JP2003296895A - 車両用情報提供システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動する車両の乗員に常に有効な情報を提供
する。 【解決手段】 車両乗員の情報提供要求を入力して車両
乗員に種々の情報を提供する車載情報端末２と、情報ネ
ットワーク上を移動して車両乗員の情報提供要求に応じ
た情報収集処理を行うプログラム（エージェント９）を
生成するエージェントサーバー５とを備え、エージェン
ト９が収集した情報を車載情報端末２を介して車両乗員
へ提供する車両用情報提供システムにおいて、エージェ
ント９は、車速と情報収集時間の上限値とに基づいて情
報収集範囲を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は車両乗員に種々の情
報を提供するシステムに関する。

【０００２】

【従来の技術】各種処理を行わせるプログラムであるエ
ージェントをアプリケーションサーバーに移動させて処
理を行わせるエージェントシステムが知られている（例
えば特開２００１−２７３２７２号公報参照）。この種
のシステムでは、利用者が情報端末へ入力した処理要求
を通信回線を介してエージェントサーバーへ送信し、エ
ージェントサーバーで利用者に代わって要求処理を行わ
せるエージェント（プログラム）を生成する。このエー
ジェントは、利用者の要求処理を達成するためのアプリ
ケーションサーバーへ移動して要求処理を実行させ、要
求処理の実行結果を取得したらエージェントサーバーへ
戻る。そして、実行結果をエージェントサーバーから情
報端末へ送信し、情報端末を介して利用者に要求処理の
実行結果を提供している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
エージェントシステムを車両用の情報提供システムに利
用した場合に、エージェントの情報収集範囲が固定され
ているため、サーバーと情報端末の通信速度の遅れや車
両の移動量の変動などによって要求処理の実行結果を利
用者に提供する時点ではすでに無用の情報になることが
ある。

【０００４】本発明の目的は、移動する車両の乗員に常
に有効な情報を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】（１） 請求項１の発明
は、車両乗員の情報提供要求を入力して車両乗員に種々
の情報を提供する車載情報端末と、情報ネットワーク上
を移動して車両乗員の情報提供要求に応じた情報収集処
理を行うプログラム（エージェント）を生成するエージ
ェントサーバーとを備え、前記エージェントが収集した
情報を前記車載情報端末を介して車両乗員へ提供する車
両用情報提供システムであって、前記エージェントは、
車速と情報収集時間の上限値とに基づいて情報収集範囲
を決定する。 （２） 請求項２の車両用情報提供システムは、前記エ
ージェントによって、車両乗員の情報提供要求の内容を
考慮して情報収集範囲を決定するようにしたものであ
る。 （３） 請求項３の車両用情報提供システムは、前記エ
ージェントサーバーによって、前記エージェントが収集
した情報の中から情報収集完了時点の車両位置周辺の情
報を所定量だけ抽出し、前記車載情報端末へ送るように
したものである。 （４） 請求項４の車両用情報提供システムは、前記エ
ージェントサーバーによって前記エージェントによる情
報収集の完了を前記車載情報端末へ通知し、前記車載情
報端末によって情報収集完了時点の車両位置を前記エー
ジェントサーバーへ通知するようにしたものである。 （５） 請求項５の車両用情報提供システムは、前記エ
ージェントサーバーが車外に設置されて前記車載情報端
末と無線通信を行い、前記車載情報端末は、地点ごとの
無線通信状況を示すマップを備え、前記通信状況マップ
を参照して通信状況のよい地点で前記エージェントサー
バーから収集情報をダウンロードするようにしたもので
ある。 （６） 請求項６の車両用情報提供システムは、前記情
報ネットワークには、前記エージェントの要求に応じて
種々の処理を行い、処理結果を前記エージェントへ付与
するアプリケーションサーバーが含まれる。 （７） 請求項７の発明は、車載情報端末を介して車両
乗員の情報提供要求を入力し、情報ネットワーク上を移
動して車両乗員の情報提供要求に応じた情報収集処理を
行い、収集した情報を前記車載情報端末を介して車両乗
員へ提供する車両用情報提供プログラムであって、車速
と情報収集時間の上限値とに基づいて情報収集範囲を決
定する。 （８） 請求項８の車両用情報提供プログラムは、車両
乗員の情報提供要求の内容を考慮して情報収集範囲を決
定するようにしたものである。 （９） 請求項９の車両用情報提供プログラムは、収集
した情報の中から情報収集完了時点の車両位置周辺の情
報を所定量だけ抽出し、抽出した情報を前記車載情報端
末を介して車両乗員へ提供するようにしたものである。

【０００６】

【発明の効果】（１） 請求項１および請求項７の発明
によれば、エージェントによる情報収集に時間がかかる
場合でも、車両乗員は情報収集結果を受け取る時点にお
いて有効な情報の提供を受けることができる。 （２） 請求項２および請求項８の発明によれば、車両
乗員の情報提供要求の内容に応じた最適な情報収集範囲
を決定することができる。 （３） 請求項３および請求項９の発明によれば、車載
情報端末でダウンロードするデータの容量が必要最少限
の容量に制限されて通信時間と通信コストを低減するこ
とができる。 （４） 請求項５の発明によれば、データ通信を確実に
行うことができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】《発明の第１の実施の形態》車速
と、車両乗員の情報提供要求に対する処理時間の上限値
とに応じて車両周辺に検索範囲を設定し、その検索範囲
からガソリンスタンドを検索する第１の実施の形態を説
明する。

【０００８】図１は第１の実施の形態の構成を示す。車
両１には車載情報端末２と通信装置３が搭載されてい
る。車載情報端末２は、車両乗員の情報提供に関する要
求を入力し、通信装置３を介して後述するエージェント
サーバー５へ送信するとともに、通信装置３を介してエ
ージェントサーバー５から収集結果の情報を受信し、不
図示のディスプレイやスピーカーなどにより車両乗員に
情報を提示する。なお、車載情報端末２は、ナビゲーシ
ョン装置（不図示）の表示部、音声出力部および操作部
と兼用することができる。

【０００９】通信装置３はアンテナ（不図示）を備え、
基地局４と無線通信を行う。なお、通信装置３にはＷ−
ＣＤＭＡ、ＰＨＳ、ＭＳ−ＣＤＭＡなど、各種方式の携
帯電話を用いることができる。また、通信装置３は回線
交換方式およびパケット方式のいずれの方式であっても
よい。

【００１０】基地局４にはエージェントサーバー５が設
置されている。エージェントサーバー５は、コンピュー
ターのソフトウエア形態により構成されるエージェント
生成部６、結果管理部７および進捗管理部８と、利用者
データベース（不図示）を備えている。エージェント生
成部６は、車載情報端末２からの車両乗員の要求を解析
し、解析結果に応じて記憶装置（不図示）に予め記憶さ
れている所定のソースプログラムを読み出し、車両乗員
に代わって車両乗員の情報提供要求に応じた情報収集処
理を行うプログラムを生成する。そして、生成したプロ
グラムに移動先情報を付加してエージェント９を生成す
る。

【００１１】結果管理部７は、エージェント９が後述す
るアプリケーションサーバー１０〜１２で収集した情報
を管理し、必要に応じて車両乗員の要求に応じた形態に
加工処理して車載情報端末２へ送信する。進捗管理部８
は、各エージェント９の現在の位置や生存状態を監視
し、エージェント９による情報収集処理の継続が不可能
であると判断した場合には、新しくエージェント９を生
成して情報収集を継続したり、あるいは情報収集を中止
する。

【００１２】エージェント９は、車両乗員の情報提供要
求に応じた情報収集処理を行うために、エージェントサ
ーバー５とアプリケーションサーバー１０〜１２との間
や、アプリケーションサーバー１０〜１２の間などの情
報ネットワーク上を有線または無線通信回路１３を介し
て移動するプログラムである。エージェント９は、移動
先のアプリケーションサーバー１０〜１２に車両乗員の
情報提供要求に応じた情報収集処理を実行させて処理結
果を取得するとともに、現在の位置や状態をエージェン
トサーバー５の進捗管理部８へ通知する。エージェント
９はまた、トランザクション管理を行うとともに、移動
先のアプリケーションサーバー１０〜１２に障害が発生
した場合に対応動作を自ら決定して回復処理を行う。

【００１３】アプリケーションサーバー１０〜１２は、
エージェント９の要求にしたがって処理を行い、処理結
果をエージェント９へ付与する。アプリケーションサー
バー１０〜１２にはデータベースを備えたものがあり、
エージェント９の要求に応じてデータベースの記憶内容
を更新したり、データベースを検索して必要な情報を読
み出す。なお、この実施の形態では３個のアプリケーシ
ョンサーバー１０〜１２を例に上げて説明するが、アプ
リケーションサーバーの個数は２個以下または４個以上
あってもよい。また、アプリケーションサーバーの種類
はどのようなものでもよい。

【００１４】図２〜図４は、第１の実施の形態の情報提
供処理を示すフローチャートである。自車周辺のガソリ
ンスタンドに関する情報を収集する場合を例に上げて、
第１の実施の形態の動作を説明する。車両乗員は車載情
報端末２のメニュー画面から自車周辺におけるガソリン
スタンドの検索を選択する。周辺検索には、ナビゲーシ
ョン装置に搭載されているＤＶＤ−ＲＯＭを検索する場
合と、通信装置３を介してインターネット上で検索する
場合とがある。また、インターネット上での検索にも通
常の検索と、上述したエージェント９を用いる「エージ
ェント検索」がある。ここでは、車両乗員が車載情報端
末２のメニュー画面から「エージェント検索」を選択
し、さらにエージェント検索メニューの中から「ガソリ
ンスタンド」を選択した場合について説明する。

【００１５】車載情報端末２は、ステップ１において車
両乗員により「エージェント検索」メニューの「ガソリ
ンスタンド」が選択されたことを検出するとステップ２
へ進む。ステップ２で通信装置３を介してエージェント
サーバー５へ接続し、続くステップ３で車両乗員のＩ
Ｄ、検索対象の「ガソリンスタンド」、自車の位置情報
をエージェントサーバー５へ送信する。ここで、自車の
位置情報には自車位置の緯度と経度、車速および進行方
向が含まれる。なお、説明を分かりやすくするためにエ
ージェントによる検索依頼時点の自車位置を図５に示す
ように位置Ａとする。また、車速は送信時点の車速では
なく、例えば過去１分間の移動平均車速とする。

【００１６】エージェントサーバー５のエージェント生
成部６は、ステップ４で、利用者データベースから利用
者ＩＤに対応する利用者情報を入手し、車両乗員の好み
のガソリンスタンド情報、つまり石油会社（ここではＡ
石油会社とする）を取得する。続くステップ５で、車速
と情報収集時間の上限値とに応じた自車周辺の情報収集
範囲、すなわち検索範囲２１（図５参照）を決定する。
具体的には、自車位置Ａを中心とする検索範囲２１の半
径Ｒ[ｋｍ]を、エージェント９による情報収集時間の上
限値Ｔ[min]、自車位置情報に含まれる車速Ｖ[km/h]お
よび予め設定した係数（ここでは１．２とする）に基づ
いて次式により計算する。ここで、情報収集時間の上限
値とは情報収集のために許容できる最大時間であり、予
め設定される。

【数１】Ｒ＝１．２×Ｖ×Ｔ／６０ 例えば、エージェント検索の情報収集時間上限値Ｔが１
０分、車速Ｖが３０km/hの場合は検索範囲２１の半径Ｒ
は６ｋｍになる。

【００１７】エージェント生成部６は、ステップ６で、
自車位置を中心とする半径Ｒ[ｋｍ]の検索範囲２１から
車両乗員の好みのＡ石油会社のガソリンスタンドを検索
するためのプログラム、つまりエージェント９を生成す
る。

【００１８】エージェント９は、ステップ７で、アプリ
ケーションサーバー１０〜１２の中のＡ石油会社のアプ
リケーションサーバーへ自ら移動し、Ａ石油会社のアプ
リケーションサーバーに上述した自車位置情報の緯度お
よび経度と検索範囲２１を与えてガソリンスタンドを検
索させ、Ａ石油会社のアプリケーションサーバーから検
索結果のガソリンスタンドの位置情報を取得する。エー
ジェント９は、ガソリンスタンドの位置情報を取得した
らステップ８でエージェントサーバー５へ戻る。

【００１９】エージェントサーバー５の結果管理部７
は、ステップ９において、エージェント９が持ち帰った
ガソリンスタンドの検索結果を調べ、検索範囲２１内の
ガソリンスタンドの検索結果が１件以上あるかどうかを
確認する。検索結果が１件以上の場合はステップ１０へ
進み、車載情報端末２へ検索終了と検索結果数を通知す
る。この通知方法には、エージェントサーバー５から車
載情報端末２への電子メール形式、あるいはメッセージ
形式がある。

【００２０】一方、検索範囲２１内のガソリンスタンド
の検索結果が０件の場合は、結果管理部７はエージェン
ト生成部６に対し再度エージェント９の生成を依頼す
る。エージェント生成部６は、ステップ１１で、Ａ石油
会社以外の石油会社（例えばＢ石油会社、Ｃ石油会社、
Ｄ石油会社など）を検索対象に設定するとともに検索範
囲２１を決定する。なお、ここでは検索範囲をＡ石油会
社のガソリンスタンド検索時に決定した検索範囲２１と
同じ範囲とするが、もちろん異なる範囲を設定してもよ
い。続くステップ１２で、自車位置Ａを中心とする半径
Ｒ[ｋｍ]の検索範囲２１からＢ石油会社、Ｃ石油会社お
よびＤ石油会社のガソリンスタンドを検索するためのプ
ログラム、つまりエージェント９を生成する。

【００２１】エージェント９は、ステップ１３で、アプ
リケーションサーバー１０〜１２の中のＢ石油会社、Ｃ
石油会社およびＤ石油会社のアプリケーションサーバー
へ自ら順次、移動し、これらの石油会社のアプリケーシ
ョンサーバーに上述した自車位置情報の緯度および経度
と検索範囲２１を与えてガソリンスタンドを検索させ、
各石油会社のアプリケーションサーバーから検索結果の
ガソリンスタンドの位置情報を取得する。エージェント
９は、ガソリンスタンドの位置情報を取得したらステッ
プ１４でエージェントサーバー５へ戻る。

【００２２】エージェントサーバー５の結果管理部７
は、ステップ１０において、Ｂ石油会社、Ｃ石油会社お
よびＤ石油会社のガソリンスタンドの検索終了と、検索
結果数を車載情報端末２へ通知する。この通知方法に
は、エージェントサーバー５から車載情報端末２への電
子メール形式、あるいはメッセージ形式がある。

【００２３】エージェント９による検索終了通知を受信
した車載情報端末２は、ステップ１５で、そのときの自
車の位置情報をエージェントサーバー５へ送信する。な
お、説明を分かりやすくするためにエージェント検索終
了時点の自車位置を図５に示すように位置Ｂとする。

【００２４】エージェントサーバー５の結果管理部７
は、ステップ１６で、検索結果のガソリンスタンドを車
両位置Ｂに近い順に並び替え、予め定めた件数またはデ
ータサイズだけ車両位置Ｂに近いものを優先的に抽出す
る。そして、抽出したガソリンスタンドに関するデータ
を車載情報端末２へダウンロードする。

【００２５】車載情報端末２は、位置ごとの無線通信装
置３の通信状況を記録した通信状況マップを備えてお
り、図６に示すように位置Ｂにおける通信状況が悪い場
合には、位置Ｂでエージェントサーバー５から検索結果
のダウンロードを行わず、通信状況のよいエリアにある
位置Ｃで検索結果のダウンロードを行うようにしてもよ
い。

【００２６】車載情報端末２は、ステップ１７で、ディ
スプレイに自車位置周辺の道路地図を表示し、その道路
地図上に検索結果のガソリンスタンドと自車位置からガ
ソリンスタンドまでの距離を表示する。ここで、車両乗
員は自車位置周辺の道路地図上に表示されたガソリンス
タンドとそこまでの距離を確認し、目的地または経由地
に設定する。車載情報端末２は、ステップ１８で車両乗
員により目的地または経由地に設定されたガソリンスタ
ンドへの経路を探索し、探索結果の経路を道路地図上に
表示する。

【００２７】以上説明したように第１の実施の形態で
は、エージェント検索による情報収集時間上限値Ｔと車
速Ｖとに基づいてエージェント検索の検索範囲を設定
し、自車位置Ａ周辺のガソリンスタンドのエージェント
検索を行い、検索終了後にガソリンスタンドの検索結果
を車両乗員に提供するときは、そのときの自車位置Ｂに
基づいてガソリンスタンドの検索結果を並び替え、位置
Ｂの近くから予め決めた件数またはデータサイズだけガ
ソリンスタンドの検索データをダウンロードするように
した。

【００２８】図５により、従来のエージェントシステム
（例えば特開２００１−２７３２７２号公報参照）を車
両用情報提供システムに適用した場合の検索範囲と、第
１の実施の形態による検索範囲とを比較すると、第１の
実施の形態では、エージェント検索による情報収集時間
の上限値Ｔと車速Ｖとに基づいて検索範囲を設定するの
で、エージェント検索依頼時点の車両位置Ａを中心とす
る半径Ｒ[ｋｍ]の広い検索範囲２１が設定される。この
車両位置Ａを中心とする半径Ｒの広い検索範囲２１に
は、検索終了後の車両位置Ｂを中心として検索結果をダ
ウンロードする範囲２２が含まれる。これに対し従来の
エージェントシステムを車両用情報提供システムに適用
した場合は、検索範囲は車両位置Ａを中心とした範囲３
１（図中の白抜き部分）であり、検索中に車両が位置Ｂ
まで移動すると検索範囲３１から遠く離れてしまい、検
索終了時点Ｂにおける検索範囲３１の検索結果は無用な
情報になる。

【００２９】このように、第１の実施の形態によれば、
エージェント検索による情報収集に時間がかかる場合で
も、車両乗員がガソリンスタンドの検索結果を受け取る
時点において有効な検索結果を受け取ることができ、自
車位置から近いガソリンスタンドの検索結果を入手する
ことができる。

【００３０】また、第１の実施の形態によれば、エージ
ェントサーバー５から車載情報端末２へ提供するガソリ
ンスタンドの検索結果を、提供時点における車両周辺に
ある予め決められた件数またはデータサイズに制限する
ようにしたので、ダウンロードするデータの容量が必要
最少限の容量に制限されて通信時間と通信コストを低減
することができる。

【００３１】《発明の第２の実施の形態》上述した第１
の実施の形態では、車速と情報収集時間の上限値とに応
じて車両周辺に検索範囲を設定する例を示したが、車両
乗員の情報提供要求の内容、すなわち情報提供要求の
量、項目数、あるいは難易度などを考慮して車両周辺に
検索範囲を設定し、その検索範囲からレストランを検索
する第２の実施の形態を説明する。なお、この第２の実
施の形態の構成は図１に示す構成と同様であり、図示と
説明を省略する。

【００３２】図７〜図８は、第２の実施の形態の情報提
供処理を示すフローチャートである。これらのフローチ
ャートにより、第２の実施の形態の動作を説明する。こ
の実施の形態では、車両乗員が情報端末２のメニュー画
面から「エージェント検索」を選択し、さらにエージェ
ント検索メニューの中から「レストラン」を選択した場
合について説明する。

【００３３】車載情報端末２は、ステップ２１において
車両乗員により「エージェント検索」メニューの「レス
トラン」が選択されたことを検出するとステップ２２へ
進む。ステップ２２で通信装置３を介してエージェント
サーバー５に接続し、続くステップ２３で車両乗員のＩ
Ｄ、検索対象の「レストラン」、情報提供要求の内容、
自車の位置情報をエージェントサーバー５へ送信する。
ここで、自車の位置情報には自車位置の緯度と経度、車
速および進行方向が含まれる。なお、説明を分かりやす
くするためにエージェントによる検索依頼時点の自車位
置を図９に示すように位置Ａとする。また、車速は送信
時点の車速ではなく、例えば過去１分間の移動平均車速
とする。

【００３４】さらに、情報提供要求の内容にはレストラ
ンの駐車場の有無、営業時間、定休日、店内写真、代表
的なメニューと料金、代表的なメニューの写真、利用者
の評価などがある。

【００３５】エージェントサーバー５のエージェント生
成部６は、ステップ２４で、利用者データベースから利
用者ＩＤに対応する利用者情報を入手し、車両乗員の好
みの食事情報を取得する。この実施の形態では車両乗員
の好みを和食とした例を示す。続くステップ２５におい
て、車両乗員の情報提供要求の内容を考慮して車速と情
報収集時間の上限値とに基づいて自車周辺の検索範囲を
決定する。具体的には、レストランが決められる情報、
例えばレストランの駐車場の有無、営業時間、定休日、
店内写真、代表的なメニューと料金、代表的なメニュー
の写真などは処理の難易度が低いので狭い検索範囲、例
えば半径Ｒ＝５ｋｍとする。これに対しレストランでは
決められない利用者の評価は点在しており、情報収集に
時間がかかるので広い検索範囲、例えば半径Ｒ＝１０ｋ
ｍとする。図９に検索依頼時点の位置Ａを中心としたエ
ージェント検索の検索範囲２３を示す。

【００３６】エージェント生成部６は、ステップ２６
で、自車位置を中心とする半径Ｒ[ｋｍ]の検索範囲２３
から車両乗員の好みの和食が食べられるレストランを検
索するためのプログラム、つまりエージェント９を生成
する。

【００３７】エージェント９は、ステップ２７で、アプ
リケーションサーバー１０〜１２の中の和食レストラン
のアプリケーションサーバーへ自ら移動し、和食レスト
ランのアプリケーションサーバーに上述した自車位置情
報の緯度および経度と検索範囲２３を与えて和食レスト
ランを検索させ、和食レストランのアプリケーションサ
ーバーから検索結果の和食レストランの位置情報を取得
する。エージェント９は、和食レストランの位置情報を
取得したらステップ２８でエージェントサーバー５へ戻
る。

【００３８】エージェントサーバー５の結果管理部７
は、ステップ２９において、車載情報端末２へ和食レス
トランの検索終了とエージェント９が持ち帰った和食レ
ストランの検索結果数を通知する。この通知方法には、
エージェントサーバー５から車載情報端末２への電子メ
ール形式、あるいはメッセージ形式がある。

【００３９】エージェント９による検索終了通知を受信
した車載情報端末２は、ステップ３０で、そのときの自
車の位置情報をエージェントサーバー５へ送信する。な
お、説明を分かりやすくするためにエージェント検索終
了時点の自車位置を図９に示すように位置Ｂとする。

【００４０】エージェントサーバー５の結果管理部７
は、ステップ３１で、検索結果の和食レストランを車両
位置Ｂに近い順に並び替え、予め定めた件数またはデー
タサイズだけ車両位置Ｂに近いものを優先的に抽出す
る。そして、抽出した和食レストランに関するデータを
車載情報端末２へダウンロードする。図９に検索結果の
ダウンロード範囲２４を示す。

【００４１】車載情報端末２は、ステップ３２で、ディ
スプレイに自車位置周辺の道路地図を表示し、その道路
地図上に検索結果の和食レストランと自車位置から和食
レストランまでの距離を表示する。ここで、車両乗員は
自車位置周辺の道路地図上に表示された和食レストラン
とそこまでの距離を確認し、目的地または経由地に設定
する。車載情報端末２は、ステップ３３で車両乗員によ
り目的地または経由地に設定された和食レストランへの
経路を探索し、探索結果の経路を道路地図上に表示す
る。

【００４２】以上説明したように第２の実施の形態で
は、車両乗員の情報提供要求の内容を考慮して車速と情
報収集時間の上限値とに基づいて検索範囲を設定し、自
車位置Ａ周辺の和食レストランのエージェント検索を行
い、検索終了後に和食レストランの検索結果を車両乗員
に提供するときは、そのときの自車位置Ｂに基づいて和
食レストランの検索結果を並び替え、位置Ｂの近くから
予め決めた件数またはデータサイズだけ和食レストラン
の検索データをダウンロードするようにした。

【００４３】図９により、従来のエージェントシステム
（例えば特開２００１−２７３２７２号公報参照）を車
両用情報提供システムに適用した場合の検索範囲と、第
２の実施の形態による検索範囲とを比較すると、第２の
実施の形態では、車両乗員の情報提供要求の内容を考慮
して車速と情報収集時間の上限値とに基づいて検索範囲
を設定するので、エージェント検索依頼時点の車両位置
Ａを中心とする半径Ｒ[ｋｍ]の広い検索範囲２３が設定
される。この車両位置Ａを中心とする半径Ｒの広い検索
範囲２３には、検索終了後の車両位置Ｂにおいて検索結
果をダウンロードする範囲２４が含まれる。これに対し
従来のエージェントシステムを車両用情報提供システム
に適用した場合は、検索範囲は車両位置Ａを中心とした
範囲３２であり、検索中に車両が位置Ｂまで移動すると
検索範囲３２から遠く離れてしまい、検索終了時点Ｂに
おける検索範囲３２の検索結果は無用な情報になる。

【００４４】このように、第２の実施の形態によれば、
エージェント検索に時間がかかる場合でも、車両乗員が
和食レストランの検索結果を受け取る時点において有効
な検索結果を受け取ることができ、自車位置から近い和
食レストラン検索結果を入手することができる。

【００４５】また、第２の実施の形態によれば、エージ
ェントサーバー５から車載情報端末２へ提供する和食レ
ストランの検索結果を、提供時点における車両周辺にあ
る予め決められた件数またはデータサイズの和食レスト
ラン検索結果を提供するようにしたので、ダウンロード
するデータの容量が必要最小限の容量に制限されて通信
時間とコストを低減することができる。

【００４６】なお、上述した実施の形態では、車外の基
地局４にエージェントサーバー５を設置する例を示した
が、エージェントサーバー５を車両１に搭載してもよ
い。

【００４７】

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１の実施の形態の構成を示す図である。

【図２】 第１の実施の形態の情報提供処理を示すフロ
ーチャートである。

【図３】 図２に続く、第１の実施の形態の情報提供処
理を示すフローチャートである。

【図４】 図３に続く、第１の実施の形態の情報提供処
理を示すフローチャートである。

【図５】 第１の実施の形態の検索範囲の決定方法を説
明するための図である。

【図６】 第１の実施の形態の検索結果をダウンロード
するタイミングを説明するための図である。

【図７】 第２の実施の形態の情報提供処理を示すフロ
ーチャートである。

【図８】 図７に続く、第２の実施の形態の情報提供処
理を示すフローチャートである。

【図９】 第２の実施の形態の検索範囲の決定方法を説
明するための図である。

【符号の説明】

１ 車両 ２ 車載情報端末 ３ 通信装置 ４ 基地局 ５ エージェントサーバー ６ エージェント生成部 ７ 結果管理部 ８ 進捗管理部 ９ エージェント １０〜１２ アプリケーションサーバー １３ 通信回線 ２１、２３ エージェント検索の検索範囲 ２２、２４ 検索結果のダウンロード範囲

フロントページの続き (72)発明者 赤塚 健 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日産 自動車株式会社内 Ｆターム(参考） 2F029 AA02 AB13 AC02 AC09 AC14 AC18 5H180 AA01 BB04 BB05 EE01 FF03 FF13 FF22 FF25 FF27 5K067 AA33 AA34 BB03 BB21 DD51 EE02 EE10 GG01 GG11 HH21 HH22

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両乗員の情報提供要求を入力して車両乗
   員に種々の情報を提供する車載情報端末と、 情報ネットワーク上を移動して車両乗員の情報提供要求
   に応じた情報収集処理を行うプログラム（以下、エージ
   ェントという）を生成するエージェントサーバーとを備
   え、 前記エージェントが収集した情報を前記車載情報端末を
   介して車両乗員へ提供する車両用情報提供システムであ
   って、 前記エージェントは、車速と情報収集時間の上限値とに
   基づいて情報収集範囲を決定することを特徴とする車両
   用情報提供システム。
2. 【請求項２】請求項１に記載の車両用情報提供システム
   において、 前記エージェントは、車両乗員の情報提供要求の内容を
   考慮して情報収集範囲を決定することを特徴とする車両
   用情報提供システム。
3. 【請求項３】請求項１または請求項２に記載の車両用情
   報提供システムにおいて、 前記エージェントサーバーは、前記エージェントが収集
   した情報の中から情報収集完了時点の車両位置周辺の情
   報を所定量だけ抽出し、前記車載情報端末へ送ることを
   特徴とする車両用情報提供システム。
4. 【請求項４】請求項３に記載の車両用情報提供システム
   において、 前記エージェントサーバーは前記エージェントによる情
   報収集の完了を前記車載情報端末へ通知し、前記車載情
   報端末は情報収集完了時点の車両位置を前記エージェン
   トサーバーへ通知することを特徴とする車両用情報提供
   システム。
5. 【請求項５】請求項１〜４のいずれかの項に記載の車両
   用情報提供システムにおいて、 前記エージェントサーバーは車外に設置されて前記車載
   情報端末と無線通信を行い、 前記車載情報端末は、地点ごとの無線通信状況を示すマ
   ップを備え、前記通信状況マップを参照して通信状況の
   よい地点で前記エージェントサーバーから収集情報をダ
   ウンロードすることを特徴とする車両用情報提供システ
   ム。
6. 【請求項６】請求項１〜５のいずれかの項に記載の車両
   用情報提供システムにおいて、 前記情報ネットワークには、前記エージェントの要求に
   応じて種々の処理を行い、処理結果を前記エージェント
   へ付与するアプリケーションサーバーが含まれることを
   特徴とする車両用情報提供システム。
7. 【請求項７】車載情報端末を介して車両乗員の情報提供
   要求を入力し、情報ネットワーク上を移動して車両乗員
   の情報提供要求に応じた情報収集処理を行い、収集した
   情報を前記車載情報端末を介して車両乗員へ提供する車
   両用情報提供プログラムであって、 車速と情報収集時間の上限値とに基づいて情報収集範囲
   を決定することを特徴とする車両用情報提供プログラ
   ム。
8. 【請求項８】請求項７に記載の車両用情報提供プログラ
   ムにおいて、 車両乗員の情報提供要求の内容を考慮して情報収集範囲
   を決定することを特徴とする車両用情報提供プログラ
   ム。
9. 【請求項９】請求項７または請求項８に記載の車両用情
   報提供プログラムにおいて、 収集した情報の中から情報収集完了時点の車両位置周辺
   の情報を所定量だけ抽出し、抽出した情報を前記車載情
   報端末を介して車両乗員へ提供することを特徴とする車
   両用情報提供プログラム。