JP4182004B2 - 剥落防止部材及びトンネル覆工の剥落防止構造並びにトンネル覆工の施工方法 - Google Patents

剥落防止部材及びトンネル覆工の剥落防止構造並びにトンネル覆工の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、トンネル延在方向で隣接する覆工コンクリート同士の継目を覆う剥落防止部材及びトンネル覆工の剥落防止構造並びにトンネル覆工の施工方法に関する。
例えば山岳トンネル等は、NATM(New Austrian Tunnelling Method) と呼ばれる工法で施工される。NATMは、地山の支持力を生かしながら、主に吹付けコンクリートとロックボルトによってトンネルの支保能力を増し、支保工を利用しないでトンネルを掘削する。本来、断面をアーチ状に形成したトンネルは、地山が安定していると、大きな支持力が得られて潰れない。NATMは、このような地山の支保機能を利用して掘削が行われる。一方で、亀裂や湧水の発生、地質のムラがあると支持力が低下する。このため、表面を一次覆工コンクリート、二次覆工コンクリートで固めたり、ロックボルトを打ち込み、より深いところまでトンネルを一体化させる工事が行われる。また、工事においては、主に切羽を掘削する掘削機や、ずり搬出のためのダンプトラックなどの汎用重機を使用するので、高価なシールドマシンを必要とするシールド工法に比べ、費用を抑えることができる。
ここで、トンネル内壁面となる二次覆工コンクリートは、下記の特許文献1に開示されるように、セントルを用いて施される。セントルは多数個が結合されており、その前方部位と後方部位とが台車に立設した支持脚にて移動可能に支持される。このセントルは打設スパーンに一致して配置され、前端面に妻板を固定し、一次覆工コンクリートとの間にコンクリートを打設してトンネルの二次覆工コンクリートを施す。そして、前段の二次覆工コンクリートに隣接して、次段の覆工コンクリートを施して行くことで、継目を挟んで前段、次段の覆工コンクリートが順次トンネルの延在方向へ施されて行く。
特開平11−117690号公報
近年、鉄道や道路のトンネル覆工面からコンクリートが剥落する事故が多発しており、一つ間違えると大事故につながりかねない。このため、赤外線や超音波を利用した調査を行ない、調査の結果、コンクリートのひび割れ、覆工面での漏水、浮き上がりなどにより、コンクリート表面の剥落が予測された場合には、そのひび割れ部分や予測部分をはつって、欠損部分を被うようにして補修用鋼板をアンカーボルトで固定している。そのため、膨大な検査費用及び補修費用が発生している。そのなかでも、クラックが生じ易く、また、湧き水等による浸食や、コンクリート収縮等による応力の影響を受け易い二次覆工コンクリート同士の継目に剥落の生じる可能性が高い。
一方で、トンネル内面のすべてをパネル等で覆うといった工法もあるが、膨大なコストが掛かる上、パネル内側でのひび割れ等が発見し難く、補修等が遅れる問題を包含する。また、この場合、パネル自体に収縮性がないため、コンクリート収縮に追従できない欠点を有する。さらに、難燃性を有しないものが多いため、火災に対しての対応が困難となる。また、NATMトンネルでは、二次覆工コンクリートの内側にシートが施工されているが、そのシートに穴が開いてしまった場合、二次覆工のコンクリート同士の継目から水が漏れ、車両、通行者を汚損する可能性もあった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、剥落しそうな継目部分の調査が必要なくなり、従来より費やされていた膨大な調査及び補修費用を大幅に削減することができる剥落防止部材及びトンネル覆工の剥落防止構造並びにトンネル覆工の施工方法を得ることにある。また、第2の目的は、収縮クラック発生に起因するコンクリート剥落を防止できる剥落防止部材及びトンネル覆工の剥落防止構造並びにトンネル覆工の施工方法を得ることにある。第3の目的は、後付けで継目に取り付ける場合に比べて、高い取付強度で、凹凸のない平滑なトンネル内壁面を簡易に施工できる剥落防止部材及びトンネル覆工の剥落防止構造並びにトンネル覆工の施工方法を得ることにある。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の剥落防止部材19は、トンネル延在方向で隣接する覆工コンクリート15,15同士の継目17を覆う剥落防止部材19であって、
前記継目17に沿って配設される帯状の硬質な樹脂板21よりなり、
該樹脂板21の幅方向中央部を一方の面21a側へ突出させて形成した屈曲部23と、
該屈曲部23を挟む両側に前記樹脂板21の一方の面21aから突出して前記樹脂板21の長手方向に連続して形成される複数の係止条片27と、
を具備したことを特徴とする。
この剥落防止部材19では、帯状の樹脂板21が、トンネル内壁の周方向に延在する覆工コンクリート15,15同士の継目に長手方向を沿わして配設され、継目17が樹脂板21によって覆われる。そして、係止条片27が覆工コンクリート15,15に埋入され、樹脂板21が密着状態で覆工コンクリート15の表面に高強度に保持される。また、継目17に位置する屈曲部23がコンクリート収縮によって生じる継目間隔の変位に追従し、コンクリート収縮に影響を受けることなく、継目17を覆って剥落が防止される。さらに、トンネル内壁面29の全体を覆わずに取り付けが可能となり、施工が簡易となる。また、難燃性を有する剥落防止部材19が継目部分のみに取り付けられるので、トンネル火災においても延焼を助長することがない。なお、係止条片27の突出端である先端部分に膨出部25を有する形状、例えば、逆三角形などの形状など先端に向かって幅長が拡がる形状とすることで、この係止条片27が覆工コンクリート15,15に埋入された状態での抜け止め効果を得ることができる。
請求項2記載の剥落防止部材19は、前記樹脂板21の幅方向両側が、前記屈曲部23を中心に他方の面側へ160〜178度、好ましくは165〜175度の角度範囲でヘ字状に屈曲されたことを特徴とする。
この剥落防止部材19では、樹脂板21が他方の面側にヘ字状に屈曲されているので、剥落防止部材19をセントル31の平坦なコンクリート打設面31aにセットすると、樹脂板21の幅方向両端がセントル31のコンクリート打設面31aに当接され、樹脂板21の幅方向両端、すなわち、樹脂板の幅方向後端19b及び幅方向前端19aがセントル31に密着される。なお、仮に取り付けクリアランス等によって樹脂板21の中央部がセントル31から離反していても、この中央部はコンクリートの打設圧力によって最終的にセントル31に密着される。これにより、コンクリート打設時に、樹脂板21とセントル31との間に打設コンクリートが流入するなどの不具合が防止され、剥落防止部材19の浮きが防止される。
請求項3記載のトンネル覆工の剥落防止構造は、トンネル延在方向で隣接する覆工コンクリート15,15同士の継目17を覆うトンネル覆工の剥落防止構造であって、
帯状の硬質な樹脂板21よりなり、該樹脂板21の幅方向中央部を一方の面21a側へ突出させて形成した屈曲部23と、該屈曲部23を挟む両側に前記樹脂板21の一方の面21aから突出して前記樹脂板21の長手方向に連続して形成される複数の係止条片27とによって剥落防止部材19が形成され、
前記樹脂板21が、前記継目17に沿ってトンネル内壁面29と同一平面で配設され、
前記屈曲部23が、前記継目17に一致して埋入され、
前記係止条片27が、隣接する覆工コンクリート15のそれぞれに埋入されたことを特徴とする。
このトンネル覆工の剥落防止構造では、樹脂板21によって継目部分が覆われるとともに、係止条片27が覆工コンクリート15に埋入され、しかも、コンクリート収縮に屈曲部23が追従可能となる。また、係止条片27が継目17を挟んで連続するので、継目17から侵入する湧き水が屈曲部23や係止条片27,27同士の間の樹脂板21に沿って流され、トンネル左右の排水溝へと導かれる。つまり、剥落防止部材19が排水溝として作用する。さらに、トンネル内壁面29と、樹脂板21の他方の面21bとが同一平面に配置され、凹凸のない平滑なトンネル内壁面29が得られる。
請求項4記載のトンネル覆工の施工方法は、帯状の硬質な樹脂板21よりなり、該樹脂板21の幅方向中央部を一方の面21a側へ突出させて形成した屈曲部23と、該屈曲部23を挟む両側に前記樹脂板21の一方の面21aから突出して前記樹脂板21の長手方向に連続して形成される複数の係止条片27とを具備した剥落防止部材19を用い、
セントル31のコンクリート打設面31a側の先端33に前記屈曲部23を一致させて前記剥落防止部材19を取り付け、
前記屈曲部23の外側に開口するコンクリート打設空間35の開口を妻板37で閉鎖してコンクリートを打設することで前記剥落防止部材19の幅方向後端19bを打設コンクリートに埋設して前段の覆工コンクリート15を形成し、
該前段の覆工コンクリート15から突出した前記剥落防止部材19の幅方向前端19aをセントル31のコンクリート打設面31a側の後端32に取り付けてコンクリートを打設することで前記剥落防止部材19の幅方向前端19aを次段の覆工コンクリート15に埋設することを特徴とする。
このトンネル覆工の施工方法では、前段の覆工コンクリート15を施すコンクリート打設時に、剥落防止部材19の幅方向後端19bが、また、次段の覆工コンクリート15を施すコンクリート打設時に、剥落防止部材19の幅方向前端19aがセントル31にセットされ、これによって係止条片27が覆工コンクリート15に埋設されると同時に、表出面となる樹脂板21の他方の面21bが覆工コンクリート15の仕上げ面と同一平面に配置される。
本発明に係る請求項1記載の剥落防止部材によれば、継目に沿って配設される帯状の硬質な樹脂板と、樹脂板の幅方向中央部を一方の面側へ突出させて形成した屈曲部と、樹脂板の一方の面から突出する複数の係止条片とを備えるので、樹脂板によって継目を覆い、継目部分の剥落を防止できるとともに、係止条片を覆工コンクリートに埋入させ、樹脂板を密着状態にして補強構造を形成でき、しかも、コンクリート収縮に屈曲部を追従させて、収縮クラック発生に起因するコンクリート剥落も防止できる。また、トンネル内壁面の全体を覆わずに施工ができるので、安価な施工コストで十分な剥落防止効果を得ることができる。
請求項2記載の剥落防止部材によれば、樹脂板の幅方向両側が、屈曲部を中心に他方の面側へ160〜178度の角度範囲でヘ字状に屈曲されるので、セントルに剥落防止部材をセットする際、剥落防止部材の浮きを防止して、幅方向両端を確実にセントルのコンクリート打設面に密着でき、樹脂板とセントルとの間の打設コンクリートの流入を防止できる。この結果、常にセントルと樹脂板とを密接させた状態でコンクリートを打設でき、トンネル内壁面と樹脂板とを外観の良好な同一平面に仕上げることができる。
請求項3記載のトンネル覆工の剥落防止構造によれば、樹脂板が継目に沿ってトンネル内壁面と同一平面で配設され、屈曲部が継目に一致して埋入され、係止条片が隣接する覆工コンクリートのそれぞれに埋入されるので、樹脂板によって継目部分の剥落を防止できるとともに、係止条片を覆工コンクリートに埋入させ、樹脂板を密着状態にして補強構造を形成でき、しかも、コンクリート収縮に屈曲部を追従させて、収縮クラック発生に起因するコンクリート剥落も防止できる。また、継目から侵入する湧き水を屈曲部に沿わしてトンネル左右の排水溝へ導くこともできる。さらに、トンネル内壁面と樹脂板とを平滑にできるので、良好な外観を得ることができる。この結果、剥落しそうな継目部分の調査が必要なくなり、従来費やされていた膨大な調査及び補修費用を大幅に削減することができる。
請求項4記載のトンネル覆工の施工方法によれば、屈曲部をセントルの先端に一致させて剥落防止部材を取り付け、剥落防止部材の幅方向後端を打設コンクリートに埋設して前段の覆工コンクリートを形成した後、突出した剥落防止部材の幅方向前端をセントルに取り付けて次段の覆工コンクリートに埋設するので、コンクリート打設時においてのセントルへのセットが可能となり、また、これによって係止条片が覆工コンクリートに埋設されることから、後付けで継目に取り付ける場合に比べて、高い取付強度で、凹凸のない平滑なトンネル内壁面を簡易に施工することができる。
以下、本発明に係る剥落防止部材及びトンネル覆工の剥落防止構造並びにトンネル覆工の施工方法の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る剥落防止構造によって施工されたトンネル内壁面の斜視図、図2は剥落防止構造に用いられる剥落防止部材の正面図である。
NATMトンネル11には一次覆工コンクリート13の内周側に二次覆工コンクリート15が施されている。トンネル11の延在方向に隣接する二次覆工コンクリート15,15同士の継目17には剥落防止部材19が配設されている。つまり、剥落防止部材19は、覆工コンクリート15,15同士の継目17を覆っている。
剥落防止部材19は、継目17に沿って配設される図2に示す帯状の樹脂板21よりなり、樹脂板21の幅方向中央部を一方の面21a側へ突出させて形成した屈曲部23と、この屈曲部23を挟む両側に樹脂板21の一方の面21aから突出して、樹脂板21の長手方向に連続して形成されるとともに、突出端に膨出部25を有する複数の係止条片27とからなる。なお、図2に示すように、本実施の形態では屈曲部23をU字状に形成している。剥落防止部材19は、耐腐食性を有する難燃性の合成樹脂、例えば硬質塩化ビニルなどにより一体成形される。すなわち、図2に示す形状を口金開口形状とした押出し長尺材として製作することができる。また、係止条片27の突出端の膨出部25の形状は、図2に示す略矩形状としてもよく、或いは逆三角形状や円形状,楕円形状など、先端に向かって幅長が大きくなる形状が好ましく、また、V字状に形成されるものや、翼状の小片形状のものを斜めに植設するような形状としてもよく、すなわち覆工コンクリートに係止条片27が埋設された状態で抜け止めとなる形状であればいずれの形状でもよい。
剥落防止部材19は、例えば幅(図2の左右方向)280mm、長さは好ましくはトンネル内周の周方向の長さに連続する長さの帯板形状とされ、長手方向に接続されて、継目17を覆いながら、トンネル内壁面29の周方向に沿って配設される。長手方向の端部同士は、目地材などを注入固化させたり、或いはT字状の別部材を接着して接続される。
剥落防止部材19は、樹脂板21の幅方向両側(図2の左右端側)が、屈曲部23を中心に平滑な他方の面21b側へ160〜178度、好ましくは165〜175度の角度α範囲でヘ字状に屈曲されている。剥落防止部材19は、このように樹脂板21がヘ字状に屈曲されていることで、後述のセントル(型枠)の平坦なコンクリート打設面にセットすると、樹脂板21の幅方向両端がコンクリート打設面であるセントル31に当接され、樹脂板21の幅方向両端、すなわち、樹脂板21の幅方向後端及び幅方向前端がセントルに密着される。なお、仮に取り付けクリアランス等によって樹脂板21の中央部がセントルから離反していても、この中央部はコンクリートの打設圧力によって最終的にセントルに密着される。これにより、コンクリート打設時に、樹脂板21とセントルとの間に打設コンクリートが流入する剥落防止部材の浮きが防止される。
剥落防止部材19は、このように全体が硬質な樹脂板21を屈曲部23を中心に平滑な面(他方の面)21b側にヘ字状に屈曲させることで、常にセントル31と樹脂板21とを密接させた状態でコンクリートを打設でき、トンネル内壁面29と樹脂板21とを外観の良好な同一平面に仕上げることができる。
この剥落防止部材19は、帯状の樹脂板21が、トンネル内壁面29の周方向に延在する二次覆工コンクリート15,15同士の継目17に長手方向を沿わして配設され、継目17が樹脂板21によって覆われる。そして、係止条片27が二次覆工コンクリート15に埋入され、樹脂板21が密着状態で覆工コンクリート15の表面に高強度に保持される。また、継目17に位置する屈曲部23がコンクリート収縮によって生じる継目間隔の変位に追従し、コンクリート収縮に影響を受けることなく、継目を覆って剥落が防止される。さらに、トンネル内壁面29の全体を覆わずに取り付けが可能となり、施工が簡易となる。また、難燃性を有する剥落防止部材19が継目部分のみに取り付けられるので、トンネル火災においても延焼を助長することがない。
この結果、樹脂板21を密着状態にして補強構造を形成でき、しかも、コンクリート収縮に屈曲部23を追従させて、収縮クラック発生に起因するコンクリート剥落も防止できる。また、トンネル内壁面29の全体を覆わずに施工ができるので、安価な施工コストで十分な剥落防止効果を得ることができる。
また、この剥落防止部材19を用いたトンネル覆工の剥落防止構造では、継目17から侵入する湧き水が屈曲部23に沿って流される。つまり、剥落防止部材19が排水溝として作用する。さらに、トンネル内壁面29と、樹脂板21の他方の面21bとが同一平面に配置され、凹凸のない平滑なトンネル内壁面29が得られる。
したがって、このトンネル覆工の剥落防止構造によれば、樹脂板21を密着状態にして補強構造を形成でき、しかも、コンクリート収縮に屈曲部23を追従させて、収縮クラック発生に起因するコンクリート剥落も防止できる。また、湧き水が発生した際にはトンネル左右の排水溝へ導くこともでき、さらに、トンネル内壁面29と樹脂板21とを平滑にできるので、良好な外観を得ることができる。この結果、剥落しそうな継目部分の調査が必要なくなり、従来費やされていた膨大な調査及び補修費用を大幅に削減することができる。
次に、上記剥落防止部材を用いたトンネル覆工の施工方法を説明する。
図3は前段の二次覆工が施された状態の施工方法の説明図、図4は前段の二次覆工を終えてセントルが取り外された状態の説明図、図5は次段の二次覆工が施されたトンネルの要部縦断面図である。
本実施の形態では、一次覆工コンクリート13の内周側に二次覆工コンクリート15が施される場合を例に説明するが、本発明に係るトンネル覆工の施工方法は、一次覆工コンクリート13のみ、或いは二次以上の覆工が施されるものであってもよく、いずれの場合も、トンネル内壁面29を形成することになる最も内側に施される覆工コンクリートの継目17に適用される。
トンネル11の掘削は、掘削機等の汎用重機によって行われる。地山掘削の後、地山には一次覆工、二次覆工が施される。図3に示す一次覆工コンクリート13は、掘削されたトンネル壁面(地山面)を、掘削の後端部分で、吹付コンクリートで覆う、或いはセグメントを立て込むなどして形成する。一次覆工後には、防水シート(樹脂製シート)の展着或いは樹脂を吹きつけるなどして防水層を形成し、地山側からの浸水を防止する。
一次覆工コンクリート13の施されたトンネル11の内周側には、前段の二次覆工コンクリート15が施されている。この前段の二次覆工コンクリート15には、図4に示すように、剥落防止部材19の幅方向後端19bが埋設状態となっており、その結果、前段の二次覆工コンクリート15の前端面16からは剥落防止部材19の幅方向前端19aが突出している。この埋設済みの剥落防止部材19は、これから述べる手順によって次段の二次覆工コンクリート15に埋設されるものである。
二次覆工は、鋼製可動式のセントルやセントルフォームと言われるトンネル覆工用型枠をトンネル延在方向に数メートルスパーンで配置し、一次覆工面との間にコンクリートを打設して成形する。
すなわち、次段の二次覆工コンクリート15を施すには、先ず、前段の二次覆工コンクリート15から突出した剥落防止部材19の幅方向前端19aをセントル31のコンクリート打設面31aの後端32に取り付ける。また、セントル31のコンクリート打設面31a側の先端33に、屈曲部23を一致させて新たな剥落防止部材19を取り付ける。
次いで、屈曲部23の外側に開口するコンクリート打設空間35の開口を妻板37で閉鎖する。なお、一次覆工コンクリート13と妻板37との間隙には、一次覆工コンクリート13側の凹凸などを許容して略密着状態とし、シールするエアーフェンス39が配置される。この際、セントル31の先端33から突出する剥落防止部材19の幅方向前端19aは、妻板37の押さえ板41と、支持板43とによって水平に挟持される。これにより、剥落防止部材19の幅方向後端19bは、セントル31のコンクリート打設面31aに押付けられて平坦に矯正される。
次いで、コンクリート打設空間35にコンクリートを打設することで、図5に示すように、剥落防止部材19の幅方向後端19bを打設コンクリートに埋設して次段の二次覆工コンクリート15を形成する。これにより、前段の二次覆工コンクリート15から突出した剥落防止部材19は、幅方向前端19aが次段の覆工コンクリートに埋設され、継目17が剥落防止部材19に覆われることになる。
所定の期間、養生を行って打設コンクリートを固化させた後、脱型して二次覆工コンクリート15の内周面及び剥落防止部材19の他方の面21bを表出させる(図5参照)。この二次覆工コンクリート15で形成されたトンネル内壁面29が仕上がり面となる。
このトンネル覆工の施工方法では、前段の二次覆工コンクリート15を施すコンクリート打設時に、剥落防止部材19の幅方向後端19bが、また、次段の二次覆工コンクリート15を施すコンクリート打設時に、前段の二次覆工コンクリート15から突出した剥落防止部材19の幅方向前端19aがセントル31にセットされ、これによって係止条片27が二次覆工コンクリート15に埋設されると同時に、表出面となる樹脂板21の他方の面21bが二次覆工コンクリート15の仕上げ面と同一平面に配置される。
したがって、このトンネル覆工の施工方法によれば、屈曲部23をセントル31の先端33に一致させて剥落防止部材19を取り付け、剥落防止部材19の幅方向後端19bを打設コンクリートに埋設して前段の二次覆工コンクリート15を形成した後、突出した剥落防止部材19の幅方向前端19aをセントル31に取り付けて次段の二次覆工コンクリート15に埋設するので、コンクリート打設時においてのセントルへ31のセットが可能となり、また、これによって係止条片27が二次覆工コンクリート15に埋設されることから、後付けで継目17に取り付ける場合に比べて、高い取付強度で、凹凸のない平滑なトンネル内壁面29を簡易に施工することができる。
本発明に係る剥落防止構造によって施工されたトンネル内壁面の斜視図である。 剥落防止構造に用いられる剥落防止部材の正面図である。 前段の二次覆工が施された状態の施工方法の説明図である。 前段の二次覆工を終えセントルが取り外された状態の説明図である。 次段の二次覆工が施されたトンネルの要部縦断面図である。
符号の説明
15…隣接する覆工コンクリート
17…継目
19…剥落防止部材
19a…幅方向前端
19b…幅方向後端
21…樹脂板
21a…一方の面
21b…他方の面
23…屈曲部
25…膨出部
27…係止条片
29…トンネル内壁面
31…セントル
32…コンクリート打設面側の後端
33…コンクリート打設面側の先端
35…コンクリート打設空間
37…妻板

Claims (4)

  1. トンネル延在方向で隣接する覆工コンクリート同士の継目を覆う剥落防止部材であって、
    前記継目に沿って配設される帯状の硬質な樹脂板よりなり、
    該樹脂板の幅方向略中央部を一方の面側へ突出させて形成した屈曲部と、
    該屈曲部を挟む両側に前記樹脂板の一方の面から突出して前記樹脂板の長手方向に連続して形成される複数の係止条片と、
    を具備したことを特徴とする剥落防止部材。
  2. 前記樹脂板の幅方向両側が、前記屈曲部を中心に他方の面側へ160〜178度の角度範囲でヘ字状に屈曲されたことを特徴とする請求項1記載の剥落防止部材。
  3. トンネル延在方向で隣接する覆工コンクリート同士の継目を覆うトンネル覆工の剥落防止構造であって、
    帯状の硬質な樹脂板よりなり、該樹脂板の幅方向中央部を一方の面側へ突出させて形成した屈曲部と、該屈曲部を挟む両側に前記樹脂板の一方の面から突出して前記樹脂板の長手方向に連続して形成される複数の係止条片とによって剥落防止部材が形成され、
    前記樹脂板が、前記継目に沿ってトンネル内壁面と同一平面で配設され、
    前記屈曲部が、前記継目に一致して埋入され、
    前記係止条片が、隣接する覆工コンクリートのそれぞれに埋入されたことを特徴とするトンネル覆工の剥落防止構造。
  4. 帯状の硬質な樹脂板よりなり、該樹脂板の幅方向中央部を一方の面側へ突出させて形成した屈曲部と、該屈曲部を挟む両側に前記樹脂板の一方の面から突出して前記樹脂板の長手方向に連続して形成される複数の係止条片とを具備した剥落防止部材を用い、
    セントルのコンクリート打設面側の先端に前記屈曲部を一致させて前記剥落防止部材を取り付け、
    前記屈曲部の外側に開口するコンクリート打設空間の開口を妻板で閉鎖してコンクリートを打設することで前記剥落防止部材の幅方向後端を打設コンクリートに埋設して前段の覆工コンクリートを形成し、
    該前段の覆工コンクリートから突出した前記剥落防止部材の幅方向前端をセントルのコンクリート打設面側の後端に取り付けてコンクリートを打設することで前記剥落防止部材の幅方向前端を次段の覆工コンクリートに埋設することを特徴とするトンネル覆工の施工方法。
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