JP2003310304A - 耐熱性防水構造 - Google Patents

耐熱性防水構造

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JP2003310304A JP2002122542A JP2002122542A JP2003310304A JP 2003310304 A JP2003310304 A JP 2003310304A JP 2002122542 A JP2002122542 A JP 2002122542A JP 2002122542 A JP2002122542 A JP 2002122542A JP 2003310304 A JP2003310304 A JP 2003310304A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防水衣類の製造時や使用時に高温に曝されて
も、優れた防水性を維持し得る防水構造と、該防水構造
を用いた防水衣類および防水靴用防水中袋、並びに該防
水中袋を用いた防水靴を提供する。 【解決手段】 縫製または融着による接合部分を有する
防水性シート素材と、該接合部分の片側を被覆する目止
めテープと、該目止めテープの少なくとも一部を被覆す
る耐熱性保護層よりなることを特徴とする耐熱性防水構
造と、該耐熱性防水構造を用いた防水衣類および防水靴
用防水中袋、並びに該防水中袋を用いた防水靴である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防水衣類に用いら
れる耐熱性防水構造、および該耐熱性防水構造を用いた
防水衣類と防水靴用の防水中袋、並びに該防水中袋を用
いた防水靴に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から防水靴の製造方法として、甲被
とソール(靴底)の間に足部を被包する防水中袋を用い
ることが行われている。
【0003】例えば、特開昭59−160401号に
は、防水中袋の接合部分(縫製部分)の外側に接着テー
プ(目止めテープ)を貼付け、接合強度を高めると共
に、該接着テープに防水透湿性の素材を用いることで、
該接合部分の防水性を高める技術が開示されている。こ
の技術によると、接合部分の縫い目からの水の侵入が、
上記接着テープによって防止されるため、防水性に優れ
た中袋の提供が可能となる。
【0004】ところで、防水中袋に靴底を取り付けるに
際しては、低コスト化を達成するため、靴底を射出成形
により形成し、加硫する方法(射出成形法)や、未加硫
の靴底と防止中袋を圧着して加硫する方法(加硫製法)
の採用が求められている。しかしながら、上記特開昭5
9−160401号の技術では、接着テープに熱可塑性
樹脂製のものを用いていることから、射出成形時や加硫
時に付与される熱によって、靴底と接する部分に用いら
れている接着テープが溶融し、防水中袋の防水性が低下
するといった問題があった。
【0005】他方、特公平5−86202号や、特開平
8−197653号、特開平8−224110号などに
は、防水靴の射出成形法による製造に関する技術が提案
されており、これらによれば、低コストで防水靴を製造
し得る。特に、特開平8−197653号や特開平8−
224110号に開示の技術では、特公平5−8620
2号の技術に比べ、製甲時において甲部を用意する煩雑
さも回避することができ、より低コスト化での製造が可
能であるが、靴底を形成する素材の侵入にバラツキが生
じてしまうことや、甲部から染込んだ水が底面の縫い糸
を介して靴内部に侵入するなど、十分な防水性を保持し
得ないことといった問題があった。
【0006】ところで、例えば工場などで着用される防
水靴には、静電気によるトラブルを防止する観点から、
制電性を持たせることも行われている。例えば、特開平
8−299017号には、甲被と靴底の間に防水中袋を
用い、該防水中袋の踏み付け部分に導電性糸を縫い付
け、該縫い付け部分を導電性の防水シールで防水すると
共に、該防水中袋と接する靴中底や本底に導電性を付与
して制電性を持たせる技術が開示されている。この防水
中袋に用いられる導電性防水シールは、上記の目止めテ
ープと同様に熱可塑性の接着性樹脂を用いている。よっ
て、靴底を射出成形法や加硫製法によって形成すると、
導電性防水シール部での防水性が低下してしまうといっ
た問題があった。
【0007】また、上記目止めテープは、防水性を有す
る手袋、帽子、衣服などの防水衣類においても、縫製部
分などの接合部分の目止めに使用されている。このよう
な防水衣類においても、金型を用いて形状出し(皺を伸
ばしたり、滑らかな曲線を出したりすること)をした
り、熱硬化型の接着剤を用いて部材の接着をする場合な
どがあり、この際に高温に曝されることで、上記目止め
テープが溶融・流動し、防水衣類の防水性が損なわれる
といった問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、防水衣類の製造
時や使用時に高温に曝されても、優れた防水性を維持し
得る防水構造と、該防水構造を用いた防水衣類および防
水靴用防水中袋、並びに該防水中袋を用いた防水靴を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の耐熱性防水構造は、縫製または融着による接合部
分を有する防水性シート素材と、該接合部分の片側を被
覆する目止めテープと、該目止めテープの少なくとも一
部を被覆する耐熱性保護層よりなるところに要旨を有す
る。
【0010】上記耐熱性保護層は、天然ゴムまたはエラ
ストマーから構成されることが好ましく、該天然ゴムま
たは該エラストマーは、加硫されているものであること
が望ましい。
【0011】上記耐熱性防水構造に用いられる防水性シ
ート素材は、防水透湿性フィルムの少なくとも片面に通
気性シートが積層されたものであることが好ましい。上
記防水透湿性フィルムは、多孔質ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)フィルムが推奨され、該多孔質PT
FEフィルムは、細孔の内面を含んで全表面が撥水撥油
剤で被覆されていることがより好ましい。さらに、上記
多孔質PTFEフィルムは、少なくとも片面に親水性樹
脂の連続被膜が設けられているものであることが推奨さ
れる。
【0012】本発明の防水衣類は、上記耐熱性防水構造
を用いるところに要旨を有するものであり、該防水衣類
としては、靴、手袋、帽子、衣服が挙げられる。
【0013】本発明の防水中袋は、上記耐熱性防水構造
を用いており、少なくとも靴底を防水中袋の底面部に取
り付けて防水靴とするためのものであり、該防水中袋
は、防水性シート素材を縫製または融着により接合して
足形に成形し、該接合部分の外面側が目止めテープでシ
ールされてなるものであり、前記目止めテープのうち、
少なくとも靴底と接する部分が、耐熱性保護層により被
覆されているところに要旨が存在する。
【0014】また、上記の防水中袋のうち、靴底と接す
る底面部の一部に、導電性糸が、防水性シート素材を貫
通するように縫い付けられており、且つ該導電性糸の縫
い付け部分の靴底当接面が導電性目止めテープでシール
された状態で上記耐熱性保護層によって被覆されてお
り、該耐熱性保護層が導電性を有するものも、好ましい
態様である。
【0015】この他、上記の防水中袋を用いた防水靴、
より具体的には、靴底部が射出成形または加硫成形によ
り形成されてなる防水靴も本発明に包含される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の耐熱性防水構造は、縫製
または融着による接合部分を有し、該接合部分の片側が
目止めテープで被覆(シール)された防水性シート素材
において、該目止めテープの少なくとも一部を耐熱性保
護層で被覆して、該部分の耐熱性を向上させたものであ
る。以下、上記耐熱性防水構造が適用される代表的な分
野である防水中袋および靴(防水靴)を例に取り、本発
明を説明する。
【0017】本発明の防水中袋は、防水性シート素材か
ら形成される単一または複数の部材を縫製接合または融
着接合により足形に成形したものであり、該接合部分の
外面側が目止めテープでシールされている。そして、上
記目止めテープのうち、少なくとも靴底と接する部分
が、耐熱性保護層によって被覆されたものであるところ
に最大の特徴を有する。
【0018】後述するように、目止めテープは通常、高
融点樹脂の基材と、低融点の接着性樹脂を積層したもの
であり、防水中袋の接合部分の外面側をシールする際に
は、接着性樹脂を溶融させて圧着する。したがって、靴
底を射出成形法や加硫製法の如き方法で形成する場合、
防水中袋の底面部とその近傍は高温に曝されることにな
るため、この部分にある目止めテープの接着性樹脂部が
溶融・流動し、その結果、防水性が低下するのである。
【0019】よって、上記の目止めテープの接着性樹脂
部の流動を防止するために、該目止めテープのうち、上
記靴底形成の際に熱の影響を受ける部分、すなわち、少
なくとも靴底と接する部分を、耐熱性保護層で被覆する
のである。
【0020】耐熱性保護層は、靴底の成形温度(射出成
形温度または加硫温度)に耐え得る素材から構成され
る。通常、靴底の素材としては、ポリウレタン、天然ゴ
ム、合成ゴムなどが用いられ、これらの成形温度は12
0〜160℃とするのが一般的である。「靴底の成形温
度に耐え得る」とは、靴底を成形する際に、目止めテー
プの接着性樹脂部の流動が生じない程度の耐熱性があれ
ばよく、仮に上記成形温度で目止めテープの接着性樹脂
部が軟化あるいは溶融しても、結果として流動が生じな
ければ構わない。
【0021】上記のような耐熱性を有する耐熱性保護層
を構成する素材としては、例えば、天然ゴム、エラスト
マー(合成されるポリマーからなるエラストマー)など
が挙げられる。エラストマーの具体例としては、スチレ
ン−ブタジエン系ゴム、クロロプレン系ゴム、ウレタン
系ゴム、ニトリルゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系
ゴムなどの合成ゴム、シリコーンエラストマー、フルオ
ロシリコーンエラストマー、フルオロカーボンエラスト
マー、ペルフルオロエラストマー、フルオロエラストマ
ー、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂(例えばエチ
レン−酢酸ビニル共重合体など)などが挙げられる。こ
れらの中でも、柔軟で製靴時に防水中袋に皺が入りにく
く、靴底との接着性に優れており、加工し易いことか
ら、天然ゴムまたは合成ゴムが特に好ましい。
【0022】また、耐熱性保護層としては、上記例示の
素材を発泡させたものや、上記例示の素材に金属、ガラ
ス、セラミックなどの無機物、耐熱性高分子樹脂などの
有機物からなる粉末、ビーズ、繊維、フレークなどを充
填したものも、断熱性向上の観点から、好ましく用いら
れる。
【0023】また、本発明の防水中袋のうち、靴底と接
する底面部の一部に、導電性糸が、防水性シート素材を
貫通するように縫い付けられており、且つ該導電性糸の
縫い付け部分の靴底当接面が導電性目止めテープでシー
ルされた状態で上記耐熱性保護層によって被覆されてお
り、該耐熱性保護層が導電性を有するものは、制電靴用
の防水中袋として好ましい態様である。このような防水
中袋であれば、上記の導電性防水シール、すなわち導電
性目止めテープが貼り付けられる底面部(靴底当接面)
が、上記耐熱性保護層で被覆されているため、靴底を射
出成形法や加硫製法で形成しても、導電性目止めテープ
部の接着性樹脂部の溶融に起因する防水性低下を防止す
ることができる。
【0024】なお、上記の防水中袋を用いた制電靴で
は、人体に蓄積された静電気を、防水中袋底面部の導電
性糸および導電性目止めテープを介して地面に流すこと
で、帯電を防止する。したがって、導電性目止めテープ
と地面の間に介在することとなる耐熱性保護層も、導電
性を有することが必要となる。また、この場合、靴底も
導電性を有する必要がある。
【0025】耐熱性保護層や靴底に導電性を付与するに
は、耐熱性保護層や靴底を形成する樹脂に導電性を付与
し得る添加剤を含有させることが好ましい。かかる導電
性付与剤としては、例えば、カーボンブラック(例えば
ケッチェンブラック、アセチレンブラックなど)や、グ
ラファイト、金属(例えばアルミニウム、銅、ニッケ
ル、ステンレス、銀など)などが挙げられる。また、導
電性付与剤の形態は特に限定されず、粉末状、ビーズ
状、繊維状、フレーク状などの形態のものを適宜選択す
ればよい。中でも、耐熱性保護層や靴底の補強効果をも
有するカーボンブラック粉末が好ましく用いられる。こ
うした導電性付与剤は、耐熱性保護層を形成する樹脂1
00質量部に対し、1部以上50部以下、好ましくは5
部以上30部以下(より好ましくは20部以下)とする
ことが推奨される。導電性付与剤が上記範囲を下回る場
合は、十分な導電性が得られず、上記範囲を超える場合
は、靴底の強度が低下するため、靴の耐久性が不十分と
なる。
【0026】本発明の防水中袋に用いられる防水性シー
ト素材としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリ
ル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、含フ
ッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂な
ど、公知の有機樹脂を材料とするものが挙げられる。防
水性シート素材には、フィラー、難燃化剤、着色剤、消
臭剤、抗菌剤、導電剤、酸化防止剤などを含有させても
よい。
【0027】また、防水性シート素材は、通気性や透湿
性を有するものであることが好ましく、この場合、ポリ
ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、含フッ素系樹脂
などを材料とすることが推奨される。
【0028】透湿性を有する防水性シート素材として
は、透湿度が例えば3000g/m2・day以上(好
ましくは6000g/m2・day以上)のものが望ま
しい。この場合、その透湿度は、JIS L 1099B
−2法により得られた測定値を24hrの値に換算した
値である。透湿度の値は、高ければ高いほど靴を着用し
た際に蒸れにくく好ましいが、透湿度の上限値は一般的
に20000〜30000g/m2・day程度であ
る。このような特性を有する防水性シート素材の具体例
としては、例えば、多孔質PTFEフィルムに代表され
る疎水性多孔質フィルムの如き透湿性防水フィルムの少
なくとも片面に、通気性シートを積層したものが挙げら
れる。
【0029】多孔質PTFEフィルムを用いる場合、そ
の最大細孔径は0.01μm以上10μm以下が好まし
く、0.1μm以上1μm以下がより好ましい。最大細
孔径が上記範囲を下回る場合は、フィルム製造が困難と
なる。他方、最大細孔径が上記範囲を超える場合は、フ
ィルムの耐水度やフィルム強度が低下するため、取り扱
い性が低下する傾向にある。なお、ここでいう多孔質P
TFEフィルムの最大細孔径は、ASTM F−316
の規定に準拠して測定した値である。
【0030】また、多孔質PTFEフィルムの空孔率は
50%以上98%以下が好ましく、60%以上95%以
下がより好ましい。空孔率が上記範囲を下回る場合は、
多孔質PTFEフィルムの透湿性が小さくなり、他方、
空孔率が上記範囲を超える場合には、該フィルムの強度
が低下してしまう。なお、ここでいう多孔質PTFEフ
ィルムの空孔率は、JIS K 6885の見掛け密度
測定に準拠して得られる見掛け密度ρから、PTFEの
比重「2.2」を用いて、下式(1)によって求めた値
である。 空孔率(%) = 100×(2.2−ρ)/2.2 (1) 多孔質PTFEフィルムの厚みは、5μm以上300μ
m以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより
好ましい。厚みが上記範囲を下回ると、製造時の取り扱
い性が低下する傾向にあり、他方、厚みが上記範囲を超
えると、フィルムの柔軟性が損なわれると共に、透湿性
が低下する傾向にある。ここでいう多孔質PTFEフィ
ルムの厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、テクノロック
社製1/1000mmダイヤルシックネスゲージ)で測
定した平均厚さ(本体バネ荷重以外の荷重をかけない状
態で測定した値)である。
【0031】上記多孔質PTFEフィルムは、細孔の内
面を含んで全表面が撥水撥油剤で被覆されていることが
好ましい。なお、多孔質PTFEフィルムには、例え
ば、特公昭51−18991号に開示されている延伸多
孔質PTFEフィルムが含まれる。この延伸多孔質PT
FEフィルムは、折り畳み結晶で構成されるノードか
ら、フィブリル(折り畳み結晶が延伸により解けて引き
出された直鎖状の分子束)が放射状に広がり、フィブリ
ルをつなぐノードが島状に点在して、フィブリルとノー
ドとで画された空間が多数存在しているクモの巣状の繊
維質構造をしている。そして、フィブリル間、またはフ
ィブリルとノードとで画される空間が細孔である。上述
の「細孔の内面を含んで全表面が被覆されている」と
は、上記延伸多孔質PTFEフィルムにおいては、細孔
は維持しつつ、フィルム内部のフィブリルやノードの表
面を含むフィルム全表面が被覆されていることを意味す
る。
【0032】好ましい撥水撥油剤としては、例えば、撥
水性および撥油性を有するポリマーが挙げられる。この
ようなポリマーとしては、例えば、含フッ素側鎖を有す
るポリマーが推奨される。
【0033】上記の含フッ素側鎖を有するポリマー、お
よび該ポリマーを多孔質PTFEフィルムに被覆する方
法については、例えば、WO94/22928号などに
開示されている。以下にその一例を示す。
【0034】含フッ素側鎖を有するポリマーとしては、
下記一般式(I)
【0035】
【化1】
【0036】(式中、nは3〜13の整数、Rは水素ま
たはメチル基である)で表されるフルオロアルキルアク
リレートおよび/またはフルオロアルキルメタクリレー
トを重合して得られるポリマー(フッ素化アルキル部分
は6〜16の炭素原子を有することがより好ましい)を
好ましく用いることができる。
【0037】上記の含フッ素側鎖を有するポリマー(以
下、単に「含フッ素ポリマー」と言う場合がある)によ
って、多孔質PTFEフィルムの細孔の内面を含んで全
表面を被覆するには、該含フッ素ポリマーの水性マイク
ロエマルジョンを用いる。上記水性マイクロエマルジョ
ンとは、含フッ素ポリマー、水、および含フッ素界面活
性剤(例えば、アンモニウムペルフルオロオクタノエー
トなど)を用い、該含フッ素ポリマーの平均粒径を0.
01〜0.5μmとしたものである。
【0038】上記水性マイクロエマルジョンを多孔質P
TFEフィルムに含浸させた後、加熱して水と含フッ素
界面活性剤を除去すると共に、含フッ素ポリマーを溶融
させ、多孔質PTFEフィルムの細孔の内面を含んで全
表面を被覆させる。これにより、細孔を維持しつつ、撥
水性・撥油性に優れた多孔質PTFEフィルムとするこ
とができる。
【0039】また、撥水撥油剤としては、上記の含フッ
素ポリマーの他に、例えばデュポン社製の「AFポリマ
ー」や、旭硝子社製の「サイトップ」なども使用でき
る。これらのポリマーによって多孔質PTFEフィルム
の細孔の内面を含んで全表面を被覆するには、例えば3
M社製の「フロリナート」などの不活性溶剤にこれらの
ポリマーを溶解させて得られる溶液を、多孔質PTFE
フィルムに含浸させた後、加熱して該溶剤を蒸発除去す
ればよい。
【0040】多孔質PTFEフィルムの細孔の内面を含
んで全表面を、上記の如き撥水撥油剤で被覆することに
より、該フィルムに種々の汚染物が付着などした際に、
該汚染物が該フィルムの内部に浸透し難くなるため、該
フィルムの疎水性の劣化を抑制することができる。
【0041】また、多孔質PTFEフィルムは、少なく
とも片面に親水性樹脂の連続被膜が形成されていること
も好ましい。
【0042】上記の親水性樹脂としては、水酸基、カル
ボキシル基、スルホン酸基、アミノ酸基などの親水性基
を有する高分子であって、水膨潤性を有し、且つ水不溶
性のものが好ましく用いられる。具体的には、ポリビニ
ルアルコール、酢酸セルロース、硝酸セルロースなどの
親水性ポリマーの少なくとも一部を架橋したものや、親
水性ポリウレタン樹脂などが挙げられる。耐熱性、耐薬
品性、加工性、透湿度などを考慮すると、親水性ポリウ
レタン樹脂が特に好ましい。
【0043】上記の親水性ポリウレタン樹脂としては、
水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、オ
キシエチレン基などの親水基を含むポリエステル系若し
くはポリエーテル系のポリウレタンや、そのプレポリマ
ーが用いられ、さらに、樹脂としての融点(軟化点)を
調整するために、イソシアネート基を2個以上有するジ
イソシアネート類、トリイソシアネート類、またはこれ
らのアダクト体を、単独であるいは混合して架橋剤に用
いることができる。また、末端がイソシアネートである
プレポリマーに対しては、2官能以上のジポリオール
類、トリポリオール類や、ジアミン類、トリアミン類を
硬化剤として用いることもできる。親水性ポリウレタン
樹脂において、より優れた透湿性を確保するためには、
上記の架橋剤・硬化剤は、2官能のものよりも3官能の
ものの方が望ましい。
【0044】多孔質PTFEフィルムに上記親水性樹脂
の連続被膜を形成するには、上述の親水性樹脂を含有す
る溶液、または親水性樹脂の融液を塗布液とし、公知の
塗布方法(例えば、ロールコーター法など)を用いて該
フィルム表面に塗布する。上記塗布液の粘度は、塗布温
度において20000cps以下、より好ましくは10
000cps以下とすることが、良好な塗布性確保の面
から推奨される。なお、上記塗布液に親水性樹脂の溶液
を用いる場合、その溶液組成にもよるが、溶液粘度が低
すぎると、該溶液が多孔質PTFEフィルム全体に拡散
する結果、親水性樹脂の連続皮膜が形成されず、該フィ
ルム全体が親水性となって防水性が低下する場合があ
る。よって、上記親水性樹脂溶液の粘度は500cps
以上とすることが望ましい。なお、ここでいう粘度は、
B型粘度計(例えば、東機産業社製)で測定して得られ
る値である。
【0045】親水性樹脂の連続被膜が形成された多孔質
PTFEフィルムは、該親水性樹脂被膜によって、体
脂、機械油、飲料など種々の汚染物による多孔質PTF
Eフィルムの親水化が抑制されると共に、加えて該フィ
ルムの機械的強度も向上する。よって、上記連続被膜形
成後の多孔質PTFEフィルムは、耐久性に優れるもの
となる。
【0046】本発明の防水中袋に係る防水性シート素材
は、上記の通り、例えば上記の多孔質PTFEフィルム
などの透湿性防水フィルムを基材とし、該基材の少なく
とも防水中袋の内面側となる面に、通気性シートを積層
したものであることが好ましい。より好ましくは、防水
中袋の外面側となる面にも通気性シートを積層した態様
である。
【0047】上記通気性シートとしては、従来公知の布
状物を適宜用いることができる。その材料も特に限定さ
れず、天然繊維や合成繊維、金属繊維、セラミックス繊
維などから好ましいものを適宜選択することが可能であ
る。
【0048】通気性シートの具体例としては、タフタ、
ツイル、リップ、朱子織などの織布;丸編ニット、縦編
ニット、天竺編ニット、トリコットニット、トリコット
ハーフニットなどの編布;ネット;不織布;フェルトな
どが挙げられる。また、例えばウレタン基材の人工皮
革;天然皮革などを用いてもよい。
【0049】通気性シートを形成する合成繊維として
は、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、
ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリ
デン系、ポリフルオロカーボン系、ポリアクリル系など
の各種繊維が好ましい。また、天然繊維としては、綿、
麻、獣毛、絹などの繊維が好ましい。これらの繊維は、
伸縮性があってもよい。上記の合成繊維、天然繊維の中
でも、綿、ポリアミド系繊維(所謂ナイロン繊維)、ポ
リエステル系繊維などから形成される編布または織布
が、美観、強度その他の耐久性、およびコストの面から
推奨される。
【0050】通気性シートを形成するための上記各種繊
維からなる糸の太さは、5.6〜110dtex(好ま
しくは11〜44dtex)とすることが一般的であ
る。また、通気性シートを構成する糸のフィラメント数
は、1〜100フィラメント(好ましくは30フィラメ
ント以下)とすることが一般的である。
【0051】特に防水中袋の内面側となる面に積層され
る通気性シートとしては、耐摩耗性が要求される観点か
ら、耐摩耗性材料であるポリエステル/ナイロンの混合
品(より好ましくは、ナイロン混合率が70質量%以上
のもの)から形成されるものが好ましい。上記以外の通
気性シートとしては、ナイロン100%の不織布である
フットテクノ社製の「キャンブレル」や大裕商事社製の
「マリーク」、ポリエステル100%のスリーバーニッ
トなどの公知の耐摩耗性布帛を使用できる。これらの通
気性シートの厚みは0.1〜5mm(好ましくは0.5
〜2mm)とすることが一般的である。
【0052】また、防水性シート素材において、防水中
袋の外側面となる面に積層される通気性シートの材料・
形態としては、防水中袋の内側面となる面に積層される
通気性シートと同様のものが適用可能である。なお、防
水中袋の外側面は、接合部分が目止めテープでシールさ
れるため、該目止めテープの接着性を高める観点から
は、防水中袋の外側面となる面に積層される通気性シー
トの形態は、目の粗い編布とすることも好ましい。ま
た、編布を用いた場合は、織布などと比較して防水中袋
の軽量化を図り得ると共に、コストの低減も可能とな
る。
【0053】透湿性防水フィルムと通気性シートを積層
して防水性シート素材とする場合に用い得る接着剤とし
ては、靴としての通常の使用条件下において容易に接着
強度の低下が生じないものであればよく、従来公知の接
着剤が使用可能である。一般的には、非水溶性の接着剤
が用いられる。このような非水溶性接着剤には、熱可塑
性樹脂や、熱・光などによって硬化する硬化性樹脂が包
含される。
【0054】非水溶性接着剤の具体例としては、例え
ば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、
シリコーン系、ポリアクリル系、ポリ塩化ビニル系、ポ
リブタジエン系、ポリオレフィン系、その他のゴム系な
どの各種樹脂が挙げられる。
【0055】例えば、ポリウレタン系接着剤としては、
特に硬化反応型ホットメルト接着剤が好ましい。硬化反
応型ホットメルト接着剤とは、常温では固体であり、加
熱すると溶融して低粘度の液体となるが、この状態で保
持するか、あるいはさらに昇温させることにより硬化反
応を起こし、高粘度の液体または固化物となる接着剤で
ある。通気性シートの積層に用いるに際し、加熱溶融さ
せた状態の硬化反応型ホットメルト接着剤の粘度は50
0cps以上30000cps以下(より好ましくは3
000cps以下)であることが好ましい。また、通気
性シートの積層後、さらに加熱して高粘度化させた状態
の硬化反応型ホットメルト接着剤の粘度は500cps
以上、好ましくは10000cps以上であって、20
000cps以下であることが推奨される。なお、硬化
反応型ホットメルト接着剤の硬化反応は、硬化触媒や硬
化剤、水の存在下で進行する。
【0056】上記硬化反応型ホットメルト接着剤の好ま
しいものとしては。湿気(空気中の水分)によって硬化
するウレタンプレポリマーが挙げられる。ウレタンプレ
ポリマーは、例えば、(A)ポリエステルポリオールや
ポリエーテルポリオールなどのポリオール成分と、
(B)トリレンジイソシアネート、メチレンビスフェニ
ルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネートなどの脂肪族または芳香族系の
ジイソシアネートやトリイソシアネートなどのポリイソ
シアネート成分とを、付加反応させて得ることができ
る。かかるウレタンプレポリマーは、その末端にイソシ
アネート基を有しており、湿気の存在下で硬化反応を起
こす。このようなウレタンプレポリマーの溶融温度は、
室温よりわずかに高い50℃以上、好ましくは80〜1
50℃である。
【0057】上記のウレタンプレポリマーは、例えば日
本エヌエスシー社から「ボンドマスター」の商品名で市
販されている。このウレタンプレポリマーは、70〜1
50℃で加熱することにより、透湿性防水フィルムや通
気性シートに塗布可能な粘度の溶融液となる。また、こ
の溶融液を用いて透湿性防水フィルムと通気性シートを
積層した後、室温程度にまで冷却することで、該溶融液
は半固体状となり、透湿性防水フィルムや通気性シート
への過剰な浸透拡散が防止されると共に、空気中の湿気
によって硬化するため、透湿性防水フィルムと通気性シ
ートとをソフトで強固に接着することが可能となる。
【0058】透湿性防水フィルムおよび/または通気性
シートに接着剤を塗布するには、従来公知の方法、例え
ば、ロール法、スプレー法、ハケ塗り法などで行えばよ
い。
【0059】好ましい積層方法としては、例えば、透湿
性防水フィルムに上述のポリウレタン系接着剤を、グラ
ビアバターンを施したロールで塗布するか、あるいはス
プレーするなどし、その上に通気性シートを重ねてロー
ルで圧着する方法などが挙げられる。
【0060】透湿性防水フィルムと通気性シートの積層
は、接着剤を用いる他、強固な接着力が確保でき、且
つ、透湿性防水フィルムの防水性や透湿性を損なわない
範囲で、透湿性防水フィルムおよび/または通気性シー
トの一部を加熱溶融させ、熱融着させてもよい。この場
合、透湿性防水フィルムと通気性シートを重ねた状態で
ヒートロールにより熱融着するヒートロール法やフレー
ムボンディング法など、従来公知の方法を用いることが
できる。
【0061】なお、透湿性防水フィルムと通気性シート
の積層は、風合い、接着力、歩留まりなどの観点から、
透湿性防水フィルムに上述のポリウレタン系接着剤を、
グラビアバターンを施したロールで塗布し、その上に通
気性シートを重ねてロールで圧着する方法を採用するこ
とが好ましい。この場合、透湿性防水フィルムと通気性
シートとの接着は、点状接着や線状接着となるが、その
接着面積は10〜95%、好ましくは15〜50%とす
ることが推奨される。また、接着剤の転写量は、繊維の
密度、接着性、耐久性などを考慮して決定する必要があ
るが、一般的には、2g/m2以上(好ましくは5g/
2以上)50g/m2以下である。転写量が50g/m
2を超えると防水性シート素材の風合いが硬くなりすぎ
る傾向にある。他方、2g/m2未満では接着性が不十
分となり、防水靴としての使用時に受ける湿潤屈曲に耐
え得るだけの耐久性が得られない場合がある。
【0062】このようにして得られる防水性シート素材
の厚みは、0.1〜20mm、好ましくは0.5〜10
mmとすることが推奨される。
【0063】また、防水性シート素材には、適度な柔軟
性と心地よい装着感を得るためにクッション材を積層し
たり、防寒性向上を図るために保温材を積層してもよ
い。この場合、クッション材や保温材は、透湿性防水フ
ィルムと防水中袋内面側の通気性シートとの間に積層す
るのが好ましい。クッション材や保温材などの嵩の高い
材料を透湿性防水フィルムより防水中袋外側面に用いる
と目止めテープによるシールが困難となり、またクッシ
ョン材や保温材などは、一般に耐摩耗性に劣っているた
め、防水中袋の最内面に用いると靴の耐摩耗性が不十分
となる。
【0064】クッション材としては、イノアック社製の
「ポロン」、フィルターフォーム、などのウレタンフォ
ームなどが推奨される。クッション材の厚みは0.5〜
20mm(好ましくは0.5〜10mm)とすることが
一般的である。また、保温材としては、パイルファブリ
ック、日本バイリーン社製の「バイウォーム」、住友ス
リーエム社製の「シンサレート」などが好ましい。保温
材の厚みは0.1〜50mm(好ましくは0.5〜10
mm)とすることが一般的である。
【0065】本発明の防水中袋を製造するに当たって
は、まず、上記の防水性シート素材から、防水中袋を構
成する部材を裁断する。部材の形状・個数は特に限定さ
れず、例えば、特開昭59−160401号に開示の単
一素材片の如く、単一の部材で防水中袋を構成し得る形
状としてもよいし、防水中袋の底面部、側面部、爪先
部、踵部など毎に別々の部材としてもよい。また、底面
部は、一般に中底として用いられる別素材を用いてもよ
い。この場合、中底としては、天然皮革、合成皮革、プ
レスボード(パルプ製)、ウレタン系シート、ポリエス
テル系シート、ポリオレフィン系シート、ナイロン系シ
ートなど、一般に中底として用いられる素材が適宜用い
られる。
【0066】裁断した部材を縫製または融着して、足部
を被包し得る袋状とする。縫製は、例えば、ミシンなど
を用いて行うことができる。縫製糸の素材としては、
綿、絹、麻、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、ポリ
ノジック、ポリウレタンなどが挙げられる。縫製糸は、
これらの1種からなる糸でもよく、2種以上の素材を複
合した糸であってもよい。強度や、耐熱性の面からは、
ナイロン糸やポリエステル糸などを用いることが好まし
い。また、糸の太さは、防水性シート素材の厚みや要求
される強度によって異なるが、例えば、多孔質PTFE
フィルム(透湿性防水フィルム)の片面に78dtex
のナイロンタフタをポリウレタン系接着剤で積層し、さ
らに該フィルムの他面に25dtexのナイロントリコ
ットニットをポリウレタン系接着剤で積層した構造の積
層体から得られる部材を縫製する場合、233dtex
の縫製糸(ナイロン糸またはポリエステル糸)を用いる
ことが好ましい。
【0067】縫製には、1本または複数の糸を用いる。
ステッチ形式としては、本縫い、単環縫い、二重環縫い
などを適宜用いることができ、直線状、曲線状、ジグザ
グ状などに縫製する。
【0068】裁断した部材の接合には、融着による方法
を用いてもよい。融着を行う場合は、熱、高周波、また
は超音波等による従来公知の融着方法により、防水性シ
ート素材の表面を溶かして接合する。このような融着方
法では、接合部分の隙間を完全に埋めることが困難で、
また融着により融着部が脆化するため、接合部の防水性
が不十分となるが、本発明によれば、接合部を目止めテ
ープでシールすることで防水性は保障されるため、機械
的に十分な強度で接合できれば問題ない。
【0069】部材を縫製または融着して袋状とした後、
目止めテープを用いて縫製部分の防水加工を行う。目止
めテープには、高融点樹脂の基材に、低融点の接着性樹
脂を積層してなるテープなどが用いられる。また、上記
基材の表面には、ニットやメッシュなどを積層してもよ
い。目止めテープの具体例としては、例えば、基材にポ
リウレタン系樹脂フィルム、接着性樹脂にポリウレタン
系ホットメルト接着剤を用いた「T−2000」「FU
−700」(SAN CHEMICAL社製)、「MF
−12T」「MF−12T2」「MF−102F」(日
清紡績社製)などや、基材に多孔質PTFEフィルム、
接着性樹脂にポリウレタン系ホットメルト接着剤を用い
た「GORE−SEAM TAPE」(ジャパンゴアテ
ックス社製)などが挙げられる。
【0070】目止めテープの接着性樹脂層の厚みは25
〜400μmであることが好ましく、50〜200μm
であることがより好ましい。接着性樹脂層の厚みが上記
範囲を下回る場合、接着性樹脂量が少なすぎ、例えば部
材同士や縫製糸によって生じる縫製部分での凹凸部を、
十分な接着強度で被覆することが困難となる。他方、接
着性樹脂層の厚みが上記範囲を超えると、目止めテープ
を熱圧着する際(後述する)に、該樹脂が十分に溶融す
るまでに時間がかかり、加工性が低下する。この場合、
熱圧着時間を短縮すると、接着性樹脂が十分に溶融せ
ず、接着強度が不十分となる傾向にある。また、熱圧着
後のシール部(接合部分のうち、目止めシールによって
目止めした部分)の風合いが硬くなる。
【0071】目止めテープは、接着性樹脂層に熱風を当
て、接着性樹脂を溶融させた状態で、被接着体、すなわ
ち、防水中袋の外面側の接合部分に加圧ロールで圧着積
層する公知のホットエアシーラーで熱圧着することがで
きる。こうしたホットエアシーラーとしては、例えばク
インライト電子精工社製の「クインライト Model
QHP−805」や、W.L.GORE&ASSOCI
ATES社製の「MODEL 5000E」などを使用
することができる。また、目止めテープで短い接合部分
をシールするには、より簡便な方法として、市販のアイ
ロンで熱圧着させることもできる。この場合、目止めテ
ープを接合部分に重ねた状態で、その上からアイロンに
よって熱を加える。
【0072】上記目止めテープによって接合部分をシー
ルする際の熱圧着条件は、目止めテープの接着性樹脂の
融点、防水性シート素材の材質・構成・厚み、要求され
る加工速度などに応じて適宜決定すればよい。
【0073】多孔質PTFEフィルム(透湿性防水フィ
ルム)の片面に78dtexのナイロンタフタをポリウ
レタン系接着剤で積層し、さらに該フィルムの他面に2
5dtexのナイロントリコットニットをポリウレタン
系接着剤で積層した構造の防水性シート素材を裁断して
得た部材を、ナイロン糸で縫製した後、該縫製部分のナ
イロントリコットニット面同士を、接着性樹脂にポリエ
ステルウレタン系ホットメルト接着剤を用いた目止めテ
ープ[接着性樹脂の180℃における流動値(島津製作
所社製のフローテスターCFT500で測定した値)
が、好ましくは40〜200×10-3cm3/s、より
好ましくは100×10-3cm3/sで、接着性樹脂層
の厚みが好ましくは25〜200μm、より好ましくは
50〜150μm]でシールする場合の熱圧着条件の一
例を示す。この場合、上記目止めテープをホットエアシ
ーラーに装着し、接着性樹脂層の表面温度が150〜1
80℃(好ましくは160℃)となるように設定し、上
記縫製部分に熱圧着する。次いで、目止めテープの加熱
部分が室温になるまで放冷して、熱圧着が完了する。
【0074】目止めテープの接着性樹脂(ホットメルト
接着剤)の流動値は、低すぎると接着力が不足する傾向
にあり、高すぎると例えば縫製穴から樹脂の染み出しが
生じ、加圧ロールなどに付着してしまう。また、接着性
樹脂層の表面温度は、低すぎると接着性樹脂が十分に溶
融せず、接着力の低下を引き起こし、高すぎると流動性
が高くなりすぎ、例えば縫製穴からの染み出しの問題が
生じると共に、接着性樹脂自体の熱分解も生じ、接着強
度が低下する場合がある。
【0075】また、防水中袋が制電靴に用いられる場合
は、靴底と接する底面部の一部に、防水性シート素材を
貫通するように導電性糸を縫い付ける(図3)。導電性
糸を縫い付ける場所は、靴底と接する部分であれば特に
限定されないが、爪先踏み付け部および/または踵踏み
付け部であれば、歩行時に人体の荷重が常時かかること
により、人体に蓄積された静電気が導電性糸を介して靴
底方向へ逃げ易くなるため好ましい。導電性糸として
は、各社から市販されているもの、例えば、日本蚕毛染
色社製の「サンダーロン」や、カネボウテキスタイル社
製の「アンゼルス」などが適宜用いられる。導電性糸の
抵抗値は、105Ω・cm以下、好ましくは10Ω・c
m以下である。導電性糸の抵抗値が上記範囲を超える場
合には、導電性が不十分となり、制電靴としての性能を
満足できない。導電性糸の太さは、33〜235dte
xが好ましい。導電性糸の防水中袋に露出した部分は人
体と接触するため、導電性糸の太さが上記範囲を下回る
と、人体との摩擦により糸が擦り切れるおそれがある。
また、導電性糸の太さが上記範囲を超えると、導電性糸
による段差が大きくなり、着用時の足あたりにより靴の
履き心地が損なわれる。これら導電性糸の縫い付け方法
・ステッチ形式などは、人体に蓄積された静電気が靴底
に移動できるものであれば特に限定されないが、一度の
縫製加工で比較的広い面積で導電性糸を縫い付けること
ができる千鳥縫いが好ましい。また、縫い付けるタイミ
ングも特に限定されず、防水性シート素材から底面部を
含む部材を裁断した後接合前であってもよく、接合して
袋状とした後であってもよい。
【0076】導電性糸を縫い付けた場合、該縫い付け部
の外面側を導電性目止めテープでシールする(図3)。
導電性目止めテープには、例えば、ESD EMIエン
ジニアリング社製の「Shie Land T212」を
用いることができる。
【0077】接合部分をシールした後、耐熱性保護層の
形成を行い、本発明の防水中袋とする(図1および図
2)。
【0078】耐熱性保護層の形成は、まず、例えば、耐
熱性保護層を形成するための上記樹脂のラテックスを用
い、袋状とした防水性シート素材(以下、「袋状防水性
シート」という場合がある)の、少なくとも靴底と接す
る部分に存在する目止めテープ(および導電性目止めテ
ープ)を被覆する。袋状防水性シートの底面部外面側全
面を含めて、上記ラテックスで被覆してもよい。被覆に
は、公知の塗布方法でラテックスを塗布する他、ラテッ
クスに袋状防水性シートの一部を浸漬して被覆するディ
ッピング法を採用してもよい。
【0079】上述のラテックスを用いる場合、その組成
は、使用する樹脂などに応じて適宜変更すればよい。ま
た、必要に応じて、公知の加硫助剤や、酸化亜鉛、ステ
アリン酸、可塑剤、老化防止剤などの公知の各種添加剤
をラテックスに添加してもよい。
【0080】なお、防水中袋の透湿性や通気性を確保す
る観点からは、耐熱性保護層の形成を、防水中袋の一部
に留めることが好ましい。例えば、ラテックスをディッ
ピング法により被覆する場合には、ラテックスの被覆部
の上端を、袋状防水性シートの底面部から該シートの表
面に沿って上方に向かう曲線長さ(図1中、L部)で5
0mm以下、好ましくは30mm以下、より好ましくは
20mm以下とすることが推奨される。また、袋状防水
シート側面部のラテックス被覆部の上端が、靴底の形状
に合わせてなだらかな曲線を描くように被覆すること
も、ラテックスの塗布量を必要最小量にとどめることが
できるため好ましい。この場合、袋状防水性シートに足
型を挿入し、この底面部側を、ラテックスを満たした容
器に浸漬し、該容器または袋状防水性シートを前後に傾
ける方法などを採用することができる。
【0081】また、ディッピング法によって被覆した箇
所に気泡が存在している場合は、該気泡を破裂させるな
どして除去し、その後気泡の存在していた箇所を刷毛な
どで補修することが好ましい。
【0082】ラテックスの塗布やディッピングによる被
覆は1回でもよいし、複数回(例えば2回や3回など)
行ってもよいが、耐熱性保護層の均一性向上や厚み調節
の容易さの観点からは、後者の方が好ましい。例えば被
覆回数を2回とする場合には、1回目の被覆を行った
後、分散媒を乾燥させ(後述する)、その上に再度被覆
する方法が好ましい。
【0083】その後ラテックスの分散媒を乾燥し、必要
に応じて加硫を行って耐熱性保護層を形成させ、本発明
の防水中袋が得られる。分散媒の乾燥条件は特に限定さ
れず、分散媒の種類に応じて適宜決定すればよい。例え
ば分散媒に水を用いた場合では、20〜30℃で、10
〜30分乾燥するのが一般的である。また、加硫条件
も、使用する樹脂(ゴム)や加硫剤・加硫助剤などの種
類に応じて適宜決定される。例えば、ゴムにラテックス
(天然ゴムラテックス)を用い、加硫剤に硫黄を用いた
場合では、加硫温度40〜60℃、加硫時間5〜10分
とするのが一般的である。ゴムの場合、加硫を行うのが
好ましい。加硫を行わないと、未加硫ゴム同士が接触し
た際に粘着が発生するため、防水中袋の取り扱いが難し
くなる。
【0084】耐熱性保護層の厚みは0.05mm以上2
mm以下、好ましくは0.1mm以上1.5mm以下
(より好ましくは1mm以下)とすることが推奨され
る。耐熱性保護層の厚みが上記範囲を下回ると耐熱性保
護層としての機能が不十分となり、上記範囲を超える
と、耐熱性保護層によって生じる段差が大きくなるた
め、射出成形や加硫成形する際の金型に合わなくなる場
合がある。
【0085】上記のようにして得られる本発明の防水中
袋に、靴底と甲被を取り付けて、本発明の防水靴とす
る。甲被に用いられる素材は特に限定されず、天然皮
革、合成皮革、織布、編布、不織布など、従来公知の甲
被材料を、適宜単独で若しくは組み合わせて用いること
ができる。靴底の形成には、上述の通り、射出成形法や
加硫製法を採用することが好ましい。本発明の防水中袋
であれば、従来の防水中袋のように防水性が低下するこ
とはなく、より低コストでの靴底形成が可能となる。
【0086】靴底の射出成形法や加硫製法は、従来公知
の方法が採用できる。例えば、本発明の防水中袋に甲被
を履き口部分で逢着した状態で、防水中袋に足型を挿入
し、甲被を釣り込んで甲被の靴底側端部と防水中袋の底
部分を接着固定する。これを射出成形用の金型に装着
し、該金型に靴底形成用の樹脂を流し込んで、防水中袋
の底面部と甲被の靴底側端部を覆うように靴底を形成す
ると共に、必要に応じて加硫も行う方法が採用できる。
なお、制電靴とする場合には、靴底には上述の導電性付
与剤を含有させる必要がある。
【0087】通常、制電靴とする場合の靴底には、導電
性付与剤として、補強効果も有するカーボンブラックが
用いられるが、この場合、靴底形成用の樹脂100質量
部に対し、カーボンブラックを5〜20部とすることが
一般的である。また、靴底形成用の樹脂には、耐熱性保
護層形成用の樹脂と同様に、必要に応じて公知の加硫
剤、加硫促進剤などの各種添加剤が用いられる。
【0088】以上、本発明の耐熱性防水構造を、防水靴
用の防水中袋および靴(防水靴)について詳述してきた
が、本発明の耐熱性防水構造は、防水性を有する手袋、
帽子、衣服などの防水衣類などにも好ましく用いられ
る。例えば、金型を用いて形状出しをしたり、接着剤を
加熱硬化するなど、加熱が必要な工程を採用した場合
や、消防用衣類などのように、瞬間的に高熱に曝される
ような用途で有用である。
【0089】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べ
る。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をする
ことは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0090】実施例 防水性シート素材として、延伸多孔質PTFEフィルム
(ジャパンゴアテックス社製、空孔率80%、最大細孔
径0.2μm、平均厚み30μm)の片面に「キャンブ
レル」(フットテクノ社製、厚み1.2mm)を、他面
にナイロントリコットニット(太さ21dtex、フィ
ラメント数1、28G)を積層したシートを用いた。こ
れらの積層には、接着剤「ボンドマスター170−72
54」(日本エヌエスシー社製)を用いた。積層後の防
水性シート素材の厚みは1.8mmである。
【0091】この防水性シート素材から、底面部、側面
部、甲部、前面部、踵部を構成する部材を裁断し、足部
を被包できるように袋状に縫製した。足当たりの出る部
分には千鳥縫いを用いて段差を無くし、強度が要求され
る部分には、地縫いを用いた。縫製糸には、東洋紡績社
製のポリエステルミシン糸(30番手)を用いた。
【0092】さらに縫製部分は目止めテープを用いて防
水処理を行った。目止めテープにはジャパンゴアテック
ス社製「GORE−SEAM TAPE」(6mil、
22mm巾)を用いた。目止めテープは、W.L.GO
RE&ASSOCIATES社製のホットエアシーラー
「MODEL 5000E」を用い、熱風で加熱し、そ
の後ローラーで加圧する方法により接着させた。
【0093】さらに底面部には、爪先踏み付け部および
踵踏み付け部に、日本蚕毛染色社製の導電性糸「サンダ
ーロン」(56dtex、30フィラメント)で千鳥縫
いによる縫い付けを、底面部の内側面から外側面まで導
電糸が貫通するように行った。導電糸の縫い付け部分の
外面側には、ESD EMIエンジニアリング社製の導
電性目止めテープ「Shie Land T212」を熱
圧着により貼り付け、防水処理を施した。
【0094】このようにして得られた袋状防水性シート
の爪先先端相当部から底面部、側面部、踵相当部にかけ
て、耐熱性保護層を形成するためのディッピング処理を
行った。ディッピング剤には、ムサシノケミカル社製の
「MK−2704A(天然ゴムラテックス)」100質
量部に、ムサシノケミカル社製の「B−4802(カー
ボンブラックパウダー入りエマルジョン)」15質量部
を添加し、撹拌して十分に分散させ、粘度が300cp
s[常温(約20℃)]となるように調製した導電性ラ
テックス樹脂を用いた。ディッピング処理は、袋状防水
性シートに足型を挿入し、これを上記導電性ラテックス
樹脂を満たした型枠内に漬けて行った。なお、袋状防水
性シートを漬けた状態で、上記型枠を前後に傾け、袋状
防水性シート側面部のディッピング部分の上端が、なだ
らかな曲線を描くようにした。上記の方法により、ディ
ッピング部分の上端の高さは、袋状防水性シート底面部
から該シート表面に沿って上方に向かう曲線長さで、爪
先部分(図1中L部)では40mmまで、踏まず部分
(図1中M部)では20mmまで、踵部分(図2中N
部)では50mmまでとなるように調節した。導電性ラ
テックス樹脂の塗布量は15g(乾燥後質量)とした。
なお、ディッピング回数は2回とし、1回目のディッピ
ング終了後、常温で15分乾燥させた後、2回目のディ
ッピングを行った。その後、常温で15分乾燥させ、7
0℃で30分間加硫して図1および図2に示す防水中袋
No.1を得た。形成された耐熱性保護層の厚みは0.
5mmであり、底面部のシールに用いた目止めテープ全
体を被覆している。
【0095】上記防水中袋No.1に、天然皮革製の甲
被と履き口部を接合した後、通常のつり込み工程を経
て、その後、射出成形法により靴底成形加工とゴム加硫
とを同時に行い、防水靴No.1(サイズ26cm)を
得た。靴底に用いた導電性ゴムは、天然ゴム100質量
部にケッチェンブラック15質量部を配合したものであ
る。また、射出条件は、21cm3/secとし、15
0℃、10分の条件で加硫を行った。
【0096】比較例 導電性糸の縫い付けと、耐熱性保護層の形成を省略した
以外は、上記実施例と同様にして防水中袋No.2(サ
イズ26cm)を作製し、これを用いて、上記実施例と
同様にして防水靴No.2を作製した。
【0097】上記の防水靴No.1およびNo.2につ
いて、下記の評価を行った(評価結果はすべてn数=3
の平均値である)。
【0098】[透湿性評価]特表平3−504044号
の実施例2(図1)に記載の透湿度測定方法により、透
湿度の評価を行った。透湿性防水性ライニング材とし
て、ジャパンゴアテックス社製の延伸多孔質PTFEフ
ィルム(空孔率80%、最大細孔径0.2μm、平均厚
み30μm)を用い、測定時間を3時間とした。結果を
表1に示す。
【0099】耐熱性保護層を形成した防水靴No.1の
透湿性は、耐熱性保護層を形成しない従来の防水靴N
o.2とほぼ同等であり、耐熱性保護層を形成させても
靴の透湿性にはほとんど影響ないことが分かる。
【0100】[防水性評価]特表平8−511869号
の実施例1(図1〜5)に記載の遠心試験装置を用い、
回転速度を240回/min、靴内に注入する水量を1
000cc、試験時間を60分として防水性を評価し
た。結果を表1に示す。
【0101】耐熱性保護層を形成しない防水靴No.2
は2分で漏水が発生したのに対し、耐熱性保護層を形成
した防水靴No.1は60分経過後でも漏水が発生せ
ず、高い防水性が確保されていることが分かる。
【0102】[防水耐久性評価]特開平2−88943
号の実施例(図1〜5)に記載の屈曲試験装置を用い、
屈曲角度(靴のボール部分を基点とした、つま先上昇角
度)を30°、水深(靴底から水面までの距離)を10
cmとして漏水が発生する屈曲回数を測定した。結果を
表1に示す。
【0103】耐熱性保護層を形成しない防水靴No.2
は2000回で漏水が発生したのに対して、耐熱性保護
層を形成した防水靴No.1は10万回でも漏水が発生
せず、高い防水耐久性が維持されていることが分かる。
【0104】[帯電防止性能評価]JIS T 810
3の第1試験方法により、帯電防止性能を評価した。結
果を表1に示す。本発明による防水靴No.1は、JI
S T 8103の第一種静電靴の基準(1.0×10
5<R<1.0×108)を満足している。防水靴No.
2は電流がまったく流れず、完全に絶縁された状態だっ
た。
【0105】
【表1】
【0106】
【発明の効果】本発明の耐熱性防水構造は、防水衣類に
好適な防水性シート素材の接合部分のシールに用いた目
止めテープの一部を耐熱性保護層で被覆することによ
り、防水衣類の製造時や使用時に高温に曝されても、該
耐熱性保護層の作用により防水性低下を抑制し得るもの
である。
【0107】また、本発明の耐熱性防水構造を用いた防
水中袋は、該防水中袋に用いた目止めテープのうち、少
なくとも靴底と接する部分を、耐熱性保護層で被覆する
ことにより、防水性確保の点で従来では困難であった射
出成形法や加硫製法の如き防水中袋が高温に曝されるよ
うな靴底形成方法を用いても、高度に防水性を維持し得
る。
【0108】さらに、制電靴に用いられる防水中袋にお
いても、底面部に用いられる導電性目止めテープの溶融
の問題から、上記の如き防水中袋が高温に曝されるよう
な靴底形成方法を用いると、防水性の低下が生じていた
が、本発明の防水中袋では、耐熱性保護層で該導電性目
止めテープ部も被覆することにより、こうした防水性の
低下が防止できるようになった。
【0109】よって、本発明の防水中袋を用いた防水靴
は、高度な防水性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた本発明の防水中袋を爪先方向
から見た斜視図である。
【図2】 実施例で用いた本発明の防水中袋を踵方向か
ら見た斜視図である。
【図3】 制電靴に用いられる本発明の防水中袋の底面
の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 耐熱性保護層 2a,2b 側面部材 3 甲被部材 4 前面部材 5 目止めテープ 6 縫製糸 7 踵部材 8 底面部 9 導電性目止めテープ 10 導電性糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A41D 31/00 A41D 31/00 J 501 501B 501H A42B 1/00 A42B 1/00 B A43B 23/02 101 A43B 23/02 101Z 23/06 23/06 Fターム(参考) 3B011 AC08 AC14 3B033 AB05 AB20 AC01 AC03 4F050 AA01 AA06 BA01 BC00 BF01 DA21 EA00 EA29 HA16 HA38 HA41 HA43 HA44 HA45 HA46 HA49 HA52 HA53 HA56 HA58 HA59 HA60 HA70 HA87 HA91 HA95 KA01 KA02 KA07 KA11 LA01 LA02 NA52

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縫製または融着による接合部分を有する
    防水性シート素材と、該接合部分の片側を被覆する目止
    めテープと、該目止めテープの少なくとも一部を被覆す
    る耐熱性保護層よりなることを特徴とする耐熱性防水構
    造。
  2. 【請求項2】 上記耐熱性保護層は、天然ゴムまたはエ
    ラストマーから構成されるものである請求項1に記載の
    耐熱性防水構造。
  3. 【請求項3】 上記天然ゴムまたは上記エラストマー
    は、加硫されているものである請求項2に記載の耐熱性
    防水構造。
  4. 【請求項4】 上記防水性シート素材は、防水透湿性フ
    ィルムの少なくとも片面に通気性シートが積層されたも
    のである請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性防水構
    造。
  5. 【請求項5】 上記防水透湿性フィルムは、多孔質ポリ
    テトラフルオロエチレンフィルムである請求項4に記載
    の耐熱性防水構造。
  6. 【請求項6】 上記多孔質ポリテトラフルオロエチレン
    フィルムは、細孔の内面を含んで全表面が、撥水撥油剤
    で被覆されているものである請求項5に記載の耐熱性防
    水構造。
  7. 【請求項7】 上記多孔質ポリテトラフルオロエチレン
    フィルムは、少なくとも片面に親水性樹脂の連続被膜が
    設けられているものである請求項5または6に記載の耐
    熱性防水構造。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の耐熱性
    防水構造を用いることを特徴とする防水衣類。
  9. 【請求項9】 上記防水衣類は、靴、手袋、帽子または
    衣服のいずれかである請求項8に記載の防水衣類。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれかに記載の耐熱
    性防水構造を用いており、少なくとも靴底を防水中袋の
    底面部に取り付けて防水靴とするための防水中袋であっ
    て、 該防水中袋は、防水性シート素材を縫製または融着によ
    り接合して足形に成形し、該接合部分の外面側が目止め
    テープでシールされてなるものであり、 前記目止めテープのうち、少なくとも靴底と接する部分
    が、耐熱性保護層により被覆されていることを特徴とす
    る防水中袋。
  11. 【請求項11】 靴底と接する底面部の一部に、導電性
    糸が、防水性シート素材を貫通するように縫い付けられ
    ており、且つ該導電性糸の縫い付け部分の靴底当接面が
    導電性目止めテープでシールされた状態で上記耐熱性保
    護層によって被覆されており、該耐熱性保護層が導電性
    を有するものである請求項10に記載の防水中袋。
  12. 【請求項12】 請求項10または11に記載の防水中
    袋を用いることを特徴とする防水靴。
  13. 【請求項13】 靴底部は、射出成形または加硫成形に
    より形成されてなるものである請求項12に記載の防水
    靴。
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