JP2003307409A - 光学素子の膜厚測定方法及び光学素子の製造方法 - Google Patents
光学素子の膜厚測定方法及び光学素子の製造方法Info
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Abstract
確な測定ができないような場合においても、その測定器
を使用して正確な膜厚測定を行なう方法を提供する。 【解決手段】 膜厚を仮定して計算によって求められた
分光透過率と実測された分光透過率のフィッティングに
より、膜厚を求める。この際、種々の膜厚のときに観測
される分光特性を計算によって求めると共に、求められ
た分光特性を測定器の感度特性又はその近似値によって
補正した補正分光特性を求め、両者の差が所定値以上で
ある波長範囲を求め、この範囲を除いた範囲、又はこの
範囲を含む所定範囲を除いた範囲において、計算によっ
て求められた分光特性と実際に測定された分光特性との
フィッティング計算を行なうことにより膜厚を求める。
Description
等の多層膜を有する光学素子の膜厚の測定方法、その光
学素子の製造方法に関するものである。
防止を行ったり、波長ごとの透過率や反射率を所定の特
性にしたり、波長ごとの位相特性を所定の特性にしたり
するために、その表面に多層膜が成膜されることが多
い。この多層膜の層数は数十層に達するものがあり、多
層膜を構成する各膜の厚さを制御することにより、所定
の特性を得るようになっている。
の例を示す。図1において、(a)は回転テーブルを下か
ら見た図、(b)はA−A’位置での装置の端面図を示
す。真空チャンバー1の中には基板ホルダー2が設けら
れ、回転軸3のまわりに回転している。基板ホルダー2
の下面には、表面に成膜を施す光学素子4が同心円状に
取り付けられているが、光学素子4を取り付ける場所の
1ヶ所にはモニター基板5が取り付けられている。
置6が設けられ、そこから膜を構成する成分の粒子が飛
び出して、光学素子4とモニター基板5の表面に当たっ
て膜を形成する。また、真空チャンバー1の一部には、
上下面に窓7が設けられており、投光器8より照射され
た光が、光学素子4又はモニター基板5を透過して受光
器9で受光され、分光透過率が測定できるようになって
いる。この分光透過率の測定は、膜厚測定のために行な
われるものである。
のであり、膜厚測定のために用いられるダミー光学素子
である。すなわち、光学素子4はレンズのように一般に
その表面が曲面であるため、膜厚を正確に測定すること
ができない。そのため、平板のモニター基板5を配置
し、その上に成膜された膜の厚さを測定することによ
り、それと同条件で成膜される光学素子4上の膜厚を間
接的に測定するものである。
膜は、以下のようにして行なわれる。まず、所定の光学
特性(反射率、透過率、位相特性等)が得られるよう
に、計算により膜の材質、層数、各層の厚さが決定され
る。このようにして設計が終了すると、まず、第1層の
成膜が行なわれる。膜厚の測定が基板ホルダー2の回転
を止めずに行なえる場合には、モニター基板5が投光器
8と受光器9の位置を通り過ぎる毎に分光透過率の測定
を行い、後に述べるような方法を使用して膜厚を測定す
る。もちろん、所定の膜厚を形成するために必要な概略
の時間は計算により求まるので、膜厚の測定は、この時
間に近い時間が経過してから実施するようにしてもよ
い。
ないと行なえない場合には、所定の膜厚を形成するため
に必要な時間に近い時間が経過してから、周期的に基板
ホルダー2の回転を止めて測定を行なう。この際、スパ
ッター装置6からの粒子が特定の光学素子4に付着しな
いようにするために、スパッター装置6とその直上の光
学素子4の間をシャッターにより遮蔽する。
を続け、測定光学特性が参照光学特性に等しくなったと
ころで第1層目の成膜を終了する。そして、スパッター
に用いる材料を変更して、第2層目の成膜を行う。以
下、同様にして最終膜までの成膜を行なう。
る方法の原理を図2に基づいて説明する。図2におい
て、(a)はモニター基板5の上に、多層薄膜Mが成膜さ
れている状態を示している。多層薄膜Mは、M1〜Mn
までのn層が成膜された状態となっており、この状態で
第n層の薄膜Mnの厚さdnを測定するものとする。こ
のとき測定されるのは、多層薄膜M全体とモニター基板
5によって決定される分光透過率である。すなわち、こ
のときの分光透過率をTnとすると、Tnは
さであり、ai(i=1〜n)は第i層の材質によって
決定される値である。厳密に言えば、モニター基板5の
厚さと材質も関係するが、これは一定であるとして(1)
式では無視している。
においてd1〜d(n−1)とa1〜anは既知であ
る。ここで、dnの目標値をdn0として、(1)式にdn
0を代入して分光透過率を計算する。その結果が例えば
図2(b)のA(実線)で示される曲線になったとする。
これに対し、dnがdn0+Δ、dn0−Δとなったとし
て、これらの値を(1)式に代入して分光透過率を計算す
る。その結果は、それぞれ図2(b)のB(破線)、C
(一点鎖線)で示されるように、Δ、−Δの値に対応し
て、Aで示される曲線からずれる。
Δ(mは適当な整数)ずらせた場合に得られる分光透過
率曲線を予め計算しておき、実際に測定された分光透過
率曲線に一番近いものを選択し、それに対応する膜厚を
測定膜厚とする。具体的には、計算された分光透過率を
T(dn0+iΔ,λ)(i=−m〜m)、実測された
分光透過率をTa(λ)とすると、
なるiを採用する。ただし、(2)式の積分範囲は分光透
過率の測定範囲とする。また、実際には(2)式の代わり
にサンプル値を用いた数値計算によって積分値を求める
ことはいうまでもない。さらに、2乗計算の代わりに絶
対値を用いてもよい。
多層膜の各層の膜厚を求めるには、分光透過率や分光反
射率等の光学特性を測定し、目標とする膜厚での光学特
性からのずれ量に基づいて膜厚を測定している。しかし
ながら、近赤外用、赤外線用に使用される光学素子にお
いては、波長が長くなる関係から各層の膜厚が厚くな
る。このような多層膜の膜厚を、通常の可視光に使用さ
れる多層膜の膜厚を測定する測定器で測定しようとする
と、一般に可視光域での光学特性が波長に応じて大きく
急峻に変化するために、正確な測定ができないという問
題点が発生し、この傾向は多層膜の層数が増えるに従っ
て顕著となる。
過フィルターの膜が21層形成された段階での分光透過
率の例を赤外領域まで示した図であり、縦軸は、測定器
で測定する光学特性である分光透過率、横軸は波長を示
す。図3に示すように、この分光透過率は950nm以上の
赤外領域においてはそれほど大きな変化を示していない
が、950nmから可視光領域においては波長の変化に対し
て大きく、かつ急峻な繰り返し変化を示すようになる。
この理由は、短波長領域において各多層膜境界での反射
光が重なり合って高次の干渉を起こすためであり、この
干渉の結果生じる分光特性は、一般に波長依存性が急峻
となるからである。
能は、主として分光器の分解能で決定され、一般に図4
(a)に示すような感度分布を有している。すなわち、あ
る波長の受光量として検出されるのは、その波長の光の
みでなく、その波長を中心とするある帯域の波長の光で
ある。そのため図4(b)に示すような理想的なδ関数形
の波長特性を有する光が受光器に入射した場合でも、観
測される分光透過率はδ関数型とならず、図4(c)に示
すようになまってしまう。
計算された分光透過率と実測された分光透過率を比較す
ることによって膜厚を決定しようとすると誤差が大きく
なってしまうという問題点がある。このような問題を避
けるためには、赤外に感度を有する測定器を使用して光
学特性を測定すればよいが、すると、赤外用の測定器を
使用しなければならない。赤外線用測定器は装置が高価
となるばかりでなく、測定ノイズが大きく、また、可視
光用の光学素子を測定する場合と測定器を共用できない
という問題点がある。
もので、測定器で光学特性を測定した場合に、その測定
器の分解能によって測定値がなまり、正確な測定ができ
ないような場合においても、その測定器を使用して正確
な膜厚測定を行なう方法、及びその方法を利用した光学
素子の製造方法を提供することを課題とする。
の第1の手段は、表面に多層膜を有する光学素子におけ
る、多層膜を構成する各々の膜の厚さを測定する方法で
あって、種々の膜厚のときに観測される分光特性を計算
によって求め、求められた分光特性を測定器の感度特性
又はその近似値によって補正した補正分光特性を求め、
実際に測定された分光特性と前記補正分光特性とのフィ
ッティング計算を行なうことにより膜厚を求めることを
特徴とする光学素子の膜厚測定方法である。なお、この
手段は特許請求されていない。
た分光特性を、測定器の感度特性又はその近似値で補正
して補正分光特性を求めている。ここで「感度特性」と
は、図4(a)で示したような、分解能を決定する感度特
性である。すなわち、補正分光特性は、計算によって求
められた分光特性を測定器で観測したときに得られるは
ずの分光特性となる。よって、実際に測定された分光特
性と前記補正分光特性とのフィッティング計算を行なう
ことにより、従来技術の欄で説明した方法と同様の方法
で膜厚を求めるようにすれば、計算で求められた分光特
性が測定器で測定できないような急峻な変化を含むよう
な場合でも、正確に膜厚を決定することができる。
計算」とは、あるパラメータによって決定される計算量
と実際に観測された量の比較を行い、最も観測された量
に近い計算量を与えるパラメータを採用する計算をい
い、比較の方法として最小2乗法や、差の絶対値の和の
最小を与えるパラメータを求める方法、相互相関係数を
求めて最も大きな相互相関係数が得られるパラメータを
採用する方法等が代表的なものである。
表面に多層膜を有する光学素子における、多層膜を構成
する各々の膜の厚さを測定する方法であって、種々の膜
厚のときに観測される分光特性を計算によって求め、一
方、実際に測定された分光特性と測定器の感度特性又は
その近似値より、真の分光特性を求め、前記計算によっ
て求められた分光特性と前記真の分光特性とのフィッテ
ィング計算を行なうことにより膜厚を求めることを特徴
とする光学素子の膜厚測定方法である。なお、この手段
は特許請求はされていない。
に、実際に測定された分光特性から、測定器の感度特性
又はその近似値を考慮して真の分光特性を求める。ここ
で「感度特性」とは、図4(a)で示したような、分解能
を決定する感度特性である。そして、この真の分光特性
と計算によって求められた分光特性とのフィッティング
計算を行なうことにより、従来技術の欄で説明した方法
と同様の方法で膜厚を求めるようにすれば、計算で求め
られた分光特性が測定器で測定できないような急峻な変
化を含むような場合でも、正確に膜厚を決定することが
できる。
表面に多層膜を有する光学素子における、多層膜を構成
する各々の膜の厚さを測定する方法であって、種々の膜
厚のときに観測される分光特性を計算によって求めると
共に、求められた分光特性を測定器の感度特性又はその
近似値によって補正した補正分光特性を求め、両者の差
が所定値以上である波長範囲を求め、この範囲を除いた
範囲、又はこの範囲を含む所定範囲を除いた範囲におい
て、計算によって求められた分光特性と実際に測定され
た分光特性とのフィッティング計算を行なうことにより
膜厚を求めることを特徴とする光学素子の膜厚測定方法
(請求項1)である。
によって求められた分光特性と、それを測定したとき観
測されると考えられる分光特性の差が大きくなる部分を
フィッティング計算の範囲から除外しているので、計算
で求められた分光特性が測定器で測定できないような急
峻な変化を含むような場合でも、正確に膜厚を決定する
ことができる。この場合「所定値」をいくらにするか
は、計算によって求めた光学特性の形状等を考慮して、
なるべく正確な膜厚測定精度が得られるように、当業者
が適宜経験により決定することができる。
例えば、当該範囲の前後所定範囲の波長域を含む範囲、
また、当該範囲が近接した波長域に不連続に複数ある場
合は、そのうち最短の波長から最長の波長までの全ての
連続した範囲、さらにその連続した範囲の前後所定範囲
をも含む範囲とか、種々の範囲が考えられる。
表面に多層膜を有する光学素子における、多層膜を構成
する膜の各々の厚さを測定する方法であって、種々の膜
厚のときに観測される分光特性を計算によって求め、こ
のうち、測定器の分解能に対応する波長間における分光
特性の変化が所定値以上である範囲を求め、この範囲を
除いた範囲、又はこの範囲を含む所定範囲を除いた範囲
において、計算によって求められた分光特性と実際に測
定された分光特性とのフィッティング計算を行なうこと
により膜厚を求めることを特徴とする光学素子の膜厚測
定方法(請求項2)である。
して急峻に変化し、測定器で正確に測定できない範囲を
フィッティング計算に用いる範囲から除外することを骨
子としている。すなわち、測定器の分解能(通常半値幅
で表されることが多い)に対応する波長間隔での光学特
性変化量が所定値以上の場合は、真の値と測定値との間
に大きな誤差が出るとして、この範囲をフィッティング
計算に使用する範囲から除外する。この場合「所定値」
をいくらにするかは、計算によって求めた光学特性の形
状等を考慮して、なるべく正確な膜厚測定精度が得られ
るように、当業者が適宜経験により決定することができ
る。本手段においては、測定精度の悪い部分をフィッテ
ィング計算から除外しているので、計算で求められた分
光特性が測定器で測定できないような急峻な変化を含む
ような場合でも、正確に膜厚を決定することができる。
例えば、当該範囲の前後所定範囲の波長域を含む範囲、
また、当該範囲が近接した波長域に不連続に複数ある場
合は、そのうち最短の波長から最長の波長までの全ての
連続した範囲、さらにその連続した範囲の前後所定範囲
をも含む範囲とか、種々の範囲が考えられる。
前記第1の手段又は前記第2の手段を使用して少なくと
も1層の膜厚を測定するプロセスを有してなることを特
徴とする光学素子の製造方法(請求項3)である。
特性が測定器で測定できないような急峻な変化を含むよ
うな場合でも、正確に膜厚を決定することができるの
で、多層膜の有する光学特性を所望の特性に正確に制御
することができる。特に、前記第1の手段の膜厚測定方
法又は前記第2の手段の膜厚測定方法と、前記第3の手
段の膜厚測定方法とを組み合わせて使用すれば、さらに
膜厚の測定精度を良くすることができ、多層膜の有する
光学特性を所望の特性に正確に制御することができる。
この効果は、前記第1の手段の膜厚測定方法又は前記第
2の手段の膜厚測定方法と、前記第4の手段の膜厚測定
方法とを組み合わせて使用しても同様に得られる。
例を詳細に説明する。なお、この発明の実施の形態は、
参考のために示すものであって、特許請求されていな
い。以下の説明において、膜厚の測定法自体は、従来技
術の説明の欄において説明したように、計算によって求
められた分光透過率と実測された分光透過率のフィッテ
ィングにより求めるものとする。
(以下、単に感度特性という)が、観測すべき波長をλ
とするとき、波長λ’に対してA(λ,λ’)で表され
るとする。通常の場合は、感度特性を表す関数の形はλ
によらないので、A(λ,λ’)は、A(λ,λ’)=
B(λ−λ’)という関数形で表されることが多い。
計算によって求めた値を、T(d,λ)とすると、次式
により補正分光透過率T’(d,λ)を求める。
感度がある波長範囲内でフィッティング計算に用いる範
囲とする。そしてこのようにして求められた補正分光透
過率T’(d,λ)を計算によって求められた分光透過
率の代わりに使用して(2)式におけるT(dn0+iΔ,
λ)(i=−m〜m)を求め、従来技術の欄において説
明した方法と同じ方法を用いて、フィッティング計算に
より(2)式のSが最も小さくなるiを採用することによ
り、膜厚を求める。実際には(3)式の代わりにサンプル
値を用いた数値計算によって積分値を求める。また、A
(λ,λ’)の関数形は近似値を用いたものにしてもよ
い。
り、計算された分光特性でなく測定器で測定されるはず
の分光透過率と実際に測定された分光透過率のフィッテ
ィングが行われるので、正確に膜厚を求めることができ
る。
詳細に説明する。なお、この発明の実施の形態は、参考
のために示すものであって、特許請求されていない。こ
の実施の形態についても、膜厚の測定法自体は、従来技
術の説明の欄において説明したように、計算によって求
められた分光透過率と実測された分光透過率のフィッテ
ィングにより求めるものとする。
る。そして、この実施の形態においても分光透過率測定
器の感度特性が、観測すべき波長をλとするとき、波長
λ’に対してA(λ,λ’)で表されるとする。そのと
き、真の分光透過率をT(λ)として,積分方程式
の積分方程式は数値計算により解かれる。A(λ,
λ’)の関数形は近似値を用いたものにしてもよい。
て、(2)式のTa(λ)の代わりにT(λ)を使用した
式
なるiを採用する。ただし、(2)式の積分範囲は分光透
過率の測定範囲とする。また、実際には(2)式の代わり
にサンプル値を用いた数値計算によって積分値を求める
ことはいうまでもない。さらに、2乗計算の代わりに絶
対値を用いてもよい。
透過率から、測定器の特性を考慮した積分方程式を解く
ことにより真の分光透過率を求め、これと計算された分
光透過率のフィッティングを行うことにより膜厚を求め
ているので、正確に膜厚を求めることができる。
詳細に説明する。この実施の形態についても、膜厚の測
定法自体は、従来技術の説明の欄において説明したよう
に、計算によって求められた分光透過率と実測された分
光透過率のフィッティングにより求めるものとする。
のとき観測される分光透過率を計算によって求めた値
を、T(d,λ)とし、(3)式により計算した補正分光
透過率T’(d,λ)とT(d,λ)の差|T(d,
λ)−T’(d,λ)|を求める。そして、この差が所
定値を超える波長範囲を、フィッティング計算を行う範
囲から除外する。この所定値は、一定値としてもよい
し、T(d,λ)の値に所定係数を掛けた値としてもよ
い。
L、積分から除外された区間をL’とするとき、(2)式
におけるSの値はLからL’を除いた区間で積分して求
められ、これらの積分は1区間のこともあれば複数区間
のこともある。
ては、前記の差が所定値を超える波長範囲と共に、その
前後の所定範囲の波長範囲をも除くようにしてもよい。
また、前記の差が所定値を超える範囲が、近接して不連
続に複数存在する場合は、そのうち最短の波長から最長
の波長に亘る範囲全体をフィッティング計算から除くよ
うにしてもよい。さらに、このようにして決定された連
続した波長域の前後の所定の波長範囲を含めて除くよう
にしてもよい。また、フィッティング計算から除く範囲
は、全ての膜厚測定に共通にしてもよいし、膜厚に応じ
て段階的に変えるようにしてもよい。このようにして決
定された除外範囲は、複数の範囲であることもある。
詳細に説明する。この実施の形態についても、膜厚の測
定法自体は、従来技術の説明の欄において説明したよう
に、計算によって求められた分光透過率と実測された分
光透過率のフィッティングにより求めるものとする。
算された分光透過率をT(dn0+iΔ,λ)(i=−
m〜m)とする。一方、測定器の感度分布が図4(a)に
示すようになっているとし、その半値幅を分解能として
その値をaとする。そして、(2)式に基づいてフィッテ
ィングを行う際、各計算分光透過率T(dn0+iΔ,
λ)(i=−m〜m)について、波長がaだけ変化した
とき分光透過率の計算値が所定値以上変化する区間を、
(2)式における積分区間から除外する。この所定値は、
一定値としてもよいし、波長がaだけ変化する区間の各
計算分光特性T(dn0+iΔ,λ)(i=−m〜m)
に所定係数を掛けた値としてもよい。
から除外された区間をL’とするとき、(2)式における
Sの値は、区間LからL’を除いた区間で積分され、比
較されることはいうまでもない。
変化が大きくて、測定器で測定した場合に誤差が大きく
なる波長範囲がフィッティング計算から除外されている
ので、正確に膜厚を求めることができる。フィッティン
グ計算から除外する範囲を、前記第3の実施の形態で述
べたような範囲としてもよいことは言うまでも無い。
も1層の膜厚をこれら実施の形態に示したような第1の
手段から第4の手段に記載の膜厚測定方法で測定すれ
ば、光学特性が波長に対して大きく変化する可視光域に
おいても、光学特性を計測することにより膜厚を正確に
測定することができる。この際、全ての膜の膜厚を同じ
測定方法で計測する必要はなく、膜ごとに第1の手段か
ら第4の手段に記載の膜厚測定方法の異なったものを選
択して使用してもよい。
手段に記載の方法でフィッティング計算を行ない、これ
に加えて第3の手段又は第4の手段に記載の方法でフィ
ッティング計算を行なう範囲を制限すれば、膜厚測定精
度をさらに上げることができる。
は、各層の膜厚が正確な厚さに成膜されているので、確
実に目的とする光学特性を有するものとなる。よって、
このような光学素子を光学装置に組み込めば、光学装置
の性能の向上を図ることができる。また、本発明におけ
る光学素子の製造方法は、光通信用に使用される波長多
重用狭帯域フィルター、長波長透過フィルター等を製造
するのに特に適している。
1000nmから1220nmの透過率が5%以下であり、1300nmか
ら1800nmの透過率が85%以上という光学特性を目標と
し、27層からなる多層膜を設計して成膜した。成膜の各
過程において、各膜厚は第1の実施の形態で示したよう
な方法により求め、従来技術の欄で示したような方法で
成膜を行った。得られた多層膜の光学特性の測定結果を
図5に示す。図5から、目標とする光学的特性が得られ
ていることが分かる。
厚を第2の実施の形態に示したような方法により求め、
従来技術の欄で示したような方法で成膜を行った。得ら
れた多層膜の光学特性の測定結果を図6に示す。図6か
ら、目標とする光学的特性が得られていることが分か
る。
厚を第3の実施の形態に示したような方法により求め、
従来技術の欄で示したような方法で成膜を行った。得ら
れた多層膜の光学特性の測定結果を図7に示す。図7に
よると、1315nm付近で透過率が目標の85%を多少割り込
んでいるが、ほぼ目標とする特性が得られているのが分
かる。
と同じ方法で可視光領域で膜厚測定を行い、従来技術の
欄で示したような方法で成膜を行った。得られた赤外領
域の光学特性は、図8に示すように目標値を大きく外れ
ており、上記各実施例より大幅に悪化していた。
は、光学特性を測定する測定器の分解能を越えるような
急峻な光学特性の変化がある場合でも、光学特性の変化
に基づいて、多層膜の各膜厚を正確に決定することがで
き、これにより所望の光学特性を有する光学素子を得る
ことができる。
理を示す図である。
る。
数型の波長特性を有する光が入射した場合に観測される
分光透過率の形を示す図である。
光学特性を示す図である。
光学特性を示す図である。
光学特性を示す図である。
られた多層膜の光学特性を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 表面に多層膜を有する光学素子におけ
る、多層膜を構成する各々の膜の厚さを測定する方法で
あって、種々の膜厚のときに観測される分光特性を計算
によって求めると共に、求められた分光特性を測定器の
感度特性又はその近似値によって補正した補正分光特性
を求め、両者の差が所定値以上である波長範囲を求め、
この範囲除いた範囲、又はこの範囲を含む所定範囲を除
いた範囲において、計算によって求められた分光特性と
実際に測定された分光特性とのフィッティング計算を行
なうことにより膜厚を求めることを特徴とする光学素子
の膜厚測定方法。 - 【請求項2】 表面に多層膜を有する光学素子におけ
る、多層膜を構成する膜の各々の厚さを測定する方法で
あって、種々の膜厚のときに観測される分光特性を計算
によって求め、このうち、測定器の分解能に対応する波
長間における分光特性の変化が所定値以上である範囲を
求め、この範囲除いた範囲、又はこの範囲を含む所定範
囲を除いた範囲において、計算によって求められた分光
特性と実際に測定された分光特性とのフィッティング計
算を行なうことにより膜厚を求めることを特徴とする光
学素子の膜厚測定方法。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の膜厚測定
方法を使用して少なくとも1層の膜厚を測定するプロセ
スを有してなることを特徴とする光学素子の製造方法。
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JP2003075900A JP3744003B2 (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 光学素子の膜厚測定方法及び光学素子の製造方法 |
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WO2023040674A1 (zh) * | 2021-09-15 | 2023-03-23 | 佛山市博顿光电科技有限公司 | 光谱检测装置、膜厚实时监控方法及系统、真空镀膜机 |
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WO2023040674A1 (zh) * | 2021-09-15 | 2023-03-23 | 佛山市博顿光电科技有限公司 | 光谱检测装置、膜厚实时监控方法及系统、真空镀膜机 |
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