JP2003308576A - 磁気マーカーとその製造方法 - Google Patents

磁気マーカーとその製造方法

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JP2003308576A
JP2003308576A JP2002112549A JP2002112549A JP2003308576A JP 2003308576 A JP2003308576 A JP 2003308576A JP 2002112549 A JP2002112549 A JP 2002112549A JP 2002112549 A JP2002112549 A JP 2002112549A JP 2003308576 A JP2003308576 A JP 2003308576A
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JP2002112549A
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Tatsuya Kurihara
達也 栗原
Yoshiki Ono
芳樹 小野
Eijiro Furuta
英次郎 古田
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NHK Spring Co Ltd
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NHK Spring Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 急峻な磁気パルスを発生することができ、よ
り小形化することができる磁気マーカーを提供する。 【解決手段】 Feを主成分としSiを含有する磁性材
料を用い、ガス中溶融紡糸法によって、樹枝状晶の一次
アーム3が軸線Xに対し10度以内に配向した組織を有
する線径φ70μm〜110μmの細線2を製造する。
この細線2を、残径率が85〜98%となるように線引
き加工(スキンパス)を行なう。この細線2からなる磁
気マーカー1は、保磁力を超える交番磁界が印加された
ときに急峻な磁化反転、大バルクハウゼン不連続特性あ
るいは磁気パルスが発生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、盗難防止システム
などに使用されるパルス発生用の磁気マーカーとその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば商品の盗難防止システム等に用い
る磁気マーカー(タグとも呼ばれる)は、商品の外表面
に設けられていると、故意に外される恐れがある。また
店舗で商品の一つ一つにマーカーを貼り付ける作業は、
手間がかかり、さらにマーカーが商品の美観を損ねる場
合もあった。このため、商品あるいは包装容器類の製造
段階で内部にマーカーを予め装填しておくこと(ソース
タギング)が望まれている。
【0003】磁気マーカーに関する公知技術として、特
開昭62−242319号公報あるいは特開平4−22
0800号公報に記載されている低保磁力材料、および
米国特許第4660025号に記載されている高透磁率
・低保磁力材料や、磁化曲線において大バルクハウゼン
不連続を示すストリップまたはワイヤなどが知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】磁気マーカーはソース
タギングの導入に向けて、商品に装填しやすい形状、す
なわち、長さが短く、小形なものが望まれている。しか
し公知の磁性材料からなる磁気マーカーは、検査ゲート
で検出可能なパルス信号、あるいは大バルクハウゼン不
連続、あるいは急峻な磁化反転を発生するには、マーカ
ーの「長さ/(横断面積または横断面積相当直径)」比
に下限界があった。これは、反磁界の増加により、スト
リップやワイヤの磁化が阻害され、本来の機能を果たせ
なくなることによるものである。
【0005】反磁界とは、磁性材料が外部からある特定
の方向に磁界を与えられて磁化されたとき、この磁性材
料の長さが外部磁界方向に有限な場合に、両端に磁極
(一方がN極、他方がS極)が生ずることにより、磁性
材料内部に外部磁界の方向とは逆向きに外部磁界を妨げ
る、すなわち材料の磁化を妨げるように同時発生する磁
界のことである。
【0006】前記反磁界は、磁性材料の両端に生じる磁
極(磁化の強さ)が小さいか、両磁極の距離が離れてい
るほど小さくなる。このため磁性材料の長手方向に交番
磁界を印加してその方向に生ずる磁化反転に基づく信号
をコイルで検出するワイヤおよびストリップの場合、磁
性材料を細長くすること、すなわち「長さ/(横断面積
あるいは横断面積相当直径)」比が大きいほど、反磁界
の影響を小さくすることができる。
【0007】換言すると、反磁界の影響を小さく保った
まま、ストリップあるいはワイヤの長さを短くするため
には、横断面積も比例して小さくすれば良い。しかし、
検査ゲートのコイルで検出可能な信号の大きさは、ワイ
ヤあるいはストリップの磁化の強さと横断面積および磁
化反転速度の積に比例する。
【0008】このため横断面積を長さに比例して小さく
すると、検査ゲートのコイルに検知される信号が小さく
なり、結果として外乱ノイズと磁気マーカーのパルス信
号とが区別できなくなり、磁気マーカーとしての機能を
果たすことができなくなる。
【0009】したがって、横断面積を小さくしてマーカ
ーを短くすることには限界がある。例えば検査ゲートの
通路幅が90cm程度の場合、精度良く検出できるマー
カーは、従来は長さ30mm、幅0.7mmのストリッ
プが最小であった。
【0010】一方、磁気式盗難防止システムの検査ゲー
トの通路幅は、120cm以上が主流となりつつあり、
検査ゲートが磁気マーカーに与える交番磁界(励起磁
界)の振幅は、検査ゲートから遠方の通路幅の中央付近
では小さくなる。ゲートに投入する電力を大きくすれ
ば、その磁界振幅を大きくすることができるが、低消費
電力化が望まれる昨今では、通路幅中央付近でおおよそ
240A/m以上の磁界振幅は期待できない。
【0011】従来から、磁化曲線において大バルクハウ
ゼン不連続を示す磁性材料として、Fe−Ni合金線や
Fe−Co−V合金線に、ねじり加工や熱処理を行なっ
て、線の断面の外側と内側の抗磁力を変化させる方法が
あった。この方法では、外側と内側の抗磁力差を大きく
するほど、磁気的な相互作用により磁化反転速度が速く
なり、大バルクハウゼン不連続に基づく発生パルス信号
は鋭く大きくなる。この線材は従来から磁気センサ素子
としての応用が知られている。
【0012】パルス信号を発生させるための励起磁界振
幅は、高抗磁力側の材料の抗磁力によって規定されてお
り、おおむね800〜1600A/mの磁界振幅が要求
された。また、抗磁力が高いため「長さ/横断面積」の
比を小さくしたときに増大する反磁界に抵抗することが
でき、大バルクハウゼン不連続を示す最小長さは数mm
〜20mm程度までに短くすることが可能である。
【0013】しかし、例えば盗難防止システムの磁気マ
ーカーに、これらの線材を用いた場合、検出ゲートから
得られる励起磁界振幅がそれらの抗磁力より小さいた
め、信号を発することができない。
【0014】
【課題を解決するための手段】そこで発明者らは、Fe
−Si−Ni、Fe−Si−Mo、Fe−Si−Coや
Fe−Siなどの細線において、外表面を内部よりも僅
かに高い抗磁力成分とすれば、Fe−Ni合金線やFe
−Co−V合金線などのように表面と内部の抗磁力差を
大きくすることなく、鋭く大きなパルスが得られること
に着目した。
【0015】すなわち、検出ゲート通路幅の中央での励
起磁界振幅(現実的には240A/m以下)でも鋭く大
きなパルスが得られる細線について鋭意検討した結果、
例えば、下記の合金からなる細線に、残径率が85〜9
8%となるような線引き加工を行なうことにより、従来
の問題点を解決できることを見出した。
【0016】細線の一例は、Fe−3〜5%Si、Fe
−3〜5%Si−1〜3%Ni、Fe−3〜6%Si−
1〜4%Mo、Fe−3〜5%Si−1〜3%Coなど
の大バルクハウゼン不連続を示す直径φ70〜110μ
mの細線である。この明細書で言う残径率は、(加工後
直径/加工前直径)×100]で与えられる値(%)で
ある。
【0017】この細線は、残径率が85〜98%となる
ように小さな減面率で線引き加工されていることによ
り、表面部の抗磁力を内部より僅かに高くすることがで
きる。この細線は、長さ30mm以下の盗難防止用磁気
マーカーとして使用可能であった。
【0018】前記細線は、ガス中溶融紡糸法によって製
造されることが望ましい。ガス中溶融紡糸法は、合金を
溶解し、この合金溶湯をノズルから噴射させつつ、この
合金溶湯のジェットを冷却ガス中にて冷却し凝固させる
ことにより、細線を得る方法である。ガス中溶融紡糸法
によって製造された細線は、樹枝状晶の一次アームが細
線の軸線方向に配向成長しやすく、樹枝状晶の一次アー
ムが軸線に対し10度以内に整列した内部組織を得るこ
とができる。
【0019】本発明では、細線のごく表面付近のみに生
じる線引き加工(スキンパス)の歪みにより、表面部の
抗磁力が僅かに高くなるが、内部は線引き加工前の抗磁
力および大バルクハウゼン不連続特性が維持されている
ものと考えられる。
【0020】前記線引き加工の際の残径率を小さくし過
ぎると、加工歪が線の断面の内部にまで及び、元々持っ
ていた大バルクハウゼン不連続特性が損なわれてしま
う。逆に残径率を大きくし過ぎると、表面部の歪が少な
いために所望の効果が得られない。
【0021】線引き加工(スキンパス)によって表面部
の抗磁力が僅かに高くなった効果により、反磁界に抵抗
して長さを短くできる。さらに、前述のFe−Ni合金
線やFe−Co−V合金線などと同様に、抗磁力の異な
る表面部と内部の磁気的な相互作用により、磁化反転速
度が速くなり、パルスが鋭くかつ大きくなる。
【0022】その結果、線引き加工によって断面積が減
少しても、検査ゲートで検知可能な信号の大きさが維持
される。また、断面積が若干小さくなったことも、長さ
を短くすることができるという効果に寄与している。こ
れらの効果が相乗することにより、長さを30mm以下
としたときでも、検査ゲートで精度良く検知可能な磁気
マーカーとして使用可能となる。
【0023】本発明の磁気マーカーは、細線の近くに不
活性化を行なうための材料(不活性化部材)を配置し、
この不活性化部材を磁化させることにより、磁気マーカ
ーの信号を発しないようにすることができる。これは、
例えば盗難防止システムにおいて、磁気マーカーを取付
けた商品が、正当に清算されたとき、その磁気マーカー
が検査ゲートで検知されないようにするために用いられ
る。不活性化部材としては、Fe−Cr−CoやFe―
Co―V等の、保磁力が3〜14kA/mの半硬質磁性
材料が適している。
【0024】不活性化部材を磁化させると、磁気マーカ
ー(線引きされた細線)には検知ゲートから与えられる
励起磁界に、不活性化部材から生じる磁束が加わるた
め、磁気マーカー(線引きされた細線)の磁化反転が起
こらなくなる。また、不活性化部材を消磁すれば、磁気
マーカー(線引きされた細線)は検査ゲートからのみ磁
界を受けて、磁化反転を起こすことにより、検知され
る。
【0025】
【発明の実施の形態】図1に磁気マーカー1の一部を模
式的に示している。この磁気マーカー1は、ワイヤ状の
細線2からなる。この細線2の材料は、下記のいずれか
1つから選択された磁性材料である。
【0026】(1)Feを主成分とし3〜5(mass%)
のSiを含有する合金。 (2)Feを主成分とし3〜5(mass%)のSiと、1
〜3(mass%)のNiを含有する合金。 (3)Feを主成分とし3〜6(mass%)のSiと、1
〜4(mass%)のMoを含有する合金。 (4)Feを主成分とし3〜5(mass%)のSiと、1
〜3(mass%)のCoを含有する合金。
【0027】細線2はガス中溶融紡糸法によって製造さ
れる。この細線2の組織は、樹枝状晶の一次アーム3を
有している。これらの一次アーム3は、細線2の軸線X
とのなす角度θが10度以内に配向している。さらにこ
の細線2は、残径率すなわち[(加工後直径/加工前直
径)×100]が85〜98%となるように、比較的小
さな減面率で線引き加工(スキンパス)がなされてい
る。
【0028】図6に示すように、残径率が85%未満で
は検査ゲートでの検知率が極端に低下するため、好まし
くない。残径率が98%を越えても、検査ゲートでの検
知率が極端に低下するため、好ましくない。残径率が8
5〜98%の範囲では、ほぼ一定の高いレベルの検知率
が得られている。
【0029】[実施例1]図2に模式的に示すガス中溶
融紡糸装置10により、直径φ90μmのFe−4%S
i−2%Ni(mass%)からなる細線2を得た。ガス中
溶融紡糸装置10は、高周波加熱コイル11を備えた紡
糸用るつぼ12と、紡糸用るつぼ12の下部に設けられ
たノズル孔13aを備えた紡糸ノズル13と、ガス整流
筒14と、ガス整流筒14の下方に配された巻取り用ド
ラム15などを備えている。
【0030】巻取り用ドラム15は、図示しない回転機
構によって、矢印Rで示す方向に回転させられる。紡糸
用るつぼ12の内部に、細線2の材料となる合金原料2
0が収容される。
【0031】高周波加熱コイル11はこの合金原料20
を加熱して溶解する。紡糸用るつぼ12には溶解した合
金原料20の噴射圧力源としてのアルゴン等の不活性ガ
スを供給するためのガス導入管21が、シール部材22
を介して接続されている。ガス整流筒14の上部に、ガ
ス整流筒14の内部にヘリウムガスを導入するためのヘ
リウムガス供給管23と、その後段側に、ガス整流筒1
4の内部に酸素ガスを導入するための酸素供給管24が
接続されている。
【0032】ノズル孔13aから、溶解した合金原料2
0がガス整流筒14の内部に噴射される。その溶解した
合金原料20のジェットJがガス整流筒14の内部で冷
却され凝固することによって細線2が形成される。
【0033】酸素供給管24は、溶解した合金原料20
(ジェットJ)の落下方向に関し、ヘリウムガス供給管
23よりもガス整流筒14の下段側に設けられている。
ガス整流筒14の内部で凝固した細線2は、ガス整流筒
14の下端14aから巻取り用ドラム15に連続的に投
入される。
【0034】ガス中溶融紡糸装置10を用いて製造され
た細線2の組織は、図1に示すように樹枝状晶の一次ア
ーム3が細線2の軸線Xに対し4度以内の角度θで配向
整列していた。
【0035】この細線2は、長さが37mm以上のとき
の抗磁力が48A/mで、磁化曲線において大バルクハ
ウゼン不連続を示した。この細線2は、間口120c
m、投入電力100W、励磁周波数1kHzの磁気式盗
難防止システム用検査ゲートで良好に検知可能であっ
た。しかしこの細線2は、長さ37mm未満では大バル
クハウゼン不連続を示さず、検査ゲートでの検知感度が
悪化した。
【0036】直径φ90μmの前記細線2を、図3に示
す線引き加工装置33を用いて、残径率96%となるよ
うに線引き加工し、直径φ86μmの細線2を得た。線
引き加工装置33は、材料供給部35と、巻取り装置3
6と、ダイス固定部37と、線引用ダイス38などを備
えている。
【0037】図4に示すようにダイス38は、細線2を
通す孔39を有し、細線2の残径率[(加工後直径D2
/加工前直径D1)×100]%が85〜98%となる
ように、比較的小さな減面率で細線2の線引き加工を行
うことができるようになっている。この明細書では、こ
の線引き加工をスキンパスと呼ぶこともある。
【0038】前記スキンパス後の細線2を長さ25mm
に切断することにより、磁気マーカー1を得た。この磁
気マーカー1は、抗磁力が80A/mで、磁化曲線が大
バルクハウゼン不連続を示し、前記検査ゲートで良好に
検知可能であった。
【0039】[実施例2]ガス中溶融紡糸法により、直
径φ80μmのFe−4%Si(mass%)からなる細線
2を得た。得られた細線2の組織は、樹枝状晶の一次ア
ーム3が細線2の軸線Xに対し6度以内の角度θで配向
整列していた。
【0040】この細線2は、長さが40mm以上のとき
の抗磁力が35A/mで、磁化曲線において大バルクハ
ウゼン不連続を示した。この細線2は、間口120c
m、投入電力80W、励磁周波数1kHzの検査ゲート
で良好に検知可能であった。しかしこの細線2は、長さ
が40mm未満では大バルクハウゼン不連続を示さず、
検査ゲートでの検知感度が悪化した。
【0041】直径φ80μmの前記細線2に、前記線引
き加工装置33によって線引き加工を行ない、直径をφ
72μm(残径率90%)とした。そののち、細線2を
長さ30mmに切断することにより、磁気マーカー1を
得た。この磁気マーカー1の抗磁力は70A/mであ
り、大バルクハウゼン不連続を示し、前記検査ゲートで
良好に検知可能であった。
【0042】[実施例3]ガス中溶融紡糸法により、直
径φ90μmのFe−4%Si−2%Ni(mass%)か
らなる細線2を得た。得られた細線2の組織は、樹枝状
晶の一次アーム3が細線2の軸線Xに対し4度以内の角
度θで配向整列していた。
【0043】直径φ90μmの前記細線2に、前記線引
き加工装置33によって線引き加工を行ない、直径をφ
86μm(残径率96%)とした。そののち細線2を長
さ25mmに切断した。そして、図5に示すように、細
線2に隣接して不活性化部材50を2個並べて取付ける
ことにより、磁気マーカー1´を得た。不活性化部材5
0はFe−Cr−Coからなり、板厚が75μm、幅が
1.5mm、長さが6mmのチップである。
【0044】この不活性化部材(Fe−Cr−Coチッ
プ)50は、細線2に取付ける前に予め時効焼鈍処理を
行なうことにより、保磁力を7kA/mに調整した。不
活性化部材50を設けた磁気マーカー1´に使われる線
引きされた細線2は、抗磁力が80A/mで、磁化曲線
において大バルクハウゼン不連続を示し、前記検査ゲー
トで良好に検知可能であった。
【0045】不活性化部材50を電磁コイルによって磁
化させたところ、前記検査ゲートでは検知されなかっ
た。さらに、消磁器を用いて不活性化部材50を消磁し
たところ、前記検査ゲートで良好に検知可能であった。
【0046】[比較例1]ガス中溶融紡糸法により、直
径φ90μmのFe−4%Si−2%Ni(mass%)か
らなる細線を得た。得られた細線の組織は、樹枝状晶の
一次アームが細線の軸線に対し4度以内の角度で配向整
列していた。
【0047】この比較例の細線は、長さが37mm以上
のときの抗磁力が40A/mで、磁化曲線が大バルクハ
ウゼン不連続を示した。この細線2は、間口120c
m、投入電力100W、励磁周波数1kHzの検査ゲー
トで検知することができた。しかし、長さが37mm未
満では大バルクハウゼン不連続を示さず、検査ゲートで
の検知感度が悪化した。
【0048】この比較例1の細線(直径φ90μm)に
線引き加工を行なうことにより、直径をφ74μm(残
径率82%)とした。そののち長さ30mmに切断する
ことにより、磁気マーカーを得た。この磁気マーカー
は、大バルクハウゼン不連続を示さず、前記検査ゲート
で検知できなかった。また、長さ37mmに切断しても
大バルクハウゼン不連続を示さず、前記検査ゲートで検
知できなかった [比較例2]ガス中溶融紡糸法により、直径φ90μm
のFe−4%Si−2%Ni(mass%)からなる細線を
得た。この細線の組織は、樹枝状晶の一次アームが細線
の軸線に対し4度以内の角度で配向整列していた。この
細線は、長さが37mm以上のときの抗磁力が40A/
mで、磁化曲線が大バルクハウゼン不連続を示した。こ
の細線は、間口120cm、投入電力100W、励磁周
波数1kHzの検査ゲートで検知することができたが、
37mm未満では大バルクハウゼン不連続を示さず、検
査ゲートでの検知感度が悪化した。
【0049】直径φ90μmの比較例2の細線に、線引
き加工を行ない、直径をφ89μm(残径率99%)と
したあと、長さ30mmに切断した。この細線は、大バ
ルクハウゼン不連続特性が崩れており、前記検査ゲート
で検知しにくかった。ただし長さ37mmに切断する
と、線引き加工前と同等の磁気特性を示し、前記検査ゲ
ートで検知することができた。
【0050】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、磁気マーカー
に交番磁界が印加されたときに、より急峻な磁気パルス
を発生することができる。本発明の磁気マーカーは、磁
化曲線が角形性の良好なヒステリシスループを有し、急
峻な磁気パルスを発生することができるため、検出が容
易である。
【0051】請求項2の発明によれば、残径率が85〜
98%となるように線引き加工(スキンパス)された細
線を用いることによって、急峻な磁気パルスを発生する
ことができる。
【0052】請求項3の発明によれば、通路幅が120
cm以上の磁気式検査ゲートによって高精度に検知可能
なパルス信号を発生することができる。このため小さな
商品にも磁気マーカーを装填しやすく、ソースタギング
に適している。本発明の磁気マーカーは、部品点数が少
なく、小寸法であるため生産性が高い。
【0053】請求項4の発明によれば、磁気マーカーが
十分小形で目立ちにくく、しかも検出が容易な急峻な磁
気パルスを発生することができる。
【0054】請求項5の発明によれば、必要に応じて磁
気マーカーを不活性化し、磁気パルスを発生しないよう
にすることができ、必要に応じて再び磁気マーカーを活
性化させることもできる。
【0055】請求項6の発明によれば、Fe−Cr−C
o合金からなる不活性化部材を用いることにより、必要
に応じて磁気マーカーを活性化あるいは不活性化させる
ことができる。
【0056】請求項7の発明によれば、ガス中溶融紡糸
法と線引き加工によって、本発明の目的にかなう磁気マ
ーカー用の細線を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す磁気マーカーの一
部を模式的に示す側面図。
【図2】 本発明の磁気マーカーを製造するガス中溶融
紡糸装置の概略を示す斜視図。
【図3】 線引き加工装置の側面図。
【図4】 図3に示された線引き加工装置の一部を拡大
して示す断面図。
【図5】 細線に不活性化部材を設けた磁気マーカーの
側面図。
【図6】 残径率と検査ゲートでの検知率との関係を示
す図。
【符号の説明】
1,1´…磁気マーカー 2…細線 10…ガス中溶融紡糸装置 13…紡糸ノズル 14…ガス整流筒 20…合金原料 33…線引き加工装置 50…不活性化部材(Fe−Cr−Coチップ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古田 英次郎 神奈川県横浜市金沢区福浦3丁目10番地 日本発条株式会社内 Fターム(参考) 5C084 AA03 AA09 BB04 BB31 CC34 DD21 EE07 FF02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性材料からなり、その保磁力を超える交
    番磁界が印加されたときに急峻な磁化反転あるいは大バ
    ルクハウゼン不連続性あるいはパルス信号が発生する細
    線からなる磁気マーカーであって、前記細線の樹枝状晶
    の一次アームが該細線の軸線に対し10度以内に配向
    し、かつ、前記細線が線引き加工されていることを特徴
    とする磁気マーカー。
  2. 【請求項2】前記細線の残径率[(加工後直径/加工前
    直径)×100]%が85〜98%となるように前記線
    引き加工がなされていることを特徴とする請求項1に記
    載の磁気マーカー。
  3. 【請求項3】前記細線の材料が、Feを主成分とし3〜
    5(mass%)のSiを含有する合金、またはFeを主成
    分とし3〜5(mass%)のSiと1〜3(mass%)のN
    iを含有する合金、またはFeを主成分とし3〜6(ma
    ss%)のSiと1〜4(mass%)のMoを含有する合
    金、またはFeを主成分とし3〜5(mass%)のSiと
    1〜3(mass%)のCoを含有する合金、のいずれか1
    つから選択された磁性材料からなることを特徴とする請
    求項1または2に記載の磁気マーカー。
  4. 【請求項4】前記細線の線径がφ70〜110μm、長
    さ30mm以下であることを特徴とする請求項3に記載
    の磁気マーカー。
  5. 【請求項5】前記細線に隣接して、保磁力が3〜14k
    A/mの半硬質磁性材からなる不活性化部材が配置され
    ていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか
    1項に記載の磁気マーカー。
  6. 【請求項6】前記不活性化部材がFe−Cr−Co合金
    からなることを特徴とする請求項5に記載の磁気マーカ
    ー。
  7. 【請求項7】Feを主成分としSiを含有する合金から
    なる磁性材料を溶解し、この合金溶湯をノズルから噴射
    させつつ、この合金溶湯のジェットを冷却ガス中にて冷
    却し凝固させるガス中溶融紡糸法によって、樹枝状晶の
    一次アームが軸線に対し10度以内に配向した細線を形
    成したのち、該細線に残径率が85〜98%となるよう
    に線引き加工を行ない、所定長さに切断することによ
    り、保磁力を超える交番磁界が印加されたときに急峻な
    磁化反転あるいは大バルクハウゼン不連続性あるいはパ
    ルス信号を発生する磁気マーカーを得ることを特徴とす
    る磁気マーカーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014171044A (ja) * 2013-03-01 2014-09-18 Yokohama National Univ 電気パルス発生装置、及び電気パルス発生装方法
GB2585034A (en) * 2019-06-25 2020-12-30 Endomagnetics Ltd Hyperthermia implants and a method and system for heating the implant
JP7355906B2 (ja) 2018-01-31 2023-10-03 ヒロセ電機株式会社 磁性線材の製造方法

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