JP2003300404A - タイヤ空気圧検出装置 - Google Patents

タイヤ空気圧検出装置

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JP2003300404A
JP2003300404A JP2002315775A JP2002315775A JP2003300404A JP 2003300404 A JP2003300404 A JP 2003300404A JP 2002315775 A JP2002315775 A JP 2002315775A JP 2002315775 A JP2002315775 A JP 2002315775A JP 2003300404 A JP2003300404 A JP 2003300404A
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tire
air pressure
wheel
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dynamic load
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JP2002315775A
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Hideki Ohashi
秀樹 大橋
Hiroyoshi Kojima
弘義 小島
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】タイヤ空気圧以外の要因による影響がタイヤ空
気圧の検出値にできる限り及ばないようにすることによ
り、タイヤ空気圧の検出精度を向上させる。 【解決手段】車輪速度センサにより検出された車輪速度
に基づき、車輪に関するとともに空気圧を反映した車輪
情報を予め定められた第1取得規則に従って第1車輪情
報αとして取得し、その取得された第1車輪情報としき
い値αthとの比較結果に基づいて空気圧を推定する推
定器を設ける。この推定器は、車輪速度に基づいて第1
取得規則とは別の第2取得規則に従って取得された車輪
情報を第2車輪情報fsとし(S32およびS33)、
その第2車輪情報に基づき、第1車輪情報としきい値と
の少なくとも一方により規定される空気圧検出特性であ
って空気圧の検出値に影響を及ぼすものを決定する(S
33ないしS36)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両におけるタイ
ヤの空気圧を検出する技術に関するものであり、特に、
そのタイヤの角速度に基づいてそのタイヤの空気圧を間
接に検出する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両走行中にその車両におけるタイヤの
異常を発見することなどを目的としてタイヤ空気圧を検
出する技術が既に存在する。この技術は、タイヤ空気圧
を検出する方式という観点から直接検出式と間接検出式
とに分類される。
【0003】直接検出式においては、タイヤ空気圧を検
出するとともにその検出値を無線で車体側に送信する圧
力センサ(圧力スイッチを含む)がそのタイヤ自体に装
着されて使用される。その圧力センサによってタイヤ空
気圧が直接に検出される。
【0004】これに対して、間接検出式においては、タ
イヤがホイールに装着されて構成された車輪の角速度を
車輪速度として検出する車輪速度センサが車体側に装着
されて使用される。その車輪速度センサによってタイヤ
空気圧が間接に検出される。
【0005】具体的には、間接検出式のタイヤ空気圧検
出装置は、車輪速度センサにより検出された車輪速度に
基づき、車輪に関するとともにタイヤ空気圧を反映する
車輪情報を取得し、その取得された車輪情報に基づいて
タイヤ空気圧を推定する推定器を含むように構成され
る。
【0006】ところで、近年、アンチロック制御機能、
トラクション制御機能等、車輪の制動力または駆動力で
ある車輪力を制御する車輪力制御機能が搭載された車両
が普及している。この種の車両においては、車輪の回転
状態を検出するために車輪速度センサが使用される。
【0007】したがって、この種の車両においては、タ
イヤ空気圧を上述の間接検出式で検出することが許容さ
れるのであれば、同じ車輪速度センサを、タイヤ空気圧
の検出と上述の車輪力制御機能との双方に使用すること
が可能となる。このような使用は、車両の部品点数の節
減を容易にし、ひいては、車両の重量およびコストの削
減も容易にする。
【0008】タイヤ空気圧を間接検出式で検出する具体
的な方式が既にいくつか提案されている。
【0009】その1つは動荷重半径方式である。この方
式においては、タイヤの空気圧が変化すればそのタイヤ
の動荷重半径が変化し、ひいては、そのタイヤの角速
度、すなわち、車輪速度センサにより検出される車輪速
度も変化するという現象に着目し、その車輪速度に基づ
き、上記動荷重半径を反映した動荷重半径反映値が演算
され、その演算された動荷重半径反映値に基づいてタイ
ヤ空気圧が検出される。
【0010】この動荷重半径方式においては、動荷重半
径反映値が前記車輪情報の一例を構成している。この動
荷重半径方式の一従来例が特開平8−164720号公
報(特許文献1)に記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開平8−164720号公報 別の方式はタイヤ振動方式である。この方式において
は、タイヤの空気圧が変化すればそのタイヤの振動の特
性が変化し、その変化は車輪速度に反映されるという現
象に着目し、その車輪速度に基づき、タイヤの振動特性
を表すタイヤ振動特性値が演算され、その演算されたタ
イヤ振動特性値に基づいてタイヤ空気圧が検出される。
【0012】このタイヤ振動方式においては、タイヤ振
動特性値が前記車輪情報の一例を構成している。
【0013】このタイヤ振動方式には、共振周波数方式
や外乱オブザーバ方式などがある。
【0014】共振周波数方式においては、タイヤの空気
圧が変化すればそのタイヤの振動の共振周波数が変化す
るという現象に着目し、車輪速度に基づいてその共振周
波数が上記タイヤ振動特性値として検出され、その検出
された共振周波数に基づいてタイヤ空気圧が推定され
る。この共振周波数方式の一従来例が特許第28366
52号公報(特許文献2)に記載されている。
【0015】
【特許文献2】特許第2836652号公報 これに対して、外乱オブザーバ方式においては、外乱オ
ブザーバという現代制御理論に従えば、タイヤの空気圧
の変化をそのタイヤに対する外乱として推定可能である
という知見に基づき、車輪速度に基づいて上記外乱が前
記タイヤ振動特性値として演算され、その演算された外
乱に基づいてタイヤ空気圧が推定される。この外乱オブ
ザーバ方式の一従来例が特開2000−238516号
公報(特許文献3)に記載されている。
【0016】
【特許文献3】特開2000−238516号公報 車輪速度センサにより検出される車輪速度と実際のタイ
ヤ空気圧とはあらゆる環境において1対1に対応するわ
けではない。
【0017】そのため、タイヤ空気圧を間接検出式で検
出する場合には、前述のように、車輪速度センサにより
検出された車輪速度に基づき、車輪に関するとともにタ
イヤ空気圧を反映する車輪情報が取得され、その取得さ
れた車輪情報に基づいてタイヤ空気圧が推定されるので
あるが、その取得された車輪情報が、タイヤ空気圧のみ
ならずそれ以外の要因によっても変化してしまう。
【0018】このような事情から、タイヤ空気圧を間接
検出式で検出する場合には、その検出結果が、タイヤ空
気圧以外の要因によってできる限り影響を受けないよう
にすることが、タイヤ空気圧の検出精度を向上させるた
めに重要である。
【0019】特開平7−144519号公報(特許文献
4)には、動荷重半径方式でタイヤ空気圧を検出するタ
イヤ空気圧検出装置が記載されている。この従来装置に
おいては、車輪速度センサにより検出された車輪速度に
基づき、車輪に関するとともにタイヤ空気圧を反映する
車輪情報が予め定められた取得規則に従って取得され、
その取得された車輪情報としきい値(タイヤ空気圧が正
常であると仮定される時期における車輪情報の値、すな
わち、初期値)との比較結果に基づいてタイヤ空気圧が
検出される。
【0020】
【特許文献4】特開平7−144519号公報 さらに、この従来装置においては、タイヤが交換された
り、タイヤ空気圧が調整された後に運転者が初期設定ス
イッチを操作することに応答して、車輪速度に基づいて
上記取得規則と同じ規則に従って車輪情報が参照情報と
して取得されるとともに、その取得された参照情報に基
づいて上記しきい値が決定される。
【0021】したがって、この従来装置においては、そ
れの一連の作動の初期に、車輪速度に基づいて上記取得
規則と同じ規則に従って取得された車輪情報に基づき、
上記しきい値に対して補正(キャリブレーション)が行
われることとなる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、この従来装
置においては、タイヤ空気圧を検出するために使用され
る車輪情報と種類が同じ情報に基づいてしきい値の補正
が行われるのであり、このことは、タイヤ空気圧以外の
要因による影響を受け易いという性質を有する種類の車
輪情報のための補正が、その車輪情報と同じ性質を有す
る情報を用いて行われることを意味する。
【0023】そのため、この従来装置においては、しき
い値の補正を正確に行うのに限度があり、その結果、タ
イヤ空気圧の検出値の信頼性を高めるのにも限度があ
る。
【0024】一方、タイヤ空気圧を間接検出方式で検出
する場合には、前述のように、車輪速度に基づいて車輪
情報が取得され、その取得されるべき車輪情報の種類
は、その取得に採用される具体的な検出方式が何である
かにより、すなわち、動荷重半径方式であるか、共振周
波数方式であるか、外乱オブザーバ方式であるかなどに
よって異なり、その結果、その種類は複数存在する。
【0025】それら複数種類の車輪情報は、前述のよう
に、動荷重半径反映値やタイヤ振動特性値を含み、その
タイヤ振動特性値は、前述のように、共振周波数や外乱
を含んでいる。
【0026】それら複数種類の車輪情報を相互に比較す
れば、いずれかの種類の車輪情報についてはそれを用い
て行うことが不得意である処理が別の種類の車輪情報に
ついてはそれを用いて行うことが得意である処理である
場合がある。したがって、ある種類の車輪情報に基づい
てタイヤ空気圧を検出する場合に、そのある種類の車輪
情報のための補正を別の種類の車輪情報を参照して行え
ば、その補正の精度を容易に向上させ得る。以下、この
ことを一具体例を用いて説明する。
【0027】例えば、上述の動荷重半径反映値を利用し
てタイヤ空気圧を検出する場合には、タイヤ空気圧の変
化に対する動荷重半径反映値の感度が、タイヤ空気圧以
外の要因に依存しないのが理想的であるが、現実には、
例えば、タイヤの硬度に依存する場合や、それ以外の要
因に依存する場合がある。タイヤの硬度は、例えば、車
両においてタイヤが交換されることに伴って変化する。
【0028】具体的には、例えば、車両に装着されるタ
イヤが、その車両のメーカが指定するタイヤからそれと
は扁平率が異なるタイヤに交換されたり、スタッドレス
タイヤに交換されることに伴ってタイヤの硬度が変化す
る。タイヤの硬度は、そのタイヤのプロファイルやその
素材であるゴムの物性、タイヤの構造等に依存する。特
に、タイヤ空気圧に影響を及ぼす要因としてタイヤの硬
度を考える場合には、タイヤのサイドウォール部やショ
ルダ部の硬度が問題となる。
【0029】タイヤの硬度は、さらに、タイヤの種類が
同じであっても、タイヤの製造ばらつき等により、設計
目標の硬度からずれる可能性もある。
【0030】そのため、動荷重半径反映値を利用してタ
イヤ空気圧を検出する場合には、その検出にタイヤの硬
度を考慮することが、タイヤ空気圧の検出精度を高める
ために重要である。
【0031】一方、上述のタイヤ振動特性値には、タイ
ヤの実際の硬度を上述の動荷重半径反映値より高い精度
で反映することが容易であるという傾向がある。
【0032】したがって、動荷重半径反映値を利用して
タイヤ空気圧を検出する場合には、その動荷重半径反映
値のための補正をタイヤ振動特性値を参照して行えば、
その補正の精度を容易に向上させ得る。
【0033】以上説明した一具体例から明らかなよう
に、ある種類の車輪情報を利用してタイヤ空気圧を検出
する場合に、そのある種類の車輪情報のための補正を別
の種類の車輪情報を参照して行えば、その補正の精度を
容易に向上させ得るのである。
【0034】以上説明した知見に基づき、本発明は、タ
イヤ空気圧以外の要因による影響がタイヤ空気圧の検出
値にできる限り及ばないようにすることにより、タイヤ
空気圧の検出精度を向上させることを課題としてなされ
たものである。
【0035】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分
し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引
用する形式で記載する。これは、本明細書に記載の技術
的特徴のいくつかおよびそれらの組合せのいくつかの理
解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特
徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈さ
れるべきではない。 (1) ホイールに装着されたタイヤの内部に空気が圧
力下に封入されて構成された車輪を有する車両に設けら
れ、前記タイヤの空気圧を推定によって検出する装置で
あって、前記車輪の角速度を車輪速度として検出する車
輪速度センサと、その車輪速度センサにより検出された
車輪速度に基づき、前記車輪に関するとともに前記空気
圧を反映した車輪情報を予め定められた第1取得規則に
従って第1車輪情報として取得し、その取得された第1
車輪情報としきい値との比較結果に基づいて前記空気圧
を推定する推定器であって、前記検出された車輪速度に
基づいて前記第1取得規則とは別の第2取得規則に従っ
て取得された前記車輪情報を第2車輪情報とし、その第
2車輪情報に基づき、前記第1車輪情報と前記しきい値
との少なくとも一方により規定される空気圧検出特性で
あって前記空気圧の検出値に影響を及ぼすものを決定す
るものとを含むタイヤ空気圧検出装置。
【0036】この装置においては、タイヤ空気圧を検出
するために利用される車輪情報(第1車輪情報)と、空
気圧検出特性を決定するために利用される車輪情報(第
2車輪情報)とが、車輪速度に基づいて取得される点で
は互いに共通するが、車輪情報を取得するために利用さ
れる取得規則の点では相違するものとされている。
【0037】したがって、この装置によれば、タイヤ空
気圧を検出するために利用される第1車輪情報の種類に
拘束されることなく、タイヤ空気圧以外の要因による影
響がタイヤ空気圧の検出値にできる限り及ばないように
空気圧検出特性を決定するのに適正な種類の車輪情報を
第2車輪情報に選ぶことが可能となる。
【0038】その結果、この装置によれば、空気圧検出
特性の適正化により、タイヤ空気圧の検出精度を向上さ
せることが容易となる。
【0039】この装置の一実施態様によれば、タイヤ空
気圧以外の要因の一例であるタイヤ硬度の変化による影
響がタイヤ空気圧の検出値にできる限り及ばないように
空気圧検出特性を決定するのに適正な種類の車輪情報が
第2車輪情報に選ばれる。
【0040】本項において「第1車輪情報」は、例え
ば、タイヤ空気圧の絶対値に関連する車輪情報とした
り、タイヤ空気圧の相対値に関連する車輪情報とするこ
とが可能である。タイヤ空気圧の相対値の一例は、タイ
ヤ空気圧の、基準値からの変化量であり、その基準値の
一例は、タイヤ空気圧の検出期間の初期におけるタイヤ
空気圧の絶対値である。
【0041】また、本項において「第2車輪情報」は、
第1車輪情報とは異なる取得規則に従って取得される車
輪情報であれば足り、また、空気圧検出特性を決定する
ために用いられる第2車輪情報の種類は、1つとした
り、複数とすることが可能である。
【0042】また、本項に係る装置を実施するに際し、
第1車輪情報のための空気圧検出特性を決定するために
用いられる第2車輪情報は、その第1車輪情報を取得す
るために用いられた車輪速度と同じ時期に取得された車
輪速度に基づいて取得されるものとしたり、その第1車
輪情報を取得するために用いられた車輪速度が検出され
た時期とは別の時期に検出された車輪速度に基づいて取
得されたものとすることが可能である。
【0043】また、本項における「空気圧検出特性」
は、例えば、空気圧の検出値を意味するように定義した
り、その検出値と比較されるべきしきい値を意味するよ
うに定義したり、第1車輪情報に基づいて空気圧を取得
するために準拠される第1取得規則を意味するように定
義することが可能である。
【0044】本項および下記の各項において「空気圧の
検出」は、空気圧の絶対値を検出することを意味するよ
うに解釈したり、空気圧のしきい値に対する相対値(す
なわち、変化量)を検出することを意味するように解釈
したり、空気圧がしきい値に対して高いか低いかという
状態を検出すること、すなわち、空気圧の高さを判定す
ることを意味するように解釈することが可能である。こ
のような解釈は「空気圧の推定」という用語についても
同様である。 (2) 前記推定器が、予め定められた条件の成立に伴
い、前記検出された車輪速度に基づいて前記第2取得規
則に従って前記第2車輪情報を取得し、その取得された
第2車輪情報に基づいて前記空気圧検出特性を決定する
ものである(1)項に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【0045】本項において「予め定められた条件」は、
例えば、上述のタイヤ空気圧以外の要因の一例としてタ
イヤ硬度が選ばれた場合には、車両においてタイヤが交
換されたことが自動的に検出されることに伴って成立す
る条件としたり、車両においてタイヤが交換されたこと
をその車両の使用者が当該タイヤ空気圧検出装置に伝達
することに伴って成立する条件とすることが可能であ
る。
【0046】ここに、使用者から車両への意思伝達は、
例えば、その使用者が特定の動作を行い、その動作を当
該タイヤ空気圧検出装置が検出することにより行うこと
が可能である。
【0047】また、「予め定められた条件」は、例え
ば、第2取得規則に従って第2車輪情報を取得すること
が適切である場合に成立する条件とすることができる。
例えば、車両の走行速度である車速が設定車速以下であ
る場合に第2車輪情報を取得することが適切である場合
には、車速が設定車速以下である場合に成立する条件が
「予め定められた条件」の一例として採用される。 (3) 前記推定器が、前記第2車輪情報に基づき、前
記第1車輪情報と前記第1取得規則と前記しきい値との
少なくとも1つを補正することにより、前記空気圧検出
特性を決定する検出特性決定手段を含む(1)または
(2)項に記載のタイヤ空気圧検出装置。 (4) 前記第2車輪情報が、前記タイヤの実際の硬度
を反映するものであり、前記推定器が、その第2車輪情
報に基づいて前記空気圧検出特性を前記タイヤの実際の
硬度に適合するように決定する検出特性決定手段を含む
(1)ないし(3)項のいずれかに記載のタイヤ空気圧
検出装置。
【0048】この装置によれば、空気圧検出特性がタイ
ヤの実際の硬度に適合するように決定される。
【0049】したがって、この装置によれば、タイヤの
実際の硬度の変化にもかかわらず、タイヤ空気圧を高精
度で検出することが容易となる。 (5) 前記推定器が、前記第1車輪情報に基づいて前
記空気圧検出特性を決定するのに必要な時間より短時間
で前記第2車輪情報に基づいて前記空気圧検出特性を決
定する検出特性決定手段を含む(1)ないし(4)項の
いずれかに記載のタイヤ空気圧検出装置。
【0050】この装置によれば、第1車輪情報に基づい
て空気圧検出特性を決定する場合より短時間で、第2車
輪情報に基づいて空気圧検出特性が決定される。
【0051】その結果、この装置によれば、特定の基準
時(例えば、前記予め定められた条件の成立時)からで
きる限り早い時期に、空気圧検出特性の決定が終了し
て、タイヤ空気圧を高精度で検出することが可能な状態
となる。 (6) 前記推定器が、前記第2車輪情報に基づいて前
記空気圧検出特性が決定されないうちは、前記取得され
た第1車輪情報に基づいて前記空気圧を推定することを
禁止する推定禁止手段を含む(1)ないし(5)項のい
ずれかに記載のタイヤ空気圧検出装置。
【0052】この装置によれば、第2車輪情報に基づい
て空気圧検出特性が決定されないうちは、第1車輪情報
に基づくタイヤ空気圧の推定が禁止される。
【0053】したがって、この装置によれば、第2車輪
情報に基づく空気圧検出特性の決定、すなわち、空気圧
検出特性の初期化が終了しないうちに、初期化前の空気
圧検出特性のもとにタイヤ空気圧が推定されてしまうこ
とを容易に回避し得る。
【0054】よって、この装置によれば、空気圧検出特
性の初期化が終了していないことが原因でタイヤ空気圧
の検出精度が低下してしまうことを容易に回避し得る。 (7) 前記推定器が、前記第2車輪情報が取得されな
いうちに、前記取得された第1車輪情報に基づいて前記
空気圧検出特性の暫定値を決定し、前記第2車輪情報が
取得された後に、その取得された第2車輪情報に基づ
き、前記決定された暫定値を補正し、それにより、前記
空気圧検出特性を最終的に決定する検出特性決定手段を
含む(1)ないし(6)項のいずれかに記載のタイヤ空
気圧検出装置。
【0055】この装置によれば、第2車輪情報の取得前
に取得された第1車輪情報を有効に利用することによ
り、空気圧検出特性を決定することが可能となる。 (8) 前記推定器が、前記第2車輪情報が取得された
後に、その取得された第2車輪情報に基づき、かつ、そ
の第2車輪情報が取得されないうちに取得された前記第
1車輪情報は用いずに、前記空気圧検出特性を決定する
検出特性決定手段を含む(1)ないし(6)項のいずれ
かに記載のタイヤ空気圧検出装置。
【0056】この装置によれば、第2車輪情報の取得前
に取得された第1車輪情報を利用することが原因で不適
当な空気圧検出特性が決定されてしまうことを容易に回
避し得る。 (9) 前記推定器が、前記第2車輪情報が取得された
後に、その取得された第2車輪情報と、その第2車輪情
報が取得されないうちに取得された第1車輪情報とに基
づいて前記空気圧検出特性を決定する検出特性決定手段
を含む(1)ないし(6)項のいずれかに記載のタイヤ
空気圧検出装置。 (10) 前記推定器が、前記取得された第2車輪情報
と前記タイヤの温度とに基づいて前記空気圧検出特性を
決定する検出特性決定手段を含む(1)ないし(9)項
のいずれかに記載のタイヤ空気圧検出装置。
【0057】タイヤの硬度は、前述のように、そのタイ
ヤのプロファイルやその素材であるゴムの物性、タイヤ
の構造等に依存し、さらに、タイヤの温度にも依存す
る。したがって、タイヤの実際の硬度ができる限り忠実
に空気圧検出特性に反映されるようにするためには、タ
イヤの温度を考慮することが重要である。
【0058】このような知見に基づき、本項に係る装置
においては、第2車輪情報とタイヤの温度とに基づいて
空気圧検出特性が決定される。
【0059】したがって、この装置によれば、第2車輪
情報のみならずタイヤの温度をも考慮して空気圧検出特
性が決定されるから、その空気圧検出特性をタイヤの実
状に精度よく適合することが容易となり、ひいては、タ
イヤ空気圧の検出精度を向上させることが容易となる。 (11) 前記決定手段が、前記車両の走行速度と、外
気温度と、前記車両の走行履歴とに基づいて前記タイヤ
温度を推定するタイヤ温度推定手段を含む(10)項の
記載のタイヤ空気圧検出装置。
【0060】本項において「走行履歴」は、例えば、車
両の一回の走行の開始時期からの走行距離を意味するよ
うに定義したり、その走行開始時期からの経過時間を意
味するように定義することが可能である。さらに、車両
が走行する路面の種類の時刻歴を意味するように定義す
ることも可能である。 (12) 前記第1車輪情報が、前記検出された車輪速
度に基づいて複数種類の取得規則に従って取得される複
数種類の前記車輪情報であって、前記タイヤの動荷重半
径を反映した動荷重半径反映値と、前記タイヤの振動の
特性を反映したタイヤ振動特性値と、前記車輪速度の時
系列データである車輪速度信号の、特定の周波数領域に
おける振動レベルとを含むものの少なくとも1つであ
り、前記第2車輪情報が、前記複数種類の車輪情報から
前記第1車輪情報に該当するものを除いたものの少なく
とも1つである(1)ないし(11)項のいずれかに記
載のタイヤ空気圧検出装置。 (13) 前記タイヤ振動特性値が、前記検出された車
輪速度に基づいて取得される、前記タイヤの振動の共振
周波数と、前記検出された車輪速度に基づいて外乱オブ
ザーバにより推定される、前記タイヤに対する外乱との
少なくとも一方を含む(12)項に記載のタイヤ空気圧
検出装置。 (14) 前記第1車輪情報が、前記動荷重半径反映値
であり、前記第2車輪情報が、前記タイヤ振動特性値ま
たは前記振動レベルである(12)または(13)項に
記載のタイヤ空気圧検出装置。 (15) 前記第1車輪情報が、前記動荷重半径反映値
であり、前記第2車輪情報が、前記タイヤ振動特性値で
ある(12)または(13)項に記載のタイヤ空気圧検
出装置。 (16) 前記第2車輪情報が、(13)項に記載の共
振周波数である(15)項に記載のタイヤ空気圧検出装
置。 (17) 前記推定器が、横軸と縦軸との一方には前記
空気圧、他方には前記動荷重半径反映値がそれぞれ取ら
れた座標系上において空気圧が正常値から変化するにつ
れて動荷重半径反映値が初期値から変化する様子を表す
グラフを想定することにより、前記取得された動荷重半
径反映値に基づいて前記空気圧を推定するものであり、
前記第1取得規則が、前記動荷重半径反映値を、それの
前記初期値と、その初期値からの変化量とを互いに独立
に取得した後にそれらを合成することによって取得する
というものであり、前記推定器が、前記第2車輪情報に
基づき、前記初期値と前記変化量との少なくとも一方を
補正することにより、前記空気圧検出特性を決定する検
出特性決定手段を含む(14)ないし(16)項のいず
れかに記載のタイヤ空気圧検出装置。 (18) 前記第1車輪情報が、前記検出された車輪速
度に基づき、前記動荷重半径を反映するように取得され
る動荷重半径反映値を含み、前記第2車輪情報が、前記
検出された車輪速度に基づき、前記タイヤの振動の特性
を反映するように取得されるタイヤ振動特性値を含む
(1)ないし(17)項のいずれかに記載のタイヤ空気
圧検出装置。 (19) 前記タイヤ振動特性値が、前記タイヤの振動
の共振周波数を含み、前記推定器が、その共振周波数に
基づいて前記空気圧検出特性を前記タイヤの実際の硬度
に適合するように決定する検出特性決定手段を含む(1
8)項に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【0061】前述のように、タイヤの振動の共振周波数
には、タイヤの実際の硬度を動荷重半径反映値より高い
精度で反映することが容易であるという傾向がある。
【0062】このような知見に基づき、本項に係る装置
においては、第2車輪情報であるタイヤ振動特性値がタ
イヤの振動の共振周波数を含むものとされ、その共振周
波数に基づいて空気圧検出特性がタイヤの実際の硬度に
適合するように決定される。
【0063】したがって、この装置によれば、タイヤの
実際の硬度を高い精度で考慮しつつ空気圧検出特性の決
定を行うことが可能となり、よって、できる限り早い時
期から、タイヤ空気圧を高精度で検出することが可能と
なる。 (20) 前記推定器が、横軸と縦軸との一方には前記
空気圧、他方には前記動荷重半径反映値がそれぞれ取ら
れた座標系上において空気圧が正常値から変化するにつ
れて動荷重半径反映値が初期値から変化する様子を表す
グラフを想定することにより、前記取得された動荷重半
径反映値に基づいて前記空気圧を推定するものであり、
前記第1取得規則が、前記動荷重半径反映値を、それの
前記初期値と、その初期値からの変化量とを互いに独立
に取得した後にそれらを合成することによって取得する
というものであり、前記推定器が、前記タイヤ振動特性
値に基づき、前記初期値と前記変化量との少なくとも一
方を補正することにより、前記空気圧検出特性を決定す
る検出特性決定手段を含む(18)または(19)項に
記載のタイヤ空気圧検出装置。 (21) 前記車両が、前記車輪を複数有するものであ
り、前記動荷重半径反映値が、各車輪について個別に設
けられ、各タイヤの動荷重半径を反映するものである
(13)ないし(20)項のいずれかに記載のタイヤ空
気圧検出装置。 (22) 前記車両が、前記車輪を複数有するものであ
り、前記動荷重半径反映値が、それら複数の車輪につい
て代表的に1つ設けられ、それら複数の車輪についての
複数のタイヤの動荷重半径相互の関係を反映するもので
ある(13)ないし(20)項のいずれかに記載のタイ
ヤ空気圧検出装置。 (23) 前記推定器が、前記第2車輪情報に基づき、
前記空気圧に対する前記第1車輪情報の感度を推定する
感度推定手段と、その推定された感度に基づいて前記空
気圧検出特性を決定する検出特性決定手段とを含む
(1)ないし(22)項のいずれかに記載のタイヤ空気
圧検出装置。
【0064】この装置においては、第2車輪情報に基づ
き、空気圧に対する第1車輪情報の感度が推定され、そ
の推定された感度に基づき、第1車輪情報に基づいて空
気圧を検出するための空気圧検出特性が決定される。
【0065】したがって、この装置によれば、空気圧に
対する第1車輪情報の感度を考慮することにより、第1
車輪情報に基づいて空気圧を推定することが可能とな
る。
【0066】本項において「感度」は、それの程度を数
値によって表現したり、段階またはレベル(例えば、高
レベルと、中レベルと、低レベル)によって表現するこ
とが可能である。「感度」の程度を数値によって表現す
る場合、その数値を「感度係数」と称することが可能で
ある。 (24) 前記感度推定手段が、前記第2車輪情報に基
づいて推定された空気圧を真の空気圧として前記第1車
輪情報と共に用いることにより、前記感度を推定するも
のである(23)項に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【0067】この装置によれば、空気圧に対する第1車
輪情報の感度を、推定された真の空気圧と第1車輪情報
とを用いることにより、精度よく推定することが容易と
なる。 (25) 前記第1車輪情報が、前記タイヤの動荷重半
径に関連する動荷重半径関連値を含み、前記第2車輪情
報が、前記タイヤの振動の特性を反映するタイヤ振動特
性値を含む(24)項に記載のタイヤ空気圧検出装置。 (26) 前記タイヤ振動特性値が、前記タイヤの振動
の共振周波数を含む(25)項に記載のタイヤ空気圧検
出装置。 (27) 前記車両が、前記車輪を複数有するものであ
り、前記車輪速度センサが、それら複数の車輪に関連し
てそれぞれ設けられており、前記第2車輪情報が、前記
タイヤの振動の特性を反映するタイヤ振動特性値を含
み、前記感度推定手段が、(a)それら複数の車輪速度
センサにより前記複数の車輪についてそれぞれ検出され
た複数の車輪速度を合成することにより、それら複数の
車輪を代表する1つの値であって、それら複数の車輪に
ついての複数のタイヤ間における動荷重半径の関係を表
すタイヤ間動荷重半径関係値を取得する第1手段と、
(b)各車輪速度センサにより各車輪ごとに検出された
車輪速度に基づいて取得された前記タイヤ振動特性値に
基づいて各車輪ごとに空気圧を推定し、前記複数の車輪
についてそれぞれ推定された複数の空気圧を合成するこ
とにより、それら複数の車輪を代表する1つの値であっ
て、それら複数の車輪についての複数のタイヤ間におけ
る空気圧の関係を表すタイヤ間空気圧関係値を取得する
第2手段と、(c)それら取得されたタイヤ間動荷重半
径関係値とタイヤ間空気圧関係値との関係に基づいて前
記感度を推定する第3手段とを含む(25)または(2
6)項に記載のタイヤ空気圧検出装置。
【0068】この装置においては、第1車輪情報の一例
であるタイヤの動荷重半径に関連する物理量としてタイ
ヤ間動荷重半径関係値が用いられるとともに、そのタイ
ヤ間動荷重半径関係値が、複数のタイヤを代表する1つ
の値として定義される。
【0069】さらに、この装置においては、その定義に
合致するように、空気圧が、複数のタイヤを代表する1
つ値として定義されたタイヤ間空気圧関係値として表現
されるとともに、そのタイヤ間空気圧関係値が第2車輪
情報の一例であるタイヤ振動特性値に基づいて取得され
る。
【0070】その結果、この装置によれば、そのような
タイヤ間動荷重半径関係値の定義に即して第1車輪情報
と空気圧との関係を推定することが容易となる。
【0071】本項における「タイヤ間動荷重半径関係
値」は、例えば、前述の動荷重半径反映値に対して性質
も計算式も共通するものとして定義したり、性質は共通
するが計算式は相違するものとして定義することが可能
である。
【0072】また、本項において「タイヤ間動荷重半径
関係値」は、例えば、複数のタイヤ間における動荷重半
径の差を、動荷重半径という次元を有する値として計算
したり、動荷重半径という次元を有しない値、すなわ
ち、動荷重半径に対する比率として計算することができ
る。後者の場合、「タイヤ間動荷重半径関係値」は、例
えば、複数のタイヤ間における動荷重半径の差を、それ
ら複数のタイヤ間における動荷重半径の平均値で割り算
した値として計算することが可能である。
【0073】また、本項において「タイヤ間空気圧関係
値」も、上述の「タイヤ間動荷重半径関係値」と同様に
して種々の態様で計算することが可能である。
【0074】また、本項に係る装置を実施するに際し、
「タイヤ間動荷重半径関係値」は動荷重半径という次元
を有しない値として、「タイヤ間空気圧関係値」は空気
圧という次元を有しない値としてそれぞれ計算する場合
には、それら「タイヤ間動荷重半径関係値」と「タイヤ
間空気圧関係値」とを互いに対等に比較することの妥当
性が、「タイヤ間動荷重半径関係値」は動荷重半径とい
う次元を有する値として、「タイヤ間空気圧関係値」は
空気圧という次元を有する値としてそれぞれ計算する場
合より向上する。 (28) 前記第3手段が、前記関係を、前記取得され
たタイヤ間動荷重半径関係値とタイヤ間空気圧関係値と
の間における比として取得し、その取得された比に基づ
いて前記感度を推定するものである(27)項に記載の
タイヤ空気圧検出装置。
【0075】この装置においては、タイヤ間動荷重半径
関係値が第1車輪情報に対応し、タイヤ間空気圧関係値
が空気圧に対応する状況において、空気圧に対する第1
車輪情報の感度が、それら空気圧と第1車輪情報との関
係を表現するグラフの勾配に相当するという事実に着目
される。
【0076】さらに、この装置においては、その事実を
前提に、タイヤ間動荷重半径関係値とタイヤ間空気圧関
係値との間における比が取得され、その取得された比に
基づいて感度が推定される。 (29) 前記検出特性決定手段が、前記推定された感
度に基づき、前記第1車輪情報と前記第1取得規則と前
記しきい値との少なくとも1つを補正することにより、
前記空気圧検出特性を決定するものである(23)ない
し(28)項のいずれかに記載のタイヤ空気圧検出装
置。
【0077】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0078】図1には、本発明の第1実施形態に従うタ
イヤ異常判定装置のハードウエア構成がブロック図で概
念的に示されている。このタイヤ異常判定装置は車両に
搭載されている。
【0079】その車両は、それの前後左右にそれぞれ車
輪を備えている。図1において「FL」は左前輪、「F
R」は右前輪、「RL」は左後輪、「RR」は右後輪を
それぞれ意味している。車輪の総数は4個である。
【0080】各車輪は、よく知られているように、金属
製のホイールに装着されたゴム製のタイヤの内部に空気
が圧力下に封入されて構成されている。
【0081】図1に示すように、このタイヤ異常判定装
置は、各車輪ごとに車輪速度センサ10を備えている。
各車輪速度センサ10は、よく知られているように、各
車輪の角速度を車輪速度として検出するセンサである。
具体的には、車輪速度センサ10は、電磁ピックアップ
であり、車輪と共に回転するロータの外周に形成された
多数の歯の通過に応じて周期的に変化する電圧信号を出
力する。
【0082】それら4個の車輪速度センサ10は、図1
に示すように、判定器20に電気的に接続されている。
この判定器20は、コンピュータ22を主体とし、それ
ら4個の車輪速度センサ10の出力信号に基づき、複数
の車輪の中に、タイヤ空気圧が異常に低い車輪が存在し
ているか否かを判定する装置である。
【0083】なお付言すれば、以下の説明においては、
タイヤの異常という用語を、タイヤ空気圧が異常に低い
ことを意味する用語として使用する。
【0084】図2には、コンピュータ22のハードウエ
ア構成がブロック図で概念的に示されている。コンピュ
ータ22は、よく知られているように、CPU30(プ
ロセッサの一例)とROM32(メモリの一例)とRA
M34(メモリの一例)とがバス36により互いに接続
されて構成されている。ROM32には、図示しない
が、書換え可能な不揮発性メモリの一例として、EEP
ROMまたはフラッシュROMが設けられている。
【0085】ROM32には、図2に示すように、タイ
ヤ異常判定プログラムおよび車速推定プログラムを始め
とし、各種プログラムが予め記憶されている。
【0086】車速推定プログラムは、よく知られている
ように、複数の車輪速度センサ10によりそれぞれ検出
された複数の車輪速度に基づいて車速を推定するために
実行されるプログラムである。
【0087】タイヤ異常判定プログラムは、車両におけ
る複数のタイヤの中に、異常であるタイヤが存在してい
るか否かを判定するために実行されるプログラムであ
る。このタイヤ異常判定プログラムの詳細は後に説明す
る。
【0088】図1に示すように、判定器20には、さら
に、警報器40も接続されている。警報器40は、複数
の車輪の中に、タイヤ空気圧が異常に低い車輪が存在し
ていることを車両の運転者に視覚的にまたは聴覚的に告
知するために作動させられる。
【0089】この警報器40は、情報を視覚的に告知す
る形式として構成する場合、専用のランプとして構成し
たり、同じ表示位置において複数の異なる情報を選択的
に表示するマルチディスプレイとして構成することが可
能である。
【0090】図1に示すように、判定器20には、さら
に、検出特性補正スイッチ50も接続されている。この
検出特性補正スイッチ50は、車両の使用者(運転者を
含む)により操作されると、判定器20における空気圧
検出特性の補正すなわち初期化を開始する補正開始条件
が成立したことを示す補正開始信号を判定器20に出力
する。
【0091】この検出特性補正スイッチ50は、例え
ば、車両においてタイヤ交換が行われた場合にその車両
の使用者によって操作されるものとされる。その操作時
には、タイヤ空気圧が正常であると仮定することが妥当
である。
【0092】ここで、前記タイヤ異常判定プログラムの
内容を詳細に説明する。
【0093】このタイヤ異常判定プログラムは、本実施
形態においては、タイヤ空気圧判定プログラムとしきい
値補正プログラムとを含むように構成されている。
【0094】図3には、タイヤ空気圧判定プログラムの
内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0095】まず、概略的に説明すれば、このタイヤ空
気圧判定プログラムにおいては、車輪速度センサ10に
より検出された車輪速度に基づき、タイヤの動荷重半径
を反映する動荷重半径反映値αが算出され、その算出さ
れた動荷重半径反映値αを用いることにより、複数の車
輪の中に、タイヤ空気圧が異常に低い車輪が存在してい
るか否かが判定される。
【0096】本実施形態においては、その動荷重半径反
映値αが、複数の車輪の全体に対して1つ、各車輪ごと
に各車輪速度センサ10によりそれぞれ検出された複数
の車輪速度の合成値として算出される。
【0097】さらに、本実施形態においては、動荷重半
径反映値αが、基本的には、車輪速度の左右前輪間の比
である左右前輪間比と、車輪速度の左右後輪間の比であ
る左右後輪間比との差を用いて演算される。
【0098】動荷重半径反映値αは、例えば、次式によ
り演算される。
【0099】α=f(VFL,VFR,VRL
RR)=(VFR/VFL)−(VRR/VRL) ただし、 f( ):関数 VFL:左前輪の車輪速度 VFR:右前輪の車輪速度 VRL:左後輪の車輪速度 VRR:右後輪の車輪速度 さらに、このタイヤ空気圧判定プログラムにおいては、
以上のようにして演算された動荷重半径反映値αのそれ
の初期値αiniからの変化量の絶対値がしきい値αt
hより大きいか否かが判定され、大きい場合には、タイ
ヤ空気圧が異常であると判定され、一方、大きくはない
場合には、タイヤ空気圧が正常であると判定される。
【0100】図4にグラフで例示するように、タイヤ空
気圧Pが正常圧Pから低下するにつれて動荷重半径反
映値αが変化し、その結果、上記絶対値がしきい値αt
hを超えると、タイヤ空気圧Pが異常である旨の警報を
車両の運転者に発すべく、警報器40が作動させられ
る。なお、同図の例においては、説明を簡単にするため
に、上記絶対値がしきい値αthを超えることが、動荷
重半径反映値αがしきい値αthを超えることとして表
現されている。
【0101】このタイヤ空気圧判定プログラムにおいて
は、しきい値αthが、前記しきい値補正プログラムの
実行によって補正すなわち初期化が行われた後に使用さ
れる。そのため、このしきい値αthの補正が開始され
た後、その補正が終了しないうちは、そのしきい値αt
hを使用したタイヤ空気圧判定が禁止され、しきい値α
thの補正が終了した後に、そのしきい値αthを使用
したタイヤ空気圧判定が許可される。
【0102】次に、図3を参照しつつ、タイヤ空気圧判
定プログラムの内容を具体的に説明する。
【0103】このタイヤ空気圧判定プログラムは、コン
ピュータ22の電源投入後、繰返し実行される。
【0104】各回の実行時には、まず、ステップS1
(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても
同じとする)において、検出特性補正スイッチ50から
の信号に基づき、しきい値αthについての補正開始条
件が成立したか否かが判定される。
【0105】補正開始条件が成立した場合には、S1の
判定がYESとなり、S2において、しきい値補正プロ
グラムの実行によるしきい値αthの補正が終了したか
否かが判定される。今回は終了していないと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、直ちにこのタイヤ空気圧判定プ
ログラムの一回の実行が終了する。
【0106】これに対し、今回は、しきい値補正プログ
ラムの実行によるしきい値αthの補正が終了した後で
あると仮定すれば、S2の判定がYESとなり、S3に
移行する。
【0107】以上、補正開始条件が成立した場合を説明
したが、成立していない場合には、S1の判定がNOと
なり、S2がスキップされてS3に移行する。
【0108】いずれの場合にも、S3においては、前記
書換え可能不揮発性ROMからしきい値αthが読み出
される。このしきい値αthは、前記しきい値補正プロ
グラムの実行によりその書換え可能不揮発性ROMに予
め記憶される。その後、S4において、各車輪ごとに、
車輪速度センサ10からの信号に基づいて車輪速度V
FL,VFR,VRL,VRRが演算される。
【0109】続いて、S5において、それら演算された
車輪速度VFL,VFR,VRL,VRRが前記関数f
に代入されることにより、動荷重半径反映値αが演算さ
れる。その後、S6において、その演算された動荷重半
径反映値αの初期値αiniからの変化量の絶対値が、
前記読み出されたしきい値αthより大きいか否かが判
定される。
【0110】ここに、初期値αiniは、タイヤ空気圧
の各回の判定期間の初期における動荷重半径反映値αを
意味し、ROM32に固定値として記憶される場合や、
前記書換え可能不揮発性ROMに可変値(タイヤの実際
の硬度等に適合するように、タイヤ空気圧の各回の判定
が開始されるごとに初期化される値)として記憶される
場合がある。
【0111】今回は、動荷重半径反映値αの初期値αi
niからの変化量の絶対値がしきい値αthより大きい
と仮定すれば、S6の判定がYESとなり、S7におい
て、今回はタイヤ空気圧が異常であると判定され、S8
において、そのことを運転者に告知するために警報器4
0がONにされる。以上で、このタイヤ空気圧判定プロ
グラムの一回の実行が終了する。
【0112】これに対して、今回は、動荷重半径反映値
αの初期値αiniからの変化量の絶対値がしきい値α
thより大きくはないと仮定すれば、S6の判定がNO
となり、S9において、今回はタイヤ空気圧が正常であ
ると判定され、S10において、そのことを運転者に告
知するために警報器40がOFFにされる。以上で、こ
のタイヤ空気圧判定プログラムの一回の実行が終了す
る。
【0113】図5には、前記しきい値補正プログラムの
内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0114】このしきい値補正プログラムも、上記タイ
ヤ空気圧判定プログラムと同様にして、コンピュータ2
2の電源投入後、繰返し実行される。
【0115】各回の実行時には、まず、S31におい
て、図3のS1におけると同様にして、補正開始条件が
成立したか否かが判定される。成立しない場合には、判
定がNOとなり、直ちにこのしきい値補正プログラムの
一回の実行が終了する。これに対して、補正開始条件が
成立した場合には、判定がYESとなり、S32に移行
する。
【0116】このS32においては、4つの車輪のうち
の複数または1つにつき、対応する車輪速度センサ10
からの信号に基づいて車輪速度が演算される。
【0117】続いて、S33において、タイヤの振動の
共振周波数fsが、4つの車輪を代表する1つの値とし
て演算される。共振周波数fsは、タイヤの実際の硬度
を反映する物理量として演算される。共振周波数fs
は、複数の車輪について車輪速度に基づいて演算された
複数の共振周波数の代表値(例えば、単純平均値、重み
付き平均値)として演算したり、1つの車輪について車
輪速度に基づいて演算された1つの共振周波数として演
算することが可能である。
【0118】その後、S34において、その演算された
共振周波数fsの、基準共振周波数fsからの偏差が
偏差共振周波数Δfsとして演算される。ここに、基準
共振周波数fsは、4つの車輪のタイヤがすべて、車
両に対して予め設定された標準タイヤであり、かつ、す
べての車輪についてタイヤ空気圧が正常である場合に、
それら4つの車輪について予め取得されたものであり、
ROM32に予め記憶されている。
【0119】続いて、S35において、その演算された
偏差共振周波数Δfsに基づいてしきい値補正量Δαt
hが演算される。この演算は例えば、予め定められた関
数gに偏差共振周波数Δfsを代入することにより行わ
れる。図6には、関数gの特性、すなわち、偏差共振周
波数Δfsとしきい値補正量Δαthとの関係の一例が
グラフで表されている。
【0120】その後、S36において、しきい値αth
が補正される。これは、基準共振周波数fsに対応す
る基準しきい値αthを、上記演算されたしきい値補
正量Δαthにより補正することにより行われる。その
補正は、例えば、基準しきい値αthにしきい値補正
量Δαthを加算することにより行われる。
【0121】続いて、S37において、その補正された
しきい値αth、すなわち、車両に現在装着されている
タイヤに適合したしきい値αthが前記書換え可能不揮
発性ROMに記憶される。
【0122】以上で、このしきい値補正プログラムの一
回の実行が終了する。
【0123】図7には、本実施形態による効果の一例が
グラフで示されている。このグラフは、横軸にタイヤ空
気圧P、縦軸に動荷重半径反映値αがそれぞれ取られた
座標系上に表されている。二点鎖線のグラフは、タイヤ
の硬度が、車両のメーカが指定したタイヤの硬度に相当
する場合(以下、「指定タイヤ相当である場合」とい
う)を示し、一方、実線のグラフは、タイヤの硬度が指
定タイヤ相当より高い場合(例えば、タイヤのゴム硬度
が高い場合や、タイヤの扁平率が減少した場合)を示し
ている。
【0124】この例においては、タイヤの硬度が指定タ
イヤ相当ではないから、基準しきい値αthのもとで
タイヤ空気圧判定が行われると、本来であればタイヤ空
気圧に関して警報が発せられるべきではないときに誤っ
て発せられてしまう。しかし、本実施形態によれば、し
きい値αthが、基準しきい値αthが補正された値
とされるため、タイヤの硬度が指定タイヤ相当でないに
もかかわらず、誤警報が発生されずに済む。
【0125】以上、本実施形態による効果の一例として
誤警報の防止を説明したが、本実施形態による効果は、
本来であればタイヤ空気圧に関して警報が発せられるべ
きであるときに発せられない不警報の防止として奏され
る場合もある。
【0126】さらに、本実施形態においては、動荷重半
径反映値αに基づいてしきい値αthを決定するのに必
要な時間より短時間で、共振周波数fsに基づいてしき
い値αthが決定される。
【0127】したがって、本実施形態によれば、前記補
正開始条件が成立してからできる限り早い時期に、しき
い値αthの決定すなわち初期化が終了して、タイヤ空
気圧を高精度で検出することが可能な状態となる。
【0128】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、タイヤ異常判定装置が本発明に係る「タ
イヤ空気圧検出装置」の一例を構成し、判定器20が前
記(1)項における「推定器」の一例を構成しているの
である。さらに、動荷重半径反映値αが同項における
「第1車輪情報」の一例を構成し、車輪速度に基づいて
動荷重半径反映値αを取得するためのロジックすなわち
規則が同項における「第1取得規則」の一例を構成して
いるのである。さらに、共振周波数fsが同項における
「第2車輪情報」の一例を構成し、車輪速度に基づいて
共振周波数fsを取得するためのロジックすなわち規則
が同項における「第2取得規則」の一例を構成している
のである。
【0129】さらに、本実施形態においては、判定器2
0のうち図5のしきい値補正プログラムを実行する部分
が前記(3)、(4)、(5)または(9)項における
「検出特性決定手段」の一例を構成しているのである。
【0130】さらに、本実施形態においては、判定器2
0のうち図3のS2を実行する部分が前記(6)項にお
ける「推定禁止手段」の一例を構成しているのである。
【0131】なお付言すれば、上述の動荷重半径反映値
を利用してタイヤ空気圧を検出する場合には、タイヤの
実際の硬度をできる限り正確に反映するように空気圧検
出特性を決定するのに長時間を必要とする一方で、動荷
重半径反映値がタイヤの振動に依存せずに取得され得る
物理量であることから、タイヤの振動すなわち車輪の回
転速度の影響を強く受けずに済むという特徴を有する場
合がある。
【0132】これに対して、前述のタイヤ振動特性値
(例えば、タイヤの振動の共振周波数)を利用してタイ
ヤ空気圧を検出する場合には、タイヤ振動特性値がタイ
ヤの振動に依存せずには取得され得ない物理量であるこ
とから、タイヤの振動すなわち車輪の回転速度の影響を
受け易い一方で、タイヤの実際の硬度をできる限り正確
に反映するように空気圧検出特性を決定することを短時
間で行い得るという特徴を有する場合がある。
【0133】ここに、動荷重半径反映値を利用する場合
に、それの空気圧検出特性の決定に長時間を必要とする
理由の一つを説明する。
【0134】タイヤ空気圧の変化に対する動荷重半径反
映値の感度は車輪の接地荷重(以下、「車輪荷重」とい
う)の影響を受け易く、一方、車輪荷重は車両走行中一
定に保たれるわけではない。そのため、動荷重半径反映
値のための空気圧検出特性をできる限り正確に決定する
ためには、空気圧検出特性の決定すなわち初期化(例え
ば、前述の初期値αiniの初期化や、しきい値αth
の初期化)のために車両走行中に動荷重半径反映値に関
してできる限り多い回数のサンプリングを行うことが望
ましい。
【0135】その結果、動荷重半径反映値を利用する場
合には、それの空気圧検出特性の決定すなわち初期化に
長時間を必要とする傾向がある。
【0136】以上説明した事情に対し、本実施形態によ
れば、動荷重半径方式における空気圧検出特性の初期化
がタイヤ振動特性値を利用して比較的短時間で行われる
傾向があめ、その初期化を動荷重半径反映値を利用して
行う場合より、その初期化に必要な時間が短縮される傾
向がある。
【0137】次に、本発明の第2実施形態を説明する。
ただし、本実施形態は、第1実施形態とハードウエア構
成については共通し、ソフトウエア構成についてはタイ
ヤ異常判定プログラムを除いて共通するため、共通する
要素については同一の名称および符号を使用して引用す
ることによって詳細な説明を省略し、異なる要素につい
てのみ詳細に説明する。
【0138】本実施形態は、動荷重半径方式でタイヤ空
気圧が判定される点では、第1実施形態と共通するが、
タイヤの実際の硬度への適合化のための補正が動荷重半
径反映値αを取得するための取得規則に対して行われる
点で、しきい値αthに対して行われる第1実施形態と
相違する。
【0139】本実施形態においては、図8にグラフで表
されているように、横軸にはタイヤ空気圧P、縦軸には
動荷重半径反映値αがそれぞれ取られた座標系上におい
てタイヤ空気圧Pが正常値Pから低下するにつれて動
荷重半径反映値αが初期値αiniから変化する様子を
表すグラフが想定されることにより、動荷重半径反映値
αに基づいてタイヤ空気圧Pが判定される。
【0140】さらに、本実施形態においては、動荷重半
径反映値αが、それの初期値αiniと、その初期値α
iniからの変化量dαとが互いに独立に取得された後
にそれらが合成されることによって取得される。具体的
には、初期値αiniに変化量dαを加算することによ
って動荷重半径反映値αが取得される。
【0141】すなわち、本実施形態においては、それら
初期値αiniと変化量dαとにより、動荷重半径反映
値αの取得規則が定義されているのである。
【0142】ただし、本実施形態においては、タイヤ空
気圧が異常であるか否かを判定するために、動荷重半径
反映値αがそのまま考慮されるのではなく、変化量dα
として考慮されるようになっている。これは、初期値α
iniの信頼性を高めることが困難である場合があるこ
とを考慮したためである。
【0143】図9には、動荷重半径反映値αの変化特性
が、図8と共通の座標系上において、タイヤの実際の硬
度が指定タイヤ相当である場合については二点鎖線のグ
ラフ、指定タイヤ相当ではない場合については実線のグ
ラフでそれぞれ表されている。なお、図9においてそれ
ら2種類のグラフが上の象限と下の象限とにおいて互い
に対称的に配置されているが、これは、タイヤ空気圧が
変化する車輪の位置に動荷重半径反映値αの符号が依存
していることを表現するためである。
【0144】図9においては、タイヤの実際の硬度が指
定タイヤ相当である場合につき、初期値αiniは基準
初期値αini、あるタイヤ空気圧Pnに対応する変
化量dαは基準変化量dαでそれぞれ示されている。
これに対し、タイヤの実際の硬度が指定タイヤ相当では
ない場合につき、初期値αiniはαini、それの基
準初期値αiniからの誤差はΔαini、あるタイ
ヤ空気圧Pnに対応する変化量dαはdαでそれぞれ示
されている。その変化量dαの、基準変化量dαに対
する誤差は、同図においてΔdαで示されている。
【0145】したがって、タイヤの実際の硬度が指定タ
イヤ相当ではない場合には、初期値αiniは初期値補
正量Δαiniにより、変化量dαは変化量補正量Δd
αによりそれぞれ補正すれば、図9において、タイヤの
実際の硬度が指定タイヤ相当ではない場合の実線のグラ
フが、指定タイヤ相当である場合の二点鎖線のグラフに
近づけられる。このようにすれば、タイヤの実際の硬度
が指定タイヤ相当ではない場合であっても、タイヤ空気
圧を正確に判定することが容易となる。
【0146】本実施形態においては、以上説明した知見
に基づき、タイヤ異常判定プログラムが設計されてい
る。
【0147】このタイヤ異常判定プログラムは、本実施
形態においては、タイヤ空気圧判定プログラムと取得規
則補正プログラムとを含むように構成されている。
【0148】図10には、タイヤ空気圧判定プログラム
の内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0149】このタイヤ空気圧判定プログラムも、第1
実施形態におけるタイヤ空気圧判定プログラムと同様
に、コンピュータ22の電源投入後、繰返し実行され
る。
【0150】各回の実行時には、まず、S51におい
て、図3のS1におけると同様に、検出特性補正スイッ
チ50からの信号に基づき、取得規則についての補正開
始条件が成立したか否かが判定される。
【0151】補正開始条件が成立した場合には、S51
の判定がYESとなり、S52において、取得規則補正
プログラムの実行による取得規則、すなわち、初期値α
iniと変化量dαとの補正が終了したが否かが判定さ
れる。今回は終了していないと仮定すれば、判定がNO
となり、直ちにこのタイヤ空気圧判定プログラムの一回
の実行が終了する。
【0152】これに対し、今回は、取得規則補正プログ
ラムの実行による取得規則の補正が終了した後であると
仮定すれば、S52の判定がYESとなり、S53に移
行する。
【0153】以上、補正開始条件が成立した場合を説明
したが、成立していない場合には、S51の判定がNO
となり、S52がスキップされてS53に移行する。
【0154】いずれの場合にも、S53においては、各
車輪ごとに、車輪速度センサ10からの信号に基づいて
車輪速度VFL,VFR,VRL,VRRが演算され
る。続いて、S54において、前記書換え可能不揮発性
ROMから初期値αiniと変化量補正量Δdαとが読
み出される。
【0155】その後、S55において、前記演算された
車輪速度VFL,VFR,VRL,VRRが前記関数f
に代入されるとともに、ROM32から読み出された基
準初期値αiniと、前記書換え可能不揮発性ROM
から読み出された変化量補正量Δdαとを用いることに
より、動荷重半径反映値αの変化量dαが演算される。
【0156】具体的には、車輪速度VFL,VFR,V
RL,VRRが前記関数fに代入されて取得された値か
ら基準初期値αiniを引き算した値が正である場合
には、その引き算した値から変化量補正量Δdαが引き
算されることにより、変化量dαが演算される。
【0157】これに対し、車輪速度VFL,VFR,V
RL,VRRが関数fに代入されて取得された値から基
準初期値αiniを引き算した値が負である場合に
は、その引き算した値に変化量補正量Δdαが足し算さ
れることにより、変化量dαが演算される。
【0158】なお付言すれば、本実施形態においては、
基準初期値αini0がROM32に固定値として記憶
されているが、前記書換え可能不揮発性ROMに可変値
(タイヤの製造ばらつき等に応じて変化するタイヤの実
際の硬度等に適合するように、タイヤ空気圧の各回の判
定が開始されるごとに初期化される値)として記憶する
ことが可能である。
【0159】続いて、S56において、前記演算された
変化量dαの絶対値が前記しきい値αthより大きいか
否かが判定される。今回は、しきい値αthより大きい
と仮定すれば、その判定がYESとなり、S57および
S58が図3におけるS7およびS8と同様にして実行
される。
【0160】これに対し、今回は、前記演算された変化
量dαの絶対値がしきい値αthより大きくはないと仮
定すれば、S56の判定がNOとなり、S59およびS
60が図3におけるS9およびS10と同様にして実行
される。
【0161】いずれの場合にも、以上で、このタイヤ空
気圧判定プログラムの一回の実行が終了する。
【0162】図11には、前記取得規則補正プログラム
の内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0163】この取得規則補正プログラムも、上記タイ
ヤ空気圧判定プログラムと同様にして、コンピュータ2
2の電源投入後、繰返し実行される。
【0164】各回の実行時には、まず、S71におい
て、図5のS31におけると同様にして、補正開始条件
が成立したか否かが判定される。成立しない場合には、
判定がNOとなり、直ちにこの取得規則補正プログラム
の一回の実行が終了する。これに対して、補正開始条件
が成立した場合には、判定がYESとなり、S72に移
行する。
【0165】このS72においては、図5のS32にお
けると同様にして、車輪速度が演算される。続いて、S
73において、図5のS33におけると同様にして、タ
イヤの振動の共振周波数fsが、4つの車輪を代表する
1つの値として演算される。その後、S74において、
図5のS34におけると同様にして、偏差共振周波数Δ
fsとして演算される。
【0166】続いて、S75において、その演算された
偏差共振周波数Δfsに基づいて初期値補正量Δαin
iが演算される。この演算は例えば、予め定められた関
数pに偏差共振周波数Δfsを代入することにより行わ
れる。
【0167】その後、S76において、4つの車輪につ
いての4つの車輪速度VFL,V ,VRL,VRR
が前記関数fに代入されるとともに、上記演算された初
期値補正量Δαiniが用いられることにより、車両に
現在装着されているタイヤに適合した初期値αiniが
演算される。
【0168】続いて、S77において、前記演算された
偏差共振周波数Δfsに基づき、車両に現在装着されて
いるタイヤに適合した変化量補正量Δdαが演算され
る。この演算は例えば、予め定められた関数qに偏差共
振周波数Δfsを代入することにより行われる。
【0169】その後、S78において、それら演算され
た初期値補正量Δαiniと変化量補正量Δdαとが前
記書換え可能不揮発性ROMに記憶される。
【0170】以上で、この取得規則補正プログラムの一
回の実行が終了する。
【0171】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、判定器20のうち図11の取得規則補正
プログラムを実行する部分が前記(3)、(4)、
(5)または(9)項における「検出特性決定手段」の
一例を構成しているのである。
【0172】さらに、本実施形態においては、判定器2
0のうち図10のS52を実行する部分が前記(6)項
における「推定禁止手段」の一例を構成しているのであ
る。
【0173】次に、本発明の第3実施形態を説明する。
ただし、本実施形態は、第1実施形態とハードウエア構
成については共通し、ソフトウエア構成についてはタイ
ヤ異常判定プログラムを除いて共通するため、共通する
要素については同一の名称および符号を使用して引用す
ることによって詳細な説明を省略し、異なる要素につい
てのみ詳細に説明する。
【0174】本実施形態は、動荷重半径方式でタイヤ空
気圧が判定される点では、第1実施形態と共通するが、
タイヤの実際の硬度への適合化のための補正が動荷重半
径反映値αを取得するための取得規則に対して行われる
点で、しきい値αthに対して行われる第1実施形態と
相違する。
【0175】本実施形態においては、各車輪ごとに、車
輪速度V**(**:FL,FR,RL,RR)が動荷
重半径R**に換算され、4つの車輪についての4つの
動荷重半径R**に基づいて動荷重半径反映値αが演算
される。
【0176】本実施形態においては、動荷重半径R**
が、それの初期値Rini**と、その初期値Rini
**からの変化量dR**とが互いに独立に取得された
後にそれらが合成されることによって取得される。具体
的には、例えば、初期値Rini**を変化量dR**
で補正することによって動荷重半径R**が取得され
る。
【0177】さらに、本実施形態においては、動荷重半
径反映値αが、それの初期値αiniと、その初期値α
iniからの変化量dαとが互いに独立に取得された後
にそれらが合成されることによって取得される。具体的
には、例えば、初期値αiniを変化量dαで補正する
ことによって動荷重半径反映値αが取得される。
【0178】本実施形態においては、初期値αini
は、4つの車輪について取得された初期値Rini**
に基づき、それら4つの車輪を代表する1つの値として
取得される。また、変化量dαも、同様にして、4つの
車輪について取得された変化量dR**に基づき、それ
ら4つの車輪を代表する1つの値として取得される。
【0179】すなわち、本実施形態においては、初期値
Rini**と、変化量dR**と、初期値αini
と、変化量dαとにより、動荷重半径反映値αの取得規
則が定義されているのである。
【0180】図12には、各車輪の動荷重半径Rの変化
特性が、横軸にタイヤ空気圧P、縦軸に各車輪の動荷重
半径Rがそれぞれ取られた座標系上において、タイヤの
硬度が指定タイヤ相当である場合については二点鎖線の
グラフ、タイヤの硬度が指定タイヤ相当ではない場合に
ついては実線のグラフでそれぞれ示されている。
【0181】同図においては、タイヤの実際の硬度が指
定タイヤ相当である場合につき、初期値Riniは基準
初期値Rini、あるタイヤ空気圧Pnに対応する変
化量dRは基準変化量dRでそれぞれ示されている。
これに対し、タイヤの実際の硬度が指定タイヤ相当では
ない場合につき、初期値RiniはRini、それの基
準初期値Riniからの誤差はΔRini、あるタイ
ヤ空気圧Pnに対応する変化量dRはdRでそれぞれ示
されている。その変化量dRの、基準変化量dRに対
する誤差は、同図においてΔdRで示されている。
【0182】したがって、タイヤの実際の硬度が指定タ
イヤ相当ではない場合には、初期値Riniは初期値補
正量ΔRiniにより、変化量dRは変化量補正量Δd
Rによりそれぞれ補正すれば、図12において、タイヤ
の実際の硬度が指定タイヤ相当ではない場合の実線のグ
ラフが、指定タイヤ相当である場合の二点鎖線のグラフ
に近づけられる。このようにすれば、タイヤの実際の硬
度が指定タイヤ相当ではない場合であっても、タイヤ空
気圧を正確に判定することが容易となる。
【0183】本実施形態においては、以上説明した知見
に基づき、タイヤ異常判定プログラムが設計されてい
る。
【0184】このタイヤ異常判定プログラムは、本実施
形態においては、タイヤ空気圧判定プログラムと初期化
プログラムとを含むように構成されている。
【0185】図13には、タイヤ空気圧判定プログラム
の内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0186】このタイヤ空気圧判定プログラムも、第1
実施形態におけるタイヤ空気圧判定プログラムと同様
に、コンピュータ22の電源投入後、繰返し実行され
る。
【0187】各回の実行時には、まず、S101におい
て、図3のS1におけると同様にして、検出特性補正ス
イッチ50からの信号に基づき、空気圧検出特性のため
の初期化開始条件が成立したか否かが判定される。
【0188】初期化開始条件が成立した場合には、S1
01の判定がYESとなり、S102において、初期化
プログラムの実行による各車輪ごとの共振周波数fs*
*の取得が終了したか否かが判定される。今回は終了し
ていないと仮定すれば、判定がNOとなり、直ちにこの
タイヤ空気圧判定プログラムの一回の実行が終了する。
【0189】これに対し、今回は、初期化プログラムの
実行による各車輪ごとの共振周波数fs**の取得が終
了した後であると仮定すれば、S102の判定がYES
となり、S103に移行する。
【0190】以上、初期化開始条件が成立した場合を説
明したが、成立していない場合には、S101の判定が
NOとなり、S102がスキップされてS103に移行
する。
【0191】いずれの場合にも、S103においては、
各車輪ごとに、車輪速度センサ10からの信号に基づい
て車輪速度VFL,VFR,VRL,VRRが演算され
る。続いて、前記書換え可能不揮発性ROMから、S1
04においては初期値αini、S105においては変
化率k**がそれぞれが読み出される。それら初期値α
iniおよび変化率k**は、いずれも、前記初期化プ
ログラムの実行によって演算されて上記書換え可能不揮
発性ROMに予め記憶される。
【0192】その後、S106において、各車輪ごとに
変化量dR**が演算される。変化量dR**は、各車
輪速度V**が換算された動荷重半径R**に、上記読
み出された変化率k**が掛け算されることによって演
算される。
【0193】続いて、S107において、タイヤ温度T
が推定される。本実施形態においては、前記車速推定プ
ログラムの実行により推定された車速と、外気温度と、
各回の車両走行の開始時からの走行時間とに基づき、予
め定められた関数を用いることにより推定される。外気
温度は、車両に搭載された図示しない外気温度センサに
より測定される。タイヤ温度Tは、4つの車輪について
共通すると仮定されている。
【0194】その後、S108において、変化量dαが
演算される。具体的には、4つの車輪についてそれぞれ
演算された4つの変化量dR**と、上記推定されたタ
イヤ温度Tとに基づき、予め定められた関数tを用い
て、タイヤ温度Tが上昇するにつれてタイヤ硬度が低下
する現象を考慮することにより、変化量dαが演算され
る。なお、前記読み出された初期値αiniから、上記
演算された変化量dαを引き算すれば、動荷重半径反映
値αが演算できる。
【0195】その後、S109ないしS113が、図1
0におけるS56ないしS60と同様にして実行され
る。
【0196】以上で、このタイヤ空気圧判定プログラム
の一回の実行が終了する。
【0197】図14には、前記初期化プログラムの内容
がフローチャートで概念的に表されている。
【0198】この初期化プログラムも、上記タイヤ空気
圧判定プログラムと同様にして、コンピュータ22の電
源投入後、繰返し実行される。
【0199】各回の実行時には、まず、S131におい
て、図3のS31におけると同様にして、初期化開始条
件が成立したか否かが判定される。成立しない場合に
は、判定がNOとなり、直ちにこの初期化プログラムの
一回の実行が終了する。これに対して、初期化開始条件
が成立した場合には、判定がYESとなり、S132に
移行する。
【0200】このS132においては、各車輪ごとに、
車輪速度センサからの信号に基づいて車輪速度V**が
演算される。続いて、S133において、図3のS33
におけるとは異なり、各車輪ごとに、タイヤの振動の共
振周波数fs**が演算される。
【0201】その後、S134において、タイヤの初期
温度Tiniが図13のS107におけると同様にして
推定される。
【0202】続いて、S135において、各車輪ごと
に、前記演算された共振周波数fs**と上記推定され
たタイヤ初期温度Tiniとに基づいて初期値補正量Δ
Rini**が演算される。さらに、その演算された初
期値補正量ΔRini**と、各車輪速度V**が換算
された動荷重半径R**とに基づいて初期値Rini*
*が演算される。
【0203】本実施形態においては、共振周波数fs*
*およびタイヤ初期温度Tiniと初期値補正量ΔRi
ni**との関係がROM32に予め記憶されており、
その関係に従って、共振周波数fs**とタイヤ初期温
度Tiniとの組合せに対応する初期値補正量ΔRin
i**が演算される。
【0204】その後、S136において、4つの車輪に
ついてそれぞれ演算された4つの初期値Rini**に
基づき、予め定められた関数sを用いることにより、初
期値αiniが演算される。
【0205】続いて、S137において、各車輪ごと
に、前記演算された共振周波数fs**と上記推定され
たタイヤ初期温度Tiniとに基づいて変化率k**が
演算される。変化率k**は、前述のように、変化量d
R**を取得するために動荷重半径R**に掛け算され
て使用される。
【0206】本実施形態においては、共振周波数fs*
*およびタイヤ初期温度Tiniと変化率k**との関
係がROM32に予め記憶されており、その関係に従っ
て、共振周波数fs**とタイヤ初期温度Tiniとの
組合せに対応する変化率k**が演算される。
【0207】その後、S138において、その演算され
た変化率k**と、前記演算された初期値αiniとが
前記書換え可能不揮発性ROMに記憶される。
【0208】以上で、この初期化プログラムの一回の実
行が終了する。
【0209】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、判定器20のうち図14の初期化プログ
ラムを実行する部分が前記(3)、(4)、(5)、
(7)または(9)項における「検出特性決定手段」の
一例を構成しているのである。
【0210】さらに、本実施形態においては、判定器2
0のうち図13のS102を実行する部分が前記(6)
項における「推定禁止手段」の一例を構成しているので
ある。
【0211】なお付言すれば、本実施形態においては、
タイヤ初期温度Tiniが初期値補正量ΔRini**
の演算時と変化率k**の演算時とに考慮されるととも
に、その後のタイヤ温度Tが変化量dαの演算時に考慮
されるが、タイヤ初期温度Tiniを初期値補正量ΔR
ini**の演算時と変化率k**の演算時との一方の
みに考慮したり、その後のタイヤ温度Tを変化量dαの
演算時に考慮しないようにして本発明を実施することが
可能である。
【0212】一般に、各車輪の動荷重半径Rは、タイヤ
空気圧およびタイヤ硬度(タイヤ内に封入された空気の
圧力によって生じる成分を除く)のみならず、各車輪に
作用する接地荷重すなわち車輪荷重にも依存する。
【0213】このような事実に着目し、各車輪の動荷重
半径Rを、タイヤ硬度のみならず車輪荷重をも考慮して
演算するようにして本発明を実施することが可能であ
る。この際、車輪荷重を初期値補正量ΔRini**の
演算時にも変化量補正量ΔdR**の演算時にも考慮す
ることは可能であるが、車輪荷重は変化量dR**より
むしろ初期値Rini**に及ぼす影響が大きいことに
着目すれば、車輪荷重を初期値補正量ΔRini**の
演算時には考慮するが変化量補正量ΔdR**の演算時
には考慮しないようにして本発明を実施することも可能
である。
【0214】以上説明したいくつかの実施形態において
は、動荷重半径方式と共振周波数方式とを、前者を主、
後者を従として併用したハイブリッド方式が採用されて
いるが、共振周波数方式を主、動荷重半径方式を従とし
て併用したハイブリッド方式を採用して本発明を実施す
ることが可能である。
【0215】ところで、共振周波数方式でタイヤ空気圧
を検出する場合には、各車輪ごとに共振周波数の初期値
を演算し、その演算された初期値を、各車輪ごとに、タ
イヤ空気圧判定のためのしきい値として使用することが
可能である。しかし、この場合には、初期値の演算に長
時間が必要となる。
【0216】これに対し、車両においてタイヤの振動の
共振周波数は本来、左右の前輪間で共通するとともに、
左右の後輪間でも共通する性質を有する。したがって、
左右前輪についての共振周波数の基準値は、それら左右
前輪の一方について代表的に演算し、また、同様にし
て、左右後輪についての共振周波数の基準値は、それら
左右後輪の一方について代表的に演算することが考えら
れる。
【0217】しかしながら、この演算手法は、共振周波
数が左右の前輪間で共通するとともに、左右の後輪間で
も共通することを前提とする。
【0218】一方、動荷重半径反映値αの絶対値が大き
いほど、複数の車輪間においてタイヤ空気圧またはタイ
ヤ硬度がアンバランスである傾向が強いことを意味し、
このことは同時に、複数の車輪間において共振周波数が
アンバランスである傾向が強いことを意味する。複数の
車輪間において共振周波数がアンバランスである傾向が
強い状況において、上述の演算手法を採用して共振周波
数の基準値を演算すると、その演算される基準値が真の
値からずれてしまう傾向が強い。
【0219】以上説明した知見に基づき、共振周波数方
式を主、動荷重半径方式を従として併用したハイブリッ
ド方式を採用し、かつ、左右前輪についての共振周波数
の基準値は、それら左右前輪の一方について代表的に演
算し、また、同様にして、左右後輪についての共振周波
数の基準値は、それら左右後輪の一方について代表的に
演算する態様で本発明を実施する場合には、そのような
基準値の演算の許否を、動荷重半径反映値αに基づいて
判定することが望ましい。
【0220】例えば、動荷重半径反映値αが許容範囲を
超えない場合には、そのような基準値の演算を許可する
かまたはそのようにして演算された基準値を有効にする
一方、許容範囲を超えた場合には、そのような基準値の
演算を禁止するかまたはそのようにして演算された基準
値を無効とすることが望ましい。
【0221】次に、本発明の第4実施形態を説明する。
ただし、本実施形態は、第1実施形態とハードウエア構
成が共通するかまたは類似するため、本実施形態のう
ち、第1実施形態と共通するかまたは類似するハードウ
エア要素については同一の符号または名称を使用して引
用することにより、詳細な説明を省略する。
【0222】図15には、本実施形態に従うタイヤ異常
判定装置のハードウエア構成がブロック図で示されてい
る。このタイヤ異常判定装置は、第1実施形態に従うタ
イヤ異常判定装置と同様に、左右の前輪および左右の後
輪を有する車両に搭載されているとともに、各車輪ごと
に車輪速度センサ10を備えている。
【0223】図15に示すように、このタイヤ異常判定
装置は、さらに、車両における4個の車輪に関連してそ
れぞれ設けられた4個の車輪速度センサ10に電気的に
接続された判定器120を備えている。この判定器12
0は、第1実施形態における判定器20と同様に、コン
ピュータ122を主体として構成されるとともに、それ
ら4個の車輪速度センサ10の出力信号に基づき、複数
の車輪の中に、タイヤ空気圧が異常に低い車輪が存在し
ているか否かを判定し、存在する場合にはそのことを警
報器40を介して車両のユーザに告知する。
【0224】図16には、コンピュータ122のハード
ウエア構成がブロック図で概念的に示されている。コン
ピュータ122は、第1実施形態におけるコンピュータ
122と同様に、CPU130とROM132とRAM
134とがバス136により互いに接続されて構成され
ている。そして、ROM132には、第1実施形態とは
異なるタイヤ異常判定プログラムと、第1実施形態と共
通する車速推定プログラムとを始めとし、各種プログラ
ムが予め記憶されている。
【0225】図16に示すように、タイヤ異常判定プロ
グラムは、空気圧低下警報処理プログラムと、感度係数
算出プログラムと、検出特性決定プログラムとを含むよ
うに構成されている。それら空気圧低下警報処理プログ
ラム、感度係数算出プログラムおよび検出特性決定プロ
グラムの各内容はそれぞれ図23、図24および図25
においてフローチャートにより概念的に表されている
が、それらプログラムの詳細については後述する。
【0226】図17には、コンピュータ122の構成が
その機能に着目してブロック図で示されている。コンピ
ュータ122は、共振周波数算出手段60と動荷重半径
反映値算出手段62とを、共に4個の車輪速度センサ1
0に接続された状態で備えている。
【0227】共振周波数算出手段60は、各車輪ごと
に、車輪速度センサ10により検出された車輪速度に基
づき、タイヤの振動の共振周波数fs**(**:F
L,FR,RL,RR)を算出する。各車輪について算
出された共振周波数fs**は、図18にグラフで示す
取得規則に従い、タイヤの空気圧P**を各車輪ごとに
取得するために使用される。この共振周波数算出手段6
0は、コンピュータ122のうち、図23の空気圧低下
警報処理プログラムのうちのS202を実行する部分に
より構成されている。
【0228】これに対して、動荷重半径反映値算出手段
62は、タイヤの動荷重半径を反映した動荷重半径反映
値αを、4個の車輪を代表する1つの値として算出す
る。動荷重半径反映値αは、4個の車輪についての4個
のタイヤ間における動荷重半径の関係を表すように、関
数hを用いて算出される。その関数hは、各車輪の車輪
速度をVFL,VFR,VRL,VRRで表すことによ
り、例えば、次のように定義される。
【0229】 α=h(VFL,VFR,VRL,VRR) =(VFR+VRL)/2−(VFL+VRR)/2 ここに、「(VFR+VRL)/2」は、車両における
2個の対角車輪対の一方に属する2個の車輪間における
車輪速度の平均値を意味する。一方、「(V +V
RR)/2」は、他方の対角車輪対に属する2個の車輪
間における車輪速度の平均値を意味する。
【0230】したがって、この関数hによれば、動荷重
半径反映値αが、2個の対角車輪対間における車輪速度
の差として算出されることとなる。
【0231】以上説明した動荷重半径反映値算出手段6
2は、コンピュータ122のうち、図23の空気圧低下
警報処理プログラムのうちのS206を実行する部分に
より構成されている。
【0232】図17に示すように、コンピュータ122
は、さらに、4個の車輪速度センサ10に接続された感
度係数算出手段64を、空気圧Pに対する動荷重半径反
映値αの感度を表す感度係数を算出するために備えてい
る。
【0233】この感度係数算出手段64は、感度係数を
算出するために、動荷重半径偏差率βと空気圧偏差率P
DPとを算出する。動荷重半径偏差率βは、本実施形態
においては、動荷重半径反映値αを、4個の車輪につい
ての4個の車輪速度の平均値VMEANで割り算した値
として算出される。すなわち、動荷重半径偏差率βは、 β=α/VMEAN =((VFR+VRL)/2−(VFL+VRR)/
2)/VMEAN なる式を用いて算出されるのである。したがって、動荷
重半径偏差率βは、動荷重半径反映値αと同様に、4個
の車輪を代表する1つの値として算出されることとな
る。
【0234】これに対して、空気圧偏差率PDPは、4
個の車輪についての4個のタイヤ間における空気圧の関
係を、4個の車輪を代表する1つの値により表現するよ
うに算出される。具体的には、空気圧偏差率PDPは、
動荷重半径偏差率βの算出式に即して、 PDP=((PFR+PRL)/2−(PFL
RR)/2))/PMEA なる式を用いて算出される。ここに、「PMEAN
は、4個の車輪についての4個の空気圧Pの平均値を意
味している。この空気圧偏差率PDPを算出するに際
し、感度係数算出手段64は、各車輪ごとに車輪速度V
**に基づいて算出した共振周波数fs**に基づいて
推定された空気圧P**を真の空気圧であると仮定して
使用する。
【0235】図19には、それら空気圧偏差率PDPと
動荷重半径偏差率βとの関係がグラフで概念的に表され
ている。同図には、その関係が標準であることが実線グ
ラフで、その関係が標準ではないことが二点鎖線グラフ
でそれぞれ表されている。標準の関係については、実線
グラフの勾配が「a」で表されるのに対し、標準ではな
い関係については、二点鎖線グラフの勾配が「a’」で
表されている。
【0236】図19には、さらに、4個のタイヤ間に空
気圧の偏差がない場合の空気圧偏差率PDPが「PDP
」で表され、4個のタイヤ間に動荷重半径の偏差がな
い場合の動荷重半径偏差率βが「β」で表されてい
る。さらに、4個のタイヤ間に空気圧の偏差がある任意
の時期における空気圧偏差率PDPが「PDPn」で表
され、その任意の時期に対応する動荷重半径偏差率β
が、標準の関係については「βn」、標準ではない関係
については「βn’」でそれぞれ表されている。
【0237】感度係数算出手段64は、それら空気圧偏
差率PDPと動荷重半径偏差率βとの関係を表すグラフ
の勾配をそのまま用いて、空気圧Pに対する動荷重半径
反映値αの感度を表す感度係数を算出する形態で本発明
を実施することは可能であるが、本実施形態において
は、そのグラフの勾配が、空気圧Pに対する動荷重半径
反映値αの実際の感度が標準の感度から変化した比率で
ある感度変化率を表すものとして使用される。
【0238】図19のグラフから明らかなように、標準
の関係と標準ではない関係との間には、 (βn−β)/(PDPn−PDP):a=(β
n’−β)/(PDPn−PDP):a’ なる比で表される関係が成立する。ここに、初期値β
も初期値PDPも、本来であれば0であるという事実
を考慮し、0で近似できる。したがって、標準の関係と
標準ではない関係との間には、結局、 (βn/PDPn):a=(βn’/PDPn):a’ なる比で表される関係が近似的に成立することになる。
【0239】空気圧偏差率PDPと動荷重半径偏差率β
との関係が標準である場合には、その関係を表すグラフ
の勾配aもβn/PDPnも1であると仮定できる。一
方、上述の感度変化率は、 a’/a として算出できる。ここに、勾配aは1であると仮定す
れば、その感度変化率は、単にa’として表される。し
たがって、感度変化率a’は、 a’=βn’/PDPn なる式により算出される。
【0240】図20には、空気圧Pと動荷重半径反映値
αとの関係が、タイヤ間空気圧関係値RPと動荷重半径
反映値αとの関係としてグラフで概念的に表されてい
る。タイヤ間空気圧関係値RPは、動荷重半径反映値α
の前述の算出式において各車輪の車輪速度V**を同じ
車輪の空気圧P**に置換して算出される物理量であ
る。このタイヤ間空気圧関係値RPは、前述の空気圧偏
差率PDPに平均空気圧P MEANを掛け算した値と等
しい。
【0241】図20には、タイヤ間空気圧関係値RPと
動荷重半径反映値αとの関係が、空気圧についての標準
的な検出特性を示す場合には実線グラフ、標準的ではな
い実際の検出特性を示す場合には二点鎖線グラフでそれ
ぞれ表されている。いずれの関係についても、対応する
グラフの勾配が、空気圧Pに対する動荷重半径反映値α
の感度を表している。そして、図20においては、標準
的な検出特性を示す実線グラフの勾配すなわち標準感度
係数は「b」、実際の検出特性を示す二点鎖線グラフの
勾配すなわち実際感度係数は「b’」でそれぞれ表され
ている。
【0242】さらに、図20においては、車両における
複数の車輪間に空気圧Pの差が本来であればほとんど存
在しないはずである場合のタイヤ間空気圧関係値RPす
なわちタイヤ間空気圧関係値RPの初期値は「RP
で表されている。さらに、それら複数の車輪間に動荷重
半径の差が本来であればほとんど存在しないはずである
場合の動荷重半径反映値αすなわち動荷重半径反映値α
の初期値は「α」で表されている。
【0243】さらに、図20においては、それら複数の
車輪のうちの少なくとも1個の車輪に関して空気圧Pが
設定圧Pから許容値低下したときにタイヤ間空気圧関
係値RPが初期値RPから外れるべき量であるしきい
値が「RPth」で表されている。さらに、それと同じ
ときに動荷重半径反映値αが初期値αから外れるべき
量であるしきい値が、標準的な検出特性についての標準
しきい値については「αth」、実際の検出特性につい
ての実際しきい値については「αth’」でそれぞれ表
されている。
【0244】本実施形態においては、空気圧の異常低下
の有無を動荷重半径反映値αから判定するために、標準
感度係数bから実際感度係数b’が決定され、さらに、
その実際感度係数b’に即して動荷重半径反映値αの実
際しきい値αth’が決定される。
【0245】上述の標準感度係数bは既知であるから、
実際感度係数b’は、 b’=a’・b=(βn’/PDPn )・b なる式を用いて算出することができる。
【0246】図21には、以上説明した計算の流れが概
略的にブロック図で示されている。同図に示すように、
感度係数算出手段64においては、4個のタイヤについ
ての4個の車輪速度V**を用いて4個の空気圧P**
が推定されるとともに、それら4個の空気圧P**を用
いて空気圧偏差率PDPが算出される。さらに、それら
4個の車輪速度V**を用いて動荷重半径偏差率βが算
出される。さらに、それら算出された空気圧偏差率PD
Pおよび動荷重半径偏差率βと、既知の標準感度係数b
とを用いて実際感度係数b’が算出される。
【0247】以上説明した感度係数算出手段64は、コ
ンピュータ122のうち図24の感度係数算出プログラ
ムを実行する部分により構成される。
【0248】図22には、前述の検出特性決定手段66
がそれの機能に着目してブロック図で概念的に表されて
いる。
【0249】ところで、図20のグラフについては、し
きい値RPthが固定値であることと、標準しきい値α
thも実際しきい値αth’も初期値αからの隔たり
を表す相対値であることとを考慮し、 αth:b=αth’:b’ なる比で表される関係が成立する。ここに、標準しきい
値αthと、標準感度係数bと、実際感度係数b’とが
既に判明していると仮定すれば、それらを用いて実際し
きい値αth’を算出することができる。具体的には、
実際しきい値αth’は、例えば、 αth’=(b’/b)・αth なる式を用いて算出することができる。
【0250】このような知見に基づき、検出特性決定手
段66においては、図22に示すように、標準感度係数
bと、実際感度係数b’と、標準しきい値αthとを用
いて実際しきい値αth’が算出される。実際感度係数
b’は、前述の感度係数算出手段64から供給される。
そして、その算出された実際しきい値αth’は、前述
の空気圧低下警報処理手段68に供給される。以上説明
した検出特性決定手段66は、コンピュータ122のう
ち図25の検出特性決定プログラムを実行する部分によ
り構成される。
【0251】図17に示すように、空気圧低下警報処理
手段68は、共振周波数算出手段60と動荷重半径反映
値算出手段62と検出特性決定手段66と警報器40と
に接続されている。
【0252】この空気圧低下警報処理手段68は、車速
Vが設定車速Vより低い低速走行状態と、設定車速V
以上である高速走行状態とで互いに異なる規則に従っ
て、空気圧が低下しているか否かを判定する。具体的に
は、低速走行状態においては、共振周波数算出手段60
により各車輪ごとに算出された共振周波数fs**とし
きい値fthとを互いに比較することにより、各車輪ご
とに空気圧が低下しているか否かを判定する。これに対
して、高速走行状態においては、動荷重半径反映値算出
手段62により4個の車輪について代表的に算出された
動荷重半径反映値αの初期値αからの変化量と、検出
特性決定手段66により決定された実際しきい値αt
h’とを互いに比較することにより、4個の車輪の中に
空気圧が低下している車輪が存在するか否かを判定す
る。
【0253】いずれの走行状態においても、空気圧低下
警報処理手段68は、空気圧が低下していると判定した
場合には、その事実を警報器40を介して車両のユーザ
に告知する。
【0254】以上説明した空気圧低下警報処理手段68
は、コンピュータ122のうち、図23の空気圧低下警
報処理プログラムのうちS202とS206とを除くス
テップを実行する部分により構成される。
【0255】ここで、図23ないし図25に示す3つの
プログラムの内容を具体的に順に説明する。
【0256】図23の空気圧低下警報処理プログラム
は、コンピュータ122の電源投入後、繰返し実行され
る。各回の実行時においては、まず、S201におい
て、車速推定プログラムの実行により推定された車速V
が前記設定車速Vより低いか否かが判定される。低速
走行状態にあるのか否かが判定されるのである。
【0257】今回は、車速Vが設定車速Vより低いと
仮定すれば、S201の判定がYESとなり、S202
において、各車輪速度センサ10の出力信号に基づき、
各車輪ごとに共振周波数fs**が算出される。算出さ
れた共振周波数fs**は各車輪に関連付けてRAM1
34に記憶される。
【0258】その後、S203において、各車輪ごと
に、算出された共振周波数fs**がしきい値fthよ
り低いか否かが判定される。空気圧が低下しているか否
かが判定されるのである。
【0259】今回は、共振周波数fs**がしきい値f
thより低いと仮定すれば、S203の判定がYESと
なり、S204において、空気圧が低下していることを
車両のユーザに知らせるために警報器40がONにされ
る。これに対し、今回は、共振周波数fs**がしきい
値fthより低くはないと仮定すれば、S203の判定
がNOとなり、S205において、空気圧が正常である
ことを車両のユーザに知らせるために警報器40がOF
Fにされる。
【0260】いずれの場合にも、以上で、この空気圧低
下警報処理プログラムの一回の実行が終了する。
【0261】以上、車速Vが設定車速Vより低い場合
について説明したが、設定車速Vより低くはない場合
には、S201の判定がNOとなり、S206に移行す
る。このS206においては、4個の車輪速度センサ1
0によりそれぞれ検出された4個の車輪速度V**を合
成することにより、動荷重半径反映値αが算出される。
この算出手法については前述した。
【0262】その後、S207において、図25の検出
特性決定プログラム(後述する)の実行により算出され
てROM132の書換え可能不揮発メモリに記憶された
実際しきい値αth’がそのメモリから読み出される。
【0263】続いて、S208において、前記算出され
た動荷重半径反映値αの、初期値α からの変化量の絶
対値が、その読み出された実際しきい値αth’の絶対
値より大きいか否かが判定される。
【0264】今回は、動荷重半径反映値αの変化量の絶
対値が実際しきい値αth’の絶対値より大きいと仮定
すれば、S208の判定がYESとなり、S204にお
いて、空気圧が低下していることを車両のユーザに知ら
せるために警報器40がONにされる。これに対し、今
回は、動荷重半径反映値αの変化量の絶対値が実際しき
い値αth’の絶対値より大きくはないと仮定すれば、
S208の判定がNOとなり、S205において、空気
圧が正常であることを車両のユーザに知らせるために警
報器40がOFFにされる。
【0265】いずれの場合にも、以上で、この空気圧低
下警報処理プログラムの一回の実行が終了する。
【0266】図24の感度係数算出プログラムも、上述
の空気圧低下警報処理プログラムと同様に、コンピュー
タ122の電源投入後、繰返し実行される。各回の実行
時においては、まず、S301において、S201と同
様に、車速推定プログラムの実行により推定された車速
Vが設定車速Vより低いか否かが判定される。今回
は、車速Vが設定車速Vより低いと仮定すれば、判定
がYESとなり、S302において、4個の車輪につい
ての共振周波数fs**がRAM134から読み込まれ
る。
【0267】続いて、S303において、各車輪ごと
に、読み込まれた共振周波数fs**に基づいて空気圧
P**が推定される。この推定は例えば、図18にグラ
フで表す規則に従って行われる。例えば、共振周波数f
s**に予め定められた係数を掛け算したり、共振周波
数fs**を予め定義された算出式に代入することによ
り、空気圧P**が推定される。
【0268】その後、S304において、4個の車輪に
ついてそれぞれ推定された4個の空気圧P**を合成す
ることにより、前述の算出式を用いて、空気圧偏差率P
DPが算出される。
【0269】続いて、S305において、上述の4車輪
分の共振周波数fs**を算出するために用いられた4
車輪分の車輪速度V**を合成することにより、前述の
算出式を用いて、動荷重半径偏差率βが算出される。
【0270】その後、S306において、標準感度係数
bがROM132から読み込まれる。続いて、S307
において、その読み込まれた標準感度係数bと、前記算
出された空気圧偏差率PDPおよび動荷重半径偏差率β
とを前述の算出式に代入することにより、実際感度係数
b’が算出される。算出された実際感度係数b’は、前
記不揮発性メモリに記憶されて保存される。
【0271】以上で、この感度係数算出プログラムの一
回の実行が終了する。
【0272】以上、車速Vが設定車速Vより低い場合
を説明したが、設定車速V以上である場合には、S3
01の判定がNOとなり、直ちにこの感度係数算出プロ
グラムの一回の実行が終了する。
【0273】図25の検出特性決定プログラムも、上述
の空気圧低下警報処理プログラムおよび感度係数算出プ
ログラムと同様に、コンピュータ122の電源投入後、
繰返し実行される。各回の実行時においては、まず、S
401において、標準しきい値αthと標準感度係数b
とがROM132から読み込まれるとともに、実際感度
係数b’が前記不揮発性メモリから読み込まれる。
【0274】次に、S402において、それら読み込ま
れた標準しきい値αthと標準感度係数bと実際感度係
数b’とを前述の算出式に代入することにより、実際し
きい値αth’が算出される。
【0275】続いて、S403において、その算出され
た実際しきい値αth’が前記不揮発性メモリに記憶さ
れて保存される。
【0276】以上で、この検出特性決定プログラムの一
回の実行が終了する。
【0277】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、判定器120が前記(23)項における
「推定器」の一例を構成し、感度係数算出手段64が前
記(23)または(24)項における「感度推定手段」
の一例を構成し、検出特性決定手段66が前記(23)
または(29)項における「検出特性決定手段」の一例
を構成しているのである。
【0278】さらに、本実施形態においては、コンピュ
ータ122のうち図24のS305を実行する部分が前
記(27)項における「第1手段」の一例を構成し、S
302ないしS304を実行する部分が同項における
「第2手段」の一例を構成し、S306およびS307
を実行する部分が同項における「第3手段」の一例を構
成し、動荷重半径偏差率βが同項における「タイヤ間動
荷重半径関係値」の一例を構成し、空気圧偏差率PDP
が同項における「タイヤ間空気圧関係値」の一例を構成
しているのである。
【0279】なお付言すれば、本実施形態においては、
低速走行状態において、第2車輪情報としての共振周波
数fsおよび空気圧偏差率PDPと、動荷重半径偏差率
βとに基づき、空気圧Pに対する、第1車輪情報として
の動荷重半径反映値αの感度が推定されるとともに、高
速走行状態において、その推定された感度を考慮して決
定された実際しきい値αth’と、取得された第1車輪
情報としての動荷重半径反映値αとの比較により、空気
圧が低下しているか否かが判定される。
【0280】このように、本実施形態においては、感度
推定が行われた走行状態とは別の走行状態においてその
感度が利用されるのであるが、感度推定が行われた走行
状態と同じ走行状態においてその感度が利用される態様
で本発明を実施することが可能である。
【0281】さらに付言すれば、本実施形態において
は、動荷重半径反映値αと比較されるべきしきい値αt
hを可変値として補正することにより、空気圧Pに対す
る動荷重半径反映値αの実際の感度が例えばタイヤの個
体差等によって変化することに追従するようになってい
るが、しきい値αthに代えて動荷重半径反映値αを補
正することにより、同じ目的を達するようにして本発明
を実施することが可能である。
【0282】しきい値αthも動荷重半径反映値αも、
それらの変化が、空気圧が低下しているか否かの判定に
影響を及ぼす点で互いに共通していて、そのような意味
でしきい値αthも動荷重半径反映値αも、空気圧の検
出特性を構成すると考えることができる。したがって、
しきい値αthの補正によっても動荷重半径反映値αの
補正によっても、空気圧の検出特性を適正化することが
可能なのである。
【0283】以上、本発明の実施形態のいくつかを図面
に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前
記[課題を解決するための手段および発明の効果]の欄
に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種
々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に従うタイヤ異常判定装
置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図2】図1におけるコンピュータのハードウエア構成
を示すブロック図である。
【図3】図2におけるタイヤ異常判定プログラムのうち
のタイヤ空気圧判定プログラムの内容を概念的に表すフ
ローチャートである。
【図4】図3のタイヤ空気圧判定プログラムの実行によ
りタイヤ空気圧が判定される原理を説明するためのグラ
フである。
【図5】図2におけるタイヤ異常判定プログラムのうち
のしきい値補正プログラムの内容を概念的に表すフロー
チャートである。
【図6】図5におけるS35の実行内容を説明するため
のグラフである。
【図7】第1実施形態による効果の一例を説明するため
のグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態に従うタイヤ異常判定装
置においてタイヤ空気圧が取得される原理を説明するた
めのグラフである。
【図9】第2実施形態においてタイヤ空気圧の取得規則
が補正される原理を説明するためのグラフである。
【図10】第2実施形態におけるタイヤ異常判定プログ
ラムのうちのタイヤ空気圧判定プログラムの内容を概念
的に表すフローチャートである。
【図11】第2実施形態におけるタイヤ異常判定プログ
ラムのうちの取得規則補正プログラムの内容を概念的に
表すフローチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態に従うタイヤ異常判定
装置においてタイヤ空気圧の取得規則が補正される原理
を説明するためのグラフである。
【図13】第3実施形態におけるタイヤ異常判定プログ
ラムのうちのタイヤ空気圧判定プログラムの内容を概念
的に表すフローチャートである。
【図14】第3実施形態におけるタイヤ異常判定プログ
ラムのうちの初期化プログラムの内容を概念的に表すフ
ローチャートである。
【図15】本発明の第4実施形態に従うタイヤ異常判定
装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図16】図15におけるコンピュータのハードウエア
構成を示すブロック図である。
【図17】図16におけるコンピュータを示す機能ブロ
ック図である。
【図18】図17における共振周波数算出手段の機能を
説明するためのグラフである。
【図19】第4実施形態における空気圧偏差率PDPと
動荷重半径偏差率βとの関係を説明するためのグラフで
ある。
【図20】第4実施形態におけるタイヤ間空気圧関係値
RPと動荷重半径反映値αとの関係を説明するためのグ
ラフである。
【図21】図17における感度係数算出手段の機能を説
明するためのブロック図である。
【図22】図17における検出特性決定手段の機能を説
明するためのブロック図である。
【図23】第4実施形態におけるタイヤ異常判定プログ
ラムのうちの空気圧低下警報処理プログラムの内容を概
念的に表すフローチャートである。
【図24】第4実施形態におけるタイヤ異常判定プログ
ラムのうちの感度係数算出プログラムの内容を概念的に
表すフローチャートである。
【図25】第4実施形態におけるタイヤ異常判定プログ
ラムのうちの検出特性決定プログラムの内容を概念的に
表すフローチャートである。
【符号の説明】
10 車輪速度センサ 20,120 判定器 22,122 コンピュータ 32,124 ROM 40 警報器 50 検出特性補正スイッチ 60 共振周波数算出手段 62 動荷重半径反映値算出手段 64 感度係数算出手段 66 検出特性決定手段 68 空気圧低下警報処理手段

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホイールに装着されたタイヤの内部に空
    気が圧力下に封入されて構成された車輪を有する車両に
    設けられ、前記タイヤの空気圧を推定によって検出する
    装置であって、 前記車輪の角速度を車輪速度として検出する車輪速度セ
    ンサと、 その車輪速度センサにより検出された車輪速度に基づ
    き、前記車輪に関するとともに前記空気圧を反映した車
    輪情報を予め定められた第1取得規則に従って第1車輪
    情報として取得し、その取得された第1車輪情報としき
    い値との比較結果に基づいて前記空気圧を推定する推定
    器であって、前記検出された車輪速度に基づいて前記第
    1取得規則とは別の第2取得規則に従って取得された前
    記車輪情報を第2車輪情報とし、その第2車輪情報に基
    づき、前記第1車輪情報と前記しきい値との少なくとも
    一方により規定される空気圧検出特性であって前記空気
    圧の検出値に影響を及ぼすものを決定するものとを含む
    タイヤ空気圧検出装置。
  2. 【請求項2】 前記推定器が、予め定められた条件の成
    立に伴い、前記検出された車輪速度に基づいて前記第2
    取得規則に従って前記第2車輪情報を取得し、その取得
    された第2車輪情報に基づいて前記空気圧検出特性を決
    定するものである請求項1に記載の空気圧検出装置。
  3. 【請求項3】 前記推定器が、前記第2車輪情報に基づ
    き、前記第1車輪情報と前記第1取得規則と前記しきい
    値との少なくとも1つを補正することにより、前記空気
    圧検出特性を決定する検出特性決定手段を含む請求項1
    または2に記載のタイヤ空気圧検出装置。
  4. 【請求項4】 前記第2車輪情報が、前記タイヤの実際
    の硬度を反映するものであり、 前記推定器が、その第2車輪情報に基づいて前記空気圧
    検出特性を前記タイヤの実際の硬度に適合するように決
    定する検出特性決定手段を含む請求項1ないし3のいず
    れかに記載のタイヤ空気圧検出装置。
  5. 【請求項5】 前記推定器が、前記第1車輪情報に基づ
    いて前記空気圧検出特性を決定するのに必要な時間より
    短時間で前記第2車輪情報に基づいて前記空気圧検出特
    性を決定する検出特性決定手段を含む請求項1ないし4
    のいずれかに記載のタイヤ空気圧検出装置。
  6. 【請求項6】 前記推定器が、前記第2車輪情報に基づ
    いて前記空気圧検出特性が決定されないうちは、前記取
    得された第1車輪情報に基づいて前記空気圧を推定する
    ことを禁止する推定禁止手段を含む請求項1ないし5の
    いずれかに記載のタイヤ空気圧検出装置。
  7. 【請求項7】 前記推定器が、前記取得された第2車輪
    情報と前記タイヤの温度とに基づいて前記空気圧検出特
    性を決定する検出特性決定手段を含む請求項1ないし6
    のいずれかに記載のタイヤ空気圧検出装置。
  8. 【請求項8】 前記第1車輪情報が、前記検出された車
    輪速度に基づき、前記タイヤの動荷重半径を反映するよ
    うに取得される動荷重半径反映値を含み、前記第2車輪
    情報が、前記検出された車輪速度に基づき、前記タイヤ
    の振動の特性を反映するように取得されるタイヤ振動特
    性値を含む請求項1ないし7のいずれかに記載のタイヤ
    空気圧検出装置。
  9. 【請求項9】 前記タイヤ振動特性値が、前記タイヤの
    振動の共振周波数を含み、 前記推定器が、その共振周波数に基づいて前記空気圧検
    出特性を前記タイヤの実際の硬度に適合するように決定
    する検出特性決定手段を含む請求項8に記載のタイヤ空
    気圧検出装置。
  10. 【請求項10】 前記推定器が、 前記第2車輪情報に基づき、前記空気圧に対する前記第
    1車輪情報の感度を推定する感度推定手段と、 その推定された感度に基づいて前記空気圧検出特性を決
    定する検出特性決定手段とを含む請求項1ないし9のい
    ずれかに記載のタイヤ空気圧検出装置。
  11. 【請求項11】 前記感度推定手段が、前記第2車輪情
    報に基づいて推定された空気圧を真の空気圧として前記
    第1車輪情報と共に用いることにより、前記感度を推定
    するものである請求項10に記載のタイヤ空気圧検出装
    置。
  12. 【請求項12】 前記車両が、前記車輪を複数有するも
    のであり、 前記車輪速度センサが、それら複数の車輪に関連してそ
    れぞれ設けられており、 前記第2車輪情報が、前記タイヤの振動の特性を反映す
    るタイヤ振動特性値を含み、 前記感度推定手段が、 (a)それら複数の車輪速度センサにより前記複数の車
    輪についてそれぞれ検出された複数の車輪速度を合成す
    ることにより、それら複数の車輪を代表する1つの値で
    あって、それら複数の車輪についての複数のタイヤ間に
    おける動荷重半径の関係を表すタイヤ間動荷重半径関係
    値を取得する第1手段と、 (b)各車輪速度センサにより各車輪ごとに検出された
    車輪速度に基づいて取得された前記タイヤ振動特性値に
    基づいて各車輪ごとに空気圧を推定し、前記複数の車輪
    についてそれぞれ推定された複数の空気圧を合成するこ
    とにより、それら複数の車輪を代表する1つの値であっ
    て、それら複数の車輪についての複数のタイヤ間におけ
    る空気圧の関係を表すタイヤ間空気圧関係値を取得する
    第2手段と、 (c)それら取得されたタイヤ間動荷重半径関係値とタ
    イヤ間空気圧関係値との関係に基づいて前記感度を推定
    する第3手段とを含む請求項11に記載のタイヤ空気圧
    検出装置。
  13. 【請求項13】 前記第3手段が、前記関係を、前記取
    得されたタイヤ間動荷重半径関係値とタイヤ間空気圧関
    係値との間における比として取得し、その取得された比
    に基づいて前記感度を推定するものである請求項12に
    記載のタイヤ空気圧検出装置。
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