JP2003321621A - 分散液、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法及び電子写真装置 - Google Patents

分散液、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法及び電子写真装置

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JP2003321621A JP2002200858A JP2002200858A JP2003321621A JP 2003321621 A JP2003321621 A JP 2003321621A JP 2002200858 A JP2002200858 A JP 2002200858A JP 2002200858 A JP2002200858 A JP 2002200858A JP 2003321621 A JP2003321621 A JP 2003321621A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 分散安定性に優れたフタロシアニン顔料を用
いた分散液を提供すること。また、高感度で異常欠陥の
発生のないフタロシアニン顔料を用いた電子写真感光
体、およびそれを用いた電子写真装置を提供すること。
また、再利用が容易な電子写真感光体、およびそれを用
いた電子写真装置を提供すること。 【解決手段】 少なくとも2種のフタロシアニン顔料、
溶媒を含有する分散液において、該分散液中に含まれる
2種のフタロシアニン顔料のいずれの平均粒径も0.8
μm以下であり、かつ各々の平均粒径の差が0.2〜
0.6μmであることを特徴とする分散液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2種のフタロシア
ニン顔料を含有する分散液、それを用いた電子写真感光
体ならびにそれを用いた電子写真装置に関し、詳しく
は、分散安定性に優れた分散液、高感度で異常欠陥の発
生がなく、かつ再利用が行ないやすい電子写真感光体、
ならびに繰り返し使用においても異常画像が発生しにく
い電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた情報処理シ
ステム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデ
ジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プ
リンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が
著しい。このデジタル記録技術はプリンターのみならず
通常の複写機にも応用され所謂デジタル複写機が開発さ
れている。また、従来からあるアナログ複写機にこのデ
ジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処
理機能が付加されるため今後その需要性が益々高まって
いくと予想される。
【0003】光プリンターの光源としては現在のところ
小型、安価で信頼性の高い半導体レーザー(LD)や発
光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく
使われているLEDの発光波長は660nmであり、L
Dの発光波長域は近赤外光領域にある。このため可視光
領域から近赤外光領域に高い感度を有する電子写真感光
体の開発が望まれている。
【0004】電子写真感光体の感光波長域は感光体に使
用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決まっ
てしまう。そのため従来から各種アゾ顔料、多環キノン
系顔料、三方晶形セレン、各種フタロシアニン顔料等多
くの電荷発生物質が開発されている。それらの内、フタ
ロシアニン顔料は600〜800nmの長波長光に対し
て高感度を示すため、光源がLEDやLDである電子写
真プリンターやデジタル複写機用の感光体用材料として
極めて重要かつ有用である。
【0005】一方、このフタロシアニン顔料を用いた電
子写真感光体は、フタロシアニン顔料、結着樹脂、溶媒
等を含有する分散液を塗布することによって作製するの
が一般的である。
【0006】さらに分散液中には、電荷保持能力の向
上、感度調整が容易である等の利点があるため、1種類
のフタロシアニン顔料のみではなく、2種以上の異なる
顔料を混合する方法が提案されている。例えば、特許第
2805867号公報、特許第2847827号公報、
特許第2990757号公報、特許第2990758号
公報、特開平9−152728号公報などが挙げられ、
有効な手法であると言える。
【0007】また、通常顔料の粒径を小さくすることに
よって、より高感度化を達成することが可能となる、あ
るいは画像欠陥による異常画像発生を防ぐ等の利点があ
り、種々の検討が行なわれている。例えば、特許第26
14282号公報においては、感光体中に含有される粒
子の最大粒径が1μm以下である感光体と接触配置され
た帯電用導電部材とを用いることで、画像欠陥を防ぐ方
法が提案されている。
【0008】また、特許第3176797号公報におい
ては、異なる顔料粒子(P型電荷発生材料とN型電荷発
生材料)からなる0.2〜2μmの凝集体を形成させる
ことによって、より高感度な感光体を作製する方法が提
案されている。また、特開平5−333575号公報に
おいては粒径0.05〜2μmのフタロシアニン粒子と
粒径0.01〜1μmのn型導電性顔料粒子が付着して
いる状態の電子写真感光体が提案されている。
【0009】しかしながら、2種類の小粒径顔料粒子が
混合する分散液を作製した場合、凝集体構造の形成が起
こりやすくなり、更に分散液の保管時には凝集が加速さ
れやすくなるため、分散液の長期保管あるいは安定した
感光体製造ができないという問題を有していた。
【0010】また、この様な分散液を用いた感光体にお
いては、塗膜欠陥を生じやすく、更にはこのような塗膜
欠陥を生じた感光体を使用した場合、電子写真装置の出
力画像として欠陥画像が発生するという問題を有してい
た。また、小粒径顔料粒子が均一に分散された感光層を
有する電子写真感光体においては、感光層の剥離を容易
に行なうことが困難でおり、感光体基体の再利用を困難
にしているという問題も有していた。
【0011】従って、分散安定性に優れた分散液、高感
度で異常欠陥の発生がなく、かつ再利用が行ないやすい
電子写真感光体、およびそれを用いた電子写真装置の完
成が望まれていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分散
安定性に優れたフタロシアニン顔料を用いた分散液を提
供することにある。また、高感度で異常欠陥の発生のな
いフタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体、および
それを用いた電子写真装置を提供することにある。ま
た、本発明の別の目的は、再利用が容易な電子写真感光
体、およびそれを用いた電子写真装置を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明の
(1)「少なくとも2種のフタロシアニン顔料、溶媒を
含有する分散液において、該分散液中に含まれる2種の
フタロシアニン顔料のいずれの平均粒径も0.8μm以
下であり、かつ各々の平均粒径の差が0.2〜0.6μ
mであることを特徴とする分散液」、(2)「前記2種
のフタロシアニン顔料のうち、平均粒径の小さいフタロ
シアニン顔料がチタニルフタロシアニンであることを特
徴とする前記第(1)項に記載の分散液」、(3)「前
記チタニルフタロシアニン顔料が、CuKαの特性X線
(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピ
ーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最
大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料であ
ることを特徴とする前記第(2)項に記載の分散液」に
よって解決される。
【0014】また、上記課題は、本発明の(4)「導電
性支持体上に少なくとも感光層を設けた電子写真感光体
において、該感光層中に少なくとも2種のフタロシアニ
ン顔料を含有し、該2種のフタロシアニン顔料のいずれ
の平均粒径も0.8μm以下であり、かつそれらの平均
粒径の差が0.2〜0.6μmであることを特徴とする
電子写真感光体」、(5)「前記2種のフタロシアニン
顔料のうち、平均粒径の小さいフタロシアニン顔料がチ
タニルフタロシアニンであることを特徴とする前記第
(4)項に記載の電子写真感光体」、(6)「前記チタ
ニルフタロシアニン顔料が、CuKαの特性X線(波長
1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク
(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回
折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料であるこ
とを特徴とする前記第(5)項に記載の電子写真感光
体」、(7)「前記感光層が電荷発生層、電荷輸送層の
積層構成からなり、かつ表面保護層を設けることを特徴
とする前記第(4)項乃至第(6)項のいずれかに記載
の電子写真感光体」、(8)「前記保護層に比抵抗10
10Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有する
ことを特徴とする前記第(7)項に記載の電子写真感光
体」、(9)前記電子写真感光体の導電性支持体表面が
陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする前
記第(4)項乃至第(8)項のいずれかに記載の電子写
真感光体」、(10)「少なくとも2種のフタロシアニ
ンを含有する感光層を有する電子写真感光体の製造方法
において、前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに
記載の分散液を使用して感光層を形成することを特徴と
する電子写真感光体の製造方法」によって解決される。
【0015】また、上記課題は、本発明の、(11)
「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写
手段、および電子写真感光体を具備してなる電子写真装
置において、該電子写真感光体が少なくとも2種のフタ
ロシアニン顔料を含有し、該2種のフタロシアニン顔料
のいずれの平均粒径も0.8μm以下であり、かつそれ
らの平均粒径の差が0.2〜0.6μmである感光層を
導電性支持体上に設けたものであることを特徴とする電
子写真装置」、(12)「前記2種のフタロシアニン顔
料のうち、平均粒径の小さいフタロシアニン顔料がチタ
ニルフタロシアニンであることを特徴とする前記第(1
1)項に記載の電子写真装置」、(13)「少なくとも
帯電手段、現像手段、及び電子写真感光体を具備してな
る画像形成ユニットを複数有することを特徴とする前記
第(11)又は(12)項に記載の電子写真装置」、
(14)「前記帯電手段が、感光体に対し接触もしくは
近接配置されたものであることを特徴とする前記第(1
1)項乃至第(13)項のいずれかに記載の電子写真装
置」、(15)「前記感光体に近接配置された帯電手段
に用いられる帯電部材表面と感光体表面の間の空隙が2
00μm以下であることを特徴とする前記(14)項に
記載の電子写真装置」、(16)「前記電子写真装置に
おいて、前記帯電部材に対し直流成分に交流成分を重畳
した電圧を印加することにより、感光体に帯電を与える
ことを特徴とする前記第(14)項又は(15)項に記
載の電子写真装置」、(17)「電子写真感光体上に現
像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したの
ち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写
する中間転写手段を有する電子写真装置であって、該電
子写真装置は複数色のトナー画像を中間転写体上に順次
重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録
材上に一括で二次転写することを特徴とする前記第(1
1)項乃至第(16)項のいずれかに記載の電子写真装
置」によって解決される。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられるフタロシアニン顔料としては、無金属フタロ
シアニンまたは金属フタロシアニンが挙げられ、モーザ
ーおよびトーマスの「フタロシアニン化合物」(ライン
ホールド社、1963)等に記載されている合成法、及
び他の適当な方法によって得られるものを使用する。
【0017】金属フタロシアニンの一例としては、銅、
銀、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、イ
ンジウム、ナトリウム、リチウム、チタン、錫、鉛、バ
ナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルトなどを中心
金属にもつものが挙げられる。また、フタロシアニンの
中心核には前記金属原子の代わりに、三価以上の原子価
を有するハロゲン化金属が存在していても良い。なお、
フタロシアニンは各種結晶形が知られているが、α型、
β型、Y型、ε型、τ型、X型などの結晶形、及び非晶
形など公知のものが使用できる。
【0018】さらに本発明によれば、2種のフタロシア
ニン顔料のうち1つは、下記に示すように中心金属にチ
タンを有するチタニルフタロシアニン(以下TiOP
c)が望ましい。
【0019】
【化1】 (式中、X、X、X、Xは各々独立に各種ハロ
ゲン原子を表わし、n、m、l、kは各々独立的に0〜
4の数字を表わす。)
【0020】TiOPcの合成法や電子写真特性に関す
る文献としては、例えば特開昭57−148745号公
報、特開昭59−36254号公報、特開昭59−44
054号公報、特開昭59−31965号公報、特開昭
61−239248号公報、特開昭62−67094号
公報などが挙げられる。また、TiOPcには種々の結
晶系が知られており、特開昭59−49544号公報、
特開昭59−41616959号公報、特開昭61−2
39248号公報、特開昭62−67094号公報、特
開昭63−366号公報、特開昭63−116158号
公報、特開昭63−196067号公報、特開昭64−
17066号公報等に各々結晶形の異なるTiOPcが
開示されている。本発明者らは、これらのフタロシアニ
ン顔料の分散安定性に関して鋭意検討を行ない、本発明
を完成するに至った。
【0021】本発明によれば、前記第(1)の分散液、
前記第(2)の分散液、前記第(3)の分散液、前記第
(4)の電子写真感光体、前記第(5)の電子写真感光
体、前記第(6)の電子写真感光体、前記第(7)の電
子写真感光体、前記第(8)の電子写真感光体、前記第
(9)の電子写真感光体、前記第(10)の電子写真感
光体の製造方法、前記第(11)の電子写真装置、前記
第(12)の電子写真装置、前記第(13)の電子写真
装置、前記第(14)の電子写真装置、前記第(15)
の電子写真装置、前記第(16)の電子写真装置、及び
前記第(17)の電子写真装置が提供される。
【0022】本発明における平均粒径を求める方法とし
ては、分散液をレーザ回折散乱式、動的光散乱式、超音
波減衰式、遠心式等の粒度分布測定器により求める方
法、あるいは分散液を塗布し塗膜を形成したものを直接
光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察する方法が挙げられる。
また、フタロシアニンの粒子形状は、米粒形状、針状形
状等種々の形態を有し、いずれの形態もとりうる。従っ
て、直接観察の際は複数個の粒子(少なくとも10個以
上)の長軸方向の長さを測定し、算術平均を求めること
により平均粒径を求めることができる。
【0023】本発明において、分散安定性に優れた2種
のフタロシアニン顔料を用いた分散液が得られる理由は
明らかでないが、顔料の平均粒径が0.8μm以下であ
ることによって、長期保管の際の沈降、及びそれに伴う
凝集を防ぐことが可能となったものと考えられる。さら
に、分散液中の小粒径顔料の平均粒径が均一に揃ってい
る場合に比べ、異なる平均粒径を有する小粒径顔料が存
在することによって凝集が阻害されやすくなるのではな
いかと推定される。
【0024】さらに本発明における電子写真感光体にお
いては、0.8μm以下の平均粒径を有する2種のフタ
ロシアニン顔料を含有した感光層を有するために、繰り
返し使用の際に黒点等の画像欠陥の発生を防ぐことが可
能になったものと考えられる。また、平均粒径が均一に
揃っている顔料を有する感光層に比べ、感光体基体等へ
の接触面積が小さくなったものと推定される。そのた
め、感光層と感光体基体等の接着力が小さくなり、感光
層の剥離が容易になったものと考えられる。
【0025】以下、本発明の分散液について詳しく説明
する。本発明の分散液は、少なくとも2種類のフタロシ
アニン顔料を含有するものであり、含有される2種のフ
タロシアニン顔料の平均粒径がいずれも0.8μm以下
であり、かつ各々の平均粒径の差が0.2〜0.6μm
であることが特徴である。この分散液は、分散安定性に
優れ、長期間の保存を可能にし、またこれを用いて塗膜
を形成する場合、塗膜欠陥の少ない安定した塗膜形成を
可能にするものである。また、ここで用いられる2種類
のフタロシアニン顔料のうち、少なくとも一方がチタニ
ルフタロシアニン、特にCuKαの特性X線(波長1.
542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±
0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピ
ークを有するチタニルフタロシアニン顔料であること
は、本分散液の主たる使用目的(電子写真感光体の感光
層用塗工液あるいは電荷発生層用塗工液としての使用)
を考慮すると、有用なことである。この際、2種類のう
ち平均粒径の小さい方の顔料を前記チタニルフタロシア
ニンとすることにより、電荷発生物質としての機能を十
二分に発揮することができ、極めて重要なことである。
【0026】本発明の分散液は上述の特長を生かし、電
子写真感光体の電荷発生層を形成するための塗工液とし
て、特に有効に使用することができる。目的とするフタ
ロシアニン顔料を含有する分散液を得る方法は、分散溶
媒の存在下に顔料粗粉末をボールミル、振動ミル、円盤
振動ミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、ペ
イントシェーカー、ジェットミル、超音波分散法など、
顔料に圧縮、せん断、摩砕、摩擦、延伸、衝撃、振動な
どの機械的エネルギーを与える粉砕手段であればいずれ
のものも使用できる。さらに、分散溶媒には必要に応じ
て結着樹脂を加えることも可能であり、有効な手段であ
る。また2種のフタロシアニン顔料を含む分散液は、そ
れぞれのフタロシアニン顔料の粉砕を別々に行なったの
ちに混合して得る方法、あるいは粉砕前に混合し一度に
粉砕を行なう方法のいずれの方法も用いることができ
る。
【0027】ここで用いられる溶剤としては、イソプロ
パノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセル
ソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジ
クロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、
トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特
にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良
好に使用される。
【0028】必要に応じて用いられる結着樹脂として
は、公知のものが用いられるが、絶縁性でフィルム形成
能の高い高分子重合体が好ましい。例えば、ポリスチレ
ン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合
体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート(ビスフェ
ノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ)、酢酸セル
ロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポ
リ−N −ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹
脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂等の熱可塑性または
熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明に用いられる電子写
真感光体について、図面を用いて詳しく説明する。図1
は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す
断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材
料と電荷輸送材料を主成分とする単層感光層(33)が
設けられている。図2、図3は、本発明に用いられる電
子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性
支持体(31)上に、電荷発生材料を主成分とする電荷
発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸
送層(37)とが、積層された構成をとっている。
【0030】導電性支持体(31)としては、体積抵抗
1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、ア
ルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、
銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの
金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィ
ルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したも
の、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッ
ケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、
引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩
などの表面処理した管などを使用することができる。ま
た、特開昭52−36016号公報に開示されたエンド
レスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導
電性支持体(31)として用いることができる。
【0031】また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を
簡便に行なうことのできるアルミニウムからなる円筒状
支持体も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムと
は、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも
含むものである。具体的には、JIS1000番台、3
000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアル
ミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は各種金
属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理した
ものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウ
ム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行なったアルマ
イトと呼ばれる被膜が適している。
【0032】陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、
リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において
行なわれる。このうち、硫酸浴による処理が最も適して
いる。一例を挙げると、硫酸濃度:10− 20%、浴
温:5−25℃、電流密度:1−4A/dm、電解電
圧:5−30V、処理時間:5−60分程度の範囲で処
理が行なわれる。また、陽極酸化皮膜を封孔処理するこ
とによって更に良好に使用できる。封孔処理には、フッ
化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化
皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する
方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。ま
た、封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理を行
なったものも良好に使用される。
【0033】この他、上記支持体上に導電性粉体を適当
な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性
支持体(31)として用いることができる。この導電性
粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラッ
ク、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、
亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、IT
Oなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時
に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−
アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重
合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレ
ート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セ
ルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、
ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹
脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、
熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このよ
うな導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当
な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタ
ン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布
することにより設けることができる。
【0034】さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテト
ラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性
粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設
けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として
良好に用いることができる。
【0035】次に感光層について説明する。感光層は単
層、積層いずれのものも用いることが可能であり、ま
ず、電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成さ
れる積層型から述べる。電荷発生層(35)は、電荷発
生材料として2種のフタロシアニン顔料を主成分とする
層である。上述したように、2種のフタロシアニン顔料
を必要に応じて用いる結着樹脂とともに適当な溶剤中に
上述の方法により分散し、これを導電性支持体上に塗布
し、乾燥することにより形成される。塗布液の塗工法と
しては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、
ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法
を用いることができる。電荷発生層(35)の膜厚は、
0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1
〜2μmである。
【0036】電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質およ
び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電
荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。ま
た、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を
添加することもできる。
【0037】電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸
送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えばクロル
アニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラ
シアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フ
ルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フル
オレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、
2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−
トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン
−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェ
ン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電
子受容性物質が挙げられる。
【0038】正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニル
カルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリ
ルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホル
ムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾ
ール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘
導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘
導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、
α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジ
アリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9
−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジ
ビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘
導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチル
ベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げ
られる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上
混合して用いられる。
【0039】結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン
−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共
重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエス
テル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレー
ト、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロー
ス樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ
−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン
樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬
化性樹脂が挙げられる。
【0040】電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部
に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150
重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜1
00μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる
溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トル
エン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロ
エタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセ
トンなどが用いられる。
【0041】また、電荷輸送層には電荷輸送物質として
の機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送
物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質か
ら構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものであ
る。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用で
きるが、下記構造式に示すようなトリアリールアミン構
造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートは
良好に用いられる。
【0042】
【化2】(I)式 式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしく
は無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原
子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、R
置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞ
れ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表わし、0.
1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表
わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、
環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2
価基を表わす。
【0043】
【化3】 101、R102は各々独立して置換もしくは無置換
のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わ
す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1
〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、
−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−
CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を
表わす。)または、
【0044】
【化4】 (aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R
103、R104は置換または無置換のアルキル基又は
アリール基を表わす)を表わす。ここで、R101とR
102、R103とR104は、それぞれ同一でも異な
ってもよい。)
【0045】
【化5】(II)式 式中、R,Rは置換もしくは無置換のアリール基、
Ar,Ar,Ar は同一又は異なるアリレン基を
表わす。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同
じである。
【0046】
【化6】(III)式 式中、R,R10は置換もしくは無置換のアリール
基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン
基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と
同じである。
【0047】
【化7】(IV)式 式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール
基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン
基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と
同じである。
【0048】
【化8】(V)式 式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール
基、Ar10,Ar ,Ar12は同一又は異なるア
リレン基、X,Xは置換もしくは無置換のエチレン
基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。
X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
【0049】
【化9】(VI)式 式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは
無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15
Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y,Y,Y
は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換
もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無
置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビ
ニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X,
k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
【0050】
【化10】(VII)式 式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換
のアリール基を表わし、R19とR20は環を形成して
いてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は
異なるアリレン基を表わす。 X,k,jおよびnは、
(I)式の場合と同じである。
【0051】
【化11】(VIII)式 式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar
20,Ar21,Ar 22,Ar23は同一又は異なる
アリレン基を表わす。 X,k,jおよびnは、(I)
式の場合と同じである。
【0052】
【化12】(IX)式 式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは
無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26
Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わ
す。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じであ
る。
【0053】
【化13】(X)式 式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール
基、Ar29,Ar ,Ar31は同一又は異なるア
リレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の
場合と同じである。
【0054】また、電荷輸送層に使用される高分子電荷
輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電
荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあ
るいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは
架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次
元の架橋構造を有する重合体も含むものである。これら
電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送
層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れ
たものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯
電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使
用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光
体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度
の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光
体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利であ
る。これら電子供与性基を有する重合体から構成される
電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に
優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、
電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送
能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質
を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期
待できる。その他の電子供与性基を有する重合体として
は、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフ
ト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−
109406号公報、特開2000−206723号公
報、特開2001−34001号公報等に開示されてい
るような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いる
ことも可能である。
【0055】本発明において電荷輸送層(37)中に可
塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤として
は、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一
般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま
使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重
量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチ
ルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル
などのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアル
キル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用さ
れ、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適
当である。
【0056】次に感光層が単層構成の感光層(33)の
場合について述べる。単層感光層は、少なくとも2種の
フタロシアニン、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な
溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することに
よって形成できる。さらに、この感光層は上述した電荷
輸送材料を添加した機能分離タイプとしても良く、良好
に使用できる。また、必要により、可塑剤やレベリング
剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0057】結着樹脂としては、先に電荷輸送層(3
7)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発
生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよ
い。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に
使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物
質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量
は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50
〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、
結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒド
ロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサ
ン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬
塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して
形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度
が適当である。
【0058】本発明の電子写真感光体には、導電性支持
体(31)と感光層との間に中間層を設けることができ
る。中間層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの
樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考える
と、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂である
ことが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニル
アルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の
水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロ
ン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン
樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エ
ポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等
が挙げられる。また、中間層にはモアレ防止、残留電位
の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化
ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示でき
る金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0059】これらの中間層は前述の感光層の如く適当
な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本
発明の中間層として、シランカップリング剤、チタンカ
ップリング剤、クロムカップリング剤等を使用すること
もできる。この他、本発明の中間層には、Al
陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリ
レン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、I
TO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けた
ものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用
いることができる。中間層の膜厚は0〜5μmが適当で
ある。
【0060】本発明の電子写真感光体には、感光層保護
の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもあ
る。近年、日常的にコンピュータの使用が行なわれるよ
うになり、プリンターによる高速出力とともに、装置の
小型も望まれている。従って、保護層を設け、耐久性を
向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥の
ない感光体を有用に用いることができる。
【0061】保護層(39)に使用される材料としては
ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー
共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミ
ド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチ
レン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アク
リル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリ
フェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、A
S樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹
脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートも
しくはポリアリレートが最も良好に使用できる。
【0062】保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目
的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シ
リコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化
錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また
有機フィラーを分散したもの等を添加することができ
る。また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料の
うち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロ
エチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉
末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材
料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなど
の金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、
酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アン
チモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジ
ウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料
が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この
中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリ
カ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
【0063】保護層中のフィラー濃度は使用するフィラ
ー種により、また、感光体を使用する電子写真プロセス
条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全
固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましく
は10重量%以上、50重量%以下、好ましくは30重
量%以下程度が良好である。
【0064】また、使用するフィラーの体積平均粒径
は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ま
しくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平
均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大
きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのもの
が形成できなかったりするからである。なお、本発明に
おけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り
体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:
CAPA−700(堀場製作所製)により求めたもので
ある。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(M
edian系)として算出されたものである。また、同
時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であ
ることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場
合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得
られなくなってしまう場合がある。
【0065】また、本発明で使用するフィラーのpHも
解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由
の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に
塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い
場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残
存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合
がある。もう一つの理由としては、フィラー、特に金属
酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。
通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイ
ナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとし
て反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層
が形成されることによって粒子の分散状態は安定化して
いる。粒子から遠ざかるに従い、その電位(ゼータ電
位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に
中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼー
タ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなる
ことによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝
集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼ
ータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼ
ロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等
電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高
めることによって分散系の安定化が図られることにな
る。本発明の構成においては、フィラーとしては前述の
等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが
画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィ
ラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確
認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィ
ラーは、系が酸性であった方がゼータ電位はより高くな
ることにより、分散性及びその安定性は向上することに
なる。ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼー
タ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、
ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ
電位計にて測定した。
【0066】更に、画像ボケが発生しにくいフィラーと
しては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010
Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を
示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に
有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーある
いは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することは
もちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフ
ィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下の
フィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混
合したりして用いることも可能である。また、これらの
フィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上
に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナ
は、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用
である。
【0067】本発明において使用するフィラーの比抵抗
は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、
充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下
で測定する必要がある。本発明においては、特開平5−
94049号公報の図1に示される測定装置、特開平5
−113688号公報の図1に示される測定装置と同様
の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、
この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0
cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1
分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調
節する。測定の際は、上部電極の重量(1kg)の荷重
状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定す
る。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESI
STANCE METER(横河ヒューレットパッカー
ド製)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメー
ター(フルーク製)により測定した。これにより得られ
た比抵抗値を本発明の言うところの比抵抗値と定義する
ものである。
【0068】フィラーの誘電率は以下のように測定し
た。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷
重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を
求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気
製)を使用した。更に、これらのフィラーは少なくとも
一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、
そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フ
ィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗
膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性
の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化
を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理
剤としては、従来用いられている表面処理剤を使用する
ことができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処
理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング
剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネー
ト系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらと
シランカップリング剤との混合処理や、Al、T
iO、ZrO 、シリコーン、ステアリン酸アルミニ
ウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性
及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリン
グ剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記
の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施
すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処
理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によっ
て異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20w
t%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないと
フィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電
位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラー材料は単
独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの
表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対す
る使用する表面処理剤の重量比で定義される。これらフ
ィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散で
きる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラー
は1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ない方が好
ましい。
【0069】また、保護層(39)には残留電位低減、
応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電
荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材
料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子
電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度
傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側
を低濃度にすることは有効な手段である。ここで言う濃
度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分
子電荷輸送物質の重量の比を表わし、濃度傾斜とは上記
重量比において表面側において濃度が低くなるような傾
斜を設けることを示す。また、高分子電荷輸送物質を用
いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利で
ある。保護層の形成法としては通常の塗布法が採用され
る。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当で
ある。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成した
a−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用い
ることができる。
【0070】次に、図面を用いて本発明の電子写真装置
を詳しく説明する。図4は、本発明の電子写真プロセス
および電子写真装置を説明するための概略図であり、下
記に示すような変形例も本発明の範疇に属するものであ
る。図4において、感光体(1)は導電性支持体上に少
なくとも2種のフタロシアニン顔料を含む感光層が設け
られてなる。感光体(1)はドラム状の形状を示してい
るが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても
良い。帯電ローラ(3)、転写前チャージャ(7)、転
写チャージャ(10)、分離チャージャ(11)、クリ
ーニング前チャージャ(13)には、コロトロン、スコ
ロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージ
ャー)、帯電ローラ、転写ローラを始めとする公知の手
段が用いられる。
【0071】これらの、帯電方式のうち、接触式の帯電
部材および非接触の近接配置方式の帯電部材が良好に用
いられるが、特に非接触の近接配置方式が望ましい。こ
こでいう接触配置の帯電部材とは、感光体表面に帯電部
材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラ
ー、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。中でも帯
電ローラーや帯電ブラシが良好に使用される。また、近
接配置した帯電部材とは、感光体表面と帯電部材表面の
間に200μm以下の空隙(ギャップ)を有するように
非接触状態で近接配置したタイプのものである。空隙の
距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知
の帯電器とは区別されるものである。本発明において使
用される近接配置された帯電部材は、感光体表面との空
隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状
のものでも良い。例えば、感光体の回転軸と帯電部材の
回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するよう
な配置にすればよい。中でも、帯電ローラーの形状の帯
電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ
形成部材を配置して、この部分のみを感光体表面に当接
させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは感光
体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この
部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非
接触配置させる様な方法が、簡便な方法でギャップを安
定して維持できる方法である。特に、米国特許公開公報
2002−0051654号明細書、特願平13−22
6432号明細書に記載された方法は良好に使用でき
る。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電
機構の一例を図6に示す。前記方式を用いることで、帯
電効率が高い、トナー等による汚れが生じない、接触に
よる機械的摩耗が発生しない等の点から良好に使用され
る。また、画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光
源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンラン
プ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LE
D)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセ
ンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。
そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャ
ープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外
カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フ
ィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルター
を用いることもできる。かかる光源等は、図4に示され
る工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、ク
リーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けるこ
とにより、感光体に光が照射される。
【0072】さて、現像ユニット(6)により感光体
(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写さ
れるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)
上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、フ
ァーブラシ(14)およびクリーニングブレード(1
5)により、感光体より除去される。クリーニングは、
クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリ
ーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを
始めとする公知のものが用いられる。
【0073】電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画
像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜
像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微
粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また正(負)
極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かか
る現像手段には、公知の方法が適用され、また、除電手
段にも公知の方法が用いられる。
【0074】次に、本発明によるタンデム型電子写真装
置について説明する。タンデム型電子写真装置とは、感
光体、帯電部材、現像部材等からなる画像形成要素を複
数個(一般的には4つ)配置した画像形成装置である。
この装置は、フルカラー出力における各色の画像形成を
並列処理できるため、プリント速度に優れている。
【0075】近年、日常的にコンピュータの使用が行な
われるようになり、フルカラー画像での出力やモノクロ
並みのスピードが望まれることから、タンデム型電子写
真装置が注目されてきている。フルカラー画像を出力す
る場合、写真等の画像面積率の高い出力が増えるため、
感光体の欠陥は異常画像として検出されやすくなる。従
って、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体を有用に
用いることができる。さらに、タンデム型電子写真装置
は各色に対応した複数の感光体を用いるため、感光体の
量が飛躍的に増加する。そのため、本発明の再利用の容
易な感光体を用いることで、効果の高いリサイクルシス
テムを形成できる。
【0076】タンデム型の電子写真装置には、各感光体
上の画像を転写装置により、シート搬送ベルトで搬送す
る記録材に順次転写する直接転写方式のものと、各感光
体上の画像を1次転写装置によりいったん中間転写体に
順次転写した後、その中間転写体上の画像を2次転写装
置により記録材に一括転写する間接転写方式のものとが
ある。転写装置は転写搬送ベルトであるが、ローラ形状
も方式もある。本発明におけるタンデム型カラー画像形
成装置においては、いずれのものも可能であるが、2次
転写位置を比較的自由に設置することができるため、小
型化が可能であることや、幅広い紙種に対応しやすい等
の利点があるため、特に間接転写方式のものが望まし
い。
【0077】一例として、図5に示す間接転写方式につ
いて詳細に説明する。本装置においては、一次転写装置
(25)により各色に対応する感光体(27)上のトナ
ー像を中間転写体(28)上に形成し、給紙装置(2
9)より搬送された記録材(24)に二次転写装置(4
0)を用いて転写し、定着装置(41)によってトナー
像を定着させる。また、中間転写体(28)上に残った
トナーは中間転写体クリーニング装置(42)によって
除去される。間接転写を行なう中間転写体は、無端ベル
ト状の中間転写ベルトが特に良好に用いられ、樹脂で構
成されたベース層に弾性材ゴムを用いた弾性層、コート
層を設けることによって形成される。また、中間転写体
の抵抗値を制御するために、弾性層に抵抗制御材を含有
するのも好ましい。
【0078】ベース層に用いる樹脂としてはポリカーボ
ネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリス
チレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレ
ン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビ
ニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレ
ン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステ
ル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、ス
チレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリ
ル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共
重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体
等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチ
レン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタク
リル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニ
ル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチ
ル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸
エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたは
スチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタ
クリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリ
ル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル
樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変
性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビ
ニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
エステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノ
マー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン
樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレ
ン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹
脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群よ
り選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することが
できる。
【0079】弾性材ゴム、エラストマーとしては、ブチ
ルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NB
R、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然
ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブ
タジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−
プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロス
ルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタン
ゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エ
ピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、
多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴ
ム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポ
リオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、
ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹
脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類
以上を使用することができる。
【0080】抵抗値調節用導電剤に特に制限はないが、
例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウ
ムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化
アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化
アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジ
ウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化
物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネ
シウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したも
の等が挙げられる。
【0081】表層材料に制限はないが、転写ベルト表面
へのトナーの付着力を小さくして2次転写性を高めるも
のが要求される。たとえばポリウレタン、ポリエステ
ル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用
し、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、た
とえばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化
チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あ
るいは2種類以上、または粒径を異ならしたものを分散
させ使用することができるまたフッ素系ゴム材料のよう
に熱処理を行なうことで表面にフッ素リッチな層を形成
させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用すること
もできる。以上に示した電子写真プロセスは、本発明に
おける実施形態を例示するものであって、もちろん他の
実施形態も可能である。
【0082】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明は実施例により制約を受けるものではない。な
お、部はすべて重量部である。まず、実施例に用いるチ
タニルフタロシアニン顔料の具体的な合成例、及び分散
液作製例について述べる。
【0083】(合成例)1,3−ジイミノイソインドリ
ン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気
流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下す
る。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度
を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して
反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過
し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎ
にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回
洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。
粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解
し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した
結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰
り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ
を得た。得られたこのウェットケーキ2gをテトラヒド
ロフラン20gに投入し、4時間攪拌を行なった。これ
にメタノール100gを追加して、1時間攪拌を行なっ
た後、濾過を行ない、乾燥して、図7に示すXDスペク
トルを有するチタニルフタロシアニン粉末を得た。
【0084】 (分散液作製例1) <分散液A> 合成例のチタニルフタロシアニン粉末 3部 ポリビニルアセタール(エスレックBX−1、積水化学(株)製) 2部 メチルエチルケトン 160部 上記組成の材料を混合し、ボールミリングにて8時間分
散し、分散液を作製した。得られた分散液の粒径を
(株)堀場製作所CAPA700にて測定した結果、平
均粒径0.16μmの分散液Aが得られた。
【0085】次に下記の材料を混合し、ボールミリング
にて3時間分散し、分散液を作製した結果、平均粒径
0.58μmの分散液Bが得られた。 <分散液B> ε型銅フタロシアニン(BASF社製) 3部 ポリビニルアセタール(エスレックBX−1:積水化学社製) 2部 メチルエチルケトン 160部 続いて分散液Aと分散液Bを混合し、2種のフタロシア
ニンを含有する分散液1を作製した。
【0086】 (分散液作製例2) <分散液C> X型無金属フタロシアニン (ファストゲンブルー8120B:大日本インキ社製) 3部 ポリビニルアセタール(エスレックBX−1:積水化学(株)製) 2部 メチルエチルケトン 160部 上記組成の材料を混合し、ボールミリングにて5時間分
散し分散液を作製した結果、平均粒径0.76μmの分
散液Cが得られた。続いて分散液作製例1と同様に作製
した分散液Aと上記分散液Cを混合し、2種のフタロシ
アニンを含有する分散液2を作製した。
【0087】 (分散液作製例3) <分散液D> τ型無金属フタロシアニン(TPA−891:東洋インキ社製) 3部 ポリビニルアセタール(エスレックBX−1:積水化学(株)製) 2部 メチルエチルケトン 160部 上記組成の材料を混合し、ボールミリングにて8時間分
散し分散液を作製した結果、平均粒径0.39μmの分
散液Dが得られた。続いて分散液作製例1と同様に作製
した分散液Aと上記分散液Dを混合し、2種のフタロシ
アニンを含有する分散液3を作製した。
【0088】(分散液作製例4)分散液作製例1におい
て、分散液Bの分散時間を1時間に変更した結果、平均
粒径0.92μmの分散液Eが得られた。続いて、分散
液作製例1と同様に作製した分散液Aと上記分散液Eを
混合し、2種のフタロシアニンを含有する分散液4を作
製した。
【0089】(分散液作製例5)分散液作製例2におい
て、分散液Cの分散時間を12時間に変更した結果、平
均粒径0.20 μmの分散液Fが得られた。続いて、
分散液作製例1と同様に作製した分散液Aと上記分散液
Fを混合し、2種のフタロシアニンを含有する分散液5
を作製した。
【0090】(分散液作製例6)分散液作製例1におい
て、分散液Aの分散時間を4時間に変更した結果、平均
粒径0.37μmの分散液Gが得られた。続いて、上記
分散液Gと分散液作製例1と同様に作製した分散液Bを
混合し、2種のフタロシアニンを含有する分散液6を作
製した。
【0091】(分散液作製例7)分散液作製例6と同様
に作製した分散液Gと分散液作成例2と同様に作製した
分散液Cを混合し、2種のフタロシアニンを含有する分
散液7を作製した。
【0092】(分散液作製例8)分散液作製例6と同様
に作製した分散液Gと分散液作製例4と同様に作製した
分散液Eを混合し、2種のフタロシアニンを含有する分
散液8を作製した。
【0093】(分散液作製例9)分散液作製例1におい
て、分散液Bの分散時間を5時間に変更した結果、平均
粒径0.42μmの分散液Hが得られた。続いて分散液
作製例6と同様に作製した分散液Gと上記分散液Hを混
合し、2種のフタロシアニンを含有する分散液9を作製
した。
【0094】(実施例1〜5、比較例1〜4)上記のよ
うに得られた分散液1〜9を、室温暗所にて6ヶ月静置
保存を行なったのち、保存後の状態を観察した。その結
果を表1に示す。
【0095】
【表1】 表1に示すように、実施例1〜5 においては、分散液
の保存において顔料の凝集が見られず、分散安定性の高
い良好な分散液が得られることがわかる。
【0096】(実施例6〜10、比較例5〜8)次に下
記組成の中間層塗工液を外径30mm、長さ340mm
の切削アルミニウム素管(JIS1050)に塗布し、
130℃で20分間乾燥して、膜厚3μmの中間層を形
成した。 ◎中間層塗工液 酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部 アルキッド樹脂 15部 (ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、 大日本インキ化学工業製) メラミン樹脂 10部 (スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、 大日本インキ化学工業製) メチルエチルケトン 100部 続いて、下記組成の電荷発生層塗工液を前記中間層上に
塗布し、130℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの
電荷発生層を形成した。
【0097】◎電荷発生層塗工液 前記保存前の分散液1〜9、およびその6ヶ月保存液を
電荷発生層塗工液として用いた。続いて、下記組成の電
荷輸送層塗工液を前記電荷発生層上に塗布し、130℃
で20分間乾燥して膜厚25μmの電荷輸送層を形成
し、電子写真感光体を作製した。 ◎電荷輸送層塗工液 ポリカーボネート(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製) 10部 下記(4)式の電荷輸送物質 8部 塩化メチレン 80部
【0098】
【化14】(4)式
【0099】上述のように作製した電子写真感光体を目
視にて、電荷発生層の塗膜状態を観察した。結果を表2
に示す。また、得られた電子写真感光体を、像露光手段
に780nmの半導体レーザー及び帯電手段に図6に示
すような非接触近接配置ローラー帯電器(帯電部材と感
光体のギャップは80μm)を備えるよう一部改良を加
えた画像形成装置(株式会社リコー製 imagio
MF−2200)に装着し、A4サイズPPC用紙を縦
方向送りで1万枚通紙し画像評価を実施した。帯電条件
は以下の通りである。画像評価結果を表3に示す。 <帯電条件> DCバイアス:−750V ACバイアス:1.5kV(peak to peak)、周波数2
kHz
【0100】
【表2】
【0101】表2に示すように、実施例6〜10で作製
した感光体の電荷発生層は、粗大粒子が観察されず、良
好な塗膜を形成していることが分かる。
【0102】
【表3】 表3に示すように、実施例6〜10においては、長期保
存を行なった分散液により作製した感光体を用い繰返し
使用を行なっても、画像欠陥が見られず、安定して良好
な画像を得られることがわかる。
【0103】(実施例11、12)次に、実施例6にお
いて作製した感光体に、下記組成の表面保護層塗工液を
塗布し、140℃で20分間乾燥して平均膜厚2μmの
表面保護層を形成し、電子写真感光体を作製した。 ◎表面保護層塗工液 ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製) 3.8部 前記(4)式の電荷輸送物質 2.8部 α−アルミナ(スミコランダムAA−04:住友化学工業社製) 2.6部 シクロヘキサノン 80部 テトラヒドロフラン 280部
【0104】実施例6、および上記で得られた電子写真
感光体を像露光手段に780nmの半導体レーザーおよ
び帯電手段に接触帯電ローラ帯電器を備えた画像形成装
置(株式会社リコー製 imagio MF−220
0)に装着し、A4サイズPPC用紙を縦方向送りで5
万枚通紙し画像評価、及び摩耗量の測定を実施した。帯
電条件は以下の通りである。上記の評価結果を表4に示
す。 <帯電条件> DCバイアス:−750V ACバイアス:1.5kV(peak to peak)、周波数2
kHz
【0105】
【表4】 表4から実施例11の電子写真感光体は特に優れた耐摩
耗性を示していることがわかる。
【0106】(実施例13〜15、比較例9〜11)実
施例6、7、9及び比較例5、6、8で得られた電子写
真感光体を直接転写方式4連タンデム型カラー画像形成
装置(株式会社リコー製 IPSiO Color80
00)を、図5に示すような間接転写方式4連タンデム
型カラー画像形成装置となるように改造を加え、画像評
価を実施した。定着装置からの距離が最も近い場所に位
置する画像形成ユニット内のステーション番号を
(1)、続いて近いものから順に(2)、(3)、
(4)とし、前記作製の電子写真感光体を組み合わせて
装着した後、A4サイズPPC用紙を縦方向送りで1万
枚通紙後の画像評価を各ステーション毎に評価した。そ
の結果を表5に示す。
【0107】
【表5−1】
【0108】
【表5−2】 表5に示すように、実施例13〜15においては、長期
保存を行なった分散液により作製した感光体を用い繰返
し使用を行なっても、画像欠陥が見られず、安定して良
好な画像を得られることがわかる。
【0109】(実施例16〜17、比較例12〜13)
外径30mm、長さ340mmの切削アルミニウム素管
(JIS1050)に以下の陽極酸化皮膜処理を行なっ
た。 ◎陽極酸化皮膜処理 支持体表面の鏡面研磨仕上げを行ない、脱脂洗浄、水洗
浄を行なった後、液温20℃、硫酸5vol%の電解浴
に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理
を行なった。更に、水洗浄を行なった後、7%の酢酸ニ
ッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行なった。その
後純水による洗浄を経て、6μmの陽極酸化皮膜が形成
された支持体を得た。続いて、下記組成の電荷発生層塗
工液を前記陽極酸化皮膜上に塗布し、130℃で10分
間乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0110】◎電荷発生層塗工液 前記保存前の分散液1、5、7、9を電荷発生層塗工液
として用いた。続いて、下記組成の電荷輸送層塗工液を
前記電荷発生層上に塗布し、130℃で20分間乾燥し
て膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体
を作製した。
【0111】 ◎電荷輸送層塗工液 ポリカーボネート(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製) 10部 前記(4)式の電荷輸送物質 8部 塩化メチレン 80部 得られた電子写真感光体から感光層を剥離・除去するた
めに剥離液としてメタノール水(重量比でメタノール:
水=1:1)を用い、約50℃に加温したこの剥離液中
に、上記感光体を浸漬させた。続いて1時間後に取り出
して、勢いよく水道水をかけて基体面から感光層を除去
させた。次いで、アルミニウム面を露出した基体をよく
乾燥させた後、テトラヒドロフランを含浸させた綿製不
織布で基体面を摺擦処理し、回収基体を得た。次に得ら
れた基体の目視観察を行ない、残留感光層の有無を調べ
た。その結果を表6に示す。
【0112】
【表6】
【0113】表6に示すように、実施例16〜17にお
いては、異なる平均粒径を有する2種のフタロシアニン
顔料を含有した感光層を有する感光体を用いることで、
回収基体の再利用が容易な感光体を得られることがわか
る。
【0114】実施例18 実施例12において、保護層塗工液を以下の組成のもの
に変更した以外は、実施例12と同様に感光体を作製し
た。 ◎表面保護層塗工液 ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製) 3.8部 前記(4)式の電荷輸送物質 2.8部 シリカ微粉末 2.6部 (比抵抗:4×1013Ω・cm、平均一次粒径:0.3μm) シクロヘキサノン 80部 テトラヒドロフラン 280部
【0115】実施例19 実施例12において、保護層塗工液を以下の組成のもの
に変更した以外は、実施例12と同様に感光体を作製し
た。 ◎表面保護層塗工液 ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製) 3.8部 前記(4)式の電荷輸送物質 2.8部 酸化チタン微粒子 2.6部 (比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm) シクロヘキサノン 80部 テトラヒドロフラン 280部
【0116】実施例20 実施例12において、保護層塗工液を以下の組成のもの
に変更した以外は、実施例12と同様に感光体を作製し
た。 ◎表面保護層塗工液 ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製) 3.8部 前記(4)式の電荷輸送物質 2.8部 酸化錫−酸化アンチモン粉末 2.6部 (比抵抗:10Ω・cm、平均1次粒径0.4μm) シクロヘキサノン 80部 テトラヒドロフラン 280部
【0117】以上のように作製した実施例18〜20の
電子写真感光体を像露光手段に780nmの半導体レー
ザーおよび帯電手段に接触帯電ローラー帯電器を備えた
画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−
2200)に装着し、A4サイズPPC用紙を縦方向送
りで5万枚通紙し画像評価を実施した(常温常湿)。更
に5万枚通紙後、30℃−90%RHの環境下で画像出
力を行なった。帯電条件は以下の通りである。画像評価
結果を表7に示す。 <帯電条件> DCバイアス:−750V ACバイアス:1.5kV(peak to peak)、周波数2
kHz
【0118】
【表7】
【0119】実施例21 実施例18で作製した感光体を用い、先の実施例18の
試験に用いた画像形成装置に使用した帯電部材を図6に
示すような近接帯電部材(ギャップは80μm)に変更
した以外は、実施例18と同様に評価した(帯電条件等
は同じ)。その結果、5万枚後の試験後の帯電部材への
トナーフィルミングが極めて少なく、良好な結果であっ
た。特に、5万枚後に実施例18の感光体と共にハーフ
トーン画像を出力して比較した場合に、実施例18の感
光体を用いた場合よりも実施例21の感光体を使用した
場合の方が、帯電ムラに基づく画像濃度ムラが少なく良
好であった。
【0120】実施例22 実施例21で使用した近接帯電部材のギャップを150
μmに変更した以外は、実施例21と同様に評価を行な
った。その結果、実施例21とほぼ同等の結果が得られ
た。
【0121】実施例23 実施例21で使用した近接帯電部材のギャップを250
μmに変更した以外は、実施例21と同様に評価を行な
った。その結果、5万枚後の画像において、僅かに画像
濃度ムラが認められた。
【0122】実施例24 実施例22において、帯電条件を以下のように変更した
以外は、実施例22と同様に評価を行なった。 <帯電条件> DCバイアス:−1600V (実施例22の場合と感光体非画像部の帯電電位を合わ
せた帯電印加電圧) その結果、5万枚後の画像において、僅かに画像濃度ム
ラが認められた。
【0123】実施例25 実施例12の感光体作製において、実施例12で使用し
た導電性支持体の代わりに、実施例16で使用した陽極
酸化皮膜を有する支持体を用い、更に中間層を塗工せず
に電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層を実施例12と
同様に積層し、電子写真感光体を作製した。
【0124】実施例12の感光体と、実施例25の感光
体は、像露光手段に780nmの半導体レーザーおよび
帯電手段に接触帯電ローラー帯電器を備えた画像形成装
置(株式会社リコー製 imagio MF−220
0)に装着し、A4サイズPPC用紙を縦方向送りで5
万枚通紙した。画像評価は初期及び5万枚後に白ベタ画
像を出力し、地肌汚れを評価した。帯電条件は以下の通
りである。上記の評価結果を表8に示す。 <帯電条件> DCバイアス:−750V ACバイアス:1.5kV(peak to peak)、周波数2
kHz
【0125】
【表8】 地汚れランク: 5:地汚れほとんどなし、 4:わずかにあり、 3:実使用限界レベル、 2以下:実使用には耐えないレベル
【0126】
【発明の効果】以上、詳細且つ具体的な説明より明らか
なように、本発明によれば、長期保存時も凝集の起こら
ない、分散安定性に優れたフタロシアニン顔料を用いた
分散液が提供される。また、高感度で異常欠陥の発生の
ないフタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体、およ
びそれを用いた電子写真装置が提供される。さらに、本
発明の別の効果として、再利用が容易な電子写真感光体
及びそれを用いた電子写真装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を
示す断面図である。
【図2】本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成
例を示す断面図である。
【図3】本発明に用いられる電子写真感光体の更に別の
構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置
を説明するための概略図である。
【図5】本発明のタンデム型電子写真装置の一例を示し
た図である。
【図6】非接触帯電機構を示す概略図(ギャップ保持機
構が帯電部材側に形成されている)である。
【図7】合成例で作製されたチタニルフタロシアニンの
XDスペクトル図である。
【符号の説明】
1 感光体 2 除電ランプ 3 帯電ローラ 5 画像露光部 6 現像ユニット 7 転写前チャージャ 8 レジストローラ 9 転写紙 10 転写チャージャ 11 分離チャージャ 12 分離爪 13 クリーニング前チャージャ 14 ファーブラシ 15 クリーニングブレード 24 記録材 25 一次転写装置 27 感光体 28 中間転写体 29 給紙装置 31 導電性支持体 33 単層感光層 35 電荷発生層 37 電荷輸送層 40 二次転写装置 41 定着装置 42 中間転写体クリーニング装置 50 感光体 51 帯電ローラー 52 ギャップ形成部材 53 金属シャフト 54 画像形成領域 55 非画像形成領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/06 371 G03G 5/06 371 5/14 101 5/14 101B 5/147 503 5/147 503 15/02 101 15/02 101 15/16 15/16 Fターム(参考) 2H068 AA04 AA19 AA37 AA42 BA38 BA39 CA06 CA29 CA33 CA37 CA60 EA12 FB11 2H200 FA19 GA12 GA16 GA23 GA47 HA03 HA11 HA12 HA28 HB03 HB12 HB22 HB48 JC03 LA07 LA40 NA06

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2種のフタロシアニン顔料、
    溶媒を含有する分散液において、該分散液中に含まれる
    2種のフタロシアニン顔料のいずれの平均粒径も0.8
    μm以下であり、かつ各々の平均粒径の差が0.2〜
    0.6μmであることを特徴とする分散液。
  2. 【請求項2】 前記2種のフタロシアニン顔料のうち、
    平均粒径の小さいフタロシアニン顔料がチタニルフタロ
    シアニンであることを特徴とする請求項1に記載の分散
    液。
  3. 【請求項3】 前記チタニルフタロシアニン顔料が、C
    uKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッ
    グ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくと
    も27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロ
    シアニン顔料であることを特徴とする請求項2に記載の
    分散液。
  4. 【請求項4】 導電性支持体上に少なくとも感光層を設
    けた電子写真感光体において、該感光層中に少なくとも
    2種のフタロシアニン顔料を含有し、該2種のフタロシ
    アニン顔料のいずれの平均粒径も0.8μm以下であ
    り、かつそれらの平均粒径の差が0.2〜0.6μmで
    あることを特徴とする電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記2種のフタロシアニン顔料のうち、
    平均粒径の小さいフタロシアニン顔料がチタニルフタロ
    シアニンであることを特徴とする請求項4に記載の電子
    写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記チタニルフタロシアニン顔料が、C
    uKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッ
    グ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくと
    も27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロ
    シアニン顔料であることを特徴とする請求項5に記載の
    電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 前記感光層が電荷発生層、電荷輸送層の
    積層構成からなり、かつ表面保護層を設けることを特徴
    とする請求項4乃至6のいずれかに記載の電子写真感光
    体。
  8. 【請求項8】 前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以
    上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とす
    る請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 前記電子写真感光体の導電性支持体表面
    が陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする
    請求項4乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 少なくとも2種のフタロシアニンを含
    有する感光層を有する電子写真感光体の製造方法におい
    て、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の分散液を使
    用して感光層を形成することを特徴とする電子写真感光
    体の製造方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも帯電手段、画像露光手段、
    現像手段、転写手段及び電子写真感光体を具備してなる
    電子写真装置において、該電子写真感光体が少なくとも
    2種のフタロシアニン顔料を含有し、該2種のフタロシ
    アニン顔料のいずれの平均粒径も0.8μm以下であ
    り、かつそれらの平均粒径の差が0.2〜0.6μmで
    ある感光層を導電性支持体上に設けたものであることを
    特徴とする電子写真装置。
  12. 【請求項12】 前記2種のフタロシアニン顔料のう
    ち、平均粒径の小さいフタロシアニン顔料がチタニルフ
    タロシアニンであることを特徴とする請求項11に記載
    の電子写真装置。
  13. 【請求項13】 少なくとも帯電手段、現像手段、及び
    電子写真感光体を具備してなる画像形成ユニットを複数
    有することを特徴とする請求項11又は12に記載の電
    子写真装置。
  14. 【請求項14】 前記帯電手段が、感光体に対し接触も
    しくは近接配置されたものであることを特徴とする請求
    項11乃至13のいずれかに記載の電子写真装置。
  15. 【請求項15】 前記感光体に近接配置された帯電手段
    に用いられる帯電部材表面と感光体表面の間の空隙が2
    00μm以下であることを特徴とする請求項14に記載
    の電子写真装置。
  16. 【請求項16】 前記帯電部材に対し直流成分に交流成
    分を重畳した電圧を印加することにより、感光体に帯電
    を与えることを特徴とする請求項14又は15に記載の
    電子写真装置。
  17. 【請求項17】 電子写真感光体上に現像されたトナー
    画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体
    上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段
    を有する電子写真装置であって、該電子写真装置は複数
    色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラ
    ー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次
    転写することを特徴とする請求項11乃至16のいずれ
    かに記載の電子写真装置。
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