JP2003292316A - 金属担持炭素材料、該炭素材料からなるガス吸蔵材及び該ガス吸蔵材を用いるガス貯蔵方法並びに燃料電池用電極材料 - Google Patents

金属担持炭素材料、該炭素材料からなるガス吸蔵材及び該ガス吸蔵材を用いるガス貯蔵方法並びに燃料電池用電極材料

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JP2003292316A JP2002096423A JP2002096423A JP2003292316A JP 2003292316 A JP2003292316 A JP 2003292316A JP 2002096423 A JP2002096423 A JP 2002096423A JP 2002096423 A JP2002096423 A JP 2002096423A JP 2003292316 A JP2003292316 A JP 2003292316A
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gas
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Taisuke Yokomichi
泰典 横道
Hitoshi Nishino
仁 西野
Ryoichi Nishida
亮一 西田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水素のような臨界温度が非常に低いガスを室温
でも吸蔵できるガス吸蔵材及び燃料電池用電極材料を提
供する。 【解決手段】 炭素材料及び該炭素材料に担持された金
属とからなる金属担持炭素材料であって、該炭素材料
は、真密度が2.1〜3.1g/cm3であり、元素分析によ
るH/C重量比が0.013以下であり、-196℃での超高真空窒
素吸着法により測定した場合に、直径0.6nm以下のミク
ロ細孔の細孔容積が0.05ml/g以上であり、2種類以上の
水素吸着サイトを持ち、粉末X線回折法(入射X線:CuK
α)において求められるd002が4.30Å以上であり、アモ
ルファス構造を有するナノスケールカーボンを含有する
ことを特徴とする金属担持炭素材料、並びに、該金属担
持炭素材料からなるガス吸蔵材、該金属担持炭素材料か
らなる燃料電池用電極材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素材料、より詳
しくはアモルファス構造を有する炭素材料、該炭素材料
からなるガス吸蔵材並びに該ガス吸蔵材を用いるガス貯
蔵方法に関する。
【0002】更に、本発明は、上記アモルファス構造を
有する炭素材料に金属を担持させてなる金属担持炭素材
料および該金属担持炭素材料からなるガス吸蔵材並びに
該ガス吸蔵材を用いるガス貯蔵方法、該金属担持炭素材
料からなる燃料電池用電極材料に関する。
【0003】
【従来の技術】炭素系のガス吸蔵材としては、活性炭が
広く知られている。活性炭は、その製造過程で多くの細
孔を有するようになるが、これは活性炭の結晶構造がア
モルファス構造であることに起因している。かかる細孔
に気体分子が吸着されると考えられており、吸着できる
気体の種類は主として細孔径の大きさに依存し、気体の
吸着量は細孔の表面積ないし細孔容積に依存すると考え
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、活性炭のガス吸
蔵特性を向上させるために、活性炭表面により多くのミ
クロポアを設けることができる賦活条件で活性炭を製造
していた。しかし、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素、ホス
ゲンなどのハロゲンガスや、鎖式および環式炭化水素
類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル
類、エステル類、ケトン類、アニリン、二硫化炭素など
の有機ガスのガス吸蔵に最適な活性炭であっても、水素
のような臨界温度が非常に低い(−239.8℃)ガスを吸蔵
させるためには、例えば、液体窒素温度(−196℃)まで
活性炭を冷却する必要があり、室温での吸蔵は困難であ
った。
【0005】従って、本発明の一つの目的は、水素のよ
うな臨界温度が非常に低いガスを室温でも吸蔵できる炭
素材料を提供することである。
【0006】また、燃料電池の電極材料として使用する
金属触媒担持カーボン担体触媒として、白金系触媒等の
金属触媒を担持させた炭素材料が提案されている。かか
る触媒の粒子サイズは燃料電池の特性に影響を与え、触
媒粒子を細かく一様に分散させることができれば、特性
向上につながるとされている。そのため、非常に小さい
サイズの金属触媒粒子を均一に分散して担持させてなる
電極材料の開発が望まれている。本発明の他の目的は、
かかる電極材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水素のよ
うな臨界温度が非常に低いガスを室温でも吸蔵できる炭
素材料を製造するために鋭意検討した結果、一定の原料
を特定の条件下で処理することにより、アモルファス構
造を有するアモルファスナノカーボン、例えば、アモル
ファスカーボン粒子、アモルファスカーボンファイバー
等を含有する炭素材料が得られ、このアモルファスナノ
カーボンを含有する炭素材料に該アモルファス構造の炭
素材料に金属を担持させてなる金属担持炭素材料は、ガ
ス吸蔵材料として有用であり、更に、燃料電池の電極材
料として有用であることが判明した。
【0008】本発明は、上記知見に基づき、更に検討を
加えて完成されたものであって、次の炭素材料、ガス吸
蔵材及びガス貯蔵方法を提供するものである。
【0009】項1 炭素材料及び該炭素材料に担持され
た金属からなる金属担持炭素材料であって、該炭素材料
は、真密度が2.1〜3.1g/cm3であり、元素分析によ
る水素/炭素重量比が0.013以下であり、−196℃で
の超高真空窒素吸着法により測定した場合に、直径0.6n
m以下のミクロ細孔の細孔容積が0.05ml/g以上であり、
2種類以上の水素吸着サイトを持ち、粉末X線回折法(入
射X線:CuKα)において、ディフラクトメーター法によ
り求められるd002が4.30Å以上であり、アモルファス
カーボン粒子、アモルファスカーボンファイバー又はこ
れらの混合物から構成されているアモルファス構造を有
するナノスケールカーボンを含有することを特徴とする
金属担持炭素材料。
【0010】項2 炭素材料が、ラマン分光法で得られ
る1540cm-1から1650cm-1にピーク中心をもつピークの積
分強度(Ia)の、1200cm-1から1500cm-1にピーク中心を
もつピークの積分強度(Ib)に対する積分強度比(Ia/
Ib)が1以下であることを特徴とする上記項1に記載の
金属担持炭素材料。
【0011】項3 炭素材料の比表面積が1000 m2/g以
上である上記項1又は2に記載の金属担持炭素材料。
【0012】項4 炭素材料が、液体窒素温度(−196
℃)における窒素気体の吸着等温線において、相対圧(即
ち、窒素圧力(P)の、−196℃における窒素飽和蒸気圧(P
o)に対する比:P/Po)0.5以上の範囲で脱着側吸着量と
吸着側吸着量との比が1.1以上であるヒステリシスルー
プを示すことを特徴とする上記項1〜3のいずれかに記
載の金属担持炭素材料。
【0013】項5 上記項1〜4のいずれかに記載の金
属担持炭素材料からなるガス吸蔵材。
【0014】項6 上記項1〜4のいずれかに記載の金
属担持炭素材料からなる水素吸蔵材。
【0015】項7 上記項5に記載のガス吸蔵材を使用
してガスを貯蔵することを特徴とするガス貯蔵方法。
【0016】項8 上記項6に記載の水素吸蔵材を使用
して水素を貯蔵することを特徴とする水素貯蔵方法。
【0017】項9 上記項1〜4のいずれかに記載の金
属担持炭素材料からなる燃料電池用電極材料。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の金属担持炭素材料 本発明の金属担持炭素材料は、アモルファス構造を有す
る炭素材料と、該炭素材料に担持された金属からなるも
のである。
【0019】(1)炭素材料 本発明の金属担持炭素材料において、金属を担持させる
担体としての炭素材料は、ガスを吸蔵する性質を有する
ものであって、アモルファス構造を有するナノスケール
カーボンを含有する炭素材料である。本発明炭素材料
は、典型的には、アモルファスカーボン粒子、アモルフ
ァスカーボンファイバー等の形態のアモルファスカーボ
ンを含有する。
【0020】従来、カーボンナノチューブ等のチューブ
構造を有する炭素材料がその炭素からなるチューブ壁で
囲まれた空間部(中空部)にガスを吸蔵するため、ガス
吸蔵材として有用であると考えられてきた。
【0021】これに対して、本発明は、上記ナノスケー
ルカーボンが、チューブ構造を有していても有していな
くても、特定のアモルファス構造を有するが故に、室温
でも気体を吸蔵できるという優れたガス吸蔵能を有して
いることを見出し完成されたものである。
【0022】本発明の炭素材料は、アモルファス構造で
あるが故に、室温での水素吸着に有効に働く多くのミク
ロ孔、特に直径2nmよりも更に小さいミクロ孔ならびに
炭素六角網面のエッジを多数有している。ここで、炭素
六角網面のエッジとは、炭素六角網面の端部炭素原子の
ことである。この炭素原子は不飽和のsp2電子があるの
で化学的に非常に活性であり、容易に酸素などの異種元
素と反応し、表面官能基を形成する。これらの不飽和の
sp2電子並びに表面官能基と水素との間に、室温での水
素吸着に有効な相互作用が働くと推定される。
【0023】本発明の炭素材料を構成する上記アモルフ
ァスカーボン粒子は、粒子径5nm〜500nm程度、特に10
〜400nm程度のサイズを有するアモルファス構造を有す
る炭素粒子であり、その形状は、球状、立方体状、直方
体状、円盤状、フレーク状、フィルム状又はこれらに類
似する形状である。これら形状のうち、球状、立方体
状、直方体状に代表される顆粒状のもの、特に球状のも
のが、材料を高密度に成形する際には繊維状のものより
好ましい。特に、構成炭素六角網面一枚の形状が球状も
しくは閉殻状のナノボールが例示できる。該ナノボール
の平均直径は、0.5〜50nm程度、特に5〜30nmであ
る。
【0024】また、上記アモルファスカーボンファイバ
ーは、1000nm以下、特に5〜500nm程度、特に10〜400nm
程度の直径を有するカーボンファイバーであり、アモル
ファス構造を有する。上記ファイバーには、中空のファ
イバー、即ち、チューブ状ファイバーも包含される。か
かるチューブ状ファイバーにあっては、チューブの外径
は、通常1〜500nm、好ましくは1〜200nm、より好まし
くは1〜100nmであり、チューブの長さLの外径Dに対
する比(L/D)は2以上、好ましくは5以上である。
【0025】尚、上記アモルファスカーボン粒子の粒子
径、アモルファスカーボンファイバーの直径等は、走査
型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡による観察像の大き
さを計測することにより測定したものである。
【0026】上記本発明の炭素材料は、アモルファスカ
ーボン粒子、アモルファスカーボンファイバー(チュー
ブ状のものであってもよい)等のそれぞれ単独から構成
されていてもよく、また、これらの混合物から構成され
ていてもよい。
【0027】上記本発明の炭素材料は、種々の物性を有
している。以下、これら物性について、説明する。
【0028】<真密度>本発明の炭素材料は、真密度が
2.1〜3.1g/cm3程度、特に2.4〜2.7g/cm3程度で
ある。ここで、真密度は、通常、水素吸蔵量を計測する
際に用いられる重量法と同じ手順で、圧力1〜10MPa
の加圧下でヘリウムがサンプルに及ぼす浮力を測定し、
サンプルの重量と測定された浮力から体積を求め、重量
/体積から算出した。
【0029】<水素/炭素重量比>元素分析による水素
/炭素重量比が0.013以下、好ましくは0.011以
下、より好ましくは0.063以下であり、特に0.005
〜0.011である。
【0030】<ミクロ細孔容積>また、本発明の炭素材
料は、-196℃での超高真空窒素吸着法(到達真空度=10
-5Pa)により測定した場合に、直径0.6nm以下のミクロ
細孔容積が0.05ml/g以上、特に0.05〜0.1ml/g、好まし
くは0.05〜0.08ml/gである(後記試験例3参照)。
【0031】本発明のアモルファス炭素材料のサンプル
を、10-3Pa以下の減圧下で150℃、2時間保持した後に、
-196℃、10-5Paにおける窒素の吸着等温線を重量法を用
いて求めた。求めた超高真空下の窒素の吸着等温線を解
析することによって、ミクロ細孔径とミクロ細孔容積を
求めた。
【0032】本発明の炭素材料の中でも、液体窒素温度
(−196℃)における窒素気体の吸着等温線において、相
対圧(即ち、窒素圧力(P)の、−196℃における窒素飽和
蒸気圧(Po)に対する比:P/Po)0.5以上の範囲で脱着側
吸着量と吸着側吸着量との比が1.1以上であるヒステリ
シスループを示すものがあり、そのような炭素材料は、
吸着したガスを安定に保持することができるという性質
を有しているので、有利である。
【0033】また、本発明の炭素材料は、気体吸着法に
おいて気体の大気圧下での沸点における気体吸着量を用
いるDubinin解析法により求めた細孔径2nm以下のミクロ
孔の細孔容積が0.2ml/g以上である。
【0034】ここで、Dubinin解析法は、各種ガスの吸
着等温線からミクロ孔の細孔容積を求める方法である。
ここでは、液体窒素温度における窒素吸着等温線を用い
て、Dubinin-Radushkevichプロットによりミクロ孔の細
孔容積を求めた。この方法における窒素気体吸着法は、
液体窒素温度(−196℃)において、種々の窒素相対圧(窒
素圧力(P)の、−196℃での窒素飽和蒸気圧(Po)に対する
比:P/Po)において試料への窒素吸着量を測定し、吸着
した窒素分子の量から固体の比表面積、細孔容積、細孔
径分布を求める手法である。
【0035】本発明における試料への窒素吸着量の測定
は、試料を充填した容積既知の容器内の窒素圧力変化か
ら窒素吸着量を計算する定容法で行っており、高速比表
面積/細孔分布測定装置(マイクロメリティックス社
製、商品名「ASAP2400」)を用いた。また、窒素吸着量
測定前には、試料充填容器内を真空排気しながら試料0.
02gを200℃で加熱し、試料充填容器内の真空度が10mmTo
rrに到達するまで続けた。
【0036】本発明の炭素材料において、上記解析法に
より求めた細孔径2nm以下のミクロ孔の細孔容積は、0.2
ml/g以上であればよいが、好ましくは0.25ml/g以上、
より好ましくは0.3ml/g以上である。該細孔容積の上限
は特に限定されないが、一般には、1.5ml/g程度、特に
2.0ml/g程度である。
【0037】<2種類以上の水素吸着サイト>また、本
発明の炭素材料は、2種類以上(特に2〜4種類)の水
素吸着サイトを持つ。このことは、水素ガスを用いた昇
温脱離(TPD)測定において、少なくとも2つのピーク
が観測されることから実証された(後記試験例2参
照)。
【0038】<アモルファス構造についての物性>ま
た、本発明の炭素材料は、黒鉛質ではなく、アモルファ
ス構造を有することを特徴としている。本発明における
アモルファス構造は、粉末X線回折法(入射X線:CuKα)
において、ディフラクトメーター法により求められる炭
素六角網面間の平均距離d002が0.43nm以上である構造
であると定義される。d002は、特に0.43〜0.55nm程度
であるのが好ましい。
【0039】また、本発明のアモルファス炭素材料は、
粉末X線回折法(入射X線:CuKα)において、ディフラク
トメーター法により求められる回折角度(2θ)が25.1
度以下、好ましくは24.1度以下、特に23.5〜24.5度であ
り、2θバンド半値幅が3.2度以上、好ましくは7度以
上であり、特に5.0〜8.0度である。
【0040】更に、本発明の炭素材料は、ラマン分光法
で得られる1540cm-1〜1650cm-1にピーク中心をもつピー
クの積分強度(Ia)の、1200cm-1から1500cm-1にピーク
中心をもつピークの積分強度(Ib)に対する積分強度比
R(=Ia/Ib)が1以下であるのが好ましい。
【0041】この積分強度比は、次のような意義を有す
る。即ち、黒鉛構造のラマン活性な振動のうち、スペク
トルのピーク中心がラマンシフト1540cm-1〜1650cm-1
範囲(特に1580cm-1付近)に観測されるものは、E2g
振動であり、炭素六角網面内の格子振動に由来する。こ
れに対して、一般的に1200cm-1〜1500cm-1の範囲(特に
1360cm-1付近)にもスペクトルのピーク中心が観測され
る。この振動はA1g型振動であり、結晶局部での構造が
六方対称性からより低い対称性へ移行したり、失われた
りすることによって生じると考えられ、結晶構造の乱れ
を反映している。
【0042】したがって、1540cm-1から1650cm-1の範囲
(特に1580cm-1付近)にピーク中心をもつピーク(Ia)
と1200cm-1から1500cm-1の範囲(特に1360cm-1付近)に
ピーク中心をもつピーク(Ib)の積分強度比R(=Ia/I
b)は、結晶構造と強い相関をもつ指標とされる。
【0043】一般的に、Rが小さいと基底面に平行な結
晶子サイズ(La)が小さいとされる。これは、Rが小さ
いことで結晶局部の結晶構造の影響が強くなることを反
映している。このことは、Rが小さい程、より結晶性が
低い構造であることを反映している。
【0044】また、ダイヤモンドライクカーボンのラマ
ンスペクトル等から判るように、1360cm-1付近にピーク
中心を持つブロードなスペクトルはダイヤモンド的構
造、即ち、sp3結合に由来する性質を持つとも考えられ
る。従って、ブロードになってきたときの1360cm-1付近
のスペクトルは、Laが小さいことに由来することが主で
あると考えられるが、sp3結合の性質を併せ持つ場合が
ある。ここで、sp3結合の性質を併せ持つ場合とは、sp2
が主な結合である構造において、部分的にsp3結合が生
じる場合である。sp3結合が生じた部分は炭素結合の未
結合手を有する、もしくは炭素以外の原子が炭素原子に
結合していると考えられ、化学的に活性であると考えら
れる。このことは室温でのガス吸蔵に有効であると推定
されている。
【0045】本発明炭素材料において、上記積分強度比
R(=Ia/Ib)は、1以下、特に0.9以下であるのが
好ましい。
【0046】<比表面積>本発明の炭素材料は、BET
法で測定した比表面積が1000m2/g以上、特に1000〜1500
m2/gである。
【0047】<炭素六角網面の平均面積>また、本発明
の炭素材料は、一枚の炭素六角網面の平均面積が0.85nm
2以下であることを特徴とする。ここで、「炭素六角網
面」とは、多層に重なった炭素網目構造のうちの一層を
指す。
【0048】炭素六角網面の平均面積は、透過型電子顕
微鏡の観察像において任意に選び出した100Å四方の
範囲に含まれる結晶子像の長さを2乗した数値を炭素六
角網面の面積と定義し、100Å四方の範囲に含まれる
炭素六角網面の面積の総和を炭素六角網面の個数で除す
ることにより、この各炭素六角網面の面積値を平均化し
たものである。
【0049】(2)担持されている金属 本発明の金属担持炭素材料において、上記炭素材料に担
持されている金属としては、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ni、
Co、Re、V、W、Mo、Fe、Y、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、D
y、Ho、Er及びLuからなる群から選ばれる少なくとも1
種が例示される。
【0050】これら金属の担持率としては広い範囲から
選択できるが、一般には0.1〜50%重量比、特に
0.5〜10%重量比とするのが好ましい。ここで、金
属担持率は、下記式により求められる値である: 金属担持率(%)=[M/(M+C)]×100 [式中、Mは、担持された金属の重量を示し、Cは担体
である炭素材料の重量を示す。]。
【0051】上記金属のうちでも、特に白金単独又は白
金と白金以外の上記金属との併用が好ましい。白金と白
金以外の金属とを併用して担持させる場合、白金以外の
金属成分の添加量(M1)は、M1/Pt原子比が0.1〜1
0、好ましくは2〜8となるような量とするのが有利であ
る。
【0052】上記本発明の金属担持炭素材料は、ガス吸
蔵材料、燃料電池用の電極材料等の用途において、有用
である。
【0053】本発明の金属担持炭素材料の製造法 本発明の金属担持炭素材料は、前記炭素材料を製造する
工程、及び該炭素材料に金属を担持させる工程からなる
製造法により製造される。
【0054】(1)炭素材料の製造工程 本発明の金属担持炭素材料を構成する炭素材料は、一定
のカーボン源と特定の触媒を特定条件で加熱処理するこ
とにより得られる。
【0055】上記カーボン源としては、フッ素含有高分
子またはフッ素含有カーボンがあり、なかでもPTFEフィ
ルム、PTFE紛、フロン116(C2F6)等が好ましい。さら
に、カーボン源としては、ポリイミドが使用できる。ポ
リイミドは、熱分解して炭化したときに、炭素骨格が保
持されやすく、熱分解に伴い脱離成分の除去過程で細孔
が形成されやすい性質を有する。特に好ましい具体例と
しては、デュポン社から「カプトン」なる商品名で販売
されているポリイミドのフィルムを例示できる。
【0056】触媒としては、鉄フッ化物または鉄酸化物
が例示でき、なかでもFeF2またはFe 2O3が好ましい。こ
れら触媒の粒子径は特に限定されないが、一般には、平
均粒子径が0.01〜50μm程度、特に0.01〜10μm程度の
粉末状で使用するのが好ましい。
【0057】上記カーボン源と触媒とは、別々に又は相
互に接触した形で反応炉内に入れられる。例えば、フィ
ルム形状のカーボン源を使用する場合は、上記粉末状の
触媒をフィルムに均一に振りかけて反応炉内に入れる方
法を例示でき、粉末状のカーボン源を使用する場合は、
当該粉末カーボン源と触媒粒子とを事前に乾式ブレンド
又は湿式ブレンドして均一に混合した状態で反応炉に入
れる方法を例示できる。
【0058】使用する反応炉としては、種々のものが使
用できるが、一般には石英管、アルミナ管等を用いた真
空炉が使用できる。
【0059】反応条件は、典型的には、上記のようにし
てカーボン源と触媒を炉内に配置し、炉内を不活性ガス
雰囲気とし、炉内の圧力を1Pa〜200kPa、好ましくは5Pa
〜150kPaに設定し、炉内温度を600〜1500℃、好ましく
は800〜1200℃に設定し、炉内を0.5時間以上、特に0.5
〜5時間程度加熱することにより、本発明の炭素材料を
製造することができる。
【0060】本発明では、上記方法で得られる生成物中
には上記触媒由来の残渣物である鉄化合物を含む場合も
あるが、この鉄化合物は本発明の炭素材料のガス吸蔵特
性を著しく損なうものではないので、上記方法で得られ
る生成物をそのまま使用してもよい。
【0061】(2)金属担持工程 次いで、本発明では、上記工程で得られたアモルファス
構造を有する炭素材料に、金属を担持させる。
【0062】担持工程は、各種の方法により行うことが
できるが、例えば、下記の方法により行うのが好まし
い。
【0063】担持する金属の出発原料としては、特に限
定されないが、前記金属の塩、例えば、塩化物、硝酸
塩、酢酸塩、アセチルアセトナート塩が好ましく、ま
た、カルボニル錯体またはシクロペンタジエニル錯体等
の錯体であるのが好ましい。
【0064】本発明の金属担持炭素材料の製造法として
は、一般的に上記塩の形態の出発原料の水溶液、アルコ
ール溶液(特に、炭素数1〜4の低級アルコール溶
液)、或いは、金属カルボニル錯体及びシクロペンタジ
エニル錯体などの錯体の形態の出発原料を有機溶媒例え
ばシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロ
フラン、ジエチルエーテルなどに溶解させてなる溶液
に、担体である上記本発明のアモルファス構造の炭素材
料を浸漬後、水、アルコール又は有機溶媒を蒸発させる
方法、不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウムなど)下
で加熱、混合、CVD(化学蒸着法)により行われる方
法等が例示されるが、特にこれら方法に限定されるもの
でない。
【0065】更に必要であれば、上記のようにして金属
を担持させたアモルファス炭素材料を、減圧下(例え
ば、100Pa〜10-2Pa程度の減圧下)、焼成してもよい。
焼成温度としては、広い範囲から選択できるが、一般に
は、100〜500℃程度、特に200〜400℃程度
とする。焼成時間も適宜選択すればよいが、通常は2〜
5時間程度である。
【0066】本発明の金属担持炭素材料からなるガス吸
蔵材及びガス貯蔵方法 上記のようにして得られる本発明の金属担持炭素材料
は、ガスの吸蔵能力に優れている。従って、本発明は、
上記本発明の金属担持炭素材料からなるガス吸蔵材を提
供するものでもある。
【0067】本発明の金属炭素材料からなるガス吸蔵材
は、室温で各種ガスに対する安定な吸蔵が可能である。
本発明のガス吸蔵材で吸蔵できるガスとしては、水素、
メタン、アルゴン、窒素、ネオン等を挙げることができ
る。本発明のガス吸蔵材は、上記ガスを室温で安定して
吸蔵できるという利点を有するので、産業上の価値が極
めて高い。特に、本発明のガス吸蔵材は、室温でも吸蔵
能を有し、例えば、水素圧10MPaの場合、室温で、吸
蔵材重量に対して1重量%以上、特に2〜10重量%の
水素吸蔵量を示す。
【0068】本発明の金属担持炭素材料は、各種ガスを
安定に吸着することができる構造を多く有しているた
め、各種ガスを安定に吸蔵することができ、特に水素の
ような臨界温度が非常に低い気体を、室温付近の温度
(例えば、0℃〜40℃)でも安定に吸蔵できる。特に
本発明金属担持炭素材料は、水素吸蔵材として有用であ
る。
【0069】さらに、本発明の金属担持炭素材料を高圧
ガスボンベ容器に充填すれば、同じ容積の高圧ガスボン
ベ容器に貯蔵できるガス量以上のガスを貯蔵できるよう
になり、単位容積あたりのガス貯蔵量を向上できるよう
になる。
【0070】従って、本発明は、上記本発明の金属担持
炭素材料を用いることを特徴とするガス貯蔵方法、特に
水素貯蔵方法を提供するものでもある。
【0071】本発明のガス吸蔵材を用いて上記ガスを吸
蔵させるには、種々の方法が採用できるが、一般的に
は、例えば0〜40℃程度の温度において、本発明金属担
持炭素材料からなるガス吸蔵材を上記ガス雰囲気に晒せ
ばよい。ここで、上記ガス雰囲気の圧力としては、0.03
MPa以上であり、好ましくは0.2MPa〜50MPa、より好まし
くは0.5MPa〜20MPaである。
【0072】本発明のガス貯蔵方法は、従来の活性炭で
は室温吸蔵が困難であった水素等のガスを室温でも良好
に吸蔵できるという利点がある。また、本発明のガス貯
蔵方法は、圧力変化のみでガスの出し入れができる点で
も有利である。即ち、従来のガスボンベと同じようにガ
スの出し入れができる。
【0073】本発明の燃料電池用電極材料 上記本発明の金属担持炭素材料は、燃料電池用電極材料
としても有用である。本発明のアモルファス構造を有す
る炭素材料は、前記のように比表面積が1000m2/g以上と
大きいので、製造時に触媒金属の塩や錯体の溶液が内部
まで浸透しやすい。そのため、触媒金属のサイズを小さ
くできると共に、担体に均一に分散して担持させること
ができる。このように触媒粒子サイズが小さくできるの
で、触媒金属の使用量を低減でき、高価な触媒(例えば
白金系触媒)等を使用しても低コスト化が可能である。
【0074】また、本発明の金属担持炭素材料からなる
燃料電池用電極材料は、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体
電解質型、固体高分子型、アルカリ型等の各種の燃料電
池の電極材料として使用でき、各燃料電池のタイプに応
じて、空気極及び/又は燃料極として使用できる。
【0075】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明をより一層詳し
く説明するが、本発明は実施例に限定されるものではな
く、本発明を逸脱することなく種々の変更が可能であ
る。
【0076】実施例1(1)炭素材料の製造工程 1片の大きさが60μm×10mm×10mmのPTFEフィルム1000片
にFeF2紛(粒径500μm以下)0.5gを均一に振りかけた後、
炉内に配置した。炉は、内径50mm、長さ650mm、肉厚2.5
mmの石英管を使用した。炉内を3回窒素置換した後、5Pa
に減圧し、900℃で1時間炉内を加熱し、粉末状の炭素材
料1.0gを得た。得られた炭素材料の物性は、次の表1の
通りであった。尚、表1における物性は、いずれも前記
「本発明の金属担持炭素材料」の「(1)炭素材料」の項
に記載した方法により測定したものである。
【0077】
【表1】
【0078】(2)金属担持工程 得られた炭素材料を、塩化白金酸(H2PtCl6)10%水溶液
中に入れ、1時間撹拌後、水分を蒸発乾固した。得られ
た塩化白金酸と炭素材料の混合物を、10-2Pa減圧下、40
0℃で3時間焼成した。
【0079】得られた白金担持炭素材料は、SEM観察に
より直径20〜500nmのアモルファスカーボンファイバー
表面に、粒径1〜10nmの白金クラスターが担持されてい
ることが確認された。この材料の元素分析結果を表2に
示す。得られた白金担持炭素材料の金属担持率は、16
%重量比であった。
【0080】
【表2】
【0081】試験例1 実施例1で得られた白金担持炭素材料と白金未担持炭素
材料との水素吸蔵能を、室温、10MPaで容量法を用いて
測定した。その結果を表3に示した。白金を担持するこ
とによって、水素吸蔵量の増加が見られた。
【0082】
【表3】
【0083】以下、参考のため、本発明の金属担持炭素
材料を構成する炭素材料(金属を担持するための担体と
しての炭素材料)の製造例を、参考例として掲げる。
【0084】参考例1 1片の大きさが60μm×10mm×10mmのPTFEフィルム600片
にFeF2紛(粒径500μm以下)0.2gを均一に振りかけた後、
炉内に配置した。炉は、内径50mm、長さ650mm、肉厚2.5
mmの石英管を使用した。炉内を3回窒素置換した後、5Pa
に減圧し、900℃で1時間炉内を加熱し、炭素材料0.7g
を得た。
【0085】得られた炭素材料は、SEM観察の結果、
炭素質は直径20〜500nmのアモルファスカーボンファイ
バーからなるものであった。得られたアモルファスカー
ボンファイバーを主成分とする炭素材料の物性を表4に
示す。
【0086】参考例2 粒径10μm以下のPTFE紛10gと粒径10μm以下のFe2O3紛1
gをミルを用いて混合し、混合物をアルミナ製容器に入
れ、炉内に配置した。炉は、参考例1と同じ石英管を使
用した。炉内を3回アルゴン置換した後、5Paに減圧し、
1200℃で1時間炉内を加熱し、炭素材料2.1gを得た。
【0087】該炭素材料は、SEM観察の結果、炭素質
は直径20〜200nmのアモルファスカーボン粒子からなる
ものであった。得られたアモルファスカーボン粒子を主
成分とする炭素材料の物性を表4に示す。
【0088】参考例3 100μm×10mm×10mmのポリイミドフィルム(デュポン社
製、商品名「カプトンフィルム」)片5gに、FeF2紛1g
を均一に振りかけ、炉内に配置した。炉は、参考例1と
同じ石英管を使用した。炉内を3回He置換した後、炉内
圧力を50Paに設定し、昇温速度1℃/minで900℃まで昇
温し、900℃で1時間炉内を加熱し、炭素材料1.6g
を得た。
【0089】該炭素材料は、SEM観察の結果、炭素質
は、直径100〜200nmのアモルファスカーボン粒子であっ
た。得られたアモルファスカーボン粒子を主成分として
含む炭素材料の物性を表4に示す。
【0090】
【表4】
【0091】上記表4における物性は、いずれも前記
「本発明の金属担持炭素材料」の「(1)炭素材料」の項
に記載した方法により測定したものである。従って、表
4において「真密度」、「比表面積」、「水素/炭素重
量比」、「細孔径0.55nm以下のミクロ細孔容積」、「d
002」、「積分強度比(Ia/Ib)」、及び「ヒステリシ
スループの有無」は、それぞれ、次のようにして測定し
た。「真密度」は、前記ヘリウムを用いた重量法により
測定した。「比表面積」は、BET法により測定した。
「水素/炭素重量比」は、元素分析を行い、元素分析結
果から算出した。「細孔径0.55nm以下のミクロ細孔容
積」は、前記−196℃での超高真空窒素吸着法に従い
測定した。「d002」は、粉末X線回折法(入射X線:CuK
α)において、ディフラクトメーター法により求められ
たものである。「積分強度比(Ia/Ib)」は、ラマン分
光法で得られる1540cm-1から1650cm-1にピーク中心をも
つピークの積分強度(Ia)の、1200cm-1から1500cm-1
ピーク中心をもつピークの積分強度(Ib)に対する積分
強度比である。また、「ヒステリシスループの有無」
は、液体窒素温度(−196℃)における窒素気体の吸着等
温線において、相対圧(即ち、窒素圧力(P)の、−196℃
における窒素飽和蒸気圧(Po)に対する比:P/Po)0.5以
上の範囲で脱着側吸着量と吸着側吸着量との比が1.1以
上であるヒステリシスループの有無を調べたものであ
る。
【0092】試験例2 サンプルの昇温脱離法による水
素吸蔵特性評価 本発明のアモルファス炭素材及び活性炭(比較)の水素
吸蔵特性評価を昇温脱離装置により行った。本発明のア
モルファス炭素材としては、参考例1で製造した物を使
用した。また、活性炭としては、市販品(商品名「Maxs
orb」、関西熱化学社製)を使用した。
【0093】(1)昇温脱離法測定の手順 a 前処理 サンプルを試料管に入れ、10-3Paまで減圧した後に25
0℃まで昇温し1時間保持した。
【0094】常温まで冷却し、1気圧の水素を導入す
る。
【0095】水素の圧力を1気圧に保ったまま、-165
℃以下に冷却し1時間保持した。
【0096】冷却したまま10-4Paまで排気、減圧し1
時間保持した。
【0097】b 測定 3℃/分の昇温速度で-165℃(開始温度)〜50℃(終
了温度)まで昇温し、脱離してくる水素の量を測定し
た。
【0098】上記aの前処理を繰り返した後に5℃/分
の昇温速度で-165℃(開始温度)〜50℃(終了温度)ま
で昇温し、脱離してくる水素の量を測定した。
【0099】(2)昇温脱離法による各サンプルの水素吸
蔵特性評価結果 図1〜図4に昇温脱離法(TPD)を用いた各サンプルの
水素吸蔵特性を示した。図1及び図2は活性炭の水素吸
蔵特性を示し、図3及び図4は本発明のアモルファス炭
素材の水素吸蔵特性を示す。どのサンプルも-25℃付近
より高い温度領域ででピークが検出されない状態が25度
(測定時間で5〜10分)程度続いたときに測定を打ち切
った。
【0100】図1及び図2に示すように、活性炭は、昇
温速度が5℃/分から3℃/分と遅くなると、その分水素
の放出もゆっくりになって、ピークが低くブロードにな
るものの、どちらの昇温条件においても-178℃付近に単
一のピークを持っていた。従って、活性炭は吸着サイト
が1種類であると推測される。
【0101】一方、図3及び図4に示すように、本発明
のアモルファス炭素材は、昇温条件にかかわらず-160℃
以下の低温部に2つのピークを持っており、そのピーク
位置やピークの形状は昇温条件によって著しい変化を示
した。また、昇温速度が3℃/分の時には-50℃付近に弱
いブロードなピークが見られた。これらの観測結果は、
本発明のアモルファス炭素材が少なくとも2種類の吸着
サイトを持ち、各々の吸着サイトが水素吸着に際して複
雑な挙動を取っていることを示している。
【0102】試験例3 参考例1に記載の方法で調製した本発明のアモルファス
炭素材料のサンプルを、10-3Pa以下の減圧下で150℃、
2時間保持した後に、-196℃における超高真空窒素吸着
測定(SWPA法)したところ、図5に示すグラフが得られ
た。このグラフを、解析したところ、0.55nm以下の微細
な細孔が0.06ml/g以上あることが示された。尚、図5の
グラフにおいて、横軸のPobsは、測定した窒素圧を示
し、Pvapは測定温度における窒素の蒸気圧を示す。
【0103】
【発明の効果】本発明の金属担持炭素材料は、各種ガス
を安定に吸蔵することができ、特に水素のような臨界温
度が非常に低い気体を室温でも安定に吸蔵できる。従っ
て、産業上の価値が極めて高い。
【0104】また、本発明の金属担持炭素材料は、燃料
電池用の電極材料としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例2における活性炭の水素吸蔵特性(TP
D 5℃/min昇温)を示すグラフである。
【図2】試験例2における活性炭の水素吸蔵特性(TP
D 3℃/min昇温)を示すグラフである。
【図3】試験例2における本発明のアモルファス炭素材
の水素吸蔵特性(TPD 5℃/min昇温)を示すグラフ
である。
【図4】試験例2における本発明のアモルファス炭素材
の水素吸蔵特性(TPD 3℃/min昇温)を示すグラフ
である。
【図5】試験例3における超高真空窒素吸着測定(SWPA
法)の結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 亮一 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 Fターム(参考) 4G066 AA02D AA04B AA04C AA37A BA25 BA26 BA31 BA36 CA38 DA04 4G140 AA04 AA48 4G146 AA01 AA16 AA19 AB01 AB06 AC04A AC04B AC07A AC07B AC13A AC13B AC16A AC16B AC17A AC17B AC28A AC28B AD02 AD11 AD23 AD31 AD32 AD35 5H018 AA02 AS02 EE02 EE05 HH00 HH02 HH04 HH05 5H027 AA02 BA13

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素材料及び該炭素材料に担持された金
    属からなる金属担持炭素材料であって、該炭素材料は、
    真密度が2.1〜3.1g/cm3であり、 元素分析による水素/炭素重量比が0.013以下であり、 −196℃での超高真空窒素吸着法により測定した場合
    に、直径0.6nm以下のミクロ細孔の細孔容積が0.05ml/g
    以上であり、 2種類以上の水素吸着サイトを持ち、粉末X線回折法(入
    射X線:CuKα)において、ディフラクトメーター法によ
    り求められるd002が4.30Å以上であり、アモルファス
    カーボン粒子、アモルファスカーボンファイバー又はこ
    れらの混合物から構成されているアモルファス構造を有
    するナノスケールカーボンを含有することを特徴とする
    金属担持炭素材料。
  2. 【請求項2】 炭素材料が、ラマン分光法で得られる15
    40cm-1から1650cm-1にピーク中心をもつピークの積分強
    度(Ia)の、1200cm-1から1500cm-1にピーク中心をもつ
    ピークの積分強度(Ib)に対する積分強度比(Ia/Ib)
    が1以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属
    担持炭素材料。
  3. 【請求項3】 炭素材料の比表面積が1000 m2/g以上で
    ある請求項1又は2に記載の金属担持炭素材料。
  4. 【請求項4】 炭素材料が、液体窒素温度(−196℃)に
    おける窒素気体の吸着等温線において、相対圧(即ち、
    窒素圧力(P)の、−196℃における窒素飽和蒸気圧(Po)に
    対する比:P/Po)0.5以上の範囲で脱着側吸着量と吸着
    側吸着量との比が1.1以上であるヒステリシスループを
    示すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    金属担持炭素材料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の金属担
    持炭素材料からなるガス吸蔵材。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の金属担
    持炭素材料からなる水素吸蔵材。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のガス吸蔵材を使用して
    ガスを貯蔵することを特徴とするガス貯蔵方法。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の水素吸蔵材を使用して
    水素を貯蔵することを特徴とする水素貯蔵方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜4のいずれかに記載の金属担
    持炭素材料からなる燃料電池用電極材料。
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