述し
たノズル7が装着されている。
【0045】バルブ20は、上下に延びるようにケーシ
ング11aを利用して設けられ、チューブ14と注出部
16とを連通する第1通路21が形成されている。第1
通路21には、その上下方向における中間部にシート面
24が形成されており、このシート面24より下側部分
22の内径が大きく形成され、上側部分23の内径が小
さく形成されている。そして、この第1通路21の内部
には、2つのスプール30,31が第1通路21の軸方
向に移動できるようにセットされている。
【0046】2つのスプール30,31の内、シート面
24より下側に配置され、その径が大きく形成されたス
プールが、第1スプール30である。この第1スプール
30の外周面と第1通路21の内周面との間で炭酸飲料
を液体のまま取り出し路から供給部へ通過させる。な
お、第1通路21の下側部分の内周面と、第1スプール
30の外周面とのクリアランスを1mm程度設ければ、
炭酸飲料を泡立たせることなく液状のまま通過させるこ
とができる。
【0047】一方、第1スプール30の内部に挿入さ
れ、第1通路21のほぼ全長にわたり配されたスプール
が第2スプール31である。この第2スプール31の内
部には第2スプール31の軸方向に延びる第2通路25
が形成されていて、チューブ14から得られた炭酸飲料
を泡状にして注出部16へ通過させている。第1スプー
ル30に挿入された第2スプール31の挿入部31bに
は、その外周面にはめ込まれた付勢部材としてのスプリ
ング33が設けられており、両スプールは、その軸方向
において相互に逆向きに反発し合うように付勢されてい
る。
【0048】第1スプール30は、その内部が空洞とな
る円筒状に形成されていて、上端にはその中心部に第2
スプール31が挿入される挿入口30aが形成さている
一方、下端は開放されている。上端の外周縁は、第1通
路21の内周面に形成されたシート面24と密接するよ
うにその表面が滑らかな斜面に形成されている。この上
端の外周縁が第1通路21の内周面に形成されたシート
面24と当接することで、第1通路21を流れる炭酸飲
料がブロックされる。
【0049】一方、第2スプール31は、シート面24
の上側に位置するピストン部31aと、このピストン部
31aの下端から下方に延びて第1スプール30に挿入
される挿入部31bとから構成されている。
【0050】ピストン部31aの上端31cは半径方向
外側に張り出してフランジのように形成されている。こ
の上端31cの外径は、第1通路21の上部側の内径と
ほぼ同寸に形成されており、その外周部には、Oリング
34がはめ込まれている。このOリング34は第1通路
21を流れる炭酸飲料が漏れ出すことを防止するもので
あり、第2スプール31が第1通路21の軸方向を移動
する際に、その外周部が第1通路21の内周面を摺動す
る。一方、ピストン部31aと挿入部31bとの境界部
分には半径方向外側に張り出して第1スプール30の上
端と当接するストッパ31dが形成されていて、第2ス
プール31が所定のストローク以上に第1スプール30
の内部に挿入されることを阻止している。また、挿入部
31bの内部には、上述したように、その軸方向に延び
る第2通路25が形成されている。この第2通路25の
上部には、半径方向外側に向けて延び、第2通路25と
第1通路21のシート面24より上側の部分とを連通す
る連通路26が形成されている。この連通路26はスト
ッパ31dの直下の部分に形成されており、ピストン部
31aが第1スプール30に対して引き離されるように
第2スプール31が移動することで第2通路25と第1
通路21と連通するように構成されている。
【0051】そして、挿入部31bの下端には、炭酸飲
料を泡状にして第2通路25へ導入する泡形成部35が
取り付けられている。この泡形成部35は、その下部が
下方に向けて先細り状に形成された筒体であり、第2ス
プール31の下端を封鎖するようにして第2スプール3
1の下端にはめ込まれて、第2スプール31に固定され
ている。また、泡形成部35の外周面には軸方向の中間
部に段が形成されており、段の下側は、その外径が第1
スプール30の内径よりやや小さめに形成されて、第1
スプール30の内部を軸方向に摺動可能に構成されてい
る一方、段の上側は、第2スプール31の挿入部31b
の外径とほぼ同寸に形成されている。上述のスプリング
33は、この段によって下から支持されるようにして第
1スプール30と第2スプール31の間に設けられてい
る。このため、外力が作用しない場合には、第1スプー
ル30は、スプリング33を介して第2スプール31に
吊り下げられた状態となる一方、第2スプール31を引
き上げる外力が第2スプール31に作用すると、スプリ
ング33は縮められ、第1スプール30と第2スプール
31とを反発させるよう作用する。
【0052】また、泡形成部35の下端には、第1通路
21と第2通路25とを連通し、炭酸飲料を第2通路2
5へ導入せしめている導入通路36が形成されている。
この導入通路36は、その径が第1通路21の径及び第
2通路25の径に比し、かなり小さく形成されており、
この導入通路36を通過する間に炭酸飲料を泡状に形成
している。
【0053】以上のように構成されたバルブ20は、こ
のバルブ20の状態を制御するための操作レバー60と
リンク65を介して連結させている。この操作レバー6
0は、略円弧状に形成されていて、炭酸飲料注出器10
の上端から後方下側に向けて延びるようにして設けられ
ている。この操作レバー60の内面には、操作レバー6
0の長手方向の中間部に支持部61が形成されおり、こ
の支持部61とケーシング11aとが枢軸63で連結さ
れて、操作レバー60がケーシング11aに対して回転
可能に支持されている。さらに、支持部61には、本体
11内部のバルブ20に向けて突出する爪62が形成さ
れている。一方、バルブ20を構成する第2スプール3
1の上部には、第2スプール31と一体に形成された連
結部70が形成されている。
【0054】これら操作レバー60とバルブ20の連結
部70とを連結しているリンク65は、操作レバー60
側の端部が軸68で支持されており、この軸68を中心
に回転可能に支持されている。操作レバー60側の端面
には、操作レバー60の爪を前後から挟み込むように設
けられた係合部66が形成されている一方、バルブ20
側の端部67は、球体のように形成されている。この球
体部分67が、連結部70の内部に挿入されるようにし
て係合されている。
【0055】このようにリンク65を介して操作レバー
60とバルブ20とが連結されているので、軸68が支
点として、また、係合部66が作用点として機能し、操
作レバー60の動きに連動してバルブ20内の第2スプ
ール31が通路の第1通路21の軸方向に移動する。
【0056】さらに、本体11の後部には、操作レバー
60に向けて突出する復帰手段80が設けられている。
この復帰手段80は、本体11に内蔵されたバルブ20
の第1通路21及び第2通路25のいずれもがブロック
されるよう操作レバー60の位置を復帰させるもので、
操作レバー60の後端部をその内面側から後方に向けて
付勢する。
【0057】この復帰手段80は、ケーシング11aを
内外に貫通する筒状のプッシュボタン81と、このプッ
シュボタン81を本体11の内側から外に向けて付勢す
るスプリング82とから構成されている。プッシュボタ
ン81は、その内部が空洞であり、その先端が球面状に
形成されている一方、後端は開放されている。また、後
端には、半径方向外側に張り出すストッパ81aが形成
されていて、プッシュボタン81が本体11から抜け出
すことを防止している。
【0058】スプリング82は、このプッシュボタン8
1の後端から内部に挿入され、その先端をプッシュボタ
ン81に当接させて、プッシュボタン81を操作レバー
60に向けて付勢している。一方、スプリング82の基
部は、本体11の内部に設けられた支持体83により支
持されている。この支持体83は、バルブ20と隣接し
て上下に延びるように本体11内部に設けられている。
なお、この支持体83は、前述したガスのガス供給路1
3が形成されているハウジングをなす部材と一体に形成
されている。支持体83には、プッシュボタン81の中
心軸に対応する位置に、プッシュボタン81に向けて突
出するスプリング保持体84が形成されている。スプリ
ング82は、その基部がこのスプリング保持体84に挿
入されることで、位置ずれが防止されている。
【0059】なお、プッシュボタン81が貫通している
ケーシング11aの孔の周縁には、プッシュボタン81
の軸方向に延びるガイド86が形成されている。このガ
イド86は、ケーシング11aの周面から後方へ突出す
る環状の部材であり、プッシュボタン81の外周面をサ
ポートして、プッシュボタン81の芯ずれやこじれを起
こすことなく円滑に往復動させている。
【0060】そして、第1通路21及び第2通路25の
いずれをもブロックせしめる位置に操作レバー60をロ
ックさせるのが、ロック機構100である。このロック
機構100は、炭酸飲料注出器10のケーシング11a
の周面に設けられた係合爪101と、操作レバー60の
支持部61に設けられた係合溝105とから構成されて
いる。ケーシング11aの外周面には、ケーシング11
aの周方向に沿って回転するリング102が取り付けら
れており、係合爪101はこのリング102と一体とな
るように形成されている。係合爪101は、リング10
2から上方に向けて延び、その先端103が本体11の
中心に向けて突出している。一方、係合溝105は、操
作レバー60の支持部61の後端面において、左右に延
びるように形成されている。操作レバー60をロックさ
せるには、第1通路21及び第2通路25のいずれをも
ブロックせしめるスプールの位置に対応する操作レバー
60位置に停止させておき、ケーシング11aの周面に
設けられたリング102を回転させて、係合爪101を
係合溝105に係合させればよい。
【0061】このロック機構100では、係合爪101
と係合溝105との組み合わせを採用しているので、係
合爪101が係合爪101に係合すれば、操作レバー6
0自体のいずれの方向への回転もが機械的に阻止され、
確実に誤操作を防止できる。なお、この図2〜図4に示
す実施の形態では、係合爪101をケーシング11a
に、係合溝105を操作レバー60に設けたロック機構
を示しているが、係合爪を操作レバー60に、係合爪を
ケーシング11aに設けても構わない。また、係合爪と
係合溝とは両者が確実に係合されるものであれば、その
形状に限定はない。
【0062】また、この炭酸飲料注出器10には容器2
のヘッドや高圧部屋50に残留する空気を外部に排出す
るガスパージ機構110が設けられている。図3に示す
ように、本体11には、その上端の周縁部と高圧部屋5
0とを連通するガス抜き通路111が形成されている。
このガス抜き通路111の上部は矩形状に広く形成され
た空間部112が設けられ、さらに、空間部112の上
方がケーシング11aの上部周縁部にて外部と連通して
いる。また、ガス抜き通路111の途中部分には、その
内壁面から中心に向けて張り出すシート面113が形成
されている。
【0063】一方、ガス抜き通路111には、その軸方
向に移動する開放部材としてのプッシュレバー115
と、プッシュレバー115の下端に連結されて、プッシ
ュレバー115と一体的に移動する棒状のシール体11
6と、シール体116の下方に設けられ、シール体11
6及びプッシュレバー115を上方に向けて付勢するス
プリング114が挿入されている。
【0064】プッシュレバー115は、その上部が一度
水平に折れ曲がり、その先方が再び上方に向けて延びる
ように形成されている。この上端部分115aがガス抜
き通路111と外部を連通している部分に挿入され、外
部からこのプッシュレバー115を指で押さえ込むこと
ができるように構成されている。なお、前記の矩形状に
形成された空間部112は、この折れ曲がり部分がその
内部で上下に移動可能なように形成された部分である。
【0065】シール体116には、半径方向外側に張り
出すつば117が形成されており、このつば117の上
面にOリング118がシール体116に挿入されるよう
にして取り付けられている。Oリング118が載せられ
たつば117は、ガス抜き通路111に形成されたシー
ト面113の下方に位置するように配されており、シー
ル体116がスプリング114で上方へ付勢されて、シ
ート面113とつば117とでOリング118を挟み込
むようにしてこのガス抜き通路111をシールしてい
る。
【0066】通常は、スプリング114がシール体11
6をプッシュレバー115ごと上方へ押し上げて、シー
ト面113とシール体116とがガス抜き通路111を
ブロックしている。一方、ガス抜きを行う際には、スプ
リング114の付勢力に抗して、プッシュレバー115
を押し下げて、シート面113の部分を開放させる。こ
れにより内部のガスや空気を外部に排気できるように構
成されている。
【0067】ところで、以上に説明した炭酸飲料注出器
10を分解し、内部の洗浄が必要な場合もありえる。こ
の炭酸飲料注出器10の分解について説明する。本体1
1のケーシング11aはロック機構100を構成するリ
ング102の位置で上下に分割されるように形成されて
いる。通常、ケーシング11aの上側と下側とは、いず
れも当該リング102に係合されることで一体化されて
いる。
【0068】しかし、この炭酸飲料注出器10では、リ
ング102がケーシング11aの所定の位置に回転され
るとリング102とケーシング11aとの係合が解除さ
れるように構成されている。炭酸飲料注出器10を分解
するには、リング102とケーシング11aとの係合が
解除される位置までリング102をケーシング11aの
周方向に回転させればよい。
【0069】ただし、このリング102は上述したよう
に、操作レバー60のロック機構100を構成する部品
である。このため、単にリング102を回転させただけ
でケーシング11aが分割する事態は防止しなければな
らない。かかる不都合を防止するために、この炭酸飲料
注出器10には、リング102の回転自体を規制する機
構を備えている。すなわち、ケーシング11aとリング
102との係合が解除される解除位置にリング102を
回転させるには、ガスパージ機構110を構成するプッ
シュレバー115を押し込まなければ、リング102を
解除位置まで回転させることができないように構成され
ている。例えば、リング102の内周面に爪を形成し、
この爪がプッシュレバー115と当接するように構成
し、プッシュレバー115がストッパとして機能するよ
うにしておく。そして、プッシュレバー115を押し下
げることで爪がプッシュレバー115に当接せず、リン
グ102が回転可能なように構成する。かかる構成によ
って、リング102の回転を規制することで、単にリン
グ102を回転させただけでケーシング11aが分割さ
れてしまうことを効果的に防止できる。
【0070】なお、このリング102の回転規制機構
は、このような構成に限定されるものではない。たとえ
ば、プッシュレバー115の上下動に連動するようなス
トッパをケーシングの内部に設けると共に、リング10
2の内周部にこのストッパに当接する突起部などを形成
する。そして、リング102を上述の解除位置まで回転
させる場合には、プッシュレバー115を押し下げ、ス
トッパとリング102の突起部とが当接しないように構
成してもよい。
【0071】このように、プッシュレバー115を利用
してリングの回転規制機構を構成すればコンパクトに構
成できるが、プッシュレバーを利用することなく別途回
転規制機構をも設けても構わない。
【0072】以上の構成を備えた炭酸飲料注出器10に
よれば、操作レバー60の操作によって以下のように作
動する。図5は、容器2の内部に収容された炭酸飲料を
液体の状態で注出する状態を、図6は、容器2内の炭酸
飲料を泡状にして注出する状態をそれぞれ示している。
なお、これら図5及び図6については、バルブ20の作
動に必要な部品についてのみ符号を付している。
【0073】容器2の内部に収容された炭酸飲料を液体
のまま注出するには、復帰手段80の付勢力に抗して、
操作レバー60の後端を下方に下側に押し下げる。操作
レバー60を押し下げると、復帰手段80のプッシュボ
タン81がスプリング82を縮めて本体11の内部へ押
し込められる。また、操作レバー60の回転に伴い、操
作レバー60の支持部61に形成された爪62は上方へ
移動する。この爪62は、リンク65の係合部66と係
合しているため、リンク65は、そのバルブ20側の端
部67が下方へ押し下げられるように回転する(図5の
反時計回り)。リンク65がこのように回転すること
で、バルブ20内に設けられている第2スプール31の
上端が押圧され、第2スプール31が下方へ押し下げら
れる。第1スプール30はこの第2スプール31のスト
ッパ31dとスプリング33とで挟み込まれるように設
けられているので、第2スプール31の降下と共に下方
へ移動する。
【0074】かかる炭酸飲料注出器10の作用により、
第1スプール30の上端と第1通路に形成されたシート
面24との間に隙間が形成され、容器2に収容された炭
酸飲料が第1通路21を通過し、注出部16へと注出さ
れる。なお、第2通路25の上部に形成された第1通路
21と連通する連通路26は、ブロックされているた
め、第2通路25に導入された炭酸飲料は、第2通路2
5から第1通路21へ流れ出すことがない。これによ
り、炭酸飲料は液体のまま注出される。
【0075】一方、炭酸飲料を泡状にして注出させるに
は、図6に示すように、操作レバー60の後端部を引き
上げるようにして回転させるか、あるいは操作レバー6
0の先端部分を下方へ押し下げる。この操作レバー60
の回転に伴い、操作レバー60の支持部61に形成され
た爪62が下方へ移動する。すると、この爪62と係合
するリンク65は、係合部66が爪62に押し下げら
れ、バルブ20側が上昇するように回転する(図6の時
計回り)。このリンク65と連結された第2スプール3
1は、リンク65により上方へ押し上げられる。この
際、第1通路21に形成されたシート面24により第1
スプール30の移動が阻止される。これにより、第2ス
プール31のみが上昇し、第2スプール31に形成され
た連通路26が第2通路25と第1通路21とを連通す
る。
【0076】かかる作用により、第1通路21における
液状の炭酸飲料がブロックされる一方で、第2通路25
から泡状の炭酸飲料が第1通路21のシート面24より
上側の部分へ流れ、注出部16へ注出される。
【0077】このように炭酸飲料注出器10を構成する
バルブ20が液体の状態で炭酸飲料を通過させる機能
と、泡状にして炭酸飲料を通過させる機能とを有するの
で炭酸飲料を好みに応じて注出することができる。ビー
ルを例に説明すると、いわゆる「のどごし」や「きれ」
を味わいたい場合には、ビールを第1通路21のみから
注出させ、泡の少ない状態でコップに注ぎ込めばよい。
一方、ビールのいわゆる「こく」や「旨み」を味わう場
合には、第1通路21から液状のビールを所定量だけコ
ップに注ぎ、その後、第2通路25を通過させ、ビール
を泡状にしてコップに注ぎ込めばよい。これによりきめ
の細かい泡を極めて容易に形成できる。このような作用
効果は、ビールだけでなく発泡酒についても得られるこ
とは勿論である。
【0078】なお、注出部16の内周面は、その径が先
方に向かうにつれ末広がりとなり、かつ、内周面の下部
は先方が下方に向けて延びるよう斜めに傾けられている
ことに加え、内周面が四フッ化エチレン重合体で被覆さ
れているので、注出部16に炭酸飲料が残存することを
効果的に防止できる。このため、注出後には炭酸飲料の
液垂れがほとんど生じない。僅かながら液垂れが生じる
こともあるが、このような液垂れは、上述した液垂れ受
け部8が受けるので、周囲を汚すことを防止できる。
【0079】この炭酸飲料注出装置1を構成する容器2
は、上述したようにその容量が1000ml〜2000
mlと通常の壜や缶に比べ多くの炭酸飲料を収容するこ
とができる。このため、炭酸飲料を一回で飲みきらず、
炭酸飲料をすべて飲みきるには数日かかることもある。
この場合、炭酸飲料を注出した後、次に炭酸飲料を注出
するまでの間、品質を維持するために、炭酸飲料を適切
に冷却した状態で保存する必要がある。一般の家庭にお
いて適切に冷却した状態で炭酸飲料を保存する手段とし
ては、冷蔵庫120が使用される。ところが、家庭用の
冷蔵庫120は、業務用冷蔵庫に比べ内部容量が決して
大きいとはいえず、内部に収容できる物の大きさにもあ
る程度の制約がある。
【0080】本発明の炭酸飲料注出装置1では、その容
器2の容量が1000ml〜2000mlに形成されて
いるが、その外径は70mm〜120mmであり、か
つ、容器2に炭酸飲料注出器10を取り付けた状態おけ
る全高が400mm以内に抑えられている。このため、
炭酸飲料注出装置1を家庭用冷蔵庫120のドアポケッ
ト121に無理なく収納することができる。かかる特性
を生かし、図7及び図8に示すように炭酸飲料を取り扱
うことができる。
【0081】図7に示す線図Vの区間aは図8の(a)
に対応しており、冷蔵庫120に炭酸飲料注出装置1を
収納している状態をそれぞれ表している。一方、図7の
区間bは、図8の(b)に対応しており、冷蔵庫120
から当該炭酸飲料注出装置1を取り出して、炭酸飲料を
注出している状態をそれぞれ示している。なお、図7の
縦軸は容器2に残する炭酸飲料の残存量Vを示し、横軸
は時間tを示している。
【0082】この図7及び図8に示すように、炭酸飲料
を容器2から注出する各時点の間隔が所定時間以上であ
れば(例えば、夕食時から次の日の夕食時等、冷蔵庫1
20に収容しなければ、確実に炭酸飲料の温度が上昇す
るような時間)、炭酸飲料注出装置1を冷蔵庫120に
収納する。これにより、容器2内に炭酸飲料が残存する
間は、その温度を適切な温度に維持しておくことができ
る。
【0083】なお、冷蔵庫120の内部には、他の収容
物、仕切板等、炭酸飲料注出装置1以外に様々な物が存
在する。このため、これらの物に炭酸飲料注出器10を
構成する操作レバー60が押され、冷蔵庫120の中で
炭酸飲料が注出される誤作動を起こすおそれがある。こ
の炭酸飲料注出装置1では、操作レバー60自体を機械
的にロックするロック機構が設けられているため、冷蔵
庫120に収納する間、この操作レバー60をロックし
ておき、このような誤作動を起こすことを確実に防止で
きる。
【0084】また、ガスボンベ3は、チューブ6を介し
て本体11と接続され、本体11とは別体として構成さ
れている。このため、ガスボンベ3の取り扱いが問題と
なる。ここで、ガスボンベ3の容量を小さく形成し、炭
酸飲料を飲む時点毎にガスボンベ3を取り換える方法も
考えられる。かかる方法を採用すれば、冷蔵庫120へ
収納する際にガスボンベ3を取り外すことで、ガスボン
ベ3の取り扱いを如何にするのかという問題点は無くな
る。しかしながら、この方法では、炭酸飲料を飲むたび
にガスボンベ3を取り付ける必要があり、繁雑である。
他方、ガスボンベ3を本体11と一体的に形成すること
も考えられる。しかし、このように炭酸飲料注出器10
を構成すれば、ガスボンベ3の交換が困難となる。
【0085】この炭酸飲料注出装置1では上述のよう
に、ガスボンベ3を容器2に対して着脱自在に保持せし
めるホルダが設けられている。飲料が容器2に残存する
間、このホルダを利用してガスボンベ3を容器2に保持
させておけば、ガスボンベ3を炭酸飲料注出装置1と一
体的にすることができ、取り扱いを容易にすることがで
きる。ガスボンベ3を交換する場合には、容器2からボ
ンベホルダ5を取り外すことで容易に交換することがで
きる。また、ガスボンベ3の容量を所定量に形成してい
るので、ガスボンベ3を取り外すことなく炭酸飲料を飲
みきることができる。
【0086】以上、炭酸飲料注出装置を使用して炭酸飲
料を飲む際に、収容された炭酸飲料を適切に冷却して、
この炭酸飲料をいかにして取り扱うかについて説明した
が、工場などで、容器に収容された炭酸飲料を適切に冷
却した状態を維持する方法についても言及しておく。
【0087】一般にビールや発泡酒は、缶に収容された
後、温缶工程を経た後に冷蔵庫などで冷却される。温缶
工程を経ることで、結露を防止している。しかし、温缶
工程を経ることで、容器に収容されたビールはおよそ3
0℃まで温度が上昇する。これは、ビール本来の旨み等
を考慮するとあまり好ましいことではない。上記の炭酸
飲料注出装置においては、温缶工程を経ず、容器にビー
ルを収容した後すぐに、チルド温度帯(10℃)以下に
冷却するように工程を組めば、作りたての旨みを味わう
ことができる。
【0088】次に、図9及び図10を参照してノズル7
及び注出部16の好適な実施例を説明する。図9は注出
部16の幾つかの実施例を示している。図9(a)及び
(b)の注出部16は、いずれも内周部16aの径が先
端16bに向かうにつれ末広がり状に形成され、かつ、
内周部16aの下部16cが斜め下方に傾けられて先方
に延びている点で共通している。但し、図9(a)では
内周部16aの下部16cがバルブ側の端部16dから
先端16bまで連続的に斜め下方に傾けられて先方に延
びている。これに対して、図9(b)の注出部16で
は、内周部16aの下部16cが、バルブ20(図2参
照)側の端部16dから先端16bに向かって内周部1
6aの上部16eに対して平行に延びる平行部16c1
と、その平行部16c1との接合位置から先端16bま
で斜め下方に傾けられて先方に延びている傾斜部16c
2とを備えている。このような末広がり形状の注出部1
6は上述したように炭酸飲料注出後の液垂れを抑える作
用を奏する。但し、本発明の注出部16は上記のような
末広がり形状に限らず、図9(c)に示したように内周
部16aの上部16eと下部6cとが互いに平行なスト
レート孔状に形成されてもよい。
【0089】一方、図10はノズル7の幾つかの実施例
を示している。これらのノズル7はいずれも注出部16
の外周に嵌め合わされる嵌合部7aと、その嵌合部7a
から先端に向かって下り勾配を形成するように延びる傾
斜部7bとを有している点で共通する。しかし、図10
(a)に示すノズル7は内部流路7cの内径がノズル7
の全長に亘ってほぼ一定に形成されているのに対して、
図10(b)〜(e)に示すノズル7では、傾斜部7b
の上端付近において内部流路7cの断面積を減少させる
絞り部7dが設けられている。
【0090】図10(b)〜(d)では絞り部7dがい
ずれも内部流路7cの上部7eから下方に向けて突出す
るように設けられている。これに対して、図10(e)
では絞り部7dが内部流路7cの下部7fから上方に向
かって突出するように設けられている。また、図10
(b)及び(e)の絞り部7dは肉厚がほぼ一定で上下
方向に延びているが、図10(c)及び(d)の絞り部
7dは先端(下端)ほど薄くなる三角形状の断面を呈す
るように形成されている。但し、図10(c)の絞り部
7dよりも図10(d)の絞り部7dの方が断面形状の
裾野が広く、絞り部7dの頂点(下端)に至るまでの傾
斜は緩やかである。これらの絞り部7dは内部流路7c
の入口付近において炭酸飲料が通過できる範囲を内部流
路7cの一部に制限する。このため、絞り部7dの位置
で飲料の整流作用が生じて絞り部7dよりも下流側の飲
料の流れが安定し、その結果、ノズル7から流出する炭
酸飲料の流れも安定する。なお、絞り部7dによる内部
通路7cの絞り量は断面積にして40〜70%の範囲が
好ましい。
【0091】以上に示した注出部16とノズル7とを組
み合わせて、ノズル7からの飲料の流れの安定性を評価
した結果を図11に、注出後のノズル7からの液垂れを
評価した結果を図12にそれぞれ示す。なお、安定性の
評価は、ノズル7から流れ出る液体の状態を目視で観察
することにより行った。液垂れの評価は、注出を終了し
て1分後の液垂れの有無を観察して行った。
【0092】図11に示すように、いずれの注出部16
とノズル7との組み合わせにおいても、ノズル7から注
出される飲料の流れは乱れないか、やや乱れる程度であ
り、不適当な程の乱れは観察されなかった。但し、ノズ
ル7に絞り部7dを設けた方が流れが安定する傾向が見
られる。
【0093】また、図12から明らかなように、液垂れ
に関しては図9(c)の注出部16と、図10(e)の
ノズル7との組み合わせが不適とされている。これよ
り、液垂れの観点からは絞り部7dを内部通路7cの下
部よりも上部に設けた方が好ましいことが判る。
【0094】以上の結果から、各ノズル7と注出部16
との組み合わせを総合的に評価した結果を図13に示
す。総合評価では、図11及び図12のいずれか一方で
も×の評価を得た組み合わせが×、両方で○の評価を得
たものが○、その他が△とした。この結果から明らかな
ように、図9(c)の注出部16と、図10(e)のノ
ズル7との組み合わせを除いては概ね良好な結果が得ら
れており、特に図9(b)の注出部16と、図10
(b)又は(c)のノズル7との組み合わせが最適な結
果を示している。
【0095】以上の実施形態では第2通路25の入口部
分に泡形成部35を設け、その導入通路36を通過する
飲料を泡状に形成しているが、本発明の第2通路はこの
ような構成に限らない。例えば、泡形成部35の導入通
路36に関しては飲料を液状のまま通過させ(従って、
泡形成部35は泡形成に寄与せず、単なるオリフィスと
して設けられるに過ぎない。)、第2スプール31を図
6に示すように引き上げた状態で連通路26から第1ス
プール30内に流出する飲料を第1通路21の上側部分
23(図2参照)の内壁に衝突させることにより泡の形
成を促進させてもよい。この場合には、連通路26と第
1スプール31の上側部分23の内壁とが泡形成部とし
て機能し、第2通路25はその泡形成部分までを実質的
に含むことになる。
【0096】
【発明の効果】以上、本発明によれば、炭酸飲料注出装
置を家庭用の冷蔵庫でも保存することができ、容器に収
容された炭酸飲料を適切な温度に冷却することができ
る。また、注出される炭酸飲料の泡の状態を好みに応じ
て自在に調整できる。このため、家庭で本格的なビール
を容易に味わうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる炭酸飲料注出装置
の側面図。
【図2】本発明の一実施形態にかかる炭酸飲料注出器を
前後方向に切断した縦断面図。
【図3】図2に示す炭酸飲料注出器を左右方向に切断し
た縦断面図。
【図4】図2に示す炭酸飲料注出器を後方から見た背面
図。
【図5】炭酸飲料を第1経路を通過させ、液状のまま注
出させる場合の炭酸飲料注出器の内部状態を示す図。
【図6】炭酸飲料を第2経路を通過させ、泡状にして注
出させる場合の炭酸飲料注出器の内部状態を示す図。
【図7】容器内に収容された炭酸飲料を消費しきるまで
の炭酸飲料の残存量と時間との関係の一例を示す図。
【図8】図7に示す各区間に対応する炭酸飲料注出装置
の使用時、保存時の状態を示す図。
【図9】炭酸飲料注出器の注出部の実施例を示す図。
【図10】注出部に接続されるべきノズルの実施例を示
す図。
【図11】図9の注出部と図10のノズルとをそれぞれ
組み合わせてノズルから注出される飲料の流れの安定性
を評価した結果を示す図。
【図12】図9の注出部と図10のノズルとをそれぞれ
組み合わせて注出後のノズルから液垂れを評価した結果
を示す図。
【図13】図11及び図12の評価結果を踏まえたノズ
ルと注出部との組み合わせの総合評価を示す図。
【符号の説明】
1 炭酸飲料注出装置 2容器 3 ガスボンベ 5 ボンベホルダ 6 チューブ 7 ノズル 7b ノズルの傾斜部 7c ノズルの内部流路 7d ノズルの絞り部 9 口部 10 炭酸飲料注出器 16 注出部 20 バルブ 21 第1通路 24 シート面 25 第2通路 30 第1スプール 31 第2スプール 33 スプリング(付勢部材) 35 泡形成部 50 高圧部屋 52 蓋体 60 操作レバー 62 爪 65 リンク 66 係合部 80 復帰手段 81 プッシュボタン 82 スプリング 100 ロック機構 101 係合爪 102 リング 105 係合溝 110 ガスパージ機構 111 ガス抜き通路(連通路) 113 シート面 114 スプリング 115 プッシュレバー(開放部材) 116 シール体(シール部材) 118 Oリング(シール部材) 120 冷蔵庫 121 ドアポケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 明輝 東京都中央区新川二丁目10番1号 麒麟麦 酒株式会社内 (72)発明者 山田 精二 東京都中央区新川二丁目10番1号 麒麟麦 酒株式会社内 (72)発明者 五百竹 秀夫 東京都品川区東品川2丁目2番20号 日本 軽金属株式会社内 Fターム(参考) 3E082 AA04 BB03 CC01 DD05 FF03

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器の口部に装着させる装着部と、前記
    容器内に所定圧のガスを送り込むガス供給路と、前記容
    器内に挿入されてこの容器内の炭酸飲料が取り出される
    取出路と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出部
    と、取り出された前記炭酸飲料の注出部への通過を許可
    するバルブと、このバルブの開閉状態を制御する操作レ
    バーとが一体的なユニットとして構成された炭酸飲料注
    出器において、 前記バルブは、前記炭酸飲料を前記取出路から前記注出
    部へ液体のまま通過させる第1通路と、前記炭酸飲料を
    泡状に形成する泡形成部を有し、泡状の前記炭酸飲料を
    前記注出部に通過させる第2通路とを備えたことを特徴
    とする炭酸飲料注出器。
  2. 【請求項2】 前記第1通路には、その内部にてこの第
    1通路の軸方向に移動して、この第1通路内の内周面に
    形成されたシート面と当接してブロックする第1スプー
    ルと、前記第2通路が内部に形成され、前記第1スプー
    ルに対してその軸線上で相互に移動可能な第2スプール
    と、前記第1スプールと前記第2スプールとの間に取り
    付けられて、これら両スプールを前記軸線の逆方向に付
    勢する付勢部材とが設けられ、 前記付勢部材が前記第2スプールを前記第1スプールに
    当接せしめて前記第2通路と前記第1通路との連通部を
    ブロックすることを特徴とする請求項1に記載の炭酸飲
    料注出器。
  3. 【請求項3】 前記操作レバーはこの炭酸飲料注出器に
    枢軸を介して回転可能に取り付けられ、かつ、前記操作
    レバーと前記第2スプールとはリンクを介して連結さ
    れ、 前記操作レバーを一方向に回転させて、前記リンクを介
    して前記第1スプールと前記第2スプールとを一体的に
    移動させて前記第1通路のみを開状態とする一方、前記
    操作レバーを他方向に回転させて、前記リンクを介し
    て、前記付勢部材の付勢力に抗して前記第2スプールを
    前記第1スプールに対して移動させて前記連通部を開状
    態とするよう構成されていることを特徴とする請求項2
    に記載の炭酸飲料注出器。
  4. 【請求項4】 この炭酸飲料注出器には、前記操作レバ
    ーを前記他方向に回転するよう付勢し、開状態である前
    記第1通路が閉鎖されるように前記第1スプール及び前
    記第2スプールを前記リンクを介して一体に移動せしめ
    る復帰手段が設けられていることを特徴とする請求項3
    に記載の炭酸飲料注出器。
  5. 【請求項5】 前記第1通路及び前記第2通路のいずれ
    をも閉鎖する状態で前記操作レバーがこの炭酸飲料注出
    器に対してロックされるロック機構を備え、 このロック機構は、操作レバー又は前記炭酸飲料注出器
    のケーシングの周面のいずれか一方に設けられた係合爪
    と、他方に設けられ、前記係合爪と係脱自在に係合する
    係合溝とから構成され、 前記炭酸飲料注出器の外殻をなすケーシングに設けられ
    た係合爪又は係合溝は、このケーシングの周面に沿って
    周方向に回転可能に設けられたことを特徴とする請求項
    4に記載の炭酸飲料注出器。
  6. 【請求項6】 容器の口部に装着させる装着部と、前記
    容器内に所定圧のガスを送り込むガス供給路と、前記容
    器内に挿入されてこの容器内の炭酸飲料が取り出される
    取出路と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出部
    と、取り出された前記炭酸飲料の注出部への通過を許可
    するバルブと、このバルブの開閉状態を制御する操作レ
    バーとが一体的なユニットとして構成された炭酸飲料注
    出器において、 前記装着部の内部には、前記ガス供給路を含めるように
    して前記容器の内部空間から仕切られた高圧部屋が設け
    られ、この高圧部屋には、その内部から前記容器の内部
    へ前記ガス供給路から供給されるガスを逃がす弁手段が
    設けられていることを特徴とする炭酸飲料注出器。
  7. 【請求項7】 前記高圧部屋は、前記装着部の内部にて
    前記ガス供給路及び前記取出路を外部から囲む壁面と、
    この壁面の下部を密閉する蓋部とからなり、 前記蓋部には、前記取出路をなすチューブが貫通する貫
    通孔が形成され、 前記弁手段はこのチューブの収縮を利用してチューブの
    外周面と前記貫通孔の内周部との間から前記ガスを前記
    容器の内部に供給するよう構成されたことを特徴とする
    請求項6に記載の炭酸飲料注出器。
  8. 【請求項8】 容器の口部に装着させる装着部と、前記
    容器内に所定圧のガスを送り込むガス供給路と、前記容
    器内に挿入されてこの容器内の炭酸飲料が取り出される
    取出路と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出部
    と、取り出された前記炭酸飲料の注出部への通過を許可
    するバルブと、このバルブの開閉状態を制御する操作レ
    バーとが一体的なユニットとして構成された炭酸飲料注
    出器において、 前記容器の内部と外気とを連通する連通路と、この連通
    路の内周面に形成されたシート面に付勢されてこの連通
    路を閉鎖するシール部材と、この連通路に挿入され、前
    記シール部材が付勢される付勢力に抗して前記シール部
    材を移動させてこの連通路を開放せしめる開放部材を備
    えて構成されるガスパージ機構が設けられたことを特徴
    とする炭酸飲料注出器。
  9. 【請求項9】 容器の口部に装着させる装着部と、前記
    容器内に所定圧のガスを送り込むガス供給路と、前記容
    器内に挿入されてこの容器内の炭酸飲料が取り出される
    取出路と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出部
    と、取り出された前記炭酸飲料の注出部への通過を許可
    するバルブと、このバルブの開閉状態を制御する操作レ
    バーとが一体的なユニットとして構成された炭酸飲料注
    出器において、 前記注出部は、その内周部の径が先端に向かうにつれ末
    広がり状に形成され、かつ、内周部の下部が斜め下方に
    傾けられて先方に延びていることを特徴とする炭酸飲料
    注出器。
  10. 【請求項10】 前記注出部の内周部の下部が、前記バ
    ルブ側の端から前記先端まで連続的に斜め下方に傾けら
    れて先方に延びていることを特徴とする請求項9に記載
    の炭酸飲料注出器。
  11. 【請求項11】 前記注出部の内周部の下部が、前記バ
    ルブ側の端から前記先端に向かって前記内周部の上部に
    対して平行に延びる平行部と、該平行部との接合位置か
    ら前記先端まで斜め下方に傾けられて先方に延びている
    傾斜部とを備えていることを特徴とする請求項9に記載
    の炭酸飲料注出器。
  12. 【請求項12】 前記注出部にはノズルが接続され、該
    ノズルの内部流路には当該内部流路の断面積を減少させ
    る絞り部が設けられていることを特徴とする請求項9〜
    11のいずれか1項に記載の炭酸飲料注出器。
  13. 【請求項13】 前記絞り部は前記ノズルの上部から下
    方に向かって突出するように設けられていることを特徴
    とする請求項12に記載の炭酸飲料注出器。
  14. 【請求項14】 容器の口部に装着させる装着部と、前
    記容器内に所定圧のガスを送り込むガス供給路と、前記
    容器内に挿入されてこの容器内の炭酸飲料が取り出され
    る取出路と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出部
    と、取り出された前記炭酸飲料の注出部への通過を許可
    するバルブと、このバルブの開閉状態を制御する操作レ
    バーとが設けられた炭酸飲料注出器において、 前記注出部にはノズルが接続され、該ノズルの内部流路
    には当該内部流路の断面積を減少させる絞り部が前記ノ
    ズルの内周部の上部から下方に向かって突出するように
    設けられていることを特徴とする炭酸飲料注出器。
  15. 【請求項15】 前記ノズルには先端に向かって下り勾
    配を形成するように延びる傾斜部が設けられ、前記絞り
    部は前記傾斜部の上端部に設けられていることを特徴と
    する請求項12〜14のいずれか1項に記載の炭酸飲料
    注出器。
  16. 【請求項16】 容量が1000ml〜2000mlと
    なるようにその外寸が定められ、かつ、その上端に口部
    の形成された容器と、 この容器内に所定圧のガスを送り込むガス供給路と、前
    記容器内に挿入されてこの容器内の炭酸飲料が取り出さ
    れる取出路と、取り出された炭酸飲料を注出させる注出
    部と、取り出された前記炭酸飲料の注出部への通過を許
    可するバルブ、このバルブの開閉状態を制御する操作レ
    バーとが一体的なユニットとして構成された炭酸飲料注
    出器、 並びに、前記炭酸飲料注出器を介して前記容器に供給さ
    れる所定圧のガスが充填され、前記炭酸飲料注出器とチ
    ューブを介して接続され、このチューブに対して着脱自
    在であると共に、ホルダを介して前記容器の外面に着脱
    自在なガスボンベと、を備え、 前記バルブには、前記炭酸飲料を前記取出路から前記注
    出部へ液体のまま通過させる第1通路と、前記炭酸飲料
    を泡状形成する泡形成部を有し、泡状の前記炭酸飲料を
    前記注出部に通過させる第2通路とが形成されたことを
    特徴とする炭酸飲料注出装置。
  17. 【請求項17】 容量が1000ml〜2000mlと
    なるようにその外寸が定められ、かつ、その上端に口部
    の形成された容器と、この容器の前記口部に対し着脱自
    在に構成され、前記容器に収容された炭酸飲料を注出せ
    しめる炭酸飲料注出器と、前記炭酸飲料注出器を介して
    前記容器に供給される所定圧のガスが充填され、前記炭
    酸飲料注出器とチューブを介して接続され、このチュー
    ブに対して着脱自在であると共に、ホルダを介して前記
    容器の外面に着脱自在なガスボンベと、から構成される
    炭酸飲料注出装置を使用して、炭酸飲料を取り扱う方法
    であって、 前記炭酸飲料を前記容器に収容し、この容器に炭酸飲料
    が残存する間、前記炭酸飲料注出器を前記容器に装着さ
    せると共に、前記ガスボンベを前記チューブに接続させ
    た状態でこのガスボンベを前記ホルダで前記容器の外面
    に装着させた状態を維持することを特徴とする炭酸飲料
    の取り扱い方法。
  18. 【請求項18】 前記容器に炭酸飲料が残存する間にお
    いて、この炭酸飲料を注出する各時点同士の間で、この
    時間が所定の時間を超える場合に、前記容器に前記炭酸
    飲料注出器を装着させ、かつ、前記ガスボンベを、前記
    チューブに接続させたまま前記容器の外面に装着させた
    状態で冷蔵庫内に保管することを特徴とする請求項17
    に記載の炭酸飲料の取り扱い方法。
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