JP2003310353A - ブラシの製造方法 - Google Patents
ブラシの製造方法Info
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Abstract
脂洩れ抑えられ、用毛のねじれや乱れが防止され、植毛
基部の変形やそりの少ない高品質なブラシを製造するこ
とができるブラシの製造方法を提供すること。 【解決手段】 複数の植毛孔24を有する植毛基部22
の植毛孔24に用毛束3を挿入する用毛束の挿入工程
と、植毛孔24から突出する用毛束3の片端部31を加
熱して溶融塊32を形成する熱加工工程と、溶融塊32
を被覆する被覆工程とを具備するブラシの製造方法であ
る。植毛孔24の開口周縁部240及び用毛束3の片端
部31を非接触熱源で加熱して溶融塊32を形成すると
ともに溶融塊32と植毛孔24の開口周縁部240とを
融着させる。
Description
ラシの製造方法に関する。
を有する植毛基部を用いた歯ブラシの製造方法に関する
従来技術としては、例えば、下記特許文献1に記載の技
術が知られている。この技術は、植毛基部の植毛孔から
突出する用毛束の片端部を溶融させて溶融塊を形成した
後に、該溶融塊を被覆して植毛部を形成するものであ
る。
の用毛束の片端部を全体的に溶融させて溶融塊を形成
し、形成された溶融塊を押圧して該溶融塊と植毛基部と
を密着させている。すなわち、植毛孔から突出する用毛
束の片端部の形状に応じて、精度良く溶融塊を形成する
ことについては何等考慮されていない。このため、この
製造方法では、特に断面の寸法・形状が異なる用毛束を
植毛する場合や、植毛孔から突出する用毛束の片端部の
先端位置が個々に異なるブラシを製造する場合には、用
毛束の突出端部を均等に溶融させることが困難であり、
溶融塊で植毛孔の全周囲を塞ぐことができず、後述する
樹脂の充填時に植毛孔から樹脂の洩れが発生して成形不
良となるおそれがあった。また、各用毛束の溶解の程度
が不均一であり、溶融塊の大きさにばらつきが生じ、溶
融塊の小さな用毛束は軽微な力で抜け落ちるおそれがあ
った。さらに、溶融塊を押圧して密着させるため、用毛
束に過度の負荷がかかり、用毛にねじれや乱れが生じや
すいほか、押圧によって密着した溶融塊及び植毛基部が
加熱後に全体的に収縮し、最終的な製品にそり等の変形
が発生する課題があった。
技術としては、下記特許文献2に記載の歯ブラシの製造
方法が知られている。この技術では、個々の用毛(フィ
ラメント)の先端をレーザーによって丸めている。ま
た、レーザーによってフィラメントどうしをその長手方
向で接合させることが記載されている。しかしながら、
用毛束の片端部をレーザーによって融解して融解塊を形
成することやレーザーの照射パターンについては記載も
示唆もない。
造方法として、樹脂製の用毛支持体から露出する複数の
用毛束の端部を、レーザーなどの熱源で溶融して溶融肥
大部を形成することが記載されているが、レーザーの具
体的な照射方法については何等開示されてはいない。
度が高く、樹脂充填の際の樹脂洩れによる成形不良を防
止し、用毛のねじれや乱れ、植毛基部の変形を抑えて高
品質なブラシを製造することができるブラシの製造方法
を提供することにある。
を有する植毛基部の該植毛孔に用毛束を挿入する用毛束
の挿入工程と、前記植毛孔から突出する前記用毛束の片
端部を加熱して溶融塊を形成する熱加工工程と、前記溶
融塊を被覆する被覆工程とを具備するブラシの製造方法
であって、前記植毛孔の開口周縁部及び前記用毛束の片
端部を非接触熱源で加熱して溶融塊を形成するとともに
該溶融塊と前記植毛孔の開口周縁部とを融着させるブラ
シの製造方法を提供することにより、前記目的を達成し
たものである。
を、その好ましい実施形態として、歯ブラシの製造方法
に適用した実施形態に基づいて図1〜図7を参照しなが
ら説明する。
は、先ず、歯ブラシ本体の成形工程において、図1
(b)に示すような、植毛基部22を有する歯ブラシ本
体2を成形する。歯ブラシ本体2の成形工程では、図1
(a)に示すように、植毛基部22を有する歯ブラシ本
体2の形態に対応したキャビティ11及びキャビティ1
1に通じる樹脂注入路12を有する成形金型10を用い
る。そして、成形金型10を射出成形機(図示せず)に
セットし、所定の射出成形圧で樹脂注入路12から該キ
ャビティ11内に熱可塑性樹脂(図示せず)を溶融状態
で射出し、冷却した後に脱型する。
ラシ本体に用いられている通常の熱可塑性樹脂を特に制
限なく用いることができる。該熱可塑性樹脂としては、
ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネー
ト、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタ
レート等のポリエステル、アクリロニトリル−スチレン
共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体等が挙げられる。該熱可塑性樹脂は、単独又は複
数を適宜選択して用いることができる。
2に示すように、歯ブラシ本体2の先端部20に扁平で
且つその背面側に凹部21を有する植毛基部22を形成
する。一般に口腔内で操作性の良い歯ブラシの植毛部分
(歯ブラシヘッド部分:プラスチック樹脂部分)の好ま
しい厚みt1は、5.5mm以下であり、薄ければ口腔
内の操作性がより向上するが、歯ブラシとしての強度を
確保し用毛束を安定的に植毛基部22に保持する上でよ
り好ましい植毛部分の厚みt1の範囲は3〜5mmであ
る。凹部21の深さdは、前記の厚みt1との関係や溶
融塊32をどの程度被覆するかを考慮すると1〜4mm
であることが好ましく、更に歯ブラシの操作性を重要視
するならば1〜2mmであることがより好ましい。ま
た、凹部21の底面の厚みt2が大なる程成形性が容易
で曲げ強度も大きくなるが、歯ブラシとしての操作性や
実用性を考慮するとt2は1〜4mmであることが好ま
しく、1.0〜2mmであることがより好ましい。
凹部21内に通じる植毛孔24を形成する。本実施形態
では、先端部、中央部、及び両側部にそれぞれ大きさや
形の異なる植毛孔24が形成されている。尚、植毛孔2
4の形状としては、略円形のほか、略長円形状、略楕円
形状、各種三角形状及び各種矩形状等を適宜選択するこ
とができる。植毛孔24間の間隔は、少なくとも0.3
mm以上とするのが好ましく、0.5mm以上とするの
がより好ましい。間隔が狭すぎると、植毛孔への用毛束
の挿入に支障をきたしたり、植毛基部22の強度が低下
したり、植毛基部22の成形時における樹脂の流路の確
保が困難になるおそれがある。
上方に向けて拡開するようにテーパー状に形成されてい
る。開口周縁部240の角度αは、20〜120°であ
ることが好ましく、30〜50°であることがより好ま
しい。角度αを好ましい範囲に設定すると、植毛がより
容易となり、用毛束の抜け強度が向上し、融解塊と植毛
基部との境界面に凹凸を形成しやすくなる。
って設けることが好ましい。それにより、後述する凹部
21に樹脂を充填する際に充填用樹脂と凹部との接着面
積を増大させ、接着強度を増すことができる。また、後
述するように用毛束3の片端部31を溶融させて溶融塊
32を形成する際に、溶融塊32が植毛基部22の外に
流れ出すことを防ぐことができる。
記用毛束3(図3参照)には従来から歯ブラシの用毛に
用いられている通常の材質のものを用いることができ、
例えば、ナイロン等のポリアミド、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル等が挙げられる。
方法に特に制限はないが、例えば、切断済み用毛を所定
本数束ねて挿入する方法が挙げられる。
開口周縁部240及び植毛孔24から突出する用毛束3
の片端部31のそれぞれを非接触熱源(図示せず)で加
熱し、片端部31を溶融して溶融塊32を形成すると共
に溶融塊32と植毛孔24の開口周縁部240とを融着
させ、押圧せずにそれらを固着させる。
しては、個々の溶融塊を必要形状に精度良く且つ効率よ
く形成する上で、所定のレーザー発振器からレーザービ
ームを照射する方法、ハロゲンランプ等の光源から光を
集光して照射する方法が好ましい。以下、レーザービー
ムを照射する方法の実施形態に基づいて説明する。
ように、複数の前記用毛束3の片端部31にレーザービ
ームを照射して片端部31を溶融し、前記植毛孔24の
開口周縁部240よりも断面が大きな溶融塊32を形成
する。
抜け強度を確保できるように、植毛孔径の1.05倍以
上が好ましい。用毛束3どうしの間隔が狭い場合は、溶
融塊どうしが連結されて用毛束の抜け強度がさらに強く
なる。溶融塊32が過度に大きいと、用毛束抜け強度は
強くなるが、溶融塊の形成に時間がかかったり、溶融塊
32が凹部21からはみ出し、後述する樹脂の充填時に
支障をきたす場合がある。
ら結像レンズに至るレーザー光の光路において、各用毛
束3の断面形態に応じて予め記憶部に登録された照射パ
ターン(走査パターン)に基づいて、コントローラーが
前記光路内に配された反射鏡の角度をサーボー制御する
とともにフォーカスレンズの位置を制御することで、結
像レンズから照射されるレーザービームを正確に各用毛
束3の片端部31に走査照射する。
ム径)は、用毛束3の断面形態、数、植毛位置等に応じ
て適宜設定することができる。本実施形態では、個々の
用毛束3に走査照射するために、ビーム径は0.1〜4
mmであることが好ましい。なお、レーザービームのエ
ネルギーを高めて細かな走査形態で個々の用毛束3に溶
融塊32を形成する場合は、0.1〜1mmであること
がより好ましい。
ては、前記各用毛束3の用毛の長さ、各用毛束3の断面
寸法、各用毛束3の植毛基部22における植毛位置、各
用毛束3の植毛基部22に対する前記角度(θ)、各用
毛束の用毛密度、各用毛束の用毛の種類(太さ、色(光
吸収率))や先端形状等に基づいて、最適なパラメータ
ー(照射スポット径、照射熱量、照射時間、走査速度、
走査ピッチなど)を設定し、個々の用毛束に対応した走
査照射行うことで、良好な溶融塊形成がなされる。
や馬蹄形の断面形態を有する用毛束3においては、図4
(c)、(d)に示すように、ビームのスポット径に応
じた所定ピッチ(P)で直線に走査する形態や、図4
(e)、(f)に示すように、ビームのスポット径に応
じた所定ピッチで中央部から外側にトラック状に走査す
る等、適宜選択し、最適な溶融条件を達成することがで
きる。
ビームのスポット径、走査速度、又は出力にもよるが、
0.05〜2mmとすることが好ましい。また、レーザ
ービームの走査速度は、前記溶融塊32の形成に必要な
熱容量と溶融時間を確保する点から60〜800mm/
秒(出力12〜50Wにおいて)であることが好まし
い。
出力が得られ、且つパルス化が図れる点から、1〜10
kHzであることが好ましい。また、前記レーザービー
ムの出力は、レーザービームの走査形態への対応性と簡
素な設備の点から、10〜100Wであることが好まし
い。
ーザー光にて、照射するパラメーターを変化させ最適な
溶融条件にて溶融塊を形成する。例えば、図3に示す用
毛束3の片端部31のように、他の用毛束に比べ、突出
量の多い形態又は、用毛束断面積の大きい形態に対して
は、照射時間、走査ピッチなどのパラメーターを変更
し、走査照射時により多くの熱量を加え、適切に溶融塊
を形成する。また、用毛束3の突出量が少なく、用毛束
断面積の小さい形態では、前記と逆に、パラメーターを
変化させ、走査照射時に加えるの熱量を少なくする。特
に、用毛束3の片端部31の形態で、個々の用毛の突出
量が変化している形態(31a)においては、その高い
部分を一度走査照射し、さらに片端部31aの全体を再
度重ねて走査照射することで、高さが均一な溶融塊32
を良好に形成することができる。
に、重ねて行う以外に、用毛束3の高い部分(多く溶融
させたい部分)に集中して熱量を与える為、走査ピッチ
を部分的に狭くしたり、走査速度を部分的に変更し、必
要な部分に集中して溶融熱量を多く加える等、走査レー
ザー方式の特徴を活し、溶融塊形成の最適な形態を採る
ことができる。
毛孔24の開口周縁部240とをレーザービームで加熱
して溶融塊32を形成するとともに、溶融塊32と植毛
孔24の開口周縁部240とを融着させる点について具
体的に説明する。
溶融するときに片端部31を部分的に非常に高温とし、
高流動性を有して植毛基部22に密着する状態で溶融魂
32を形成する。これにより、図5に示すように、溶融
魂32と植毛孔24の開口周縁部240の全面とを押圧
せずに融着させることができる。これにより、後述する
樹脂充填時に、植毛孔24と用毛束3との間からの樹脂
洩れを防ぐことができる。また、溶融塊32形成時に、
押圧をせずに形成しているため、用毛束3に応力がかか
らず、用毛のねじれや乱れが無く、高品質な用毛束状態
を維持できる。また、非接触熱源の中では、熱風方式に
比べても、レーザービームの方が溶融塊形成時に用毛に
応力をかけない点でよりすぐれている。さらにレーザー
ビームでは、溶融塊形成時に、溶融する箇所のみに熱を
加え、加熱不要な部分には熱を加えないようにすること
ができるので、熱風方式に比べ、植毛基部の変形やそり
が極めて小さい歯ブラシの製造が可能となる。
レーザービームを、例えば、図4(c)に示すように、
一定ピッチで走査させ、用毛3aを集合させた用毛束3
の片端部31と植毛孔24の開口周縁部240の一部を
相互に照射している。これにより、図5に示すように用
毛束の片端部31と植毛孔24の開口周縁部240とを
相互に溶融し、溶融塊32を形成するとともに、互いの
材料が絡み合うように溶融塊32と開口周縁部240と
の境界面32aに凹凸形状を形成し、該境界面32aが
冷却によって収縮した後も該境界面に隙間ができず、確
実に密着している状態、即ち、溶融塊32と植毛孔24
の開口周縁部240とが固着した状態を得ている。
及びB−Bに示すように、略長円形断面の用毛束3を横
切るようにレーザービームを走査照射する。この場合、
用毛束3より小さいスポット径のレーザービームを、用
毛束3と基部の開口周縁部240を相互に走査照射し、
部分的に溶融させていく。
に溶融する形態は、まず、図6(a)に示すように、基
部の開口周縁部240より照射を開始する。この際、開
口周縁部240の一部が小スポット径のレーザービーム
にて、部分的に溶融状態240aとなる。次に、用毛束
3の外周部の用毛の一部(3b)が溶融され〔図6
(b)〕、さらに、レーザービームで走査照射を継続す
る。次に、レーザービームで、図6(c)の開口周縁部
240をさらに溶融する(240b)。その後、前記の
走査照射を繰り返し、用毛束の片端部の残りの部分を溶
融して、溶融塊32を形成する(図(d))。この際の
照射パターンは、図4(c)に示すように、開口周縁部
240と用毛束3を交互に且つ接近した走査形態でレー
ザービームを照射しているため、図6(a〜d)に示す
ように、開口周縁部240と用毛束3の境界面32aは
凹凸形状をなし、植毛基部22と用毛束3が部分的に相
互に溶融し、冷却収縮後も境界面32aは密着状態を保
つ、すなわち固着状態となる。
植毛孔24の開口周縁部240とを相互に溶融し、溶融
塊32を形成するとともに、互いの材料が絡み合うよう
に境界面32aに凹凸形状を形成することで、植毛基部
22の材料と用毛束3の用毛の材料に従来から用いられ
ているような溶融状態で接着性の乏しい材料の組み合わ
せでもこれらを固着させることができる。
ン樹脂〔溶解度パラメーター(SP値)=8.0〕、ポリ
エチレンテレフタレート〔溶解度パラメーター(SP値)
=10.7〕が使用されることが多く、用毛束3の用毛
の材料には、ナイロン〔溶解度パラメーター(SP値)=
13.6〕が使用されることが多い。このような溶解度
パラメーターの差が1以上大きい材料の組み合わせで
は、熱による接着が困難である。このため、溶融塊の形
成後に搬送工程の振動等により、植毛した用毛束に乱れ
が発生したり、後述する樹脂充填時に流動圧を側面より
受け、溶融塊がずれ、溶融塊と基部植毛孔に隙間が生
じ、同隙間からの樹脂洩れが発生する。
のように、用毛束の片端部31と植毛孔24の開口周縁
部240とを相互に溶融し、溶融塊32を形成するとと
もに、互いの材料が絡み合うように境界面32aに凹凸
形状を形成するため、歯ブラシ本体に用いる材料と用毛
束の用毛に用いる材料との溶解度パラメータの差が2以
上である場合にも、溶融塊32と植毛孔24の開口周縁
部240とを良好に固着させることができる。これによ
り、特に後述する背面凹部の樹脂充填時に充填圧力で溶
融塊32がずれたり、溶融塊32と植毛孔24の開口周
縁部240の密着が損なわれて植毛孔24と用毛束3の
間から樹脂が洩れることを防ぐことができる。溶融塊3
2と植毛孔の開口周縁部240との固着状態は、当該境
界面の断面を拡大観察し、凹凸形状があり、且つ、隙間
がないことで確認することができる(図5参照)。
脂充填時における樹脂の充填性を阻害しない観点から、
溶融塊32の厚みf(図3参照)は0.2〜3mmが好
ましく、0.2〜1mmがより好ましい。尚、樹脂充填
流路の厚み(d−f、図3参照)は0.2mm以上とる
ことが、樹脂の充填性を阻害しない為にも好ましい。
ーザービームによる熱加工工程において、前記レーザー
ビームで前記用毛束3の後端部31を照射して、溶融塊
を部分的に気化させて、溶融塊を所定の寸法形状にする
ことができる。
いては、図3に示すように、マスクプレート17で前記
凹部21の外壁部21aを遮蔽し覆った状態でレーザー
ビームを照射することが好ましい。このようにマスクプ
レート17を配しておくことで、植毛基部22における
溶融の不要な部分にレーザービームが照射されることを
防ぐことができるほか、レーザーが発する熱の影響で植
毛基部22のそりや変形を防止することができる。
る際は、マスクプレート17にスリット状のノズル17
aを有するものを用い、当該ノズル17aから不活性ガ
スの気流を吹き付けながらレーザービームを照射し、溶
融塊32の形成中に溶融塊32及び植毛基部22を冷却
するとともに、不活性ガス雰囲気又は低酸素濃度雰囲気
下で溶融塊32を形成することが好ましい。なお、該気
流の吹き付けは、溶融塊32の形成直後に行うこともで
きる。特に用毛束間のピッチが狭い場合は、溶融塊同士
が接触し連なった溶融塊が形成され、この状態で連なり
一体化した溶融塊は、中心に向かって固化収縮力が作用
する為に、所望の植毛角度にズレが生じる。本発明で
は、個々の用毛束毎に走査レーザー方式で溶融塊をつく
り、さらに気流で随時冷却するため、溶融塊同士が連な
った状態でも溶融塊の収縮は個別に行われるため、用毛
束の植毛角度のズレを防止することができる。また、溶
融塊形成時における気流の吹き付けによって用毛の焦
げ、変色を防止することができるとともに、用毛の溶融
樹脂がマスクプレート17へ付着することを防止するこ
とができる。吹き付ける該不活性ガスとしては、窒素、
アルゴン等が挙げられる。
の片端部31を溶融させることができる出力を発生でき
るものであれば、そのレーザービームの発生源は特に制
限はない。該レーザービームの発生源としては、C
O2、Ar、TEA CO2、エキシマ、He−cd、Y
AG等が挙げられ、これらの中でも、プラスチック材料
を効率良く溶融する点ではCO2が好ましい。
覆工程において、植毛基部22の凹部21に熱可塑性樹
脂を充填して該熱可塑性樹脂で前記溶融塊32を被覆す
る。
13を前記射出成型用金型18から取り外し、さらに、
植毛部25を分離して歯ブラシの製造を完成する。
シの製造方法によれば、用毛束の抜け強度が高く、樹脂
充填の際の樹脂洩れ抑えられ、用毛のねじれや乱れが防
止され、植毛基部の変形やそりの少ない高品質なブラシ
を製造することができる。
はなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変
更することができる。
態のように、溶融塊を形成して該溶融塊と植毛基部の開
口周縁部とを固着させた後、植毛基部と溶融塊を充填樹
脂で被覆して一体化することが好ましいが、例えば、溶
融塊が形成された植毛基部の凹部を板状部材を接着等に
より一体化することもできる。このように、板状部材を
接着する形態では、植毛基部に配置された溶融塊と板状
部材間に隙間が存在するが、溶融塊が植毛基部に固着さ
れているので、歯磨き時に用毛束に応力がかかっても、
用毛束の植毛基部に対する角度が変化しない。
形態のように、レーザービームを移動させて走査させて
行うことが好ましいが、レーザービームは固定してお
き、植毛基部を移動させて照射してもよい。
プ等の光源を集光させることで、レーザービームと同様
の効果を得ることができる。この場合は、前記の同様
に、集光した光源を固定し、植毛基部を移動する方式
が、装置構成上好ましい。
は、植毛基部22の背面側から植毛孔24に挿入するこ
とが好ましいが、植毛基部の正面側から植毛孔に挿入す
ることもできる。
うに、予め所定長さに切断された用毛を用いることが好
ましいが、リールに巻回された用毛束を用いることもで
きる。この場合には、用毛束を植毛基部の正面側から植
毛孔に挿入し、突出させた用毛束の端部を熱加工工程で
非接触熱源で溶融させて溶融塊を形成るとともに該溶融
塊と前記植毛孔の開口周縁部とを融着させ、さらに前述
のように固着させた後、用毛束を所望の長さに切断する
ことが好ましい。
歯ブラシの製造に特に好適であるが、歯ブラシ以外のブ
ラシの製造、例えば、ヘアブラシ、マッサージブラシ、
洗浄ブラシ等の各種ブラシの製造にも適用することがで
きる。
毛束の抜け強度が高く、樹脂充填の際の樹脂洩れ抑えら
れ、用毛のねじれや乱れが防止され、植毛基部の変形や
そりの少ない高品質なブラシを製造することができる。
て用いられる成形金型及び歯ブラシ本体を模式的に示す
図であり、(a)は成形金型の断面図、(b)は歯ブラ
シ本体の側断面図である。
態を模式的に示す図であり、(a)は要部側断面図
((b)のA−A矢視断面図)、(b)は要部平面図で
ある。
加工工程を模式的に示す要部断面図であり、レーザービ
ームを照射している状態を示す図である。
あり、(a)、(b)は用毛束の断面形状を示す図、
(c)、(d)は直線状に走査する場合の図、(e)、
(f)はトラック状に走査する場合の図である。
固着状態を模式的に示す断面図である。
に伴う溶融塊の形成及び融着の過程を模式的に示す説明
図であり、図6(a)〜(d)は、植毛基部の周縁部と
用毛束を相互に溶融させ、境界面の固着状態を形成する
説明図(部分断面図)である。
に示す要部断面図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 複数の植毛孔を有する植毛基部の該植毛
孔に用毛束を挿入する用毛束の挿入工程と、前記植毛孔
から突出する前記用毛束の片端部を加熱して溶融塊を形
成する熱加工工程と、前記溶融塊を被覆する被覆工程と
を具備するブラシの製造方法であって、 前記植毛孔の周囲及び前記用毛束の片端部を非接触熱源
で加熱して溶融塊を形成するとともに該溶融塊と前記植
毛孔の開口周縁部とを融着させるブラシの製造方法。 - 【請求項2】 前記溶融塊と前記植毛孔の開口周縁部と
を押圧せずに固着させる請求項1記載のブラシの製造方
法。 - 【請求項3】 前記溶融塊と前記植毛孔の開口周縁部と
の境界面に凹凸が形成されるように該溶融塊と該植毛孔
の開口周縁部とを固着させる請求項2記載のブラシの製
造方法。 - 【請求項4】 前記用毛束毎に前記溶融塊を形成する請
求項1〜3の何れかに記載のブラシの製造方法。 - 【請求項5】 前記溶融塊の形成中又は形成直後に、該
溶融塊及び前記植毛基部を気流によって冷却する請求項
1〜4の何れかに記載のブラシの製造方法。 - 【請求項6】 不活性ガス雰囲気下又は低酸素濃度雰囲
気下で前記溶融塊を形成する請求項1〜5の何れかに記
載のブラシの製造方法。 - 【請求項7】 前記非接触熱源を、前記用毛束の断面形
態に対応して予め記憶部に登録された照射パターンに基
づいて、走査することを特徴とする請求項1〜6の何れ
かに記載のブラシの製造方法。 - 【請求項8】 前記非接触熱源がレーザービームである
請求項1〜7の何れかに記載のブラシの製造方法。 - 【請求項9】 前記熱加工工程において前記植毛基部を
部分的に遮蔽する請求項1〜8の何れかに記載のブラシ
の製造方法。
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2003
- 2003-01-31 JP JP2003022959A patent/JP4130131B2/ja not_active Expired - Lifetime
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