JP2003315789A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP2003315789A
JP2003315789A JP2002125274A JP2002125274A JP2003315789A JP 2003315789 A JP2003315789 A JP 2003315789A JP 2002125274 A JP2002125274 A JP 2002125274A JP 2002125274 A JP2002125274 A JP 2002125274A JP 2003315789 A JP2003315789 A JP 2003315789A
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Japan
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liquid crystal
crystal display
color filter
display device
transmissive
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JP2002125274A
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English (en)
Inventor
Tomoo Takatani
知男 高谷
Hiroshi Fukushima
浩 福島
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全反射性の反射膜を用いずに、反射型液晶表
示と透過型液晶表示を共に明るく優れた色再現性で行う
ことができる半透過型液晶表示装置を提供する。 【解決手段】 対向配置された透明基板1,2間に液晶
層9を配置し、高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層と
を交互に積層して成る誘電体多層膜10を透明基板1上
に形成した。誘電体多層膜10の最上層を、高屈折率誘
電体層の第1領域11と低屈折率誘電体層の第2領域1
2とにパターニングで分割した。誘電体多層膜10と液
晶層9との間に、各画素の同系色部分において第1,第
2領域11,12に対応した透過率の異なる領域に分割
されたカラーフィルター21a,21bを配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置に関す
るものであり、更に詳しくは、半透過反射膜とカラーフ
ィルターを有する半透過型液晶表示装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】携帯電話を初めとする携帯情報端末は、
近年のIT技術の革新的な発展とともに、使用される情
報量が格段に増加し用途も多様化している。これに伴っ
て携帯情報端末のディスプレイに対するユーザーの要望
も多様化し、低電圧化はもちろんのこと高精彩化,高速
応答化等、その要望は多岐にわたっている。ディスプレ
イの表示色についても、色数が加速度的に増加するのと
同時に色味についての要望も多様化している。各ユーザ
ーの要望する色味を実現することは必要不可欠である
が、各ユーザーの要望する色味は、観測者によって視認
性が異なるためにほぼすべて異なるのが現状である。
【0003】現在、携帯情報端末のディスプレイとして
広く用いられているのが、半透過型液晶表示装置であ
る。半透過型液晶表示装置は、明るい場所では外光を利
用した反射型液晶表示装置として動作するが、暗い場所
では内蔵の光源を利用した透過型液晶表示装置として動
作する。その半透過性を実現するために用いられる反射
膜は、金属薄膜から成る反射膜と、誘電体多層膜から成
る反射膜と、に大別される。誘電体多層膜は透明性を有
する低屈折率・高屈折率の誘電体を交互に積層して成る
ものであり、低屈折率誘電体としては、アルミナ(Al2
3),二酸化ケイ素(SiO2),二フッ化マグネシウム
(MgF2)等が挙げられ、高屈折率誘電体としては、二
酸化チタン(TiO2),二酸化ジルコニウム(ZrO2),
セレン化亜鉛(ZnSe),硫化亜鉛(ZnS)等が挙げら
れる。
【0004】金属薄膜から成る反射膜は、その膜厚を薄
くすることによって半透過性が付与されるのが一般的で
ある。しかし、金属薄膜を反射膜として用いた場合に
は、その透過光が独特の色味を帯びてしまうといった問
題がある。例えばアルミニウム薄膜を用いると、その透
過光が青味を帯びてしまうため、透過型で液晶表示され
る白は青味を帯びた白になってしまう。光源からの光の
うち短波長側の光は金属薄膜を透過しやすいが、長波長
側の光は金属薄膜を透過しにくいという金属薄膜の透過
光特性が、その原因であると考えられる。いずれにして
も透過光が青味を帯びるとカラー表示において色再現性
が低下してしまうため、ユーザーの要望する色味を実現
することができなくなる。
【0005】こうした問題を解決するための半透過反射
膜技術が、例えば特開平11−52366号公報で提案
されている。その技術を第1の従来例として、図8を用
いて説明する。図8に示す半透過反射膜では、透明基板
1上に全反射性の金属薄膜から成る反射膜200が設け
られており、反射膜200に光を透過させるための微細
な開口部32が設けられている。このため、周囲が明る
いときには外光が反射膜200で反射して反射型の液晶
表示が行われ、周囲が暗いときにはバックライト光が開
口部32から射出して透過型の液晶表示が行われる。透
過型の液晶表示には、反射膜200の透過光特性の影響
を受けていないバックライト光が使用されるので、色味
が損なわれることはない。
【0006】ところで、カラーフィルターを有する半透
過型液晶表示装置では、反射型の液晶表示を行うとき
に、外光が入射時と反射時の2回、カラーフィルターを
透過することになる。一方、透過型の液晶表示を行うと
きには、バックライト光がカラーフィルターを1回だけ
透過する。したがって、反射型液晶表示時と透過型液晶
表示時とでカラーフィルター中の光路長に差が生じて、
透過型液晶表示のときの方が反射型液晶表示のときより
も表示色が薄くなってしまう。このため、色再現性に差
異が生じるという問題点があった。
【0007】こうした問題を解決するための液晶表示装
置の技術が、例えば特開2000−298271号公報
で提案されている。その技術を第2の従来例として、図
9を用いて説明する。図9に示す半透過反射膜において
も、透明基板1上には全反射性の金属薄膜から成る反射
膜200が設けられており、反射膜200には光を透過
させるための微細な開口部32が設けられている。ただ
し、反射膜200が形成された透明基板1の上にはR
(赤)・G(緑)・B(青)の各色に対応したカラーフィルタ
ー24a,24bが形成されており、そのカラーフィル
ター24a,24b上にはオーバーコート7が形成され
ている。
【0008】反射型液晶表示を行う非開口部33(つま
り反射膜200の部分)では外光がカラーフィルター2
4aを2回透過し、透過型液晶表示を行う開口部32で
はバックライト光がカラーフィルター24bを1回だけ
透過する。ここでは、同一のカラーフィルター材料を用
いるとともに、開口部32上のカラーフィルター24b
よりも非開口部33上のカラーフィルター24aの膜厚
を薄くして、反射型液晶表示時のカラーフィルター24
a中の光路長と透過型液晶表示時のカラーフィルター2
4b中の光路長とをほぼ同じにしている。したがって、
反射型液晶表示と透過型液晶表示とで表示色の濃さはほ
ぼ同じになる。なお、開口部32上のカラーフィルター
24bよりも非開口部33上のカラーフィルター24a
の色濃度(つまり顔料濃度)を薄くすることによっても、
反射型液晶表示と透過型液晶表示とで表示色の濃さを同
じにすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】全反射性の反射膜20
0を構成している金属薄膜では、金属薄膜固有の光の吸
収ロスが発生する。このため、金属の中で最高の反射率
を有する銀を用いてその膜厚を厚くした場合でも4〜5
%程度の吸収ロスが生じてしまい、得られる反射率は最
大でも95%程度となる。また、アルミニウムを全反射
性の金属薄膜に用いた場合には10%強程度の吸収ロス
が生じ、最大でも90%程度の反射率しか得られない。
したがって、全反射性の反射膜200として金属薄膜を
用いた場合には、反射型の液晶表示時に外光を有効に利
用することができず、反射率が低下してしまうことにな
る。
【0010】誘電体多層膜は光を吸収しないため、誘電
体多層膜で全反射性の反射膜を構成すれば、吸収ロス無
しにほぼ100%の反射率を達成することができる。た
だし、ほぼ100%の反射率を得るためには、(用いる
誘電体の屈折率にもよるが)8〜10層以上積層するこ
とが必要であり、誘電体層の成膜コストが大きくなって
しまう。また、各誘電体層に開口部を形成するには、8
〜10回以上のフォトリソグラフィー等のパターニング
作業が必要になるため効率的ではない。
【0011】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであって、全反射性の反射膜を用いることなく、
反射型液晶表示と透過型液晶表示とを共に明るく優れた
色再現性で行うことができる半透過型液晶表示装置を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明の液晶表示装置は、対向配置された第1
基板と第2基板との間に液晶層が配置されており、前記
第1基板上に半透過反射膜が形成されており、その半透
過反射膜と前記液晶層との間にカラーフィルターが配置
されている半透過型液晶表示装置であって、前記半透過
反射膜が高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とを交互
に積層して成る誘電体多層膜であり、その誘電体多層膜
の最上層が高屈折率誘電体層から成る第1領域と低屈折
率誘電体層から成る第2領域とにパターニングで分割さ
れており、前記カラーフィルターが各画素の同系色部分
において前記第1,第2領域に対応した透過率の異なる
領域に分割されていることを特徴とする。
【0013】上記第1の発明の構成では、半透過型液晶
表示装置の反射膜として誘電体多層膜が用いられてお
り、その最上層の誘電体層は、例えばパターニングで部
分的に除去されることにより、元の最上層の誘電体層が
残存している領域と除去されている領域とに分割され
る。誘電体多層膜は高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体
層とを交互に積層した構成になっているため、一方の領
域が高屈折率誘電体層を最上層とする第1領域となり、
他方の領域が低屈折率誘電体層を最上層とする第2領域
となる。
【0014】誘電体多層膜と液晶層との間にはカラーフ
ィルターが配置され、また、有機材料から成るカラーフ
ィルターやそれと同じ有機材料から成る透明樹脂等の媒
質が誘電体多層膜の上層に接するように形成される。最
上層が高屈折率誘電体層から成る第1領域では、有機材
料から成るカラーフィルター等の媒質との屈折率の差が
大きいため、透過率:Thigh(%)よりも反射率:Rhigh
(%)の方が相対的に高くなる。したがって、最上層が高
屈折率誘電体層から成る第1領域は「反射重視領域」と
して扱うことができる。また、反射膜として用いられて
いる誘電体多層膜には吸収ロスが無いので、最上層が高
屈折率誘電体層から成る第1領域では、Thigh(%)+R
high(%)≒100(%)の関係が成り立つ。
【0015】一方、最上層が低屈折率誘電体層から成る
第2領域では、最上層が高屈折率誘電体層から成る第1
領域と比べて、カラーフィルター等の媒質との屈折率の
差が小さくなる。このため、最上層が低屈折率誘電体層
から成る第2領域での透過率:Tlow(%)は、最上層が
高屈折率誘電体層であるときの透過率:Thigh(%)より
も大きくなる。また、最上層が低屈折率誘電体層から成
る第2領域での反射率:Rlow(%)は、透過率:Tlow
逆の挙動を示し、最上層が高屈折率誘電体層であるとき
の反射率:Rhigh(%)よりも小さくなる。したがって、
最上層が低屈折率誘電体層から成る第2領域は「透過重
視領域」として扱うことができる。また、上述したよう
に誘電体多層膜には吸収ロスが無いので、最上層が低屈
折率誘電体層から成る第2領域では、Tlow(%)+Rlow
(%)≒100(%)の関係が成り立つ。
【0016】したがって、上記のように誘電体多層膜の
最上層をパターニングすることにより、誘電体多層膜の
最上層を高屈折率誘電体層の第1領域と低屈折率誘電体
層の第2領域とに分割すれば、誘電体多層膜に反射重視
領域と透過重視領域を構成することができる。更に、反
射重視領域と透過重視領域の上方に形成されるカラーフ
ィルターを、各画素の同系色部分{例えばR(赤)・G
(緑)・B(青)}について、反射重視領域と透過重視領域
に対応した透過率の異なる領域に分割することにより、
各領域での色調整が可能である。
【0017】例えば透過型液晶表示時には、カラーフィ
ルターをバックライト光が1回透過するのに対して、反
射型液晶表示時にはカラーフィルターを外光が2回透過
する。もし、カラーフィルターの同系色部分が反射重視
領域と透過重視領域とで同じ透過率になっていると、透
過型液晶表示時の透過率に比べて反射型液晶表示時の透
過率が小さくなってしまう。その結果、反射型液晶表示
時の色に比べて透過型液晶表示時の色が淡くなり、色再
現性に劣った液晶表示になってしまう。第1の発明の構
成によれば、反射重視領域と透過重視領域とに対応して
それぞれ適切な透過率のカラーフィルターを形成するこ
とで、反射型液晶表示時と透過型液晶表示時のいずれの
場合でも良好な色再現性を得ることができ、しかも反射
膜による光の吸収ロスが無いため高い反射率を得ること
ができる。
【0018】第2の発明の液晶表示装置は、対向配置さ
れた第1基板と第2基板との間に液晶層が配置されてお
り、前記第1基板上に半透過反射膜が形成されており、
前記第2基板と前記液晶層との間にカラーフィルターが
配置されている半透過型液晶表示装置であって、前記半
透過反射膜が高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とを
交互に積層して成る誘電体多層膜であり、その誘電体多
層膜の最上層が高屈折率誘電体層から成る第1領域と低
屈折率誘電体層から成る第2領域とにパターニングで分
割されており、前記カラーフィルターが各画素の同系色
部分において前記第1,第2領域に対応した透過率の異
なる領域に分割されていることを特徴とする。
【0019】上記第2の発明の構成では、半透過型液晶
表示装置の反射膜として誘電体多層膜が用いられてお
り、その最上層の誘電体層は、例えばパターニングで部
分的に除去されることにより、元の最上層の誘電体層が
残存している領域と除去されている領域とに分割され
る。誘電体多層膜は高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体
層とを交互に積層した構成になっているため、一方の領
域が高屈折率誘電体層を最上層とする第1領域となり、
他方の領域が低屈折率誘電体層を最上層とする第2領域
となる。
【0020】第2基板と液晶層との間にはカラーフィル
ターが配置され、また、カラーフィルターと同じ有機材
料から成る透明樹脂等の媒質が誘電体多層膜の上層に接
するように形成される。最上層が高屈折率誘電体層から
成る第1領域では、有機材料から成る透明樹脂等の媒質
との屈折率の差が大きいため、透過率:Thigh(%)より
も反射率:Rhigh(%)の方が相対的に高くなる。したが
って、最上層が高屈折率誘電体層から成る第1領域は
「反射重視領域」として扱うことができる。また、反射
膜として用いられている誘電体多層膜には吸収ロスが無
いので、最上層が高屈折率誘電体層から成る第1領域で
は、Thigh(%)+Rhigh(%)≒100(%)の関係が成り
立つ。
【0021】一方、最上層が低屈折率誘電体層から成る
第2領域では、最上層が高屈折率誘電体層から成る第1
領域と比べて、透明樹脂等の媒質との屈折率の差が小さ
くなる。このため、最上層が低屈折率誘電体層から成る
第2領域での透過率:Tlow(%)は、最上層が高屈折率
誘電体層であるときの透過率:Thigh(%)よりも大きく
なる。また、最上層が低屈折率誘電体層から成る第2領
域での反射率:Rlow(%)は、透過率:Tlowと逆の挙動
を示し、最上層が高屈折率誘電体層であるときの反射
率:Rhigh(%)よりも小さくなる。したがって、最上層
が低屈折率誘電体層から成る第2領域は「透過重視領
域」として扱うことができる。また、上述したように誘
電体多層膜には吸収ロスが無いので、最上層が低屈折率
誘電体層から成る第2領域では、Tlow(%)+Rlow(%)
≒100(%)の関係が成り立つ。
【0022】したがって、上記のように誘電体多層膜の
最上層をパターニングすることにより、誘電体多層膜の
最上層を高屈折率誘電体層の第1領域と低屈折率誘電体
層の第2領域とに分割すれば、誘電体多層膜に反射重視
領域と透過重視領域を構成することができる。更に、反
射重視領域と透過重視領域の上方に形成されるカラーフ
ィルターを、各画素の同系色部分{例えばR(赤)・G
(緑)・B(青)}について、反射重視領域と透過重視領域
に対応した透過率の異なる領域に分割することにより、
各領域での色調整が可能である。
【0023】例えば透過型液晶表示時には、カラーフィ
ルターをバックライト光が1回透過するのに対して、反
射型液晶表示時にはカラーフィルターを外光が2回透過
する。もし、カラーフィルターの同系色部分が反射重視
領域と透過重視領域とで同じ透過率になっていると、透
過型液晶表示時の透過率に比べて反射型液晶表示時の透
過率が小さくなってしまう。その結果、反射型液晶表示
時の色に比べて透過型液晶表示時の色が淡くなり、色再
現性に劣った液晶表示になってしまう。第2の発明の構
成によれば、反射重視領域と透過重視領域とに対応して
それぞれ適切な透過率のカラーフィルターを形成するこ
とで、反射型液晶表示時と透過型液晶表示時のいずれの
場合でも良好な色再現性を得ることができ、しかも反射
膜による光の吸収ロスが無いため高い反射率を得ること
ができる。
【0024】第3の発明の液晶表示装置は、上記第1又
は第2の発明の構成において、前記高屈折率誘電体層と
低屈折率誘電体層のそれぞれの膜厚が、前記誘電体多層
膜に入射する光の波長の1/(4n)(ただしnは各誘電
体層の屈折率である。)近辺であることを特徴とする。
【0025】誘電体多層膜において、高屈折率・低屈折
率の各誘電体層の干渉周期を入射光に合わせる(つまり
反射したい波長に合わせる)と、高い反射率が得られ
る。干渉周期を入射光の波長に合わせるには、それぞれ
の誘電体層の膜厚を入射光の波長の1/(4n)(ただし
nは各誘電体層の屈折率である。)にすればよく、それ
により定在波が形成されて反射効率が上がる。したがっ
て、各誘電体層の膜厚を誘電体多層膜への入射光の波長
の1/(4n)近辺にすることにより反射率を向上させれ
ば、反射型液晶表示時に効率良く外光を利用して、明る
く認識性に優れた液晶表示を行うことができる。なお、
成膜精度等を考えたときの1/(4n)近辺とは、1/
(4n)±20nmぐらいの範囲となる。
【0026】第4の発明の液晶表示装置は、上記第1又
は第2の発明の構成において、前記第1,第2領域に対
応した領域での前記カラーフィルターの透過率差が、該
カラーフィルターの膜厚により調整されていることを特
徴とする。
【0027】上記第4の発明の構成では、透過重視領域
と反射重視領域のそれぞれに対応する領域でのカラーフ
ィルターの膜厚により、所望の透過率(表示色の濃さ)が
得られるように調整される。このため、透過型液晶表示
時と反射型液晶表示時の良好な色再現性を同時に達成す
ることができる。
【0028】第5の発明の液晶表示装置は、上記第1又
は第2の発明の構成において、前記第1,第2領域に対
応した領域での前記カラーフィルターの透過率差が、該
カラーフィルターに含まれる顔料濃度により調整されて
いることを特徴とする。
【0029】上記第5の発明の構成では、透過重視領域
と反射重視領域のそれぞれに対応する領域でのカラーフ
ィルターの顔料濃度により、所望の透過率(表示色の濃
さ)が得られるように調整される。このため、透過型液
晶表示時と反射型液晶表示時の良好な色再現性を同時に
達成することができる。
【0030】第6の発明の液晶表示装置は、上記第1又
は第2の発明の構成において、前記第1領域に対応した
領域で前記カラーフィルターに開口部が設けられてお
り、前記第1,第2領域に対応した領域での前記カラー
フィルターの透過率差が、前記開口部の面積により調整
されていることを特徴とする。
【0031】上記第6の発明の構成では、反射重視領域
を構成する第1領域に対応した領域において、カラーフ
ィルターに設けられる開口部の面積により、所望の透過
率(表示色の濃さ)が得られるように調整される。このた
め、透過型液晶表示時と反射型液晶表示時の良好な色再
現性を同時に達成することができる。
【0032】第7の発明の電子機器は、上記第1〜第6
のいずれか1つの発明の液晶表示装置を表示部として備
えたことを特徴とする。
【0033】上記第7の発明の構成によれば、表示部で
の反射型液晶表示と透過型液晶表示との切り替え表示が
可能な電子機器を実現することができる。このような電
子機器は、明るい場所では照明装置を点灯させる必要が
ないので、長時間のバッテリー駆動が可能となる。さら
に、暗い場所では明るく良好な白色の透過型液晶表示を
行うことができるので、非常に良好な視認性が得られ
る。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施した液晶表示
装置を、図面を参照しつつ説明する。図2〜図7に、本
発明に係る第1〜第6の液晶表示装置A1〜A6の概略
断面構造を示し、各液晶表示装置A1〜A6に用いられ
ている誘電体多層膜10の概略断面構造を図1に示す。
なお、各液晶表示装置A1〜A6は基本的に単純マトリ
ックス型の構成をとっているが、本発明はこれに限ら
ず、同様の構成によりアクティブマトリックス型の装置
や他のセグメント型の装置、その他の液晶装置にも適用
可能である。
【0035】《誘電体多層膜10(図1)》各液晶表示装
置A1〜A6に半透過反射膜として用いられる誘電体多
層膜10の構成を説明する。図1に示すように、透明基
板1上に半透過反射膜として形成されている誘電体多層
膜10は、高屈折率誘電体層101と低屈折率誘電体層
102とが交互に積層された構成になっている。液晶表
示装置A1〜A6の表示品位を考慮すると、視感度の最
も強い波長550nmの光が効率良く反射するように各
誘電体層101,102の膜厚を設定することが望まし
い。このため、高屈折率誘電体層101(屈折率:n
high)の膜厚は550nm/(4nhigh)に設定されてお
り、低屈折率誘電体層102(屈折率:nlow)の膜厚は
550nm/(4n low)に設定されている。
【0036】誘電体多層膜10を構成している最上層の
高屈折率誘電体層101はパターニングされており、そ
のパターニングで部分的に除去されることにより、高屈
折率誘電体層101が残存している反射重視領域11
と、高屈折率誘電体層101が除去されている透過重視
領域12と、に分割されている。なお、ここで挙げてい
る誘電体多層膜10は、便宜上最上層が高屈折率誘電体
層101であり層数が5であるが、最上層を低屈折率誘
電体層102としても何ら差し支えなく、その層数も特
に限定されるものではない。
【0037】誘電体多層膜10の反射重視領域11と透
過重視領域12の機能を、具体例を挙げて説明する。透
明基板1としてガラス基板を用い、その上に厚さの均一
な誘電体層101,102を交互に積層して、層数2〜
5の4つのサンプル〜を作製した。高屈折率誘電体
層101の材料としてTiO2(nhigh=2.3)を用
い、低屈折率誘電体層102の材料としてSiO2(n
low=1.35)を用いた。また、TiO2の膜厚は60
nm{=550nm/(4×2.3)}とし、SiO2の膜厚は100
nm{=550nm/(4×1.35)}とした。得られた誘電体多層
膜の反射率,透過率を測定した。その結果を以下に示
す。なお、反射率の測定にはミノルタ製CA−1000
を用い、透過率の測定にはTOPCON製BM−5を用
いた。
【0038】カ゛ラス 基板-誘電体多層膜・・・・・・・・・・・・・・(TiO2膜厚,SiO2膜厚,反射率,透過率) :カ゛ラス-TiO2-SiO2・・・・・・・・・・・・・・・・・(60nm,100nm,29%,71%) :カ゛ラス-TiO2-SiO2-TiO2・・・・・・・・・・・・(60nm,100nm,65%,35%) :カ゛ラス-TiO2-SiO2-TiO2-SiO2・・・・・・・(60nm,100nm,45%,55%) :カ゛ラス-TiO2-SiO2-TiO2-SiO2-TiO2・・(60nm,100nm,85%,15%)
【0039】上記測定結果から、最上層に高屈折率誘電
体層(TiO2)101があるサンプル,は、透過率よ
りも反射率の方がかなり高く、反射率重視の誘電体多層
膜構造になっていることが分かる。また、最上層に低屈
折率誘電体層(SiO2)102があるサンプル,は、
反射率よりも透過率の方が高く、透過率重視の誘電体多
層膜構造になっていることが分かる。
【0040】高屈折率誘電体層(TiO2)101と低屈
折率誘電体層(SiO2)102とを交互に積層して成る
誘電体多層膜に対し、最上層の誘電体層をパターニング
することにより最上層を部分的に除去すれば、高屈折率
誘電体層(TiO2)101が最上層になっている第1領
域と、低屈折率誘電体層(SiO2)102が最上層にな
っている第2領域と、に誘電体多層膜表面を分割するこ
とができる。上記評価結果によると、高屈折率誘電体層
(TiO2)101が最上層になっている領域では透過率
よりも反射率の方が高くなり、低屈折率誘電体層(Si
2)102が最上層になっている領域では反射率よりも
透過率の方が高くなる。したがって、誘電体多層膜の最
上層に対するパターニングにより、反射重視領域11と
透過重視領域12とに誘電体多層膜表面を面内分割する
ことが可能である。
【0041】図1に示す誘電体多層膜10では、サンプ
ルの多層膜構成:ガラス−TiO 2−SiO2−TiO
2−SiO2−TiO2(反射率:透過率=85:15)を
反射重視領域11としており、その最上層のTiO2
パターニングにより除去して得られるサンプルの多層
膜構成:ガラス−TiO2−SiO2−TiO2−SiO2
(反射率:透過率=45:55)を透過重視領域12とし
ている。また誘電体多層膜10では、反射重視領域11
と透過重視領域12のトータルとして反射率:透過率=
70:30になっている。これは、最上層のTiO2
SiO2との面積比(すなわち反射重視領域11と透過重
視領域12との面積比)が63%:37%となるように
TiO2を除去するパターニングにより得られる。
【0042】《第1の液晶表示装置A1(図2)》図2
に、第1の液晶表示装置A1の概略断面構成を示す。対
向配置された2枚の透明基板1,2の間には液晶層9が
配置されている。その液晶層9は240〜260°のツ
イスト角をもつネマティック液晶で構成されており、そ
のネマティック液晶は枠状のシール材(不図示)で囲まれ
るようにして透明基板1,2間に封入されている。上側
の透明基板2の内側面上には、複数のストライプ状の透
明電極4がITO(Indium Tin Oxide)等により形成され
ており、透明電極4上には所定の方向にラビング処理が
施された配向膜6が形成されている。
【0043】一方、下側の透明基板1の内側面上には、
前述したTiO2とSiO2から成る誘電体多層膜10
(図1)が半透過反射膜として形成されている。誘電体多
層膜10の上層には、各画素が赤(R)・緑(G)・青(B)
から成るカラーフィルター21a,21bが形成されて
いる。各画素の同系色部分において、カラーフィルター
21aは、誘電体多層膜10の最上層がTiO2である
反射重視領域11の上に位置しており、カラーフィルタ
ー21aよりも膜厚の厚いカラーフィルター21bは、
最上層がSiO2である透過重視領域12の上に位置し
ている。カラーフィルター21a,21bの上層には、
カラーフィルター平坦化のためのオーバーコート層7が
形成されている。その上層には複数のストライプ状の透
明電極3がITO等により形成されており、透明電極3
上には所定の方向にラビング処理が施された配向膜5が
形成されている。
【0044】なお、誘電体多層膜10を構成している高
屈折率・低屈折率誘電体層101,102(図1)の各材
料は特に限定されるものではなく、低屈折率誘電体とし
ては、アルミナ(Al23),二酸化ケイ素(SiO2),
二フッ化マグネシウム(MgF 2)等が挙げられ、高屈折
率誘電体としては、二酸化チタン(TiO2),二酸化ジ
ルコニウム(ZrO2),セレン化亜鉛(ZnSe),硫化
亜鉛(ZnS)等が挙げられる。また、透明基板1,2の
材料としては、フロートガラス,ソーダガラス等のガラ
ス材料;ポリエーテルスルホン,ポリカーボネート,エ
ポキシ樹脂,ポリエチレンテレフタレート等のプラスチ
ック材料等が挙げられ、透明基板1,2間に封入される
液晶組成物も前述したものに限らず適宜選択される。
【0045】透過型液晶表示と反射型液晶表示のいずれ
のときにおいても良好な明るさと色再現性を確保するた
めには、透過型液晶表示時の輝度と反射型液晶表示時の
輝度とを合わせることが必要である。そこで第1の液晶
表示装置A1では、カラーフィルター21a,21bの
それぞれの膜厚を以下のようにして決定した。
【0046】誘電体多層膜10上に形成されているカラ
ーフィルター21a,21bから射出する光の輝度を、
反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで合わせるため
には、以下の関係式(1-1)を満たす必要がある。 [反射重視領域11の透過輝度]+[透過重視領域12の透過輝度]=[反射重 視領域11の反射輝度]+[透過重視領域12の反射輝度] …(1-1)
【0047】反射重視領域11の誘電体多層膜10の透
過率をTr、反射率をRr、面積比をXr、反射重視領
域11上のカラーフィルター21aの透過率をYrと
し、透過重視領域12の誘電体多層膜10の透過率をT
t、反射率をRt、面積比をXt、透過重視領域12上
のカラーフィルター21bの透過率をYtとして、式(1
-1)に外挿すると、以下の式(1-2)が得られる。 Tr・Xr・Yr+Tt・Xt・Yt=Rr・Xr・Yr2+Rt・Xt・ Yt2 …(1-2)
【0048】ここで、Tr=0.15,Tt=0.5
5,Rr=0.85,Rt=0.45,Xr=0.6
3,Xt=0.37とし、透過重視領域12上のカラー
フィルター21bの透過率を25%(Yt=0.25)と
した。これらの値を上式(1-2)に代入すると、反射重視
領域11上のカラーフィルター21aの透過率Yr=
0.38が得られる。
【0049】また、反射重視領域11のカラーフィルタ
ー21aの膜厚をdrとし、透過重視領域12のカラー
フィルター21bの膜厚をdtとすると、透過率Yr,
Ytと膜厚dr,dtとの間には以下の関係式(1-3)が
成り立つ。 Tt=exp{(dt/dr)・ln(Tr)} …(1-3)
【0050】上式(1-3)を展開するとdt/dr=ln(T
t)/ln(Tr)が得られ、これに透過率Yt=0.2
5,Yr=0.38を代入するとdt/dr=1.42
が得られる。したがって、[透過重視領域12上のカラ
ーフィルター21bの膜厚dt]/[反射重視領域11上
のカラーフィルター21aの膜厚dr]=1.42を満
たすように各領域11,12上のカラーフィルター21
a,21bの膜厚dr,dtを設定すれば、反射型液晶
表示時と透過型液晶表示時とで輝度を合わせることがで
きる。
【0051】上記dt/dr=1.42を満たすように
各カラーフィルター21a,21bの膜厚dr,dtが
設定された第1の液晶表示装置A1を実施例1とした。
そして実施例1との比較のために、開口部を有する全反
射性の金属薄膜で半透過反射膜が構成された液晶表示装
置を以下のように作製して比較例1とした。
【0052】比較例1の半透過反射膜をAg−Pd合金
製の薄膜(膜厚:200nm)で構成し、そして、前記第
2の従来例(図9)と同様、反射領域(非開口部33)と透
過領域(開口部32)とを設けて、反射領域と透過領域と
の面積比を70:30に設定した。反射領域と透過領域
の上層に形成されるカラーフィルターから射出する光の
輝度を、透過型液晶表示時と反射型液晶表示時とで合わ
せるためには、以下の関係式(1-4)を満たすようにカラ
ーフィルターの膜厚を設定する必要がある。 [透過領域の輝度]=[反射領域の輝度] …(1-4)
【0053】半透過反射膜の透過領域(開口部)の透過率
をTt、その透過領域上に形成されているカラーフィル
ターの透過率をYtとし、半透過反射膜の反射領域(非
開口部)の反射率をRr、その反射領域上に形成されて
いるカラーフィルターの透過率をYrとすると、以下の
式(1-5)の関係が得られる。 Yt・Tt=Yr2・Rr …(1-5)
【0054】ここでRr=0.92,Tt=1とし、実
施例1と同様にYt=0.25とすると、Yr=0.5
2が得られる。そして透過率Yt=0.25,Yr=
0.52を式(1-3)に代入すると、dt/dr=2.1
3が得られる。したがって、比較例1では[透過領域上
のカラーフィルターの膜厚dt]/[反射領域上のカラー
フィルターの膜厚dr]=2.13を満たすように各領
域上のカラーフィルターの膜厚dr,dtを設定するこ
とにより、反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで輝
度を合わせることができる。
【0055】上記dt/dr=2.13を満たすように
各領域上のカラーフィルターの膜厚dr,dtを設定
し、その他の構成については実施例1と全く同様にして
比較例1とした。透過型液晶表示時と反射型液晶表示時
の色面積について実施例1と比較例1の評価を行ったと
ころ、両液晶表示装置共に透過型/反射型の両液晶表示
について色面積25程度が得られ、良好な色再現性が得
られた。透過率について実施例1と比較例1の評価を行
ったところ、両液晶表示装置共に2.3%程度であり、
ほぼ同等の透過率が得られた。なお、透過率の測定には
オートロニック製DMSを用いた。
【0056】反射率について実施例1と比較例1の評価
を行ったところ、誘電体多層膜10を半透過反射膜とし
て用いた実施例1の液晶表示装置A1では、6.4%程
度の反射率が得られた。開口部を有する金属薄膜を半透
過反射膜として用いた比較例1の液晶表示装置では、金
属薄膜の光の吸収ロスがあるため、実施例1の液晶表示
装置A1の反射率に比べてその約9%程度低下し、5.
8%程度の反射率しか得られなかった。なお、反射率の
測定にはオートロニック製DMSを用い、拡散光源にて
測定を行った。これらの評価結果から明らかなように、
実施例1の構成によれば、反射型液晶表示と透過型液晶
表示のいずれの表示のときでも明るく良好な色再現性が
得られ、しかも反射率の高い液晶表示装置A1を実現す
ることができる。
【0057】《第2の液晶表示装置A2(図3)》図3
に、第2の液晶表示装置A2の概略断面構成を示す。対
向配置された2枚の透明基板1,2の間には液晶層9が
配置されている。その液晶層9は240〜260°のツ
イスト角をもつネマティック液晶で構成されており、そ
のネマティック液晶は枠状のシール材(不図示)で囲まれ
るようにして透明基板1,2間に封入されている。上側
の透明基板2の内側面上には、複数のストライプ状の透
明電極4がITO(Indium Tin Oxide)等により形成され
ており、透明電極4上には所定の方向にラビング処理が
施された配向膜6が形成されている。
【0058】一方、下側の透明基板1の内側面上には、
前述したTiO2とSiO2から成る誘電体多層膜10
(図1)が半透過反射膜として形成されている。誘電体多
層膜10の上層には、誘電体多層膜10の凹凸を緩和す
るために、カラーフィルター22a,22bと同材料か
ら成り、着色のための顔料を含まない透明樹脂8が成膜
されている。透明樹脂8の上には、各画素が赤(R)・緑
(G)・青(B)から成るカラーフィルター22a,22b
が形成されている。各画素の同系色部分において、カラ
ーフィルター22aは、誘電体多層膜10の最上層がT
iO2である反射重視領域11の上に位置しており、カ
ラーフィルター22bは、最上層がSiO 2である透過
重視領域12の上に位置している。カラーフィルター2
2a,22bの膜厚はほぼ同じになっているが、カラー
フィルター22bはカラーフィルター22aよりも顔料
濃度が高くなっている。カラーフィルター22a,22
bの上層には、カラーフィルター平坦化のためのオーバ
ーコート層7が形成されている。その上層には複数のス
トライプ状の透明電極3がITO等により形成されてお
り、透明電極3上には所定の方向にラビング処理が施さ
れた配向膜5が形成されている。
【0059】なお、誘電体多層膜10を構成している高
屈折率・低屈折率誘電体層101,102(図1)の各材
料は特に限定されるものではなく、低屈折率誘電体とし
ては、アルミナ(Al23),二酸化ケイ素(SiO2),
二フッ化マグネシウム(MgF 2)等が挙げられ、高屈折
率誘電体としては、二酸化チタン(TiO2),二酸化ジ
ルコニウム(ZrO2),セレン化亜鉛(ZnSe),硫化
亜鉛(ZnS)等が挙げられる。また、透明基板1,2の
材料としては、フロートガラス,ソーダガラス等のガラ
ス材料;ポリエーテルスルホン,ポリカーボネート,エ
ポキシ樹脂,ポリエチレンテレフタレート等のプラスチ
ック材料等が挙げられ、透明基板1,2間に封入される
液晶組成物も前述したものに限らず適宜選択される。
【0060】透過型液晶表示と反射型液晶表示のいずれ
のときにおいても良好な明るさと色再現性を確保するた
めには、透過型液晶表示時の輝度と反射型液晶表示時の
輝度とを合わせることが必要である。そこで第2の液晶
表示装置A2では、カラーフィルター22a,22bの
それぞれの顔料濃度を以下のようにして決定した。
【0061】誘電体多層膜10上に形成されているカラ
ーフィルター22a,22bから射出する光の輝度を、
反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで合わせるため
には、以下の関係式(2-1)を満たす必要がある。 [反射重視領域11の透過輝度]+[透過重視領域12の透過輝度]=[反射重 視領域11の反射輝度]+[透過重視領域12の反射輝度] …(2-1)
【0062】反射重視領域11の誘電体多層膜10の透
過率をTr、反射率をRr、面積比をXr、反射重視領
域11上のカラーフィルター22aの透過率をYrと
し、透過重視領域12の誘電体多層膜10の透過率をT
t、反射率をRt、面積比をXt、透過重視領域12上
のカラーフィルター22bの透過率をYtとして、式(2
-1)に外挿すると、以下の式(2-2)が得られる。 Tr・Xr・Yr+Tt・Xt・Yt=Rr・Xr・Yr2+Rt・Xt・ Yt2 …(2-2)
【0063】ここで、Tr=0.15,Tt=0.5
5,Rr=0.85,Rt=0.45,Xr=0.6
3,Xt=0.37とし、透過重視領域12上のカラー
フィルター22bの透過率を25%(Yt=0.25)と
した。これらの値を上式(2-2)に代入すると、反射重視
領域11上のカラーフィルター22aの透過率Yr=
0.38が得られる。
【0064】また、反射重視領域11のカラーフィルタ
ー22aの顔料濃度をCrとし、透過重視領域12のカ
ラーフィルター22bの顔料濃度をCtとすると、透過
率Yr,Ytと顔料濃度Cr,Ctとの間には以下の関
係式(2-3)が成り立つ。 Tt=exp{(Ct/Cr)・ln(Tr)} …(2-3)
【0065】上式(2-3)を展開するとCt/Cr=ln(T
t)/ln(Tr)が得られ、これに透過率Yt=0.2
5,Yr=0.38を代入するとCt/Cr=1.42
が得られる。したがって、[透過重視領域12上のカラ
ーフィルター22bの顔料濃度Ct]/[反射重視領域1
1上のカラーフィルター22aの顔料濃度Cr]=1.
42を満たすように各領域11,12上のカラーフィル
ター22a,22bの顔料濃度Cr,Ctを設定すれ
ば、反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで輝度を合
わせることができる。
【0066】上記Ct/Cr=1.42を満たすように
各カラーフィルター22a,22bの顔料濃度Cr,C
tが設定された第2の液晶表示装置A2を実施例2とし
た。そして実施例2との比較のために、開口部を有する
全反射性の金属薄膜で半透過反射膜が構成された液晶表
示装置を以下のように作製して比較例2とした。
【0067】比較例2の半透過反射膜をAg−Pd合金
製の薄膜(膜厚:200nm)で構成し、そして、前記第
2の従来例(図9)と同様、反射領域(非開口部33)と透
過領域(開口部32)とを設けて、反射領域と透過領域と
の面積比を70:30に設定した。反射領域と透過領域
の上層に形成されるカラーフィルターから射出する光の
輝度を、透過型液晶表示時と反射型液晶表示時とで合わ
せるためには、以下の関係式(2-4)を満たすようにカラ
ーフィルターの顔料濃度を設定する必要がある。 [透過領域の輝度]=[反射領域の輝度] …(2-4)
【0068】半透過反射膜の透過領域(開口部)の透過率
をTt、その透過領域上に形成されているカラーフィル
ターの透過率をYtとし、半透過反射膜の反射領域(非
開口部)の反射率をRr、その反射領域上に形成されて
いるカラーフィルターの透過率をYrとすると、以下の
式(2-5)の関係が得られる。 Yt・Tt=Yr2・Rr …(2-5)
【0069】ここでRr=0.92,Tt=1とし、実
施例2と同様にYt=0.25とすると、Yr=0.5
2が得られる。そして透過率Yt=0.25,Yr=
0.52を式(2-3)に代入すると、Ct/Cr=2.1
3が得られる。したがって、比較例2では[透過領域上
のカラーフィルターの顔料濃度Ct]/[反射領域上のカ
ラーフィルターの顔料濃度Cr]=2.13を満たすよ
うに各領域上のカラーフィルターの顔料濃度Cr,Ct
を設定することにより、反射型液晶表示時と透過型液晶
表示時とで輝度を合わせることができる。
【0070】上記Ct/Cr=2.13を満たすように
各領域上のカラーフィルターの顔料濃度Cr,Ctを設
定し、その他の構成については実施例2と全く同様にし
て比較例2とした。透過型液晶表示時と反射型液晶表示
時の色面積について実施例2と比較例2の評価を行った
ところ、両液晶表示装置共に透過型/反射型の両液晶表
示について色面積25程度が得られ、良好な色再現性が
得られた。透過率について実施例2と比較例2の評価を
行ったところ、両液晶表示装置共に2.4%程度であ
り、ほぼ同等の透過率が得られた。なお、透過率の測定
にはオートロニック製DMSを用いた。
【0071】反射率について実施例2と比較例2の評価
を行ったところ、誘電体多層膜10を半透過反射膜とし
て用いた実施例2の液晶表示装置A2では、6.5%程
度の反射率が得られた。開口部を有する金属薄膜を半透
過反射膜として用いた比較例2の液晶表示装置では、金
属薄膜の光の吸収ロスがあるため、実施例2の液晶表示
装置A2の反射率に比べてその約9%程度低下し、5.
9%程度の反射率しか得られなかった。なお、反射率の
測定にはオートロニック製DMSを用い、拡散光源にて
測定を行った。これらの評価結果から明らかなように、
実施例2の構成によれば、反射型液晶表示と透過型液晶
表示のいずれの表示のときでも明るく良好な色再現性が
得られ、しかも反射率の高い液晶表示装置A2を実現す
ることができる。
【0072】《第3の液晶表示装置A3(図4)》図4
に、第3の液晶表示装置A3の概略断面構成を示す。対
向配置された2枚の透明基板1,2の間には液晶層9が
配置されている。その液晶層9は240〜260°のツ
イスト角をもつネマティック液晶で構成されており、そ
のネマティック液晶は枠状のシール材(不図示)で囲まれ
るようにして透明基板1,2間に封入されている。上側
の透明基板2の内側面上には、複数のストライプ状の透
明電極4がITO(Indium Tin Oxide)等により形成され
ており、透明電極4上には所定の方向にラビング処理が
施された配向膜6が形成されている。
【0073】一方、下側の透明基板1の内側面上には、
前述したTiO2とSiO2から成る誘電体多層膜10
(図1)が半透過反射膜として形成されている。誘電体多
層膜10の上層には、誘電体多層膜10の凹凸を緩和す
るために、カラーフィルター23a,23bと同材料か
ら成り、着色のための顔料を含まない透明樹脂8が成膜
されている。透明樹脂8の上には、各画素が赤(R)・緑
(G)・青(B)から成るカラーフィルター23a,23b
が形成されている。各画素の同系色部分において、カラ
ーフィルター23aは、誘電体多層膜10の最上層がT
iO2である反射重視領域11の上に位置しており、カ
ラーフィルター23bは、最上層がSiO 2である透過
重視領域12の上に位置している。カラーフィルター2
3a,23bの膜厚及び顔料濃度はほぼ同じになってい
るが、カラーフィルター23aには開口部31が設けら
れている。カラーフィルター23a,23bの上層に
は、カラーフィルター平坦化のためのオーバーコート層
7が形成されている。その上層には複数のストライプ状
の透明電極3がITO等により形成されており、透明電
極3上には所定の方向にラビング処理が施された配向膜
5が形成されている。
【0074】なお、誘電体多層膜10を構成している高
屈折率・低屈折率誘電体層101,102(図1)の各材
料は特に限定されるものではなく、低屈折率誘電体とし
ては、アルミナ(Al23),二酸化ケイ素(SiO2),
二フッ化マグネシウム(MgF 2)等が挙げられ、高屈折
率誘電体としては、二酸化チタン(TiO2),二酸化ジ
ルコニウム(ZrO2),セレン化亜鉛(ZnSe),硫化
亜鉛(ZnS)等が挙げられる。また、透明基板1,2の
材料としては、フロートガラス,ソーダガラス等のガラ
ス材料;ポリエーテルスルホン,ポリカーボネート,エ
ポキシ樹脂,ポリエチレンテレフタレート等のプラスチ
ック材料等が挙げられ、透明基板1,2間に封入される
液晶組成物も前述したものに限らず適宜選択される。
【0075】透過型液晶表示と反射型液晶表示のいずれ
のときにおいても良好な明るさと色再現性を確保するた
めには、透過型液晶表示時の輝度と反射型液晶表示時の
輝度とを合わせることが必要である。そこで第3の液晶
表示装置A3では、カラーフィルター23aに形成され
る開口部31の面積比を以下のようにして決定した。
【0076】誘電体多層膜10上に形成されているカラ
ーフィルター23a,23bから射出する光の輝度を、
反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで合わせるため
には、以下の関係式(3-1)を満たす必要がある。 [反射重視領域11の透過輝度]+[透過重視領域12の透過輝度]=[反射重 視領域11の反射輝度]+[透過重視領域12の反射輝度] …(3-1)
【0077】反射重視領域11の誘電体多層膜10の透
過率をTr、反射率をRr、面積比をXr、反射重視領
域11上の開口部31を有するカラーフィルター23a
の透過率をYrとし、透過重視領域12の誘電体多層膜
10の透過率をTt、反射率をRt、面積比をXt、透
過重視領域12上のカラーフィルター23bの透過率を
Ytとして、式(3-1)に外挿すると、以下の式(3-2)が得
られる。 Tr・Xr・Yr+Tt・Xt・Yt=Rr・Xr・Yr2+Rt・Xt・ Yt2 …(3-2)
【0078】ここで、Tr=0.15,Tt=0.5
5,Rr=0.85,Rt=0.45,Xr=0.6
3,Xt=0.37とし、透過重視領域12上のカラー
フィルター23bの透過率を25%(Yt=0.25)と
した。これらの値を上式(3-2)に代入すると、反射重視
領域11上のカラーフィルター23aの透過率Yr=
0.38が得られる。つまり、Yt=1.52Yrの関
係が得られる。
【0079】反射重視領域11上のカラーフィルター2
3aに開口部31を設けることで、Yt=1.52Yr
を満たすためには、反射重視領域11上におけるカラー
フィルター23aの存在領域と開口部31の領域との面
積比が、1:(1.52−1)の関係を満たせばよい。し
たがって、開口部31の面積を反射重視領域11の面積
の0.52/1.52(=約34%)に設定すれば、反射
型液晶表示時と透過型液晶表示時とで輝度を合わせるこ
とができる。
【0080】上記面積比(=0.52/1.52)を満たすようにカ
ラーフィルター23aの開口部31が設定された第3の
液晶表示装置A3を実施例3とした。そして実施例3と
の比較のために、開口部を有する全反射性の金属薄膜で
半透過反射膜が構成された液晶表示装置を以下のように
作製して比較例3とした。
【0081】比較例3の半透過反射膜をAg−Pd合金
製の薄膜(膜厚:200nm)で構成し、そして、前記第
2の従来例(図9)と同様、反射領域(非開口部33)と透
過領域(開口部32)とを設けて、反射領域と透過領域と
の面積比を70:30に設定した。また、反射領域と透
過領域の上層に形成されるカラーフィルターから射出す
る光の輝度を透過型液晶表示時と反射型液晶表示時とで
合わせるために、反射領域に形成される開口部の面積を
反射領域の面積に対して50%に設定した。その他の構
成については、実施例3と全く同様にして比較例3とし
た。
【0082】透過型液晶表示時と反射型液晶表示時の色
面積について実施例3と比較例3の評価を行ったとこ
ろ、両液晶表示装置共に透過型/反射型の両液晶表示に
ついて色面積25程度が得られ、良好な色再現性が得ら
れた。透過率について実施例3と比較例3の評価を行っ
たところ、両液晶表示装置共に2.3%程度であり、ほ
ぼ同等の透過率が得られた。なお、透過率の測定にはオ
ートロニック製DMSを用いた。
【0083】反射率について実施例3と比較例3の評価
を行ったところ、誘電体多層膜10を半透過反射膜とし
て用いた実施例3の液晶表示装置A3では、6.6%程
度の反射率が得られた。開口部を有する金属薄膜を半透
過反射膜として用いた比較例3の液晶表示装置では、金
属薄膜の光の吸収ロスがあるため、実施例3の液晶表示
装置A3の反射率に比べてその約10%程度低下し、
5.9%程度の反射率しか得られなかった。なお、反射
率の測定にはオートロニック製DMSを用い、拡散光源
にて測定を行った。これらの評価結果から明らかなよう
に、実施例3の構成によれば、反射型液晶表示と透過型
液晶表示のいずれの表示のときでも明るく良好な色再現
性が得られ、しかも反射率の高い液晶表示装置A3を実
現することができる。
【0084】《第4の液晶表示装置A4(図5)》図5
に、第4の液晶表示装置A4の概略断面構成を示す。対
向配置された2枚の透明基板1,2の間には液晶層9が
配置されている。その液晶層9は240〜260°のツ
イスト角をもつネマティック液晶で構成されており、そ
のネマティック液晶は枠状のシール材(不図示)で囲まれ
るようにして透明基板1,2間に封入されている。下側
の透明基板1の内側面上には、前述したTiO2とSi
2から成る誘電体多層膜10(図1)が半透過反射膜と
して形成されている。誘電体多層膜10の上層には、誘
電体多層膜10の凹凸を緩和するために、カラーフィル
ター21a,21bと同材料から成り、着色のための顔
料を含まない透明樹脂8が成膜されている。透明樹脂8
の上層には、複数のストライプ状の透明電極3がITO
(Indium Tin Oxide)等により形成されており、透明電極
3上には所定の方向にラビング処理が施された配向膜5
が形成されている。
【0085】一方、上側の透明基板2の内側面上には、
各画素が赤(R)・緑(G)・青(B)から成るカラーフィル
ター21a,21bが形成されている。各画素の同系色
部分において、カラーフィルター21aは、誘電体多層
膜10の最上層がTiO2である反射重視領域11の上
方(つまり法線方向について反射重視領域11に対応す
る領域)に位置しており、カラーフィルター21aより
も膜厚の厚いカラーフィルター21bは、最上層がSi
2である透過重視領域12の上方(つまり法線方向につ
いて透過重視領域12に対応する領域)に位置してい
る。カラーフィルター21a,21bの上層には、カラ
ーフィルター平坦化のためのオーバーコート層7が形成
されている。その上層には複数のストライプ状の透明電
極4がITO等により形成されており、透明電極4上に
は所定の方向にラビング処理が施された配向膜6が形成
されている。
【0086】なお、誘電体多層膜10を構成している高
屈折率・低屈折率誘電体層101,102(図1)の各材
料は特に限定されるものではなく、低屈折率誘電体とし
ては、アルミナ(Al23),二酸化ケイ素(SiO2),
二フッ化マグネシウム(MgF 2)等が挙げられ、高屈折
率誘電体としては、二酸化チタン(TiO2),二酸化ジ
ルコニウム(ZrO2),セレン化亜鉛(ZnSe),硫化
亜鉛(ZnS)等が挙げられる。また、透明基板1,2の
材料としては、フロートガラス,ソーダガラス等のガラ
ス材料;ポリエーテルスルホン,ポリカーボネート,エ
ポキシ樹脂,ポリエチレンテレフタレート等のプラスチ
ック材料等が挙げられ、透明基板1,2間に封入される
液晶組成物も前述したものに限らず適宜選択される。
【0087】透過型液晶表示と反射型液晶表示のいずれ
のときにおいても良好な明るさと色再現性を確保するた
めには、透過型液晶表示時の輝度と反射型液晶表示時の
輝度とを合わせることが必要である。そこで第4の液晶
表示装置A4では、カラーフィルター21a,21bの
それぞれの膜厚を以下のようにして決定した。
【0088】誘電体多層膜10上に形成されているカラ
ーフィルター21a,21bから射出する光の輝度を、
反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで合わせるため
には、以下の関係式(4-1)を満たす必要がある。 [反射重視領域11の透過輝度]+[透過重視領域12の透過輝度]=[反射重 視領域11の反射輝度]+[透過重視領域12の反射輝度] …(4-1)
【0089】反射重視領域11の誘電体多層膜10の透
過率をTr、反射率をRr、面積比をXr、反射重視領
域11上のカラーフィルター21aの透過率をYrと
し、透過重視領域12の誘電体多層膜10の透過率をT
t、反射率をRt、面積比をXt、透過重視領域12上
のカラーフィルター21bの透過率をYtとして、式(4
-1)に外挿すると、以下の式(4-2)が得られる。 Tr・Xr・Yr+Tt・Xt・Yt=Rr・Xr・Yr2+Rt・Xt・ Yt2 …(4-2)
【0090】ここで、Tr=0.15,Tt=0.5
5,Rr=0.85,Rt=0.45,Xr=0.6
3,Xt=0.37とし、透過重視領域12上のカラー
フィルター21bの透過率を25%(Yt=0.25)と
した。これらの値を上式(4-2)に代入すると、反射重視
領域11上のカラーフィルター21aの透過率Yr=
0.38が得られる。
【0091】また、反射重視領域11のカラーフィルタ
ー21aの膜厚をdrとし、透過重視領域12のカラー
フィルター21bの膜厚をdtとすると、透過率Yr,
Ytと膜厚dr,dtとの間には以下の関係式(4-3)が
成り立つ。 Tt=exp{(dt/dr)・ln(Tr)} …(4-3)
【0092】上式(4-3)を展開するとdt/dr=ln(T
t)/ln(Tr)が得られ、これに透過率Yt=0.2
5,Yr=0.38を代入するとdt/dr=1.42
が得られる。したがって、[透過重視領域12上のカラ
ーフィルター21bの膜厚dt]/[反射重視領域11上
のカラーフィルター21aの膜厚dr]=1.42を満
たすように各領域11,12上のカラーフィルター21
a,21bの膜厚dr,dtを設定すれば、反射型液晶
表示時と透過型液晶表示時とで輝度を合わせることがで
きる。
【0093】上記dt/dr=1.42を満たすように
各カラーフィルター21a,21bの膜厚dr,dtが
設定された第4の液晶表示装置A4を実施例4とした。
そして実施例4との比較のために、開口部を有する全反
射性の金属薄膜で半透過反射膜が構成された液晶表示装
置を以下のように作製して比較例4とした。
【0094】比較例4の半透過反射膜をAg−Pd合金
製の薄膜(膜厚:200nm)で構成し、そして、前記第
2の従来例(図9)と同様、反射領域(非開口部33)と透
過領域(開口部32)とを設けて、反射領域と透過領域と
の面積比を70:30に設定した。反射領域と透過領域
の上層に形成されるカラーフィルターから射出する光の
輝度を、透過型液晶表示時と反射型液晶表示時とで合わ
せるためには、以下の関係式(4-4)を満たすようにカラ
ーフィルターの膜厚を設定する必要がある。 [透過領域の輝度]=[反射領域の輝度] …(4-4)
【0095】半透過反射膜の透過領域(開口部)の透過率
をTt、その透過領域上に形成されているカラーフィル
ターの透過率をYtとし、半透過反射膜の反射領域(非
開口部)の反射率をRr、その反射領域上に形成されて
いるカラーフィルターの透過率をYrとすると、以下の
式(4-5)の関係が得られる。 Yt・Tt=Yr2・Rr …(4-5)
【0096】ここでRr=0.92,Tt=1とし、実
施例4と同様にYt=0.25とすると、Yr=0.5
2が得られる。そして透過率Yt=0.25,Yr=
0.52を式(4-3)に代入すると、dt/dr=2.1
3が得られる。したがって、比較例4では[透過領域上
のカラーフィルターの膜厚dt]/[反射領域上のカラー
フィルターの膜厚dr]=2.13を満たすように各領
域上のカラーフィルターの膜厚dr,dtを設定するこ
とにより、反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで輝
度を合わせることができる。
【0097】上記dt/dr=2.13を満たすように
各領域上のカラーフィルターの膜厚dr,dtを設定
し、その他の構成については実施例4と全く同様にして
比較例4とした。透過型液晶表示時と反射型液晶表示時
の色面積について実施例4と比較例4の評価を行ったと
ころ、両液晶表示装置共に透過型/反射型の両液晶表示
について色面積25程度が得られ、良好な色再現性が得
られた。透過率について実施例4と比較例4の評価を行
ったところ、両液晶表示装置共に2.1%程度であり、
ほぼ同等の透過率が得られた。なお、透過率の測定には
オートロニック製DMSを用いた。
【0098】反射率について実施例4と比較例4の評価
を行ったところ、誘電体多層膜10を半透過反射膜とし
て用いた実施例4の液晶表示装置A1では、6.4%程
度の反射率が得られた。開口部を有する金属薄膜を半透
過反射膜として用いた比較例4の液晶表示装置では、金
属薄膜の光の吸収ロスがあるため、実施例4の液晶表示
装置A4の反射率に比べてその約10%程度低下し、
5.8%程度の反射率しか得られなかった。なお、反射
率の測定にはオートロニック製DMSを用い、拡散光源
にて測定を行った。これらの評価結果から明らかなよう
に、実施例4の構成によれば、反射型液晶表示と透過型
液晶表示のいずれの表示のときでも明るく良好な色再現
性が得られ、しかも反射率の高い液晶表示装置A4を実
現することができる。
【0099】《第5の液晶表示装置A5(図6)》図6
に、第5の液晶表示装置A5の概略断面構成を示す。対
向配置された2枚の透明基板1,2の間には液晶層9が
配置されている。その液晶層9は240〜260°のツ
イスト角をもつネマティック液晶で構成されており、そ
のネマティック液晶は枠状のシール材(不図示)で囲まれ
るようにして透明基板1,2間に封入されている。下側
の透明基板1の内側面上には、前述したTiO2とSi
2から成る誘電体多層膜10(図1)が半透過反射膜と
して形成されている。誘電体多層膜10の上層には、誘
電体多層膜10の凹凸を緩和するために、カラーフィル
ター22a,22bと同材料から成り、着色のための顔
料を含まない透明樹脂8が成膜されている。透明樹脂8
の上層には、複数のストライプ状の透明電極3がITO
(Indium Tin Oxide)等により形成されており、透明電極
3上には所定の方向にラビング処理が施された配向膜5
が形成されている。
【0100】一方、上側の透明基板2の内側面上には、
各画素が赤(R)・緑(G)・青(B)から成るカラーフィル
ター22a,22bが形成されている。各画素の同系色
部分において、カラーフィルター22aは、誘電体多層
膜10の最上層がTiO2である反射重視領域11の上
方(つまり法線方向について反射重視領域11に対応す
る領域)に位置しており、カラーフィルター22bは、
最上層がSiO2である透過重視領域12の上方(つまり
法線方向について透過重視領域12に対応する領域)に
位置している。カラーフィルター22a,22bの膜厚
はほぼ同じになっているが、カラーフィルター22bは
カラーフィルター22aよりも顔料濃度が高くなってい
る。カラーフィルター22a,22bの上層には、カラ
ーフィルター平坦化のためのオーバーコート層7が形成
されている。その上層には複数のストライプ状の透明電
極4がITO等により形成されており、透明電極4上に
は所定の方向にラビング処理が施された配向膜6が形成
されている。
【0101】なお、誘電体多層膜10を構成している高
屈折率・低屈折率誘電体層101,102(図1)の各材
料は特に限定されるものではなく、低屈折率誘電体とし
ては、アルミナ(Al23),二酸化ケイ素(SiO2),
二フッ化マグネシウム(MgF 2)等が挙げられ、高屈折
率誘電体としては、二酸化チタン(TiO2),二酸化ジ
ルコニウム(ZrO2),セレン化亜鉛(ZnSe),硫化
亜鉛(ZnS)等が挙げられる。また、透明基板1,2の
材料としては、フロートガラス,ソーダガラス等のガラ
ス材料;ポリエーテルスルホン,ポリカーボネート,エ
ポキシ樹脂,ポリエチレンテレフタレート等のプラスチ
ック材料等が挙げられ、透明基板1,2間に封入される
液晶組成物も前述したものに限らず適宜選択される。
【0102】透過型液晶表示と反射型液晶表示のいずれ
のときにおいても良好な明るさと色再現性を確保するた
めには、透過型液晶表示時の輝度と反射型液晶表示時の
輝度とを合わせることが必要である。そこで第5の液晶
表示装置A5では、カラーフィルター22a,22bの
それぞれの顔料濃度を以下のようにして決定した。
【0103】誘電体多層膜10上に形成されているカラ
ーフィルター22a,22bから射出する光の輝度を、
反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで合わせるため
には、以下の関係式(5-1)を満たす必要がある。 [反射重視領域11の透過輝度]+[透過重視領域12の透過輝度]=[反射重 視領域11の反射輝度]+[透過重視領域12の反射輝度] …(5-1)
【0104】反射重視領域11の誘電体多層膜10の透
過率をTr、反射率をRr、面積比をXr、反射重視領
域11上のカラーフィルター22aの透過率をYrと
し、透過重視領域12の誘電体多層膜10の透過率をT
t、反射率をRt、面積比をXt、透過重視領域12上
のカラーフィルター22bの透過率をYtとして、式(5
-1)に外挿すると、以下の式(5-2)が得られる。 Tr・Xr・Yr+Tt・Xt・Yt=Rr・Xr・Yr2+Rt・Xt・ Yt2 …(5-2)
【0105】ここで、Tr=0.15,Tt=0.5
5,Rr=0.85,Rt=0.45,Xr=0.6
3,Xt=0.37とし、透過重視領域12上のカラー
フィルター22bの透過率を25%(Yt=0.25)と
した。これらの値を上式(5-2)に代入すると、反射重視
領域11上のカラーフィルター22aの透過率Yr=
0.38が得られる。
【0106】また、反射重視領域11のカラーフィルタ
ー22aの顔料濃度をCrとし、透過重視領域12のカ
ラーフィルター22bの顔料濃度をCtとすると、透過
率Yr,Ytと顔料濃度Cr,Ctとの間には以下の関
係式(5-3)が成り立つ。 Tt=exp{(Ct/Cr)・ln(Tr)} …(5-3)
【0107】上式(5-3)を展開するとCt/Cr=ln(T
t)/ln(Tr)が得られ、これに透過率Yt=0.2
5,Yr=0.38を代入するとCt/Cr=1.42
が得られる。したがって、[透過重視領域12上のカラ
ーフィルター22bの顔料濃度Ct]/[反射重視領域1
1上のカラーフィルター22aの顔料濃度Cr]=1.
42を満たすように各領域11,12上のカラーフィル
ター22a,22bの顔料濃度Cr,Ctを設定すれ
ば、反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで輝度を合
わせることができる。
【0108】上記Ct/Cr=1.42を満たすように
各カラーフィルター22a,22bの顔料濃度Cr,C
tが設定された第5の液晶表示装置A5を実施例5とし
た。そして実施例5との比較のために、開口部を有する
全反射性の金属薄膜で半透過反射膜が構成された液晶表
示装置を以下のように作製して比較例5とした。
【0109】比較例5の半透過反射膜をAg−Pd合金
製の薄膜(膜厚:200nm)で構成し、そして、前記第
2の従来例(図9)と同様、反射領域(非開口部33)と透
過領域(開口部32)とを設けて、反射領域と透過領域と
の面積比を70:30に設定した。反射領域と透過領域
の上層に形成されるカラーフィルターから射出する光の
輝度を、透過型液晶表示時と反射型液晶表示時とで合わ
せるためには、以下の関係式(5-4)を満たすようにカラ
ーフィルターの顔料濃度を設定する必要がある。 [透過領域の輝度]=[反射領域の輝度] …(5-4)
【0110】半透過反射膜の透過領域(開口部)の透過率
をTt、その透過領域上に形成されているカラーフィル
ターの透過率をYtとし、半透過反射膜の反射領域(非
開口部)の反射率をRr、その反射領域上に形成されて
いるカラーフィルターの透過率をYrとすると、以下の
式(5-5)の関係が得られる。 Yt・Tt=Yr2・Rr …(5-5)
【0111】ここでRr=0.92,Tt=1とし、実
施例5と同様にYt=0.25とすると、Yr=0.5
2が得られる。そして透過率Yt=0.25,Yr=
0.52を式(5-3)に代入すると、Ct/Cr=2.1
3が得られる。したがって、比較例5では[透過領域上
のカラーフィルターの顔料濃度Ct]/[反射領域上のカ
ラーフィルターの顔料濃度Cr]=2.13を満たすよ
うに各領域上のカラーフィルターの顔料濃度Cr,Ct
を設定することにより、反射型液晶表示時と透過型液晶
表示時とで輝度を合わせることができる。
【0112】上記Ct/Cr=2.13を満たすように
各領域上のカラーフィルターの顔料濃度Cr,Ctを設
定し、その他の構成については実施例5と全く同様にし
て比較例5とした。透過型液晶表示時と反射型液晶表示
時の色面積について実施例5と比較例5の評価を行った
ところ、両液晶表示装置共に透過型/反射型の両液晶表
示について色面積25程度が得られ、良好な色再現性が
得られた。透過率について実施例5と比較例5の評価を
行ったところ、両液晶表示装置共に2.3%程度であ
り、ほぼ同等の透過率が得られた。なお、透過率の測定
にはオートロニック製DMSを用いた。
【0113】反射率について実施例5と比較例5の評価
を行ったところ、誘電体多層膜10を半透過反射膜とし
て用いた実施例5の液晶表示装置A5では、6.5%程
度の反射率が得られた。開口部を有する金属薄膜を半透
過反射膜として用いた比較例5の液晶表示装置では、金
属薄膜の光の吸収ロスがあるため、実施例5の液晶表示
装置A5の反射率に比べてその約10%程度低下し、
5.8%程度の反射率しか得られなかった。なお、反射
率の測定にはオートロニック製DMSを用い、拡散光源
にて測定を行った。これらの評価結果から明らかなよう
に、実施例5の構成によれば、反射型液晶表示と透過型
液晶表示のいずれの表示のときでも明るく良好な色再現
性が得られ、しかも反射率の高い液晶表示装置A5を実
現することができる。
【0114】《第6の液晶表示装置A6(図7)》図7
に、第6の液晶表示装置A6の概略断面構成を示す。対
向配置された2枚の透明基板1,2の間には液晶層9が
配置されている。その液晶層9は240〜260°のツ
イスト角をもつネマティック液晶で構成されており、そ
のネマティック液晶は枠状のシール材(不図示)で囲まれ
るようにして透明基板1,2間に封入されている。下側
の透明基板1の内側面上には、前述したTiO2とSi
2から成る誘電体多層膜10(図1)が半透過反射膜と
して形成されている。誘電体多層膜10の上層には、誘
電体多層膜10の凹凸を緩和するために、カラーフィル
ター23a,23bと同材料から成り、着色のための顔
料を含まない透明樹脂8が成膜されている。透明樹脂8
の上層には、複数のストライプ状の透明電極3がITO
(Indium Tin Oxide)等により形成されており、透明電極
3上には所定の方向にラビング処理が施された配向膜5
が形成されている。
【0115】一方、上側の透明基板2の内側面上には、
各画素が赤(R)・緑(G)・青(B)から成るカラーフィル
ター23a,23bが形成されている。各画素の同系色
部分において、カラーフィルター23aは、誘電体多層
膜10の最上層がTiO2である反射重視領域11の上
方(つまり法線方向について反射重視領域11に対応す
る領域)に位置しており、カラーフィルター23bは、
最上層がSiO2である透過重視領域12の上方(つまり
法線方向について透過重視領域12に対応する領域)に
位置している。カラーフィルター23a,23bの膜厚
及び顔料濃度はほぼ同じになっているが、カラーフィル
ター23aには開口部31が設けられている。カラーフ
ィルター23a,23bの上層には、カラーフィルター
平坦化のためのオーバーコート層7が形成されている。
その上層には複数のストライプ状の透明電極4がITO
等により形成されており、透明電極4上には所定の方向
にラビング処理が施された配向膜6が形成されている。
【0116】なお、誘電体多層膜10を構成している高
屈折率・低屈折率誘電体層101,102(図1)の各材
料は特に限定されるものではなく、低屈折率誘電体とし
ては、アルミナ(Al23),二酸化ケイ素(SiO2),
二フッ化マグネシウム(MgF 2)等が挙げられ、高屈折
率誘電体としては、二酸化チタン(TiO2),二酸化ジ
ルコニウム(ZrO2),セレン化亜鉛(ZnSe),硫化
亜鉛(ZnS)等が挙げられる。また、透明基板1,2の
材料としては、フロートガラス,ソーダガラス等のガラ
ス材料;ポリエーテルスルホン,ポリカーボネート,エ
ポキシ樹脂,ポリエチレンテレフタレート等のプラスチ
ック材料等が挙げられ、透明基板1,2間に封入される
液晶組成物も前述したものに限らず適宜選択される。
【0117】透過型液晶表示と反射型液晶表示のいずれ
のときにおいても良好な明るさと色再現性を確保するた
めには、透過型液晶表示時の輝度と反射型液晶表示時の
輝度とを合わせることが必要である。そこで第6の液晶
表示装置A6では、カラーフィルター23aに形成され
る開口部31の面積比を以下のようにして決定した。
【0118】誘電体多層膜10上に形成されているカラ
ーフィルター23a,23bから射出する光の輝度を、
反射型液晶表示時と透過型液晶表示時とで合わせるため
には、以下の関係式(6-1)を満たす必要がある。 [反射重視領域11の透過輝度]+[透過重視領域12の透過輝度]=[反射重 視領域11の反射輝度]+[透過重視領域12の反射輝度] …(6-1)
【0119】反射重視領域11の誘電体多層膜10の透
過率をTr、反射率をRr、面積比をXr、反射重視領
域11上の開口部31を有するカラーフィルター23a
の透過率をYrとし、透過重視領域12の誘電体多層膜
10の透過率をTt、反射率をRt、面積比をXt、透
過重視領域12上のカラーフィルター23bの透過率を
Ytとして、式(6-1)に外挿すると、以下の式(6-2)が得
られる。 Tr・Xr・Yr+Tt・Xt・Yt=Rr・Xr・Yr2+Rt・Xt・ Yt2 …(6-2)
【0120】ここで、Tr=0.15,Tt=0.5
5,Rr=0.85,Rt=0.45,Xr=0.6
3,Xt=0.37とし、透過重視領域12上のカラー
フィルター23bの透過率を25%(Yt=0.25)と
した。これらの値を上式(6-2)に代入すると、反射重視
領域11上のカラーフィルター23aの透過率Yr=
0.38が得られる。つまり、Yt=1.52Yrの関
係が得られる。
【0121】反射重視領域11上のカラーフィルター2
3aに開口部31を設けることで、Yt=1.52Yr
を満たすためには、反射重視領域11上におけるカラー
フィルター23aの存在領域と開口部31の領域との面
積比が、1:(1.52−1)の関係を満たせばよい。し
たがって、開口部31の面積を反射重視領域11の面積
の0.52/1.52(=約34%)に設定すれば、反射
型液晶表示時と透過型液晶表示時とで輝度を合わせるこ
とができる。
【0122】上記面積比(=0.52/1.52)を満たすようにカ
ラーフィルター23aの開口部31が設定された第6の
液晶表示装置A6を実施例6とした。そして実施例6と
の比較のために、開口部を有する全反射性の金属薄膜で
半透過反射膜が構成された液晶表示装置を以下のように
作製して比較例6とした。
【0123】比較例6の半透過反射膜をAg−Pd合金
製の薄膜(膜厚:200nm)で構成し、そして、前記第
2の従来例(図9)と同様、反射領域(非開口部33)と透
過領域(開口部32)とを設けて、反射領域と透過領域と
の面積比を70:30に設定した。また、反射領域と透
過領域の上層に形成されるカラーフィルターから射出す
る光の輝度を透過型液晶表示時と反射型液晶表示時とで
合わせるために、反射領域に形成される開口部の面積を
反射領域の面積に対して50%に設定した。その他の構
成については、実施例6と全く同様にして比較例6とし
た。
【0124】透過型液晶表示時と反射型液晶表示時の色
面積について実施例6と比較例6の評価を行ったとこ
ろ、両液晶表示装置共に透過型/反射型の両液晶表示に
ついて色面積25程度が得られ、良好な色再現性が得ら
れた。透過率について実施例6と比較例6の評価を行っ
たところ、両液晶表示装置共に2.4%程度であり、ほ
ぼ同等の透過率が得られた。なお、透過率の測定にはオ
ートロニック製DMSを用いた。
【0125】反射率について実施例6と比較例6の評価
を行ったところ、誘電体多層膜10を半透過反射膜とし
て用いた実施例6の液晶表示装置A6では、6.6%程
度の反射率が得られた。開口部を有する金属薄膜を半透
過反射膜として用いた比較例6の液晶表示装置では、金
属薄膜の光の吸収ロスがあるため、実施例6の液晶表示
装置A6の反射率に比べてその約10%程度低下し、
5.9%程度の反射率しか得られなかった。なお、反射
率の測定にはオートロニック製DMSを用い、拡散光源
にて測定を行った。これらの評価結果から明らかなよう
に、実施例6の構成によれば、反射型液晶表示と透過型
液晶表示のいずれの表示のときでも明るく良好な色再現
性が得られ、しかも反射率の高い液晶表示装置A6を実
現することができる。
【0126】《液晶表示装置A1〜A6の応用》上述し
た第1〜第6の液晶表示装置A1〜A6は、電子機器の
表示部として様々な環境下で用いられ、特に低消費電力
が必要不可欠な携帯機器に適している。液晶表示装置A
1〜A6が搭載される携帯機器の一例としては、携帯電
話を挙げることができる。一般的な携帯電話では本体の
前面部分に表示部が配置され、その表示部として液晶表
示装置を用いる場合には外光や照明装置が必要になる。
【0127】携帯電話は、屋内・屋外を問わずあらゆる
環境のもとで使用される。例えば屋内等の明るい場所で
携帯電話を使用する場合、外光を利用することができる
ので、反射型液晶表示を行うことができる。夜間の屋外
等で携帯電話を使用する場合、必然的に外光を利用する
ことができないので、携帯電話に内蔵の照明装置を利用
した透過型液晶表示が必要になる。したがって、携帯電
話に搭載される液晶表示装置としては、消費電力が低い
反射型液晶表示をメインとし、必要に応じて内蔵の照明
装置による透過型液晶表示が可能な半透過型液晶表示装
置が望ましい。本発明に係る半透過型液晶表示装置は、
良好な色度の反射型液晶表示を可能とし、かつ、透過型
液晶表示時の良好な白色表示を可能とする、コントラス
ト・透過率・色再現性に優れた携帯電話を提供すること
ができる。また同様の用途として、腕時計や携帯情報端
末等への搭載も可能である。
【0128】
【発明の効果】以上説明したように第1又は第2の発明
によれば、半透過反射膜が誘電体多層膜から成るため、
反射膜による光の吸収ロスが無く明るく良好な反射型液
晶表示が得られる。また、誘電体多層膜の最上層が高屈
折率誘電体層から成る第1領域と低屈折率誘電体層から
成る第2領域とにパターニングで分割されており、カラ
ーフィルターが各画素の同系色部分において第1,第2
領域に対応した透過率の異なる領域に分割されているた
め、反射型液晶表示時及び透過型液晶表示時のいずれの
場合でも共に明るく良好な色再現性を実現することがで
きる。また第3の発明によれば、各誘電体層の膜厚が誘
電体多層膜に入射する光の波長の1/(4n)近辺に設定
されているため、誘電体多層膜の反射効率が向上し、明
るく良好な反射型液晶表示を得ることができる。
【0129】第1,第2領域に対応した領域でのカラー
フィルターの透過率差は、第4の発明によればカラーフ
ィルターの膜厚により調整され、第5の発明によればカ
ラーフィルターに含まれる顔料濃度により調整され、第
6の発明によればカラーフィルターに設けられた開口部
の面積により調整される。このため、反射型液晶表示時
と透過型液晶表示時のいずれの場合にも良好な色再現性
を達成することができる。また第7の発明によれば、低
消費電力であり、かつ、反射型液晶表示時と透過型液晶
表示時の色度に優れた視認性の良い電子機器を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る液晶表示装置を構成する誘電体
多層膜の概略構成を示す拡大断面図。
【図2】 本発明に係る第1の液晶表示装置の概略構成
を示す拡大断面図。
【図3】 本発明に係る第2の液晶表示装置の概略構成
を示す拡大断面図。
【図4】 本発明に係る第3の液晶表示装置の概略構成
を示す拡大断面図。
【図5】 本発明に係る第4の液晶表示装置の概略構成
を示す拡大断面図。
【図6】 本発明に係る第5の液晶表示装置の概略構成
を示す拡大断面図。
【図7】 本発明に係る第6の液晶表示装置の概略構成
を示す拡大断面図。
【図8】 第1の従来例の要部概略構成を示す拡大断面
図。
【図9】 第2の従来例の要部概略構成を示す拡大断面
図。
【符号の説明】 A1〜A6 液晶表示装置 1 透明基板(第1基板) 2 透明基板(第2基板) 3,4 透明電極 5,6 配向膜 7 オーバーコート 8 透明樹脂 9 液晶層 10 誘電体多層膜(半透過反射膜) 11 反射重視領域(第1領域) 12 透過重視領域(第2領域) 21a,22a,23a 反射重視領域のカラーフィル
ター 21b,22b,23b 透過重視領域のカラーフィル
ター 31 開口部 101 高屈折率誘電体層 102 低屈折率誘電体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 BA02 BA45 BA47 BB02 BB07 BB42 2H091 FA15Y FA50Y FB06 FB07 FC02 FC10 FC26 FC29 FC30 FD04 FD07 FD12 FD23 FD24 GA17 LA03 LA11 LA12 LA13 LA15 LA17

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向配置された第1基板と第2基板との
    間に液晶層が配置されており、前記第1基板上に半透過
    反射膜が形成されており、その半透過反射膜と前記液晶
    層との間にカラーフィルターが配置されている半透過型
    液晶表示装置であって、 前記半透過反射膜が高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体
    層とを交互に積層して成る誘電体多層膜であり、その誘
    電体多層膜の最上層が高屈折率誘電体層から成る第1領
    域と低屈折率誘電体層から成る第2領域とにパターニン
    グで分割されており、前記カラーフィルターが各画素の
    同系色部分において前記第1,第2領域に対応した透過
    率の異なる領域に分割されていることを特徴とする液晶
    表示装置。
  2. 【請求項2】 対向配置された第1基板と第2基板との
    間に液晶層が配置されており、前記第1基板上に半透過
    反射膜が形成されており、前記第2基板と前記液晶層と
    の間にカラーフィルターが配置されている半透過型液晶
    表示装置であって、 前記半透過反射膜が高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体
    層とを交互に積層して成る誘電体多層膜であり、その誘
    電体多層膜の最上層が高屈折率誘電体層から成る第1領
    域と低屈折率誘電体層から成る第2領域とにパターニン
    グで分割されており、前記カラーフィルターが各画素の
    同系色部分において前記第1,第2領域に対応した透過
    率の異なる領域に分割されていることを特徴とする液晶
    表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の液晶表示装置にお
    いて、前記高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層のそれ
    ぞれの膜厚が、前記誘電体多層膜に入射する光の波長の
    1/(4n)(ただしnは各誘電体層の屈折率である。)近
    辺であることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の液晶表示装置にお
    いて、前記第1,第2領域に対応した領域での前記カラ
    ーフィルターの透過率差が、該カラーフィルターの膜厚
    により調整されていることを特徴とする液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の液晶表示装置にお
    いて、前記第1,第2領域に対応した領域での前記カラ
    ーフィルターの透過率差が、該カラーフィルターに含ま
    れる顔料濃度により調整されていることを特徴とする液
    晶表示装置。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載の液晶表示装置にお
    いて、前記第1領域に対応した領域で前記カラーフィル
    ターに開口部が設けられており、前記第1,第2領域に
    対応した領域での前記カラーフィルターの透過率差が、
    前記開口部の面積により調整されていることを特徴とす
    る液晶表示装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の液
    晶表示装置を表示部として備えたことを特徴とする電子
    機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006064905A1 (ja) * 2004-12-17 2006-06-22 Sharp Kabushiki Kaisha カラーフィルタ基板及び液晶表示装置
JP2008511010A (ja) * 2004-08-27 2008-04-10 ナノロア株式会社 半透過型液晶表示素子

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JPWO2006064905A1 (ja) * 2004-12-17 2008-06-12 シャープ株式会社 カラーフィルタ基板及び液晶表示装置
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