JP2003289871A - ペプチド核酸およびオリゴペプチドからなる化合物、その製造法ならびにその用途 - Google Patents

ペプチド核酸およびオリゴペプチドからなる化合物、その製造法ならびにその用途

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JP2003289871A
JP2003289871A JP2002100475A JP2002100475A JP2003289871A JP 2003289871 A JP2003289871 A JP 2003289871A JP 2002100475 A JP2002100475 A JP 2002100475A JP 2002100475 A JP2002100475 A JP 2002100475A JP 2003289871 A JP2003289871 A JP 2003289871A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 複雑な合成経路なしに合成でき、細胞内、さ
らには核内に効率よく導入できるペプチド核酸含有化合
物を提供する。 【解決手段】 ペプチド核酸、および特定配列の核移行
シグナル(NLS)のN末端および/またはC末端にリ
ジン残基および/またはアルギニン残基が2〜7個結合
したペプチド配列からなるオリゴペプチドからなる化合
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペプチド核酸(以
下、PNAという)およびオリゴペプチドからなる生体
膜透過性に優れた新規化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】PNAは、DNA類似構造を有する非天
然の化合物である。その構造は、DNAやRNAとは異
なり、ペプチド結合で骨格部分を形成し、側鎖がDNA
構造を有する。PNAは、DNA、RNAまたは二本鎖
DNAと強くハイブリダイズし、また、ヌクレアーゼな
どの分解酵素の作用を受けないことから、従来のオリゴ
DNAより、強力なアンチセンス作用を有するものと期
待されている(ベッツら、Science、第270巻、18
38〜1841頁、1995年;コルテスら、Drug Dis
cov. Today、第6巻、893〜904頁、2001
年)。
【0003】しかしながら、PNAは、溶解性および細
胞膜透過性が低く、実際に細胞の中に導入し、アンチセ
ンス・アンチジーンとして作用させることは困難であっ
た(コルテスら、Drug Discov. Today、第6巻、893
〜904頁、2001年)。実際にPNAを単独で投与
する場合、非常に高濃度、たとえば10μM以上のPN
Aを使用することにより核内への導入は可能であった
が、この濃度では細胞毒性が認められ、生体に使用でき
る濃度ではなかった。
【0004】この問題点を改良するため、SV40のP
NAに核移行シグナル(PKKKRKV(配列番号1:
以下、NLSという))を付加し、さらにポリエチレン
イミン(PEI)とインキュベーションすることにより
正電荷を付加すると、細胞内とくに核への導入効率がよ
くなったとの報告がある(ブランデンら、Nature Biote
chnology、第17巻、784〜787頁、1999年;
カトロナら、Nature Biotechnology、第18巻、300
〜303頁、2000年)。しかし、核移行シグナルを
付加しただけでは、PNAを細胞膜透過させることは困
難であるとの報告もある。またPEIは、その細胞毒性
が指摘されており、そのうえ、この方法だと、細胞核内
に導入するために2ステップ必要となり煩雑であるなど
の欠点がある。さらに、この方法でPNAと核移行シグ
ナルを連結するために使用された二価性架橋剤はPNA
と核移行シグナルとを堅く固定してしまうため、PNA
の標的配列へのハイブリダイズを核移行シグナル部位が
妨害すると考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の
問題点を解決し、複雑な合成経路なしに合成でき、細胞
内、さらには核内に効率よく導入できるPNA含有化合
物を提供することを目的とする。また、本発明は、標的
配列へのハイブリダイズが有効に達成できるPNA含有
化合物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に鋭意検討を重ねた結果、PNAと特定の修飾核移行シ
グナルとを連結することにより、得られた化合物は核内
に効率よく導入されることを見出した。さらに、特定の
二価性架橋剤を用いることでPNAの標的配列へのハイ
ブリダイズが有効に達成できることを見いだした。
【0007】すなわち本発明は、PNA、および配列番
号1に記載した核移行シグナルのN末端および/または
C末端にリジン残基および/またはアルギニン残基が両
端合わせて2〜7個結合したペプチド配列からなるオリ
ゴペプチドからなる化合物に関する。
【0008】前記化合物において、PNAとオリゴペプ
チドとが、二価性架橋剤によって架橋されていることが
好ましい。
【0009】前記二価性架橋剤が、式:
【0010】
【化2】
【0011】(式中、n=3〜11)で表わされる化合
物であることが好ましい。
【0012】前記化合物において、オリゴペプチドがR
RPKKKRKVRR(配列番号2:以下、2R−NL
S−2Rという)であることが好ましい。
【0013】また、本発明は、(A)ペプチド核酸を合
成し、脱保護したN末端に二価性架橋剤を連結させる工
程、(B)末端にシステイン残基を導入したオリゴペプ
チドを合成する工程、および(C)(A)ペプチド核酸
に連結した二価性架橋剤とオリゴペプチドのシステイン
残基とを連結させる工程からなる前記化合物の製造方法
に関する。
【0014】本発明は、(A)オリゴペプチドを合成
し、脱保護したN末端に二価性架橋剤を連結させる工
程、(B)末端にシステイン残基を導入したペプチド核
酸を合成する工程、および(C)(A)オリゴペプチド
に連結した二価性架橋剤とペプチド核酸のシステイン残
基とを連結させる工程からなる前記化合物の製造方法に
関する。
【0015】さらに本発明は、前記化合物からなるDN
A転写調節剤に関する。
【0016】また本発明は、前記化合物からなる医薬化
合物に関する。
【0017】本発明は、前記化合物からなる抗癌剤に関
する。
【0018】また、本発明は、前記化合物をインビトロ
にて培養細胞に接触させることにより、該化合物を細胞
の核内に導入する方法に関する。
【0019】本発明は、前記化合物を培養細胞に導入
し、該化合物中のペプチド核酸を標的配列にハイブリダ
イズさせ、該標的配列がコードするまたは該標的配列が
転写調節する遺伝子の発現を抑制することからなる遺伝
子の機能解析方法に関する。
【0020】本発明は、プラスミドベクターDNAの配
列とハイブリダイズする前記化合物を、該プラスミドベ
クターDNAと反応させたのち培養細胞に添加すること
からなる、外来遺伝子を細胞内に導入する方法に関す
る。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のPNA、および配列番号
1に記載した核移行シグナルのN末端および/またはC
末端にリジン残基および/またはアルギニン残基が2〜
7個結合したペプチド配列からなるオリゴペプチドから
なる化合物(以下、ペプチドPNAという)を、以下詳
細に説明する。
【0022】本発明のペプチドPNAは、この構成によ
り容易にPNAを核内へ導入することができる。
【0023】本発明のペプチドPNAにおいてPNAと
オリゴペプチドを連結させる方法としては、とくに限定
されることなく、二化性架橋剤を用いる方法など、周知
の方法を利用することができる。
【0024】本発明に用いられる二価性架橋剤として
は、PNAとオリゴペプチドとを連結できるものであれ
ばどのようなものを使用してもよく、それぞれ、PNA
またはオリゴペプチドの反応させようとする部位によっ
て、それに応じた二価性架橋剤を選択することができ
る。また、得られるペプチドPNAに構造的自由度を付
加し得るものが好ましい。
【0025】たとえば、PNAまたはオリゴペプチドど
ちらかのアミノ基と、それ以外のPNAまたはオリゴペ
プチドに結合させたシステイン残基のスルフィド基とを
連結する場合には、式:
【0026】
【化3】
【0027】(式中、n=3〜11)で表わされる構造
を有するものが好ましい。nの数は4〜8がより好まし
く、nの数が3より小さくなると得られるペプチドPN
Aの構造的自由度が減少する傾向があり、11より大き
くなると自由度は増大するが、水溶液中での溶解度が減
少する傾向がある。このような二価性架橋剤具体例とし
ては、好ましくはN−(4−マレイミドブチリルオキ
シ)スクシニミド(GMCS)、EMCS、N−(8−
マレイミドカプリルオキシ)スクシニミド(HMC
S)、N−(11−マレイミドウンデカノイルオキシ)
スクシニミド(KMUS)などがあげられ、EMCSが
最も好ましい。
【0028】このように二価性架橋剤として構造的自由
度の高いスペーサーを有するものを使用すると、PNA
とオリゴペプチドとの架橋が容易で、高収率で生成物を
得られるのみならず、PNAが標的配列とハイブリダイ
ズする際にも、オリゴヌクレオチド部分が該ハイブリダ
イズを妨害することなく、効率的に標的配列の発現を阻
害することができる。
【0029】本発明に用いるPNAは、合成可能なもの
であればどのようなものでも使用することができ、特定
DNAまたはmRNAへのハイブリダイズの特異性およ
びDNAまたはmRNAへの親和性・結合性の点から塩
基数6〜20が好ましく、7〜14がさらに好ましい。
塩基数が6より少なくなると、目的のDNAまたはmR
NAのみにハイブリダイズしなくなる傾向があり、20
より多くなるとDNAまたはmRNAへの結合力が弱く
なる傾向がある。
【0030】本発明のオリゴペプチドは、配列番号1に
記載した核移行シグナルNLSのN末端および/または
C末端にリジン残基および/またはアルギニン残基が両
末端合わせて2〜7個結合したペプチド配列からなるこ
とが必要である。核移行シグナルに結合するリジン残基
およびアルギニン残基の総数としては、2〜7個が好ま
しく、2〜4個が最も好ましい。核移行シグナルに結合
するアルギニン残基およびリジン残基の総数は、2より
少ないと細胞膜透過性が減少する傾向にあり、7以上に
なるとPNAの塩基GまたはCと水素結合し凝集するこ
とから、PNAのアンチセンス効果を阻害する傾向があ
る。
【0031】このようなオリゴヌクレオチドとしては、
具体的には、2R−NLS−2R(配列番号2)、RR
RPKKKRKV(配列番号3:以下、3R−NLSと
いう)またはPKKKRKVRRR(配列表4:以下、
NLS−3Rという)があげられ、細胞膜透過性と、P
NAとの相互作用の点から2R−NLS−2Rが最も好
ましい。
【0032】本発明のペプチドPNAは、PNAのN末
端とオリゴペプチドのC末端を連結する場合、(A)P
NAを合成し、脱保護したN末端に二価性架橋剤を連結
させる工程、(B)末端にシステイン残基を導入したオ
リゴペプチドを合成する工程、および(C)(A)で得
られたPNAに連結した二価性架橋剤と(B)で得られ
たオリゴペプチドのシステイン残基とを連結させる工程
から製造することができる。また、オリゴペプチドのN
末端とPNAのC末端を連結する場合は、(A)オリゴ
ペプチドを合成し、脱保護したN末端に二価性架橋剤を
連結させる工程、(B)末端にシステイン残基を導入し
たPNAを合成する工程、および(C)(A)で得られ
たオリゴペプチドに連結した二価性架橋剤と(B)で得
られたPNA二結合したシステイン残基とを連結させる
工程から製造することができる。
【0033】たとえば、本発明のペプチドPNAは、固
相合成して樹脂に結合した状態のN末端にアミノ基を有
するPNAに対し、溶媒中に溶解した二価性架橋剤を約
1.5当量添加し室温にて約3時間撹拌し、これを前記
溶媒にて数回洗浄し、未反応の二価性架橋剤を除去し、
溶媒中に溶解したSH基を有するペプチドを約1.5当
量添加し、室温にて約5時間撹拌し、得られた生成物を
溶媒で数回洗浄し、未反応のペプチドを除去し、常法に
より側鎖の脱保護を行ない、さらに樹脂から切り出し、
得られた生成物をエーテルで沈殿させHPLCで精製す
ることから製造できる。
【0034】本発明のペプチドPNAは、核に導入され
ると、核内の標的配列とハイブリダイズすることによ
り、DNAの転写調節をしたり、mRNAの翻訳を阻害
したり、リボザイムの活性を阻害したりすることができ
る。
【0035】本発明における「DNAの転写調節」と
は、DNAの転写の促進または抑制を意味し、DNAの
転写領域にハイブリダイズして転写を抑制することのみ
ならず、DNAの転写調節領域にハイブリダイズして転
写調節因子の機能を阻害することにより転写を促進また
は抑制することをも意味する。
【0036】したがって、本発明のペプチドPNAは、
用いるPNAを適宜選択することによって、遺伝子変異
に起因して起こる疾患、または遺伝子もしくはタンパク
質が異常に高発現して起こる疾患など様々な疾患の治療
剤となり得る。具体的には、癌、アルツハイマー病、心
肥大、高血圧症、動脈硬化症などがあげられる。
【0037】本発明のDNA転写阻害剤および抗癌剤の
投与経路としては、患部への直接投与、経口投与、経静
脈的投与、直腸投与などが考えられる。患者への負担、
副作用の点から、患部への直接投与、経口投与がより好
ましい。
【0038】本発明のDNA転写阻害剤および抗癌剤の
剤形は投与方法によって適宜設定することができる。具
体的には、水溶液、乳剤、懸濁液などの液剤、軟膏剤、
錠剤、カプセル剤などがあげられる。患部への直接投与
の場合、液剤または軟膏剤が好ましく、経口投与の場
合、錠剤またはカプセル剤が好ましい。
【0039】投与量は、投与方法、適用する患者の年
齢、体重、病状などによって適宜設定することができる
が、ペプチドPNAに換算して1日に0.1〜200m
g/kgが好ましい。投与量が0.1mg/kgより少
ないとペプチドPNAとしての効果が半減する傾向があ
る。投与量の下限は0.1mg/kgであるが1mg/
kgがより好ましい。投与量の上限は200mg/kg
であるが50mg/kgがより好ましい。投与は単回ま
たは複数回のどちらで行なっても良い。
【0040】本発明の医薬化合物の製剤化には、その剤
形に合わせて通常当業者により使用される様々な添加物
を使用することができる。たとえば、酸化防止剤、pH
調整剤、防腐剤などがあげられる。
【0041】また、本発明のペプチドPNAは、培養細
胞に適用し所望のPNAを細胞核内に効率的に導入する
こともできる。
【0042】さらに、培養細胞において、標的配列のア
ンチセンスPNAからなるペプチドPNAを導入し、標
的配列にハイブリダイズさせ、その標的配列がコードす
るまたは転写調節する遺伝子の発現を促進または抑制す
ることにより、その遺伝子の機能を解析することができ
る。
【0043】本発明のペプチドPNAは、プラスミドベ
クターDNAの配列とハイブリダイズするPNAを用い
ることによって、該プラスミドベクターDNAとハイブ
リダイズさせたのち培養細胞に添加することにより、外
来遺伝子を細胞内に導入することができる。
【0044】培養細胞に適用する場合、本発明のペプチ
ドPNAの添加量としては、細胞濃度5×104cells/
mlの培養液に0.01〜500nmol/mlが好ま
しく、0.1〜100nmol/mlがより好ましい。
添加量が0.01nmol/mlより少ないと、PNA
の効果が半減する傾向があり、500nmol/mlよ
り多いと細胞毒性を示す傾向がある。
【0045】
【実施例】ここで、本発明を実施例にもとづいて、詳細
に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。
【0046】以下の実施例中、固相合成用装置、PNA
およびオリゴペプチド合成用モノマーおよび樹脂はアッ
プライド・バイオシステム社製を、EMCSは同人堂製
を使用した。
【0047】実施例1 転写因子の1つであるヒトp53遺伝子のアミノ酸6番
〜10番に相当するアンチセンス鎖と同様の核酸配列
(5′−GAC GCT AGG ATC TGA−
3′(配列番号5))を有するPNAは、固相ペプチド
合成法であるBoc法により、通常の方法で末端まで合
成したのち、脱保護し、末端にフリーのアミノ基を露出
させた。得られたPNA7.5μmolに二価性架橋剤
EMCS(N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)ス
クシニイミド)12μmolを添加し、3時間撹拌し、
アミノ基とEMCSを連結した。さらに、ジクロロメタ
ン/ジメチルホルムアミド(1:1)溶液1mlで洗浄
し、未反応のEMCSを除去した。洗浄を2回繰り返し
たのち、C末端にシステイン残基を導入したオリゴペプ
チド2R−NLS−2R(配列番号2)(ペプチド研究
所製)12μmolを添加し、10時間撹拌した。得ら
れたペプチドPNAの側鎖を定法により脱保護し、樹脂
より切り出した。これをエタノール沈澱により粗精製し
たのち、HPLCで精製した(収率25%)。すべての
操作は、室温で、ジクロロメタン/ジメチルホルムアミ
ド(1:1)溶液中で行なった。
【0048】実施例2 転写因子の1つであるヒトp53遺伝子のアミノ酸6番
〜10番に相当するアンチセンス鎖と同様の核酸配列
(5′−GAC GCT AGG ATC TGA−
3′)を有するPNAを、固相ペプチド合成法であるB
oc法により合成した。C末端に架橋点としてのSH基
を導入するために、システイン残基を1残基目に導入し
た。末端まで合成したのち、定法通りにN末端を脱保護
し、樹脂から切り出した。
【0049】オリゴペプチド2R−NLS−2R(配列
番号2)も固相ペプチド合成法であるFmoc法により
末端まで合成したのち、脱保護し、末端にフリーのアミ
ド基を露出させた。得られたオリゴペプチド12μmo
lに二価性架橋剤EMCS12μmolを添加し、3時
間撹拌し、アミド基とEMCSを連結した。さらに、ジ
クロロメタン/ジメチルホルムアミド(1:1)溶液1
mlで洗浄し、未反応のEMCSを除去した。洗浄を2
回繰り返したのち、システイン結合PNA7.5μmo
lを添加し、10時間撹拌した。得られたペプチドPN
Aを定法により側鎖を脱保護し、樹脂より切り出した。
これをエタノール沈澱により粗精製したのち、HPLC
で精製した(収率25%)。すべての操作は、室温で、
ジクロロメタン/ジメチルホルムアミド(1:1)溶液
中で行なった。
【0050】実施例3 <NOS−1細胞の調製>ヒト口腔癌由来の扁平上皮癌
細胞でp53遺伝子に変異が認められるNOS−1細胞
5×104を、ポリ−D−リシンでコーティングした直
径10mmカバーガラス上にて、70%コンフルエント
になるまで培養した。培養は、培地としてペニシリン
(インビトロジェン株式会社製)およびストレプトマイ
シン(インビトロジェン株式会社製)を添加したGIT
培地(日本製薬株式会社製)(ペニシリンの最終濃度1
00単位/ml、ストレプトマイシンの最終濃度100
μg/ml)1mlを使用し、炭酸ガスインキュベータ
ー(5%CO2、37℃)中で行なった。
【0051】<ペプチドPNAへのFITCの接合>N
末端のアミノ基に架橋剤としてEMCSを用いてFIT
Cを接合したオリゴペプチドを用いた以外は、実施例1
と同様にしてペプチドPNAを合成し、樹脂から切り出
しFITC接合ペプチドPNAを得た。
【0052】<細胞内への導入>得られたFITC接合
ペプチドPNAを培地内に最終濃度が1μMとなるよう
添加した。3時間後、培地を完全に除去し、細胞をPB
S(pH7.4)で3回洗浄後、新鮮なペニシリン・ス
トレプトマイシンを添加したGIT培地を添加し、さら
に4時間培養した。
【0053】細胞を4%パラフィルムアルデヒドにて固
定後、1μg/mlローダミンを接合したファロイジン
(Phalloidin)0.5mlと1時間インキュ
ベーションした。4回PBSで洗浄したのちスライドグ
ラスにマウントし、共焦点レーザー顕微鏡(Zweis
s社製)にて、FITCシグナル(緑)とローダミンシ
グナル(赤)を観察した。ファロイジンはF−アクチン
に特異的に結合するため、細胞骨格を判別することを可
能にする化合物である。
【0054】図1に示すようにペプチドPNAが核内に
導入、局在できることが確認できた。
【0055】比較例1 オリゴペプチドとして、RRRRRRRRRRRPKK
KRKVRK(配列番号6:以下、11R−NLS−R
−Kという)を用いた以外は、実施例3と同様にしてF
ITC接合ペプチドPNAを製造し、細胞内への導入を
観察した。
【0056】11R−NLS−R−Kを用いたペプチド
PNAは、細胞内に導入されているが(緑のシグナ
ル)、核の中に移行せず、細胞質に留まっている(図2
(b))。一方、実施例3の2R−NLS−2Rを用い
たペプチドPNAは、核内に移行している(緑のシグナ
ル)(図2(a))。
【0057】
【発明の効果】本発明によるペプチドPNAは、PNA
を効率よく核内に導入することを可能とする。本発明に
よれば、低濃度のPNAでも充分に核内に移行され効果
を発揮することができるため、高濃度のPNAによる細
胞毒性および生体に対する毒性などの副作用を受けるこ
となく使用できる。
【0058】
【配列表フリーテキスト】
配列番号2:2R−NLS−2Rのアミノ酸配列 配列番号3:3R−NLSのアミノ酸配列 配列番号4:NLS−3Rのアミノ酸配列 配列番号6:11R−NLS−R−Kのアミノ酸配列
【0059】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Tomizawa, Kazuhito Matsui, Hideki Sugimoto, Naoki <120> Compound comprising peptide nucleic acid and oligopeputide, and preparing process and use thereof <130> JP-13287 <160> 6 <210> 1 <211> 7 <212> PRT <213> simian virus <400> 1 Pro Lys Lys Lys Arg Lys Val 1 5 <210> 2 <211> 11 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: amino acid sequence of 2R-NLS- 2R <400> 2 Arg Arg Pro Lys Lys Lys Arg Lys Val Arg Arg 1 5 10 <210> 3 <211> 10 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: amino acid sequence of R3-NLS <400> 3 Arg Arg Arg Pro Lys Lys Lys Arg Lys Val 1 5 10 <210> 4 <211> 10 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: amino acid sequence of NLS-R3 <400> 4 Pro Lys Lys Lys Arg Lys Val Arg Arg Arg 1 5 10 <210> 5 <211> 15 <212> DNA <213> human <400> 5 gacgctagga tctga 15 <210> 6 <211> 20 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: amino acid sequence of 11R-NLS -R-K <400> 6 Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Pro Lys Lys Lys Arg 1 5 10 15 Lys Val Arg Lys 20
【図面の簡単な説明】
【図1】オリゴペプチドとして、2R−NLS−2R
(配列番号2)を用いた場合の、細胞および核内へのペ
プチドPNAの導入を示す蛍光顕微鏡写真のデータであ
る。(a)は、ローダミンによるF−アクチンを示し、
(b)はFITCによるペプチドを示し、(c)は
(a)および(b)を重ね合わせデータである。
【図2】オリゴペプチドとして、2R−NLS−2R
(配列番号2)を用いたペプチドPNA(a)と、オリ
ゴペプチドとして11R−NLS−R−K(配列番号
6)を用いたペプチドPNA(b)の細胞内への導入を
示す蛍光顕微鏡写真のデータである。
【符号の説明】
1 細胞骨格 2 核 3 細胞質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富澤 一仁 岡山市東古松一丁目14−7−604 (72)発明者 松井 秀樹 岡山市東畦139−11−501 (72)発明者 杉本 直己 神戸市東灘区魚崎北町4−14−18−108 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA01 GA11 GA30 HA11 4B063 QA08 QA19 QA20 QQ42 QQ79 QR77 QS24 QS40 QX01 4C084 AA01 AA02 AA06 BA01 BA08 BA17 BA23 CA17 DA27 NA03 ZB26 4H045 AA10 BA54 EA20 EA65 FA33 FA61 FA83

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペプチド核酸、および配列番号1に記載
    した核移行シグナルのN末端および/またはC末端にリ
    ジン残基および/またはアルギニン残基が両端合わせて
    2〜7個結合したペプチド配列からなるオリゴペプチド
    からなる化合物。
  2. 【請求項2】 前記ペプチド核酸とオリゴペプチドと
    が、二価性架橋剤によって架橋されている請求項1記載
    の化合物。
  3. 【請求項3】 前記二価性架橋剤が、式: 【化1】 (式中、n=3〜11)で表わされる化合物である請求
    項2記載の化合物。
  4. 【請求項4】 前記オリゴペプチドがRRPKKKRK
    VRR(配列番号2)である請求項1記載の化合物。
  5. 【請求項5】 (A)ペプチド核酸を合成し、脱保護し
    たN末端に二価性架橋剤を連結させる工程、(B)Cま
    たはN末端にシステイン残基を導入したオリゴペプチド
    を合成する工程、および(C)(A)ペプチド核酸に連
    結した二価性架橋剤と(B)オリゴペプチドのシステイ
    ン残基とを連結させる工程からなる請求項2記載の化合
    物の製造方法。
  6. 【請求項6】 (A)オリゴペプチドを合成し、脱保護
    したN末端に二価性架橋剤を連結させる工程、(B)C
    またはN末端にシステイン残基を導入したペプチド核酸
    を合成する工程、および(C)(A)オリゴペプチドに
    連結した二価性架橋剤と(A)ペプチド核酸のシステイ
    ン残基とを連結させる工程からなる請求項1記載の化合
    物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3または4記載の化合物
    からなるDNA転写調節剤。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3または4記載の化合物
    からなる医薬化合物。
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3または4記載の化合物
    からなる抗癌剤。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3または4記載の化合
    物を、インビトロにて培養細胞に接触させることによ
    り、該化合物を細胞の核内に導入する方法。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3または4記載の化合
    物を培養細胞に導入し、該化合物中のペプチド核酸を標
    的配列にハイブリダイズさせ、該標的配列がコードする
    または該標的配列が転写調節する遺伝子の発現を抑制す
    ることからなる遺伝子の機能解析方法。
  12. 【請求項12】 プラスミドベクターDNAの配列とハ
    イブリダイズする請求項1、2、3または4記載の化合
    物を、該プラスミドベクターDNAとハイブリダイズさ
    せたのち培養細胞に添加することからなる、外来遺伝子
    を細胞内に導入する方法。
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