JP2003286254A - 光学活性環状アルコールの製造方法 - Google Patents

光学活性環状アルコールの製造方法

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JP2003286254A
JP2003286254A JP2002090162A JP2002090162A JP2003286254A JP 2003286254 A JP2003286254 A JP 2003286254A JP 2002090162 A JP2002090162 A JP 2002090162A JP 2002090162 A JP2002090162 A JP 2002090162A JP 2003286254 A JP2003286254 A JP 2003286254A
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cyclic olefin
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Masao Morimoto
正雄 森本
Haruyo Sato
治代 佐藤
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】含窒素環状オレフィンから光学活性含窒素環状
アルコールを高収率で製造する。 【解決手段】(1)α−ピネン、水素化ホウ素ナトリウ
ム及び活性化剤の混合液と、一般式(I)〜(IV) 【化1】 のいずれかで表される含窒素環状オレフィンを反応させ
る工程、(2)前記(1)の工程で得られた反応液を酸
化剤と反応させる工程からなる光学活性ピロリジノー
ル、または光学活性ピペリジノールの製造方法におい
て、含窒素環状オレフィンの脱水素化物および一般式
(V) X−NH2 ・・・(V) で表されるアミン化合物の総重量が含窒素環状オレフィ
ンに対して5重量%以下であることを特徴とする光学活
性環状アルコールの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性含窒素環
状アルコールの製造方法に関する。光学活性含窒素環状
アルコールは、医薬中間体、農薬中間体、液晶材料、香
料などとして有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】炭素−炭素二重結合を水酸基に変換する
ことを特徴とする光学活性含窒素環状アルコールの合成
法としては、ハイドロボレーション反応を経由する方法
が公知である。例えば、α−ピネンとジボランやBH3
・SMe2等から合成したジイソピノカンフェニルボラ
ンを用いた不斉ハイドロボレーション−酸化による光学
活性N置換−3−ピロリジノールの合成が挙げられる
(ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー.,
51,4296,(1986)、ジャーナル・オブ・ア
メリカン・ケミカル・ソサイエテイ.,108,204
9(1986)、ヘテロサイクルズ,28,1,283
(1989))。
【0003】しかし、これらの有機ホウ素化合物と炭素
−炭素二重結合の反応において、オレフィン原料中不純
物の影響について報告した例は見られない。
【0004】一方、含窒素環状オレフィン化合物の製造
法として、シス−2−ブテン−1,4−ジオールジメシ
レートと1級アミン類を反応させてピロリン誘導体を製
造する方法(シンセテイック・コミュニケーション,2
0,227(1990))、シス−1,4−ジクロロ−
2−ブテンとベンジルアミンを反応させる方法(シンセ
テイック・コミュニケーション,13,1117(19
83)、およびシス−2−ブテン−1,4−ジオールを
塩化チオニルと反応させた後、ベンジルアミンと反応さ
せる方法(特開2001−270862号公報)などが
知られている。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】上記のいずれの場合
も原料にアミン類を用いるため、精留などの処理を行わ
ない限り、生成した含窒素環状オレフィン中にはアミン
原料が残留すると考えられる。
【0006】また、生成物の含窒素環状オレフィン、特
にピロリン誘導体では酸素共存下で保存した場合にピロ
ール誘導体が副生することが知られている(特開200
1−278857号公報)。つまり、含窒素環状オレフ
ィン中には、公知文献記載の通り、窒素雰囲気下で保管
しない限りピロール誘導体が不純物として含まれる。ア
ミン原料などのアミン不純物が反応系に含まれると、反
応系内に存在するボラン化合物が失活して反応収率が低
下するという問題が挙げられる。
【0007】したがって、含窒素環状オレフィンを用い
た光学活性アルコールの工業的製造法の創出が強く望ま
れてきた。
【0008】本発明の目的は、含窒素環状オレフィンか
ら光学活性アルコールを製造するに際し、安価な原料を
使用し、安全、且つ簡便なプロセスを用いた光学活性ピ
ロリジノールおよび光学活性ピペリジノールの工業的製
造法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、含窒素環
状オレフィンを原料に用いた、安全、且つ簡便な方法に
よる光学活性アルコールの製造方法について鋭意検討
し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、
「(1)α−ピネン、水素化ホウ素ナトリウム及び活性
化剤の混合液と、一般式(I)〜(IV)
【0010】
【化2】
【0011】(式中Xは、a)炭素数1〜10のアルキ
ル基、b)芳香環が、無置換、炭素数1〜10のアルキ
ル基、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基で置換さ
れたアリール基、c)芳香環が無置換、炭素数1〜10
のアルキル基、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基
で置換されたアラルキル基、d)アルキルまたはアリー
ルオキシカルボニル基のいずれかを表し、Rは、e)炭
素数1〜10のアルキル基またはアルコキシ基、f)芳
香環が、無置換、炭素数1〜10のアルキル基、あるい
は炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されたアリール
基、g)芳香環が無置換、炭素数1〜10のアルキル
基、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基で置換され
たアラルキル基、h)アルキルまたはアリールオキシカ
ルボニル基のいずれかを表し、nは0〜4のいずれかで
ある。)のいずれかで表される含窒素環状オレフィンを
反応させる工程、(2)前記(1)の工程で得られた反
応液を酸化剤と反応させる工程からなる光学活性ピロリ
ジノール、または光学活性ピペリジノールの製造方法に
おいて、含窒素環状オレフィンに含まれる、含窒素環状
オレフィンの脱水素化物および一般式(V) X−NH2 ・・・(V) (式中Xは、a)炭素数1〜10のアルキル基、b)芳
香環が、無置換、炭素数1〜10のアルキル基、あるい
は炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されたアリール
基、c)芳香環が無置換、炭素数1〜10のアルキル
基、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基で置換され
たアラルキル基、d)アルキルまたはアリールオキシカ
ルボニル基のいずれかを表す。)で表されるアミン化合
物の総重量が含窒素環状オレフィンに対して5重量%以
下であることを特徴とする光学活性環状アルコールの製
造方法。」である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本反応の具体的な方法を例示する。
【0014】まず、α−ピネン、水素化ホウ素ナトリウ
ム、場合によっては溶媒を含む混合液に、活性化剤を添
加する。ここで、原料の仕込み順序は限定されるもので
はなく、α−ピネンを最後に添加しても良いが、好まし
くは、活性化剤を最後に添加する方法であり、混合液の
性状は溶液であっても、スラリーであっても良い。そし
て、次工程において、含窒素環状オレフィンを添加す
る。
【0015】本発明で用いる水素化ホウ素ナトリウムの
形状は特に制限されるものではなく、微粉末状のものか
ら粒状のものまで各種の粒径のものを用いることができ
る。水素化ホウ素ナトリウムの添加方法も限定されるも
のではなく、溶媒で希釈した後添加しても良く、また希
釈せずにそのまま添加しても良い。
【0016】本発明で用いる活性化剤とは、水素化ホウ
素ナトリウムを活性化するものであれば様々なのものを
用いることができる。ハロゲン化ホウ素、鉱酸、スルホ
ン酸、アルキル硫酸、カルボン酸、金属ハロゲン化物お
よびヨウ素から選ばれる少なくとも1種を含むことが好
ましい。例として、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三
臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素などのハロゲン化ホウ素、
三フッ化アルミニウム、三塩化アルミニウム、三臭化ア
ルミニウム、三ヨウ化アルミニウムなどのハロゲン化ア
ルミニウム、三フッ化ガリウム、三塩化ガリウム、三臭
化ガリウム、三ヨウ化ガリウムなどのハロゲン化ガリウ
ム、フッ化亜鉛、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、フッ化
亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛などのハロゲン
化亜鉛、フッ化鉄、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などのハ
ロゲン化鉄、塩化チタン、臭化チタン、硫酸、塩酸、臭
化水素酸、ヨウ化水素酸などの鉱酸、ベンゼンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸、ジメチル
硫酸、ジエチル硫酸などのアルキル硫酸、トリフルオロ
酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸、ヨ
ウ化メチル、ヨウ素などを挙げることができ、好ましく
は、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム、ハロ
ゲン化鉄、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ジメチル硫酸、ベ
ンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンス
ルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオ
ロ酢酸、ヨウ化メチル、ヨウ素であり、さらに好ましく
は、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素などのハロゲン化ホ
ウ素、もしくは硫酸、塩酸などの鉱酸である。
【0017】ハロゲン化ホウ素は、三フッ化ホウ素、三
塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素を表すが、
それぞれ単独で用いても、また、混合して用いても構わ
ず、さらに、溶媒等との錯体として使用しても良い。例
えば、三フッ化ホウ素・ジメチルエーテル錯体、三フッ
化ホウ素・ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・テ
トラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素・1,4−ジオ
キサン錯体、三フッ化ホウ素・メタノール錯体、三フッ
化ホウ素・ピリジン錯体、三フッ化ホウ素・トリエチル
アミン錯体等が挙げられる。
【0018】また、含窒素環状オレフィンは、下記
(I)〜(IV)式のいずれかで表されるものであり、ピ
ロリン誘導体、またはテトラヒドロピリジン誘導体であ
り、一般式(I)及び(II)はそれぞれ2−ピロリン誘
導体、及び3−ピロリン誘導体であり、または一般式
(III)及び(IV)はそれぞれ1,2,3,6−テトラ
ヒドロピリジン誘導体、及び1,2,3,4−テトラヒ
ドロピリジン誘導体である。
【0019】
【化3】
【0020】(式中Xは、a)炭素数1〜10のアルキ
ル基、b)芳香環が、無置換、炭素数1〜10のアルキ
ル基、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基で置換さ
れたアリール基、c)芳香環が無置換、炭素数1〜10
のアルキル基、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基
で置換されたアラルキル基、d)アルキルまたはアリー
ルオキシカルボニル基のいずれかを表し、Rは、e)炭
素数1〜10のアルキル基またはアルコキシ基、f)芳
香環が、無置換、炭素数1〜10のアルキル基、あるい
は炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されたアリール
基、g)芳香環が無置換、炭素数1〜10のアルキル
基、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基で置換され
たアラルキル基、h)アルキルまたはアリールオキシカ
ルボニル基のいずれかを表し、nは0〜4のいずれかで
ある。)式中Xの置換基の具体例としては、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、2−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基など
に代表されるアルキル基、フェニル基、o−トルイル
基、m−トルイル基、p−トルイル基、o−エチルフェ
ニル基、m−エチルフェニル基、o−メトキシフェニル
基、m−エトキシフェニル基、p−(n−ブトキシ)フ
ェニル基などに代表されるアリール基、ベンジル基、o
−メチルフェニルメチル基、m−エチルフェニルメチル
基、p−n−プロピルフェニルメチル基、o−メトキシ
フェニルメチル基、m−エトキシフェニルメチル基、p
−t−ブトキシフェニルメチル基などに代表されるアラ
ルキル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、n−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボ
ニル基、フェノキシカルボニル基、o−メチルフェノキ
シカルボニル基、m−エチルフェノキシカルボニル基、
ベンジルオキシカルボニル基などに代表されるアルキル
またはアリールオキシカルボニル基などを挙げることが
できるが、好ましくはアリール基、アラルキル基、アル
キルまたはアリールオキシカルボニル基であり、さらに
好ましくはアラルキル基、アルキルまたはアリールオキ
シカルボニル基である。
【0021】ピロリン誘導体の具体例として、1−ベン
ジル−2−ピロリン、1−ベンジル−3−ピロリン、1
−ベンジルオキシカルボニル−2−ピロリン、1−ベン
ジルオキシカルボニル−3−ピロリン、1−メチル−3
−ピロリン、1−n−ブチル−2−ピロリン、2,5−
ジフェニル−3−ピロリン、1−ベンジル−2−メトキ
シ−2−ピロリン、1−ベンジル−2−メトキシ−3−
ピロリン、1−フェニル−2−メチル−3−ピロリン、
1−t−ブトキシカルボニル−3−フェニル−3−ピロ
リン等を挙げることができる。
【0022】また、テトラヒドロピリジン誘導体の具体
的例として、1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒ
ドロピリジン、1−ベンジルオキシカルボニル−2−メ
チル−1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、1−メ
チル−2,3−ジメトキシ−1,2,3,6−テトラヒ
ドロピリジン、1−メチル−2,3−ジメトキシ−1,
2,3,4−テトラヒドロピリジン、1−t−ブトキシ
カルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、
1−t−ブトキシカルボニル−1,2,3,6−テトラ
ヒドロピリジン等を挙げることができる。
【0023】これらの含窒素環状オレフィンを反応させ
るに際し、含窒素環状オレフィンに含まれる含窒素環状
オレフィンの脱水素化物または一般式(V)で表される
アミン化合物の総重量が反応収率に影響を及ぼす。
【0024】この原因は、含窒素環状オレフィンの脱水
素化物および一般式(V)で表されるアミン化合物の窒
素原子が、前記(1)工程において発生した反応活性種
を失活させるためと考えられる。
【0025】含窒素環状オレフィンの脱水素化物は、主
に環構成原子間の脱水素により生成し、ピロール化合
物、ジヒドロピリジン誘導体、ピリジン誘導体を挙げる
ことができる。
【0026】ピロール誘導体の具体的例として、1−ベ
ンジルピロール、1−メチルピロール、1−フェニル−
2−メチルピロール、1−ベンジルオキシカルボニル−
2−フェニルピロール、1−t−ブトキシカルボニル−
2,3−ジメチルピロール、1,2,3−トリエチルピ
ロール、1,2−ジベンジル−3−メトキシピロール等
を挙げることができる。
【0027】また、ジヒドロピリジン誘導体の具体的例
として、1−ベンジル−2,3−ジヒドロピリジン、1
−ベンジル−3,4−ジヒドロピリジン、1−フェニル
−2,3−ジヒドロピリジン、1−ベンジルオキシカル
ボニル−2,3−ジヒドロピリジン、1−t−ブトキシ
カルボニル−3,4−ジヒドロピリジンなどを挙げるこ
とができ、さらにピリジン誘導体の具体的例として、2
−メチルピリジン、3−メチルピリジン、2,3−ジメ
チルピリジン、2−フェニルピリジン、3−メトキシピ
リジン、2,3,4−トリエチルピリジン等を挙げるこ
とができる。
【0028】X−NH2 ・・・(V) (式中Xは、a)炭素数1〜10のアルキル基、b)芳
香環が、無置換、炭素数1〜10のアルキル基、あるい
は炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されたアリール
基、c)芳香環が無置換、炭素数1〜10のアルキル
基、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基で置換され
たアラルキル基、d)アルキルまたはアリールオキシカ
ルボニル基のいずれかを表す。) ここで用いる含窒素環状オレフィンは、一般式(V)で
表されるアミン化合物から合成する方法が有利であり、
その場合原料が残存することが予想される。このアミン
化合物が上記(1)および(2)工程に共存した場合、
得られる光学活性環状アルコールの収率が低下する。
【0029】含窒素環状オレフィンの脱水素化物および
前記一般式(V)で表されるアミン化合物の総重量とし
て含窒素環状オレフィンに対して5重量%以下にする方
法としては、、含窒素環状オレフィン中の該アミン不純
物は、酸性水溶液を用いて洗浄する方法が採用できる。
【0030】不純物量を求める具体的な方法としては、
光学活性環状アルコールの反応収率等を算出する場合と
同様のGCによる分析方法を採用することができる。
【0031】この際、含窒素環状オレフィンは有機溶媒
に溶解した状態で用いるのが良い。有機溶媒は水に不溶
のものを用いるのが好ましいが、酸性水溶液中に無機塩
が存在して塩析効果におり分液する場合には水溶性のも
のを用いることができる。有機溶媒の具体例として、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳
香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエ
ーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類な
どを挙げることができる。
【0032】また、酸性水溶液としては、一般には塩
酸、硫酸、リン酸などの鉱酸の水溶液を表し、濃度に特
に制限はなく、また水溶液中に含まれる塩化ナトリウム
や硫酸ナトリウムのような塩の量にも制限はなく、塩が
析出した状態で洗浄処理を実施することもできる。
【0033】こうした処理は、含窒素環状オレフィン中
の上記(V)式のアミン化合物含有量を低減させること
ができ有効な方法である。
【0034】一方、上記(V)式のアミン化合物含有量
を削減した場合においても、空気中に保管していると含
窒素環状オレフィンが酸素により脱水素化されることが
知られている。例えば、五員環状含窒素環状オレフィン
の例は、特開2001−278857号公報に詳細に記
載されている。不活性ガスは、各種のものを用いること
ができ、具体例として、窒素、アルゴン、ヘリウムなど
を挙げることができる。ここで生じた脱水素化物は、減
圧蒸留により高沸留分として除去することができる。
【0035】したがって、含窒素環状オレフィン中の上
記(V)式のアミン化合物を除去する処理を実施した後
においても、不活性ガス雰囲気下で保管することが好ま
しい。
【0036】本発明で用いる酸化剤の具体的例として、
過酸化水素、過安息香酸、過酢酸、酸素などを挙げるこ
とができ、好ましくは過酸化水素、過安息香酸、過酢酸
であり、さらに好ましくは過酸化水素である。
【0037】本発明では、前記(1)の工程において、
溶媒を用いる場合は、具体例として、テトラヒドロフラ
ン、テトラヒドロピラン、モノグライム、ジグライム、
ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタ
ン、ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、イソプロピ
ルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−tert−ブチル
エーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサンな
どの脂肪族エーテル、アニソール、エトキシベンゼン、
1,4−ジメトキシベンゼンなどの芳香族エーテル、ベ
ンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−
キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、エチルベ
ンゼン、シクロヘキサンなどの炭化水素、クロロホル
ム、ジクロロメタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化
水素などを挙げることができる。好ましくは、脂肪族エ
ーテル、芳香族エーテルであり、さらに好ましくは、脂
肪族エーテルである。
【0038】反応溶媒の使用量は、一般にはα−ピネ
ン、水素化ホウ素ナトリウムおよびハロゲン化ホウ素の
総和としての濃度が5〜80重量%の範囲となるように
するのが良い。好ましくは、10〜60重量%であり、
さらに好ましくは20〜50重量%である。この範囲で
あれば、反応液が溶液、スラリーいずれの場合も操作上
の問題が無く、工業的な生産への適用が可能である。
【0039】また、α−ピネン、水素化ホウ素ナトリウ
ムおよびハロゲン化ホウ素を混合する場合、水素化ホウ
素ナトリウムの使用量は、通常、α−ピネンに対して
0.1〜1.0モル倍であるが、好ましくは0.1〜
0.6モル倍であり、さらに好ましくは0.1〜0.5
モル倍である。一方、ハロゲン化ホウ素の使用量は、通
常、α−ピネンに対して0.1〜1.0モル倍である
が、好ましくは0.2〜0.8モル倍であり、さらに好
ましくは0.2〜0.6モル倍である。
【0040】また、該工程の反応温度は、特に制限され
るものではないが、−80〜80℃が好ましく、さらに
好ましくは−50〜50℃、特に好ましくは−25〜3
0℃である。この範囲内であれば、工業的な生産への適
用が可能である。
【0041】前記(2)の工程において、前記(1)の
工程において得られた反応液と酸化剤を反応させる工程
は、一般的に公知の方法(ジャーナル・オブ・オルガニ
ック・ケミストリー.,47,5074(1982))
に従って実施することができる。つまり、水酸化ナトリ
ウム水溶液などのアルカリ性溶液により反応液をアルカ
リ性にした後、過酸化水素水などの酸化剤を添加する方
法である。ここで用いる酸化剤は過酸化水素水の他にも
過安息香酸、過酢酸、酸素などを用いることができる。
【0042】酸化剤を反応させる工程では、含窒素環状
オレフィンを添加して得られた反応液をアルカリ性にし
た後、酸化剤を添加するのが好ましく、具体的には、p
H値が7より大きく、さらに好ましくは8以上である。
【0043】さらに、酸化剤を反応させる工程で使用す
る酸化剤の使用量は、水素化ホウ素ナトリウムに対して
1〜10モル倍の範囲が良く、好ましくは2〜7モル倍
の範囲であり、さらに好ましくは3〜5モル倍の範囲で
ある。この範囲であれば、経済的に、効率よく光学活性
アルコールを得ることができる。
【0044】酸化剤を反応させる工程の反応温度に特に
制限はなく、一般には、−25〜80℃の範囲で実施す
るのがよい。
【0045】また、反応系は、空気中、窒素、ヘリウム
あるいはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気で行うことが
できるが、好ましくは不活性雰囲気である。
【0046】α−ピネン、水素化ホウ素ナトリウム及び
活性化剤の混合液に含窒素環状オレフィンを添加する工
程において、含窒素環状オレフィン中の特定の不純物含
有量を規定することにより、安価な原料を用いて、安
全、簡便、且つ高収率で光学活性ピロリジノールまたは
光学活性ピペリジノールの製造できる。
【0047】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ただし、下記に例示した反応は全て、窒素雰囲気下で実
施した。
【0048】なお、生成した光学活性環状アルコールの
反応収率は、以下に記載した分析条件によるガスクロマ
トグラフィーを用いて算出した。
【0049】 機種 島津GC−14B カラム Unisole 10T+KOH(10+3)%/Uniport HP 3.2mm×1.0m キャリアー ヘリウム 注入圧 70kPa/cm2 カラム温度 50℃(2分)−(20℃/分昇温)−140℃(2分)−(2 0℃/分)−220℃(2.5分) インジェクション温度 230℃ 検出器温度 230℃ 検出方法 FID サンプル調製方法 酸化前の反応液は、酸化処理を実施
してから分析に使用。
【0050】また、得られた光学活性環状アルコールの
光学純度の測定は、液体クロマトグラフィーにより行
い、R−体ピークとS−体ピークの面積比から算出し
た。R体が選択的に生成する場合は、次式にしたがって
算出される。
【0051】光学純度(%ee.)=(R体ピークの面
積値−S体ピークの面積値)/(R体ピークの面積値+
S体ピークの面積値)×100 分析条件は以下の通りである。
【0052】 機種 島津LC−10Vp カラム CAPCELLPAK C18 ,4.6mm×25cm (資生堂) 移動相 0.03%アンモニア水(酢酸でpH4.5に調製)/アセトニト リル=48/52(v/v) 流量 1.0ml/min 温度 40℃ 検出器 UV(243nm) サンプル調製 光学活性アルコールをジ−o−トルオイ
ル−D−酒石酸無水物によりジアステレオマーに誘導化
した後、分析に使用する。
【0053】実施例1 予め真空脱気後、窒素置換した、滴下ロート、コンデン
サー、攪拌機の付いた、1L丸底フラスコに未乾燥のテ
トラヒドロフラン72g、α−ピネン(光学純度84%
ee.)28.0g(=0.206mol)を入れ混合
した。この中に水素化ホウ素ナトリウム2.85g(=
0.0753mol)を加え、0℃に冷却した。そのス
ラリーに、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体1
4.3g(=0.101mol)を0.5時間かけて添
加した後、0〜17℃の温度で12時間熟成した。次
に、この反応液にN−ベンジル−3−ピロリン8.15
g(不純物として、ベンジルアミン=1.0重量%,ベ
ンジルピロール=2.1重量%を含む)(=0.049
3mol)を、反応液の温度が0〜5℃になるように調
整しながら滴下し、7時間反応させた。
【0054】その反応液を分析した結果、N−ベンジル
−3−ピロリジノール収率は93%(対N−ベンジルピ
ロリン)で、光学純度は83%ee.であった。
【0055】比較例1 実施例1において、N−ベンジル−3−ピロリン(不純
物として、ベンジルアミン=1.0重量%,ベンジルピ
ロール=2.1重量%を含む)をN−ベンジル−3−ピ
ロリン(不純物として、ベンジルアミン=6.3重量
%,ベンジルピロール=1.9重量%を含む)に変える
以外は実施例1と同様に実験を行った。
【0056】その反応液を分析した結果、N−ベンジル
−3−ピロリジノール収率は86%(対N−ベンジルピ
ロリン)で、光学純度は83%ee.であった。
【0057】比較例2 実施例1において、N−ベンジル−3−ピロリン(不純
物として、ベンジルアミン=1.0重量%,ベンジルピ
ロール=2.1重量%を含む)をN−ベンジル−3−ピ
ロリン(不純物として、ベンジルアミン=1.1重量
%,ベンジルピロール=5.7重量%を含む)に変える
以外は実施例1と同様に実験を行った。
【0058】その反応液を分析した結果、N−ベンジル
−3−ピロリジノール収率は87%(対N−ベンジルピ
ロリン)であった。
【0059】実施例2 比較例1において使用したものと同等のN−ベンジル−
3−ピロリン(不純物として、ベンジルアミン=6.3
重量%,ベンジルピロール=1.9重量%を含む)10
gをトルエン20gと水10mlに溶解し、1N塩酸水
4ml(=4.00mmol,1eq./対ベンジルア
ミン)を加えて室温で攪拌した。トルエン層を濃縮後、
5段の精留塔を装着した装置を用いた減圧蒸留(0.7
kPa、120℃)によりN−ベンジルピロリンを単離
した。GC分析の結果、アミン不純物含有量は、ベンジ
ルアミン=0.9重量%、ベンジルピロール=1.6重
量%であった。
【0060】こうして得たN−ベンジル−3−ピロリン
を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。そ
の反応液を分析した結果、N−ベンジル−3−ピロリジ
ノール収率は94%(対N−ベンジルピロリン)で、光
学純度は83%ee.であった。
【0061】実施例3 比較例2において使用したものと同等のN−ベンジル−
3−ピロリン(不純物として、ベンジルアミン=1.1
重量%,ベンジルピロール=5.7重量%を含む)15
gを減圧下、蒸留により精製し、115℃/1.3kP
a〜120℃/0.7kPaの留分を取得した。
【0062】GC分析の結果、アミン不純物含有量は、
ベンジルアミン=0.6重量%、ベンジルピロール=
2.3重量%であった。
【0063】こうして得たN−ベンジル−3−ピロリン
を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。そ
の反応液を分析した結果、N−ベンジル−3−ピロリジ
ノール収率は93%(対N−ベンジルピロリン)で、光
学純度は83%ee.であった。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、α−ピネン、水素化ホ
ウ素ナトリウム及び活性化剤の混合液に含窒素環状オレ
フィンを添加する工程において、含窒素環状オレフィン
中の特定の不純物含有量を規定することにより、安価な
原料を用いて、安全、簡便、且つ高収率で光学活性ピロ
リジノールまたは光学活性ピペリジノールを製造でき
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)α−ピネン、水素化ホウ素ナトリウ
    ム及び活性化剤の混合液と、一般式(I)〜(IV) 【化1】 のいずれかで表される含窒素環状オレフィンを反応させ
    る工程、(2)前記(1)の工程で得られた反応液を酸
    化剤と反応させる工程からなる光学活性ピロリジノー
    ル、または光学活性ピペリジノールの製造方法におい
    て、含窒素環状オレフィンに含まれる、含窒素環状オレ
    フィンの脱水素化物および一般式(V) X−NH2 ・・・(V) (式中Xは、a)炭素数1〜10のアルキル基、b)芳
    香環が、無置換、炭素数1〜10のアルキル基、あるい
    は炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されたアリール
    基、c)芳香環が無置換、炭素数1〜10のアルキル
    基、あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基で置換され
    たアラルキル基、d)アルキルまたはアリールオキシカ
    ルボニル基のいずれかを表す。)で表されるアミン化合
    物の総重量が含窒素環状オレフィンに対して5重量%以
    下であることを特徴とする光学活性環状アルコールの製
    造方法。
  2. 【請求項2】含窒素環状オレフィンの脱水素化物がピロ
    ール誘導体またはピリジン誘導体であることを特徴とす
    る請求項1記載の光学活性環状アルコールの製造方法。
  3. 【請求項3】活性化剤が、ハロゲン化ホウ素または鉱酸
    であることを特徴とする請求項1または2記載の光学活
    性環状アルコールの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008037810A (ja) * 2006-08-08 2008-02-21 Toray Fine Chemicals Co Ltd 光学活性環状アミノアルコールの製造法

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