JP2003312513A - 操舵装置 - Google Patents

操舵装置

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JP2003312513A
JP2003312513A JP2002121249A JP2002121249A JP2003312513A JP 2003312513 A JP2003312513 A JP 2003312513A JP 2002121249 A JP2002121249 A JP 2002121249A JP 2002121249 A JP2002121249 A JP 2002121249A JP 2003312513 A JP2003312513 A JP 2003312513A
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Japan
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steering
myoelectric potential
signal
driver
envelope
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Application number
JP2002121249A
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English (en)
Inventor
Tomoyasu Kada
友保 嘉田
Masaya Segawa
雅也 瀬川
Kenji Azuma
賢司 東
Masayasu Azuma
真康 東
Ryohei Hayama
良平 葉山
Shingo Maeda
真悟 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転者の筋電位を示す信号等を操舵信号とす
る操舵装置において、操舵操作を容易なものとする。 【解決手段】 運転者の筋電位信号の包絡線を示す右側
包絡線信号SeRおよび左側包絡線信号SeLがモータ制御
手段としてのマイコンに入力され、マイコンは、右側お
よび左側包絡線信号SeR,SeLのいずれかが閾値ε(0
近傍の正値)よりも大きければ、舵角目標値θtをθt
=K1・(SeR−SeL)により算出し(K1は所定の係
数)(S364)、右側および左側包絡線信号SeR,S
eLが閾値ε以下であれば、中点復帰処理のために舵角目
標値θtを“0”とする(S366)。マイコンは、上
記舵角目標値θtと舵角センサによる舵角の検出値θと
の偏差θt−θに基づく制御演算によって電圧指令値を
算出する。この電圧指令値に応じた電圧がモータに印加
されることにより、車両の実際の舵角が舵角目標値θt
となるようにモータが駆動される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータを駆動
することにより車両のステアリング機構に操舵力を与え
る操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】身体障害者による自動車の運転を可能に
するには、通常の操舵装置と大きく異なる構成の操舵装
置が必要となる。しかも、身体障害者の障害部位は種々
異なるので、障害部位に応じて異なる構成の操舵装置を
設計しなければならない。このため、身体障害者用の操
舵装置を備えた車両は高価なものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、本願出願
人が平成12年12月28日に出願した特願2000−
402250号には、電動モータからステアリング機構
に操舵力を与える操舵装置であって、運転者の身体の右
側部位に装着されて当該右側部位の筋電位を検出する第
1筋電位検出手段と、運転者の身体の左側部位に装着さ
れて当該左側部位の筋電位を検出する第2筋電位検出手
段と、上記第1筋電位検出手段および第2筋電位検出手
段の出力に基づいて上記電動モータを駆動制御するモー
タ制御手段とを含むことを特徴とする操舵装置が開示さ
れている。このような操舵装置によれば、第1筋電位検
出手段および第2筋電位検出手段の装着部位に加えられ
る筋力に応じてステアリング機構に右方向操舵力または
左方向操舵力が与えられ、これにより車両が操舵され
る。ここで、運転者が身体障害者である場合には、障害
部位に応じた適切な装着箇所を選択して、第1筋電位検
出手段および第2筋電位検出手段を装着すればよいの
で、このような操舵装置は、障害部位によらずに使用可
能であり、通常の操舵装置における一部の構成のみを変
更することで実現可能である。したがって、身体障害者
が運転可能な車両を低コストで実現することができる。
【0004】しかし、上記のように筋電位を示す信号等
の生体信号を操舵操作のための入力信号とする操舵装置
では、生体信号の強度の個人差やばらつきが大きいこと
等により、操舵操作は容易ではなく、微妙な操舵操作が
困難である。
【0005】また、車両の運転者が予期しない外部状況
に遭遇することにより正しい判断および動作が不可能ま
たは困難な状態(以下「緊急状態」という)となった場
合には、運転者の意図に沿った操舵ができなくなる。こ
のような緊急状態において危険を回避するためには、ま
ず、緊急状態か否かを的確に判定する手段が必要とな
る。しかし、従来、このような緊急状態を的確に検出で
きる装置は存在しなかった。
【0006】さらに、上記のように筋電位信号を操舵操
作のための入力信号とする操舵装置において、長時間操
舵を続けたこと等により筋肉が疲労したときには、危険
回避等のための急操舵に対応できなくなるという問題も
ある。
【0007】そこで本発明は、運転者の筋電位を示す信
号等の生体信号を操舵操作のための入力信号とする操舵
装置であって上記のような問題を解決した操舵装置を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】第1の
発明は、電動モータを駆動することにより車両のステア
リング機構に操舵力を与える操舵装置であって、前記ス
テアリング機構に右方向操舵力を与えるために、前記車
両の運転者の身体の筋電位を検出する第1筋電位検出手
段と、前記ステアリング機構に左方向操舵力を与えるた
めに、前記車両の運転者の身体の筋電位を検出する第2
筋電位検出手段と、前記第1および第2筋電位検出手段
によって検出された筋電位に基づいて前記電動モータを
駆動することにより、前記車両の操舵角または操舵速度
を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】このような第1の発明によれば、運転者の
身体の筋電位に基づく電動モータの駆動により操舵角ま
たは操舵速度が制御されるので、運転者の意図に沿った
操舵を容易に行える。
【0010】第2の発明は、第1の発明において、前記
第1筋電位検出手段によって検出された筋電位を示す信
号の包絡線を示す信号である右側包絡線信号を生成する
第1包絡線処理手段と、前記第2筋電位検出手段によっ
て検出された筋電位を示す信号の包絡線を示す信号であ
る左側包絡線信号を生成する第2包絡線処理手段とを更
に備え、前記制御手段は、前記右側および左側包絡線信
号に基づいて前記電動モータを駆動することにより、前
記車両の操舵角または操舵速度を制御することを特徴と
する。
【0011】このような第2の発明によれば、筋電位を
示す信号をそのまま使用するのではなく、それら筋電位
を示す信号の包絡線を示す右側および左側包絡線信号が
使用され、これら包絡線信号に基づく電動モータの制御
により操舵角または操舵速度が制御されるので、値に不
要な増減がなく運転者の意図をより反映した信号に基づ
いて車両の操舵が制御される。これにより、運転者の意
図に沿った操舵を更に容易に行え、微妙な操舵が可能と
なる。
【0012】第3の発明は、第1の発明において、前記
運転者が筋力を発生させるために身体の一部を直接的ま
たは間接的に接触させる対抗物を更に備えることを特徴
とする。
【0013】このような第3の発明によれば、筋力を発
生させるための対抗物が使用されるので、運転者の意図
に沿った筋力の発生が容易となり、発生する筋電位のば
らつきが抑えられて筋電位を示す信号が安定する。この
ため、筋電位に基づく操舵操作を容易に行うことがで
き、操舵操作に特別な習熟を必要としない。
【0014】第4の発明は、第1の発明において、前記
第1筋電位検出手段は、前記運転者の身体の右側部位に
おける複数箇所の筋電位を検出し、前記第2筋電位検出
手段は、前記運転者の身体の左側部位における複数箇所
の筋電位を検出し、前記制御手段は、前記第1筋電位検
出手段によって検出された前記複数箇所の筋電位および
前記第2筋電位検出手段によって検出された前記複数箇
所の筋電位に基づいて前記電動モータを駆動することに
より、前記車両の操舵角または操舵速度を制御すること
を特徴とする。
【0015】このような第4の発明によれば、運転者の
身体の右側部位および左側部位のそれぞれにつき複数位
置の筋電位が検出され、右側部位についての複数の筋電
位および左側部位についての複数の筋電位に基づく電動
モータの駆動(例えば右側部位の複数の筋電位の平均値
および左側部位の複数の筋電位の平均値に基づく電動モ
ータの駆動)により操舵角または操舵速度が制御される
ので、操舵入力としての筋電位のばらつきが抑えられ
る。このため、筋電位に基づく車両の操舵操作が容易な
ものとなる。
【0016】第5の発明は、第1の発明において、前記
第1および第2筋電位検出手段によって検出された筋電
位のレベルが所定値よりも低下したか否かにより前記運
転者の筋肉が疲労したか否かを判定する疲労判定手段
と、前記疲労判定手段によって前記運転者の筋肉が疲労
したと判定されたときに、警告を発する告知手段とを更
に備えることを特徴とする。
【0017】このような第5の発明によれば、運転者が
長時間操舵を続ける等により筋肉が疲労した場合には警
告が発せられるので、筋肉の疲労により緊急時に急操舵
に対応できなくなる等の危険を回避することができる。
【0018】第6の発明は、電動モータを駆動すること
により車両のステアリング機構に操舵力を与える操舵装
置であって、前記車両の運転者の生体信号を検出する信
号検出手段と、前記運転者が予期しない外部状況に遭遇
した状態である緊急状態であることを、前記生体信号の
値と周期と変化速度と変化加速度と変化加速度の変化速
度とのうち少なくともいずれか1つに基づいて検出する
緊急状態検出手段とを備えることを特徴とする。
【0019】このような第6の発明によれば、運転者が
予期しない外部状況に遭遇した場合、すなわち緊急状態
となった場合には、運転者の生体信号の値と周期と変化
速度と変化加速度と変化加速度の変化速度とのうち少な
くともいずれか1つに基づいて当該緊急状態が検出され
る。緊急状態において運転者がパニック状態すなわち正
しい判断および動作が不可能または困難な状態となるか
否かについては個人差があるが、本発明によれば、運転
者の生体信号についての上記情報により緊急状態が検出
されるので、危険度の高い緊急状態を個人差を抑えつつ
的確に検出することができる。
【0020】第7の発明は、第6の発明において、前記
緊急状態検出手段によって前記運転者が緊急状態である
ことが検出されたときに、前記車両が最大転舵可能な状
態に前記ステアリング機構を設定する緊急時設定手段を
更に備えることを特徴とする。
【0021】このような第7の発明によれば、運転者が
緊急状態であることが検出されると、車両が最大転舵可
能な状態に設定されるので、その緊急状態からの脱出が
容易となる。これにより、車両の事故を低減することが
できる。
【0022】<その他の課題解決手段>上記目的を達成
するための課題解決手段として上記発明以外に下記の課
題解決手段が本明細書において開示されている。第1の
課題解決手段は、上記第2の発明において、前記制御手
段は、前記車両の操舵角または操舵速度が前記右側包絡
線信号と前記左側包絡線信号との差に応じた値になるよ
うに前記電動モータを駆動することを特徴とする。この
ような第1の課題解決手段によれば、ステアリング機構
の操舵角または操舵速度が例えば運転者の右側部位の筋
電位と左側部位の筋電位との差に応じた値となるので、
運転者の意図に沿った操舵操作を容易に行える。
【0023】第2の課題解決手段は、上記第2の発明に
おいて、前記制御手段は、前記車両の操舵速度が前記右
側包絡線信号と前記左側包絡線信号との差の変化速度に
応じた値になるように前記電動モータを駆動することを
特徴とする。第3の課題解決手段は、上記第2の発明に
おいて、前記制御手段は、前記車両の操舵速度が前記右
側包絡線信号と前記左側包絡線信号との差に応じた値で
あって当該差の変化速度を加味した値になるように前記
電動モータを駆動することを特徴とする。第4の課題解
決手段は、上記第2の発明において、前記制御手段は、
前記車両の操舵速度が前記右側包絡線信号と前記左側包
絡線信号との差の変化加速度に応じた値になるように前
記電動モータを駆動することを特徴とする。第5の課題
解決手段は、上記第2の発明において、前記制御手段
は、前記車両の操舵速度が前記右側包絡線信号と前記左
側包絡線信号との差に応じた値であって当該差の変化加
速度を加味した値になるように前記電動モータを駆動す
ることを特徴とする。第6の課題解決手段は、上記第2
の発明において、前記制御手段は、前記車両の操舵速度
が前記右側包絡線信号と前記左側包絡線信号との差に応
じた値であって当該差の変化速度および変化加速度を加
味した値になるように前記電動モータを駆動することを
特徴とする。第7の課題解決手段は、上記第2の発明に
おいて、前記制御手段は、前記車両の操舵速度が前記右
側包絡線信号と前記左側包絡線信号との差の変化速度に
応じた値であって当該差の変化加速度を加味した値にな
るように前記電動モータを駆動することを特徴とする。
上記第2から第7の課題解決手段によれば、ステアリン
グ機構の操舵速度が例えば運転者の右側部位の筋電位と
左側部位の筋電位との差の変化速度および/または変化
加速度を反映した値となるので、運転者の意図に沿った
操舵操作が更に容易なものとなる。
【0024】第8の課題解決手段は、上記第2の発明に
おいて、前記制御手段は、前記車両のタイヤ角が前記右
側包絡線信号と前記左側包絡線信号との差に応じた値に
なるように前記電動モータを駆動することを特徴とす
る。このような第8の課題解決手段によれば、電動モー
タの発生する操舵力をステアリング機構に伝達するため
の減速ギヤの減速比が変更された場合において操舵の操
作感の変化を抑制することができる。
【0025】第9の課題解決手段は、上記第2の発明、
第1から第8の課題解決手段のいずれかにおいて、前記
制御手段は、前記右側包絡線信号および前記左側包絡線
信号の値が所定値以下であるときに、前記車両の操舵角
が前記車両の直進走行に対応する値である中立値となる
ように前記電動モータを駆動することを特徴とする。こ
のような第9の課題解決手段によれば、運転者が操舵操
作のために発生させる筋力が所定値よりも小さくなれ
ば、ステアリング機構の舵角を中立値(“0”)とする
中点復帰処理が行われるので、中点復帰のための操舵操
作が容易となる。また、車両の中点復帰性能が向上し、
セルフアライニングトルクによる中点復帰性能の悪い車
両であっても良好に中点復帰が行われるようになる。
【0026】第10の課題解決手段は、上記第1の発明
において、前記第1および第2筋電位検出手段によって
検出された筋電位または筋電位差の変化に対する前記操
舵角または前記操舵速度の変化の比である運転操作ゲイ
ンを調整するためのゲイン設定手段を更に備えることを
特徴とする。このような第10の課題解決手段によれ
ば、ゲイン設定手段で運転操作ゲインを調整することに
より、筋力発生についての運転者の個人差を解消して操
舵操作を容易なものとすることができる。
【0027】第11の課題解決手段は、上記第3の発明
において、前記対抗物は、前記運転者の身体の一部によ
って前記対抗物に加えられる圧力を検出する圧力検出手
段を含み、前記制御手段は、前記第1および第2筋電位
検出手段によって検出された筋電位に基づき前記電動モ
ータを駆動する第1の制御モードと、前記圧力検出手段
によって検出された圧力に基づき前記電動モータを駆動
する第2の制御モードとの間で、前記電動モータの駆動
のための制御モードを切り換えるモード切換手段を含む
ことを特徴とする。このような第11の課題解決手段に
よれば、必要に応じ、第1および第2筋電位検出手段に
よって検出される筋電位に代えて、圧力検出手段によっ
て検出される圧力に基づき操舵操作を行うことができ
る。また、筋電位検出手段と圧力検出手段のうちいずれ
か一方が故障したときに他方からの検出値に基づき操舵
操作を行えるので、操舵装置としてのフェールセーフ機
能が向上する。
【0028】第12の課題解決手段は、上記第4の発明
において、前記制御手段は、前記第1および第2筋電位
検出手段によって検出された複数箇所の筋電位のうち値
が所定範囲内の筋電位を正常筋電位として選択し、当該
正常筋電位のみに基づいて前記電動モータを駆動するこ
とを特徴とする。このような第12の課題解決手段によ
れば、複数箇所の筋電位を検出する筋電位検出手段が部
分的に故障したときに、正常部分に対応する箇所で検出
される筋電位(正常筋電位)にのみ基づいて操舵操作が
行われるので、操舵装置としてのフェールセーフ機能が
向上する。
【0029】第13の課題解決手段は、上記第4の発明
において、前記第1および第2筋電位検出手段は、筋電
位を検出すべき前記複数箇所にそれぞれ対応する複数個
の端子が内側に取り付けられた衣服またはグローブを含
むことを特徴とする。このような第13の課題解決手段
によれば、筋電位検出用の複数個の端子が内側に取り付
けられた衣服またはグローブを運転者が着用すること
で、筋電位センサまたは筋電位測定端子等を身体に装着
するために粘着テープで貼り付ける等の手間が省かれる
ので、運転者の身体における多数の箇所の筋電位を容易
に検出することができる。
【0030】第14の課題解決手段は、上記第1の発明
において、前記運転者の皮膚の表面温度を検出する温度
検出手段と、前記温度検出手段によって検出された前記
表面温度の変化に基づき、前記運転者の筋肉が疲労した
か否かを判定する疲労判定手段と、前記疲労判定手段に
よって前記運転者の筋肉が疲労したと判定されたとき
に、警告を発する告知手段とを更に備えることを特徴と
する。このような第14の課題解決手段によれば、上記
第5の発明と同様、運転者が長時間操舵を続ける等によ
り筋肉が疲労した場合には警告が発せられるので、筋肉
の疲労により緊急時に急操舵に対応できなくなる等の危
険を回避することができる。
【0031】第15の課題解決手段は、上記第6または
第7の発明において、前記緊急状態検出手段によって前
記運転者が緊急状態であることが検出されたときに、当
該緊急状態から脱出するための転舵方向を前記運転者の
音声、握力、脳波、または、前記車両の外部の周囲状況
のうち少なくとも1つに基づいて決定する方向決定手段
と、前記緊急状態検出手段によって前記運転者が緊急状
態であることが検出されたときに、前記方向決定手段に
よって決定された転舵方向に前記車両の車輪が転舵され
るように前記電動モータを駆動する緊急制御手段とを更
に備えることを特徴とする。このような第15の発明に
よれば、運転者が緊急状態であることが検出されると、
当該緊急状態から脱出する転舵方向に車輪が転舵される
ので、車両の事故を低減することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態について説明する。 <1.第1の実施形態> <1.1 全体構成>図1は、本発明の第1の実施形態
に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関
連する車両構成と共に示す概略図である。この電動パワ
ーステアリング装置は、操舵のための操作手段としての
ハンドル(ステアリングホイール)100に一端が固着
されるステアリングシャフト102と、そのステアリン
グシャフト102の他端に連結されたラックピニオン機
構104と、ハンドル100による操作量を示す舵角を
検出する舵角センサ2と、ハンドル100の操作によっ
てステアリングシャフト102に加えられる操舵トルク
を検出するトルクセンサ3と、運転者の身体の右側部位
に装着される右側筋電位センサ201(第1筋電位検出
手段)と、運転者の身体の左側部位に装着される左側筋
電位センサ202(第2筋電位検出手段)と、車両の操
舵のための操舵力またはハンドル操作(操舵操作)にお
ける運転者の負荷を軽減するための操舵補助力を発生さ
せる電動モータ6と、そのモータ6の発生する操舵力ま
たは操舵補助力をステアリングシャフト102に伝達す
る減速ギヤ7と、車載バッテリ8から電源の供給を受け
て、右側および左側筋電位センサ201,202や、舵
角センサ2、トルクセンサ3、車速センサ4からのセン
サ信号に基づきモータ6の駆動を制御する電子制御ユニ
ット(ECU)5と、モータ6の駆動についての後述の
制御モード等を切り換えるための制御モード切換スイッ
チ204とを備えている。
【0033】上記構成の電動パワーステアリング装置
は、健常者によるハンドル操作における負荷を軽減する
ためにステアリング機構に操舵補助力を与える動作モー
ドと、運転者が身体障害者等である場合において、右側
および左側筋電位センサ201,202によって検出さ
れる筋電位に基づき車両操舵のための操舵力をステアリ
ング機構に与える動作モードとを有している。そして、
これら2種類の動作モードに対応して、モータ6の駆動
についても少なくとも2種類の制御モードを有してお
り、これらの制御モードは制御モード切換スイッチ20
4によって切り換えることができる。以下では、前者の
動作モードに対応する制御モードを「第1制御モード」
と呼び、後者の動作モードに対応する制御モードを「第
2制御モード」と呼ぶものとする。なお、例えば運転者
が握り棒を握ることによって握り棒に加えられる圧力を
検出する圧力センサ203を設け、第2制御モードにお
いて、操舵操作のための入力信号(以下「操舵信号」と
いう)として筋電位を示す信号を使用する代わりに、圧
力センサ203から出力される圧力信号を使用するよう
にしてもよい。このような構成については、第4の実施
形態として後述する。また、減速ギヤ7は減速比が可変
に構成され、かつECU5(後述のマイコン10)によ
ってその減速比を制御できるようになっているのが好ま
しい。この構成については後述の第3の実施形態におい
て言及する。
【0034】上記電動パワーステアリング装置における
第1制御モードにおいて運転者がハンドル100を操作
すると、その操作による操舵トルクがトルクセンサ3に
よって検出され、その操舵トルクを示す操舵トルク信号
Tsと車速センサによって検出された車速信号Vsとに
基づき、ECU5によりモータ6が駆動される。これに
よりモータ6は操舵補助力を発生し、この操舵補助力が
減速ギヤ7を介してステアリングシャフト102に加え
られることにより、操舵操作における運転者の負荷が軽
減される。すなわち、ハンドル操作によって加えられる
操舵トルクとモータ6の発生する操舵補助力としてのト
ルクとの和が、出力トルクTbとして、ステアリングシ
ャフト102を介してラックピニオン機構104に与え
られる。これによりピニオン軸が回転すると、その回転
がラックピニオン機構104によってラック軸の往復運
動に変換される。ラック軸の両端はタイロッドおよびナ
ックルアームから成る連結部材106を介して車輪10
8に連結されており、ラック軸の往復運動に応じて車輪
108の向きが変わる。
【0035】一方、上記電動パワーステアリング装置に
おける第2制御モードでは、運転者が身体の右側部位お
よび左側部位に右側筋電位センサ201および左側筋電
位センサ202をそれぞれ装着する。ここで、右側筋電
位センサ201は、ステアリング機構に右方向操舵力を
与えるために運転者の身体の筋電位を検出する第1筋電
位検出手段であり、左側筋電位センサ202は、ステア
リング機構に左方向操舵力を与えるために運転者の身体
の筋電位を検出する第2筋電位検出手段である。これら
の装着部位に運転者が筋力を加えると、右側および左側
筋電位センサ201,202によって検出される筋電位
を示す右側および左側筋電位信号に基づき、ECU5に
よりモータ6が駆動される。これによりモータ6は操舵
力を発生し、この操舵力が減速ギヤ7を介してステアリ
ングシャフト102に加えられることにより、車両の操
舵が行われる。すなわち、モータ6の発生する操舵力と
してのトルクが、出力トルクTbとしてステアリングシ
ャフト102を介してラックピニオン機構104に与え
られる。これにより、上記第1制御モードと同様にし
て、出力トルクTbに応じて車輪108の向きが変わ
る。
【0036】<1.2 制御装置の構成>図2は、上記
電動パワーステアリング装置におけるECU5のハード
ウェア構成を示すブロック図である。ECU5は、マイ
クロコンピュータ(以下「マイコン」という)10と、
PWM信号生成回路32と、モータ駆動回路34と、電
流検出器36と、電圧検出器37と、第1増幅器21
と、第2増幅器22と、第1包絡線処理部23と、第2
包絡線処理部24とから構成され、マイコン10には、
舵角センサ2から舵角信号θが、トルクセンサ3から操
舵トルク信号Tsが、車速センサ4から車速信号Vsが
それぞれ入力される。このECU5において、電流検出
器36は、モータ6に供給される電流すなわちモータ電
流を検出し、その検出結果を電流検出値Imとして出力
し、電圧検出器37は、モータ6の端子間電圧を検出
し、その検出結果を電圧検出値Vmとして出力する。こ
れら電流検出値Imおよび電圧検出値Vmも、マイコン
10に入力される。また、第1増幅器21にはケーブル
211を介して右側筋電位センサ201が接続され、そ
の第1増幅器21は、右側筋電位センサ201の出力信
号である右側筋電位信号SmRを増幅する。一方、第2増
幅器22にはケーブル212を介して左側筋電位センサ
202が接続され、その第2増幅器22は、左側筋電位
センサ202の出力信号である左側筋電位信号SmLを増
幅する。そして、第1包絡線処理部23は、第1増幅器
21によって増幅された右側筋電位信号SmRから当該信
号SmRの包絡線を示す信号を右側包絡線信号SeRとして
生成し、第2包絡線処理部24は、第2増幅器22によ
って増幅された左側筋電位信号SmLから当該信号SmLの
包絡線を示す信号を左側包絡線信号SeLとして生成す
る。これら右側および左側包絡線信号SeR,SeLもマイ
コン10に入力される。さらに、制御モード切換スイッ
チ204によって設定される制御モードを示す信号Sc
mもマイコン10に入力される。さらにまた、圧力セン
サ203が設けられている場合には、その圧力センサ2
03から出力される圧力信号PsR,PsLもマイコン10
に入力されるが、この場合の構成については第4の実施
形態として後述する。
【0037】マイコン10は、その内部のメモリに格納
されたプログラムを実行することにより、モータ制御部
として機能する。すなわち、舵角信号θ、操舵トルク信
号Ts、車速信号Vs、電流検出値Im、電圧検出値V
m、右側および左側包絡線信号SeR,SeLに基づき、モ
ータ6が適切な操舵力または操舵補助力を発生させるよ
うに、モータ6に印加すべき電圧の値である電圧指令値
Vdを算出する。PWM信号生成回路32は、その電圧
指令値Vdに応じてデューティ比の変化するPWM信号
を生成し、モータ駆動回路34に供給する。モータ駆動
回路34は、スイッチング素子としての複数個のパワー
トランジスタを用いて構成され、それらのスイッチング
素子は、PWM信号生成回路32で生成されたPWM信
号によってオン/オフされる。これにより、モータ駆動
回路34は、電圧指令値Vdに応じた電圧をモータ6に
印加する。
【0038】<1.3 第1制御モードにおける制御動
作>図3(a)は、第1制御モードにおいてモータ制御
のためにマイコン10によって実行される処理手順を示
すフローチャートである。制御モード切換スイッチ20
4によって制御モードが第1制御モードに設定された場
合、マイコン10は下記のように動作する。
【0039】マイコン10は、まず、トルクセンサ3か
ら操舵トルク信号Tsを、車速センサ4から車速信号V
sを、電流検出器36から電流検出値Imを、それぞれ
入力する(ステップS12〜S16)。次に、入力され
た操舵トルク信号Tsの示す値(以下「操舵トルク検出
値」といい、これも符号“Ts”で表すものとする)、
および、入力された車速信号Vsの示す値(以下「車速
検出値」といい、これも符号“Vs”で表すものとす
る)に基づき、モータ6に流すべき電流の目標値Itを
決定するために目標電流設定処理を実行する(ステップ
S18)。すなわち、マイコン10は、その内部のメモ
リに、車速をパラメータとして操舵トルクとモータ6に
流すべき目標電流との関係を示すテーブルであるアシス
トテーブルを保持しており、そのアシストテーブルを参
照して、操舵トルク検出値Tsおよび車速検出値Vsに
対応する電流目標値Itを決定する。
【0040】次にマイコン10は、上記のようにして決
定された電流目標値Itと電流検出器36から入力され
た電流検出値Imとの偏差It−Imに基づく比例積分
制御演算によって、モータ6に印加すべき電圧の値を示
す電圧指令値Vdを算出する(ステップS20)。そし
て、この電圧指令値Vdをモータ制御部としてのマイコ
ン10から出力する(ステップS22)。その後、ステ
ップS12へ戻り、以降、イグニションスイッチ9がオ
フされるまで、ステップS12〜S22を繰り返し実行
する。
【0041】モータ制御部としてのマイコン10から出
力された電圧指令値Vdは、PWM信号生成回路32に
入力され、そこで、この電圧指令値Vdに応じてパルス
幅の変化するPWM信号が生成される。モータ駆動回路
34は、そのPWM信号のパルス幅(デューティ比)に
応じた電圧をモータ6に印加する。モータ6は、その電
圧印加によってモータ6に流れる電流に応じた大きさお
よび方向のトルクを発生する。電流検出器36は、この
ときのモータ電流を検出し、その検出結果を電流検出値
Imとして出力する。この電流検出値Imは、既述のよ
うに、マイコン10に入力されて偏差It−Imを算出
するために使用される。
【0042】<1.4 第2制御モードにおける制御動
作>図3(b)は、第2制御モードにおいてモータ制御
のためにマイコン10によって実行される処理手順を示
すフローチャートである。制御モード切換スイッチ20
4によって制御モードが第2制御モードに設定された場
合、マイコン10は下記のように動作する。
【0043】マイコン10は、まず、右側および左側筋
電位センサ201,202から出力された右側および左
側筋電位信号SmR,SmLを、増幅器21,22および包
絡線処理部23,24を介して、右側および左側包絡線
信号SeR,SeLとしてそれぞれ入力する(ステップS3
2)。続いてマイコン10は、舵角センサ2から舵角信
号θを入力する(ステップS34)。
【0044】次にマイコン10は、入力された右側およ
び左側包絡線信号SeR,SeLに基づき、モータ駆動によ
って設定すべき舵角の目標値θtを決定するために、目
標舵角設定処理を実行する(ステップS36)。図4
は、この目標舵角設定処理の手順を示すフローチャート
である。この目標舵角設定処理においてマイコン10は
次のように動作する。
【0045】まず、右側および左側包絡線信号SeR,S
eLが閾値ε以下であるか否かを判定する(ステップS3
62)。ここで、右側および左側包絡線信号SeR,SeL
は共に正値であるものとし、閾値εは予め決められたゼ
ロ近傍の正値である。この判定の結果、右側および左側
包絡線信号SeR,SeLのいずれかが閾値εよりも大きけ
れば、次式により舵角目標値θtを算出する(ステップ
S364)。 θt=K1・(SeR−SeL) …(1) ここで、K1は、予め決められた係数である。一方、ス
テップS362での判定の結果、右側および左側包絡線
信号SeR,SeLが閾値ε以下であるときには、車両を直
進させるように、すなわち中点復帰処理がなされるよう
に、舵角目標値θtを“0”とする(ステップS36
6)。このようにして舵角目標値θtが決定されると、
図3(b)に示すメインルーチンに戻る。
【0046】舵角目標値設定処理からメインルーチンに
戻ると、マイコン10は、上記のようにして決定された
舵角目標値θtと舵角センサ2から入力された舵角信号
θの示す値(以下「舵角検出値」といい、これも符号
“θ”で表すものとする)との偏差θt−θに基づく制
御演算によって、モータ6に印加すべき電圧の値を示す
電圧指令値Vdを算出する(ステップS38)。そし
て、この電圧指令値Vdをモータ制御部としてのマイコ
ン10から出力する(ステップS40)。その後、ステ
ップS32へ戻り、以降、イグニションスイッチ9がオ
フされるまで、ステップS32〜S40を繰り返し実行
する。
【0047】モータ制御部としてのマイコン10から出
力された電圧指令値Vdは、PWM信号生成回路32に
入力され、そこで、この電圧指令値Vdに応じてパルス
幅の変化するPWM信号が生成される。モータ駆動回路
34は、そのPWM信号のパルス幅(デューティ比)に
応じた電圧をモータ6に印加する。モータ6は、その電
圧印加によって駆動され、ステアリング機構に操舵力を
与える。既述のように、これにより車輪108が転舵さ
れる。この転舵に対応する舵角は、舵角センサ2によっ
て検出され、その検出結果である舵角検出値θは、マイ
コン10に入力されて舵角偏差θt−θを算出するため
に使用される。このようにして、ステアリング機構にお
ける舵角が舵角目標値θtとなるようにフィードバック
制御が行われる。
【0048】<1.5 第1の実施形態の効果>上記の
ような本実施形態によれば、運転者の身体の右側部位の
筋電位を示す信号SmR(SeR)および左側部位の筋電位
を示す信号SmL(SeL)に基づき舵角目標値θtが設定
され(図4)、ステアリング機構における実際の舵角が
その舵角目標値θtとなるように制御される。これによ
り、運転者の意図に沿った操舵を容易に行うことができ
る。
【0049】また、本実施形態では、筋電位信号SmR,
SmLをそのまま使用するのではなく、それら筋電位信号
SmR,SmLの包絡線を示す包絡線信号SeR,SeLに基づ
き操舵のためのモータ制御(舵角の制御)が行われる。
すなわち、値に不要な増減がなく運転者の意図をより反
映した信号に基づいて操舵のための舵角制御が行われる
ので、運転者の意図に沿った操舵をより容易に行え、微
妙な操舵が可能となる。
【0050】さらに、本実施形態によれば、右側および
左側包絡線信号SeR,SeLが閾値ε以下であるときに
は、すなわち運転者が操舵操作のために発生させる筋力
が十分に小さくなれば、ステアリング機構の舵角を
“0”とする中点復帰処理が行われるので(図4のステ
ップS366)、中点復帰のための操舵操作が容易とな
る。また、車両の中点復帰性能が向上し、セルフアライ
ニングトルクによる中点復帰性能の悪い車両であっても
良好に中点復帰が行われるようになる。
【0051】なお、半身不随の運転者の場合、例えば、
筋力を発生可能な側の腕部に第1筋電位検出手段を装着
し、筋力を発生可能な側の脚部に第2筋電位検出手段を
装着するようにしてもよい。
【0052】<1.6 第1の実施形態の変形例>上記
第1の実施形態では、右側および左側筋電位センサ20
1,202によって検出された右側および左側筋電位信
号を包絡線処理することにより得られる右側および左側
包絡線信号SeR,SeLに基づいて車両が操舵されるが、
包絡線処理前の右側および左側筋電位信号SmR,SmLに
基づいて車両が操舵されるように構成されてもよい。こ
の点については後述の他の実施形態においても同様であ
る。
【0053】また、上記第1の実施形態では、右側筋電
位信号と左側筋電位信号との差に応じて車両が操舵され
るが、これに代えて、右側筋電位信号と左側筋電位信号
のうち強度(信号値)の大きい方がいずれであるか、お
よび、強度の大きい方の筋電位信号に基づいて、車両を
操舵するようにしてもよい。また、上記第1の実施形態
では、舵角目標値θtが右側筋電位信号と左側筋電位信
号との差である筋電位差(包絡線電位差SeR−SeL)に
比例する値として算出されるが、これに代えて、筋電位
差と舵角目標値との関係を与えるテーブル(舵角マッ
プ)をマイコン10内に予め保持しておき、そのテーブ
ルを参照して、検出された筋電位によって決まる筋電位
差に応じた舵角目標値θtを決定するようにしてもよ
い。これらの点も後述の他の実施形態において同様であ
る。
【0054】さらにまた、上記第1の実施形態では、ス
テアリング機構の舵角が右側筋電位信号と左側筋電位信
号との差に応じた値となるようにモータ6が駆動される
が、車輪108の角度であるタイヤ角を検出するタイヤ
角センサを設け、そのタイヤ角が右側筋電位信号(右側
包絡線信号)と左側筋電位信号(左側包絡線信号)との
差である筋電位差(包絡線電位差)に応じた値となるよ
うにモータ6が駆動される構成としてもよい。この場
合、例えば、筋電位差とタイヤ角との関係を与えるテー
ブル(タイヤ角マップ)をマイコン10内に予め保持し
ておき、そのテーブルを参照して、検出された筋電位に
よって決まる筋電位差に応じたタイヤ角の目標値を決定
し、タイヤ角センサで検出されるタイヤ角(実際のタイ
ヤ角)がそのタイヤ角目標値となるようにモータ6を駆
動制御すればよい。このような構成によれば、減速ギヤ
7の減速比が変更されることによる操舵の操作感の変化
を抑制することができる。
【0055】さらにまた、上記第1の実施形態では、モ
ータ6に対する駆動制御について第1制御モードと第2
制御モードとの2種類の制御モードが用意されている
が、これに代えて、常に、右側および左側筋電位センサ
201,202によって検出される筋電位に基づき車両
が操舵されるように構成されていてもよい。この場合、
制御モード切換スイッチ204およびハンドル(ステア
リングホイール)100は不要となる。
【0056】<2.第2の実施形態>次に、本発明の第
2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置につい
て説明する。本実施形態に係る電動パワーステアリング
装置の全体構成およびECU5のハードウェア構成は第
1の実施形態と同様であるので(図1、図2参照)、同
一部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。な
お、本実施形態におけるモータ6の駆動については、第
1の実施形態のように第1制御モードと第2制御モード
との間で制御モードが切換可能に構成されていてもよい
が、常に、右側および左側筋電位センサ201,202
によって検出される筋電位に基づきモータ6が駆動制御
されるように構成されていてもよい。以下では、車両操
舵のためのモータ6の駆動制御が、常に、右側および左
側筋電位センサ201,202によって検出される筋電
位に基づき行われるものとして説明する。この点につい
ては、以下で説明する他の実施形態においても同様であ
る。
【0057】<2.1 制御動作>図5は、本実施形態
においてモータ制御のためにECU5内のマイコン10
によって実行される処理手順を示すフローチャートであ
る。イグニションスイッチ9がオンされると、マイコン
10は下記のように動作する。
【0058】マイコン10は、まず、舵角センサ2から
舵角信号θを入力し(ステップS52)、その舵角信号
θを時間微分することにより操舵角速度ω=dθ/dt
を算出する(ステップS54)。次に、右側および左側
筋電位センサ201,202から出力された右側および
左側筋電位信号SmR,SmLの包絡線を示す信号である右
側および左側包絡線信号SeR,SeLを入力する(ステッ
プS56)。
【0059】その後、マイコン10は、右側および左側
包絡線信号SeR,SeLが閾値ε以下であるか否かを判定
する(ステップS58)。ここで、右側および左側包絡
線信号SeR,SeLは共に正値であるものとし、閾値εは
予め決められたゼロ近傍の正値である。この判定の結
果、右側および左側包絡線信号SeR,SeLのいずれかが
閾値εよりも大きければ、次式により操舵角速度目標値
ωtを算出する(ステップS60)。 ωt=K2・(SeR−SeL) …(2) ここで、K2は、予め決められた係数である。次に、上
記の操舵角速度目標値ωtとステップS54で算出され
た操舵角速度(以下「算出操舵角速度」という)ωとの
偏差ωt−ωに基づく制御演算によって、モータ6に印
加すべき電圧の値を示す電圧指令値Vdを算出する(ス
テップS62)。
【0060】一方、ステップS58での判定の結果、右
側および左側包絡線信号SeR,SeLが閾値ε以下である
ときには、中点復帰処理がなされるように舵角目標値θ
tを“0”とする(ステップS64)。次にマイコン1
0は、上記の舵角目標値θt(=0)と舵角センサ2か
ら入力された舵角信号θの示す値(以下「舵角検出値」
といい、これも符号“θ”で表すものとする)との偏差
θt−θに基づく制御演算によって、モータ6に印加す
べき電圧の値を示す電圧指令値Vdを算出する(ステッ
プS66)。
【0061】マイコン10は、上記のようにして算出し
た電圧指令値Vdをモータ制御部としてのマイコン10
から出力する(ステップS68)。その後、ステップS
52へ戻り、以降、イグニションスイッチ9がオフされ
るまで、ステップS52〜S68を繰り返し実行する。
【0062】モータ制御部としてのマイコン10から出
力された電圧指令値Vdは、PWM信号生成回路32に
入力され、PWM信号生成回路32およびモータ駆動回
路34により、そのPWM信号のパルス幅(デューティ
比)に応じた電圧がモータ6に印加される。モータ6
は、その電圧印加によって駆動され、ステアリング機構
に操舵力を与える。これにより車輪108が転舵され
る。この転舵に対応する舵角は、舵角センサ2によって
検出されてマイコン10に入力され、マイコン10内で
舵角センサ2からの舵角信号θより操舵角速度ωが算出
され、操舵角速度偏差ωt−ωを算出するために使用さ
れる。このようにして、ステアリング機構における操舵
角速度が操舵角速度目標値ωtとなるようにフィードバ
ック制御が行われる。
【0063】<2.2 第2の実施形態の効果>上記の
ような本実施形態によれば、運転者の身体の右側部位の
筋電位を示す信号SmRおよび左側部位の筋電位を示す信
号SmLに基づき操舵角速度目標値ωtが設定され(図5
のステップS60)、ステアリング機構における実際の
操舵角速度がその操舵角速度目標値ωtとなるように制
御される。これにより、運転者の意図に沿った操舵を容
易に行うことができる。
【0064】また、本実施形態では、筋電位信号SmR,
SmLをそのまま使用するのではなく、それら筋電位信号
SmR,SmLの包絡線を示す包絡線信号SeR,SeLに基づ
き操舵のためのモータ制御(操舵角速度の制御)が行わ
れる。すなわち、値に不要な増減がなく運転者の意図
(筋力)をより反映した操舵信号に基づいて操舵のため
の操舵角速度制御が行われるので、運転者の意図に沿っ
た操舵をより容易に行え、微妙な操舵も可能となる。
【0065】さらに、本実施形態によれば、右側および
左側包絡線信号SeR,SeLが閾値ε以下であるときに
は、すなわち運転者が操舵操作のために発生させる筋力
が十分に小さくなれば、ステアリング機構の舵角を
“0”とする中点復帰処理が行われるので(図5のステ
ップS58,S64,S66)、中点復帰のための操舵
操作が容易となる。また、車両の中点復帰性能が向上
し、セルフアライニングトルクによる中点復帰性能の悪
い車両であっても良好に中点復帰が行われるようにな
る。
【0066】<2.3 第2の実施形態の変形例>上記
第2の実施形態では、運転者の筋電位を示す右側包絡線
信号SeRと左側包絡線信号SeLとの差である包絡線電位
差SeR−SeLに応じて操舵角速度目標値ωtが決定され
ているが(式(2)参照)、これに代えて、その包絡線
電位差SeR−SeLの変化速度に応じて操舵角速度目標値
ωtを決定する構成としてもよい(例えば操舵角速度目
標値ωtを包絡線電位差SeR−SeLの変化速度に比例し
た値として算出してもよい)。また、上記構成に代え
て、上記包絡線電位差SeR−SeLの変化速度を加味しつ
つ上記包絡線電位差SeR−SeLに応じて操舵角速度目標
値ωtを決定する構成としてもよい。さらに、上記構成
に代えて、上記包絡線電位差SeR−SeLの変化加速度
(変化速度の変化速度)に応じて操舵角速度目標値ωt
を決定する構成としてもよい。さらにまた、上記構成に
代えて、上記包絡線電位差SeR−SeLの変化加速度を加
味しつつ上記包絡線電位差SeR−SeLと上記包絡線電位
差SeR−SeLの変化速度とのいずれかに応じて操舵角速
度目標値ωtを決定する構成としてもよいし、上記包絡
線電位差SeR−SeLの変化速度および変化加速度を加味
しつつ上記包絡線電位差SeR−SeLに応じて操舵角速度
目標値ωtを決定する構成としてもよい。これらの構成
によれば、ステアリング機構の操舵速度が運転者の右側
部位の筋電位と左側部位の筋電位との差の変化速度およ
び/または変化加速度を反映した値となるので、運転者
の意図に沿った操舵操作が更に容易なものとなる。
【0067】なお、上記第2の実施形態において、ステ
アリング機構における実際の操舵速度に相当する算出操
舵角速度は舵角センサ2からの舵角信号θを時間微分す
ることにより算出されるが(ステップS54)、これに
代えて、電圧検出器37から入力される電圧検出値Vm
(モータ6の端子間電圧)に基づき実際の操舵速度に相
当する算出操舵角速度を算出するようにしてもよい。
【0068】<3.第3の実施形態>次に、本発明の第
3の実施形態に係る電動パワーステアリング装置につい
て説明する。本実施形態に係る電動パワーステアリング
装置の全体構成およびECU5のハードウェア構成も第
1の実施形態と同様であるので(図1、図2参照)、同
一部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。な
お、以下では、減速ギヤ7は減速比が可変に構成されて
いて、ECU5内のマイコン10によってその減速比を
制御できるものとする。
【0069】<3.1 制御動作>図6は、本実施形態
においてモータ制御のためにECU5内のマイコン10
によって実行される処理手順を示すフローチャートであ
る。このフローチャートにおけるステップのうち第1の
実施形態の第2制御モードの処理手順(図3(b))に
おけるステップと同一のステップについては、同一のス
テップ番号を付して詳しい説明を省略する。本実施形態
では、イグニションスイッチ9がオンされると、マイコ
ン10は下記のように動作する。
【0070】マイコン10は、まず、第1の実施形態と
同様、右側および左側筋電位信号SmR,SmLの包絡線を
示す信号である右側および左側包絡線信号SeR,SeLを
入力し、続いて舵角信号θを入力する(ステップS3
2,S34)。
【0071】次にマイコン10は、運転者が予期しない
外部状況に遭遇した状態である緊急状態か否かを判定す
るために緊急状態検出処理を実行する(ステップS7
0)。図7は、この緊急状態検出処理の手順を示すフロ
ーチャートである。この緊急状態検出処理においてマイ
コン10は次のように動作する。
【0072】まず、上記緊急状態を検出するための生体
信号(以下「緊急状態検出用生体信号」という)を入力
する(ステップS702)。この緊急状態検出用生体信
号として、操舵信号である上記右側および左側筋電位信
号SmR,SmL(またはSeR,SeL)を使用してもよい
が、このような筋力を示す信号に代えて又はこれと共
に、運転者の脳波や、血圧、発汗、握力、悲鳴等の音声
のうち少なくともいずれか1つを示す生体信号を使用し
てもよい。
【0073】次にマイコン10は、入力された緊急状態
検出用生体信号に基づき、緊急状態か否かを判定する
(ステップS704)。例えば、次のi)〜iii)のい
ずれかのときに緊急状態であると判定する。 i)左右の操舵信号(筋電位を示す信号SmL,SmRまた
はSeL,SeR)を緊急状態検出用生体信号として使用す
る場合において、それら左右の操舵信号の値が同時に最
大値付近となるときただし、左右の操舵信号の最大値は
予め設定されているものとする。例えば、左右の操舵信
号の最大値を設定するための設定用モードを用意して制
御モード切換スイッチ204で当該設定用モードへの切
換が可能な構成とし、当該設定用モードで運転者に最大
の筋力を発生させて左右の操舵信号の最大値を予め設定
しておく。 ii)緊急状態検出用生体信号の増加速度、増加加速度
(増加速度の変化速度)、または、増加加速度の変化速
度が急激に大きくなったとき iii)緊急状態検出用生体信号の波形が正弦波である場
合において、当該生体信号の周期が所定値よりも小さく
なったときなお、上記i)のように左右の操舵信号を緊
急状態検出用生体信号として使用する場合において、そ
れら左右の操舵信号が同レベルであって、それらの信号
値が最大値付近ではないときには、運転者が危険を予測
していると考えられるので、緊急状態ではないと判定さ
れる。
【0074】上記のようにして緊急状態か否かが判定さ
れると、図6に示すメインルーチンに戻る。そしてマイ
コン10は、上記緊急状態検出処理において緊急状態で
あると判定されたときは、ステップS74へ進み、その
緊急状態から脱出するための処理(その緊急状態におい
て生じうる危険を回避するための処理等)を行う。すな
わち、まず、減速ギヤ7の減速比を最大転舵可能な比に
設定し(ステップS74)、次に、緊急状態を脱出すべ
く危険回避のために必要な転舵方向を決定する(ステッ
プS76)。この転舵方向は、例えば、運転者の音声、
握力(左右のいずれに握力が加えられるか)、脳波のい
ずれかまたは複数の組み合わせにより決定する。また、
レーダまたは撮像素子(例えばCCD(Charge Coupled
Device))等により車両の周囲状況を検出または認識
するための装置を車両に備え、その装置による検出結果
または認識結果に基づいて転舵方向を決定してもよい。
このようにして転舵方向が決定されると、その転舵方向
へ車輪108を最大転舵させるようにモータ6を駆動す
るための電圧指令値Vdを算出する(ステップS7
8)。
【0075】一方、上記緊急状態検出処理において緊急
状態ではないと判定されたときは、ステップS36へ進
み、以降、マイコン10は、第1の実施形態と同様、包
絡線電位差SeR−SeLに基づいて舵角目標値θtを設定
し(ステップS36)、ステアリング機構における実際
の舵角が舵角目標値θtとなるようにモータ6を駆動す
べく電圧指令値Vdを算出する(ステップS38)。
【0076】上記のようにして電圧指令値Vdが算出さ
れると(ステップS38,S78)、マイコン10は、
この電圧指令値Vdをモータ制御部としてのマイコン1
0から出力する(ステップS40)。その後、ステップ
S32へ戻り、イグニションスイッチ9がオフされるま
で、そのステップS32以降の処理を繰り返し実行す
る。
【0077】モータ制御部としてのマイコン10から電
圧指令値VdがPWM信号生成回路32に入力される
と、この電圧指令値Vdに応じてパルス幅の変化するP
WM信号が生成される。モータ駆動回路34は、そのP
WM信号のパルス幅(デューティ比)に応じた電圧をモ
ータ6に印加する。モータ6は、その電圧印加によって
駆動されて、ステアリング機構に操舵力を与え、これに
より車輪108が転舵される。
【0078】<3.2 第3の実施形態の効果>上記の
ような本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効
果に加えて以下の効果を奏する。すなわち、例えば車両
の進行方向に突然に他の車両が急に進入したり障害物が
現れたりする等、運転者が予期しない外部状況に遭遇し
た場合、すなわち緊急状態となった場合には、緊急状態
検出処理(図7)において、緊急状態検出用生体信号の
値や変化速度、周期等に基づき、その緊急状態が検出さ
れる。緊急状態において運転者がパニック状態すなわち
正しい判断および動作が不可能な状態となるか否かにつ
いては個人差があるが、本実施形態によれば、上記のよ
うに緊急状態検出用生体信号に基づき緊急状態か否かが
判定されるので、個人差を抑えつつ的確に緊急状態を検
出することができる。また、本実施形態によれば、緊急
状態であることが検出されると、その緊急状態から脱出
するための処理(図6のS74〜S78)が実行される
ので、車両の事故を低減することができる。
【0079】<3.3 第3の実施形態の変形例>上記
実施形態では、緊急状態が検出されると、その緊急状態
から脱出するためにモータ6の駆動によって自動的に最
大転舵が行われるが(ステップS74〜S78)、緊急
状態検出時において減速ギヤ7の減速比を最大転舵可能
な比に設定するのみとし(ステップS76,S78の省
略)、運転者によるハンドル100の操作または筋電位
信号による操舵操作により最大転舵を行うようにしても
よい。また、緊急状態検出時において緊急状態から脱出
するための処理は、最大転舵のための上記処理に限定さ
れるものではなく、例えば急ブレーキをかけるための処
理を行うようにしてもよい。
【0080】<4.第4の実施形態>次に、本発明の第
4の実施形態に係る電動パワーステアリング装置につい
て説明する。本実施形態に係る電動パワーステアリング
装置の全体構成およびECU5のハードウェア構成も第
1の実施形態と同様であるので(図1、図2参照)、同
一部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。な
お、本実施形態では、後述のゲイン設定処理において運
転者に所定の告知を行うための告知手段として音声発生
部と表示部の一方または双方を備え、この告知手段はE
CU5内のマイコン10によって制御されるものとす
る。
【0081】<4.1 操舵操作および操舵信号>本実
施形態では、右手用および左手用の2本の握り棒が設け
られており、操舵操作のための入力信号である操舵信号
を生成すべく運転者が筋力を発生させる際に、その握り
棒を握る(以下では、便宜上、左手用の握り棒213に
ついてのみ説明する)。すなわち、図8に示すように、
運転者が握り棒213に対する握力を変えることで発生
させる筋力を変化させ、その変化に応じた筋電位が筋電
位センサ201a,201bによって検出される。本実
施形態では、運転者の身体の右側部位および左側部位の
それぞれに対して2個ずつ筋電位センサが使用され、2
個の筋電位センサで検出される筋電位の平均値を示す信
号が操舵信号として使用される。しかし、上記第1の実
施形態のように運転者の身体の右側部位および左側部位
のそれぞれに対して1個ずつ筋電位センサが使用される
構成であってもよい。
【0082】握り棒213には圧力センサ203が内蔵
されており、この圧力センサ203は、握り棒213に
対する運転者の握力を検出し、その検出結果を圧力信号
PsLとして出力する(図示されていないが、右手用の握
り棒内の圧力センサからは圧力信号PsRが出力され
る)。後述のように、筋電位信号SmR,SmLに代えて圧
力信号PsR,PsLを操舵信号として使用することも可能
である。
【0083】本実施形態では、制御モード切換スイッチ
204によって、筋電位信号SmR,SmLと圧力信号Ps
R,PsLのうちのいずれを操舵信号とするかを切り換え
ることができる。また、本実施形態では、操舵信号に基
づき操舵を行うモードと操舵信号のゲインを設定するモ
ードとの間でのモード切換が可能であり、このモード切
換も制御モード切換スイッチ204により行われる。
【0084】<4.2 制御動作>図9は、本実施形態
においてモータ制御のためにマイコン10によって実行
される処理手順を示すフローチャートである。イグニシ
ョンスイッチ9がオンされると、マイコン10は下記の
ように動作する。
【0085】マイコン10は、まず、制御モード切換ス
イッチ204からの信号に基づき、操舵信号のゲインを
設定するモード(以下「ゲイン設定モード」という)か
否かを判定し(ステップS80)、その結果、ゲイン設
定モードであればゲイン設定処理を実行し(ステップS
82)、ゲイン設定モードでなければステップS84へ
進む。
【0086】図10は、このゲイン設定処理の手順を示
すフローチャートである。このゲイン設定処理において
マイコン10は次のように動作する。
【0087】まず、音声発生部および/または表示部に
より、最大とする筋力の発生を運転者に指示する(ステ
ップS822)。その指示に応じて運転者が筋力を発生
すると、その筋力に対応する右側および左側筋電位信号
SmR,SmLがECU5に入力され、包絡線処理をされた
後、右側および左側包絡線信号SeR,SeLとしてマイコ
ン10に入力される(ステップS824)。マイコン1
0は、これら包絡線処理後の筋電位信号SeR,SeLの値
に応じて、舵角目標値θtの算出の際に使用される係数
であるゲイン定数K1を変更する(ステップS82
6)。典型的には、このゲインを調整により、最大筋力
を発生したときの筋電位信号値に対する相対的な値が同
じである筋電位信号は操舵信号として等価に扱われるよ
うにする。次に、ゲイン設定処理が開始されてから5秒
が経過したか否かを判定し(ステップS828)、5秒
が経過していなければ、ステップS822へ戻る。以
降、5秒が経過するまでステップS822〜S828を
繰り返し実行し、5秒が経過すればゲイン設定モードを
解除して(ステップS830)、図9に示したメインル
ーチンに戻る。
【0088】ゲイン設定処理からメインルーチンに戻る
と、マイコン10は、舵角センサ2から舵角信号θを入
力し(ステップS84)、その後、制御モード切換スイ
ッチ204からの信号Scmに基づき、操舵信号が筋電
位信号か否かを判定する(ステップS86)。その結
果、操舵信号が筋電位信号であれば、包絡線処理後の筋
電位信号である右側および左側包絡線信号SeR,SeLを
入力し(ステップS87)、操舵信号が筋電位信号でな
ければ、操舵信号として右側および左側圧力信号PsR,
PsLを入力する(ステップS88)。
【0089】次にマイコン10は、入力された左右の操
舵信号に基づき舵角目標値θtを算出する(ステップS
90)。すなわち、操舵信号として右側および左側包絡
線信号SeR,SeLが入力されたときには θt=K1・(SeR−SeL) により舵角目標値θtを算出し、操舵信号として右側お
よび左側圧力信号PsR,PsLが入力されたときには θt=K3・(PsR−PsL) により舵角目標値θtを算出する。ここで、K1は、上
記のように決められたゲイン定数であり、K3は、予め
決められた係数である。
【0090】次に、マイコン10は、第1の実施形態と
同様、ステアリング機構における実際の舵角が舵角目標
値θtとなるようにモータ6を駆動すべく電圧指令値V
dを算出し(ステップS38)、この電圧指令値Vdを
PWM信号生成回路32に出力する(ステップS4
0)。その後、ステップS80へ戻り、イグニションス
イッチ9がオフされるまで、そのステップS80以降の
処理を繰り返し実行する。
【0091】モータ制御部としてのマイコン10から指
令値VdがPWM信号生成回路32に入力されると、こ
の指令値Vdに応じてパルス幅の変化するPWM信号が
生成される。モータ駆動回路34は、そのPWM信号の
パルス幅(デューティ比)に応じた電圧をモータ6に印
加する。モータ6は、その電圧印加によって駆動され
て、ステアリング機構に操舵力を与え、これにより車輪
108が転舵される。
【0092】<4.3 第4の実施形態の効果>上記の
ような本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効
果に加えて以下の効果を奏する。すなわち、筋力を発生
させるための対抗物として握り棒が使用されるので、運
転者の意図に沿った筋力の発生が容易となり、発生する
筋電位のばらつきが抑えられて筋電位信号が安定する。
このため、筋電位に基づく操舵操作を容易に行うことが
でき、操舵操作に特別な習熟を必要としない。
【0093】また、本実施形態によれば、ゲイン設定処
理(図10)により、最大筋力を発生したときの筋電位
信号値に対する相対的な値が同じである筋電位信号を操
舵信号として等価に扱えるようになるので、筋力発生に
ついての運転者の個人差が解消されて操舵操作が容易と
なる。
【0094】さらに、本実施形態によれば、必要に応
じ、筋電位信号に代えて圧力信号を操舵信号として使用
することも可能である。
【0095】<4.4 第4の実施形態の変形例>上記
第4の実施形態では、運転者が安定的に筋力を発生させ
るための対抗物として握り棒が使用されるが、この対抗
物は握り棒に限定されるものではなく、操舵信号として
の筋電位信号の発生のために運転者が身体の一部を接触
させるべき対抗物であればよい。例えば、上記握り棒に
代えて、運転者の座席の肘掛けの先端部に手で掴むべき
対抗物を設ける構成としてもよい。さらに、これに代え
て、運転者の足の近傍に横棒を設置し、その横棒に運転
者が足を押し付けることで筋力を発生させ、その筋力に
対応する筋電位信号を操舵信号として使用するようにし
てもよい。
【0096】また、上記第4の実施形態では、操舵信号
として筋電位信号を使用するか圧力信号を使用するかは
制御モード切換スイッチ204によって設定されるが、
操舵信号の切換はこれに限定されるものではない。例え
ば、筋電位センサと圧力センサのいずれか一方が故障し
たときに他方からの信号を操舵信号として使用するよう
に構成してもよい。このようにすればフェールセーフ機
能が向上する。さらにまた、筋電位センサを省略して、
常に圧力センサからの圧力信号を操舵信号として使用す
るようにしてもよい。
【0097】なお、上記第4の実施形態では、運転操作
のゲインを調整するために、右側および左側筋電位の差
である包絡線電位差SeR−SeLの変化に対する舵角目標
値θtの変化の比を示す係数K1が変更されるが(図1
0参照)、上記第2の実施形態のように操舵角速度が包
絡線電位差SeR−SeLに応じた値(操舵角速度目標値ω
t)となるようにモータ6が駆動制御される場合には、
包絡線電位差SeR−SeLの変化に対する操舵角速度目標
値ωtの変化の比を示す係数K2を変更することによ
り、運転操作のゲインを調整することができる。
【0098】<5.第5の実施形態>次に、本発明の第
5の実施形態に係る電動パワーステアリング装置につい
て説明する。本実施形態に係る電動パワーステアリング
装置の全体構成およびECU5のハードウェア構成も第
1の実施形態と基本的に同様であるので(図1、図2参
照)、同一部分には同一の参照符号を付して説明を省略
する。
【0099】<5.1 操舵信号としての筋電位の検出
>本実施形態では、図11に示すように、運転者の筋電
位を検出するために特別に作製された運転用衣服220
が使用され、この点で、運転者の身体の右側および左側
部位にそれぞれ装着される右側および左側筋電位センサ
201,202が使用される第1の実施形態と相違す
る。本実施形態における運転用衣服220は、肌着のよ
うに着用され、その内側には、右側筋電位測定端子群T
Rj(j=1〜N)と左側筋電位測定端子群TLj(j
=1〜N)とからなる多数の筋電位測定端子が取り付け
られており、右側筋電位測定端子群TRj(j=1〜
N)は運転者の身体の右側部位に相当する位置に、左側
筋電位測定端子群TLj(j=1〜N)は運転者の身体
の左側部位に相当する位置にそれぞれ配置されている。
そして、各筋電位測定端子は、図示しない信号線によっ
てECU5に接続されて、各筋電位測定端子毎に筋電位
が検出される。検出された各筋電位を示す信号は、第1
の実施形態と同様に包絡線処理された後、右側および左
側包絡線信号SeRj,SeLjとしてマイコン10に入力
される。ここで、右側および左側包絡線信号SeRj,S
eLjは、それぞれ、右側および左側筋電位測定端子TR
j,TLjによって検出された筋電位信号の包絡線を示
す信号であり、ECU5内において操舵信号として使用
される。
【0100】<5.2 制御動作>本実施形態において
モータ制御のためにマイコン10によって実行される処
理手順では、第1の実施形態における第2制御モードで
の処理手順(図3(b))におけるステップS32に代
えて、図12に示す操舵入力値算出処理が実行される。
ステップS32以外のステップについては図3(b)に
示した第1の実施形態の処理手順と同様であるので、同
一ステップには同一のステップ番号を付して詳しい説明
を省略し、以下では、図12に示す操舵入力値算出処理
の手順を中心に説明する。この操舵入力値算出処理にお
いてマイコン10は次のように動作する。
【0101】まず、複数の筋電位測定端子やそれらに対
応する複数の筋電位信号のそれぞれを識別するために導
入された変数jを“1”に初期化する(ステップS32
2)。次に、運転者により着用された運転用衣服220
における右側筋電位測定端子TRjによって検出された
包絡線処理後の筋電位である右側包絡線信号SeRjを入
力し(ステップS324)、その右側包絡線信号SeRj
の値が予め決められた正常範囲内か否かを判定する(ス
テップS326)。また、その運転用衣服220におけ
る左側筋電位測定端子TLjによって検出された包絡線
処理後の筋電位である左側包絡線信号SeLjを入力し
(ステップS328)、その左側包絡線信号SeLjの値
が予め決められた正常範囲内か否かを判定する(ステッ
プS330)。その後、変数jの値を“1”だけ増やし
(ステップS332)、変数jがNよりも大きいか否か
を判定する(ステップS334)。ここで、右側筋電位
測定端子TRjの個数と左側筋電位測定端子TLjの個
数とは、共にNであるものとする。ステップS334で
の判定の結果、変数jがN以下であれば、ステップS3
24へ戻り、変数jがN以下である限り、ステップS3
24〜S334を繰り返し実行する。この間に、ステッ
プS334において変数jがNよりも大きいと判定され
れば、ステップS336へ進む。
【0102】ステップS336の時点では、全ての右側
および左側包絡線信号SeRj,SeLj(j=1〜N)が
入力され、かつ、それらの信号値が正常範囲か否かが判
定されている。ここで、右側および左側包絡線信号SeR
j,SeLjのうちその値が正常範囲でないものは、その
値を検出した筋電位センサ(筋電位測定端子を含む)が
故障しているものとみなすことができる。そこで、マイ
コン10は、値が正常範囲内と判定された右側包絡線信
号SeRkの値に基づき、右側筋電位検出値SeRを算出し
(ステップS336)、値が正常範囲内と判定された左
側包絡線信号SeLkの値に基づき、左側筋電位検出値S
eLを算出する(ステップS338)。ここで、正常範囲
内の右側および左側包絡線信号SeRk,SeLkは、通常
は、共に複数個存在するので、例えば、それら複数個の
右側包絡線信号SeRkの値の平均値を右側筋電位検出値
SeRとして算出し、それら複数個の左側包絡線信号SeL
kの値の平均値を左側筋電位検出値SeLとして算出す
る。ただし、右側および左側筋電位検出値SeR,SeLの
算出方法はこれに限定されるものではなく、特定部位の
検出値の比較など、他の適切な方法で複数箇所の検出値
を統合して右側および左側筋電位検出値SeR,SeLを算
出してもよい。このようにして右側および左側筋電位検
出値SeR,SeLが算出されると、この操舵入力値算出処
理を終了する。
【0103】上記の操舵入力値算出処理を終了するとメ
インルーチンに戻り、図3(b)に示したフローチャー
トにおけるステップS34以降のステップを実行する。
このとき、目標舵角設定処理(ステップS36)におい
て上記の右側および左側筋電位検出値SeR,SeLが操舵
信号として使用され、次式により舵角目標値θtが算出
される。 θt=K1・(SeR−SeL) したがって、ステップS34以降においては、第1の実
施形態と同様にして電圧指令値Vdが算出される。
【0104】上記電圧指令値Vdはマイコン10から出
力され、PWM信号生成回路32およびモータ駆動回路
34により、その電圧指令値Vdに応じた電圧がモータ
6に印加されることで、モータ6が駆動される。
【0105】<5.3 第5の実施形態の効果>上記の
ような本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効
果に加えて以下の効果を奏する。すなわち、運転者の身
体の右側部位および左側部位のそれぞれにつき複数箇所
の筋電位が検出され、複数箇所の筋電位の検出値に基づ
き(典型的にはそれらの平均値に基づき)車両操舵のた
めのモータ制御が行われるので、操舵入力としての筋電
位のばらつきが抑えられる。このため、筋電位に基づく
車両の操舵操作が容易なものとなる。
【0106】また、本実施形態によれば、検出される筋
電位を示す複数の信号のうち突出した値を有し正常範囲
を外れるものについては筋電位センサの故障によるもの
とみなされ、それらの検出値が除外されて正常範囲内の
検出値にのみ基づき、操舵入力としての右側および左側
筋電位検出値SeR,SeLが算出される。このため、筋電
位を操舵信号とする操舵装置においてフェールセーフ機
能を高めることができる。
【0107】さらに、本実施形態では、複数の筋電位測
定端子の取り付けられた運転用衣服220を運転者が着
用することで筋電位の検出が可能となるので、筋電位セ
ンサ(または筋電位測定端子)を身体に装着するために
粘着テープで貼り付けること等の手間が省かれ、多数の
箇所における筋電位検出を簡単にできるようになる。
【0108】<5.4 第5の実施形態の変形例>上記
第5の実施形態では、各検出位置(各筋電位測定端子)
で検出された筋電位は、その値が正常範囲内である限り
全て操舵入力として使用されるが、これに代えて、いく
つかの検出位置を他の検出位置の筋電位センサが故障し
た時の予備としておき、他の検出位置の筋電位センサが
故障したときのみ、予備の検出位置での筋電位検出値を
使用するようにしてもよい。
【0109】また、上記第5の実施形態では、複数の筋
電位測定端子の取り付けられた運転用衣服220を運転
者が着用することで筋電位の検出が可能となるが、これ
に代えて又はこれと共に、内部に複数の筋電位測定端子
が取り付けられたグローブ(手袋)を用意し、運転者が
そのグローブを着用するようにしてもよい。
【0110】<6.第6の実施形態>次に、本発明の第
6の実施形態に係る電動パワーステアリング装置につい
て説明する。本実施形態に係る電動パワーステアリング
装置の全体構成およびECU5のハードウェア構成も第
1の実施形態と基本的に同様であるので(図1、図2参
照)、同一部分には同一の参照符号を付して説明を省略
する。また、本実施形態においてモータ制御のためにマ
イコン10によって実行される処理手順も、第1の実施
形態における第2制御モードでの処理手順(図3
(b))と同様であるので説明を省略する。
【0111】本実施形態では、操舵信号の示す筋電位と
運転者の皮膚の表面温度とのいずれかに基づいて運転者
の疲労を検出する機能が設けられており、この点で第1
の実施形態と相違する。運転者の皮膚の表面温度に基づ
いて疲労を検出する場合には、図13に示すように、筋
電位センサに温度センサを付随的に設け、筋電位信号に
加えて温度信号をもECU5内のマイコンに入力される
構成となっている。また、本実施形態では、後述の疲労
検出時において運転者に警告を発するために音声発生部
と表示部の一方または双方を備えている。
【0112】ECU6内のマイコン10では、モータ制
御のために実行される図3(b)に示した処理とは独立
かつ並行的に疲労検出ルーチンが実行される。この疲労
検出ルーチンは、緊急時に急操舵に対応できない等の危
険が生じる程に運転者の筋肉が疲労しているか否かを判
定し(以下、この程度の疲労を「危険疲労」という)、
その程度に疲労していると判定した場合には運転者に警
告を発するように構成されている。
【0113】図14(a)は、本実施形態における疲労
検出ルーチンの一例を示すフローチャートである。この
例では、疲労検出ルーチンが起動されると、まず、マイ
コン10は、包絡線処理後の筋電位信号である包絡線信
号SeR,SeLの強度が予め決められた閾値(所定値)よ
りも低下しているか否かを判定する(ステップS90
0)。この閾値は、予め固定的に設定してもよいが、例
えば第4の実施形態におけるゲイン設定処理(図10)
と同様の方法で、運転者の最大筋力に相当する筋電位の
値を取り込み、その値に対する所定割合に相当する値と
してその閾値を決定するのが好ましい。これにより運転
者の個人差に応じて危険疲労を精度よく検出することが
できる。また、上記第5の実施形態のように複数の検出
位置で筋電位が検出される場合には、多くの検出位置で
検出された筋電位が通常の操舵状態レベルで、特定の検
出位置(特定部位)で検出された筋電位が所定の閾値よ
りも低い場合に、筋肉が疲労していると判定するように
してもよい。さらにまた、検出される筋電位の瞬時値で
はなく、所定期間での筋電位の平均値が所定の閾値より
も低いか否かで判定するのが好ましい。
【0114】ステップS900での判定の結果、筋電位
を示す包絡線信号SeR,SeLの強度が閾値よりも低いと
判定された場合には、マイコン10は、危険疲労が検出
されたとみなして、運転者に休息を促すための警告を発
する(ステップS902)。具体的には、そのような警
告に相当する音声(例えば休息を促す言葉や警告音等)
を音声部に出力させるか、または、そのような警告に相
当する表示を表示部に表示させる(例えばカーナビゲー
ションシステムのディスプレイへの表示や警告のための
専用ランプの点灯等)。また、音声部と表示部の双方に
よって警告を発するようにしてもよい。このような警告
が発せられた後は、ステップS900へ戻る。一方、ス
テップS900での判定の結果、筋電位を示す包絡線信
号SeR,SeLの強度が閾値以上であると判定された場合
には、マイコン10は、危険疲労が検出されなかったと
みなして、そのままステップS900へ戻る。以降、ス
テップS900〜S902の処理を繰り返し実行する。
【0115】図14(b)は、本実施形態における疲労
検出ルーチンの他の例を示すフローチャートである。こ
の例では、疲労検出ルーチンが起動されると、まず、マ
イコン10は、温度センサから入力される温度信号に基
づき筋肉運動による皮膚表面の温度変化を算出し、その
温度変化が所定の閾値以上か否かを判定し(ステップS
910)、その温度変化が当該閾値以上であれば、危険
疲労が検出されたとして、上記と同様の警告を発する
(ステップS912)。通常、筋肉が疲労すると皮膚表
面の温度が上昇するので、そのときの温度変化量が所定
の閾値以上か否かにより、危険疲労を検出すればよい。
このようにして危険疲労を検出し、警告を発した後は、
ステップS910へ戻る。一方、ステップS910での
判定の結果、皮膚表面の温度変化が所定の閾値よりも小
さい場合には、マイコン10は、危険疲労が検出されな
かったとみなして、そのままステップS910へ戻る。
以降、ステップS910〜S912の処理を繰り返し実
行する。
【0116】上記のような本実施形態によれば、運転者
が長時間操舵を続ける等により筋肉が疲労した場合に
は、休息を促すための警告が発せられるので、筋肉の疲
労により緊急時に急操舵に対応できなくなる等の危険の
発生を回避することができる。
【0117】なお、本実施形態では、温度センサは、筋
電位センサに付随して設けられているが、筋電位センサ
とは独立に設けられる構成としてもよい。また、上記実
施形態では筋電位信号または温度信号のいずれか一方に
基づいて危険疲労が検出されるが、筋電位信号と温度信
号の双方に基づいて危険疲労が検出されるようにしても
よい。このように2種類の信号に基づき危険疲労を検出
するようにすれば、危険疲労の検出感度の向上または誤
検出の防止を図ることができる。
【0118】<7.その他の変形例>上記各実施形態の
うち第3〜第6の実施形態は、第1の実施形態を基本と
して構成の一部を変更または追加したものであるが、こ
れに代えて、第2の実施形態を基本として構成の一部を
同様に変更または追加したものとしてもよい。
【0119】また、上記各実施形態は、本発明を自動車
の電動パワーステアリング装置に適用したものである
が、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば
身体障害者用の車椅子の操舵装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステ
アリング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示
す概略図である。
【図2】第1の実施形態に係る電動パワーステアリング
装置における制御装置であるECUのハードウェア構成
を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるECUでモータ制御の
ために実行される処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図4】第1の実施形態におけるECUで実行される目
標舵角設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る電動パワーステ
アリング装置におけるECUでモータ制御のために実行
される処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る電動パワーステ
アリング装置におけるECUでモータ制御のために実行
される処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態におけるECUで実行される緊
急状態検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る電動パワーステ
アリング装置が搭載された車両での運転者の操舵操作を
説明するための模式図である。
【図9】第4の実施形態におけるECUでモータ制御の
ために実行される処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図10】第4の実施形態におけるECUで実行される
ゲイン設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る電動パワース
テアリング装置が搭載された車両の運転者が着用する運
転用衣服を示す模式図である。
【図12】第5の実施形態におけるECUで実行される
操舵入力値算出処理の手順を示すフローチャートであ
る。
【図13】本発明の第6の実施形態に係る電動パワース
テアリング装置が搭載された車両の運転者の疲労を検出
するための信号の取得を説明するための模式図である。
【図14】第6の実施形態におけるECUで実行される
疲労検出ルーチンの処理手順を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
2 …舵角センサ 3 …トルクセンサ 4 …車速センサ 5 …電子制御ユニット(ECU) 6 …モータ 10 …マイクロコンピュータ(制御手段) 23,24 …包絡線処理部 32 …PWM信号生成回路 34 …モータ駆動回路 36 …電流検出器 37 …電圧検出器 201,202 …筋電位センサ 203…圧力センサ 213…握り棒(対抗物) θ …舵角信号(舵角検出値) Ts …操舵トルク信号(操舵トルク検出値) Vs …車速信号(車速検出値) SmR …右側筋電位信号 SmL …左側筋電位信号 SeR …右側包絡線信号(包絡線処理後の右側筋電位信
号) SeL …左側包絡線信号(包絡線処理後の左側筋電位信
号) PsR …右側圧力信号 PsL …左側圧力信号 Vm …電圧検出値 Im …電流検出値 Vd …電圧指令値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 137:00 B62D 137:00 (72)発明者 東 賢司 大阪府大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内 (72)発明者 東 真康 大阪府大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内 (72)発明者 葉山 良平 大阪府大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内 (72)発明者 前田 真悟 大阪府大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内 Fターム(参考) 3D032 CC02 CC08 CC26 CC33 DA03 DA04 DA15 DA23 DA64 DA65 DA98 DC01 DC02 DC08 DC33 DC34 DD01 DD02 DD03 DD06 DD10 DD17 EA01 EB04 EB08 EB11 EC23 EC24 EC31 FF01 GG01 3D033 CA13 CA16 CA17 CA20 CA21 CA22

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動モータを駆動することにより車両の
    ステアリング機構に操舵力を与える操舵装置であって、 前記ステアリング機構に右方向操舵力を与えるために、
    前記車両の運転者の身体の筋電位を検出する第1筋電位
    検出手段と、 前記ステアリング機構に左方向操舵力を与えるために、
    前記車両の運転者の身体の筋電位を検出する第2筋電位
    検出手段と、 前記第1および第2筋電位検出手段によって検出された
    筋電位に基づいて前記電動モータを駆動することによ
    り、前記車両の操舵角または操舵速度を制御する制御手
    段とを備えることを特徴とする操舵装置。
  2. 【請求項2】 前記第1筋電位検出手段によって検出さ
    れた筋電位を示す信号の包絡線を示す信号である右側包
    絡線信号を生成する第1包絡線処理手段と、 前記第2筋電位検出手段によって検出された筋電位を示
    す信号の包絡線を示す信号である左側包絡線信号を生成
    する第2包絡線処理手段とを更に備え、前記制御手段
    は、前記右側包絡線信号および前記左側包絡線信号に基
    づいて前記電動モータを駆動することにより、前記車両
    の操舵角または操舵速度を制御することを特徴とする、
    請求項1に記載の操舵装置。
  3. 【請求項3】 前記運転者が筋力を発生させるために身
    体の一部を直接的または間接的に接触させる対抗物を更
    に備えることを特徴とする、請求項1に記載の操舵装
    置。
  4. 【請求項4】 前記第1筋電位検出手段は、前記運転者
    の身体の右側部位における複数箇所の筋電位を検出し、 前記第2筋電位検出手段は、前記運転者の身体の左側部
    位における複数箇所の筋電位を検出し、 前記制御手段は、前記第1筋電位検出手段によって検出
    された前記複数箇所の筋電位および前記第2筋電位検出
    手段によって検出された前記複数箇所の筋電位に基づい
    て前記電動モータを駆動することにより、前記車両の操
    舵角または操舵速度を制御することを特徴とする、請求
    項1に記載の操舵装置。
  5. 【請求項5】 前記第1および第2筋電位検出手段によ
    って検出された筋電位のレベルが所定値よりも低下した
    か否かにより前記運転者の筋肉が疲労したか否かを判定
    する疲労判定手段と、 前記疲労判定手段によって前記運転者の筋肉が疲労した
    と判定されたときに、警告を発する告知手段とを更に備
    えることを特徴とする、請求項1に記載の操舵装置。
  6. 【請求項6】 電動モータを駆動することにより車両の
    ステアリング機構に操舵力を与える操舵装置であって、 前記車両の運転者の生体信号を検出する信号検出手段
    と、 前記運転者が予期しない外部状況に遭遇した状態である
    緊急状態であることを、前記生体信号の値と周期と変化
    速度と変化加速度と変化加速度の変化速度とのうち少な
    くともいずれか1つに基づいて検出する緊急状態検出手
    段とを備えることを特徴とする操舵装置。
  7. 【請求項7】 前記緊急状態検出手段によって前記運転
    者が緊急状態であることが検出されたときに、前記車両
    の車輪が最大転舵可能な状態に前記ステアリング機構を
    設定する緊急時設定手段を更に備えることを特徴とす
    る、請求項6に記載の操舵装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016107093A (ja) * 2014-12-03 2016-06-20 パナソニックIpマネジメント株式会社 筋疲労決定装置、筋疲労決定方法、及び筋疲労決定用プログラム
CN109747704A (zh) * 2017-11-07 2019-05-14 株式会社捷太格特 转向操纵控制装置
JP2020179749A (ja) * 2019-04-24 2020-11-05 トヨタ自動車株式会社 車両走行制御装置

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