JP2003299724A - 医療用具およびその製造方法 - Google Patents
医療用具およびその製造方法Info
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Abstract
現できる被膜を備え、かつその被膜を簡単な処理工程で
コストアップさせることなく各基材に対して形成するこ
とのできる医療用具およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 合成樹脂からなる医療用具の基材表面
に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとメチ
ルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体とポリエーテ
ルブロックアミドとを有機溶媒に溶解した被覆用混合溶
液を塗布して形成した被膜を有する医療用具であり、基
材表面に被膜用混合溶液を塗布した後、低温加熱処理し
て被膜を形成する医療用具の製造方法である。
Description
など医療用具の表面において、湿潤時に潤滑性を有する
被膜を備えた医療用具およびその製造方法に関するもの
である。
用具自体の用途は多様化しており、特に気道、血管、尿
道その他体腔あるいは組織中に挿入するカテーテル、さ
らにはこれに挿入して使用するガイドワイヤー等の医療
用具は、挿入時に粘膜を損傷したり炎症を引き起こした
りすることを避け、また治療を受ける患者の苦痛を軽減
するために優れた潤滑性が要求されている。このため、
摩擦抵抗を少なくする工夫として用具表面にシリコーン
オイル、オリーブオイル、グリセリン等を塗布していた
が、その持続性や保存性の点から十分ではなかった。
して、例えば用具基材の表面に存在する反応性官能基と
無水マレイン酸系高分子物質とを共有結合させ、湿潤時
に表面が潤滑性を発現するようにした医療用具が提案さ
れている(特公平1−33181号公報:従来の技術
1)。また、用具基材の表面に存在する反応性官能基
と、水溶性高分子物質またはその誘導体とをイオン結合
させ、湿潤時に表面が潤滑性を発現するようにしたガイ
ドワイヤーが提案されている(特公平4−12145号
公報:従来の技術2)。
術1の医療用具は、基材への固定方法として共有結合と
いう化学反応を利用するものであり、その化学反応を起
こさせるためには、基材表面に官能基を存在させるため
のイソシアネート基、アミノ基、アルデヒド基、エポキ
シ基等の官能基を有する化合物の溶液での処理を行わな
ければならず、これによって未反応物が基材表面に残留
付着して剥離するおそれがあり、未反応物による安全性
の問題があるとともに、表面潤滑性およびその持続性等
において十分な効果が得られないという問題があった。
また、従来の技術2のガイドワイヤーは、従来の技術1
と同様に化学反応を利用するもので、水溶性高分子物質
をイオン結合で固定しているので、生理食塩水等のイオ
ンを含有する溶液中では水溶性高分子物質が剥がれてし
まい、表面潤滑性を十分持続することができないととも
に、未反応物による安全性の問題もあった。さらに、従
来の技術1および従来の技術2の両者は、それぞれの製
造方法がきわめて複雑であり、大幅なコストアップにつ
ながるという問題もあった。
に、例えばポリウレタンからなる用具基材をメチルビニ
ルエーテル無水マレイン酸共重合体のメチルエチルケト
ン溶液に浸漬し、乾燥後、水処理することで、その表面
に潤滑性被膜を形成し、湿潤時に表面が潤滑性を発現す
るようにした医療用具が提案されている(特許登録第2
804200号公報)。この場合の基材への固定は化学
反応を利用していないので、未反応物の発生がなくなり
安全性の問題は回避される。しかしながら、例えば使用
時において血管への挿抜操作を繰り返し行うと、その繰
り返し応力によって表面潤滑性が低下する傾向があり、
耐久性の面で問題があった。また、製造方法としてはま
だ複雑であり、コストアップを防ぐことができなかっ
た。
ウレタンの混合物の溶液を合成樹脂からなる基材の表面
に塗布して被膜を形成した後に、被膜を加熱処理して不
溶化し、さらに親水化剤で処理して親水化し、湿潤時に
表面が潤滑性を発現するようにしたガイドワイヤーが提
案されている(特開平9−276392号公報)。この
場合の基材への固定も化学反応を利用しないので、未反
応物の発生がなくなって安全性の問題は回避され、形成
される被膜は摩擦耐久性を有し、表面潤滑性が安定的に
維持されるものである。しかしながら、被膜を不溶化さ
せるために120〜140℃の高温で加熱処理を行わな
ければならないため、処理時の高熱によって変形するカ
テーテル等の基材に対してはこの製造方法を実施するこ
とができないという問題があった。また、製造方法とし
てはまだ複雑であり、コストアップを防ぐことができな
かった。
めになされたもので、湿潤時の表面潤滑性を有すること
はもちろんのこと、その耐久性を発現できる被膜を有
し、かつその被膜を簡単な処理工程でコストアップさせ
ることなく各基材に対して形成することのできる医療用
具およびその製造方法を提供することを目的としたもの
である。
は、合成樹脂からなる医療用具の基材表面に、ポリエチ
レングリコールモノメチルエーテルとメチルビニルエー
テル無水マレイン酸共重合体とポリエーテルブロックア
ミドとを有機溶媒に溶解した被覆用混合溶液を塗布して
形成した被膜を有するものである。
合成樹脂を、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ナイロン
またはナイロンエラストマーとしたものである。
樹脂からなる医療用具の基材表面に、ポリエチレングリ
コールモノメチルエーテルとメチルビニルエーテル無水
マレイン酸共重合体とポリエーテルブロックアミドとを
有機溶媒に溶解した被覆用混合溶液を塗布して被膜を形
成する方法である。
樹脂からなる医療用具の基材表面に、ポリエチレングリ
コールモノメチルエーテルとメチルビニルエーテル無水
マレイン酸共重合体とポリエーテルブロックアミドとを
有機溶媒に溶解した被覆用混合溶液を塗布した後、低温
加熱処理して被膜を形成する方法である。
加熱処理を、エチレンオキサイド滅菌とした方法であ
る。
エチレングリコールモノメチルエーテルの混合比を、メ
チルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体に対して重
量比で10倍〜77倍の範囲内とした方法である。
エチレングリコールモノメチルエーテルの混合比を、メ
チルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体に対して重
量比で15倍〜77倍の範囲内とした方法である。
エチレングリコールモノメチルエーテルの分子量を、7
50より大きく5000までの範囲内とした方法であ
る。
脂からなる基材をポリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体
およびポリエーテルブロックアミドを有機溶媒に溶解し
た被覆用混合溶液に浸漬し、その後、加熱(例えばエチ
レンオキサイド滅菌)することにより、基材表面に被膜
を形成する。そして、この被膜は、湿潤時における表面
潤滑性を有するとともに、温水浸漬に対する潤滑耐久性
を発現する。
合溶液および被膜を有する医療用具の製造方法は、以下
の通りである。 (1)メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体と
ポリエーテルブロックアミドとを、有機溶媒であるテト
ラヒドロフラン(以下、THFと記す)、アセトンある
いはそれらの混合液に溶解して溶液を作製し、さらに、
溶液中に含まれるメチルビニルエーテル無水マレイン酸
共重合体に対して好ましくは重量比で10〜77倍、よ
り好ましくは重量比で15〜77倍のポリエチレングリ
コールモノメチルエーテルを有機溶媒であるTHFとと
もに添加して被覆用混合溶液を作製する。 (2)ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ナイロンまたは
ナイロンエラストマーの合成樹脂からなる基材の表面
に、浸漬法により、被覆用混合溶液を塗布する。 (3)塗布した基材を乾燥して50〜60℃程度で加熱
(あるいはエチレンオキサイド滅菌)し、基材表面に、
ポリエーテルブロックアミドにより付与されポリエチレ
ングリコールモノメチルエーテルにメチルビニルエーテ
ル無水マレイン酸共重合体がエステル結合により取り込
まれた被膜を形成する。 なお、エチレンオキサイド滅菌とは、エチレンオキサイ
ドガスを加圧して例えばカテーテルなどの被滅菌物に与
えて滅菌することであり、医療用具は一般的にこの滅菌
法が採用されている。
滑性および潤滑耐久性について、以下に実施例を用いて
説明する。
イン酸共重合体(商品名:Gantrez AN−16
9、ISP(INTERNATIONAL SPECI
ALTY PRODUCTS)社製)2%アセトン溶液
と、ポリエーテルブロックアミド(商品名:Pebax
2533SA、ATOCHEM社製)2%THF溶液
とを1::2の割合で混合した溶液を作製し、さらに、
溶液中に含まれるメチルビニルエーテル無水マレイン酸
共重合体に対して重量比で25.7倍のポリエチレング
リコールモノメチルエーテル(分子量2000、Ald
rich Chemical社製)を添加するととも
に、溶液全体の固形分濃度が15%となるようにTHF
を添加して、被覆用混合溶液を作製した。ついで、基材
をこの被覆用混合溶液中に浸漬し、引き上げ後乾燥し、
エチレンオキサイド滅菌して基材表面に被膜を形成し
た。
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルに代えて、
分子量5000のポリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル(Aldrich Chemical社製)を使
用し、実施例1と同様に被膜用混合溶液を作製して基材
表面に被膜を形成した。
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルに代えて、
分子量750のポリエチレングリコールモノメチルエー
テル(Aldrich Chemical社製)を使用
し、実施例1と同様に被膜用混合溶液を作製して基材表
面に被膜を形成した。
コールモノメチルエーテルのメチルビニルエーテル無水
マレイン酸共重合体に対する混合比を、重量比25.7
倍に代えて、重量比6.7倍とし、実施例1と同様に被
膜用混合溶液を作製して基材表面に被膜を形成した。
コールモノメチルエーテルのメチルビニルエーテル無水
マレイン酸共重合体に対する混合比を、重量比25.7
倍に代えて、重量比11.6倍とし、実施例1と同様に
被膜用混合溶液を作製して基材表面に被膜を形成した。
コールモノメチルエーテルのメチルビニルエーテル無水
マレイン酸共重合体に対する混合比を、重量比25.7
倍に代えて、重量比18.2倍とし、実施例1と同様に
被膜用混合溶液を作製して基材表面に被膜を形成した。
コールモノメチルエーテルのメチルビニルエーテル無水
マレイン酸共重合体に対する混合比を、重量比25.7
倍に代えて、重量比77.1倍とし、実施例1と同様に
被膜用混合溶液を作製して基材表面に被膜を形成した。
直径が16Gのポリウレタンからなるチューブとした。
そして、表面に被膜が形成されたチューブに対しては次
のような表面潤滑性試験を行った。その結果を表1に示
す。
膜の初期潤滑性ついて評価した。評価結果は潤滑性が高
い順から「◎」「○」「△」「×」とした。 チューブを50℃の蒸留水に24時間浸漬した後、手
感で被膜の温水浸漬に対する潤滑耐久性について評価し
た。評価結果は上記のと同様である。
比較例7は、基材の表面にいずれの被膜も形成されてい
ないものとする。また、比較例1乃至7の基材も、実施
例と同様にいずれも直径が16Gのポリウレタンからな
るチューブとし、上述の表面潤滑性試験を行った。その
結果を表1に示す。
コールモノメチルエーテル(分子量2000、Aldr
ich Chemical社製)に代えて、ポリエチレ
ングリコール(分子量2000、ナカライテクス社製)
を使用し、実施例1と同様に被膜用混合溶液を作製して
基材表面に被膜を形成した。
コールモノメチルエーテル(分子量2000、Aldr
ich Chemical社製)に代えて、ポリエチレ
ングリコールジメチルエーテル(分子量2000、Me
rck社製)を使用し、実施例1と同様に被膜用混合溶
液を作製して基材表面に被膜を形成した。
coflex SG80A Thermedics社
製)5%THF溶液と、4,4’−ジフェニルメタンジ
イソシアネート2%メチルエチルケトン(以下、MEK
と記す)溶液とを1:1の割合で混合した被覆用混合溶
液を作製し、基材をこの被覆用混合溶液中に浸漬し、引
き上げ後乾燥温度60℃で1時間乾燥し、その後メチル
ビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(商品名:Ga
ntrez AN−169、ISP社製)2.5%ME
K溶液中に1分間浸漬し、引き上げ後60℃で30分間
乾燥し、0.1NのNaOH水溶液に3分間浸漬し、引
き上げ後水洗いをして乾燥し、エチレンオキサイド滅菌
して基材表面に被膜を形成した。なお、この比較例3
は、上記従来の技術1に対応するものである。
メタンジイソシアネート5%MEK溶液に浸漬し、引き
上げ後乾燥温度60℃で1時間乾燥し、その後ポリビニ
ルピロリドン(商品名:K−90、ISP社製)5%ク
ロロホルム溶液中に浸漬し、引き上げ後乾燥温度60℃
で30分間乾燥し、エチレンオキサイド滅菌して基材表
面に被膜を形成した。なお、この比較例4は、上記従来
の技術2に対応するものである。
無水マレイン酸共重合体(商品名:Gantrez A
N−169、ISP社製)3%MEK溶液中に30秒間
浸漬し、引き上げ後乾燥温度60℃で2時間乾燥し、
0.1NのNaOH水溶液に3分間浸漬し、引き上げ後
水洗いをし、乾燥後エチレンオキサイド滅菌して基材表
面に被膜を形成した。なお、この比較例5は、上記の特
許登録第2804200号公報に開示された発明に対応
するものである。
レイン酸共重合体(商品名:Gantrez AN−1
69、ISP社製)と、ポリウレタン(商品名:Tec
oflex SG80A Thermedics社製)
とを混合した1.125%MEK溶液(被膜用混合溶
液)を作製し、基材をこの被膜用混合溶液中に10秒間
浸漬し、引き上げ後乾燥温度80℃で10時間乾燥し、
40%メチルアミン水溶液に1時間浸漬し、引き上げ後
乾燥し、エチレンオキサイド滅菌して基材表面に被膜を
形成した。なお、この比較例6は、上記の特開平9−2
76392号公報に開示された発明に対応するものであ
る。
性については、実施例1,2,6,7および比較例3乃
至6において評価は同じであった。しかしながら、比較
例4および比較例5では、手感によって被膜の成分等が
溶出していることが明らかにわかり、その溶出物によっ
て安全性の問題が発生するおそれがあって、実用化には
ほど遠いものである。なお、実施例7は若干被膜の成分
等が溶出しているものの、安全性に問題が生じる量では
ない。また、実施例3,4は評価が「△」であるもの
の、用途によっては十分実用できるものである。よっ
て、実施例1,2,6および比較例3,6が初期潤滑性
に優れ実用性の高いものであると言える。
耐久性については、実施例1,2,6,7および比較例
5が比較例3,4,6よりもよい結果となった。比較例
3,4,6は、温水浸漬後、潤滑性は感じられるものの
実施例1,2,6,7および比較例5より劣っており、
比較例5は、温水浸漬後強い潤滑性は感じられるもの
の、温水中に剥離した被膜が目視によって観察され、こ
の剥離物は溶けたりすることなく残留してしまうため、
安全性の問題が発生するおそれがあり、実用化にはほど
遠いものである。よって、実施例1,2,6,7が潤滑
耐久性に優れ実用性の高いものであるといえる。
・塗布・乾燥・熱処理・アルカリ処理・水処理・乾燥の
工程が必要であり、比較例4は、塗布・乾燥・熱処理・
塗布乾燥・熱処理の工程、比較例5は、塗布・乾燥・熱
処理・アルカリ処理・水処理・乾燥の工程、比較例6
は、塗布・乾燥・熱処理・アルカリ処理・水処理・乾燥
の工程が必要であって、いずれも処理工程が複雑であ
る。これに対して実施例1乃至7、特に実施例1,2,
6は、塗布・乾燥の工程と簡単な処理工程だけで優れた
初期潤滑性および潤滑耐久性が実現でき、極めて低コス
トでの処理が可能である。
条件でポリエチレングリコールモノメチルエーテル以外
を使用した比較例1,2は、被膜の初期潤滑性および潤
滑耐久性が全く得られないことがわかる。つまり、分子
中両末端に水酸基を持つ、あるい両末端ともメチル基で
ブロックされているものは潤滑性を発現せず、片末端の
みメチル基でブロックされ別の片端は水酸基を持つポリ
エチレングリコールモノメチルエーテルを用いることに
よって、被膜の初期潤滑性および潤滑耐久性が発現され
ることがわかる。
ルエーテルの分子量は、特に限定されるものではない
が、実施例1乃至3からわかるように、分子量2000
あるいは5000とすると、より優れた初期潤滑性およ
び潤滑耐久性の被膜を得られる。よって、ポリエチレン
グリコールモノメチルエーテルの分子量は、750より
大きい範囲がより好ましい。ただし、分子量5000よ
り大きいポリエチレングリコールモノメチルエーテルは
市販されていないため、ここでの分子量の上限は500
0となる。
エーテルのメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合
体に対する混合比は、限定されるものではないが、実施
例1,4乃至7からわかるように、混合比が重量比で
6.7倍と低いと初期潤滑性および潤滑耐久性は得られ
るもののより優れたものではなく、混合比を高くしてい
くにつれて初期潤滑性および潤滑耐久性はより優れたも
のとなり、混合比が重量比で77.1倍と高くなると被
膜の成分等が若干溶出しているように感じられる。な
お、この溶出物は安全性に問題が生じる量ではない。よ
って、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルのメ
チルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体に対する混
合比は、重量比で10〜77倍の範囲が好ましく、重量
比で15〜77倍の範囲がより好ましい。
1,2,6は試験,のいずれにおいてもよい結果を
示しており、実施例1,2,6は、その被膜が初期潤滑
性および温水浸漬に対する潤滑耐久性に優れるものであ
ると言える。また、この被膜は、上述のような低温加熱
処理、つまり医療用具に対してほぼ必ず行われるエチレ
ンオキサイド滅菌などの一般的な滅菌方法で、かつ簡単
な処理工程だけでそれらの性能を達成できるので、各基
材に対して形成可能な製造方法であり、特にコスト吸収
力の弱い低価格の医療用具に対しても適用可能である。
ンで構成した場合を示したが、ポリ塩化ビニル、ナイロ
ンあるいはナイロンエラストマーで構成してもよい。こ
れらの場合も同様の効果を奏する。
合成樹脂からなる医療用具の基材表面に、ポリエチレン
グリコールモノメチルエーテルとメチルビニルエーテル
無水マレイン酸共重合体とポリエーテルブロックアミド
とを有機溶媒に溶解した被覆用混合溶液を塗布して形成
した被膜を有するので、湿潤時に優れた表面潤滑性を発
現することができる。また、被膜用混合溶液に含有され
たポリエチレングリコールモノメチルエーテルによっ
て、温水浸漬に対する潤滑耐久性も発現し、被膜の基材
への密着性および被膜成分等の非溶出性を有するので、
実用性の高い医療用具を得ることができる。
合成樹脂を、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ナイロン
またはナイロンエラストマーとしたので、ポリエーテル
ブロックアミドとの親和性が得られ、形成された被膜の
有する表面潤滑性および潤滑耐久性を発現することがで
きる。
樹脂からなる医療用具の基材表面に、ポリエチレングリ
コールモノメチルエーテルとメチルビニルエーテル無水
マレイン酸共重合体とポリエーテルブロックアミドとを
有機溶媒に溶解した被覆用混合溶液を塗布して被膜を形
成する方法であるので、優れた表面潤滑性および潤滑耐
久性を有する被膜を簡単な処理工程で形成することがで
きる。
樹脂からなる医療用具の基材表面に、ポリエチレングリ
コールモノメチルエーテルとメチルビニルエーテル無水
マレイン酸共重合体とポリエーテルブロックアミドとを
有機溶媒に溶解した被覆用混合溶液を塗布した後、低温
加熱処理して被膜を形成する方法であるので、優れた表
面潤滑性および潤滑耐久性を有する被膜を簡単な処理工
程で形成することができるとともに、高温処理では変形
してしまうカテーテル等の各医療用具に対しても適用す
ることができる。
加熱処理を、エチレンオキサイド滅菌とした方法である
ので、製造された医療用具に対して必ず行われる滅菌処
理を製造工程の一つとすることができる。これにより、
医療用具のコスト低減を図ることができる。
エチレングリコールモノメチルエーテルの混合比を、メ
チルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体に対して重
量比で10倍〜77倍の範囲内とした方法であるので、
より優れた初期潤滑性および潤滑耐久性の被膜を有する
医療用具を製造することができる。
エチレングリコールモノメチルエーテルの混合比を、メ
チルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体に対して重
量比で15倍〜77倍の範囲内とした方法であるので、
さらに初期潤滑性および潤滑耐久性に優れた被膜を有す
る医療用具を製造することができる。
エチレングリコールモノメチルエーテルの分子量を、7
50より大きく5000までの範囲内とした方法である
ので、より優れた初期潤滑性および潤滑耐久性の被膜を
有する医療用具を製造することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 合成樹脂からなる医療用具の基材表面
に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとメチ
ルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体とポリエーテ
ルブロックアミドとを有機溶媒に溶解した被覆用混合溶
液を塗布して形成した被膜を有することを特徴とする医
療用具。 - 【請求項2】 基材を構成する合成樹脂を、ポリウレタ
ン、ポリ塩化ビニル、ナイロンまたはナイロンエラスト
マーとしたことを特徴とする医療用具。 - 【請求項3】 合成樹脂からなる医療用具の基材表面
に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとメチ
ルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体とポリエーテ
ルブロックアミドとを有機溶媒に溶解した被覆用混合溶
液を塗布して被膜を形成することを特徴とする医療用具
の製造方法。 - 【請求項4】 合成樹脂からなる医療用具の基材表面
に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとメチ
ルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体とポリエーテ
ルブロックアミドとを有機溶媒に溶解した被覆用混合溶
液を塗布した後、低温加熱処理して被膜を形成すること
を特徴とする医療用具の製造方法。 - 【請求項5】 低温加熱処理を、エチレンオキサイド滅
菌としたことを特徴とする請求項4記載の医療用具の製
造方法。 - 【請求項6】 ポリエチレングリコールモノメチルエー
テルの混合比を、メチルビニルエーテル無水マレイン酸
共重合体に対して重量比で10倍〜77倍の範囲内とし
たことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の
医療用具の製造方法。 - 【請求項7】 ポリエチレングリコールモノメチルエー
テルの混合比を、メチルビニルエーテル無水マレイン酸
共重合体に対して重量比で15倍〜77倍の範囲内とし
たことを特徴とする請求項6記載の医療用具の製造方
法。 - 【請求項8】 ポリエチレングリコールモノメチルエー
テルの分子量を、750より大きく5000までの範囲
内としたことを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに
記載の医療用具の製造方法。
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