JP2003301456A - 合成地下壁およびその施工方法ならびに水膨張止水材 - Google Patents
合成地下壁およびその施工方法ならびに水膨張止水材Info
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Abstract
1等の柱列式地下壁の芯材12である鉄骨に固着されて
RC壁13中に埋設されるスタッド16に環状の水膨張
止水材17を環装し、それらの境界面には引張応力が生
じる位置に止水シート18または塗膜系防水材を介装す
る。その施工は、SMWを設け、その前面側を掘削し、
鉄骨の表面を露出させ、水膨張止水材を環装したスタッ
ドを鉄骨の表面に固着し、引張応力が生じると想定され
る位置に止水シートまたは塗膜系防水材を取り付け、壁
筋14を配筋し型枠を組み立ててコンクリートを打設す
る。水膨張止水材は、スタッド等として用いる鉄筋が挿
通する中心孔を有する環状をなし、かつ、非膨張ゴム層
の内周側および外周側にそれぞれ水膨張ゴム層を積層し
た3層構造をなす。
Description
ウォール等の柱列式地下壁の前面側に鉄筋コンクリート
壁を一体化した構造の合成地下壁、およびその施工方
法、ならびに止水性が要求されるコンクリート壁中に埋
設される鉄筋に装着して用いる水膨張止水材に関する。
ル(Soil Mixing Wall、以下SMWと記す)は、現場に
て造成される柱列式の地下壁であって、一般に多軸型オ
ーガー掘削機で所定深度まで地盤を攪拌掘削しながらセ
メント系固化材を地盤に注入して地盤とともに混練し、
オーガー引き上げ後にH形鋼等の鉄骨からなる芯材を建
て込んで硬化させることで造成されるものである。この
工法は排水が少ないことから安価に造成できるものであ
り、従来より山留めあるいは止水壁として多用されてい
る。
式地下壁はあくまで仮設の山留めあるいは止水壁として
設けられるものであって本設として利用されるものでは
なかったが、最近においてはこれを本設の地下壁の一部
として利用することが検討されつつある。図4はその一
例を示すもので、仮設の山留めあるいは止水壁として造
成したSMW1の前面側を掘削した後、SMW1の芯材
2である鉄骨(H形鋼)にスタッド3を溶接により固着
し、そのSMW1の前面側に壁筋4を二重に配筋しコン
クリート5を打設して鉄筋コンクリート壁(以下、RC
壁と記す)6を形成することで、スタッド3を介してS
MW1とRC壁6とを一体化した本設の合成地下壁7を
形成するようにしたものである。このような合成地下壁
7によれば、仮設のSMW1をそのまま本設の壁体の一
部としても利用できるので合理的であり、SMW1の強
度を見込める分だけRC壁6の所要強度を軽減できてそ
の壁厚を薄くすることができ、全体として工費削減を図
ることができる。
成地下壁7にあっては、RC壁6の施工に際してスタッ
ド3の周囲にコンクリート5が十分に充填されずにスタ
ッド3の周面とコンクリート5との間に隙間が生じるこ
とが想定され、その場合にはRC壁6の止水性を十分に
確保できなくなることが想定される。
=RC壁6側に湾曲するような変形)を生じた場合に
は、RC壁6は全体として圧縮応力を生じるのでひび割
れが生じる懸念は少ないが、逆に負曲げ(外側=SMW
1側へ湾曲するような変形)が生じた際にはRC壁6の
背面側には引張応力が生じてそこにひび割れが発生する
余地があり、万一、ひび割れが発生した場合には止水性
を十分に確保できなくなることが想定される。
式地下壁とRC壁との合成地下壁における上記のような
要因による止水性の低下を防止するための有効な手段を
提供することを目的とする。
式地下壁の前面側に鉄筋コンクリート壁を一体化した構
造の合成地下壁であって、柱列式地下壁と鉄筋コンクリ
ート壁とを一体化するためのスタッドが柱列式地下壁の
芯材である鉄骨に固着されて鉄筋コンクリート壁中に埋
設されているとともに、そのスタッドには環状の水膨張
止水材が環装され、かつ柱列式地下壁と鉄筋コンクリー
ト壁との境界面には少なくとも鉄筋コンクリート壁に引
張応力が生じると想定される位置に止水シートまたは塗
膜系防水材が介装されていることを特徴とする。
に鉄筋コンクリート壁を一体化した構造の合成地下壁を
施工する方法であって、地中に柱列式地下壁を設けてそ
の前面側を掘削し、柱列式地下壁の芯材である鉄骨の表
面を露出させ、環状の水膨張止水材を環装したスタッド
を芯材の表面に固着し、少なくとも鉄筋コンクリート壁
に引張応力が生じると想定される位置には柱列式地下壁
の前面に止水シートまたは塗膜系防水材を取り付け、し
かる後に、柱列式地下壁の前面側に壁筋を配筋し型枠を
組み立ててコンクリートを打設することで鉄筋コンクリ
ート壁を形成することを特徴とする。
ンクリート壁中にスタッド等として埋設される鉄筋に装
着して用いる水膨張止水材であって、鉄筋が挿通する中
心孔を有する環状をなし、かつ、非膨張ゴム層の内周側
および外周側にそれぞれ水膨張ゴム層を積層した3層構
造をなすことを特徴とする。
成地下壁10の構造を示す。図1において符号11はH
形鋼を芯材12として施工された柱列式地下壁であるS
MW(ソイルミキシングウォール)、13はその前面側
に一体に設けられたRC壁(鉄筋コンクリート壁)であ
る。本例におけるSMW11は千鳥配置された柱列から
なり、その前面側は柱列に応じて凹凸形状に掘削され、
したがってRC壁13の背面側は自ずとその凹凸形状に
倣う形状に形成され、SMW11とRC壁13とは双方
の凹凸が噛み合った状態で一体化したものとなってい
る。
RC壁6と同様に、本実施形態のRC壁13には壁筋1
4が埋設されている他、必要に応じて補強筋15が埋設
され、またSMW11の芯材12であるH形鋼の表面に
はスタッド16が溶接されて固着されていて、それらス
タッド16によりSMW11とRC壁13とが確実に一
体化したものとなっている。本実施形態におけるスタッ
ド16は、異形鉄筋あるいは単なる棒鋼等の鉄筋の先端
部をテーパ状に増肉加工することで円錐台形状の定着頭
部(こぶ)16aを一体形成したものが用いられてい
る。定着頭部16aを形成するための増肉加工は、鉄筋
の端部を高周波誘導加熱して赤熱化させた状態で軸方向
に圧縮して径方向に膨出させることで容易にかつ効率的
に行うことができる。なお、鉄筋を増肉加工することに
代えて、厚鋼板からなる定着プレートを鉄筋の端部に溶
接することでそれを定着頭部とするスタッドも採用可能
である。
RC壁13の背面側の凹凸形状に応じて調節されてい
て、それらスタッド16の先端部が所定のかぶりを確保
したうえでRC壁13の表面近くに達するものとされて
いる。つまり、背面側が凸部となっている位置には長い
スタッド16が用いられ、凹部となっている位置には短
いスタッド16が用いられている。
水膨張止水材17が環装されている。水膨張止水材17
は図2〜図3に示すようにスタッド16が挿通可能な中
心孔17aを有する環状のもので、非水膨張ゴム層17
cの内周側および外周側にそれぞれ水膨張ゴム層17
b、17dを積層した3層構造をなすものであり、特に
ゴム層として加硫ゴムを用いたものが好適に採用可能で
ある。
17cの弾性によりスタッド16に対してきっちりと隙
間なく装着され、そのままスタッド16とともにRC壁
13中に埋設されるものである。これにより、RC壁1
3を形成する際のコンクリート打設時にスタッド16の
周囲に対する生コンクリートの充填性が十分でないよう
な場合であっても、水膨張ゴム層17b、17dが生コ
ンクリート中の水分と反応して自ずと大きく膨張し、ス
タッド16の周囲に隙間が生じることを防止して優れた
止水性が得られるものとなっている。特にスタッド16
が異形鉄筋からなる場合にも、内周側の水膨張ゴム層1
7bが膨張してスタッド16の外周面に隙間なく確実に
密着し得て確実な止水性が得られるものとなっている。
の要所には止水シート18が介装されている。止水シー
ト18としては、単なるゴムシートや、水膨張加硫ゴム
層と非水膨張加硫ゴム層とを積層したシート状の積層型
水膨張止水材、あるいは生コンクリートとの反応により
大きな接着力が得られる非加硫ブチルゴム系の止水シー
ト等が好適に採用可能である。
に設けることでも良いが、少なくともRC壁13が負曲
げによる引張応力を生じてひび割れの発生が想定される
位置に設ければ良く、図示例のものでは芯材12の表面
を除いた範囲に設けられている。このような止水シート
18を設けることにより、RC壁13が負曲げを生じて
万一ひび割れが生じたとしても、止水シート18により
止水性能が確保されて漏水を生じるようなことを確実に
防止することができる。なお、図1に示しているよう
に、必要であれば止水シート18の背面側に水抜きパイ
プ19を設けることが好ましい。また、止水シート18
に代えて、塗膜系防水材(たとえばクロロプレンゴム系
のもの)を設けることでも同様の効果が得られる。
MW11を通常の工法により施工した後、その前面側を
掘削して芯材12の表面を露出させる。そして、必要箇
所に止水シート18を接着等により取り付け、あるいは
止水シート18に代えて塗膜系防水材を設け、水膨張止
水材17を環装したスタッド16を芯材12に溶接等に
より取り付ける。なお、止水シート18を芯材12の表
面にも取り付ける場合には、SMW11の表面をサンド
ブラスターあるいは高圧水洗浄機等により洗浄するとと
もに、止水シート18にはスタッド16の取付予定位置
に穴ないし切込を形成しておき、スタッド16をその穴
ないし切込に通して芯材12に取り付けた後に、スタッ
ド16の基部に止水シート片を重ねてシールすれば良
い。その後、通常のように壁筋14や必要に応じて補強
筋15を配筋し、型枠を建て込み、コンクリートを打設
し、所定の養生期間を経て型枠を解体して完成となる。
16に水膨張止水材17を環装したので、スタッド16
の周囲に対するコンクリートの充填性が十分でないよう
な場合にも水膨張止水材17により止水性能が確保さ
れ、また、少なくとも引張応力が生じる懸念がある位置
に対して止水シート18または塗膜系防水材を設けたの
で、万一、RC壁13にひび割れが生じても止水シート
18または塗膜系防水材により止水性能が確保され、以
上のことからこの合成地下壁10は極めて止水性に優れ
るものとなり、この種の合成地下壁の止水性に対する信
頼性を大きく向上させることができる。
したように定着頭部16aを一体成型したスタッド16
を用いることが好ましいが、同様の機能を有しかつ環状
の水膨張止水材17を環装できるものであれば他の形式
のスタッドを用いることでも良い。また、上記実施形態
では柱列式地下壁としてSMW11を採用したが、芯材
12として鉄骨を用いるものであれば他の柱列式地下壁
も採用可能である。さらに、本発明の水膨張止水材は上
記実施形態のような合成地下壁10に適用するのみなら
ず、止水性が要求される鉄筋コンクリート壁中にスタッ
ド等として埋設される鉄筋全般に広く適用できるもので
ある。
地下壁の芯材に固着されてその前面側の鉄筋コンクリー
ト壁に埋設されるスタッドに環状の水膨張止水材を環装
したので、スタッドの周囲へのコンクリートの充填が十
分になされないような場合であってもそこでの止水性が
確保され、また柱列式地下壁と鉄筋コンクリート壁との
境界面の必要箇所、少なくとも引張応力が生じることが
想定される位置に止水シートまたは塗膜系防水材を介装
したので、鉄筋コンクリート壁に万一ひび割れが生じた
ような場合にも止水シートまたは塗膜系防水材により止
水性が確保され、したがって合成地下壁全体の止水性を
向上させることができる。
は、柱列式地下壁を設けてその前面側を掘削し、その芯
材である鉄骨の表面を露出させ、水膨張止水材を環装し
たスタッドを固着し、少なくとも引張応力が生じること
が想定される位置に止水シートまたは塗膜系防水材を取
り付け、壁筋を配筋し、型枠を組み立ててコンクリート
を打設することで鉄筋コンクリート壁を形成するので、
止水性に優れた合成地下壁を効率的に施工することがで
きる。
挿通する中心孔を有する環状をなし、かつ非膨張ゴム層
の内周側および外周側にそれぞれ水膨張ゴム層を積層し
た3層構造をなすものであるので、止水性が要求される
コンクリート壁中にスタッド等として埋設される鉄筋に
装着して用いることにより、その鉄筋の周囲のコンクリ
ート充填性が十分でない場合でもそこでの止水性を確保
することができる。
図である。
ッドおよび止水シートを取り付けた状態を示す図であ
る。
す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 柱列式地下壁の前面側に鉄筋コンクリー
ト壁を一体化した構造の合成地下壁であって、柱列式地
下壁と鉄筋コンクリート壁とを一体化するためのスタッ
ドが柱列式地下壁の芯材である鉄骨に固着されて鉄筋コ
ンクリート壁中に埋設されているとともに、そのスタッ
ドには環状の水膨張止水材が環装され、かつ柱列式地下
壁と鉄筋コンクリート壁との境界面には少なくとも鉄筋
コンクリート壁に引張応力が生じると想定される位置に
止水シートまたは塗膜系防水材が介装されていることを
特徴とする合成地下壁。 - 【請求項2】 柱列式地下壁の前面側に鉄筋コンクリー
ト壁を一体化した構造の合成地下壁を施工する方法であ
って、地中に柱列式地下壁を設けてその前面側を掘削
し、柱列式地下壁の芯材である鉄骨の表面を露出させ、
環状の水膨張止水材を環装したスタッドを芯材の表面に
固着し、少なくとも鉄筋コンクリート壁に引張応力が生
じると想定される位置には柱列式地下壁の前面に止水シ
ートまたは塗膜系防水材を取り付け、しかる後に、柱列
式地下壁の前面側に壁筋を配筋し型枠を組み立ててコン
クリートを打設することで鉄筋コンクリート壁を形成す
ることを特徴とする合成地下壁の施工方法。 - 【請求項3】 止水性が要求されるコンクリート壁中に
スタッド等として埋設される鉄筋に装着して用いる水膨
張止水材であって、鉄筋が挿通する中心孔を有する環状
をなし、かつ、非膨張ゴム層の内周側および外周側にそ
れぞれ水膨張ゴム層を積層した3層構造をなすことを特
徴とする水膨張止水材。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002109085A JP3777549B2 (ja) | 2002-04-11 | 2002-04-11 | 合成地下壁およびその施工方法ならびに水膨張止水材 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005307441A (ja) * | 2004-04-16 | 2005-11-04 | Shimizu Corp | 地中壁およびその構築方法 |
JP2009030241A (ja) * | 2007-07-24 | 2009-02-12 | Ohbayashi Corp | 土留壁の止水構造及び止水構造の構築方法 |
CN108018884A (zh) * | 2017-12-22 | 2018-05-11 | 江苏开放大学 | 一种新型地下沉降缝结构及其施工方法 |
CN114319454A (zh) * | 2021-12-29 | 2022-04-12 | 中航天建设工程集团有限公司 | 一种盖挖逆作法侧墙水平施工缝的防水结构 |
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2002
- 2002-04-11 JP JP2002109085A patent/JP3777549B2/ja not_active Expired - Fee Related
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