JP2003293064A - ろう付け用アルミニウム合金複合材及びそれを使用した熱交換器 - Google Patents
ろう付け用アルミニウム合金複合材及びそれを使用した熱交換器Info
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Abstract
して使用された場合の内面側(クーラント側)の耐食性
が優れており、薄肉化が可能なろう付用アルミニウム合
金複合材を提供する。 【解決手段】 心材は、Mg:0.2%以下、Cr:
0.3%以下、Fe:0.2%以下、Cu:0.2〜
1.0%、Si:0.05〜1.3%、Mn:0.3〜
1.8%、Ti:0.02〜0.3%を含有し、Cu+
Siが2.0%以下であり、残部がAl及び不可避不純
物からなる組成を有する。皮材は、Zn:2〜9%、M
n:0.3〜1.8%及びSi:0.5〜1.2%を含
有し、更に、Fe:0.02〜0.25%、Cr:0.
01〜0.30%、Mg:0.005〜0.15%、及
びCu:0.001〜0.15%からなる群から選択さ
れた少なくとも1種を含有する組成を有し、皮材中の平
均Si組成がSi含有量の0.5倍以下である。
Description
タのチューブ及びヘッダプレートやヒータコア等に使用
されるブレージングシートとして好適のアルミニウム合
金複合材及び熱交換器に関し、特に、高強度であると共
に、ラジエータ及びヒータコアとして使用された場合の
内面側(クーラント側)の耐食性が優れており、薄肉化
が可能なろう付用アルミニウム合金複合材及びそれを使
用した熱交換器に関する。
し、心材の他面に皮材をクラッドしたろう付け用アルミ
ニウム合金複合材において、皮材にMn及びSiを添加
することにより、高強度化を図っている。(特開平11
−61306号公報)。
Siを添加した場合、ろう付け時にAl−Mn−Si系
析出物が粒界に析出するため、皮材自体の耐食性が劣化
し、皮材が犠牲陽極層として作用する期間が短くなり、
その結果、クラッド材の内面側(クーラント側)の耐食
性が劣化するという問題点がある。また、心材には通常
Cuが含有されており、このCuがろう付け時に皮材に
拡散するため、Al−Cu−Si系析出物又はAl−M
n−Cu−Si系析出物が皮材の粒界に析出し、皮材自
体の耐食性を劣化させる。これによっても、クラッド材
の内面耐食性が劣化する。
のであって、高強度であると共に、ラジエータのチュー
ブ、ヘッダプレート及びコータコアとして使用された場
合の内面側(クーラント側)の耐食性が優れており、薄
肉化が可能なろう付用アルミニウム合金複合材を提供す
ることを目的とする。
アルミニウム合金複合材は、心材の片面にAl−Si系
のアルミニウム合金からなるろう材が形成され、前記心
材の他面に皮材が全板厚の6乃至30%のクラッド率で
形成されたアルミニウム合金複合材において、前記心材
は、Mg:0.2質量%以下、Cr:0.3質量%以
下、Fe:0.2質量%以下、Cu:0.2乃至1.0
質量%、Si:0.05乃至1.3質量%、Mn:0.
3乃至1.8質量%、Ti:0.02乃至0.3質量%
を含有し、Cu+Siが2.0質量%以下であり、残部
がAl及び不可避不純物からなる組成を有し、前記皮材
は、Zn:2乃至9質量%、Mn:0.3乃至1.8質
量%及びSi:0.5乃至1.2質量%を含有し、更
に、Fe:0.02〜0.25質量%、Cr:0.01
〜0.30質量%、Mg:0.005〜0.15質量
%、及びCu:0.001〜0.15質量%からなる群
から選択された少なくとも1種を含有する組成を有し、
皮材中の平均Si組成がSi含有量の0.5倍以下であ
ることを特徴とする。
おいて、前記皮材は、Zn含有量が3質量%以上で、Z
n/Si比が4以上であることが好ましい。
付け用アルミニウム合金複合材をブレージングシートと
して使用してろう付けすることにより組み立てられ、1
00℃/分以上の冷却速度でろう付けされたものである
ことを特徴とする。
く種々実験研究した結果、皮材にMn及びSiを所定の
範囲で含有させ、更に皮材の厚さを所定の割合にし、更
に、皮材に、Fe、Cr、Mg、Cuの少なくとも1種
を含有させることにより、ろう付性、耐食性及び強度を
維持したまま、アルミニウム合金複合材の大幅な薄肉化
を図ることができることを見いだした。
有量」×0.5以下とすることにより、耐食性を向上で
きる。更に、ろう付け時の冷却速度を100℃/分以下
とすることにより、内面側(クーラント側)の耐食性を
向上させることができる。
複合材の心材、皮材及びろう材における成分添加理由及
び組成限定理由について説明する。先ず、心材の組成に
ついて説明する。
量%を超えて添加されると、ろう付性を低下させてしま
う。特に、ノコロック法によるろう付けではその低下が
極めて大きい。従って、Mgの含有量は0.2質量%以
下に制限する。なお、より一層ろう付性の低下を抑制す
るためには、Mgの含有量を0.1質量%以下とするこ
とが好ましい。
材側の耐食性も向上させる。しかし、心材にCuを添加
すると、粒界腐食感受性を増大させるため、皮材面側の
耐食性を低下させてしまう。そこで、皮材にZnを2質
量%以上添加することにより、皮材の電位を粒界に対し
て卑に設定することができると共に、粒界腐食を防止す
ることができる。つまり、皮材におけるZnの添加量を
多くすることにより、心材に対する皮材の電位を心材の
マトリックスのみならず、粒界に対しても低く設定する
ことができるため、粒界腐食を防止することができる。
Cuの添加量が0.2質量%未満では心材の強度を向上
させるには不十分である。一方、Cuが1.0質量%を
超えて添加されると、心材の融点を低下させるため、ろ
う付時に心材の溶融が生じてしまう。従って、Cuの含
有量は0.2乃至1.0質量%とする。
量% Siは心材の強度を向上させる元素であり、特にMn−
Si系析出物により心材の強度が向上する。しかし、S
iの添加量が0.05質量%未満では、心材の強度を向
上させるには不十分である。一方、Siが1.3質量%
を超えて添加されると、心材の融点を低下させると共
に、低融点相の増加に起因してろう付け時に心材の溶融
が生じてしまう。従って、Siの含有量は0.05乃至
1.3質量%とする。
添加されると、心材の融点を低下させ、ろう付時に心材
が溶融してしまう。これを防止するため、Si及びCu
の添加量の総計を2.0質量%以下に制限する必要があ
る。従って、Si及びCuの総量を2.0質量%以下と
する。
% Mnは心材の耐食性、ろう付性及び強度を向上させる元
素である。Mnの添加量が0.3質量%未満の場合は、
強度を向上させることができない。しかし、Mnの添加
量が1.8質量%を超えると、結晶粒が粗大化した化合
物を生成するため、加工性が低下してしまう。従って、
Mnの含有量は0.3乃至1.8質量%とする。
% Tiは心材の耐食性をより一層向上させる元素である。
Tiの添加量が0.02質量%未満であると、心材の耐
食性を十分に向上させることができない。一方、Tiが
0.3質量%を超えて添加されても、それ以上は心材の
耐食性を向上させることができず、却って結晶粒が粗大
化した化合物を生成するため、加工性が低下してしま
う。従って、Tiの含有量は0.02乃至0.3質量%
とする。このように、Tiは心材の耐食性を向上させる
ためには不可欠の元素であり、Tiを添加すると、心材
において層状に析出して、孔食が深さ方向へ進行するこ
とを抑制すると共に、Tiの添加により心材電位を貴に
移行させることができる。また、Tiはアルミニウム合
金において拡散速度が小さく、ろう付時の移動も少ない
ため、Tiを添加することは、心材とろう材、又は心材
と皮材の電位差を維持して、電気化学的に心材を防食す
ることに有効である。
素である。Crが0.3質量%を超えて添加されても、
それ以上は心材の耐食性、強度及びろう付性を向上させ
ることができず、却って化合物の結晶の粗大化により加
工性を低下させてしまう。従って、Crの含有量は0.
3質量%以下とする。なお、より好ましいCrの添加量
は0.02乃至0.3質量%である。
の強度及び溶接性を向上させる元素である。Feの添加
量が0.2質量%を超えると、心材の耐食性が低下して
しまう。従って、Feの含有量は0.2質量%以下とす
る。なお、より好ましいFeの添加量は、0.02乃至
0.2質量%である。
% Mnは皮材の強度を向上させる元素である。即ち、Mn
が皮材中に固溶することにより材料強度が向上する。M
nの添加量が0.3質量%よりも少ないと十分なMn固
溶量が得られず、強度が確保されない。一方、Mnの添
加量が1.8質量%よりも多いと化合物が増加すること
により、皮材の加工性を低下させ、クラックの起点とな
るため、クラッド材全体の加工性を低下させる。従っ
て、皮材にMnを添加する場合は、皮材のMn量は0.
3乃至1.8質量%とする。
% Siは、Mnと同様に皮材に添加することにより強度が
向上する。また、Mn及びSiを共添加(双方を添加)
することにより、強度の向上効果がより大きくなる。S
iの添加量が0.5質量%より少ないと、強度の向上効
果が十分でない。Siの添加量が1.2質量%より多い
と、粒界腐食感受性が高まり、耐食性が低下する。従っ
て、皮材にSiを添加する場合は、Si含有量の範囲は
0.5乃至1.2質量%とする。なお、Mn及びSiは
同様の効果を有し、少なくともいずれか1方を添加すれ
ばよい。
この場合、心材におけるCuの添加量が0.2質量%以
下であると、皮材におけるZnの添加量が2質量%未満
で十分な犠牲陽極効果を得ることができると共に、耐食
性を維持することができる。しかし、上述したように、
心材におけるCuの添加量が0.2質量%を超えて、
1.0質量%以下である場合には、皮材におけるZnの
添加量を2乃至9質量%とすることが必要である。これ
は、皮材におけるZnの添加量が2質量%未満である
と、皮材の電位は粒界に対して十分な電位差をとること
ができず、粒界腐食が発生して、皮材側の耐食性が低下
してしまうからであり、一方、Znを皮材に9質量%を
超えて添加すると、皮材自身の自己腐食速度が上昇する
ため、皮材が早期に消耗し、犠牲陽極効果を示す期間が
短くなり、耐食性が劣化する。なお、Si量を上げた状
態で強度及び耐食性のバランスを得るために、Zn量は
3質量%以上とするのが好ましい。
せて、Fe,Cr,Mg及びCuからなる群から選択さ
れた少なくとも1種を合わせて添加することにより、皮
材の強度を更に一層向上させることができ、板厚全体の
強度向上に有効である。
固溶することにより、皮材の強度を向上させる元素であ
る。Feの含有量が0.02質量%未満であると、結晶
粒微細化及び強度向上の効果が不十分である。Feの添
加量が0.25質量%を超えると、皮材中のFeを含有
する金属間化合物及び晶出物の量が増大するため、カソ
ードサイトが増大する。このため、皮材自体の腐食速度
が増大し、耐食性が低下する。従って、Feを添加する
場合は、Feの含有量は0.25質量%以下とする。な
お、より好ましいFeの添加量は、0.02乃至0.2
質量%である。
る。Crが0.3質量%を超えて添加されても、それ以
上は皮材の耐食性及び強度を向上させることができず、
また、Crを含有する晶出物量が増大することによりカ
ソードサイトが増大するため、皮材自体の腐食速度が増
大し、耐食性が低下する。従って、Crの含有量は0.
3質量%以下とする。一方、Crが0.01以下の場
合、強度及び耐食性の向上効果が得られない。このた
め、Crを添加する場合は、そのCrの含有量は0.0
1乃至0.30質量%とする。
させる。更に、Siが共存する場合には、Mg2Siの
析出物が分散することによる効果により、更に一層強度
を向上させることができる。Mgが0.15質量%を超
える場合は、皮材側が接合される部位でのろう付性を劣
化させるため、Mgの含有量は0.15%以下とする。
また、Mg含有量が0.005%未満では強度向上の効
果が小さい。よって、Mgを添加する場合は、その添加
量は、0.005乃至0.15質量%とする。
させる。皮材中のCuが0.15質量%を超える場合
は、皮材の電位が貴となるため、心材のCuが0.2〜
1質量%で皮材のZnを2〜7%に制御した場合でも、
心材に対する犠牲陽極効果が低下するため、皮材側の耐
食性が劣化する。また、Cu量が0.001質量%未満
の場合は、強度の上昇効果が小さく、皮材側の十分な強
度増大効果が得られない。
量)×1/2以下 アルミニウム合金中にSiが存在する場合、Siの存在
形態は大きく3種類に分けられる。先ず、Siのみで
存在する。Si含有量が1質量%以下の程度では、通
常、固溶しており、又は1μm以下の単体Si析出物と
して存在する。約1質量%のSiと、約1質量%のM
nとが共存するとき、鋳造時に、Al−Mn−Si系の
晶出物(粒径:数μm〜数10μm)が晶出する。約
1質量%のSiと、約1質量%のMnが共存する場合、
上記鋳造時の晶出物とは別に、熱処理(均熱)条件及び冷
却条件により、粒径が数μm以下のAl−Mn−Si系
析出物が析出する。「平均Si組成」とは、の粒径の
晶出物のうち、10μm以上の粗大晶出物を除いた晶出
物、及びとに含まれるSiの総含有量をいう。この
「平均Si組成」は、市販のEPMA(Electron Probe
Micro-analyzer)分析装置を使用して、Si及びMn
のライン分析を実施した場合に、MnとSiとが10μ
m以上の範囲で同時に強度を示すピーク(粒径が10μ
m以上の粗大な晶出物からのピークと考えられる)を除
いたSi濃度を「平均Si組成」として測定することが
できる。
の冷却時にAl−Mn−Si系、Al−Mn−Si−C
u系、Al−Si−Cu系析出物の粒界への析出を促進
する効果が大きい。これは粒内固溶Siが拡散しやすい
ためである。また上記のうち微小な析出物につい
ては、ろう付け加熱時に再固溶しやすいため、固溶Si
と同様にふるまい、冷却時にAl−Mn−Si系、Al
−Mn−Si−Cu系、Al−Si−Cu系析出物とな
って粒界へ析出促進する効果がある。そこで、本発明に
おいては、Si固溶量及び微小な析出物の比率を低下さ
せること、即ち平均Si組成をSi含有量×0.5以下
にすることにより、ろう付けの冷却時に粒界に到達する
Si量を抑制し、粒界析出物が生じにくくなる効果を生
じさせる。平均Si組成がSi含有量×0.5を超える
と、粒界析出物が増大し、皮材の自己耐食性が低下し、
その結果、ブレージングシートの皮材側の耐食性が劣化
してしまう。
Siを予めAl−Mn−Si系晶出物として安定化させ
ておくことができる。具体的な手段としては、皮材の鋳
塊の均熱温度を520乃至630℃の温度とすることに
より、平均Si組成を(Si含有量)×0.5以下とす
ることができる。また、均熱温度を400乃至520℃
とした場合でも、鋳造時の冷却を0.1乃至5℃/時と
することにより、同様の効果を得ることができる。
速度を100℃/分以上とすることにより、Al−Mn
−Si系、Al−Mn−Si−Cu系、Al−Si−C
u系析出物の粒界への析出を抑制することができる。ろ
う付け時の冷却速度を100℃/分以上とすることによ
り、Si及びCu等の拡散に要する時間が短縮されるた
め、粒界析出物を減少させることができ、Si固溶量の
抑制と合わせてろう付け時の冷却速度を規定することに
より、耐食性が向上する。
材の全板厚の6乃至30% 本発明の組成からなる皮材のクラッド率を6%以上とす
ることにより、大幅な薄肉化を行なっても、耐食性を維
持したままで十分な強度が得られる。クラッド率が6%
より小さいと、皮材の犠牲陽極効果が不十分となるた
め、耐食性が低下する。従って、本発明の組成を有する
皮材のクラッド率は全板厚の6%以上とする。
した場合、相対的に心材の厚さが減少し、外面側の耐食
性が劣化するため、クラッド率の上限は30%とする。
よって、皮材のクラッド率は6乃至30%とする。
Si比が4以上 皮材にSiを添加することにより強度は向上するが、耐
食性(粒界腐食性)が低下する。Zn/Si比を4以上
にすれば、大幅に薄肉化を行なっても、耐食性と強度を
好ましい範囲で両立させることができる。従って、Zn
は3質量%以上、Zn/Si比は4以上であることが好
ましい。
は、従来使用されているろう材と同様のAl−Si系合
金、例えばA4045合金等を使用することができる。
また、ろう材にZnを添加することにより、ろう材を積
極的に犠牲陽極として作用させることもできる。この場
合には、Znの添加量を皮材におけるZnの添加量と同
量、即ち2乃至5質量%とすることが好ましい。また、
ろう材面の耐食性を確保するために、フィン材と外面と
の電位差を確保することも必要であるため、ろう材にC
u等の電位を上昇させる金属元素を微量添加しても良
い。
明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明す
る。
を示す。表1に示す心材No.1乃至5は本発明の実施
例、心材No.6乃至18は本発明の比較例である。ま
た、表2に示す皮材No.1乃至4及び皮材No.11
乃至13は本発明の実施例であり、皮材No.5乃至1
0は本発明の特許請求の範囲から外れる比較例である。
ろう材(JIS4045合金;Si:10.5質量%、
Fe:0.05質量%、Cu:0.05質量%、Ti:
0.02質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純
物)とを使用して、図1に示すようなろう付用アルミニ
ウム合金複合材を製造した。図1は本発明の実施例に係
るろう付用アルミニウム合金複合材を示す断面図であ
る。図1に示すように、このアルミニウム合金複合材4
は心材1の両面に夫々皮材2及びろう材3を積層するこ
とにより構成されている。また、下記表3はこの複合材
における心材と皮材との組み合わせ並びにそれらの厚
さ、ろう材の厚さ及び複合材の厚さを示す。
41と比較例11乃至40及び42は、ろう付け時の冷
却速度が30乃至70℃/分であった。また、比較例4
2はろう付け時の冷却速度が120℃/分であった。
試験、引張り強度測定及び耐食性試験を行った。試験方
法は以下のとおりである。即ち、ろう付性試験において
は、ろう付用アルミニウム合金複合材のろう材側の面に
おいて、ノコロック用フラックスを5g/m2塗布し、
乾燥させた後、露点が−40℃の温度である窒素雰囲気
中において、到達温度600℃、600℃での保持時間
2分の条件にて加熱した。
断面図である。この図2に示すように、実際のラジエー
タの製造においては、心材31、皮材32及びろう材3
3からなるチューブ34と、熱を放出するためのフィン
35と、チューブ34を連結するヘッダ36とを組み合
わせた状態においてろう付けを行うが、ろう付け評価の
簡易化及び定量化を考慮して、ドロップ試験による流動
係数(アルミニウムブレージングハンドブック (平成
4年1月発行)、軽金属構造溶接協会 P126記載の
「ドロップ型流動性試験」の方法)によりろう付性を評
価した。
す。表4において、流動性が65%以上の場合が○、6
5%未満の場合が×である。
付性試験と同様に、ろう付け加熱した後のアルミニウム
合金複合材について引張試験(JIS○○○)を行っ
た。その結果を上記表4に併せて示す。このろう付け後
強度は、引張強さが158MPaを超えるものが○、引
張強さが158MPa以下のものが×である。
に、加熱したろう付用アルミニウム合金複合材につい
て、CASS試験(JIS○○○)を連続250時間試
験した。その結果を上記表4に示す。表4のろう材側腐
食深さ欄において、ろう材側侵食深さが70μm以下の
場合が○、ろう材側侵食深さが70μmを超えるものが
×である。
試験を行った。この皮材側腐食試験は、ろう付性試験と
同様に、加熱したろう付用アルミニウム合金複合材にう
いて、人工水(Cl:300質量ppm、SO4:10
0質量ppm及びCu:5質量ppm)を使用して腐食
試験を行った。人工水にアルミニウム合金複合材を浸漬
し、88℃で8時間(室温から88℃への加熱時間を含
む)、室温保持16時間(88℃から室温への冷却時間
を含む)のサイクル試験30日実施した。このような手
順で30日間及び50日間の腐食試験を行った。その結
果を上記表4に示す。表4の皮材腐食深さ欄において、
30日後に、皮材腐食深さが30μm以下の場合が○、
皮材腐食深さが30μmを超える場合が×であり、50
日後においても、皮材腐食深さが30μm以下の場合が
◎である。なお、30日後に皮材腐食深さが30μm以
下であったが、50日後に30μm以上になった場合は
○である。
乃至10は、ろう付け性、引張り強さ、ろう材側腐食深
さ及び皮材側腐食深さの全てにおいて優れたものであっ
た。これに対し、比較例11は心材のSi量が下限値未
満であるので、ろう付け後の強度が不十分であった。比
較例12は心材のCu量が下限値未満であるので、ろう
付け後の強度が不十分であった。比較例13は心材のM
n量が下限値未満であるので、ろう付け後の強度が不十
分であった。比較例14は心材のMg量が上限値を超え
るので、ろう付け性が劣るものであった。比較例15は
心材のCr量が下限値未満であるので、強度が若干劣る
ものであった。比較例16は心材のTi量が下限値未満
であるので、心材の耐食性が劣化した。比較例17は心
材のSi量が上限値を超えるものであるので、心材の溶
融が生じた。比較例18は心材のFe量が上限値を超え
るので、心材の耐食性が劣化した。比較例19は心材の
Cu量が上限値を超えるので、心材の溶融が生じた。比
較例20は心材のMnが上限値を超えるので、加工性が
劣化した。比較例21は心材のTi量が上限値を超える
ので、加工性が劣化した。比較例22は心材のCr量が
上限値を超えるので、加工性が低下した。比較例23は
心材のCu+Siが上限値を超えるので、心材の溶融が
生じた。
満であるので、ろう付け後強度が不十分であった。比較
例25は皮材のSiが上限値を超えるので、皮材側の耐
食性が劣化した。比較例26は皮材のMnが下限値未満
であるので、ろう付け後強度が不十分であった。比較例
27は皮材のMnが上限値を超えるので、加工性が低下
した。比較例28は皮材のZn/Siが下限値未満であ
るので、皮材側の耐食性が劣化した。比較例29は皮材
のZnが下限値未満であるので、皮材側の耐食性が劣化
した。比較例30は皮材のZnが上限値を超えるので、
皮材側の耐食性が劣化した。比較例31は皮材のFeが
上限値を超えるので、皮材側の耐食性が劣化した。比較
例32は皮材のFeが下限値未満であるので、ろう付け
後の強度が不足した。比較例33は皮材のCr量が上限
値を超えるので、皮材側の耐食性が劣化した。比較例3
4は皮材のCr量が下限値未満であるので、ろう付け後
の強度が不十分であると共に、皮材側の耐食性が劣化し
た。比較例35は皮材のMg量が上限値を超えるから、
皮材側のろう付け部位のろう付け性が劣化した。比較例
36は皮材のMg量が下限値未満であるので、ろう付け
後の強度が不十分であった。比較例37は皮材のCu量
が上限値を超えるので、皮材側の耐食性が劣化した。比
較例38は皮材のCuが下限値未満であるので、ろう付
け後の強度が劣化した。比較例39は皮材のクラッド率
が下限値未満であるので、皮材側の耐食性が劣化した。
比較例40は皮材のクラッド率が上限値を超えるので、
ろう材側の耐食性が劣化した。
22のものであり、平均Si組成が(Si含有量)×
0.5以下のものである。これに対し、比較例42は皮
材がNo.23のものであり、平均Si組成が(Si含
有量)×0.5を超えるものである。このため、実施例
41及び43はろう付け性、引張り強さ、ろう材側腐食
深さ及び皮材側腐食深さが優れており、特に、皮材側腐
食深さが極めて良好であった。
高強度及び高耐食性を有し、薄肉化が可能なろう付け用
アルミニウム合金複合材を得ることができる。
合金複合材を示す断面図である。
る。
積層構造を示す断面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 心材の片面にAl−Si系のアルミニウ
ム合金からなるろう材が形成され、前記心材の他面に皮
材が全板厚の6乃至30%のクラッド率で形成されたア
ルミニウム合金複合材において、前記心材は、Mg:
0.2質量%以下、Cr:0.3質量%以下、Fe:
0.2質量%以下、Cu:0.2乃至1.0質量%、S
i:0.05乃至1.3質量%、Mn:0.3乃至1.
8質量%、Ti:0.02乃至0.3質量%を含有し、
Cu+Siが2.0質量%以下であり、残部がAl及び
不可避不純物からなる組成を有し、前記皮材は、Zn:
2乃至9質量%、Mn:0.3乃至1.8質量%及びS
i:0.5乃至1.2質量%を含有し、更に、Fe:
0.02〜0.25質量%、Cr:0.01〜0.30
質量%、Mg:0.005〜0.15質量%、及びC
u:0.001〜0.15質量%からなる群から選択さ
れた少なくとも1種を含有する組成を有し、皮材中の平
均Si組成がSi含有量の0.5倍以下であることを特
徴とするろう付け用アルミニウム合金複合材。 - 【請求項2】 前記皮材は、Zn含有量が3質量%以上
で、Zn/Si比が4以上であることを特徴とする請求
項1に記載のろう付用アルミニウム合金複合材。 - 【請求項3】 前記請求項1又は2に記載のろう付け用
アルミニウム合金複合材をブレージングシートとして使
用してろう付けすることにより組み立てられ、100℃
/分以上の冷却速度でろう付けされたものであることを
特徴とする熱交換器。
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