JP2003298529A - 利得補償装置及びそれを用いた伝送システム - Google Patents
利得補償装置及びそれを用いた伝送システムInfo
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Abstract
低コストな構成で利得チルト量を推定し,最適利得補償
量を設定可能とする可変利得補償装置を提供する。 【解決手段】 各中継器の光アンプ入力パワーをモニタ
し,SV光で下流側に転送する。可変利得補償器を備え
た中継器においては,上流側の各中継器の光アンプの入
力パワーモニタ情報をSV信号から取得する。光アンプ
の利得チルトが光アンプの入力パワーに対して線形な関
係にあることを利用して,入力パワーモニタ情報と基準
値を比較して,各光アンプの利得チルト量を算出し,得
られた値を元に可変利得補償器の利得補償量を決定す
る。
Description
る波長間の利得差を補償する利得補償装置及びそれを用
いた伝送システムに関し,特に可変型の利得補償装置の
制御手法に関する。
用いて光信号を電気に変換することなく中継増幅するこ
とにより,長距離伝送システムの大幅なコストダウンが
実現される。長距離伝送システムの中継増幅用光アンプ
としては,現在,エルビウム添加ファイバ増幅器(Erbi
um−doped Fiber Amplifier:EDFA)に代表され
る,希土類添加ファイバ増幅器が主力である。例えばE
DFAでは,エルビウムをドーピングしたエルビウム添
加ファイバ(EDF)に,波長1480nm近傍あるい
は波長980nm近傍の励起光を入射することによっ
て,波長1530nmから1620nmの光信号を増幅
することが可能となる。
式として,波長多重伝送方式(Wavelength−Division M
ultiplexing:WDM)がある。WDMは複数の波長の
光信号を多重して一括伝送させる方式であり,波長多重
数を上げることにより,総伝送容量は比例して向上す
る。前記光アンプは,このWDM信号を波長毎に分波す
ることなく,一括して中継増幅することが可能であるた
め,光アンプを用いることによるコスト低減の効果はさ
らに大きくなる。
において,伝送距離を制限する主要因として,光アンプ
の利得の波長依存性(利得チルト)がある。光アンプの
利得が信号(波長)により異なると,信号間(波長間)
の出力パワー差,信号雑音比(SNR)差が引起され,
その結果,信号間の受信特性の差を引起してしまう。ま
た,光ファイバには,入射信号の強度に依存して,波形
歪みやノイズを増大させる非線型応答という現象が存在
する。従って,光アンプの利得チルトによって誘引され
た信号間の出力パワー差は,この光ファイバの非線型応
答の影響の差となって現れ,さらに信号間の受信特性の
差が拡大してしまう。
利得補償器の適用が効果的である。光アンプの利得チル
トは主にEDF自体の波長依存性,あるいは(EDF以
外の)光アンプ構成部品の損失の波長依存性に起因して
いる。そこで,これらのデバイスの波長依存性を打消す
ように,利得補償器の損失特性を設計し,この利得補償
器を光アンプ内に設置することにより,利得チルトが抑
圧可能となる。これらの利得補償器は例えば,ファイバ
=ブラッグ=グレーティング(FBG),誘電体多層膜
フィルタ,エタロンフィルタ,あるいはガラス導波路上
に形成されたマッハ=ツエンダ干渉計(MZ干渉計)等
の受動光学素子により実現される。
力信号パワーや励起光パワーの変動に対して無依存な,
いわば静的な利得チルトである為,前記の(補償量が固
定の)固定利得補償器によって利得補償が可能である。
しかしながら,一方で,光アンプの利得チルトには,入
力信号パワーや励起光パワーに対して変動する,動的な
利得チルトが存在し,固定利得補償器では,この動的利
得チルトを補償しきれないという問題がある。
(EDFA)に入射した場合の,アンプ出力の特性例を
示した図である。同光アンプには,入力パワーが変動し
ても,総出力パワーが一定値になるように励起パワー量
を自動的に調整する制御(Automatic Level Control:
ALC制御)を施している。ALC制御を施している
為,全信号パワーの総和,つまり総信号パワーは入力パ
ワーが変動しても一定に保たれている。しかしながら,
個々の信号パワーは,入力パワーが変動すると,あたか
もシーソーが揺れるように振るまい,波長間で信号パワ
ー差が発生してしまう。例えば,アンプ入力が−15d
Bmの場合にはアンプの出力(相対値)は波長によら
ず,0dBmで一定値であり,平坦な出力特性が得られ
ている。しかしながら,アンプ入力が増加して−10d
Bmになると短波長側の信号出力が減少し,一方で長波
長側の信号出力が増大することにより,いわゆる右肩上
がりの出力特性になっている。また,アンプ入力が減少
して−20dBmになると,今度は短波長側の信号出力
が増大し,一方で長波長側の信号出力が減少することに
より,いわゆる右肩下がりの出力特性となる。
プの入力パワーは,アンプの出力パワーと中継器間のス
パン損失(伝送路の損失)によって決定される。スパン
損失は,ファイバ自体の損失係数のばらつき,ファイバ
接続時のスプライス損やコネクタ損,そしてファイバ長
のばらつき等の要因により,スパン毎にばらつきがあ
る。特に陸上系の中継伝送システムでは,中継器を正確
に等間隔に配置することが困難であるため,スパン損失
には数dBから場合によっては10dB以上のばらつき
が存在する。
入力値に対して平坦な出力を実現するように,前記の固
定利得補償器の補償量を設計して製造される。しかしな
がら,スパン損失のばらつきが発生すると,固定利得補
償器では,基準入力に対応する基準スパン損失では平坦
な出力特性を実現しても,スパン損失のばらつきによる
入力パワー変動が発生した場合には動的な利得チルトの
発生により,平坦性を維持することが出来なくなり,中
継伝送に支障を来してしまうことになる例えば,図2の
特性のアンプを中継器として用いた場合を考える。平坦
な出力が得られる基準入力は図2に示す通りに−15d
Bmと定め,また,この入力に対応する基準スパン損失
を20dBと仮に定める。ある中継区間にてスパン間隔
が基準値よりも短くなり,スパン損失が15dBとなっ
たとする。すると,アンプ入力が増大して−10dBm
となる為に,アンプ出力は右肩上がりとなり,最短波長
を基準とすると約1dBの利得チルトが発生する。一
方,ある中継区間にてスパン間隔が長くなった為,ある
いはスプライス接続やコネクタ接続による過剰損失の
為,スパン損失が25dBとなったとする。すると,今
度はアンプ入力が減少して−20dBmとなる為に,ア
ンプ出力は右肩下がりとなり,最短波長を基準とする
と,約−1dBの利得チルトが発生する。
する為には,補償量が可変となる,可変利得補償器を用
いることが有効な手段である。可変の利得補償器を実現
する手段として,例えば文献1ではファラデー回転子と
複屈折素子を用いて可変利得補償デバイスを実現してお
り,また,文献2ではガラス導波路にて形成したマッハ
=ツエンダ干渉計により可変利得補償デバイスを実現し
ている。どちらのデバイスにおいても,波長に対する損
失傾き(スロープ)を可変することにより,図2に示す
ような光アンプの入力依存の動的利得チルトを補償して
いる。
Shukunami, and N. Naganuma, N. Fukushima, "Flexibl
y Variable Spectrum Equalizer for Spectral Tilt Co
mpensation", Optical Fiber Communication Conferenc
e 2000, paper WF2) (文献2:H. Hatayama, C. Hirose, K. Koyama, N. Ak
asaka and M. Nishimura, "Variable Attenuation Slop
e Compensator (VASC) Using Silica-based Planar Lig
htwave Circuit Technology for Active Gain Slope Co
ntrol in EDFAs", Optical Fiber Communication Confe
rence 2000, paper WH7)
の可変利得補償器を実際に伝送システム内で運用する為
には,発生している利得チルト量をモニタし,利得等化
量を決定し,利得補償器の実際の補償量を設定する,と
いう働きをする制御回路が必須となる。
図3(a)に示す様に,出力パワーの一部をカプラ(1
01)で分岐し,スペクトルアナライザ等のスペクトル
モニタ手段(102)を用いてWDMスペクトルをモニ
タして,制御回路(103)にモニタ結果を転送する必
要がある。一般に,スペクトルモニタ手段(102)は
非常に高価であり,また,中継伝送装置や端局伝送装置
内に実装するには,スペースや耐久性,信頼性等の観点
より,実用までには,まだ,考慮すべき課題が多い。
に,波長に対して線形的であることを利用し,特開平1
0−22924,あるいは特開平11−224967な
どでは図3(b)に示される,比較的簡易なチルト量モ
ニタが提案されている。出力パワーの一部をカプラ(1
01)で分岐し,分波器(104)にて短波長側の信号
λ1と長波長側の信号λ2を分波し,それぞれモニタP
D(105,106)で信号パワーに比例した情報P
1,P2に変換する。制御回路(103)では信号パワ
ー情報P1とP2を比較する。ここで短波長側の信号λ
1を図2に示す動的利得チルト特性の支点(1554n
m付近)よりも短波長側の波長とし,信号λ2を長波長
側の波長とすると,P1とP2の比較から,チルトの傾
きの符号,そしてチルトの傾きの絶対量を算出すること
が可能となる。従って,可変利得補償器(16)の補償
量を算出可能となる。
も,分波器(104)やモニタPD(106)等の高価
な光部品を多数必要とし,光中継器のコスト増大を引起
してしまう。また,光部品数の増大は,スプライス工程
の増加や,光部品実装面積の増大を引起し,さらにコス
ト増大を引起してしまう。
て,利得チルト量をモニタし,可変利得補償器を制御す
る装置を実現することである。
光中継器とその下流側に接続された可変利得補償装置か
ら構成されるWDM伝送システムにおいて,各光中継器
は光アンプの入力パワーをモニタする手段と,モニタし
た値を下流側に転送する手段を備え,転送されてきた各
アンプの入力モニタ値から利得波長依存特性を推定し,
可変利得補償装置の補償量を決定することを特徴とする
伝送装置が提供される。
て,各アンプの入力モニタ値(dB値)より線形な演算
(一次関数式)を用いて利得波長依存性を推定し,この
情報を元に前記可変利得補償器の補償量を決定すること
を特徴とした伝送装置が提供される。
とその下流側に接続された可変利得補償装置から構成さ
れるWDM伝送システムにおいて,各光中継器は光アン
プの入力パワーをモニタする手段と,モニタした値を下
流側に転送する手段を備え,光アンプの出力パワーをモ
ニタする手段と,モニタした値を下流側に転送する手段
を備え,転送されてきた各アンプの入力モニタ値から利
得波長依存特性を推定し,転送されてきた各アンプの出
力モニタ値から第2の利得波長依存特性を推定し,これ
らの利得波長依存特性から可変利得補償器の補償量を決
定することを特徴とする伝送装置が提供される。
いて説明する。図1に示す伝送システムは中継器
(9),光ファイバ(10),及び利得補償器を備えた
中継器(17)から構成されている。
M信号光がSV用分波器(1)で分波され,SV光はS
V光用PD(5)で電気信号に変換され,中継器監視回
路(7)に転送される。SV用分波器(1)を透過した
WDM信号の一部の信号パワーは入力側カプラ(2)で
分岐され,モニタPD(6)で電気信号に変換される。
つまり,モニタPDから出力される情報P1は光アンプ
(3)の入力パワー量に比例した信号である。入力モニ
タ情報P1は中継器監視回路(7)に転送される。中継
器監視回路(7)では前段の中継器から転送されてきた
情報,つまり前記SV光用PD(5)からの出力情報
に,光アンプ(3)の入力モニタ情報P1を加えて新規
の監視情報信号を形成し,SV光LD(8)から新規の
SV光を送出する。SV光はSV用合波器(4)におい
て,光アンプ(3)からの出力と合波され,中継器
(9)から出力される。
ニタPD(6)により光アンプ(3)の入力モニタ情報
P2,P3,…を検出し,この入力モニタ情報をSV信
号に重畳し,次段の中継器に送出している。
ては,まず他の中継器と同様に,SV用分波器(1)に
よりSV光を分波し,前段の中継器から送出された監視
情報を監視回路(7)に転送する。また,他の中継器と
同様に光アンプ(3)の入力モニタ情報PkをモニタP
D(6)より検出し,監視回路(7)に転送する。
視回路(7)より各中継器(9),及び利得補償器を備
えた中継器(17)における各光アンプ(3)の入力モ
ニタ情報P1,P2,P3,…Pkを取得する。そし
て,これらの入力モニタ情報P1,P2,P3,…Pk
より,各光アンプ(3)の利得チルト量を推定すること
により,可変利得補償器(16)の最適補償量を算出
し,実際に可変利得補償器(16)を制御する。
…Pkから各光アンプ(3)の利得チルト量を推定する
手順を示す。
(dB)は数1の(1)式により算出することが可能で
ある。
ずれも単位はdB/m)はEDFの物性パラメータであ
り,EDFAの波長依存特性はこの2つのパラメータで
表現される。図4に利得係数g,吸収係数αの特性例を
示す。また,LはEDF長を表す(単位はm)。そし
て,nはEDFA中の規格化上準位Erイオン密度を表
し,どれだけのキャリアがレーザ上準位に励起されてい
るかを表す係数である。規格化されているため,nは0
以上1以下の値となる。そして,この規格化上準位Er
イオン密度n(以降,上準位密度nとする)は,EDF
中の信号光パワーと励起光パワーによって決定される値
であり,入力パワーの変動は,このイオン密度nの変動
を介して利得変動に変換される。例えば,入力パワーが
減少すると上準位密度nが1に近づき,EDFAは非飽
和状態(小信号状態)となり,右肩下がりの利得特性と
なる。逆に入力パワーが増大すると,上準位密度nが0
に近づき,EDFAは飽和状態となり,右肩上がりの特
性となる。
した場合,利得スペクトルは数1の(1)式を用いるこ
とにより,図5に示す様に算出される。図5より,上準
位密度nの変動,つまり入力パワーの変動に追従して,
スペクトル形状,つまり利得チルトが変動することが観
測される。(1)式に再度着目すると,第2項は上準位
密度nに依存しない項であるので,入力依存の動的利得
チルトは第1項,つまりg+αの値に比例しているもの
と考えられる。
チルトG(λ)を求めるには,前述の上準位密度nを求
める必要がある。上準位密度nを算出するには,信号
光,励起光,さらには雑音光について,それぞれレート
方程式を記述し,これらの連立方程式を解く必要があ
り,一般的には数値解析が必要である。しかしながら,
EDFAの総出力パワーが一定となるように制御(AL
C制御)が施されている場合には,簡易に上準位密度n
を求めることが可能である。
DFAでの入出力パワーの関係を表す式である。Pt
(dBm)はEDFAの総出力パワーであり,ALC制
御されている為,一定値である。Pi(dBm)はED
FAの信号あたりの入力パワーであり,添字のiは信号
番号を表し,WDM多重数(信号数)をMとすると,i
=1,2,…Mとなる。また,gi,αiはi番目の信
号波長における利得係数,吸収係数を表す。
長に対して線形であると近似し,また,簡略化の為に数
1の(3)式に示す様にbで表すものとする。また,入
力パワーPiは波長によらず一定である,つまり,入力
WDM信号は波長に対して平坦であるとする。以上の仮
定の元に,(2)式中のg+α,及びαを線形近似し,
(2)式を解析的に解いて上準位密度nの近似値を求
め,(1)式の上準位密度nに代入する。すると,n波
長多重の場合において,最長波長である第n信号と最短
波長である第1信号の利得差ΔG=Gn−G1は(4)
式で表すことが可能である。(4)式の第2項Cは利得
係数g及び吸収係数αより定まる値であり,入力パワー
Piに対して一定値である。
ΔG(dB)が入力パワーPi(dB)に対して線形な
関係にあるということである。
ルトΔG=G16−G1の関係を表したグラフであり,
図4の特性を持つEDFを用いて作製したEDFAによ
り評価した実測値である。グラフより読取れるアンプ入
力に対する利得チルトの変動量は,アンプ入力変動1d
Bに対しおよそ利得チルト変動0.2dBであり,ま
た,利得チルトはアンプ入力に対して線形な関係にある
ことが読取れる。
1信号(波長1547.72nm)にて7.55dB/
m,第16信号(波長1559.79nm)にて9.6
4dBとなる。これらの値を数1の(4)式に代入する
と,アンプ入力変動1dBに対する利得チルト変動は
0.20dBと算出され,実測値に一致することが確認
される。
(dB)と利得チルトΔG(dB)は線形な関係にあ
る。従って,図1に示す本発明の構成を用いて,入力モ
ニタ情報P1,P2,P3,…Pkからそれぞれの光ア
ンプ(3)の利得チルト量を推定することが可能とな
る。従って,入力モニタ情報P1,P2,P3,…Pk
を利得補償器制御回路(15)に集約し,各光アンプ
(3)の利得チルト量を推定することにより,可変利得
補償器(16)の最適な利得補償量を算出し,設定する
ことが可能となる。
手段として,入力光パワーのモニタ手段を流用してい
る。入力光パワーのモニタ手段においては高価な分波
器,そして複数のPDを必要とせず,安価な光カプラ
(2)と1台のPD(6)のみで実現可能である。ま
た,多くの光伝送システムでは,伝送システムの制御,
あるいは監視を目的として,可変利得補償機能の有無に
よらず,既に入力モニタ手段を中継器に設置済みであ
る。従って,これらの手段を流用することにより,光部
品を新規に追加することなく,利得チルト量をモニタす
ることが可能となる。
の設置台数の削減を目的として,可変利得補償器を全中
継器に装備するのではなく,一部の中継器のみに分散さ
せて装備している。この場合には,各中継器(9)の利
得チルトを,利得補償器を備えた中継器(17)から遠
隔モニタする必要がある。しかしながら,SV光を用い
て,各アンプの入力モニタ情報P1,P2,P3…Pk
の転送を行うことにより,利得補償器を備えた中継器
(17)において一括して利得チルトをモニタすること
が可能となっている。また,多くの光伝送システムで
は,伝送システムの監視を目的として,可変利得補償機
能の有無によらず,既に入力モニタ情報のSV光による
転送機能,転送手段を実装済みである。従って,これら
の手段を流用することにより,光部品あるいはSV光復
調回路やSV光変調回路などを新規に追加することな
く,利得チルト量を遠隔モニタすることが可能となる。
構成で利得チルト量をモニタし,可変利得補償器を制御
することが可能となる。
利得補償器を備えた中継器(17)中の利得補償器制御
回路(15)に関して,より具体的な構成の実施形態を
示した例である。
監視回路(7)から各光アンプ(3)の入力モニタ情報
P1,P2,P3,…Pkが利得補償器制御回路(1
5)に転送される。入力モニタ情報P1,P2,P3…
Pkは,各光アンプ(3)の入力パワー(dB値)に比
例した値である。利得補償器制御回路(15)では,ま
ずデシベル加算器(12)において,入力モニタ情報P
1,P2,P3,…Pkのデシベル和を求める。
ル値Prに,アンプ数kを掛け合わせた値を発生させ
る。ここでアンプ数kは,図7に示す,補償すべき利得
チルトを発生させる中継器(9)と補償器を備えた中継
器(17)の中に含まれる光アンプの総数であり,入力
モニタ情報P1,P2,P3,…Pkの最大添字数kと
同一である。また,基準レベル値Prは,光アンプ
(3)が平坦な利得特性を実現するように設計された基
準入力パワーを光アンプに入力させた場合に,入力モニ
タPD(6)が検知する入力モニタ情報であり,端的に
表せば,平坦出力を実現した時の入力モニタ情報であ
る。
ト量は,利得のホールバーニング効果を無視すれば,各
利得チルト量のデシベル和にて算出可能である。従っ
て,入力モニタ情報のデシベル和と基準レベル値Pr
x nを比較器(14)に入力してその差を求め,数1
の(4)式を用いて入力パワー変動量を利得チルト量に
変換することにより,累積利得チルト量を算出すること
が可能となる。従って,可変利得補償器(16)の最適
な利得補償量を算出し,設定することが可能となる。
構成するデバイスとしては前述した,ファラデー回転子
と複屈折素子を用いて可変利得補償デバイス,あるい
は,ガラス導波路にて形成したマッハ=ツエンダ干渉計
が適用可能である。マッハ=ツエンダ干渉計の材料とし
てはガラス導波路に限ることなく,ポリマ導波路,半導
体導波路等でも流用可能である。また,EDFA自体を
可変利得補償器(16)として用いることも可能である
し,他の希土類添加ファイバ増幅器,半導体増幅器,フ
ァイバラマン増幅器等を用いることも可能である。ま
た,音響光学チューナブルフィルタを用いることも可能
である。また,ファイバブラッググレーティングや誘電
体多層膜フィルタ,エタロンフィルタ等,本来固定型の
利得補償器に機械的あるいは熱的な作用を加えて可変利
得補償器とした場合でも,本発明の可変利得補償器(1
6)として用いることが可能である。
3…Pkの転送手段としてSV光を用いたが,光伝送シ
ステムのSV光を用いること無しに,新規の光信号や,
無線信号等,別の転送手段を用いても,実現可能であ
る。
光アンプ(3)が実装されている場合について検討して
きたが,各中継器あるいは一部の中継器中に光アンプが
多段に実装されている場合でも,本発明は適用可能であ
る。例えば図8に示す様に,アンプを前段アンプ(5
1)と後段アンプ(53)の2段で構成し,アンプ間の
中間段に分散補償デバイス等の機能デバイス(52)を
挿入する場合においても,前段アンプ(51)と後段ア
ンプ(53)の双方でモニタPD(6)により入力モニ
タ情報P1a,P1bの双方を取得することにより,前
段アンプ(51)の動的利得チルトのみならず,前段ア
ンプ(51)の出力変動や機能デバイス(52)の損失
変動に起因する後段アンプ(53)の動的利得チルトを
補償することが可能である。
(17)においても多段アンプを適用することは可能で
あり,また,可変利得補償器(16)の位置もアンプの
出力段,あるいは多段アンプ内の中間段に設置しても,
本発明は適用可能である。
情報P1,P2,P3…Pkのデシベル和と基準値を比
較しているが,先に基準値と比較してからデシベル和を
とっても同様の効果が得られるし,また,基準値との比
較を各中継器にて実行し,その差の情報をSV光で転送
しても,同様の効果が得られる。
長に対して線形と近似できる波長帯域での伝送システム
を想定し,利得チルト,及び利得補償量も,波長に対し
て線形であるものとして議論してきた。しかしながら,
本発明は図4のg+α値が波長に対して線形と近似でき
ない波長領域でも適用が可能である。
ば,動的利得チルトはg+α値に比例するものと考えら
れる。例えば,1530nmから1545nm程度まで
のいわゆるブルーバンド付近でのEDFAの適用を考え
ると,図4のg+α値の振舞いから,利得チルトは直線
ではなく,正弦波的な形状になるものと予測される。図
4の特性から発生する利得チルトを数値計算すると,例
えば,図9の様な結果が得られる。この場合における利
得チルトも,前述した場合と同様に利得チルトΔGを最
長波長と最短波長の利得差G16−G1(dB)にて定
義することにより,やはり,利得チルトΔG(dB)は
入力パワーPi(dB)に対して線形な関係で表せる。
従って,入力モニタ情報から利得チルト量を算出するこ
とが可能となる。注意すべき点としては,この波長領域
では,図9に示す様に,利得チルトが波長に対して直線
とならずに,正弦波に似た形状となる為,用いる可変利
得補償器(16)も,同様の形状のデバイスを選択する
ことが望ましいということである。例えばマッハ=ツエ
ンダ干渉計の波長特性の周期を伝送波長帯域2倍程度に
設定することによって,正弦波的な損失形状が実現され
る。
論したが,他の波長帯域でも同様であり,利得チルトΔ
G(dB)は入力パワーPi(dB)に対して線形な関
係で表され,入力モニタ情報から利得チルトを算出する
ことが可能である。
(16)の最適補償量としては,利得補償器制御回路
(15)中で算出された利得チルト量を相殺して,可変
利得補償器を備えた中継器(17)の出力で,WDM信
号が平坦となるような補償量を決定するようにしてき
た。しかしながら,この利得補償器を備えた中継器(1
7)より下流側の波長依存性や利得チルト,ファイバの
非線型現象の影響等を考慮して,あえて過補償な量を設
定することが望ましいことも,伝送システムの運用形
態,設計次第では起りうる。あらかじめ,そのような計
算アルゴリズムを設定しておけば,本発明により,利得
チルトを算出し,そのアルゴリズムを用いて最適な補償
量を設定することが可能となる。
ある。中継器(9)ではSV光(監視光)とWDM信号
光がSV用分波器(1)で分波され,SV光はSV光用
PD(5)で電気信号に変換され,中継器監視回路
(7)に転送される。SV用分波器(1)を透過したW
DM信号の一部の信号パワーは入力側カプラ(2)で分
岐され,モニタPD(6)で電気信号に変換される。つ
まり,モニタPDから出力される情報P1は光アンプ
(3)の入力パワー量に比例した信号である。
パワーは出力側カプラ(18)で分岐され,モニタPD
(19)で電気信号に変換される。つまり,モニタPD
から出力される情報Q1は光アンプ(3)の出力パワー
量に比例した信号である。
1は中継器監視回路(7)に転送される。中継器監視回
路(7)では前段の中継器から転送されてきた情報,つ
まり前記SV光用PD(5)からの出力情報に,光アン
プ(3)の入力モニタ情報P1及び出力モニタ信号Q1
の双方を加えて新規の監視情報信号を形成し,SV光L
D(8)から新規のSV光を送出する。SV光はSV用
合波器(4)において,光アンプ(3)からの出力と合
波され,中継器(9)から出力される。
ニタPD(6)により光アンプ(3)の入力モニタ情報
P2,P3,…を検出し,また,モニタPD(19)に
より光アンプ(3)の出力モニタ情報Q2,Q3,…を
検出し,この入力モニタ情報と出力モニタ情報をSV信
号に重畳し,次段の中継器に送出する。
ては,まず他の中継器と同様に,SV用分波器(1)に
よりSV光を分波し,前段の中継器から送出された監視
情報を監視回路(7)に転送する。また,他の中継器と
同様に光アンプ(3)の入力モニタ情報Pk,及び出力
モニタ情報QkをモニタPD(6)(19)より検出
し,監視回路(7)に転送する。
視回路(7)より各中継器(9),及び利得補償器を備
えた中継器(17)における各光アンプ(3)の入力モ
ニタ情報P1,P2,P3,…Pk,及び出力モニタ情
報Q1,Q2,Q3,…Qkを取得する。そして,これ
らの入力モニタ情報P1,P2,P3,…Pkより,各
光アンプ(3)の利得チルト量を推定する。
…Qkから第2の利得チルト量を推定する。ここで第2
の利得チルト量とは,信号間ラマン増幅に起因する利得
チルトである。
導ラマン散乱の影響により,ファイバ中に過大なパワー
の信号が入射すると,短波長側の信号から長波長側の信
号へのパワーの移動が発生する。これをラマン増幅効果
と称し,WDM信号の場合には信号間でラマン増幅が発
生し,短波長側の信号パワーが長波長側の信号パワーに
変換される為,右肩上がりのチルトが発生する。
は数2の(5)式で与えられる。
率の傾きを表し,例えばSMFではおよそ5x10^−
27(m/W/Hz)である。Po(W)はファイバ入
射パワーを,Aeffはファイバの有効断面積を,Leff
(m)はファイバの有効長を,そしてB(Hz)はWD
M信号帯域を表す。(5)式を用いることにより,各種
ファイバパラメータとファイバ入射パワー,つまりアン
プ出力パワーから信号間ラマン増幅に起因する第2の利
得チルト量を算出することが可能となる。
…Pkより,各光アンプ(3)の利得チルト量を推定
し,一方,出力モニタ情報Q1,Q2,Q3,…Qkか
ら信号間ラマン増幅に起因する第2の利得チルト量を推
定することにより,高精度に実際の利得チルト量を推定
することが可能となり,可変利得補償器(16)の最適
補償量を設定することが可能となる。
モニタ手段として,出力光パワーのモニタ手段を流用し
ている。出力光パワーのモニタ手段においては高価な分
波器,そして複数のPDを必要とせず,安価な光カプラ
(18)と1台のPD(19)のみで実現可能である。
また,多くの光伝送システムでは,伝送システムの制
御,あるいは監視を目的として,可変利得補償機能の有
無によらず,既に出力モニタ手段を中継器に設置済みで
ある。従って,これらの手段を流用することにより,光
部品を新規に追加することなく,第2の利得チルト量を
モニタすることが可能となる。
例によれば,高価なスペクトルモニタ手段,あるいは高
価な分波器や新規光部品の追加を必要とせずに,EDF
Aの入力依存性に起因する動的利得チルト量を算出する
ことが可能となり,低コストな構成で,可変利得補償装
置を実現可能となる。
ペクトルモニタ手段,あるいは高価な分波器や新規光部
品の追加を必要とせずに,信号間ラマン増幅に起因する
第2の利得チルト量を算出することが可能となり,低コ
ストな構成で,高精度の可変利得補償装置を実現可能と
なる。
例。
回路の構成例。
Claims (18)
- 【請求項1】1台あるいは複数台の光中継器と,可変利
得補償器より構成され,前記1台あるいは複数台の光中
継器のうちの少なくとも最上流側の光中継器よりも下流
側に前記可変利得補償器が設置されているWDM伝送シ
ステムにおいて,各光中継器は入力パワーをモニタする
手段と,モニタした値を下流側に転送する手段を備え,
前記可変利得補償器においては,転送されてきた各中継
器のデシベル値で表される入力パワーモニタ値に線形な
演算又は一次関数式で表される演算を施すことによって
得られる値により前記可変利得補償器の補償量を決定す
ることを特徴とする伝送装置。 - 【請求項2】1台あるいは複数台の光中継器と,可変利
得補償器より構成され,前記1台あるいは複数台の光中
継器のうちの少なくとも最上流側の光中継器よりも下流
側に前記可変利得補償器が設置されているWDM伝送シ
ステムにおいて,各光中継器は入力パワーをモニタする
手段と,モニタした値を下流側に転送する手段を備え,
前記可変利得補償器においては,転送されてきた各中継
器の入力パワーモニタ値と、 中継器が平坦利得特性となる基準入力パワー又はあらか
じめ定めた基準入力パワー値とを比較し,この比較した
値の差の値を各中継器毎に加算した値により前記可変利
得補償器の補償量を決定することを特徴とする伝送装
置。 - 【請求項3】1台あるいは複数台の光中継器と,可変利
得補償器より構成され,前記1台あるいは複数台の光中
継器のうちの少なくとも最上流側の光中継器よりも下流
側に前記可変利得補償器が設置されているWDM伝送シ
ステムにおいて,各光中継器は入力パワー及び出力パワ
ーをモニタする手段と,モニタした値を下流側に転送す
る手段を備え,可変利得補償器においては,転送されて
きた各中継器のデシベル値で表される入力パワーモニタ
値に線形な演算又は一次関数式で表される線形な演算を
施すことによって得られる値と、 各中継器の出力パワーモニタ値(ワット値)に比例演算
を施すことによって得られる値との2つの値により前記
可変利得補償器の補償量を決定することを特徴とする伝
送装置。 - 【請求項4】各中継器の入力モニタ値あるいは出力モニ
タ値の転送手段として,装置監視信号あるいは装置監視
光を用いることを特徴とした,請求項1乃至3のいずれ
か一に記載の伝送装置。 - 【請求項5】前記中継器中の一部あるいは全部に分散補
償デバイスが挿入され,分散補償デバイス前後の入力パ
ワーモニタ値あるいは出力パワーモニタ値の一方あるい
は双方をモニタする手段を備え,これらのモニタ値も含
めて前記可変利得補償器の補償量を決定することを特徴
とした請求項1乃至3のいずれか一に記載の伝送装置。 - 【請求項6】前記可変利得補償器の波長依存特性が,波
長に対して線形な関係であることを特徴とした請求項1
乃至3のいずれか一に記載の伝送装置。 - 【請求項7】前記可変利得補償器の波長依存特性が,波
長に対して正弦波特性を所有し,正弦波の周期が伝送帯
域の2倍以上であることを特徴とした請求項1乃至3の
いずれか一に記載の伝送装置。 - 【請求項8】前記可変利得補償器の波長依存特性が,E
DFの物性パラメータである利得係数g(dB/m)と
吸収係数α(dB/m)の和,g+αの値に比例する特
性であることを特徴とした請求項1乃至3のいずれか一
に記載の伝送装置。 - 【請求項9】前記可変利得補償器がファラデー回転子と
複屈折素子を用いて構成された補償器であることを特徴
とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の伝送装置。 - 【請求項10】前記可変利得補償器がガラス導波路上,
あるいはポリマ導波路上,あるいは半導体導波路上に形
成されたマッハ=ツエンダ干渉計により構成された補償
器であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一
に記載の伝送装置。 - 【請求項11】前記可変利得補償器が音響光学フィルタ
により構成された補償器であることを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか一に記載の伝送装置。 - 【請求項12】前記可変利得補償器が希土類添加ファイ
バ増幅器により構成された補償器であることを特徴とす
る請求項1乃至3のいずれか一に記載の伝送装置。 - 【請求項13】前記可変利得補償器が半導体増幅器によ
り構成された補償器であることを特徴とする請求項1乃
至3のいずれか一に記載の伝送装置。 - 【請求項14】前記可変利得補償器がファイバラマン増
幅器により構成された補償器であることを特徴とする請
求項1乃至3のいずれか一に記載の伝送装置。 - 【請求項15】前記可変利得補償器がチューナブルなフ
ァイバブラッググレーティングにより構成された補償器
であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に
記載の伝送装置。 - 【請求項16】前記可変利得補償器がチューナブルな誘
電体多層膜フィルタにより構成された補償器であること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の伝送
装置。 - 【請求項17】前記可変利得補償器がチューナブルなエ
タロンフィルタにより構成された補償器であることを特
徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の伝送装
置。 - 【請求項18】前記可変利得補償器がチューナブルなフ
ァイバ型マッハ=ツエンダ干渉計により構成された補償
器であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一
に記載の伝送装置。
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