JP2003321503A - オレフィン−ビニルエステル共重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン−ビニルエステル共重合体の製造方法

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JP2003321503A
JP2003321503A JP2002127883A JP2002127883A JP2003321503A JP 2003321503 A JP2003321503 A JP 2003321503A JP 2002127883 A JP2002127883 A JP 2002127883A JP 2002127883 A JP2002127883 A JP 2002127883A JP 2003321503 A JP2003321503 A JP 2003321503A
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olefin
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ester copolymer
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Toshitaka Somemiya
利孝 染宮
Kiyohiko Sho
清彦 庄
Izumi Matsunaga
いづみ 松永
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工程管理が容易で、連続製造において効率の
よいオレフィン−ビニルエステル共重合体の製造方法を
提供すること。 【解決手段】 オレフィン単量体およびビニルエステル
単量体を反応器に供給し、該反応器内で共重合させ、生
成したオレフィン−ビニルエステル共重合体を含む成分
を該反応器から取り出してオレフィン−ビニルエステル
共重合体を得るにあたり、共重合より後の工程の少なく
とも1点において、該オレフィン−ビニルエステル共重
合体のオレフィン含有量を、HPLC装置を用いて液体
クロマトグラフィーを行って測定し、測定結果と設定値
との比較に基いてオレフィン単量体およびビニルエステ
ル単量体の供給量を修正制御することを特徴とするオレ
フィン−ビニルエステル共重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン−ビニ
ルエステル共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン−酢酸ビニル共重合体に代表さ
れるオレフィン−ビニルエステル共重合体の製造におい
ては、オレフィン含有量を所望の数値範囲に制御するこ
とが、得られる共重合体の品質管理の観点から重要であ
る。通常の製造においては、過去の製造データに基づく
経験則に従って、オレフィン単量体およびビニルエステ
ル単量体の供給量を一定の範囲内に制御することによ
り、得られる共重合体のオレフィン含有量を管理してい
る。
【0003】しかしながら、このような原料の供給量を
制御することのみに頼る工程管理方法では、重合の際に
異常な反応などの不測の事態が発生した場合、直ちに運
転員が異常を発見することはできない。また、経験則を
拠り所としているため、新銘柄など製造データの蓄積が
十分でない場合は、好適な単量体の供給量を決定するた
めに試行錯誤を繰り返す必要があり、製造条件の確立に
時間がかかる。
【0004】このような問題を回避するためには、重合
後の生成物をサンプリングしてその物性を測定し、その
結果を原料供給や重合条件にフィードバックする方法が
有効であり、ポリブタジエン(特開昭59−47214
号公報)、ポリテトラメチレングリコール(特開200
0−44671号公報)、ポリカーボネート(特開20
00−143792号公報)、およびエチレン−プロピ
レン共重合体(特開2000−159817号公報)
等、種々の樹脂の製造に関して検討が為されている。
【0005】しかしながら、オレフィン−ビニルエステ
ル共重合体のオレフィン含有量を製造と並行して管理す
るための好適な測定方法は未だ確立されていない。例え
ば、オレフィン−ビニルエステル共重合体ケン化物のオ
レフィン含有量の測定方法として古くから知られるDS
C測定によっては、オレフィン−ビニルエステル共重合
体のオレフィン含有量を測定することはできない。ま
た、NMR測定による方法は測定方法としては有効であ
るが、高価な装置で専属のメンテナンス要員を必要と
し、ルーチン分析による工程管理に使用するには不向き
である。さらに、オレフィン−ビニルエステル共重合体
を熱分解し、発生する酢酸を定量してオレフィン−ビニ
ルエステル共重合体のオレフィン含有量を求める方法も
知られている(特開平3−183950号公報)が、操
作が煩雑で熟練を要し、また時間もかかるので、やはり
工程管理に使用するには問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、現状
の工程管理における上記のような問題を解消し得る、と
りわけ連続製造において効率のよいオレフィン−ビニル
エステル共重合体の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記課題につ
いて鋭意検討した結果、HPLC装置を用いて液体クロ
マトグラフィー(以下、LCと略称することがある)を
行うことで、オレフィン−ビニルエステル共重合体のオ
レフィン含有量を迅速かつ簡便に測定できることを見出
し、この測定方法を該共重合体の製造工程に適用して本
発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明はオレフィン単量体およ
びビニルエステル単量体を反応器に供給し、該反応器内
で共重合させ、生成したオレフィン−ビニルエステル共
重合体を含む成分を該反応器から取り出してオレフィン
−ビニルエステル共重合体を得るにあたり、共重合より
後の工程の少なくとも1点において、該オレフィン−ビ
ニルエステル共重合体のオレフィン含有量を、HPLC
装置を用いて液体クロマトグラフィーを行って測定し、
測定結果と設定値との比較に基いてオレフィン単量体お
よびビニルエステル単量体の供給量を修正制御すること
を特徴とするオレフィン−ビニルエステル共重合体の製
造方法に関する。
【0009】本発明の製造方法は、連続的な製造方法に
好適に適用される。また、エチレン−酢酸ビニル共重合
体(以下、EVAと略称する)の製造に特に好適であ
る。
【0010】本発明は、上記の製造方法によって得られ
たオレフィン−ビニルエステル共重合体をけん化するこ
とを特徴とする、オレフィン−ビニルアルコール共重合
体の製造方法をも包含する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
液体クロマトグラフィー(LC)とは、移動相に液体を
用いるクロマトグラフィーであり、試料と移動相または
カラムとの相互作用により試料の構造の違いを鋭敏に検
知し、分離を行う手法であって、一般の有機化合物の分
離分析には極めて汎用に使用される手法である。近年、
LCの手法の応用として、共重合体の組成を分析するこ
とが試みられている。分析化学総説「液体クロマトグラ
フィーによる高分子分析の新展開」(分析化学 199
8年第47巻625ページ)によれば、その手法を分離
機構別に分類すると、液体吸着クロマトグラフィー(例
えば、Macromolecules 1979年第1
2巻992ページ)、液体沈殿クロマトグラフィー(例
えば、Polymer 1982年第33巻614ペー
ジ)、順相および逆相液体クロマトグラフィー(例え
ば、Polymer Journal 1990年第2
2巻489ページ)、臨界点液体吸着クロマトグラフィ
ー(例えば、Polymer 1993年第34巻41
00ページ、Journal of Liquid C
hromatography 1990年第13巻17
45ページ)等が挙げられ、一方、共重合体としてはス
チレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−エ
チルメタクリレート共重合体、スチレン−ブチルメタク
リレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合
体等が主に測定に供されている。共重合体の組成による
分離は、前記した分離機構が単独または複合して作用す
ることによって起こると考えられる。
【0012】組成分析を目的としてLCを行う場合、分
析対象となる試料が測定の最終段階では完全に溶解し溶
出する必要がある。一方、共重合体はその種類によりそ
れぞれ溶解特性が異なるため、ひとつの共重合体で採用
された条件を他の共重合体に適用することは一般に困難
であり、共重合体の種類ごとに条件を見出す必要があ
る。特に、オレフィン−ビニルエステル系重合体の分析
についてはこれまで前例がなく、本発明者らの検討によ
って初めて可能となった。
【0013】本発明に用いられるHPLC装置とは、化
学計測機器として市販されている通常のHPLC装置を
指し、溶媒グラジエントシステムを有し、さらに検出器
としてエバポレイティブマスディテクター(EMD)お
よび/または紫外線検出器(UV検出器)を有するもの
であればよい。溶媒グラジエントシステムについては、
高圧グラジエントシステムを持つものがより好ましい。
【0014】次に、本発明の方法に使用される、LCの
条件について述べる。試料は溶液の状態で測定に供す
る。このときの溶媒としては、試料の良溶媒であれば特
に制限はないが、溶液の注入の影響を小さくするため
に、移動相として用いる溶媒と同じものかまたは類似の
ものであることが好ましい。溶液中の試料の濃度として
は、0.1〜3重量%の範囲が好ましく、0.3〜1.
5重量%の範囲がより好ましい。溶液を調製する際に
は、溶液を適度に加温して試料を完全に溶解させること
が好ましい。溶液の好適な注入量は、溶液の濃度によっ
て変わるが、おおむね5〜50μLの範囲である。
【0015】測定に用いる移動相としては特に制限はな
いが、測定に供するビニルエステル系重合体の溶解性を
調整するために、水を含有する溶媒を用いることが好ま
しい。この場合、移動相として水を含む混合液を1種類
用いてもよいし、2種類以上の溶媒をあらかじめ用意
し、これらのうちの少なくとも1種類を水を含む混合液
とし、これら2種類以上の溶媒を混合して移動相として
用いてもよい。後者の場合、溶媒Aとして水の含有率が
40体積%以上、好ましくは45体積%以上である混合
液を、溶媒Bとして水の含有率が40体積%未満、好ま
しくは20体積%未満、より好ましくは5体積%未満で
ある混合液を用意し、溶媒Aおよび溶媒Bを混合して移
動相として用いて測定することが好ましい。
【0016】また、溶媒Aにおける水の含有率をHa
(体積%)、溶媒Bにおける水の含有率をHb(体積
%)としたときに、下式(1)、好適には下式(1)’
を満足するような溶媒Aおよび溶媒Bを混合して移動相
として用いて測定することが好ましい。 Ha−Hb ≧ 40 (体積%) (1) Ha−Hb ≧ 45 (体積%) (1)’
【0017】さらに、溶媒Aおよび溶媒Bを混合して移
動相として用いて測定する場合において、測定の少なく
とも一部の時間帯において、溶媒Aおよび溶媒Bの混合
比を経時的に変化させながら測定する、いわゆるグラジ
エント条件を採用することが好ましい。グラジエント条
件を採用することにより、異なるオレフィン含有量を有
するビニルエステル系重合体の良好な溶解性が確保さ
れ、測定の精度が向上する。本発明に係るビニルエステ
ル系重合体は、液組成に対して溶解/不溶の境界が顕著
であり、その境界においてオレフィン含有量と液組成が
対応しているので、移動相のグラジエント条件を調節
し、オレフィン含有量の少ないものから、または多いも
のから溶出させることができる。
【0018】なお、「移動相として水を用いる」とは、
測定の少なくとも一部の時間帯において水を移動相に用
いることを意味する。すなわち、必ずしも測定中のすべ
ての時間帯において水を移動相に用いる必要はない。
「溶媒Aおよび溶媒Bを混合して移動相として用いる」
も同様で、測定の少なくとも一部の時間帯において溶媒
Aと溶媒Bを混合して移動相に用いることを意味してお
り、一部の時間帯においては例えば溶媒Aのみを移動相
として用いてもかまわない。移動相の流量は、通常0.
5〜2mL/分の範囲である。
【0019】測定に用いるカラムとしては特に制限はな
く、市販されている一般のカラムが使用可能である。中
でも、逆相系カラムまたはGPC用カラムが好ましい。
逆相系カラムは、表面にオクタデシルシラノール基(O
DS)を付与した担体をカラム充填剤に用いたもので、
主に水系溶媒と共に用いられる。具体的には、株式会社
資生堂製のCAPCELL PAK C18等が挙げら
れる。また、GPC用カラムは、スチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体のような一般に重合体と相互作用しない
担体をカラム充填剤に用いたものである。GPC用カラ
ムの排除限界としては、試料の分子量の影響を最小限に
止めるため、試料の溶液状態での分子サイズに比べ十分
に小さいか、または十分に大きいことが好ましい。GP
C用カラムとしては、ポリマーラボラトリー社製のPL
RPS−4000等が挙げられる。このカラムは、十分
に大きな排除限界を持つ。また、移動相に関して前記の
グラジエント条件を採用するときは、カラムは溶媒の組
成変化に強いカラムであることが好ましい。
【0020】前記のように、本発明に係るビニルエステ
ル系重合体は、液組成に対して溶解/不溶の境界が顕著
であり、その境界においてオレフィン含有量と液組成が
対応しているので、移動相のグラジエント条件を調節
し、オレフィン含有量の少ないものから、または多いも
のから溶出させることができる。特に、逆相系カラムを
使用してLCを行う場合は、オレフィン含有量の少ない
ものから溶出させる様に移動相のグラジエント条件を調
節することが好ましい。逆相系カラムは、一般に試料の
脂溶性の部位(本発明においてはオレフィン単位)と相
互作用するため、脂溶性の高い重合体ほどその保持時間
が長くなる。従って、オレフィン含有量の少ないものか
ら溶出させるグラジエント条件下では、液組成による分
離特性と逆相系カラムの分離特性とが同調し、試料を精
度よく分析することができる。通常、移動相における水
の含有量を最初多く、徐々に少なくするグラジエント条
件が用いられる。
【0021】測定の安定性を確保するために、カラムの
温度は室温よりもやや高い温度に保持することが好まし
い。好適には、35〜60℃の範囲である。
【0022】定量に用いられる検量線は、次のようにし
て求められる。オレフィン種が同一でその含有量が異な
る複数のオレフィン−ビニルエステル共重合体(以下、
標準試料と称することがある)を準備する。標準試料の
数は4種類以上が好ましく、6種類以上がより好まし
い。標準試料の数が3種類以下の場合は、測定精度が十
分でないおそれがある。また、標準試料の分子量に特に
制限はなく、測定に支障のない範囲のものを使用すれば
よい。さらに、保持時間に影響を及ぼさない限り、標準
試料の分子量が互いに異なっていてもよい。それぞれの
標準試料のオレフィン含有量は、例えばNMR測定等を
用いてあらかじめ求めておく。標準試料のオレフィン含
有量の範囲は、測定する試料のオレフィン含有量の範囲
を考慮して、それと同等かより広い範囲に設定すること
が好ましい。場合によっては、オレフィン含有量が0モ
ル%、すなわちビニルエステル単独重合体を標準試料に
加えることも好ましい。
【0023】前記の標準試料のLCを行い、各試料の保
持時間を測定する。次に、試料の保持時間を横軸、オレ
フィン含有量を縦軸として各試料の数値をプロットし、
一次関数により近似して検量線を得る。近似には最小二
乗法を用い、下式(3)で表される相関係数R2を測定
精度の尺度とする。 R2 = P/(QX・QY) (3) ただし、 P = Av(X・Y)−Av(X)・Av
(Y) QX = Av(X2)−(Av(X))2 QY = Av(Y2)−(Av(Y))2 (式中、Xは試料の保持時間(分)を、Yは試料のオレ
フィン含有量(モル%)を表す。またAv(Z)はZの
平均値を表す。) R2が1に近いほど検量線と標準試料のプロットの一致
度が高くなる。すなわち、測定の精度が高くなる。R2
は0.99以上であることが好ましい。R2が0.99
に満たない場合、測定の精度が低下するおそれがある。
従って、全ての標準試料のプロットを使用して相関係数
2が0.99に満たない場合は、連続する少なくとも
4個のプロットを含み、部分的に相関係数R2が0.9
9以上となる範囲を選択し、検量線とすることが好まし
い。
【0024】このようにして得られた検量線は、下式
(4)のように表すことができる。 Y = aX+b (Xmin ≦ X ≦ Xmax) (4) ここで、XおよびYは前記のとおりであり、aは検量線
の傾き(モル%/分)を、bは切片(モル%)を表す。
aは通常0より大きいが、条件によっては0より小さく
なることもあり得る。また、Xminは、検量線を決定
するために使用した標準試料の保持時間の最小値(分)
を、Xmaxは同様に保持時間の最大値(分)を表す。
|a|が大きくなると、同じ測定時間でオレフィン含有
量のより広い範囲を測定することができるが、反面、測
定精度は低下する。一方、|a|が小さくなると、同じ
測定時間で測定可能なオレフィン含有量の範囲は狭くな
るが、測定精度は向上する。両者のバランスを考慮する
と、|a|が下式(2)を満足するような条件下で測定
することが好ましく、下式(2)’を満足するような条
件下で測定することがより好ましい。 0.5 ≦ |a| ≦ 8 (モル%/分) (2) 1 ≦ |a| ≦ 5 (モル%/分) (2)’
【0025】また、測定の効率の観点から、測定時間に
ついては求める測定精度内で出来るだけ短くすることが
好ましい。具体的には、標準試料の保持時間の最大値X
maxは、40分以下であることが好ましく、20分以
下であることがより好ましい。
【0026】前記のR2、|a|およびXmaxは、い
ずれもカラムを適宜選択することにより、適切な数値に
調整することができる。また、移動相の条件を変更する
ことによっても調整が可能である。通常、カラムの選択
によって大まかな調整を、移動相の条件の選択によって
微調整を行う。
【0027】R2、|a|およびXmaxは相互に関連
しており、これらのうちの1種のみを独立に調整するこ
とは困難であるが、例えば以下のようにすればよい。R
2を適切な数値に調整する、すなわち1に近い値にする
には、カラムを適宜選択し、かつ後で述べる方法により
Xmaxを小さくすればよい。|a|を適切な数値に調
整するには、移動相のグラジエントの変化量および/ま
たは移動相の流量を調節すればよい。具体的には、移動
相のグラジエントの変化率を大きくすれば、|a|は大
きくなる。また、移動相の流量を多くしても、|a|は
大きくなる。逆に、移動相のグラジエントの変化率を小
さくすれば、|a|は小さくなる。また、移動相の流量
を少なくしても、|a|は小さくなる。Xmaxを適切
な値に調節する、すなわち小さくするには、LC開始時
の移動相の種類および/または混合比を調節すればよ
い。また、既に述べた方法により|a|を大きくするこ
とも有効である。
【0028】オレフィン−ビニルエステル共重合体のオ
レフィン含有量を測定するための条件を求める代表的な
手順を以下に示す。まず、測定しようとする重合体の種
類およびオレフィン含有量の範囲を設定し、該範囲の両
端に相当する重合体(それぞれ重合体1、重合体2とす
る)の各種溶媒への溶解性を調べる。次に、重合体1に
対して良溶媒であり、かつ重合体2に対して貧溶媒であ
る溶媒1を決定する。さらに、重合体1に対して貧溶媒
であり、かつ重合体2に対して良溶媒であるか、重合体
1、重合体2のいずれにも良溶媒である溶媒2を決定す
る。最後に、移動相の大部分が溶媒1で始まり、移動相
の大部分が溶媒2で終わるグラジエント条件を決定す
る。こうして得られた条件を用いて標準試料のLCを行
う。このとき、分子量の異なる試料を同じ条件で測定
し、分子量の影響が測定精度が確保できる程度に充分小
さいことを確認することが好ましい。LCの結果を基
に、必要ならばさらに条件の微調整を行う。
【0029】発明者らは前記の手順に従ってさらに検討
を進め、対象を限定することで、極めて好適な条件を見
出した。その一例を以下に示す。溶媒Aとして水と炭素
数5以下のケトンとの混合溶媒を、溶媒Bとして炭素数
5以下のケトンを用意し、溶媒Aおよび溶媒Bを混合し
て移動相として用い、さらに測定の少なくとも一部の時
間帯において溶媒Aおよび溶媒Bの混合比を経時的に変
化させながら測定する方法により、オレフィン−ビニル
エステル共重合体のオレフィン含有量が求められる。溶
媒Aにおいて、水と炭素数5以下のケトンとの混合比
は、通常体積比で80/20〜40/60、好ましくは
75/25〜45/55の範囲である。オレフィン−ビ
ニルエステル共重合体のうち、そのオレフィン含有量が
20〜60モル%のものを測定する場合は、溶媒Aにお
ける水と炭素数5以下のケトンとの混合比を60/40
〜40/60、好ましくは55/45〜45/55とす
ることが好ましい。炭素数5以下のケトンとしては、ア
セトンおよびメチルエチルケトン等が挙げられ、この中
でもアセトンが好ましい。
【0030】オレフィン−ビニルエステル共重合体のう
ち、そのオレフィン含有量が1〜20モル%のものにつ
いては、上記の方法において、溶媒Aとして水を、溶媒
Bとして炭素数4以下のアルコールを使用して測定する
方法によっても、オレフィン含有量が求められる。炭素
数4以下のアルコールとしては、メタノール、エタノー
ル、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げら
れ、この中でもメタノールが好ましい。
【0031】上記の方法以外にも、例えばオレフィン含
有量のより限定された範囲をより高精度で測定する方法
は、移動相やグラジエント条件の微調整のみで容易に見
出すことができる。
【0032】本発明は、以上に述べたようなHPLC装
置を用いてLCを行う測定方法を、オレフィン−ビニル
エステル共重合体の製造に際して利用することを最大の
特徴とする。すなわち、該共重合体を製造するにあた
り、共重合より後の工程の少なくとも1点において、前
記測定方法を導入し、測定結果と設定値との比較に基い
て単量体の供給量を修正制御する。
【0033】本発明において、オレフィン−ビニルエス
テル共重合体は、オレフィン単量体およびビニルエステ
ル単量体を反応器に供給し、該反応器内で共重合させ、
生成したオレフィン−ビニルエステル共重合体を含む成
分を該反応器から取り出すことによって得られる。
【0034】オレフィン単量体としては、エチレン、プ
ロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数が4以下
のα−オレフィンが好ましい。これらの中でも、エチレ
ンがより好ましい。一方、ビニルエステル単量体として
は酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その
他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバ
リン酸ビニルなど)も使用できる。
【0035】オレフィン単量体とビニルエステル単量体
との共重合には、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バル
ク重合のいずれを用いてもよいが、溶液重合が好適であ
る。また、連続式、回分式のいずれの方法を採用しても
よいが、生産性の観点から、また本発明の効果が十分に
奏されるという観点から、連続式が好ましい。
【0036】溶液重合を行う際に溶媒として使用される
アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プ
ロパノール等の低級アルコールが挙げられる。重合に使
用される開始剤としては、例えば、α,α'−アゾビスイ
ソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始
剤、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシジカー
ボネート等の過酸化物系開始剤等の公知の開始剤が挙げ
られる。重合温度については特に制限はないが、30〜
150℃の範囲が適当である。
【0037】ここで、エチレン−酢酸ビニル共重合体の
連続重合を例にとり、図1を参照して重合方法を説明す
る。なお、この図は一例であり、本発明を限定するもの
ではない。
【0038】重合槽1には、複数の配管5および6が接
続されている。導入管の本数、配置は図示した形態に限
らない。これらの配管は主として原料供給用として用い
られ、これらの配管からエチレン、酢酸ビニル、必要に
応じて重合開始剤、重合溶媒等が重合槽1に供給され
る。重合槽1の溶液は、共重合の終了後、または共重合
が進行している間、連続的に、重合槽1底部の配管7か
ら取り出される。
【0039】次いで、エチレン−酢酸ビニル共重合体を
含む液(共重合体溶液)はフラッシュタンク2に移送さ
れる。ここで、共重合体溶液に重合禁止剤が添加された
後、未反応のエチレンガスが蒸発・除去される。さら
に、共重合体溶液は配管8を経て追出し塔3に移送され
る。追出し塔3の上部から共重合体溶液が、塔下部から
アルコール系溶媒の蒸気が供給され、共重合体溶液から
未反応の酢酸ビニルが除去される。こうして得られた共
重合体溶液は、配管9を経てペーストタンク4に移送さ
れる。
【0040】本発明においては、共重合より後の工程の
少なくとも1点において共重合体溶液をサンプリング
し、前記の方法によってオレフィン含有量を測定する。
例えば、図1中においては配管7、フラッシュタンク
2、配管8、追出し塔3、配管9およびペーストタンク
4のうちの少なくとも1点において共重合体溶液をサン
プリングする。サンプリング箇所としては、製造のロス
をできるだけ少なくするという観点からは、重合槽に近
いほう(図1中では配管7)が好ましい。また、未反応
の単量体の測定への影響をできるだけ小さくするという
観点からは、共重合体溶液から未反応の単量体が除かれ
た後(図1中では配管9)が好ましい。
【0041】上記のサンプリング箇所から得られた共重
合体溶液から、再沈等の周知の方法によって溶媒を除去
し、オレフィン含有量の測定に供する。これらの操作を
手作業で行ってもよいが、作業効率の観点から、オート
サンプラー等を使用した自動作業とすることが好まし
い。測定の結果と設定値とを比較し、必要と判断される
場合は単量体の供給量を適宜調整する。例えば連続重合
においては、酢酸ビニルの供給速度の増減、エチレン圧
の増減等により、単量体の供給量を調整することができ
る。
【0042】エチレン−酢酸ビニル共重合体のオレフィ
ン含有量は、1〜60モル%の範囲内であることが好ま
しい。オレフィン含有量が60モル%を超える場合は、
共重合体の溶解度が低下し、測定において十分な精度が
得られないおそれがある。しかしながら、オレフィン含
有量がこの範囲内であっても、オレフィン種によっては
測定が困難となる場合がある。一般に、オレフィンの炭
素数が増加すると測定可能な範囲は狭くなる。例えば、
測定に供する共重合体がエチレン−酢酸ビニル共重合体
である場合は、エチレン含有量は1〜60モル%の範囲
内が好ましく、プロピレン−酢酸ビニル共重合体である
場合は、プロピレン含有量は1〜50モル%の範囲内が
好ましく、イソブテン−酢酸ビニル共重合体である場合
は、イソブテン含有量は1〜43モル%の範囲であるこ
とが好ましい。
【0043】上記の方法によって製造されたオレフィン
−ビニルエステル共重合体は、通常よく用いられるアル
カリや酸を触媒とした加水分解反応によってけん化し
て、オレフィン−ビニルアルコール共重合体とすること
が可能である。ビニルエステル部分のけん化度について
は、目的とする用途等に応じて適宜選択することがで
き、通常は20モル%〜99.995モル%であり、好
ましくは40モル%〜99.99モル%であり、特に好
ましくは65モル%〜99.9モル%である。このよう
にして得られたオレフィン−ビニルアルコール共重合体
は、ガスバリアー材や接着剤、有機物又は無機物の分散
剤、紙加工剤、繊維糊剤、フィルム、成形物といった、
オレフィン−ビニルアルコール共重合体の従来知られて
いる各用途に好適に用いることが可能である。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例等によりさらに詳細に
説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるもので
はない。なお、オレフィン含有量測定用標準試料のオレ
フィン含有量は、d6−ジメチルスルホキシドを溶媒と
する1H−NMR測定により得られたスペクトルから算
出した。
【0045】参考例1 エチレン含有量の異なるエチレン−酢酸ビニル共重合体
6種類を標準試料として使用し、下記のような条件でL
Cを行った。 本体 :高圧グラジエントシステムLC−10AT(島津製作所製) 検出器 :エバポレイティブマスディテクター950型(ポリマーラボ ラトリー社製) 供給ガス :Air、11.5L/分、100℃ カラム :CAPCELL PAK C18 4.6mmφ×250mm (逆相系、資生堂製) カラム温度 :40℃ 溶媒A:水/アセトン=50/50(体積比)、溶媒B:アセトン 移動相の流量:0.8ml/分 試料注入量 :10μL(1.0%アセトン溶液) グラジエント条件:
【0046】
【表1】
【0047】測定により得られたこれらの標準試料の保
持時間を横軸に、エチレン含有量を縦軸にプロットし、
最小二乗法により一次関数に近似して検量線を得た(表
2)。このとき標準試料の保持時間の最大値は20.1
分、検量線の傾きは3.00モル%/分、相関係数R2
は0.999であった。この条件を採用することで、エ
チレン含有量が概ね29〜50モル%の範囲にあるエチ
レン−酢酸ビニル共重合体のエチレン含有量を測定する
ことができる。
【0048】
【表2】
【0049】参考例2 エチレン含有量の異なるエチレン−酢酸ビニル共重合体
5種類およびポリ酢酸ビニルを標準試料として使用し、
下記のような条件でLCを行った。 本体 :高圧グラジエントシステムLC−10AT(島津製作所製) 検出器 : UV検出器SPD−6A型(島津製作所製) 使用波長 :230nm カラム :CAPCELL PAK C18 4.6mmφ×250mm (逆相系、資生堂製) カラム温度:40℃ 溶媒A:水、溶媒B:メタノール 移動相の流量:0.8ml/分 試料注入量 :10μL(1.0%メタノール溶液) グラジエント条件:
【0050】
【表3】
【0051】測定により得られたこれらの標準試料の保
持時間を横軸に、エチレン含有量を縦軸にプロットし、
最小二乗法により一次関数に近似して検量線を得た(表
4)。このとき標準試料の保持時間の最大値は32.5
分、検量線の傾きは5.46モル%/分、相関係数R2
は0.992であった。この条件を採用することで、エ
チレン含有量が概ね18モル%以下のエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体のエチレン含有量を測定することができ
る。
【0052】
【表4】
【0053】参考例3 プロピレン含有量の異なるプロピレン−酢酸ビニル共重
合体5種類を標準試料として使用し、下記のような条件
でLCを行った。 本体 :高圧グラジエントシステムLC−10AT(島津製作所製) 検出器 :エバポレイティブマスディテクター950型(ポリマーラボ ラトリー社製) 供給ガス :Air、11.5L/分、100℃ カラム :CAPCELL PAK C18 4.6mmφ×250mm (逆相系、資生堂製) カラム温度:40℃ 溶媒A:水/アセトン=70/30(体積比)、溶媒B:アセトン 移動相の流量:0.8ml/分 試料注入量 :10μL(1.0%アセトン溶液) グラジエント条件:
【0054】
【表5】
【0055】測定により得られたこれらの標準試料の保
持時間を横軸に、プロピレン含有量を縦軸にプロット
し、最小二乗法により一次関数に近似して検量線を得た
(表6)。このときの標準試料の保持時間の最大値は2
7.3分、検量線の傾きは2.22モル%/分、相関係
数R2は1.00であった。この条件を採用すること
で、プロピレン含有量が概ね2〜7モル%の範囲にある
プロピレン−酢酸ビニル共重合体のプロピレン含有量を
測定することができる。
【0056】
【表6】
【0057】参考例4 イソブテン含有量の異なるイソブテン−酢酸ビニル共重
合体4種類を標準試料として使用し、参考例4と同様の
条件でLCを行った。測定により得られたこれらの標準
試料の保持時間を横軸に、イソブテン含有量を縦軸にプ
ロットし、最小二乗法により一次関数に近似して検量線
を得た(表7)。このとき標準試料の保持時間の最大値
は29.0分、検量線の傾きは2.60モル%/分、相
関係数R 2は0.997であった。この条件を採用する
ことで、イソブテン含有量が概ね2〜11モル%の範囲
にあるイソブテン−酢酸ビニル共重合体のイソブテン含
有量を測定することができる。
【0058】
【表7】
【0059】実施例1 目標エチレン含有量10モル%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造 撹拌機、温度計、窒素導入口、モノマー導入口、メタノ
ール導入口、エチレン導入口、開始剤導入口、および連
続抜き取り口を備えた250L加圧反応槽に酢酸ビニル
単量体106kg、メタノール44kgを仕込み、60
℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒
素置換した。次いで反応槽圧力が0.78MPaとなる
ようにエチレンを導入仕込みした。別途、2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)をメタノー
ルに溶解した、濃度2.8g/Lの開始剤溶液を調製
し、反応槽の開始剤導入口に接続された開始剤貯槽に仕
込んだ後、窒素バブリングを行って系中を窒素置換し
た。上記の反応槽内温を60℃に調整した後、上記開始
剤溶液20mLを添加して重合を開始した。重合中は開
始剤溶液を62mL/hの速度で添加し、エチレンを導
入して反応槽圧力を0.78MPaに、重合温度を60
℃に維持し、10時間立上げバッチ重合を行った。時間
後の重合率は40%であった。立上げバッチ重合時は2
時間おきに反応液をサンプリングし、このサンプリング
液について参考例2の方法に従ってLCの測定を行い
(表8)、エチレン含有量を求めた。立上げバッチ重合
時のサンプリングについてのエチレン含有量測定結果は
表9に示す通りであり、立上げバッチ重合中は目標のエ
チレン含有量10モル%で一定であった。
【0060】次いで、酢酸ビニル単量体、メタノールお
よび上記開始剤溶液をそれぞれ19.5kg/h、5.
5kg/h、160mL/hの速度で反応槽に連続的に
供給し、同時に抜き取り口より25kg/hで連続的に
反応液を抜き出して連続重合へと移行した。連続重合に
移行後は、反応槽圧力が0.78MPaに保たれるよう
にエチレンを供給して、連続抜き取り口から抜き取った
反応液をサンプリングし(図1中の7の位置からの抜き
取りに相当)、このサンプリング液について参考例2の
方法に従ってLCの測定を行い、エチレン含有量を求め
た。サンプリングからLC測定完了までに要した時間は
1時間であった。
【0061】連続重合時のサンプル1(連続重合開始か
ら2時間後のサンプル)のエチレン含有量は9モル%で
あり、目標である10モル%より低い値となった。そこ
で、反応槽にエチレンを導入して反応槽圧力を0.88
MPaへと変更し、その後は反応槽圧力が0.88MP
aとなるようにエチレンを供給して連続重合を行った。
その後のサンプル2〜4(連続重合開始から4、6、8
時間後のサンプル)のエチレン含有量は10モル%と目
標通りであったため、その後は反応槽圧力およびその他
の重合条件を変更せずに重合を続けて、72時間連続し
て重合を行った。サンプル5以降については4時間毎の
サンプリングとしたが、これらのエチレン含有量は10
モル%で一定であり、目標通りのエチレン含有量のもの
が得られた。重合時のサンプリング状況を表8に、エチ
レン含有量の測定結果を表9にそれぞれ示す。
【0062】重合時の各サンプリングについて、n−ヘ
キサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行っ
た後、60℃で減圧乾燥して精製されたエチレン−酢酸
ビニル共重合体を得た。このエチレン−酢酸ビニル共重
合体精製物について、H−NMR測定によりエチレン
含有量を算出したところ、エチレン含有量はLCでの測
定結果と同じであった。
【0063】以上の重合運転において、重合体のエチレ
ン含有量が目標から外れたのは連続重合移行後4時間ま
での間であり、その間に生成した規格外品の量は31k
gであった。72時間の連続運転で生成した重合体の総
量は562kgであり、不良品率は5.5%であった。
【0064】比較例1 サンプリングのエチレン含有量について、LCで測定す
る代わりにH−NMRで測定を行う以外は実施例1と
同様の作業を繰返して、エチレン−酢酸ビニル共重合体
の製造を行った。サンプリングについては、まずサンプ
リングした反応液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンに溶
解する作業を3回繰返した後、60℃で減圧乾燥を行っ
たものについて、H−NMR(測定溶媒:DMSO−
)での測定を実施した。重合時のサンプリング状況
を表8に、エチレン含有量の測定結果を表9にそれぞれ
示す。サンプリングからH−NMR測定完了までに要
した時間は4時間であった。サンプル1について、エチ
レン含有量が9モル%と目標より低いことが判ったのは
連続運転開始から6時間後であり、それから反応槽圧力
を変更したが、エチレン含有量が目標の10モル%とな
ったのは8時間後であり、これまでに生成した62kg
は規格外品となった。72時間まで連続運転を行って生
成した重合体の総量は562kgであり、不良品率は1
1.0%であった。
【0065】
【表8】
【0066】
【表9】
【0067】なお、実施例1では参考例2のLC測定方
法を採用したが、目的とするオレフィン−ビニルエステ
ル共重合体に応じて参考例1、3または4の方法が適宜
採用できることは言うまでもない。
【0068】
【発明の効果】本発明の製造方法を採用することによ
り、重合の際の不測の事態の早期発見および早期対処が
可能となり、製造のロスが少なくなる。また、所望のオ
レフィン含有量を有する共重合体を得るための製造条件
を、経験則に頼ることなく容易に選択することができ
る。本発明は、このように工程管理が容易で連続製造に
おいて効率のよいオレフィン−ビニルエステル共重合体
の製造方法を提供するものであり、この製造方法によっ
て得られる産業上の効果は計り知れない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エチレン−酢酸ビニル共重合体の製造装置の
一例を示す概略図
【符号の説明】
1 重合槽 2 フラッシュタンク 3 追出し塔 4 ペーストタンク 5、6、7、8、9 配管
フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA07 AB10 AB11 BB18 4J100 AA02Q AA03Q AA04Q AA06Q AG02P AG04P BA03H CA04 CA31 HA09 HB39

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン単量体およびビニルエステル
    単量体を反応器に供給し、該反応器内で共重合させ、生
    成したオレフィン−ビニルエステル共重合体を含む成分
    を該反応器から取り出してオレフィン−ビニルエステル
    共重合体を得るにあたり、共重合より後の工程の少なく
    とも1点において、該オレフィン−ビニルエステル共重
    合体のオレフィン含有量を、HPLC装置を用いて液体
    クロマトグラフィーを行って測定し、測定結果と設定値
    との比較に基いてオレフィン単量体およびビニルエステ
    ル単量体の供給量を修正制御することを特徴とするオレ
    フィン−ビニルエステル共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 オレフィン単量体およびビニルエステル
    単量体を連続的に反応器に供給し、生成したオレフィン
    −ビニルエステル共重合体を含む成分を該反応器から連
    続的に取り出す、請求項1に記載のオレフィン−ビニル
    エステル共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記オレフィン−ビニルエステル共重合
    体がエチレン−酢酸ビニル共重合体である、請求項1ま
    たは2に記載のオレフィン−ビニルエステル共重合体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3に記載の方法を用いて製
    造したオレフィン−ビニルエステル共重合体をけん化す
    ることを特徴とするオレフィン−ビニルアルコール共重
    合体の製造方法。
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