JP2003299432A - 蒸気土壌消毒装置用の蒸気放出シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸気土壌消毒機を用いて土壌を蒸気で加熱し
て消毒する土壌消毒作業の準備作業を容易なものとする
こと。 【解決手段】 本発明では、土壌を蒸気で加熱して消毒
するための蒸気土壌消毒装置に接続され、かつ圃場の表
面を被覆するとともに圃場の表面に向けて蒸気を放出す
べく構成した蒸気土壌消毒機用の蒸気放出シートを提供
することにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、蒸気土壌消毒装置
用の蒸気放出シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】同一の圃場において連続して作物の育成
を行うと、害虫や病原菌の密度が高くなるといった連作
障害が発生して、作物の品質が低下するおそれがあった
ため、連作前に圃場に臭化メチルを散布することによっ
て土壌の消毒を行っていた。

【０００３】しかしながら、臭化メチルは、オゾン層破
壊の原因となることから、２００５年には全廃すること
が義務付けられており、これに替わる土壌消毒方法の開
発が必要であった。

【０００４】そこで、臭化メチルによる土壌消毒に替え
て、蒸気による土壌消毒が注目されるようになってきて
いる。

【０００５】かかる蒸気による土壌消毒としては、ボイ
ラーに蒸気放出管を連通連結した蒸気土壌消毒装置を使
用し、圃場に蒸気放出管を敷設するとともに、圃場及び
蒸気放出管をマルチシートで被覆し、その後、ボイラー
で発生した蒸気を蒸気放出管から土壌中に放出し、土壌
の内部をほとんどの害虫や病原菌が死滅する温度である
約６０℃以上にまで加熱することによって、土壌の消毒
を行っていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
蒸気土壌消毒装置にあっては、蒸気を圃場に放出して土
壌消毒を行う前に、圃場に蒸気放出管を敷設するととも
に、圃場及び蒸気放出管をマルチシートで被覆するとい
った煩雑な準備作業が必要であり、かかる準備作業に多
大な時間や労力を要するおそれがあった。

【０００７】また、上記従来の蒸気土壌消毒装置にあっ
ては、給水源から常温の水をボイラーに供給し、ボイラ
ーで常温の水から高温・高圧の蒸気を生成していたた
め、ボイラーが大型化して蒸気土壌消毒装置のコストが
増大するとともに、ボイラーの消費燃料が増大して土壌
消毒に要するコストが増大するおそれがあった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】そこで、請求項１に係る
本発明は、土壌を蒸気で加熱して消毒するための蒸気土
壌消毒装置に接続され、かつ圃場の表面を被覆するとと
もに圃場の表面に向けて蒸気を放出すべく構成した蒸気
土壌消毒装置用の蒸気放出シートを提供するものであ
る。

【０００９】また、請求項２に係る本発明では、蒸気土
壌消毒装置用の蒸気放出シートに錘としての水を貯留す
るための貯水部を設けることにした。

【００１０】また、請求項３に係る本発明では、前記貯
水部を、給水源から水が供給され、貯留した水を蒸気土
壌消毒装置のボイラーに供給すべく構成することにし
た。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明に係る蒸気土壌消毒装置用
の蒸気放出シートは、土壌を蒸気で加熱して消毒するた
めの蒸気土壌消毒装置に接続されるものであり、圃場の
表面を被覆するとともに圃場の表面に向けて蒸気を放出
するように構成したものである。

【００１２】そのため、かかる蒸気土壌消毒装置用の蒸
気放出シートは従来の蒸気放出管とマルチシートとを兼
用した構造となっており、従来のように蒸気放出管とマ
ルチシートとをそれぞれ別個に圃場に載置する必要がな
くなり、蒸気土壌消毒装置用の蒸気放出シートを圃場の
表面に載置するだけで蒸気土壌消毒装置を用いた土壌消
毒作業のための準備作業が行え、準備作業に要する労力
や時間を大幅に削減することができるものである。

【００１３】特に、蒸気土壌消毒装置用の蒸気放出シー
トに錘としての水を貯留するための貯水部を設けた場合
には、蒸気放出シートとは別個に錘としての水枕を載置
する作業を省略することができ、これによっても、準備
作業に要する労力や時間を大幅に削減することができる
ものである。

【００１４】また、前記貯水部を、給水源から水が供給
され、貯留した水を蒸気土壌消毒装置のボイラーに供給
するように構成した場合には、蒸気土壌消毒装置用の蒸
気放出シートに簡単に錘としての水を供給することがで
き、また、貯水部において蒸気の熱で加熱された水をボ
イラーに供給することで、ボイラーでの熱量を少なくす
ることができるので、ボイラーを小型化することができ
て蒸気土壌消毒装置の低廉化を図ることができるととも
に、ボイラーでの燃料消費を削減することができて土壌
消毒に要するコストを削減することができるものであ
る。

【００１５】

【実施例】以下に、本発明の実施例について図面を参照
しながら具体的に説明する。

【００１６】本発明に係る蒸気土壌消毒装置用の蒸気放
出シート１は、図１に示すように、蒸気土壌消毒装置２
に接続されて使用されるものである。

【００１７】まず、蒸気土壌消毒装置２の構成について
説明すると、蒸気土壌消毒装置２は、走行可能に構成し
た走行機体３の上部にボイラー４を載設し、同ボイラー
４の前部にエンジン５を配設する一方、ボイラー４の後
部に蒸気発生装置６を配設し、さらには、ボイラー４の
左側上部にコントローラ７を配設している。図中、８は
給水タンク、９は給水源としての水道栓、10は３相２０
０Ｖの配電盤、11は重油タンク、12は排気筒、13はバー
ナである。

【００１８】そして、蒸気土壌消毒装置２は、水道栓９
から供給される水をボイラー４で加熱して蒸気を発生
し、かかる蒸気を蒸気放出弁14を介して蒸気放出パイプ
15に供給するようにしている。

【００１９】次に、蒸気土壌消毒装置用の蒸気放出シー
ト１の構成について説明すると、蒸気放出シート１は、
図１〜図３に示すように、可撓性を有する左右横長の長
方形シート状に形成され、圃場16の表面に載置して使用
されるものであり、従来の蒸気放出管とマルチシートと
水枕とを兼用した構成となっている。

【００２０】すなわち、蒸気放出シート１は、前側部と
後側部に左右横幅方向に伸延する長方形袋状の蒸気放出
部17,17を形成するとともに、同蒸気放出部17,17の周囲
に水を貯留するためのパイプ状の貯水部18と、これらの
蒸気放出部17と貯水部18との間に圃場被覆部19とを形成
している。

【００２１】蒸気放出部17は、上面シート20と下面シー
ト21とで袋状に形成しており、左端部に蒸気供給口22を
形成するとともに、上面シート20に複数の蒸気放出孔23
を穿設している。なお、蒸気放出部17は、上面シート20
と下面シート21とを中央部で接着して内部で前後に区画
した構成としてもよい。

【００２２】そして、蒸気放出部17は、蒸気供給口22に
蒸気土壌消毒装置２の蒸気放出パイプ15を連通連結し、
ボイラー４から供給される蒸気を蒸気放出孔23から圃場
16の表面に向けて放出するようにしている。

【００２３】貯水部18は、蒸気放出シート１の前側左端
部に給水口24を形成する一方、後側左端部に排水口25を
形成し、給水口24から排水口25まで筒状に形成してい
る。

【００２４】そして、貯水部18は、給水口24に給水源と
しての水道栓９を給水ホース26を介して連通連結する一
方、排水口25に蒸気土壌消毒装置２のボイラー４に排水
ホース27を介して連通連結しており、水道栓９から供給
された水が貯水部18に一旦貯留されることで錘として機
能するようにしている。

【００２５】しかも、貯水部18に貯留された水は、蒸気
放出部17に供給された蒸気の熱で加熱され、その後、排
水口25から排出されて給水タンク８に供給され、ボイラ
ー４で加熱されることになるため、貯水部18は、ボイラ
ー４で加熱する水を予備的に加熱する予備加熱装置とし
ても機能することになる。

【００２６】蒸気放出シート１は、以上のように構成し
ており、その使用方法を図１に基づいて以下に説明す
る。

【００２７】まず、圃場16の表面に蒸気放出シート１を
載置する。その際に、畝28の上部に蒸気放出部17を載置
するとともに、隣接する畝28,28の間に貯水部18を載置
し、畝28の側部を圃場被覆部19で被覆する。

【００２８】次に、貯水部18の給水口24に水道栓９を給
水ホース26を介して連通連結するとともに、排水口25に
蒸気土壌消毒装置２のボイラー４に排水ホース27を介し
て連通連結し、水道水９から貯水部18に水を供給し、貯
水部18から蒸気土壌消毒装置２の給水タンクに水を供給
する。

【００２９】次に、蒸気放出部17の蒸気供給口22に蒸気
土壌消毒装置２の蒸気放出パイプ15を連通連結する。

【００３０】これにより、蒸気土壌消毒装置２を用いて
土壌の消毒を行うための準備作業が完了する。

【００３１】次に、蒸気発生装置６を駆動して、ボイラ
ー４から供給される蒸気を蒸気放出部17の蒸気放出孔23
から圃場16の表面に向けて放出する。これにより、蒸気
放出孔23から放出された蒸気が大気中に拡散することな
く土壌内部に浸透し、土壌の内部が蒸気によって所定温
度以上（例えば、約６０℃以上）に加熱され、土壌の内
部の害虫や病原菌を死滅させることによって土壌の消毒
を行う。

【００３２】このように、蒸気放出シート１は、土壌を
蒸気で加熱して消毒するための蒸気土壌消毒装置２に接
続され、かつ圃場16の表面を被覆するとともに圃場16の
表面に向けて蒸気を放出するように構成しているため、
従来の蒸気放出管とマルチシートとを兼用した構造とな
っており、従来のように蒸気放出管とマルチシートとを
それぞれ別個に圃場16に載置する必要がなくなり、蒸気
土壌消毒装置用の蒸気放出シート１を圃場16の表面に載
置するだけで蒸気土壌消毒装置２を用いた土壌消毒作業
のための準備作業が行え、準備作業に要する労力や時間
を大幅に削減することができる。

【００３３】特に、蒸気土壌消毒装置用の蒸気放出シー
ト１に錘としての水を貯留するための貯水部18を設けて
いるため、蒸気放出シート１とは別個に錘としての水枕
を載置する作業を省略することができ、これによって
も、準備作業に要する労力や時間を大幅に削減すること
ができる。

【００３４】また、貯水部18は、給水源から水が供給さ
れ、貯留した水を蒸気土壌消毒装置１のボイラー４に供
給するように構成しているため、蒸気土壌消毒装置用の
蒸気放出シート１に簡単に錘としての水を供給すること
ができ、また、貯水部18において蒸気の熱で加熱された
水をボイラー４に供給することで、ボイラー４での熱量
を少なくすることができるので、ボイラー４を小型化す
ることができて蒸気土壌消毒装置２の低廉化を図ること
ができるとともに、ボイラー４での燃料消費を削減する
ことができて土壌消毒に要するコストを削減することが
できる。

【００３５】

【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。

【００３６】すなわち、請求項１に係る本発明では、土
壌を蒸気で加熱して消毒するための蒸気土壌消毒装置に
接続され、かつ圃場の表面を被覆するとともに圃場の表
面に向けて蒸気を放出すべく構成しているため、かかる
蒸気土壌消毒装置用の蒸気放出シートは従来の蒸気放出
管とマルチシートとを兼用した構造となっており、従来
のように蒸気放出管とマルチシートとをそれぞれ別個に
圃場に載置する必要がなくなり、蒸気土壌消毒装置用の
蒸気放出シートを圃場の表面に載置するだけで蒸気土壌
消毒装置を用いた土壌消毒作業のための準備作業が行
え、準備作業に要する労力や時間を大幅に削減すること
ができる。

【００３７】また、請求項２に係る本発明では、蒸気土
壌消毒装置用の蒸気放出シートに錘としての水を貯留す
るための貯水部を設けているため、蒸気放出シートとは
別個に錘としての水枕を載置する作業を省略することが
でき、これによっても、準備作業に要する労力や時間を
大幅に削減することができる。

【００３８】また、請求項３に係る本発明では、前記貯
水部を、給水源から水が供給され、貯留した水を蒸気土
壌消毒装置のボイラーに供給すべく構成しているため、
蒸気土壌消毒装置用の蒸気放出シートに簡単に錘として
の水を供給することができ、また、貯水部において蒸気
の熱で加熱された水をボイラーに供給することで、ボイ
ラーでの熱量を少なくすることができるので、ボイラー
を小型化することができて蒸気土壌消毒装置の低廉化を
図ることができるとともに、ボイラーでの燃料消費を削
減することができて土壌消毒に要するコストを削減する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る蒸気土壌消毒機用の蒸気放出シー
トの使用状態を示す斜視図。

【図２】同断面図。

【図３】同平面図。

【符号の説明】

１ 蒸気放出シート ２ 蒸気土壌消毒装置 ４ ボイラー ６ 蒸気発生装置 ８ 給水タンク ９ 水道栓 15 蒸気放出パイプ 16 圃場 17 蒸気放出部 18 貯水部 19 圃場被覆部 20 上面シート 21 下面シート 22 蒸気供給口 23 蒸気放出孔 24 給水口 25 排水口 26 給水ホース 27 排水ホース

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 土壌を蒸気で加熱して消毒するための蒸
   気土壌消毒装置に接続され、かつ圃場の表面を被覆する
   とともに圃場の表面に向けて蒸気を放出すべく構成した
   ことを特徴とする蒸気土壌消毒装置用の蒸気放出シー
   ト。
2. 【請求項２】 錘としての水を貯留するための貯水部を
   具備することを特徴とする請求項１記載の蒸気土壌消毒
   装置用の蒸気放出シート。
3. 【請求項３】 前記貯水部は、給水源から水が供給さ
   れ、貯留した水を蒸気土壌消毒装置のボイラーに供給す
   べく構成したことを特徴とする請求項２記載の蒸気土壌
   消毒装置用の蒸気放出シート。