JP2003313190A - シラン類の製造方法 - Google Patents

シラン類の製造方法

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JP2003313190A JP2002118382A JP2002118382A JP2003313190A JP 2003313190 A JP2003313190 A JP 2003313190A JP 2002118382 A JP2002118382 A JP 2002118382A JP 2002118382 A JP2002118382 A JP 2002118382A JP 2003313190 A JP2003313190 A JP 2003313190A
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Yasuaki Yokoyama
泰明 横山
Yasuo Matsuki
安生 松木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 還元剤として水素化ホウ素ナトリウムと水素
化金属との混合物を用いることによって、水素化ホウ素
ナトリウムから生成するボランおよび/またはジボラン
の系外への放出のない安全且つ経済的なシラン類の製造
方法を提供すること。 【解決手段】 ハロゲン化珪素を水素化ホウ素ナトリウ
ムと水素化金属との混合物を用いて還元するシラン類の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化珪素の新
規な還元方法に基づくシラン類の製造方法に関する。さ
らに詳しくは水素化ホウ素ナトリウムと水素化金属との
混合物を用いてハロゲン化珪素を還元する、安全な且つ
経済的な工業的シラン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シラン類の製造方法としては、例えば
S.N.Borisovら、Dokl.Akad.Na
ulx.SSSR,114巻、p93、1957年に開
示された方法、すなわちヒドロシランとクロロシランの
塩化アルミニウム等ルイス酸による再分配反応が知られ
ているが、これら反応は一般に反応が煩雑で収率が低く
目的とする特定のシランを工業的に製造する方法として
はコスト的に問題がある。
【0003】A.Bergerは、Fr.Patent
1429930で水素化ナトリウムによる還元を用い
たシランの製造を開示している。しかし、水素化ナトリ
ウムによる還元は被還元体の反応性および使用する溶媒
の種類にもよるが、一般に還元速度が遅く工業的製造法
としては問題があった。
【0004】また、C. Eabornらは、J.Or
ganometal.Chem.,18巻,p371,
1969年に相当するハロゲン化珪素を水素化リチウム
アルミニウムで還元しシランを製造する方法を開示して
いる。水素化リチウムアルミニウムによる還元は、少量
スケールでの合成では問題ないが、一般的に水素化リチ
ウムアルミニウムを被還元体に対して大過剰に使用する
必要があり、反応後の触媒残渣の湿気に対する反応性が
非常に高く場合によっては発火するために、還元後の触
媒残渣処理が非常に難しい問題があった。
【0005】また、水素化ホウ素ナトリウムや水素化ホ
ウ素ナトリウムと無水塩化アルミニウムとの反応物は、
比較的安全且つ高活性な試薬として工業的な還元反応に
用いられている。しかし、例えばハロゲン化珪素のよう
な化合物の還元試薬として用いると、水素化ホウ素ナト
リウム中の4個の水素(ハイドライド)原子の1個の水
素のみが還元に使用され、残りの3個の水素原子はボラ
ンおよび/またはジボランを生成する。ハロゲン化珪素
のハロゲン1分子に水素化ホウ素ナトリウム1分子が必
要で、工業的に使用するためには経済的な還元試薬とい
えない問題があった。さらに、ボランおよび/またはジ
ボランは激しい毒性を示し嗅覚を麻痺させる性質があ
り、反応系の系外に放出すると大きな危険性を伴い、水
素化ホウ素ナトリウムは優れた還元試薬だが、安全且つ
経済的に使用するためには大きな問題を抱えていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ハロ
ゲン化珪素の新規な還元方法に基づくシラン類の製造方
法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、水素化ホウ素ナトリ
ウムと水素化金属との混合物を用いてハロゲン化珪素を
還元し、ボランおよび/またはジボラン等の、例えば毒
性等危険性の高い揮発性化合物の発生のない、安全且つ
経済的な工業的シラン類の製造方法を提供することにあ
る。
【0008】本発明のさらに他の目的および利点は、以
下の説明から明らかになろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、下記式(A) R123SiX ・・・(A) ここで、R1、R2およびR3は、同一もしくは異なり、
水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基また
はハロゲン原子であるか、あるいはそのうちの2つはそ
れらが結合している珪素原子と一緒になって環を形成し
てもよく、そしてXはハロゲン原子である、で表される
ハロゲン化珪素化合物または下記式(B) Sinab ・・・(B) ここで、Yは水素原子、アルキル基、アルケニル基また
はアリール基であり、nは2以上の整数であり、aは0
または1以上の整数でありそしてbは1以上の整数であ
る、但しa+bは(2n−2)〜(2n+2)の整数で
あるものとする、で表されるハロゲン化珪素化合物を、
水素化ホウ素ナトリウムと水素化金属との混合物で還元
することを特徴とするシラン類の製造方法によって達成
される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で原料として用いられるハ
ロゲン化珪素化合物は、上記式(A)または(B)で表
される。
【0011】上記式(A)中のR1、R2およびR3は、
水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基また
はハロゲン原子である。また、R1、R2およびR3のう
ちの任意の2つすなわちR1とR2、R1とR3またはR2
とR3は、それらが結合している珪素原子と一緒になっ
て、環を形成していてもよい。また上記式(B)中のY
は水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアリール
基である。
【0012】アルキル基としては、炭素数1〜20の直
鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましい。アルケ
ニル基としては、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐
鎖状のアルケニル基が好ましい。アリール基としては、
例えばフェニル、ナフチル等を挙げることができる。ま
た、式(A)および(B)中のXはハロゲン原子であ
る。ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭
素、沃素等を挙げることができる。さらに、R1、R2
よびR3のうちの2つがそれらが結合する珪素原子と一
緒になって形成することができる環は3〜10員環が好
ましい。
【0013】上記アルキル基、アルケニル基、アリール
基および環は、例えばアルコキシ基等の置換基で置換さ
れていてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】上記式(A)および(B)で表さ
れるハロゲン化珪素の具体例としては、トリクロロシラ
ン、トリブロモシラン、フェニルトリクロロシラン、フ
ェニルトリブロモシラン、メチルトリクロロシラン、メ
チルトリブロモシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメ
チルジブロモシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエチ
ルジブロモシラン、トリメチリクロロシラン、トリメチ
ルブロモシラン、メチルフェニルジクロロシラン、メチ
ルフェニルジブロモシラン、エチルフェニルジクロロシ
ラン、エチルフェニルジブロモシラン、ジフェニルジク
ロロシラン、ジフェニルジブロモシラン、ジメチルプロ
ピルクロロシラン、メチルプロピルジクロロシラン、t
−ブチル−メチル−ジクロロシラン、ジt−ブチルジク
ロロシラン、ヘプチルトリクロロシラン、2−フェニル
エチルーメチルジクロロシラン、1−フェニルエチル−
メチルジクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシ
ラン、1−トリクロロシリル−3−メチル−1−ブテ
ン、クロロメチルジクロロシラン、アリルトリクロロシ
ラン、1,1−ジクロロ−1−シラシクロブタン、1,1
−ジクロロ−1−シラシクロペンタン、1−クロロ−1
−メチル−1−シラシクロペンタン、1,1−ジクロロ
−1−シラシクロヘキサン、1−クロロ−1−メチル−
1−シラシクロヘキサン、1−t−ブチルー1−クロロ
−1−シラシクロヘキサン、1−t−ブトキシ−1−ク
ロロー1−シラシクロヘキサン、1−フェニル−1−ク
ロロ−1−シラシクロヘキサン、1−クロロ−1−シラ
ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1−クロロ−1−シ
ラビシクロ[2,2,2]オクタンの如きモノシラン、
ヘキサクロロジシラン、ヘキサブロモジシラン、ペンタ
メチルクロロジシラン、1,2−ジクロロテトラメチル
ジシラン、1,1,2−トリクロロトリメチルジシラ
ン、1,1,1−トリクロロジシランの如きジシラン、
ヘキサクロロシクロトリシラン、オクタクロロシクロテ
トラシラン、デカクロロシクロペンタシラン、トリクロ
ロシリルノナクロロシクロペンタシラン、ドデカクロロ
シクロヘキサシラン、テトラデカクロロシクロヘプタシ
ラン、ヘキサデカクロロシクロオクタシランの如きハロ
ゲン化環状シラン化合物、ドデカクロロ−n−ペンタシ
ラン、ドデカクロロ−iso−ペンタシラン、ドデカク
ロロ−neo−ペンタシラン、テトラデカクロロ−n−
ヘキサシラン、ヘキサデカクロロ−n−ヘプタシラン、
オクタデカクロロ−n−オクタシラン、ドコサクロロ−
n−ノナシランの如きハロゲン化鎖状シラン化合物、ド
デカクロロ−1,1’−ビシクロブタシラン、ヘキサデ
カクロロ−1,1’−ビシクロペンタシラン、エイコサ
クロロ−1,1’−ビシクロヘキサシラン、テトラコサ
クロロ−1,1’−ビシクロヘプタシラン、テトラデカ
クロロ−1,1’−シクロブタシリルシクロペンタシラ
ン、ヘキサデカクロロ−1,1’−シクロブタシリルシ
クロヘキサシラン、オクタデカクロロ−1,1’−シク
ロブタシリルシクロヘプタシラン、オクタデカクロロ−
1,1’−シクロペンタシリルシクロヘキサシリルシラ
ン、エイコサクロロ−1,1’−シクロペンタシリルシ
クロヘプタシラン、ドコサクロロ−1,1’−シクロヘ
キサシリルシクロヘプタシラン、オクタクロロ−スピロ
[2,2]ペンタシラン、ドデカクロロ−スピロ[3,
3]ヘプタシラン、ヘキサデカクロロ−スピロ[4,
4]ノナシラン、オクタデカクロロ−スピロ[4,5]
デカシラン、エイコサクロロ−スピロ[4,6]ウンデ
カシラン、エイコサクロロ−スピロ[5,5]ウンデカ
シラン、ドコサクロロ−スピロ[5,6]ウンデカシラ
ン、テトラコサクロロ−スピロ[6,6]トリデカシラ
ンの如きハロゲン化スピロシラン化合物、ヘキサクロロ
ヘキサシラプリズマン、オクタクロロオクタシラキュバ
ンの如きハロゲン化多環状化合物を挙げることができ
る。これらの化合物は還元した化合物の使用目的に応じ
て任意に使用することができる。またこれら化合物は、
単独でまたは2種類以上一緒に使用することもできる。
【0015】本発明に用いる水素化金属としては、例え
ば水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウ
ム、水素化カルシウム、水素化マグネシウムを挙げるこ
とができる。また、流動パラフイン等高沸点の炭化水素
系溶媒中に分散させた水素化金属、例えば一般に市販さ
れている油性水素化ナトリウム(例えば水素化ナトリウ
ムの濃度60%の油性水素化ナトリウム)等を用いるこ
ともできる。これらの水素化金属は、水素化金属として
単独で用いてもよく2種類以上の水素化金属を混合して
用いてもよい。
【0016】水素化金属は、還元される化合物のSi−
ハロゲン基の全モル数に対して好ましくは75モル%以
上、より好ましくは80〜500モル%、さらに好まし
くは100〜300モル%で使用される。使用される水
素化金属が75モル%以下では還元が完結しなかったり
水素化ホウ素ナトリウムから生成するボランおよび/ま
たはジボランの発生が見られることがある。使用される
水素化金属が500モル%以上では使用されない水素化
金属が多く、反応の後処理が困難になることがある。ま
た、水素化ホウ素ナトリウムの使用量は、還元される化
合物のSi−ハロゲン基の全モル数に対して、好ましく
は5〜200モル%、より好ましくは10〜150モル
%、さらに好ましくは25〜100モル%で使用され
る。水素化ホウ素ナトリウムの使用量が5モル%以下で
は還元が十分に進行しないことがあり、200モル%以
上では水素化ホウ素ナトリウムから生成するボランおよ
び/またはジボランが還元に使用されることなく反応系
の系外に放出されることがある。
【0017】また、水素化ホウ素ナトリウムと水素化金
属の割合は、水素化ホウ素ナトリウム1モルに対して、
水素化金属を好ましくは0.5〜20モル、より好まし
くは0.8〜15モル、さらに好ましくは1.0〜10
モルである。0.5モル未満であると生成物の収率が低
い場合があり、20モルを超えて存在させる必要性はな
い。
【0018】本発明の還元は溶剤を使用しても使用しな
くてもよい。反応を適当にコントロールするために溶剤
を使用するときは、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロオクタン、n
−デカンの如き脂肪族炭化水素類、インデン、デカリ
ン、テトラリンの如き脂環式炭化水素類、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、エチルベンゼン、t−ブチルベンゼ
ン、トリメチルベンゼンの如き芳香族炭化水素類、エチ
ルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エ
チレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンの如きエー
テル類、ヘキサメチルホスホミド、ジメチルスルホキシ
ドの如き活性水素を有しない極性化合物等が用いられ
る。これらの溶剤中、エーテル類および炭化水素類を用
いるのが好ましい。これらの溶剤は、単独でも2種類以
上を混合して用いてもよい。
【0019】ハロゲン化珪素と溶剤との使用割合は特に
限定されるものではなく、ハロゲン化珪素の還元され易
さおよび溶解性に応じて任意に選択することができる。
還元される化合物の溶液中の濃度で、好ましくは1〜8
0重量%、より好ましくは2〜75重量%、さらに好ま
しくは5〜70重量%である。溶剤の使用量が、還元さ
れる化合物の濃度で、1重量%以下では還元速度が遅
く、80重量%以上では反応が速くコントロールが困難
なことがある。
【0020】ハロゲン化珪素の還元温度は特に限定され
るものではなく、ハロゲン化珪素の還元され易さに応じ
て任意に選択することができる。例えば−50〜200
℃、好ましくは−20〜150℃、さらに好ましくは−
10〜100℃の温度とすることができる。還元温度が
−50℃以下では還元が遅く、200℃以上では、還元
以外の副反応が生じることがある。
【0021】本発明の還元時間は、還元される化合物の
反応性によるが、好ましくは0.5〜48時間、より好
ましくは1〜24時間である。本発明の還元反応は、連
続式およびバッチ式のいずれの方式でも、例えば水素化
ホウ素ナトリウムと水素化金属との混合物の溶液と被還
元体であるハロゲン化珪素、またはその溶液とを接触さ
せることにより実施される。例えば上記混合物の溶液中
に、被還元体またはその溶液を滴下したりあるいは両者
を移液中配管中で混合したりする方法が挙げられる。滴
下の場合、被還元体の滴下速度は、還元される化合物の
反応性と反応スケールによるが、好ましくは0.5〜4
8時間、より好ましくは1〜24時間である。滴下時間
が0.5時間より速いと水素化ホウ素ナトリウムから生
成するボランおよび/またはジボランが還元に使用され
ることなく反応系の系外に放出されることがある。ま
た、滴下時間が48時間より長いと、工業的製造として
は経済的ではない。また、還元剤または被還元体の滴下
時間は、ボランおよび/またはジボランと系外への放出
を見ながら適宜滴下速度を調整することもできる。
【0022】反応は、乾燥し且つ酸素をほとんど含まな
い不活性ガスの雰囲気下で実施される。不活性のガスと
しては、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等を単独でま
たは混合して用いることができる。不活性ガスの流量
は、還元される化合物の反応性および生成する被還元体
の安定性に応じて選択され、特に限定されるものではな
い。得られた反応混合物は常法により後処理される。目
的物の精製は蒸留またはカラムクロマトグラフによって
行うことができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を下記実施例により詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0024】実施例1 滴下ロート、コンデンサー、3方コックおよび温度計を
装着した4口フラスコに18.9gの水素化ホウ素ナト
リウム、40.0gの濃度60%の油性水素化ナトリウ
ムおよび500mlのジエチルエーテルを秤量し、滴下
ロートに126.6gのジフェニルジクロロシランおよ
び750mlのシクロヘキサンを秤量した。4口のナス
フラスコに装着したコンデンサーの上部に3方コックを
取り付け、4口のナスフラスコに装着した3方コックそ
の1方から乾燥窒素ガスをゆっくりとフローさせ容器内
を十分に乾燥窒素で置換した後、4口のナスフラスコに
装着した3方コックは閉じ、コンデンサーの上部に装着
した3方コックの1方から乾燥窒素ガスをゆっくりとフ
ローさせた。三方コックの残りの一口は、テフロン(登
録商標)チュ−ブにてガラス製焼成管に連結し、廃棄さ
れる窒素および反応から発生するガスが500℃に加熱
した焼成管中をフローしたのち、大気中に放出されるよ
うにした。次に、室温で攪拌しながら滴下ロート中のジ
フェニルジクロロシランのシクロヘキサン溶液を10時
間で滴下した。滴下終了後、さらに10時間室温で反応
させた。反応中および反応後に500℃に加熱したガラ
ス製焼成管を観察したが、ボランおよび/またはジボラ
ンの焼き付け(熱CVD)により発生するホウ素の析出
は全く見られなかった。
【0025】反応後、4口フラスコの反応溶液を0.2
μmのメンブランフィルターで濾過し、さらに乾燥N2
ガスを吹き付け濃縮した。濃縮中に生成した不溶性の沈
殿物を0.2μmのメンブランフィルターで繰り返し濾
過して不溶性成分を除去し、85gの生成物1を得た。
この生成物は、1H−NMRスペクトル(トルエン−d8
中)で4.8ppm(単一線、2H)にSi−Hの吸収
および6.8および7.2ppm(共に多重線、10
H)にフェニル基に帰属される吸収が観察され、且つガ
スクロマトグラフィーで単一の吸収を示したことから、
生成物がジフェニルジクロロシランの還元体であるジフ
ェニルシランであることを確認した。得られた生成物の
1H−NMRスペクトルを図1に示した。
【0026】実施例2 実施例1のジフェニルジクロロシランの代わりに49.
5gのデカクロロシクロペンタシランを用いた以外は、
実施例1と同様に室温で20時間反応させ、4口フラス
コから12.1gの生成物2を得た。生成物2は、1
−NMRスペクトル、Si−NMRスペクトルおよびガ
スクロマトグラフィーからデカクロロシクロペンタシラ
ンの還元体であるシクロペンタシランであることを確認
した。
【0027】図2に生成物の1H−NMRスペクトル
(CDCl3中)を示す。スペクトルは3.3ppm
(単一線)にSi−Hの吸収を示した。
【0028】実施例3 実施例1のジフェニルジクロロシランの代わりに147
gのトリフェニルクロロシランを用いた以外は、実施例
1と同様に室温で20時間反応させ、4口フラスコから
110gの生成物3を得た。生成物3は、1H−NMR
スペクトル、Si−NMRスペクトルおよびガスクロマ
トグラフィーから、トリフェニルクロロシランの還元体
であるトリフェニルシランであることを確認した。
【0029】生成物の1H−NMRスペクトル(トルエ
ン−d8中)は、5.4ppm(単一線)にSi−Hの
吸収を、6.9および7.3ppm(共に多重線)にフ
ェニル基の吸収を示した。
【0030】実施例4 実施例1のジフェニルジクロロシランの代わりに127
gのメチルフェニルジクロロシランを用いた以外は、実
施例1と同様に室温で20時間反応させ、4口フラスコ
から55gの生成物4を得た。生成物4は、1H−NM
Rスペクトル、Si−NMRスペクトルおよびガスクロ
マトグラフィーから、メチルフェニルジクロロシランの
還元体であるメチルフェニルシランであることを確認し
た。
【0031】生成物の1H−NMRスペクトル(トルエ
ン−d8中)は、4.2ppm(四重線)にSi−Hの
吸収を、6.9および7.1ppm(共に多重線)にフ
ェニル基の吸収を、および−0.2ppm(三重線)に
Si−CH3の吸収をそれぞれ示した。
【0032】実施例5 実施例1のジフェニルジクロロシランの代わりに106
gのフェニルトリクロロシランを用いた以外は、実施例
1と同様に室温で20時間反応させ、4口フラスコから
50gの生成物5を得た。生成物5は、1H−NMRス
ペクトル、Si−NMRスペクトルおよびガスクロマト
グラフィーから、フェニルトリクロロシランの還元体で
あるフェニルシランであることを確認した。
【0033】生成物の1H−NMRスペクトル(トルエ
ン−d8中)は、3.9ppm(単一線)にSi−Hの
吸収を、6.8および7.1ppm(共に多重線)にフ
ェニル基の吸収を示した。
【0034】実施例6 実施例1のシクロヘキサン750mlの代わりにトルエ
ン750mlを用いた以外は、実施例1と同様に室温で
20時間反応させ、4口フラスコから80gの生成物6
を得た。生成物6は、1H−NMRスペクトル、Si−
NMRスペクトルおよびガスクロマトグラフィーから、
ジフェニルジクロロシランの還元体であるジフェニルシ
ランであることを確認した。
【0035】実施例7 実施例1のジエチルエーテル500mlの代わりにエチ
レングリコールジメチルエーテル500mlを用いた以
外は、実施例1と同様に室温で20時間反応させ、4口
フラスコから78gの生成物7を得た。生成物7は、1
H−NMRスペクトル、Si−NMRスペクトルおよび
ガスクロマトグラフィーから、ジフェニルジクロロシラ
ンの還元体であるジフェニルシランであることを確認し
た。
【0036】実施例8 実施例2のシクロヘキサン750mlの代わりにトルエ
ン750mlを用いた以外は、実施例2と同様に室温で
20時間反応させ、4口フラスコから13gの生成物8
を得た。生成物8は、1H−NMRスペクトル、Si−
NMRスペクトルおよびガスクロマトグラフィーから、
デカクロロシクロペンタシランの還元体であるシクロペ
ンタシランであることを確認した。
【0037】実施例9 実施例1の水素化ナトリウム40gの代わりに水素化リ
チウム8.0gを用いた以外は、実施例1と同様に室温
で20時間反応させ、4口フラスコから85gの生成物
9を得た。生成物9は、1H−NMRスペクトル、Si
−NMRスペクトルおよびガスクロマトグラフィーか
ら、生成物がジフェニルジクロロシランの還元体である
ジフェニルシランであることを確認した。
【0038】実施例10 実施例2のデカクロロシクロペンタシラン49.5gの
代わりにトリクロロシリルノナクロロシクロペンタシラ
ン49.5gを用いた以外は、実施例2と同様に室温で
20時間反応させ、4口フラスコから12.5gの生成
物10を得た。生成物10は、1H−NMRスペクト
ル、Si−NMRスペクトルおよびガスクロマトグラフ
ィーから、トリクロロシリルノナクロロシクロペンタシ
ランの還元体であるシリルシクロペンタシランであるこ
とを確認した。
【0039】
【発明の効果】水素化ホウ素ナトリウムと水素化金属と
の混合物を用いハロゲン化珪素を還元することによっ
て、ボランおよび/またはジボラン等の例えば毒性等危
険性の高い揮発性化合物の発生がなく、安全且つ経済的
にシラン類を工業的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の生成物であるジフェニルシランの1
H−NMRスペクトルである。
【図2】実施例2の生成物であるシクロペンタシランの
1H−NMRスペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G072 AA06 AA07 HH07 HH08 HH09 HH10 HH11 JJ25 MM01 RR04 4H049 VN01 VP01 VQ05 VQ07 VS09 VS12 VT31 VU22

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(A) R123SiX ・・・(A) ここで、R1、R2およびR3は、同一もしくは異なり、
    水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基また
    はハロゲン原子であるか、あるいはそのうちの2つはそ
    れらが結合している珪素原子と一緒になって環を形成し
    てもよく、そしてXはハロゲン原子である、で表される
    ハロゲン化珪素化合物または下記式(B) Sinab ・・・(B) ここで、Yは水素原子、アルキル基、アルケニル基また
    はアリール基であり、nは2以上の整数であり、aは0
    または1以上の整数でありそしてbは1以上の整数であ
    る、但しa+bは(2n−2)〜(2n+2)の整数で
    あるものとする、で表されるハロゲン化珪素化合物を、
    水素化ホウ素ナトリウムと水素化金属との混合物で還元
    することを特徴とするシラン類の製造方法。
  2. 【請求項2】 水素化金属の金属がナトリウムである請
    求項1記載のシラン類の製造方法。
  3. 【請求項3】 水素化金属の金属がリチウムである請求
    項1記載のシラン類の製造方法。
  4. 【請求項4】 Sinabで表されるハロゲン化珪素
    化合物がデカクロロシクロペンタシランである請求項1
    記載のシラン類の製造方法。
  5. 【請求項5】 Sinabで表されるハロゲン化珪素
    化合物がトリクロロシリルノナクロロシクロペンタシラ
    ンである請求項1記載のシラン類の製造方法。
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