JP2003323861A - 電子ビームを用いたパターン検査装置、並びに、それを用いた半導体デバイス製造方法 - Google Patents

電子ビームを用いたパターン検査装置、並びに、それを用いた半導体デバイス製造方法

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JP2003323861A
JP2003323861A JP2002127752A JP2002127752A JP2003323861A JP 2003323861 A JP2003323861 A JP 2003323861A JP 2002127752 A JP2002127752 A JP 2002127752A JP 2002127752 A JP2002127752 A JP 2002127752A JP 2003323861 A JP2003323861 A JP 2003323861A
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JP2002127752A
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Hiroyuki Onishi
浩之 大西
Yasushi Sasa
泰志 佐々
Toshifumi Kaneuma
利文 金馬
Toru Satake
徹 佐竹
Tsutomu Karimata
努 狩俣
Kenji Watanabe
賢治 渡辺
Shinji Nomichi
伸治 野路
Takeshi Murakami
武司 村上
Masaki Hatakeyama
雅規 畠山
Mamoru Nakasuji
護 中筋
Takuji Sofugawa
拓司 曽布川
Seiji Yoshikawa
省二 吉川
Shin Owada
伸 大和田
Mutsumi Nishifuji
睦 西藤
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Ebara Corp
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
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Ebara Corp
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基盤の電気特性を損なわないために一次電子
線の照射量を少なくしても、所望の大きさの二次電子検
出信号のS/N比が得られるようにする。 【解決手段】 電子銃1−9は、電子銃電流対加熱電流
又は電子銃電流対アノード電圧をモニタすることによ
り、空間電荷制限領域で動作するよう設定されている。
電子銃1−9のカソードは単結晶LaB6で構成され、
電子銃1−9から放出される電子線はコンデンサレンズ
2−9と対物レンズ9−9で所望のビーム径Dの値に絞
られ、基板10−9上に結像される。ウエハから放出さ
れた二次電子は、検出器41−9で検出され、画像処理
部42−9で画像データに変換され、所定のパターン検
査が実施される。電子銃1−9を空間電荷制限領域で動
作させたので、ショット雑音が小さくなり、一次電子線
の照射量を少なくしても検出信号のS/N比が大きくな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ等の
基板に対し、電子ビームを用いて当該基板上に形成され
た多数のチップにおけるパターンを検査する検査装置、
または高精細プリント基板や、リードフレーム、及びそ
れらのフォトマスク等のパターンに対し、電子ビームを
用いて検査して微細な欠陥を検出するパターン検査装
置、並びに、それを用いたデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスの高集積化、パターンの
微細化に伴い、高分解能、高スループットの検査装置が
要求されている。100nmデザインルールのウェーハ
基板の欠陥を調べるためには、100nm以下の分解能
が必要であり、デバイスの高集積化による製造工程の増
加により、検査量が増大するため、高スループットが要
求されている。また、デバイスの多層化が進むにつれ
て、層間の配線をつなぐビアのコンタクト不良(電気的
欠陥)を検出する機能も、検査装置に要求されている。
現在は主に光方式の欠陥検査装置が使用されているが、
分解能及びコンタクト不良検査の点では、光方式の欠陥
検査装置に代わって電子ビームを用いた欠陥検査装置が
今後、検査装置の主流になると予想されている。但し、
電子ビーム方式の欠陥検査装置にも弱点があり、それは
スループットの点で光方式に劣ることである。このた
め、高分解能、高スループット、且つ、電気的欠陥検出
が可能な検査装置の開発が要求されている。光方式での
分解能は、使用する光の波長の1/2が限界と言われて
おり、実用化されている可視光の例では0.2μm程度
である。
【0003】一方、電子ビームを使用する方式では、通
常、走査型電子顕微鏡方式(SEM方式)が実用化され
ており、分解能は0.1μm、検査時間は8時間/枚
(20cmウェーハ)である。電子顕微鏡方式はまた、
電気的欠陥(配線の断線、導通不良、ビアの導通不良
等)も検査可能であることが大きな特徴である。しか
し、検査時間は非常に遅く、検査速度の速い欠陥検査装
置の開発が期待されている。
【0004】一般に、検査装置は高価であり、またスル
ープットも他のプロセス装置に比べて低いために、現状
では重要な工程の後、例えばエッチング、成膜(銅メッ
キも含む)、又は、CMP(化学的機械研磨)平坦化処
理後等に使用されている。
【0005】電子ビームを用いた走査(SEM)方式の
検査装置について説明する。SEM方式の検査装置は電
子ビームを細く絞って(このビーム径が分解能に相当す
る)、これを走査してライン状に試料を照射する。一
方、ステージを電子ビームの走査方向に直角の方向に移
動させることにより、平面状に観察領域を電子ビームで
照射する。電子ビームの走査幅は、一般に数100μm
である。前記細く絞られた電子ビーム(一次電子線と呼
ぶ)照射により発生した試料からの二次電子を検出器
(シンチレータ+フォトマルチプレーヤー(光電子増倍
管)又は半導体方式の検出器(PINダイオード型)
等)で検出する。照射位置の座標と二次電子の量(信号
強度)を合成して画像化し、記憶装置に記憶し、或い
は、CRT(ブラウン管)上に画像を出力する。以上は
SEM(走査型電子顕微鏡)の原理であり、この方式で
得られた画像から工程途中の半導体(通常はSi)ウェ
ーハの欠陥を検出する。検査速度(スループットに相当
する)は、一次電子線の量(電流値)、ビーム径、検出
器の応答速度で決まる。ビーム径0.1μm(分解能と
同じと考えてよい)、電流値100nA、検出器の応答
速度100MHzが現在の最高値であり、この場合、検
査速度は20cm径のウェーハ1枚当たり約8時間と言
われている。
【0006】上記のSEM方式の検査装置を更に高速に
する(スループットを上げる)ため、写像投影方式と呼
ばれる新たな方式が提案された。この方式によれば、試
料の観察領域を一次電子線で一括して照射し(走査は行
わず、一定の面積を照射する)、照射された領域からの
二次電子をレンズ系により、一括して検出器(マイクロ
チャンネルプレート(MCP)+蛍光板)上に電子線の
画像として結像させる。該結像画像を二次元CCD(固
体撮像素子)又はTDI−CCD(ラインイメージセン
サー)により、画像情報を電気信号に変換し、この画像
情報から試料ウェーハ(工程途中の半導体(Si)ウェ
ーハ)の欠陥を検出する。
【0007】そこで、高スループットという利点を有す
る上記写像投影方式の欠陥検査装置を用いて、基板等を
高精度且つ効率的に検査するためのシステム全体の構築
が希求されている。例えば、検査対象をその写像投影光
学装置の照射位置までクリーンな状態で供給し、アライ
メントする他のサブシステムとの間の関連性を考慮した
検査装置全体の構造については今までほとんど明らかに
されていなかった。更に、検査対象となるウェーハの大
径化が進められ、サブシステムもそれに対応可能にする
要請もでてきている。
【0008】検査システムでは、チャンバー内で真空を
維持することも重要な項目の1つである。欠陥検査装置
等の超精密加工を施す装置においては、試料を真空中で
精度良く位置決めするステージが使用されているが、該
ステージに対して非常に高精度な位置決めが要求される
場合には、ステージを静圧軸受けによって非接触支持す
る構造が採用されている。この場合、静圧軸受けから供
給される高圧ガスが直接真空チャンバに排気されないよ
うに、高圧ガスを排気する差動排気機構を静圧軸受けの
範囲に形成することによって、真空チャンバの真空度を
維持している。
【0009】このようなステージとして、図26[A]、
[B]に示すように、静圧軸受けと差動排気機構を組み合
わせたステージが提案されている。ステージが移動する
際に、静圧軸受け9−7に対向するガイド面6a−7や
7a−7は、静圧軸受け部の高圧ガス雰囲気とチャンバ
内の真空環境の間を往復運動する。この時ガイド面で
は、高圧ガス雰囲気に曝されている間にガスが吸着し、
真空環境に露出されると吸着していたガスが放出される
という状態が繰り返される。このためステージが移動す
る度に、チャンバC内の真空度が悪化するという現象が
起こり、上述した荷電ビームによる露光や検査や加工等
の処理が安定に行えなかったり、試料が汚染されてしま
うという問題があった。
【0010】また、静圧軸受けと差動排気機構を組み合
わせたステージ(図26[A]、[B]、図29)では、差動
排気機構を設けたため、大気中で使用される静圧軸受け
式ステージに比べて構造が複雑で大型になり、ステージ
としての信頼性が低く、高コストになるという問題があ
った。
【0011】写像投影方式の電子線装置それ自体に関し
ては、試料面上の複数のピクセルからの信号を同時に取
り出せるため、高いスループットでパターン検査を行う
ことができる利点があるが、複数のピクセルに同時に電
子線を照射するため、試料が帯電するという問題点があ
る。一方、プロセス途中でウェーハ上の位置合わせ用の
マークを検出する場合は、パターン検査における写像投
影を行う程の視野は必要ではなく、より狭い視野で十分
であり、むしろピクセル寸法をより小さくしなければマ
ーク検出精度が不足するという問題点がある。
【0012】また、MCPは、長時間使用によって総出
力電荷量(スクリーン電流×時間)が増加するために、
MCP増倍率が低下し、欠陥検査装置において連続的か
つ長時間欠陥画像の撮像を行う際に、同一MCP印加電
圧においては、欠陥画像コントラストが変化又は劣化す
る等の問題点を有する。
【0013】更に、画像ビーム電流量の増幅率は、第1
のMCPと第2のMCPとの間に印加される電圧で規定
され、例えば、1.4kV印加で1×104の増幅率と
なる。また、第2のMCPから出力される画像ビームの
拡がりを抑制するため、第2のMCPと蛍光面の間に3
kV程度の電圧が印加される。従来の電子線装置の検出
器においては、撮像センサーと真空フランジが別個に形
成され、信号線が長くなり、信号遅延や外乱を受け易
く、検出器を高速駆動できず、検査のスループット(時
間当たり処理量)を低くさせる要因となっていた。
【0014】一方、従来の走査型電子顕微鏡としての機
能を有する検査装置では、写像投影方式に比べて、試料
が帯電するという問題点はなく、またマーク検出精度も
十分であるという利点を有する。
【0015】また、パターンのエッジ部分は、二次電子
放出率が高いためにぎらついてしまうことが知られてい
る。二次電子放出率が高いと、検出器で出力される二次
電子線の検出信号は、その信号強度が大きくなり、その
結果、この検出信号が、欠陥によって発生した信号等を
マスキングするため、検査率を劣化させてしまうという
問題があった。
【0016】従来例のウェーハの加工状態の評価装置に
おいては、ウェーハ全面を検査しており、そのため、ウ
ェーハ表面の任意の点が電子ビームの光軸上に一致する
ように、ワーキング・チャンバ内でウェーハを移動させ
ている。したがって、従来例の評価装置においては、ウ
ェーハを移動させる距離だけ前後左右に広がった底面積
が必要となり、評価装置の床面積が必然的に大きくなっ
てしまう。床面積が大きくなってしまうことは、クリー
ンルームを有効に活用することに逆行しており、評価装
置の小型化が求められている。
【0017】また、ウェーハ全面を検査するために、1
ウェーハ当たり数時間(数時間/ウェーハ)の検査時間
を必要としている。一方、ウェーハの加工装置における
スループットが1時間当たり約100ウェーハ(約10
0ウェーハ/時間)であり、したがって、ウェーハの検
査時間が加工時間の数十倍にもなっている。このよう
に、評価装置のスループットが加工装置のスループット
とマッチしていないため、検査時間を短縮することによ
り、これらスループットを整合させることが切望されて
いる。
【0018】また、スループットを可能な限り向上させ
る必要があり、検査工程前に行われるプロセスの処理時
間程度の処理時間で一枚のウェーハのような試料(以下
試料)を評価可能なことが望まれている。そこで、一枚
の試料のチップのうち任意の少数のチップを評価するこ
とによって一枚当たりの評価時間を短くすることも考え
られる。
【0019】更に、一次ビームをマルチビーム化するこ
とに伴なう収差をいかに抑制するかについてはほとんど
考慮されていなかった。特に、一次ビームの収差の内、
最も大きい収差である像面湾曲収差が発生しないような
光学系でマルチビームを作る方法が希求されている。
【0020】上記のような写像投影方式及びマルチビー
ム走査方式の電子線装置を利用した欠陥検査システムで
は、画像認識技術の向上により微細化したパターンの欠
陥検出の高速化及び高精度化を図ることも提案されてい
る。しかしながら、従来技術では、一次電子線を試料表
面の被検査領域に照射して取得した二次電子線の画像
と、予め用意された基準画像との間に位置ずれが発生
し、欠陥検出の精度を低下させるという問題があった。
この位置ずれは、一次電子線の照射領域がウェーハに対
してずれ、検査パターンの一部が二次電子線の検出画像
内から欠落するとき、特に大きな問題となり、単にマッ
チング領域を検出画像内で最適化する技術だけでは対処
できない。これは、特に、高精細パターンの検査では致
命的欠点となり得る。
【0021】また、電子銃から放出される一次電子線を
レンズ系で細く絞って試料面上に照射し、試料から放出
される二次電子を検出して、線幅測定、欠陥検査等の試
料面の評価を行う評価装置が知られている。このような
評価装置においては、S/N比を一定値以上(例えば、
22〜70)に大きくする必要がある.熱電界放出電子
銃を用いた場合、1ピクセル当り1000個〜1000
0個の二次電子を検出する必要がある。
【0022】例えば、二次電子の検出効率を10%とす
ると、1ピクセル当り一次電子を104〜105個照射す
る必要があった。これをドーズに換算すると、ドーズD
(Q/cm2)は、ピクセル寸法を0.1μm角とする
と、 D=104×1.6×10-19Q/(0.1×10-42 〜 105×1.6×10-19Q/(0.1×10-42 =16μc/cm2 〜 160μc/cm2 となる。
【0023】このような16μc/cm2〜160μc
/cm2のドーズの値は、トランジスタがほぼ完成した
層以降のウエハにとってはかなり大きいドーズに相当
し、大きなドーズ値の場合、トランジスタのスレショル
ド電圧Vthが上昇したりする問題がある。
【0024】一方、一次電子線を半導体ウエハ表面の被
検査領域に照射して取得した二次電子線の画像を用いて
半導体ウエハ上に形成された多数のチップ内のパターン
を検査する際には、例えばメモリにおける電荷蓄積部分
のように同一の形状を有するパターンが繰り返して形成
される繰り返しパターン領域と、それ以外のパターンが
形成されるランダムパターン領域とが存在するため、繰
り返しパターン領域とランダムパターン領域とに対し、
各々、異なる検査方法が用いられている。
【0025】すなわち、上記ランダムパターン領域に対
しては、隣接または近接する複数のチップ間で対応する
パターン同士を比較することによりパターンの欠陥を検
出するチップ比較検査が採用される。このチップ比較検
査は、ダイ比較検査あるいはランダム比較検査とも呼称
される検査方法である。このチップ比較検査は、半導体
ウエハ上の比較的離隔した2つの位置に配置されたパタ
ーンを比較検査することから、その許容誤差を比較的大
きくとる必要がある。
【0026】一方、上記繰り返しパターン領域に対して
は、同一チップ内における隣接または近接する繰り返し
パターンを相互に比較することによりパターンの欠陥を
検出するセル比較検査が採用される(特公平6−562
93号公報参照)。このセル比較検査は、アレイ比較検
査とも呼称される検査方法である。このセル比較検査
は、比較するパターンが距離的に近いことから、精度の
高い検査を実行することが可能となる。
【0027】このため、半導体ウエハに形成されたチッ
プにおける繰り返しパターン領域とランダムパターン領
域との両方の領域に対してパターン検査を行う場合にお
いては、ダイ比較検査を行うパターン検査装置と、セル
比較検査を行うパターン検査装置との両方のパターン検
査装置が使用される。また、ダイ比較検査とセル比較検
査の両方の検査モードを備えた検査装置を使用し、繰り
返しパターン領域またはランダムパターン領域に各々対
応させてモードを切り換えることにより検査を行う場合
もある。
【0028】また、特許第2976550号には、チッ
プを撮像した画像に対してセル比較を行うことにより、
その画像領域におけるセル比較可能部分とセル比較不可
能部分とを設定し、セル比較可能部分に対してはセル比
較検査を行い、セル比較不可能部分に対してはチップ比
較検査を行うパターン欠陥検査方法が開示されている。
【0029】上記半導体ウエハにおけるチップ比較、あ
るいは高精細プリント基板やリードフレーム、及びそれ
らのフォトマスク等のパターンを検査するための方法と
して、多値画像を使用した比較法がある。この比較法で
は、欠陥の無い良品のパターンを表す参照画像と被検査
物のパターンを表す被検査画像とを画素毎に比較するこ
とによって差分マップが作成され、その差分マップに基
づき被検査物における欠陥が検出される。したがって、
参照画像と被検査画像は、そのダイナミックレンジや明
るさ等の画質条件が互いに等しいことが前提となる。
【0030】しかし、被検査画像等を得るための画像入
力手段や、それによる画像入力の際の条件、被検査物で
あるターゲットサンプル等によっては、画質条件が異な
る場合がある。すなわち、被検査画像と参照画像とで濃
度ヒストグラムが図74に示すように異なる場合があ
る。この現象は、ターゲットサンプル等を光学的に撮影
する際の照明条件の変動や、電子ビームを照射し2次電
子を検出して画像を生成する場合のチャージアップ、タ
ーゲットサンプルの表面状態の相違等によって生じる。
【0031】このような画質条件の相違を解消する方法
として、画像の濃度について線形変換を実施するという
方法がある。この濃度の線形変換は、その画像の濃度値
域(「濃度レンジ」ともいう)を予め決められた正規化
値域(「正規化レンジ」ともいう)に変換するものであ
る。これを参照画像および被検査画像に適用することに
より、両画像のコントラストや、明るさ、ダイナミック
レンジ等の画質条件を同等のものとすることができる。
すなわち、図75(a)に示すように濃度ヒストグラム
が互いに異なる被検査画像と参照画像とにつき、それら
の濃度レンジRNGobj,RNGrefを同一の正規化レンジRNGn
ormへと変換することにより(この線形変換は「正規
化」と呼ばれる)、図75(b)に示すように両画像の
画質条件が互いにほぼ等しいものとなる。
【0032】また、上記比較法によるパターン検査を多
値画像を用いて行う場合、画像取得時のサンプリング位
置の誤差(以下「画像サンプリング誤差」という)に起
因して誤検出が生じることがある。すなわち、参照画像
と被検査画像とにつき比較すべき画素値の相違が検出さ
れても、その相違が画像サンプリング誤差の影響による
ものか微小な欠陥によるものかを区別できず、実際には
欠陥ではない部分を欠陥として検出することがあった。
【0033】この問題を解決する方法として、特開20
00−65545号公報において開示されたパターン検
査方法がある。このパターン検査方法は、特公平6−2
1769号公報において提案された2値画像用の欠陥検
出方法を多値画像に適用できるように拡張したものであ
って、参照画像と被検査画像についての対応画素の値の
一致性判断における許容誤差範囲として、参照画像にお
ける各画素の値に対して幅を持たせた画素値範囲を設定
するように構成されている。このような構成によれば、
被検査画像における画素は、その値が参照画像における
対応画素の画素値範囲内であれば参照画像の対応画素と
一致すると判定され、その一致する部分には欠陥が無い
と見なされる。これにより、画像におけるエッジ部分に
代表される画素値変化の大きい部分で発生するサンプリ
ング誤差による過剰検出(欠陥でない部分を欠陥部分と
する誤検出)を防止しつつ、微小な欠陥を検出すること
ができる。
【0034】また、上記パターン検査装置においては、
参照画像と被検査画像とのパターンマッチングにより位
置合わせを行った上でこれらの画像の差の絶対値を測定
し、この差の絶対値がある閾値を越えた場合に、これを
欠陥として検出するようにしている。
【0035】しかしながら、参照画像と被検査画像とを
その全ての位置で位置合わせすることは困難である。特
に、参照画像または被検査画像に局所的な歪みが存在す
る場合等においては、参照画像と被検査画像とをその全
ての位置で位置合わせすることが不可能となる。
【0036】このため、本出願人は、参照画像と被検査
画像とをいくつかの検査ブロックに分割し、分割後の参
照画像を被検査画像に対して二次元的に一定のずらせ量
だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置に配置した上
で、各揺すらせ位置において参照画像と被検査画像との
差の絶対値を測定し、各揺すらせ位置毎のこの差の絶対
値の差違が一定の閾値以上となったときにのみ、その検
査ブロック内に欠陥が存在すると判断することにより、
上述した問題を解消しうるパターン欠陥検査装置を提案
している(特開昭62−140009号、特開2000
−028333号)。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】被検査基板であるウエ
ーハには次の様な課題がある。ウェーハにビアが形成さ
れている場合には、対物レンズとウェーハとの間に大き
な減速電界を印加し、且つ、一次電子線をある一定値以
上流すと、ビアと対物レンズの間で放電が生じ、ウェー
ハに形成されたデバイスパターンを破損してしまう恐れ
がある。このような放電を起こしやすいウェーハと起こ
しにくいウェーハとがあり、それぞれのウェーハにおけ
る放電が生じる条件(減速電界電圧値および一次電子線
量)は異なる問題点がある。
【0038】また、半導体デバイスのゲート酸化膜は、
年々薄くなる傾向にあり、2005年には1nm、20
15年には0.5nm程度になると考えられている。ま
た、被検査基板に形成されたパターンの最小線幅dも小
さくなり、それに比例して検査の画素サイズ(pixel si
ze)を小さくすることが必要である。他方、信号のS/
N比を一定量得るためには、ピクセル当りの2次電子の
検出量を一定量得ることが必要であり、そのため単位面
積当りの1次電子の量が大きくなる傾向にある。従っ
て、ゲート酸化膜は、薄くなることにより損傷(破壊を
含む)され易くなり、またドーズは増加するのでゲート
酸化膜の両側に発生する電圧が増加し、それによりゲー
ト酸化膜は、更に損傷され易くなる傾向にある。従っ
て、被検査基板の薄いゲート酸化膜等を損傷させない電
子線装置を提供することが希求されている。
【0039】さらに、従来の半導体ウエハの検査装置に
おいては、S/N比を大きくする必要があることからド
ーズを大きくする必要があるが、ドーズを大きくして照
射する一次電子線の量を大きくすると、ウエハ上のトラ
ンジスタのスレショルド電圧が上昇してしまい、結局、
ウエハの検査時に、半導体デバイスの特性を損ねてしま
う場合がある。
【0040】さらに、検査装置のハードウエアでの課題
としては、静圧軸受けと差動排気機構を組み合わせたス
テージ(図26[A]、[B]、図29)では、差動排気機構
を設けたため、大気中で使用される静圧軸受け式ステー
ジに比べて構造が複雑で大型になり、ステージとしての
信頼性が低く、高コストになるという問題があった。
【0041】また、欠陥検査等のソフトウエアでの課題
としては、次に示す課題がある。
【0042】図66は、セル比較検査を利用して欠陥を
検出する動作を示す説明図である。
【0043】セル比較検査を行う際には、繰り返しパタ
ーンAと繰り返しパターンBとを比較するとともに、繰
り返しパターンBと繰り返しパターンCとを比較する。
そして、繰り返しパターンAと繰り返しパターンBとの
比較結果1101と、繰り返しパターンBと繰り返しパ
ターンCとの比較結果1102とのANDをとることに
より、繰り返しパターンBに固有の欠陥1100を検出
する。
【0044】このセル比較検査によれば、繰り返しパタ
ーン内に形成された微細な欠陥に対しては精度の高い検
査結果を得ることができるが、繰り返しパターンの2周
期以上に亘る欠陥を検出することができないという問題
がある。
【0045】例えば、比較的大きなパーティクルが繰り
返しパターン上に存在した場合等において、図67に示
すように、繰り返しパターンBおよび繰り返しパターン
Cの両方が欠陥となった場合においては、繰り返しパタ
ーンAと繰り返しパターンBとの比較結果1103と、
繰り返しパターンBと繰り返しパターンCとの比較結果
1104とのANDををとっても、繰り返しパターンB
には欠陥は存在しないと認識されることになる。
【0046】このため、セル比較検査では、図67に示
すような繰り返しパターンの2周期以上に亘るような比
較的大きな欠陥が検出できないことになる。
【0047】このような問題は、上述した特許第297
6550号に記載されたパターン欠陥検査方法において
も同様に生ずる現象である。すなわち、上述した特許第
2976550号に記載されたパターン欠陥検査方法に
おいては、このような繰り返しパターンの2周期以上に
亘るような比較的大きな欠陥がセル比較可能部分とセル
比較不可能部分とを設定する際に存在した場合には、こ
の大きな欠陥部分をセル比較可能部分と認識することに
なり、また、このような繰り返しパターンの2周期以上
に亘るような比較的大きな欠陥がセル比較検査時に存在
した場合においては、欠陥が存在しないものと認識する
ことになる。
【0048】この発明の目的の一つは上記課題を解決す
るため、繰り返しパターン領域に発生した比較的大きな
欠陥を正確に検出することができるパターン検査装置お
よびパターン検査方法を提供することである。
【0049】また多値画像を使用した比較法に基づくパ
ターン検査において、比較すべき被検査画像と参照画像
との画質条件を上記線形変換により等しくすること(以
下「整合化」という)が困難な場合がある。例えば、次
のような場合である。 (1)被検査物における欠陥部の画素値が良品画像の濃
度レンジ外である場合 (2)プリント基板等における“べたパターン”に代表
される画素濃度の均一なパターンが存在する場合 まず、上記(1)の場合の例を図76を参照して説明す
る。この場合、図76(a)に示すように参照画像の濃
度レンジは[XRa,XRb]であり、この濃度レンジ
[XRa,XRb]が、画像比較の前処理としての上記
線形変換により、予め決められた正規化レンジ[Ya,
Yb]に変換される。一方、被検査画像の濃度レンジ
は、欠陥が存在しない良品の場合には[XOa,XO
c]であるが、図76の例では上記(1)の場合に該当
する欠陥が存在するので、[XOa,XOb]が被検査
画像の濃度レンジとなる(例えば異物欠陥が存在すると
き、このような濃度レンジとなる)。この濃度レンジ
[XOa,XOb]も、同様に、画像比較の前に、上記
の正規化レンジ[Ya,Yb]に変換される。しかし、
XOb>XOcであることから、図76(b)に示すよ
うに、このような正規化(線形変換)によっては、被検
査画像と参照画像とを適切に整合化することができな
い。したがって、このような正規化を施しても、両画像
を正確に比較することができない。
【0050】次に、上記(2)の場合の例を図77を参
照して説明する。比較すべき画像の画質が局所的に変動
する場合、画像を複数の領域に分割し、領域毎に上記正
規化を行うという方法がある。この方法を採用した場合
には、画像の或る領域に存在するパターンが“べたパタ
ーン”のみの場合がある。この場合、その領域について
の濃度ヒストグラムは図77(a)に示すようになり、
その領域の濃度レンジは[Xa,Xb]であって狭いも
のとなる。画像比較の前処理として、この濃度レンジ
[Xa,Xb]は、図77(b)に示すように、予め決
められた正規化レンジ[Ya,Yb]に変換される。こ
こで、正規化レンジ[Ya,Yb]は、通常、“べたパ
ターン”のみが存在する領域の濃度レンジ[Xa,X
b]に比べて相当に広いものとなる。このため、その領
域については、画像のダイナミックレンジが広くなり、
ノイズ領域が拡大される。すなわち、正規化前の画像
は、ノイズが少なく欠陥の比較的検出しやすい画像であ
るにも拘わらず、正規化を行うことにより、欠陥部と非
欠陥部(ノイズ領域)との分離が困難になり、欠陥の検
出能力が低下する。
【0051】本発明の目的の一つは、上記問題を解決す
べく、多値画像である被検査画像と参照画像とを比較す
るための前処理として両画像の画質条件を確実に等しく
することにより両画像の正確な比較を可能とする、比較
法に基づくパターン検査装置および方法を提供すること
である。
【0052】また特開2000−65545号公報で開
示された上記パターン検査方法(以下「従来法」とい
う)では、図83(a)に示すように参照画像に微小パ
ターン3201が含まれている場合、その微小パターン
3201を構成する画素に対して設定される画素値範囲
(許容誤差範囲)が広くなる。すなわち、この場合、参
照画像における微小パターン3201を通るX方向のプ
ロファイルは図83(b)に示すようになり、微小パタ
ーン3201の中心の画素(以下、単に「中心画素」と
いう)に対して設定される画素値範囲は、中心画素を含
むその隣接画素群の値のうちの最大値Vaと最小値Vb
とに基づき決定されるので、広いものとなる。ところで
図83(a)の例では、参照画素における中心画素の値
はVaであり、被検査画像においてその中心画素に対応
する画素の値は“0”であるので、この中心画素の位置
での対応画素間の値の差(以下「画素差分」という)は
Vaである。これに対し、上記従来法では、中心画素を
含むその隣接画素群の値のうちの最小値Vb〜最大値V
aまでを中心画素の画素値範囲とすると、この範囲Vb
〜Va内の画素値はその中心画素の画素値と一致すると
判定されるので、この中心画素の位置での画素差分はV
bとみなされる(図83(c)参照)。したがって、図
83(a)に示すように被検査物において微小パターン
3201の位置にパターン欠損等が存在すると、図83
(c)に示すように上記従来法による比較結果である差
分値が実際の差分値よりも小さくなる。これは、従来法
では画素値範囲の設定によって微小パターンの欠損に対
する検出感度が低下することを意味する。
【0053】また、繰り返しパターンの検査において
は、図84に示すように参照画像を入れ替えながら検査
する方式が一般的であり、この方式の下で上記従来法に
よりパターン検査を実施した場合、欠陥の見逃しが発生
しやすくなる。以下、この点につき図84および図85
を参照して説明する。
【0054】図84に示した例では、まず、繰り返しパ
ターンAを参照画像のパターンとし、繰り返しパターン
Bを被検査画像のパターンとして、これらの繰り返しパ
ターンAとBとの比較による第1の検査を行う。次に、
繰り返しパターンBを参照画像のパターンとし、繰り返
しパターンCを被検査画像のパターンとして、これらの
繰り返しパターンBとCとの比較による第2の検査を行
う。第1および第2の検査では、参照画像のパターンと
被検査画像のパターンとの比較、その比較に基づく差分
マップの作成、その差分マップを所定の閾値Thで2値
化することによる欠陥候補の決定が順に行われる。その
後、第1および第2の検査で得られる欠陥候補を示す2
値データの間での論理積に相当するデータを求めること
により、パターンBにおける欠陥個所が特定される。い
ま、このような繰り返しパターンの検査において、図8
5に示すように、パターンBに微小な欠陥3301が存
在するものとすると、上記従来法では参照画像の各画素
に対して画素値範囲が設定されることから、第1の検査
と第2の検査との間で、微小な欠陥3301に相当する
画素についての画素差分の値が異なる。その結果、両検
査で得られる差分マップを同一の閾値Thで2値化して
欠陥候補を求めると、第2の検査では、画素差分の値が
小さくなるため欠陥の検出感度が低下し、欠陥を見逃し
やすくなる。
【0055】なお、差分マップから欠陥候補を求めるた
めの閾値Thを第1の検査と第2の検査とで適切に変え
ることで上記問題を回避することも考えられるが、どの
位置に欠陥が存在するかは未知であるため、欠陥の見逃
しが生じないように適切に閾値Thを変更することは困
難である。
【0056】本発明の目的の一つは、多値画像を用いた
比較法によるパターン検査であって、画像サンプリング
誤差に起因する誤検出を回避しつつ欠陥を確実に検出す
ることができるパターン検査を行うための装置および方
法を提供することである。
【0057】さらに、特開昭62−140009号や特
開2000−028333号に記載されたパターン欠陥
検査装置は、参照画像と被検査画像とをその全ての位置
で位置合わせすることなく欠陥を検出できる点で優れた
ものではあるが、検査ブロック単位でしか欠陥を検出で
きないことから、欠陥画素の特定が困難になるという問
題がある。
【0058】また、特開昭62−140009号や特開
2000−028333号に記載されたパターン欠陥検
査装置においては、参照画像側に微細な欠陥が存在した
場合や、検査すべきパターンが微細な場合においては、
検査ブロックの境界部分において、参照画像側の微細な
欠陥や被検査画像の微細な欠陥を見逃しやすいという問
題がある。
【0059】本発明は、このような従来例の問題点に鑑
みてなされたものであり、その目的は、電子線を用いた
検査装置において、一次電子線の照射量を少なくして
も、二次電子の検出信号のS/N比を所望の大きさに
し、スループット良く且つ高精度で基板の欠陥の検出を
可能にすることである。
【0060】この発明のさらなる目的は、上記課題を解
決するため、微細な欠陥をも、その位置を特定した上で
正確に検出することができるパターン欠陥検査方法およ
びパターン欠陥検査装置を提供することである。
【0061】本発明は、上記問題を解決した、電子ビー
ムを用いた検査装置を用いた半導体デバイス製造方法を
提供することを目的とする。
【0062】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、基板を少なくとも1つの自由度で連続的に移送可能
に保持するステージを有し、前記ステージには、静圧軸
受けによる非接触支持機構と差動排気による真空シール
機構とを設けて、前記基板上の電子ビームが照射される
箇所と、前記ステージの静圧軸受け支持部との間にコン
ダクタンスが小さくなる仕切りを設けた構造を有し、上
記基板に電子線を照射し2次電子画像を取り込んで、前
記基板上に形成された多数のチップにおける繰り返しパ
ターンを検査するパターン検査装置であって、同一チッ
プ内の繰り返しパターン領域に対し、同一チップ内にお
ける繰り返しパターンを相互に比較するセル比較と、複
数のチップ間で対応するパターン同士を比較するチップ
比較とを実行することによりパターンの欠陥を検出す
る。
【0063】請求項2に記載の発明は、基板を少なくと
も1つの自由度で連続的に移送可能に保持するステージ
を有し、前記ステージには、静圧軸受けによる非接触支
持機構と差動排気による真空シール機構とを設けて、前
記基板上の電子ビームが照射される箇所と、前記ステー
ジの静圧軸受け支持部との間にコンダクタンスが小さく
なる仕切りを設けた構造を有し、前記基板に電子線を照
射し2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検査画像
とを比較することによりパターンの欠陥を検出するパタ
ーン検査装置であって、前記被検査画像の全部または一
部の領域と当該領域に位置的に対応する前記参照画像の
領域とに着目し、前記被検査画像と前記参照画像とを互
いに比較するために、前記被検査画像と前記参照画像の
少なくとも一方に対して濃度変換を施すことにより、前
記被検査画像と前記参照画像とを整合化させる濃度変換
手段とを備える。
【0064】請求項3に記載の発明は、基板を少なくと
も1つの自由度で連続的に移送可能に保持するステージ
を有し、前記ステージには、静圧軸受けによる非接触支
持機構と差動排気による真空シール機構とを設けて、前
記基板上の電子ビームが照射される箇所と、前記ステー
ジの静圧軸受け支持部との間にコンダクタンスが小さく
なる仕切りを設けた構造を有し、前記基板に電子線を照
射し2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検査画像
とを比較することによりパターンの欠陥を検出するパタ
ーン検査装置であって、前記被検査画像における各画素
と当該画素に位置的に対応する前記参照画像の画素とに
順次着目し、前記被検査画像の着目画素の近傍における
画素値の空間的変化量を示す第1の周辺分布特徴値、お
よび、前記参照画像の着目画素の近傍における画素値の
空間的変化量を示す第2の周辺分布特徴値を算出する周
辺分布特徴値算出手段を備え、前記第1および第2の周
辺分布特徴値に基づき、前記被検査画像の着目画素と前
記参照画像の着目画素のうち、どちらか一方の着目画素
を許容画素として選択すると共に他方の着目画素をター
ゲット画素として選択し、前記ターゲット画素と前記許
容画素とを比較する。
【0065】請求項4に記載の発明は、基板を少なくと
も1つの自由度で連続的に移送可能に保持するステージ
を有し、前記ステージには、静圧軸受けによる非接触支
持機構と差動排気による真空シール機構とを設けて、前
記基板上の電子ビームが照射される箇所と、前記ステー
ジの静圧軸受け支持部との間にコンダクタンスが小さく
なる仕切りを設けた構造を有し、前記基板に電子線を照
射し2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検査画像
とを比較することによりパターンの欠陥を検出するパタ
ーン検査装置であって、前記参照画像を前記被検査画像
に対して二次元的に一定のずらせ量だけ各周辺方向にず
らせた揺すらせ位置に配置する揺すらせ回路と、前記各
揺すらせ位置において前記参照画像と前記被検査画像と
の差の絶対値を測定することにより得られる各揺すらせ
位置における差の絶対値画像から最大値画像を得る最大
値取得回路と、各揺すらせ位置における最大値画像に対
し、同一位置の画素値の最小値を検出することにより欠
陥画像を得る最小値検出回路と、を備える。
【0066】請求項5に記載の発明は、基板と対物レン
ズとの間における放電または放電の前駆現象を検出して
信号を発生する検出器を備え、1次電子線を集束させ基
板上で走査し、前記基板からの2次電子線を検出し前記
基板の2次電子画像を取り込んで、前記基板上に形成さ
れた多数のチップにおける繰り返しパターンを検査する
パターン検査装置であって、同一チップ内の繰り返しパ
ターン領域に対し、同一チップ内における繰り返しパタ
ーンを相互に比較するセル比較と、複数のチップ間で対
応するパターン同士を比較するチップ比較とを実行する
ことによりパターンの欠陥を検出する。
【0067】請求項6に記載の発明は、基板と対物レン
ズとの間における放電または放電の前駆現象を検出して
信号を発生する検出器を備え、1次電子線を集束させ基
板上で走査し、前記基板からの2次電子線を検出し前記
基板の2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検査画
像とを比較することによりパターンの欠陥を検出するパ
ターン検査装置であって、前記被検査画像の全部または
一部の領域と当該領域に位置的に対応する前記参照画像
の領域とに着目し、前記被検査画像と前記参照画像とを
互いに比較するために、前記被検査画像と前記参照画像
の少なくとも一方に対して濃度変換を施すことにより、
前記被検査画像と前記参照画像とを整合化させる濃度変
換手段とを備える。
【0068】請求項7に記載の発明は、基板と対物レン
ズとの間における放電または放電の前駆現象を検出して
信号を発生する検出器を備え、1次電子線を集束させ基
板上で走査し、前記基板からの2次電子線を検出し前記
基板の2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検査画
像とを比較することによりパターンの欠陥を検出するパ
ターン検査装置であって、前記被検査画像における各画
素と当該画素に位置的に対応する前記参照画像の画素と
に順次着目し、前記被検査画像の着目画素の近傍におけ
る画素値の空間的変化量を示す第1の周辺分布特徴値、
および、前記参照画像の着目画素の近傍における画素値
の空間的変化量を示す第2の周辺分布特徴値を算出する
周辺分布特徴値算出手段を備え、前記第1および第2の
周辺分布特徴値に基づき、前記被検査画像の着目画素と
前記参照画像の着目画素のうち、どちらか一方の着目画
素を許容画素として選択すると共に他方の着目画素をタ
ーゲット画素として選択し、前記ターゲット画素と前記
許容画素とを比較する。
【0069】請求項8に記載の発明は、基板と対物レン
ズとの間における放電または放電の前駆現象を検出して
信号を発生する検出器を備え、1次電子線を集束させ基
板上で走査し、前記基板からの2次電子線を検出し前記
基板の2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検査画
像とを比較することによりパターンの欠陥を検出するパ
ターン検査装置であって、前記参照画像を前記被検査画
像に対して二次元的に一定のずらせ量だけ各周辺方向に
ずらせた揺すらせ位置に配置する揺すらせ回路と、前記
各揺すらせ位置において前記参照画像と前記被検査画像
との差の絶対値を測定することにより得られる各揺すら
せ位置における差の絶対値画像から最大値画像を得る最
大値取得回路と、各揺すらせ位置における最大値画像に
対し、同一位置の画素値の最小値を検出することにより
欠陥画像を得る最小値検出回路と、を備える。
【0070】請求項9に記載の発明は、最小線幅dのパ
ターンを有する基板に、1次電子線のビーム径をDとす
るとき、0.55≦D/d≦1.0を満たす1次電子線
を照射し且つ予め決められた走査幅で走査し前記基板か
ら放出される2次電子を検出し2次電子画像を取り込ん
で、前記基板上に形成された多数のチップにおける繰り
返しパターンを検査するパターン検査装置であって、同
一チップ内の繰り返しパターン領域に対し、同一チップ
内における繰り返しパターンを相互に比較するセル比較
と、複数のチップ間で対応するパターン同士を比較する
チップ比較とを実行することによりパターンの欠陥を検
出する。
【0071】請求項10に記載の発明は、最小線幅dの
パターンを有する基板に、1次電子線のビーム径をDと
するとき、0.55≦D/d≦1.0を満たす1次電子
線を照射し且つ予め決められた走査幅で走査し前記基板
から放出される2次電子を検出し2次電子画像を取り込
んで、参照画像と被検査画像とを比較することによりパ
ターンの欠陥を検出するパターン検査装置であって、前
記被検査画像の全部または一部の領域と当該領域に位置
的に対応する前記参照画像の領域とに着目し、前記被検
査画像と前記参照画像とを互いに比較するために前記被
検査画像と前記参照画像の少なくとも一方に対して濃度
変換を施すことにより、前記被検査画像と前記参照画像
とを整合化させる濃度変換手段とを備える。
【0072】請求項11に記載の発明は、最小線幅dの
パターンを有する基板に、1次電子線のビーム径をDと
するとき、0.55≦D/d≦1.0を満たす1次電子
線を照射し且つ予め決められた走査幅で走査し前記基板
から放出される2次電子を検出し2次電子画像を取り込
んで、参照画像と被検査画像とを比較することによりパ
ターンの欠陥を検出するパターン検査装置であって、前
記被検査画像における各画素と当該画素に位置的に対応
する前記参照画像の画素とに順次着目し、前記被検査画
像の着目画素の近傍における画素値の空間的変化量を示
す第1の周辺分布特徴値、および、前記参照画像の着目
画素の近傍における画素値の空間的変化量を示す第2の
周辺分布特徴値を算出する周辺分布特徴値算出手段を備
え、前記第1および第2の周辺分布特徴値に基づき、前
記被検査画像の着目画素と前記参照画像の着目画素のう
ち、どちらか一方の着目画素を許容画素として選択する
と共に他方の着目画素をターゲット画素として選択し、
前記ターゲット画素と前記許容画素とを比較する。
【0073】請求項12に記載の発明は、最小線幅dの
パターンを有する基板に、1次電子線のビーム径をDと
するとき、0.55≦D/d≦1.0を満たす1次電子
線を照射し且つ予め決められた走査幅で走査し前記基板
から放出される2次電子を検出し2次電子画像を取り込
んで、参照画像と被検査画像とを比較することによりパ
ターンの欠陥を検出するパターン検査装置であって、前
記参照画像を前記被検査画像に対して二次元的に一定の
ずらせ量だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置に配置
する揺すらせ回路と、前記各揺すらせ位置において前記
参照画像と前記被検査画像との差の絶対値を測定するこ
とにより得られる各揺すらせ位置における差の絶対値画
像から最大値画像を得る最大値取得回路と、各揺すらせ
位置における最大値画像に対し、同一位置の画素値の最
小値を検出することにより欠陥画像を得る最小値検出回
路と、を備える。
【0074】請求項13に記載の発明は、最小線幅dの
パターンを有する基板に、1次電子線が最小線幅dの2
倍のピッチの周期パターンを観察した時の信号の変調伝
達関数MTFが0.42≦MTF≦0.8になるように
ビーム径Dを選択した1次電子線を照射し且つ予め決め
られた走査幅で走査し前記基板から放出される2次電子
を検出し2次電子画像を取り込んで、前記基板上に形成
された多数のチップにおける繰り返しパターンを検査す
るパターン検査装置であって、同一チップ内の繰り返し
パターン領域に対し、同一チップ内における繰り返しパ
ターンを相互に比較するセル比較と、複数のチップ間で
対応するパターン同士を比較するチップ比較とを実行す
ることによりパターンの欠陥を検出する。
【0075】請求項14に記載の発明は、最小線幅dの
パターンを有する基板に、1次電子線が最小線幅dの2
倍のピッチの周期パターンを観察した時の信号の変調伝
達関数MTFが0.42≦MTF≦0.8になるように
ビーム径Dを選択した1次電子線を照射し且つ予め決め
られた走査幅で走査し前記基板から放出される2次電子
を検出し2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検査
画像とを比較することによりパターンの欠陥を検出する
パターン検査装置であって、前記被検査画像の全部また
は一部の領域と当該領域に位置的に対応する前記参照画
像の領域とに着目し、前記被検査画像と前記参照画像と
を互いに比較するために前記被検査画像と前記参照画像
の少なくとも一方に対して濃度変換を施すことにより、
前記被検査画像と前記参照画像とを整合化させる濃度変
換手段とを備える。
【0076】請求項15に記載の発明は、最小線幅dの
パターンを有する基板に、1次電子線が最小線幅dの2
倍のピッチの周期パターンを観察した時の信号の変調伝
達関数MTFが0.42≦MTF≦0.8になるように
ビーム径Dを選択した1次電子線を照射し且つ予め決め
られた走査幅で走査し前記基板から放出される2次電子
を検出し2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検査
画像とを比較することによりパターンの欠陥を検出する
パターン検査装置であって、前記被検査画像における各
画素と当該画素に位置的に対応する前記参照画像の画素
とに順次着目し、前記被検査画像の着目画素の近傍にお
ける画素値の空間的変化量を示す第1の周辺分布特徴
値、および、前記参照画像の着目画素の近傍における画
素値の空間的変化量を示す第2の周辺分布特徴値を算出
する周辺分布特徴値算出手段を備え、 前記第1および
第2の周辺分布特徴値に基づき、前記被検査画像の着目
画素と前記参照画像の着目画素のうち、どちらか一方の
着目画素を許容画素として選択すると共に他方の着目画
素をターゲット画素として選択し、前記ターゲット画素
と前記許容画素とを比較する。
【0077】請求項16に記載の発明は、最小線幅dの
パターンを有する基板に、1次電子線が最小線幅dの2
倍のピッチの周期パターンを観察した時の信号の変調伝
達関数MTFが0.42≦MTF≦0.8になるように
ビーム径Dを選択した1次電子線を照射し且つ予め決め
られた走査幅で走査し前記基板から放出される2次電子
を検出し2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検査
画像とを比較することによりパターンの欠陥を検出する
パターン検査装置であって、前記参照画像を前記被検査
画像に対して二次元的に一定のずらせ量だけ各周辺方向
にずらせた揺すらせ位置に配置する揺すらせ回路と、前
記各揺すらせ位置において前記参照画像と前記被検査画
像との差の絶対値を測定することにより得られる各揺す
らせ位置における差の絶対値画像から最大値画像を得る
最大値取得回路と、各揺すらせ位置における最大値画像
に対し、同一位置の画素値の最小値を検出することによ
り欠陥画像を得る最小値検出回路と、を備える。
【0078】請求項17に記載の発明は、空間電荷制限
領域で動作するよう設定されている電子銃から放出され
る電子線をレンズ系で細く絞って基板面上に照射し、基
板から放出される二次電子を検出し2次電子画像を取り
込んで、基板上に形成された多数のチップにおける繰り
返しパターンを検査するパターン検査装置であって、同
一チップ内の繰り返しパターン領域に対し、同一チップ
内における繰り返しパターンを相互に比較するセル比較
と、複数のチップ間で対応するパターン同士を比較する
チップ比較とを実行することによりパターンの欠陥を検
出する。
【0079】請求項18に記載の発明は、空間電荷制限
領域で動作するよう設定されている電子銃から放出され
る電子線をレンズ系で細く絞って基板面上に照射し、基
板から放出される二次電子を検出し、2次電子画像を取
り込んで、参照画像と被検査画像とを比較することによ
りパターンの欠陥を検出するパターン検査装置であっ
て、前記被検査画像の全部または一部の領域と当該領域
に位置的に対応する前記参照画像の領域とに着目し、前
記被検査画像と前記参照画像とを互いに比較するために
前記被検査画像と前記参照画像の少なくとも一方に対し
て濃度変換を施すことにより、前記被検査画像と前記参
照画像とを整合化させる濃度変換手段とを備える。
【0080】請求項19に記載の発明は、空間電荷制限
領域で動作するよう設定されている電子銃から放出され
る電子線をレンズ系で細く絞って基板面上に照射し、基
板から放出される二次電子を検出し、2次電子画像を取
り込んで、参照画像と被検査画像とを比較することによ
りパターンの欠陥を検出するパターン検査装置であっ
て、前記被検査画像における各画素と当該画素に位置的
に対応する前記参照画像の画素とに順次着目し、前記被
検査画像の着目画素の近傍における画素値の空間的変化
量を示す第1の周辺分布特徴値、および、前記参照画像
の着目画素の近傍における画素値の空間的変化量を示す
第2の周辺分布特徴値を算出する周辺分布特徴値算出手
段を備え、前記第1および第2の周辺分布特徴値に基づ
き、前記被検査画像の着目画素と前記参照画像の着目画
素のうち、どちらか一方の着目画素を許容画素として選
択すると共に他方の着目画素をターゲット画素として選
択し、前記ターゲット画素と前記許容画素とを比較す
る。
【0081】請求項20に記載の発明は、空間電荷制限
領域で動作するよう設定されている電子銃から放出され
る電子線をレンズ系で細く絞って基板面上に照射し、基
板から放出される二次電子を検出し、2次電子画像を取
り込んで、参照画像と被検査画像とを比較することによ
りパターンの欠陥を検出するパターン検査装置であっ
て、前記参照画像を前記被検査画像に対して二次元的に
一定のずらせ量だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置
に配置する揺すらせ回路と、前記各揺すらせ位置におい
て前記参照画像と前記被検査画像との差の絶対値を測定
することにより得られる各揺すらせ位置における差の絶
対値画像から最大値画像を得る最大値取得回路と、各揺
すらせ位置における最大値画像に対し、同一位置の画素
値の最小値を検出することにより欠陥画像を得る最小値
検出回路と、を備える。
【0082】請求項21に記載の発明は、半導体を製造
するプロセスにおいて、プロセスの途中あるいは終了後
に、請求項1乃至20のいずれかに記載のパターン検査
装置を用いたウエハの検査工程を含む。
【0083】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態;写像投影型
の欠陥検査システム)図1には、本発明の第1の実施の
形態に係る、写像投影型の電子線装置1−1を用いた欠
陥検査システムの概略の全体構成が示されている。同図
に示すように、電子線装置1−1は、1次コラム21−
1、2次コラム22−1及び検査チャンバー23−1を
有する。尚、本願の検査とは、検査の結果を評価する評
価装置を含む。
【0084】1次コラム21−1の内部には、カソード
8−1及びアノード9−1から構成された電子銃11−
1が設けられており、電子銃11−1から照射される電
子ビーム12−1(1次ビーム)の光軸上に1次光学系
10−1が配置される。また、検査チャンバー23−1
の内部には、ステージ26が設置され、該ステージ26
上には、試料として基板S(例えばウェーハ等)が載置
される。
【0085】1次光学系10−1は、非回転対称の四重
極又は八極の静電(又は電磁)レンズ25−1を使用す
る。これは、X軸、Y軸各々で集束と発散とを引き起こ
すことができる。このレンズを2段、3段で構成し、各
レンズ条件を最適化することによって、照射電子を損失
することなく、試料面上のビーム照射領域を、任意の矩
形状、又は、楕円形状に整形することができる。具体的
には、静電レンズを用いた場合、4本の円柱ロッドを使
用する。対向する電極同士を等電位にし、互いに逆の電
圧特性を与える。なお、4重極レンズとして円柱形では
なく、静電偏向器で、通常使用される円形板を4分割し
た形状のレンズを用いてもよい。この場合レンズの小型
化を図ることができる。
【0086】電子銃11−1として熱電子線源を使用す
ることができる。電子放出(エミッタ)材料は、LaB
6である。高融点(高温での蒸気圧が低い)で仕事関数
の小さい材料であれば、他の材料を使用することが可能
である。先端を円錐形状にしたもの又は円錐の先端を切
り落とした円錐台形状のものを使用している。円錐台先
端の直系は100μm程度である。他の方式としては、
電界放出型の電子線源或いは熱電界放出型のものが使用
されているが、本発明の場合のように比較的広い領域
(例えば、100×25〜400×100μm2)を大
きな電流(1μA程度)で照射する場合はLaB6を用
いた熱電子源が最適である。(SEM方式では、一般に
熱電界放出電子線源が使用されている)。尚、熱電子線
源は、電子放出材料を加熱することにより電子を放出す
る方式であり、熱電界放出電子線源とは、電子放出材料
に高電界をかけることにより電子を放出させ、更に電子
線放出部を加熱することにより、電子放出を安定させた
方式である。
【0087】一方、2次コラム22−1の内部には、基
板Sに対して略垂直方向(基板Sから発生する2次電子
線(2次ビーム)の略進行方向)に、その光軸が合致さ
れた2次光学系20−1及び検出器35−1が配置され
る。2次光学系20−1は、カソードレンズ28−1、
ニューメニカルアパーチャ29−1、第2レンズ31−
1、E×B分離ユニット(ウィーンフィルター)30−
1、第3レンズ33−1、フィールドアパーチャ32−
1、第4レンズ34−1、偏向器35’−1が配置され
る。なお、ニューメニカルアパーチャ29−1は、開口
絞りに相当するもので、円形の穴が開いた金属製(Mo
等)の薄板である。そして、開口部が1次ビームの集束
位置及びカソードレンズ28−1の焦点位置になるよう
に配置されている。従って、カソードレンズ28−1と
ニューメニカルアパーチャ29−1とは、2次電子線に
対してテレセントリックな電子光学系を構成している。
【0088】また、検出器35−1は、主要には、マイ
クロチャンネルプレート(MCP)14−1と、電子を
光に変換する蛍光スクリーン15−1と、真空系と外部
とを中継する真空透過窓16−1と、光学像を伝達させ
るためのファイバーオプティカルプレート(FOP)1
7−1と、光学像を検出する多数の素子からなるTDI
−CCD18−1と、を含む。MCP14−1の原理と
しては、直径6〜25μm、長さ0.24から1.0m
mという非常に細いガラスキャピラリを数百万本束ね、
薄い板状に整形したもので、所定の電圧印加を行うこと
で、一本一本のキャピラリが、独立した2次電子増幅器
として働き、全体として2次電子増幅器を形成する。T
DI−CCD18−1は、メモリ34−1を介してコン
トロールユニット36−1に接続される。
【0089】図1の欠陥検査システム全体を制御するた
めの制御系は、主に、マン−マシンインターフェースを
備えるコントロールユニット36−1、並びに、コント
ロールユニット36−1に入力された情報に基づいて、
電子線装置1−1により得られた2次電子画像から欠陥
検査を行うと共に、各構成要素を制御する制御ユニット
を制御指令するCPU37−1から構成される。
【0090】コントロールユニット36−1には、マン
−マシンインターフェースとして、図示しない操作盤が
備えられており、オペレータは、該操作盤を介して欠陥
検査システムに種々の指示/命令を与えることができる
(例えば、レシピなどの入力、検査スタートの指示、自
動と手動検査モードの切り替え、手動検査モード時のと
きの必要な全てのコマンドの入力等)。また、コントロ
ールユニット36−1には、液晶又はCRT等のディス
プレイ24−1が接続され、各種指令の確認画像、CP
U37−1からの情報の表示、及び、メモリ34−1内
に記憶された2次電子画像を適宜表示することができ
る。
【0091】CPU37−1は、電子光学系へのフィー
ドバッグ信号等の授受、及び、ステージからの信号の授
受を、夫々、1次及び2次コラム制御ユニット38−
1、39−1、及び、ステージ駆動機構40−1の図示
しないステージコントローラを介して行われる。
【0092】1次及び2次コラム制御ユニット38−
1、39−1は、主に電子線光学系の制御(電子銃、レ
ンズ、アライナー、ウィーンフィルター用等の高精度電
源の制御等)を担う。具体的には、照射領域に、倍率が
変わったときにも常に一定の電子電流が照射されるよう
にすること、各倍率に対応した各レンズ系やアライナー
への自動電圧設定等の、各オペレーションモードに対応
した各レンズ系やアライナーへの自動電圧設定等の制御
(連動制御)が行われる。
【0093】ステージコントローラは、主にステージの
移動に関する制御を行い精密なX方向及びY方向のμm
オーダーの移動(±0.5μm程度の誤差)を可能にし
ている。また、本ステージでは、誤差精度±0.3秒程
度以内で、回転方向の制御(θ制御)も行われる。
【0094】その他のCPU37−1の制御機能とし
て、搬送機構41−1の図示しない搬送コントローラの
制御、工場のホストコンピュータとのコミュニケーショ
ン、真空排気系の制御、ウェーハ等の試料搬送、位置合
わせの制御、他の制御コントローラやステージコントロ
ーラへのコマンドの伝達や情報の受け取り等が挙げられ
る。また、光学顕微鏡からの画像信号の取得、ステージ
の変動信号を電子光学系にフィードバッグさせて像の悪
化を補正するステージ振動補正機能、試料観察位置のZ
方向(二次光学系の軸方向)の変位を検出して、電子光
学系へフィードバッグし、自動的に焦点を補正する自動
焦点補正機能を備えている。
【0095】1次コラム21−1、2次コラム22−
1、検査チャンバー23−1は、真空排気系(図示せ
ず)と繋がっている。真空排気系は、真空ポンプ、真空
バルブ、真空ゲージ、真空配管等から構成され、電子光
学系、検出器部、試料室、ロードロック室を所定のシー
ケンスに従い、真空排気を行う。各部においては必要な
真空度を達成するように真空バルブが制御される。常
時、真空度のモニターを行い、異常時には、インターロ
ック機能により隔離バルブによるチャンバー間又はチャ
ンバーと排気系間の遮断等の緊急制御を行い、各部にお
いて必要な真空度を確保する。真空ポンプとしては主排
気にターボ分子ポンプ、粗引き用としてはルーツ式のド
ライポンプを使用する。検査場所(電子線照射部)の圧
力は、10-3〜10-5Pa、好ましくは、その1桁下の
10-4〜10-6Paが実用的である。
【0096】(クリーナー)電子線装置1−1が作動す
ると、近接相互作用(表面近くでの粒子の帯電)により
標的物質が浮遊して高圧領域に引きつけられるので、電
子ビームの形成や偏向に使用される様々な電極には有機
物質が堆積する。表面の帯電により徐々に堆積していく
絶縁体は、電子ビームの形成や偏向機構に悪影響を及ぼ
すので、堆積した絶縁体は周期的に除去しなければなら
ない。絶縁体の周期的な除去は、絶縁体の堆積する領域
の近傍の電極を利用して、真空中で水素、酸素や窒素、
或いは、フッ素及びそれらを含む化合物、HF、O2
NH3、H2O、CMN等のプラズマを作り出し、空間内
のプラズマ電位を電極面にスパッタが生じる電位(数k
V、例えば20V〜5kV)に維持することで、有機物
質の酸化、水素化、フッ素化により除去する。
【0097】(E×Bユニット)ここで、上記したE×
Bユニット30−1(ウィーンフィルター)の詳細な構
造について、図2、及び、図2のA−A線に装縦断面を
示した図3を用いて、更に詳細に説明する。
【0098】E×Bユニット30−1は、電極と磁極を
直交方向に配置し、電界と磁界とを直交させた電磁プリ
ズム光学系のユニットである。電磁界を選択的に与える
と、一方向からその場に入射する電子ビームは偏向さ
れ、その反対方向から入射する電子ビームは,電界から
受ける力と磁界から受ける力の影響が相殺される条件
(ウィーン条件)を作ることが可能で、これにより1次
電子ビームは偏向され、ウェーハ上に垂直に照射し、2
次電子ビームは検出器に向かって略直進することができ
る。
【0099】図2に示すように、E×Bユニット30−
1の場は、光軸に垂直な平面内において、電界と磁界と
を直交させた構造、即ち、E×B構造としている。
【0100】ここで、電界は、凹面状の曲面を持つ電極
50a−1及び50b−1により発生させる。電極50
a−1及び50b−1が発生する電界は、夫々制御部5
3a−1及び53b−1により制御される。一方、電界
発生用の電極50a−1及び50b−1と直交するよう
に、電磁コイル51a−1及び51b−1を配置させる
ことにより、磁界を発生させている。尚、電界発生用の
電極50a−1及び50b−1は、点対称である(同心
円でも構わない)。
【0101】この場合は、磁界の均一性を向上させるた
めに、平行平板形状を有するポールピースを持たせて、
磁路を形成している。A−A線に沿う縦断面における電
子ビームの挙動は、図3に示される。照射された電子ビ
ーム61a−1及び61b−1は、電極50a−1及び
50b−1が発生する電界と、電磁コイル51a−1及
び51b−1が発生する磁界とによって偏向された後、
試料面上に対して垂直方向に入射する。
【0102】ここで、照射電子ビーム61a−1及び6
1b−1の電子ビーム偏向部への入射位置及び角度は、
電子のエネルギーが決定されると一義的に決定される。
更に、2次電子62a−1及び62b−1が直進するよ
うに、電界及び磁界の条件、即ち、vB=E(即ち、e
vB=eE;eは電荷(C))となるように、電極50
a−1及び50b−1が発生する電界と、電磁コイル5
1a−1及び51b−1が発生する磁界とを、各々の制
御部53a−1及び53b−1、54a−1及び54b
−1が制御することにより、2次電子は電子ビーム偏向
部27を直進して検出系に入射する。ここで、Vは電子
32の速度(m/s)、Bは磁場(T)、Eは電界(V
/m)である。
【0103】次に、本実施の形態に係る電子線装置1−
1の動作について図1を用いて説明する。
【0104】本電子線装置1−1は、試料の観察領域を
1次電子線で一括して照射し(走査は行わず、一定の面
積を照射する)、照射された領域からの2次電子をレン
ズ系により、一括して検出器(マイクロチャンネルプレ
ート+蛍光板)上に電子線の画像として結像させるもの
である。
【0105】(1次ビーム)電子銃11−1からの1次
ビーム(一例として、電子銃のチップとしては、矩形陰
極で大電流を取り出すことができるLaB6を用いる)
は、1次光学系10−1によりレンズ作用(整形及び結
像)を受けながら、ウィーンフィルター30−1に入射
し、該ウィーンフィルター30−1の偏向作用により軌
道が曲げられる。ウィーンフィルター30−1は、磁界
と電界を直交させ、電界をE、磁界をB、荷電粒子の速
度をvとした場合、E=vBのウィーン条件を満たす荷
電粒子のみを直進させ、それ以外の荷電粒子の軌道を曲
げる。1次ビームに対しては、磁界による力FBと電界
による力FEとが同方向に働き、ビーム軌道は曲げられ
る。一方、2次ビームに対しては、力FBと力FEとが
逆方向に働くため、互いに相殺されるので、2次ビーム
はそのまま直進する。
【0106】1次光学系10−1のレンズ電圧は、1次
ビームがニューメニカルアパーチャ29−1の開口部で
結像するように予め設定されている。このニューメニカ
ルアパーチャ29−1は、装置内に散乱する余計な電子
ビームが試料面に到達することを阻止し、試料Sのチャ
ージアップや汚染を防いでいる。更に、ニューメニカル
アパーチャ29−1とカソードレンズ28−1とは二次
ビームに対してテレセントリックな電子光学系を構成し
ているが一次ビームに対してはそうではなく、カソード
レンズ28−1を透過した1次ビームは僅かに発散する
ビームになり、試料Sに均一且つ一様に照射する。この
一様な照射は、光学顕微鏡でいうケーラー証明である。
【0107】(2次ビーム)1次ビームが試料に照射さ
れると、試料のビーム照射面からは、2次ビームとし
て、2次電子、反射電子又は後方散乱電子が発生する。
2次ビームは、カソードレンズ28−1によるレンズ作
用を受けながら、レンズを透過する。
【0108】ところで、カソードレンズ28−1は、3
枚の電極で構成されている。一番下の電極は、試料S側
の電位との間で、正の電界を形成し、電子(特に指向性
が小さい2次電子)を引き込み、効率良くレンズ内に導
くように設計されている。
【0109】また、レンズ作用は、カソードレンズ28
−1の1番目、2番目の電極に電圧を印加し、3番目の
電極をゼロ電位にすることで行なわれる。従って、視野
中心外(軸外)から出た電子ビームの平行ビームは、こ
のニューメニカルアパーチャ29−1の中心位置を、け
られが生じることなく通過する。
【0110】なお、ニューメニカルアパーチャ29−1
は、2次ビームに対しては、第2レンズ31−1〜第4
レンズ34−1のレンズ収差を抑える役割を果たしてい
る。ニューメニカルアパーチャ29−1を通過した2次
ビームは、ウィーンフィルター30−1の偏向作用を受
けずに、そのまま直進して通過する。なお、2次ビーム
には、2次電子、反射電子、或いは、後方散乱電子があ
るが、これらの電子のうち、この場合は、2次電子を選
択して説明している。
【0111】2次ビームを、カソードレンズ28−1の
みで結像させると、倍率色収差と歪収差が大きくなる。
そこで、第2レンズ31−1と合わせて、1回の結像を
行なわせる。2次ビームは、カソードレンズ28−1及
び第2レンズ31−1により、ウィーンフィルター30
−1上で中間結像を得る。この場合、通常、2次光学系
として必要な拡大倍率が、不足することが多いため、中
間像を拡大するためのレンズとして、第3レンズ33−
1、第4レンズ34−1を加えた構成とする。2次ビー
ムは、第3レンズ33−1、第4レンズ34−1の各々
により拡大結像し、ここでは合計2回結像する。なお、
第3レンズ33−1と第4レンズ34−1とを合わせて
1回(合計1回)結像させてもよい。
【0112】また、第2レンズ31−1〜第4レンズ3
4−1は、全てユニポテンシャルレンズ又はアインツェ
ルレンズと呼ばれる回転対称型のレンズである。各レン
ズは、3枚電極の構成で、通常は外側の2電極をゼロ電
位とし、中央の電極に印加する電圧でレンズ作用を行な
わせて制御する。また、中間の結像点には、フィールド
アパーチャ32−1が配置されている。フィールドアパ
ーチャ32−1は、光学顕微鏡の視野絞りと同様に、視
野を必要範囲に制限しているが、電子ビームの場合、余
計なビームが、後段の第4レンズ34−1に入射するの
を遮断して、検出器35−1のチャージアップや汚染を
防いでいる。なお、拡大倍率は、第3レンズ33−1及
び第4レンズ34−1のレンズ条件(焦点距離)を変え
ることで設定される。
【0113】2次ビームは、2次光学系により拡大投影
され、先ずマイクロチャンネルプレート(MCP)14
−1で増倍された後、蛍光スクリーン15−1に当たり
光の像に変換される。光に変換された画像は、真空透過
窓16−1を介して大気中に置かれたファイバーオプテ
ィカルプレート(FOP)17−1を介してTDI−C
CD18−1上に1対1で投影される。検出された画像
信号は、電気信号に変換され、メモリ34−1に一時的
に記憶される。
【0114】コントロールユニット36−1は、メモリ
34−1から試料Sの画像信号を読み出し、CPU37
−1に伝達する。このとき、画像情報をディスプレイ2
4−1上に出力してもよい。CPU37−1は、画像信
号からテンプレートマッチングや、ダイ対ダイの相互比
較等によって基板Sのパターンの欠陥検査を実施する。
【0115】2次電子画像の取得を実行している間に、
CPU37−1は、ステージ26−1の位置を読み取
り、ステージ駆動機構40−1に駆動制御信号を出力
し、ステージ26−1を駆動させ、順次画像の検出、検
査を行う。検出素子としてCCDを用いる場合、ステー
ジ26−1の移動方向は短軸方向であり(長軸方向でも
構わない)、移動はステップアンドリピート方式であ
る。検出素子としてTDI−CCDを用いる場合のステ
ージ移動は、積算方向に連続移動をする。TDI−CC
Dでは、画像を連続的に取得できるので、欠陥検査を連
続で行う場合は本実施の形態のようにTDI−CCD1
8−1を使用する。分解能は、結像光学系(2次光学
系)の倍率と精度等で決まり、実施の形態では、0.0
5μmの分解能が得られている。この例において、分解
能が0.1μm、電子線照射条件が200μm×50μ
mの領域に1.6μAのとき、検査時間は20cmのウ
ェーハ1枚当たり1時間程度であり、SEM方式の8倍
が得られる。TDI−CCDの仕様は、例えば、204
8画素(ピクセル)×512段でラインレートが3.3
μs(ライン周波数300kHz)である。この例の照
射面積はTDI−CCD18−1の仕様に合わせている
が、照射対象物によって、照射面積を変更することもあ
る。
【0116】本実施の形態の検査装置1−1では、ニュ
ーメニカルアパーチャ29−1に光源像が結像され、且
つ、FA開口が試料面に結像しているので、1次ビーム
に対しては、ビームを試料に均一に照射させることがで
きる。即ち、ケーラー照明条件を容易に実現することが
できる。
【0117】更に2次ビームに対しては、試料Sからの
全ての主光線が、カソードレンズ28−1に垂直(レン
ズ光軸に平行)に入射し、ニューメニカルアパーチャ2
9−1を通過するので、周辺光もけられることがなく、
試料周辺部の画像輝度が低下することもない。また、電
子が有するエネルギーのばらつきによって、結像する位
置が異なる現象、いわゆる倍率色収差が起こる(特に、
2次電子は、エネルギーのばらつきが大きいため、倍率
色収差が大きい)が、カソードレンズ28−1ト2番目
のレンズ24−1の2つのレンズで結像させることによ
り、この倍率色収差を抑えることができる。
【0118】また、拡大倍率の変更は、ニューメニカル
アパーチャ29−1の通過後に行なわれるので、第3レ
ンズ33−1、第4レンズ34−1のレンズ条件の設定
倍率を変えても、検出側での視野前面に均一な像が得ら
れる。なお、本実施の形態では、むらのない均一な像を
取得することができるが、通常、拡大倍率を高倍にする
と、像の明るさが低下するという問題点が生じた。そこ
で、これを改善するため、2次光学系のレンズ条件を変
えて拡大倍率を変更する際、それに伴って決まる試料面
上の有効視野と、試料面上に照射される電子ビームと
を、同一の大きさになるように1次光学系のレンズ条件
を設定する。
【0119】即ち、倍率を上げていけば、それに伴って
視野が狭くなるが、それと同時に電子ビームの照射エネ
ルギー密度を上げていくことで、2次光学系で拡大投影
されても、検出電子の電流密度は、常に一定に保たれ、
像の明るさは低下しない。
【0120】また、本実施の形態の検査装置では、1次
ビームの軌道を曲げて2次ビームを直進させるウィーン
フィルター30−1を用いたが、それに限定されず、1
次ビームの軌道を例えば15°曲げ、2次ビームの軌道
を曲げるウィーンフィルタを用いた構成の検査装置でも
よい。特に、その場合は5°がよい。また、本実施形態
では、矩形陰極と四極子レンズとから矩形ビームを形成
したが、それに限定されず、例えば、円形陰極から円形
ビームや楕円形ビームを作り出してもよいし、円形ビー
ムをスリットに通して矩形ビームを取り出してもよい。
【0121】また、複数のビームを走査して全体に電子
線が照射領域を均一に照射するようにしてもよい。この
とき、複数ビームが夫々の決められた領域を任意に(但
し、合計の照射が均一になるように)走査するようにす
る。
【0122】(検査手順)次に、図1の欠陥検査システ
ムを用いた基板Sの欠陥検査の手順を説明する。
【0123】一般に、電子線を用いた欠陥検査装置は高
価であり、またスループットも他のプロセス装置に比べ
て低いために、現状では最も検査が必要と考えられてい
る重要な工程(例えばエッチング、成膜、又はCMP
(化学機械研磨)平坦化処理等)の後に使用されてい
る。
【0124】検査される基板S(ウェーハ)は、真空系
により真空に保持された検査チャンバー23−1内に、
搬送機構41−1を通して搬送され、超精密ステージ2
6−1上に位置合わせした後、静電チャック機構等によ
り固定され、以後、図4(検査フロー)の手順に従って
欠陥検査等が以下のように行われる。なお、検査の間、
除振機構(図示せず)により検査チャンバーを除振する
のが好ましい。
【0125】最初に光学顕微鏡(図示せず)により、必
要に応じて各ダイの位置確認や、各場所の高さ検出が行
われ記憶される。光学顕微鏡は、この他に欠陥等の見た
い所の光学顕微鏡像を取得し、電子線像との比較等にも
使用される。次に、ウェーハの種類(どの工程の後か、
ウェーハのサイズは20cmか30cmか等)に応じた
レシピの情報を装置に入力し、以下、検査場所の指定、
電子光学系の設定、検査条件の設定等を行った後、前述
した電子線装置1−1の動作に従って画像取得を行いな
がら通常はリアルタイムで欠陥検査を行う。この欠陥検
査の詳細については、後述するが、セル同士の比較、ダ
イ比較等の検査が、アルゴリズムを備えた高速の情報処
理システムにより行われ、必要に応じてディスプレイ2
4−1等に結果を出力したり、メモリ34−1に記憶し
たりする。欠陥には、パーティクル欠陥、形状異常(パ
ターン欠陥)、及び、電気的(配線又はビア等の断線及
び導通不良等)欠陥等があり、これらを区別したり欠陥
の大きさや、キラー欠陥(チップの使用が不可能になる
重大な欠陥等)の分類を自動的にリアルタイムで行うこ
ともできる。電気的欠陥の検出は、コントラスト異状を
検出することにより達成される。例えば導通不良の場所
は、電子線照射(500eV程度)により、通常、正に
帯電し、コントラストが低下するので正常な場所と区別
することができる。この場合の電子線照射の手段とは、
通常、検査用の電子線照射手段以外に、別途、電位差に
よるコントラストを際立たせるため設けた、低電位エネ
ルギーの電子線発生手段(例えば、熱電子発生、UV/
光電子)をいう。検査対象領域に検査用の電子線を照射
する前に、この低電位の電子線を発生、照射している。
また、ウェーハ等の試料に、基準電位に対して正又は負
の電位をかけること等による(素子の順方向又は逆方向
により流れ易さが異なるために生じる)コントラストの
違いから欠陥検出ができる。これは、線幅測定装置及び
合わせ精度測定にも利用できる。
【0126】検査の終了した基板Sは、搬送機構41−
1により検査チャンバー23−1から搬出される。
【0127】(欠陥検査の詳細) <第1の検査>図63は第1の検査を実施するパターン検
査装置の概要図である。
【0128】このパターン検査装置は、半導体ウエハか
らなる基板Wを支持する基板支持テーブル1011と、
この基板支持テーブル1011をX方向に移動させるた
めのアクチュエータ1012と、基板支持テーブル10
11をY方向に移動させるためのアクチュエータ101
3と、これらのアクチュエータ1012、1013を介
して基板支持テーブル1011を駆動するためのテーブ
ル駆動部1014と、基板支持テーブル1011に支持
された基板Wに形成されたチップの画像を撮影するカメ
ラ1015と、後述する画像処理部1020と、パター
ン検査装置全体を制御する制御部1017とを備える。
また、制御部1017には、後述する領域設定時に、領
域設定手段として機能するキーボード1018と、拡大
表示手段として機能するCRT1019とが接続されて
いる。
【0129】また、画像処理部1020は、チップ比較
検査を実行するチップ比較検査部1021と、チップ比
較検査時にカメラ1015で撮影した画像を一時的に記
憶する画像メモリ1022と、セル比較検査を実行する
セル比較検査部1023と、セル比較検査時にカメラ1
015で撮影した画像を一時的に記憶する画像メモリ1
024と、チップ比較検査部1021による検査結果と
セル比較検査部1023による検査結果とを統合して最
終的な欠陥の有無を判定する統合判定部1025と、キ
ーボード1018等を利用して設定された繰り返しパタ
ーン領域およびランダムパターン領域を記憶する領域メ
モリ1026とを備える。画像処理部1020における
チップ比較検査部1021、画像メモリ1022、セル
比較検査部1023および画像メモリ1024は、A/
D変換器1016を介してカメラ1015と接続されて
いる。
【0130】なお、チップ比較検査時にカメラ1015
で撮影した画像を一時的に記憶する画像メモリ1022
とセル比較検査時にカメラ1015で撮影した画像を一
時的に記憶する画像メモリ1024とを個別に設けるか
わりに、単一の画像メモリを利用して画像を一時的に記
憶するようにしてもよい。
【0131】このような構成を有するパターン検査装置
において基板Wのパターンを検査する際には、最初に、
繰り返しパターンが形成された繰り返しパターン領域と
ランダムパターンが形成されたランダムパターン領域と
を設定する領域設定工程を実行する。
【0132】この領域設定工程においては、カメラ10
15により、基板Wの表面に形成されたチップ上のパタ
ーンを撮影して、このチップ上のパターンの画像をCR
T1019上に拡大表示する。
【0133】図64は、このようにしてCRT1019
上に拡大表示されたチップ1031上のパターンの画像
を模式的に示す説明図である。
【0134】この実施形態においては、チップ1031
上には、ランダムパターンが形成された領域1032
と、繰り返しパターンが形成された領域1033、10
34とが形成されているものとする。
【0135】次に、この拡大画面を使用し、オペレータ
がこの拡大表示画面を確認しながら、これらの領域をラ
ンダムパターンが形成されたランダムパターン領域10
32と繰り返しパターンが形成された繰り返しパターン
領域1033、1034として設定する。この領域設定
工程においては、制御部1017に接続されたキーボー
ド1018を利用して領域設定がなされる。この領域設
定工程で設定されたランダムパターン領域1032と繰
り返しパターン領域1033、1034とは、画像処理
部1020における領域メモリ1026に記憶される。
【0136】なお、この領域設定工程は、オペレータが
キーボード1018や図示しないマウス等を使用して実
行してもよく、また、例えば、特許第2976550号
に記載されているような方式を使用して制御部1017
により自動的に実行するように構成してもよい。
【0137】この領域メモリ1026に記憶されたラン
ダムパターン領域1032と繰り返しパターン領域10
33、1034に基づいて、チップ比較検査を行うべき
領域とセル比較検査を行うべき領域とが決定される。す
なわち、図65(a)に示すように、この検査方式決定
工程においては、最初に、ランダムパターン領域103
2に対してはチップ比較検査を行うためのフラグ(図6
5に示す符号1)が立てられ、繰り返しパターン領域1
033、1034に対してはセル比較を行うためのフラ
グ(図65に示す符号1)が立てられる。そして、図6
5(b)に示すように、セル比較検査を行うべきフラグ
をコピーすることにより、繰り返しパターン領域103
3、1034に対応してチップ比較を行うためのフラグ
が立てられる。そして、これらの情報は、画像処理部1
020における領域メモリ1026に記憶される。
【0138】なお、この検査方式決定工程は、制御部1
017により自動的に実行するように構成してもよく、
また、オペレータがキーボード1018や図示しないマ
ウス等を使用して実行してもよい。
【0139】以上の工程が完了すれば、パターン検査を
実行する。このパターン検査工程においては、検査方式
決定工程で設定し領域メモリ1026に記憶されたチッ
プ比較検査を行うべき領域とセル比較検査を行うべき領
域との情報に基づいてチップ比較検査部1021とセル
比較検査部1023とが制御され、繰り返しパターン領
域1033、1034に対してはセル比較検査とチップ
比較検査との両方が実行されるとともに、ランダムパタ
ーン領域1032に対してはチップ比較検査が実行され
る。
【0140】このパターン検査工程においては、ランダ
ムパターン領域1032および繰り返しパターン領域1
033、1034に対し、チップ比較検査部1021に
おいてチップ比較検査が実行される。このチップ比較検
査部1021においては、カメラ1015により撮影し
画像メモリ1022に記憶された一つ前のチップ103
1におけるある領域のパターンの画像と、カメラ101
5により撮影した現在のチップ1031における対応す
る領域のパターンの画像との比較を順次連続して実行す
ることにより、欠陥の有無が検査される。
【0141】また、このパターン検査工程においては、
繰り返しパターン領域1033、1034に対し、セル
比較検査部1023においてセル比較検査が実行され
る。このセル比較検査部1023においては、カメラ1
015により撮影し画像メモリ1024に記憶された一
つ前の繰り返しパターンの画像と、カメラ1015によ
り撮影した現在の繰り返しパターンの画像との比較を順
次連続して実行することにより、欠陥の有無が検査され
る。
【0142】ここで、繰り返しパターン領域1033、
1034に比較的大きな欠陥が生じていた場合において
は、図67に示すように、セル比較検査部1023にお
けるセル比較検査では欠陥を検出できない。しかしなが
ら、このような比較的大きな欠陥は、チップ比較検査部
1021におけるチップ比較検査時に検出される。この
とき、このような比較的大きな欠陥は、その許容誤差を
比較的大きくとる必要があるチップ比較検査時において
も、確実に検出することが可能であり、検出ミスが生ず
ることはない。
【0143】上述したチップ比較検査とセル比較検査と
は、テーブル駆動部1014によりアクチュエータ10
12、1013を介して基板支持テーブル1011を駆
動し、そこに支持された基板Wをカメラ1015に対し
て相対的に移動させることにより、基板Wの表面におけ
るチップ1031の形成領域全域に対して実行される。
【0144】しかる後、チップ比較検査部1021によ
る検査結果とセル比較検査部1023による検査結果と
が、統合判定部1025において統合され、基板Wに形
成されたチップ全体に対する検査結果が判定される。な
お、この統合判定部1025においては、チップ比較検
査部1021による検査結果とセル比較検査部1023
による検査結果とのORをとることにより結果の統合を
実行する。
【0145】そして、その検査結果は、制御部1017
を介してCRT1019上に表示される。
【0146】以上のように、この実施形態に係るパター
ン検査装置によれば、繰り返しパターン領域1033、
1034に対してセル比較検査とチップ比較検査との両
方を行い、また、ランダムパターン領域1032に対し
てはチップ比較検査を行うことから、繰り返しパターン
領域1033、1034に比較的大きな欠陥が生じてい
た場合においても、この欠陥を正確に検出することが可
能となる。
【0147】なお、上述した実施の形態においては、領
域設定工程において、ランダムパターンが形成されたラ
ンダムパターン領域1032と繰り返しパターンが形成
された繰り返しパターン領域1033、1034との両
方の領域を設定しているが、繰り返しパターン領域10
33、1034のみを設定し、その他の領域は全てラン
ダムパターン領域として認識させるようにしてもよい。
このような構成を採用した場合においては、チップ10
31上の全領域に対してチップ比較検査が実行され、さ
らに、チップ1031における繰り返しパターン領域1
033、1034に対してセル比較検査が実行されるこ
とになる。
【0148】<第2の検査>次に、第2の検査につき添
付図面を参照して説明する。
【0149】<2.1 第2の検査の1> <2.1.1 パターン検査装置の全体構成>図68は、
第2の検査における第1の実施形態に係るパターン検査
装置の構成を示すブロック図である。このパターン検査
装置は、プリント基板や半導体ウェハー等のように表面
にパターンの形成された被検査物を撮影して得られる多
値画像である被検査画像と、その被検査物と同種の良品
の画像に相当する多値画像である参照画像とを画素毎に
比較することにより、被検査物における欠陥を検出す
る。ここで参照画像は、被検査物における欠陥を検出す
るために被検査画像と比較する基準とすべき画像であっ
て、その被検査物と同種の良品を撮影することにより生
成されるか、または、その被検査物に形成されるべきパ
ターンを示す設計データから生成される。
【0150】図68に示すように、このパターン検査装
置は、参照画像発生回路2010と、参照画像記憶部2
012と、撮像装置2014と、第1バッファメモリ2
016と、参照画像領域切り出し部2018と、被検査
画像領域切り出し部2020と、パーセンタイル値算出
部2022と、第2バッファメモリ2024と、濃度変
換部2026と、第3バッファメモリ2028と、比較
演算回路2030と、検査結果保存部2032と、検査
結果表示部2034とを備えている。
【0151】上記パターン検査装置において、撮像装置
2014は、例えば、被検査物等が載置され駆動手段に
よって主走査方向および副走査方向に移動するステージ
と、そのステージ上の被検査物を撮影するCCD等の撮
像素子と、その撮像素子から出力される画像信号をデジ
タル信号に変換するA/D変換器とから構成され、被検
査物またはそれと同種の良品を撮影してデジタル画像信
号を出力する。撮像装置2014において被検査物が撮
影された場合には、デジタル画像信号として被検査画像
を示す信号が出力され、第1バッファメモリ2016に
被検査画像データとして格納される。撮像装置2014
において被検査物と同種の良品が撮影された場合には、
デジタル画像信号として参照画像を示す信号が出力さ
れ、参照画像記憶部2012に参照画像データとして格
納される。参照画像発生回路2010は、被検査物に形
成されるべきパターンを示す設計データから参照画像デ
ータを生成し、これを参照画像記憶部2012に格納す
る。このようにして、参照画像記憶部2012には、撮
像装置2014で生成される撮影画像のデータである参
照画像データ、または、参照画像発生回路2010で設
計データから生成される参照画像データのいずれかが格
納される。
【0152】本実施形態では、画質の局所的な光学的変
動や、電子ビームを照射し2次電子を検出して画像を生
成する場合のチャージアップに対処するために、参照画
像および被検査画像が同一の態様で複数の領域に分割さ
れ、領域毎に画像比較の前処理として参照画像と被検査
画像との整合化(画質条件の同一化)が行われる。この
ような領域毎の画像整合化のために、上記パターン検査
装置における参照画像の分割手段としての参照画像領域
切り出し部2018は、参照画像を複数の領域に分割し
て各領域に順次着目し、参照画像記憶部2012に格納
された参照画像データから着目領域の画像データ(以下
「着目領域データ」という)を取り出して順次出力す
る。一方、被検査画像の分割手段としての被検査画像領
域切り出し部2020は、参照画像の上記分割と同一態
様で被検査画像を複数の領域に分割して各領域に順次着
目し、第1バッファメモリ2016に格納された被検査
画像データから着目領域データを取り出して順次出力す
る。このとき被検査画像領域切り出し部2020は、参
照画像領域切り出し部2018が着目する参照画像の領
域と位置的に対応する被検査画像の領域に順次着目して
着目領域データを被検査画像データから取り出す。参照
画像領域切り出し部2018から出力される参照画像の
着目領域データは、第2バッファメモリ2024に格納
されると共に、パーセンタイル値算出部2022に入力
される。また、被検査画像領域切り出し部2020から
出力される被検査画像の着目領域データは、第3バッフ
ァメモリ2028に格納されると共に、パーセンタイル
値算出部2022に入力される。また、パーセンタイル
値算出部2022には、参照画像と被検査画像との整合
化のために選定すべき濃度レンジから外れる濃度の画素
の割合を示す値として予め決められた上端部除外率Eu
および下端部除外率Elも外部から入力される。ここ
で、上端部除外率Euは、参照画像および被検査画像の
着目領域の画素のうち選定すべき濃度レンジの濃度より
も高い濃度の画素の割合を示す百分率であり、下端部除
外率Elは、その着目領域の画素のうち選定すべき濃度
レンジの濃度よりも低い濃度の画素の割合を示す百分率
である。
【0153】パーセンタイル値算出部2022は、被検
査画像と参照画像とを比較するために両画像の間で合わ
せるべき濃度レンジを選定する手段であって、参照画像
の着目領域データから、下端部除外率Elに対応するパ
ーセンタイル値(以下「下限パーセンタイル値」とい
う)RPminすなわち当該着目領域における濃度ヒストグ
ラムのEl百分位数RPminと、上端部除外率Euに対応
するパーセンタイル値(以下「上限パーセンタイル値」
という)RPmaxすなわち当該着目領域の濃度ヒストグラ
ムの(100−Eu)百分位数RPmaxとを算出する。ま
た、パーセンタイル値算出部22は、被検査画像の着目
領域データから、下端部除外率Elに対応するパーセン
タイル値である下限パーセンタイル値OPminすなわち当
該着目領域における濃度ヒストグラムのEl百分位数OP
minと、上端部除外率Euに対応するパーセンタイル値
である上限パーセンタイル値OPmaxすなわち当該着目領
域における濃度ヒストグラムの(100−Eu)百分位
数OPmaxとを算出する。このようにして算出された参照
画像のパーセンタイル値RPmin,RPmaxおよび被検査画像
のパーセンタイル値OPmin,OPmaxは、濃度変換部202
6に入力される。
【0154】濃度変換部2026は、参照画像の着目領
域における下限パーセンタイル値RPminと上限パーセン
タイル値RPmaxとによって定まる濃度レンジ[RPmin,RP
max]、および、被検査画像の着目領域における下限パ
ーセンタイル値OPminと上限パーセンタイル値OPmaxとに
よって定まる濃度レンジ[OPmin,OPmax]を、参照画像
と被検査画像とを着目領域について整合化させるために
選定された濃度レンジとして、整合化のための濃度変換
を行う。すなわち、参照画像の着目領域について選定さ
れた濃度レンジ[RPmin,RPmax]が被検査画像の着目領
域について選定された濃度レンジ[OPmin,OPmax]に一
致するように、第2バッファメモリに24に格納された
参照画像の着目領域データに対して濃度の線形変換を施
す。
【0155】上記濃度変換部2026による濃度の線形
変換によって参照画像と被検査画像とが着目領域につい
て整合化され、整合化後の参照画像および被検査画像の
着目領域データは、比較演算回路2030に順次入力さ
れる。比較演算回路2030は、順次入力される参照画
像および被検査画像の着目領域データに基づき、両画像
を着目領域について画素毎に互いに比較し、その比較に
基づいて被検査物における欠陥を検出し、その検出結果
を示すデータを検査結果として出力する。検査結果保存
部2032は、ハードディスク装置または半導体メモリ
等によって実現され、比較演算回路2030から出力さ
れる検査結果を保存する。また、検査結果表示部203
4は、CRTまたは液晶パネル等によって実現され、比
較演算回路2030から出力される検査結果を表示す
る。
【0156】<2.1.2 画像整合化処理>上記のよう
に本実施形態では、参照画像と被検査画像とを比較する
ための前処理として両画像の整合化のための処理(以下
「画像整合化処理」という)が行われる。以下、この画
像整合化処理の詳細を図69を参照して説明する。
【0157】図69は、本実施形態において画像整合化
処理を行う部分(以下「画像整合化処理部」という)2
100の構成を示すブロック図である。この画像整合化
処理部2100は、参照画像切り出し部2018と、被
検査画像領域切り出し部2020と、パーセンタイル値
算出部2022と、第2バッファメモリ2024と、濃
度変換部2026と、第3バッファメモリ2028とか
ら構成され、パーセンタイル値算出部2022は、図6
9に示すように、累積ヒストグラム生成部2022aと
パーセンタイル値決定部2022bとからなる。
【0158】上記構成の画像整合化処理部2100にお
いて、参照画像領域切り出し部2018から順次出力さ
れる参照画像の着目領域データは、第2バッファメモリ
2024に格納されると共に、累積ヒストグラム生成部
2022aに入力される。また、被検査画像領域切り出
し部2020から順次出力される被検査画像の着目領域
データは、第3バッファメモリ2028に格納されると
共に、累積ヒストグラム生成部2022aに入力され
る。累積ヒストグラム生成部2022aは、参照画像領
域切り出し部2018から入力される着目領域データか
ら参照画像の着目領域における画像濃度についての累積
ヒストグラムを生成すると共に、被検査画像領域切り出
し部2020から入力される着目領域データから被検査
画像の着目領域における画像濃度についての累積ヒスト
グラムを生成する。例えば図70に示すように、入力さ
れた着目領域データにおける濃度ヒストグラムが曲線C
1で示されるものである場合には、曲線C2で示される
ような累積ヒストグラムが生成される。パーセンタイル
値決定部2022bは、それらの累積ヒストグラムに基
づき、参照画像の着目領域データにおける下限パーセン
タイル値RPminおよび上限パーセンタイル値RPmaxを求め
ると共に、被検査画像の着目領域データにおける下限パ
ーセンタイル値OPminおよび上限パーセンタイル値OPmax
を求める。すなわち、外部から入力される下端部除外率
Elおよび上端部除外率Euに基づき、Elの累積頻度
に参照画像の累積ヒストグラムによって対応付けられる
濃度値を参照画像の着目領域データにおける下限パーセ
ンタイル値RPminとして求め、(100−Eu)の累積
頻度に参照画像の累積ヒストグラムによって対応付けら
れる濃度値を参照画像の着目領域データにおける上限パ
ーセンタイル値RPmaxとして求める(図70参照)。こ
こで、上端部除外率Elおよび下端部除外率Euは、共
に、数%以下であり、好ましくは3〜5%程度である。
また、同様に、下端部および上端部除外率El,Euに
基づき、Elの累積頻度に被検査画像の累積ヒストグラ
ムによって対応付けられる濃度値を被検査画像の着目領
域データにおける下限パーセンタイル値OPminとして求
め、(100−Eu)の累積頻度に被検査画像の累積ヒ
ストグラムによって対応付けられる濃度値を被検査画像
の着目領域データにおける上限パーセンタイル値OPmax
として求める。このようにして求められた参照画像の着
目領域データにおける下限パーセンタイル値RPminおよ
び上限パーセンタイル値RPmaxと、被検査画像の着目領
域データにおける下限パーセンタイル値OPminおよび上
限パーセンタイル値OPmaxとは、濃度変換部2026に
入力される。
【0159】濃度変換部2026は、第2バッファメモ
リ2024から参照画像の着目領域データを読み出し
て、この着目領域データを構成する各画素値REFinに対
して次式で定義される線形の濃度変換を施すことによ
り、画素値REFoutを生成する。
【0160】REFout=[(OPmax-OPmin)/(RPmax-RPmin)]×
(REFin-RPmin)+OPmin …(1)上記濃度変換により、
参照画像の着目領域データにおける下限パーセンタイル
値RPminと上限パーセンタイル値RPmaxとは、被検査画像
の着目領域データにおける下限パーセンタイル値OPmin
と上限パーセンタイル値OPmaxとにそれぞれ一致するよ
うになる。すなわち、図71(a)に示す参照画像およ
び被検査画像の着目領域データにおける濃度ヒストグラ
ムは、上記濃度変換により、図71(b)に示すように
なる。このようにして上記濃度変換により、参照画像と
被検査画像とが領域毎に整合化される。
【0161】上記濃度変換後の画素値REFoutからなる着
目領域データは比較演算回路2030に順次入力され
る。一方、被検査画像の着目領域データも第3バッファ
メモリ2028から読み出されて比較演算回路2030
に順次入力される。したがって、比較演算回路2030
において、参照画像と被検査画像とが、整合化された状
態すなわち画質条件が互いに等しくなった状態で比較さ
れる。
【0162】<2.1.3 実施形態の効果>上記実施形
態によれば、参照画像と被検査画像とを比較するための
前処理として両画像を所定の領域毎に整合化するため
に、両画像の対応する領域毎の濃度ヒストグラムにおけ
る最小値濃度値近傍の下端部に相当する部分と最大濃度
値近傍の上端部に相当する部分とを除外した濃度レンジ
である[RPmin,RPmax]と[OPmin,OPmax]とが一致す
るように濃度変換が行われる(図71参照)。このた
め、図76に示すように良品画像の濃度レンジ外の濃度
値に相当する欠陥が存在する場合であっても、上記濃度
変換により参照画像と被検査画像とが適切に整合化され
るので、そのような欠陥も確実に検出することができ
る。すなわち、被検査画像の濃度ヒストグラムにおいて
上記欠陥に相当する面積は極めて小さいので、濃度ヒス
トグラムにおける上下端部を除外した濃度レンジ(既述
の上限および下限パーセンタイル値によって定まる濃度
レンジ)が参照画像と被検査画像との間で一致するよう
に濃度変換が行われると、両画像の濃度ヒストグラム
が、その欠陥に相当する部分を除き、ほぼ一致するよう
になる。その結果、その後の両画像に対する比較演算に
より上記欠陥が確実に検出される。
【0163】ところで既述のように、従来、濃度レンジ
が均一な“べたパターン”を含む画像領域については、
正規化(濃度変換)により欠陥の検出能力が低下すると
いう問題があった。すなわち、“べたパターン”を含む
領域の画素濃度は狭い範囲に分布するので、従来のよう
に予め決められた濃度レンジ(正規化レンジ)で正規化
すると、その正規化に相当する濃度変換によって濃度レ
ンジが大きく広がることになり、その結果、欠陥の検出
能力が低下する。以下、この点につき、マハラノビス距
離を欠陥の検出能力の評価指標として説明する。
【0164】いま、濃度変換の対象となる画像が“べた
パターン”のみを含み、その画像の濃度ヒストグラムが
図72(a)に示すように平均値μ=120,標準偏差
σ=3.0程度の正規分布をなしているものとすると、
濃度値域は[−3σ,+3σ]程度である。ここで、簡
単のために濃度値域を図72(a)に示すように[11
0,130]とすると、このような画像の表す被検査物
における欠陥に対する検出能力は、下記の式で定義され
るマハラノビス距離Dで評価することができる。
【0165】 D2=(Xi−μ)2/σ2 …(2) ここで、Xiは欠陥画素値を、μは濃度の平均値を、σ
2は濃度の分散をそれぞれ表している。上記式(2)で
定義されるマハラノビス距離Dが大きいほど、欠陥部分
とノイズ部分との距離が長く、欠陥とノイズとの分離が
容易であると判断することができる。
【0166】例えば、図72(b)に示すように画素値
135の欠陥が被検査物に存在する場合、 D=(135−120)/3=5 である。この図72(b)に示す濃度ヒストグラムに対
応する画像を例えば正規化値域[40,200]で正規
化した場合、図72(c)に示すように、ノイズ領域の
最大値が130から200へ、欠陥画素値が135から
240へ、ノイズ領域の最小値が110から40へと変
換される。この正規化後において、標準偏差σを計算す
ると、 σ=(200−120)/3=26.7 となり(濃度値域を[−3σ,+3σ]としている)、
式(2)よりマハラノビス距離は、 D=(240−120)/26.7=4.5 となる。すなわち、上記正規化によってマハラノビス距
離Dは5から4.5と変化している。これは欠陥の検出
能力が低下したことを意味する。
【0167】これに対し本実施形態によれば、参照画像
の各領域の濃度レンジ[RPmin,RPmax]が被検査画像の
対応する領域の濃度レンジ[OPmin,OPmax]に一致する
ように、参照画像の画像データに対してのみ濃度変換が
施されるので、その濃度変換によっては上記の欠陥画素
値Xi、平均値μ、および標準偏差σはほとんど変化し
ない。したがって、本実施形態によれば、従来のように
“べたパターン”等を含む画像領域についての整合化処
理によって無用にダイナミックレンジが拡大されること
はないので、“べたパターン”等を含む領域についても
欠陥の検出能力が低下することはない。
【0168】以上のように本実施形態によれば、多値画
像である被検査画像と参照画像とを比較するための前処
理としての濃度変換により両画像の画質条件が確実に等
しくなり、その結果、両画像の正確な比較が可能とな
る。
【0169】<2.2 第2の検査の2>次に、第2の
検査における第2の実施形態に係るパターン検査装置に
ついて説明する。本実施形態では、上記第2の検査にお
ける第1の実施形態における整合化処理部2100(図
69)が図73に示すように構成されている。本実施形
態における他の構成は、図68に示す第2の検査におけ
る第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一
の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
【0170】本実施形態における画像整合化処理部は、
参照画像と被検査画像との整合化のために着目領域につ
き選定すべき濃度レンジを現時点の着目領域についての
上下パーセンタイル値によって定めるのではなく、直前
に着目された領域(以下「直前着目領域」という)につ
いての上下パーセンタイル値によって定めるように構成
されている。これにより、本実施形態では、必要なバッ
ファメモリが削減され、第2の検査における第1の実施
形態よりも少ないハードウェア量で画像整合化処理部を
実現することができる。すなわち、本実施形態における
画像整合化処理部は、図73に示すように、参照画像領
域切り出し部2058と、被検査画像領域切り出し部2
060と、累積ヒストグラム生成部2062aと、パー
センタイル値決定部2062bと、濃度変換部2066
とから構成され、これらは、第2の検査における第1の
実施形態における参照画像領域切り出し部2028と、
被検査画像領域切り出し部2030と、累積ヒストグラ
ム生成部2022aと、パーセンタイル値決定部202
2bと、濃度変換部2026とにそれぞれ相当する。す
なわち、この画像整合化処理部は、第2の検査における
第1の実施形態とは異なり、第2バッファメモリ202
4と第3バッファメモリ2028を備えていない。
【0171】上記構成の画像整合化処理部において、参
照画像領域切り出し部2058は、第2の検査における
第1の実施形態と同様、参照画像を複数の領域に分割し
て各領域に順次着目し、参照画像記憶部2012から参
照画像の着目領域データを取り出して順次出力する。一
方、被検査画像領域切り出し部2060も、第2の検査
における第1の実施形態と同様、参照画像の上記分割と
同一態様で被検査画像を複数の領域に分割して各領域に
順次着目し、第2バッファメモリ2016から被検査画
像の着目領域データを取り出して順次出力する。このと
き被検査画像領域切り出し部2060は、参照画像領域
切り出し部2058が着目する参照画像の領域と位置的
に対応する被検査画像の領域に順次着目して、着目領域
データを被検査画像データから取り出す。参照画像領域
切り出し部2058から順次出力される参照画像の着目
領域データと被検査画像領域切り出し部2060から順
次出力される被検査画像の着目領域データとは、共に、
累積ヒストグラム生成部2062aに入力される。
【0172】累積ヒストグラム生成部2062aは、参
照画像領域切り出し部2058から入力される着目領域
データから参照画像の着目領域における画像濃度につい
ての累積ヒストグラムを生成すると共に、被検査画像領
域切り出し部2060から入力される着目領域データか
ら被検査画像の着目領域における画像濃度についての累
積ヒストグラムを生成する。パーセンタイル値決定部2
062bは、上記第2.1の実施形態と同様、外部から
入力される下端部除外率Elおよび上端部除外率Euに
基づき、生成された両累積ヒストグラムから、参照画像
の着目領域データにおける上下限パーセンタイル値RPma
x,RPmin、および、被検査画像の着目領域データにおけ
る上下限パーセンタイル値OPmax,OPminを求める。この
ようにして求められた各パーセンタイル値RPmax,RPmi
n,OPmax,OPminは、濃度変換部2066に入力され
る。
【0173】濃度変換部2066は、参照画像記憶部2
012が参照画像データを画素単位で順次読み出し、読
み出した画素値REFinに後述の濃度変換を施す。このと
き濃度変換部2066は、パーセンタイル値決定部20
62bから入力される各パーセンタイル値RPmax,RPmi
n,OPmax,OPminが使用される。しかし、濃度変換部2
066が、参照画像におけるj番目の領域を構成する画
素値をREFinとして読み出して、その画素値に濃度変換
を施すべきときには、パーセンタイル値決定部2062
bにおいて、参照画像のj番目の領域についての上下限
パーセンタイル値RPmax,RPmin、および、被検査画像の
j番目の領域についての上下限パーセンタイル値OPma
x,OPminは未だ得られていない。そこで本実施形態で
は、濃度変換部2066は、直前着目領域すなわちj−
1番目の領域についての上下限パーセンタイル値RPma
x,RPmin、OPmax,OPmiを使用して、参照画像における
j番目の領域を構成する各画素の値REFinに対して次式
で定義される濃度変換を施すことにより、画素値REFout
を生成する。
【0174】 REFout=[(OPmax-OPmin)/(RPmax-RPmin)]×(REFin-RPmin)+OPmin …(3) 上記画素値REFoutは、j番目の領域を構成する各画素の
濃度変換後の値である。
【0175】上記濃度変換により、第2.1の実施形態
と同様、参照画像の着目領域データにおける下限パーセ
ンタイル値RPminと上限パーセンタイル値RPmaxとを、被
検査画像の着目領域データにおける下限パーセンタイル
値OPminと上限パーセンタイル値OPmaxとにそれぞれ一致
させ、両画像の画質条件を同等化すなわち両画像を整合
化することができる。なお、両画像の画質条件(ダイナ
ミックレンジや明るさ等)が現時点の着目領域と直前着
目領域との間で著しく異なる場合には、本実施形態にお
ける上記濃度変換によっては、両画像を適切に整合化す
ることができないが、これまでの本願発明者による実験
ではそのような例は見受けられなかった。また、そのよ
うな例が存在したとしても、両画像の領域をより細かく
分割することにより対応可能である。
【0176】上記濃度変換により得られる画素値REFout
は、整合化処理の施された参照画像の画素値として濃度
変換部2066から順次出力されて比較演算回路203
0に入力される。また、比較演算回路2030に入力さ
れる整合化処理後の参照画像の画素に位置的に対応する
被検査画像の画素の値も、比較演算回路2030に順次
入力される。比較演算回路2030は、順次入力される
参照画像および被検査画像の位置的に対応する画素値を
互いに比較し、その比較に基づいて被検査物における欠
陥を検出し、その検出結果を示すデータを検査結果とし
て出力する。その後、第2.1の実施形態と同様、検査
結果保存部2032が、比較演算回路2030から出力
される検査結果を保存し、検査結果表示部2034が、
比較演算回路2030から出力される検査結果を表示す
る。
【0177】以上のような第2の検査における第2の実
施形態によっても、第2の検査における第1の実施形態
と同様、多値画像である被検査画像と参照画像とを比較
するための前処理としての濃度変換により両画像の画質
条件が確実に等しくなり、その結果、両画像の正確な比
較が可能となる。すなわち、良品画像の濃度レンジ外の
濃度値に相当する欠陥が存在する場合であっても、上記
濃度変換により参照画像と被検査画像とが適切に整合化
されるので、そのような欠陥も確実に検出することがで
きる。また、“べたパターン”等を含む画像領域につい
ての整合化処理によって無用にダイナミックレンジが拡
大されることはないので、“べたパターン”等を含む領
域についても欠陥の検出能力が低下することはない。
【0178】<2.3 変形例>上記第2の検査におけ
る第1および第2の検査における第2の実施形態では、
参照画像と被検査画像とを整合化するために、参照画像
の着目領域データに対してのみ濃度変換を施したが、こ
れに代えて、被検査画像の着目領域データに対してのみ
濃度変換を施して両画像を整合化するようにしてもよ
い。また、参照画像と被検査画像の双方の着目領域デー
タに対して濃度変換を施して両画像を整合化するように
してもよい。ただし、下限パーセンタイル値と上限パー
センタイル値とによって定まる濃度レンジが濃度変換に
よって大きく広がる場合には、既述のように検出能力の
低下を招くので好ましくない(図72参照)。これに対
し、参照画像と被検査画像のいずれか一方の画像の着目
領域データに対してのみ濃度変換を施す場合には、この
ような検出能力の低下は生じないので、その点では、一
方の画像の着目領域データに対してのみ濃度変換を施し
て両画像を整合化するのが好ましい。
【0179】また、上記第2の検査における第1および
第2の検査における第2の実施形態におけるような上下
端パーセンタイル値の算出を行わずに、参照画像の着目
領域における最小濃度値と最大濃度値とによって定まる
濃度範囲が被検査画像の着目領域における最小濃度値と
最大濃度値とによって定まる濃度範囲に一致するように
濃度変換(正規化)を行う場合であっても、参照画像と
被検査画像のいずれか一方に対してのみ濃度変換を施す
のが好ましい。これにより、画像整合化のための濃度変
換による欠陥検出能力の低下を回避できるからである。
【0180】さらに、上記第2の検査における第1およ
び第2の検査における第2の実施形態では、参照画像お
よび被検査画像を複数の領域に分割し、両画像の間で位
置的に対応する領域毎に両画像を整合化しているが、画
質条件の局所的変動が少ない場合には、このような領域
分割を行わずに、参照画像または被検査画像に対して1
つの線形式で定義される濃度変換を施すことにより両画
像を整合化するようにしてもよい。
【0181】更にまた、上記2の検査における第1およ
び第2の検査における第2の実施形態では、参照画像と
被検査画像との整合化のために選定すべき濃度レンジか
ら除外すべき部分(画素)の割合を上下端部除外率E
u,Elとして与え、それらに対応するパーセンタイル
値を、選定すべき濃度レンジの上限値および下限値とし
て求めている。しかし、参照画像と被検査画像との整合
化のための濃度レンジの選定方法は、このような方法に
限定されるものではなく、濃度ヒストグラムの上下端部
に相当する部分を除外した部分の濃度範囲を画像整合化
のための濃度レンジとして選定するものであればよい。
例えば、両画像それぞれの濃度値域(画素濃度の最小値
〜最大値の範囲)からその両端部を当該濃度値域の大き
さ(幅)に対して数%程度に相当する区間だけ取り除い
た範囲を、画像整合化のための濃度レンジとして選定し
てもよい。
【0182】<第3の検査>次に、第3の検査における
実施形態につき添付図面を参照して説明する。
【0183】<3.1 パターン検査装置の全体構成>
図78は、第3の検査における実施形態に係るパターン
検査装置の構成を示すブロック図である。このパターン
検査装置は、プリント基板や半導体ウェハー等、表面に
パターンの形成された被検査物を撮影して得られる多値
画像である被検査画像と、その被検査物と同種の良品の
画像に相当する多値画像である参照画像とを画素毎に比
較することにより、被検査物における欠陥を検出する。
ここで参照画像は、被検査物における欠陥を検出するた
めに被検査画像と比較する基準とすべき画像であって、
その被検査物と同種の良品を撮影することにより生成さ
れるか、または、その被検査物に形成されるべきパター
ンを示す設計データから生成される。
【0184】図78に示すように、このパターン検査装
置は、撮像装置3014と、第1バッファメモリ301
6と、参照画像発生回路3010と、参照画像記憶部3
012とを備える。撮像装置3014は、例えば、被検
査物等が載置され駆動手段によって主走査方向および副
走査方向に移動するステージと、そのステージ上の被検
査物を撮影するCCD等の撮像素子と、その撮像素子か
ら出力される画像信号をデジタル信号に変換するA/D
変換器とから構成され、被検査物またはそれと同種の良
品を撮影してデジタル画像信号を出力する。撮像装置3
014において被検査物が撮影された場合には、デジタ
ル画像信号として被検査画像を示す信号が出力され、第
1バッファメモリ3016に被検査画像データとして格
納される。撮像装置3014において被検査物と同種の
良品が撮影された場合には、デジタル画像信号として参
照画像を示す信号が出力され、参照画像記憶部3012
に参照画像データとして格納される。参照画像発生回路
3010は、被検査物に形成されるべきパターンを示す
設計データから参照画像データを生成し、これを参照画
像記憶部3012に格納する。このようにして、参照画
像記憶部3012には、撮像装置3014で生成される
撮影画像のデータである参照画像データ、または、参照
画像発生回路3010で設計データから生成される参照
画像データのいずれかが格納される。
【0185】更に、このパターン検査装置は、周辺分布
特徴算出部3020と、選択信号生成部3022と、許
容画像生成選択部3026と、許容画像生成部3028
と、ターゲット画像選択部3030と、第2バッファメ
モリ3032とを備える。周辺分布特徴算出部3020
は、被検査画像の画素と参照画像の画素とからなる2つ
の画素であって互いに位置的に対応する2つの画素に順
次着目し、被検査画像における着目画素周辺の画素値分
布の特徴を抽出すると共に、参照画像における着目画素
周辺の画素値分布の特徴を抽出し、これらの特徴を示す
値を周辺分布特徴値として出力する。選択信号生成部3
022は、その周辺分布特徴値に基づき選択信号Ssel
を生成する。この選択信号Sselは、被検査画像におけ
る着目画素近傍の画素値の空間的変化量が参照画像にお
ける着目画素近傍の画素値の空間的変化量よりも大きい
場合に参照画像を選択し、その逆の場合には被検査画像
を選択するための信号である。なお、両空間的変化量が
同程度の場合は、いずれを選択してもよいが、以下では
参照画像を選択するものとする。許容画像生成選択部3
026は、被検査画像と参照画像のうち選択信号Ssel
によって選択される画像の着目画素値を許容画像生成の
ための元データとして出力し、許容画像生成部3028
は、その元データから許容画像を生成する。ここで許容
画像は、参照画像と被検査画像のうち選択信号Sselに
よって画素単位で選択される画像の着目画素から生成さ
れる許容画素からなり、各許容画素の値は一定値ではな
く幅を持っている。この幅は、被検査画像の着目画素と
参照画像の着目画素との一致性判断において誤差を許容
するために許容画素の値と見なすべき画素値の範囲(以
下「許容範囲」という)に相当する。一方、ターゲット
画像選択部3030は、選択信号Sselの反転信号に基
づき、被検査画像と参照画像のうち許容画像として選択
されなかった方の画像(以下「ターゲット画像」とい
う)の着目画素値を順次出力することにより、第1バッ
ファメモリ3032にターゲット画像データを格納す
る。
【0186】更にまた、このパターン検査装置は、比較
演算回路3034と、第3バッファメモリ3036と、
欠陥判定回路3038と、検査結果保存部3040と、
検査結果表示部3042とを備えている。比較演算回路
3034は、各許容画素の許容範囲内の任意の値をその
許容画素の値と見なして、ターゲット画像と許容画像と
を画素毎に比較し、ターゲット画像の画素値と許容画像
の画素値との差異を示す差分値subを順次出力する。
すなわち、ターゲット画像の画素(以下「ターゲット画
素」という)の値が、そのターゲット画素に位置的に対
応する許容画素の許容範囲内であれば、差分値subと
して“0”を出力し、そのターゲット画素値がその許容
範囲外であれば、そのターゲット画素値がその許容範囲
から離れている程度を示す値を差分値subとして出力
する。このようにして比較演算回路3034から順次出
力される差分値subは第3バッファメモリ3036に
書き込まれる。ターゲット画像の全画素についての差分
値subが第3バッファメモリ3036に書き込まれる
と、許容画像とターゲット画像との画素毎の差分値から
なる差分マップが第3バッファメモリ3036内に作成
されたことになる。この差分マップは、被検査画像と参
照画像との差異を示す差分画像と見なすことができる。
欠陥判定回路3038は、このようにして得られた差分
マップより閾値を選定し、差分マップにおいて差分値が
その閾値以上である部分には欠陥が存在すると判定し、
その欠陥に相当する画素を示すデータを検査結果として
出力する。検査結果保存部3040は、ハードディスク
装置または半導体メモリ等により実現され、欠陥判定回
路3038によって得られた検査結果を保存する。ま
た、検査結果表示部3042は、CRTまたは液晶パネ
ル等によって実現され、欠陥判定回路3038によって
得られた検査結果を表示する。
【0187】<3.2 本実施形態の基礎となる画素比
較方式>上述のように本実施形態においても、従来法と
同様、画像サンプリング誤差による誤検出を防止するた
めに、比較すべき2つの画素の一方に画素値範囲が許容
範囲として設定される。しかし、本実施形態では参照画
像と被検査画像のいずれに許容範囲を設定するかが画素
単位で決まり、この点で本実施形態は、参照画像につい
てのみ許容範囲(画素値範囲)が設定される従来法と相
違する。また、許容範囲の具体的な設定方法について
も、本実施形態は従来法と若干相違する。以下では、前
者の相違点に対応する本実施形態の構成については後で
詳述することとし、まず、従来のように参照画像に対し
てのみ許容範囲が設定されるものと仮定して、本実施形
態において被検査画像と参照画像とから差分マップを作
成するための画素比較方式(以下「本実施形態の基礎と
なる画素比較方式」または単に「基礎方式」という)を
説明する。
【0188】図79は、本実施形態の基礎となる画素比
較方式(基礎方式)を説明するためのブロック図であ
る。この基礎方式では、図78において点線で囲まれた
部分(以下「比較処理部」という)3100は、図79
に示すように構成され、周辺分布特徴算出部3020に
相当する最大最小探索部3120と、許容画像生成部3
028に相当する許容値生成回路3128と、比較演算
回路3034に相当する誤差許容比較回路3134とを
備えている。既述のように本実施形態では、被検査画像
の画素と参照画像の画素からなる2つの画素であって互
いに位置的に対応する2つの画素に順次着目し、これら
2つの着目画素が互いに比較される。この基礎方式にお
ける最大最小探索部3120は、参照画像REFにおけ
る着目画素の近傍画素群(着目画素を含む)D9の値で
ある9画素値における最大画素値maxと最小画素値m
inを求め、これらをその着目画素値cenと共に出力
する。許容値生成回路3128は、最大画素値max、
最小画素値min、着目画素値cen、および外部から
与えられる補間スケールscaleを使用して、次式により
最大許容値Rmaxおよび最小許容値Rminを算出する(た
だし、0.0≦scale≦1.0)。
【0189】 Rmax=cen×scale+max×(1−scale) …(4) Rmin=cen×scale+min×(1−scale) …(5) これら最大許容値Rmaxおよび最小許容値Rminによって
決まる範囲Rmin〜Rmaxが、参照画像REFの着目画素
に対して設定される許容範囲である。誤差許容比較回路
3134は、この許容範囲Rmin〜Rmax内の任意の値を
参照画像REFの着目画素の値と見なして、被検査画像
OBJの着目画素と参照画像REFの着目画素とを比較
し、被検査画像OBJにおける着目画素値objがその
許容範囲Rmin〜Rmaxからどの程度離れているかを示す
差分値subを出力する。すなわち、Rmin<obj<
Rmaxであれば被検査画像OBJの着目画素が参照画像
REFの着目画素に一致すると判定してsub=0を出
力し、obj≦Rminであればsub=Rmin−objを
出力し、obj≧Rmaxであればsub=obj−Rmax
を出力する。
【0190】上記基礎方式によれば、参照画像の着目画
素の近傍画素値に基づき許容範囲が設定され、その設定
の下で被検査画像と参照画像とが画素毎に比較されるの
で、画像におけるエッジ部分に代表されるような画素値
変化の激しい部分での誤検出すなわち画像サンプリング
誤差による擬似欠陥の検出を防止することができる。ま
た、上記方式において、補間スケールscaleを調整する
ことにより、欠陥の検出感度を調節することができる。
すなわち、補間スケールscaleを“1”に選定すると、
許容誤差が無くなるので、エッジ部分などでの誤検出の
可能性が高くなるが、検出感度が高くなる。一方、補間
スケールscaleを“0”に選定すると、着目画素の近傍
画素群における最大値と最小値とによって規定される範
囲が許容範囲となって許容誤差が大きくなるので、エッ
ジ部分などでの誤検出が確実に防止されるが、検出感度
は低下する。
【0191】<3.3 本実施形態における画素比較方
式>本実施形態における画素比較方式は上記方式(基礎
方式)を基礎としているが、参照画像と被検査画像のう
ちいずれに許容範囲を設定すべきかが画素毎に判定さ
れ、許容画像生成の元になる画像データが参照画像と被
検査画像の間で画素単位で切り換わる。図80は、本実
施形態において被検査画像OBJと参照画像REFとか
ら差分マップを作成するための画素比較方式を説明する
ためのブロック図であり、図78に示した周辺分布特徴
算出部3020、選択信号生成部3022、許容画像生
成選択部3026、許容画像生成部3028、ターゲッ
ト画像選択部3030、第2バッファメモリ3032、
および比較演算回路3034からなる比較処理部310
0の具体的構成例を示している。すなわち、この例で
は、比較処理部3100は、図78に示す周辺分布特徴
算出部3020を構成する第1および第2の最大最小探
索部3220a,3220b並びに第1および第2の減
算器3221a,3221bと、選択信号生成部302
2に相当する比較器3222と、許容画像生成選択部3
026を構成する第1および第2の3ステートゲート3
226a,3226bと、ターゲット画像選択部303
0を構成する第3および第4の3ステートゲート323
0a,3230bと、許容画像生成部3028に相当す
る許容値生成部3228と、比較演算回路3034に相
当する誤差許容比較回路3234とから構成されてい
る。
【0192】上記比較処理部3100において、第1お
よび第2の最大最小探索部3220a,3220bは、
共に、上記基礎方式における最大最小探索部3120と
同様の構成である。第1の最大最小探索部3220a
は、参照画像REFにおける着目画素近傍の画素群(以
下「着目近傍画素群」といい、着目画素を含む9個の画
素からなる)の9画素値における最大画素値MAXaと
最小画素値MINaを求め、これらをその着目画素値C
ENaと共に出力する。一方、第2の最大最小探索部3
220bは、被検査画像OBJにおける着目画素近傍の
画素群の9画素値における最大画素値MAXbと最小画
素値MINbを求め、これらをその着目画素値CENb
と共に出力する。
【0193】第1の減算器3221aは、第1の最大最
小探索部3220aから出力される最大画素値MAXa
と最小画素値MINaとの差MAXa−MINaを参照
画像の着目近傍変化量ΔRとして出力する。一方、第2
の減算器3221bは、第2の最大最小探索部3220
bから出力される最大画素値MAXbと最小画素値MI
Nbとの差MAXb−MINbを被検査画像の着目近傍
変化量ΔOとして出力する。比較器3222は、参照画
像の着目近傍変化量ΔRが被検査画像の着目近傍変化量
ΔOよりも大きいか否かを判定し、その判定結果を示す
肯定信号Syesおよび否定信号Snoを出力する。すなわ
ち、ΔR>ΔOであれば、肯定信号SyesはHレベル
(ハイレベル)、否定信号SnoはLレベル(ローレベ
ル)となり、ΔR≦ΔOであれば、肯定信号SyesはL
レベル、否定信号SnoはHレベルとなる。
【0194】第1および第2の3ステートゲート322
6a,3226bは、共に、第1〜第3入力端子群から
なる3つのデータ入力端子群と第1〜第3出力端子群か
らなる3つのデータ出力端子群と1つの制御入力端子E
NAとを有しており、制御入力端子ENAにHレベルの
信号が供給されると、第1〜第3入力端子群に入力され
た信号は、第1〜第3出力端子群からそれぞれ出力さ
れ、制御入力端子ENAにLレベルの信号が供給される
と、第1〜第3出力端子群は全て高インピーダンス状態
となる。第1の3ステートゲート3226aの第1〜第
3入力端子群には、参照画像REFの着目近傍画素群に
おける最大画素値MAXa、着目画素値CENa、最小
画素値MINaを示す信号がそれぞれ入力され、第2の
3ステートゲート3226bの第1〜第3入力端子群に
は、被検査画像OBJの着目近傍画素群における最大画
素値MAXb、着目画素値CENb、最小画素値MIN
bを示す信号がそれぞれ入力される。また、第1の3ス
テートゲート3226aの制御入力端子には否定信号S
noが、第2の3ステートゲート3226bの制御入力端
子には肯定信号Syesがそれぞれ入力されている。そし
て、第1の3ステートゲート3226aの第1〜第3出
力端子群は、第2の3ステートゲート3226bの第1
〜第3出力端子群とそれぞれ接続され、かつ、許容値生
成回路3228の第1〜第3入力端子群にそれぞれ接続
されている。したがって、参照画像の着目近傍変化量Δ
Rが被検査画像の着目近傍変化量ΔOよりも大きい場合
には、被検査画像OBJの着目画素が許容画素として選
択され、その着目近傍画素群における最大画素値MAX
b、着目画素値CENb、最小画素値MINbが、それ
ぞれ許容画像生成のための元データである最大画素値m
ax、着目画素値cen、最小画素値minとして、許
容値生成回路3228に入力される。一方、参照画像の
着目近傍変化量ΔRが被検査画像の着目近傍変化量ΔO
以下である場合には、参照画像REFの着目画素が許容
画素として選択され、その着目近傍画素群における最大
画素値MAXa、着目画素値CENa、最小画素値MI
Naが、それぞれ許容画像生成の元データである最大画
素値max、着目画素値cen、最小画素値minとし
て、許容値生成回路3228に入力される。
【0195】第3および第4の3ステートゲート323
0a,3230bは、共に、データ入力端子群とデータ
出力端子群と制御入力端子ENAとを有しており、制御
入力端子ENAにHレベルの信号が供給されると、デー
タ入力端子群に入力された信号はデータ出力端子群から
出力され、制御入力端子ENAにLレベルの信号が供給
されると、データ出力端子群は高インピーダンス状態と
なる。第3の3ステートゲート3230aのデータ入力
端子群には参照画像REFの着目画素値CENaを示す
信号が、第4の3ステートゲート3230bのデータ入
力端子群には被検査画像OBJの着目画素値CENbを
示す信号が、それぞれ入力され、第3の3ステートゲー
ト3230aの制御入力端子には肯定信号Syesが、第
4の3ステートゲート3230bの制御入力端子には否
定信号Snoが、それぞれ入力されている。そして、第3
の3ステートゲート3230aのデータ出力端子群は、
第4の3ステートゲート3230bのデータ出力端子群
と接続され、かつ、誤差許容比較回路3234のデータ
入力端子群に接続されている。したがって、参照画像の
着目近傍変化量ΔRが被検査画像の着目近傍変化量ΔO
よりも大きい場合には、参照画像REFの着目画素がタ
ーゲット画素として選択され、その着目画素値CENa
がターゲット画素値tgtとして誤差許容比較回路32
34に入力される。一方、参照画像の着目近傍変化量Δ
Rが被検査画像の着目近傍変化量ΔO以下である場合に
は、被検査画像OBJの着目画素がターゲット画素とし
て選択され、その着目画素値CENbがターゲット画素
値tgtとして誤差許容比較回路3234に入力され
る。
【0196】許容値生成回路3228は、上記基礎方式
における許容値生成回路3128と同様の構成であっ
て、入力される最大画素値max、着目画素値cen、
最小画素値min、および補間スケールscaleに基づ
き、次式により最大許容値Amaxおよび最小許容値Amin
を算出する(ただし、0.0≦scale≦1.0)。
【0197】 Amax=cen×scale+max×(1−scale) …(6) Amin=cen×scale+min×(1−scale) …(7) これら最大許容値Amaxおよび最小許容値Aminによって
決まる範囲Amin〜Amaが、参照画像REFと被検査画
像OBJの着目画素のうち許容画素として選択された着
目画素に対して設定される許容範囲である。誤差許容比
較回路3234は、この許容範囲Amin〜Amax内の任意
の値をその許容画素の値と見なして、そのターゲット画
素とその許容画素とを比較し、ターゲット画素値tgt
がその許容範囲Amin〜Amaxからどの程度離れているか
を示す差分値subを出力する。すなわち、Amin<t
gt<Amaxであればターゲット画素が許容画素に一致
すると判定してsub=0を出力し、tgt≦Aminで
あればsub=Amin−tgtを出力し、tgt≧Amax
であればsub=tgt−Amaxを出力する。このよう
にして誤差許容比較回路3234から出力される差分値
subは、被検査画像OBJの着目画素値と参照画像R
EFの着目画素値との差異を示す差分値として第3バッ
ファメモリ3036に格納される。
【0198】<3.4 本実施形態の動作例>本実施形
態の動作を説明する前に、比較のためにまず基礎方式に
よる動作例を説明する。
【0199】図81は、被検査画像OBJと参照画像R
EFとから差分マップを作成するための基礎方式(図7
9)による動作例を示している。この例では、参照画像
REFは、第1微小パターン1Aと第2微小パターン2
Aを含み、被検査画像OBJは、第1微小パターン1A
に対応する微小パターン1Bと微小欠陥としてのパター
ン3Bとを含み、被検査画像OBJにおいて第2微小パ
ターン2Aに対応するパターンは欠損しているものとす
る。この場合、許容値生成回路3128により参照画像
REFの各画素につき算出される最大許容値Rmaxから
なる画像(以下「最大許容値画像」という)REFmax
は、第1微小パターン1Aに相当するパターンとして、
値の大きい画素からなる微小パターン1Amaxを含み、
第2微小パターン2Aに相当するパターンとして、値の
大きい画素からなる微小パターン2Amaxを含んでい
る。一方、許容値生成回路3128により参照画像RE
Fの各画素につき算出される最小許容値Rminからなる
画像(以下「最小許容値画像」という)REFminは、
第1微小パターン1Aに相当するパターンとして、値の
小さい画素からなる微小パターン1Aminを含み、第2
微小パターン2Aに相当するパターンとして、値の小さ
い画素からなる微小パターン2Aminを含んでいる。
【0200】このような最大許容値画像REFmaxおよ
び最小許容値画像REFminによって規定される許容範
囲が設定された参照画像REFと、被検査画像OBJと
に対し、誤差許容比較回路3234により比較処理が実
行されると、参照画像REFと被検査画像OBJとの差
異を示す差分マップMsub0が作成される。この差分マッ
プMsub0では、参照画像REFの第1微小パターン1A
と被検査画像OBJの微小パターン1Bとの差分に相当
するパターンは存在せず(sub=0)、第2微小パタ
ーン2Aの被検査画像OBJにおける欠損を示すパター
ンとして、値の小さい画素からなるパターン2sub0が存
在し、被検査画像OBJにおける微小欠陥パターン3B
に相当するパターンとして、値の大きい画素からなるパ
ターン3sub0が存在する。このような差分マップMsub0
によれば、微小欠陥パターン3Bの示す微小欠陥は、値
の大きい画素からなるパターン3sub0に対応するので検
出可能である。しかし、微小パターン2Aの欠損は、値
の小さい画素からなるパターン2sub0に対応するので、
欠陥判定回路3038の閾値の設定によっては検出でき
ない可能性がある。また、微小パターン2Aの欠損がパ
ターン2sub0によって検出されたとしても、値の小さい
画素からなるパターン2sub0が示す欠陥は重大なもので
はないと判断されるおそれがある。
【0201】次に、上記と同様の被検査画像OBJおよ
び参照画像REFに対する本実施形態の動作について説
明する。
【0202】図82は、被検査画像OBJと参照画像R
EFとから差分マップを作成するための本実施形態(図
78、図80)による動作例を示している。上記と同
様、参照画像REFは、第1微小パターン1Aと第2微
小パターン2Aを含み、被検査画像OBJは、第1微小
パターン1Aに対応する微小パターン1Bと微小欠陥パ
ターン3Bとを含み、被検査画像OBJにおいて第2微
小パターン2Aに対応するパターンは欠損しているもの
とする。この場合、参照画像REFの第1微小パターン
1Aについては、対応する微小パターン1Bが被検査画
像OBJに存在するので、参照画像REFと被検査画像
OBJのいずれの画素値から許容画像が生成されても広
い許容範囲Amin〜Amaxが設定される。しかし、参照画
像REFの第2微小パターン2Aについては、対応する
パターンが被検査画像OBJに存在しないので、着目近
傍変化量の小さい被検査画像OBJの画素値から許容画
像が生成される。すなわち、第2微小パターン2Aを構
成する画素に対応する被検査画像OBJの画素の近傍画
素群の値に基づき、共にほぼ“0”の最大許容値Amin
と最小許容値Amaxとが生成される。また、被検査画像
OBJの微小欠陥パターン3Bについては、参照画像R
EFにおいてそれに対応するパターンは存在しないの
で、着目近傍変化量の小さい参照画像REFの画素値か
ら許容画像が生成される。すなわち、微小欠陥パターン
3Bを構成する画素に対応する参照画像REFの画素の
近傍画素群の値に基づき、共にほぼ“0”の最大許容値
Aminと最小許容値Amaxとが生成される。したがって、
上記最大許容値Amaxからなる最大許容値画像AImax
は、第1微小パターン1Aに相当するパターンとして、
値の大きい画素からなる微小パターン1Cmaxを含む
が、第2微小パターン2Aに相当するパターンを含まな
い(そのようなパターンを含んだとしても相当に小さい
値の画素から構成される)。また、上記最小許容値Ami
nからなる最小許容値画像AIminは、第1微小パターン
1Aに相当するパターンとして、値の小さい画素からな
る微小パターン1Cminを含むが、第2微小パターン2
Aに相当するパターンを含まない(そのようなパターン
を含んだとしても相当に小さい値の画素から構成され
る)。なお、微小欠陥パターン3Bに相当するパターン
は、最小許容値画像AIminに含まれず、最大許容値画
像AImaxにも含まれない。許容画像は、被検査画像O
BJおよび参照画像REFの着目画素のうち許容画素と
して選択された画素からなり、許容画像の各画素には、
上記の最大許容値画像AImaxと最小許容値画像AImin
とによって規定される許容範囲が設定されている。
【0203】一方、ターゲット画像TGTは、参照画像
REFおよび被検査画像OBJの着目画素のうち着目近
傍変化量の大きい方(正確には小さくない方)の画素か
ら構成されるので、微小パターン1Aまたは1Bに相当
するパターンとして値の大きい画素からなる微小パター
ン1Dと、微小パターン2Aに相当するパターンとして
値の大きい画素からなる微小パターン2Dと、微小欠陥
パターン3Bに相当するパターンとして値の大きい画素
からなる微小パターン3Dとを含んでいる。
【0204】上記のような最大許容値画像AImaxおよ
び最小許容値画像AIminによって規定される許容範囲
を有する許容画素からなる許容画像とターゲット画像T
GTとに対し、誤差許容比較回路3234により処理が
実行されると、参照画像REFと被検査画像OBJとの
差異を示す差分マップMsubが得られる。この差分マッ
プMsubには、参照画像REFの第1微小パターン1A
と被検査画像OBJの微小パターン1Bとの差分に相当
するパターンは存在せず(sub=0)、第2微小パタ
ーン2Aに相当するパターンの被検査画像OBJにおけ
る欠損を示すパターンとして値の大きい画素からなるパ
ターン2subが存在し、被検査画像OBJにおける微小
欠陥パターン3Bに相当するパターンとして値の大きい
画素からなるパターン3subが存在する。したがって、
このような差分マップMsubによれば、被検査画像OB
Jの表す被検査物につき、第2微小パターン2Aの欠損
とパターン3Bが示す微小欠陥との双方を確実に検出す
ることができる。
【0205】<3.5 本実施形態の効果>上記画素比
較方式に基づく本実施形態によれば、許容範囲が参照画
像についてのみ設定されるのではなく、参照画像および
被検査画像の着目画素のうち着目近傍変化量(ΔR,Δ
O)の小さい方が許容画像を構成する許容画素として選
択されて、その許容画素について許容範囲Amin〜Amax
が設定されると共に、参照画像と被検査画像の着目画素
のうち許容範囲が設定されなかった方の着目画素がター
ゲット画像を構成するターゲット画素として選択され
る。そして、許容範囲Amin〜Amax内の任意の値はその
許容画素の値と見なされて、ターゲット画像と許容画像
とに対して誤差許容比較処理が実行される。このよう
に、着目近傍変化量(ΔR,ΔO)に応じて画素単位で
許容範囲を設定すべき画像が切り換えられるので、基礎
方式と同様に画像サンプリング誤差による擬似欠陥の検
出を回避できるだけでなく、検出感度の低下を抑えるこ
とができる。すなわち、微小パターンを含む参照画像と
その微小パターンが欠損している被検査画像とを比較す
る場合には、その微小パターン部分についての比較の前
処理として被検査画像の着目画素に対して許容範囲が設
定されるので、その微小パターン部分についての差分値
subは十分に大きな値となる。そして、この差分値s
ubはその微小パターン部分についての参照画像と被検
査画像との差異を示す値として第3バッファメモリ30
36に格納されるので、被検査物における微小パターン
の欠損という欠陥を確実に検出することができる。
【0206】このように本実施形態によれば、被検査画
像と参照画像との比較において許容範囲を設定すべき画
像が着目近傍変化量に応じて動的かつ画素単位で切り換
えられるので、検出精度および検出感度のパターン形状
等に対する依存性の少ないロバストネスな欠陥検出が可
能となる。なお、許容画像の各画素に対して許容範囲が
設定されるので、従来法と同様、画像比較の際に正確な
位置合わせをしなくても欠陥検出が可能になるという効
果もある。
【0207】また、本実施形態では、誤差許容比較のた
めに許容範囲が設定される画像は画素単位で切り換わる
ので、画像の比較演算においては、参照画像と被検査画
像とは区別されずに両画像間の差異が算出される。した
がって、本実施形態によれば、参照画像を入れ替えなが
ら繰り返しパターンを検査する場合(図84、図85参
照)においても、従来とは異なり、参照画像の入れ替え
によって検出感度が変わることはないので、欠陥の見逃
しを防止することができる。
【0208】<3.6 変形例>上記実施形態では、被
検査画像の着目画素と参照画像の着目画素のうちいずれ
に許容範囲を設定するか(いずれの着目画素から許容画
像を生成するか)は周辺分布特徴値によって決定され、
周辺分布特徴値としては、両画像の着目画素近傍の9画
素値における最大値と最小値との差である着目近傍変化
量ΔR,ΔOが使用されている(図80)。しかし、許
容範囲を設定すべき着目画素決定のための周辺分布特徴
値としては、このような着目近傍変化量ΔR,ΔOに限
定されるものではなく、着目画素近傍の画素値の空間的
変化量を示すものであればよい。したがって、上記着目
近傍変化量ΔR,ΔOに代えて、例えば着目画素近傍の
9画素値についての分散を周辺分布特徴値として使用し
てもよい。また、分散などの周辺分布特徴値を算出する
ために使用する画素は着目画素近傍の9画素に限定され
るものではなく、例えば着目画素近傍の5×5=25画
素を使用して周辺分布特徴値を算出してもよい。
【0209】なお、上記実施形態に係るパターン検査装
置は専用ハードウェアとして実現されるものとしている
が、所定プログラムをCPU(Central Processing Uni
t)に実行させることにより、例えば図78や図80に
示す比較処理部3100の一部または全部をソフトウェ
ア的に実現してもよい。
【0210】<第4の検査>さらに、第4の検査におけ
る実施の形態を図面に基づいて説明する。図86は第4
の検査に係るパターン欠陥検査装置の概要図である。
【0211】このパターン欠陥検査装置は、半導体ウエ
ハからなる基板Wを支持する基板支持テーブル4011
と、この基板支持テーブル4011をX方向に移動させ
るためのアクチュエータ4012と、基板支持テーブル
4011をY方向に移動させるためのアクチュエータ4
013と、これらのアクチュエータ4012、4013
を介して基板支持テーブル4011を駆動するためのテ
ーブル駆動部4014と、基板支持テーブル4011に
支持された基板Wの画像を撮影するカメラ4015と、
カメラ4015における画像信号をA/D変換するA/
D変換器4016と、後述する画像処理部4020と、
パターン検査装置全体を制御する制御部4017とを備
える。また、制御部4017には、キーボード4018
とCRT4019とが接続されている。
【0212】また、画像処理部4020は、参照画像を
記憶するための画像メモリ4021と、画像メモリ40
21に記憶した参照画像をカメラ4015で読み取った
被検査画像に対して二次元的に一定のずらせ量だけ各周
辺方向にずらせた揺すらせ位置に配置するための揺すら
せ回路4022と、各揺すらせ位置において参照画像と
被検査画像との差の絶対値を測定することにより各揺す
らせ位置における差の絶対値画像を得るための差の絶対
値測定回路4023と、各揺すらせ位置における差の絶
対値画像に対し最大値フィルター処理を行うことにより
各揺すらせ位置における最大値画像を得る最大値フィル
ター処理回路4024と、各揺すらせ位置における最大
値画像に対し同一位置の画素値の最小値を検出すること
により欠陥画像を得る最小値検出回路4025と、欠陥
画像を一定の閾値で二値化することにより欠陥を特定す
る二値化処理回路4026とを備える。
【0213】次に、このパターン欠陥検査装置による欠
陥検査動作について説明する。図87はパターン欠陥検
査工程を示すフローチャートである。
【0214】パターン欠陥検査を実行する際には、予
め、参照画像を画像メモリ4021に記憶しておく(ス
テップS1)。この参照画像記憶工程においては、欠陥
検査のマスターパターンとなるべき参照画像をカメラ4
015により多値画像として読み取り、この画像データ
を画像メモリ4021に記憶する。
【0215】次に、パターン欠陥検査を行うべき被検査
画像をカメラ4015により多値画像として読み取る
(ステップS2)。この被検査画像読取工程において読
み取られた画像は、差の絶対値測定回路4023に送信
される。なお、被検査画像を画像メモリ4021に一旦
記憶するようにしてもよい。
【0216】図88は、画像メモリ4021に記憶され
た参照画像4031と、カメラ4015により読み取ら
れた被検査画像4032とを示す模式図である。
【0217】この図に示すように、この実施形態におい
ては、参照画像4031は18×18の画素から構成さ
れ、被検査画像4032は16×16の画素から構成さ
れている。そして、参照画像4031中には、4画素に
相当する欠陥またはパターン4033が存在しているも
のとする。
【0218】次に、参照画像記憶工程で記憶した参照画
像4031を被検査画像読取工程で読み取った被検査画
像4032に対して二次元的に1画素に相当するずらせ
量だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置に配置した上
で、各揺すらせ位置において参照画像4031と被検査
画像4032との差の絶対値を測定する(ステップS
3)。
【0219】すなわち、この差の絶対値測定工程におい
ては、揺すらせ回路4022により、図89に示すよう
に、参照画像4031の上辺と左辺とが被検査画像40
32の上辺と左辺とに一致する位置、参照画像4031
の上辺のみが被検査画像4032の上辺と一致する位
置、参照画像4031の上辺と右辺とが被検査画像40
32の上辺と右辺とに一致する位置、参照画像4031
の左辺のみが被検査画像4032の左辺と一致する位
置、参照画像4031のいずれの辺も被検査画像403
2のいずれかの辺と一致しない位置、参照画像4031
の右辺のみが被検査画像4032の右辺と一致する位
置、参照画像4031の左辺と下辺とが被検査画像40
32の左辺と下辺とに一致する位置、参照画像4031
の下辺のみが被検査画像4032の下辺と一致する位
置、参照画像4031の右辺と下辺とが被検査画像40
32の右辺と下辺とに一致する位置の9個の揺すらせ位
置に配置する。
【0220】そして、差の絶対値測定回路4023によ
り、これらの9個の揺すらせ位置において、参照画像記
憶工程で記憶した参照画像4031と被検査画像読取工
程で読み取った被検査画像4032とを比較することに
より、各揺すらせ位置における差の絶対値画像を得る。
図89は、このようにして得られた9個の差の絶対値画
像4034a〜4034iを示している。
【0221】なお、この実施形態においては、参照画像
4031を被検査画像4032に対して二次元的に1画
素に相当するずらせ量だけずらせて9個の揺すらせ位置
に配置しているが、この揺すらせ量は1画素に相当する
ものでなくともよい。なお、例えば、この揺すらせ量を
2画素とした場合には、25個の揺すらせ位置が存在す
ることになり、この揺すらせ量をn画素とした場合に
は、(2n+1)×(2n+1)個の揺すらせ位置が存
在することになる。
【0222】また、この揺すらせ量は、必ずしも画素の
整数倍である必要はなく、例えば、特開2000−02
8333号に記載されているように、1画素以下の単位
であってもよい。
【0223】また、この実施形態においては、参照画像
4031と被検査画像4032とを多値画像としている
が、これらが二値画像の場合においては、この差の絶対
値測定工程にでは、各揺すらせ位置における参照画像4
031と被検査画像4032との排他的論理和をとるこ
とになる。
【0224】再度、図87を参照して、次に、差の絶対
値測定工程で測定した各揺すらせ位置における差の絶対
値画像4034a〜4034iに対し、最大値フィルタ
ー処理(膨張処理)を実行する(ステップS4)。この
最大値フィルター処理工程においては、例えば、絶対値
画像4034a〜4034iにおける各画素を、例えば
3行3列の最大値フィルター領域の各位置に配置した場
合に、その最大値フィルター領域内の画像の最大値を、
その中央部の値として設定することにより、各揺すらせ
位置における最大値画像を得る。図90は、このように
して得られた9個の差の最大対値画像4035a〜40
35iを示している。
【0225】なお、上述した説明では、最大値フィルタ
ー処理として、3×3のウインドウによる最大値フィル
ター処理を採用しているが、3×3以上のN×Nのもの
を採用するようにしてもよい。このとき、上述した揺す
らせ量をnとしたとき、Nの値は[2n+1]以上であ
る必要がある。
【0226】また、上下左右対称な形状であれば、例え
ば円形等の、矩形状以外の形状のウインドウを使用して
もよい。このようなウインドウとして円形のウインドウ
を使用した場合においては、円形状のウインドウを円状
に揺すらせることになる。このような場合においては、
円形のウインドウの揺すらせ量をnとしたとき、円形の
ウインドウの直径が上述したNに相当することになる。
【0227】次に、最大値フィルター処理工程で得た各
揺すらせ位置における最大値画像4035a〜4035
iに対し、同一位置の画素値の最小値を検出する(ステ
ップS5)。すなわち、この最小値検出工程において
は、各揺すらせ位置に対応する9個の差の最大対値画像
4035a〜4035iにおける、同一位置にある画素
値の内の最小値を選択することにより、欠陥画像を得
る。図91は、このようにして得られた欠陥画像403
6を示している。
【0228】図88(a)および図91に示すように、
検出された欠陥画像4036は、参照画像4031中の
欠陥またはパターン4033と同一サイズとなってい
る。すなわち、上述した条件の下、このパターン欠陥検
査装置を使用した場合においては、揺すらせ量をnと
し、最大値フィルターのサイズを[2n+1]×[2n
+1]とした場合に、欠陥サイズと同一サイズの欠陥画
像4036を得ることができることになる。
【0229】再度、図87を参照して、この欠陥画像4
036を所定の閾値で二値化することにより、最終的な
欠陥情報を得る(ステップS6)。
【0230】なお、上述した説明においては、最小値検
出工程(ステップS5)の後に、二値化処理を実行して
いるが、差の絶対値測定工程(ステップS3)に続いて
二値化処理を実行するようにしてもよい。このような場
合においては、最大値フィルター処理工程(ステップS
4)においては、最大値フィルター領域内のいずれかに
「1」が存在すれば、その中央部に「1」を設定するこ
とになる。また、最小値検出工程(ステップS5)にお
いては、各揺すらせ位置における最大値画像に対して
「AND」をとることになる。
【0231】上述した図88〜図91に示す実施形態
は、参照画像4031中には4画素に相当する欠陥40
33が存在している場合、もしくは、参照画像4031
中に4画素に相当するパターン4033が存在し、か
つ、被検査画像4032にはこのようなパターン403
3が存在しない場合のものである。しかしながら、この
発明に係るパターン欠陥検査装置によれば、被検査画像
に欠陥がある場合にも、同様の工程によりこの欠陥を検
出することができる。
【0232】図92は、上述した参照画像記憶工程(ス
テップ1)により画像メモリ4021に記憶された参照
画像4041と、上述した被検査画像読取工程(ステッ
プS2)においてカメラ4015により読み取られた被
検査画像4042とを示す模式図である。
【0233】この図に示すように、この実施形態におい
ては、被検査画像4042中には、4画素に相当する欠
陥またはパターン4043が存在している。
【0234】このような条件の下、参照画像4041を
被検査画像4042に対して二次元的に1画素に相当す
るずらせ量だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置に配
置した上で、各揺すらせ位置において参照画像4041
と被検査画像4042との差の絶対値を測定する差の絶
対値測定工程(ステップS3)を実行した場合には、図
93に示す9個の差の絶対値画像4044a〜4044
iが得られる。なお、この絶対値画像4044a〜40
44iは、図89に示す絶対値画像4034a〜403
4iに比べ、各絶対値画像4044a〜4044iの位
置が互いに一致している点が異なっている。
【0235】そして、これらの差の絶対値画像4044
a〜4044iに対し、3×3の最大値フィルター処理
を実行することにより(ステップS4)。図94に示す
9個の差の最大対値画像4045a〜4045iを得
る。
【0236】しかる後、これらの最大値画像4045a
〜4045iに対し、同一位置の画素値の最小値を検出
することにより(ステップS5)、図95に示す欠陥画
像4046を得る図92(a)および図95に示すよう
に、検出された欠陥画像4046は、被検査画像404
1中の欠陥4043を最大値フィルターのサイズだけ膨
張したサイズとなっている。すなわち、上述した条件の
下、このパターン欠陥検査装置を使用した場合において
は、揺すらせ量をnとし、最大値フィルターのサイズを
[2n+1]×[2n+1]とした場合に、欠陥サイズ
を最大値フィルターのサイズ分だけ膨張させたサイズの
欠陥画像4046を得ることができることになる。
【0237】最後に、図87を参照して、この欠陥画像
4046を所定の閾値で二値化することにより、最終的
な欠陥情報を得る(ステップS6)。
【0238】なお、上述した実施形態においては、参照
画像4031、4041と被検査画像4032、404
2とをそのまま比較しているが、エッジ部分のサンプリ
ングによる誤差が問題となる場合においては、例えば、
本発明の第3実施形態に記載されたように、参照画像4
031、4041と被検査画像4032、4042に許
容値を設けた上で差分を計算するようにしてもよい。
【0239】なお、上記第1の検査ないし第4の検査
は、少なくとも1の検査が実施されればよく、必要に応
じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0240】(第2の実施の形態)第2の実施の形態に
係るパターン検査装置は、写像投影する機能と、走査型
電子顕微鏡としての機能(すなわち、一次電子ビームを
走査して発生した二次放出線を検出する機能)との二つ
の機能を併せ持っており、これら各機能は後述するよう
に電気的な操作だけで容易に切り換えることができる。
【0241】第2の実施の形態のパターン検査装置は、
図1に示す電子線装置1−1の構成を用い、該電子線装
置に走査型電子顕微鏡としての機能を持たせることによ
って実現できる。
【0242】写像投影する機能は主として帯電し難い試
料のパターン検査に使用され、一方、走査型電子顕微鏡
としての機能は、主として帯電し易い試料のパターン検
査若しくはパターン検査に先だって行われるレジストレ
ーションでのマーク検出に使用される。ここで帯電し易
い試料材料としては、例えば、酸化シリコン及び窒化シ
リコン等が表面に成膜されているウェーハであり、帯電
し難い試料材質としては、ベアシリコン及びアルミコー
トシリコン等が挙げられる。また、帯電し易いか又は帯
電し難いかの判定は、以下の基準により決定される。即
ち、シリコンウェーハの表面の何パーセントが絶縁膜で
覆われているか、或いは導電膜が島状に孤立しているか
互いに繋がっているか等で判断される。
【0243】写像投影する機能は、第1の実施の形態で
説明したので、詳細な説明を省略する。なお、本実施の
形態を写像投影機能で使用した場合、一例として、静電
対物レンズ28−1により試料(例えば、ウェーハ等)
S上に縮小結像される電子ビームの照射領域は、250
ミクロン角であり、2次電子線は、2次光学系20−1
により300倍に拡大されて、MCP14−1に入射す
る。
【0244】次に、走査型電子顕微鏡としての機能につ
いて図1を用いて説明する。第2の実施の形態のパター
ン検査装置では、1次光学系10−1において静電(又
は電磁)レンズ25−1の後段に、1次電子ビームを偏
向可能な走査用偏向器19−1を設置する。
【0245】カソード8−1から放出された電子線12
−1はアノード9−1で加速され、1次光学系10−1
の所定位置に設けられた成形開口でその断面形状が長方
形に成形される。成形された電子ビームは、次に、回転
軸非対称の四重極又は八重極の静電(又は電磁)レンズ
25−1でレンズ条件を調整することにより、細く絞ら
れる。すなわち、電子ビームはその長方形形状のうち長
径方向の縮小率を特に大きくし、短径方向の縮小率はあ
る程度の縮小率に留めることにより、E×B分離器30
−1の偏向主面より僅かに上側で計算上では100ナノ
メートルの正方形となるように調整される。但し、実際
の装置ではレンズの収差があるため、E×B分離器30
−1の偏向主面より僅かに上側で120ナノメートル直
径の円形ビームとなった。E×B分離器30−1に入射
した円形電子ビームは、そこで試料Sの表面に垂直な方
向に偏向されかつ静電対物レンズ28−1により1/4
に縮小されて試料の表面で約30ナノメートル直径の電
子ビームに収束される。走査用偏向器19−1を操作し
てこの30ナノメートル直径の電子ビームを試料Sの表
面で二次元的に走査することにより、試料上で5ミクロ
ン角ないし100ミクロン角の領域が走査される。
【0246】試料Sから放出された二次放出線は、静電
対物レンズ28−1に印加された、二次放出線に対する
加速電界で加速され該静電対物レンズを通過し、E×B
分離器30−1に入射される。E×B分離器30−1に
入射された二次放出線は、上記写像投影する機能の場合
と全く同じレンズ条件で、2次光学系20−1の静電中
間レンズ31−1及び静電拡大レンズ33−1を通りM
CP14−1に入射する。
【0247】MCP14−1に入射した二次放出線は写
像投影する機能の場合と同様に、蛍光スクリーン15−
1を照射してパターン画像を結像し、FOP17−1を
通過してCCDカメラ18−1により検出されかつ電気
信号に変換される。CCDカメラ18−1からの電気信
号を全チャンネルに亘り電気的に加算することにより、
信号強度を得ることができる。従って、位置情報は走査
時間から取得することができる。この信号強度と位置情
報とに基いて取得されたパターン画像は、第1実施の形
態に記載した欠陥検査の第1の検査ないし第4の検査の
うち少なくとも1の検査により検査される。なお、必要
に応じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0248】写像投影する機能と走査型電子顕微鏡とし
ての機能との切り替えは、4極子レンズ25−1を構成
する各レンズの倍率を変更すること、走査用偏向器19
−1に走査信号を与えること、及びCCDカメラ18−1
からの出力信号を写像投影する機能としての通常の信号
処理を行うか、又は全チャンネルを電気的に加算する走
査型電子顕微鏡としての処理とするかを決定することだ
けで、全て電気的な操作により行うことができる。
【0249】第2の実施の形態によれば、以下のような
効果を奏することが可能である。 (1)写像投影する機能と走査型電子顕微鏡としての機
能との二つの機能の切り換えは、4極子レンズ及び4極
子偏向器の条件、走査用偏向器への操作信号及びCCDカ
メラからの信号処理を全て電気的に変更するだけで、容
易に切り換えることができるから、一枚のウェーハに異
種のチップが形成されていて帯電し易いチップと、帯電
し難いチップが存在していても、パターン検査中に迅速
に両機能を切り換えて、効率よく検査できる。 (2)レジストレションでのマーク検出の場合には、走
査範囲を数ミクロン角に小さくすることにより、一ピク
セルの寸法を5ナノメートルと小さくして高精度のマー
ク検出を行うことができる。 (3)パターン検査の場合には、一ピクセルの寸法をC
CDカメラの画素と写像投影する機能における倍率とか
ら決定される50ナノメートルとすることにより、パタ
ーン検査を高いスループットで行うことができる。
【0250】(第3の実施の形態)第3の実施の形態の
欠陥検査装置は、図1の電子線装置1−1を用いた欠陥
検査システムを用いるので、本欠陥検査装置の構成に関
する詳細な説明は、同一の符号を附して省略する。
【0251】図1のMCP14−1は、使用時間を横軸
に取りMCP14−1の増倍率を縦軸に取ると、図5か
ら明らかなように、使用時間の増加に伴って、増倍率が
低下する。また、MCP印加電圧を横軸に取りMCP増
倍率を縦軸に取ると、図6のMCP印加電圧とMCP増
倍率の相関関係を示すグラフからも明らかなように、飽
和値まで単調に増加する。そこで、本発明においては、
図7に示されるような制御を行うMCP印加電圧制御回
路40−3を使用する。このMCP印加電圧制御回路4
0−3は、MCP使用時間から現在のMCP増倍率を算
出し、現在の使用時間に対するMCP印加電圧−MCP
増倍曲線からMCP増倍率が常に一定となるようにMC
P印加電圧の制御を行う。つまり、図6の矢印の方向に
MCP印加電圧をシフトさせる。このような制御によっ
て撮像された欠陥を含む画像は、長時間の連続使用にも
関わらず、常に一定のコントラスト画像が得られる。更
に、このMCP印加電圧制御回路40−3は、ラインセ
ンサのラインレートが現在の2倍に変化すれば、現在の
2倍のMCP増倍率にするMCP印加電圧となるように
制御を行い、また、倍率が現在の2倍に変化すれば、現
在の4倍のMCP増倍率にするMCP印加電圧となるよ
うに制御を行い、これらのパラメータの変化に対しても
画像コントラストが一定になるようにしている。なお、
図7はMCP印加電圧制御回路40−3のフローチャー
トを示す図である。
【0252】次に、詳細な具体例をウェーハの欠陥検査
について説明する。
【0253】図8に示されるような欠陥検査用の試料と
してウェーハWをX−Yステージ26−1に搭載し、そ
のウェーハW上に上記欠陥検査装置1−1により1次電
子ビームを照射してウェーハWを同図の矢印Aで示され
るように上下に走査することによってウェーハ全面の撮
像をおこない、ラインセンサ18−1の画像はPCメモ
リ34−1に格納させた。これらの欠陥検査をMCP印
加電圧制御回路40−3で1000時間程度連続して行
った。その結果、0時間使用のMCP倍増率は、約45
00であったが、1000時間使用後には同一のMCP
印加電圧1200Vで、G2は約3000に変化してい
た(図5)。ところが、本発明のMCP印加電圧制御回
路によってMCP増配率を変化させたところ、MCP印
加電圧は、約1200Vから約1400Vまでシフトし
ていき、MCP増倍率は、常に一定で約4500を示し
ていた。また、このような方法で撮像された欠陥画像
は、1000時間に亘ってほぼ同程度のコントラスト画
像を有していた。
【0254】この欠陥画像は、第1実施の形態に記載し
た欠陥検査の第1の検査ないし第4の検査のうち少なく
とも1の検査により検査される。なお、必要に応じて複
数の検査を組み合わせてもよい。
【0255】本実施の形態によれば、次のような効果を
奏することが可能である。 (イ)長時間の欠陥検査を行っても欠陥画像のコントラ
ストの変化及び劣化を抑えることができる。 (ロ)MCP印加電圧の制御又はビームのエミッション
電流を制御することによってMCPの長時間使用による
増倍率の低下を防止し、それによって常に同レベルの欠
陥画像コントラストを維持できる。 (ハ)MCPの印加電圧を、現在のMCP印加電圧−M
CPゲイン曲線を参照して決定することにより常に同レ
ベルの欠陥画像コントラストを維持できる。 (ニ)欠陥検査において、スループットを低下させるこ
となくその性能を向上させることができる。
【0256】(第4の実施の形態)図9は、本発明の実
施の形態のフィードスルー装置の概略平面図であり、図
10は、図9のフィードスルー装置の線A−Aに沿う概
略断面図である。図9のフィードスルー装置10−4
は、半導体パッケージを形成する半導体デバイスにより
構成される。図10に示すように、フィードスルー装置
10−4は、電気的絶縁材料からなるフィードスルー部
2−4、フィードスルー部2−4に固着される少なくと
も1本の電気導入ピン5−4、少なくとも1本の電気導
入ピン5−4と図示しない機能素子とを接続する配線9
−4、及び金属フランジ1−4を備える。
【0257】フィードスルー部2−4は、電気的絶縁能
力を持つ材料、一般的にはアルミナベースのセラミック
により形成される。フィードスルー部2−4は、シェル
3−4を介し金属フランジ1−4に結合される。シェル
3−4は、コバールや42合金といった金属から形成さ
れ、フィードスルー部2−4と金属フランジ1−4との
間の熱膨張係数の違いに起因する熱応力による破損を防
ぐ役割を果す。フィードスルー部2−4とシェル3−4
との接合は、例えばモリブデン−マンガンメタライズと
銀ロウによって封着される。また、シエル3−4と金属
フランジ1−4との結合は、例えばTIG全周溶接のよ
うな方法で気密処理が施される。
【0258】フィードスルー部2−4は、パターンメタ
ライズ部4−4及びダイ(機能素子)6−4を備える。
パターンメタライズ部4−4とピン5−4とが銀ロウを
介し封着される。ダイ6−4は、フィードスルー部2−
4の片面に形成されるダイボンディング部7−4に固着
される。ダイ6−4は、センサ、電気回路及び半導体素
子を含む機能素子により構成される。フィードスルー部
2−4は、それを介し圧力状態及びガス種が異なること
ができるようにされる。
【0259】図10においてフィードスルー部2−4の
真空側表面にダイ6−4が配置され、ダイ6−4は、真
空絶縁されたピン5−4の電流導入端子に接続される。
ピン5−4は、またダイ6−4の電気信号を電流導入端
子を介し、大気中へ取出せるように配置される。図9及
び図10に示すフィードスルー装置10−4は、真空絶
縁できる機能を備える半導体パッケージ、具体的には、
CCD、TDI等の半導体デバイスを収容するパッケー
ジにより構成される。このフィードスルー装置10−4
は、図13を参照して後述するように、写像投影系を含
む半導体デバイスの欠陥を検出する検出器として用いら
れる。
【0260】図9及び図10の装置において、図示しな
い機能素子は、フィードスルー部2−4の真空側表面に
制作される。電気導入ピン5−4と図示しない機能素子
とを接続する接続配線9−4は、フィードスルー部2−
4の表面に膜状に形成される。フィードスルー部2−4
は、金属フランジ1−4に溶接されるか、又はシェル3
−4を介し結合される。
【0261】ダイボンディング部7−4は、図10に示
すように、フィードスルー部2−4の一部に落とし込み
を形成しても良いし、しなくても良い。固着方法は、接
着剤、粘着テープ、低融点金属によるロウ付けを使用す
ることができる。真空中で使用する場合は、真空中での
脱ガス量の少ないものが望ましい。図10の実施の形態
においては、ダイパッド部8−4とパターンメタライズ
部4−4との間の電気的接続手段として接続配線9−4
を用いたが、それに替えて、フリップチップ接続又は通
常の電気配線を用いることが可能である。
【0262】図11は、本発明の他の実施の形態のフィ
ードスルー装置の概略平面図であり、機能素子6−4の
平面の4分の1を示すものである。図12は、図11の
フィードスルー装置の線B−Bに沿う概略断面図であ
る。図11及び図12は、ピン5−4の数の多いフィー
ドスルー装置20−4を示す。フィードスルー部2−4
と図示しない金属フランジとの封着方法は、図10の実
施の形態と同様である。
【0263】図11及び図12のようにピン5の本数が
多く、下方パターンメタライズ12−4のみで全ての配
線を形成できない時は、表面上に上方パターンメタライ
ズ16−4を施した配線板15−4を重ねて設置し、ダ
イ6−4と下方パターンメタライズ12−4及び上方パ
ターンメタライズ16−4間を下方接続配線19−4及
び上方接続配線18−4を用いて電気的に接続する。上
方パターンメタライズ16−4とピン5−4との間の電
気的接続は、ロウ付けでも、ハンダ付けでも、あるいは
ワイヤボンディングでも良い。
【0264】図13は、本発明のフィードスルー装置1
0−4又は20−4を組込んだウェーハ欠陥検査装置3
0−4の概略縦断面図である。図13のウェーハ欠陥検
査装置30−4は、電子ビーム41−4を真空チャンバ
21−4内へ放出する電子銃22−4、静電レンズ群で
構成される照明光学系23−4、検査すべきウェーハを
支持するステージ24−4、静電レンズ群で構成される
写像投影光学系26−4、及び検出器40−4を備え
る。
【0265】図13に示すように、検出器40−4は、
二次電子像を増幅するMCP(マイクロチャネルプレー
ト)31−4、MCP31−4により増幅された電子像
を光信号に変換する蛍光板32−4、蛍光板32−4に
密着配置され蛍光板32−4で変換された光学像を伝達
するFOP(ファイバーオプティックプレート、符号2
8−4で示す)、及びFOP28−4から出力された光
学像をデジタル電気信号に変換する20−4(機能素子
6−4)及びフィードスルー装置10−4、フィードス
ルー装置の直上に配置されフィードスルー装置の電気信
号を変換する撮像カメラ29−4を備える。フィードス
ルー装置10−4は、真空チャンバ21−4内の真空系
を外部に対し密封すると共に電気信号を外部へ伝達す
る。MCP31−4、蛍光板32−4及びFOP28−
4は、共通の支持部材により支持され、MCP/FOP
アッセンブリー27−4を形成する。
【0266】図13のウェーハ欠陥検査装置30−4に
おいて、電子銃22−4から放出された電子ビーム41
−4は、照明光学系23−4により偏向、成形され、ス
テージ24−4上のウェーハ25−4の表面に照射され
る。電子ビームの照射によりウェーハ25−4から放出
される二次電子は、写像投影光学系26−4により所定
倍率でMCP/FOPアッセンブリー27−4上に結像
される。MCP/FOPアッセンブリー27−4上に結
像された二次電子像は、増倍され蛍光板32−4により
光信号に変換されフィードスルー装置10−4に入射さ
れ、フィードスルー装置上の機能素子によりデジタル信
号に変換され、このデジタル信号が撮像カメラ29−4
へ伝達される。撮像カメラ29−4において、デジタル
信号が後段の画像処理装置(図示しない)に取り込み可
能な形式の画像信号に変換され、出力されたのち、第1
実施の形態に記載した欠陥検査の第1の検査ないし第4
の検査のうち少なくとも1の検査により検査される。な
お、必要に応じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0267】本発明の第4の実施の形態によれば、フィ
ードスルー部に固着される少なくとも1本の電気導入ピ
ン、及び前記少なくとも1本の電気導入ピンと機能素子
とを接続する接続配線を備え、前記機能素子は、センサ
ーを含むことにより、撮像センサーと真空フランジを別
個に形成するものに比べ、信号線が短いので信号遅延が
なく外乱も少なく、センサーを高速駆動することが可能
であり、欠陥検査のスループットを向上できる。
【0268】本発明の第4の実施の形態に係るフィード
スルー装置を組込んだ電子線装置を用いるウェーハの欠
陥検査装置は、微細なパターンを有する半導体デバイス
でも、高いスループットで検査でき、欠陥製品の出荷を
防止できる。
【0269】(第5の実施の形態)図1で前述した搬送
機構40−1、除振機構及び真空系等を含む欠陥検査シ
ステム全体の更に詳細なシステムを第5の実施の形態と
して説明する。
【0270】図14及び図15において、第5の実施の
形態の半導体検査装置1の主要構成要素が立面及び平面
で示されている。
【0271】本実施の形態の半導体検査装置1は、複数
枚のウェーハを収納したカセットを保持するカセットホ
ルダ10と、ミニエンバイロメント装置20と、ワーキ
ングチャンバを画成する主ハウジング30と、ミニエン
バイロメント装置20と主ハウジング30との間に配置
されていて、二つのローディングチャンバを画成するロ
ーダハウジング40と、ウェーハをカセットホルダ10
から主ハウジング30内に配置されたステージ装置50
上に装填するローダー60と、真空ハウジングに取り付
けられた電子光学装置70と、を備え、それらは図14
及び図15に示されるような位置関係で配置されてい
る。半導体検査装置1は、更に、真空の主ハウジング3
0内に配置されたプレチャージユニット81と、ウェー
ハに電位を印加する電位印加機構83(図22に図示)
と、電子ビームキャリブレーション機構85(図24に
図示)と、ステージ装置上でのウェーハの位置決めを行
うためのアライメント制御装置87を構成する光学顕微
鏡871とを備えている。
【0272】カセットホルダ10は、複数枚(例えば2
5枚)のウェーハが上下方向に平行に並べられた状態で
収納されたカセットc(例えば、アシスト社製のSMI
F、FOUPのようなクローズドカセット)を複数個
(この実施の形態では2個)保持するようになってい
る。このカセットホルダとしては、カセットをロボット
等により搬送してきて自動的にカセットホルダ10に装
填する場合にはそれに適した構造のものを、また人手に
より装填する場合にはそれに適したオープンカセット構
造のものをそれぞれ任意に選択して設置できるようにな
っている。カセットホルダ10は、この実施の形態で
は、自動的にカセットcが装填される形式であり、例え
ば昇降テーブル11と、その昇降テール11を上下移動
させる昇降機構12とを備え、カセットcは昇降テーブ
ル上に図15で鎖線図示の状態で自動的にセット可能に
なっていて、セット後、図15で実線図示の状態に自動
的に回転されてミニエンバイロメント装置内の第1の搬
送ユニットの回動軸線に向けられる。また、昇降テーブ
ル11は図14で鎖線図示の状態に降下される。このよ
うに、自動的に装填する場合に使用するカセットホル
ダ、或いは人手により装填する場合に使用するカセット
ホルダはいずれも公知の構造のものを適宜使用すれば良
いので、その構造及び機能の詳細な説明は省略する。
【0273】図25に示す別の実施の形態では、複数の
300mm基板Wを箱本体501の内側に固定した溝型
ポケット(図示せず)に収納した状態で収容し、搬送保
管等を行う。この基板反応箱24は、角筒状の箱本体5
01と、基板搬出入ドア自動開閉装置に連絡されて箱本
体501の側面の開口部を機械により開閉可能な基板搬
出入ドア502と、開口部と反対側に位置し、フィルタ
類及びファンモータの着脱を行うための開口部を覆う蓋
体503と、基板Wを保持するための溝型ポケットと、
ULPAフィルタ505、ケミカルフィルタ506、フ
ァンモータ507と、から構成されている。本実施の形
態では、ローター60のロボット式の第1の搬送ユニッ
ト61により、基板を出し入れする。
【0274】なお、カセットc内に収納される基板すな
わちウェーハは、検査を受けるウェーハであり、そのよ
うな検査は、半導体製造工程中でウェーハを処理するプ
ロセスの後、若しくはプロセスの途中で行われる。具体
的には、成膜工程、CMP、イオン注入等を受けた基板
すなわちウェーハ、表面に配線パターンが形成されたウ
ェーハ、又は配線パターンが未だに形成されていないウ
ェーハが、カセット内に収納される。カセットc内に収
容されるウェーハは多数枚上下方向に隔ててかつ平行に
並べて配置されているため、任意の位置のウェーハと後
述する第1の搬送ユニットで保持できるように、第1の
搬送ユニットのアームを上下移動できるようになってい
る。
【0275】図14ないし図16において、ミニエンバ
イロメント装置20は、雰囲気制御されるようになって
いるミニエンバイロメント空間21を画成するハウジン
グ22と、ミニエンバイロメント空間21内で清浄空気
のような気体を循環して雰囲気制御するための気体循環
装置23と、ミニエンバイロメント空間21内に供給さ
れた空気の一部を回収して排出する排出装置24と、ミ
ニエンバイロメント空間21内に配設されていて検査対
象としての基板すなわちウェーハを粗位置決めするプリ
アライナー25とを備えている。
【0276】ハウジング22は、頂壁221、底壁22
2及び四周を囲む周壁223を有していてい、ミニエン
バイロメント空間21を外部から遮断する構造になって
いる。ミニエンバイロメント空間を雰囲気制御するため
に、気体循環装置23は、図16に示されるように、ミ
ニエンバイロメント空間21内において、頂壁221に
取り付けられていて、気体(この実施の形態では空気)
を清浄にして一つ又はそれ以上の気体吹き出し口(図示
せず)を通して清浄空気を真下に向かって層流状に流す
気体供給ユニット231と、ミニエンバイロメント空間
内において底壁222の上に配置されていて、底に向か
って流れ下った空気を回収する回収ダクト232と、回
収ダクト232と気体供給ユニット231とを接続して
回収された空気を気体供給ユニット231に戻す導管2
33とを備えている。この実施の形態では、気体供給ユ
ニット231は供給する空気の約20%をハウジング2
2の外部から取り入れて清浄にするようになっている
が、この外部から取り入れられる気体の割合は任意に選
択可能である。気体供給ユニット231は、清浄空気を
つくりだすための公知の構造のHEPA若しくはULP
Aフィルタを備えている。清浄空気の層流状の下方向の
流れすなわちダウンフローは、主に、ミニエンバイロメ
ント空間21内に配置された後述する第1の搬送ユニッ
トによる搬送面を通して流れるように供給され、搬送ユ
ニットにより発生する虞のある塵埃がウェーハに付着す
るのを防止するようになっている。したがって、ダウン
フローの噴出口は必ずしも図示のように頂壁に近い位置
である必要はなく、搬送ユニットによる搬送面より上側
にあればよい。また、ミニエンバイロメント空間全面に
亘って流す必要もない。なお、場合によっては、清浄空
気としてイオン風を使用することによって清浄度を確保
することができる。また、ミニエンバイロメント空間内
には清浄度を観察するためのセンサを設け、清浄度が悪
化したときに装置をシャットダウンすることもできる。
ハウジング22の周壁223のうちカセットホルダ10
に隣接する部分には出入り口225が形成されている。
出入り口225近傍には公知の構造のシャッタ装置を設
けて出入り口225をミニエンバイロメント装置側から
閉じるようにしてもよい。ウェーハ近傍でつくる層流の
ダウンフローは、例えば0.3〜0.4m/secの流
速でよい。気体供給ユニットはミニエンバイロメント空
間内でなくその外側に設けてもよい。
【0277】排出装置24は、前記搬送ユニットのウェ
ーハ搬送面より下側の位置で搬送ユニットの下部に配置
された吸入ダクト241と、ハウジング22の外側に配
置されたブロワー242と、吸入ダクト241とブロワ
ー242とを接続する導管243と、を備えている。こ
の排出装置24は、搬送ユニットの周囲を流れ下り搬送
ユニットにより発生する可能性のある塵埃を含んだ気体
を、吸入ダクト241により吸引し、導管243、24
4及びブロワー242を介してハウジング22の外側に
排出する。この場合、ハウジング22の近くに引かれた
排気管(図示せず)内に排出してもよい。
【0278】ミニエンバイロメント空間21内に配置さ
れたアライナー25は、ウェーハに形成されたオリエン
テーションフラット(円形のウェーハの外周に形成され
た平坦部分を言い、以下においてオリフラと呼ぶ)や、
ウェーハの外周縁に形成された一つ又はそれ以上のV型
の切欠きすなわちノッチを光学的に或いは機械的に検出
してウェーハの軸線O−Oの周りの回転方向の位置を約
±1度の精度で予め位置決めしておくようになってい
る。プリアライナーは請求項に記載された発明の検査対
象の座標を決める機構の一部を構成し、検査対象の粗位
置決めを担当する。このプリアライナー自体は公知の構
造のものでよいので、その構造、動作の説明は省略す
る。
【0279】なお、図示しないが、プリアライナーの下
部にも排出装置用の回収ダクトを設けて、プリアライナ
ーから排出された塵埃を含んだ空気を外部に排出するよ
うにしてもよい。
【0280】図14及び図15において、ワーキングチ
ャンバ31を画成する主ハウジング30は、ハウジング
本体32を備え、そのハウジング本体32は、台フレー
ム36上に配置された振動遮断装置すなわち防振装置3
7の上に載せられたハウジング支持装置33によって支
持されている。ハウジング支持装置33は矩形に組まれ
たフレーム構造体331を備えている。ハウジング本体
32はフレーム構造体331上に配設固定されていて、
フレーム構造体上に載せられた底壁321と、頂壁32
2と、底壁321及び頂壁322に接続されて四周を囲
む周壁323とを備えていてワーキングチャンバ31を
外部から隔離している。底壁321は、この実施の形態
では、上に載置されるステージ装置等の機器による加重
で歪みの発生しないように比較的肉厚の厚い鋼板で構成
されているが、その他の構造にしてもよい。この実施の
形態において、ハウジング本体及びハウジング支持装置
33は、剛構造に組み立てられていて、台フレーム36
が設置されている床からの振動がこの剛構造に伝達され
るのを防振装置37で阻止するようになっている。ハウ
ジング本体32の周壁323のうち後述するローダハウ
ジングに隣接する周壁にはウェーハ出し入れ用の出入り
口325が形成されている。
【0281】なお、防振装置は、空気バネ、磁気軸受け
等を有するアクティブ式のものでも、或いはこれらを有
するパッシブ式のもよい。いずれも公知の構造のもので
よいので、それ自体の構造及び機能の説明は省略する。
ワーキングチャンバ31は公知の構造の真空装置(図示
せず)により真空雰囲気に保たれるようになっている。
台フレーム36の下には装置全体の動作を制御する制御
装置2が配置されている。
【0282】図14、図15及び図17において、ロー
ダハウジング40は、第1のローディングチャンバ41
と第2のローディングチャンバ42とを画成するハウジ
ング本体43を備えている。ハウジング本体43は底壁
431と、頂壁432と、四周を囲む周壁433と、第
1のローディングチャンバ41と第2のローディングチ
ャンバ42とを仕切る仕切壁434とを有していて、両
ローディングチャンバを外部から隔離できるようになっ
ている。仕切壁434には両ローディングチャンバ間で
ウェーハのやり取りを行うための開口すなわち出入り口
435が形成されている。また、周壁433のミニエン
バイロメント装置及び主ハウジングに隣接した部分には
出入り口436及び437が形成されている。このロー
ダハウジング40のハウジング本体43は、ハウジング
支持装置33のフレーム構造体331上に載置されてそ
れによって支持されている。したがって、このローダハ
ウジング40にも床の振動が伝達されないようになって
いる。ローダハウジング40の出入り口436とミニエ
ンバイロメント装置のハウジング22の出入り口226
とは整合されていて、そこにはミニエンバイロメント空
間21と第1のローディングチャンバ41との連通を選
択的に阻止するシャッタ装置27が設けられている。シ
ャッタ装置27は、出入り口226及び436の周囲を
囲んで側壁433と密に接触して固定されたシール材2
71、シール材271と協働して出入り口を介しての空
気の流通を阻止する扉272と、その扉を動かす駆動装
置273とを有している。また、ローダハウジング40
の出入り口437とハウジング本体32の出入り口32
5とは整合されていて、そこには第2のローディングチ
ャンバ42とワーキンググチャンバ31との連通を選択
的に密封阻止するシャッタ装置45が設けられている。
シャッタ装置45は、出入り口437及び325の周囲
を囲んで側壁433及び323と密に接触してそれらに
固定されたシール材451、シール材451と協働して
出入り口を介しての空気の流通を阻止する扉452と、
その扉を動かす駆動装置453とを有している。更に、
仕切壁434に形成された開口には、扉461によりそ
れを閉じて第1及び第2のローディングチャンバ間の連
通を選択的に密封阻止するシャッタ装置46が設けられ
ている。これらのシャッタ装置27、45及び46は、
閉じ状態にあるとき各チャンバを気密シールできるよう
になっている。これらのシャッタ装置は公知のものでよ
いので、その構造及び動作の詳細な説明は省略する。な
お、ミニエンバイロメント装置20のハウジング22の
支持方法とローダハウジングの支持方法が異なり、ミニ
エンバイロメント装置を介して床からの振動がローダハ
ウジング40、主ハウジング30に伝達されるのを防止
するために、ハウジング22とローダハウジング40と
の間には出入り口の周囲を気密に囲むように防振用のク
ッション材を配置しておけば良い。
【0283】第1のローディングチャンバ41内には、
複数(この実施の形態では2枚)のウェーハを上下に隔
てて水平の状態で支持するウェーハラック47が配設さ
れている。ウェーハラック47は、図18の示されるよ
うに、矩形の基板471の四隅に互いに隔てて直立状態
で固定された支柱472を備え、各支柱472にはそれ
ぞれ2段の支持部473及び474が形成され、その支
持部の上にウェーハWの周縁を載せて保持するようにな
っている。そして後述する第1及び第2の搬送ユニット
のアームの先端を隣接する支柱間からウェーハに接近さ
せてアームによりウェーハを把持するようになってい
る。
【0284】ローディングチャンバ41及び42は、図
示しない真空ポンプを含む公知の構造の真空排気装置
(図示せず)によって高真空状態(真空度としては10
-5〜10-6Pa)に雰囲気制御され得るようになってい
る。この場合、第1のローディングチャンバ41を低真
空チャンバとして低真空雰囲気に保ち、第2のローディ
ングチャンバ42を高真空チャンバとして高真空雰囲気
に保ち、ウェーハの汚染防止を効果的に行うこともでき
る。このような構造を採用することによってローディン
グチャンバ内に収容されていて次に欠陥検査されるウェ
ーハをワーキングチャンバ内に遅滞なく搬送することが
できる。このようなローディングチャンバを採用するこ
とによって、後述するマルチビーム型電子線装置の原理
と共に、欠陥検査のスループットを向上させ、更に保管
状態が高真空状態であることを要求される電子源周辺の
真空度を可能な限り高真空度状態にすることができる。
【0285】第1及び第2のローディングチャンバ41
及び42は、それぞれ真空排気配管と不活性ガス(例え
ば乾燥純窒素)用のベント配管(それぞれ図示せず)が
接続されている。これによって、各ローディングチャン
バ内の大気圧状態は不活性ガスベント(不活性ガスを注
入して不活性ガス以外の酸素ガス等が表面に付着するの
を防止する)によって達成される。このような不活性ガ
スベントを行う装置自体は公知の構造のものでよいの
で、その詳細な説明は省略する。
【0286】なお、電子線を使用する本発明の検査装置
において、後述する電子光学系の電子源として使用され
る代表的な六硼化ランタン(LaB6)等は一度熱電子
を放出する程度まで高温状態に加熱された場合には、酸
素等に可能な限り接触させないことがその寿命を縮めな
いために肝要であるが、電子光学系が配置されているワ
ーキングチャンバにウェーハを搬入する前段階で上記の
ような雰囲気制御を行うことにより、より確実に実行で
きる。
【0287】ステージ装置50は、主ハウジング30の
底壁321上に配置された固定テーブル51と、固定テ
ーブル上でY方向(図14において紙面に垂直の方向)
に移動するYテーブル52と、Yテーブル上でX方向
(図14において左右方向)に移動するXテーブル53
と、Xテーブル上で回転可能な回転テーブル54と、回
転テーブル54上に配置されたホルダ55とを備えてい
る。そのホルダ55のウェーハ載置面551上にウェー
ハを解放可能に保持する。ホルダは、ウェーハを機械的
に或いは静電チャック方式で解放可能に把持できる公知
の構造のものでよい。ステージ装置50は、サーボモー
タ、エンコーダ及び各種のセンサ(図示せず)を用い
て、上記のような複数のテーブルを動作させることによ
り、載置面551上でホルダに保持されたウェーハを電
子光学装置から照射される電子ビームに対してX方向、
Y方向及びZ方向(図14において上下方向)に、更に
ウェーハの支持面に鉛直な軸線の回り方向(θ方向)に
高い精度で位置決めできるようになっている。なお、Z
方向の位置決めは、例えばホルダ上の載置面の位置をZ
方向に微調整可能にしておけばよい。この場合、載置面
の基準位置を微細径レーザによる位置測定装置(干渉計
の原理を使用したレーザ干渉測距装置)によって検知
し、その位置を図示しないフィードバック回路によって
制御したり、それと共に或いはそれに代えてウェーハの
ノッチ或いはオリフラの位置を測定してウェーハの電子
ビームに対する平面位置、回転位置を検知し、回転テー
ブルを微小角度制御可能なステッピングモータなどによ
り回転させて制御する。ワーキングチャンバ内での塵埃
の発生を極力防止するために、ステージ装置用のサーボ
モータ521、531及びエンコーダ522、532
は、主ハウジング30の外側に配置されている。なお、
ステージ装置50は、例えばステッパー等で使用されて
いる公知の構造のもので良いので、その構造及び動作の
詳細な説明は省略する。また、上記レーザ干渉測距装置
も公知の構造のものでよいので、その構造、動作の詳細
な説明は省略する。
【0288】電子ビームに対するウェーハの回転位置や
X、Y位置を予め後述する信号検出系或いは画像処理系
に入力することで得られる信号の基準化を図ることもで
きる。更に、このホルダに設けられたウェーハチャック
機構は、ウェーハをチャックするための電圧を静電チャ
ックの電極に与えられるようになっていて、ウェーハの
外周部の3点(好ましくは周方向に等隔に隔てられた)
を押さえて位置決めするようになっている。ウェーハチ
ャック機構は、二つの固定位置決めピンと、一つの押圧
式クランクピンとを備えている。クランプピンは、自動
チャック及び自動リリースを実現できるようになってお
り、かつ電圧印加の導通箇所を構成している。
【0289】なお、この実施の形態では図15で左右方
向に移動するテーブルをXテーブルとし、上下方向に移
動するテーブルをYテーブルとしたが、同図で左右方向
に移動するテーブルをYテーブルとし、上下方向に移動
するテーブルをXテーブルとしてもよい。
【0290】ローダー60は、ミニエンバイロメント装
置20のハウジング22内に配置されたロボット式の第
1の搬送ユニット61と、第2のローディングチャンバ
42内に配置されたロボット式の第2の搬送ユニット6
3とを備えている。
【0291】第1の搬送ユニット61は、駆動部611
に関して軸線O1−O1の回りで回転可能になっている多
節のアーム612を有している。多節のアームとしては
任意の構造のものを使用できるが、この実施の形態で
は、互いに回動可能に取り付けられた三つの部分を有し
ている。第1の搬送ユニット61のアーム612の一つ
の部分すなわち最も駆動部611側の第1の部分は、駆
動部611内に設けられた公知の構造の駆動機構(図示
せず)により回転可能な軸613に取り付けられてい
る。アーム612は、軸613により軸線O1−O1の回
りで回動できると共に、部分間の相対回転により全体と
して軸線O1−O1に関して半径方向に伸縮可能になって
いる。アーム612の軸613から最も離れた第3の部
分の先端には、には公知の構造の機械式チャック又は静
電チャック等のウェーハを把持する把持装置616が設
けられている。駆動部611は、公知の構造の昇降機構
615により上下方向に移動可能になっている。
【0292】この第1の搬送ユニット61は、アーム6
12がカセットホルダに保持された二つのカセットcの
内いずれか一方の方向M1又はM2に向かってアームが
伸び、カセットc内に収容されたウェーハを1枚アーム
の上に載せ或いはアームの先端に取り付けたチャック
(図示せず)により把持して取り出す。その後アームが
縮み(図15に示すような状態)、アームがプリアライ
ナー25の方向M3に向かって伸長できる位置まで回転
してその位置で停止する。するとアームが再び伸びてア
ームに保持されたウェーハをプリアライナー25に載せ
る。プリアライナーから前記と逆にしてウェーハを受け
取った後はアームは更に回転し第2のローディングチャ
ンバ41に向かって伸長できる位置(向きM4)で停止
し、第2のローディングチャンバ41内のウェーハ受け
47にウェーハを受け渡す。なお、機械的にウェーハを
把持する場合にはウェーハの周縁部(周縁から約5mm
の範囲)を把持する。これはウェーハには周縁部を除い
て全面にデバイス(回路配線)が形成されており、この
部分を把持するとデバイスの破壊、欠陥の発生を生じさ
せるからである。
【0293】第2の搬送ユニット63も第1の搬送ユニ
ットと構造が基本的に同じであり、ウェーハの搬送をウ
ェーハラック47とステージ装置の載置面上との間で行
う点でのみ相違するだけであるから、詳細な説明は省略
する。
【0294】上記ローダー60では、第1及び第2の搬
送ユニット61及び63は、カセットホルダに保持され
たカセットからワーキングチャンバ31内に配置された
ステージ装置50上への及びその逆のウェーハの搬送を
ほぼ水平状態に保ったままで行い、搬送ユニットのアー
ムが上下動するのは、単に、ウェーハのカセットからの
取り出し及びそれへの挿入、ウェーハのウェーハラック
への載置及びそこからの取り出し及びウェーハのステー
ジ装置への載置及びそこからの取り出しのときるだけで
ある。したがって、大型のウェーハ、例えば直径30c
mのウェーハの移動もスムースに行うことができる。
【0295】次にカセットホルダに支持されたカセット
cからワーキングチャンバ31内に配置されたステージ
装置50までへのウェーハの搬送を順を追って説明す
る。
【0296】カセットホルダ10は、前述のように人手
によりカセットをセットする場合にはそれに適した構造
のものが、また自動的にカセットをセットする場合には
それに適した構造のものが使用される。この実施の形態
において、カセットcがカセットホルダ10の昇降テー
ブル11の上にセットされると、昇降テーブル11は昇
降機構12によって降下されカセットcが出入り口22
5に整合される。
【0297】カセットが出入り口225に整合される
と、カセットに設けられたカバー(図示せず)が開きま
たカセットcとミニエンバイロメントの出入り口225
との間には筒状の覆いが配置されてカセット内及びミニ
エンバイロメント空間内を外部から遮断する。これらの
構造は公知のものであるから、その構造及び動作の詳細
な説明は省略する。なお、ミニエンバイロメント装置2
0側に出入り口225を開閉するシャッタ装置が設けら
れている場合にはそのシャッタ装置が動作して出入り口
225を開く。
【0298】一方、第1の搬送ユニット61のアーム6
12は方向M1又はM2のいずれかに向いた状態(この
説明ではM1の方向)で停止しており、出入り口225
が開くとアームが伸びて先端でカセット内に収容されて
いるウェーハのうち1枚を受け取る。なお、アームと、
カセットから取り出されるべきウェーハとの上下方向の
位置調整は、この実施の形態では第1の搬送ユニット6
1の駆動部611及びアーム612の上下移動で行う
が、カセットホルダの昇降テーブルの上下動行っても或
いはその両者で行ってもよい。
【0299】アーム612によるウェーハの受け取りが
完了すると、アームは縮み、シャッタ装置を動作して出
入り口を閉じ(シャッタ装置がある場合)、次にアーム
612は軸線O1−O1の回りで回動して方向M3に向け
て伸長できる状態になる。すると、アームは伸びて先端
に載せられ或いはチャックで把持されたウェーハをプリ
アライナー25の上に載せ、そのプリアライナーによっ
てウェーハの回転方向の向き(ウェーハ平面に垂直な中
心軸線の回りの向き)を所定の範囲内に位置決めする。
位置決めが完了すると搬送ユニット61はアームの先端
にプリアライナー25からウェーハを受け取ったのちア
ームを縮ませ、方向M4に向けてアームを伸長できる姿
勢になる。するとシャッタ装置27の扉272が動いて
出入り口226及び436を開き、アーム612が伸び
てウェーハを第1のローディングチャンバ41内のウェ
ーハラック47の上段側又は下段側に載せる。なお、前
記のようにシャッタ装置27が開いてウェーハラック4
7にウェーハが受け渡される前に、仕切壁434に形成
された開口435はシャッタ装置46の扉461により
気密状態で閉じられている。
【0300】上記第1の搬送ユニットによるウェーハの
搬送過程において、ミニエンバイロメント装置のハウジ
ングの上に設けられた気体供給ユニット231からは清
浄空気が層流状に流れ(ダウンフローとして)、搬送途
中で塵埃がウェーハの上面に付着するのを防止する。搬
送ユニット周辺の空気の一部(この実施の形態では供給
ユニットから供給される空気の約20%で主に汚れた空
気)は排出装置24の吸入ダクト241から吸引されて
ハウジング外に排出される。残りの空気はハウジングの
底部に設けられた回収ダクト232を介して回収され再
び気体供給ユニット231に戻される。
【0301】ローダハウジング40の第1のローディン
グチャンバ41内のウェーハラック47内に第1の搬送
ユニット61によりウェーハが載せられると、シャッタ
装置27が閉じて、ローディングチャンバ41内を密閉
する。すると、第1のローディングチャンバ41内には
不活性ガスが充填されて空気が追い出された後、その不
活性ガスも排出されてそのローディングチャンバ41内
は真空雰囲気にされる。この第1のローディングチャン
バの真空雰囲気は低真空度でよい。ローディングチャン
バ41内の真空度がある程度得られると、シャッタ装置
46が動作して扉461で密閉していた出入り口434
を開き、第2の搬送ユニット63のアーム632が伸び
て先端の把持装置でウェーハ受け47から1枚のウェー
ハを受け取る(先端の上に載せて或いは先端に取り付け
られたチャックで把持して)。ウェーハの受け取りが完
了するとアームが縮み、シャッタ装置46が再び動作し
て扉461で出入り口435を閉じる。なお、シャッタ
装置46が開く前にアーム632は予めウェーハラック
47の方向N1に向けて伸長できる姿勢になる。また、
前記のようにシャッタ装置46が開く前にシャッタ装置
45の扉452で出入り口437、325を閉じてい
て、第2のローディングチャンバ42内とワーキングチ
ャンバ31内との連通を気密状態で阻止しており、第2
のローディングチャンバ42内は真空排気される。
【0302】シャッタ装置46が出入り口435を閉じ
ると、第2のローディングチャンバ内は再度真空排気さ
れ、第1のローディングチャンバ内よりも高真空度で真
空にされる。その間に、第2の搬送ユニット61のアー
ムはワーキングチャンバ31内のステージ装置50の方
向に向いて伸長できる位置に回転される。一方ワーキン
グチャンバ31内のステージ装置では、Yテーブル52
が、Xテーブル53の中心線X0−X0が第2の搬送ユニ
ット63の回動軸線O2−O2を通るX軸線X1−X1とほ
ぼ一致する位置まで、図15で上方に移動し、また、X
テーブル53は図15で最も左側の位置に接近する位置
まで移動し、この状態で待機している。第2のローディ
ングチャンバがワーキングチャンバの真空状態と略同じ
になると、シャッタ装置45の扉452が動いて出入り
口437、325を開き、アームが伸びてウェーハを保
持したアームの先端がワーキングチャンバ31内のステ
ージ装置に接近する。そしてステージ装置50の載置面
551上にウェーハを載置する。ウェーハの載置が完了
するとアームが縮み、シャッタ装置45が出入り口43
7、325を閉じる。
【0303】以上は、カセットc内のウェーハをステー
ジ装置上に搬送するまでの動作に付いて説明したが、ス
テージ装置に載せられて処理が完了したウェーハをステ
ージ装置からカセットc内に戻すには前述と逆の動作を
行って戻す。また、ウェーハラック47に複数のウェー
ハを載置しておくため、第2の搬送ユニットでウェーハ
ラックとステージ装置との間でウェーハの搬送を行う間
に、第1の搬送ユニットでカセットとウェーハラックと
の間でウェーハの搬送を行うことができ、検査処理を効
率良く行うことができる。
【0304】具体的には、第2の搬送ユニットのウェー
ハラック47に、既に処理済みのウェーハAと、未処理
のウェーハBとがある場合、以下の手順に従う。 先
ず、ステージ装置50に未処理のウェーハBを移動し、
処理を開始する。 この処理中に、処理済みウェーハ
Aを、アームによりステージ装置50からウェーハラッ
ク4に移動し、未処理のウェーハCを同じくアームによ
りウェーハラックから抜き出し、プリアライナで位置決
めした後、ローディングチャンバー41のウェーハラッ
ク47に移動する。このようにすることにより、ウェー
ハラック47の中には、ウェーハBを処理中に、処理済
みのウェーハAを未処理のウェーハCに置き換えること
ができる。
【0305】また、検査及び評価を行う、当該装置の利
用の仕方によっては、ステージ装置50を複数台並列に
置き、夫々の装置に一つのウェーハラック47からウェ
ーハを移動することにより、複数枚のウェーハを同じく
処理することもできる。
【0306】図19及び図20において、主ハウジング
の支持方法の変形例が示されている。図19に示された
変形例では、ハウジング支持装置33aを厚肉で矩形の
鋼板331aで構成し、その鋼板の上にハウジング本体
32aが載せられている。したがって、ハウジング本体
32aの底壁321aは、前記実施の形態の底壁に比較
して薄い構造になっている。図20に示された変形例で
は、ハウジング支持装置33bのフレーム構造体336
bによりハウジング本体32b及びローダハウジング4
0bを吊り下げて状態で支持するようになっている。フ
レーム構造体336bに固定された複数の縦フレーム3
37bの下端は、ハウジング本体32bの底壁321b
の四隅に固定され、その底壁により周壁及び頂壁を支持
するようになっている。そして防振装置37bは、フレ
ーム構造体336bと台フレーム36bとの間に配置さ
れている。また、ローダハウジング40もフレーム構造
体336に固定された吊り下げ部材49bによって吊り
下げられている。ハウジング本体32bのこの図20に
示された変形例では、吊り下げ式に支えるので主ハウジ
ング及びその中に設けられた各種機器全体の低重心化が
可能である。上記変形例を含めた主ハウジング及びロー
ダハウジングの支持方法では主ハウジング及びローダハ
ウジングに床からの振動が伝わらないようになってい
る。
【0307】図示しない別の変形例では、主ハウジング
のハウジング本外のみがハウジング支持装置によって下
から支えられ、ローダハウジングは隣接するミニエンバ
イロメント装置と同じ方法で床上に配置され得る。ま
た、図示しない更に別の変形例では、主ハウジングのハ
ウジング本体のみがフレーム構造体に吊り下げ式で支持
され、ローダハウジングは隣接するミニエンバイロメン
ト装置と同じ方法で床上に配置され得る。
【0308】電子光学装置70は、図1に示す写像投影
型の電子線装置を用いることができる。代替例として、
図21に示す別の写像投影型の電子線装置を用いてもよ
い。同図で略示された写像投影型電子線装置は、ハウジ
ング本体32に固定された鏡筒71を備え、その中に
は、一次電子光学系(以下単に一次光学系)72と、二
次電子光学系(以下単に二次光学系)74とを備える電
子光学系と、検出系76とが設けられている。一次光学
系72は、電子線を検査対象であるウェーハWの表面に
照射する光学系で、電子線を放出する電子銃721と、
電子銃721から放出された一次電子線を集束する静電
レンズからなるレンズ系722と、ウイーンフィルタす
なわちE×B分離器723と、対物レンズ系724と、
を備え、それらは、図21に示されるように電子銃72
1を最上部にして順に配置されている。この実施の形態
の対物レンズ系724を構成するレンズは減速電界型対
物レンズである。この実施の形態では、電子銃721か
ら放出される一次電子線の光軸は、検査対象であるウェ
ーハWに照射される照射光軸(ウェーハの表面に垂直に
なっている)に関して斜めになっている。対物レンズ系
724と検査対象であるウェーハWとの間には電極72
5が配置されている。この電極725は一次電子線の照
射光軸に関して軸対称の形状になっていて、電源726
によって電圧制御されるようになっている。
【0309】二次光学系74は、E×B型偏向器724
により一次光学系から分離された二次電子を通す静電レ
ンズから成るレンズ系741を備えている。このレンズ
系741は二次電子像を拡大する拡大レンズとして機能
する。
【0310】検出系76は、レンズ系741の結像面に
配置された検出器761及び画像処理部763を備えて
いる。
【0311】次に、上記構成の電子光学装置70の動作
に付いて説明する。
【0312】電子銃721から放出された一次電子線
は、レンズ系722によって集束される。収束された一
次電子線はE×B型偏向器723に入射され、ウェーハ
Wの表面に垂直に照射されるように偏向され、対物レン
ズ系724によってウェーハWの表面上に結像される。
【0313】一次電子線の照射によってウェーハから放
出された二次電子は、対物レンズ系724によって加速
され、E×B型偏向器723に入射し、その偏向器を直
進して二次光学系のレンズ系741により検出器761
に導かれる。そして、その検出器761によって検出さ
れ、その検出信号が画像処理部763に送られる。
【0314】画像処理部763は、送られてきた検出信
号から画像信号を取得したのち、この画像信号を第1実
施の形態に記載した欠陥検査の第1の検査ないし第4の
検査のうち少なくとも1の検査により検査する。なお、
必要に応じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0315】なお、この実施の形態において、対物レン
ズ系724は、10ないし20kVの高電圧が印加さ
れ、ウェーハは設置されているものとする。
【0316】ここで、ウェーハWにビアbがある場合
に、電極725に与える電圧を−200Vとすると、ウ
ェーハの電子線照射面の電界は、0〜−0.1V/mm
(−はウェーハW側が高電位であることを示す)となっ
た。この状態で、対物レンズ系724とウェーハWとの
間に放電は発生せずに、ウェーハWの欠陥検査は行えた
が、二次電子の検出効率が若干下がってしまう。したが
って、電子線を照射し二次電子を検出する一連の動作
を、例えば4回行い、得られた4回分の検出結果を累積
加算や平均化等の処理を施して所定の検出感度を得た。
【0317】また、ウェーハにビアbがない場合に、電
極725に与える電圧を+350Vとしても、対物レン
ズ系724とウェーハとの間に放電は発生せずに、ウェ
ーハWの欠陥検査は行えた。この場合、電極725に与
えた電圧によって二次電子が集束され、対物レンズ72
4によっても更に集束されるので、検出器761におけ
る二次電子の検出効率は向上した。よって、ウェーハ欠
陥装置としての処理も高速となり、高いスループットで
検査が行えた。
【0318】プレチャージユニット81は、図14に示
されるように、ワーキングチャンバ31内で電子光学装
置70の鏡筒71に隣接して配設されている。本検査装
置では検査対象である基板すなわちウェーハに電子線を
走査して照射することによりウェーハ表面に形成された
デバイスパターン等を検査する形式の装置であるから、
電子線の照射により生じる二次電子等の情報をウェーハ
表面の情報とするが、ウェーハ材料、照射電子のエネル
ギ等の条件によってウェーハ表面が帯電(チャージアッ
プ)することがある。更に、ウェーハ表面でも強く帯電
する箇所、弱い帯電箇所が生じる可能性がある。ウェー
ハ表面の帯電量にむらがあると二次電子情報もむらを生
じ、正確な情報を得ることができない。そこで、本実施
の形態では、このむらを防止するために、荷電粒子照射
部811を有するプレチャージユニット81が設けられ
ている。検査するウェーハの所定の箇所に検査電子を照
射する前に、帯電むらをなくすためにこのプレチャージ
ユニットの荷電粒子照射部811から荷電粒子を照射し
て帯電のむらを無くす。このウェーハ表面のチャージア
ップは予め検出対称であるウェーハ面の画像を形成し、
その画像を評価することで検出し、その検出に基づいて
プレチャージユニット81を動作させる。
【0319】また、このプレチャージユニットでは一次
電子線をぼかして照射してもよい。
【0320】図22において、電位印加機構83は、ウ
ェーハから放出される二次電子情報(二次電子発生率)
が、ウェーハの電位に依存すると言う事実に基づいて、
ウェーハを載置するステージの設置台に±数Vの電位を
印加することにより二次電子の発生を制御するものであ
る。また、この電位印加機構は、照射電子が当初有して
いるエネルギーを減速し、ウェーハに100〜500e
V程度の照射電子エネルギーとするための用途も果た
す。
【0321】電位印加機構83は、図22に示されるよ
うに、ステージ装置50の載置面541と電気的に接続
された電圧印加装置831と、チャージアップ調査及び
電圧決定システム(以下調査及び決定システム)832
とを備えている。調査及び決定システム832は、電子
光学装置70の検出系76の画像形成部763に電気的
に接続されたモニター833と、モニター833に接続
されたオペレータコンソール834と、オペレータコン
ソール834に接続されたCPU835とを備えてい
る。CPU835は、前記電圧印加装置831に信号を
供給するようになっている。
【0322】上記電位印加機構は、検査対象であるウェ
ーハが帯電し難い電位を探し、その電位を印加するよう
に設計されている。
【0323】図23において、電子ビームキャリブレー
ション機構85は、前記回転テーブル上でウェーハの載
置面541の側部の複数箇所に設置された、ビーム電流
測定用のそれぞれ複数のファラデーカップ851及び8
52を備えている。ファラデーカップ851は細いビー
ム用(約φ2μm)で、ファラデーカップ852太いビ
ーム用(約φ30μm)である。細いビーム用のファラ
デーカップ851では回転テーブルをステップ送りする
ことで、ビームプロフィルを測定し。太いビーム用のフ
ァラデーカップ852ではビームの総電流量を計測す
る。ファラデーカップ851及び852は、上表面が載
置面541上に載せられたウェーハWの上表面と同じレ
ベルになるように配置されている。このようにして電子
銃から放出される一次電子線を常時監視する。これは、
電子銃が常時一定の電子線を放出できるわけでなく、使
用しているうちにその放出量が変化するためである。
【0324】図24に示すアライメント制御装置87
は、ステージ装置50を用いてウェーハWを電子光学装
置70に対して位置決めさせる装置であって、ウェーハ
を光学顕微鏡871を用いた広視野観察による概略合わ
せ(電子光学系によるよりも倍率が低い測定)、電子光
学装置70の電子光学系を用いた高倍率合わせ、焦点調
整、検査領域設定、パターンアライメント等の制御を行
うようになっている。このように光学系を用いて低倍率
でウェーハを検査するのは、ウェーハのパターンの検査
を自動的に行うためには、電子線を用いた狭視野でウェ
ーハのパターンを観察してウェーハライメントを行う時
に、電子線によりアライメントマークを容易に検出する
必要があるからである。
【0325】光学顕微鏡871は、ハウジングに設けら
れ(ハウジング内で移動可能な設けられていてもよい)
ており、光学顕微鏡を動作させるための光源も図示しな
いがハウジング内に設けられている。また高倍率の観察
を行う電子光学系は電子光学装置70の電子光学系(一
次光学系72及び二次光学系74)を共用するものであ
る。その構成を概略図示すれば、図24に示されるよう
になる。ウェーハ上の被観察点を低倍率で観察するに
は、ステージ装置50のXステージ53をX方向に動か
すことによってウェーハの被観察点を光学顕微鏡の視野
内に移動させる。光学顕微鏡871で広視野でウェーハ
を視認してそのウェーハ上の観察すべき位置をCCD8
72を介してモニタ873に表示させ、観察位置をおお
よそ決定する。この場合光学顕微鏡の倍率を低倍率から
高倍率に変化させていってもよい。
【0326】次に、ステージ装置50を電子光学装置7
0の光軸と光学顕微鏡871の光軸との間隔δxに相当
する距離だけ移動させて光学顕微鏡で予め決めたウェー
ハ上の被観察点を電子光学装置の視野位置に移動させ
る。この場合、電子光学装置の軸線O3−O3と光学顕微
鏡871の光軸O4−O4との間の距離(この実施の形態
ではX軸線に沿った方向にのみ両者は位置ずれしている
ものとするが、Y軸方向及びY軸方向に位置ずれしてい
てもよい)δxは予めわかっているのでその値δxだけ
移動させれば被観察点を視認位置に移動させることがで
きる。電子光学装置の視認位置への被観察点の移動が完
了した後、電子光学系により高倍率で被観察点をSEM
撮像して画像を記憶したり又はCCD761を介してモ
ニタ765に表示させる。
【0327】このようにして電子光学系による高倍率で
ウェーハの観察点をモニタに表示させた後、公知の方法
によりステージ装置50の回転テーブル54の回転中心
に関するウェーハの回転方向の位置ずれすなわち電子光
学系の光軸O3−O3に対するウェーハの回転方向のずれ
δθを検出し、また電子光学装置に関する所定のパター
のX軸及びY軸方向の位置ずれを検出する。そしてその
検出値並びに別途得られたウェーハに設けられた検査マ
ークのデータ或いはウェーハのパターンの形状等に関す
るデータに基づいてステージ装置50の動作を制御して
ウェーハのアライメントを行う。
【0328】第5の実施の形態によれば、次のような効
果を奏することが可能である。 (イ)電子線を用いた写像投影方式の検査装置の全体構
成が得られ、高いスループットで検査対象を処理するこ
とができる。 (ロ)ミニエンバイロメント空間内で検査対象に清浄気
体を流して塵埃の付着を防止すると共に清浄度を観察す
るセンサを設けることによりその空間内の塵埃を監視し
ながら検査対象の検査を行うことができる。 (ハ)ローディングチャンバ及びワーキングチャンバを
一体的に振動防止装置を介して支持したので外部の環境
に影響されずにステージ装置への検査対象の供給及び検
査を行うことができる。 (ニ)プレチャージユニットを設けているので、絶縁物
でできたウェーハも帯電による影響を受けがたい。
【0329】(第6の実施の形態)第6の実施の形態
は、ステージ上の基板に電子線を照射し、基板から出る
2次電子を検出して、2次電子画像を取り込む装置で
の、上記ステージの改善に関する。本実施の形態を説明
する前に従来のステージを説明する。
【0330】半導体ウェーハ等の試料表面等に電子ビー
ム等の荷電ビームを照射することによって、その試料表
面上を半導体回路等のパターンで露光し若しくは試料表
面上に形成されたパターンを検査する装置、或いは荷電
ビームを照射することによって試料に対して超精密加工
を施す装置においては、試料を真空中で精度良く位置決
めするステージが使用されている。
【0331】かかるステージに対して非常に高精度な位
置決めが要求される場合には、ステージを静圧軸受けに
よって非接触支持する構造が採用されている。この場
合、静圧軸受けから供給される高圧ガスが直接真空チャ
ンバに排気されないように、高圧ガスを排気する差動排
気機構を静圧軸受けの範囲に形成することによって、真
空チャンバの真空度を維持している。
【0332】かかる従来技術によるステージの一例が図
26に示されている。同図の構造において、真空チャン
バCを構成するハウジング8−7に、荷電ビームを発生
し試料に照射する荷電ビーム装置の鏡筒1の先端部すな
わち荷電ビーム照射部2−7が取り付けられている。鏡
筒内部は真空配管10−7によって真空排気されてお
り、チャンバCは真空配管11−7によって真空排気さ
れている。そして、荷電ビームは鏡筒1−7の先端部2
−7から、その下に置かれたウェーハ等の試料Sに対し
て照射される。
【0333】試料Sは試料台4−7に公知の方法により
取り外し可能に保持されており、試料台4−7はXYス
テージ(以下単にステージ)3−7のY方向可動部5−
7の上面に取り付けられている。上記Y方向可動部5−
7には、ステージ3−7のX方向可動部6−7のガイド
面6a−7と向かい合う面(図26[A]において左右
両面及び下面)に静圧軸受け9−7が複数取り付けられ
ており、この静圧軸受け9−7の作用によりガイド面と
の間に微小隙間を維持しながらY方向(図26[B]で
左右方向)に移動できる。さらに静圧軸受けの周りに
は、静圧軸受けに供給される高圧ガスが真空チャンバC
の内部にリークしないように差動排気機構が設けられて
いる。この様子を図27に示す。静圧軸受け9−7の周
囲に二重に溝18−7と17−7が構成されており、こ
れらの溝は図示されていない真空配管と真空ポンプによ
り常時真空排気されている。このような構造により、Y
方向可動部5−7は真空中を非接触状態で支持されY方
向に自在に移動することができるようになっている。こ
れらの二重の溝18−7と17−7は可動部5−7の静
圧軸受け9−7が設けられている面にその静圧軸受けを
囲むようにして形成されている。なお、静圧軸受けの構
造は公知のもので良いので、その詳細な説明は省略す
る。
【0334】このY方向可動部5−7を搭載しているX
方向可動部6−7は、図26からも明らかなように、上
方に開口している凹形の形状を有していて、そのX方向
可動部6−7にもまったく同様の静圧軸受け及び溝が設
けられていて、ステージ台7−7に対して非接触で支持
されており、X方向に自在に移動することができる。
【0335】これらのY方向可動部5−7とX方向可動
部6−7の移動を組み合わせることによって、試料Sを
鏡筒の先端部すなわち荷電ビーム照射部2−7に関して
水平方向任意の位置に移動させ、試料の所望の位置に荷
電ビームを照射することができる。
【0336】上記の静圧軸受けと差動排気機構を組み合
わせたステージでは、ステージが移動する際に、静圧軸
受け9−7に対向するガイド面6a−7や7a−7は、
静圧軸受け部の高圧ガス雰囲気とチャンバ内の真空環境
の間を往復運動する。この時ガイド面では、高圧ガス雰
囲気に曝されている間にガスが吸着し、真空環境に露出
されると吸着していたガスが放出されるという状態が繰
り返される。このためステージが移動する度に、チャン
バC内の真空度が悪化するという現象が起こり、上述し
た荷電ビームによる露光や検査や加工等の処理が安定に
行えなかった、試料が汚染されてしまうという問題があ
った。
【0337】以下図面を参照して、上記問題を解決する
ためなされた本発明の第6の実施の形態に係る電子線装
置の実施の形態を説明する。なお、図26の従来例及び
複数の実施の形態において共通する構成部材を示す参照
番号は同じになっている。
【0338】図28において、第6の実施の形態の第1
の実施態様が示されている。
【0339】ステージ3のY方向可動部5−7の上面に
は+Y方向と−Y方向(図28[B]で左右方向)に大
きくほぼ水平に張り出した仕切り板14−7が取り付け
られ、X方向可動部6−7の上面との間に常にコンダク
タンスが小さい絞り部50−7が構成されるようになっ
ている。また、X方向可動部6−7の上面にも同様の仕
切り板12−7が±X方向(図28[A]で左右方向)
に張り出すように構成されており、ステージ台7−7の
上面との間に常に絞り部51−7が形成されるようにな
っている。ステージ台7−7は、ハウジング8−7内に
おいて底壁の上に公知の方法で固定されている。
【0340】このため、試料台4−7がどの位置に移動
しても常に絞り部50−7と51−7が形成されるの
で、可動部5−7及び6−7の移動時にガイド面6a−
7や7a−7からガスが放出されても、絞り部50−7
と51−7によって放出ガスの移動が妨げられるため、
荷電ビームが照射される試料近傍の空間24−7の圧力
上昇を非常に小さく押さえることができる。
【0341】ステージの可動部3−7の側面及び下面並
びに可動部6−7の下面には、静圧軸受け9−7の周囲
に、図27に示されるような差動排気用の溝が形成され
ていてこの溝によって真空排気されるため、絞り部50
−7、51−7が形成されている場合は、ガイド面から
の放出ガスはこれらの差動排気部によって主に排気され
ることになる。このため、ステージ内部の空間13−7
や15−7の圧力は、チャンバC内の圧力よりも高い状
態になっている。したがって、空間13−7や15−7
を、差動排気溝17−7や18−7で排気するだけでな
く、真空排気する箇所を別に設ければ空間13−7や1
5−7の圧力を下げることができ、試料近傍24−7の
圧力上昇を更に小さくすることができる。このための真
空排気通路11−1−7と11−2−7とが設けられて
いる。排気通路はステージ台7−7及びハウジング8−
7を貫通してハウジング8−7の外部に通じている。ま
た、排気通路11−2−7はX方向可動部6−7に形成
されX方向可動部6−7の下面に開口している。
【0342】また、仕切り板12−7及び14−7を設
置すると、チャンバCと仕切り板が干渉しないようにチ
ャンバを大きくする必要が生じるが、仕切り板を伸縮可
能な材料や構造にすることによってこの点を改善するこ
とが可能である。この実施の形態としては、仕切り板を
ゴムで構成したり蛇腹状にして、その移動方向の端部
を、仕切り板14−7の場合はX方向可動部6−7に、
仕切り板12−7の場合はハウジング8−7の内壁にそ
れぞれ固定する構成とすることが考えられる。
【0343】図29において、第2の実施態様が示され
ている。
【0344】この実施態様では、鏡筒の先端部すなわち
荷電ビーム照射部2の周囲に、試料Sの上面との間に絞
り部ができるように円筒状の仕切り16−7が構成され
ている。このような構成では、XYステージからガスが
放出されてチャンバC内の圧力が上昇しても、仕切りの
内部24−7は仕切り16−7で仕切られており真空配
管10−7で排気されているので、チャンバC内と仕切
りの内部24−7との間に圧力差が生じ、仕切り内部の
空間24−7の圧力上昇を低く抑えられる。仕切り16
−7と試料面との隙間は、チャンバC内と照射部2−7
周辺の圧力をどの程度に維持するかによって変わるが、
凡そ数十μmないし数mm程度が適当である。なお、仕
切り16−7内と真空配管とは公知の方法により連通さ
れている。
【0345】また、荷電ビーム照射装置では、試料Sに
数kV程度の高電圧を印加することがあり、導電性の材
料を試料の近傍に設置すると放電を起こす恐れがある。
この場合には、仕切り16−7の材質をセラミックス等
の絶縁物で構成すれば、試料Sと仕切り16−7との間
で放電を起こすことがなくなる。
【0346】なお、試料S(ウェーハ)の周囲に配置し
たリング部材4−1−7は試料台4−7に固定された板
状の調整部品であり、ウェーハのような試料の端部に荷
電ビームを照射する場合であっても、仕切り16−7の
先端部全周に亘って微小隙間52−7が形成されるよう
に、ウェーハと同一の高さに設定されている。これによ
って、試料Sのどの位置に荷電ビームが照射しても、仕
切り16−7の先端部には常に一定の微小隙間52−7
が形成され、鏡筒先端部周囲の空間24−7の圧力を安
定に保つことができる。
【0347】図30において、更に別の第3の実施態様
が示されている。
【0348】鏡筒1−7の荷電ビーム照射部2−7の周
囲に差動排気構造を内蔵した仕切り19−7が設けられ
ている。仕切り19−7は円筒状の形状をしており、そ
の内部に円周溝20−7が形成され、その円周溝からは
上方に排気通路21−7が延びている。その排気通路は
内部空間22−7を経由して真空配管23−7に繋がれ
ている。仕切り19−7の下端は試料Sの上面との間に
数十μmないし数mm程度の微小隙間を形成している。
【0349】このような構成では、ステージの移動に伴
ってステージからガスが放出されてチャンバC内の圧力
が上昇し先端部すなわち荷電ビーム照射部2−7にガス
が流入しようとしても、仕切り19−7が試料Sとの隙
間を絞ってコンダクタンスを非常に小さくしているため
ガスは流入を邪魔され流入量は減少する。更に、流入し
たガスは、円周溝20−7から真空配管23−7へ排気
されるため、荷電ビーム照射部2−7の周囲の空間24
−7へ流入するガスはほとんどなくなり、荷電ビーム照
射部2−7の圧力を所望の高真空のまま維持することが
できる。
【0350】図31において、更に別の第4の実施態様
が示されている。
【0351】チャンバCと荷電ビーム照射部2−7の周
囲には仕切り26−7が設けられ、荷電ビーム照射部2
−7をチャンバCから隔てている。この仕切り26−7
は、銅やアルミニュウム等の熱伝導性の良い材料からな
る支持部材29−7を介して冷凍機30−7に連結され
ており、−100℃ないし−200℃程度に冷却されて
いる。部材27−7は冷却されている仕切り26−7と
鏡筒の間の熱伝導を阻害するためのものであり、セラミ
ックスや樹脂材等の熱伝導性の悪い材料から成ってい
る。また、部材28−7はセラミックス等の非絶縁体か
ら成り、仕切り26−7の下端に形成され試料Sと仕切
り26−7が放電することを防ぐ役割を持っている。
【0352】このような構成により、チャンバC内から
荷電ビーム照射部に流入しようとするガス分子は、仕切
り26−7で流入を阻害される上、流入しても仕切り2
6−7の表面に凍結捕集されてしまうため、荷電ビーム
照射部24−7の圧力を低く保つことができる。
【0353】なお、冷凍機としては、液体窒素による冷
却や、He冷凍機、パルスチューブ式冷凍機等の様様な
冷凍機が使用できる。
【0354】図32において、更に別の第5の実施態様
が示されている。
【0355】ステージ3−7の両可動部には、図28に
示したのと同様に仕切り板12−7、14−7が設けら
れており、試料台4−7が任意の位置に移動しても、こ
れらの仕切りによってステージ内の空間13−7とチャ
ンバC内とが絞り50−7、51−7を介して仕切られ
る。更に、荷電ビーム照射部2−7の周りには図29に
示したのと同様の仕切り16−7が形成されており、チ
ャンバC内と荷電ビーム照射部2−7のある空間24−
7が絞り52−7を介して仕切られている。このため、
ステージ移動時、ステージに吸着しているガスが空間1
3−7に放出されてこの部分の圧力を上昇させても、チ
ャンバCの圧力上昇は低く抑えられ、空間24−7の圧
力上昇は更に低く抑えられる。これにより、荷電ビーム
照射空間24−7の圧力を低い状態に保つことができ
る。また、仕切り16−7に示したように差動排気機構
を内蔵した仕切り19−7としたり、図30に示したよ
うに冷凍機で冷却された仕切り26−7とすることによ
って、空間24−7を更に低い圧力で安定に維持するこ
とができるようになる。
【0356】鏡筒1−7内に設けられる電子線装置は、
必要に応じて任意の光学系、検出器を使用できる。例え
ば、図1等に示す写像投影型、図38等に示す走査型の
いずれも適用可能である。即ち、基板に1次電子線を照
射し、基板から発生する2次電子を検出し、2次電子画
像を取りこみ、欠陥検査を行える。
【0357】この欠陥検査は、取込んだ2次電子画像を
第1実施の形態に記載した欠陥検査の第1の検査ないし
第4の検査のうち少なくとも1の検査により行う。な
お、必要に応じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0358】(第7の実施の形態)第7の実施の形態
は、ステージに固定された基板に1次電子線を照射し、
基板から発生する2次電子を検出し、2次電子画像を取
りこみ、欠陥検査を行う装置で、上記ステージの改善に
関する。本実施の形態を説明する前に従来のステージを
説明する。
【0359】第6の実施の形態と同様の従来技術による
ステージの一例が図33に示されている。同図の構造に
おいて、真空チャンバCを構成するハウジング14′−
8に、荷電ビームを発生し試料に照射する荷電ビーム装
置の鏡筒1の先端部すなわち荷電ビーム照射部2−8が
取り付けられている。鏡筒内部は真空配管18−8によ
って真空排気されており、チャンバCは真空配管19′
−8によって真空排気されている。そして、荷電ビーム
は鏡筒1−8の先端部2−8から、その下に置かれたウ
ェーハ等の試料Sに対して照射される。
【0360】試料Sは試料台tに公知の方法により取り
外し可能に保持されており、試料台tはXYステージ
(以下単にステージ)3′−8のY方向可動部4′−8
の上面に取り付けられている。上記Y方向可動部4′−
8には、ステージ3−8のX方向可動部5′−8のガイ
ド面5a′−8と向かい合う面(図33[A]において
左右両面及び下面)に静圧軸受け9′−8が複数取り付
けられており、この静圧軸受け9′−8の作用によりガ
イド面との間に微小隙間を維持しながらY方向(図33
[B]で左右方向)に移動できる。さらに静圧軸受けの
周りには、静圧軸受けに供給される高圧ガスが真空チャ
ンバCの内部にリークしないように差動排気機構が設け
られている。この様子を図34に示す。静圧軸受け9−
8の周囲に二重に溝g1とg2が構成されており、これ
らの溝は図示されていない真空配管と真空ポンプにより
常時真空排気されている。このような構造により、Y方
向可動部4′−8は真空中を非接触状態で支持されY方
向に自在に移動することができるようになっている。こ
れらの二重の溝g1とg2は可動部4′−8の静圧軸受
け9′−8が設けられている面にその静圧軸受けを囲む
ようにして形成されている。なお、静圧軸受けの構造は
公知のもので良いので、その詳細な説明は省略する。
【0361】このY方向可動部4′−8を搭載している
X方向可動部5′−8は、図33からも明らかなよう
に、上方に開口している凹形の形状を有していて、その
X方向可動部5′−8にもまったく同様の静圧軸受け及
び溝が設けられていて、ステージ台6′−8に対して非
接触で支持されており、X方向に自在に移動することが
できる。
【0362】これらのY方向可動部4′−8とX方向可
動部5′−8の移動を組み合わせることによって、試料
Sを鏡筒の先端部すなわち荷電ビーム照射部2−8に関
して水平方向任意の位置に移動させ、試料の所望の位置
に荷電ビームを照射することができる。
【0363】上記の静圧軸受けと差動排気機構を組み合
わせたステージでは、差動排気機構を設けたため、大気
中で使用される静圧軸受け式ステージに比べて構造が複
雑で大型になり、ステージとしての信頼性が低く、高コ
ストになるという問題があった。
【0364】以下図面を参照して、上記問題を解決する
ためなされた本発明の第7の実施の形態に係る電子線装
置の実施形態を説明する。なお、図33の従来例及び実
施形態において共通する構成部材を示す参照番号は同じ
になっている。なお、この明細書中で「真空」とは当該
技術分野において呼ばれる真空であって、必ずしも絶対
真空を指すものではない。
【0365】図35において、第7の実施の形態の第1
の実施態様が示されている。
【0366】荷電ビームを試料に向かって照射する鏡筒
1−8の先端部すなわち荷電ビーム照射部2−8が真空
チャンバCを画成するハウジング14−8に取り付けら
れている。鏡筒1−8の直下には、XYステージ3−8
のX方向(図35において左右方向)の可動テーブル上
に載置されている試料Sが配置されるようになってい
る。この試料Sは高精度なXYステージ3−8によっ
て、その試料面上の任意の位置に対して正確に荷電ビー
ムを照射させることができる。
【0367】XYステージ3の台座6−8はハウジング
14−8の底壁に固定され、Y方向(図35において紙
面に垂直の方向)に移動するYテーブル5が台座6−8
の上に載っている。Yテーブル5−8の両側面(図35
において左右側面)には、台座6−8に載置された一対
のY方向ガイド7a−8及び7b−8のYテーブルに面
した側に形成された凹溝内に突出する突部が形成されて
いる。その凹溝はY方向ガイドのほぼ全長に亘ってY方
向に伸びている。凹溝内に突出する突部の上、下面及び
側面には公知の構造の静圧軸受け11a−8、9a−
8、11b−8、9b−8、がそれぞれ設けられ、これ
らの静圧軸受けを介して高圧ガスを吹き出すことによ
り、Yテーブル5はY方向ガイド7a−8、7b−8に
対して非接触で支持され、Y方向に円滑に往復運動でき
るようになっている。また、台座6−8とYテーブル5
−8との間には、公知の構造のリニアモータ12−8が
配置されており、Y方向の駆動をそのリニアモータで行
うようになっている。Yテーブルには、高圧ガス供給用
のフレキシブル配管22−8によって高圧ガスが供給さ
れ、Yテーブル内に形成されたガス通路(図示せず)を
通じて上記静圧軸受け9a−8ないし11a−8及び9
b−8ないし11b−8に対して高圧ガスが供給され
る。静圧軸受けに供給された高圧ガスは、Y方向ガイド
の対向する案内面との間に形成された数ミクロンから数
十ミクロンの隙間に噴出してYテーブルを案内面に対し
てX方向とZ方向(図35において上下方向)に正確に
位置決めする役割を果たす。
【0368】Yテーブル上にはXテーブル4−8がX方
向(図35において左右方向)に移動可能に載置されて
いる。Yテーブル5−8上にはYテーブル用のY方向ガ
イド7a−8、7b−8と同じ構造の一対のX方向ガイ
ド8a−8、8b−8(8a−8のみ図示)がXテーブ
ル4−8を間に挟んで設けられている。X方向ガイドの
Xテーブルに面した側にも凹溝が形成され、Xテーブル
の側部(X方向ガイドに面した側部)には凹溝内に突出
する突部が形成されている。その凹溝はX方向ガイドの
ほぼ全長に亘って伸びている。凹溝内に突出するX方向
テーブル4−8の突部の上、下面及び側面には前記静圧
軸受け11a−8、9a−8、10a−8、11b−
8、9b−8、10b−8と同様の静圧軸受け(図示せ
ず)が同様の配置で設けられている。Yテーブル5−8
とXテーブル4−8との間には、公知の構造のリニアモ
ータ13−8が配置されており、XテーブルのX方向の
駆動をそのリニアモータで行うようにしている。そし
て、Xテーブル4−8にはフレキシブル配管21−8に
よって高圧ガスが供給され、静圧軸受けに高圧ガスを供
給するようになっている。この高圧ガスが静圧軸受けか
らX方向ガイドの案内面に対して噴出されることによっ
て、Xテーブル4−8がY方向ガイドに対して高精度に
非接触で支持されている。真空チャンバCは公知の構造
の真空ポンプ等に接続された真空配管19−8、20a
−8、20b−8によって排気されている。配管20a
−8、20b−8の入口側(真空チャンバ内側)は台座
6−8を貫通してその上面において、XYステージ3−
8から高圧ガスが排出される位置の近くで開口してお
り、真空チャンバ内の圧力が静圧軸受けから噴出される
高圧ガスにより上昇するのを極力防止している。
【0369】鏡筒1−8の先端部すなわち荷電ビーム照
射部2−8の周囲には、差動排気機構25−8が設けら
れ、真空チャンバC内の圧力が高くても荷電ビーム照射
空間30−8の圧力が十分低くなるようにしてある。す
なわち、荷電ビーム照射部2−8周囲に取り付けられた
差動排気機構25−8の環状部材26−8は、その下面
(試料S側の面)と試料との間で微少隙間(数ミクロン
から数百ミクロン)40−8が形成されるように、ハウ
ジング14−8に対して位置決めされており、その下面
には環状溝27−8が形成されている。環状溝27−8
は排気管28−8により図示しない真空ポンプ等に接続
されている。したがって、微少隙間40−8は環状溝2
7−8及び排気口28−8を介して排気され、真空チャ
ンバCから環状部材26−8によって囲まれた空間30
−8内にガス分子が侵入しようとしても、排気されてし
まう。これにより、荷電ビーム照射空間30−8内の圧
力を低く保つことができ、荷電ビームを問題なく照射す
ることができる。
【0370】この環状溝は、チャンバ内の圧力、荷電ビ
ーム照射空間30−8内の圧力によっては、二重構造或
いは三重構造にしてもよい。
【0371】静圧軸受けに供給する高圧ガスは、一般に
ドライ窒素が使用される。しかしながら、可能ならば、
更に高純度の不活性ガスにすることが好ましい。これ
は、水分や油分等の不純物がガス中に含まれると、これ
らの不純物分子が真空チャンバを画成するハウジングの
内面やステージ構成部品の表面に付着して真空度を悪化
させたり、試料表面に付着して荷電ビーム照射空間の真
空度を悪化させてしまうからである。
【0372】なお、以上の説明において、試料Sは通常
Xテーブル上に直接載置されるのでなく、試料を取り外
し可能に保持したりXYステージ3−8に対して微少な
位置変更を行うなどの機能を持たせた試料台の上に載置
されているが、試料台の有無及びその構造は本願発明の
要旨には関係ないので、説明を簡素化するために省略さ
れている。
【0373】以上に説明した荷電ビーム装置では、大気
中で用いられる静圧軸受けのステージ機構をほぼそのま
ま使用できるので、露光装置等で用いられる大気用の高
精度ステージと同等の高精度のXYステージを、ほぼ同
等のコスト及び大きさで荷電ビーム装置用のXYステー
ジに対して実現できる。
【0374】なお、以上説明した静圧ガイドの構造や配
置及びアクチュエータ(リニアモータ)はあくまでも一
実施の形態であり、大気中で使用可能な静圧ガイドやア
クチュエータならば何でも適用できる。
【0375】次に差動排気機構の環状部材26−8及び
それに形成される環状溝の大きさの数値例を図36に示
す。なお、この例では環状溝は27a−8及び27b−
8の二重構造を有しており、それらは半径方向に隔てら
れている。
【0376】静圧軸受けに供給される高圧ガスの流量
は、通常おおよそ20L/min(大気圧換算)程度で
ある。真空チャンバCを、内径50mmで長さ2mの真
空配管を介して20000L/minの排気速度を有す
るドライポンプで排気すると仮定すると、真空チャンバ
内の圧力は、約160Pa(約1.2Torr)とな
る。この時、差動排気機構の環状部材26−8及び環状
溝等の寸法を、図36に示されるようにすれば、荷電ビ
ーム照射空間30−8内の圧力を10-4Pa(10 -6
orr)にすることができる。
【0377】なお、差動排気機構は、荷電ビーム照射空
間30−8内の圧力を所定圧力に維持できるならば、そ
の形状も本実施形態のような同心円状に限らず、矩形や
多角形でもよい。更に、全周ではなく、周囲の一部に設
けられてもよい。
【0378】図37において、第8実施の形態の第2の
態様が示されている。ハウジング14−8によって画成
された真空チャンバCには、真空配管74−8、75−
8を介してドライ真空ポンプ53−8が接続されてい
る。また、差動排気機構25−8の環状溝27−8は排
気口28−8に接続された真空配管70−8を介して超
高真空ポンプであるターボ分子ポンプ51−8が接続さ
れている。更に、鏡筒1−8の内部は、排気口18−8
に接続された真空配管71−8を介して、ターボ分子ポ
ンプ52−8が接続されている。これらのターボ分子ポ
ンプ51−8、52−8は、真空配管72−8、73−
8によってドライ真空ポンプ53−8に接続されてい
る。(本図では、ターボ分子ポンプの粗引きポンプと真
空チャンバの真空排気用ポンプを1台のドライ真空ポン
プで兼用したが、XYステージの静圧軸受けに供給する
高圧ガスの流量、真空チャンバの容積や内表面積、真空
配管の内径や長さに応じて、それらを別系統のドライ真
空ポンプで排気する場合も考えられる。)XYステージ
3−8の静圧軸受けには、フレキシブル配管21−8、
22−8を通して高純度の不活性ガス(N2ガス、Ar
ガス等)が供給される。静圧軸受けから噴出したこれら
のガス分子は真空チャンバ内に拡散し、排気口19−
8、20a−8、20b−8を通してドライ真空ポンプ
53−8によって排気される。また、差動排気機構や荷
電ビーム照射空間に侵入したこれらのガス分子は環状溝
27−8或いは鏡筒1−8の先端部から吸引され、排気
口28−8及び18−8を通ってターボ分子ポンプ51
−8及び52−8によって排気され、ターボ分子ポンプ
から排出された後ドライ真空ポンプ53−8によって排
気される。
【0379】このように、静圧軸受けに供給された高純
度不活性ガスはドライ真空ポンプに集められて排出され
る。
【0380】一方、ドライ真空ポンプ53−8の排気口
は、配管76−8を介して圧縮機54−8に接続され、
圧縮機54−8の排気口は配管77−8、78−8、7
9−8及びレギュレータ61−8、62−8を介してフ
レキシブル配管21−8、22−8に接続されている。
このため、ドライ真空ポンプ53−8から排出された高
純度不活性ガスは、圧縮機54−8によって再び加圧さ
れレギュレータ61−8、62−8で適正な圧力に調整
された後、再びXYテーブルの静圧軸受けに供給され
る。
【0381】なお、静圧軸受けに供給されるガスは上述
したようにできるだけ高純度にし、水分や油分が極力含
まれないようにする必要があるため、ターボ分子ポン
プ、ドライポンプ及び圧縮機は、ガス流路に水分や油分
が混入しないような構造であることが求められる。ま
た、圧縮機の排出側配管77の途中にコールドトラップ
やフィルタ等(60−8)を設け、循環するガス中に混
入した水分や油分等の不純物質をトラップして静圧軸受
けに供給されないようにすることも有効である。
【0382】こうすることによって、高純度不活性ガス
を循環させて再利用できるので、高純度不活性ガスを節
約でき、また、本装置が設置された部屋に不活性ガスを
たれ流さないので、不活性ガスによる窒息等の事故が発
生する恐れもなくすことができる。
【0383】なお、循環配管系には高純度不活性ガス供
給系63−8が接続されており、ガスの循環を始める際
に、真空チャンバCや真空配管70−8〜75−8及び
加圧側配管76−8〜80−8を含む全ての循環系に高
純度不活性ガスを満たす役割と、何らかの原因で循環す
るガスの流量が減少した際に不足分を供給する役割とを
担っている。
【0384】また、ドライ真空ポンプ53−8に大気圧
以上まで圧縮する機能を持たせることによって、ドライ
真空ポンプ53−8と圧縮機54−8を1台のポンプで
兼ねさせることも可能である。
【0385】更に、鏡筒の排気に用いる超高真空ポンプ
には、ターボ分子ポンプの代わりにイオンポンプやゲッ
タポンプ等のポンプを使用することも可能である。ただ
し、これらの溜込み式ポンプを用いた場合は、この部分
には循環配管系を構築することはできないことになる。
また、ドライ真空ポンプの代わりに、ダイヤフラム式ド
ライポンプ等、他方式のドライポンプを使用することも
もちろん可能である。
【0386】鏡筒1−8内に設けられる電子線装置は、
必要に応じて任意の光学系、検出器を使用できる。例え
ば、図1等に示す写像投影型、図38等に示す走査型の
いずれも適用可能である。即ち、基板に1次電子線を照
射し、基板から発生する2次電子を検出し、2次電子画
像を取りこみ、欠陥検査を行える。
【0387】この欠陥検査は、取込んだ2次電子画像を
第1実施の形態に記載した欠陥検査の第1の検査ないし
第4の検査のうち少なくとも1の検査により行う。な
お、必要に応じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0388】第7の実施の形態によれば、適宜、次のよ
うな効果を奏することが可能である。 (イ)大気中で一般に用いられる静圧軸受け式のステー
ジと同様の構造を持ったステージ(差動排気機構を持た
ない静圧軸受け支持のステージ)を使用して、ステージ
上の試料に対して荷電ビームによる処理を安定に行うこ
とができる。 (ロ)荷電ビーム照射領域の真空度に対する影響を最小
限に抑えることが可能になり、荷電ビームによる試料へ
の処理を安定化させることができる。 (ハ)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビ
ームの照射領域の真空度が安定した検査装置を安価に提
供することができる。 (ニ)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビ
ーム照射領域の真空度が安定した露光装置を安価に提供
することができる。 (ホ)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビ
ーム照射領域の真空度が安定した装置によって半導体を
製造することにより、微細な半導体回路を形成できる。
【0389】(第8の実施の形態)図1の欠陥検査シス
テムは、走査型の電子線装置に置き換えることができ
る。そのような走査型電子線装置に関する、本発明の第
8の実施の形態の構成と動作とを、図38を用いて説明
する。同図において、電子銃1−9はウェーネルト31
−9とカソード32−9とを備え、直径が10ミクロン
程度の、クロスオーバーを有する一次電子線を放出す
る。こうして放出された一次電子線は、軸合わせ用偏向
器33−9,34−9を経てコンデンサ・レンズ2−9
を通過し、コンデンサ・レンズ2−9によって集束さ
れ、偏向器12−9およびウィーン・フィルタ8−9を
通過した後、対物レンズ9−9によって縮小されて10
0nm以下のプローブを形成する。そして、ステージS
−9上に載置された試料10−9の表面に形成された、
例えば矩形の複数の回路パターンの一つの上に結像され
る。試料10−9は、偏向器12−9および40−9を
用いて一次電子線による走査が行われる。
【0390】一次電子線による走査の結果、試料10−
9上のパターンから放出された二次電子線は、対物レン
ズ9−9の電界によって引かれて加速され、ウィーン・
フィルタ8−9によって光軸Lから逸れるように偏向さ
れて一次電子線から分離される。こうして二次電子線は
二次電子線検出部41−9によって検出される。二次電
子検出部41−9は、入射した二次電子線の強度を表す
電気信号を出力する。この二次電子検出部41−9から
出力された電気信号は、その対応の増幅器(図示せず)
によって増幅された後、画像処理部42−9に入力され
る。
【0391】図38に示すように、電子銃1−9,軸合
わせ用偏向器33−9,34−9、コンデンサ・レンズ
2−9、偏向器12−9、ウィーン・フィルタ8−9、
対物レンズ9−9および二次電子検出部41−9は、試
料10−9の所与の範囲に対応する径の鏡筒43−9内
に収納されて、一つの電子線走査・検出系44−9が構
成され、一つの電子線走査・検出系44−9によって、
試料10−9上の回路パターンが走査される。実際に
は、試料10−9の表面には複数のダイが形成されてい
る。電子線走査・検出系44−9と同様の構成の電子線
走査・検出系(図示せず)が、鏡筒43−9と並列する
形で、試料10−9上の異なるダイの同じ場所を走査す
るよう配置される。
【0392】電子線走査・検出系44−9について既に
説明したとおり、それぞれの電子線走査・検出系内の二
次電子検出系から出力された電気信号は、画像処理部4
2−9に入射される。そこで、画像処理部42−9は、
それぞれの検出系から入力された電気信号を2値化情報
に変換し、この2値化情報を、電子線走査信号を参照し
て画像データに変換する。これを実現するため、静電偏
向器12−9に与えられた信号波形が画像処理部42−
9に供給される。試料10−9の表面に形成されたダイ
毎に得られた画像データは、適宜の記憶手段に蓄積され
ると共に、基準のダイパターンと比較される。これによ
り、試料10−9の表面上に形成された複数のダイパタ
ーンの一つひとつについて欠陥を検出することができ
る。
【0393】詳細には、この欠陥検査は第1実施の形態
に記載した欠陥検査の第1の検査ないし第4の検査のう
ち少なくとも1の検査により検査される。なお、必要に
応じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0394】なお、図38に示す実施の形態において
は、試料10−9上の或るダイパターンを表す画像デー
タとの比較のために画像処理部42−9が使用する基準
の回路パターンとしては、種々のものを使用することが
でき、例えば、その画像データを生じる走査が行われた
ダイパターンのCADデータから得られた画像データを
用いることができる。
【0395】ウィーン・フィルタ8−9は静電偏向器3
9−9とその周囲を取り巻くよう設置された電磁偏向器
40−9とを備えている。この電磁偏向器40−9とし
て、例えば、白金合金を用いた永久磁石を電磁コイルの
代わりに使用することが望ましい。これは、真空中で電
流を流すことが適切でないからである。また、偏向器1
2−9は一次電子線の方向を対物レンズ9−9の軸と一
致させるための軸合わせ装置を兼用する。
【0396】電子線装置・検出系44−9において、コ
ンデンサ・レンズ2−9と対物レンズ9−9を作製する
には、まず、セラミックスを図38に示す断面形状を有
するよう高精度加工し、加工済みのセラミックスの表面
に選択的に金属をコーティングして上部電極35−9、
中央電極36−9および下部電極37−9を形成する。
上部電極35−9にはアースに近い電圧が与えられ、中
央電極36−9には、金属の電流導入端子38−9から
正または負の、絶対値の大きい電圧が印加され、これに
より、レンズ作用が得られる。
【0397】このように、コンデンサ・レンズ2−9お
よび対物レンズ9−9をセラミックスの削り出しで作製
するため、これらのレンズを高精度に加工することが可
能であり、外径寸法を小さくすることができる。したが
って、例えば、コンデンサ・レンズ2−9および対物レ
ンズ9−9の外径を直径20mm以下にすると、直径2
00mmのウェーハの直径140mmの範囲を検査する
場合には、6個の電子線走査・検出系を配置することが
でき、6倍のスループットを得ることができる。
【0398】以下に本発明による電子線装置の実施の形
態における特徴部分を説明する。対物レンズ9−9は、
静電レンズとされ、該レンズのいずれかの電極には正の
高電圧が印加されている。一方、試料ウェーハ10−9
には負の高電圧が電圧源20−9によって印加されてい
る。これにより、対物レンズ9−9と試料ウェーハ10
−9との間には、減速電界が形成される。
【0399】ウェーハ10−9がビア付きウェーハであ
る場合、ビアに一次電子線が入射すると、ビアはタング
ステン等の高原子番号金属でできているので、多量の二
次電子を放出することになる。また、ビアの近傍は、減
速電界のため局部的にさらに大きい電界が生じている。
これらの理由で、ビア付きのウェーハは放電が非常に起
こりやすい状況にある。
【0400】しかしながら、このような条件がそろって
も、直ちに放電が起こるわけではない。まず、電界の大
きい部分の残留気体が局所的に発光する、コロナ放電が
起こり、次いで火花放電という過渡状態を経てアーク放
電に移行する。本明細書では、このコロナ放電の時期か
ら火花放電の始めにかけてを「放電の前駆現象」と呼
ぶ。
【0401】この放電の前駆現象の時期で、ビーム電流
を下げて一次電子線を一定量以下にするか、または、対
物レンズ9−9と試料ウェーハ10−9との間の減速電
界電圧を下げることにより、あるいは、これら双方の処
置を行うことにより、アーク放電に至ることは避けら
れ、ウェーハの破壊も防止できることが判明した。
【0402】また、放電を起こしやすいウェーハと起こ
しにくいウェーハとでは、どの程度の減速電界電圧およ
び一次電子線量ならば放電を起こさないかが異なるた
め、これらの値を低レベルで固定することなく、それぞ
れのウェーハについて放電を起こさないための限界値を
知ることが望ましい。
【0403】図38に示す本発明の電子線装置において
は、試料ウェーハ10−9と対物レンズ9−9との間の
放電あるいは放電の前駆現象を検出して信号を発生する
ための検出器として、PMT19−9および試料電流計
21−9が設けられている。PMT19−9はコロナ放
電およびアーク放電の発光を検出し、試料電流計21−
9はコロナ放電時およびアーク放電時の異常な電流を検
出することができる。
【0404】放電前駆現象時に、PMT19−9がコロ
ナ放電の発光を検出するか、試料電流計21−9が異常
な電流を検出すると、これらの情報はCPU22−9に
入力される。このときの減速電界の電圧および電子銃1
−9のビーム電流値(一次電子線量に対応)が、放電を
起こさない条件を判断する基礎データとなる。CPU2
2−9は、発光または異常電流あるいはこれらの双方を
示す入力に応答して、放電が生じないよう、減速電界の
電圧20−9を下げるか、電子銃1−9にフィードバッ
ク信号を送ってビーム電流を下げて一次電子線を一定量
以下にするなどの制御を行う。CPU22−9は、これ
らの制御の双方を行ってもよい。
【0405】PMT19−9および試料電流計21−9
は、双方が使用されることが好ましいが、その一方を省
略することもできる。
【0406】図39は、一枚のウェーハ上におけるデバ
イスの配置を示す。円形ウェーハ50−9から複数の長
方形チップ51−9を取るのであるが、符号52−9、
53−9で示すように、完全な1チップ分に満たない欠
損チップが周辺の領域に存在する。これらの欠損チップ
領域についてもまた、通常のリソグラフィを行い、各種
プロセスも完全チップ51−9の領域と同様の処理が行
われる。一方、これらの欠損チップは、製品として用い
られることはないので、この一部領域が破壊されても問
題はない。そこで、これらの欠損チップの領域を用い
て、放電の前駆現象を検出するだけにとどまらず、破壊
をおそれずに放電現象の検出まで行うようにすれば、放
電を起さない条件をより正確に判断することができる。
この場合、PMT19−9はアーク放電の発光を検出
し、試料電流計21−9はアーク放電時の異常電流を検
出してCPU22−9に信号を送ることになる。また、
CPU22−9は、放電を生じない限界値としての減速
電界の電圧値およびビーム電流値(一次電子線量に対
応)を正確に指示することができる。
【0407】(第9の実施の形態)以下、本発明の第9
の実施の形態に係る走査型電子線装置の実施の形態につ
いて図面を参照しながら説明する。図40は、本発明の
第9の実施の形態に係る電子線装置を概略的に示す。図
40に示すように、電子線装置は、構成が同じ複数の電
子光学鏡筒60−10(図示の例では8個)を試料43
−10上に並設して構成されている。このうちの一つの
電子光学鏡筒6−10は、電子銃20−10と、一次電
子線の軸合わせを行うための軸合わせ電極24−10,
25−10と、コンデンサレンズ61−10と、一次電
子ビーム走査用の静電偏向器27−10と、電磁偏向器
29−10と静電偏向器30−10とから構成されたE
×B分離器62−10と、対物レンズ41−10と、電
位コントラスト測定用の軸対称電極42−10と、一次
電子線から分離された二次電子線が結像され、二次電子
線の検出信号を検出する検出手段としての検出器28−
10とを有している。
【0408】電子銃20−10は、ショットキーシール
ド21−10とTFEカソード22−10とアノード2
3−10とで構成され、一次電子線を放出するためのも
のである。電子銃20−10から放出された一次電子線
は、軸合わせ電極24−10,25−10によってコン
デンサレンズ61−10に対して軸合わせが行われ、コ
ンデンサレンズ61−10によって集束される。コンデ
ンサレンズ61−10によって集束された一次電子線
は、対物レンズ41−10によって試料43−10に結
像される。これと同時に、静電偏向器27−10とE×
B分離器62−10の電磁偏向器29−10とで、試料
43−10の面上を走査するように偏向される。電磁偏
向器29−10による偏向角は、静電偏向器27−10
の偏向角の略二倍になるように設定されているため、偏
向色収差は、ほとんど生じない。
【0409】試料43−10上の走査点から放出された
二次電子線は、対物レンズ41−10の中央電極に印加
された正の高電圧で引かれて加速され、E×B分離器6
2−10によって一次光学系から分離され、二次光学系
に投入されて、検出器28−10に結像される。
【0410】検出器28−10は、結像された二次電子
線を、その強度を表す電気信号(二次電子線の検出信
号)として、ローパスフィルター(LPF)2−10に
出力する。より具体的に説明すると、検出器28−10
から出力された電気信号は、まず、増幅器1−10によ
って増幅され、その後、ローパスフィルター(LPF)
2−10に出力される。ローパスフィルター2−10
は、通過帯域の周波数の電気信号のみを通過させるもの
であり、ローパスフィルター2−10を通過した電気信
号は、A/D変換器3−10によってアナログ信号から
デジタル信号に変換されて、画像形成装置4−10に送
信される。また、画像形成装置4−10には、偏向器制
御電源5−10から静電偏向器27−10及び電磁偏向
器29−10に与えられた一次電子線を偏向させるため
の走査信号がさらに供給される。画像形成装置4−10
は、走査信号と電気信号とから画像データを合成して、
試料43−10の被走査面を表す画像を構成ないしは表
示することができる。この画像データを、欠陥の存在し
ない試料の基準画像データと比較することにより、試料
43−10の欠陥を検出することができる。
【0411】詳細には、この画像データを第1実施の形
態に記載した欠陥検査の第1の検査ないし第4の検査の
うち少なくとも1の検査により検査する。なお、必要に
応じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0412】次に、本発明の特徴部分であるローパスフ
ィルター2−10について説明する。ローパスフィルタ
ー2−10は、上述の通り、通過帯域の周波数の電気信
号のみを通過させるものである。図41(A)には、試
料上のパターンを示している。このパターンは、エッチ
ングによって0.5μm掘られた部分31−10と、エ
ッチングされていない部分32−10とが交互に形成さ
れていて、エッチングされていない部分32−10は、
エッチングされた部分31−10よりも0.5μm高く
なっている。
【0413】図41(B)及び(C)は、画像形成装置
4−10によって受信された上記電気信号(二次電子線
の検出信号)の波形を示しており、図41(B)は、検
出器28−10から出力された電気信号がローパスフィ
ルター2−10を通過させずに画像形成装置4−10に
受信された場合の信号波形を示し、一方、図41(C)
は、検出器28−10から出力された電気信号がローパ
スフィルター2−10を通過して画像形成装置4−10
に受信された場合の信号波形を示している。なお、ピク
セル周波数は10MHzとし、増幅器1−10は、周波
数を100MHzまで通している。また、ローパスフィ
ルター2−10は、3db信号が落ちる周波数が20M
Hz、12db/オクターブの周波数特性を有している
ものである。
【0414】図41(B)に示す信号波形は、符号33
−10で示すように、パターンのエッジ部分で電気信号
の強度が大きくなっているのがわかる。また、符号34
−10で示すように、パターンの溝の端部では電気信号
の強度が小さいのがわかる。一方、図41(C)に示す
信号波形は、符号35−10で示すように、パターンの
エッジ部分では図41(B)に示すものに比べて電気信
号の強度が小さくなっているのがわかる。また、符号3
6−10で示すように、パターンの溝の端部では図41
(B)に示すものに比べて窪みが小さくなっているのが
わかる。
【0415】このように、検出器28−10から出力さ
れた電気信号を、ローパスフィルター2−10を通過さ
せて画像形成装置4−10に受信させることにより、パ
ターンのエッジ部分等の、二次電子放出率の高い部分に
おける電気信号の強度を小さくすることができる。従っ
て、二次電子放出率の高い部分における電気信号が、欠
陥によって発生した信号等をマスキングするのを防止
し、欠陥検出率を向上させることができる。
【0416】また、アルミパターンの場合には、エッジ
部分の電気信号の強度はそれ程大きくならないため、こ
のような場合には、高周波数信号を画像形成装置4−1
0に受信させた方が忠実なパターン画像を得ることがで
きる。従って、上記ローパスフィルター2−10を、遮
断周波数を可変することができるようにしておけば、あ
らゆるパターンの画像データを良好に検出することがで
き、より検査率を向上させることができる。
【0417】また、上記実施の形態では、ローパスフィ
ルター2−10は、増幅器1−10とA/D変換器3−
10との間に設けられているが、検出器28−10と増
幅器1−10との間に設けてもよいし、あるいは、A/
D変換器3−10と画像形成装置4−10との間に設け
てもよい。
【0418】また、ショット雑音in 2は、in 2=2eI
Bで表すことができ、信号の帯域Bを小さくすれば、雑
音が小さくなり、S/N比の大きい信号を得ることがで
きる。ここで、eは電子の電荷、Iは電流を示す。
【0419】また、図40に示すように、コンデンサレ
ンズ61−10は、一体の絶縁材料としてのセラミック
を加工して複数の電極を形成し、その表面に選択的に金
属コーティングを施すことによって形成されたレンズで
ある。コンデンサレンズ61−10の複数の電極は、上
部電極44−10、中央電極45−10、及び下部電極
46−10で構成されており、コンデンサレンズ61−
10は、リード線取付金具47−10を介して電圧が印
加される。また、対物レンズ41−10も、コンデンサ
レンズ61−10と同様に、一体の絶縁材料としてのセ
ラミックを加工して複数の電極を形成し、その表面に選
択的に金属コーティングを施すことによって形成された
レンズである。このように、加工されたコンデンサレン
ズ61−10及び対物レンズ41−10は、外径の小さ
いレンズにすることができるため、電子光学鏡筒6−1
0の外径を小さくすることができ、一枚の試料43−1
0上に数多くの電子光学鏡筒6−10を並設させること
ができる。
【0420】第9の実施の形態によれば、一次電子線を
試料に結像し、上記試料から放出された二次電子線を検
出手段に結像するよう構成された電子光学鏡筒を、複数
並設してなる電子線装置において、ローパスフィルター
を備え、上記検出手段は、二次電子線の検出信号を上記
ローパスフィルターに出力するため、二次電子放出率が
高く且つ狭い幅のパルス状の波形を示す検出信号の信号
強度を小さくし、欠陥検出率を向上させることができ
る。
【0421】(第10の実施の形態)まず、図42を参
照して、本発明の第10の実施の形態に係る半導体デバ
イスのウェーハの加工状態を評価する評価装置を説明す
る。
【0422】図42において、1−11は電子ビームを
放出する電子銃、2−11はカソード、3−11はアノ
ード、4−11、5−11、27−11は偏向器、26
−11はコンデンサレンズ、29−11及び30−11
はそれぞれ偏向器であり、E×B分離器を構成してい
る。31−11は対物レンズ、33−11は検査試料で
あるウェーハ、28−11は電子ビーム検出器である。
また、12−11は画像形成装置、13−11は走査制
御装置であり、走査制御装置13−11は、電子ビーム
を走査するための走査信号を偏向器27−11及び29
−11に供給するためのものである。
【0423】図42の評価装置において、電子銃1−1
1から放出された電子ビームは、コンデンサレンズ26
−11及び対物レンズ31−11によって、ウェーハ3
3−11の表面に結像され、また、偏向器27−11及
び29−11によって、ウェーハ33−11の面を走査
される。ウェーハ33−11を保持したステージ(不図
示)を固定した状態で、偏向器27−11及び29−1
1は走査制御回路13−11により制御され、その一方
が電子ビームをX軸方向に、他方が電子ビームをY軸方
向に走査させる。これにより、ウェーハ33−11を固
定した状態で、ウェーハ表面がラスタスキャンされ、ウ
ェーハ33−11表面の所定エリア内のすべての点に電
子ビーム・スポットが結像される。
【0424】このとき、1回のラスタスキャンによって
電子ビームがウェーハの予め設定した検査領域全体が走
査されない場合、ウェーハ33−11を搭載したステー
ジがX軸方向及び/又はY軸方向にステップ移動され、
前回走査されたエリアに隣接するエリアが、同様にして
走査される。
【0425】ウェーハ33−11上に電子ビームが結像
されることによって放出された2次電子ビームは、E×
B分離器すなわち偏向器29−11、30−11によっ
て偏向され、2次電子ビーム検出器28−11によって
電気信号に変換され、検出出力信号として画像形成装置
12−11に供給される。
【0426】コンデンサレンズ26−11は、一体のセ
ラミックス製の円筒から、図42に示したように断面が
軸対称形状でかつ3つのアームを有するように削り出さ
れ、これらアーム表面に選択的に金属をコーティングす
ることにより、上部電極34−11、中央電極35−1
1、及び下部電極36−11が形成されている。中央電
極35−11は、電流導入端子37−11より給電さ
れ、上部電極34−11及び下部電極36−11はそれ
ぞれ、コンデンサレンズ26−11の外周部にコーティ
ングされた金属部分を給電端子として給電される。コン
デンサレンズ26−11を、このように一体形成された
軸対称レンズにより構成することにより、外形寸法を小
型化することができ、その直径を約40mmにすること
ができた。
【0427】対物レンズ31−11も、コンデンサレン
ズ26−11とほぼ同様な構造及び寸法に形成されてい
る。
【0428】画像形成装置12−11には、走査制御装
置13−11からの走査信号も供給されており、検出器
出力信号は、走査信号に対応づけられピクセル位置の信
号として、画像データ記憶装置(不図示)に格納され
る。これにより、ウェーハ33−11の表面画像が画像
形成装置12−11により形成される。
【0429】このようにして形成されたウェーハ表面の
画像は、第1実施の形態に記載した欠陥検査の第1の検
査ないし第4の検査のうち少なくとも1の検査により検
査される。なお、必要に応じて複数の検査を組み合わせ
てもよい。
【0430】さらに、ウェーハ上に形成された配線パタ
ーン及び電極パターン等の線幅を測定する場合、評価す
べきパターン部分を光軸上又はその間近に移動させ、該
部分をライン・スキャンすることによって線幅評価用の
電気信号を取り出し、必要に応じて較正を行うことによ
って、線幅を検出する。
【0431】このような構成を有する評価装置におい
て、本発明においては、加工装置によって加工されたウ
ェーハ表面を検査するために、評価装置を加工装置の近
傍に配置し、しかも、評価装置全体の動作を制御装置
(不図示)によって、該加工装置の1枚当たりの加工時
間にぼほ等しい検査時間となるように、ウェーハ表面の
所定の1つ又は複数のエリアからなる領域のみを検査す
るよう制御する。この制御においては、まず、評価装置
にウェーハを固定し、評価装置の制御装置にウェーハの
必要最小の評価項目とウェーハ1枚当たりの加工所要時
間とを入力する。評価項目は、例えば、加工装置がリソ
グラフィ装置であれば、最小線幅のバラツキであり、加
工装置がエッチング装置であれば、欠陥検査である。次
いで、制御装置は、入力された評価項目と入力された加
工所要時間に基づいて、ウェーハ1枚当たりの加工状態
評価時間が加工所要時間以内又はほぼ等しくなるよう
に、ウェーハの評価面積を決定する。
【0432】所定の領域のみを検査するため、ウェーハ
33−11を評価装置中で移動させる範囲が少なくなる
ので、ウェーハ表面全体を検査する場合と対比して、評
価装置の床面積を小さくすることができる。また、評価
時間と加工時間をほぼ一致させているため、評価装置の
スループットが加工装置のスループットとほぼ一致する
ので、欠陥が発見された場合等において、欠陥状態に対
応して加工装置の動作異常等を発見することが容易とな
る。
【0433】本発明の第10の実施の形態に係る評価装
置の第2の態様を説明する。この第2の態様において
は、図42に示した第1の態様の評価装置を1ユニット
の鏡筒とし、図43に示したように、鏡筒を8個、4x
2(X軸方向に4個、Y軸方向に2個)のアレイ状に複
数配置することによって、評価装置を構成している。
【0434】第1の態様に関連して説明したように、コ
ンデンサレンズ26−11及び対物レンズ31−11を
約40mmに小型化した結果、鏡筒の外形直径を約42
mmとすることができた。したがって、42mm直径の
鏡筒を用いると、8インチ(約203mm)のウェーハ
上に、図43に示したように、鏡筒をX軸方向に4本密
接配列することができ、その全長が189mm(147
mm+42mm)となる。また、図43に示すように、
Y軸方向にも鏡筒を密接配置して4x2配置とすること
により、ウェーハ表面を8個の電子ビームで同時にラス
タスキャンすることができる。
【0435】なお、複数の鏡筒の配置関係及び個数は、
図43に示したものに限定されず、MxN配列(M、N
は任意の正の整数)を採用することができることは勿論
である。その場合、光軸のX方向間隔が等しくなるよう
配置する必要がある。
【0436】複数の鏡筒を用いた第2の態様において
も、第1の態様の場合と同様に、評価装置は加工装置の
近傍に配置され、しかも、制御装置(不図示)によっ
て、該加工装置の1枚当たりの加工時間にぼほ等しい検
査時間となるように、制御される。この場合、複数の鏡
筒を用いたことにより検査時間を短くすることができの
で、加工時間によっては、ウェーハ表面全体を検査領域
としてもよい。また、何枚かのウェーハは表面全体を検
査するが、他のウェーハは検査を省略してもよい。要
は、1枚当たり又は1ロット当たりの加工時間と検査時
間とがほぼ一致するように、設定すればよい。
【0437】第2の態様の場合も、ウェーハ載置用のス
テージを移動させる範囲が少なくなり、評価装置の床面
積を小さくすることができる。また、評価装置のスルー
プットが加工装置のスループットとほぼ一致するので、
欠陥が発見された場合等において、加工装置の動作異常
等を発見することが容易となる。
【0438】また、加工時間が特に短い加工装置での加
工状態を評価するには、2枚に1枚、あるいは3枚に1
枚等のように、抜き取り検査を行うことにより、1ロッ
ト当たりの評価時間を加工装置の加工時間とほぼ一致さ
せればよい。
【0439】第10の実施の形態は、以上のように構成
されているので、半導体デバイスのウェーハの評価装置
を小型化することができるとともに、該評価装置のスル
ープットをウェーハの加工装置のスループットと整合さ
せることができる。これにより、欠陥を有するウェーハ
が検出された時点で、リアルタイムで加工装置の動作を
チェックすることができるので、欠陥を有するウェーハ
を不要に製造しつづける恐れが低減する。
【0440】(第11の実施の形態)図面を参照し本発
明の第11の実施の形態を説明する。図44は、MT
F、(MTF)2、IP、(MTF)4PとD/dの関係
を示すグラフであり、図45は、本発明の第11の実施
の形態に係る走査型電子線装置の光学系の概略構成を示
すブロック図である。図45に示すように、電子銃20
−12は、ウエーネルト21−12の内部に配置される
TFEカソード22−12、ウエーネルト21−12の
外部に配置されるアノード23−12を備え、電子線が
TFEカソード22−12からアノード23−12に向
けて放出され、アノード23−12を通過した電子線
は、軸合せ偏向器24−12、25−12でコンデンサ
レンズ34−12、35−12、36−12の中心を通
るように軸合せされる。
【0441】コンデンサレンズ34−12、35−1
2、36−12で集束された電子線は、E×B分離器3
0−12の偏向中心にクロスオーバを作り、更に対物レ
ンズ31−12で試料33−12に合焦される。コンデ
ンサレンズの下方に配置される静電偏向器27−12及
びE×B分離器30−12に重ねて配置される電磁偏向
器29−12により電子線が試料33−12の表面を走
査する。試料33−12の走査点から放出された2次電
子が対物レンズ31−12の作る電界により加速され細
く集束され対物レンズ31−12を通過する。集束され
た2次電子は、対物レンズ31−12の直上に配置され
るE×B分離器30−12により1次電子線から離れる
点線の方向へ偏向され2次電子検出器28−12で検出
され、画像信号とされる。
【0442】そして、この画像信号が第1実施の形態に
記載した欠陥検査の第1の検査ないし第4の検査のうち
少なくとも1の検査により検査される。なお、必要に応
じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0443】図45の電子線装置において、試料の欠陥
検査は、電子線により試料33−12の表面の200μ
m幅をx方向(図45において紙面に垂直方向)に走査
しながらステージ38−12をy方向へ連続移動させて
行われる。試料のy方向の端まで200μm幅(一定の
領域)の欠陥検査が終了すると、ステージ38−12を
x方向へ201μmだけ移動させ、隣のストライプ(隣
接する領域)を検査する。一定の領域の幅より1μmだ
け多く移動させるため1μmの非検査領域が残るが、こ
れにより走査領域の重なりを避け、試料の損傷を防止す
ることができる。また電子線走査のデータを取込まない
時間は、電子線を試料に照射しないことにより、試料の
損傷を最小とすることができる。
【0444】上記の事例では、走査領域の重なりを避け
るため1μmの非検査領域が残るが、面積で僅か0.5
%であり、実際上大きい問題にはならない。そして走査
歪を小さくし、ステージ38−12の首振り(yaw)や
蛇行を正確にビーム位置にフィードバックすることによ
り、非検査領域の比率を0.05%とすることができ
る。
【0445】図46は、図44の電子線装置の鏡筒40
−12を変形し複数としたマルチ鏡筒の配置図である。
図46のマルチ鏡筒は、図45の電子線装置において、
軸対称レンズを、絶縁物表面に金属をコーティングして
作ることにより、外径寸法を小さくし、8インチウェー
ハ上に複数の鏡筒40−12を配置可能にしたものであ
る。図46は、鏡筒40−12を4筒×2列に配置した
様子を示す。図46の複数の鏡筒40−12を使用する
場合において、隣接する鏡筒の走査幅を、図45の場合
と同様に調節することにより、走査領域の間に重なりが
生じないようにされる。また電子線走査のデータを取込
まない時間は、電子線を試料に照射しないことにより、
試料の損傷が最小にされる。
【0446】図44は、ビーム径Dの電子線で試料上の
ピッチ2dの周期パターンを走査した時の変調伝達関数
MTF、(MTF)2、ビーム電流IP、(MTF)4P
とD/dの関係を示すグラフである。図44において、
曲線1は、ビーム径Dの電子線の強度分布をガウス分布
としたときのMTFとD/dの関係(依存性)を示す。
図44において、曲線2は、ビーム電流IPとD/dの
関係を示す。曲線3は、MTFの曲線を4乗した値(M
TF)4を示す。
【0447】電子線装置において、1次電子線のビーム
電流をIP、1画素を走査する時間をt、素電荷をeと
すると、S/N比は、次の式(1)となる(品田他、L
SIテスティングシンポジウム/2000会議録、H1
2.11.9−10、151頁)。
【0448】 S/N=(IP・t)1/2/[3(2e)1/2] ‐‐‐‐‐-(1) ビーム径が有限であることにより、ピッチが2dである
周期パターンを走査したとき、信号コントラストが(M
TF)倍に減るとすると、式(1)は、次の式(2)と
なる。
【0449】 S/N=(IP・t)1/2・(MTF)/[3(2e)1/2] ‐‐(2) 一方、単位面積当りの照射量であるドーズCは、次の式
(3)で表される。
【0450】C=IP・t‐‐‐‐‐-(3) 測定時間tは、S/N比が大きいと小さい値を取ること
ができ、S/N比が小さいと測定時間tは、大きい値に
しないと必要な画像が得られない。情報理論から測定時
間tは、(S/N)2に逆比例すること、即ち、t ∝
1/(S/N)2が知られている。それ故、式(3)
は、次の式で表される。
【0451】 C ∝ IP/(S/N)2t‐‐‐‐‐-(3’) 一般的に、ゲート酸化膜の破壊防止の観点からは、ドー
ズCは、小さくすることが望まれ、また、スループット
を大きくするため、測定時間tは短くすることが望まれ
る。これら2つの要求を満たすためには、(ドーズC)
×(測定時間t)の積を最小にすればよいから、その積
の逆数Q、即ち、Q=1/[(ドーズC)×(測定時間
t)]を最大にすればよい。式(3’)及び上記の測定
時間t ∝ 1/(S/N)2を代入すると、 Q=(S/N)4/IP 式(2)を代入すると、 Q=[(IP・t)1/2/[3(2e)1/2]]4(MTF)4
/IP Q=[(IP2・t2/[81×4e2]](MTF)4/IP Q ∝(MTF)4・IP‐‐‐‐-(4) 以上から、本発明において、ゲート酸化膜の破壊を最小
限にして、スループットを最大にする条件は、(MT
F)4・IPを最大にすることである。
【0452】図44において、曲線1は、直径Dの電子
線の強度分布をガウス分布としたときのMTFとD/d
の関係(依存性)を示す。図44において、曲線2は、
電子線電流IPの相対値と電子線の直径Dの関係を示
す。曲線3は、MTFの曲線を4乗した値(MTF)4
を示す。式(4)のQ値は、(MTF)4とIPの積とし
て、即ちQ =a(MTF)4・IPとして、曲線4とな
る。曲線4は、D/dが0.75のとき最大値となり、
D/dが0.75から外れると急激に減少する曲線とな
る。
【0453】Qは、D/dが0.65〜0.85のと
き、Qの最大値とほぼ同様の値であり、この時のMTF
の値は、0.55〜0.7である。またD/dが0.5
5〜1.0の範囲にあれば、Qは、Qの最大値から大き
く離間せず良好であり、MTF値は、0.42−0.8
である。図44矢印参照。従って、D/dを0.55〜
1.0にあるようにビーム径Dを決めれば、S/N比
(信号/雑音比)をほぼ最大にできる。
【0454】以上は、単一の電子銃とマルチ開口板で複
数の電子線を作る場合について述べたが、複数の電子銃
から放出される電子線を単一の光学系で試料面へ投影す
る場合についても、複数の電子銃から放出される電子線
がクロスオーバを形成するので、同様のシミュレーショ
ンが成立する。また単一ビームの場合は空間電荷効果が
大きくなく、ビーム電流IPは、球面収差が優勢の場
合、(ビーム径D)8/3に比例するので、図44の曲線
2に示すようになる。
【0455】本発明の第11の実施の形態に係る電子線
装置は、重複走査を許す電子線装置に比較すると、ゲー
ト酸化膜を損傷させないでドーズを2倍にできる。また
データを取込まない時間にビームを出さないようにする
ことによって、更に1〜2割ドーズを多くすることがで
きる。また本発明の電子線装置においては、ドーズを小
さくしスループットを大きくする妥協点が見つかり、ゲ
ート酸化膜を損傷させないで高スループが得られる。ま
た本発明によるとマルチ鏡筒の場合にも重複する走査領
域を無くすることができる。
【0456】(第12の実施の形態)以下、図面を参照
して本発明の第12の実施の形態に係る評価装置を説明
する。
【0457】図47は複数のチップ(又は)ダイが形成
されたシリコンウェーハ1−13の平面図で、図には合
計で36個のチップが形成されている。本実施の形態に
よれば、これらのチップのうちハッチングが施された4
個のチップ3のみの欠陥検査等の評価を行い、残りの3
2個のチップ2−13については評価を省略して一枚の
ウェーハの評価を完了させるものである。
【0458】これに対して、従来の評価方法では、同じ
数のチップを有するウェーハに対して、図48で同じく
ハッチングを施して示されているように、中央部にある
24個のチップに付いて評価を行い、残りの12個のチ
ップについては評価を省略して一枚のウェーハの評価を
完了させていた。このように多数のチップの評価を行う
ため、一枚当たり7時間程度の評価時間が必要になって
いた。この場合、ウェーハを載置したXYステージをY
方向に連続移動させながら評価を行うため、XYステー
ジは高い精密度を要し、しかもXYステージの移動量が
大きいため資料室は大きくなり、フットプリントは大面
積を必要としていた。
【0459】しかるに、本実施の形態によれば、図47
で概略的に示されているように、上記4個のチップの位
置にそれぞれ、合計で4個の鏡筒10−13を配置し、
1個の鏡筒で1個のチップを評価するようにしている。
このため、ウェーハが載遣されているXYステージはチ
ップ1個分の距離だけステップアンドリピート方式で移
動すればよくなる。したがって、XYステージの移動量
はその分小さくなって資料室も小さくて済み、しかもX
Yステージは連続移動を必要としなくなるのでステージ
を安価に製造できる。
【0460】図49に、第12の実施の形態に係る電子
線装置の鏡筒10−13内を概路的に示す。同図におい
て、本実施の形態の電子線装置は、一次電子光学系(以
下単に光学系)11−13と、二次電子光学系(以下二
次光学系)31−13と、二次電子を検出する検出系4
1−13を備えている。
【0461】一次光学系11−13は、電子線をウェー
ハSの表面に照射する光学系で、電子線を放出する電子
銃12−13と、電子銃12−13から放出された電子
線を集束するコンデンサレンズ13−13と、複数の小
さな開口が形成された開口板14−13と、電子線を集
束する縮小レンズ18−13と、軸合わせ偏向器16−
13と、非点補正レンズ17−13と、レンズ18−1
3と、走査用偏向器19−13と、E×B型分離器20
−13と、対物レンズ22−13とを備え、それらは、
図49に示されるように電子銃12−13を最上部にし
て順に、しかも電子銃から放出される電子線の光軸がウ
ェーハWの表面に鉛直になるように配置されている。
【0462】電子銃12−13は、本実施の形態では、
W−Zrの雷界放出チップ122−13をフィラメント
123−13にスポット溶接してカソード121−13
をつくり、そのカソードの電界放出チップ122−13
の先端をショットキーシールド124−13より少し突
出させた状態でつくられている。そしてこの電子銃から
は5本の電子線が放出されるようになっている。一次光
学系のその他の機器の各々の構造、機能は公知のもので
よいので説明は省略する。開口板14−13に形成され
る開口141−13は4個で、光軸からの距離が全て同
じになるように光軸を中心とする一つの円上に配置され
る。この開口141−13の配置状態は図49[B]に
おいて実線で示される4個の小さな円で示される。な
お、21−13はE×B分離器用の磁場発生コイルであ
る。
【0463】二次光学系31−13は一次光学系のE×
B分離器により一次光学系から分離された二次電子を検
出系に送るもので、拡大レンズ32−13、33−13
とマルチ検出板34−13とを備えている。検出系41
−13は、マルチ検出板34−13の各開口毎に配置さ
れた検出器42−13と、各検出器に接続された処理装
置43−13とを備えている。マルチ検出板34−13
にも一次光学系の開口板14−13の開口に合わせて同
一円上に4個の開口341−13が形成され、それらの
開口341−13は図49[B]で破線で示される円の
ように、開口板14−13の開口141−13より大き
く形成されている。マルチ検出板34−13の開口34
1−13は、4本の電子ビームによって発生された4本
の二次電子線の像と中心がほぼ一致するように形成され
ている。なお、Stはウェーハが上に載せられたステー
ジであり、Cは試料室である。
【0464】上記電子線装置10−13において、電子
銃12−13から放出された5本の電子線は、15−1
3においてクロスオーバーをつくるようにコンデンサレ
ンズ13−13により集束される。コンデンサレンズを
通った電子線のうち光軸の電子線は開口板14−13に
より遮断されるが他の4本の電子線はそれぞれ対応する
開口141−13を通して縮小レンズ18−13に向か
って進む。これら4本の電子線すなわち電子ビームは、
縮小レンズ18−13により面25−13で縮小像をつ
くり、更に対物レンズ22−13によりウェーハWの表
面に結像する。
【0465】ウェーハ上に各点から放出された二次電子
は、対物レンズ22−13により加速され、E×B分離
器20−13により一次光学系11−13から分離され
二次光学系31−13に進む。この二次電子は拡大レン
ズ32−13,33−13により各点の像をマルチ開口
板34−13の位置で結蔵される。マルチ開口板34−
13の各開口に隣接して配置された検出器42−13は
20kV程度の高電圧が印加されているので、開口に近
づいた二次電子は全て開口を通過する。二次電子の代表
的な軌道が35−13で示されている。開口341−1
3で結像された二次電子の像は対応する検出器42−1
3により検出され、処理装置43−13によって処理さ
れる。
【0466】この処理装置43−13は、検出器42−
13で検出された二次電子の像から画像データを取得し
たのち、この画像データを第1実施の形態に記載した欠
陥検査の第1の検査ないし第4の検査のうち少なくとも
1の検査により検査する。なお、必要に応じて複数の検
査を組み合わせてもよい。
【0467】本実施の形態においては、8インチウェー
ハ或いは12インチウェーハに対して複数の鏡筒を配置
するため、セラミックスの表面に金属コーティングを施
して製作した光学部品をつくり、外径形状の小型化を図
った。複数の鏡筒の外側を、真空壁と、磁気シールド兼
用のパーマロイの外囲器で囲んだ。代表的なセラミック
スの偏向器について図50を参照して説明する。
【0468】図50[A]は静電偏向器又は非点補正レ
ンズの端面から見た図である。外側面51−13、内面
52−13、端面53−13を有するセラミックスのパ
イプ状の部品に電極を分離するスリット57−13を設
け、絶縁保持に必要な面58−13、59−13を除き
金属(NiP、白金)で無電界メッキ及び電界メッキを
行った。その後光軸に平行な貫通穴55−13を形成し
た。最後にアルミニュウムのリード線60−13をワイ
ヤボンディングで61−13のように結線した。
【0469】図49[B]は軸対称レンズの実施の形態
であるユニポテンシャルレンズの断面図である。上部電
極62−13、下部電極64−13にはアースに近い電
圧が与えられ、中央電極63−13には高電圧或いは負
の高電圧が与えられる。空洞65−13は金属コーティ
ングのエッジ69−13と70−13との距離を離して
エッジ間の放電を避けるための構造である。68−13
は中央電極63−13に高電圧を与えるための溝で内面
には金属コーティングが施されている。
【0470】本発明の第12の実施の形態によれば、次
のような効果を奏することができる。 (イ)少数のチップしか評価しないので試料一枚当たり
の評価時間を短縮できる。 (ロ)鏡筒を複数にし、一つの鏡筒の電子ビームを複数
にすることによって、ビーム数に逆比例させて評価時間
を短縮できる。 (ハ)セラミックスの静電偏向器、レンズを用いるの
で、光学系の外径を小さくでき、一枚の試料上に多くの
光学系を配置できる。
【0471】(第13の実施の形態)図51は本発明の
第13の実施の形態に係る電子線装置を示す。電子銃1
−14の中心にはLaB6単結晶がマルチエミッターと
なるよう加工されたカソード2−14が配置されてい
る。
【0472】カソードから放出された電子線はコンデン
サレンズ3−14で集束され、クロスオーバを形成す
る。レンズ3−14とクロスオーバの間にマルチ開口板
4−14が設けられ、カソード2−14からの各ビーム
の強度が強い場所に開口がほぼ一致するように配置され
ている。マルチ開口板を通過したビームは2段の縮小レ
ンズ5−14,7−14で縮小され、さらに対物レンズ
10−14で縮小されて半導体基板等の試料面11−1
4に結像される。図において、6−14及び8−14
は、第1及び第2の縮小像を示す。
【0473】試料面1−14から放出された電子線は、
対物レンズ10−14が作る加速電界で細く集束され、
E×B分離器9−14で偏向されて一次光学系から分離
され、同一円上に開口が設けられたマルチ開口検出板1
4−14を通過され検出器15−14で検出され、信号
処理される。
【0474】そして、この信号処理により画像信号を取
得したのち、この画像信号が第1実施の形態に記載した
欠陥検査の第1の検査ないし第4の検査のうち少なくと
も1の検査により検査される。なお、必要に応じて複数
の検査を組み合わせてもよい。
【0475】LaB6単結晶カソード2−14の詳細な
先端形状を図52(平面図)、及び、図53(側面図)に示
す。
【0476】図示のように、該カソードは全体的には2
mmφの円筒形のLaB6単結晶から作られており、そ
の先端を45°の角度22−14に削り、さらに先端面
24−14にその周縁に沿った三角形状断面の環状突起
23−14を残し、さらに該環状突起を切削して45°
の斜面26−14を有する四角錐をなす突起すなわちエ
ミッタ領域25−14を複数形成してある。エミッタ領
域は、図52で見て、当該先端面24−14の中心線
(当該電子線装置における一次電子光学形の光軸に一致
する)と直交するx軸方向の線(一次電子線が試料で走
査される方向の線)に投影したときに、その投影された
エミッタ領域のx方向間隔が等間隔をなすようにされて
いる。各エミッタ領域間の領域及びエミッタ領域より内
側の先端面24−14からは電子が放出されないよう
に、エミッタ領域先端とこれら領域との間の高さの差を
十分にとってある。
【0477】本発明の第13の実施の形態によれば、単
一の電子銃によって適正なマルチビームを生じることが
できる。また、像面湾曲がほぼ補正できるので同じ収差
で多くのビームを作れ、検査装置のスループットを大幅
に向上できる。更に、LaB 6単結晶カソードを用いる
と空間電荷制限領域で電子銃を動作できるので高S/N
比の測定ができる。
【0478】(第14の実施の形態)図54には、本発
明の第14の実施の形態に係る欠陥検査装置の概略構成
が示されている。この欠陥検査装置は、いわゆるマルチ
カラム型の検査装置で、図1の電子線装置1−1と同様
の構成である。即ち、一次電子線を放出する電子銃1−
15、放出された一次電子線を偏向、成形させる静電レ
ンズ2−15、成形された一次電子線を電場E及び磁場
Bの直交する場で半導体ウェーハ5に略垂直に当たるよ
うに直進させるE×B偏向器3−15、偏向された一次
電子線をウェーハ5−15上に結像させる対物レンズ1
0−15、真空に排気可能な図示しない試料室内に設け
られ、ウェーハ5−15を載置した状態で水平面内を移
動可能なステージ4−15、一次電子線の照射によりウ
ェーハ5−15から放出された二次電子線を検出する検
出器7−15、及び、装置全体を制御すると共に、検出
器7−15により検出された二次電子信号に基づいてウ
ェーハ5−15の欠陥を検出する処理を実行する制御部
16−15を含んで構成される。
【0479】また、縮小レンズ2−15と対物レンズ1
0−15との間には、一次電子線をウェーハ5上で走査
するための偏向電極11−15が介在されている。この
偏向電極11−15には、該偏向電極の電場を制御する
偏向制御器12−15が接続されている。この偏向制御
器12−15は、制御部16−15に接続され、制御部
16−15からの指令に応じた電場が偏向電極11−1
5で生成されるように該偏向電極を制御する。なお、偏
向制御器12−15は、偏向電極11−15に与える電
圧を制御する電圧制御装置として構成することができ
る。
【0480】検出器7−15は、検出信号を出力し、画
像形成回路20−15で二次電子画像に変換する。
【0481】制御部16−15は、図54に例示された
ように、汎用的なパーソナルコンピュータ等から構成す
ることができる。このコンピュータは、所定のプログラ
ムに従って各種制御、演算処理を実行する制御部本体1
4−15と、本体14−15の処理結果を表示するCR
T15−15と、オペレータが命令を入力するためのキ
ーボードやマウス等の入力部18−15と、を備える、
勿論、欠陥検査装置専用のハードウェア、或いは、ワー
クステーションなどから制御部16−15を構成しても
よい。
【0482】制御部本体14−15は、図示しないCP
U、RAM、ROM、ハードディスク、ビデオ基板等の
各種制御基板等から構成される。RAM若しくはハード
ディスクなどのメモリ上には、検出器7−15から受信
した電気信号から作られたウェーハ5−15の二次電子
画像のデジタル画像データを記憶するための二次電子画
像記憶領域8−15が割り当てられている。また、ハー
ドディスク上には、予め欠陥の存在しないウェーハの基
準画像データを記憶しておく基準画像記憶部13−15
が存在する。更に、ハードディスク上には、欠陥検査装
置全体を制御する制御プログラムの他、記憶領域8−1
5から二次電子画像データを読み出し、該画像データに
基づき所定のアルゴリズムに従ってウェーハ5−15の
欠陥を自動的に検出する欠陥検出プログラム9−15が
格納されている。この欠陥検出プログラム9−15は、
詳細を更に後述するように、基準画像記憶部13−15
から読み出した基準画像と、実際に検出された二次電子
線画像とをマッチングして、欠陥部分を自動的に検出
し、欠陥有りと判定した場合、オペレータに警告表示す
る機能を有する。このとき、CRT15−15の表示部
に二次電子画像17−15を表示するようにしてもよ
い。
【0483】次に、第1実施形態に係る欠陥検査装置の
作用を図56乃至図58のフローチャートを例にして説
明する。
【0484】先ず、図56のメインルーチンの流れに示
すように、検査対象となるウェーハ5−15をステージ
4−15の上にセットする(ステップ300S)。この
詳細な機構は、第5の実施の形態を適用することができ
る。
【0485】次に、ウェーハ5−15表面のXY平面上
で部分的に重なり合いながら互いから変位された複数の
被検査領域の画像を各々取得する(ステップ304
S)。これら画像取得すべき複数の被検査領域とは、図
59に示すように、例えばウェーハ検査表面34−15
上に、参照番号32a−15、32b−15、...3
2k−15、...で示す矩形領域のことであり、これ
らは、ウェーハの検査パターン30−15の回りで、部
分的に重なり合いながら位置がずらされていることがわ
かる。例えば、図55に示されたように、16個の被検
査領域の画像32−15(被検査画像)が取得される。
ここで、図55に示す画像は、矩形の桝目が1画素(或
いは、画素より大きいブロック単位でもよい)に相当
し、このうち黒塗りの桝目がウェーハ5−15上のパタ
ーンの画像部分に相当する。このステップ304Sの詳
細は図57のフローチャートで後述する。
【0486】次に、ステップ304Sで取得した複数の
被検査領域の画像データを記憶部13−15に記憶され
た基準画像データと、各々比較照合し(図56のステッ
プ308S)、上記複数の被検査領域により網羅される
ウェーハ検査面に欠陥が有るか否かが判定される。この
工程では、いわゆる画像データ同士のマッチング処理を
実行するが、その詳細については図58のフローチャー
トで後述する。
【0487】ステップ308Sの比較結果より、上記複
数の被検査領域により網羅されるウェーハ検査面に欠陥
が有ると判定された場合(ステップ312S肯定判
定)、オペレータに欠陥の存在を警告する(ステップ3
18S)。警告の方法として、例えば、CRT15−1
5の表示部に欠陥の存在を知らせるメッセージを表示し
たり、これと同時に欠陥の存在するパターンの拡大画像
17−15を表示してもよい。このような欠陥ウェーハ
を直ちに試料室3−15から取り出し、欠陥の無いウェ
ーハとは別の保管場所に格納してもよい(ステップ31
9S)。
【0488】ステップ308Sの比較処理の結果、ウェ
ーハ5−15に欠陥が無いと判定された場合(ステップ
312S否定判定)、現在検査対象となっているウェー
ハ5−15について、検査すべき領域が未だ残っている
か否かが判定される(ステップ314S)。検査すべき
領域が残っている場合(ステップ314S肯定判定)、
ステージ4−15を駆動し、これから検査すべき他の領
域が一次電子線の照射領域内に入るようにウェーハ5−
15を移動させる(ステップ316S)。その後、ステ
ップ304Sに戻って当該他の検査領域に関して同様の
処理を繰り返す。
【0489】検査すべき領域が残っていない場合(ステ
ップ314S否定判定)、或いは、欠陥ウェーハの抜き
取り工程(ステップ319S)の後、現在検査対象とな
っているウェーハ5−15が、最終のウェーハであるか
否か、即ち図示しないローダーに未検査のウェーハが残
っていないか否かが判定される(ステップ320S)。
最終のウェーハでない場合(ステップ320S否定判
定)、検査済みウェーハを所定の格納箇所に保管し、そ
の代わりに新しい未検査のウェーハをステージ4−15
にセットする(ステップ322S)。その後、ステップ
302Sに戻って当該ウェーハに関して同様の処理を繰
り返す。最終のウェーハであった場合(ステップ320
S肯定判定)、検査済みウェーハを所定の格納箇所に保
管し、全工程を終了する。
【0490】次に、ステップ304Sの処理の流れを図
57のフローチャートに従って説明する。
【0491】図57では、先ず、画像番号iを初期値1
にセットする(ステップ330S)。この画像番号は、
複数の被検査領域画像の各々に順次付与された識別番号
である。次に、セットされた画像番号iの被検査領域に
ついて画像位置(Xi,Yi)を決定する(ステップ33
2S)。この画像位置は、被検査領域を画定させるため
の該領域内の特定位置、例えば該領域内の中心位置とし
て定義される。現時点では、i=1であるから画像位置
(X1,Y1)となり、これは例えば図59に示された被
検査領域32a−15の中心位置に該当する。全ての被
検査画像領域の画像位置は予め定められており、例えば
制御部16−15のハードディスク上に記憶され、ステ
ップ332Sで読み出される。
【0492】次に、図54の偏向電極11−15を通過
する一次電子線が、ステップ332Sで決定された画像
位置(Xi,Yi)の被検査画像領域に照射されるよう
に、偏向制御器12−15が偏向電極11−15に電位
を加える(図57のステップ334S)。
【0493】次に、電子銃1−15から一次電子線を放
出し、静電レンズ2−15、E×B偏向器3−15、対
物レンズ10−15及び偏向電極11−15を通して、
セットされたウェーハ5−15表面上に照射する(ステ
ップ336S)。このとき、一次電子線は、偏向電極1
1−15の作り出す電場によって偏向され、ウェーハ検
査表面34−15上の画像位置(Xi,Yi)の被検査画
像領域全体に亘って照射される。画像番号i=1の場
合、被検査領域は32a−15となる。
【0494】一次電子線が走査された被検査領域からは
二次電子が放出される。そこで、発生した二次電子線を
検出器7−15に集束させる。検出器7−15は、二次
電子線を検出し、電気信号を出力する。次に、画像形成
回路20−15にて該電気信号をデジタル画像データに
変換出力する(ステップ338S)。そして、形成され
画像番号iのデジタル画像データを二次電子画像記憶領
域8−15に転送する(ステップ340S)。
【0495】次に、画像番号iを1だけインクリメント
し(ステップ342S)、インクリメントした画像番号
(i+1)が一定値iMAXを越えているか否かを判定す
る(ステップ344S)。このiMAXは、取得すべき被
検査画像の数であり、図55の上述した例では、「1
6」である。
【0496】画像番号iが一定値iMAXを越えていない
場合(ステップ344S否定判定)、再びステップ33
2Sに戻り、インクリメントした画像番号(i+1)に
ついて画像位置(Xi+1,Yi+1)を再び決定する。この
画像位置は、前のルーチンで決定した画像位置(Xi
i)からX方向及び/又はY方向に所定距離(ΔXi
ΔYi)だけ移動させた位置である。図59の例では、
被検査領域は、(X1,Y1)からY方向にのみ移動した
位置(X2,Y2)となり、破線で示した矩形領域32b
−15となる。なお、(ΔXi,ΔYi)(i=1,
2,...iMAX)の値は、ウェーハ検査面34−15
のパターン30−15が検出器7−15の視野から実際
に経験的にどれだけずれるかというデータと、被検査領
域の数及び面積から適宜定めておくことができる。
【0497】そして、ステップ332S乃至342Sの
処理をiMAX個の被検査領域について順次繰り返し実行
する。これらの被検査領域は、図59に示すように、k
回移動した画像位置(Xk,Yk)では被検査画像領域3
2k−15となるように、ウェーハの検査面34−15
上で、部分的に重なり合いながら位置がずらされてい
く。このようにして、図55に例示した16個の被検査
画像データが画像記憶領域8−15に取得される。取得
した複数の被検査領域の画像32−15(被検査画像)
は、図55に例示されたように、ウェーハ検査面34−
15上のパターン30−15の画像30a−15を部分
的若しくは完全に取り込んでいることがわかる。
【0498】インクリメントした画像番号iがiMAX
越えた場合(ステップ344S肯定判定)、このサブル
ーチンをリターンして図56のメインルーチンの比較工
程(ステップ308S)に移行する。
【0499】なお、ステップ340でメモリ転送された
画像データは、検出器7−15により検出された各画素
毎の二次電子の強度値(いわゆるベタデータ)からなる
が、後段の比較工程(図56のステップ308S)で基
準画像とマッチング演算を行うため、様々な演算処理を
施した状態で記憶領域8−15に格納しておくことがで
きる。このような演算処理には、例えば、画像データの
サイズ及び/又は濃度を基準画像データのサイズ及び/
又は濃度に一致させるための正規化処理や、所定画素数
以下の孤立した画素群をノイズとして除去する処理など
がある。更には、単純なベタデータではなく、高精細パ
ターンの検出精度を低下させない範囲で検出パターンの
特徴を抽出した特徴マトリクスにデータ圧縮変換してお
いてもよい。このような特徴マトリクスとして、例え
ば、M×N画素からなる2次元の被検査領域を、m×n
(m<M,n<N)ブロックに分割し、各ブロックに含
まれる画素の二次電子強度値の総和(若しくはこの総和
値を被検査領域全体の総画素数で割った正規化値)を、
各マトリックス成分としてなる、m×n特徴マトリック
スなどがある。この場合、基準画像データもこれと同じ
表現で記憶しておく。本発明の実施形態でいう画像デー
タとは、単なるべタデータは勿論のこと、このように任
意のアルゴリズムで特徴抽出された画像データを包含す
る。
【0500】次に、ステップ308Sの処理の流れを図
58のフローチャートに従って説明する。
【0501】先ず、制御部16−15のCPUは、基準
画像記憶部13−15(図54)から基準画像データを
RAM等のワーキングメモリ上に読み出す(ステップ3
50S)。この基準画像は、図55では参照番号36−
15で表される。そして、画像番号iを1にリセットし
(ステップ352S)、記憶領域8−15から画像番号
iの被検査画像データをワーキングメモリ上に読み出す
(ステップ354S)。
【0502】次に、読み出した基準画像データと、画像
iのデータとをマッチングして、両者間の距離値Di
算出する(ステップ356S)。この距離値Diは、基
準画像と、被検査画像iとの間の類似度を表し、距離値
が大きいほど基準画像と被検査画像との差異が大きいこ
とを表している。この距離値Diとして類似度を表す量
であれば任意のものを採用することができる。例えば、
画像データがM×N画素からなる場合、各画素の二次電
子強度(又は特徴量)をM×N次元空間の各位置ベクト
ル成分とみなし、このM×N次元空間上における基準画
像ベクトル及び画像iベクトル間のユークリッド距離又
は相関係数を演算してもよい。勿論、ユークリッド距離
以外の距離、例えばいわゆる市街地距離等を演算するこ
ともできる。更には、画素数が大きい場合、演算量が膨
大になるので、上記したようにm×n特徴ベクトルで表
した画像データ同士の距離値を演算してもよい。
【0503】次に、算出した距離値Diが所定の閾値T
hより小さいか否かを判定する(ステップ358S)。
この閾値Thは、基準画像と被検査画像との間の十分な
一致を判定する際の基準として実験的に求められる。
【0504】距離値Diが所定の閾値Thより小さい場
合(ステップ358S肯定判定)、当該ウェーハ5−1
5の当該検査面34−15には「欠陥無し」と判定し
(ステップ360S)、本サブルーチンをリターンす
る。即ち、被検査画像のうち1つでも基準画像と略一致
したものがあれば、「欠陥無し」と判定する。このよう
に全ての被検査画像とのマッチングを行う必要が無いの
で、高速判定が可能となる。図55の例の場合、3行3
列目の被検査画像が、基準画像に対して位置ずれが無く
略一致していることがわかる。
【0505】距離値Diが所定の閾値Th以上の場合
(ステップ358S否定判定)、画像番号iを1だけイ
ンクリメントし(ステップ362S)、インクリメント
した画像番号(i+1)が一定値iMAXを越えているか
否かを判定する(ステップ364S)。
【0506】画像番号iが一定値iMAXを越えていない
場合(ステップ364S否定判定)、再びステップ35
4Sに戻り、インクリメントした画像番号(i+1)に
ついて画像データを読み出し、同様の処理を繰り返す。
【0507】画像番号iが一定値iMAXを越えた場合
(ステップ364S肯定判定)、当該ウェーハ5−15
の当該検査面34−15には「欠陥有り」と判定し(ス
テップ366S)、本サブルーチンをリターンする。即
ち、被検査画像の全てが基準画像と略一致していなけれ
ば、「欠陥有り」と判定する。
【0508】なお、検出された二次電子画像を第1実施
の形態に記載した欠陥検査の第1の検査ないし第4の検
査のうち少なくとも1の検査により検査してもよいし、
必要に応じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0509】本発明の欠陥検査装置においては、上記し
たマルチカラム型の電子線装置のみならず、いわゆるマ
ルチビームによる走査型の電子線装置を利用することが
できる。これを第14の実施の形態における第2の態様
として図60を用いて説明する。
【0510】図60は、本発明に係る電子線装置の一つ
の実施形態を概略的に示す図で、同図において、電子銃
61−15から放出された電子線は、コンデンサレンズ
62−15によって集束されて点64−15においてク
ロスオーバを形成する。
【0511】コンデンサレンズ62−15の下方には、
複数の開口を有する第1のマルチ開口板63−15が配
置され、これによって複数の一次電子線が形成される。
第1のマルチ開口板63−15によって形成された一次
電子線の夫々は、縮小レンズ65−15によって縮小さ
れて点75−15に投影される。点75−15で合焦し
た後、対物レンズ67−15によって試料68−15に
合焦される。第1のマルチ開口板63−15から出た複
数の一次電子線は、縮小レンズ65−15と対物レンズ
67−15との間に配置された偏向器80−15によ
り、同時に試料68−15の面上を走査するように偏向
される。
【0512】縮小レンズ65−15及び対物レンズ67
−15の像面湾曲収差が発生しないように、図60に示
すように、マルチ開口板63−15は、円周上に小開口
が配置され、そのX方向へ投影したものは等間隔となる
構造となっている。
【0513】合焦された複数の一次電子線によって、試
料68−15の複数の点が照射され、照射されたこれら
の複数の点から放出された二次電子線は、対物レンズ6
7−15の電界に引かれて細く集束され、E×B分離器
66−15で偏向され、二次光学系に投入される。二次
電子像は、点75−15より対物レンズ67−15に近
い点76−15に焦点を結ぶ。これは、各一次電子線は
試料面上で500eVのエネルギーを持っているのに対
し、二次電子線は数eVのエネルギーしか持っていない
ためである。
【0514】二次光学系は、拡大レンズ69−15、7
0−15を有しており、これらの拡大レンズ69−1
5、70−15を通過した二次電子線は、第2マルチ開
口板71−15の複数の開口に結像する。そして、これ
らの開口を通って複数の検出器72−15で検出され
る。なお、検出器72−15の前に配置された第2のマ
ルチ開口板71−15に形成された複数の開口と、第1
のマルチ開口板63−15に形成された複数の開口とは
一対一に対応している。
【0515】夫々の検出器72−15は、検出した二次
電子線を、その強度を表す電気信号へ変換する。こうし
た各検出器から出力された電気信号は増幅器73−15
によって夫々増幅された後、画像処理部74−15によ
って受信され、画像データへ変換される。画像処理部7
4−15には、一次電子線を偏向させるための走査信号
が偏向器80−15から更に供給されるので、画像処理
部74−15は試料68−15の面を表す画像を表示す
る。この画像は、第14の実施の形態における第1の態
様で説明した位置の異なる複数の被検査画像(図55)
のうち1つの画像に相当している。この画像を基準画像
36−15と比較することにより、試料68−15の欠
陥を検出することができる。また、レジストレーション
により試料68−15上の被評価パターンを一次光学系
の光軸の近くへ移動させ、ラインスキャンすることによ
って線幅評価信号を取り出し、これを適宜に校正するこ
とにより、試料68−15上のパターンの線幅を測定す
ることができる。
【0516】ここで、第1のマルチ開口板63−15の
開口を通過した一次電子線を試料68−15の面上に合
焦させ、試料68−15から放出された二次電子線を検
出器72−15に結像させる際、一次光学系及び二次光
学系で生じるコマ収差、像面湾曲及び視野非点という3
つの収差による影響を最小にするよう配慮した方がよ
い。
【0517】次に、複数の一次電子線の間隔と、二次光
学系との関係については、一次電子線の間隔を、二次光
学系の収差よりも大きい距離だけ離せば複数のビーム間
のクロストークを無くすことができる。
【0518】図60の走査型電子線装置においても、図
56及び図57のフローチャートに従って、試料68−
15の検査を行う。この場合、図57のステップ332
−15の画像位置(Xi,Yi)は、マルチビームを走査
して得られる複数のライン画像を合成した2次元画像の
中心位置に対応する。この画像位置(Xi,Yi)は、後
の工程で順次、変更されるが、これは、例えば偏向器8
0−15のオフセット電圧を変更することによって行
う。偏向器80−15は、設定されたオフセット電圧の
回りに電圧を変化させることによって、通常のライン走
査を行う。勿論、偏向器80−15とは別体の偏向手段
を設け、これにより画像位置(Xi,Yi)の変更を行っ
てもよい。
【0519】以上が上記第14の実施の形態の各態様で
あるが、本発明は、上記例にのみ限定されるものではな
く本発明の要旨の範囲内で任意好適に変更可能である。
【0520】例えば、被検査試料として半導体ウェーハ
5−15を例に掲げたが、本発明の被検査試料はこれに
限定されず、電子線によって欠陥を検出することができ
る任意のものが選択可能である。例えばウェーハへの露
光用パターンが形成されたマスク等を検査対象とするこ
ともできる。
【0521】また、本発明は、電子以外の荷電粒子線を
用いて欠陥検出を行う装置にも適用できるばかりでな
く、試料の欠陥を検査可能な画像を取得できる任意の装
置にも適用可能である。
【0522】更に、偏向電極80−15は、対物レンズ
67−15とウェーハ68−15との間のみならず、一
次電子線の照射領域を変更できる限り任意の位置に置く
ことができる。例えば、E×B偏向器66−15と対物
レンズ67−15との間、電子銃61−15とE×B偏
向器66−15との間などがある。更には、E×B偏向
器66−15が生成する場を制御することによって、そ
の偏向方向を制御するようにしてもよい。即ち、E×B
偏向器66−15に偏向電極80−15の機能を兼用さ
せてもよい。
【0523】また、上記実施形態では、画像データ同士
のマッチングを行う際に、画素間のマッチング及び特徴
ベクトル間のマッチングのいずれかとしたが、両者を組
み合わせることもできる。例えば、最初、演算量の少な
い特徴ベクトルで高速マッチングを行い、その結果、類
似度の高い被検査画像については、より詳細な画素デー
タでマッチングを行うという2段階の処理によって、高
速化と精度とを両立させることができる。
【0524】また、本発明の実施形態では、被検査画像
の位置ずれを一次電子線の照射領域の位置ずらしのみで
対応したが、マッチング処理の前若しくはその間で画像
データ上で最適マッチング領域を検索する処理(例えば
相関係数の高い領域同士を検出してマッチングさせる)
と本発明とを組み合わせることもできる。これによれ
ば、被検査画像の大きな位置ずれを本発明による一次電
子線の照射領域の位置ずらしで対応すると共に、比較的
小さな位置ずれを後段のデジタル画像処理で吸収するこ
とができるので、欠陥検出の精度を向上させることがで
きる。
【0525】また、図56のフローチャートの流れも、
これに限定されない。例えば、ステップ312Sで欠陥
有りと判定された試料について、他の領域の欠陥検査は
行わないことにしたが、全領域を網羅して欠陥を検出す
るように処理の流れを変更してもよい。また、一次電子
線の照射領域を拡大し1回の照射で試料のほぼ全検査領
域をカバーできれば、ステップ314S及びステップ3
16Sを省略することができる。
【0526】以上詳細に説明したように第14の実施の
形態に係る欠陥検査装置によれば、試料上で部分的に重
なり合いながら互いから変位された複数の被検査領域の
画像を各々取得し、これらの被検査領域の画像と基準画
像とを比較することによって、試料の欠陥を検査するよ
うにしたので、被検査画像と基準画像との位置ずれによ
る欠陥検査精度の低下を防止できる、という優れた効果
が得られる。
【0527】(第15の実施の形態)本発明において
は、基板に1次電子線を照射し、基板から放出される2
次電子を検出して2次電子画像を取りこむ装置に於い
て、二次電子が持つショット雑音の大部分が一次電子線
のショット雑音であり、一次電子線の持つショット雑音
を減らすことにより二次電子のショット雑音を減らすこ
とができる点に着目し、もって、一次電子線の照射量が
少なくても二次電子の検出信号のS/N比を必要な大き
さとすることができるようにしたものである。
【0528】一次電子線のショット雑音を低減する手段
について、以下に説明する。
【0529】電子銃電流がカソード温度で決まっている
状態、すなわち温度制限領域で作動中の場合、電子銃が
放出するショット雑音inは、次式で表わされる(電気
通信学会編「通信工学ハンドブック」P.471(19
57年)を参照)。
【0530】 in 2=2e・Ip・Bf (1) 式(1)において、in 2は雑音電流の2乗平均値、eは
電子の電荷、Ipはアノード直流電流、Bfは信号増幅器
の周波数帯域である。電子流が空間電荷制限領域の場合
は、 in 2=Γ22e・Ip・Bf (2) となる。式(2)において、Γ2は低減係数で1より小
さい値である。
【0531】Γ2は、カソード温度が十分大きい場合、
最小0.018程度になり、雑音電流は、温度制限領域
の場合の13%まで小さくなる。この場合のS/N比
は、二次電子≒一次電子であると仮定すると、 S/N=Ip/{Γ(2e・Ip・Bf1/2} =1/Γ・{Ip/(2e・Bf)}1/2 =n1/2/(Γ・21/2) (3) となる。Γ=0.13とすると、式(3)から、以下の
S/N比が得られる。 S/N=7.5(n/2)1/2 (4) (n:二次電子個数/ピクセル) 即ち、空間電荷制限領域で動作する電子銃は、温度制限
領域での電子銃(TFE)に比べて、ピクセル当りの二
次電子数を55倍(=1/Γ2=1/0.132)多く検
出したのと等価になる。後者が前者よりも輝度が2桁程
度大きいので、同じビーム径を想定すると、後者は前者
よりも2桁大きいビーム電流が得られるが、S/N比は
前者比で1/55となる。言い換えると、空間電荷制限
領域の電子銃では、温度制限領域の電子銃に比べて、測
定時間が100/55≒1.8倍必要となるが、ドーズ
は1/55ですむことになる。
【0532】電子銃が空間電荷制限領域で動作中である
かどうかは、図61を参照して以下に説明する方法で調
べることができる。
【0533】図61の(A)は、電子銃電流とカソード
加熱電流との関係を表しており、(A)において、領域
Pは、カソード加熱電流を増大させても電子銃電流が殆
ど増加しない領域であり、この領域Pが空間電荷制限領
域である。
【0534】また、図61の(B)は、電子銃電流とア
ノード電圧との関係を表しており、(B)において、領
域Qは、アソード電圧を増加させると電子銃電流が急速
に増加する領域であり、この領域Qも空間電荷制限領域
である。
【0535】以上から、電子銃のカソード加熱電流を増
大させて電子銃電流を測定し、該電子銃電流が飽和して
いる領域Pであるか、または、電子銃のアノード電圧を
増大させて電子銃電流を測定し、該電子銃電流が急激に
変化している領域であれば、電子銃が空間電荷制限領域
で動作中であるとすることができる。したがって、電子
銃を空間電荷制限領域で動作させるための条件を設定す
ることができる。
【0536】即ち、基板に1次電子線を照射し、基板か
ら発生する2次電子を検出し、2次電子画像を取りこ
み、欠陥検査を高精度で行える。
【0537】この欠陥検査は、取込んだ2次電子画像を
第1実施の形態に記載した欠陥検査の第1の検査ないし
第4の検査のうち少なくとも1の検査により行う。な
お、必要に応じて複数の検査を組み合わせてもよい。
【0538】(第16の実施の形態)図62(A),
(B)は、上記第1乃至第15の実施の形態で示した電
子線装置を半導体デバイス製造工程におけるウェーハの
評価に適用したものである。
【0539】デバイス製造工程の一例を図62(A)の
フローチャートに従って説明する。この製造工程例は以
下の各主工程を含む。 ウェーハを製造するウェーハ製造工程(又はウェー
ハを準備する準備工程)(ステップ100S) 露光に使用するマスクを製作するマスク製造工程
(又はマスクを準備するマスク準備工程)(ステップ1
01S) ウェーハに必要な加工処理を行うウェーハプロセッ
シング工程(ステップ102S) ウェーハ上に形成されたチップを1個ずつ切り出
し、動作可能にならしめるチップ組立工程(ステップ1
03S) 組み立てられたチップを検査するチップ検査工程
(ステップ104S)なお、各々の工程は、更に幾つか
のサブ工程からなっている。
【0540】これらの主工程の中で、半導体デバイスの
性能に決定的な影響を及ぼす主工程がウェーハプロセッ
シング工程である。この工程では、設計された回路パタ
ーンをウェーハ上に順次積層し、メモリやMPUとして
動作するチップを多数形成する。このウェーハプロセッ
シング工程は以下の各工程を含む。 絶縁層となる誘電体薄膜や配線部、或いは電極部を
形成する金属薄膜等を形成する薄膜形成工程(CVDや
スパッタリング等を用いる) 形成された薄膜層やウェーハ基板を酸化する酸化工
程 薄膜層やウェーハ基板等を選択的に加工するために
マスク(レチクル)を用いてレジストのパターンを形成
するリソグラフィー工程 レジストパターンに従って薄膜層や基板を加工する
エッチング工程(例えばドライエッチング技術を用い
る) イオン・不純物注入拡散工程 レジスト剥離工程 加工されたウェーハを検査する検査工程 なお、ウェーハプロセッシング工程は必要な層数だけ繰
り返し行い、設計通り動作する半導体デバイスを製造す
る。(第1の実施の形態に記載した欠陥検査の第1の検
査ないし第4の検査のうち少なくとも1の検査により検
査される。なお、必要に応じて複数の検査を組み合わせ
てもよい) 上記ウェーハプロセッシング工程の中核をなすリソグラ
フィー工程を図62(B)のフローチャートに示す。こ
のリソグラフィー工程は以下の各工程を含む。 前段の工程で回路パターンが形成されたウェーハ上
にレジストをコートするレジスト塗布工程(ステップ2
00S) レジストを露光する露光工程(ステップ201S) 露光されたレジストを現像してレジストのパターン
を得る現像工程(ステッ プ202S) 現像されたパターンを安定化させるた
めのアニール工程(ステップ203S) 以上の半導体デバイス製造工程、ウェーハプロセッシン
グ工程、リソグラフィー工程には周知の工程が適用され
る。
【0541】上記のウェーハ検査工程において、本発
明の上記各実施の形態に係る電子線装置を用いた場合、
微細なパターンを有する半導体デバイスでも、二次電子
画像の像障害が無い状態で高精度に欠陥を検査できるの
で、製品の歩留向上、欠陥製品の出荷防止が可能とな
る。
【0542】
【発明の効果】請求項1から4に記載の発明によれば、
適宜、次のような効果を奏することが可能である。 (イ)ステージ装置が真空内で高精度な位置決め性能を
発揮することができ、更に、荷電ビーム照射位置の圧力
が上昇しにくい。すなわち、基板に対する荷電ビームに
よる処理を高精度に行うことができる。 (ロ)静圧軸受け支持部から放出されたガスが仕切りを
通過して荷電ビーム照射領域側に通過することがほとん
どできない。これによって荷電ビーム照射位置の真空度
を更に安定させることができる。 (ハ)荷電ビーム照射領域側に放出ガスが通過すること
が困難になり、荷電ビーム照射領域の真空度を安定に保
ち易くなる。 (ニ)真空チャンバ内が、荷電ビーム照射室、静圧軸受
け室及びその中間室の3室に小さいコンダクタンスを介
して分割された形になる。そして、それぞれの室の圧力
を、低い順に荷電ビーム照射室、中間室、静圧軸受け室
となるように真空排気系を構成する。中間室への圧力変
動は仕切りによって更に低く抑えられ、荷電ビーム照射
室への圧力変動は、もう一段の仕切りによって更に低減
され、圧力変動を実質的に問題ないレベルまで低減する
ことが可能となる。 (ホ)仕切りがコールドトラップ機能を有している場合
は、ステージが移動した時の圧力上昇を低く抑えること
が可能になる。 (ヘ)ステージの、少なくとも静圧軸受けに面する部品
表面に放出ガスを低減するための表面処理を施した場合
には、ステージが移動した時の圧力上昇を更に低く抑え
ることが可能である。 (ト)ステージの静圧軸受けに供給されるガスはドライ
窒素もしくは高純度の不活性ガスであり、該ドライ窒素
もしくは高純度不活性ガスは、該ステージを収納するハ
ウジングから排気された後加圧され、再び前記静圧軸受
けに供給される場合には、ステージの位置決め性能が高
精度で、かつ荷電ビームの照射領域の真空度が安定した
検査装置を実現することができるので、検査性能が高
く、基板を汚染する恐れのない検査装置を提供すること
ができる。 (チ)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビ
ーム照射領域の真空度が安定した検査装置を実現するこ
とができるので、露光精度が高く、基板を汚染する恐れ
のない検査装置を提供することができる。 (リ)ステージの位置決め性能が高精度で、かつ荷電ビ
ーム照射領域の真空度が安定した装置によって半導体を
製造することにより、微細な半導体回路を形成できる。
【0543】請求項5から8に記載された電子線装置に
よれば、放電しやすいウェーハ、しにくいウェーハのそ
れぞれについて、放電しない条件を個々に判断すること
ができる。
【0544】また、ウェーハの周辺における欠損(不完
全)チップの領域を利用して放電現象の検出まで行え
ば、放電を起こさない限界条件を正確に知ることができ
る。また、正常な(完全な)チップの領域を利用した場
合でも、放電前駆現象の検出にとどめれば、正常なチッ
プを破損することなく、放電を起こさない条件を有効程
度に知ることができる。いずれにしろ、正常なチップを
破壊することがないので、高スループットの条件で、す
なわち二次電子検出効率の良い条件でウェーハの検査作
業を行うことができる。マルチビームを用いればさらに
高スループットとなる。
【0545】また請求項9から16に記載された発明に
よると、シングルビームを用いる場合又は複数の電子線
を用いる場合の(D/d)の最適値が明らかになり、ビ
ーム電流が少なすぎたり、MTFが小さすぎたりする問
題を解消することができる。
【0546】また、請求項17から20に記載された発
明によると、検査装置における電子銃を空間電荷制限領
域で動作させており、これにより、従来の温度制限領域
で動作させる場合に比べて、S/N比が大幅に向上す
る。したがって、少ないビーム電流で従来例と同様のS
/N比を得ることができる。
【0547】さらに、複数の一次電子ビームを用いて同
時に基板ウエハを走査しても、小さいビーム電流で所定
のS/N比を得ることができるので、空間電荷効果によ
るビームボケを無視できる程度に小さくすることができ
る。また、請求項1、5,9,13および、17に記載
の発明によれば、繰り返しパターン領域に対し、同一チ
ップ内における繰り返しパターンを相互に比較するセル
比較と、複数のチップ間で対応するパターン同士を比較
するチップ比較とを実行することによりパターンの欠陥
を検出することから、繰り返しパターン領域に発生した
比較的大きな欠陥を正確に検出することが可能となる。
【0548】さらに、請求項2、6,10,14及び、
18に記載の発明によれば、参照画像と被検査画像とを
比較するための前処理として、両画像の着目領域におけ
る最小濃度値近傍の第1濃度値よりも小さい濃度値の画
素と最大濃度値近傍の第2濃度値よりも大きい濃度値の
画素とを除外した着目領域の画像についての濃度範囲が
両画像の間で一致するように濃度変換が行われる。すな
わち、両画像の着目領域の濃度ヒストグラムにおける下
端部に相当する部分と上端部に相当する部分とを除外し
た濃度レンジが両画像の間で一致するように濃度変換が
行われる。したがって、良品画像の濃度範囲外の濃度値
に相当する欠陥が被検査物に存在する場合であっても、
この濃度変換により参照画像と被検査画像とが適切に整
合化されて両画像が正確に比較されるので、そのような
欠陥も確実に検出することができる。
【0549】請求項3,7,11,15及び、19に記
載の発明によれば、参照画像および被検査画像の着目画
素のうち近傍画素値の空間的変化量の小さい方が許容画
素として選択されると共に他方がターゲット画素として
選択され、許容画素について許容範囲が設定される。そ
して、その許容範囲内の任意の値は許容画素の値と見な
されて、ターゲット画素と許容画素とが比較されること
により、それらの画素の差分値が算出され、その差分値
に基づき被検査画像と参照画像との差異を示す差分マッ
プが作成される。このようにして被検査画像の着目画素
と前記参照画像の着目画素との一致性判断において誤差
を許容するために許容範囲の設定される画像が着目画素
近傍の空間的変化量に応じて画素単位で切り換えられる
ので、画像サンプリング誤差による擬似欠陥の検出を回
避しつつ欠陥の検出感度を向上させることができる。す
なわち、被検査物に微小パターンの欠損がある場合、そ
の微小パターン部分については、近傍画素値の空間的変
化量の小さい被検査画像の着目画素が許容画素として選
択され、許容範囲が従来法のように広くなることはない
ので、その微小パターンの欠損を確実に検出することが
できる。
【0550】また、請求項4,8,12,16、および
20に記載の発明によれば、欠陥が微細であった場合に
も、その欠陥を、欠陥の位置をある程度特定した上で検
出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る、写像投影型
の電子線装置を用いた欠陥検査システムの概略構成図で
ある。
【図2】図1の電子線装置で用いられるE×Bユニット
の詳細な構成を示す上面図である。
【図3】図2のA−A線に沿って取られたE×Bユニッ
トの断面図である。
【図4】図1の電子線装置の欠陥検査の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態における、総使用時
間とMCP倍増率との相関関係を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態における、MCP印
加電圧とMCP倍増率との相関関係を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における、MCP印
加電圧制御回路のフローチャートを示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態における、ウェーハ
Wの検査手順を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態のフィードスルー装
置の概略平面図である。
【図10】図9のフィードスルー装置の線A−Aに沿う
概略断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態の他の形態のフィ
ードスルー装置のほぼ4分の1を示す概略平面図であ
る。
【図12】図11のフィードスルー装置の線B−Bに沿
う概略断面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るフィードス
ルー装置を組込んだ欠陥検査装置の概略縦断面図であ
る。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る検査装置の
主要構成要素を示す立面図であって、図15の線A−A
に沿って見た図である。
【図15】図14に示す検査装置の主要構成要素の平面
図であって、図14の線B−Bに沿って見た図である。
【図16】図14のミニエンバイロメント装置を示す断
面図であって、線C−Cに沿って見た図である。
【図17】図14のローダハウジングを示す図であっ
て、図15の線D−Dに沿って見た図である。
【図18】ウェーハラックの拡大図であって、[A]は
側面図で、[B]は[A]の線E−Eに沿って見た断面
図である。
【図19】主ハウジングの支持方法の変形例を示す図で
ある。
【図20】主ハウジングの支持方法の別の変形例を示す
図である。
【図21】図14の検査装置の電子光学装置の概略構成
を示す模式図である。
【図22】電位印加機構を示す図である。
【図23】電子ビームキャリブレーション機構を説明す
る図であって、[A]は側面図であり、[B]は平面図
である。
【図24】ウェーハのアライメント制御装置の概略説明
図である。
【図25】基板出し入れ機構の別の態様を示す図であ
る。
【図26】本発明の第6の実施の形態における従来の荷
電ビーム装置の真空チャンバ及びXYステージを示す図
であって、[A]が正面図で[B]が側面図である。
【図27】図26のXYステージに使用されている電子
銃から放出される電子の強度分布を説明する図である。
【図28】本発明の第6の実施の形態に係る荷電ビーム
装置の一実施形態の真空チャンバ及びXYステージを示
す図であって、[A]が正面図で[B]が側面図であ
る。
【図29】本発明の第6の実施の形態に係る荷電ビーム
装置の他の実施形態の真空チャンバ及びXYステージを
示す図である。
【図30】本発明の第6の実施の形態に係る荷電ビーム
装置の別の実施形態の真空チャンバ及びXYステージを
示す図である。
【図31】本発明の第6の実施の形態に係る荷電ビーム
装置の更に別の実施形態の真空チャンバ及びXYステー
ジを示す図である。
【図32】本発明の第6の実施の形態に係る荷電ビーム
装置の更に別の実施形態の真空チャンバ及びXYステー
ジを示す図である。
【図33】本発明の第7の実施の形態における従来の荷
電ビーム装置の真空チャンバ及びXYステージを示す図
であって、[A]が正面図で[B]が側面図である。
【図34】図33のXYステージに使用されている差動
排気装置の説明図である。
【図35】本発明の第7の実施の形態に係る荷電ビーム
装置の一実施形態の真空チャンバ及びXYステージを示
す図である。
【図36】図35に示された装置に設けられた差動排気
機構の一例を示す図である。
【図37】図35に示された装置のガスの循環配管系を
示す図である。
【図38】本発明の第8実施の形態に係る電子線装置の
概略構成図である。
【図39】第8実施の形態において、一枚のウェーハ上
におけるデバイスの配置を示す平面図である。
【図40】本発明の第9の実施の形態に係る電子線装置
を示す概略構成図である。
【図41】図10実施の形態において、試料上のパター
ンとこのパターンの二次電子線の検出信号を示す波形図
である。
【図42】本発明の第10の実施の形態に係る評価装置
の第1態様の構成を説明するための概略ブロック図であ
る。
【図43】本発明の第10の実施の形態に係る、複数の
鏡筒を有する第2の態様の評価装置を説明するための、
鏡筒の配置関係を表した説明図である。
【図44】本発明の第11の実施の形態における、MT
F、(MTF)2、IP、(MTF)4PとD/dの関係
を示すグラフである。
【図45】本発明の第11の実施の形態に係る、電子線
装置の光学系の概略構成を示すブロック図である。
【図46】図44の電子線装置の鏡筒40を変形し複数
としたマルチ鏡筒の配置図である。
【図47】本発明の第12の実施の形態に係る試料の評
価方法を説明する図である。
【図48】第12の実施の形態における従来のウェーハ
の評価方法を説明する図である。
【図49】本発明の第12の実施の形態に係る評価装置
の電子線装置を示す概略図である。
【図50】第12の実施の形態において、セラミックス
に表面処理してできた静電偏向器、軸対称レンズ又は非
点補正レンズを示す図であり、[A]は静電偏向器又は
軸対称レンズの端面図であり、[B]は軸対称レンズの
断面図である。
【図51】本発明の第13の実施の形態に係る電子光学
装置の概略構成図である。
【図52】図51の電子光学装置で用いられる電子銃の
単結晶LaB6カソード先端の平面図である。
【図53】図51の電子光学装置で用いられる電子銃の
カソードの側面図である。
【図54】本発明の第14の実施の形態に係る欠陥検査
装置の概略構成図である。
【図55】図54の欠陥検査装置で取得される複数の被
検査画像及び基準画像の例を示す図である。
【図56】図54の欠陥検査装置におけるウェーハ検査
のメインルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図57】図56における複数の被検査画像データ取得
工程(ステップ304S)のサブルーチンの詳細な流れ
を示すフローチャートである。
【図58】図56における比較工程(ステップ308
S)のサブルーチンの詳細な流れを示すフローチャート
である。
【図59】半導体ウェーハの表面上で部分的に重なり合
いながら互いから位置がずらされた複数の被検査領域を
概念的に示す図である。
【図60】第14の実施の形態に係る欠陥検査装置とし
て使用可能な走査型電子線装置の構成図である。
【図61】本発明に係る評価装置の電子銃を駆動する領
域を説明するためのグラフである。
【図62】(A)半導体デバイス製造プロセスを示すフ
ローチャートである。(B)(A)の半導体デバイス製
造プロセスのうちリソグラフィープロセスを示すフロー
チャートである。
【図63】第1の検査を実施するパターン検査装置の概
要図である。
【図64】CRT1019上に拡大表示されたチップ1
031上のパターンの画像を模式的に示す説明図であ
る。
【図65】チップ比較検査を行うべき領域とセル比較検
査を行うべき領域とを示す説明図である。
【図66】セル比較検査を利用して欠陥を検出する動作
を示す説明図である。
【図67】セル比較検査を利用して欠陥を検出する動作
を示す説明図である。
【図68】第2の検査における第1の実施形態に係るパ
ターン検査装置の構成を示すブロック図である。
【図69】第2の検査における第1の実施形態に係るパ
ターン検査装置における画像整合化処理部の構成を示す
ブロック図である。
【図70】第2の検査における第1の実施形態における
上下限パーセンタイル値の算出を説明するための濃度ヒ
ストグラムおよび累積ヒストグラムを示す図である。
【図71】第2の検査における第1の実施形態における
参照画像と被検査画像との整合化処理を説明するための
濃度ヒストグラムを示す図である。
【図72】“べたパターン”のみを含む画像に対して従
来の正規化を施した場合における欠陥の検出能力の低下
を説明するための濃度ヒストグラムを示す図である。
【図73】第2の検査における第2の実施形態に係るパ
ターン検査装置における画像整合化処理部の構成を示す
ブロック図である。
【図74】パターン検査において比較されるべき被検査
画像と参照画像の濃度ヒストグラムを示す図である。
【図75】被検査画像および参照画像の濃度レンジを予
め決められた正規化レンジに変換するための濃度の線形
変換を説明するための図である。
【図76】従来の正規化による被検査画像と参照画像の
整合化が困難な一例を説明するための図である。
【図77】従来の正規化による被検査画像と参照画像の
整合化が困難な他の例を説明するための図である。
【図78】第3の検査に係るパターン検査装置の構成を
示すブロック図である。
【図79】上記実施形態において被検査画像と参照画像
とから差分マップを作成するための基礎となる方式(基
礎方式)を説明するための詳細ブロック図である。
【図80】上記実施形態において被検査画像と参照画像
とから差分マップを作成するための画素比較方式を説明
するための詳細ブロック図である。
【図81】被検査画像と参照画像とから差分マップを作
成するための基礎方式による動作例を示す図である。
【図82】被検査画像と参照画像とから差分マップを作
成するための上記実施形態の動作例を示す図である。
【図83】従来のパターン検査方法(従来法)を微小パ
ターン欠損のある被検査物に適用した場合の問題点を説
明するための図である。
【図84】比較法による繰り返しパターンの検査方法を
説明するための図である。
【図85】従来の比較法(従来法)によって繰り返しパ
ターンを検査する場合の問題点を説明するための図であ
る。
【図86】第4の検査に係るパターン欠陥検査装置の概
要図である。
【図87】パターン欠陥検査工程を示すフローチャート
である。
【図88】参照画像4031と被検査画像4032とを
示す模式図である。
【図89】絶対値画像4034a〜4034iを示す模
式図である。
【図90】差の最大対値画像4035a〜4035iを
示す模式図である。
【図91】欠陥画像4036を示す模式図である。
【図92】参照画像4041と被検査画像4042とを
示す模式図である。
【図93】絶対値画像4044a〜4044iを示す模
式図である。
【図94】差の最大対値画像4045a〜4045iを
示す模式図である。
【図95】欠陥画像4046を示す模式図である。
【符号の説明】
1−1 写像投影型の電子線装置 21−1 1次コラム 22−1 2次コラム 23−1 検査チャンバー 8−1 カソード 9−1 アノード 11−1 電子銃 12−1 電子ビーム 10−1 1次光学系 26 ステージ 25−1 四重極又は八極の静電(又は電磁)レンズ 35−1 検出器 28−1 カソードレンズ 29−1 ニューメニカルアパーチャ 31−1 第2レンズ 30−1 E×B分離ユニット(ウィーンフィルター) 33−1 第3レンズ 32−1 フィールドアパーチャ 34−1 第4レンズ 35’−1 偏向器 14−1 マイクロチャンネルプレート(MCP) 15−1 蛍光スクリーン 16−1 真空透過窓 17−1 ファイバーオプティカルプレート(FOP) 18−1 TDI−CCD 34−1 メモリ 36−1 コントロールユニット 37−1 CPU 24−1 ディスプレイ 40−1 ステージ駆動機構 41−1 搬送機構 50a−1 凹面状の曲面を持つ電極 50b−1 凹面状の曲面を持つ電極 53a−1 制御部 53b−1 制御部 51a−1 電磁コイル 51b−1 電磁コイル 61a−1 照射電子ビーム 61b−1 照射電子ビーム 62a−1 2次電子 62b−1 2次電子 19−1 走査用偏向器 40−3 MCP印加電圧制御回路 10−4 フィードスルー装置 2−4 フィードスルー部 5−4 電気導入ピン 9−4 配線 1−4 金属フランジ 3−4 シェル 4−4 パターンメタライズ部 6−4 ダイ(機能素子) 5−4 ピン 7−4 ダイボンディング部 9−4 接続配線 8−4 ダイパッド部 15−4 配線板 12−4 下方パターンメタライズ 16−4 上方パターンメタライズ 30−4 ウェーハ欠陥検査装置 41−4 電子ビーム 21−4 真空チャンバ 27−4 MCP/FOPアッセンブリー 1 半導体検査装置 10 カセットホルダ 20 ミニエンバイロメント装置 30 主ハウジング 40 ローダハウジング 50 ステージ装置 60 ローダー 70 電子光学装置 83 電位印加機構 85 電子ビームキャリブレーション機構 87 アライメント制御装置 871 光学顕微鏡 11 昇降テーブル 501 箱本体 24 基板反応箱 503 蓋体 505 ULPAフィルタ 506 ケミカルフィルタ 507 ファンモータ 60 ローター 61 第1の搬送ユニット 21 ミニエンバイロメント空間 23 気体循環装置 24 排出装置 25 プリアライナー 22 ハウジング 221 頂壁 222 底壁 223 周壁 232 回収ダクト 233 導管 225 出入り口 241 吸入ダクト 242 ブロワー 25 アライナー 37 防振装置 33 ハウジング支持装置 331 フレーム構造体 36 台フレーム 41 第1のローディングチャンバ 42 第2のローディングチャンバ 43 ハウジング本体 434 仕切壁 435 出入り口 27 シャッタ装置 271 シール材 272 扉 273 駆動装置 45 シャッタ装置 471 矩形の基板 472 支柱 473、474 2段の支持部 51 固定テーブル 52 Yテーブル 53 Xテーブル 54 回転テーブル 55 ホルダ 551 ウェーハ載置面 521、531 サーボモータ 522、532 エンコーダ 61 第1の搬送ユニット 63 第2の搬送ユニット 611 駆動部 612 多節のアーム 613 回転可能な軸 616 把持装置 47 ウェーハ受け 232 回収ダクト 231 気体供給ユニット 71 鏡筒 724 対物レンズ系 811 荷電粒子照射部 83 電位印加機構 831 電圧印加装置 832 チャージアップ調査及び電圧決定システム 833 モニター 834 オペレータコンソール 851、852 複数のファラデーカップ 8−7 ハウジング 2−7 荷電ビーム照射部 10−7 真空配管 11−7 真空配管 1−7 鏡筒 2−7 先端部 4−7 試料台 3−7 XYステージ 5−7 Y方向可動部 6−7 X方向可動部 6a−7 ガイド面 9−7 静圧軸受け 18−7と17−7 二重の溝 7−7 ステージ台 6a−7、7a−7 ガイド面 14−7 仕切り板 50−7、51−7 絞り部 13−7、15−7 ステージ内部の空間 17−7、18−7 差動排気溝 24−7 試料近傍 11−1−7、11−2−7 真空排気通路 2 荷電ビーム照射部 16−7 円筒状の仕切り 24−7 仕切りの内部 10−7 真空配管 4−1−7 リング部材 52−7 微小隙間 24−7 鏡筒先端部周囲の空間 20−7 円周溝 29−7 支持部材 30−7 冷凍機 28−7 部材 50−7、51−7 絞り 14′−8 ハウジング 19′−8 真空配管 1−8 荷電ビーム鏡筒 3′−8 XYステージ 4′−8 Y方向可動部 5′−8 X方向可動部 5a′−8 ガイド面 9′−8 静圧軸受け g1、g2 二重の溝 6−8 台座 7a−8、7b−8 Y方向ガイド 11a−8、9a−8、11b−8、9b−8 静圧軸
受け 12−8 リニアモータ 22−8 フレキシブル配管 19−8、20a−8、20b−8 真空配管 25−8 差動排気機構 53−8 ドライ真空ポンプ 51−8 ターボ分子ポンプ 76−8 配管 54−8 圧縮機 61−8、62−8 レギュレータ 60−8 コールドトラップやフィルタ 63−8 高純度不活性ガス供給系 70−8〜75−8 真空配管 76−8〜80−8 加圧側配管 1−9 電子銃 31−9 ウェーネルト 32−9 カソード 33−9,34−9 軸合わせ用偏向器 2−9 コンデンサ・レンズ 8−9 ウィーン・フィルタ 9−9 対物レンズ S−9 ステージ 10−9 試料 12−9,40−9 偏向器 41−9 二次電子線検出部 42−9 画像処理部 43−9 鏡筒 12−9 静電偏向器 40−9 電磁偏向器 35−9 上部電極 36−9 中央電極 37−9 下部電極 38−9 電流導入端子 10−9 試料ウェーハ 20−9 電圧源 19−9 PMT 21−9 試料電流計 22−9 CPU 20−9 減速電界の電圧 50−9 円形ウェーハ 51−9 長方形チップ 52−9、53−9 欠損チップ 51−9 完全チップ 60−10 電子光学鏡筒 43−10 試料 24−10,25−10 軸合わせ電極 61−10 コンデンサレンズ 27−10 静電偏向器 29−10、30−10 電磁偏向器 62−10 E×B分離 41−10 対物レンズ 42−10 軸対称電極 28−10 検出器 20−10 電子銃 21−10 ショットキーシールド 22−10 TFEカソード 23−10 アノード 2−10 ローパスフィルター(LPF) 1−10 増幅器 3−10 A/D変換器 4−10 画像形成装置 5−10 偏向器制御電源 31−10 0.5μm掘られた部分 32−10 エッチングされていない部分 34−10 電気信号の強度が小 35−10 電気信号の強度が小 36−10 窪みが小 61−10 コンデンサレンズ 44−10 上部電極 45−10 中央電極 46−10 下部電極 47−10 リード線取付金具 43−10 一枚の試料 6−10 電子光学鏡筒 1−11 電子銃 2−11 カソード 3−11 アノード 4−11、5−11、27−11 偏向器 26−11 コンデンサレンズ 29−11、30−11偏向器 31−11 対物レンズ 33−11 ウェーハ 28−11 電子ビーム検出器 12−11 画像形成装置 13−11 走査制御装置 20−12 電子銃21−12 ウエーネルト 22−12 TFEカソード 23−12 アノード 24−12、25−12 軸合せ偏向器 34−12、35−12、36−12 コンデンサレン
ズ 30−12 E×B分離器 31−12 対物レンズ 33−12 試料 27−12 静電偏向器 30−12 E×B分離器 29−12 電磁偏向器 28−12 2次電子検出器 8−12 ステージ 40−12 鏡筒 1−13 シリコンウェーハ 2−13 チップ 10−13 鏡筒 11−13 一次電子光学系 31−13 二次電子光学系 41−13 検出系 12−13 電子銃 13−13 コンデンサレンズ 14−13 開口板 18−13 縮小レンズ 16−13 軸合わせ偏向器 17−13 非点補正レンズ 19−13 走査用偏向器 20−13 E×B型分離器 22−13 対物レンズ 12−13 電子銃 122−13 電界放出チップ 123−13 フィラメント 121−13 カソード 124−13 ショットキーシールド 14−13 開口板 141−13 開口 21−13 E×B分離器用の磁場発生コイル 31−13 二次光学系 32−13、33−13 拡大レンズ 34−13 マルチ検出板 41−13 検出系 42−13 検出器 43−13 処理装置 341−13 4個の開口 10−13 電子線装置 15−13 クロスオーバー 35−13 代表的な軌道 51−13 外側面 52−13 内面 53−13 端面 57−13 スリット 58−13、59−13 絶縁保持に必要な面 55−13 貫通穴 60−13 リード線 61−13 ワイヤボンディング結線 62−13 上部電極 64−13 下部電極 63−13 中央電極 65−13 空洞 69−13、70−13 コーティングのエッジ 5−14,7−14 縮小レンズ 10−14 対物レンズ 11−14 試料面 6−14、8−14 第1及び第2の縮小像 10−14 対物レンズ 9−14 E×B分離器 14−14 マルチ開口検出板 15−14 検出器 2−14 LaB6単結晶カソード 24−14 先端面 23−14 環状突起 26−14 45°の斜面 25−14 エミッタ領域 1−1 電子線装置 1−15 電子銃 2−15 静電レンズ 3−15 E×B偏向器 5−15 ウェーハ 10−15 対物レンズ 4−15 ステージ 7−15 検出器 16−15 制御部 11−15 偏向電極 12−15 偏向制御器 16−15 制御部 20−15 画像形成回路 14−15 制御部本体 15−15 CRT 18−15 入力部 8−15 二次電子画像記憶領域 13−15 基準画像記憶部 9−15 欠陥検出プログラム 4−15 ステージ 34−15 検査表面 32a−15、32b−15、...32k−1
5、...参照番号 32−15 被検査領域の画像 17−15 拡大画像 3−15 試料室 12−15 偏向制御器 11−15 偏向電極 32b−15 矩形領域 34−15 ウェーハ検査面 30−15 パターン 7−15 検出器 61−15 電子銃 62−15 コンデンサレンズ 64−15 クロスオーバ 63−15 第1のマルチ開口板 65−15 縮小レンズ 75−15 投影像 67−15 対物レンズ 68−15 試料 80−15 偏向器 76−15 焦点 69−15、70−15 拡大レンズ 71−15 第2マルチ開口板 72−15 複数の検出器 73−15 増幅器 74−15 画像処理部 36−15 基準画像 1011 基板支持テーブル 1012 アクチュエータ 1013 アクチュエータ 1014 テーブル駆動部 1015 カメラ 1016 A/D変換器 1017 制御部 1018 キーボード 1019 CRT 1020 画像処理部 1021 チップ比較検査部 1022 画像メモリ 1023 セル比較検査部 1024 画像メモリ 1025 統合判定部 1026 領域メモリ 2010 参照画像発生回路 2012 参照画像記憶部 2014 撮像装置 2016 第1バッファメモリ 2018,2058 参照画像領域切り出し部 2020,2060 被検査画像領域切り出し部 2022 パーセンタイル値算出部 2022a,2062a 累積ヒストグラム生成部 2022b,2062b パーセンタイル値決定部 2024 第2バッファメモリ 2026,2066 濃度変換部 2028 第3バッファメモリ 2030 比較演算回路 2100 画像整合化処理部 3010 参照画像発生回路 3012 参照画像記憶部 3014 撮像装置 3016 第1バッファメモリ 3020 周辺分布特徴算出部 3022 選択信号生成部 3026 許容画像生成選択部 3028 許容画像生成部 3030 ターゲット画像選択部 3032 第2バッファメモリ 3034 比較演算回路 3036 第3バッファメモリ 3038 欠陥判定回路 3220a,3220b 最大最小探索部 3221a,3221b 減算器 3222 比較器 3226a,3226b 3ステートゲート 3228 許容値生成回路 3230a,3230b 3ステートゲート 3234 誤差許容比較回路 4011 基板支持テーブル 4012 アクチュエータ 4013 アクチュエータ 4014 テーブル駆動部 4015 カメラ 4016 A/D変換器 4017 制御部 4020 画像処理部 4021 画像メモリ 4022 揺すらせ回路 4023 差の絶対値測定回路 4024 最大値フィルター処理回路 4025 最小値検出回路 4026 二値化処理回路 W 基板 El 下端部除外率 Eu 上端部除外率 RPmin 参照画像の着目領域データにおける下限パ
ーセンタイル値 RPmax 参照画像の着目領域データにおける上限パ
ーセンタイル値 OPmin 被検査画像の着目領域データにおける下限
パーセンタイル値 OPmax 被検査画像の着目領域データにおける上限
パーセンタイル値 REFin 濃度変換前の参照画像の画素値 REFout 濃度変換後の参照画像の画素値 REF 参照画像 OBJ 被検査画像 ΔR 参照画像の着目近傍変化量 ΔO 被検査画像の着目近傍変化量 Amax 最大許容値 Amin 最小許容値 tgt ターゲット画素値 sub 差分値 TGT ターゲット画像 AImax 最大許容値画像 AImin 最小許容値画像 Msub 差分マップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 37/18 H01J 37/18 5C033 37/20 37/20 D 5L096 37/22 502 37/22 502H 37/244 37/244 H01L 21/66 H01L 21/66 J (72)発明者 大西 浩之 京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神 北町1番地の1 大日本スクリーン製造株 式会社内 (72)発明者 佐々 泰志 京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神 北町1番地の1 大日本スクリーン製造株 式会社内 (72)発明者 金馬 利文 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 佐竹 徹 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 狩俣 努 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 渡辺 賢治 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 野路 伸治 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 村上 武司 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 畠山 雅規 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 中筋 護 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 曽布川 拓司 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 吉川 省二 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 大和田 伸 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 西藤 睦 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 Fターム(参考) 2G001 AA03 BA07 CA03 DA01 EA04 FA06 HA07 HA09 HA13 JA03 KA03 LA11 MA05 PA11 QA01 RA01 RA02 RA04 4M106 AA01 CA39 DB05 DB21 DJ18 DJ20 5B057 AA03 BA01 CA08 CA12 CA16 CC02 CE11 DA03 DA08 DB02 DB09 DC32 5C001 AA03 CC04 5C030 BB02 BC06 5C033 KK09 NN10 UU03 UU04 UU05 5L096 AA06 BA03 EA12 HA07

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板を少なくとも1つの自由度で連続的
    に移送可能に保持するステージを有し、前記ステージに
    は、静圧軸受けによる非接触支持機構と差動排気による
    真空シール機構とを設けて、前記基板上の電子ビームが
    照射される箇所と、前記ステージの静圧軸受け支持部と
    の間にコンダクタンスが小さくなる仕切りを設けた構造
    を有し、上記基板に電子線を照射し2次電子画像を取り
    込んで、前記基板上に形成された多数のチップにおける
    繰り返しパターンを検査するパターン検査装置であっ
    て、 同一チップ内の繰り返しパターン領域に対し、同一チッ
    プ内における繰り返しパターンを相互に比較するセル比
    較と、複数のチップ間で対応するパターン同士を比較す
    るチップ比較とを実行することによりパターンの欠陥を
    検出することを特徴とするパターン検査装置。
  2. 【請求項2】 基板を少なくとも1つの自由度で連続的
    に移送可能に保持するステージを有し、前記ステージに
    は、静圧軸受けによる非接触支持機構と差動排気による
    真空シール機構とを設けて、前記基板上の電子ビームが
    照射される箇所と、前記ステージの静圧軸受け支持部と
    の間にコンダクタンスが小さくなる仕切りを設けた構造
    を有し、前記基板に電子線を照射し2次電子画像を取り
    込んで、参照画像と被検査画像とを比較することにより
    パターンの欠陥を検出するパターン検査装置であって、 前記被検査画像の全部または一部の領域と当該領域に位
    置的に対応する前記参照画像の領域とに着目し、前記被
    検査画像と前記参照画像とを互いに比較するために、前
    記被検査画像と前記参照画像の少なくとも一方に対して
    濃度変換を施すことにより、前記被検査画像と前記参照
    画像とを整合化させる濃度変換手段とを備えることを特
    徴とするパターン検査装置。
  3. 【請求項3】 基板を少なくとも1つの自由度で連続的
    に移送可能に保持するステージを有し、前記ステージに
    は、静圧軸受けによる非接触支持機構と差動排気による
    真空シール機構とを設けて、前記基板上の電子ビームが
    照射される箇所と、前記ステージの静圧軸受け支持部と
    の間にコンダクタンスが小さくなる仕切りを設けた構造
    を有し、前記基板に電子線を照射し2次電子画像を取り
    込んで、参照画像と被検査画像とを比較することにより
    パターンの欠陥を検出するパターン検査装置であって、 前記被検査画像における各画素と当該画素に位置的に対
    応する前記参照画像の画素とに順次着目し、前記被検査
    画像の着目画素の近傍における画素値の空間的変化量を
    示す第1の周辺分布特徴値、および、前記参照画像の着
    目画素の近傍における画素値の空間的変化量を示す第2
    の周辺分布特徴値を算出する周辺分布特徴値算出手段を
    備え、 前記第1および第2の周辺分布特徴値に基づき、前記被
    検査画像の着目画素と前記参照画像の着目画素のうち、
    どちらか一方の着目画素を許容画素として選択すると共
    に他方の着目画素をターゲット画素として選択し、前記
    ターゲット画素と前記許容画素とを比較することを特徴
    とするパターン検査装置。
  4. 【請求項4】 基板を少なくとも1つの自由度で連続的
    に移送可能に保持するステージを有し、前記ステージに
    は、静圧軸受けによる非接触支持機構と差動排気による
    真空シール機構とを設けて、前記基板上の電子ビームが
    照射される箇所と、前記ステージの静圧軸受け支持部と
    の間にコンダクタンスが小さくなる仕切りを設けた構造
    を有し、前記基板に電子線を照射し2次電子画像を取り
    込んで、参照画像と被検査画像とを比較することにより
    パターンの欠陥を検出するパターン検査装置であって、 前記参照画像を前記被検査画像に対して二次元的に一定
    のずらせ量だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置に配
    置する揺すらせ回路と、 前記各揺すらせ位置において前記参照画像と前記被検査
    画像との差の絶対値を測定することにより得られる各揺
    すらせ位置における差の絶対値画像から最大値画像を得
    る最大値取得回路と、 各揺すらせ位置における最大値画像に対し、同一位置の
    画素値の最小値を検出することにより欠陥画像を得る最
    小値検出回路と、 を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
  5. 【請求項5】 基板と対物レンズとの間における放電ま
    たは放電の前駆現象を検出して信号を発生する検出器を
    備え、1次電子線を集束させ基板上で走査し、前記基板
    からの2次電子線を検出し前記基板の2次電子画像を取
    り込んで、前記基板上に形成された多数のチップにおけ
    る繰り返しパターンを検査するパターン検査装置であっ
    て、 同一チップ内の繰り返しパターン領域に対し、同一チッ
    プ内における繰り返しパターンを相互に比較するセル比
    較と、複数のチップ間で対応するパターン同士を比較す
    るチップ比較とを実行することによりパターンの欠陥を
    検出することを特徴とするパターン検査装置。
  6. 【請求項6】 基板と対物レンズとの間における放電ま
    たは放電の前駆現象を検出して信号を発生する検出器を
    備え、1次電子線を集束させ基板上で走査し、前記基板
    からの2次電子線を検出し前記基板の2次電子画像を取
    り込んで、参照画像と被検査画像とを比較することによ
    りパターンの欠陥を検出するパターン検査装置であっ
    て、 前記被検査画像の全部または一部の領域と当該領域に位
    置的に対応する前記参照画像の領域とに着目し、前記被
    検査画像と前記参照画像とを互いに比較するために、前
    記被検査画像と前記参照画像の少なくとも一方に対して
    濃度変換を施すことにより、前記被検査画像と前記参照
    画像とを整合化させる濃度変換手段とを備えることを特
    徴とするパターン検査装置。
  7. 【請求項7】 基板と対物レンズとの間における放電ま
    たは放電の前駆現象を検出して信号を発生する検出器を
    備え、1次電子線を集束させ基板上で走査し、前記基板
    からの2次電子線を検出し前記基板の2次電子画像を取
    り込んで、参照画像と被検査画像とを比較することによ
    りパターンの欠陥を検出するパターン検査装置であっ
    て、 前記被検査画像における各画素と当該画素に位置的に対
    応する前記参照画像の画素とに順次着目し、前記被検査
    画像の着目画素の近傍における画素値の空間的変化量を
    示す第1の周辺分布特徴値、および、前記参照画像の着
    目画素の近傍における画素値の空間的変化量を示す第2
    の周辺分布特徴値を算出する周辺分布特徴値算出手段を
    備え、 前記第1および第2の周辺分布特徴値に基づき、前記被
    検査画像の着目画素と前記参照画像の着目画素のうち、
    どちらか一方の着目画素を許容画素として選択すると共
    に他方の着目画素をターゲット画素として選択し、前記
    ターゲット画素と前記許容画素とを比較することを特徴
    とするパターン検査装置。
  8. 【請求項8】 基板と対物レンズとの間における放電ま
    たは放電の前駆現象を検出して信号を発生する検出器を
    備え、1次電子線を集束させ基板上で走査し、前記基板
    からの2次電子線を検出し前記基板の2次電子画像を取
    り込んで、参照画像と被検査画像とを比較することによ
    りパターンの欠陥を検出するパターン検査装置であっ
    て、 前記参照画像を前記被検査画像に対して二次元的に一定
    のずらせ量だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置に配
    置する揺すらせ回路と、 前記各揺すらせ位置において前記参照画像と前記被検査
    画像との差の絶対値を測定することにより得られる各揺
    すらせ位置における差の絶対値画像から最大値画像を得
    る最大値取得回路と、 各揺すらせ位置における最大値画像に対し、同一位置の
    画素値の最小値を検出することにより欠陥画像を得る最
    小値検出回路と、 を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
  9. 【請求項9】 最小線幅dのパターンを有する基板に、
    1次電子線のビーム径をDとするとき、0.55≦D/
    d≦1.0を満たす1次電子線を照射し且つ予め決めら
    れた走査幅で走査し前記基板から放出される2次電子を
    検出し2次電子画像を取り込んで、前記基板上に形成さ
    れた多数のチップにおける繰り返しパターンを検査する
    パターン検査装置であって、 同一チップ内の繰り返しパターン領域に対し、同一チッ
    プ内における繰り返しパターンを相互に比較するセル比
    較と、複数のチップ間で対応するパターン同士を比較す
    るチップ比較とを実行することによりパターンの欠陥を
    検出することを特徴とするパターン検査装置。
  10. 【請求項10】 最小線幅dのパターンを有する基板
    に、1次電子線のビーム径をDとするとき、0.55≦
    D/d≦1.0を満たす1次電子線を照射し且つ予め決
    められた走査幅で走査し前記基板から放出される2次電
    子を検出し2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検
    査画像とを比較することによりパターンの欠陥を検出す
    るパターン検査装置であって、 前記被検査画像の全部または一部の領域と当該領域に位
    置的に対応する前記参照画像の領域とに着目し、前記被
    検査画像と前記参照画像とを互いに比較するために前記
    被検査画像と前記参照画像の少なくとも一方に対して濃
    度変換を施すことにより、前記被検査画像と前記参照画
    像とを整合化させる濃度変換手段とを備えることを特徴
    とするパターン検査装置。。
  11. 【請求項11】 最小線幅dのパターンを有する基板
    に、1次電子線のビーム径をDとするとき、0.55≦
    D/d≦1.0を満たす1次電子線を照射し且つ予め決
    められた走査幅で走査し前記基板から放出される2次電
    子を検出し2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検
    査画像とを比較することによりパターンの欠陥を検出す
    るパターン検査装置であって、 前記被検査画像における各画素と当該画素に位置的に対
    応する前記参照画像の画素とに順次着目し、前記被検査
    画像の着目画素の近傍における画素値の空間的変化量を
    示す第1の周辺分布特徴値、および、前記参照画像の着
    目画素の近傍における画素値の空間的変化量を示す第2
    の周辺分布特徴値を算出する周辺分布特徴値算出手段を
    備え、 前記第1および第2の周辺分布特徴値に基づき、前記被
    検査画像の着目画素と前記参照画像の着目画素のうち、
    どちらか一方の着目画素を許容画素として選択すると共
    に他方の着目画素をターゲット画素として選択し、前記
    ターゲット画素と前記許容画素とを比較することを特徴
    とするパターン検査装置。
  12. 【請求項12】 最小線幅dのパターンを有する基板
    に、1次電子線のビーム径をDとするとき、0.55≦
    D/d≦1.0を満たす1次電子線を照射し且つ予め決
    められた走査幅で走査し前記基板から放出される2次電
    子を検出し2次電子画像を取り込んで、参照画像と被検
    査画像とを比較することによりパターンの欠陥を検出す
    るパターン検査装置であって、 前記参照画像を前記被検査画像に対して二次元的に一定
    のずらせ量だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置に配
    置する揺すらせ回路と、 前記各揺すらせ位置において前記参照画像と前記被検査
    画像との差の絶対値を測定することにより得られる各揺
    すらせ位置における差の絶対値画像から最大値画像を得
    る最大値取得回路と、 各揺すらせ位置における最大値画像に対し、同一位置の
    画素値の最小値を検出することにより欠陥画像を得る最
    小値検出回路と、 を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
  13. 【請求項13】 最小線幅dのパターンを有する基板
    に、1次電子線が最小線幅dの2倍のピッチの周期パタ
    ーンを観察した時の信号の変調伝達関数MTFが0.4
    2≦MTF≦0.8になるようにビーム径Dを選択した
    1次電子線を照射し且つ予め決められた走査幅で走査し
    前記基板から放出される2次電子を検出し2次電子画像
    を取り込んで、前記基板上に形成された多数のチップに
    おける繰り返しパターンを検査するパターン検査装置で
    あって、 同一チップ内の繰り返しパターン領域に対し、同一チッ
    プ内における繰り返しパターンを相互に比較するセル比
    較と、複数のチップ間で対応するパターン同士を比較す
    るチップ比較とを実行することによりパターンの欠陥を
    検出することを特徴とするパターン検査装置。
  14. 【請求項14】 最小線幅dのパターンを有する基板
    に、1次電子線が最小線幅dの2倍のピッチの周期パタ
    ーンを観察した時の信号の変調伝達関数MTFが0.4
    2≦MTF≦0.8になるようにビーム径Dを選択した
    1次電子線を照射し且つ予め決められた走査幅で走査し
    前記基板から放出される2次電子を検出し2次電子画像
    を取り込んで、参照画像と被検査画像とを比較すること
    によりパターンの欠陥を検出するパターン検査装置であ
    って、 前記被検査画像の全部または一部の領域と当該領域に位
    置的に対応する前記参照画像の領域とに着目し、前記被
    検査画像と前記参照画像とを互いに比較するために前記
    被検査画像と前記参照画像の少なくとも一方に対して濃
    度変換を施すことにより、前記被検査画像と前記参照画
    像とを整合化させる濃度変換手段とを備えることを特徴
    とするパターン検査装置。
  15. 【請求項15】 最小線幅dのパターンを有する基板
    に、1次電子線が最小線幅dの2倍のピッチの周期パタ
    ーンを観察した時の信号の変調伝達関数MTFが0.4
    2≦MTF≦0.8になるようにビーム径Dを選択した
    1次電子線を照射し且つ予め決められた走査幅で走査し
    前記基板から放出される2次電子を検出し2次電子画像
    を取り込んで、参照画像と被検査画像とを比較すること
    によりパターンの欠陥を検出するパターン検査装置であ
    って、 前記被検査画像における各画素と当該画素に位置的に対
    応する前記参照画像の画素とに順次着目し、前記被検査
    画像の着目画素の近傍における画素値の空間的変化量を
    示す第1の周辺分布特徴値、および、前記参照画像の着
    目画素の近傍における画素値の空間的変化量を示す第2
    の周辺分布特徴値を算出する周辺分布特徴値算出手段を
    備え、 前記第1および第2の周辺分布特徴値に基づき、前記被
    検査画像の着目画素と前記参照画像の着目画素のうち、
    どちらか一方の着目画素を許容画素として選択すると共
    に他方の着目画素をターゲット画素として選択し、前記
    ターゲット画素と前記許容画素とを比較することを特徴
    とするパターン検査装置。
  16. 【請求項16】 最小線幅dのパターンを有する基板
    に、1次電子線が最小線幅dの2倍のピッチの周期パタ
    ーンを観察した時の信号の変調伝達関数MTFが0.4
    2≦MTF≦0.8になるようにビーム径Dを選択した
    1次電子線を照射し且つ予め決められた走査幅で走査し
    前記基板から放出される2次電子を検出し2次電子画像
    を取り込んで、参照画像と被検査画像とを比較すること
    によりパターンの欠陥を検出するパターン検査装置であ
    って、 前記参照画像を前記被検査画像に対して二次元的に一定
    のずらせ量だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置に配
    置する揺すらせ回路と、 前記各揺すらせ位置において前記参照画像と前記被検査
    画像との差の絶対値を測定することにより得られる各揺
    すらせ位置における差の絶対値画像から最大値画像を得
    る最大値取得回路と、 各揺すらせ位置における最大値画像に対し、同一位置の
    画素値の最小値を検出することにより欠陥画像を得る最
    小値検出回路と、 を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
  17. 【請求項17】 空間電荷制限領域で動作するよう設定
    されている電子銃から放出される電子線をレンズ系で細
    く絞って基板面上に照射し、基板から放出される二次電
    子を検出し2次電子画像を取り込んで、基板上に形成さ
    れた多数のチップにおける繰り返しパターンを検査する
    パターン検査装置であって、 同一チップ内の繰り返しパターン領域に対し、同一チッ
    プ内における繰り返しパターンを相互に比較するセル比
    較と、複数のチップ間で対応するパターン同士を比較す
    るチップ比較とを実行することによりパターンの欠陥を
    検出することを特徴とするパターン検査装置。
  18. 【請求項18】 空間電荷制限領域で動作するよう設定
    されている電子銃から放出される電子線をレンズ系で細
    く絞って基板面上に照射し、基板から放出される二次電
    子を検出し、2次電子画像を取り込んで、参照画像と被
    検査画像とを比較することによりパターンの欠陥を検出
    するパターン検査装置であって、 前記被検査画像の全部または一部の領域と当該領域に位
    置的に対応する前記参照画像の領域とに着目し、前記被
    検査画像と前記参照画像とを互いに比較するために前記
    被検査画像と前記参照画像の少なくとも一方に対して濃
    度変換を施すことにより、前記被検査画像と前記参照画
    像とを整合化させる濃度変換手段とを備えることを特徴
    とするパターン検査装置。
  19. 【請求項19】 空間電荷制限領域で動作するよう設定
    されている電子銃から放出される電子線をレンズ系で細
    く絞って基板面上に照射し、基板から放出される二次電
    子を検出し、2次電子画像を取り込んで、参照画像と被
    検査画像とを比較することによりパターンの欠陥を検出
    するパターン検査装置であって、 前記被検査画像における各画素と当該画素に位置的に対
    応する前記参照画像の画素とに順次着目し、前記被検査
    画像の着目画素の近傍における画素値の空間的変化量を
    示す第1の周辺分布特徴値、および、前記参照画像の着
    目画素の近傍における画素値の空間的変化量を示す第2
    の周辺分布特徴値を算出する周辺分布特徴値算出手段を
    備え、 前記第1および第2の周辺分布特徴値に基づき、前記被
    検査画像の着目画素と前記参照画像の着目画素のうち、
    どちらか一方の着目画素を許容画素として選択すると共
    に他方の着目画素をターゲット画素として選択し、前記
    ターゲット画素と前記許容画素とを比較することを特徴
    とするパターン検査装置。
  20. 【請求項20】 空間電荷制限領域で動作するよう設定
    されている電子銃から放出される電子線をレンズ系で細
    く絞って基板面上に照射し、基板から放出される二次電
    子を検出し、2次電子画像を取り込んで、参照画像と被
    検査画像とを比較することによりパターンの欠陥を検出
    するパターン検査装置であって、 前記参照画像を前記被検査画像に対して二次元的に一定
    のずらせ量だけ各周辺方向にずらせた揺すらせ位置に配
    置する揺すらせ回路と、 前記各揺すらせ位置において前記参照画像と前記被検査
    画像との差の絶対値を測定することにより得られる各揺
    すらせ位置における差の絶対値画像から最大値画像を得
    る最大値取得回路と、 各揺すらせ位置における最大値画像に対し、同一位置の
    画素値の最小値を検出することにより欠陥画像を得る最
    小値検出回路と、 を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
  21. 【請求項21】 半導体を製造するプロセスにおいて、
    プロセスの途中あるいは終了後に、請求項1乃至20の
    いずれかに記載のパターン検査装置を用いたウエハの検
    査工程を含むことを特徴とする半導体デバイス製造法。
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