JP2003297382A - 燃料電池用セパレータ - Google Patents

燃料電池用セパレータ

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JP2003297382A
JP2003297382A JP2002101944A JP2002101944A JP2003297382A JP 2003297382 A JP2003297382 A JP 2003297382A JP 2002101944 A JP2002101944 A JP 2002101944A JP 2002101944 A JP2002101944 A JP 2002101944A JP 2003297382 A JP2003297382 A JP 2003297382A
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binder
carbonaceous powder
separator
resin
fuel cell
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JP2002101944A
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Shoichi Hashiguchi
正一 橋口
Akihiro I
昭宏 井
Mitsuo Suzuki
光雄 鈴木
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素質粉末と結着材とを成分として成形する
際、結着材の量を低減することにより、導電性が向上
し、かつガスバリア性と強度を維持した高性能の燃料電
池用セパレータを得る。 【解決手段】 黒鉛粉末等の炭素質粉末および結着材を
成分とする成形体からなる燃料電池用セパレータにおい
て、この結着材の使用量が炭素質粉末100重量部に対
して15重量部以下、気体透過率が500×10-15
ol・m/m2・s・Pa以下、体積抵抗率が15mΩ・
cm以下とし、炭素質粉末中、またはその表面に、結着
材を効率良く浸透および被覆させ、加圧により小さくな
った炭素質粉末の粒子間距離を維持し、空隙の発生を抑
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池用セパレ
ータに関し、より詳しくは、炭素質粉末および結着材を
成分として成形して得られる燃料電池用セパレータに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、資源問題や環境問題に答えた発電
システムとして、発電効率が高く環境性にも優れたエネ
ルギー供給源である燃料電池が注目されている。この燃
料電池の中で、電解質に固体高分子を使った固体高分子
型燃料電池(PEFC:PolymerElectrolyte Fuel Cells)
が最も注目されている。この固体高分子型燃料電池は、
電解質となるフィルム状のイオン交換膜の両側に触媒層
を持ち、更にその両側には集電体が設けられ、膜・電極
接合体(MEA)を形成している。そして、その外側に、
燃料の通り道となる溝を付けたセパレータが設けられ、
MEAとセパレータとの間を水素あるいは酸素が通り、
これらを全て一つとしてセルを構成している。燃料電池
は、このセルを数十〜数百セル積層させた構造であり、
例えば、このセル1枚で約0.7Vの電位差が得られる
場合に、このセルを例えば300枚重ねて直列に繋ぎ、
例えば210Vの電圧を得るスタックを得ることができ
る。
【0003】この燃料電池に用いられるセパレータは、
板状の表面に細い溝(流路)が形成され、この溝は、ガス
拡散電極とガスとの接触面積を増大させる目的で、セパ
レータの主要領域に対して蛇行して細かなピッチで形成
されている。代表的には、水素および空気等の反応ガス
流路としての溝を、各正負電極板のセパレータ側表面に
刻設したリブ付電極方式と、この溝を各セパレータの表
面に刻設したリブ付セパレータ方式等がある。そして、
その性能としては、供給される水素や酸素のガスを透過
させないガスバリア性に優れ、高強度であることは勿論
のこと、燃料電池の電極となっていることから導電性が
要求される。更に、セパレータとMEAとの間での導電
性の悪化を防止するために面精度を確保すること等が要
求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、燃料電池用セ
パレータの上記機能を達成するために、例えば黒鉛に代
表される炭素質粉末と樹脂等からなる結着材とをその成
分として燃料電池用セパレータの成形がなされる。そし
て、この燃料電池用セパレータの導電性を向上させるた
めには、導電性が下がる要因である結着材の量を少なく
することが好ましい。しかしながら、その一方で結着材
の量が少なくなると、ガスバリア性、強度等の特性を維
持することが困難になる。すなわち、高い導電性を維持
するためには炭素質粉末の粒子間距離を小さくし、嵩密
度を高くする必要があるが、そのためには結着材の量を
減らす必要がある。しかしながら、この結着材の量を減
らすと、最密充填し難くなり、またスプリングバック等
のために、加圧により炭素質粉末の粒子間距離が小さく
なった状態を維持することが困難となる。その結果、炭
素質粉末の間に空隙が発生し、ガスバリア性および強度
が低下してしまう。また、その空隙により導電パスが途
切れることから、導電性が低下する原因ともなる。
【0005】本発明は、以上のような技術的課題を解決
するためになされたものであって、その目的とするとこ
ろは、導電性に優れ、且つ、ガスバリア性および強度を
維持した燃料電池用セパレータを得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的のもと、本発
明者らによる鋭意検討の結果、炭素質粉末と結着材を成
分として成形する際、炭素質粉末中、またはその表面
に、結着材を効率良く浸透および被覆させ、加圧により
小さくなった炭素質粉末の粒子間距離を維持し、空隙の
発生を抑えることで、導電性、ガスバリア性および強度
をバランス良く満たす燃料電池用セパレータが得られる
ことを見出すに至った。即ち、本発明が適用される燃料
電池用セパレータは、黒鉛粉末等の炭素質粉末および結
着材を成分とする成形体からなり、この結着材の使用量
が炭素質粉末100重量部に対して15重量部以下、気
体透過率が500×10-15mol・m/m2・s・Pa
以下、体積抵抗率が15mΩ・cm以下であることを特
徴とする。ここで、形成される成形体の曲げ強度が10
MPa以上とすることができる。
【0007】また、この結着材は、成形前の50℃から
150℃の間における重量減少が、成形体に対する重量
換算で0.15重量%以下であることを特徴とすれば、
高いガスバリア性を確保することができる。更に、この
結着材が熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、または
それらの混合物であることを特徴とすることができる。
【0008】他の観点から捉えると、本発明が適用され
る燃料電池用セパレータは、炭素質粉末および結着材を
成分とする成形体からなり、この結着材の使用量が炭素
質粉末100重量部に対して15重量部以下、嵩密度が
1.9g/cc以上、体積抵抗率が15mΩ・cm以下で
あることを特徴とする。
【0009】ここで、この燃料電池用セパレータは、炭
素質粉末と結着材とを混合した後、加熱下にて加圧成形
を施して得られることを特徴とすることができる。ま
た、この成形体が板状に形成され、板状の板面に反応ガ
ス流路溝を形成することができる。更に、燃料電池用セ
パレータの形状として、成形体における縦横の長さが各
50〜1000mm、厚さが0.1〜20mmであるこ
とを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の形態
に基づいて本発明を詳細に説明する。図1(a),(b)
は、本実施の形態によって成形されるセパレータ(燃料
電池用セパレータ)の一例を示した図である。図1(a)
は平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA-A断面の
一部を示している。燃料電池に用いられるセパレータ1
0は、図1に示すような薄い板状の形状物であり、厚さ
0.5〜20mm程度である。また、その縦横の寸法
は、その一辺が50〜1000mm程度である。また、
その中央部には、反応ガス流路溝11が形成されてい
る。この反応ガス流路溝11は、セパレータ10の両面
または片面に対し、セパレータ10の中央部分から所定
の範囲内に設けられ、例えば多数の平行部、または蛇行
して、細かいピッチにて形成されている。セパレータ1
0の特性としては、供給される水素や酸素のガスを透過
させないガスバリア性に優れ、高強度であることが要求
され、かつ、燃料電池の電極となっていることから高い
導電性が要求される。
【0011】図2(a),(b)は、セパレータ10の微細
構造を説明するための図であり、図2(a)は従来の微細
構造を、図2(b)は本実施の形態が適用される微細構造
を示している。セパレータ10は、黒鉛等の炭素質粉末
と樹脂等の結着材(バインダー)とを含んでその構成要素
としているが、従来の構造では、黒鉛の周りの樹脂が独
立した粒状の構造を維持しており、成形された際に、黒
鉛と樹脂によって形成される空間に多くのボイドが生じ
ていた。本実施の形態では、図2(b)に示すように、黒
鉛の表面に樹脂を薄く被膜するように構成し、成形に際
して、加圧により物理的にボイドを少なくしている。こ
の結果、結着材の量を減らして高い導電性を維持すると
共に、少ない結着材の使用量であっても高いガスバリア
性と強度を維持することが可能となる。本実施の形態で
は、炭素質粉末の周りに、できるだけ少ない結着材の量
で、抵抗が少なく、緻密であって強度もあるセパレータ
10を形成することを目的としている。そこで、結着材
として溶媒に溶ける樹脂を用い、溶かすことによって粘
度を下げ、希釈することで、炭素質粉末の周りに均一に
樹脂を設け、且つこの樹脂を非常に薄くできる点に特徴
がある。
【0012】次に、本実施の形態の燃料電池用セパレー
タを構成する各部材として、炭素質粉末、結着材につい
て説明する。まず、炭素質粉末としては、通常、黒鉛粉
末が用いられる。この黒鉛粉末としては特に制限はな
く、鱗片状、粒状、塊状、土状等の天然黒鉛、石油コー
クスやピッチコークス等を主原料に、混捏、成形、焼
成、黒鉛化により製造された塊状等の人造黒鉛等を、必
要に応じて粉砕したもの、その他、膨張黒鉛などを用い
ることができる。この黒鉛粉末等の炭素質粉末は、導電
性、電池性能等の点から、灰分含有量が1重量%以下、
特に0.5重量%以下であるものが好ましい。また、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の含有量は5
00ppm以下、特に100ppm以下であるものが好
ましい。
【0013】炭素質粉末中の揮発分としては、セパレー
タ10の表面平滑性、電池性能等の点から、2重量%以
下、特に1重量%以下であることが好ましい。また、固
定炭素は98重量%以上のものが好ましく、99重量%
以上のものが特に好ましい。
【0014】炭素質粉末の粒径としては、セパレータ性
能等の面から、最大粒径として1000μm以下が好ま
しく、500μm以下が更に好ましく、300μm以下
が特に好ましい。但し、セパレータ10の成形性および
性能等の面から、微粉を含まない方が好ましい。従っ
て、平均粒径として、下限は1μm以上、3μm以上、
5μm以上、上限は100μm、70μm、50μmで
あることが好ましい。特に、本実施の形態では、表面積
を小さくして結着材(バインダー)の量を少なくする意味
から、炭素質粉末の平均粒径は、ある程度大きくて微粉
が少ないものが優れている。
【0015】次に、結着材(バインダー)について説明す
る。この結着材としては、特に限定されず、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂等の樹脂、ゴム類、熱可塑性エラスト
マー、およびそれらの混合物等を用いることができる。
【0016】熱可塑性樹脂としては、飽和ポリエステル
樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、ABS
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサ
ルホン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹
脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサル
ファイド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹
脂、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、これ
らの樹脂のブロック共重合体、およびこれらの混合物等
を用いることができる。
【0017】熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹
脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、およびこれ
らの混合物等を採用することができる。このフェノール
樹脂としては、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、および
それらの変性樹脂、例えば、ゴム変性フェノール樹脂等
が用いられる。このゴム変性フェノール樹脂としては、
未加硫ゴムとフェノール樹脂とを反応させることにより
得ることができるものが用いられる。ここで未加硫ゴム
としては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、
クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルクロロプレ
ンゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン、エピ
クロルヒドリン−エチレンオキサイドゴム、エピクロル
ヒドリン−エチレンオキサイド−アクリルグリシジエー
テル3次元共重合体、ウレタンゴム、アクリルゴム、エ
チレン−プロピレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴ
ム、天然ゴム等より選ばれた1種類、又は2種類以上の
混合物或いは共重合反応物が採用される。
【0018】ノボラック樹脂としては、フェノール、o
−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,
5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチル
フェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノ
ール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t
ert−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフ
トール、4,4’−ビフェニルジオール、ビスフェノー
ルA、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノ
ン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、
フロログリシノール等のフェノール類の少なくとも1種
を、酸触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フ
ルフラール等のアルデヒド類、又はアセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、の
少なくとも1種と重縮合させた樹脂を用いることができ
る。また、レゾール樹脂は、ノボラック樹脂の重縮合に
おける酸触媒に代えて、アルカリ触媒を用いる以外は同
様にして重縮合させた樹脂である。
【0019】フェノール樹脂のうち、ノボラック樹脂を
用いた場合は、硬化剤を用いたときに、またレゾール樹
脂を用いた場合は、硬化剤を用いずに硬化反応が生じ、
硬化物となる。従って、フェノール樹脂としてノボラッ
ク樹脂を用いる場合には、硬化剤を用いてセパレータ1
0の加圧成形時に硬化させることが望ましい。
【0020】この硬化剤としては、ヘキサメチレンテト
ラミン、および官能基としてメチロール基、アルコキシ
メチル基、アセトキシメチル基等を少なくとも2個有す
るアミノ化合物、具体的には、メトキシメチル化メラミ
ン等のメラミン誘導体、レゾール樹脂等が用いられる。
また、硬化剤の量は、ノボラック樹脂との合計量に対し
て、通常、5〜10重量%の割合が好ましい。
【0021】ゴム類および熱可塑性エラストマーとして
は、天然ゴム(イソプレンゴム)、合成ゴム、スチレン系
熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマ
ー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド
系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エ
ラストマー、およびこれらの混合物等を用いることがで
きる。また、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロ
プレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリ
ルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴ
ム、エチレンブテンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、
ケイ素ゴム、スチレンイソプレンブロック共重合体およ
びその水素添加誘導体、スチレンブタジエンブロック共
重合体およびその水素添加誘導体、スチレンブチレンブ
ロック共重合体、ポリエーテルエステルブロック共重合
体、ポリエステルエステルブロック共重合体、ポリエー
テルブロックアミド共重合体、およびこれらの混合物等
を用いることができる。
【0022】これらのゴムは、架橋剤により成形時に架
橋させてもよく、架橋剤としては、硫黄、過酸化物等が
用いられるが、過酸化物が好ましい。また、架橋剤を添
加した熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーや加硫剤を
添加したゴムを結着材とする場合においては、架橋剤
(加硫剤)により架橋反応が生じ、硬化物となる。
【0023】このように、結着材の種類を挙げて説明し
たが、結着材で好ましいものとしては、熱硬化性樹脂の
中ではフェノール樹脂、熱可塑性樹脂の中ではポリオレ
フィン樹脂、エンプラ等、ゴム類の中ではエチレンプロ
ピレンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴ
ム、ブチルゴム、熱可塑性エラストマーの中ではスチレ
ンブタジエンブロック共重合体の水素添加誘導体が好ま
しい。
【0024】中でも、加熱、加圧成形条件下で分解ガス
の発生などにより成形物中に欠陥を生じさせないもの、
例えば、窒素ガス雰囲気下で5℃/minの昇温速度で
室温から150℃まで加熱したときの、50℃から15
0℃の間で重量減少率a重量%をTG−DTA法により
測定し、この値が2重量%以下となるものを選択するの
が好ましく、例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラスト
マー、或いはそれらの混合物が好ましい。
【0025】更に、炭素質粉末100重量部に対して、
結着材をb重量部使用する場合、成形体重量(100+
b)に対して、重量減少が0.15重量%以下となるよう
にするのが好ましい。 a(%) × (b/(100+b)) ≦ 0.15 (重量%) ここで、重量減少率aが大きくても、結着材の使用量b
が少なければ、成形体(全体)に対する重量減少は少な
く、成形体の性能への影響は小さい(重量減少が大きい
と、体積抵抗率、ガスバリア性などの性能が悪くな
る)。逆に、重量減少率aが小さくても、結着材の使用
量bが多ければ、成形体に対する重量減少が多く、成形
体への影響が大きくなる。
【0026】このように、本実施の形態を達成するため
の樹脂の種類として、熱可塑性樹脂・熱可塑性エラスト
マー・それらの混合物は、成形時のガス発生が少なく好
ましいと言える。熱硬化性樹脂では、成形時の硬化の過
程でガス発生し易いため、発生したガスにより、成形体
中にボイドが発生し易いので、樹脂量を少なくすること
が望ましい。図2(b)に示すように黒鉛の周りに樹脂を
均一に行き渡らせたとしても、ガスを発生させる樹脂で
あると、その間にガスが発生して、セパレータ10とし
ての性能に悪影響を及ぼす。特にフェノール樹脂の場
合、水、低分子量成分に由来するガス発生があり、欠陥
が発生し易いが、量が5部位の少量であれば使用するこ
とが可能である。即ち、熱硬化性樹脂を用いる場合に
は、低分子量の含有量が少ないものが成形時のガス発生
が少なくなることから好ましい。
【0027】これら結着材の粒径としては、炭素質粉末
の粒径と同程度、もしくは同程度以下が好ましく、炭素
質粉末の粒径に対して、0.5〜1.2倍、好ましくは
0.6〜1.1倍、より好ましくは0.7〜1.0倍の粒径
である。但し、粒径が小さすぎると、炭素質粉末や結着
材の間に空気が含まれて嵩高くなるため、1μm以上が
好ましい。尚、溶媒に溶かす場合にも、溶けやすさや空
気の混入等を考慮して上記のような粒径が望まれる。
【0028】結着材の使用量としては、炭素質粉末の粒
径にも影響されるが、炭素質粉末100重量部に対して
上限は15重量部以下、好ましくは12重量部以下、最
も好ましくは10重量部以下であり、下限は特に制限は
ないが1重量部以上とするのが好ましい。結着材として
熱硬化性樹脂を用いる場合には、炭素質粉末100重量
部に対して10重量部以下、好ましくは8重量部以下で
ある。この値は、炭素質粉末の粒径によっても異なって
くる。例えば、粒径13μmと小さい炭素質粉末を用い
た場合には10重量部でも問題となる場合があるが、粒
径を大きくすれば、10重量部で性能を維持することは
可能である。結着材の使用量がこの範囲より少ない場合
では、得られるセパレータ10の機械的強度、ガスバリ
ア性等が劣る傾向にあり、この範囲を超える場合には、
セパレータ10の導電性等の性能が損なわれる傾向にあ
る。
【0029】次に、炭素質粉末と結着材との混合につい
て説明する。ここでは、更に必要に応じて硬化剤、架橋
剤等を加えて、混合、混練する。混合装置としては、微
紛化させずに混練できるようにするために、粘度を下げ
た状態にて粉砕しにくい混合装置が望まれる。例えば、
タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレン
ダー、ヘンシェルミキサー、高速ミキサー、公自転型ミ
キサー(例えば、プラネタリーミキサー)等の混合機によ
り均一に混合するか、一軸又は二軸押し出し機、ロー
ル、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等の
混練機を用いることができる。
【0030】混合時の条件としては、通常、300℃以
下程度で加熱したり、炭素質粉末を予め有機溶剤や水性
媒体で湿潤させておくことで、炭素質粉末と結着材とを
より一層均一に混合することができ、より均一な性状の
セパレータ10を製造することができる。また、同様の
理由から、結着材は有機溶剤や水性媒体の溶液(溶媒に
溶ける結着材)や分散液(溶媒に溶けない結着材の場合)
として混合することが好ましい。また、溶媒に溶けない
ものの場合は融点以上の温度に加熱し、十分粘度を低下
して混合することが望まれる。
【0031】まず、炭素質粉末の湿潤および結着材の溶
液又は分散液化に用いられる有機溶剤としては、 ・ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等
のアルカン類 ・シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、
シクロオクタン等のシクロアルカン類 ・メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、
オクタノール、デカノール、ウンデカノール、ジアセト
ンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコ
ール等のアルコール類 ・メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソ
ルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ
アセテート等のセロソルブ類 ・プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチ
ルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチ
ルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチ
ルエーテル等のプロピレングリコール類 ・アセトン、メチルアミノケトン、シクロヘキサノン、
アセトフェノン等のケトン類 ・ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢
酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエ
チルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒ
ドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メ
チル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等
のエステル類 ・クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等
のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、フェノール、クレゾール等の芳香族炭化水素類 ・ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−
メチルピロリドン等の高極性溶剤等が挙げられる。
【0032】このうち、結着材に用いる有機溶剤として
は、結着材を溶解させるものが好ましい。また、溶解度
指数が結着材と近似するものも好ましく、特に、フェノ
ール樹脂等の熱硬化性樹脂に対しては、アルコール類が
好ましく、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂、およ
びゴム、熱可塑性エラストマーに対しては、芳香族炭化
水素類が好ましい。
【0033】次に、炭素質粉末の湿潤および結着材の溶
液または分散液化に用いられる水性媒体としては、特に
制限はないが、通常水(水の場合、黒鉛との濡れ性が悪
いので濡れ性改良のために界面活性剤等を利用すること
も可能である)、またはアルコール類が用いられる。ま
た、有機溶剤と水性媒体の混合物を用いることもでき
る。尚、混合比率は任意でよいが、通常、有機溶媒/水
性溶媒は、1/100〜100/1程度である。炭素質粉
末を湿潤させる有機溶剤と結着材の溶液または分散液化
に用いる有機溶剤とは、共沸性を有するものが好まし
く、同一の有機溶剤または水性媒体とするのが特に好ま
しい。
【0034】ここで、炭素質粉末を湿潤させるための有
機溶剤や水性媒体の使用量としては、炭素質粉末100
重量部に対して1〜300重量部とするのが好ましく、
また、結着材の溶液または分散液における結着材の濃度
は、1〜90重量%とするのが好ましい。
【0035】一方、結着材の硬化剤や架橋剤(加硫剤)を
用いる場合、これらの混合方法には幾つかの方法があ
る。まず、第1の方法としては、炭素質粉末(またはそ
の湿潤物)に硬化剤、架橋剤(加硫剤)を入れて分散さ
せ、その後、結着材(またはその有機溶剤や水性媒体の
溶液或いは分散液)を入れて混ぜるものである。また、
第2の方法としては、炭素質粉末に結着材を混ぜ(この
ときはどちらも湿潤または、溶液或いは分散液としてい
ても構わない)、後から硬化剤や架橋剤(加硫剤)を入れ
るものである。この方法では、硬化剤をうまく分散させ
る必要がある。更に、第3の方法としては、結着材と硬
化剤や架橋剤(加硫剤)とを先に混ぜておいて、炭素質粉
末(またはその湿潤物)を後から混ぜるものである。かか
る方法では、結着材と硬化剤とを先に混合していること
から、混合後は硬化する前に使用することが好ましい。
【0036】次に、炭素質粉末と結着材との混練方法に
ついて説明する。本実施の形態では、炭素質粉末の表面
に、樹脂をできるだけ均一に、薄く添着する点に特徴が
ある。ここで樹脂を均一かつ薄く添着するためには、樹
脂を溶かして粘度を下げるか、溶媒で希釈して粘度を下
げる方法を採用することができる。
【0037】混練温度は樹脂の融点以上、分解しない温
度未満であることが好ましい。まず、樹脂を溶かして粘
度を下げる場合には、樹脂を高温にして粘度を下げ、溶
融した樹脂の中に炭素質粉末を入れて混練する。尚、樹
脂が溶媒に溶けても溶けなくてもこの方法は可能であ
る。但し、融点(Tm)が高い樹脂の場合、樹脂自体が分
解してしまうため、高温にできない。その結果、樹脂の
粘度を下げるのには限界があり、比較的、樹脂の粘度が
高いままで混練する必要がある。このとき、炭素質粉末
の粒径が、混練によりつぶれて小さくなり、導電性が悪
くなる傾向があり、更に、破壊エネルギーが小さくなっ
て脆くなり易い。溶媒に溶けない樹脂は、黒鉛との濡れ
性が悪いのでそれを改良することが必要となる。そのた
めには、先ず、溶媒に溶ける樹脂を混合、被覆した後、
次いで溶媒に溶けない樹脂を加熱溶融後、混合すること
で濡れ性を改良することができる。
【0038】一方、樹脂が溶媒に溶ける場合には、樹脂
を溶かした溶媒に、炭素質粉末を混合する。かかる場合
には樹脂が希釈されており、樹脂を溶かす場合に比べて
粘度を下げることが可能となる。その結果、炭素質粉末
に対してより均一に、かつより薄く添着することが可能
である。更に、このとき、炭素質粉末を溶媒で湿潤させ
ておくことが更に好ましい。本実施の形態が適用される
燃料電池用セパレータ(セパレータ10)としては、溶媒
に溶けるものが黒鉛との「馴染み」が良い点から好まし
い。また、溶媒に溶けるものを炭素質粉末表面に被覆
し、黒鉛との「馴染み」を改良後、溶媒に溶けないもの
を混合してもよい。
【0039】次に、混合物の乾燥について説明する。炭
素質粉末と結着材、更に硬化剤または架橋剤(加硫剤)を
混合して得られる混合物は、湿潤状、ペースト状、或い
は塊状となる。そのために、加熱下の加圧成形に先立
ち、この混合物を適宜加熱乾燥させる。ここで、この加
熱温度としては、用いた有機溶剤や水性媒体を蒸発させ
ることができ、しかも結着材が変質しない温度であれば
良い。通常は溶媒を揮発させるものとして、200℃以
下の温度とし、混合物中の有機溶剤または水性媒体の含
有量が1重量%以下となるまで乾燥することが好まし
い。
【0040】ここで、加熱乾燥後の混合物の粉砕である
が、加熱乾燥後は、通常、不均一な粒状または塊状とな
るので、ふるい分けのために、この粒状物または塊状物
を粗粉砕することが必要となる。まず、粉砕装置として
は、ミキサー、ジョークラッシャー、ジャイレートリー
クラッシャー、ロールミル、サンプルミル、ジェットミ
ル、ハンマーミル、インペラーブレーカー等が用いられ
る。また、粉砕粒径は、最大粒径が3mm未満であり、
好ましくは0.1〜2mm、更に好ましくは0.5〜1m
mである。あまり細かく粉砕すると、空気の混入に伴う
脱泡の処理が必要となる。
【0041】以上のようにして生成された造粒物に対し
て、量産化するに当たり、連続的に加熱炉に送り込み加
熱工程を連続的に行うこともできる。加熱炉としては、
例えば、横型或いは縦型の連続炉が用いられる。この加
熱炉への導入としては、炉内に直接混合原料を導入する
方法の他に、トレーなど、適宜運搬できる容器に混合原
料を入れて導入する方法がある。また、所望の形状の成
形体となるように加工された金型である成形金型に充填
して加熱炉に導入してもよい。このときこの成形金型に
は適宜、離型剤を塗付しておく。
【0042】ここで成形金型であるが、図1に示すよう
な少なくとも一方の板面に多数の平行部を有する反応ガ
ス流路溝11が形成されたセパレータ10を成形する場
合には、このような反応ガス流路溝11に対応する金型
内面に多数の直線状の空条が平行に設けられた成形金型
を用いれば良い。また、加熱雰囲気は、空気中で行えば
よいが、必要に応じて、N2、Ar等の雰囲気ガスを用
いることもできる。
【0043】次に、加熱温度について説明する。加熱温
度は、所望の成形温度付近となる。この成形温度付近と
しては、結着材(バインダー)の分解点を超えない温度で
あることが必要である。また、成形するときには、樹脂
が溶ける温度やガラス転移点(Tg)等を考慮して、通
常、(成形温度−30℃)〜(成形温度+50℃)であり、
好ましくは(成形温度−20℃)〜(成形温度+40℃)、
より好ましくは(成形温度−10℃)〜(成形温度+30
℃)である。更に、所望の成形温度よりも高い場合に
は、適宜徐冷して加圧成形すればよい。また、加熱する
ことなく加圧成形した場合、加圧成形から除圧するまで
の間に温度が次第に低下するが、型抜きまでの時間を短
縮して、効率的にセパレータ10を製造するためには、
早い段階からの冷却が、より有利である。しかしなが
ら、加圧成形加工中に、ガラス転移点(Tg)よりも低い
温度に低下してしまうと、成形性を損なうので、場合に
よっては加圧成形機に保温材を設けて、温度の低下を抑
えるようにしてもよい。
【0044】混合原料は、加圧成形する前に、混合原料
全体が所望の温度に到達していればよい。例えば、所望
の温度に設定した加熱装置に混合原料を導入する方法
や、混合原料を室温から徐々に加熱する方法などがあ
る。また、この加熱温度は、表面温度計や成形金型等に
備えた温度計で確認し、加熱炉や、加圧成形機に備えた
加熱装置の温度を調整することによって容易に制御する
ことができる。
【0045】尚、加圧成形機としては、特に制限はない
が、加圧成形機内に複数の成形金型を導入する場合に
は、複数枚取り(並べて複数の成形型で同時に加圧成形
する)や、多段(縦に複数段、成形金型を置き、同時にプ
レスをかける)ものが採用される。
【0046】次に、加圧成形機における成形圧力および
成形温度について説明する。この成形圧力および成形温
度は、用いる炭素質粉末および結着材の種類や配合割合
等に応じて、被成形物から十分にガスが抜けて炭素質粉
末と結着材の融着が十分に行なわれ、得られる成形体に
割れやそりなどの変形が生じないように、適宜設定され
る。一般に、成形温度が高めであればより低圧でよく、
成形温度が低めであればより高圧とする。
【0047】まず、成形圧力としては、通常、下限は4
0MPa以上、65MPa以上、上限は400MPa以
下、300MPaとするのが好ましい。一般に、成形圧
力を高くすることにより、緻密化することが可能となる
が、樹脂の量に応じて、バリが出ないように圧力を調節
することが必要となる。特に樹脂が多いとバリ(成形金
型からの被成形物のはみ出し)が出やすいことから、圧
力を低めにする必要がある。また、成形圧力が上記範囲
未満であると、十分に炭素質粉末と結着材が融着せず、
欠陥が生じ易い傾向がある。更に、成形圧力が上記範囲
を超えると、上記バリが発生し易い傾向がある。
【0048】次に、成形温度としては、所望の形状に成
形加工できるために、通常、用いた結着材のガラス転移
点(Tg)を超える温度とする。また、セパレータ10
を、表面の荒れ、欠け、割れ、変形(そり、膨れ)なく成
形するためには、結着材の分解点よりも低い温度とする
ことが好ましい。ここで、結着材のTgを超える温度と
は、結着材として2種以上のものを混合使用した場合
は、Tgの低い方の結着材のTgを超えることを意味す
るが、複数種の結着材の混合割合に相当する重量平均T
gを超えることが望ましい。
【0049】成形温度の下限であるが、薄い板状のリブ
付セパレータを、表面の荒れや、欠け、割れ、変形(そ
り、膨れ)なく歩留まりよく成形するには、(Tg+20
℃)以上、好ましくは(Tg+30℃)以上、更に好まし
くは結着材の融点(Tm)以上、特に好ましくは(Tm+
20℃)以上、また特に好ましくは(Tm+30℃)以上
である。但し、成形温度が過度に高いと被成形物の流動
性が高くなりすぎ、バリが発生し易くなり、得られる成
形体の寸法安定性も劣るものとなる。
【0050】また、成形温度の上限であるが、成形金型
への熱負荷も大きくなる上に、後工程の型抜きまでの冷
却にも不利となるため、通常は、結着材の分解点未満、
特に(結着材のTm+100℃)以下、とりわけ(結着材
のTm+50℃)以下が適している。例えば50〜40
0℃であり、特に100〜300℃程度となる。ここ
で、結着材の分解点であるが、DSC法またはTG−D
TA法熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/min
の昇温速度で室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開
始する温度を指している。
【0051】加圧成形方法としては、例えば、加熱炉内
を移動させながら加熱した後、加圧成形機に導入して静
止させて加圧成形させる方法がある。また、加圧成形機
内で移動しながら加圧成形する方法もある。
【0052】加圧成形機での加圧成形後は、この加圧成
形機において除圧を行う。加圧成形機内を移動しながら
除圧しても良く、また、静止した状態で除圧を行うこと
もできる。このとき、除圧は連続的に加圧力を低下させ
るように行っても良く、段階的に加圧力を低下させるよ
うに行っても良い。また、加圧成形時において十分にガ
スが抜けていれば、膨れ等の変形や割れを生じにくいた
め、冷却することなく除圧することもできる。しかしな
がら、ガスが抜けにくい場合には、高温で除圧すると膨
れなどの変形や割れが生じ易い。従って、ある程度冷却
してから或いは冷却しながら除圧することが望ましい。
【0053】除圧に際し、冷却する場合、過度に低い温
度まで冷却すると、加圧成形機の占有期間が長くなり生
産性が低下しやすい。また、過度に高い温度で冷却を止
めると、冷却による効果が得られず、膨れなどの変形や
割れが生じる恐れがある。従って、除圧時の冷却温度と
しては、加圧成形終了時の温度に対して、通常、数〜1
50℃低い温度、好ましくは5〜100℃程度低い温度
とし、また、用いた結着材の融点(Tm)以下、好ましく
は(Tm−50℃)以下、結着材のTg以上とすることが
好ましい。更に、プレス成形を開始したときから冷却を
開始することにより、より速く結着材のTm以下の温度
とすることができ、より早い段階で、例えば加圧成形終
了時に除圧することが可能となり、加圧成形機の占有期
間を短縮することができる。
【0054】また、加圧成形機での加圧成形に先立っ
て、脱気処理(真空ポンプ等)を行うと、緻密な成形体を
得て、膨れやそりなどの変形を抑制することができる点
から好ましい。このとき、例えば、40000Pa(3
00Torr)以下、特に27000Pa(200Tor
r)以下、また特に5000Pa(37Torr)以下、
とりわけ1300Pa(10Torr)以下で脱気処理を
行うことが好ましい。
【0055】ここで、脱気処理のタイミングとしては、
炭素質粉末と結着材を混合した後、この混合原料を加
熱する前、加熱炉による加熱中、加熱炉による加熱
後、加圧成形機に導入する前、加圧成形機に導入後、
加圧成形を開始するまでの間、加圧開始後、加圧成形
が終了するまでの間、の何れにおいても行うことができ
る。また、これらのうち一つ、或いは複数の工程で行う
ことができ、更に、複数の工程で連続的に行うこともで
きる。しかしながら、効率良く空気やガスを抜くために
は、プレスする直前に脱気処理を行うことが好ましい。
尚、脱気処理と同時に予備成形を行うことも可能であ
る。
【0056】ここで、上記の加熱前の脱気処理では、
混合原料に含まれる気体を除去し、粒子間距離を小さく
することができるため、嵩密度が高くなり、緻密な成形
体を得ることができ、成形体の強度や体積抵抗率などの
物性を向上させる効果がある。また、上記〜の、加
熱中から加圧成形を開始するまでの間の脱気処理では、
混合原料に含まれる気体を除去し、粒子間距離を小さく
するだけでなく、加熱により発生するガス物質を除去す
ることもできるため、成形体の物性をより向上させるこ
とができる。中でも、上記での脱気処理は、混合原料
に含まれる気体と、加熱により発生するガス物質を除去
できる効果が最も高いため、成形体の物性を向上させる
上では好ましい。更に、加圧成形機の占有時間を短縮す
る上では、上記のタイミングが加圧成形を行うのと同
時に脱気処理を行うことができる点から好ましい。尚、
複数の工程で連続的に脱気処理する場合は、より早い段
階から脱気処理を行う方が、より多くの効果を得ること
ができるので好ましく、具体的には、上記〜が好ま
しく、上記〜がより好ましい。
【0057】この脱気処理を行った後には、脱気解放が
行われる。この脱気開放は、一気に行っても良く、徐々
に行っても良い。また、加圧成形中に脱気している場合
の脱気解放は、ガスが抜けて炭素質粉末と結着材とが十
分に融着している状態であれば良く、従って、冷却中で
も冷却後であっても良い。更に、加圧成形機に導入する
前までの脱気処理は、加圧成形時と同じ金型、または細
かい形状を省いた最終形状に近い金型内で脱気処理する
ことにより、嵩密度が高くなって形で整えることができ
るため、金型から取り出して次の工程への運搬する場合
のハンドリング性が良くなるという効果も得られる。
【0058】また、加圧成形に先立ち、保形を行うこと
もできる。保形では、加圧成形時と同じ金型、又は細か
い形状を省いた最終形状に近い金型で予備成形し、形を
整えることで、ハンドリング性を向上させることができ
る。この保形のための予備成形圧力としては、通常、2
0〜300MPaであり、好ましくは20〜200MP
aである。また、保形のための予備成形温度は、結着材
の分解点未満の温度であれば特に制限はなく、室温で行
う場合には、加熱操作が必要ないため、工業的に有利で
ある。ここで、予備成形により得られる混合原料の嵩密
度は、1.2〜1.8g/cm3、好ましくは1.3〜1.8
g/cm3、より好ましくは1.4〜1.8g/cm3であ
る。尚、この予備成形は、混合原料を加熱する前でも、
加熱後、加圧成形機に導入する前でもよい。但し、成形
体表面が緻密化し、内部にガス等の欠陥が残ると、真空
脱気、加圧成形時にその欠陥を十分に除去できない恐れ
がある。そこで、表面は緻密化せず、ガスが抜けやすい
状態にしておくことが好ましい。特に、加熱後予備成形
する場合は、成形圧力を低くし、表面の緻密化を防ぐこ
とが望まれる。
【0059】加圧成形し、除圧を行った後は、成形金型
を加圧成形機から取り出し、得られた成形体を成形金型
から取り出す型抜きが行われる。まず、型抜き温度であ
るが、結着材のガラス転移点(Tg)よりも低い温度にま
で温度が低下した後に行うことが好ましい。結着材のT
g以上の温度では、型抜き時に成形体の変形が起こりや
すく、割れや、膨れ、そりなどの欠陥の原因となり、セ
パレータ本来の機能が得られにくくなるためである。ま
た、型抜きは室温まで冷却して行うこともできるが、結
着材のTgより5℃以上、中でもTgより10℃以上低
い温度であれば、型抜きによる割れや変形を抑制するこ
とができる。従って、成形金型の占有時間を短縮するた
めに、(Tg−5℃)以下、特に(Tg−10℃)以下、例
えば、(Tg−20℃)〜(Tg−80℃)で型抜きを行う
ことが好ましい。また、温度が低すぎると成形体が脆
く、角欠け等の原因にもなるので、結着材のTgより低
くTgに近い温度が好ましい。即ち、本実施の形態で
は、結着材の量を少なくしていることから、型抜きに際
してセパレータ10の角が落ちやすくなる。そのため
に、結着材のTgより低くするものの、その温度が低す
ぎないことが要求される。尚、加圧成形機から成形金型
を取り出さない場合は、上述の温度になったときに、加
圧成形機から成形体を取り出す。
【0060】ここで、型抜きまでの冷却としては、成形
金型を放冷して自然冷却することもできる。また、低温
ガスや冷媒スプレー等、適宜の冷却手段を採用して、強
制冷却を行う場合には、成形金型の回転率を高めて生産
性を向上させることができる点で好ましい。加圧成形機
から成形金型を取り出す場合の冷却では、加圧成形後の
除圧前、除圧中、除圧後のいずれの工程で行っても良
い。特に、連続的な操作により、型抜きを順次行う場合
には、成形金型の占有期間を短縮することができ、生産
性をより一層向上させることができ好ましい。例えば、
除圧後の成形金型をベルトコンベア上で連続的に移動さ
せながら冷却ゾーンを通過させる方法や、或いは、バッ
チ式に1つ、または同時に複数の成形金型を冷却室内に
移動させて冷却した後、ベルトコンベア等で移動させて
排出させる方法等がある。
【0061】尚、冷却を除圧前、除圧中、除圧後の何れ
の工程で行う場合であっても、冷却速度は、用いる炭素
質粉末および結着材の種類、配合割合、加熱温度、加圧
成形条件等により、適宜設定される。しかしながら、結
着材として、加熱加圧条件下で分解ガスを発生したり発
泡を起こさないものを用いて、冷却速度を速めることが
できれば、型抜きを早く行うことができ、成形金型の占
有期間を短縮することができるので好ましい。
【0062】この冷却速度としては、加圧成形後、除圧
前、除圧中、除圧後のいずれかの工程で型抜きに好適な
温度にまで、所定の速度で冷却される。例えば、0.0
3℃/sec(=1.8℃/min)以上、好ましくは0.0
4℃/sec以上である。また、型抜きまでの時間を短
縮する上では、0.05℃/sec以上、好ましくは0.
1℃/sec以上である。更に、上限としては、通常1
00℃/min以下である。
【0063】以上のようにして、本実施の形態では、樹
脂が少なくてもガスバリア性に優れ、導電性も良く、更
に破壊エネルギーも良好なセパレータ10を得ることが
できる。このようにして得られる板状のセパレータ10
における寸法や形状は、前述のように、縦横の長さが各
50〜1000mm、中でも80〜500mm、厚さは
薄い方が好ましく、通常20mm以下、好ましくは10
mm以下、より好ましくは5mm以下であり、強度やガ
スバリア性等の性能上、下限は0.1mm以上、好まし
くは0.3mm以上である。嵩密度は1.90g/cm3
上、中でも1.95g/cm3以上、2.00g/cm3以上
である。特に、このような板状のセパレータ10におけ
る一方又は双方の板面に、多数の平行部を有する反応ガ
ス流路用溝が形成された板状燃料電池用セパレータの製
造に好適である。
【0064】次に、嵩密度、セパレータ10の性能とし
て気体透過係数(ガスバリア性)、体積抵抗率、機械的特
性(曲げ強度、破断歪み、破壊エネルギー)の各測定につ
いて説明する。まず、嵩密度の測定法について説明す
る。試験片としては、JIS K 7171に準じ、長さ
100mm、幅10mm、厚さ5mm(後述する実施例
では、縦および横の長さが各々100mmで厚さが5m
mの平板を、高さ5mm、幅10mm、長さ100mm
に切断したものの5点平均、端から中央部を含む)を切
り出す。このとき、板の端部と中央部を入れるようにし
て、残りは等間隔でサンプリングする(最低3点、5
点、9点…となる)。スタック用穴の部分は避けるが、
リブ付であっても、そのまま試験片として使うことが可
能である。嵩密度の測定(定法に従った測定)では、平板
であれば、直方体の幅×高さ×長さで体積を測定し、求
めた重量によって嵩密度を計算する。孔、溝等で寸法が
測定できなければ、水中の排除体積と重量から嵩密度を
計算する。
【0065】次に、セパレータ10の性能である気体透
過係数(ガスバリア性)としては、500×10-15mo
l・m/m2・s・Pa以下、であり、好ましくは、30
0×10-15mol・m/m2・s・Pa以下、より好ま
しくは、200×10-15mol・m/m2・s・Pa以
下、最も好ましくは、100×10-15mol・m/m2
・s・Pa以下、下限は0である(本実施の形態におけ
る測定条件下では、ガスを透過しておらず、実質的にガ
スを透過しないセパレータ10となっている)。上記範
囲を超えると、ガスバリア性に劣り、燃料電池用セパレ
ータとしての機能に好ましい結果をもたらさない。
【0066】この気体透過係数の測定法としては、JI
S K 7126のA法(差圧法)に準拠して実施した(低
圧側は真空、高圧側は大気圧(空気)とした)。試験片
は、縦および横の長さが各々100mmで、厚さが5m
mである。測定条件は、開放部の面積を60mmφ(ゴ
ムパッキン6mm)とし、低圧側の真空度27Pa(0.
2torr)に真空ポンプで吸引後、真空ポンプを停止
し、その後の真空度の変化を測定した後、10分後まで
の経時変化を測定し、10分間の経時変化の値を計算し
て表示した。ここで、Vc(低圧側容積)は0.071リ
ットル(71cc)、T(試験温度)は常温(25℃)、Pu
(供給気体の差圧)は101298Pa(大気圧760t
orr−0.2torr)、透過面積は0.0028m
2(28cm2(6cmφ))である。全くガスを通さないス
テンレス板を基準として補正したときの圧力変化が5分
間で126×10-15mol・m/m2・s・Paであ
り、10分間で70×10-15mol・m/m2・s・P
aの装置を使用している。
【0067】次に、セパレータ10の性能である体積抵
抗率としては、15mΩ・cm以下、好ましくは12m
Ω・cm以下、より好ましくは10mΩ・cm以下であ
り、下限は、低ければ低い方が良いが、実質的に1mΩ
・cm以上程度になる。この体積抵抗率の測定法として
は、4探針法(三菱化学製Loresta MP)を用いた。試験
片は、縦100mm、横100mm、厚さ5mmの試験
片で上中下、左中右の9点を測定した。尚、非破壊試験
なので、形状そのものには無関係であり、実機品でも測
定可能である。また、スタック用穴の部分は避けるが、
リブ付であっても、そのまま試験片として使用した。
【0068】次に、セパレータ10の性能である機械的
特性について説明する。まず、曲げ強度(最大曲げ応力)
としては、通常10MPa以上、好ましくは15MPa
以上、20MPa以上、上限としては通常200MPa
以下(150MPa程度)である。下限を外れると、横持
ち、取り付け、締め付け等、ハンドリング時に破損が生
じ、使用時に熱変形で破損する恐れがある。
【0069】破断歪みでは、JIS K 7171等に示
される曲げ応力たわみ曲線における最大曲げ応力に対応
する歪み(最大曲げ応力歪み)は通常0.4mm以上が好
ましく、更に好ましくは0.6mm以上、上限は通常5
mm以下程度である。この破断歪みが大きいと、変形性
があることで、靱性が大きく、脆くないことから、破断
しにくくなる。その結果、移動、取り付け時等のハンド
リング時における割れ等が抑えられ、また、締め付け時
の割れ、使用中熱歪みによる割れ等が抑えられる。
【0070】破壊エネルギーは、JIS K 7171等
に示される曲げ応力たわみ曲線上の最大曲げ応力の点
と、そのときの歪み(x軸の点)、および原点、の3点に
よって形成される面積で測定した。破壊エネルギーとし
ては、通常7MPa・mm以上、好ましくは10MPa
・mm以上、上限は通常50MPa・mm以下が好まし
い。上述した破断歪みと同様に、この値が大きいことで
変形性を大きくすることができる。
【0071】これらの機械的特性である、曲げ強度・破
断歪み・破壊エネルギーの測定法は、JIS K 717
1に準じる。試験片は、幅3〜10mm、長さ30〜1
00mm、厚さ1〜5mm程度が好ましく、後述する実
施例では、縦および横の長さが各々100mmで厚さが
5mmの平板を、高さ5mm、幅10mm、長さ100
mmに切断したものの、端から中央部を含む5点平均を
取っている。即ち、板状のセパレータ10の端から、上
記寸法で、短冊状に切断し、板の端部と中央部は入れる
ようにして、残りは等間隔でサンプリングした(最低3
点、5点、9点…となる)。ここでもスタック用穴の部
分は避けるが、リブ付であっても、そのまま試験片とし
て使える。測定条件としては、JIS K 7171に準
じた寸法(上記試験片)であり、両端支持の試験片の中央
に集中荷重を加え、試験片が破壊または規定のたわみに
達するまで一定速度でたわませて、その間の試験片に負
荷される荷重を測定する。
【0072】このように、本実施の形態が適用される燃
料電池用セパレータでは、結着材の種類と量、炭素質粉
末との混合原料を製造するときの条件を厳密に選択して
制御し、特定の物性を備えるように構成した。この結
果、性能および品質において総合的に優れた物性を有す
る工業的に有利なセパレータ10を形成することが可能
となる。
【0073】
【実施例】実施例1 炭素質粉末として天然黒鉛(平均粒径13μm)500
g、結着材としてポリスチレン(平均分子量20万、T
g=100℃)3/SEBC(Tg=100℃)7の混合物
50gを用い、トルエン200ccを加えた希釈溶液を
生成した(SEBC:スチレンブタジエンブロック共重
合体(スチレン含有率約30重量%)の水素添加誘導
体)。炭素質粉末(黒鉛)100部に対する結着材の量が
10部であり、炭素質粉末と結着材を混合する条件とし
て2リットル双腕式ニーダーを用いて、500g黒鉛を
トルエン100ccで5分間湿潤後、樹脂溶液を添加
し、1時間混練した。その後、110℃で6時間以上、
トルエンの臭いが無くなるまで乾燥させた。得られた混
合物をミキサーで1mm以下となるように粉砕し、金型
に100gを秤り取って表面を平らにならした。その
後、この混合原料が入った金型を天板の電気ヒーターで
金型温度が170℃になるまで40〜45分加熱した。
【0074】その後、170℃の金型温度で加圧を開始
し、98MPaで5分間、加圧した後、5分間で190
℃に上昇させ、5分後に水冷ジャケットで水冷を開始
し、加圧用のポンプを停止させた。ポンプ停止後、冷却
と同時に自然に圧力を低下させ、金型温度を50℃以下
で除圧して型抜きを行った。これにより、縦および横の
長さが各々100mmで、厚さが5mmの板状の燃料電
池用セパレータを製造した。
【0075】得られた燃料電池用セパレータは、目視に
よる表面状態は平滑で目立った凹凸がなく、その嵩密度
は2.02g/ccであった。また、4探針法(三菱化学
製Loresta MP)により測定した体積抵抗率は6.2mΩ
・cmであり、JIS K 7171に基づいて測定した
機械的特性として、曲げ強度30.4MPa、破断歪み
1.06mm、破壊エネルギー16.2MPa・mmであ
った。即ち、結着材である樹脂を少なくした場合であっ
ても、ガスバリア性が良く、導電性にも優れた燃料電池
用セパレータを得ることが可能となった。
【0076】比較例1 炭素質粉末として天然黒鉛(平均粒径13μm)を500
g、結着材としてポリスチレン(分子量20万、Tg1
00℃)3/SEBC(Tg100℃)7の混合物100g
を用い、トルエン400ccを加えた希釈溶液を生成し
た。炭素質粉末に対する結着材の量は、黒鉛100部に
対して20部であり、2リットル双腕式ニーダーを用い
て黒鉛500gをトルエン100ccで5分間湿潤した
後、樹脂溶液を添加して1時間、混練した。その後、1
10℃で6時間以上、トルエンの臭いが無くなるまで混
合し、得られた混合物をミキサーで1mm以下となるよ
うに粉砕した。この混合原料を金型に100g投入後、
表面を平らにならし、天板の電気ヒーターで金型温度が
170℃になるまで40〜45分加熱した。
【0077】その後、170℃の金型温度で加圧を開始
し、69MPaで5分間加圧、5分間で190℃に上昇
させ、5分後に水冷ジャケットで水冷を開始し、加圧用
のポンプを停止させた。ポンプ停止後、冷却と同時に自
然に圧力を低下させて除圧し、金型温度を50℃以下で
除圧して型抜きを行った。これにより、縦および横の長
さが各々100mmで厚さが5mmの板状の燃料電池用
セパレータを製造した。
【0078】得られた燃料電池用セパレータについて、
実施例1と同様にして評価を行ったところ、結着材とし
ての樹脂が多いことでガスバリア性は良いが、嵩密度が
1.86g/cc、体積抵抗率が15.1mΩ・cmとな
り、体積抵抗率が15mΩ・cm以下が好ましいのに対
して15mΩ・cmを超えてしまい、導電性に劣ること
が理解できた。
【0079】実施例2 炭素質粉末として天然黒鉛(平均粒径30μm)500
g、結着材としてPPE(ポリフェニレンエーテル)3/
SEBC(Tg100℃)7の混合物50gを用い、トル
エン250ccを加えて希釈溶液を生成した。炭素質粉
末に対する結着材の量は、炭素質粉末(黒鉛)100部に
対して10部であり、炭素質粉末と結着材を混合する条
件として、2リットル双腕式ニーダーを用いて500g
黒鉛をトルエン100ccで5分間湿潤後、樹脂溶液を
添加し、1時間混練した。その後、110℃で6時間以
上、トルエンの臭いが無くなるまで乾燥させた。得られ
た混合物をミキサーで1mm以下となるように粉砕し、
得られた混合原料を金型に100g投入後、表面を平ら
にならした。その後、天板の電気ヒーターで金型温度が
285℃になるまで90分加熱し、その後蒸気で冷却を
開始した。
【0080】その後、270℃の金型温度で加圧を開始
し、98MPa5分間、加圧した後、5分間で255℃
に降下させ、5分後に蒸気を水冷に切り替え、水冷を開
始して加圧用のポンプを停止させた。ポンプ停止後、冷
却と同時に自然に圧力低下させ、35〜40分、金型温
度50℃以下で除圧して型抜きを行った。これにより、
縦および横の長さが各々100mmで、厚さが5mmの
板状の燃料電池用セパレータを製造した。
【0081】得られた燃料電池用セパレータは、その嵩
密度は2.05g/ccであり、体積抵抗率は11.3m
Ω・cm、機械的特性として、曲げ強度33.0MP
a、破断歪み1.31mm、破壊エネルギー21.6MP
a・mmであった。即ち、結着材である樹脂を少なくし
た場合であっても、ガスバリア性が良く、導電性にも優
れ、また、溶媒法であることから、破壊エネルギー等の
機械的特性に優れた燃料電池用セパレータを得ることが
可能となった。
【0082】比較例2 炭素質粉末として天然黒鉛(平均粒径30μm)を300
g、結着材としてPPE3/SEBC(Tg100℃)7
の混合物30gを用いた。炭素質粉末に対する結着材の
量は、黒鉛100部に対して10部であり、二軸押し出
し機によって、黒鉛300gと樹脂30gを予備混合し
た後、290℃で2回通して、混合処理を行った。ここ
では乾燥は行っていない。得られた混合物をミキサーで
全量1mm以下となるように粉砕し、この混合原料を金
型に100g投入後、表面を平らにならし、天板の電気
ヒーターで金型温度が285℃になるまで90分加熱
し、その後蒸気で冷却を開始した。
【0083】その後、270℃の金型温度で加圧を開始
した。98MPaで5分間加圧し、5分間で255℃に
降下させ、5分後蒸気を水冷に切り替えて水冷を開始
し、加圧用のポンプを停止させた。ポンプ停止後、冷却
と同時に自然に圧力を低下させて除圧し、金型温度を5
0℃以下で除圧して型抜きを行った。これにより、縦お
よび横の長さが各々100mmで、厚さが5mmの板状
の燃料電池用セパレータを製造した。
【0084】得られた燃料電池用セパレータは、加熱法
であり、導電性に劣り、また、機械的特性も劣ったもの
であった。即ち、体積抵抗率が20.6mΩ・cmと低
く、機械的特性として、特に、破断歪みが0.52m
m、破壊エネルギーが11.3MPa・mmと低い値で
あった。
【0085】実施例3〜5 実施例3〜5では、黒鉛粒径24μm、溶媒6倍量(炭
素質粉末100部に対して結着材(樹脂)5、10、15
部)であり、他の部分は実施例1と同様である。この実
施例3〜5は溶媒法であり、導電性や破壊エネルギー等
の機械的特性が高い。
【0086】実施例6、7 実施例6、7では、炭素質粉末として天然黒鉛(平均粒
径24μm)300gに、結着材としてSEBC(Tg1
00℃)を加え、炭素質粉末(黒鉛)100部に対して結
着材の量を5部(実施例6)および10部(実施例7)とし
た。炭素質粉末と結着材を混合する条件として、二軸押
し出し機を用い、黒鉛300gと樹脂15g(実施例6)
および樹脂30g(実施例7)を予備混合した後、240
℃で5回通して混合処理を行った。ここでは、加熱法で
あり、乾燥は行わなかった。得られた混合物をミキサー
で全量1mm以下に粉砕し、粉砕された混合原料100
gを金型に投入後、表面を平らにならした。その後、実
施例1と同様に、加熱、加圧を施し、ポンプ停止後、冷
却と同時に自然に圧力を低下させて除圧した。その後、
金型温度50℃以下で除圧、型抜きを行い、縦および横
の長さが各々100mmで、厚さが5mmの板状の燃料
電池用セパレータを製造した。
【0087】得られた燃料電池用セパレータは、加熱法
なので、導電性や機械的特性にやや劣る。しかしなが
ら、用いた樹脂のTmが低いため、高温にして粘度を下
げることが可能である。
【0088】実施例8〜10 実施例8〜10では、結着材としてPS(ポリスチレ
ン)、結着材の量として、炭素質粉末(黒鉛)100部に
対して3部(実施例8)、5部(実施例9)、10部(実施
例10)であり、それ以外の条件は、実施例1と同様で
ある。この各実施例では、溶媒法により樹脂が炭素質粉
末の間に均一に行き渡っており、図2(b)に示すような
状態になっていると考えられることから、少量の樹脂で
性能のよいセパレータ10を得ることができた。
【0089】実施例11 実施例1の条件下で、結着材としてフェノール樹脂であ
るノボラック樹脂(ウロトロピン7%)を黒鉛とエタノー
ルで2分間、予備混合した後、溶媒をエタノール1倍量
で希釈した。それ以外は実施例1と同様である。ここで
は、結着材として熱硬化性樹脂を用いているが、樹脂量
が5部と少ないことから、ガス発生(の絶対量)が少な
く、ガスバリア性に優れている。
【0090】用いた結着材は、上述した重量減少率aが
1.6重量%であるノボラック系のフェノール樹脂であ
り、炭素質粉末100重量部、フェノール樹脂5重量
部、硬化剤として、フェノール樹脂に対して7重量%の
ヘキサミンを含む成形体を作成した。 1.6 (重量%) × ( 5 / (100+5) ) = 0.07
6 (重量%) ここでは、成形体全体に対する結着材の重量減少割合が
小さく、良好な性能が得られた。
【0091】比較例3 ここでは、結着材としての熱硬化性樹脂の樹脂量を10
部と高くした点以外は実施例11と同様である。この比
較例3では、樹脂量が多いことから、ガス発生が多く、
ガスバリア性に劣る。ここで用いた結着材は、重量減少
率aが2.3重量%であるノボラック系のフェノール樹
脂であり、炭素質粉末100重量部、フェノール樹脂1
0重量部、硬化剤として、フェノール樹脂に対して7重
量%のヘキサミンを含む成形体を作成した。 2.3 (重量%) × ( 10 / (100+10) ) = 0.
209 (重量%) ここでは、成形体全体に対する結着材の重量減少割合が
大きく、ガスバリア性が悪くなった。
【0092】実施例1〜11、および比較例1〜3の結
果を表1にまとめて示す。尚、表1において、例えばガ
スバリア性についてデータのない部分があるが、気体透
過係数が500×10-15mol・m/m2・s・Pa以
下であり0に近く、同等の値になると考えられることか
ら、ここでは、データの記載を省略している。
【0093】
【表1】
【0094】以上の結果から、本実施の形態によれば、
炭素質粉末と結着材を成分として成形する際、炭素質粉
末中、またはその表面に、結着材を効率良く浸透および
被覆させ、加圧により小さくなった炭素質粉末の粒子間
距離を維持し、空隙の発生を抑えることで、導電性、ガ
スバリア性および強度をバランス良く満たす成形体であ
る燃料電池用セパレータを得ることができる。
【0095】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
炭素質粉末と結着材とを成分として成形する際、結着材
の量を低減することにより、導電性が向上し、かつガス
バリア性と強度を維持した高性能の燃料電池用セパレー
タを得ることが可能となり、工業的に極めて有利とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a),(b)は、本実施の形態によって成形さ
れるセパレータ(燃料電池用セパレータ)の一例を示した
図である。
【図2】 (a),(b)は、セパレータの微細構造を説明
するための図である。
【符号の説明】
10…セパレータ、11…反応ガス流路溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 光雄 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 5H026 AA02 AA06 BB02 BB08 CC03 CX07 EE06 EE18 HH00 HH03 HH05 HH06 HH08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質粉末および結着材を成分とする成
    形体からなり、 前記結着材の使用量が前記炭素質粉末100重量部に対
    して15重量部以下、気体透過率が500×10-15
    ol・m/m2・s・Pa以下、体積抵抗率が15mΩ・
    cm以下であることを特徴とする燃料電池用セパレー
    タ。
  2. 【請求項2】 曲げ強度が10MPa以上であることを
    特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】 前記結着材は、成形前の50℃から15
    0℃の間における重量減少が、前記成形体に対する重量
    換算で0.15重量%以下であることを特徴とする請求
    項1または2記載の燃料電池用セパレータ。
  4. 【請求項4】 前記結着材が熱可塑性樹脂、熱可塑性エ
    ラストマー、またはそれらの混合物であることを特徴と
    する請求項1乃至3の何れか1項記載の燃料電池用セパ
    レータ。
  5. 【請求項5】 前記炭素質粉末が黒鉛粉末であることを
    特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の燃料電池
    用セパレータ。
  6. 【請求項6】 炭素質粉末および結着材を成分とする成
    形体からなり、 前記結着材の使用量が前記炭素質粉末100重量部に対
    して15重量部以下、嵩密度が1.9g/cc以上、体積
    抵抗率が15mΩ・cm以下であることを特徴とする燃
    料電池用セパレータ。
  7. 【請求項7】 曲げ強度が10MPa以上であることを
    特徴とする請求項6記載の燃料電池用セパレータ。
  8. 【請求項8】 前記炭素質粉末と前記結着材とを混合し
    た後、加熱下にて加圧成形を施して得られることを特徴
    とする請求項1乃至7の何れか1項記載の燃料電池用セ
    パレータ。
  9. 【請求項9】 前記成形体が板状に形成され、当該板状
    の板面に反応ガス流路溝が形成されていることを特徴と
    する請求項1乃至8の何れか1項記載の燃料電池用セパ
    レータ。
  10. 【請求項10】 前記成形体における縦横の長さが各5
    0〜1000mm、厚さが0.1〜20mmであること
    を特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の燃料電
    池用セパレータ。
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