JP2003320009A - 骨補填材、骨補填体および骨補填体の製造方法 - Google Patents

骨補填材、骨補填体および骨補填体の製造方法

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JP2003320009A
JP2003320009A JP2002129264A JP2002129264A JP2003320009A JP 2003320009 A JP2003320009 A JP 2003320009A JP 2002129264 A JP2002129264 A JP 2002129264A JP 2002129264 A JP2002129264 A JP 2002129264A JP 2003320009 A JP2003320009 A JP 2003320009A
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bone
body fluid
calcium phosphate
concentrate
prosthesis
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Akira Inoue
晃 井上
Takeshi Yanai
毅 矢内
Hiroki Hibino
浩樹 日比野
Ryoji Saito
良治 斎藤
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Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 術後の骨欠損部の修復速度を十分に高めるこ
とができる骨補填材、骨補填体および骨補填体の製造方
法の提供。 【解決手段】 体液から所望の不要成分を除去した少な
くとも間葉系幹細胞を含む濃縮体12をβ−リン酸三カ
ルシウムからなる骨補填材11に付与することにより、
術後の骨欠損部の修復速度を高くする成分を多く付与す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨補填材、骨補填
体およびの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】整形外科等の分野において、骨欠損を修
復する方法として、自家骨移植が最も一般的な方法であ
る。しかし、自家骨移植には、その使用実績から信頼性
が高いものの、採骨量に限界があること、採骨により健
常部に侵襲を加えてしまうこと、手術時間が長くなるこ
となどの問題点があった。そのため、近年、リン酸カル
シウムを主成分とする多孔体を人工骨補填材として応用
する方法が開発され、上述の自家骨移植の問題点を解決
する手段として、広く用いられるようになっている。骨
は、無機成分としてリン酸カルシウムを主成分として含
んでおり、一般にリン酸カルシウム化合物は細胞がこれ
を足場にして骨を形成する性質(骨伝導能)を有してい
る。従って、人工骨補填材はリン酸カルシウム化合物か
らなるものが多く、ハイドロキシアパタイト(HAP)
やβリン酸三カルシウム(β−TCP)がその例であ
る。その中でも、β−TCPは骨伝導能に優れているだ
けではなく、骨組織内で吸収される性質も併せ持ってい
る。即ち、β−TCPを骨組織に補填すると骨芽細胞が
β−TCPを足場にして骨を形成し、それと同時に破骨
細胞がβ−TCPを吸収し補填部が経時的に自家骨に置
換されるという特徴がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような骨補填材
は、補填後、十分な血流により供給される細胞により骨
形成および吸収される。そのため、大きな骨欠損では十
分な血流が得られないため、その修復速度が極端に低下
することになる。そこで、手術中に骨髄を採取し骨補填
材に浸すことや自家骨と混合することなどの対策が行わ
れている。しかし、骨髄をそのまま浸すだけでは骨補填
材内部まで十分に所望な細胞が入らないこと、また、自
家骨と混合するには上述した問題点があることなど課題
となっていた。本発明は、このような事情の下になさ
れ、骨修復速度の高い骨補填材、骨補填体および骨補填
体の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、体液から所望の不要成分を
除去した少なくとも間葉系幹細胞を含む濃縮体をβ−リ
ン酸三カルシウムからなる骨補填材に付与してなること
を特徴としている。
【0005】このように、体液から所望の不要成分を除
去した少なくとも間葉系幹細胞を含む濃縮体をβ−リン
酸三カルシウムからなる骨補填材に付与するため、術後
の骨欠損部の修復速度を高くする成分を多く付与するこ
とができる。したがって、術後の骨欠損部の修復速度を
十分に高めることができる。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明に関して、前記骨補填材が顆粒状をなすことを特徴と
している。
【0007】このように、骨補填材が顆粒状をなすた
め、濃縮体を効率よく骨補填材に浸透させることができ
るとともに骨補填材表面における濃縮体内の細胞の接触
を多くできる。
【0008】請求項3に係る発明は、体液から所望の不
要成分を除去した少なくとも間葉系幹細胞を含む濃縮体
を抽出し、該濃縮体をβ−リン酸三カルシウムからなる
骨補填材に付与することを特徴としている。
【0009】このように、体液から所望の不要成分を除
去した少なくとも間葉系幹細胞を含む濃縮体をβ−リン
酸三カルシウムからなる骨補填材に付与するため、術後
の骨欠損部の修復速度を低を高くする成分を多く付与す
るができる。したがって、術後の骨欠損部の修復速度を
十分に高めることができる。
【0010】請求項4に係る発明は、請求項3に係る発
明に関して、前記濃縮体を付与する前に、前記骨補填材
に成長に寄与する物質のコーティングを施すことを特徴
としている。
【0011】これにより、予め成長に寄与する物質をコ
ーティングした骨補填材に濃縮体を付与することになる
ため、術後の骨欠損部の修復速度をさらに高めることが
できる。
【0012】請求項5に係る発明は、請求項3または4
に係る発明に関して、前記濃縮体を付与した後に、前記
骨補填材に濃縮血小板を付与することを特徴としてい
る。
【0013】これにより、骨補填材に濃縮体を付与した
後に成長に寄与する物質である濃縮血小板を付与するこ
とになるため、術後の骨欠損部の修復速度をさらに高め
ることができる。
【0014】請求項6に係る発明は、体液から間葉系幹
細胞を分離して、分離した前記間葉系幹細胞をβ−リン
酸三カルシウムからなる骨補填材に付与することを特徴
としている。
【0015】このように、術後の骨欠損部の修復速度を
高めるのに最も重要な間葉系幹細胞を骨補填材に付与す
ることになるため、術後の骨欠損部の修復速度を十分か
つ確実に高めることができる。
【0016】請求項7に係る発明は、体液から所望の不
要成分を除去した少なくとも間葉系幹細胞を含む濃縮体
を抽出し、該濃縮体を粘着材料としてβ−リン酸三カル
シウムからなる顆粒状の骨補填材に混合して所望の形状
に形成することを特徴としている。
【0017】このように、体液から所望の不要成分を除
去した少なくとも間葉系幹細胞を含む濃縮体をβ−リン
酸三カルシウムからなる骨補填材に付与するため、術後
の骨欠損部の修復速度を高くする成分を多く付与するこ
とができる。したがって、術後の骨欠損部の修復速度を
十分に高めることができる。加えて、骨補填材が顆粒状
をなすため、濃縮体を効率よく骨補填材に浸透させるこ
とができるとともに骨補填材表面における濃縮体内の細
胞の接触を多くできる。しかも、濃縮体を粘着材料とし
てβ−リン酸三カルシウムからなる顆粒状の骨補填材に
混合して所望の形状に形成するため、骨欠損部の形状に
合わせることができる。したがって、骨欠損部への補填
に要する時間を短縮することができる。
【0018】請求項8に係る発明は、請求項7に係る発
明に関し、前記粘着材料としてさらにフィブリン糊を混
合することを特徴としている。
【0019】このように、粘着材料として濃縮体に加え
てフィブリン糊を混合するため、骨欠損部に形状を合わ
せた後の形状の保持性能を向上させることができる。し
たがって、骨欠損部への補填時における形状の修正を最
小限に抑えることができるため、骨欠損部への補填に要
する時間をさらに短縮することができる。
【0020】請求項9に係る発明は、体液から所望の不
要成分を除去した濃縮体を付与するためのリン酸カルシ
ウム多孔体またはリン酸カルシウム多孔質顆粒からなる
骨補填材において、前記リン酸カルシウム多孔体または
リン酸カルシウム多孔質顆粒が、気孔率50〜90%で
あり、連通する気孔径50〜1000μmの気孔と5μ
m以下の気孔とを有することを特徴としている。
【0021】このように、連通する気孔径50〜100
0μmの気孔で細胞の浸入を許容し5μm以下の気孔で
細胞をトラップする。
【0022】請求項10に係る発明は、請求項9に係る
発明に関し、前記リン酸カルシウム多孔体またはリン酸
カルシウム多孔質顆粒が、メカノケミカル法で作製した
β−リン酸三カルシウムからなることを特徴としてい
る。
【0023】請求項11に係る発明は、請求項9または
10に係る発明に関し、前記リン酸カルシウム多孔体ま
たはリン酸カルシウム多孔質顆粒に、BMP、FGF、
TGF−β、IGF、PDGF、VEGFおよびHGF
の少なくともいずれか一つからなる成長に寄与する物質
を複合させたことを特徴としている。
【0024】請求項12に係る発明は、体液を採取する
工程と、体液を濃縮する工程と、濃縮された体液をリン
酸カルシウム多孔体またはリン酸カルシウム多孔質顆粒
からなる骨補填材に付与する工程とからなることを特徴
としている。
【0025】請求項13に係る発明は、濃縮された体液
を付与されたリン酸カルシウム多孔質顆粒と生体内吸収
性有機材料からなることを特徴としている。
【0026】請求項14に係る発明は、前記生体内吸収
性有機材料が、フィブリン、ポリ乳酸、ポリグリコール
酸、乳酸−グリコール酸共重合体、コラーゲン、ゼラチ
ン、キチン−キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸およ
びこれらの変性体の少なくとも一つを成分としているこ
と特徴としている。
【0027】請求項15に係る発明は、濃縮された体液
を付与されたリン酸カルシウム多孔質顆粒と生体内吸収
性有機材料とからなる骨補填体の製造方法において、体
液を採取する工程と、体液を濃縮する工程と、濃縮され
た体液をリン酸カルシウム多孔質顆粒と生体内吸収性有
機材料とからなる骨補填材に付与する工程とからなるこ
とを特徴としている。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の第1実施形態を図1およ
び図2を参照して以下に説明する。ここで、第1実施形
態の骨補填体10のベースとなる骨補填材11として、
例えば、特開平5−237178号公報に開示されてい
る方法により製造されたβ−TCP(β−リン酸三カル
シウム)からなる図1(a)に示すような直方体のブロ
ック状の多孔体が使用される。また、骨補填材11に
は、図1(b)に示すように、例えば多数の気孔11a
が気孔11aより小径の連通孔11bで連通している。
加えて、骨補填材11は、気孔率50〜90%であり、
連通する気孔径50〜1000μmの気孔と5μm以下
の気孔とを有しており、連通する気孔径50〜1000
μmの気孔で細胞の浸入を許容し5μm以下の気孔で細
胞をトラップする。さらに、骨補填材11はメカノケミ
カル法で作製したβ−リン酸三カルシウムからなってい
る(メカノケミカル法については、特許2597355
号公報参照)。
【0029】そして、手術中に、患者から骨髄液や末梢
血、あるいはあらかじめ保存してあった臍帯血等の体液
を抽出し、この体液から遠心分離法や磁気ビーズ法やフ
ローサイトメトリー等の方法で所望の不要成分、具体的
には血球成分を除去して、少なくとも間葉系幹細胞を含
む濃縮体12を得る。例えば具体的には、不要な細胞に
抗体複合体を介して血液中の赤血球を結合させロゼット
を作り、ロゼットになった不要な細胞を遠心分離を行い
除去する。濃縮したい目的の細胞は沈殿せず、比重分離
用メディウムの上部の層から回収する。なお、血球成分
を除去するのではなく、遠心分離による上澄み液を除去
しても良い。
【0030】このようにして得られた濃縮体12を、図
2に示すように上部開口型の容器13に入れる。次に、
骨補填材11を容器13内で濃縮体12に漬ける。する
と、多孔体である骨補填材11には、濃縮体12の中の
細胞が図示せぬ各気孔11aの連通孔11bによるつな
がりによって内部に浸透する。
【0031】以上のようにして、体液から所望の不要成
分を除去した濃縮体12をβ−TCPからなる骨補填材
11に付与してなる骨補填体10が得られる。
【0032】そして、その後、この骨補填体10が容器
13から取り出されて図示略の骨欠損部に補填されるこ
とになるが、この骨補填体10には、患者から採取した
体液から得た濃縮体12が付与されていることから、多
くの細胞が補填直後から働くことができる。具体的に
は、骨形成に必要な骨芽細胞の前駆細胞やβ−TCPの
吸収に必要な破骨細胞の前駆細胞をβ−TCP表面に生
着しやすくすること、およびサイトカイン発現に関与す
る血小板などの濃度を高くすることができる。したがっ
て、術後の骨欠損部の修復速度を十分に高めることがで
きる。
【0033】なお、以上の第1実施形態においては、骨
補填材11に濃縮体12を付与する際に、濃縮体12に
骨補填材11を漬けるようにしたが、濃縮体12を骨補
填材11に塗布したり、濃縮体12を骨補填材11に滴
下したり、濃縮体12を骨補填材11に散布したりする
ことも勿論可能である。
【0034】また、以上の第1実施形態においては、濃
縮体12をそのまま骨補填材11に付与するようにした
が、濃縮体12にサイトカインや濃縮血小板等の成長因
子を必要に応じて付与しても良い。サイトカインを付与
する場合は、濃縮体12を付与する前の骨補填材11の
例えば全面にサイトカインのコーティングを施すのが好
ましい。また、濃縮血小板を付与する場合は、濃縮体1
2を付与した後の骨補填材11に濃縮血小板を付与する
のが好ましい。この場合、骨補填材11を濃縮血小板に
漬けたり、骨補填材11に濃縮血小板を塗布、滴下、散
布等の方法で付与することになる。このように予め成長
因子であるサイトカインをコーティングした骨補填材1
1に濃縮体12を付与し、あるいは濃縮体を付与した後
に骨補填材11に濃縮血小板を付与し、あるいはこれら
を組み合わせたりすることで、術後の骨欠損部の修復速
度をさらに高めることができる。
【0035】次に、本発明の第2実施形態を主に図3を
参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明
する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号
を付しその説明は略す。
【0036】第1実施形態においてはβ−TCPからな
る骨補填材11が直方体のブロック形状をなしていた
が、第2実施形態ではβ−TCPからなる骨補填材11
が顆粒状をなしている。
【0037】そして、手術中に、第1実施形態と同様
に、患者の例えば腸骨から体液を抽出し、この体液から
遠心分離等の方法で濃縮体12を得る。
【0038】このようにして得られた濃縮体12を顆粒
状の骨補填材11とともに適宜の比率で図3に示すよう
な円筒状の回転ドラム15の中に入れ、回転ドラム15
を中心軸線を中心に回転させることにより濃縮体12と
顆粒状の骨補填材11とを混合する。すると、多孔体で
ある骨補填材11には濃縮体12が図示せぬ各気孔のつ
ながりによって内部に浸透するとともに表面にも付着す
る。その上、顆粒状の骨補填材11に対して濃縮体12
が粘着材料として作用することになり、濃縮体12を骨
補填材11に付与してなる骨補填体10は練り物状とな
る。このように練り物状となった骨補填体10を補填先
である骨欠損部の形状(所望の形状)に例えば手作業で
形成する。
【0039】そして、その後、この骨補填体10が図示
略の骨欠損部に補填されることになるが、この骨補填体
10は、濃縮体12が付与されていることから、第1実
施形態と同様、術後の骨欠損部の修復速度を十分に高め
ることができる。加えて、骨補填材11が顆粒状をなす
ため、濃縮体12を効率よく骨補填材11に浸透させる
ことができるとともに骨補填材11の表面における濃縮
体12内の細胞の接触を多くできる。しかも、濃縮体1
2を粘着材料として顆粒状の骨補填材11に混合して得
られた練り物状の骨補填体11を所望の形状に形成する
ため、これを骨欠損部の形状に合わせることができ、骨
欠損部への補填に要する時間を短縮することができる。
【0040】なお、以上の第2実施形態において、回転
ドラム15に顆粒状の骨補填材11と濃縮体12とに加
えて生体内吸収性有機材料であるフィブリン糊を入れる
ことで、回転ドラム15の回転で濃縮体12と顆粒状の
骨補填材11と粘着材料としてのフィブリン糊とを混合
するようにしても良い。このように、粘着材料として濃
縮体12に加えてフィブリン糊を混合すれば、骨欠損部
に形状を合わせた後の骨補填体10の形状の保持性能を
向上させることができる。したがって、骨欠損部への補
填時における形状の修正を最小限に抑えることができる
ため、骨欠損部への補填に要する時間をさらに短縮する
ことができる。生体内吸収性有機材料として、フィブリ
ンの他に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコ
ール酸共重合体、コラーゲン、ゼラチン、キチン−キト
サン、ヒアルロン酸、アルギン酸およびこれらの変性体
の少なくとも一つを成分としている生体内吸収性有機材
料が適用できる。
【0041】また、以上の第2実施形態においては、濃
縮体12をそのまま骨補填材11に付与するようにした
が、濃縮体12に加えてサイトカインや濃縮血小板等の
成長因子を必要に応じて骨補填材11に付与すれば、術
後の骨欠損部の修復速度をさらに高めることができる。
【0042】さらに、以上の第2実施形態においては、
濃縮体12と顆粒状の骨補填材11とを回転ドラム15
によって混合するようにしたが、他の種々の混合手段を
用いることができる。例えば、濃縮体12を顆粒状の骨
補填材11に滴下したり散布したりした後、手作業で混
ぜ合わせたりすることが可能である。さらにこれらに加
えてフィブリン糊を滴下したり散布したりした後、手作
業で混ぜ合わせたりすることが可能である。
【0043】ここで、以上の第1,第2実施形態におい
ては、濃縮体12が骨補填材11に付与されているが、
比重差を利用して遠心分離により濃縮体12を抽出する
とともに、濃縮体12からフィルタリング等で血球成分
を除去した後、比重差を利用して遠心分離により所望の
細胞を分離して、分離した細胞を骨補填材11に付与す
るようにしても良い。このようにすれば、術後の骨欠損
部の修復速度を高めるのに重要な細胞を骨補填材11に
付与することになるため、術後の骨欠損部の修復速度を
十分かつ確実に高めることができる。また、体液中の間
葉系幹細胞を免疫磁気細胞分離装置により分離し、分離
した間葉系幹細胞をβ−TCPに付与しても良い。免疫
磁気細胞分離装置の代わりにフローサイトメトリーを使
用しても良い。さらに、遠心分離の元となる対象あるい
は所望の細胞としては、体液以外に、体液に含まれる細
胞や、間葉系幹細胞でも良いし、分化した骨細胞、骨芽
細胞、破骨細胞でも良い。間葉系幹細胞は、末梢血や臍
帯血から採取した幹細胞でも良い。さらに、ES細胞で
も良い。成長に寄与する物質は、BMP、FGF、TG
F−β、IGF、PDGF、VEGF、HGFあるいは
これらを適宜複合させたものでも良い。濃縮体は液体状
でもゲル状でも良い。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に係る発
明によれば、体液から所望の不要成分を除去した少なく
とも間葉系幹細胞を含む濃縮体をβ−リン酸三カルシウ
ムからなる骨補填材に付与するため、術後の骨欠損部の
修復速度を高くする成分を多く付与することができる。
したがって、術後の骨欠損部の修復速度を十分に高める
ことができる。
【0045】請求項2に係る発明によれば、骨補填材が
顆粒状をなすため、濃縮体を効率よく骨補填材に浸透さ
せることができるとともに骨補填材表面における濃縮体
内の細胞の接触を多くできる。
【0046】請求項3に係る発明によれば、体液から所
望の不要成分を除去した少なくとも間葉系幹細胞を含む
濃縮体をβ−リン酸三カルシウムからなる骨補填材に付
与するため、術後の骨欠損部の修復速度を高くする成分
を多く付与することができる。したがって、術後の骨欠
損部の修復速度を十分に高めることができる。
【0047】請求項4に係る発明によれば、予め成長に
寄与する物質をコーティングした骨補填材に濃縮体を付
与することになるため、術後の骨欠損部の修復速度をさ
らに高めることができる。
【0048】請求項5に係る発明によれば、骨補填材に
濃縮体を付与した後に成長因子である濃縮血小板を付与
することになるため、術後の骨欠損部の修復速度をさら
に高めることができる。
【0049】請求項6に係る発明によれば、術後の骨欠
損部の修復速度を高めるのに最も重要な間葉系幹細胞を
骨補填材に付与することになるため、術後の骨欠損部の
修復速度を十分かつ確実に高めることができる。
【0050】請求項7に係る発明によれば、体液から所
望の不要成分を除去した少なくとも間葉系幹細胞を含む
濃縮体をβ−リン酸三カルシウムからなる骨補填材に付
与するため、術後の骨欠損部の修復速度を高くする成分
を多く付与することができる。したがって、術後の骨欠
損部の修復速度を十分に高めることができる。加えて、
骨補填材が顆粒状をなすため、濃縮体を効率よく骨補填
材に浸透させることができるとともに骨補填材表面にお
ける濃縮体内の細胞の接触を多くできる。しかも、濃縮
体を粘着材料としてβ−リン酸三カルシウムからなる顆
粒状の骨補填材に混合して所望の形状に形成するため、
骨欠損部の形状に合わせることができる。したがって、
骨欠損部への補填に要する時間を短縮することができ
る。
【0051】請求項8に係る発明によれば、粘着材料と
して濃縮体に加えてフィブリン糊を混合するため、骨欠
損部に形状を合わせた後の形状の保持性能を向上させる
ことができる。したがって、骨欠損部への補填時におけ
る形状の修正を最小限に抑えることができるため、骨欠
損部への補填に要する時間をさらに短縮することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の骨補填体のベースと
なる骨補填材を示すもので(a)は斜視図、(b)は部
分拡大断面図である。
【図2】 本発明の第1実施形態の骨補填体の製造方法
を示す側断面図である。
【図3】 本発明の第2実施形態の骨補填体の製造方法
を示す側断面図である。
【符号の説明】
10 骨補填体 11 骨補填材 12 濃縮体
フロントページの続き (72)発明者 日比野 浩樹 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 斎藤 良治 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 Fターム(参考) 4C081 AB04 BA12 BA16 CA172 CB012 CD042 CD082 CD092 CD112 CD122 CD27 CD28 CD29 CD34 CF021 DA11 DB03 EA06

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体液から所望の不要成分を除去した少な
    くとも間葉系幹細胞を含む濃縮体をβ−リン酸三カルシ
    ウムからなる骨補填材に付与してなることを特徴とする
    骨補填体。
  2. 【請求項2】 前記骨補填材が顆粒状をなすことを特徴
    とする請求項1記載の骨補填体。
  3. 【請求項3】 体液から所望の不要成分を除去した少な
    くとも間葉系幹細胞を含む濃縮体を抽出し、該濃縮体を
    β−リン酸三カルシウムからなる骨補填材に付与するこ
    とを特徴とする骨補填体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記濃縮体を付与する前に、前記骨補填
    材に成長に寄与する物質のコーティングを施すことを特
    徴とする請求項3記載の骨補填体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記濃縮体を付与した後に、前記骨補填
    材に濃縮血小板を付与することを特徴とする請求項3ま
    たは4記載の骨補填体の製造方法。
  6. 【請求項6】 体液から間葉系幹細胞を分離して、分離
    した前記間葉系幹細胞をβ−リン酸三カルシウムからな
    る骨補填材に付与することを特徴とする骨補填体の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 体液から所望の不要成分を除去した少な
    くとも間葉系幹細胞を含む濃縮体を抽出し、該濃縮体を
    粘着材料としてβ−リン酸三カルシウムからなる顆粒状
    の骨補填材に混合して所望の形状に形成することを特徴
    とする骨補填体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記粘着材料としてさらにフィブリン糊
    を混合することを特徴とする請求項7記載の骨補填体の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 体液から所望の不要成分を除去した濃縮
    体を付与するためのリン酸カルシウム多孔体またはリン
    酸カルシウム多孔質顆粒からなる骨補填材において、 前記リン酸カルシウム多孔体またはリン酸カルシウム多
    孔質顆粒が、気孔率50〜90%であり、連通する気孔
    径50〜1000μmの気孔と5μm以下の気孔とを有
    することを特徴とする骨補填材。
  10. 【請求項10】 前記リン酸カルシウム多孔体またはリ
    ン酸カルシウム多孔質顆粒が、メカノケミカル法で作製
    したβ−リン酸三カルシウムからなることを特徴とする
    請求項9記載の骨補填材
  11. 【請求項11】 前記リン酸カルシウム多孔体またはリ
    ン酸カルシウム多孔質顆粒に、BMP、FGF、TGF
    −β、IGF、PDGF、VEGFおよびHGFの少な
    くともいずれか一つからなる成長に寄与する物質を複合
    させたことを特徴とする請求項9または10記載の骨補
    填材。
  12. 【請求項12】 体液を採取する工程と、体液を濃縮す
    る工程と、濃縮された体液をリン酸カルシウム多孔体ま
    たはリン酸カルシウム多孔質顆粒からなる骨補填材に付
    与する工程とからなることを特徴とする骨補填体の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 濃縮された体液を付与されたリン酸カ
    ルシウム多孔質顆粒と生体内吸収性有機材料からなるこ
    とを特徴とする骨補填材。
  14. 【請求項14】 前記生体内吸収性有機材料が、フィブ
    リン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール
    酸共重合体、コラーゲン、ゼラチン、キチン−キトサ
    ン、ヒアルロン酸、アルギン酸およびこれらの変性体の
    少なくとも一つを成分としていること特徴とする請求項
    13記載の骨補填材。
  15. 【請求項15】 濃縮された体液を付与されたリン酸カ
    ルシウム多孔質顆粒と生体内吸収性有機材料とからなる
    骨補填体の製造方法において、 体液を採取する工程と、体液を濃縮する工程と、濃縮さ
    れた体液をリン酸カルシウム多孔質顆粒と生体内吸収性
    有機材料とからなる骨補填材に付与する工程とからなる
    ことを特徴とする骨補填体の製造方法。
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