JP2003268470A - ろう付け用アルミニウム合金複合材 - Google Patents

ろう付け用アルミニウム合金複合材

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JP2003268470A JP2002075026A JP2002075026A JP2003268470A JP 2003268470 A JP2003268470 A JP 2003268470A JP 2002075026 A JP2002075026 A JP 2002075026A JP 2002075026 A JP2002075026 A JP 2002075026A JP 2003268470 A JP2003268470 A JP 2003268470A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度であると共に、ラジエータチューブと
して使用された場合の内面側(クーラント側)の耐食性
が優れており、薄肉化が可能なろう付用アルミニウム合
金複合材を提供する。 【解決手段】 心材1の片面にAl−Si系ろう材3が
形成され、他面に皮材2が全板厚の6乃至30%のクラ
ッド率で形成されている。心材1は、Mg:0.2質量
%以下、Cr:0.3質量%以下、Fe:0.2質量%
以下、Cu:0.2乃至1.0質量%、Si:0.05
乃至1.3質量%、Mn:0.3乃至1.8質量%、T
i:0.02乃至0.3質量%を含有し、Cu+Siが
2.0質量%以下である。皮材2は、Zn:2乃至9質
量%であり、Mn:0.3乃至1.8質量%及び/又は
Si:0.04乃至1.2質量%を含有し、更に、F
e:0.02〜0.25質量%、Cr:0.01〜0.
30質量%、Mg:0.005〜0.15質量%、及び
/又はCu:0.001〜0.15質量%を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のラジエー
タのチューブ及びプレート等に使用されるブレージング
シートとして好適のアルミニウム合金複合材に関し、特
に、高強度であると共に、ラジエータチューブとして使
用された場合の内面側(クーラント側)の耐食性が優れ
ており、薄肉化が可能なろう付用アルミニウム合金複合
材に関する。
【0002】
【従来の技術】心材の片面にろう材をクラッドし、心材
の他面に皮材をクラッドしたろう付け用アルミニウム合
金複合材において、心材にMgを添加することにより心
材の強度を向上させている。しかし、心材のMg含有量
が0.2質量%を超えると、ろう付性が極めて低下す
る。このため、心材にMgを添加することは好ましくな
い。
【0003】また、耐食性及びろう付性等を阻害するこ
となく、薄肉化を図ったアルミニウム合金複合材が提案
されている(特開平8−283891号公報及び特開平
11−61306号公報)。特に、特開平8−2838
91号公報に記載されたアルミニウム合金複合材は、皮
材がMgを0.3乃至3質量%、Znを2.2乃至5質
量%含有しており、Mgの添加により皮材の強度の向上
を図っている。
【0004】更に、皮材にMgを添加する代わりに、皮
材にMn及びSiを添加して強度を向上させたアルミニ
ウム合金複合材も提案されている(特開平11−613
06号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
各従来技術は、以下に示す欠点を有する。先ず、特開平
8−283891号公報に記載のアルミニウム合金複合
材は、皮材にMgを添加することにより強度の向上を図
っているが、肉厚が薄くなると、ろう付け時の熱拡散に
よりMgが心材を経由してろう材表面に到達し、ろう付
け性を阻害してしまう。このため、所定のろう付け性を
保つためには心材の厚さを厚くせざるを得ず、薄肉化に
限界がある。また、この従来のアルミニウム合金複合材
は、皮材側のろう付性が劣るため、皮材側がろう付され
る構造となるチューブ材としては使用できないという問
題点がある。
【0006】一方、特開平11−61306号公報に記
載のアルミニウム合金は、皮材にMn及びSiを添加し
て強度の向上を図っているが、皮材へのMn及びSi成
分の添加のみで耐食性等を維持しつつ薄肉化を図るのに
は限界がある。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、高強度であると共に、ラジエータチューブ
として使用された場合の内面側(クーラント側)の耐食
性が優れており、薄肉化が可能なろう付用アルミニウム
合金複合材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るろう付け用
アルミニウム合金複合材は、心材の片面にAl−Si系
のアルミニウム合金からなるろう材が形成され、前記心
材の他面に皮材が全板厚の6乃至30%のクラッド率で
形成されたアルミニウム合金複合材において、前記心材
は、Mg:0.2質量%以下、Cr:0.3質量%以
下、Fe:0.2質量%以下、Cu:0.2乃至1.0
質量%、Si:0.05乃至1.3質量%、Mn:0.
3乃至1.8質量%、Ti:0.02乃至0.3質量%
を含有し、Cu+Siが2.0質量%以下であり、残部
がAl及び不可避不純物からなる組成を有し、前記皮材
は、Zn:2乃至9質量%であり、Mn:0.3乃至
1.8質量%及びSi:0.04乃至1.2wtからな
る群から選択された少なくとも1種を含有し、更に、F
e:0.02〜0.25質量%、Cr:0.01〜0.
30質量%、Mg:0.005〜0.15質量%、及び
Cu:0.001〜0.15質量%からなる群から選択
された少なくとも1種を含有する組成を有することを特
徴とする。
【0009】このろう付け用アルミニウム合金複合材に
おいて、前記皮材は、Zn含有量が3質量%以上で、Z
n/Si比が4以上であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者等が前記課題を解決すべ
く種々実験研究した結果、皮材にMn及びSiを所定の
範囲で含有させ、更に皮材の厚さを所定の割合にし、更
に、皮材に、Fe、Cr、Mg、Cuの少なくとも1種
を含有させることにより、ろう付性、耐食性及び強度を
維持したまま、アルミニウム合金複合材の大幅な薄肉化
を図ることができることを見いだした。
【0011】以下、本発明のろう付用アルミニウム合金
複合材の心材、皮材及びろう材における成分添加理由及
び組成限定理由について説明する。先ず、心材の組成に
ついて説明する。
【0012】Mg(マグネシウム):0.2質量%以下 Mgは心材の強度を向上させる元素であるが、0.2質
量%を超えて添加されると、ろう付性を低下させてしま
う。特に、ノコロック法によるろう付けではその低下が
極めて大きい。従って、Mgの含有量は0.2質量%以
下に制限する。なお、より一層ろう付性の低下を抑制す
るためには、Mgの含有量を0.1質量%以下とするこ
とが好ましい。
【0013】Cu(銅):0.2乃至1.0質量% Cuは心材の強度を向上させる元素であり、また、ろう
材側の耐食性も向上させる。しかし、心材にCuを添加
すると、粒界腐食感受性を増大させるため、皮材面側の
耐食性を低下させてしまう。そこで、皮材にZnを2質
量%以上添加することにより、皮材の電位を粒界に対し
て卑に設定することができると共に、粒界腐食を防止す
ることができる。つまり、皮材におけるZnの添加量を
多くすることにより、心材に対する皮材の電位を心材の
マトリックスのみならず、粒界に対しても低く設定する
ことができるため、粒界腐食を防止することができる。
Cuの添加量が0.2質量%未満では心材の強度を向上
させるには不十分である。一方、Cuが1.0質量%を
超えて添加されると、心材の融点を低下させるため、ろ
う付時に心材の溶融が生じてしまう。従って、Cuの含
有量は0.2乃至1.0質量%とする。
【0014】Si(シリコン):0.05乃至1.3質
量% Siは心材の強度を向上させる元素であり、特にMn−
Si系析出物により心材の強度が向上する。しかし、S
iの添加量が0.05質量%未満では、心材の強度を向
上させるには不十分である。一方、Siが1.3質量%
を超えて添加されると、心材の融点を低下させると共
に、低融点相の増加に起因してろう付け時に心材の溶融
が生じてしまう。従って、Siの含有量は0.05乃至
1.3質量%とする。
【0015】Cu及びSiの総量:2.0質量%以下 上述のように、Cu及びSiはいずれも所定量を超えて
添加されると、心材の融点を低下させ、ろう付時に心材
が溶融してしまう。これを防止するため、Si及びCu
の添加量の総計を2.0質量%以下に制限する必要があ
る。従って、Si及びCuの総量を2.0質量%以下と
する。
【0016】Mn(マンガン):0.3乃至1.8質量
Mnは心材の耐食性、ろう付性及び強度を向上させる元
素である。Mnの添加量が0.3質量%未満の場合は、
強度を向上させることができない。しかし、Mnの添加
量が1.8質量%を超えると、結晶粒が粗大化した化合
物を生成するため、加工性が低下してしまう。従って、
Mnの含有量は0.3乃至1.8質量%とする。
【0017】Ti(チタン):0.02乃至0.3質量
Tiは心材の耐食性をより一層向上させる元素である。
Tiの添加量が0.02質量%未満であると、心材の耐
食性を十分に向上させることができない。一方、Tiが
0.3質量%を超えて添加されても、それ以上は心材の
耐食性を向上させることができず、却って結晶粒が粗大
化した化合物を生成するため、加工性が低下してしま
う。従って、Tiの含有量は0.02乃至0.3質量%
とする。このように、Tiは心材の耐食性を向上させる
ためには不可欠の元素であり、Tiを添加すると、心材
において層状に析出して、孔食が深さ方向へ進行するこ
とを抑制すると共に、Tiの添加により心材電位を貴に
移行させることができる。また、Tiはアルミニウム合
金において拡散速度が小さく、ろう付時の移動も少ない
ため、Tiを添加することは、心材とろう材、又は心材
と皮材の電位差を維持して、電気化学的に心材を防食す
ることに有効である。
【0018】Cr(クロム):0.3質量%以下 Crは心材の耐食性、強度及びろう付性を向上させる元
素である。Crが0.3質量%を超えて添加されても、
それ以上は心材の耐食性、強度及びろう付性を向上させ
ることができず、却って化合物の結晶の粗大化により加
工性を低下させてしまう。従って、Crの含有量は0.
3質量%以下とする。なお、より好ましいCrの添加量
は0.02乃至0.3質量%である。
【0019】Fe(鉄):0.2質量%以下 Feは心材における結晶粒を微細化させると共に、心材
の強度及び溶接性を向上させる元素である。Feの添加
量が0.2質量%を超えると、心材の耐食性が低下して
しまう。従って、Feの含有量は0.2質量%以下とす
る。なお、より好ましいFeの添加量は、0.02乃至
0.2質量%である。
【0020】次に、皮材の組成について説明する。
【0021】Mn(マンガン):0.3乃至1.8質量
Mnは皮材の強度を向上させる元素である。即ち、Mn
が皮材中に固溶することにより材料強度が向上する。M
nの添加量が0.3質量%よりも少ないと十分なMn固
溶量が得られず、強度が確保されない。一方、Mnの添
加量が1.8質量%よりも多いと化合物が増加すること
により、皮材の加工性を低下させ、クラックの起点とな
るため、クラッド材全体の加工性を低下させる。従っ
て、皮材にMnを添加する場合は、皮材のMn量は0.
3乃至1.8質量%とする。
【0022】Si(シリコン):0.04乃至1.2質
量% Siは、Mnと同様に皮材に添加することにより強度が
向上する。Siの添加量が0.04質量%より少ない
と、強度の向上効果が十分でない。Siの添加量が1.
2質量%より多いと、粒界腐食感受性が高まり、耐食性
が低下する。従って、皮材にSiを添加する場合は、S
i含有量の範囲は0.04乃至1.2質量%とする。な
お、Mn及びSiは同様の効果を有し、少なくともいず
れか1方を添加すればよい。
【0023】Zn(亜鉛):2乃至9質量% 皮材の電位を卑とするために、皮材にZnを添加する。
この場合、心材におけるCuの添加量が0.2質量%以
下であると、皮材におけるZnの添加量が2質量%未満
で十分な犠牲陽極効果を得ることができると共に、耐食
性を維持することができる。しかし、上述したように、
心材におけるCuの添加量が0.2質量%を超えて、
1.0質量%以下である場合には、皮材におけるZnの
添加量を2乃至9質量%とすることが必要である。これ
は、皮材におけるZnの添加量が2質量%未満である
と、皮材の電位は粒界に対して十分な電位差をとること
ができず、粒界腐食が発生して、皮材側の耐食性が低下
してしまうからであり、一方、Znを皮材に9質量%を
超えて添加すると、皮材自身の自己腐食速度が上昇する
ため、皮材が早期に消耗し、犠牲陽極効果を示す期間が
短くなり、耐食性が劣化する。なお、Si量を上げた状
態で強度及び耐食性のバランスを得るために、Zn量は
3質量%以上とするのが好ましい。
【0024】上記Mn及びSiからなる群から選択され
た少なくとも1種を添加することと合わせて、Fe,C
r,Mg及びCuからなる群から選択された少なくとも
1種を合わせて添加することにより、皮材の強度を更に
一層向上させることができ、板厚全体の強度向上に有効
である。
【0025】Fe:0.02〜0.25質量% Feは皮材の結晶粒を微細化させるため、及び、Feが
固溶することにより、皮材の強度を向上させる元素であ
る。Feの含有量が0.02質量%未満であると、結晶
粒微細化及び強度向上の効果が不十分である。Feの添
加量が0.25質量%を超えると、皮材中のFeを含有
する金属間化合物及び晶出物の量が増大するため、カソ
ードサイトが増大する。このため、皮材自体の腐食速度
が増大し、耐食性が低下する。従って、Feを添加する
場合は、Feの含有量は0.25質量%以下とする。な
お、より好ましいFeの添加量は、0.02乃至0.2
質量%である。
【0026】Cr:0.01〜0.30質量% Crは皮材中で耐食性及び強度を向上させる元素であ
る。Crが0.3質量%を超えて添加されても、それ以
上は皮材の耐食性及び強度を向上させることができず、
また、Crを含有する晶出物量が増大することによりカ
ソードサイトが増大するため、皮材自体の腐食速度が増
大し、耐食性が低下する。従って、Crの含有量は0.
3質量%以下とする。一方、Crが0.01以下の場
合、強度及び耐食性の向上効果が得られない。このた
め、Crを添加する場合は、そのCrの含有量は0.0
1乃至0.30質量%とする。
【0027】Mg:0.005〜0.15質量% Mgは皮材中に固溶することにより、皮材の強度を向上
させる。更に、Siが共存する場合には、MgSiの
析出物が分散することによる効果により、更に一層強度
を向上させることができる。Mgが0.15質量%を超
える場合は、皮材側が接合される部位でのろう付性を劣
化させるため、Mgの含有量は0.15%以下とする。
また、Mg含有量が0.005%未満では強度向上の効
果が小さい。よって、Mgを添加する場合は、その添加
量は、0.005乃至0.15質量%とする。
【0028】Cu:0.001〜0.15質量% Cuは皮材中に固溶することにより、皮材の強度を向上
させる。皮材中のCuが0.15質量%を超える場合
は、皮材の電位が貴となるため、心材のCuが0.2〜
1質量%で皮材のZnを2〜7%に制御した場合でも、
心材に対する犠牲陽極効果が低下するため、皮材側の耐
食性が劣化する。また、Cu量が0.001質量%未満
の場合は、強度の上昇効果が小さく、皮材側の十分な強
度増大効果が得られない。
【0029】皮材のクラッド率:アルミニウム合金複合
材の全板厚の6乃至30% 本発明の組成からなる皮材のクラッド率を6%以上とす
ることにより、大幅な薄肉化を行なっても、耐食性を維
持したままで十分な強度が得られる。クラッド率が6%
より小さいと、皮材の犠牲陽極効果が不十分となるた
め、耐食性が低下する。従って、本発明の組成を有する
皮材のクラッド率は全板厚の6%以上とする。
【0030】また、皮材をクラッド率30%以上に厚く
した場合、相対的に心材の厚さが減少し、外面側の耐食
性が劣化するため、クラッド率の上限は30%とする。
よって、皮材のクラッド率は6乃至30%とする。
【0031】好ましくは、Znが3質量%以上、Zn/
Si比が4以上 皮材にSiを添加することにより強度は向上するが、耐
食性(粒界腐食性)が低下する。Si量をあげた状態で
強度及び耐食性のバランスを得るために、Zn量は3質
量%以上とすることが好ましい。また、Zn/Si比を
4以上にすれば、大幅に薄肉化を行なっても、耐食性と
強度を好ましい範囲で両立させることができる。従っ
て、Znは3質量%以上、Zn/Si比は4以上である
ことが好ましい。
【0032】次に、ろう材について説明する。ろう材に
は、従来使用されているろう材と同様のAl−Si系合
金、例えばA4045合金等を使用することができる。
また、ろう材にZnを添加することにより、ろう材を積
極的に犠牲陽極として作用させることもできる。この場
合には、Znの添加量を皮材におけるZnの添加量と同
量、即ち2乃至5質量%とすることが好ましい。また、
ろう材面の耐食性を確保するために、フィン材と外面と
の電位差を確保することも必要であるため、ろう材にC
u等の電位を上昇させる金属元素を微量添加しても良
い。
【0033】なお、上記心材、皮材及びろう材の組成
は、これらをクラッドする前に、各部材の組成として個
別に調整しておいても良いし、また、ろう付け時等の加
熱及び冷却条件の制御により、一方の部材から他方の部
材に拡散させることにより、成分調整することも可能で
ある。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例の効果について、本発
明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明す
る。
【0035】下記表1は心材の組成、表2は皮材の組成
を示す。表1に示す心材No.1乃至5は本発明の実施
例、心材No.6乃至18は本発明の比較例である。ま
た、表2に示す皮材No.1乃至4及び皮材No.11
乃至13は本発明の実施例であり、皮材No.5乃至1
0は本発明の特許請求の範囲から外れる比較例である。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】上記表1及び2に示す各心材及び皮材と、
ろう材(JIS4045合金;Si:10.5質量%、
Fe:0.05質量%、Cu:0.05質量%、Ti:
0.02質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純
物)とを使用して、図1に示すようなろう付用アルミニ
ウム合金複合材を製造した。図1は本発明の実施例に係
るろう付用アルミニウム合金複合材を示す断面図であ
る。図1に示すように、このアルミニウム合金複合材4
は心材1の両面に夫々皮材2及びろう材3を積層するこ
とにより構成されている。また、下記表3はこの複合材
における心材と皮材との組み合わせ並びにそれらの厚
さ、ろう材の厚さ及び複合材の厚さを示す。
【0039】
【表3】
【0040】この表3の各複合材について、ろう付け性
試験、引張り強度測定及び耐食性試験を行った。試験方
法は以下のとおりである。即ち、ろう付性試験において
は、ろう付用アルミニウム合金複合材のろう材側の面に
おいて、ノコロック用フラックスを5g/m塗布し、
乾燥させた後、露点が−40℃の温度である窒素雰囲気
中において、到達温度600℃、この温度600℃に保
持時間2分の条件で加熱した。
【0041】図2はラジエータのチューブの一部を示す
斜視図である。この図2に示すように、実際のラジエー
タの製造においては、チューブ34と、熱を放出するた
めのフィン35と、チューブ34を連結するヘッダ36
とを組み合わせた状態においてろう付けを行う。また、
図3に示すように、チューブ34は、心材31、皮材3
2及びろう材33からなる。この場合に、ろう付け評価
の簡易化及び定量化を考慮して、ドロップ試験による流
動係数(アルミニウムブレージングハンドブック (平
成4年1月発行)、軽金属構造溶接協会 P126記載
の「ドロップ型流動性試験」の方法)によりろう付性を
評価した。
【0042】このろう付け性の評価結果を下記表4に示
す。表4において、流動性が65%以上の場合が○、6
5%未満の場合が×である。
【0043】
【表4】
【0044】ろう付後強度を求めるために、上述のろう
付性試験と同様の加熱処理を施したろう付用アルミニウ
ム合金複合材について、室温で引張試験(JISZ22
41)を行った。その結果を上記表4に併せて示す。こ
のろう付け後強度は、引張強さが158MPaを超える
ものが○、引張強さが158MPa以下のものが×であ
る。
【0045】ろう材側腐食試験は、ろう付性試験と同様
に、加熱したろう付用アルミニウム合金複合材につい
て、CASS試験(JIS○○○)を連続250時間試
験した。その結果を上記表4に示す。表4のろう材側腐
食深さ欄において、ろう材側侵食深さが70μm以下の
場合が○、ろう材側侵食深さが70μmを超えるものが
×である。
【0046】皮材側耐食性を求めるために、皮材側腐食
試験を行った。この皮材側腐食試験は、ろう付性試験と
同様に、加熱したろう付用アルミニウム合金複合材につ
いて、人工水(Cl:300質量ppm、SO:10
0質量ppm及びCu:5質量ppm)を使用して腐食
試験を行った。先ず、人工水にアルミニウム合金複合材
を浸漬し、88℃保持8時間(室温から88℃への加熱
時間を含む)、室温保持16時間(88℃から室温への
冷却時間を含む)のサイクル試験を39日間実施した。
その結果を上記表4に示す。表4の皮材腐食深さ欄にお
いて、皮材側深さが30μm以下の場合が○、皮材側深
さが30μmを超える場合が×である。
【0047】この表4に示すように、本発明の実施例1
乃至10は、ろう付け性、引張り強さ、ろう材側腐食深
さ及び皮材側腐食深さの全てにおいて優れたものであっ
た。これに対し、比較例11は心材のSi量が下限値未
満であるので、ろう付け後の強度が不十分であった。比
較例12は心材のCu量が下限値未満であるので、ろう
付け後の強度が不十分であった。比較例13は心材のM
n量が下限値未満であるので、ろう付け後の強度が不十
分であった。比較例14は心材のMg量が上限値を超え
るので、ろう付け性が劣るものであった。比較例15は
心材のCr量が下限値未満であるので、強度が若干劣る
ものであった。比較例16は心材のTi量が下限値未満
であるので、心材の耐食性が劣化した。比較例17は心
材のSi量が上限値を超えるものであるので、心材の溶
融が生じた。比較例18は心材のFe量が上限値を超え
るので、心材の耐食性が劣化した。比較例19は心材の
Cu量が上限値を超えるので、心材の溶融が生じた。比
較例20は心材のMnが上限値を超えるので、加工性が
劣化した。比較例21は心材のTi量が上限値を超える
ので、加工性が劣化した。比較例22は心材のCr量が
上限値を超えるので、加工性が低下した。比較例23は
心材のCu+Siが上限値を超えるので、心材の溶融が
生じた。
【0048】また、比較例24は皮材のSiが下限値未
満であるので、ろう付け後強度が不十分であった。比較
例25は皮材のSiが上限値を超えるので、皮材側の耐
食性が劣化した。比較例26は皮材のMnが下限値未満
であるので、ろう付け後強度が不十分であった。比較例
27は皮材のMnが上限値を超えるので、加工性が低下
した。比較例28は皮材のZn/Siが下限値未満であ
るので、皮材側の耐食性が劣化した。比較例29は皮材
のZnが下限値未満であるので、皮材側の耐食性が劣化
した。比較例30は皮材のZnが上限値を超えるので、
皮材側の耐食性が劣化した。比較例31は皮材のFeが
上限値を超えるので、皮材側の耐食性が劣化した。比較
例32は皮材のFeが下限値未満であるので、ろう付け
後の強度が不足した。比較例33は皮材のCr量が上限
値を超えるので、皮材側の耐食性が劣化した。比較例3
4は皮材のCr量が下限値未満であるので、ろう付け後
の強度が不十分であると共に、皮材側の耐食性が劣化し
た。比較例35は皮材のMg量が上限値を超えるから、
皮材側のろう付け部位のろう付け性が劣化した。比較例
36は皮材のMg量が下限値未満であるので、ろう付け
後の強度が不十分であった。比較例37は皮材のCu量
が上限値を超えるので、皮材側の耐食性が劣化した。比
較例38は皮材のCuが下限値未満であるので、ろう付
け後の強度が劣化した。比較例39は皮材のクラッド率
が下限値未満であるので、皮材側の耐食性が劣化した。
比較例40は皮材のクラッド率が上限値を超えるので、
ろう材側の耐食性が劣化した。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高強度及び高耐食性を有し、薄肉化が可能なろう付け用
アルミニウム合金複合材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るろう付け用アルミニウム
合金複合材を示す断面図である。
【図2】ラジエータのチューブの一部を示す斜視図であ
る。
【図3】チューブを構成するアルミニウム合金複合材の
積層構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1、31:心材 2、32:皮材 3、33:ろう材 4:アルミニウム合金複合材 34:チューブ 35:フィン 36:ヘッダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 腰越 史浩 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 心材の片面にAl−Si系のアルミニウ
    ム合金からなるろう材が形成され、前記心材の他面に皮
    材が全板厚の6乃至30%のクラッド率で形成されたア
    ルミニウム合金複合材において、前記心材は、Mg:
    0.2質量%以下、Cr:0.3質量%以下、Fe:
    0.2質量%以下、Cu:0.2乃至1.0質量%、S
    i:0.05乃至1.3質量%、Mn:0.3乃至1.
    8質量%、Ti:0.02乃至0.3質量%を含有し、
    Cu+Siが2.0質量%以下であり、残部がAl及び
    不可避不純物からなる組成を有し、前記皮材は、Zn:
    2乃至9質量%であり、Mn:0.3乃至1.8質量%
    及びSi:0.04乃至1.2質量%からなる群から選
    択された少なくとも1種を含有し、更に、Fe:0.0
    2〜0.25質量%、Cr:0.01〜0.30質量
    %、Mg:0.005〜0.15質量%、及びCu:
    0.001〜0.15質量%からなる群から選択された
    少なくとも1種を含有する組成を有することを特徴とす
    るろう付け用アルミニウム合金複合材。
  2. 【請求項2】 前記皮材は、Zn含有量が3質量%以上
    で、Zn/Si比が4以上であることを特徴とする請求
    項1に記載のろう付用アルミニウム合金複合材。
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