JP2003314755A - 燃料用ホースおよびその製法 - Google Patents

燃料用ホースおよびその製法

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和孝 片山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】層間接着力が高く、コネクター挿入性、耐クレ
ーズ性、耐火炎性に優れた、燃料用ホースを提供する。 【解決手段】内層1と、この内層1の外周面に形成され
た中間層2と、この中間層2の外周面に形成されたゴム
製外層3とを備えた燃料用ホースである。そして、上記
内層1がポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いて
形成されているとともに、上記中間層2がポリブチレン
ナフタレートおよびポリブチレンテレフタレートの少な
くとも一方を用いて形成され、かつ、上記中間層2の外
周表面が放電処理されており、この中間層2の放電処理
面と上記ゴム製外層3とが接着している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料用ホースに関
するものであり、詳しくは、ガソリン、アルコール混合
ガソリン(ガソホール)、アルコール、水素、LPG、
CNG、軽油、ジメチルエーテルのような自動車等の燃
料輸送用配管等に用いられる燃料用ホースに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車を取り巻く燃料ガスの蒸散
規制は厳しくなってきており、これに対応する低透過な
燃料用ホースが各種検討されている。このような燃料系
ホースとしては、例えば、ポリブチレンナフタレート
(PBN)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等
の低透過樹脂を用いたホースが提案されている。しか
し、上記PBNやPBT等の低透過樹脂は、剛性が高い
ため、これら高剛性の低透過樹脂のみを用いて単層構造
のホースを形成した場合、ホースの柔軟性が劣る。した
がって、低透過樹脂層の厚みを薄くして、ポリアミド樹
脂等からなる熱可塑性樹脂層との積層構造にするのが一
般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記P
BNやPBT等の低透過樹脂層は、熱可塑性樹脂層との
接着性が悪いため、ホース端部にコネクターを挿入した
場合、両層の界面にずれが生じる等の不都合が生じ、コ
ネクター挿入性が劣るという難点がある。また、上記P
BNやPBT等の低透過樹脂層をホースの最内層として
用いた場合、燃料との接触により、クレーズが発生する
という難点もある。さらに、ポリアミド樹脂等からなる
熱可塑性樹脂層をホースの最外層として用いた場合、エ
ンジンルーム等の外部からの熱により熱可塑性樹脂層が
溶けたり、熱可塑性樹脂層にチッピングが生じる等の難
点がある。そこで、耐火炎性や耐チッピング性を考慮し
て、熱可塑性樹脂層の外周面に、プロテクタ層と呼ばれ
るゴム層を形成する場合が多いが、熱可塑性樹脂層とゴ
ム層(プロテクタ層)とは、樹脂とゴムゆえ接着性が悪
いという難点がある。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、層間接着力が高く、コネクター挿入性、耐クレ
ーズ性、耐火炎性に優れた、燃料用ホースおよびその製
法の提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、内層と、この内層の外周面に形成され
た中間層と、この中間層の外周面に形成されたゴム製外
層とを備えた燃料用ホースであって、上記内層がポリエ
ステル系熱可塑性エラストマーを用いて形成されている
とともに、上記中間層がポリブチレンナフタレートおよ
びポリブチレンテレフタレートの少なくとも一方を用い
て形成され、かつ、上記中間層の外周表面が放電処理さ
れており、この中間層の放電処理面と上記ゴム製外層と
が接着している燃料用ホースを第1の要旨とする。
【0006】また、本発明は、上記燃料用ホースの製法
であって、内層用材料と中間層用材料を共押し出しして
内層の外周面に中間層を形成する工程と、上記中間層の
外周表面に放電処理を施す工程と、上記放電処理した中
間層の外周面にゴム材料を被覆して加硫することにより
中間層の外周面にゴム製外層を形成する工程とを備えた
燃料用ホースの製法を第2の要旨とする。
【0007】すなわち、本発明者らは、層間接着力が高
く、コネクター挿入性、耐クレーズ性、耐火炎性に優れ
た、燃料用ホースを得るべく鋭意研究を重ねた。そし
て、ポリブチレンナフタレート(PBN)やポリブチレ
ンテレフタレート(PBT)を用いてなる低透過樹脂層
(中間層)の内周面に、ポリエステル系熱可塑性エラス
トマーを用いて内層を形成すると、柔軟性が向上するた
め、クレーズが発生しないことを突き止めるとともに、
上記低透過樹脂層(中間層)の外周面に、ゴム層(プロ
テクタ層)を形成すると、耐火炎性に優れることも突き
止めた。さらに上記低透過樹脂層の外周表面を、プラズ
マ処理等の放電処理により活性化すると、上記低透過樹
脂層とゴム製外層の層間接着力が高くなり、低透過樹脂
層とゴム製外層との界面でのずれが生じなくなり、コネ
クター挿入性に優れることを見いだし、本発明に到達し
た。これは、上記PBNやPBTを用いてなる低透過樹
脂層の外周表面を、プラズマ処理等の放電処理により活
性化すると、PBNやPBTの分子骨格から水素原子が
離脱して炭素ラジカルが生成するようになるとともに、
上記低透過樹脂層表面の少なくとも一部において、炭素
ラジカル間の架橋反応により、強固な表面層が形成され
るようになる。また、上記低透過樹脂層表面の他の部分
においては、炭素ラジカルが空気中の酸素と結合し、水
酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基等の官
能基が形成される。その結果、上記低透過樹脂層表面に
形成された官能基と、ゴム製外層との親和性が著しく向
上するようになり、上記低透過樹脂層とゴム製外層との
接着性が発現するものと考えられる。また、上記低透過
樹脂層の外周表面にプラズマ処理等の放電処理を行う
と、低透過樹脂層の外周表面が粗面化されて凹凸が生
じ、その凹凸面に外層のゴムが入り込むというアンカー
効果(投錨効果)により、低透過樹脂層とゴム製外層と
の層間接着力がより強固になるものと推測される。
【0008】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0009】本発明の燃料用ホースは、例えば、図1に
示すように、内層1の外周面に中間層2が形成され、さ
らにその外周面にゴム製外層3が形成されて構成されて
いる。そして、本発明においては、上記中間層2の外周
表面が、プラズマ処理等の放電処理されており、この中
間層2の放電処理面と上記ゴム製外層3とが接着してい
る。
【0010】上記内層1用材料としては、ポリエステル
系熱可塑性エラストマーが用いられる。上記ポリエステ
ル系熱可塑性エラストマー(TPEE)としては、例え
ば、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリブチレ
ンテレフタレート(PBT)等のハードセグメントに、
ポリエーテル、ポリエステル等のソフトセグメントを導
入したもの等があげられる。
【0011】上記ポリエステル系熱可塑性エラストマー
(TPEE)の曲げ弾性率は、コネクター挿入性の観点
から、PBN系TPEEでは、1000MPa以下が好
ましく、特に好ましくは100〜800MPaの範囲内
であり、PBT系TPEEでは、2000MPa以下が
好ましい。
【0012】また、上記内層1は、燃料ポンプで発生し
た静電気をホース外部へ放電して逃がし、静電気による
燃料(ガソリン等)への引火等の事故を防止する目的
で、柔軟性、クレーズ性を損なわない範囲内で、カーボ
ンブラック、カーボンナノチューブ、金属粉等の導電剤
を配合して、導電化しても差し支えない。
【0013】上記内層1の外周面に形成される中間層2
用材料としては、ポリブチレンナフタレート(PBN)
およびポリブチレンテレフタレート(PBT)の少なく
とも一方が用いられる。
【0014】上記PBNは、例えば、2,6−ジメチル
ナフタレート(DMN)と、1,4−ブタンジオール
(BG)とを原料とするエステル交換法や、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸と、1,4−ブタンジオール(B
G)とを原料とする直接重合法等により得ることができ
る。
【0015】上記PBTは、例えば、ジメチルテレフタ
レート(DMT)と、1,4−ブタンジオール(BG)
とを原料とするDMT法や、テレフタル酸(TPA)
と、1,4−ブタンジオール(BG)とを原料とする直
接重合法等により得ることができる。
【0016】また、上記中間層2は、上記内層1と同
様、柔軟性、クレーズ性を損なわない範囲内で、カーボ
ンブラック、カーボンナノチューブ、金属粉等の導電剤
を配合して、導電化しても差し支えない。
【0017】上記中間層2の外周面に形成されるゴム製
外層3に用いられるゴムとしては、特に限定はないが、
上記中間層2の放電処理面に形成される官能基との親和
性に優れたゴムが好ましく、例えば、エピクロルヒドリ
ンゴム(ECO)、アクリロニトリル−ブタジエン共重
合ゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重
合体(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(C
SM)、塩素化ポリエチレンゴム(CPE)、NBRと
ポリ塩化ビニル(PVC)からなるブレンドポリマー
(NBR−PVC)、NBRとEPDMとのブレンド物
(NBR−EPDM)等があげられる。これらは単独で
もしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかで
も、上記中間層2との接着力が優れる点で、ECO、N
BR−PVC、EPDMが好適に用いられ、特にECO
が好ましい。
【0018】なお、上記ゴム製外層3用材料(ゴム材
料)には、上記ゴムに加えて、加工助剤、老化防止剤、
補強剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、
加硫遅延剤、充填剤等を必要に応じて適宜配合しても差
し支えない。
【0019】上記加工助剤としては、例えば、ステアリ
ン酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、炭化水素樹脂等
があげられる。
【0020】上記老化防止剤としては、例えば、カルバ
メート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止
剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化
防止剤、キノリン系老化防止剤、ワックス類等があげら
れる。
【0021】上記補強剤としては、例えば、カーボンブ
ラック、ホワイトカーボン等があげられる。
【0022】上記可塑剤としては、例えば、フタル酸ジ
オクチル(DOP),フタル酸ジ−n−ブチル(DB
P)等のフタル酸系可塑剤、ジブチルカルビトールアジ
ペート,ジオクチルアジペート(DOA)等のアジピン
酸系可塑剤、セバシン酸ジオクチル(DOS),セバシ
ン酸ジブチル(DBS)等のセバシン酸系可塑剤等があ
げられる。
【0023】上記加硫剤としては、例えば、硫黄、モル
ホリン、ジスルフィド等の硫黄化合物、有機過酸化物、
エチレンチオウレア等があげられる。
【0024】上記加硫促進剤としては、例えば、チアゾ
ール系促進剤、チウラム系促進剤、N−シクロヘキシル
−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、ジ
ベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカ
プトベンゾチアゾール(MBT)、テトラメチルチウラ
ムモノスルフィド(TMTM)等のスルフェンアミド系
促進剤等があげられる。
【0025】上記加硫促進助剤としては、例えば、酸化
亜鉛、活性亜鉛華、酸化マグネシウム、鉛丹(光明丹)
等があげられる。
【0026】上記加硫遅延剤としては、例えば、N−
(シクロヘキシルチオ)フタルイミド等があげられる。
【0027】上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク等があげられ
る。
【0028】本発明の燃料用ホースは、例えば、つぎの
ようにして製造することができる。すなわち、まず、T
PEE等の内層1用材料、およびポリブチレンナフタレ
ート(PBN)やポリブチレンテレフタレート(PB
T)等の中間層2用材料をそれぞれ準備し、これらを共
押し出し成形して、内層1の外周面に中間層2を熱融着
させて両層を接着する。つぎに、上記中間層2の外周表
面に、減圧プラズマ処理装置を用いてプラズマ処理等の
放電処理を行う。ついで、この中間層2をマンドレル代
わりとして、上記中間層2の外周表面のプラズマ処理面
に、ゴム製外層3用材料(ゴム材料)を押し出し成形し
た後、所定の条件で加硫を行うことにより、中間層2の
外周面にゴム製外層3を接着形成する。このようにし
て、目的とする燃料用ホース(図1参照)を作製するこ
とができる。
【0029】上記内層1用材料と中間層2用材料を共押
し出し成形する際、両者の溶融粘度はできる限り近い方
が、均一な層を形成する上で好ましく、例えば、MFR
値(メルトフローレート、ASTM D1238)の比
で20以下程度に設定することが好ましい。
【0030】上記プラズマ処理の条件は、特に限定はな
いが、周波数は、通常、0.1〜1000MHzの範囲
であり、好ましくは1〜100MHzである。また、高
周波電源の出力は、通常、2〜300Wの範囲であり、
好ましくは5〜200Wである。処理時間は、通常、2
〜180秒の範囲であり、好ましくは5〜60秒であ
る。
【0031】また、上記プラズマ処理後に中間層2の外
周表面に、カップリング剤を塗布し接着力の向上を図る
ことも可能である。
【0032】なお、上記中間層2の外周表面への放電処
理は、上記のようなプラズマ処理に限定されるものでは
なく、コロナ処理等であっても差し支えない。
【0033】また、上記の製法においては、内層1と中
間層2とを共押し出しによって成形する方法について説
明したが、これに限定するものではなく、例えば、マン
ドレルを用いてマンドレル上に内層1を押し出し成形し
た後、この内層1の外周面に中間層2を押し出し成形し
ても差し支えない。
【0034】このようにして得られる本発明の燃料用ホ
ース各層の厚みは、内層1の厚みは、通常、0.05〜
0.5mmであり、好ましくは0.1〜0.3mmであ
る。上記中間層2の厚みは、通常、0.05〜0.4m
mであり、好ましくは0.05〜0.3mmである。ま
た、上記ゴム製外層3の厚みは、通常、0.5〜4mm
であり、好ましくは1〜3mmである。そして、本発明
の燃料用ホースの内径は、通常、3〜60mmであり、
好ましくは4〜50mmである。
【0035】なお、本発明の燃料用ホースは、前記図1
に示した3層構造に限定されるものではなく、ゴム製外
層3の外周面にさらに別の構成層を形成しても差し支え
ない。例えば、ゴム製外層3の外周面に、補強糸やワイ
ヤー等を用いて補強層等を形成すると、柔軟性を維持し
つつ、耐熱性、耐圧性が向上するため、耐熱ホース、高
圧ホースとして使用することも可能である。また、内層
を内側層と外側層の2層構造とし、内側層を導電剤配合
の導電層、外側層を導電剤を含まない非導電層とするこ
とも可能であり、中間層も内側層と外側層の2層構造と
することも可能である。このような構成とすることによ
り、ホースの柔軟性やコストを最適化することができ
る。
【0036】また、本発明の燃料用ホースは、自動車用
ホースに好適に用いられるが、トラクター、耕運機等に
も用いることができる。
【0037】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0038】まず、実施例および比較例に先立ち、下記
の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合して、ゴム
組成物A〜Cを調製した。
【0039】
【表1】
【0040】
【実施例1】まず、内層用材料として、ハードセグメン
トにPBN、ソフトセグメントに脂肪族ポリエーテルを
使用したTPEE(東洋紡社製、ペルプレンEN503
0)を準備した。また、中間層用材料として、PBN
(帝人化成社製、TQB−OT)を準備した。そして、
上記内層用材料と中間層用材料を共押し出し成形して、
内層(厚み0.2mm)の外周面に、中間層(厚み0.
1mm)を熱融着させて両層を接着した。つぎに、この
内層の外周面に中間層が形成されてなる積層体を、減圧
プラズマ処理装置内の放電室まで導入した。この放電室
は、真空ポンプにより10-3Torrに減圧された後、
ガス供給装置から放電用ガスが供給されて所定の減圧状
態(放電用ガス:Ar、減圧状態:0.1Torr)と
した。そして、上記放電室の電極間に中間層を導入し、
高周波電源およびマッチングボックスによりインピーダ
ンス整合させた周波数13.56MHz、出力10Wの
高周波電力を電極に印加してグロー放電を発生させてプ
ラズマを生成し、上記中間層の外周表面に対してプラズ
マ処理を行った。ついで、この中間層の外周表面のプラ
ズマ処理面に、上記ゴム組成物A(ゴム製外層用材料)
を押し出し成形した後、加硫釜に入れて160℃×45
分間の条件でスチーム加硫を行い、中間層の外周面にゴ
ム製外層(厚み2mm)を接着形成した。このようにし
て、内径6mmの燃料用ホース(図1参照)を作製し
た。
【0041】
【実施例2】内層用材料として、ハードセグメントにP
BT、ソフトセグメントに脂肪族ポリエーテルを使用し
たTPEE(東洋紡社製、ペルプレンP−150B)を
準備した。また、中間層用材料として、PBT(ポリプ
ラスチックス社製、セラネックス2001)を準備し
た。そして、これら内層用材料および中間層用材料を用
いる以外は、実施例1と同様にして、燃料用ホース(図
1参照)を作製した。
【0042】
【実施例3】内層用材料として、TPEE(東洋紡社
製、ペルプレンEN5030)100重量部(以下
「部」と略す)に、カーボンブラック(アグゾ社製、ケ
ッチェンブラックEC)10部を配合し、KCK押出機
(KCKエンジニアリング社製)を用いて260℃で混
合してなる、導電性材料を調製した。そして、この導電
性材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、燃料用
ホース(図1参照)を作製した。
【0043】
【実施例4】内層用材料として、TPEE(東洋紡社
製、ペルプレンP−150B)100部に、カーボンブ
ラック(アグゾ社製、ケッチェンブラックEC)10部
を配合し、KCK押出機(KCKエンジニアリング社
製)を用いて260℃で混合してなる、導電性材料を調
製した。そして、この導電性材料を用いる以外は、実施
例2と同様にして、燃料用ホース(図1参照)を作製し
た。
【0044】
【実施例5】ゴム製外層用材料として、上記ゴム組成物
Aに代えて、上記ゴム組成物Bを用いた。それ以外は、
実施例1と同様にして、燃料用ホース(図1参照)を作
製した。
【0045】
【実施例6】ゴム製外層用材料として、上記ゴム組成物
Aに代えて、上記ゴム組成物Cを用いた。それ以外は、
実施例1と同様にして、燃料用ホース(図1参照)を作
製した。
【0046】
【実施例7】内層用材料として、PBT系のTPEE
(EMS社製、グリペットB24HNZ)を準備した。
そして、この内層用材料を用いる以外は、実施例1と同
様にして、燃料用ホース(図1参照)を作製した。
【0047】
【実施例8】内層用材料として、PBT系のTPEE
〔ジメチルテレフタレート/ダイマー酸(ユニケマ社製
のPRIPLAST3008)ジメチル=94/6(モ
ル比)と、1,4−ブタンジオールとの反応物〕を準備
した。そして、この内層用材料を用いる以外は、実施例
1と同様にして、燃料用ホース(図1参照)を作製し
た。
【0048】
【比較例1】まず、PBN(帝人化成社製、TQB−O
T)を押し出し成形して、内層(厚み0.1mm)を形
成した。つぎに、この内層の外周表面に、上記ゴム組成
物A(外層用材料)を押し出し成形した後、加硫(16
0℃×45分)を行い、表層の外周面にゴム製外層(厚
み2mm)を形成した。このようにして、内層とゴム製
外層の2層構造からなる燃料用ホース(内径6mm)を
作製した。
【0049】
【比較例2】まず、PBN(帝人化成社製、TQB−O
T)を押し出し成形して、内層(厚み0.1mm)を形
成した。つぎに、この内層の外周表面に、実施例1と同
様の条件で、プラズマ処理を行った。ついで、この内層
のプラズマ処理面に、上記ゴム組成物A(ゴム製外層用
材料)を押し出し成形した後、加硫(160℃×45
分)を行い、表層の外周面にゴム製外層(厚み2mm)
を接着形成した。このようにして、内層とゴム製外層の
2層構造からなる燃料用ホース(内径6mm)を作製し
た。
【0050】
【比較例3】まず、PBN(帝人化成社製、TQB−O
T)を押し出し成形して、内層(厚み0.1mm)を形
成した。つぎに、この内層の外周表面に、実施例1と同
様の条件で、プラズマ処理を行った。ついで、この内層
のプラズマ処理面に、アミン変性PA12(アミン含有
量:5×10-5g当量/g)からなる樹脂製外層(厚み
2mm)を接着形成した。このようにして、内層と樹脂
製外層の2層構造からなる燃料用ホース(内径6mm)
を作製した。
【0051】このようにして得られた実施例品および比
較例品の燃料用ホースを用いて、下記の基準に従い、各
特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表2およ
び表3に併せて示した。
【0052】〔耐クレーズ性〕ホース内にレギュラーガ
ソリンを封入し、これを円筒(R50)に巻き付け、室
温で168時間放置した後、ホース内からレギュラーガ
ソリンを排出した。その後、ホースを長手方向に半割し
て、ホース内面の異常の有無を確認した。評価は、ホー
ス内面にクラック、クレーズ等の異常があるものを×、
ホース内面にクラック、クレーズ等の異常がないものを
○とした。
【0053】〔層間接着力〕ホースを長手方向に半割し
て、長さ100mmに切り出した。そして、このホース
のPBN層もしくはPBT層(中間層もしくは内層)側
を固定し、外層(ゴム層もしくは樹脂層)を毎分50m
mの速度で引っ張り、引張試験機(JISB 772
1)を用いて、両層の層間接着力を測定した。
【0054】〔コネクター挿入性1〕円錐状の治具を用
いてホース端部を拡径した後、そのホース端部に金属製
コネクターを挿入した。その後、ホースを長手方向に切
断して、PBN層もしくはPBT層(中間層もしくは内
層)と外層(ゴム層もしくは樹脂層)の界面のずれを目
視した。評価は、両層間にずれがないものを○、両層間
にずれがあるものを×とした。
【0055】〔コネクター挿入性2〕円錐状の治具を用
いてホース端部を拡径した後、そのホース端部に金属製
コネクターを挿入し、コネクター挿入状態の異常の有無
を確認した。評価は、コネクターがホース内にきちんと
差し込まれているものを○、ホース内へのコネクターの
差し込みが不充分なものを×とした。
【0056】〔耐火炎性〕ホースの外側に炎を30秒間
近づけた後、炎をホースから遠ざけ、ホースに穴があい
ていないかを目視評価した。評価は、ホースに穴があい
ていないものを○、ホースに穴があいているものを×と
した。
【0057】〔耐低温衝撃性〕−40℃で4時間ホース
を冷却した後、すぐに円錐状の治具を30cmの高さか
らホース上に落下させた。その後、ホースを長手方向に
半割して、ホース内外面の異常の有無を確認した。評価
は、ホース内外面に割れ、ひび等の異常がないものを
○、ホース内外面に割れ、ひび等の異常があるものを×
とした。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】上記結果から、全実施例品は、中間層(P
BN層もしくはPBT層)の内周面に、TPEE層を形
成しているため、耐クレーズ性に優れていることがわか
る。また、中間層(PBN層もしくはPBT層)の外周
表面にプラズマ処理をしているため、中間層(PBN層
もしくはPBT層)とゴム製外層との接着力が高く、挿
入性に優れていることがわかる。
【0061】これに対して、全比較例品は、PBN層の
内周面にTPEE層を形成していないため、耐クレーズ
性に劣るとともに、PBN層の内周面にTPEE層を形
成していないため、ホースの剛性が高く、コネクターを
ホース内にきちんと挿入できないことがわかる。また、
比較例1品は、PBN層(内層)の外周表面にプラズマ
処理をしていないため、PBN層(内層)とゴム製外層
との接着力が著しく低く、コネクター挿入性に劣ること
がわかる。比較例3品は、ホースの外層が樹脂(アミン
変性PA12)で形成されているため、耐火炎性や耐低
温衝撃性に劣ることがわかる。
【0062】
【発明の効果】以上のように、本発明の燃料用ホース
は、PBNやPBTを用いてなる低透過樹脂層(中間
層)の内周面に、ポリエステル系熱可塑性エラストマー
を用いて内層を形成しているため、柔軟性が向上する結
果、クレーズの発生を防止することができる。また、本
発明の燃料用ホースは、PBNやPBTを用いてなる低
透過樹脂層(中間層)の外周表面を、プラズマ処理等の
放電処理により活性化しているため、上記中間層とゴム
製外層の層間接着力が高くなり、中間層とゴム製外層と
の界面でのずれが生じなくなり、コネクター挿入性に優
れている。さらに、本発明の燃料用ホースは、ゴム材料
を用いて外層を形成しているため、このゴム製外層がプ
ロテクタ層としての役割を果たし、柔軟性、耐火炎性、
耐チッピング性、耐低温衝撃性、耐カシメ性等に優れる
という効果も奏する。
【0063】そして、本発明の燃料用ホースは、放電処
理した中間層の外周面にゴム材料を被覆して加硫するこ
とによりホースを作製しているため、放電処理により生
じた中間層表面の活性点と、ゴムとの架橋反応により、
中間層とゴム製外層がより強固に接着するようになる。
また、本発明の燃料用ホースの製法は、マンドレルを使
用する必要がないため、製造効率が向上する。
【0064】また、本発明の燃料用ホースは、中間層の
外周表面をプラズマ処理等の放電処理により活性化する
ことにより、上記中間層とゴム製外層とを接着している
ため、接着剤が不要(接着剤レス)である。そのため、
成形の簡素化を図ることができ、しかも低コストである
とともに、接着剤の管理等が不要となるため、接着不良
の要因等が低減し、接着信頼性が向上する。また、従来
のように接着剤層を押し出し加工する必要がないため、
溶融時の高温によりポリエステル系樹脂が分子劣化する
ことがなく、低透過性能等のホース性能を安定化させる
ことができる。さらに、上記中間層とゴム製外層との層
間接着力が強いため、加硫時の熱によって中間層が収縮
することもなく、寸法安定性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料用ホースの一例を示す構成図であ
る。
【符号の説明】 1 内層 2 中間層 3 ゴム製外層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B60K 15/01 B29K 21:00 B29K 21:00 67:00 67:00 B29L 23:00 B29L 23:00 B60K 15/02 C (72)発明者 伊藤 弘昭 愛知県小牧市東三丁目1番地 東海ゴム工 業株式会社内 Fターム(参考) 3D038 CA08 CA19 CA22 CB01 CC17 3H111 AA02 BA11 BA15 CB04 CB14 DA09 DA11 DA26 DB08 DB20 EA04 EA12 4F100 AK41A AK42B AL09A AN00C BA03 BA07 BA10A BA10C DA11 EH20 EH202 EH23 EH232 EJ06 EJ062 EJ52 EJ522 GB32 JB16A JJ07 JL05 JL11 4F213 AA24 AA25 AA45 AG03 AG08 AH17 WA06 WA15 WA33 WA36 WA38 WA43 WA53 WA86 WA92 WB02 WB11 WB22 WE02 WE07 WE16 WF01 WF05 WF06 WF23 WK03 WW06 WW15 WW21 WW31 WW33 WW34

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内層と、この内層の外周面に形成された
    中間層と、この中間層の外周面に形成されたゴム製外層
    とを備えた燃料用ホースであって、上記内層がポリエス
    テル系熱可塑性エラストマーを用いて形成されていると
    ともに、上記中間層がポリブチレンナフタレートおよび
    ポリブチレンテレフタレートの少なくとも一方を用いて
    形成され、かつ、上記中間層の外周表面が放電処理され
    ており、この中間層の放電処理面と上記ゴム製外層とが
    接着していることを特徴とする燃料用ホース。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料用ホースの製法であ
    って、内層用材料と中間層用材料を共押し出しして内層
    の外周面に中間層を形成する工程と、上記中間層の外周
    表面に放電処理を施す工程と、上記放電処理した中間層
    の外周面にゴム材料を被覆して加硫することにより中間
    層の外周面にゴム製外層を形成する工程とを備えたこと
    を特徴とする燃料用ホースの製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007223172A (ja) * 2006-02-23 2007-09-06 Tokai Rubber Ind Ltd ホースの製造方法
JP2008201365A (ja) * 2007-02-22 2008-09-04 Tokai Rubber Ind Ltd 樹脂製燃料タンク用接合部品およびその製法

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