JP2003286251A - アスタキサンチン遊離体の精製方法 - Google Patents

アスタキサンチン遊離体の精製方法

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弘康 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アスタキサンチンのエステル体を用いて、食品
に利用可能な形態のアスタキサンチン遊離体を高収率で
得られる精製方法を提供する。 【解決手段】アスタキサンチン類を含む飼料をニワトリ
に与える。ニワトリ体内の代謝作用を経ることにより該
アスタキサンチン類から生成されたアスタキサンチン遊
離体を鶏卵の卵黄に集積させる。該卵黄からアスタキサ
ンチン遊離体を抽出して精製する。前記アスタキサンチ
ン類は、アスタキサンチンのエステル体または化学的に
合成されたアスタキサンチン遊離体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アスタキサンチン
遊離体の精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】天然カロテノイドは、黄色または赤色の
色素として動植物界に広く分布している。前記天然カロ
テノイドはカロテン類とキサントフィル類とに大別され
るが、前記キサントフィル類の1種として、アスタキサ
ンチンがある。
【0003】従来、前記アスタキサンチンは人体内で抗
酸化作用を示すことが知られており、抗酸化剤、抗ガン
剤としての用途が検討されている。
【0004】アスタキサンチンは、次式(1)で示され
る構造を備えており、RもしくはR’が脂肪酸残基であ
るモノエステル体、またはRとR’との両方が脂肪酸残
基であるジエステル体と、RとR’との両方が水素
(H)である遊離体とがある。
【0005】
【化1】
【0006】前記アスタキサンチンの抗酸化作用は、前
記モノエステル体またはジエステル体よりも遊離体の方
が優れている。
【0007】しかしながら、前記アスタキサンチンの遊
離体は、天然にはヒトデの体壁、エビ、ホヤの殻等に微
量含まれているに過ぎず、抽出して回収することが難し
い。また、前記アスタキサンチンの遊離体は、化学的に
合成することができるが、合成されたアスタキサンチン
遊離体は、食品添加物として認可されていないため、食
品に用いることができない。
【0008】一方、前記アスタキサンチンのエステル体
は、天然に比較的多く分布しており、例えば、緑藻類ヘ
マトコッカス属の藻類により特異的に生合成されること
が知られている。そこで、前記アスタキサンチンのエス
テル体を利用して、前記アスタキサンチンの遊離体を得
る方法の開発が望まれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記事情に
鑑み、アスタキサンチンのエステル体を用いて、食品に
利用可能な形態のアスタキサンチン遊離体を高収率で得
ることができる精製方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明のアスタキサンチン遊離体の精製方法は、
アスタキサンチン類を含む飼料をニワトリに与え、該ニ
ワトリの鶏卵卵黄からアスタキサンチン遊離体を抽出し
て精製することを特徴とする。
【0011】本発明の精製方法では、まず、アスタキサ
ンチン類を含む飼料をニワトリに与える。すると、前記
アスタキサンチン類がニワトリ体内で代謝作用を受ける
ことにより、アスタキサンチン遊離体となり鶏卵の卵黄
に集積される。この結果、前記卵黄には、ヒトデの体
壁、エビ、ホヤの殻等よりも遙かに高い含有率でアスタ
キサンチン遊離体が含有されることになる。
【0012】そこで、前記卵黄からアスタキサンチン遊
離体を抽出して精製することにより、食品に利用可能な
形態のアスタキサンチン遊離体を高収率で得ることがで
きる。
【0013】前記飼料に含有させるアスタキサンチン類
は、アスタキサンチンのエステル体であってもよく、化
学的に合成されたアスタキサンチン遊離体であってもよ
い。前記アスタキサンチンのエステル体は、例えば、前
記ヘマトコッカス属の藻類に含有されているものを抽出
して、或いはヘマトコッカス属の藻類自体を前記飼料に
混合することにより用いることができる。
【0014】前記ヘマトコッカス属の藻類としては、例
えば、ラクストリス(lacustris)、プルビア
リス(pulvialis)等を挙げることができる。
本明細書では、前記ヘマトコッカス属の藻類をヘマトコ
ッカスと総称する。
【0015】また、化学的に合成されたアスタキサンチ
ン遊離体は、前述のようにそれ自体は食品に用いること
ができない。しかし、本発明の精製方法によれば、前記
化学的に合成されたアスタキサンチン遊離体を飼料に混
合してニワトリに与え、ニワトリの体内で代謝作用を受
けさせることにより、化学合成品ではなく、食品に利用
可能な形態のアスタキサンチン遊離体を得ることができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、添付の図面を参照しながら
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1はヘマトコッカスに含まれるカロテノイドの組成を示
す高速液体クロマトグラフィーによる分析結果を示すク
ロマトグラム、図2は基礎飼料と共にヘマトコッカスを
4週間給与した後の試験区の鶏卵卵黄のカロテノイドの
組成を示す高速液体クロマトグラフィーによる分析結果
を示すクロマトグラム、図3は基礎飼料を4週間給与し
た後の対照区の鶏卵卵黄のカロテノイドの組成を示す高
速液体クロマトグラフィーによる分析結果を示すクロマ
トグラムである。
【0017】本実施形態では、白色レグホーン雌各20
羽を採卵鶏とし、それぞれ個別にケージ飼いし、試験区
及び対照区とした。各採卵鶏には、穀類61%、植物性
油かす類18%、動物質性飼料7%、そうこう類3%、
その他11%を含む基礎飼料を、1羽当たり1日に10
0g給与した。また、試験区の各採卵鶏には、ヘマトコ
ッカスの乾燥粉末200mgを充填した日本薬局方カプ
セルを、1日に1個、定刻に投与した。
【0018】前記ヘマトコッカスに含まれるカロテノイ
ドの組成を高速液体クロマトグラフィー(日本分光株式
会社製)により分析した。移動相は、ヘキサン/アセト
ンのグラジエントであり、ヘキサン100%→ヘキサン
50%−アセトン50%(30分)→アセトン100%
(10分)→アセトン100%(10分)とした。カラ
ムは、綜研化学株式会社製カラム(商品名:SOKEN
PACKED COLUMN)を用いた。前記カラム
は、内径4.6mm、長さ250mm、内面に厚さ5μ
mのシリカゲル層を備えている。
【0019】前記カラムに試料を充填し、前記移動相の
流速1.32ml/分で測定した。測定周波範囲は20
0〜600nmとした。結果を図1に示す。
【0020】図1から、前記ヘマトコッカスは、アスタ
キサンチンのモノエステル体と、ジエステル体とを含む
ことが明らかである。
【0021】次に、前記基礎試料と共に前記ヘマトコッ
カスの乾燥粉末を充填したカプセルを4週間給与した後
の試験区の鶏卵卵黄に含まれるカロテノイドの組成を、
前記ヘマトコッカスの場合と同一にして、高速液体クロ
マトグラフィーにより分析した。結果を図2に示す。
【0022】また、前記基礎試料を4週間給与した後の
対照区の鶏卵卵黄に含まれるカロテノイドの組成を、前
記ヘマトコッカスの場合と同一にして、高速液体クロマ
トグラフィーにより分析した。結果を図3に示す。
【0023】図2から、試験区の鶏卵卵黄のカロテノイ
ドは、アスタキサンチン遊離体を高い含有率で含むが、
アスタキサンチンのエステル体はほとんど含んでいない
ことが明らかである。また、図3から、対照区の鶏卵卵
黄のカロテノイドは、遊離体、エステル体の別なく、実
質的にアスタキサンチンを含んでいないことが明らかで
ある。
【0024】従って、前記基礎飼料と共にヘマトコッカ
スを与えることにより、前記ヘマトコッカスに含まれる
エステル体のアスタキサンチンが、アスタキサンチン遊
離体となり、鶏卵卵黄に集積されることが明らかであ
る。
【0025】前記鶏卵卵黄に集積されたアスタキサンチ
ン遊離体は、常法により、抽出し、精製することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘマトコッカスに含まれるカロテノイドの組成
を示す高速液体クロマトグラフィーによる分析結果を示
すクロマトグラム。
【図2】基礎飼料と共にヘマトコッカスを4週間給与し
た後の試験区の鶏卵卵黄のカロテノイドの組成を示す高
速液体クロマトグラフィーによる分析結果を示すクロマ
トグラム。
【図3】基礎飼料を4週間給与した後の対照区の鶏卵卵
黄のカロテノイドの組成を示す高速液体クロマトグラフ
ィーによる分析結果を示すクロマトグラム。
【符号の説明】
符号なし。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 39/06 A61P 39/06 Fターム(参考) 4B018 MA01 MC01 MD07 MD72 ME06 MF01 4C206 AA02 CB25 MA01 MA04 ZB26 ZC37 4H006 AA02 AD16 UC12 UC21 UC22

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アスタキサンチン類を含む飼料をニワトリ
    に与え、該ニワトリの鶏卵卵黄からアスタキサンチン遊
    離体を抽出して精製することを特徴とするアスタキサン
    チン遊離体の精製方法。
  2. 【請求項2】前記アスタキサンチン類は、アスタキサン
    チンのエステル体または化学的に合成されたアスタキサ
    ンチン遊離体であることを特徴とする請求項1記載のア
    スタキサンチン遊離体の精製方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07143864A (ja) * 1993-11-22 1995-06-06 Nichiwa Sangyo Kk 鶏 卵
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JP2001299231A (ja) * 2000-04-28 2001-10-30 Marine Chemical Kenkyusho:Kk 卵黄の色の濃い鶏卵

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