JP2003322702A - 反射防止膜の製造方法並びに反射防止膜、空間光変調素子及び空間光変調装置 - Google Patents
反射防止膜の製造方法並びに反射防止膜、空間光変調素子及び空間光変調装置Info
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Abstract
膜の製造方法並びにこれにより得られる反射防止膜、こ
の反射防止膜を備え読み出し光として赤外光を採用する
ことのできる空間光変調素子及びこれを備えた空間光変
調装置の提供。 【解決手段】 利用するべき光に対する反射防止機能を
有する反射防止膜(透明電極)20の製造方法であっ
て、金属酸化物を含有しており光透過性及び導電性を有
する透明導電層22と、光透過性及び該透明導電層と異
なる屈折率を有しかつ該透明導電層に隣接して配置され
る少なくとも1つの誘電体層24と、を含む積層体21
を、透明基板26上に形成する積層体形成工程と、積層
体形成工程において得られる積層体を、酸化剤を含む気
体中、300℃以上の所定の熱処理温度に保持して熱処
理する熱処理工程と、を含むことを特徴とする。
Description
方法並びに反射防止膜、空間光変調素子及び空間光変調
装置に関する。
御デバイスであり、例えば、光情報処理やコンピュータ
合成ホログラム、プロジェクター等の様々な用途に用い
られている。このような空間光変調素子の中でも、いわ
ゆるポリマー分散液晶(PDLC)層を備えた空間光変
調素子は、光導電層、誘電体ミラー、ポリマー分散液晶
層等を2枚の透明電極で挟んだ平板構造を有している。
晶パネルやCRTからの入力画像(アドレス光)を一方
の透明電極の側から照射して光導電層に結像すると、像
の明暗に応じて液晶にかかる電圧が変化し、他方の透明
電極の側から照射された読み出し光の散乱度(あるいは
透明度)が制御されるため、反射された読み出し光をレ
ンズで拡大投写すれば入力画像に対応した大画面画像を
得ることができる。そして、このタイプの空間光変調素
子は、偏光板が不要なため読み出し光の光利用効率が高
く、明るい投写画像を得ることができる。
明電極の光学特性を向上させることは、鮮明な画像或い
は光情報処理を高速且つ精度よく行う上で重要である。
ための技術としては、実公平7−2587号公報に、ガ
ラス基板上に透明導電膜であるITO(Indium-Tin-Oxi
de、In2O3-SnO2化合物)膜(以下、「ITO膜」とい
う)を高周波イオンプレーティング法により成膜する際
に、原料ガスとともに酸素ガスを導入しながら成膜する
ことにより、赤外線遮蔽特性に優れた窓ガラス得ること
を意図した方法が開示されている。
板上に透明導電膜を形成し、次いで該透明導電膜上にス
パッタリング法によって酸化物誘電体膜を形成した後、
得られる積層体を酸素を含むプラズマ中で熱処理するこ
とにより、均質な積層体(「酸化物誘電体膜付透明電極
膜付基板」と記載)を得ることを意図した方法が開示さ
れている。
透明導電膜を熱処理する際、熱処理中の透明導電膜の抵
抗値の変化を該膜に非接触でモニタすることにより、該
透明導電膜の抵抗値を所望の値に調節した透明導電膜を
再現性よく得ることを意図した透明導電膜の製造方法が
開示されている。
来の空間光変調素子は、利用できる読み出し光の波長領
域が構成要素である透明電極の光透過特性に制限されて
しまい、特に赤外領域の波長を有する光を読み出し光と
して利用できないという問題があった。そのため、従来
の空間光変調素子は適応可能な用途が制限されるという
問題があった。
有する光を積極的に利用することを意図した空間光変調
素子の検討はこれまでに行われてこなかった。
長を有する光」とは、波長が、900〜2000nmで
ある光をいう。また、以下必要に応じて「赤外領域の波
長を有する光」を「赤外光」又は「赤外線」という。
7号公報の窓ガラスの製造方法の場合、ITO膜の赤外光
の吸収を積極的に利用して赤外光を遮蔽する観点から酸
素ガスを導入してITO膜を作成しているが、赤外光を読
み出し光として利用することを意図してITO膜の赤外光
の吸収をできるだけ低く抑えようとすると、この方法の
場合には成膜時に導入する酸素ガス流量を更に増やす必
要があり、このような流量の大きな条件で酸素ガスを流
しながら成膜すると、成膜時の真空度の低下を招き、成
膜が不可能になり、赤外光の透過率の高いITO膜を得
ることができなくなることを見出した。
0号公報に記載の方法により得られる積層体を空間光変
調素子の透明電極として使用し、かつ、読み出し光とし
て赤外光を採用した場合、酸素を含むプラズマ中で熱処
理しているため、膜(得られる積層体)やガラス基板が
プラズマによりスパッタされてその表面が荒れてしまう
という問題があり赤外領域の波長を有する光を利用する
には未だ不十分であることを見出した。
この密封用積層体を用いて空間光変調素子を構成した場
合、光が散乱する要因となる。更に、この場合には、酸
素を含むプラズマ中で熱処理するため、プラズマ発生源
が必要となり装置が高価、よって製造コストも高くなる
という問題があった。
5号公報に記載の方法により得られる透明導電膜であっ
ても、これを空間光変調素子の読み出し光を受光する側
の透明電極として使用し、かつ、読み出し光として赤外
光を採用した場合、透明導電膜の抵抗値と光透過率との
相関に着目しただけでは電極としての充分な導電率を保
持しつつ膜に入射する赤外光の反射及び膜中の吸収を充
分に低減した設計をすることが困難であり、充分な光学
特性及び電気特性を得ることができず未だ不十分である
ということを見出した。
みてなされたものであり、赤外光に対する高い透過率を
有する反射防止膜の製造方法並びにこれにより得られる
反射防止膜、この反射防止膜を備え読み出し光として赤
外光を採用することのできる空間光変調素子及びこれを
備えた空間光変調装置を提供することを目的とする。
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、酸化剤を含む気体
中で透明導電膜を熱処理すると赤外光に対する透過率が
向上する一方で膜の電気抵抗が増大してしまうが、透明
導電膜上に該透明導電膜と異なる屈折率を有する誘電体
からなる膜を少なくとも1つ形成して積層体とした後で
あれば、上記の雰囲気中であっても特定の温度範囲で熱
処理を行うことにより、熱処理後に得られる積層体につ
いて、以下の特性を得ることができることを見出した。
囲で熱処理を行うことにより、積層体の導電率を空間光
変調素子の透明電極として使用するに充分に足る水準に
保持することができると同時にその赤外光に対する吸収
率を充分に低減し赤外光の透過率を向上させることがで
きることを見出した。
構成する各層の種類、数、組み合せ、光学的膜厚(光路
長)を調節して赤外光に対する反射防止機能を付与する
ことにより、熱処理後に得られる積層体の赤外光の反射
率を充分に低減し、赤外光の透過率を、読み出し光とし
て赤外光を採用するに足る水準にまで更に向上させるこ
とができることを見出し、本発明に到達した。
する反射防止機能を有する反射防止膜の製造方法であっ
て、金属酸化物を含有しており光透過性及び導電性を有
する透明導電層と、光透過性及び該透明導電層と異なる
屈折率を有しかつ該透明導電層に隣接して配置される少
なくとも1つの誘電体層と、を含む積層体を、透明基板
上に形成する積層体形成工程と、積層体形成工程におい
て得られる積層体を、酸化剤を含む気体中、300℃以
上の所定の熱処理温度に保持して熱処理する熱処理工程
と、を含むこと、を特徴とする反射防止膜の製造方法を
提供する。
おいて、熱処理工程における「酸化剤を含む気体」と
は、プラズマ状態の気体(成分気体を構成する分子が原
子化し、更にその原子がイオンと電子に電離した荷電粒
子を含む気体であり、電気的中性条件を満たす荷電粒子
系)ではなく、いわゆる中性気体(例えば、空気等の気
体)である。
率及び吸収率が充分に低減されており優れた赤外光透過
率を有している。そのため、本発明の反射防止膜は、空
間光変調素子の読み出し光側の透明電極として使用した
場合、読み出し光として赤外光を採用することができ、
特に、いわゆる1300nm帯及び1500nm帯の通
信波長領域の赤外光を採用することができる。
射防止膜の赤外透過率を向上させることができるのは、
金属酸化物を含有する透明導電層が空気などの酸化剤を
含む気体中において加熱されると、金属酸化物の酸化が
適度に促進されるためであると考えている。
物(例えば、酸化インジウムと酸化スズの混合物等)は
金属に対して若干酸素が不足した酸素欠損を有する構造
を有しており、この酸素欠損を有する構造、つまり、酸
素と化合していない一部の金属の金属的な振る舞いが電
気伝導に寄与しており、上記の積層体の状態で透明導電
層が加熱されることによって、金属酸化物の酸化が適度
に進行し、透明電極としての電気伝導性を確保しつつ赤
外光の吸収率を低減し赤外光の透過率を向上させること
が可能となると考えている。
において透明基板上に積層体を形成した後に熱処理工程
において上述の条件のもとで熱処理を行う。例えば、透
明基板上に透明導電層のみを形成し、次いで、上述の条
件のもとで熱処理を行い、熱処理後の透明導電層上に誘
電体層を形成した場合には、誘電体層を形成する際に、
真空中で加熱を受けることによって透明導電層が還元さ
れ、金属酸化物から再度酸素が抜けてしまい、赤外光の
吸収率が増大し、赤外光の透過率が低下してしまう。
電体層を形成しても、熱処理工程において透明導電層の
金属酸化物の酸化を進行させることができるのは、酸素
等の酸化剤が誘電体層を透過することが可能であること
や、積層体の側面には、透明導電層の側面が外部に露出
した部分があり、熱処理工程中にこの部分から酸素等の
酸化剤が充分に透明導電層内に供給されると考えられ
る。
電体層の種類、数、組み合せ、光学的膜厚を調節して反
射防止膜を光学的に設計することにより、透明導電層の
みで反射防止膜を設計するよりも容易かつ確実に赤外光
に対する反射防止機能を付与することができ、赤外光の
透過率も向上させることができる。
上に積層体を形成する場合、積層体に反射防止機能を備
えることが可能であれば、透明基板に対する透明導電層
と誘電体層との配置位置は特に限定されない。なお、本
発明の反射防止膜を空間光変調素子の読み出し光側の透
明電極として使用する場合には、空間光変調素子の液晶
層に対して透明導電層が最も近い位置に配置される条件
で積層体を形成することが好ましい。これにより、空間
光変調素子の2つの透明電極間に印加する電力を低減す
ることができる。
マ処理のように熱処理のための複雑な装置構成が不要な
ため、製造工程もシンプルに構成することができ、低コ
ストで反射防止膜を容易に製造することができる。
て、熱処理温度が300℃未満となると、充分な赤外光
の透過率を得ることができなくなる。また、熱処理温度
が高くなり過ぎると、反射防止膜にクラック、剥がれな
どのダメージが生じたり、反射防止膜の電気抵抗が大き
くなるため、熱処理温度は600℃以下であることが好
ましい。
反射防止機能を有する反射防止膜であって、上述の本発
明の製造方法により形成されること、を特徴とする反射
防止膜を提供する。
用いることにより、赤外光に対する高い透過率を有する
反射防止膜を構成することができる。
透過性を有する第1の透明電極と、膜状の形状を有しか
つ光透過性を有しており、第1の透明電極に対向配置さ
れる第2の透明電極と、第1の透明電極と第2の透明電
極との間に所定の電圧を印加する電圧印加部と、第1の
透明電極と第2の透明電極との間に配置されており、第
1の透明電極を介して外部から照射される読み出し光を
受光する読み出し光受光面と該読み出し光受光面から入
射する読み出し光を出射する光出射面とを有し、かつ、
電圧印加部により印加される印加電圧により配向状態を
変化させる液晶分子を含有する液晶層と、液晶層と第2
の透明電極との間に配置されており、液晶層の光出射面
から出射される読み出し光を液晶層の読み出し光受光面
に向けて反射する誘電体ミラー層と、誘電体ミラー層と
第2の透明電極との間に配置されており、第2の透明電
極を介して照射されるアドレス光を受光するアドレス光
受光面を有し、アドレス光が照射された部位の電気抵抗
が可逆的に変化可能な光導電層と、を有しており、第1
の透明電極が上述の本発明の反射防止膜であること、を
特徴とする空間光変調素子を提供する。
を読み出し光側に配置される透明電極として搭載するこ
とにより、読み出し光として赤外光を採用することので
きる空間光変調素子を構成することができる。より具体
的には、例えば、いわゆる1300nm帯、1500n
m帯の通信波長領域の赤外光を読み出し光として採用す
ることのできる空間光変調素子を構成することができ
る。
0nm帯、1500nm帯の通信波長領域の赤外光用の
光分岐回路及びインターコネクションなどの用途に使用
することができる。更に、本発明の空間光変調素子は、
Nd:YAGレーザなど1060nm帯の波長領域のレ
ーザを用いたレーザ加工において、ビームの波面整形に
も適用できると考えられる。
調素子と、読み出し光を発生する読み出し用光源と、ア
ドレス光を発生するアドレス用光源と、を有しており、
読み出し光の波長が900〜2000nmであること、
を特徴とする空間光変調装置を提供する。
素子を用いることにより、読み出し光として赤外光を採
用することのできる空間光変調装置を構成することがで
きる。
の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下
の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、
重複する説明は省略する。
一実施形態の基本構成を示す模式断面図である。また、
図2は、図1に示した空間光変調装置の空間光変調素子
に搭載される本発明の反射防止膜の好適な一実施形態の
基本構成を示す模式断面図である。
して、空間光変調素子1と、読み出し光を発生する読み
出し用光源(図示せず)と、アドレス光を発生するアド
レス用光源(図示せず)と、から構成されている。そし
て、この空間光変調装置100は、読み出し用光源から
空間光変調素子1へ向けて出力される読み出し光L1の
波長が900〜2000nmに設定されている。
レーザまたはNd:YAGレーザが挙げられる。そして、これ
から出力されるアドレス光をコリメートレンズ等の光学
系(図示せず)を用いて平行光として使用する。
長660nmのシングルモード赤色半導体レーザが挙げ
られる。そして、これから出力されるアドレス光をコリ
メートレンズ等の光学系(図示せず)を用いて平行光と
して使用する。
て、第1の透明電極20と、第1の透明電極20に対向
配置される第2の透明電極13と、第1の透明電極20
と第2の透明電極13との間に所定の電圧を印加する電
圧印加部30と、第1の透明電極と第2の透明電極との
間に配置されており液晶分子を含有する液晶層17と、
液晶層17と第2の透明電極13との間に配置される誘
電体ミラー層10と、誘電体ミラー層10と第2の透明
電極13との間に配置される光導電層12と、液晶層1
7と第1の透明電極20との間に配置される第1の配向
層18と、液晶層17と誘電体ミラー層10との間に配
置される第2の配向層16と、光導電層12と誘電体ミ
ラー層10との間に配置される光遮蔽層11とから構成
されている。
る。第1の透明電極20は、膜状の形状を有し電極とし
て使用可能な範囲の電気抵抗を有する。また、第1の透
明電極20は、上述の波長範囲を有する読み出し光(赤
外光)L1に対する優れた反射防止機能を有する反射防
止膜であり、読み出し光L1の吸収率も充分に低減され
ており、読み出し光L1の高い透過率を有している。
は、液晶層17に最も近い位置に配置される透明導電層
22及び該透明導電層22に隣接して配置される誘電体
層24からなる積層体21と、積層体21の読み出し光
L1の入射側の面に隣接して配置される透明基板26
と、透明基板26の読み出し光L1の入射側の面に隣接
して配置される誘電体層28と、誘電体層28の読み出
し光L1の入射側の面に隣接して配置される誘電体層2
9とから構成されている。
の反射率と赤外光の吸収率を充分に低減して高い赤外光
の透過率を確保し、かつ、電極として機能し得る導電率
を確保する観点から、上述した積層体21を構成する各
層及びそれ以外の各層について、各層の構成材料の種
類、層の数、各層の組み合せ、各層の光学的膜厚が調節
され光学的に設計されており、後述する製造方法により
製造されている。
層体21を構成する透明導電層22は酸化スズと酸化イ
ンジウムとを含む層であり、好ましくはITO膜からな
る層であり、光透過性及び導電性を有する。ITO膜の
場合、ITO膜を構成するIn2O3とSnO2との割合
は所望の赤外光の透過率、導電率及び膜の機械的強度を
満足できるものであれば特に限定されず、例えば、In
2O3が95質量%、SnO2が5質量%であってもよ
い。
合、積層体21を構成する誘電体層24はAl2O3から
なる層であり、光透過性及び透明導電層22と異なる屈
折率を有している。更にこの場合、透明基板26は合成
石英ガラスからなる基板である。
合、先に述べたように透明基板26の積層体21の形成
されている側と反対側の面にも2つの誘電体層28及び
誘電体層29が更に形成されており、透明基板26にお
ける読み出し光L1の反射防止がより確実に図られてい
る。誘電体層28はAl2O3からなる層であり、光透過
性及び透明導電層22と異なる屈折率を有している。誘
電体層29はMgF2からなる層であり、光透過性及び
透明導電層22と異なる屈折率を有している。
L1が第1の透明電極20に垂直入射すると仮定した場
合、例えば、上述の積層体21については、透明導電層
22(屈折率n=1.69)の光学的膜厚nd=120
nm、誘電体層24(屈折率n=1.61)の光学的膜
厚nd=510nm、その他の層については、誘電体層
28(屈折率n=1.61)の光学的膜厚nd=38
7.5nm(=1550nm/4)、誘電体層29(屈
折率n=1.37)の光学的膜厚nd=387.5n
m、と設定すると読み出し光L1の反射率を理論上0.
1%以下に低減することができる。
0nmの読み出し光を照射する場合に仮定した値であ
る。また、透明基板26(屈折率n=1.44)は、そ
の厚さ(5mm)が干渉効果の起こる上記の各層の厚さ
に比べてはるかに大きいため、空気と同じように媒質と
して取り扱わる。
る。第2の透明電極13は、膜状の形状を有し、アドレ
ス光L2に対する光透過性を有しかつ導電性を有してい
る。第2の透明電極13としては、アドレス光L2を透
過できるものであれば特に限定されない。例えば、フッ
素ドープSnO2コート膜、ITOコート膜、ZnO:
Alコート膜等が挙げられる。
アドレス光L2を受光するためのアドレス光受光面には
透明基板14が配置されている。この透明基板14とし
ては、アドレス光L2を透過できるものであれば特に限
定されない。例えば、透明なガラス基板等が挙げられ
る。なお、光を透過するものであれば材質はガラスでな
くてもよく、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレ
フタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエ
チレン等のポリオレフィン等の透明プラスチックシート
或いは透明プラスチック板、無機物透明結晶体などでも
よい。
アドレス光L2を受光するための受光面には、アドレス
光L2の反射を防止するための誘電体層15が配置され
ている。誘電体層15としては、例えば、先に述べた誘
電体層28及び誘電体層29と同様の構成を有するもの
等が挙げられる。また、アドレス光L2の反射を防止す
るために誘電体層15を設けずに透明基板14のアドレ
ス光受光面を適当に荒らすなどしてもよい。
2の透明電極のそれぞれに電気的に接続されており、第
1の透明電極と第2の透明電極との間に所定の電圧(例
えば交流電圧)を印加する。電圧印加部30の構成は第
1の透明電極と第2の透明電極との間に所定の電圧を印
加できるものであれば特に限定されない。
て読み出し用光源から照射される読み出し光L1を受光
する受光面と該受光面から入射する読み出し光を出射す
る光出射面とを有し、かつ、電圧印加部30により印加
される印加電圧により配向状態を変化させる液晶分子を
含有する層である。この液晶層17は、液晶分子が読み
出し光に対する光透過性を有する分散媒中に分散されて
いる。
屈折率とが一致するように選択されている。この液晶分
子は、電圧印加部30から電圧が印加されない場合には
透明基板14と略平行となるようにホモジニアス配向さ
れており、読み出し光L1を散乱する。また、電圧印加
部30から電圧が印加される場合には、液晶層17内部
に形成される電界により液晶分子がこの電界方向に配列
し、その配向方向が上記の方向から傾く。このとき液晶
分子の常光屈折率と分散媒の屈折率とが一致するように
選択されているので、液晶層17の受光面に略垂直に入
射した読み出し光L1は液晶分子と分散媒の界面で反射
することなく透過することができる。
限定されるものではないが、ネマティック液晶分子、コ
レステリック液晶分子及びスメクティック液晶分子が好
ましい。その中でも、ネマティック液晶分子がより好ま
しく、特に正の誘電異方性を有するネマティック液晶分
子が更に好ましい。また、分散媒としては、その分散媒
の屈折率と液晶分子の常光屈折率が整合するように選択
された材料であればよく、無機材料であっても有機材料
であってもよい。
ために、スペーサSを外周部に配置している。スペーサ
Sとしては、例えば、樹脂製スペーサ、プラスチックビ
ーズやセラミック製スペーサ、シリカビーズ等を用いる
ことができる。
について説明する。第1の配向層18及び第2の配向層
は、それぞれ高分子材料から構成されており、液晶層1
7の液晶分子を一定方向に並べるための層である。その
ため、第1の配向層18及び第2の配向層には、液晶分
子を一定方向に並べるための溝(図示せず)がそれぞれ
形成されている。第1の配向層18及び第2の配向層を
構成する高分子材料としては、例えば、ポリイミド、ポ
リビニルアルコール等が挙げられる。
から出射される読み出し光を該光出射面に向けて反射す
るための層である。この誘電体ミラー層10は、読み出
し光L1の波長に対応する所定の波長域の光を反射させ
るように、例えば、高屈折率材料としてのTiO2と低
屈折率材料としてのSiO2が、スパッタ法または蒸着
法により交互に積層された状態で構成されている。
してアドレス用光源から照射されるアドレス光L2を受
光するアドレス光受光面を有し、アドレス光L2が照射
された部位の結晶構造が可逆的に変化し、電気抵抗(イ
ンピーダンス)が可逆的に変化する層である。すなわ
ち、光導電層12は、アドレス光L2の明暗に対応して
電気抵抗(インピーダンス)が変化して導電性を示す光
導電性を有する。光導電層12は、例えば、アモルファ
スシリコン等により形成される。
ミラー層10を透過して光導電層12に到達することを
防止し、第1の透明電極20と第2の透明電極13との
間の領域を光学的に2つの領域に分離するための層であ
る。
防止膜)20の製造方法の好適な一実施形態について説
明する。反射防止膜の製造方法は、主として、透明導電
層22と誘電体層24からなる積層体21を透明基板2
6上に形成する積層体形成工程と、積層体形成工程にお
いて得られる積層体を、酸化剤を含む気体中、300℃
以上の所定の熱処理温度に保持して熱処理する熱処理工
程とから構成されている。ここで、第1の透明電極20
は、上記2つの工程を経て製造さればよく、上記工程以
外の製造条件は特に限定されず、公知の薄膜製造技術に
より製造することができる。。
きさを有する透明基板26を用意するか又は公知のガラ
ス製造技術により作製し、蒸着法、スパッタ法などの公
知の薄膜技術により透明基板26上に誘電体層24を形
成し、更に誘電体層24上に透明導電層22を形成す
る。このとき、透明基板26、誘電体層24及び透明導
電層22のそれぞれの厚さは上述の光学的な設計条件を
満たす大きさに調節する。
の形成されていない側の面にも、蒸着法、スパッタ法な
どの公知の薄膜技術により誘電体層28及び誘電体層2
9を順次形成する。
程において得られる透明基板26に積層体21、誘電体
層28及び誘電体層29が一体化されたものを、酸化剤
を含む気体中、上記の熱処理温度で熱処理する。酸化剤
を含む気体としては、取り扱い易さの観点からは酸化剤
として酸素を含む気体が好ましく、空気がより好まし
い。
℃以上であり、300〜600℃であることが好まし
く、400〜600℃であることがより好ましく、45
0〜550℃であることが更に好ましい。
件は、熱処理温度が300℃以上400℃未満の場合、
保持時間は8時間以上であることが好ましい。この場
合、保持時間が8時間未満であると、透明電極(反射防
止膜)として充分な赤外光の透過率を得ることができな
くなる傾向が大きくなる。これにより得られる第1透明
電極20を備えた空間光変調素子1は、波長が1000
nm帯の固体レーザのレーザビームの制御用に使用した
場合に吸収損失の許容度を2%以内に抑制することがで
きる。
未満の場合にも、保持時間は8時間以上であることが好
ましい。これにより得られる第1透明電極20を備えた
空間光変調素子1は、波長が1500nm帯(通信波長
領域)の読み出し光L1を使用した場合に吸収損失の許
容度を4%以内に抑制することができる。
間は2時間以上であることが好ましい。これにより得ら
れる第1透明電極20を備えた空間光変調素子1は波長
が1500nm帯(通信波長領域)の読み出し光L1を
使用した場合に吸収損失の許容度を2%以内に抑制する
ことができる。
な赤外光の透過率を得ることと、透明電極として充分な
導電率を得る観点から、空気以外の酸素を含む気体を使
用する場合、酸素分圧は200〜215hPaであるこ
とが好ましい。
いて得られる透明基板26に積層体21、誘電体層28
及び誘電体層29が一体化されたもの(以下、「ブロッ
ク1」という)の温度を、例えば室温などの所定の温度
から熱処理温度にまで昇温する際の昇温速度は基板26
からの上記の各層の剥離や各層のひび割れの発生などの
ダメージを回避できるのであれば特に限定されず、例え
ば、100℃/hとしてもよい。また、熱処理工程にお
いて、所定の熱処理温度で所定の保持時間熱処理した
後、得られるブロック1を例えば室温などの所定の温度
にまで降温する場合の降温速度も基板26からの上記の
各層の剥離や各層のひび割れの発生などのダメージを回
避できるのであれば特に限定されず、例えば、50℃/
hとしてもよい。
製した後、公知の薄膜製造技術により透明基板14上に
第2の透明電極2、光導電層12、光遮蔽層11、誘電
体ミラー層10を形成する。更に、公知の薄膜製造技術
により透明基板14の裏面に誘電体層15を形成する。
なお、透明基板14に第2の透明電極2、光導電層1
2、光遮蔽層11、誘電体ミラー層10及び誘電体層1
5が一体化されたものを以下「ブロック2」という。
りスペーサS、配向層16及び配向層18を形成する。
このとき配向層の液晶に接触する面には、液晶分子を一
定方向に配列させるための微細な溝を形成する。
S、配向層16及び配向層18を張り合わせる。次に、
スペーサS、配向層16及び配向層18により形成され
る空間に、液晶分子を分散させた液晶の液を注入しこの
液で空間が満たされた後、注入口を封止する。これによ
り、図2に示す空間光変調素子1が完成する。
源、アドレス用光源、その他必要に応じて備えられる光
学系が配置されたハウジングなどの筐体の所定の位置に
配置し、空間光変調装置100が完成する。
び空間光変調素子1の動作について説明する。まず、電
圧印加部30から第1の透明電極20と第2の透明電極
13との間に3V程度の交流電圧を印加する。このと
き、アドレス光L2が照射されない場合は、光導電層1
2の電気抵抗(インピーダンス)が大きいので液晶層1
7には一定量のわずかな電圧しかかからず、液晶層17
の液晶分子は変化しない。
を出力した場合、そのアドレス光L2が透明基板14を
透過して光導電層12に入射すると、入射した部位の光
導電層12の電気抵抗(インピーダンス)が低下し、こ
れに対応する液晶層17の部位に電圧がかかって液晶分
子が傾く。このようにして、液晶層17の各部位での屈
折率がアドレス光L2の強度に対応して変化し、アドレ
ス光L2のパターンに対応した屈折率分布が液晶層17
内に形成される。
光L1を出力した場合、読み出し光L1が液晶層17を
透過するとアドレス光L2に対応した屈折率分布を有す
る部位で位相が変調され、位相が変調された光は、誘電
体ミラー層10で反射され反射光L10として空間光変
調素子1の外部に出射される。このようにして、液晶層
17の屈折率の変化によって、誘電体ミラー層10から
の読み出し光L1の反射光L10が変化し位相変調され
た画像として出力される。
込み光L2の信号画像情報は、変調画像として読み出し
光L1の反射光L10により読み出され、ハーフミラー
等の光学系(図示せず)によって所定の方向へ反射され
て出力される。
形態について説明する。図3は、本発明の反射防止膜の
好適な一実施形態の基本構成を示す模式断面図であり、
図1及び図2に示した第1の透明電極(反射防止膜)2
0とは別の実施形態を示す。
る。図3に示す反射防止膜20Aは、膜状の形状を有し
電極として使用可能な範囲の電気抵抗を有する。また、
反射防止膜20Aは、先に述べた波長範囲を有する読み
出し光(赤外光)L1に対する優れた反射防止機能を有
する反射防止膜であり、読み出し光L1の吸収率も充分
に低減されており、読み出し光L1の高い透過率を有し
ている。なお、図3に示す反射防止膜20Aは、図1及
び図2に示した第1の透明電極(反射防止膜)20のよ
うに空間光変調装置を構成するための電極として使用さ
れるものではなく、入射光L1Aと反対側に存在する媒
質が空気である場合に適用されるものである。
空気の層に最も近い位置に配置される誘電体層24A、
誘電体層24Aに隣接して配置される誘電体層24B及
び誘電体層24Bに隣接して配置される透明導電層22
からなる積層体21Aと、積層体21Aの入射光L1A
の入射側の面に隣接して配置される透明基板26Aと、
透明基板26Aの入射光L1Aの入射側の面に隣接して
配置される誘電体層28と、誘電体層28の入射光L1
Aの入射側の面に隣接して配置される誘電体層29とか
ら構成されている。
反射率と赤外光の吸収率を充分に低減して高い赤外光の
透過率を確保し、かつ、電極として機能し得る導電率を
確保する観点から、上述した積層体21Aを構成する各
層及びそれ以外の各層について、各層の構成材料の種
類、層の数、各層の組み合せ、各層の光学的膜厚が調節
され光学的に設計されており、上述した製造方法と同様
の製造方法により製造されている。
体21Aを構成する透明導電層22は図2に示した第1
の透明電極20の透明導電層22と同様に酸化スズと酸
化インジウムとを含む層であり、好ましくはITO膜か
らなる層であり、光透過性及び導電性を有する。ITO
膜の場合、ITO膜を構成するIn2O3とSnO2との
割合は所望の赤外光の透過率、導電率及び膜の機械的強
度を満足できるものであれば特に限定されず、例えば、
In2O3が95質量%、SnO2が5質量%であっても
よい。
合、積層体21Aを構成する誘電体層24AはMgF2
からなる層であり、光透過性及び透明導電層22と異な
る屈折率を有している。更に、この場合、積層体21A
を構成する誘電体層24BはHfO2からなる層であ
り、光透過性及び透明導電層22と異なる屈折率を有し
ている。また、図3に示す反射防止膜20Aの場合、透
明基板26Aはホウ酸系ガラス(例えば、商品名:「B
K7」,SCHOTT社製)からなる基板である。また、図3
に示す反射防止膜20Aは、図2に示した第1の透明電
極20と同様の誘電体層28及び誘電体層29を有して
いる。
L1Aが反射防止膜20Aに垂直入射すると仮定した場
合、例えば、積層体21Aについては、誘電体層24A
(屈折率n=1.37)の光学的膜厚nd=350n
m、誘電体層24B(屈折率n=1.90)の光学的膜
厚nd=350nm、透明導電層22(屈折率n=1.
69)の光学的膜厚nd=350nm、その他の層につ
いては、透明基板26A(屈折率n=1.50)の厚さ
=2mm、誘電体層28(屈折率n=1.61)の光学
的膜厚nd=387.5nm、誘電体層29(屈折率n
=1.61)の光学的膜厚nd=387.5nm、と設
定すると読み出し光L1Aの反射率を理論上約0.2%
以下に低減することができる。なお、上記各層の屈折率
は、波長が1550nmの読み出し光を照射する場合に
仮定した値である。
透明電極20と同様の製造方法により製造することがで
きる。
明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでは
ない。
実施形態に限定されない。例えば、上記の実施形態にお
いては、第1の透明電極20の積層体21が透明導電層
22の他に1又は2つの誘電体層により構成される場合
について説明したが、本発明の反射防止膜における積層
体21の構成は上記実施形態に限定されず、例えば、3
つ以上の誘電体層と1つの透明導電層を用いて積層体を
光学的に設計し構成してもよい。
層22としてITO膜からなる層を好ましく備えた場合
について説明したが、透明導電層を構成材料となる金属
酸化物は、上述の本発明の製造方法に従って製造された
場合に、利用するべき光に対する光透過性と電気伝導性
を有する材料であれば特に限定されず、例えは、ZnO
系透明導電膜を使用してもよい。
構成する誘電体層24として、Al 2O3からなる層を備
えた場合について説明したが、誘電体層を構成材料とな
る金属酸化物は、上述の本発明の製造方法に従って製造
された場合に、利用するべき光(特に900〜2000
nmの波長領域の光)に対する光透過性を有する材料で
あり、反射防止効果を得るために適した屈折率を有する
材料であれば特に限定されないが、上記の利用するべき
光に対する光透過性を有し、容易に入手可能であり、か
つ、光学薄膜とした場合に優れた安定性、耐久性を有す
る信頼性の高い材料であることが好ましい。
は、例えば、HfO2、Ta2O5、TiO2が挙げられ
る。また、低い屈折率を有する材料としては、例えば、
MgF2、SiO2が挙げられる。更に、上記の高屈折率
材料と低屈折率材料との間の中間的な屈折率を有する材
料としては、Al2O3、MgOが挙げられる。
に反射防止機能を備えることが可能であれば、透明基板
に対する透明導電層と誘電体層との配置位置は特に限定
されない。
は、本発明の反射防止膜を空間光変調素の構成要素とな
る透明電極として適用する場合について説明したが、本
発明の反射防止膜の用途は、上記空間光変調素子用の反
射防止膜に特に限定されない。例えば、本発明の反射防
止膜は、700nm以上の波長を有する光を利用する光
学素子に使用することができる。このような光学素子と
しては、例えば、光シャッタ、光スイッチ、焦点距離可
変レンズ等が挙げられる。
出し用光源として、680nmの波長を出力する半導体
レーザ、半導体レーザ励起YAGのSHGレーザ(53
2nm)、He−Neレーザ、Arレーザを使用しても
よい。
いて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に
何ら限定されるものではない。
に示した第1の透明電極(反射防止膜)20と同様の構
成を有する第1の透明電極を作製した。なお、説明の便
宜上、図2に示した第1の透明電極20の構成要素と同
じ符号を使用して説明する。
(合成石英ガラス基板、30mm×35mm、基板の厚
さ=5mm,屈折率n=1.44)上に、誘電体層24
(Al2O3からなる層,光学的膜厚nd=510nm,
屈折率n=1.61)、透明導電層22{ITO膜(I
n2O3:95質量%,SnO2:5質量%),光学的膜
厚nd=120nm,屈折率n=1.69}を順次形成
した。
28(Al2O3からなる層,光学的膜厚nd=387.
5nm,屈折率n=1.61)、誘電体層29(MgF2
からなる層,光学的膜厚nd=387.5nm,屈折率
n=1.37)を順次形成した(積層体形成工程)。な
お、上記各層の屈折率は、波長が1550nmの読み出
し光を照射する場合に仮定した値である。
ック1を、大気中において昇温速度100℃/hで室温
から昇温し、熱処理温度300℃で8時間保持した。そ
の後、ブロック1を降温速度50℃/hで室温まで降温
し、第1の透明電極20を得た(熱処理工程)。
れたブロック1を熱処理工程において熱処理する際に、
熱処理温度を400℃とした以外は実施例1と同様にし
て第1の透明電極20を作製した。
れたブロック1を熱処理工程において熱処理する際に、
熱処理温度を500℃とした以外は実施例1と同様にし
て第1の透明電極20を作製した。
れたブロック1に熱処理を施さなかったこと以外は実施
例1と同様にして透明電極を作製した。(比較例2)積
層体形成工程において得られたブロック1を熱処理工程
において熱処理する際に、熱処理温度を200℃とした
以外は実施例1と同様にして透明電極を作製した。
極20を空間光変調素子の読み出し光側の透明電極とし
て搭載させた場合の光透過率を測定するために、実施例
1の透明電極20を用いて図4に示す空間光変調素子を
模した光学素子を構成した。
(商品名:「BK7」、SCHOTT社製,基板の厚さ=2m
m,屈折率n=1.50)からなる透明基板54上に紫
外線硬化接着剤からなる接着層52(厚さ=約30μ
m,屈折率n=1.50)を形成し、透明基板54の裏
面に、実施例1と同様の配置条件で誘電体層28(Al
2O3からなる層,光学的膜厚nd=387.5nm,屈
折率n=1.61)、誘電体層29(MgF2からなる
層,光学的膜厚nd=387.5nm,屈折率n=1.
37)を順次形成したもの(以下、「ブロック3」とい
う)を作製し、ブロック3の接着層52と、実施例1の
透明電極20の透明導電層22とを張り合わせて構成さ
れている。
0nmの読み出し光を照射する場合に仮定した値であ
る。また、透明基板54(屈折率n=1.44)は、そ
の厚さ(2mm)が干渉効果の起こる上記の各層の厚さ
に比べてはるかに大きいため、空気と同じように媒質と
して取り扱わる。更に、接着層52も、上記の各層の厚
さに比べてはるかに大きな厚さを有しており、干渉効果
による反射防止効果には寄与していないと考えられるの
で、透明基板54同様、空気と同じように媒質として扱
われる。
からなる積層体50の部分は、図1に示した空間光変調
素子1における液晶層17(波長が1550nmの読み
出し光を照射する場合の屈折率n=1.5)を模したも
のである。これら透明基板54及び接着層52からなる
仮想の液晶層により、実際に液晶層を備えた空間光変調
素子を構成した場合と同様の条件での光透過率を測定す
ることが可能となる。
に、実施例2及び実施例3の透明電極20、並びに比較
例1の透明電極を用いて同様の光学素子を作製した。
記分光光度計」、日立製作所社製)を使用して、各光学
素子の光透過率を測定した。なお、光は、各光学素子の
透明電極の側から照射した。その結果を図5に示す。ま
た、各光学素子の光反射率及び光吸収率について、これ
らの結果を図6及び図7にそれぞれ示す。
「FLUKE87 TRUE RMS MULTIMETER」、フルーク社製)を
使用して、実施例1〜実施例3及び比較例1の透明導電
層22の表面抵抗[Ω/□]を測定した。その結果を表
1に示す。ここで、「表面抵抗[Ω/□]」とは、「薄
膜ハンドブック(オーム社刊)」p896に記載の「表面
抵抗」と同義であり、面状の抵抗体を正方形に切り出し
て対向する2辺間の抵抗で表わしたものを示す。この表
面抵抗は、抵抗分布が一様ならば正方形の寸法に無関係
である。
〜実施例3の第1の透明電極20は、優れた赤外光の透
過率を有していることが確認された。また、図6及び図
7の結果から明らかなように、実施例1〜実施例3の第
1の透明電極20は、光反射率及び光吸収率が充分に低
減されていることが確認された。更に、表1の結果よ
り、実施例1〜実施例3の第1の透明電極20の透明導
電層22は、充分に電極として機能する導電性を有して
いることが確認された。
に示した反射防止膜20Aと同様の構成を有する反射防
止膜を作製した。なお、説明の便宜上、図3に示した反
射防止膜20Aの構成要素と同じ符号を使用して説明す
る。
(商品名:「BK7」、SCHOTT社製,φ30mm、基板
の厚さ=2mm,屈折率n=1.50)上に、透明導電
層22{ITO膜(In2O3:95質量%,SnO2:
5質量%),光学的膜厚nd=350nm,屈折率n=
1.69}、誘電体層24B(HfO2からなる層,光学
的膜厚nd=350nm,屈折率n=1.90)、誘電
体層24A(MgF2からなる層,光学的膜厚nd=3
50nm,屈折率n=1.37)を順次形成した。
28(Al2O3からなる層,光学的膜厚nd=387.
5nm,屈折率n=1.61)、誘電体層29(MgF2
からなる層,光学的膜厚nd=387.5nm,屈折率
n=1.37)を順次形成した(積層体形成工程)。な
お、上記各層の屈折率は、波長が1550nmの読み出
し光を照射する場合に仮定した値である。
ック1を、大気中において昇温速度100℃/hで室温
から昇温し、熱処理温度500℃で8時間保持した。そ
の後、ブロック1を降温速度50℃/hで室温まで降温
し、第1の透明電極20を作製した(熱処理工程)。
層22を形成した後、透明基板26の裏面に誘電体層2
8及び誘電体層29を順次形成し、誘電体層24B及び
誘電体層24Aを形成する前に、実施例4と同様の条件
で熱処理を行い、次いで、透明導電層22上に誘電体層
24B及び誘電体層24Aを順次形成した以外は、実施
例4と同様にして反射防止膜を作製した。
れたブロック1に熱処理を施さなかったこと以外は実施
例4と同様にして反射防止膜を作製した。
率測定試験1に使用した分光光度計を使用して、実施例
4、比較例3及び比較例4の各反射防止膜の光透過率を
測定した。なお、光は、各透明電極の誘電体層29の側
から照射した。その結果を図8に示す。
体形成工程において透明基板26A上に積層体21Aを
形成した後に熱処理工程において熱処理を行った実施例
4の反射防止膜20Aは優れた赤外光の透過率を有して
いることが確認された。また、実施例4の反射防止膜2
0Aの透明導電層22の表面抵抗を測定したところ、約
83Ω/□となり、十分な導電性を有していることが確
認された。
板、φ25mm、基板の厚さ=1mm,屈折率n=1.
44)上に、真空蒸着法により、透明導電層{ITO膜
(In2O3:95質量%,SnO2:5質量%),光学
的膜厚nd=350nm,屈折率n=1.69}を形成
した。
0nmの読み出し光を照射する場合に仮定した値であ
る。次に、この透明基板と透明導電層とが一体化したも
のに、実施例1と同様の条件で熱処理(熱処理温度:3
00℃)を行い透明電極を作製した。
体化したものに、熱処理温度を400℃とした条件で熱
処理を行ったこと以外は比較例5と同様にして透明電極
を作製した。
体化したものに、熱処理温度を500℃とした条件で熱
処理を行ったこと以外は比較例5と同様にして透明電極
を作製した。
体化したものに、熱処理温度を200℃とした条件で熱
処理を行ったこと以外は比較例5と同様にして透明電極
を作製した。
体化したものに、熱処理温度を100℃とした条件で熱
処理を行ったこと以外は比較例5と同様にして透明電極
を作製した。
一体化したものに、熱処理を施さなかったこと以外は比
較例5と同様にして透明電極を作製した。
て、真空中において昇温速度100℃/hで室温から昇
温し、熱処理温度350℃で4時間保持した。その後、
透明電極を降温速度50℃/hで室温まで降温した。
率測定試験1に使用した分光光度計を使用して、比較例
5〜比較例11の各透明電極の光透過率を測定した。な
お、光は、各透明電極の透明基板の側から照射した。そ
の結果を図9及び図10に示す。また、比較例5〜比較
例10の各透明電極の光反射率及び光吸収率の測定結果
を図11及び図12にそれぞれ示す。
及び図12に示す結果との比較から明らかなように、同
様の熱処理条件で熱処理した場合であっても、反射防止
膜としての構成を有する実施例1〜実施例3の透明電極
の方が、反射防止膜としての構成を有さない比較例5〜
比較例7の透明電極よりも優れた赤外光の透過率を有し
ており、光反射率も充分に低減されていることが確認さ
れた。
透明電極だけでなく上述した各実施例の透明電極におい
ても真空中において熱処理を行った場合には赤外光の透
過率が著しく低下することが示唆された。
Bを作製した。なお、説明の便宜上、図3に示した反射
防止膜20Aの構成要素と同じ符号を使用して説明す
る。図13に示す反射防止膜20Bは、透明導電層2
2、誘電体層24B及び誘電体層24Aの配置位置を以
下に示すようにかえたこと以外は図3に示した反射防止
膜20Aと同様の構成を有している。
は、透明基板26A(実施例1の透明基板26と同じ構
成を有するもの)上に、誘電体層24B(Al2O3から
なる層、光学的膜厚nd=510nm、屈折率n=1.
61)が形成され、誘電体層24B上に誘電体層24A
(HfO2からなる層、光学的膜厚nd=70nm、屈
折率n=1.90)が形成され、更に、誘電体層24A
上に透明導電層22{ITO膜(In2O3:95質量
%,SnO2:5質量%),光学的膜厚nd=35n
m,屈折率n=1.69}が順次形成されている。
層28(Al2O3からなる層、光学的膜厚nd=38
7.5nm,屈折率n=1.61)、誘電体層29(M
gF2からなる層,光学的膜厚nd=387.5nm,
屈折率n=1.37)が順次形成されている。
により作製した。この構成により、読み出し光L1の反射
率を理論上は約0.2%以下に低減することができる。
なお、上記各層の屈折率は、波長が1550nmの読み
出し光を照射する場合に仮定した値である。
反射防止膜20Bを実施例1の透明電極20のかわりに
搭載したこと以外は図4に示した光学素子と同様の構成
を有する光学素子を作製し、先に述べた光透過率測定試
験1に使用した分光光度計を使用して、実施例5の反射
防止膜20Bを備えた光学素子の光透過率を測定した。
なお、光は、透明電極の誘電体層29の側から照射し
た。その結果を実施例1の光学素子の結果と合わせて図
14に示す。
明導電層22の厚さをより薄くすることにより、光吸収
損失を低減することができ、光透過率をより向上させる
ことができることが確認された。
膜の製造方法によれば、赤外光に対する高い透過率を有
する反射防止膜を提供することができる。また、この反
射防止膜を用いることにより、読み出し光として赤外光
を採用することのできる空間光変調素子及びこれを備え
た空間光変調装置を構成することができる。
基本構成を示す模式断面図である。
に搭載される本発明の反射防止膜の好適な一実施形態の
基本構成を示す模式断面図である。
を示す模式断面図である。
1の透明電極を備えた光学素子の構成を示す基本構成を
示す模式断面図である。
2の透明電極を備えた光学素子の光透過率を示すグラフ
である。
2の透明電極を備えた光学素子の光反射率を示すグラフ
である。
2の透明電極を備えた光学素子の光吸収率を示すグラフ
である。
の光透過率を示すグラフである。
示すグラフである。
率を示すグラフである。
を示すグラフである。
を示すグラフである。
断面図である。
学素子の光透過率を示すグラフである。
・光遮蔽層、12・・・光導電層、13・・・透明電極、14・
・・透明基板、15・・・誘電体層、16・・・配向層、17・・
・液晶層、18・・・配向層、20・・・透明電極(反射防止
膜)、20A・・・反射防止膜、21,21A・・・積層体、
22・・・透明導電層、24,24A,24B・・・誘電体
層、26,26A・・・透明基板、28・・・誘電体層、29
・・・誘電体層、30・・・電圧印加部、52・・・接着層、5
4・・・透明基板、100・・・空間光変調装置、L1・・・読
み出し光、L2・・・アドレス光、L10・・・反射光。
Claims (10)
- 【請求項1】 利用するべき光に対する反射防止機能を
有する反射防止膜の製造方法であって、 金属酸化物を含有しており光透過性及び導電性を有する
透明導電層と、光透過性及び該透明導電層と異なる屈折
率を有しかつ該透明導電層に隣接して配置される少なく
とも1つの誘電体層と、を含む積層体を、透明基板上に
形成する積層体形成工程と、 前記積層体形成工程において得られる前記積層体を、酸
化剤を含む気体中、300℃以上の所定の熱処理温度に
保持して熱処理する熱処理工程と、を含むこと、を特徴
とする反射防止膜の製造方法。 - 【請求項2】 前記積層体形成工程において、前記透明
基板の前記積層体の形成されている側と反対側の面に前
記少なくとも1つの誘電体層を更に形成すること、を特
徴とする請求項1に記載の反射防止膜の製造方法。 - 【請求項3】 前記酸化剤は酸素であることを特徴とす
る請求項1又は2に記載の反射防止膜の製造方法。 - 【請求項4】 前記熱処理工程における酸素分圧が20
0〜215hPaであることを特徴とする請求項3に記
載の反射防止膜の製造方法。 - 【請求項5】 前記透明導電層は、酸化スズと酸化イン
ジウムとを含む層であることを特徴とする請求項1〜4
の何れかに記載の反射防止膜の製造方法。 - 【請求項6】 利用するべき光に対する反射防止機能を
有する反射防止膜であって、 請求項1〜5の何れかに記載の製造方法により形成され
ること、を特徴とする反射防止膜。 - 【請求項7】 膜状の形状を有しかつ光透過性を有する
第1の透明電極と、 膜状の形状を有しかつ光透過性を有しており、前記第1
の透明電極に対向配置される第2の透明電極と、 前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との間に所定
の電圧を印加する電圧印加部と、 前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との間に配置
されており、前記第1の透明電極を介して外部から照射
される読み出し光を受光する受光面と該受光面から入射
する前記読み出し光を出射する光出射面とを有し、か
つ、前記電圧印加部により印加される印加電圧により配
向状態を変化させる液晶分子を含有する液晶層と、 前記液晶層と前記第2の透明電極との間に配置されてお
り、前記液晶層の前記光出射面から出射される前記読み
出し光を該光出射面に向けて反射する誘電体ミラー層
と、 前記誘電体ミラー層と前記第2の透明電極との間に配置
されており、前記第2の透明電極を介して照射される前
記アドレス光を受光するアドレス光受光面を有し、前記
アドレス光が照射された部位の電気抵抗が可逆的に変化
可能な光導電層と、を有しており、 前記第1の透明電極が請求項6に記載の反射防止膜であ
ること、を特徴とする空間光変調素子。 - 【請求項8】 高分子材料から構成された第1の配向層
が前記液晶層と前記第1の透明電極との間に配置されて
おり、 高分子材料から構成された第2の配向層が前記液晶層と
前記誘電体ミラー層との間に配置されていること、を特
徴とする請求項7記載の空間光変調素子。 - 【請求項9】 前記読み出し光が前記誘電体ミラー層を
透過して前記光導電層に到達することを防止し、前記第
1の透明電極と第2の透明電極との間の領域を光学的に
2つの領域に分離する光遮蔽層が、前記光導電層と前記
誘電体ミラー層との間に更に配置されていること、を特
徴とする請求項7又は8に記載の空間光変調素子。 - 【請求項10】 請求項7〜9の何れかに記載の空間光
変調素子と、 前記読み出し光を発生する読み出し用光源と、 前記アドレス光を発生するアドレス用光源と、を有して
おり、 前記読み出し光の波長が900〜2000nmであるこ
と、を特徴とする空間光変調装置。
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