JP2003315960A - 銀塩光熱写真ドライイメージング材料 - Google Patents

銀塩光熱写真ドライイメージング材料

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JP2003315960A
JP2003315960A JP2002123822A JP2002123822A JP2003315960A JP 2003315960 A JP2003315960 A JP 2003315960A JP 2002123822 A JP2002123822 A JP 2002123822A JP 2002123822 A JP2002123822 A JP 2002123822A JP 2003315960 A JP2003315960 A JP 2003315960A
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acid
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photothermographic dry
polyester
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Kamiyuki Sasaki
頂之 佐々木
Sunao Arimoto
直 有本
Kenji Onuma
憲司 大沼
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱現像直後の支持体と画像形成層の剥離及び
スリキズの発生のない、又、熱現像特有の現像ムラがで
ない銀塩光熱写真ドライイメージング材料を提供する。 【解決手段】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上の画像
形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージング材
料において、画像形成層と支持体間に位置する少なくと
も1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、かつビ
ニル系ポリマーラテックスを含有することを特徴とする
銀塩光熱写真ドライイメージング材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、支持体上に、有機
銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤、及びバインダーを
含有する画像形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料に関し、詳しくは、上記構成を有し、か
つ改良された非画像形成下引層を有する銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、医療や印刷製版の分野では、画像
形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題と
なっており、近年では、環境保全、省スペースの観点か
らも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レー
ザー・イメージャーやレーザー・イメージセッターによ
り効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を
形成することができる乾式で環境を損なわない光熱写真
材料に関する技術が必要となっている。
【0003】上記の技術として、例えば、米国特許第
3,152,904号、同3,487,075号の各公
報、及びD.モーガン(Morgan)による「ドライ
シルバー写真材料(Dry Silver Photo
graphic Materials)」(Handb
ook of Imaging Materials,
Marcel Dekker,Inc.第48頁,19
91)等に記載されているように、支持体上に有機銀
塩、感光性ハロゲン化銀粒子、及び還元剤を含有する銀
塩光熱写真ドライイメージング材料が知られている。こ
の銀塩光熱写真ドライイメージング材料では溶液系処理
薬品を一切使用しないため、より簡便で環境を損なわな
いシステムをユーザーに提供することができる。
【0004】ところで、これらの銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料は、支持体上に感光性ハロゲン化銀を光
センサーとし、有機銀塩を銀イオンの供給源として、内
蔵された還元剤によって、通常80〜140℃で熱現像
することで画像を形成する感光層(画像形成層、EC層
とも呼ぶ)や、レーザー光を吸収するための染料を含有
したバッキング層(BC層とも呼ぶ)を設けている。こ
れらの層は、熱現像前のみならず、熱現像後において
も、支持体に強固に接着していなければならない。
【0005】一方、銀塩光熱写真ドライイメージング材
料の設計には、従来の現像液により現像する感光材料と
は異なる熱現像特有の配慮が必要である。特に熱現像時
には従来の現像処理液を使った処理に比較し高温の、通
常80〜140℃の熱がかかる。このため、従来とは異
なった意味での各層の強固な接着性と膜強度が必要とな
る。
【0006】特に熱現像直後の画像形成層は膜ハガレや
スリキズが発生し易く、故障につながることが多い。
又、熱現像は現像ムラがで易いが、この熱現像特有の現
像ムラは誤診につながるため、画像品質上重大な欠陥で
あり改善が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
状況を打開する為になされたものである。
【0008】即ち、本発明の目的は、熱現像直後の支持
体と画像形成層の剥離及びスリキズの発生のない、又、
熱現像特有の現像ムラがでない銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、本発明の目的は下記構成のいずれかを採るこ
とにより、達成できることを見い出した。
【0010】〔1〕 支持体上に有機銀塩、感光性ハロ
ゲン化銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上
の画像形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料において、画像形成層と支持体間に位置する少
なくとも1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、
かつビニル系ポリマーラテックスを含有することを特徴
とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0011】〔2〕 支持体上に有機銀塩、感光性ハロ
ゲン化銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上
の画像形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料において、画像形成層と支持体間に位置する少
なくとも1層の下引層が、ビニル系モノマーで変性され
たポリエステルを含有することを特徴とする銀塩光熱写
真ドライイメージング材料。
【0012】〔3〕 ポリエステルに対し10質量%以
上のビニル系モノマーで変性されたポリエステルを含有
することを特徴とする〔2〕記載の銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料。
【0013】〔4〕 支持体上に有機銀塩、感光性ハロ
ゲン化銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上
の画像形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料において、画像形成層と支持体間に位置する少
なくとも1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、
かつポリエステルの酸成分がナフタレンジカルボン酸を
含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料。
【0014】〔5〕 支持体上に有機銀塩、感光性ハロ
ゲン化銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上
の画像形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料において、画像形成層と支持体間に位置する少
なくとも1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、
かつポリビニルアルコールユニットを含有する水性ポリ
マーを含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料。
【0015】〔6〕 支持体上に有機銀塩、感光性ハロ
ゲン化銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上
の画像形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料において、画像形成層と支持体間に位置する少
なくとも1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、
かつスチレン−ジオレフィン系共重合体を含有すること
を特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0016】〔7〕 支持体上に有機銀塩、感光性ハロ
ゲン化銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上
の画像形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料において、画像形成層と支持体間に位置する少
なくとも1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、
かつポリウレタン成分を含有することを特徴とする銀塩
光熱写真ドライイメージング材料。
【0017】〔8〕 支持体上に有機銀塩、感光性ハロ
ゲン化銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上
の画像形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料において、画像形成層と支持体間に位置する少
なくとも1層の下引層の塗布液が25〜35℃であるこ
とを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0018】
〔9〕 支持体上に有機銀塩、感光性ハロ
ゲン化銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上
の画像形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料において、画像形成層と支持体間に位置する少
なくとも1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、
かつ無機充填剤を含有することを特徴とする銀塩光熱写
真ドライイメージング材料。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する
が、まず、第1の本発明から第8の本発明(以下、特に
断りのない限り本発明という)に共通する技術について
説明する。共通する技術については基本的には公知の技
術を採用できる。
【0020】〔支持体〕本発明の銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料に用いることができる支持体(以下、本
発明に係る支持体という)の素材は、各種高分子材料、
ガラス、ウール布、コットン布、紙、アルミニウム等の
金属等が挙げられるが、可撓性のあるシート又はロール
に加工できるものがよい。
【0021】プラスチックフィルム(例えばセルロース
アセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチ
レンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレー
トフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィル
ム、セルローストリアセテートフィルム又はポリカーボ
ネートフィルム等)が用いられる。
【0022】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料を医用として用いるには、本発明に係る支持体は、
青色着色した2軸延伸熱固定した、厚さ70〜180μ
mのポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
又、特開2001−22026号公報段落番号「003
0」〜「0034」等に記載の技術を本発明に用いるこ
とができる。
【0023】好ましいポリエステル支持体のポリエステ
ルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって
得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等で代表され
るものであり、またジオールとは、例えば、エチレング
リコール、トリメチレングリコール、テトラメチレング
リコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表される
ものである。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポ
リ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ート等を挙げることができる。本発明の場合、特にポリ
エチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート
が好ましい。
【0024】ポリエチレンテレフタレートフィルムは、
耐水性、耐久性、耐薬品性等に優れているものである。
もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリエステル
であってもコポリエステルであっても構わない。共重合
成分としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分
及びアジピン酸、セバシン酸、フタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸等のジカルボン酸成分を挙げることができる。
【0025】ポリエステル支持体には、炭酸カルシウ
ム、非晶質ゼオライト粒子、アナターゼ型の二酸化チタ
ン、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、ク
レー等の微粒子を併用してもよい。これらの添加量は、
ポリエステル組成物100質量部に対して0.0005
〜25質量部とするのが好ましい。
【0026】又、このような微粒子以外にも、ポリエス
テルの重縮合反応系で触媒残渣とリン化合物との反応に
より析出した微粒子を併用することもできる。析出微粒
子としては、例えば、カルシウム、リチウム及びリン化
合物から成るもの又はカルシウム、マグネシウム及びリ
ン化合物から成るもの等を挙げることができる。
【0027】これらの粒子のポリエステル中の含有量
は、ポリエステル100質量部に対して0.05〜1.
0質量部であることが好ましい。また、ポリエステル支
持体には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、染
料等が添加されてもよい。
【0028】尚、ポリエステル支持体の厚さは、機械的
強度及び走行性の観点から10〜250μmであること
が好ましく、さらに好ましくは15〜200μmであ
る。
【0029】ポリエステル支持体は、巻ぐせカールを低
減させるために、特開昭51−16358号公報等に記
載があるように、ポリエステル支持体を製膜後に、ガラ
ス転移温度以下の温度範囲において、0.1〜1500
時間の熱処理を行って巻ぐせカールを低減させてもよ
い。
【0030】ポリエステル支持体は、必要に応じて接着
性を向上させるために公知の表面処理、薬品処理(特公
昭34−11031号、同38−22148号、同40
−2276号、同41−16423号、同44−511
6号の各公報記載)、化学的機械的粗面化処理(特公昭
47−19068号公報、同55−5104号公報記
載)、コロナ放電処理(特公昭39−12838号、特
開昭47−19824号、同48−28067号の各公
報記載)、火災処理(特公昭40−12384号公報、
特開昭48−85126号公報記載)、紫外線処理(特
公昭36−18915号、同37−14493号、同4
3−2603号、同43−2604号、同52−257
26号の各公報記載)、高周波処理(特公昭49−10
687号公報記載)、グロー放電(特公昭37−176
82号公報記載)、さらには、活性プラズマ処理、レー
ザー処理などを施してもよい。これらの処理により特公
昭57−487号公報記載のように、支持体表面と水と
の接触角を58°以下にすることが好ましい。また、ポ
リエステル支持体は、透明でも、不透明でもよく、ある
いは着色されていてもよい。
【0031】〔表面処理〕本発明に係る支持体は、コロ
ナ放電処理をすることが好ましい。放電量の条件として
は、5〜30W/m2・分が好ましい。コロナ処理した
支持体は、コロナ処理後1〜2ヶ月以内に本発明に係る
下引層を塗布することが好ましい。
【0032】本発明に係る支持体は、プラズマ表面処理
をすることができる。特に大気圧近傍でのプラズマ処理
が好ましい。プラズマ放電を行う場合の処理用ガスとし
ては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、カルボニル
基等の極性官能基を付与できるガスがよく、例えば窒素
(N2)ガス、水素(H2)ガス、酸素(O2)ガス・二
酸化炭素(CO2)ガス、アンモニア(NH3)ガス、水
蒸気等がある。
【0033】又、反応ガス以外にもヘリウムやアルゴン
等の不活性ガスが必要であり、ガスの混合比率も60%
以上にすることで安定な放電条件となる。しかし、パル
ス化された電界でプラズマを発生させる場合には、不活
性ガスは必ずしも必要ではなく反応ガス濃度を増加させ
ることも可能である。パルス電界の周波数1〜100k
Hzの範囲が好ましい。1つのパルス電界が印加される
時間は1〜1000μsであることが好ましく、電極に
印加する電圧の大きさは電界強度が1〜100kV/c
mとなる範囲が好ましい。
【0034】〔下引層〕下引層には必要に応じてポリエ
ステル以外のポリマーをブレンドしてもよい。ポリマー
としてはゼラチン、ポリビニルアルコールなどの水溶性
ポリマー、ポリエチルアクリレート、塩化ビニリデン、
ポリウレタンなどの疎水性ポリマーなど特に制限なく用
いられる。
【0035】又、下引層は必ずしも1層でなくとも良い
が、複数層の場合は、ポリエステル成分とビニル系ポリ
マーラテックスを含有させる本発明の場合には、双方と
もに同一層中に含有させる構成が特に好ましい。
【0036】本発明の下塗り層の厚みは1層当たり0.
05〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmが好まし
い。
【0037】〔ポリエステル〕本発明に用いられるポリ
エステルは、水に溶解又は分散しうるポリエステル共重
合体が好ましい。なお、この様なポリエステルを本発明
の説明の中で親水性または水性ポリエステルということ
がある。
【0038】親水性のポリエステル共重合体として、例
えば米国特許第4,252,885号、同第4,24
1,169号、同第4,394,442号公報、欧州特
許第29,620号、同第78,559号明細書、特開
昭54−43017号公報、リサーチ・ディスクロージ
ャー18928等に記載の親水性ポリエステルを挙げる
ことができる。親水性ポリエステルとしては、例えば、
多塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とポリオール又
はそのエステル形成性誘導体とを重縮合反応して得られ
る実質的に線状の重合体が挙げられる。
【0039】上記ポリエステル共重合体の基本となる骨
格としては、多塩基酸成分としては、例えば、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸、ダイマー酸を用いることができ、
これら成分と共にマレイン酸、フマール酸、イタコン酸
などの不飽和多塩基酸やp−ヒドロキシ安息香酸、p−
(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等のヒドロキシカ
ルボン酸を小割合で用いることができる。上記の中でも
多塩基酸成分としては、主たるジカルボン酸成分として
テレフタル酸とイソフタル酸を有するものが好ましく、
更に用いるテレフタル酸とイソフタル酸との割合は、モ
ル比で30/70〜70/30であることがポリエステ
ル支持体への塗布性及び水に対する溶解性の点で特に好
ましい。また、これらテレフタル酸成分及びイソフタル
酸成分を全ジカルボン酸成分に対し50〜80モル%含
むことが好ましい。
【0040】ポリエステルに水溶性を付与するために
は、親水性基を有する成分、例えば、スルホン酸塩を有
する成分、ジエチレングリコール成分、ポリアルキレン
エーテルグリコール成分、ポリエーテルジカルボン酸成
分等をポリエステル中に共重合成分として導入するのが
有効な手段である。特に、親水性基を有する成分を導入
するためスルホン酸塩を有するジカルボン酸をモノマー
として用いるのが好ましい。
【0041】上記スルホン酸塩を有するジカルボン酸と
しては、スルホン酸アルカリ金属塩の基を有するものが
特に好ましく、例えば、4−スルホイソフタル酸、5−
スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホ
フタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン
酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸などの
アルカリ金属塩を挙げることができる。これらのスルホ
ン酸塩を有するジカルボン酸は、水溶性及び耐水性の点
から全ジカルボン酸成分に対し5〜20モル%の範囲
内、特に6〜10モル%の範囲内で用いることが好まし
い。
【0042】又、主たるジカルボン酸成分としてテレフ
タル酸とイソフタル酸を用いた水溶性ポリエステルに
は、共重合成分として脂環族ジカルボン酸を用いるのが
好ましい。これら脂環族ジカルボン酸としては、例え
ば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジ
カルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、
4,4′−ビシクロヘキシルジカルボン酸を挙げること
ができる。
【0043】更に、主たるジカルボン酸成分としてテレ
フタル酸とイソフタル酸を用いた親水性ポリエステル共
重合体には、上記以外のジカルボン酸を共重合成分とし
て用いることができる。これらジカルボン酸としては、
例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖状脂肪族ジカルボン
酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、全ジカルボン
酸成分の30モル%以下の範囲内で用いることが好まし
い。これら芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、
フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、ビフェニルジカルボン酸が挙げられる。また、直鎖
状脂肪族ジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分の15モ
ル%以下の範囲内で用いることが好ましい。これら直鎖
状脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸が挙げられる。
【0044】ポリオール成分としては、例えば、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリ
コール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、キシリレングリコール、トリメチ
ロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコー
ル、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを用い
ることができる。
【0045】又、親水性ポリエステル共重合体のグリコ
ール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール及びポリエチレングリコールが好まし
い。
【0046】親水性ポリエステル共重合体が、主たるジ
カルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を用
いたものである場合には、水溶性ポリエステルのグリコ
ール成分としてエチレングリコールもしくはジエチレン
グリコールを全グリコール成分の40モル%以上有する
ものを使用することが、機械的性質及びポリエステル支
持体との接着性の点から好ましい。
【0047】親水性ポリエステル共重合体は、出発原料
としてジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体及び
グリコール又はそのエステル形成性誘導体を用いて合成
することができる。合成には種々の方法を用いることが
でき、例えば、エステル交換法あるいは直接エステル化
法でジカルボン酸とグリコールとの初期縮合物を形成
し、これを溶融重合するという公知のポリエステルの製
造法によって得ることができる。
【0048】更に具体的に述べれば、例えば、ジカルボ
ン酸のエステル、例えばジカルボン酸のジメチルエステ
ルとグリコールとでエステル交換反応を行い、メタノー
ルを溜出せしめた後、徐々に減圧し、高真空下、重縮合
を行う方法、ジカルボン酸とグリコールのエステル化反
応を行い、生成した水を留出せしめた後、徐々に減圧
し、高真空下、重縮合を行う方法、ジカルボン酸のエス
テルとグリコールとでエステル交換反応を行い、更に、
ジカルボン酸を加えてエステル化反応を行った後、高真
空下、重縮合を行う方法が挙げられる。
【0049】エステル交換触媒及び重縮合触媒としては
公知のものを使用することができ、エステル交換触媒と
しては、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛等
を、重縮合触媒としては三酸化アンチモン、酸化ゲルマ
ニウム、ジブチル錫オキシド、チタンテトラブトキシド
等を用いることができる。しかし、重合方法、触媒等の
種々条件は上述の例に限定されるものではない。
【0050】親水性ポリエステル共重合体は次のように
して作製する。テレフタル酸ジメチル35.4質量部、
イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイ
ソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エ
チレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩
0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量
部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノ
ールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン
酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化ア
ンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反
応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行っ
た。その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温
し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合
を行い、水性ポリエステルを作製した。得られた水性ポ
リエステルの固有粘度は、0.33であった。得られた
共重合体を95℃の純水で17時間かけて分散し、親水
性ポリエステル共重合体分散液(固形分15%)を得
た。
【0051】又、本発明の親水性ポリエステル共重合体
として市販されているものに、イーストマンケミカル社
製のFPY6762、MPS7762、WD3652、
WTL6342、WNT9519、WMS5113、W
D SIZE、WNT、WHS(何れも商品名)等があ
り、いずれも本発明に使用し得る。水性ポリエステルに
ついては、例えば「水溶性高分子水分散型樹脂総合資料
集(経営開発センター(1981))」等に記載があ
る。
【0052】又、バイロン200、300(以上東洋紡
績社製)等、また水性ポリエステルとして例えばファイ
ンテックスES525、ES611、ES650、ES
675(以上大日本インキ化学社製)、KP−101
9、KP−1027、KP−1029(以上松本油脂製
薬社製)、プラスコートZ−446、710、711、
766、770、802、857(以上互応化学工業社
製)、ペスレジンA123D、A515GB(以上高松
油脂社製)等がある。
【0053】本発明に用いるポリエステルの分子量は、
重量平均分子量Mwで、2000〜200000である
ことが好ましい。又、Tgは−10℃以上90℃以下が
フィルム形成性及び強度の面から好ましい。
【0054】〔水性ナフタレンジカルボン酸を含むポリ
エステル〕本発明の水性ポリエステル樹脂は、この耐熱
性を向上させる酸成分としてナフタレンジカルボン酸を
含むことが好ましい、これら酸成分の割合は全酸成分の
40〜90モル%、さらには50〜85モル%であるこ
とが好ましい。これら酸成分の割合が40モル%未満に
なると、ポリエステル樹脂の耐熱性が低下し、易接着性
フイルムの耐ブロッキング性が低下するので好ましくな
く、一方90モル%を越えると、ポリエステル樹脂を水
性液化する工程において該ポリエステル樹脂の、使用す
る親水性有機溶剤への溶解が困難となり、このため水性
液化が困難となるので好ましくない。
【0055】ナフタレンジカルボン酸としては2,6−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸等が挙げられる。
【0056】本発明の水性ポリエステル樹脂は、さら
に、分子内に遊離カルボン酸基及びカルボン酸塩基の少
くとも1種を有するが、ポリマー分子内に遊離カルボン
酸基を導入するには、例えば無水トリメリット酸、トリ
メリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、ト
リメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロ
ールプロピオン酸等の多価化合物をポリマー製造原料の
1つとして用いることが好ましい。また、カルボン酸塩
基はポリマー中に導入されたカルボン酸基をアミノ化合
物、アンモニア、アルカリ金属(Li、Na、K等)等
で中和することによって導入することができる。
【0057】又、カルボン酸塩の基を導入する場合には
公知の他の方法を採用することができる。例えば、分子
内にカルボン酸塩の基を有する化合物を原料としてポリ
エステルを合成する方法がある。例えば、無水トリメリ
ット酸をポリエステル原料に用いて遊離のカルボキシル
基を有するポリエステルを造り、反応終了後にアンモニ
ア水を添加して中和し、本発明に供するポリエステル樹
脂の水性液を造ることができる。
【0058】水性ポリエステル樹脂に遊離カルボン酸基
を導入する多価化合物の割合は、全酸成分(100モル
%)及び全ポリオール成分(100モル%)の合計(2
00モル%)に対して、0.5〜20モル%、特に1〜
10モル%が好ましい。この割合が0.5モル%未満で
は親水性が低く水性液化が困難になり、一方20モル%
を超えると耐水性が悪くなり、好ましくない。
【0059】水性ポリエステル樹脂を構成する他の酸成
分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、
アジピン酸、セバシン酸、フェニルインダンジカルボン
酸、ダイマー酸等を例示することができる。これら成分
は2種以上を用いることができる。さらに、これら成分
と共にマレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の如き不
飽和多塩基酸やp−ヒドロキシ安息香酸、p−(β−ヒ
ドロキシエトキシ)安息香酸等の如きヒドロキシカルボ
ン酸を小割合用いることができる。不飽和多塩基酸成分
やヒドロキシカルボン酸成分の割合は高々10モル%、
好ましくは5モル%以下である。
【0060】又、ポリオール成分としては、エチレング
リコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロール
プロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、
ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメ
チレンオキシド)グリコール、更に下記式のビスフェノ
ールAのエチレンオキサイド付加物
【0061】
【化1】
【0062】等を例示することができる。これらは2種
以上を用いることもできる。これらの中でも、エチレン
グリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付
加物、1,4−ブタンジオールが好ましく、さらにエチ
レングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイ
ド付加物が好ましい。
【0063】又、水性液化を補助するために下記の若干
量のスルホン酸塩基の化合物を共重合することは可能で
あるが、本発明の優れた耐湿性を発現するためには耐湿
性を下げるスルホン酸塩基化合物の使用量は自から制限
され、スルホン酸塩基の当量はカルボン酸塩基の1/2
以下、さらには1/5以下であることが好ましい。
【0064】かかるスルホン酸塩基化合物としては、例
えば5−Naスルホイソフタル酸、5−アンモニウムス
ルホイソフタル酸、4−Naスルホイソフタル酸、4−
メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2−Naスル
ホテレフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸、4−Kス
ルホイソフタル酸、2−Kスルホイソフタル酸、Naス
ルホコハク酸等のスルホン酸アルカリ金属塩系またはス
ルホン酸アミン塩系化合物等が挙げられる。
【0065】本発明のナフタレンジカルボン酸含有水性
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以
上が好ましい。
【0066】本発明における水性ポリエステル樹脂は、
従来からのポリエステルの溶液または溶融重合技術によ
って製造することができる。例えば2,6−ナフタレン
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、イソフ
タル酸またはそのエステル形成性誘導体、及びトリメリ
ット酸またはそのエステル形成性誘導体を、エチレング
リコール及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付
加物と反応せしめて、モノマーもしくはオリゴマーを形
成し、その後真空下で重縮合せしめることによって所定
の固有粘度(o−クロロフェノールを用いて35℃で測
定)のポリエステルとする方法で製造することができ
る。その際、反応を促進する触媒、例えばエステル化も
しくはエステル交換触媒、重縮合触媒を用いることがで
き、また種々の添加剤、例えば安定剤等を添加すること
もできる。ポリエステルの固有粘度は0.2〜0.8が
好ましい。
【0067】水性ポリエステル樹脂の水性液を作る方法
としては、(1)該ポリエステル樹脂を水または水を主
成分とする媒体に溶解させる;(2)該ポリエステル樹
脂及び水または水を主成分とする媒体と共に乳化剤、分
散剤、懸濁化安定剤等を用いて乳化液または懸濁液とす
る;(3)該ポリエステル樹脂を水以外の媒体に溶解さ
せた後に水に添加して乳化液または懸濁液とし、必要に
応じてその媒体を除去する;(4)該ポリエステル樹脂
を加熱溶融させ、水または他の媒体と接触分散させた後
必要に応じて不要な媒体を除去する;(5)該ポリエス
テル樹脂の微粒子をあらかじめ準備し、この粒子を水ま
たは水を主成分とする媒体に分散させ安定化させる等を
例示することができる。
【0068】その製造例を以下に示す。水性ポリエステ
ル樹脂を先ず、20℃で1L(リットル)の水に対する
溶解度が20g以上でかつ沸点が100℃以下、または
100℃以下で水と共沸する親水性の有機溶剤に溶解さ
せる。この有機溶剤としてはジオキサン、アセトン、テ
トラヒドロフラン、メチルエチルケトン等を例示するこ
とができる。かかる溶液に更に少量の界面活性剤を添加
することもできる。
【0069】ポリエステル樹脂を溶解した有機溶液には
次いで、撹拌下好ましくは加温高速撹拌下で水を添加
し、水性液とする。また撹拌下の水に前記有機溶液を滴
下する方法によっても水性液とすることができる。得ら
れた水性液を、更に、常圧好ましくは減圧下に蒸留し親
水性の有機溶剤を留去することで水媒体のみの水性ポリ
エステル樹脂の水性液が得られる。ポリエステル樹脂を
水と共沸する親水性の有機溶剤に溶解した場合には、該
有機溶剤留去時に水が共沸するので水の減量分(共沸
分)を考慮し、前もって多めの水を加えておくことが望
ましい。蒸留後の固形分濃度は40質量%以下とするこ
とが望ましく、40質量%を越えると水に溶解または分
散したポリエステル樹脂の再凝集が起り易く、水性液の
安定性が低下する。更に水性液の固形分濃度は20質量
%以下とするのが好ましい。一方、固形分濃度の下限は
特にないが、0.1質量%以上とするのが好ましい。前
記ポリエステル樹脂の平均粒径は通常1μm以下であ
り、好ましくは0.8μm以下である。
【0070】かくして得られるポリエステル樹脂の水性
液は、後述するポリエステルフイルムの片面または両面
に塗布し、乾燥することによってフイルム表面にプライ
マー層を設け、該フイルムに易接着性を付与することが
できる。
【0071】〔ビニル変性ポリエステル〕更に、本発明
の親水性ポリエステル共重合体をビニル系モノマーで変
性したものも好ましく用いることが出来る。
【0072】ここで、変性とは、親水性ポリエステル共
重合体の水溶液中でビニル系モノマーを分散重合させた
ものであり、分散液は、例えば、親水性ポリエステル共
重合体を熱水中に溶解し、得られた親水性ポリエステル
共重合体の水溶液にビニル系モノマーを分散させ、乳化
重合あるいは懸濁重合させることにより得ることができ
る。重合は乳化重合法によることが好ましい。
【0073】先ず、本発明の水溶性ポリエステルの水溶
液中でビニル系モノマーを分散重合させた水性分散液に
ついて説明する。
【0074】上記水性分散液の作製に使用される水溶性
ポリエステルとしては、例えば、多塩基酸又はそのエス
テル形成性誘導体とポリオール又はそのエステル形成性
誘導体とを重縮合反応して得られる実質的に線状のポリ
マーが挙げられる。
【0075】上記水溶性ポリエステルの多塩基酸成分と
しては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セ
バシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー
酸を用いることができ、これら成分と共にマレイン酸、
フマール酸、イタコン酸などの不飽和多塩基酸やp−ヒ
ドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安
息香酸等のヒドロキシカルボン酸を小割合で用いること
ができる。
【0076】又、ポリオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレン
グリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、トリ
メチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコ
ール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを用
いることができる。
【0077】本発明において、上記水溶性ポリエステル
としては、主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸
とイソフタル酸を有するものが好ましく、更に用いるテ
レフタル酸とイソフタル酸との割合は、モル比で30/
70〜70/30であることがポリエステル支持体への
塗布性及び水に対する溶解性の点で特に好ましい。ま
た、これらテレフタル酸成分及びイソフタル酸成分を全
ジカルボン酸成分に対し50〜80モル%含むことが好
ましい。
【0078】ポリエステルに水溶性を付与するために
は、親水性基を有する成分、例えば、スルホン酸塩を有
する成分、ジエチレングリコール成分、ポリアルキレン
エーテルグリコール成分、ポリエーテルジカルボン酸成
分等をポリエステル中に共重合成分として導入するのが
有効な手段である。特に、親水性基を有する成分として
スルホン酸塩を有するジカルボン酸を用いるのが好まし
い。
【0079】上記スルホン酸塩を有するジカルボン酸と
しては、スルホン酸アルカリ金属塩の基を有するものが
特に好ましく、例えば、4−スルホイソフタル酸、5−
スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホ
フタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン
酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸などの
アルカリ金属塩を挙げることができるが、その中でも5
−スルホイソフタル酸ナトリウム塩が特に好ましい。こ
れらのスルホン酸塩を有するジカルボン酸は、水溶性及
び耐水性の点から全ジカルボン酸成分に対し5〜20モ
ル%の範囲内、特に6〜10モル%の範囲内で用いるこ
とが好ましい。
【0080】又、主たるジカルボン酸成分としてテレフ
タル酸とイソフタル酸を用いた本発明の水溶性ポリエス
テルには、共重合成分として脂環族ジカルボン酸を用い
るのが好ましい。これら脂環族ジカルボン酸としては、
例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン
酸、4,4′−ビシクロヘキシルジカルボン酸を挙げる
ことができる。
【0081】更に、主たるジカルボン酸成分としてテレ
フタル酸とイソフタル酸を用いた本発明の水溶性ポリエ
ステルには、上記以外のジカルボン酸を共重合成分とし
て用いることができる。これらジカルボン酸としては、
例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖状脂肪族ジカルボン
酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、全ジカルボン
酸成分の30モル%以下の範囲内で用いることが好まし
い。これら芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、
フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、ビフェニルジカルボン酸が挙げられる。また、直鎖
状脂肪族ジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分の15モ
ル%以下の範囲内で用いることが好ましい。これら直鎖
状脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸が挙げられる。
【0082】又、本発明の水溶性ポリエステルのグリコ
ール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,
4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール
が挙げられる。
【0083】本発明の水溶性ポリエステルが、主たるジ
カルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を用
いたものである場合には、本発明の水溶性ポリエステル
のグリコール成分としてエチレングリコールもしくはジ
エチレングリコールを全グリコール成分の40モル%以
上有するものを使用することが、機械的性質及びポリエ
ステル支持体との接着性の点から好ましい。
【0084】本発明の水溶性ポリエステルは、出発原料
としてジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体及び
グリコール又はそのエステル形成性誘導体を用いて合成
することができる。合成には種々の方法を用いることが
でき、例えば、エステル交換法あるいは直接エステル化
法でジカルボン酸とグリコールとの初期縮合物を形成
し、これを溶融重合するという公知のポリエステルの製
造法によって得ることができる。更に具体的に述べれ
ば、例えば、ジカルボン酸のエステル、例えばジカルボ
ン酸のジメチルエステルとグリコールとでエステル交換
反応を行い、メタノールを留出せしめた後、徐々に減圧
し、高真空下、重縮合を行う方法、ジカルボン酸とグリ
コールのエステル化反応を行い、生成した水を留出せし
めた後、徐々に減圧し、高真空下、重縮合を行う方法、
ジカルボン酸のエステルとグリコールとでエステル交換
反応を行い、更に、ジカルボン酸を加えてエステル化反
応を行った後、高真空下、重縮合を行う方法が挙げられ
る。
【0085】エステル交換触媒及び重縮合触媒としては
公知のものを使用することができ、エステル交換触媒と
しては、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛等
を、重縮合触媒としては三酸化アンチモン、酸化ゲルマ
ニウム、ジブチル錫オキシド、チタンテトラブトキシド
等を用いることができる。しかし、重合方法、触媒等の
種々条件は上述の例に限定されるものではない。
【0086】本発明において、水溶性ポリエステルの水
溶液中でビニル系モノマーを分散重合させた水性分散液
は、例えば、水溶性ポリエステルを熱水中に溶解し、得
られた水溶性ポリエステルの水溶液にビニル系モノマー
を分散させ、乳化重合あるいは懸濁重合させることによ
り得ることができる。重合は乳化重合によることが好ま
しい。
【0087】ビニル系モノマーの重合には重合開始剤が
用いられる。用いることができる重合開始剤としては、
例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸
ナトリウム、過酸化ベンゾイルが挙げられる。この中で
好ましいものは過硫酸アンモニウムである。
【0088】重合は、界面活性剤を使用することなく行
うことができるが、重合安定性を改良する目的で、界面
活性剤を乳化剤として用いることも可能である。この場
合、一般のノニオン型またはアニオン型いずれの界面活
性剤も使用することができる。
【0089】ビニル系モノマーとしては、アクリル系モ
ノマー、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタ
クリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シク
ロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチ
ル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト等のヒドロキシ基含有モノマー;アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メ
チルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロー
ルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミ
ド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニ
ルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;N,N−
ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチル
アミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有モノマ
ー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリ
ル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アン
モニウム塩等)等のカルボキシル基又はその塩を含むモ
ノマー等が挙げられる。また、アクリル系モノマー以外
のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテ
ル等のエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、
ビニルスルホン酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリ
ウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基又はその
塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、マレ
イン酸、フマール酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カ
リウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基又は
その塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタ
コン酸等の酸無水物を含有するモノマー;ビニルイソシ
アネート;アリルイソシアネート;スチレン;ビニルト
リスアルコキシシラン;アルキルマレイン酸モノエステ
ル;アルキルフマール酸モノエステル;アクリロニトリ
ル;メタクリロニトリル;アルキルイタコン酸モノエス
テル;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;塩化ビニル等が挙
げられる。
【0090】ビニル系モノマーの使用量は、(ポリエス
テル)/(ビニル系モノマー)が質量比で10質量%以
上であることが好ましく、10質量%以上50質量%以
下が特に好ましい。
【0091】本発明の下引層は、例えば、上記水溶性ポ
リエステルの水溶液中でビニル系モノマーを分散重合さ
せた水性分散液を含む塗布液を塗布することにより形成
することができる。
【0092】本発明の下引層は、必要に応じてビニルモ
ノマーで変性されたポリエステル以外のポリマーをブレ
ンドしてもよい。ポリマーとしてはゼラチン、ポリビニ
ルアルコールなどの水溶性ポリマー、ビニル系のポリマ
ーラテックス、ポリエチルアクリレート、塩化ビニリデ
ン、ポリウレタンなどの疎水性ポリマーなど特に制限な
く用いられる。
【0093】〔ビニル系ポリマーラテックス〕本発明に
おけるポリマーラテックスとは、水不溶な疎水性ポリマ
ーが微細な粒子として水又は水溶性の分散媒中に分散し
たものにおいてポリマー成分を指す。分散状態としては
ポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合さ
れたもの、ミセル分散されたもの、或いはポリマー分子
中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分
散したものなどいずれでもよい。
【0094】尚、本発明に係るポリマーラテックスにつ
いては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、
高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックス
の応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編
集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテッ
クスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(197
0))」などに記載されている。
【0095】ポリマーラテックスの分散粒子の平均粒径
は1〜50,000nm、より好ましくは5〜1000
nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関し
ては広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持
つものでもよい。
【0096】本発明に係るビニル系ポリマーラテックス
としては通常の均一構造のポリマーラテックス以外、い
わゆるコア/シェル型のポリマーラテックスでもよい。
この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ま
しい場合がある。
【0097】本発明に係るビニル系ポリマーラテックス
の最低造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃、より好
ましくは0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度を
コントロールする為に造膜助剤を添加してもよい。造膜
助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜
温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例え
ば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子
刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0098】ビニル系モノマーの使用量は、(水性ポリ
マー)/(ビニル系ポリマーラテックスを構成するビニ
ル系モノマー)が質量比で99/1〜5/95の範囲に
あるのが好ましい。
【0099】本発明に用いることのできるビニル系ポリ
マーラテックスは、乳化重合法で調製することができ
る。例えば、水を分散媒とし、水に対して10〜50質
量%のモノマーとモノマーに対して0.05〜5質量%
の重合開始剤、0.1〜20質量%の分散剤を用い、3
0〜100℃、好ましくは60〜90℃で3〜8時間撹
拌下重合させることによって調製することができ、調製
に当たっては、モノマーの量、重合開始剤量、反応温
度、反応時間等の条件は、幅広く変更することができ
る。
【0100】重合開始剤としては、水溶性過酸化物(例
えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、水溶
性アゾ化合物(例えば、2,2′−アゾビス(2−アミ
ノジプロパン)ハイドロクロライド等)またはこれらの
Fe2+塩や亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤を組み合わ
せたレドックス系重合開始剤等を用いることができる。
分散剤としては、水溶性高分子が用いられるが、アニオ
ン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界
面活性剤、両性界面活性剤のいずれも用いることができ
る。
【0101】ビニル系ポリマーラテックスの数平均粒径
は0.01〜0.8μmが特に好ましいが、0.005
〜2.0μmのものであればいずれも好ましく使用する
ことができる。
【0102】ビニル系ポリマーラテックスとしては、ア
クリル系ポリマーラテックスが好ましい。アクリル系ポ
リマーラテックスとは、アクリル系モノマー、例えば、
メタクリル酸、アクリル酸、これらのエステル又は塩、
アクリルアミド、メタクリルアミドをポリマーの構成全
成分に対して50mol%以上含有するポリマーラテッ
クスである。
【0103】本発明に係るアクリル系ポリマーラテック
スは、アクリル系モノマー単独、あるいはアクリル系モ
ノマーとアクリル系モノマーと共重合し得る他のモノマ
ー(以下、コモノマーという)を用いて製造することが
できる。アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリ
ル酸;メタクリル酸;アクリル酸エステル、例えば、ア
ルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプ
ロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブ
チルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フ
ェニルエチルアクリレート等)、ヒドロキシ含有アルキ
ルアクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等);メ
タクリル酸エステル、例えば、アルキルメタクリレート
(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタク
リレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタ
クリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、フェニルエチルメタクリレート等)、ヒドロキシ含
有アルキルメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート等);アクリルアミド;置換アクリルアミド、例
えば、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N
−メトキシメチルアクリルアミド等;メタクリルアミ
ド;置換メタクリルアミド、例えばN−メチルメタクリ
ルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−
ジメチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメ
タクリルアミド等;アミノ基置換アルキルアクリレー
ト、例えば、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレー
ト;アミノ基置換アルキルメタクリレート、例えば、
N,N−ジエチルアミノメタクリレート;エポキシ基含
有アクリレート、例えば、グリシジルアクリレート;エ
ポキシ基含有メタクリレート、例えば、グリシジルメタ
クリレート;アクリル酸の塩、例えば、ナトリウム塩、
カリウム塩、アンモニウム塩;メタクリル酸の塩、例え
ば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げ
られる。上述のモノマーは1種もしくは2種以上を併用
することができる。
【0104】コモノマーとしては、例えば、スチレン及
びその誘導体;不飽和ジカルボン酸(例えば、イタコン
酸、マレイン酸、フマール酸);不飽和ジカルボン酸の
エステル(例えば、イタコン酸メチル、イタコン酸ジメ
チル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル、フマー
ル酸メチル、フマール酸ジメチル);不飽和ジカルボン
酸の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニ
ウム塩);スルホン酸基又はその塩を含有するモノマー
(例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及び
それらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム
塩));無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水
物;ビニルイソシアネート;アリルイソシアネート;ビ
ニルメチルエーテル;ビニルエチルエーテル;酢酸ビニ
ルが挙げられる。上述のモノマーは1種もしくは2種以
上を併用することができる。
【0105】〔スチレン−ジオレフィン系重合体〕 1) スチレン−ジオレフィン系共重合体を含む疎水性
重合体を含有する下引層。
【0106】本発明のスチレン−ジオレフィン系共重合
体としては、ジオレフィン系のゴム状物質が好ましい。
ジオレフィンモノマーは、1分子内に2個の二重結合を
もつモノマーをいい、脂肪族不飽和炭化水素でも環式構
造をもつものでもよい。
【0107】具体的には、共役ジエンであるブタジエ
ン、イソプレン、クロプレン、非共役ジエンとして、
1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、3−ビ
ニル−1,5−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、
3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3,4−ジメチル
−1,5−ヘキサジエン、1,2−ジビニルシクロブタ
ン、1,6−ヘプタジエン、3,5−ジエチル−1,5
−ヘプタジエン、4−シクロヘキシル−1,6−ヘプタ
ジエン、3−(4−ペンテニル)−1−シクロペンテ
ン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,
9−デカジエン、1,9−オクタデカジエン、1−シス
−9−シス−1,2−オクタデカトリエン、1,10−
ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−
トリデカジエン、1,13−テトラデカンジエン、1,
14−ペンタデカジエン、1,15−ヘキサデカジエ
ン、1,17−オクタデカジエン、1,21−ドコサジ
エン等を挙げることができる。
【0108】これらのジオレフィンモノマーの内、特に
共役ジエンであるブタジエン、イソプレン、クロロプレ
ンが好ましく用いられ、とりわけ、ブタジエンが好まし
く用いられる。
【0109】共重合体を形成する一方のモノマーである
スチレンは、スチレン及びスチレン誘導体を指し、例え
ば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレ
ン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチル
スチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレ
ン、デシルスチレン、ベンチルスチレン、クロルメチル
スチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチ
ルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチ
レン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシ
スチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリク
ロルスチレン、テトラクロルスチレン、トリクロルスチ
レン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、
ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、
フルオロスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム
−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3
−トリフルオルメチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニ
ル安息香酸メチルエステル、ジビニルベンゼン、1,5
−ヘキサジエン−3−イン、ヘキサトリエン等を挙げる
ことができる。
【0110】本発明の共重合体中のジオレフィンモノマ
ーの含有量は共重合体全体の10〜60質量%、特に1
5〜40質量%であることが好ましい。スチレン類が共
重合体全体の70〜40質量%であることが好ましい。
また、本発明に用いられる共重合体には第3成分のモノ
マーを組み込んでもよい。第3成分としてはアクリル酸
エステル類、メタルクリル酸エステル類、ビニルエステ
ル類、塩化ビニル等の塩素含有モノマー等がよい。また
分子内に2個以上のビニル基、アクリロイル等、メタク
リロイル基、アリル基を有するモノマーを共重合するこ
とができる。
【0111】これらとしては、ジビニルエーテル、ジビ
ニルスルホン、ジアリルフタレート、ジアリルカルビノ
ール、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、トリメチロール
プロパンジメタクリレート等を挙げることができる。
【0112】重合終了後、得られた重合体は、成分の一
つであるジエン系モノマーが自己架橋するためにゲル化
していて、あらゆる溶剤に不要となっている。
【0113】これらの重合方法としては、例えば、乳化
重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、放射線
重合法等が挙げられるが、乳化重合によるラテックス状
のものが好ましい。また架橋性モノマーを使用する場合
はラテックスのゲル分率が50〜95質量%であること
が好ましい。ここに、ゲルとは、共重合成分が3次元的
に重合した状態のものをいう。本発明の如き組成の共重
合体が3次元的に重合すると、その3次元重合の程度に
より、溶剤に対する溶解度が変化してくる。即ち3次元
重合の程度が進む程、溶解し難くなる。従って、ゲルの
3次元重合の程度はその溶解度から判断される。勿論、
溶解度は使用する溶剤により異なるから溶剤毎に、ゲル
の3次元重合の程度の定義は異なってくるが、本発明に
於いては、ゲルとは、3次元的に共重合した状態であ
り、かつその3次元重合の程度が、精製したテトラヒド
ロフランに20℃、48時間浸漬しても溶解しない程度
のものをいう。
【0114】溶液重合では、溶媒中で適当な濃度のモノ
マーの混合物(通常、溶剤に対して40質量%以下、好
ましくは10〜25質量%の混合物)を開始剤の存在下
で約10〜200℃、好ましくは30〜120℃の温度
で、0.5〜48時間、好ましくは2〜20時間重合を
行うことで得られる。
【0115】溶媒としては、モノマーの混合物を溶解す
るものであればよく、例えば、水、メタノール、エタノ
ール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、
ジオキサン、もしくはこれらの2種以上の混合溶媒等を
挙げることができる。
【0116】開始剤としては、重合溶媒に可溶なものな
らばよく、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブ
チロニトリル(AIBN)、過酸化ジ(t)ブチル等の
有機溶媒系開始剤、過硫酸アンモニウム(APS)、過
硫酸カリウム、2,2′−アゾビス−(2−アミノプロ
パン)−ハイドロクロライド等の水溶性開始剤、またこ
れらとFe2+塩や亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤を組
み合わせたレドックス系重合開始剤等を挙げることがで
きる。
【0117】乳化重合法では、水を分散媒とし、水に対
して10〜50質量%のモノマーとモノマーに対して
0.05〜5質量%の重合開始剤、0.1〜20質量%
の分散剤を用い、30〜100℃、好ましくは60〜9
0℃で3〜8時間撹拌下重合させることによって得られ
る。モノマーの濃度、開始剤量、反応温度、時間等は幅
広くかつ容易に変更できる。
【0118】分散剤としては、水溶性高分子が用いられ
るが、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、
カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも用い
ることができる。
【0119】本発明の共重合体は通常のジオレフィン含
有ラテックスを得ると同様な公知の合成方法で得ること
が出来る。特に水分散系で乳化重合することが後処理を
必要とする有機溶媒中での均一重合より好ましい。重合
に際しては、重合開始剤として、有機または無機パーオ
キサイド、過酢酸アセチルパーオキサイド、過酸化水
素、過炭酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩等の過酸塩等を用い
ることが出来る。開始剤の性能を補助するために、通常
使用される有機または無機還元剤を併用してもよい。重
合中または重合後のラテックスの分散安定性を高めるた
めに各種の分散補助剤を使用出来る。分散補助剤として
は、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロー
ス等の高分子保護コロイド、ドデシルベンゼンスルホン
酸ソーダ、ラウリン酸ソーダ、ポリオキシエチレン脂肪
酸モノエステル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル
等のアニオン性またはノニオン性の活性剤を使用するこ
とが出来る。必要に応じて分子量調整剤であるメルカプ
タン類等を添加してもよい。
【0120】重合は密封容器中で行い、各成分の重合系
への添加方法、添加濃度、重合反応中の温度、圧力、撹
拌条件に応じて変化させるべきである。ジオレフィンモ
ノマーはケイ酸量を加えてもよいし、また過剰量を加え
て反応終了後回収してもよい。
【0121】必要に応じて、グリシジル基の安定剤、反
応促進剤、架橋剤等を合成前ないし合成中に添加しても
よい。合成終了後のラテックスには更に停滞安定性を付
与するための通常の方法であるpH調整及び活性剤、分
散安定剤、湿潤剤を添加してもよい。疎水性重合体の平
均粒径は、0.01〜0.8μmが特に好ましく、0.
005〜2.0μmのものであればいずれも好ましく使
用することができる。
【0122】疎水性重合体は、有機溶剤中で重合される
場合には、さらに水に分散させて減圧に引くことにより
溶剤を水に置換することにより使用することができる。
【0123】下引層に用いる疎水性重合体は水性分散液
(ラテックス)とし、さらに必要により該水性分散液中
に架橋剤、界面活性剤、膨潤剤、マット剤、帯電防止剤
等を添加することが好ましい。架橋剤としては例えば、
米国特許第3,325,287号、同第3,288,7
75号、同第3,549,377号の各公報、ベルギー
特許第6,602,226号明細書等に記載のトリアジ
ン系化合物、米国特許第3,291,624号公報、同
第3,232,764号公報、仏国特許第1,543,
694号、および英国特許第1,270,578号明細
書に記載のジアルデヒド系化合物、米国特許第3,09
1,537号公報、特公昭49−26580号公報等に
記載のエポキシ系化合物、米国特許第3,642,48
6号公報等に記載のビニル系化合物、米国特許第3,3
92,024号公報に記載のアジリジン系化合物、米国
特許第3,549,378号公報等に記載のエチレンイ
ミン系化合物、及びメチロール系化合物がある。これら
の化合物のうち、ジクロロトリアジン誘導体が好まし
い。本発明においては、下記のような写真用ゼラチンの
いわゆる硬膜剤は好ましく用いられる。
【0124】本発明で好ましく使用出来る共重合体とし
ては、例えば、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソ
プレン、スチレン−クロロプレン、メチルメタクリレー
ト−ブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン等を挙
げることができる。この中でも、スチレン−ブタジエン
系ラテックスが特に好ましい。また、市販されている共
重合体も用いることが出来る。
【0125】〔ビニルアルコール(PVA)〕ビニルア
ルコールユニットを含有したポリマーとしては、ポリビ
ニルアルコールの誘導体で、エチレン共重合ポリビニル
アルコール、部分ブチラール化して水に溶解したポリビ
ニルアルコール変性物等を挙げることができる。
【0126】ポリビニルアルコールとしては、重合度1
00以上が好ましい。また、ビニルアルコールユニット
を含有するポリマーとしては、ケン化前の酢酸ビニル系
ポリマーの共重合成分として、エチレン、プロピレン等
のビニル化合物、アクリル酸エステル類(t−ブチルア
クリレート、フェニルアクリレート、2−ナフチルアク
リレート等)、メタクリル酸エステル類(メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルメタクリレート、フェニルメタクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレート、クレジルメタクリ
レート、4−クロロベンジルメタクリレート、エチレン
グリコールジメタクリレート等)、アクリルアミド類
(アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアク
リルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリル
アミド、tert−ブチルアクリルアミド、シクロヘキ
シルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロ
キシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルア
ミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニル
アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルア
クリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、ジア
セトンアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(メタ
クリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタク
リルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタク
リルアミド、tert−ブチルメタクリルアミド、シク
ロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミ
ド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチ
ルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリル
アミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリ
ルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチ
ルメタクリルアミド等)、スチレン類(スチレン、メチ
ルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチレンスチレ
ン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロス
チレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロ
ルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニ
ル安息香酸メチルエステル等)、ジビニルベンゼン、ア
クリルニトリル、メタアクリロニトリル、N−ビニルピ
ロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、塩化ビニリデ
ン、フェニルビニルケトン等のモノマーユニットを持つ
ポリマーを挙げることができる。これらの中で好ましく
は、エチレン共重合ポリビニルアルコールである。
【0127】ポリビニルアルコール及び変性ポリビニル
アルコールは、一般に市販されているものを用いること
ができる。ポリビニルアルコールの代表的な市販品とし
ては、クラレ社製のPVA−203、PVA−204、
PVA−205、PVA−210、PVA−217、P
VA−220、PVA−224、PVA−228、PV
A−235、PVA−403、PVA−405、PVA
−420など、日本合成化学社製のゴーセノールGL−
03、GL−05、AL−02、NK−05など、電気
化学工業社製のデンカポバールK−02、B−03な
ど、変性ポリビニルアルコールの代表的な市販品として
は、クラレ社製のMP−202、MP−203などが挙
げられる。
【0128】〔ポリウレタン〕本発明で用いるウレタン
とは、水溶性あるいは水分散性のポリウレタンが好まし
く、特公昭42−24194号公報、特公昭46−77
20号公報、特公昭46−10193号公報、特公昭4
9−37839号公報、特開昭50−123197号公
報、特開昭53−126058号公報、特開昭54−1
38098号公報などに記載されたポリウレタン系樹脂
あるいは、それらに準じたポリウレタン系樹脂を用いる
ことができる。
【0129】ポリウレタン形成成分の主要な構成成分
は、ポリイソシアネート、ポリオール、鎖長延長剤、架
橋剤などである。ポリイソシアネートの例としては、ト
リレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネートなどがある。ポリ
オールの例としては、ポリオキシエチレングリコール、
ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテテトラ
メチレングリコールのようなポリエーテル類、ポリエチ
レンアジペート、ポリエチレンーブチレンアジペート、
ポリカプロロラクトンのようなポリエステル類、アクリ
ル系ポリオール、ひまし油などがある。
【0130】鎖長延長剤、あるいは架橋剤の例として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジ
ン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジシクロヘキシルメタン、水などがある。水溶性あるい
は水分散性とするために、界面活性剤などによって強制
分散化させてもよいが、好ましくは、ポリエーテル類の
ような親水性のノニオン成分や、四級アンモニウム塩の
ようなカチオン性基を有する自己分散型塗布剤、さらに
好ましくは、アニオン性基を有する、水溶性または水分
散性ポリウレタン系樹脂塗布剤を用いる。
【0131】アニオン性基を有するポリウレタン系樹脂
は、ポリウレタン形成成分であるポリオール、ポリイソ
シアネート化合物、鎖長延長剤などにアニオン性基を有
する化合物を用いる方法、生成したポリウレタンの未反
応イソシアネート基とアニオン性基を有する化合物を反
応させる方法、ポリウレタンの活性水素を有する基と特
定の化合物を反応させる方法などを用いて製造できる。
ポリウレタン形成成分としてアニオン性基を有する化合
物を用いる場合は、例えば芳香族イソシアネート化合物
をスルホン化する方法で得られる化合物、ジアミノカル
ボン酸塩、アミノアルコール類の硫酸エステル塩などを
用いることができる。
【0132】ポリウレタンの未反応のイソシアネート基
とアニオン性基を有する化合物を反応させる方法は、例
えば重亜硫酸塩、アミノスルホン酸およびその塩類、ア
ミノカルボン酸およびその塩類、アミノアルコール類の
硫酸エステルおよびその塩類、ヒドロキシ酢酸およびそ
の塩類などを用いることができる。ポリウレタンの活性
水素を有する基と特定の化合物を反応させる方法は、例
えばジカルボン酸無水物、テトラカルボン酸無水物、サ
ルトン、ラクトン、エポキシカルボン酸、エポキシスル
ホン酸、2,4−ジオキソ−オキサゾリジン、イサト酸
無水物、ホストン、硫酸カルビン酸などの環式化合物を
用いることができる。
【0133】本発明で用いるポリウレタン系樹脂として
は、分子量300〜20,000のポリオール、ポリイ
ソシアネート、反応性水素原子を有する鎖長延長剤およ
びイソシアネート基と反応する基、およびアニオン性基
を少なくとも1個有する化合物から成る樹脂が好まし
い。ポリウレタン系樹脂中のアニオン性基は、−SO3
H、−OSO3H、−COOHなどのリチウム塩、ナト
リウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩として用
いられ、これらの中でも、スルホン酸塩基およびカルボ
ン酸塩基が特に好ましい。ポリウレタン系樹脂中のアニ
オン性基の量は、0.05〜8質量%の範囲が好まし
い。アニオン性基の量が少ないと、ポリウレタン系樹脂
の水溶性あるいは水分散性が悪く、逆にアニオン性基が
多いと、塗布後の塗布層の耐水性が劣ったり、吸湿して
フィルムが相互に固着しやすくなる。
【0134】市販の水性ポリウレタンの例としては、武
田薬品工業社製のタケラックXWシリーズのW−700
4、W−6015、W−621、W−511、W−31
0、W−512、バイエル社製のインプラニル(imp
ranil)DLH及びインプラニルDLN、第一工業
製薬社製のスーパーフレックス100、スーパーフレッ
クス200、スーパーフレックス300、ハイドランH
W−140、ハイドランHW−111、ハイドランHW
−100、ハイドランHW−101、ハイドランHW−
312、ハイドランHW−311、ハイドランHW−3
10、ハイドランLW−513、ハイドランHC−20
0、ハイドランHC−400M、ボンディック1010
C、ボンディック1050、ボンディック1070、ボ
ンディック1310B、ボンディック1310F、ボン
ディック1310NS、ボンディック1340、ボンデ
ィック1510、ボンディック1610NS、ボンディ
ック1630、ボンディック1640、ボンディック1
670(N)、ボンディック1670−40等を挙げる
ことができる。これら市販品の水性ポリウレタンのう
ち、特に好ましい商品としては、W−7004、W−6
015、インプラニルDLH、インプラニルDLN、ス
ーパーフレックス100、スーパーフレックス200、
ハイドランHW−312、ハイドランHW−140、ハ
イドランHW−310、ハイドランHW−311等を挙
げることができる。
【0135】〔無機充填剤〕本発明に係る下引層に添加
することのできる無機充填剤は、例えば、フィラー研究
会によるフィラー活用辞典、初版第1刷記載の酸化物、
水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、窒化物、炭素
類、各種金属、合金等があげられる。
【0136】具体的にはカーボンブラック、グラファイ
ト、炭素繊維、炭素バルン、各種金属、水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、TiO
2、BaSO4、硫酸カルシウム、石膏繊維、ZnS、
MgCO3、CaCO3、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドー
ソナイト、ハイドロタルサイト、ZnO、CaO、WS
2、MoS2、MgO、SnO2、Al23、α−Fe2
3、α−FeOOH、SiC、CeO2、BN、SiN、
MoC、BC、WC、チタンカーバイド、コランダム、
人造ダイアモンド、ザクロ石、ガーネット、シリカ、ケ
イ石、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト、ケイ酸カル
シウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)タルク、ク
レー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性
白土、セピオライト、イモゴライト、セイサリト、ガラ
ス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニ
ウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、等の無機フィラーや、
コロイダルシリカなどを挙げることができる。
【0137】粒子形状は特に規定は無く繊維状、針状、
板状、粒状が用いられる。又粒径は球形換算で0.00
5〜10μm程度が好ましい。
【0138】又、これらの無機充填剤は数種類もしく
は、ポリエチレン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、グアナミ
ン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、
メラミン樹脂粒子等の有機フィラーと、合わせて含有さ
せても良い。
【0139】〔その他〕上記下引層を形成する塗布液に
はさらにアニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性
剤、ノニオン型界面活性剤等の界面活性剤を必要量添加
することができる。
【0140】係る界面活性剤としては、水性塗布液の表
面張力を500μN/cm2以下にすることができ、ポ
リエステルフィルムへの濡れを促進できるものが好まし
く、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタ
ン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸
金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ア
ルキルスルホコハク酸塩、第4級アンモニウムクロライ
ド塩、アルキルアミン塩酸塩等を挙げることができる。
【0141】本発明に係る下引層には、必要に応じて、
可塑剤、架橋剤、染料等を添加してもよい。特に、フィ
ラーの添加は、熱現像時の耐熱性向上に効果があるため
望ましい。
【0142】本発明に係る下引層用の塗布液には、必要
に応じて、膨潤剤、マット剤、クロスオーバー用染料、
アンチハレーション染料、顔料、カブリ防止剤、防腐剤
等を加えてもよい。膨潤剤としては、例えば、フェノー
ル、レゾルシン、クレゾール、クロロフェノール等が用
いられ、添加量は本発明の下引層用塗布液1L当たり1
〜10gでよい。マット剤としては、粒径0.1〜10
μmのシリカ、ポリスチレン球、メチルメタクリレート
球等が好ましい。
【0143】本発明においては、下塗り層にマット剤を
用いることが、製造における高速搬送性を良くするため
に好ましい。マット剤としては平均粒径が0.1〜8μ
m、好ましくは0.2〜5μm程度のスチレン、ポリメ
チルメタクリレート、シリカなどの微粒子が用いられて
いる。マット剤の使用量は、熱現像記録材料1m2当た
り1〜200mgが好ましく、2〜100mgがより好
ましい。
【0144】本発明に係る下引層の乾燥膜厚は、0.0
1〜10μm、特に0.03〜3μmであることが好ま
しい。
【0145】更に、プライマー層を形成する塗布液に
は、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、有機フ
ィラー、無機フィラー、潤滑剤、ブロッキング防止剤、
安定剤等の他の添加剤を添加することができる。
【0146】架橋剤としてはエポキシ、イソシアネー
ト、メラミンなどの公知の化合物が用いられる。また、
特開昭51−114120号公報などに記載されている
活性ハロゲン架橋剤も好ましい。
【0147】さらに染料としてはアンチハレーション、
色調調整用染料などを用いることができる。
【0148】本発明の下引層は、水系、有機溶媒系いず
れの塗布液を塗布乾燥して形成してもよいが、コストや
環境の点からは水系塗布液を塗布する水系塗布の方が好
ましい。ここで「水系塗布液」とは塗布液の溶媒(分散
媒)の30質量%以上、より好ましくは50質量%以上
が水である塗布液を言う。具体的な溶媒組成としては例
えば水以外に以下の混合溶液が挙げられる。
【0149】水/メタノール=85/15、水/メタノ
ール=70/30、水/メタノール/ジメチルホルムア
ミド(DMF)=80/15/5、水/イソプロピルア
ルコール=60/40等(ただしここで数字は質量比を
表す)。
【0150】本発明のポリエステルを含有する下塗り層
は1層のみ設けても、2層以上設けてもよい。
【0151】本発明の熱現像記録材料には上記のポリエ
ステルを含有する下塗り層に加えてポリエステルを含有
しない下塗り層を設けてもよい。このような下塗り層の
バインダーとしては例えばゼラチンなどを用いてもよ
い。この下塗り層にも必要に応じて、前述の架橋剤、マ
ット剤、染料、フィラー、界面活性剤などを添加しても
良い。このような下塗り層の厚みは1層当たり0.02
〜30μmが好ましく、より好ましくは0.08〜30
μmである。
【0152】本発明に係る下引層は、一般によく知られ
ている塗布方法を用いて塗布乾燥することにより形成す
ることができる。用いることができる塗布方法として
は、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート
法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバ
ーコート法、グラビヤコート法、あるいは米国特許第
2,681,294号公報に記載のホッパーを使用する
エクストルージョンコート法等が挙げられる。また、必
要に応じて、米国特許第2,761,791号、同第
3,508,947号、同第2,941,898号及び
同第3,526,528号公報、原崎勇次著「コーティ
ング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)等に記
載された2層以上の層を同時に塗布する方法も、好まし
く用いることができる。
【0153】本発明に係る下引層に用いる塗布液の塗布
膜厚は3〜100μm、特に5〜20μmであることが
好ましい。本発明の下引層に用いる塗布液を塗設した後
の乾燥条件は25〜200℃で0.5秒〜1分程度であ
る。本発明の下引層は、塗布、乾燥後、更に熱処理する
ことが好ましく、その処理条件は110〜200℃で1
0秒〜10分程度である。
【0154】塗布液温度は25〜35℃が適正といえ
る。35℃を超えると塗布液のポットライフが劣化す
る。また、25℃未満では接着強度、フィルム形成強度
が低下することがある。
【0155】〔バッキング層〕本発明に係る熱現像写真
感光材料は、画像形成層の反対側に溶剤系または水系の
バッキング層を形成してもよい。
【0156】バッキング層は、溶剤系塗布液、もしくは
水性塗布液を用いて塗設することができ、1層のみ設け
ても2層以上設けてもよい。
【0157】本発明でいう溶剤系バッキング層とは、溶
剤系塗布液を用いて塗設されるバッキング層を指し、水
系バッキング層とは、水系塗布液を用いて塗設されるバ
ッキング層を指す。ここで溶剤系とは、有機溶媒が溶媒
全体の50質量%以上を占めるものを指し、水系とは、
有機溶媒が溶媒全体の50質量%未満であるものを指
す。
【0158】本発明に係るバッキング層に好適なバイン
ダーは、透明または半透明で、一般に無色の天然高分子
化合物や合成高分子化合物ならば使用できる。例えば、
ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ヒド
ロキシエチルセルロース、セルロースジアセテート、セ
ルロースアセテートブチレート、ポリビニルピロリド
ン、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸、ポリメチル
メタクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸、ス
チレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロ
ニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポ
リビニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマール
及びポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウ
レタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
エポキシド類、ポリカーボネート類、ポリ酢酸ビニル、
ポリアミド類がある。
【0159】溶剤系バッキング層のバインダーとして
は、例えば、セルロースアセテートブチレートが、また
水系バッキング層のバインダーとしては、例えば、ポリ
ビニルアルコール、ゼラチン等が好ましく用いられる。
【0160】本発明において、バッキング層は、所望の
波長範囲で最大吸収が0.3以上2以下であることが好
ましく、さらに好ましくは0.5以上2以下の吸収であ
り、かつ処理後の可視領域においての吸収が0.001
以上0.5未満であることが好ましく、さらに好ましく
は0.001以上0.3未満の光学濃度を有する層であ
ることが好ましい。
【0161】本発明に係るバッキング層には、さらに必
要に応じて界面活性剤、架橋剤、スベリ剤などを添加し
てもよい。また、米国特許第4,460,681号公報
および同第4,374,921号公報に示されるような
裏面抵抗性加熱層(backing resistiv
e heating layer)を設けることもでき
る。
【0162】本発明に係るバッキング層の厚みは、0.
1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmが好ま
しい。
【0163】本発明の熱現像写真感光材料は、バッキン
グ層の上に保護層(バッキング面保護層)を設けてもよ
い。バッキング面保護層のバインダーには、特に制限は
なく、本発明に係るバッキング層で記述したと同様のポ
リマーを用いることができる。本発明に係るバッキング
面保護層も、前述の水系塗布液を用いて、塗布、乾燥し
て形成することが好ましい。本発明のバッキング面保護
層にも必要に応じてマット剤、染料、スベリ剤、界面活
性剤などを添加してもよい。
【0164】本発明に係るバッキング面保護層の厚み
は、0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μm
の範囲が好ましい。
【0165】〔有機銀塩〕本発明の銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料に用いることができる有機銀塩(以
下、本発明に係る有機銀塩という)は還元可能な銀源で
あり、有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖の(炭
素数10〜30、好ましくは15〜25)脂肪族カルボ
ン酸及び含窒素複素環化合物の銀塩が好ましい。
【0166】配位子が銀イオンに対する総安定度常数と
して4.0〜10.0の値をもつようなリサーチ・ディ
スクロージャー17029、29963に記載された有
機又は無機の錯体も好ましい。これら好適な銀塩の例と
しては、有機酸の銀塩、例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘ
ン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラ
ウリン酸等の銀塩等が挙げられる。その他の例として
は、特開2001−83659号公報段落番号「019
3」に記載の有機銀塩が挙げられる。又、有機銀塩の作
製法、有機銀塩の粒径、についても、同公報の段落番号
「0194」〜「0197」の記載が参照できる。又本
発明に係る有機銀塩として、特開2001−48902
公報段落番号「0028」〜「0033」、特開200
0−72777号公報段落番号「0025」〜「004
1」等に記載の技術を用いることができる。
【0167】〔感光層〕本発明の銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料に用いることができる感光性ハロゲン化
銀(以下、本発明に係る感光性ハロゲン化銀という)と
は、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に、又
は、人為的に物理化学的な方法により、可視光ないし赤
外光を吸収し得て、かつ可視光ないし赤外光を吸収した
ときに当該ハロゲン化銀結晶内や結晶表面に物理化学的
変化が起こり得るように処理調製されたハロゲン化銀結
晶粒子をいう。
【0168】本発明に係る感光性ハロゲン化銀は、P.
Glafkides著Chimieet Physiq
ue Photographique(Paul Mo
ntel社刊、1967年)、G.F.Duffin著
Photographic Emulsion Ch
emistry(The Focal Press刊、
1966年)、V.L.Zelikman et al
著Making and Coating Photo
graphic Emulsion(TheFocal
Press刊、1964年)等に記載された方法を用
いてハロゲン化銀粒子乳剤として調製することができ
る。
【0169】この中でも、形成条件をコントロールしつ
つハロゲン化銀粒子を調製する所謂コントロールドダブ
ルジェット法が好ましい。ハロゲン組成としては特に制
限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃
臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。又、本発明に
係るハロゲン化銀の粒子形成は通常、ハロゲン化銀種粒
子(核)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこ
れらを連続的に行う方法でもよく、又核(種粒子)形成
と粒子成長を分離して行う方法でもよく、特開2001
−83659号公報段落番号「0063」に記載の技術
を用いることができる。
【0170】本発明に係る感光性ハロゲン化銀は、画像
形成後の白濁を低く抑える、良好な画質を得る等のため
平均粒子サイズが小さい方が好ましい。平均粒子サイズ
が0.2μm以下、より好ましくは0.01〜0.17
μm、特に0.02〜0.14μmが好ましい。ここで
いう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは
八面体のいわゆる正常晶である場合は、ハロゲン化銀粒
子の稜の長さをいう。又、ハロゲン化銀粒子が平板状粒
子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換
算したときの直径をいう。
【0171】粒子サイズは単分散であることが好まし
く、詳しくは、特開2001−83659号公報段落番
号「0064」〜「0066」に記載の技術を用いるこ
とができる。粒子の形状としては、立方体、八面体、1
4面体、平板状ハロゲン化銀粒子のいずれでもよい。平
板状ハロゲン化銀粒子の場合、平均アスペクト比は、概
ね1.5以上100以下、好ましくは2以上50以下が
よい。これらは米国特許第5,264,337号、同第
5,314,798号、同第5,320,958号の各
公報等に記載の技術を適用できる。又、粒子形成技術と
しては、特開2001−83659号公報段落番号「0
068」〜「0090」に記載の技術を適用できる。
【0172】本発明に係る感光性ハロゲン化銀は、照度
不軌改良のため元素周期律表の6族から11族に属する
遷移金属のイオンを含有することが好ましい。好ましい
含有率は銀1モルに対し1×10-9〜1×10-2モル、
より好ましくは1×10-8〜1×10-4の範囲である。
好ましい遷移金属錯体又は錯体イオンは、一般式〔ML
6m(ここで、Mは元素周期表の6〜11族の元素から
選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2
−、3−又は4−を表す)で表される。Lで表される配
位子の具体例としては、ハロゲンイオン(弗素イオン、
塩素イオン等)、シアナイド、シアナート、チオシアナ
ート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及
びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙
げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシ
ルである。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一
つ又は二つを占めることが好ましい。遷移金属配位錯イ
オンとしては、特開2001−83659号公報段落番
号「0094」〜「0095」記載のものを用いること
ができる。
【0173】本発明に係る感光性ハロゲン化銀は、化学
増感されていることが好ましい。好ましい化学増感に関
しては、特開2000−112057号公報段落番号
「0044」〜「0045」に記載の化学増感剤、技術
を用いることができる。
【0174】本発明に係る感光性ハロゲン化銀は、分光
増感されていることが好ましい。好ましい分光増感に関
しては、特開2001−83659号公報段落番号「0
099」〜「0144」に記載の増感色素、技術を用い
ることができる。
【0175】本発明に係る感光性ハロゲン化銀は、増感
色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あ
るいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色
増感効果を発現する強色増感剤を用いてもよい。強色増
感剤については、特開2001−83659号公報段落
番号「0148」〜「0152」に記載の化合物を用い
ることができる。
【0176】本発明においては、上記の強色増感剤の他
に、特願2000−70296号明細書段落番号「00
22」〜「0028」に記載の一般式(1)で表される
化合物と少なくとも1種のヘテロ原子を有する大環状化
合物を強色増感剤として使用できる。該一般式(1)で
表される化合物の具体例は、特願2000−70296
号明細書段落番号「0034」〜「0039」に記載さ
れている。又、ヘテロ原子を有する大環状化合物につい
ては、特願2000−70296号明細書段落番号「0
044」〜「0054」に記載されている。
【0177】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に用いることができる還元剤(以下、本発明に係る
還元剤という)としては、銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料の技術分野で公知の還元剤の中から適宜選択し
て使用することができる。特に、有機銀塩に脂肪族カル
ボン酸銀塩を使用する場合、2個以上のヒドロキシフェ
ニル基がアルキレン基又は硫黄によって連結されたポリ
フェノール類、特にヒドロキシフェニル基のヒドロキシ
置換位置に隣接した位置の少なくとも一つにアルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル
基、シクロヘキシル基等)又はアシル基(例えばアセチ
ル基、プロピオニル基等)が置換したヒドロキシフェニ
ル基の2個以上がアルキレン基又は硫黄によって連結さ
れたビスフェノール類が好ましい。
【0178】例えば、特開2000−112057号公
報段落番号「0047」〜「0048」に記載のヒンダ
ードフェノールタイプの還元剤は、本発明において好ま
しく用いられる。その具体的例示化合物については、特
開2000−112057号公報段落番号「0050」
〜「0051」に記載されている。還元剤の使用量は銀
1モル当たり1×10-2〜10モル、好ましくは1×1
-2〜1.5モルである。
【0179】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に用いることができるバインダー(以下、本発明に
係るバインダーという)は、透明又は半透明で、一般に
無色であり、天然高分子や合成高分子である。本発明に
係るバインダーの例として、特開2001−66725
公報段落番号「0193」に記載の天然又は合成高分子
が挙げられる。本発明に係るバインダーとしては、ポリ
ビニルアセタール類が好ましく、ポリビニルブチラール
が特に好ましい。バインダーの使用量としては、バイン
ダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2、特に8:
1〜1:1の範囲が好ましい。又、本発明に係るバイン
ダーとしては、ポリマーラテックスも好ましく用いるこ
とができる。ポリマーラテックスに関しては、特開20
01−66725公報段落番号「0194」〜段落番号
「0203」に記載されている化合物と技術を適用でき
る。
【0180】本発明に係るバインダーは、架橋剤を用い
ることにより膜付きがよくなり、現像ムラが少なくな
り、又、保存時のカブリ抑制や現像後のプリントアウト
銀の生成を抑制する効果が期待できる。特開昭50−9
6216号公報に記載されているアルデヒド系、エポキ
シ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン
酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シ
ラン化合物系の架橋剤を用いることができるが、好まし
い架橋剤としてはイソシアネート系化合物、シラン化合
物、エポキシ化合物又は酸無水物である。
【0181】イソシアネート系化合物については、特開
2001−83659号公報段落番号「0159」〜
「0168」に記載されている化合物と技術を適用でき
る。エポキシ化合物については、特開2001−836
59号公報段落番号「0170」〜「0180」に記載
されている化合物と技術を適用できる。酸無水物につい
ては、特開2001−83659号公報段落番号「01
82」〜「0187」に記載されている化合物と技術を
適用できる。シラン化合物については、特願2000−
77904号明細書段落番号「0022」〜「002
8」に記載されている化合物と技術を適用できる。
【0182】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は必要に応じて色調剤を用いることができる。本発
明において用いることのできる色調剤としては、特開2
000−198757号公報段落番号「0064」〜
「0066」に記載されている化合物と技術を適用でき
る。
【0183】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、感光層を透過する光の量または波長分布を制御
するために感光層と同じ側または反対の側にフィルター
層を形成するか、感光層に染料又は顔料を含有させるこ
とが好ましい。本発明において用いられる染料として
は、感光材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸
収する公知の化合物が使用できる。例えば、本発明の銀
塩光熱写真ドライイメージング材料を赤外光による画像
記録材料とする場合には、特願平11−255557号
明細書段落番号「0032」〜「0034」に開示され
ているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム
染料、ピリリウム核を有するスクアリリウム染料等を用
いることが好ましい。又、スクアリリウム染料に類似し
たチオピリリウム核を有するクロコニウム染料、ピリリ
ウム核を有するクロコニウム染料を使用することもでき
る。
【0184】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、還元剤として、ビスフェノール類やスルホンア
ミドフェノール類のようなプロトンをもった還元剤が用
いられているので、これらの水素を引き抜くことができ
る活性種を発生することにより還元剤を不活性化できる
化合物が含有されていることが好ましい。無色の光酸化
性物質として、露光時にフリーラジカルを反応活性種と
して生成可能な化合物が好ましい。これらの化合物とし
て、特願2000−57004号明細書段落番号「00
65」〜「0069」に開示されているビイミダゾリル
化合物や、特願2000−57004号明細書段落番号
「0071」〜「0082」に開示されているヨードニ
ウム化合物を用いることができる。
【0185】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、還元剤を不活性化し還元剤が有機銀塩を銀に還
元できないようにする化合物として、ハロゲン原子を活
性種として放出する化合物を使用することができる。活
性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特
願2000−57004号明細書段落番号「0086」
〜「0102」に開示されている化合物を用いることが
できる。
【0186】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は省銀化剤を用いることができる。省銀化剤とは、
一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得
る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々
考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有す
る化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀
の単位量当たりの光学濃度をいう。本発明において用い
ることのできる省銀化剤としては、特願平11−238
293号明細書段落番号「0075」〜「0081」に
開示されているヒドラジン誘導体化合物、特願平11−
238293号明細書段落番号「0109」〜「013
2」に開示されているビニル化合物、特願平11−23
8293号明細書段落番号「0150」〜「0158」
に開示されている4級オニウム化合物が挙げられる。
【0187】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、本発明に係る下引層を設けた支持体上に有機銀
塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤、及びバインダーを含
有する感光層を設けてなるものであるが、感光層の上に
非感光層を形成するのが好ましい。例えば感光層の上に
は保護層が、感光層を保護する目的で、又支持体の反対
の面にはくっつきを防止する為に、バッキング層が設け
られるのが好ましい。これらの保護層やバッキング層に
用いるバインダーとしては感光層よりもガラス転移点が
高く、擦り傷や変形の生じにくいポリマー、例えばセル
ロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等
のポリマーが、前記のバインダーのなかから選ばれる。
又、階調調整等のために、感光層を支持体の一方の側に
2層以上又は支持体の両側に1層以上設置しても良い。
【0188】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解又は分散
させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗
布した後、加熱処理を行って形成されることが好まし
い。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例
えば感光層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体
へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをする
のではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時
に行える状態で各構成層を形成し得ることを意味する。
即ち、下層中の全溶剤の残存量が例えば、70質量%以
下となる前に、上層を設けることが好ましい。
【0189】各構成層を複数同時に重層塗布する方法は
特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコー
ト法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エク
ストルージョン塗布法などの公知の方法を用いることが
できる。これらのうちより好ましくはエクストルージョ
ン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式である。エ
クストルージョン塗布法はスライド塗布方式のようにス
ライド面での溶媒の揮発がないため、精密塗布、有機溶
剤塗布に適している。この塗布方法は感光層を有する側
について述べたが、バックコート層を設ける際、下引き
とともに塗布する場合についても同様である。もちろ
ん、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は水
系の溶媒でも良い。
【0190】〔現像処理条件〕本発明の銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料の現像処理条件について説明す
る。
【0191】現像条件は使用する機器、装置、或いは手
段に依存して変化するが、典型的には適した高温に於い
て像様に露光した光熱写真ドライイメージング材料を加
熱することを伴う。露光後に得られた潜像は、例えば8
0〜200℃、好ましくは100〜200℃で、概ね1
秒〜2分間加熱することにより現像することができる。
加熱温度が80℃以下では短時間に十分な画像濃度が得
られず、200℃以上ではバインダーが溶融しローラー
への転写など、画像そのものだけでなく搬送性や、現像
機等への悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸
化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応に
より銀画像を生成する。
【0192】この反応過程は、外部からの水等の処理液
の供給なしに進行する。加熱する機器、装置、或いは手
段はホットプレート、アイロン、ホットローラー、炭素
又は白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱
手段で行ってよい。本発明の銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料が保護層を有する場合であれば、保護層を有
する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理するのが、均
一な加熱を行う上で、又熱効率、作業性の点などから好
ましく、該面をヒートローラに接触させながら搬送し加
熱処理して現像することが好ましい。
【0193】現像時において、本発明の銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料は、溶剤を5〜1000mg/m
2、好ましくは100〜500mg/m2であるように調
製する。これにより高感度、低かぶり、最高濃度の高い
銀塩光熱写真ドライイメージング材料となる。
【0194】溶剤としては、アセトン、メチルエチルケ
トン、イソフォロン等のケトン類、メチルアルコール、
エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘ
キサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリ
コール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル
等のエーテルアルコール類、イソプロピルエーテル等の
エーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、
塩化メチレン、ジクロルベンゼン等の塩化物類、炭化水
素類等が挙げられる。その他に水、ホルムアミド、ジメ
チルホルムアミド、トルイジン、テトラヒドロフラン、
酢酸等が挙げられる。但しこれらに限定されるものでは
ない。又、これらの溶剤は単独、又は、数種類組み合わ
せることができる。
【0195】尚、銀塩光熱写真ドライイメージング材料
中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等におけ
る温度条件等の条件変化によって調整できる。又、当該
溶剤の含有量は含有させた溶剤を検出するために適した
条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
【0196】〔その他の条件・事項〕本発明の銀塩光熱
写真ドライイメージング材料の露光条件について説明す
る。本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の露
光は、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に付与した
感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例え
ば、赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域なら
ばいかなる光源にも適用可能であるが、レーザーパワー
がハイパワーであることや、本発明の銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料を透明にできる等の点から、赤外半
導体レーザー(780nm又は820nm)が好ましく
用いられる。
【0197】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料の露光は、レーザー走査露光により行うことが好ま
しく、その露光方法には種々の方法が採用できる。
【0198】第1の好ましい方法として、銀塩光熱写真
ドライイメージング材料の露光面と走査レーザー光のな
す角が実質的に垂直になることがないレーザー走査露光
機を用いる方法が挙げられる。ここで、「実質的に垂直
になることがない」とはレーザー走査中に最も垂直に近
い角度として好ましくは55度以上88度以下、より好
ましくは60度以上86度以下、更に好ましくは65度
以上84度以下、最も好ましくは70度以上82度以下
であることをいう。レーザー光が、感光材料に走査され
るときの感光材料露光面でのビームスポット直径は、好
ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以
下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入
射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好まし
い。ビームスポット直径の下限は10μmである。この
ようなレーザー走査露光を行うことにより干渉縞様のム
ラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じること
ができる。
【0199】第2の方法として、縦マルチである走査レ
ーザー光を発するレーザー走査露光機を用いて露光を行
うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザー光に比
べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦
マルチ化するには、合波による戻り光を利用する、高周
波重畳をかける、等の方法がよい。ここで、縦マルチと
は、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長
の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になると
よい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通
常60nm程度である。
【0200】第3の態様として、2本以上のレーザを用
いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。
複数本のレーザを利用した画像記録方法としては、高解
像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ
画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像
書込み手段で使用されている技術であり、例えば特開昭
60−166916号公報等により知られている。これ
は、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミ
ラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結
像する方法であり、これはレーザイメージャなどと原理
的に同じレーザ走査光学装置である。レーザプリンタや
デジタル複写機の画像書込み手段における銀塩光熱写真
ドライイメージング材料上へのレーザ光の結像は、1回
の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途か
ら、一つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして
次のレーザ光が結像されている。具体的には、二つの光
ビームは互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダ
ーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(こ
こで、1インチ即ち、2.54cm当たりに1ドットの
印字密度のことをdpi(ドットパーインチ)と定義す
る)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、6
00dpiで42.3μmである。
【0201】副走査方向に解像度分ずらした方法とは異
なり、同一の場所に2本以上のレーザを入射角を変え露
光面に集光させ画像形成することも好ましい。この際、
通常の1本のレーザ(波長λ[nm])で書き込むとき
の露光面での露光エネルギーがEである場合、露光に使
用するN本のレーザが同一波長(波長λ[nm])、同
一露光エネルギー(En)とした場合、0.9×E≦E
n×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。このよ
うにすることにより、露光面ではエネルギーは確保され
るが、それぞれのレーザ光の画像形成層への反射は、レ
ーザの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干
渉縞の発生が抑えられる。なお、上述では複数本のレー
ザの波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なる
ものを用いても良い。この場合、λ[nm]に対して
(λ−30)<λ1、λ2、・・・λn≦(λ+30)
の範囲にするのが好ましい。
【0202】上述した第1、第2及び第3の態様の露光
方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般
によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガ
ラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイ
オンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレ
ーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレー
ザ等のガスレーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレ
ーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InA
sPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の
半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せ
て適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナ
ンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜120
0nmの半導体レーザを用いるのが好ましい。
【0203】なお、レーザ・イメージャやレーザ・イメ
ージセッタで使用されるレーザにおいて、銀塩光熱写真
ドライイメージング材料に走査されるときの露光面での
ビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μ
m、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ
光走査速度は銀塩光熱写真ドライイメージング材料固有
のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによっ
て、銀塩光熱写真ドライイメージング材料毎に最適な値
に設定することができる。
【0204】本発明において、非画像形成下引層は導電
性を有しても良い。好ましくは酸素不足酸化物、金属過
剰酸化物、金属不足酸化物、酸素過剰酸化物等の不定比
化合物を形成し易い金属酸化物微粒子等が挙げられる。
この中で本発明に最も好ましい金属酸化物は、製造方法
などが多様な方式をとることが可能な金属酸化物微粒子
である。金属酸化物としては、結晶性の金属酸化物が一
般的であり、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、I
23、SiO2、MgO、B2O、MoO3及びこれら
の複合酸化物を挙げることができる。これらの中でもZ
nO、TiO2、SnO2が好ましく、複合酸化物として
は、ZnOに対してAl、In等、TiO2に対して
は、Nb、Ta等、SnO2に対してSb、Nb、ハロ
ゲン元素等の異種元素を0.01〜30mol%含むも
のが好ましく、0.1〜10mol%含むものが特に好
ましい。
【0205】これらの金属酸化物の微粒子の体積抵抗率
は107Ω・cm以下、特に105Ω・cm以下であるこ
とが好ましい。結晶内に酸素欠陥を有するもの、及び前
記金属酸化物に対して所謂ドナーとなる異種原子を少量
含む場合には導電性が向上するので好ましい。この様な
金属酸化物微粒子の製造方法について詳細は例えば特開
昭56−143430号公報に記載されている。
【0206】この様な金属酸化物微粒子は導電性が高く
なるが、光散乱に対して粒子径と粒子/バインダーの比
などを考慮する必要があり、ヘイズの劣化があること、
分散するのが難しいこと、等より水中でコロイド状で存
在する無機コロイドを使用するのが更に好ましい。無機
コロイドとは、共立出版社「化学大辞典」に定義されて
いるものであり、粒子1個中に105〜109個の原子を
含むものである。
【0207】元素により金属コロイド、あるいは酸化物
コロイド、水酸化物コロイドとして得られる。金属コロ
イドとしては、金、パラジウム、白金、銀、イオウなど
が好ましく使用され、酸化物コロイド、水酸化物コロイ
ド、炭酸塩コロイド、硫酸塩コロイドとしては、亜鉛、
マグネシウム、ケイ素、カルシウム、アルミニウム、ス
トロンチウム、バリウム、ジルコニウム、チタン、マン
ガン、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、インジウム、モ
リブデン、バナジウムなどの酸化物コロイド、水酸化物
コロイド、炭酸塩コロイド及び硫酸塩コロイドが本発明
に好ましく使用される。特にZnO、TiO2、及びS
nO2が好ましく、更にSnO2が特に好ましい。また、
異種原子をドープされた例としては、ZnOに対しては
Al、In等、TiO2に対しては、Nb、Ta等、S
nO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等が挙げら
れる。無機コロイド粒子の平均粒径は好ましくは0.0
01〜1μmが分散安定上好ましい。
【0208】本発明に用いる金属酸化物コロイド、特に
酸化第二錫からなるコロイド状SnO2ゾルの製造方法
に関しては、SnO2超微粒子を適当な溶媒に分散して
製造する方法、または溶媒に可溶なSn化合物の溶媒中
における分散反応から製造する方法などいずれの方法で
も良い。
【0209】SnO2超微粒子の製造方法に関しては、
特に温度条件が重要で、高温度の熱処理を伴う方法は、
一次粒子の成長や、結晶性が高くなる現象を生じるので
好ましくなく、やむをえず熱処理を行う必要があるとき
には、300℃以下、好ましくは200℃以下さらに好
ましくは150℃以下で行うべきである。しかし、25
℃から150℃までの加温は、バインダー中への分散を
考えたときには、好適に選ばれる手段である。
【0210】溶媒に可溶なSn化合物の溶媒中における
分解反応から製造する方法に関して以下に述べる。溶媒
に可溶なSn化合物とは、K2SnO3・3H2Oのよう
なオキソ陰イオンを含む化合物、SnCl4のような水
溶性ハロゲン化物、R′2SnR2,R3SnX,R2Sn
2の構造を有する化合物で(ここで、R及びR′はア
ルキル基を表す)、例えば(CH3)3SnCl・(ピリ
ジン)、(C492Sn(O2CC252など有機金
属化合物、Sn(SO42・2H2Oなどのオキソ塩を
挙げることができる。これらの溶媒に可溶なSn化合物
を用いてSnO2ゾルを製造する方法としては、溶媒に
溶解後、加熱、加圧などの物理的方法、酸化、還元、加
水分解などの化学的方法、または中間体を経由後、Sn
2ゾルを製造する方法などがある。特公昭35−66
16号公報に記載されたSnO2ゾルの製造方法を、本
発明の金属酸化物適用することができる。
【0211】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。
【0212】《水性ポリエステル溶液の調製 A−1
〜4》下記に示すようにポリエステル水分散物(種類と
添加量は表1参照)を作製した(固形分15%)。
【0213】(水性ポリエステルA−1溶液の調製)テ
レフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメ
チル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチ
ルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール
62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、
酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下に
おいて、170〜220℃でメタノールを留去しながら
エステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.0
4質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質
量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質
量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論
量の水を留去しエステル化を行った。
【0214】その後、更に反応系内を約1時間かけて減
圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時
間重縮合を行い、水性ポリエステルA−1を作製した。
得られた水性ポリエステルA−1の固有粘度は0.33
(100ml/g)であった。また、Mw=80,00
0〜100,000であった。
【0215】次いで、撹拌翼、環流冷却管、温度計を付
した2Lの3つ口フラスコに、純水850mlを入れ、
撹拌翼を回転させながら、水性ポリエステルA−1を1
50g徐々に添加した。室温でこのまま30分間撹拌し
た後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱
し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時
間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の
水性ポリエステルA−1溶液を調製した。モノマー組成
等を変えて同様にA−2〜4を調製した。
【0216】《水性ポリエステル溶液の調製 A−
5》下記に示すようにポリエステル水分散物(種類と添
加量は表1参照)を作製した(固形分15%)。
【0217】2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
70モル%、イソフタル酸ジメチル27モル%、無水ト
リメリット酸3モル%、エチレングリコール95モル%
及び前記構造式で示されるビスフェノールAのエチレン
オキサイド付加物(「化1」の構造を有し、m+nが平
均値で4のもの、界面活性剤(A)と記すことあり)5
モル%をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブ
トキシチタン0.05部を添加して窒素気流下で温度を
230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノー
ルを留去させてエステル交換反応を行なった。
【0218】次いで、この反応系に、イルガノックス1
010(チバガイギー社製)を0.6質量部添加した
後、温度を徐々に255℃まで上昇させ、系内を133
kPaの減圧にして重縮合反応を行い、固有粘度0.3
2のポリエステル樹脂を得た。
【0219】このポリエステル樹脂20質量部をテトラ
ヒドロフラン180質量部に溶解し、得られた溶液に1
0000回転/分の高速撹拌下で0.4質量%のトリエ
チルアミン水180質量部を滴下して青みがかった乳白
色の分散体を得た。次いでこの分散体を2660kPa
の減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去した。か
くして固形分濃度15質量%のポリエステル樹脂水性液
を得た。
【0220】《水性ポリエステル溶液の調製 A−
6》ペスレジンA−515GB(高松油脂社製 変性水
性ポリエステル Tg:60℃)を水で固形分15質量
%に仕上げた。
【0221】使用したポリエステルの組成(mol%)
【0222】
【表1】
【0223】TA:テレフタル酸ジメチル IA:イソフタル酸ジメチル IPS:5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩 CHDA:4−シクロヘキサンジカルボン酸 QA:2,6−ナフタレンジカルボン酸 TMA:無水トリメリット酸 EG:エチレングリコール DEG:ジエチレングリコール CHDM:シクロヘキサンジメタノール BPA:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 《変性水性ポリエステル溶液の調製 B−1〜7》 (変性水性ポリエステルB−1溶液の調製)撹拌翼、環
流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フ
ラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶
液1900mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、内温
度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウ
ムの24%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液
(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチ
ル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30
分間かけて滴下し、さらに3時間反応を続ける。その
後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18
質量%の変性水性ポリエステルB−1溶液(ビニル系成
分変性比率20質量%)を調製した。
【0224】(変性水性ポリエステルB−2溶液の調
製)撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した
3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエ
ステルA−1溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転さ
せながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過
酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、
モノマー混合液(スチレン10.7g、メタクリル酸グ
リシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メ
タクリル酸メチル10.7g)を30分間かけて滴下
し、さらに3時間反応を続ける。その後、30℃以下ま
で冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性
ポリエステルB−2溶液(ビニル系成分変性比率20質
量%)を調製した。
【0225】(変性水性ポリエステルB−3溶液の調
製)撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した
3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエ
ステルA−2溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転さ
せながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過
酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、
モノマー混合液(スチレン28.5g、メタクリル酸グ
リシジル28.5g、アクリルアミド14.3g)を3
0分間かけて滴下し、さらに3時間反応を続ける。その
後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18
質量%の変性水性ポリエステルB−3溶液(ビニル系成
分変性比率20質量%)を調製した。
【0226】(変性水性ポリエステルB−4溶液の調
製)B−1においてビニル系成分変性比率を8質量%に
した以外は同様に作製した。
【0227】(変性水性ポリエステルB−5溶液の調
製)B−1においてビニル系成分変性比率を12質量%
にした以外は同様に作製した。
【0228】(変性水性ポリエステルB−6溶液の調
製)B−1において水性ポリエステル溶液をA−3にし
た以外は同様に作製した。
【0229】(変性水性ポリエステルB−7溶液の調
製)B−1において水性ポリエステル溶液をA−4にし
た以外は同様に作製した。
【0230】《ビニル系ポリマーラテックスC−1〜C
−4の作製》乳化重合により、下記に示すモノマー組成
を有するアクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−4
を合成した。固形分濃度は、すべて30質量%とした。
【0231】
【表2】
【0232】《ポリビニルアルコールユニットを含有す
る水性ポリマー》 D−1:PVA−110 クラレ社製の水分散物(固形
分5%):ケン化度98.5 D−2:PVA−617 クラレ社製の水分散物(固形
分5%):ケン化度95 D−3:PVA−205 クラレ社製の水分散物(固形
分5%):ケン化度88 D−4:RS−4105 クラレ社製の水分散物(固形
分5%):ケン化度98 D−5:RS−2117 クラレ社製の水分散物(固形
分5%):ケン化度98 《スチレン−ジオレフィン系共重合体》 E−1:スチレンブタジエンラテックス(ニッポールL
X432A 日本ゼオン社製 固形分40%) E−2:スチレン−ブタジエン共重合ラテックス(スチ
レン/ブタジエン質量比=68/32 固形分40%) 《ポリウレタン成分を含有する水性ポリマー》 F−1:水性ポリウレタン(武田薬品工業社製 W−6
015) F−2:水性ポリウレタン(武田薬品工業社製 W−7
004) F−3:水性ポリウレタン(第一工業製薬社製 スーパ
ーフレックス820) 《G−1(SnO2ゾル)の作製》特公昭35−661
6号の実施例1に記載の方法で合成したSnO2ゾルを
固形分が10質量%になるように加熱濃縮した後、アン
モニア水でpH10に調整したものを用いた。
【0233】実施例1 (PET支持体の作製)テレフタル酸とエチレングリコ
ールを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェ
ノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25
℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後1
30℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから
押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになる
ような厚みの未延伸フィルムを作製した。これを、周速
の異なるロールを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ
ーで4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれ
ぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃
で20秒間熱固定後、これと同じ温度で横方向に4%緩
和した。この後テンターのチャック部をスリットした
後、両端にナール加工を行い、4kg/cm2で巻き取
り、厚み175μmの支持体フィルムロールを得た。
【0234】(下引加工した写真用支持体の作製)光学
濃度0.170(コニカ社製デンシトメータPDA−6
5で測定)に青色着色した2軸延伸熱固定した厚さ17
5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に
8W/m2・分のコロナ放電処理を施した写真用支持体
に、下引加工を行った。すなわち、この写真用支持体の
一方の面に、下引塗布液a−1を乾燥膜厚が0.2μm
になるように塗設し、123℃で乾燥して感光層側下引
層を形成した。これを下引層A−1という。
【0235】又、反対側の面にバッキング層下引層とし
て下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚が0.12μmにな
るように塗設し、123℃で乾燥させてバッキング層側
に帯電防止機能を持つ下引導電層塗設した。これを下引
層B−1という。
【0236】下引層A−1とB−1の上表面に、8W/
2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、
下記下引塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に
塗設し123℃で乾燥させて下引上層A−2とした。
【0237】又、B−1の上には下記下引塗布液b−2
を乾燥膜厚0.2μmになる様に塗設し123℃で乾燥
させて下引上層B−2とし、さらに、123℃で2分間
支持体を熱処理し、下引済み試料(下引試料ともいう)
1−1を作製した。
【0238】感光層側下引上層A−2を構成するバイン
ダーを表3、4の様に変更した以外は、下引済み試料1
−1の作製と同様にして下引済み試料1−2〜1−9、
1−32、1−33を作製した。
【0239】又、下引下層を塗設せず、直接コロナ放電
処理面に表3、4記載の様に下引上層A−2を塗設し
て、下引済み試料1−10〜1−26、1−31、1−
34を作製した。
【0240】更に表3記載の様に下引層上層A−2の塗
布液温度を変化させて下引済み試料1−27〜1−30
を作製した。
【0241】 (バッキング層側下引下層用塗布液b−1) アクリル系ポリマーラテックスC−1(固形分30%) 30.0g アクリル系ポリマーラテックスC−2(固形分30%) 7.6g SnO2ゾル(G−1) 180g 界面活性剤(A) 0.5g PVA−613(クラレ社製 PVA)5質量%水溶液 0.4g 以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とし
た。
【0242】 (バッキング層側下引上層用塗布液b−2) 変性水性ポリエステルB−1(18質量%) 215g 真球状シリカマット剤 日本触媒社製 シーホスター KE−P50 0.3g 界面活性剤(A) 0.4g 以上に蒸留水を加えて1000mlとし塗布液とした。
【0243】 (画像形成層側下引下層用塗布液a−1) アクリル系ポリマーラテックスC−3(固形分30%) 70.0g アクリル系ポリマーラテックスC−1(固形分30%) 3.7g エトキシ化アルコールとエチレンホモポリマーの水分散物(固形分10%) 5.0g 界面活性剤(A) 0.1g 以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とし
た。
【0244】 (画像形成層側下引上層用塗布液a−2) 変性水性ポリエステルB−1(18質量%) 130g 界面活性剤(A) 0.4g 真球状シリカマット剤 日本触媒社製 シーホスター KE−P50 0.3g 以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とし
た。
【0245】《溶剤系の銀塩光熱写真ドライイメージン
グ材料試料1−1〜1−23、1−35〜1−37の作
製》下引済み試料1−1〜1−19及び1−27〜3
0、1−32〜1−34にバッキング層、感光層、表面
保護層を設けて表3、4の様に銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料試料1−1〜1−23、1−35〜1−3
7を作製した。
【0246】《水系の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料試料1−24〜1−33、1−34、1−38の作
製》下引済み試料1−10、12、13及び1−20〜
1−26、1−31、1−34にバッキング層、感光
層、表面保護層を設けて表3の様に銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料試料(写真材料試料と略すことあり)
1−24〜1−33、1−34、1−38を作製した。
【0247】
【表3】
【0248】
【表4】
【0249】表中、(1)下引下層、塗設したものは全
て乾燥膜厚0.2μmであり、下引試料1−1〜1−
9、1−33・・C−2/C−1=95/5(質量%) 下引試料1−32・・C−2/C−1/G−1=92.
5/5/2.5(質量%) (2)下引上層、全て乾燥膜厚0.2μmであり、下引
試料1−33、1−34には、ポリエステルA−1(9
7.5vol%)に加えて無機充填剤G−1(2.5v
ol%)を加えてある。
【0250】〈バッキング層の形成〉先に作製した下引
済み試料のバッキング下引層上に、下記のバッキング層
塗布液を、乾燥膜厚が3.5μmになるように押し出し
コーターにて塗布、乾燥(乾燥温度100℃、露点温度
10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥)し、バッキ
ング層を形成した。
【0251】《バッキング層塗布液の調製》メチルエチ
ルケトン830gを撹拌しながら、セルロースアセテー
トブチレート(EastmanChemical社、C
AB381−20)84.2gおよびポリエステル樹脂
(Bostic社製、VitelPE2200B)4.
5gを添加し、溶解した。次に、溶解した液に、0.3
0gの赤外染料−1を添加し、さらにメタノール43.
2gに溶解したフッ素系界面活性剤(旭硝子社、サーフ
ロンKH40)4.5gとフッ素系界面活性剤(大日本
インク社、メガファッグF120K)2.3gを添加し
て、溶解するまで十分に撹拌を行った。最後に、メチル
エチルケトンに1質量%の濃度でディゾルバ型ホモジナ
イザにて分散したシリカ(W.R.Grace社、シロ
イド64X6000)を75g添加、撹拌しバッキング
層塗布液を調製した。
【0252】
【化2】
【0253】〈感光層側の層形成〉バッキング層を形成
した前記写真用支持体の感光層側である下引上層A−2
面上に、下記感光層塗布液と表面保護層塗布液を押し出
し(エクストルージョン)コーターを用いて同時に重層
塗布することにより銀塩光熱写真ドライイメージング材
料を作製した。塗布は、感光層は塗布銀量1.9g/m
2、表面保護層は乾燥膜厚で2.5μmになる様にして
おこなった。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃
の乾燥風を用いて、10分間乾燥を行い銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料試料1−1〜1−23を作製し
た。
【0254】 (感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製) 溶液(A1) フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g 化合物(A)(10%メタノール水溶液) 10ml 臭化カリウム 0.32g 水で5429mlに仕上げる 溶液(B1) 0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml 溶液(C1) 臭化カリウム 51.55g 沃化カリウム 1.47g 水で660mlに仕上げる 溶液(D1) 臭化カリウム 154.9g 沃化カリウム 4.41g 塩化イリジウム(1%溶液) 0.93ml 水で1982mlに仕上げる 溶液(E1) 0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量 溶液(F1) 水酸化カリウム 0.71g 水で20mlに仕上げる 溶液(G1) 56%酢酸水溶液 18.0ml 溶液(H1) 無水炭酸ナトリウム 1.72g 水で151mlに仕上げる 化合物(A): HO(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)17
−(CH2CH2O)mH(m+n=5〜7) 特公昭58−58288号公報に記載の混合撹拌機を用
いて溶液(A1)に溶液(B1)の1/4量及び溶液
(C1)全量を温度45℃、pAg8.09に制御しな
がら、同時混合法により4分45秒を要して添加し核形
成を行った。1分後、溶液(F1)の全量を添加した。
この間pAgの調整を溶液(E1)を用いて適宜行っ
た。6分間経過後、溶液(B1)の3/4量及び溶液
(D1)の全量を、温度45℃、pAg8.09に制御
しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加し
た。
【0255】5分間撹拌した後、40℃に降温し、溶液
(G1)を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させ
た。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除
き、水を10L加え、撹拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を
沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を
取り除き、更に水を10L加え、撹拌後、ハロゲン化銀
乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄
み液を取り除いた後、溶液(H1)を加え、60℃に昇
温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8にな
るように調整し、銀量1モル当たり1161gになるよ
うに水を添加し、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0256】この乳剤は、平均粒子サイズ0.058μ
m、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率9
2%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0257】(粉末有機銀塩Aの調製)4720mlの
純水にベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7
g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを
80℃で溶解した。次に、1.5Mの水酸化ナトリウム
水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加え
た後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。
上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったま
ま、45.3gの上記の感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純
水450mlを添加し5分間撹拌した。
【0258】次に、1Mの硝酸銀溶液702.6mlを
2分間かけて添加し、10分間撹拌し有機銀塩分散物を
得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移
し、脱イオン水を加えて撹拌後、静置させて有機銀塩分
散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。そ
の後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン
水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した
後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラ
ッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)
を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度の
運転条件により含水率が0.1%になるまで乾燥して有
機銀塩の乾燥済み粉末有機銀塩Aを得た。
【0259】なお、有機銀塩組成物の含水率測定には赤
外線水分計を使用した。 (予備分散液Aの調製)ポリビニルブチラール粉末(M
onsanto社製 Butvar B−79)14.
57gをメチルエチルケトン1457gに溶解し、VM
A−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMA
T CA−40M型にて撹拌しながら粉末有機銀塩A5
00gを徐々に添加して十分に混合することにより予備
分散液Aを調製した。
【0260】(感光性乳剤分散液1の調製)予備分散液
Aを、ポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間とな
るように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製
トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散
機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−
GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/秒に
て分散を行なうことにより感光性乳剤分散液1を調製し
た。
【0261】(安定剤液の調製)1.0gの安定剤−
1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97g
に溶解し安定剤液を調製した。
【0262】(赤外増感色素液Aの調製)19.2mg
の赤外増感色素SD−1、1.488gの2−クロロ−
安息香酸、2.779gの安定剤−2および365mg
の5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを3
1.3mlのメチルエチルケトンに暗所にて溶解し赤外
増感色素液Aを調製した。
【0263】(添加液aの調製)現像剤としての1,1
−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
−2−メチルプロパンを27.98gと1.54gの4
−メチルフタル酸、0.48gの前記赤外染料−1を1
10gのメチルエチルケトンに溶解し添加液aとした。
【0264】(添加液bの調製)1.56gのカブリ防
止剤−2、3.43gのフタラジンを40.9gのメチ
ルエチルケトンに溶解し添加液bとした。
【0265】
【化3】
【0266】《感光層塗布液の調製》不活性気体雰囲気
下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液1
(50g)およびメチルエチルケトン15.11gを撹
拌しながら21℃に保温し、さらに臭化カルシウム(1
0%メタノール溶液)494μlを添加して10分撹拌
した。続いて、安定剤液167mlを添加して10分間
撹拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液Aを添加
して1時間撹拌した。
【0267】その後、温度を13℃まで降温してさらに
30分撹拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブ
チラール(Monsanto社 Butvar B−7
9)13.31gを添加して30分撹拌した後、テトラ
クロロフタル酸(9.4質量%メチルエチルケトン溶
液)1.084gを添加して15分間撹拌した。さらに
撹拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6m
lのDesmodurN3300/モーベイ社製の脂肪
族イソシアネート(10%メチルエチルケトン溶液)、
4.27gの添加液bを順次添加し撹拌することにより
感光層塗布液を得た。
【0268】セルロースアセテートブチレート(Eas
tman Chemical社製、7.5gのCAB1
71−15)を42.5gのメチルエチルケトンに溶解
し、その中に、炭酸カルシウム(Speciality
Minerals社製、Super−Pflex20
0)5gを添加、ディゾルバ型ホモジナイザにて800
0rpmで30分間分散しマット剤分散液を調製した。
【0269】《表面保護層塗布液の調製》メチルエチル
ケトン865gを撹拌しながら、セルロースアセテート
ブチレート(Eastman Chemical社製、
CAB171−15)を96g、ポリメチルメタクリル
酸(ローム&ハース社製、パラロイドA−21)を4.
5g、ビニルスルホン化合物HD−1を1.5g、ベン
ズトリアゾールを1.0g、F系活性剤(旭硝子社製、
サーフロンKH40)を1.0g、添加し溶解した。次
に上記マット剤分散液30gを添加して撹拌し、表面保
護層塗布液を調製した。
【0270】ビニルスルホン化合物HD−1:(CH2
=CHSO2CH22CHOH 《水系の銀塩光熱写真ドライイメージング材料試料1−
24〜1−33の作製》下引試料1−10、12、13
及び1−20〜1−26にバッキング層(ハレーション
防止層)、感光層、表面保護層を設けて表3、4の様に
銀塩光熱写真ドライイメージング材料試料1−24〜1
−33を作製した。
【0271】上記下引済み試料のバッキング下引層上
に、ハレーション防止層塗布液を固体微粒子染料の固形
分塗布量が0.04g/m2となるように、またバック
面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2とな
るように同時重層塗布し、乾燥し、ハレーション防止バ
ック層を作製した。バック面と反対の面に下引面から画
像形成層(ハロゲン化銀の塗布銀量0.14g/
2)、中間層、保護層第1層、保護層第2層の順番で
スライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感
光材料の試料を作製した。
【0272】塗布はスピード160m/minで行い、
コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.14〜
0.28mmに、また、塗布液の吐出スリット幅に対し
て塗布幅が左右ともに各0.5mm広がるように調節
し、減圧室の圧力を大気圧に対して392Pa低く設定
した。その際、支持体は帯電しないようにハンドリング
及び温湿度を制御し、更に塗布直前にイオン風で除電し
た。引き続くチリングゾーンでは、乾球温度が18℃、
湿球温度が12℃の風を30秒間吹き当てて、塗布液を
冷却した後、つるまき式の浮上方式の乾燥ゾーンにて、
乾球温度が30℃、湿球温度が18℃の乾燥風を200
秒間吹き当てた後70℃の乾燥ゾーンを20秒間通した
後、90℃の乾燥ゾーンを10秒間通し、その後25℃
に冷却して、塗布液中の溶剤の揮発を行った。チリング
ゾーンおよび乾燥ゾーンでの塗布液膜面に吹き当たる風
の平均風速は7m/secであった。作製された熱現像
感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が
550秒、バック面が130秒であった。
【0273】《ハレーション防止層塗布液の調製》 (1)塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調
製 塩基プレカーサー化合物11を64g、ジフェニルスル
フォンを28gおよび花王社製界面活性剤デモールNを
10gとり、蒸留水220mlと混合し、混合液をサン
ドミル(1/4 Gallonサンドグラインダーミ
ル、アイメックス社製)を用いてビーズ分散し、平均粒
子径0.2μmの、塩基プレカーサー化合物の固体微粒
子分散液(a)を得た。
【0274】(2)染料固体微粒子分散液の調製 シアニン染料化合物13を9.6gおよびp−ドデシル
ベンゼンスルフォン酸ナトリウム5.8gを蒸留水30
5mlと混合し、混合液をサンドミル(1/4Gall
onサンドグラインダーミル、アイメックス社製)を用
いてビーズ分散して平均粒子径0.2μmの染料固体微
粒子分散液を得た。
【0275】(3)ハレーション防止層塗布液の調製 ゼラチン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩
基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)70g、上記
染料固体微粒子分散液56g、ポリメチルメタクリレー
ト微粒子(平均粒子サイズ6.5μm)1.5g、ベン
ゾイソチアゾリノン0.03g、ポリエチレンスルフォ
ン酸ナトリウム2.2g、青色染料化合物14を0.2
g、水を844ml混合し、ハレーション防止層塗布液
を調製した。
【0276】《バック面保護層塗布液の調製》容器を4
0℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルフォ
ン酸ナトリウム0.2g、N,N−エチレンビス(ビニ
ルスルフォンアセトアミド)2.4g、t−オクチルフ
ェノキシエトキシエタンスルフォン酸ナトリウム1g、
ベンゾイソチアゾリノン30mg、N−パーフルオロオ
クチルスルフォニル−N−プロピルアラニンカリウム塩
37mg、ポリエチレングリコールモノ(N−パーフル
オロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエ
チル)エーテル[エチレンオキサイド平均重合度15]
0.15g、C817SO3K 32mg、C817
2N(C37)(CH2CH2O)4(CH24−SO3
Na 64mg、アクリル酸/エチルアクリレート共重
合体(共重合質量比5/95)8.8g、エアロゾール
OT(アメリカンサイアナミド社製)0.6g、流動パ
ラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.8g、水を
950ml混合してバック面保護層塗布液とした。
【0277】《ハロゲン化銀乳剤1の調製》蒸留水14
21mlに1質量%臭化カリウム溶液8.0mlを加
え、さらに1モル/L硝酸を8.2ml、フタル化ゼラ
チン20gを添加した液をチタンコートしたステンレス
製反応壺中で撹拌しながら、37℃に液温を保ち、硝酸
銀37.04gに蒸留水を加え159mlに希釈した溶
液Aと臭化カリウム32.6gを蒸留水にて容量200
mlに希釈した溶液Bを準備し、コントロールドダブル
ジェット法でpAgを8.1に維持しながら、溶液Aの
全量を一定流量で1分間かけて添加した。
【0278】溶液Bは、コントロールドダブルジェット
法にて添加した。その後3.5質量%の過酸化水素水溶
液を30ml添加し、さらにベンツイミダゾールの3質
量%水溶液を36ml添加した。その後、再び溶液Aを
蒸留水で希釈して317.5mlにした溶液A2と、溶
液Bに対して最終的に銀1モル当たり1×10-4モルに
なるよう6塩化イリジウム酸3カリウム塩を溶解し、液
量を溶液Bの2倍の400mlまで蒸留水で希釈した溶
液B2を用いて、やはりコントロールドダブルジェット
法にて、pAgを8.1に維持しながら、一定流量で溶
液A2を10分間かけて全量添加した。溶液B2は、コ
ントロールドダブルジェット法で添加した。その後、5
−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールの0.5
質量%メタノール溶液を50ml添加し、さらに硝酸銀
でpAgを7.5に上げてから1モル/L硫酸を用いて
pHを3.8に調整し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗
工程を行い、脱イオンゼラチン3.5gを加えて1モル
/Lの水酸化ナトリウムを添加して、pH6.0、pA
g8.2に調整してハロゲン化銀分散物を作製した。
【0279】出来上がったハロゲン化銀乳剤中の粒子
は、平均球相当径0.053μm、球相当径の変動係数
18%の純臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子
顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この
粒子の[100]面比率は、クベルカムンク法を用いて
85%と求められた。
【0280】上記乳剤を38℃に撹拌しながら維持し
て、ベンゾイソチアゾリノンを0.035g(3.5質
量%メタノール溶液で添加)を加え、40分後に分光増
感色素の固体分散物(ゼラチン水溶液)を銀1モル当た
り5×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温し、20
分後にベンゼンチオスルフォン酸ナトリウムを銀1モル
に対して3×10-5モル加え、さらに2分後にテルル増
感剤を銀1モル当たり5×10-5モル加えて90分間熟
成した。熟成終了間際に、N,N−ジヒドロキシ−N−
ジエチルメラミンの0.5質量%メタノール溶液を5m
lを加え、温度を31℃に下げ、フェノキシエタノール
の3.5質量%メタノール溶液5ml、5−メチル−2
−メルカプトベンヅイミダゾールを銀1モル当たり7×
10-3モル及び1−フェニル−2−ヘプチル−5−メル
カプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して
6.4×10-3モルを添加して、ハロゲン化銀乳剤1を
作製した。
【0281】《ハロゲン化銀乳剤2の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を5
0℃に変更する以外は同様にして平均球相当径0.08
μm、球相当径の変動係数15%の純臭化銀立方体粒子
乳剤の調製した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱
塩/水洗/分散を行った。更に分光増感色素の添加量を
銀1モル当たり4.5×10 -3モルに変えた以外は乳剤
1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2
−メルカプトベンヅイミダゾール、1−フェニル−2−
ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾール
の添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。
【0282】《ハロゲン化銀乳剤3の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を2
7℃に変更する以外は同様にして平均球相当径0.03
8μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒
子乳剤の調製した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。更に分光増感色素の添加量
を銀1モル当たり6×10-3モルに変えた以外は乳剤1
と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−
メルカプトベンヅイミダゾール、1−フェニル−2−ヘ
プチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの
添加を行い、ハロゲン化銀乳剤3を得た。
【0283】《塗布液用混合乳剤Aの調製》ハロゲン化
銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量
%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチ
アゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当
たり7×10-3モル添加した。
【0284】《りん片状脂肪酸銀塩の調製》ヘンケル社
製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)8
7.6g、蒸留水423ml、5モル/LのNaOH水
溶液49.2ml、tert−ブタノール120mlを
混合し、75℃にて1時間撹拌し反応させ、ベヘン酸ナ
トリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4gの水溶液
206.2ml(pH4.0)を用意し、10℃にて保
温した。635mlの蒸留水と30mlのtert−ブ
タノールを入れた反応容器を30℃に保温し、撹拌しな
がら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液
の全量を流量一定でそれぞれ62分10秒と60分かけ
て添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後7分2
0秒間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、その
あとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶
液の添加終了後9分30秒間はベヘン酸ナトリウム溶液
のみが添加されるようにした。
【0285】このとき、反応容器内の温度は30℃と
し、液温度が一定になるように外温コントロールした。
また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチ
ームトレースにより保温し、添加ノズル先端の出口の液
温度が75℃になるようにスチーム開度を調製した。ま
た、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷
水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウ
ム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を
中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しない
ような高さに調整した。ベヘン酸ナトリウム溶液を添加
終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、25℃
に降温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形
分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗し
た。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾
燥させないでウエットケーキとして保管した。
【0286】得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微
鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μ
m、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト
比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動
係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは
本文の規定)乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−21
7、平均重合度約1700)7.4gおよび水を添加
し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予備
分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:
マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイクロ
フルイデックス・インターナショナル・コーポレーショ
ン製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧
力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、ベ
ヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をイ
ンタラクションチャンバーの前後にそれぞれ装着し、冷
媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定し
た。
【0287】《還元剤の25質量%分散物の調製》1,
1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)−3,5,5−トリメチルヘキサン10kgと変性
ポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバールMP20
3)の20質量%水溶液10kgに、水16kgを添加
して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダ
イアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジル
コニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:
アイメックス社製)にて3時間30分分散したのち、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加え
て還元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元
剤分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる
還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.
8μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径1
0.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0288】《メルカプト化合物の10質量%分散物の
調製》1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−
1,3,4−トリアゾールを5kgと変性ポリビニルア
ルコール(クラレ社製ポバールMP203)の20質量
%水溶液5kgに、水8.3kgを添加して、良く混合
してスラリーとした。
【0289】このスラリーをダイアフラムポンプで送液
し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した
横型サンドミル(UVM−2:アイメックス社製)にて
6時間分散したのち、水を加えてメルカプト化合物の濃
度が10質量%になるように調製し、メルカプト分散物
を得た。こうして得たメルカプト化合物分散物に含まれ
るメルカプト化合物粒子はメジアン径0.40μm、最
大粒子径2.0μm以下であった。得られたメルカプト
化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フ
ィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納
した。また、使用直前に再度孔径10μmのポリプロピ
レン製フィルターにてろ過した。
【0290】《有機ポリハロゲン化合物の20質量%分
散物−1の調製》トリブロモメチルナフチルスルホン5
kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ社製ポバール
MP203)の20質量%水溶液2.5kgと、トリイ
ソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量
%水溶液213gと、水10kgを添加して、良く混合
してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポン
プで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを
充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス社
製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノン
ナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化
合物の濃度が20質量%になるように調製し、有機ポリ
ハロゲン化合物分散物を得た。こうして得たポリハロゲ
ン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子
はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下
であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔
径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を
行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0291】《有機ポリハロゲン化合物の25質量%分
散物−2の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりにN−ブチル−3−トリブロモ
メタンスルホニルベンズアミド5kgを用い、分散し、
この有機ポリハロゲン化合物が25質量%となるように
希釈し、ろ過を行った。こうして得た有機ポリハロゲン
化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子は
メジアン径0.39μm、最大粒子径2.2μm以下で
あった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0292】《有機ポリハロゲン化合物の30質量%分
散物−3の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりにトリブロモメチルフェニルス
ルホン5kgを用い、20質量%MP203水溶液を5
kgとし、分散し、この有機ポリハロゲン化合物が30
質量%となるように希釈し、ろ過を行った。こうして得
た有機ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハ
ロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子
径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン
化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィ
ルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。また、収納後、使用までは10℃以下で保管した。
【0293】《フタラジン化合物の5質量%溶液の調
製》8kgのクラレ社製変性ポリビニルアルコールMP
203を水174.57Kgに溶解し、次いでトリイソ
プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%
水溶液3.15Kgと6−イソプロピルフタラジンの7
0質量%水溶液14.28kgを添加し、6−イソプロ
ピルフタラジンの5質量%液を調製した。
【0294】《顔料の20質量%分散物の調製》C.
I.Pigment Blue 60を64gと花王社
製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合
してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニア
ビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに
入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイ
メックス社製)にて25時間分散し顔料分散物を得た。
こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径
0.21μmであった。
【0295】《SBRラテックス40質量%の調製》外
濾過(UF)精製したSBRラテックスは以下のように
得た。下記のSBRラテックスを蒸留水で10倍に希釈
したものをUF−精製用モジュールFS03−FC−F
UY03A1(ダイセン・メンブレン・システム社製)
を用いてイオン伝導度が1.5mS/cmになるまで希
釈精製し、三洋化成社製サンデット−BLを0.22質
量%になるよう添加した。更にNaOHとNH4OHを
用いてNa+イオン:NH4+イオン=1:2.3(モル
比)になるように添加し、pH8.4に調整した。この
時のラテックス濃度は40質量%であった。(SBRラ
テックス:−St(68)−Bu(29)−AA(3)
−のラテックス)平均粒径0.1μm、濃度45%、2
5℃相対湿度60%における平衡含水率0.6質量%、
イオン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は
東亜電波工業社製伝導度計CM−30S使用しラテック
ス原液(40%)を25℃にて測定)した。また、pH
8.2であった。
【0296】《画像形成層塗布液の調製》上記で得た顔
料の20質量%水分散物を1.1g、有機酸銀分散物1
03g、ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ
社製)の20質量%水溶液5g、上記25質量%還元剤
分散物25g、有機ポリハロゲン化合物分散物−1,−
2,−3を2:5:2(質量比)で総量13.2g、メ
ルカプト化合物10%分散物6.2g、限外濾過(U
F)精製しpH調整したSBRラテックス40質量%を
106g、フタラジン化合物の5質量%溶液を18ml
を添加し、ハロゲン化銀混合乳剤Aを10gを良く混合
し、画像形成層(感光性層、乳剤層)塗布液を調製し、
そのままコーティングダイへ70ml/m2となるよう
に送液し、塗布した。
【0297】上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器の
B型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、6
0rpm)で85(mPa・s)であった。レオメトリ
ックスファーイースト社製RFSフルードスペクトロメ
ーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断速度が
0.1、1、10、100、1000(1/秒)におい
てそれぞれ1500、220、70、40、20(mP
a・s)であった。
【0298】《乳剤面中間層塗布液の調製》ポリビニル
アルコールPVA−205(クラレ社製)の10質量%
水溶液772g、顔料の20質量%分散物5.3g、メ
チルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/
ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体
(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス2
7.5質量%液226gにエアロゾールOT(アメリカ
ンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を2ml、フタ
ル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を10.5m
l、総量880gになるように水を加えて中間層塗布液
とし、10ml/m2になるようにコーティングダイへ
送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1
ローター、60rpm)で21(mPa・s)であっ
た。
【0299】《乳剤面保護層第1層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液8
0g、フタル酸の10質量%メタノール溶液を23m
l、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、
1モル/Lの硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメ
リカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、
フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノ
ン0.1gを加え、総量750gになるように水を加え
て塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを
塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.
6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液し
た。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ロータ
ー、60rpm)で17(mPa・s)であった。
【0300】《乳剤面保護層第2層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液1
02g、N−パーフルオロオクチルスルフォニル−N−
プロピルアラニンカリウム塩の5質量%溶液を3.2m
l、ポリエチレングリコールモノ(N−パーフルオロオ
クチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエチル)
エーテル(この化合物のエチレンオキシド平均重合度は
15である)の2質量%水溶液を32ml、エアロゾー
ルOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液
を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒
径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子
(平均粒径6.4μm)21g、4−メチルフタル酸
1.6g、フタル酸4.8g、1モル/Lの硫酸を44
ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650g
となるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばん
と0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445m
lを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表
面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコ
ーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計
40℃(No.1ローター,60rpm)で9(mPa
・s)であった。
【0301】〔特性評価〕評価法は次の通りである。
【0302】《現像直後の感光層面の接着性》ヒートド
ラムを有する熱現像用自動現像機を用いて、123℃で
15秒熱現像処理し、熱現像直後(45〜60秒)の試
料に、試料面に対して45°の角度で、カミソリの刃を
入れ、切り込みを挟んでセロファン粘着テープを圧着
し、急激に45°と反対方向にほぼ水平方向に引き剥が
し熱現像画像形成層の剥離面積を求め、下記に示す評価
基準に従って評価した。
【0303】 1.接着力は非常に弱く、熱現像画像形成層は完全に剥
離する 2.剥離面積が50%以上、100%未満である 3.剥離面積が20%以上、50%未満である(実用化
可能ギリギリの水準) 4.接着力は強く、剥離面積は5%以上、20%未満で
ある 5.接着力は非常に強く、剥離面積は5%未満である 《現像直後のスリキズ耐性》ヒートドラムを有する熱現
像用自動現像機を用いて、123℃で15秒熱現像処理
し、熱現像直後(45〜60秒)の試料を、JIS k
5400による試験法と同様にして、試料表面に対し
て45°の角度で鉛筆を走らせたときに生じる画像形成
層の破れをJIS k 5400記載の方法に従って鉛
筆引っ掻き値として評価した。評価基準は、硬い順に9
H、8H、7H、6H、5H、4H、3H、2H、H、
F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6Bである。
鉛筆引っ掻き値が2H以上であれば実技上問題なく、F
が実用化可能ギリギリのレベルとみなせる。
【0304】《現像ムラ》作製した銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料試料を濃度1.0になるように均一に
露光し、ヒートドラムを有する熱現像用自動現像機を用
いて、123℃で15秒熱現像処理した。目視にて塗布
性を評価した。
【0305】 1:ムラがはっきりと判る 2:全体にうっすらムラが認められる 3:細かいムラが認められる 4:殆どムラが判らない 5:均一でムラが無い
【0306】
【表5】
【0307】表5から明らかなように、本発明に係る下
引試料を用いた銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料(写真材料試料)は、比較試料に比べて、熱現像直後
の支持体と画像形成層の剥離の防止及びスリキズの発生
と、現像ムラが改良されている。
【0308】実施例2 感光層側下引上層A−2を構成するバインダーを表6の
様に変更した以外は、下引済み試料1−1の作製と同様
にして下引済み試料2−1〜2−5を作製した。
【0309】又、下引下層を塗設せず、直接コロナ放電
処理面に表6記載の様に下引上層A−2を塗設して、下
引済み試料2−6〜2−8を作製した。
【0310】《溶剤系の銀塩光熱写真ドライイメージン
グ材料試料2−1〜2−9の作製》実施例1同様下引済
み試料2−1〜2−8、1−20にバッキング層、感光
層、表面保護層を設けて表6の様に銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料試料2−1〜2−9を作製した。
【0311】《水系の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料試料2−10〜2−12の作製》実施例1同様下引
済み試料2−6〜2−8にバッキング層、感光層、表面
保護層を設けて表6の様に銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料試料2−10〜2−12を作製した。
【0312】
【表6】
【0313】表中、下引下層を塗設したものは全て乾燥
膜厚0.2μmであり、且つ、ポリエステル比率 C−
2/C−1=95/5(質量%)である。
【0314】表6から明らかなように、本発明に係る下
引済み試料の銀塩光熱写真ドライイメージング材料試料
(写真材料試料)は、比較試料に比べて、熱現像直後の
支持体と画像形成層の剥離の防止及びスリキズの発生
と、現像ムラが改良されている。
【0315】実施例3 感光層側下引上層A−2を構成するバインダーを表7の
様に変更した以外は、下引済み試料1−1の作製と同様
にして下引済み試料3−1〜3−12を作製した。
【0316】又、下引下層を塗設せず、直接コロナ放電
処理面に表7記載の様に下引上層A−2を塗設して、下
引済み試料3−13〜3−19を作製した。
【0317】《溶剤系の銀塩光熱写真ドライイメージン
グ材料試料3−1〜3−15の作製》実施例1同様下引
済み試料3−1〜3−15にバッキング層、感光層、表
面保護層を設けて表7の様に銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料試料3−1〜3−15を作製した。
【0318】《水系の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料試料3−16〜3−19の作製》実施例1同様下引
済み試料3−16〜3−19にバッキング層、感光層、
表面保護層を設けて表7の様に銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料試料3−16〜3−19を作製した。
【0319】
【表7】
【0320】表中、下引下層を塗設したものは全て乾燥
膜厚0.2μmであり、かつ、ポリエステル比率 C−
2/C−1=95/5(質量%)である。
【0321】表7から明らかなように、本発明に係る下
引試料の銀塩光熱写真ドライイメージング材料試料(写
真材料試料)は、比較試料に比べて、熱現像直後の支持
体と画像形成層の剥離の防止及びスリキズの発生と、現
像ムラが改良されている。
【0322】
【発明の効果】本発明により、熱現像直後の支持体と画
像形成層の剥離及びスリキズの発生のない、又、熱現像
特有の現像ムラがでない銀塩光熱写真ドライイメージン
グ材料を提供することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB23 AB25 BA00 BA14 BA45 BC00 BC16 CA00 CA22 CB00 CB03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上の画像
    形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料において、画像形成層と支持体間に位置する少なくと
    も1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、かつビ
    ニル系ポリマーラテックスを含有することを特徴とする
    銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  2. 【請求項2】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上の画像
    形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料において、画像形成層と支持体間に位置する少なくと
    も1層の下引層が、ビニル系モノマーで変性されたポリ
    エステルを含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドラ
    イイメージング材料。
  3. 【請求項3】 ポリエステルに対し10質量%以上のビ
    ニル系モノマーで変性されたポリエステルを含有するこ
    とを特徴とする請求項2記載の銀塩光熱写真ドライイメ
    ージング材料。
  4. 【請求項4】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上の画像
    形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料において、画像形成層と支持体間に位置する少なくと
    も1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、かつポ
    リエステルの酸成分がナフタレンジカルボン酸を含有す
    ることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料。
  5. 【請求項5】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上の画像
    形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料において、画像形成層と支持体間に位置する少なくと
    も1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、かつポ
    リビニルアルコールユニットを含有する水性ポリマーを
    含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージ
    ング材料。
  6. 【請求項6】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上の画像
    形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料において、画像形成層と支持体間に位置する少なくと
    も1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、かつス
    チレン−ジオレフィン系共重合体を含有することを特徴
    とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  7. 【請求項7】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上の画像
    形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料において、画像形成層と支持体間に位置する少なくと
    も1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、かつポ
    リウレタン成分を含有することを特徴とする銀塩光熱写
    真ドライイメージング材料。
  8. 【請求項8】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上の画像
    形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料において、画像形成層と支持体間に位置する少なくと
    も1層の下引層の塗布液が25〜35℃であることを特
    徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  9. 【請求項9】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀、還元剤、及びバインダーを含有する1つ以上の画像
    形成層を設けてなる銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料において、画像形成層と支持体間に位置する少なくと
    も1層の下引層が、ポリエステル成分を含有し、かつ無
    機充填剤を含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドラ
    イイメージング材料。
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