JP2003311800A - プラスチック薄型成形品の成形方法及び成形金型 - Google Patents
プラスチック薄型成形品の成形方法及び成形金型Info
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Abstract
ィ内での溶融樹脂の流動性低下を防ぎ、成形精度の向上
を図る。 【解決手段】成形金型のキャビティCに溶融した樹脂を
充填する際、キャビティの樹脂流入口であるゲート14
からキャビティ末端までの空間を流動する溶融樹脂に対
して高周波電界を印加して高周波誘電加熱することによ
って当該溶融樹脂の流動時の温度を制御して、その粘度
が高くなることを抑制しつつ、当該溶融樹脂を金型キャ
ビティを流動させるプラスチック薄型品の成形方法を前
提として、キャビティ面の背部に設けた加熱手段による
高温領域の温度を制御して、キャビティ内を樹脂が流動
する時の溶融樹脂と金型間の伝熱の温度勾配を無くし
て、溶融樹脂から金型への伝熱を抑制する。
Description
ラスチック成形品の射出成形方法及び成形装置に関する
ものであり、充填され、キャビティ内を流動する溶融樹
脂の流動性低下を可及的に抑制して、金型キャビティの
極めて狭い空間の末端まで溶融樹脂をスムーズに流入さ
せて、薄肉のプラスチック製品の成形精度を向上させる
ことができるものである。
開平04−64419号公報に記載されている成形用金
型の加熱装置がある。このものは、キャビティ表面を高
誘電体セラミックで形成し、高周波電圧を印加して前記
高誘電体セラミックを誘電加熱する電場発生装置を設け
ている成形用金型の加熱装置である。また、特許第26
18100号公報に記載されている表面加熱成形金型が
あり、このものは、ウェルドラインやひけが発生する部
分のキャビティ表面に窒化チタンなどの薄膜を設け、成
形時に薄膜に通電することでキャビティ表面を加熱し、
ウェルドラインやひけをなくするものである。また、特
許第2627131号公報に記載されている回収樹脂の
成形方法があり、このものは、金型キャビティ表面に断
熱層を設けた金型で塗皮膜のある回収樹脂を成形するも
のである。さらに、特許第30066254号公報に記
載されている光ディスク射出成形用断熱性金型構造があ
り、このものは、スタンパ取り付け面の表面に断熱層を
有する挿入体を設置した金型を用いて成形するものであ
る。
などの筐体、液晶ディスプレイのバックライトに用いら
れる導光板など大面積で薄肉の射出成形品の開発が進め
られている。しかし、大面積薄肉成形品を射出成形で成
形する場合、型内の狭いキャビティ空間の末端まで樹脂
を充填しなければならない。一般に、キャビティ内で樹
脂を流動させることができる範囲は、「ゲートからの樹
脂流動長(L)」/「成形品の肉厚(t)」の比率(以
下、L/tという)で示され、L/t=100がその上
限とされている(例えば、肉厚が1mmの場合、ゲート
から100mm先までしか樹脂が流せないことを示
す)。従って大面積薄肉成形品ではゲートの数を増やし
て成形する方法を用いるが、この場合、成形品に各ゲー
トから流動してくる樹脂の合わせ目(以下ウエルドライ
ン)が生じ、外観不良、強度不足の原因となっている。
さらにゲートを増やすために型構造が複雑、大型化する
ことが避けられない。そのため、L/t>100の成形
品の成形精度を向上させるために、成形材料、成形方法
などもいろいろ検討されている。成形材料の開発では分
子量を小さくするなど、温度低下による流動性低下を回
避することが検討されているが、この場合、その成形材
料本来の特性を低下させてしまうので、その特性を十分
に活用できないという問題がある。
する樹脂が型表面に接触すると同時に樹脂温度が低下
し、キャビティ内を流動するにつれて樹脂の粘度が高く
なってしまうことである。これに対する方策として、特
許第2627131号公報に記載されているもの、特許
第3066254号公報に記載されているもののように
キャビティ表面に低熱伝導層を設ける方法、特許第26
18100号公報、特開平04−64419号公報に記
載されているもののようにキャビティ表面を加熱する方
法等が考えられる。しかし、キャビティ表面に低熱伝導
層を設ける方法による場合は、樹脂温度の低下を十分に
抑制するには低熱伝導層による熱伝抵抗を大きくしなけ
ればならず、そうすると冷却工程での樹脂冷却時間が長
くなり、成形サイクルが長くなって生産性が低下するこ
とが避けられない。キャビティ表面を加熱する方法によ
る場合は、発熱部がキャビティ表層にあるため、発熱部
の温度分布の不均一さがキャビティ表層に沿って流動す
る溶融樹脂の温度低下に直接影響して、その温度分布に
不均一をもたらすことになる。このため、ヒーターの形
状や電極位置、高周波の印加バランスを調整する必要が
あるが、これは金型の構成によって制約を受けるため調
整不十分になることが避けられない。発熱部の温度分布
の調整を優先すると、それによって金型の機能が制限さ
れたり、発熱部の温度分布の不均一を回避するには金型
全体が大きくなるなどの不具合がある。
形における上記のそもそもの問題は、冷却時間を可及的
に短縮するという要請から金型の冷却温度(充填直前の
時点の金型温度)を高くすることができず、したがっ
て、溶融樹脂の充填温度に比して相当低温であるから
(ポリカーボネイトの場合、充填温度が例えば360℃
であるのに対して金型加熱温度は例えば120℃)、キ
ャビティに充填された溶融樹脂がキャビティ末端に向か
って流動するにつれて、その熱を金型に吸収されて温度
が低下し、その流動性が低下することに起因するのであ
るから、キャビティ内を流動する溶融樹脂に高周波電界
を印加し、溶融樹脂を高周波誘電加熱することによって
放熱分を補給して、これによってキャビティ末端までそ
の流動性を十分に確保するという技術の研究開発がなさ
れている(特願2002−118749号。ただし、こ
れは公知ではない。以下これを先行技術という)。この
技術は上記問題の解決には極めて有効であるが、しか
し、溶融樹脂と金型間の温度差が大きいこと、および金
型の熱伝導性が高いことなどのために、キャビティ内を
流動する間の溶融樹脂の放熱量は相当大きく、他方、充
填時間は極めて短時間であるので、この短時間で上記放
熱量を十分補給するためには、上記の高周波電界を印加
するための装置の電気容量が極めて大きくなり、そのた
めにその装置が大型になることが避けられない。このた
めに、溶融樹脂の上記誘電加熱だけで上記従来技術の問
題を解消することは実際問題として困難である。他方、
一般に、伝熱により樹脂温度が低下するときの移動熱量
qは次の式で表わされる。この式から明らかなように単
位面積単位時間あたりの移動熱量qを小さくするには、
次式におけるλ、または(T1−T2)を小さくすれば
よい。 q=λ(T1−T2)/l ここで、qは単位面積単位時間あたりの移動熱量 T1はキャビティ表面温度 T2は冷却側温度 lはキャビティ表面と冷却側との距離 このことから、溶融樹脂と金型のキャビティ近傍部分の
温度勾配を小さくすることによって、溶融樹脂から金型
への伝熱(金型による吸熱)を低減できることが明らか
である。他方、上記温度勾配を小さくするためには充填
直前の金型温度を上げなければならず、そうすると冷却
時間が長くなるという問題が生じる。この発明は、従来
技術の上記問題の上記先行技術による解消を基本とし、
かつ、キャビティ内の流動溶融樹脂からの金型への伝熱
を可及的に抑制することによって、従来技術の問題のよ
り高度な解決を実現することを目的とするものであり、
そのための技術的課題を主な請求項の発明毎に整理すれ
ば次のとおりである。
明の課題) 請求項1の発明の課題は、プラスチック成形金型におけ
る伝熱による樹脂温度低下の状態を表す上記式、すなわ
ち、キャビティ表面の単位面積単位時間あたりの移動熱
量qに関する上記式における(T1−T2)を小さくす
るためにキャビティ表面の背部に高温領域を発生させ、
当該高温領域とキャビティ表面間の温度分布を均一にし
つつ、キャビティ内を流動する樹脂を高周波誘電加熱し
てその温度低下を抑制する成形方法を補完して、溶融樹
脂から金型への伝熱を抑止することによって溶融樹脂の
流動性低下を効果的に防止することである。 (2)課題2(請求項2の発明の課題) 請求項2の発明の課題は、キャビティ表面の背部に高温
領域を発生させることでキャビティ表面から金型の冷却
側への熱伝導性は低下するが、この状態を長く保持する
と冷却工程における冷却時間が長くなる。そこで、請求
項2の発明は、高周波誘電加熱を用いて上記高温領域を
迅速に発生させ、また、迅速に消滅させることである。 (3)課題3(請求項3の発明の課題) 請求項3の発明の課題は、短時間で高温領域を発生させ
るため発熱体を組み込んだ金型を工夫することである。 (4)課題4(請求項5の発明の課題) 請求項5の発明の課題は、相対する電極面の極性を短時
間で正逆転させ、金型の誘電発熱体を高周波誘電加熱
し、さらにキャビティ内を流動する溶融樹脂を誘電加熱
できるように、高周波電界印加装置を工夫することであ
る。 (5)課題5(請求項6の発明の課題) 請求項6の発明の課題は、上記高温領域は樹脂充填時の
み必要であり、他方、キャビティ内の樹脂流動が停止し
た状態での加熱は冷却時間を長くすることから、成形機
の射出動作と関連させて高周波電界の印加を工夫するこ
とである。 (6)課題6(請求項7の発明の課題) 請求項7の発明の課題は、発熱体による金型の高温領域
の生成と溶融樹脂への加熱とを同じ高周波電界印加機構
で行えるように誘電加熱法を工夫することである。 (7)課題7(請求項12の発明の課題) 請求項12の発明の課題は、高周波誘電加熱のための高
周波電界を印加するとキャビティ部で高周波の電磁波が
発生し、高周波の電磁波は装置の誤動作を起こすなど不
具合があるので、金型によって上記電磁波をシールドす
るように成形金型を工夫することである。 (8)課題8(請求項14の発明の課題) 請求項14の発明の課題は、発熱体加熱による金型の高
温領域の生成と溶融樹脂への加熱とを同じ高周波電界印
加機構で行えるように成形装置を工夫することである。
段は、成形金型のキャビティに溶融した樹脂を充填する
際、キャビティの樹脂流入口であるゲートからキャビテ
ィ末端までの空間を流動する溶融樹脂に対して高周波電
界を印加して高周波誘電加熱することによって当該溶融
樹脂の流動時の温度を制御して、その粘度が高くなるこ
とを抑制しつつ、当該溶融樹脂を金型キャビティに流動
させるプラスチック薄型品の成形方法を前提として、次
の(イ)によるものである。 (イ)キャビティ面の背部に設けた加熱手段による高温
領域の温度を制御して、キャビティ内を樹脂が流動する
時の溶融樹脂と金型間の伝熱の温度勾配を無くして、溶
融樹脂から金型への伝熱を抑制すること。
比して相当に高温であるから、キャビティ内をその末端
に向かって流動する間にキャビティ内面に触れて吸熱さ
れ、キャビティ末端に達するまでの間に急激に温度が低
下するところであるが、しかし、流動する溶融樹脂に高
周波電界が印加されて、これによって溶融樹脂は誘電加
熱(自己発熱)されて熱が補給され、金型によって吸熱
される熱量の一部が補充されるので、流動する樹脂の上
記の温度低下が抑制される。他方、金型のキャビティ面
の背部に設けた昇温手段によって樹脂充填時に高温領域
が形成され(例えば金型温度120℃から280℃に昇
温した領域)、この高温領域がキャビティ内を流動する
溶融樹脂とこの高温領域との温度差、つまり、流動する
溶融樹脂から金型への伝熱の温度勾配が低減されて溶融
樹脂から金型への伝熱が抑制される。溶融樹脂の誘電加
熱による溶融樹脂の温度低下の低減と、溶融樹脂から金
型への伝熱の抑制とによって、キャビティ末端に達する
までの溶融樹脂の温度低下が抑制され、また、上記の高
周波電界による溶融樹脂の誘電加熱、金型の高温領域の
加熱温度を適切に制御することによって、キャビティ末
端に達するまで溶融樹脂の流動性が十分確保される。な
お、本明細書における「金型」の用語は成形用のキャビ
ティを形成するいわゆる金型を意味するものであって、
必ずしもそれが金属製であることを意味するものではな
い。
領域の加熱手段が高周波誘電加熱によるものであること
である。
共に高周波誘電加熱であるから、両加熱手段が単純化さ
れ、また両加熱制御が単純化される。
実施態様1を実施するための成形金型についての実施態
様であり、上記キャビティ表面と金型内の冷却配管の
間、又はキャビティ表面と金型の放熱面との間に発熱体
を設けて、これによって上記高温領域を形成しているこ
とである。
態様2の成形金型における上記発熱体が誘電体セラミッ
クスであることである。
実施態様2の成形金型について、そのキャビティ表面を
形成する第1導電層と、当該第1導電層の外側に上記発
熱体を設け、当該発熱体の外側に第2導電層を設けてあ
って、上記第1導電層と第2導電層とによって上記発熱
体に高周波電界を印加してこれを発熱させることであ
る。
面を形成する第1導電層と、当該第1導電層の外側に上
記発熱体を設け、当該発熱体の外側に第2導電層を設け
てあって、上記第1導電層と第2導電層とによって上記
発熱体に高周波電界を印加してこれを発熱させるように
したことで、高温領域を形成するための加熱手段を薄い
形態で金型に組み込むことができるので、金型の大型化
を回避することができ、また、この加熱手段は高周波誘
電加熱であるために発熱体の応答特性が極めて高いの
で、高周波誘電加熱停止後のキャビティ表面の温度低下
が極めて迅速であって、発熱体の存在による冷却工程で
の冷却速度の遅延を可及的に小さくすることができる。
手段1による成形方法について、キャビティ内を流動す
る溶融樹脂を高周波誘電加熱する高周波電界の印加を、
ゲートからの溶融樹脂充填開始時点から充填停止時点ま
でとすることである。なお、上記の「溶融樹脂充填開始
時点」は、溶融樹脂充填開始の直前直後を含めた時点を
意味し、また、上記の「充填停止時点」は、溶融樹脂の
充填停止時とその直前直後を含めた時点を意味する。そ
して、印加開始時期を溶融樹脂充填開始の直前とする
か、同時とするか、直後とするか、また、印加終了時期
を充填停止直前とするか、同時とするか、直後とするか
は、溶融樹脂の種類、充填温度、充填速度、温度と粘度
との相関などを勘案して、適宜選択されることである。
で上記誘電加熱がなされるから、充填された樹脂がキャ
ビティ末端に達するまでの間、その温度低下が確実に抑
制され、キャビティ末端に達するときにその流動性が低
下して充填不良を生じることは確実に回避される。
手段1の成形方法について、そのキャビティ表面を形成
する第1導電層と第2導電層と第1導電層と第2導電層
の間に設けられている発熱体とを備えている一方の金型
と、同様の構成の他方の金型とを合わせてキャビティ空
間を形成し、キャビティ空間を流動する溶融樹脂を高周
波誘電加熱するために上記一方の金型の第1導電層と上
記他方の金型の第1導電層に極性が反対になるように高
周波電界を印加するとき、上記一方の金型の発熱体背部
に設けた第2誘電層に同金型の上記第1誘電層と反対の
極性となる電界を印加し、他方の金型の第2導電層に同
金型の上記第1導電層と反対の極性となる電界を印加す
ることによって、キャビティ内を流動する溶融樹脂およ
び発熱体を高周波誘電加熱にて加熱することである。
型および他方の金型の第1導電層と第2導電層への通電
制御を上記のようにすることによって、同一金型内の第
1導電層と第2導電層間に高周波電界が印加されてこれ
によってその間の発熱体を誘電加熱し、かつ、一方の金
型の第1導電層と他方の金型の第1導電層間に高周波電
界が印加されてこれによってキャビティ内を流動する溶
融樹脂を誘電加熱するので、両金型の各一対の第1誘電
層、第2誘電層によって、流動樹脂の誘電加熱および金
型の発熱体の誘電加熱を同時に行うことができる。した
がって、これらの誘電加熱機構が単純化される。
手段1の成形方法について、そのキャビティ表面を形成
する第1導電層と当該第1導電層の外側の発熱体と当該
発熱体の外側の第2導電層を設けている一方の金型と、
同様の構成の他方の金型における上記一方の金型の第1
導電層と他方の金型の上記第2導電層を一つのグループ
とし、また、一方の金型の上記第2導電層と他方の金型
の第1導電層を一つのグループとして、各グループの各
導電層に対して、それぞれまたは同時に電界を印加でき
る切り換え装置によって、それぞれのグループの導電層
に極性が反対になるように高周波電界を印加することで
ある。
金型の導電層の接続、および、その切り換え装置との接
続を上記のようにすることによって、一つの切り換え装
置によって、両金型の導電層への通電を制御できるか
ら、両金型の導電層による高周波電界の制御機構および
その制御が単純化される。
態様4の金型について、高周波誘電加熱する上記誘電層
を樹脂流動方向に複数に分割した成形金型を用い、分割
された個々の導電層による高周波電界の印加を樹脂の流
動に合せて個別に制御することである。
施態様1の成形方法について、実施態様8の成形金型の
分割された個々の導電層への通電を個別に制御すること
によって個々の導電層による高周波電界の印加を制御す
ることである。
は、実施態様9の成形方法について、分割された個々の
導電層への通電電圧を制御することによって個々の導電
層による高周波電界の印加を制御することである。
は、実施態様4の成形金型について、金型本体または表
面が金属、または金属を含む部材で形成され、各導電層
は型本体に対して電気的に絶縁されており、上記一方の
金型と他方金型との合わせ面が密着することで、両金型
が互いに電気的に連通した状態でキャビティを形成し
て、両金型がキャビティ部で発生する電磁波に対するシ
ールドとして機能させることである。
は、実施態様11の成形金型について、負荷を受けて弾
性変形し、無負荷が解除されて弾性復元する導電性部材
を金型のパーティングライン面等の型合わせ面に設け、
上記導電性部材が金型のシールド機能部分に接続してあ
り、組み合わせた状態の金型の表面が電気的に一体とな
って電磁波に対するシールドを構成することである。
ラスチック薄型成形品の成形装置について、そのキャビ
ティ表面を形成する第1導電層と当該第1導電層の外側
の発熱体と当該発熱体の外側の第2導電層を設けている
一方の金型と、同様の構成の他方の金型における上記一
方の金型の第1導電層と他方の金型の上記第2導電層を
一つのグループとし、また、一方の金型の上記第2導電
層と他方の金型の第1導電層を一つのグループとして、
各グループの各導電層による高周波電界の印加をそれぞ
れまたは同時に切り換えて、上記両金型の第1導電層及
び第2導電層への通電を制御する制御装置を備えている
ことである。
を最も効果的に実施することができる。
は、上記解決手段2の成形装置について、上記両金型の
第1導電層及び第2導電層への通電制御装置が、所定の
プログラムによるプログラム制御装置であることであ
る。
脂の温度変化を計測し、この計測データに基づいて、上
記導電層に求められる出力、上記導電層への最適通電タ
イミングを割り出してこれに適うように所定の制御プロ
グラムを作成し、所定の制御プログラムに基づいて上記
通電制御装置を制御する。これによって、キャビティ内
を流動する溶融樹脂に対する高周波電界の印加、および
上記発熱体に対する高周波電界の印加を行って、これら
を所要の強さで、また最適のタイミングで制御する。し
たがって、薄型成形品を高精度で成形することができ、
また、その成形精度が安定する。
は、上記解決手段2の成形装置について、上記一方の金
型及び他方の金型に温度センサを設けてあり、上記第1
導電層の温度検出データによって上記両金型の第1導電
層及び第2導電層への通電制御装置が、上記第1導電層
の温度検出データをフィードバックする制御装置である
ことである。
この温度センサによる温度検出データを常時フィードバ
ックするので、成形装置の稼働中における外乱による、
充填樹脂の温度条件、金型の温度条件の変動に迅速に応
答するので、上記外乱による成形精度の低下を確実に回
避することができる。
は、上記実施態様2の成形装置について、上記キャビテ
ィの末端部近傍に上記温度センサを設けていることであ
る。
可動側型21によるキャビティCを挟んで互いに対向す
るキャビティ表面15,22に導電層16,23をそれ
ぞれ設け、当該導電層16,23の背部に発熱体17,
24をそれぞれ設け、導電層18または25を設けて当
該導電層18または25と導電層16または23とで発
熱体17,24を挟んでおり、また、導電層18,25
の背部側に絶縁層19,26を設け、導電層16と18
の間、導電層23と25間に高周波電圧を印加して発熱
体17,24に高周波電界を形成する手段を設けている
ものである。
ことで形成されるキャビティCの相対する面より内部側
に形成された導電層16と18、および導電層23と2
5に高周波発生装置31より1MHzから100MHz
の高周波電圧を印加することによって発熱体17,24
に高周波電界を発生させる。他方、キャビティC内を流
動する溶融樹脂の熱はキャビティ面15,22から固定
側金型11、可動側金型21へ伝熱され、その結果、溶
融樹脂の温度が低下する。しかし、キャビティ内を流動
する溶融樹脂、および発熱体17,24には高周波電界
が発生しているので、溶融樹脂及び発熱体17,24は
交互に反転する電気極性の影響で内部原子が振動して発
熱する(誘電加熱)。溶融樹脂は上記誘電加熱によって
熱量が補充されるので、その分だけその温度低下が抑制
され、他方、発熱体は誘電加熱によって温度が上昇し、
この温度上昇分だけキャビティCを流動する溶融樹脂と
発熱体17,24との温度差が小さくなり、発熱体1
7,24が溶融樹脂から金型への伝熱の障壁となるの
で、溶融樹脂から金型への伝熱が抑制され、その分だけ
流動する溶融樹脂の温度低下が抑制される。このように
キャビティ内を流動する溶融樹脂に熱量が補充され、ま
た金型への伝熱が抑制されて、これによって上記溶融樹
脂の温度低下が抑制される。したがって、キャビティ末
端へ流動する間、その流動性が狭いキャビティCの末端
に達するまで十分保持される。
明する。図1は、実施例1の構成を示している。この例
の固定側金型11、可動側金型21は共にSUS製であ
って、熱伝導率は0.26×10−2(W/m℃)であ
り、充填される溶融樹脂はポリカーボネイトで充填温度
は360℃である。他方、プラスチック成形品は外径1
20mm、厚さ0.6mmのディスク形状である。さら
に、金型は冷却システムによって充填前の段階で120
℃にコントロールされている。固定側金型11の中心部
には、射出成形機(図示せず)から樹脂を充填するため
のノズル12、およびノズル12からゲート14へ樹脂
を誘導するスプル13を設けてある。固定側金型11の
内面に絶縁材層19が設けられており、絶縁材層19に
導電層18が積層され、さらに導電層18に発熱体17
が積層され、さらに、発熱体17には導電層16が積層
されていて、この導電層16の内表面がキャビティ面に
なっている。
例えば、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックをスパ
ッタリング法、CVD法によって形成することができ、
また電気泳動法を利用した電着塗装により有機薄膜で形
成するか、あるいは溶射することによって形成すること
もできる。導電層18および導電層16は厚さ0.01
〜0.2mmで、Cu、TiN、TiCNなどの導電性
薄膜をイオンプレーティング法、スパッタリング法など
で形成することができ、また、Niなどを電界メッキま
たは無電界メッキで形成することもできる。発熱体17
は厚さ0.1〜1mmで、高周波電界を受けて発熱する
ものであるから誘電率の高いものがよく、高誘電体セラ
ミックスであるチタン酸バリウム(TiBaO3)が好
適である。高誘電体セラミックスはHIP処理やスパッ
タリング法、CVD法で形成することができ、電気泳動
法を利用した電着塗装により有機薄膜で形成することも
でき、あるいは溶射して形成することもできる。同様に
して、可動側金型21の内面に設けた絶縁材層26に導
電層25、発熱体24、導電層23が順次積層されてい
て、導電層23の内表面がキャビティ面になっている。
なお、絶縁層の厚さは上記の範囲で導電層に印加される
電力が大きいほど厚くなるように、また、発熱体17の
厚さは上記範囲で昇温温度が高いほど厚くなるように、
さらに、導電層の厚さは上記の範囲でその電気抵抗低
減、耐久性向上のために、印加される電力が大きいほど
厚くなるように適宜選択すればよい。
目(パーティング面)は前記絶縁層19,26により、
固定側金型11の導電層16、18、および可動側金型
21の導電層23,25が接触しないようにしてある。
また、固定側金型11と可動側金型21はパーティング
面(金型の分割面)で密着しており、固定側金型11と
可動側金型21が電気的に一体となることで金型内の電
磁波に対するシールド効果が確保される。固定側金型の
導電層16,18、可動側金型の導電層23,25の結
線は、例えば図1のとおりであって、この場合は導電層
16と導電層23との極性が反対になっている。これに
より、キャビティ内を流動する溶融樹脂とそれぞれの発
熱体17,24がともに誘電加熱される。
間であり、その外径は120mm、厚さは0.6mmで
あり、溶融樹脂の充填温度は360〜390℃、充填所
要時間は0.5〜1秒である。そして、キャビティ末端
に達するときの溶融樹脂(ポリカーボネイト)は170
℃以下になると、その流動性がなくなるので、この例で
は、キャビティ末端に達するときの溶融樹脂温度をほぼ
280℃に低下させることを目標にしている。なお、キ
ャビティ末端に達するときの溶融樹脂温度が低いほど冷
却時間は短いから、理想的には、上記の目標温度を24
0℃(流動性確保のための最低必要温度)にすることが
望ましいが、安全を見込んで目標温度を上記のとおりに
している。高周波電源装置31による高周波電力は18
KW、周波数90MHzである。この高周波電圧の印加
によって溶融樹脂は毎秒180℃の昇温速度で加熱され
る。そして、キャビティ末端に達するときの溶融樹脂温
度をほぼ280℃にするという目標達成のためには、溶
融樹脂がキャビティ末端に到達する時点において、上記
発熱体の温度が300℃に加熱されていることが必要で
あり、充填前の温度120℃から、上記温度300℃ま
で昇温させるための所要時間は1秒である。以上のこと
からこの例においては、溶融樹脂の充填開始と同時に上
記高周波電圧の印加を開始し、溶融樹脂の充填停止と同
時に上記高周波電圧の印加を停止する。
おいては、溶融樹脂の充填温度がほぼ360〜390
℃、充填圧力2500Kg/cm2であり、他方、キャ
ビティ末端での溶融樹脂温度は、ほぼ280℃〜300
℃の範囲内にあることが確認された。そして、キャビテ
ィ末端まで十分樹脂が充填されてキャビティ末端におけ
る溶融樹脂の流動性低下による成形不良は一切生じない
ことが確認された。この実施例1は、切換装置32を備
えている。この切換装置32によって固定側金型の導電
層16,18の極性を反転させることができ、これによ
って、導電層16と23を同極にすれば、発熱体17,
24だけが誘電加熱されることになる。この場合は、溶
融樹脂と発熱体間の温度差を小さくすることで、溶融樹
脂から金型への伝熱を抑制して、これによってキャビテ
ィ内を流動する溶融樹脂の流動性が所要流動性以下にな
らないようにすることになる。後者の場合は、キャビテ
ィ内を流動する溶融樹脂への熱量の補給はなく、発熱体
の加熱温度には冷却時間短縮の観点から限界があるの
で、実際問題として、溶融樹脂の流動性低下の抑制効果
には限界がある。キャビティ内を流動する溶融樹脂と発
熱体17,24をともに誘電加熱するか、発熱体17,
24だけを誘電加熱するかは、溶融樹脂の充填温度、物
性、成形品の成形精度等と勘案して選択できることであ
る。また、導電層16,24間の電圧と、導電層16,
18間の電圧、23、25間の電圧とを別個に調整でき
るようにして、溶融樹脂の誘電加熱量と発熱体の誘電発
加熱量とを別個に制御することもできる。
の電気的一体性を確保するための例を示している。この
例においては、可動側金型の合せ面に設けた溝に弾性の
高い導電部材41を嵌め込んでおり、金型が閉じたと
き、この導電部材41は押しつぶされて弾性変形する
(図4(a))。他方、固定側金型11と可動側金型2
1のパーティング面が開いた状態(図4(b))では導
電部材41がパーティング面の開きに合わせて弾性復元
するので、固定側金型11と可動側金型21は導電部材
41を介して電気的に連通した状態に保持される。した
がって、金型の閉状態はもちろん、パーティング面が開
いた開状態でも、キャビティC周辺に発生する電磁波に
対する金型によるシールド効果が確保される。変形可能
な導電部材(導電性部材)41は導電性と弾性復元力と
があればその形状の如何を問わないが、金属製のメッシ
ュチューブやスプリング状のチューブが導電性および弾
性復元力に優れている。
び可動側金型21の導電層23,25は金型外部に設け
た高周波発生装置31と導電層16,25の組合わせ、
導電層18,23の組合わせの各組が逆の極性になるよ
うに接続されている。固定側金型11を成形機の固定側
プラテン(図示せず)に、可動側金型21を成形機の可
動側プラテン(図示せず)にそれぞれ取り付ける。成形
機の可動側プラテン(図示せず)の移動により固定側金
型11と可動側金型21を合わせ、固定側金型11のキ
ャビティ面15と可動側金型21キャビティ面22とで
キャビティCを形成する。
波電圧の周波数、出力は使用する発熱体の材質や容積、
キャビティCの空間容積に対して最適化する必要があ
る。例えば、発熱体が厚み50ミクロンのチタン酸バリ
ウム(TiBaO3)の場合、周波数30〜100MH
z、出力1〜10kWの高周波電圧が好ましい。また、
高周波電圧の印加開始時期は概ね溶融樹脂の充填開始に
合せ、高周波電圧の印加停止はほぼ溶融樹脂の充填停止
に合せればよいが、印加停止時期が早いほど冷却時間の
短縮に寄与するから、キャビティ末端における溶融樹脂
の流動性が確保される限度において、可及的に早めに停
止することが望ましい。
すると、上記発熱体17,24の温度は直ちに金型温度
に低下し、金型は冷却システムによって冷却されている
ので、キャビティCに充填された樹脂の熱は金型へ速や
かに伝熱され、樹脂は温度が低して固化する。その後、
成形機の可動側プラテン(図示せず)の移動により、可
動側金型21が固定側金型11から離れてキャビティC
が開かれ、固化した樹脂が金型から取り出される。
ティCは平板状空間C1と3つの縦の空間C2によるも
のである。固定側金型11は11a,11bの2部品で
構成されそれぞれに部品のキャビティ面には、絶縁材層
19a,19b、導電層18a,18b、発熱体17
a,17b、および導電層16a,16bがそれぞれ積
層されている。これによって、高周波誘電加熱ブロック
A1,B1が構成されている。他方、可動側金型21
は、21a、21b、21c、21dの4部品で構成さ
れており、それぞれのキャビティ面には絶縁材層26
a,26b,26c,26d、導電層25a,25b,
25c,25d、発熱体24a,24b,24c,24
d、および導電体23a,23b,23c,23dがそ
れぞれ積層されている。これによって高周波誘電加熱ブ
ロックA2,B2,X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z
2を構成している。
5b、23c、25dを一組とし、また、導電層16
b,18a、25a、23b,25c、23dを一組と
して高周波発生装置に接続することで、キャビティC
1、C2、または発熱体24a,24b,24c,24
dに電気極性の逆の高周波電圧を印加することができ、
キャビティC1,C2、発熱体24a,24b,24
c,24dを高周波誘電加熱することができる。図2に
示す構成の金型を用いることでキャビティCの形状が複
雑になっても、キャビティCの各空間における溶融樹脂
がその末端まで十分行き渡るように、その流動性を保持
させることができる。また、高周波発生器31から導電
層への接続途中に切換装置32を設けて、適時電圧を切
り換え、高周波電源装置31から各高周波誘電加熱ブロ
ックへの出力を調整することにより、キャビティCの水
平空間C1、垂直空間C2を流れる樹脂の状況に合わせ
て、各高周波誘電加熱ブロックの発熱体による発熱量を
制御することができる。図2の金型による作成方法およ
び成形手順は、図1の金型による成形方法および成形手
順と同様である。
を、高周波誘電加熱ブロックA1,A2,B1,B2,
X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2による加熱領域の
10区分に分割しているが、例えばキャビティを構成す
る空間区分の厚さが異なり、あるいはその間の溶融樹脂
の流動距離が異なるなどの条件が異なる場合は、キャビ
ティの各空間ごとに加熱開始、加熱停止、熱出力などの
高周波誘電加熱条件を異ならせることが望ましい場合が
ある。このような場合は、図3に示すように一対の高周
波誘電加熱ブロックA1とA2、B1とB2、X1とX
2、Y1とY2,Z1とZ2をそれぞれの個別の制御装
置33を介して高周波電源装置31に接続し、この制御
装置33をCPU34によって、所定の制御プログラム
に基づいて制御すればよい。制御装置33は、各高周波
誘電加熱ブロックの一対の導電層の極性の切り換え、電
圧、通電のON/OFFなどを制御して、各高周波誘電
加熱ブロックの熱出力を制御するものであり、CPU3
4の指令信号によって動作するものである。
ラムは、成形品毎の金型について、予め測定された測定
データに基づいて作成され、個々の高周波誘電加熱ブロ
ックによる加熱の最適タイミング、最適熱出力に制御す
る制御プログラムである。そして、個々の金型につい
て、その冷却条件、充填材料、充填温度、充填速度など
の射出成形条件と、そのキャビティ内を溶融樹脂が末端
に向かって流動するときのその先端の温度変化の測定デ
ータと、個々の温度測定点の目標設定温度とに基づい
て、個々の高周波誘電加熱ブロックによる加熱条件を求
め、この加熱条件に適う制御プログラムを作成して用意
し、個々の金型の冷却条件、充填材料、充填温度、充填
速度を設定することで、CPUで最適のプログラムを選
択するようにすることができる。また、上記測定データ
を基に、金型の冷却条件、充填材料、充填温度、充填速
度等をパラメータとする共通する演算式を用いてCPU
の演算回路で制御プログラムを演算するようにすること
もできる。この場合は上記パラメータを入力することに
よって、個々の成形品に適った制御プログラムで制御さ
れることになる。また、キャビティ表面近傍に複数の温
度センサを設け、成形装置の稼働中の温度を基にして、
個々の高周波誘電加熱ブロックによる加熱条件を自動的
に調整するようにプログラムすることもできる。
端までの空間を流動する溶融樹脂に高周波電界を印加す
ることでこれを高周波誘電加熱して流動時の樹脂温度を
制御する際に、金型へ伝熱される金型内の伝熱経路途中
に高温領域を設け、これによって溶融樹脂から金型への
伝熱を抑制するものであるから、溶融樹脂の誘電加熱容
量が小さくても、この溶融樹脂の誘電加熱と相俟って金
型への伝熱抑制によってキャビティ内を流動する溶融樹
脂の温度低下、流動性低下を抑制して、キャビティ末端
に到達するまで高い流動性を保持させることができ、し
たがって、極めて狭いキャビティ空間の末端まで溶融樹
脂を十分充填させることができる。
いるので、加熱手段の作動、停止に対する温度応答性が
高く、したがって極めて短時間で加熱昇温させることが
でき、かつその温度降下が迅速であるので、上記加熱手
段による加熱が金型の冷却工程の冷却促進の障害になる
こともない。
配管や放熱する面との間に高周波誘電による発熱体を設
けることで、金型の構造の如何に関りなく金型に無理な
く高温領域を組み込むことができる。
で、高周波電界よる誘電加熱の応答性及び効率がよく、
したがって、金型の高温領域の加熱時間が短縮される。
極性が互いに異なるように電界を印加することが出来る
ので、キャビティ形状の如何に関わらず、キャビティ全
体について流動する溶融樹脂を高周波誘電加熱すること
ができる。
停止を行い、これによって流動する溶融樹脂を誘電加熱
し、さらに、金型の高温領域の発熱体を加熱することが
できるので、冷却工程と誘電加熱とが時間的に重なるこ
とはなく、したがって、充填完了後に続く冷却工程が遅
延することは回避される。
極性が互いに異なる様に電界を印加することができるの
で、キャビティ形状の如何に関わらず、キャビティ全体
について、流動する溶融樹脂を高周波誘電加熱すること
ができる。
導電層についてその極性が反対になるように電界をかけ
るとともに、その極性を切り換えるようにしたので、キ
ャビティ内溶融樹脂の発熱、金型内の発熱体の発熱を選
択的に制御することができる。
用効果 金型内の高周波誘電加熱領域を樹脂流動方向に複数に分
割して、高周波電界出力をそれぞれ個別に制御するの
で、成形品の形状、樹脂材料に応じて最適の誘電加熱を
行うことができる。
るから、金型内部で発生する電磁波を金型によって完全
にシールドすることができる。
た導電性部材が弾性復元して、合せ面の開きに追従し、
これによって固定金型と可動金型とが電気的に一体性が
保持されるので、金型によるシールド効果が低下するこ
とはない。
導電層についてその極性が反対になるように電界をかけ
るとともに、その極性を切り換えることができるので、
キャビティ内溶融樹脂、金型内の発熱体に選択的に高周
波電界を与えることができる。
されているので、各導電層へ与える高周波電界の出力、
タイミングを、射出成形条件(材料、形状、射出温度、
射出時間、金型温度等)に応じて最適に制御することが
できる。 (14)請求項15乃至請求項17の発明の作用効果 金型内の温度センサによる温度検知データをフィードバ
ックできるので、外乱による成形精度低下を防ぐことが
できる。 (15)請求項18の発明の作用効果 肉薄の成形品が高品質で成形されるので、この肉薄で高
品質の成形品を用いることにより、当該成形品を組み込
んだ製品の計量化、コンパクト化が図られる。また、ウ
エルドラインを少なくすることが出来るので、ウエルド
ラインによる強度低下がなく、薄肉でも高強度で外観が
良好な成形品が得られる。
図であり、(b)は図1の一部拡大図である。
る。
一例を示すブロック図である。
態を示す断面図であり、(b)は同成形金型の開状態を
示す断面図である。
1,Z2:高周波誘電加熱ブロック
Claims (18)
- 【請求項1】成形金型のキャビティに溶融した樹脂を充
填する際、キャビティの樹脂流入口であるゲートからキ
ャビティ末端までの空間を流動する溶融樹脂に対して高
周波電界を印加して高周波誘電加熱することによって当
該溶融樹脂の流動時の温度を制御して、その粘度が高く
なることを抑制しつつ当該溶融樹脂を金型キャビティを
流動させるプラスチック薄型成形品の成形方法におい
て、 キャビティ面の背部に設けた昇温手段による高温領域の
温度を制御して、キャビティ内を樹脂が流動する時の溶
融樹脂と金型間の伝熱の温度勾配を無くして、溶融樹脂
から金型への伝熱を抑制することを特徴とするプラスチ
ック薄型成形品の成形方法。 - 【請求項2】上記高温領域の上記昇温手段が高周波誘電
加熱によるものであることを特徴とする請求項1の成形
方法。 - 【請求項3】上記キャビティ表面と金型内の冷却配管の
間、又はキャビティ表面と金型の放熱面との間に発熱体
を設けて、これによって上記高温領域を形成しているこ
とを特徴とする、請求項2のプラスチック薄型成形品の
成形方法を実施するための成形金型。 - 【請求項4】上記発熱体が誘電体セラミックスであるこ
とを特徴とする請求項3の成形金型。 - 【請求項5】上記キャビティ表面を形成する第1導電層
と、当該第1導電層の外側に上記発熱体を設け、当該発
熱体の外側に第2導電層を設けてあって、上記第1導電
層と第2導電層とによって上記発熱体に高周波電界を印
加してこれを発熱させることを特徴とする請求項3の成
形金型。 - 【請求項6】上記キャビティ内を流動する溶融樹脂を高
周波誘電加熱する高周波電界の印加をゲートからの溶融
樹脂充填開始時点から充填停止時点まで行うことを特徴
とする請求項1の成形方法。 - 【請求項7】上記キャビティ表面を形成する第1導電層
と第2導電層と、第1導電層と第2導電層の間に設けら
れている発熱体とを備えている一方の金型と、同様の構
成の他方の金型とを合わせてキャビティ空間を形成し、
前記キャビティ空間を流動する溶融樹脂を高周波誘電加
熱するために上記一方の金型の第1導電層と上記他方の
金型の第1誘電層の極性が反対になるように高周波電界
を印加するとき、上記一方の金型の発熱体背部に設けた
第2誘電層に同金型の上記第1誘電層と反対の極性とな
る電界を印加し、他方の金型の第2導電層に同金型の上
記第1導電層と反対の極性となる電界を印加することに
よって、キャビティ内を流動する溶融樹脂と発熱体とを
高周波誘電加熱することを特徴とする請求項1の成形方
法。 - 【請求項8】上記キャビティ表面を形成する第1導電層
と当該第1導電層の外側の発熱体と当該発熱体の外側に
第2導電層を設けている一方の金型と、同様の構成の他
方の金型における上記一方の金型の第1導電層と他方の
金型の上記第2導電層を一つのグループとし、また、一
方の金型の上記第2導電層と他方の金型の第1導電層を
一つのグループとして、各グループの各導電層に対し
て、それぞれまたは同時に電界を印加できる切り換え装
置によって、それぞれのグループの導電層に極性が反対
になるように高周波電界を印加することを特徴とする請
求項1の成形方法。 - 【請求項9】高周波誘電加熱する上記誘電層を樹脂流動
方向に複数に分割した成形金型を用い、分割された個々
の導電層による高周波電界の印加を樹脂の流動に合せて
個別に制御することを特徴とする請求項5の成形金型。 - 【請求項10】分割された個々の導電層への通電を個別
に制御することによって個々の導電層による高周波電界
の印加を制御することを特徴とする、請求項9の成形金
型による請求項2の成形方法。 - 【請求項11】分割された個々の導電層への通電電圧を
制御することによって個々の導電層による高周波電界の
印加を制御することを特徴とする請求項10の成形方
法。 - 【請求項12】上記成形金型において、金型本体または
表面が金属、または金属を含む部材で形成され、各導電
層は金型本体に対して電気的に絶縁されており、上記一
方の金型と他方の金型との合わせ面が密着することで、
両金型が互いに電気的に一体化した状態でキャビティを
形成して、両金型がキャビティ部で発生する電磁波に対
するシールドとして機能することを特徴とする請求項3
の成形金型。 - 【請求項13】負荷を受けて弾性変形し、負荷が解除さ
れて弾性復元する導電性部材を金型のパーティングライ
ン面等の型合わせ面に設け、上記導電性部材が金型のシ
ールド機能部分に接続してあり、組み合わせた状態の金
型の表面が電気的に一体となって電磁波に対するシール
ドを構成することを特徴とする請求項12の成形金型。 - 【請求項14】上記キャビティ表面を形成する第1導電
層と当該第1導電層の外側の発熱体と当該発熱体の外側
の第2導電層を設けている一方の金型と、同様の構成の
他方の金型における上記一方の金型の第1導電層と他方
の金型の上記第2導電層とを一つのグループとし、ま
た、一方の金型の上記第2導電層と他方の金型の第1導
電層とを一つのグループとして、各グループの各導電層
による高周波電界の印加をそれぞれまたは同時に切り換
えて、上記両金型の第1導電層及び第2導電層への通電
を制御する制御装置を備えているプラスチック薄型成形
品の成形装置。 - 【請求項15】上記両金型の第1導電層及び第2導電層
への通電制御装置が、所定のプログラムによるプログラ
ム制御装置である請求項14のプラスチック薄型成形品
の成形装置。 - 【請求項16】上記一方の金型及び他方の金型に温度セ
ンサを設けてあり、上記両金型の第1導電層及び第2導
電層への通電制御装置が上記第1導電層の温度検出デー
タをフィードバックする制御装置である請求項14のプ
ラスチック薄型成形品の成形装置。 - 【請求項17】上記キャビティの末端部近傍に上記温度
センサを設けている請求項16のプラスチック薄型成形
品の成形装置。 - 【請求項18】請求項1、請求項2又は請求項6乃至請
求項11の成形方法で製作したプラスチック薄型成形
品。
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