JP2003286046A - ランプ用ガラス組成物およびランプ用ガラス部品およびランプ - Google Patents

ランプ用ガラス組成物およびランプ用ガラス部品およびランプ

Info

Publication number
JP2003286046A
JP2003286046A JP2002093017A JP2002093017A JP2003286046A JP 2003286046 A JP2003286046 A JP 2003286046A JP 2002093017 A JP2002093017 A JP 2002093017A JP 2002093017 A JP2002093017 A JP 2002093017A JP 2003286046 A JP2003286046 A JP 2003286046A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
glass
lamp
glass composition
rare earth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002093017A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanobu Ito
雅信 伊藤
Tomoko Ataka
とも子 安宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2002093017A priority Critical patent/JP2003286046A/ja
Priority to US10/388,084 priority patent/US6921730B2/en
Priority to CNB03121665XA priority patent/CN100336155C/zh
Publication of JP2003286046A publication Critical patent/JP2003286046A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ランプの発光効率を確実に高めることが出来
るランプ用ガラス組成物と、このランプ用ガラス組成物
からなるランプ用ガラス部品およびランプを提供する。 【解決手段】 ガラス管11の内面には、保護膜12が
形成され、さらにその面上に蛍光体層13が形成されて
いる。そして、蛍光体層13の内側の放電空間14に
は、アルゴンなどの希ガスと水銀が封入されている。封
入圧力は、例えば、2〜4hPa程度である。ガラス管
11は、ソーダガラスから形成されているが、発光物質
としての希土類の酸化物(Eu23)が含有されてい
る。また、ガラス管11には、ガラス組成物中における
Eu23の局在化を防止するために、Al23が1wt
%以上含有されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランプ用ガラス組
成物およびこれを用いたランプ用ガラス部品およびラン
プに関する。
【0002】
【従来の技術】ランプの中でも一般に普及している蛍光
ランプは、水銀および希ガスが封入された発光管の内面
に蛍光体が被着され、発光管の内部で放電を生じさせる
ことにより水銀の励起放射によって254nmを主とす
る紫外線を発生し、この紫外線で蛍光体を励起して可視
光を放射して発光光束を得るという発光のメカニズムを
有する。
【0003】このような蛍光ランプには、発光効率の向
上が求められている。このような要求に対して、例え
ば、特開平11−167899号公報には、従来のソー
ダガラスよりもアルカリが溶出し難いガラスを発光管に
用いて輝度低下を抑制する技術が開示されている。この
ガラスの使用により、蛍光ランプの発光管では、製造時
あるいはランプ点灯時において、ガラス中のナトリウム
(Na)が溶出するのを抑制し、もってナトリウム(N
a)と水銀(Hg)との反応による蛍光ランプの輝度低
下が抑制される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、発光管の成
分中に発光物質を含有させてランプの発光効率を向上さ
せようとする試みもなされている。机上では、例えば、
発光管中に希土類の酸化物を含有させれば、この希土類
が発光物質として機能し、ランプの発光効率が向上する
ことが考えられる。
【0005】しかしながら、実際には、ガラス中に希土
類の酸化物を含有させようとする場合、使用するガラス
成分によっては希土類が均一に分布し難く局在化してし
まうという問題が生じる。このように成分中で局在化し
てしまった希土類は、紫外線を吸収して励起状態となっ
ても、隣接する希土類と希土類とが互いにエネルギを授
受しあいながら基底状態に戻ってしまうので、発光効率
の向上に寄与するところが小さい。
【0006】本発明は、このような背景のもとでなされ
たものであって、ランプの発光効率を確実に高めること
が出来るランプ用ガラス組成物と、このランプ用ガラス
組成物からなるランプ用ガラス部品およびランプを提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のランプ用ガラス組成物は、二酸化珪素を主
成分とし、紫外線を受けて励起発光する希土類の酸化物
が0.01wt%以上30wt%以下含有されていると
ともに、酸化アルミニウムおよび三酸化二硼素の少なく
とも一方が1wt%以上含有されていることを特徴とす
る。
【0008】上記ガラス組成物は、成分中に、酸化アル
ミニウムおよび三酸化二硼素の内の少なくとも一方を1
wt%以上含有させているので、発光物質としての希土
類の酸化物が局在化することがなく、発光能が高い。こ
れは、ガラス成分中に酸化アルミニウムおよび三酸化二
硼素の内の少なくとも一方を1wt%以上含有させた場
合、酸化アルミニウムおよび三酸化二硼素がガラス組成
物中の希土類と希土類とを分散させる働きをし、含有さ
せた希土類が余すところなく発光物質として機能するた
めである。
【0009】従って、本発明のランプ用ガラス組成物
は、含有された希土類の酸化物が局在化することがな
く、入射された紫外線を高い効率で可視光あるいは近紫
外線に変換出来るので、ランプの発光効率を確実に高め
るために有効である。なお、上記でいう酸化アルミニウ
ムおよび三酸化二硼素の少なくとも一方を1wt%以上
含有させるとは、ガラス組成物中でそれぞれの酸化物を
合計1wt%以上含有させるという意味である。
【0010】また、上記において、二酸化珪素を主成分
とするとは、ガラス組成物中における二酸化珪素の含有
率(重量)が最大であるということを意味する。希土類
元素とは、一般的にスカンジウム(Sc)、イットリウ
ム(Y)と、ランタン(La)からルテチウム(Lu)
までのランタノイド(Lanthanoides)とを
併せた計17元素の総称であるが、上記励起発光物質と
して用いるのに望ましいのは、プラセオジム(Pr)、
ネオジム(Nd)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウ
ム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(D
y)などである。ガラス組成物中に含有させる希土類の
元素は、上記の元素の中から選ばれるものであれば、必
ずしも一種類である必要はなく、複数の種類を含有させ
ても良い。
【0011】上記ランプ用ガラス組成物は、高い発光効
率のランプを実現するために、具体的に、以下に示す
(1)〜(4)の4つの何れかに示す組み合わせの成分
とすることが望ましい。 (1)二酸化珪素:60wt%以上75wt%以下 酸化アルミニウム:1wt%以上5wt%以下 三酸化二硼素:0wt%以上5wt%以下 R2O:3wt%以上30wt%以下 R’O:3wt%以上20wt%以下 希土類の酸化物:0.01wt%以上30wt%以下 (2)二酸化珪素:55wt%以上85wt%以下 酸化アルミニウム:1wt%以上8wt%以下 三酸化二硼素:5wt%以上20wt%以下 R2O:0wt%以上10wt%以下 R’O:0wt%以上10wt%以下 希土類の酸化物:0.01wt%以上30wt%以下 (3)二酸化珪素:55wt%以上85wt%以下 酸化アルミニウム:0wt%以上5wt%以下 三酸化二硼素:0wt%以上5wt%以下 R2O:0wt%以上15wt%以下 R’O:0wt%以上15wt%以下 酸化鉛:1wt%以上40wt%以下 希土類の酸化物:0.01wt%以上30wt%以下 (4)二酸化珪素:75wt%以上98.7wt%以下 酸化アルミニウム:0.1wt%以上3wt%以下 三酸化二硼素:0.1wt%以上3wt%以下 R2O:0.1wt%以上3wt%以下 希土類の酸化物:0.01wt%以上30wt%以下 ただし、上記成分中におけるRは、リチウム(Li)、
ナトリウム(Na)、カリウム(K)の中から選ばれる
少なくとも一種類の元素であり、R’は、マグネシウム
(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(S
r)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)の中から選ばれ
る少なくとも一種類の元素、希土類としては、プラセオ
ジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ユウロピウム(E
u)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジ
スプロシウム(Dy)の中から選ばれる少なくとも一種
類の元素である。
【0012】また、上記(1)〜(4)のガラス組成物
では、上述のように、酸化アルミニウムおよび三酸化二
硼素の内の少なくとも一方が1wt%以上含有されてい
る。上記(1)の成分のガラス組成物では、ガラスの紫
外線吸収端(どの波長までの紫外線を遮断することが出
来るかの限界値)を長波長側へシフトさせる効果を有す
るR2OおよびR’Oが含有されているので、希土類が
有する紫外線吸収効果と相まって、紫外線がガラスを透
過するのを抑制する効果を有する。そして、上記R2
およびR’Oの含有率の範囲は、このような効果を得る
ために必要な範囲である。このガラス組成物は、発光管
における鉛ガラスとの接合部分に用いる場合に、好適で
ある。
【0013】上記(2)の成分のガラス組成物では、上
述の(1)のガラス組成物よりもR 2Oを減じ、三酸化
二硼素を多く含有させることによって、高い融点を有
し、且つ熱に対する耐腐食性を有するという優位性を持
つ。なお、上記(2)のガラス組成物において、三酸化
二硼素の含有率を5wt%以上20wt%以下としてい
るのは、5wt%以上とすることによって光束の向上が
優れ、20wt%以下とすることによってガラスが分層
するおそれも生じないためである。このガラス組成物
は、発光管として用いる場合に好適である。
【0014】上記(3)の成分のガラス組成物では、上
述の通り優れた紫外線吸収効果を有するとともに、酸化
鉛が成分中に含まれているので、高い電気絶縁性を有し
ている。この酸化鉛の含有による電気絶縁効果は、その
含有率が1wt%以上とすることにより得られるが、4
0wt%よりも多い場合には、ガラスの粘度が低下しす
ぎて加工が困難となってしまう。このガラス組成物は、
ランプの電極部分に用いる場合に好適である。
【0015】上記(4)のガラス組成物は、上述の通り
優れた紫外線吸収効果を有するとともに、二酸化珪素の
含有率が上記(1)〜(3)のものに比べて高いので、
優れた耐熱性と高い透明性を有する。このガラス組成物
の成分中における酸化アルミニウムおよび三酸化二硼素
は、上述の効果の他に、希土類がガラス組成中に存在し
やすくするという役割も果たしている。
【0016】また、成分中のR2Oは、含有率が0.1
wt%以上で、二酸化珪素の網目構造を切断し、イオン
半径の大きい希土類イオンが存在できる空間を提供する
という役割を果たす。ただし、含有率が3wt%よりも
大きい場合には、二酸化珪素の融点が下がってしまい、
ガラス組成物の高温特性を損なってしまう。このガラス
組成物は、優れた耐熱性と高い透明性が求められる高輝
度放電ランプ(HID)の発光管に用いる場合に好適で
ある。
【0017】また、(1)および(3)のランプ用ガラ
ス組成物では、熱膨張係数αが90×10-7-1以上1
00×10-7-1以下であることが望ましく、(2)の
ランプ用ガラス組成物では、熱膨張係数αが33×10
-7-1以上43×10-7-1以下であることが望まし
い。また、このようなランプ用ガラス組成物を用いてラ
ンプ用ガラス部品を作製した場合には、紫外線を可視光
あるいは近紫外線に変換することが出来るので、この部
品を備えるランプの発光性能を向上させることが出来
る。つまり、上記ランプ用ガラス部品では、ランプで発
生する波長254nmの紫外線を成分中に上記比率で含
有されている希土類の酸化物と酸化アルミニウムあるい
は三酸化二硼素との組み合わせによって、希土類の励起
発光成分として機能が最大限発揮され、可視光あるいは
近紫外線に効率よく変換されるので、ランプの発光効率
を向上させることが出来る。
【0018】従って、上記ランプ用ガラス組成物を構成
中に有するランプでは、高い発光効率を有することにな
る。
【0019】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)発明の実施の形
態1に係る蛍光管について、図1および図2を用いて説
明する。図1は、蛍光灯10の外観を示す図であり、図
2は、蛍光灯10における発光メカニズムを示す模式図
である。
【0020】図1に示すように、蛍光灯10は、円筒状
のガラス管11の両端に口金16が固着されて構成され
ている。図1の断面部分に示すように、ガラス管11の
内面には、保護膜12が形成され、さらにその面上に蛍
光体層13が形成されている。そして、蛍光体層13の
内側の放電空間14には、アルゴン(Ar)などの希ガ
スと水銀(Hg)が封入されている。封入圧力は、例え
ば、2〜4hPa程度である。
【0021】ガラス管11は、ソーダガラスから形成さ
れているが、波長254nmの紫外線により励起して、
波長の長い紫外線あるいは可視光に変換する物質(発光
物質)が含有されている。これについては、後述する。
保護膜12は、SiO2、α−Al23、γ−Al
23、TiO2、ZnO、B 23、Sc23、Y23
MgO、Cs2Oの内から選ばれる少なくとも一種を主
成分とする層である。この保護膜12の形成目的は、ガ
ラス管11から溶出するナトリウム(Na)が放電空間
14に封入されたHgと接触するのを防いで、光束の低
下を抑制するためである。
【0022】蛍光体層13は、励起発光型の蛍光体を結
着剤によって保護膜12上に固着形成された層である。
また、放電空間14の両端には、電極15が設けられて
いる。電極15は、コイル状のフィラメントにエミッタ
ー(電子放射性物質)が塗布されたものであって、図中
の右側が陰極、左側が陽極(図1では、不図示)となっ
ており、各根本部分は、電極ガラス部17で固定されて
いる。
【0023】上記ガラス管11は、以下に示すような成
分のガラス組成物から形成されている。 二酸化珪素(SiO2):68.5wt% 酸化アルミニウム(Al23):2.0wt% R2O:14.0wt% (R:リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウ
ム(K)の中から選ばれる少なくとも一種類の元素) R’O:10.0wt% (R’:マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),
ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba),亜鉛(Z
n)の中から選ばれる少なくとも一種類の元素) 酸化ユウロピウム(Eu23):5.5wt% また、電極ガラス部17は、以下に示すような成分のガ
ラス組成物から形成されている。
【0024】二酸化珪素(SiO2):62.5wt% 酸化アルミニウム(Al23):1.0wt% R2O:7.5wt% (R:リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウ
ム(K)の中から選ばれる少なくとも一種類の元素) R’O: 5.5wt% (R’:マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),
ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba),亜鉛(Z
n)の中から選ばれる少なくとも一種類の元素) 酸化鉛(PbO):18.0wt% 酸化ユウロピウム(Eu23):5.5wt% 上記ガラス管11および電極ガラス部17の成分中にお
いて、Eu23は、発光物質として含有されているもの
である。
【0025】また、ガラス組成物中には、1.0wt%
あるいは2.0wt%のAl23が含有されている。こ
のAl23は、ガラス中において、希土類の酸化物であ
るEu23が局在化するのを防ぐ役割を果たす。つま
り、上記ガラス組成物では、Al23を含有させること
によって、希土類が局在化して発光能が低くなるという
問題を回避するために含有されているものである。そし
て、その望ましい含有率が1wt%以上である。 (蛍光灯10における発光のメカニズムについて)次
に、上記構造を有する蛍光灯10の発光のメカニズムに
ついて説明する。図2に蛍光灯10の断面図を示す。
【0026】図2に示すように、放電空間14の中に設
けられた電極15(図2では、不図示)から放出された
電子は、放電空間14内を図の右から左へと移動する。
この電子は、放電空間14の内部に希ガスとともに封入
されたHg原子と衝突する。これにより、Hg原子から
は、波長254nmの紫外線U1が放射される。放射さ
れた紫外線U1が蛍光体層13に照射されると、蛍光体
層13の蛍光体粒子は、励起されて可視光V1(波長3
80nm〜780nm)を発生する。この可視光V1が
保護膜12およびガラス管11を透過して外部に放射さ
れ、蛍光灯10の主な発光光束となる。
【0027】本実施の形態では、主な発光光束である可
視光V1に加えて、以下のような2次的な発光光束(可
視光V2、V4)も生じる。水銀原子から放出された紫
外線U1は、蛍光体層13で全てが可視光V1に変換さ
れるわけではなく、一部が紫外線U2として蛍光体層1
3を透過し、ガラス管11に照射される。
【0028】ガラス管11に照射された紫外線U2は、
従来のガラス組成を有するガラス管ではそのまま外部に
透過されるか、あるいはガラス管に吸収されてしまう。
これに対して、本実施の形態に係る蛍光灯10では、ガ
ラス管11の成分中に発光物質としてのEu23が5.
5wt%含有されているために、可視光V2が照射され
る。つまり、蛍光灯10では、紫外線U2がガラス管1
1中のEu23によって可視光V2に変換される。
【0029】可視光V2は、ガラス管11から外部に放
射される。また、放射された紫外線U1の一部は、電極
ガラス部17へも照射される。上述のように電極ガラス
部17にも励起発光成分であるEu23が含有されてい
るので、照射された紫外線U1は、可視光V4に変換さ
れる。可視光V4は、蛍光灯10の外部へと放射され
る。
【0030】また、励起発光成分の発光スペクトルは、
人の目の比視感度(Sensibility ofthe human eye)が
高い波長領域(550nm付近)における発光量が比較
的多いことも、高発光効率が得られる理由として挙げら
れる。なお、上記ガラス管11中に含有させたEu23
は、可視光を吸収する作用をほとんど有さず、ガラス管
11の材料であるガラス中に均一に溶け込んでいるの
で、可視光が蛍光灯10の外部に透過するのを妨げるこ
とがない。
【0031】従って、可視光V1、V2、V4は、ほと
んど減衰することなくガラス管11を透過し、蛍光灯1
0の発光光束を形成する。なお、上記では、ガラス組成
物中に発光物質としてEu23を含有させることとした
が、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ガドリ
ニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム
(Dy)の中から選ばれる少なくとも一種類の元素の酸
化物であってもよい。例えば、ガラス組成物中に発光物
質としてGd23を含有させた場合には、蛍光体層13
で可視光に変換されなかった紫外線U2がガラス管11
中で近紫外線U3(波長が254nmよりも大きい)に
変換され、近紫外線U3の一部が蛍光体層13に照射さ
れて蛍光体粒子を励起し、可視光V3に変換されて外部
へと放射される。
【0032】また、電極ガラス部17についても、ガラ
ス管11と同様に上記のような発光物質を含有させるこ
とで同様の効果を得ることが出来る。例えば、電極ガラ
ス部17にGd23を含有させた場合には、紫外線U1
が近紫外線U4に変換され、近紫外線U4が蛍光体層1
3で可視光V5に変換されて、外部に放出される。 (ガラス組成物の成分について)上記では、ガラス組成
中にEu23を含有させることによって得られる効果に
ついて重点的に説明したが、他の含有成分の果たす役割
について説明する。
【0033】成分中のAl23は、ガラス管11で2w
t%、電極ガラス部17で1wt%含有されているが、
ガラス中における希土類を分散させる役割を果たす。つ
まり、Alは3価の正電荷を有するので、ガラス中で
は、酸素と結合して四面体構造を形成し(4価の正電荷
を有するSiと置き換わり)、全体として1価の負電荷
を有する。この1価の負電荷が希土類の周囲に配位され
て希土類が分散される。
【0034】なお、Al23以外にも、B23を1wt
%以上含有させても同様の効果を奏する。ガラス組成物
中におけるAl23およびB23の少なくとも一方の含
有率は、希土類の分散性の確保という面から1wt%以
上であることが必要となる。また、成分中のR2Oおよ
びR’Oは、ガラスの紫外線吸収端を長波長側へシフト
させる効果を有する。ここで、紫外線吸収端とは、ガラ
スに紫外線が入射した場合に、どの波長の紫外線まで遮
断することが出来るかの限界値を示すものである。
【0035】従って、R2OおよびR’Oは、ガラス中
の希土類が有する紫外線吸収効果を向上させる役割を果
たし、有害な紫外線が外部に照射されるのを抑制する。
なお、上記のようなR2OおよびR’Oの機能は、含有
量が3wt%以上のときに効果的に働く。電極ガラス部
17に含有されているPbOは、ガラスの電気絶縁性を
得るために含有されているものであって、1wt%以上
の含有で効果的に機能する。ただし、PbOは、含有率
が40wt%よりも大きい場合に加工性に影響を及ぼす
程度までガラスの粘度を低下させてしまうために、1w
t%以上40wt%以下の範囲内で含有させることが必
要である。
【0036】なお、上記ガラス管11には、発光物質と
して希土類の酸化物であるEu23を含有させたが、含
有させる希土類の酸化物は、これ以外のものであっても
よい。具体例としては、La、Ce、Pr、Nd、S
m、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu
などの希土類の酸化物が挙げられる。中でも、Pr,N
d,Eu,Gd,Tb,Dyの酸化物をガラス中に含有
させた場合には、優れた可視光変換効率を有するガラス
となる。この場合にも、ガラス中における希土類の酸化
物の含有率は、上記Eu23の場合と同様、0.01w
t%以上30wt%以下とすることが必要である。
【0037】また、上記実施の形態1では、ガラス組成
物中における希土類の酸化物の含有率を5.5wt%と
したが、0.01wt%以上30wt%以下の範囲内で
含有させれば、上述と同様の効果を得ることが出来る。 (実施の形態2)実施の形態2に係る蛍光灯20につい
て、図3を用いて説明する。
【0038】図3に示すように、蛍光灯20は、基本的
に上記蛍光灯10と同様の構造を有するが、保護膜22
の内面上に蛍光体層が形成されていない。保護膜22の
厚みは、0.01〜1μmの範囲内とすることが望まし
い。また、保護膜22には、希土類の酸化物が含有され
ている。具体的に保護膜22は、SiO2、α−Al2
3、γ−Al23、TiO2、ZnO、B23、Sc
23、Y23、MgO、Cs2Oの内から選ばれる少な
くとも一種を主成分とし、M23(M:Pr,Nd,E
u,Gd,Tb,Dyの中から選ばれる少なくとも一種
類の元素)が0.01wt%以上30wt%以下含有さ
れたものである。
【0039】なお、蛍光灯20において、上記蛍光灯1
0と同一の部分については、同一の符号を用い、その説
明を省略する。他の構成については、上記蛍光灯10と
同様である。このような保護膜22に希土類の酸化物が
含有された蛍光灯20では、保護膜22の内面上に蛍光
体層を形成しなくても、放電空間内で生じた紫外線をガ
ラス管11および保護膜22で可視光に変換し外部に照
射することが出来る。この保護膜22における発光メカ
ニズムは、上述のガラス管11における励起発光メカニ
ズムと同じである。
【0040】蛍光灯20では、蛍光体層が存在しないの
で、蛍光体と反応してHgが消費されることがなく、且
つ、製造過程において、蛍光体層のシンター工程が不要
となるので、この工程に起因する不純ガスが発光管内に
混入するのが防止される。また、この蛍光灯20は、蛍
光体層を有しないので、その形成に要する工数や材料費
が必要なく、コスト的にも優れたものである。
【0041】なお、本実施の形態2では、保護膜22の
内面上に蛍光体層を備えないことにしたが、もちろん従
来のように蛍光体層を形成しておいても良い。この場合
には、蛍光体層による254nm紫外線から可視光への
変換に加えて、ガラス管11および保護膜22で励起発
光された近紫外線の内、放電空間の方に照射されたもの
について蛍光体層で再励起されて可視光へと変換される
ので、一層ランプの発光効率を向上させることが出来
る。(その他の事項)なお、上記実施の形態1、2で
は、ガラス管11を上記ガラス組成物から形成されたも
のとしたが、用いるガラス組成物の成分は、これに限定
されるものではない。例えば、希土類の酸化物の局在化
を防止するために含有させる成分としては、上記Al2
3のほかにB23などを用いることも出来る。ただ
し、ガラス組成物は、ガラス管としての特性を保つため
に以下に示すような範囲の成分を有することが望まし
い。
【0042】SiO2:60wt%以上75wt%以下 Al23:1wt%以上5wt%以下 B23:0wt%以上5wt%以下 R2O:3wt%以上30wt%以下 (R:Li、Na、Kの中から選ばれる少なくとも一種
類の元素) R’O:3wt%以上20wt%以下 (R’:Mg,Ca,Sr,Ba,Znの中から選ばれ
る少なくとも一種類の元素) M23:0.01wt%以上30wt%以下 (M:Pr,Nd,Eu,Gd,Tb,Dyの中から選
ばれる少なくとも一種類の元素) このような範囲の成分からなるガラス組成物を用いた場
合には、上記実施の形態1、2と同様の効果を得ること
が出来る。
【0043】さらに、上記実施の形態では、蛍光灯を一
例に説明を行ったが、ガラス管内部で発生する紫外線を
可視光に変換して外部に照射するような発光メカニズム
を有するランプに上述の技術を適用することが出来る。
例えば、発光光束が高い高輝度放電ランプ(HID)な
どに適用した場合にも、上述と同様の効果が得られる。
【0044】なお、高輝度放電ランプの発光管に適用す
る場合には、以下に示すような組成のガラス組成物を用
いることが望ましい。 SiO2:75wt%以上98.7wt%以下 Al23:0.1wt%以上3wt%以下 B23:0.1wt%以上3wt%以下 R2O:0.1wt%以上3wt%以下 (R:Li、Na、Kの中から選ばれる少なくとも一種
類の元素) M23:0.01wt%以上30wt%以下 (M:Pr,Nd,Eu,Gd,Tb,Dyの中から選
ばれる少なくとも一種類 の元素) 上記成分のものが望ましい理由は、高輝度放電ランプの
ガラス管には蛍光灯のガラス管に比べて高い耐熱性と透
明性が要求されるためである。つまり、SiO 2の含有
率を上げることにより、優れた耐熱性と高い透明性が確
保される。
【0045】また、水銀灯などの高輝度放電灯の外管に
は、次のようなガラス組成物を用いることが出来る。 SiO2:55wt%以上85wt%以下 Al23:1wt%以上8wt%以下 B23:5wt%以上20wt%以下 R2O:0wt%以上10wt%以下 (R:Li、Na、Kの中から選ばれる少なくとも一種
類の元素) R’O:0wt%以上10wt%以下 (R’:Mg,Ca,Sr,Ba,Znの中から選ばれ
る少なくとも一種類の元 素) M23:0.01wt%以上30wt%以下 (M:Pr,Nd,Eu,Gd,Tb,Dyの中から選
ばれる少なくとも一種類 の元素) 上述のような効果を確認するために、以下のような実験
を行った。 (実験1)実施例1〜4および比較例1〜4の計8種類
のガラス組成物のサンプルを作製し、その特性値を測定
した。これらのガラス組成物は、発光管の鉛ガラスとの
接合部分に用いるための機能を有したものである。
【0046】また、本実験では、各々のガラス組成物か
らなるガラス管を有する20W直管蛍光灯を作製し、そ
のランプ光束を測定した。各サンプルのガラス組成およ
び測定結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1に示すように、比較例1を除く全ての
ガラス組成物には、Eu23が含有されている。また、
比較例2のサンプルには、Al23およびB23の何れ
も含有されておらず、比較例3、4のサンプルには、
0.9wt%のAl23あるいはB23が含有されてい
る。
【0049】ガラス組成物の作製方法は、全サンプル共
通であり、各成分を混合した原料を白金の坩堝に投入
し、電気炉中で加熱溶融(1500[℃]、3時間)
し、金型に流し込んで冷却するというものである。表1
において、熱膨張係数αは、JIS R 3102に基
づいて、測定温度を30〜380℃として得られた値で
ある。全てのサンプルの熱膨張係数αは、90〜100
×10-7[K-1]の範囲内にあり、ランプ用ステムに用
いる場合に要求される値を示している。上記範囲は、ラ
ンプ内部の電極への電力供給のためのジュメット線(N
i−Fe合金にCuを被覆した線)が有する熱膨張係数
と同等とする必要から規定される。
【0050】また、ガラス転移温度は、JIS R 3
102に基づき、軟化温度は、JIS R 3104に
基づき、作業温度は、粘性が103[Pa・s]となっ
たときの温度を高温粘性曲線から読み取って示したもの
である。これらの値は、ガラスの溶融加工性を示す指標
となるものであり、ガラス管の鉛ガラスとの接合部分に
用いる場合には、ガラス転移温度が450〜550
[℃]の範囲、軟化温度が600〜700[℃]の範
囲、作業温度が1100[℃]以下(例えば、950〜
1050[℃])の範囲にあることが望ましい。
【0051】表1に示すように、全てのサンプルにおい
て、上記3つ温度の測定結果は、発光管の鉛ガラスとの
接合部分に用いる場合に、溶融加工性という面から望ま
しい範囲内にある。表1のアルカリ溶出量は、JIS
R 3502に基づいて測定した結果であって、ランプ
の発光性能の低下防止という面から小さいほうが望まし
い。
【0052】表1に示すように、全てのサンプルにおけ
るアルカリ溶出量は、0.2〜0.3[mg]の範囲内
にある。これより、アルカリ溶出量に関しても、実施例
と比較例との間で差異がないことが分かる。ランプ光束
は、上記蛍光灯において、ランプの初期光束(ランプ点
灯100時間)を測定した結果である。
【0053】表1に示すように、実施例1〜4のガラス
組成物を有する蛍光灯は、そのランプ光束が1520〜
1530[lm]と高いのに対して、比較例1〜4のそ
れは、1480[lm]以下と低い値を示している。こ
れは、実施例1〜4のガラス組成物が希土類の酸化物と
ともに、Al23あるいはB23が1wt%以上含有さ
れているのに対して、比較例1では、希土類の酸化物が
含有されておらず、比較例2〜4では、希土類の酸化物
は含有されているがAl23あるいはB23が含有され
ていないか、あるいは1wt%未満しか含有されていな
いためである。このような結果は、ガラス組成物が、A
23あるいはB23が1wt%以上含有されることに
より希土類の酸化物が局在化せず、発光物質としての機
能を十分に果たしており、且つ、Al23、B23の含
有率が1wt%未満の場合には、このような機能が得ら
れないことを裏付けている。
【0054】以上のように、実施例1〜4のガラス組成
物では、希土類の酸化物を含有させるとともに、1wt
%以上のAl23あるいはB23を含有させることによ
って、可視光あるいは近紫外線への変換効率を有するも
のである。しかも、ガラスとしての物性値については、
比較例1〜4と同様に、ランプの発光管における鉛ガラ
スとの接合部分に用いる場合に要求されるレベルを満足
するものである。 (実験2)本実験に用いるガラス組成物の成分につい
て、表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】表2に示すように、実施例5〜7および比
較例5のサンプルでは、上記実験1で用いたサンプルに
比べてB23の含有率が3〜10倍高い。そして、R2
Oの含有率は、1/2〜1/7と低くなっている。実施
例5〜7のサンプルと比較例5のサンプルとの違いは、
組成中に希土類の酸化物が含有されているか否かという
点である。実施例5のサンプルには、Tb23が5.0
wt%含有されており、実施例6のサンプルには、Eu
23が4.5wt%含有されており、実施例7のサンプ
ルには、Gd23が5.0wt%含有されている。
【0057】これらのガラス組成物の作製方法は、上記
実験1と同一である。表2に示す輝度は、実施例5〜7
および比較例5のそれぞれのガラス組成物からφ2.4
Tタイプの冷陰極蛍光灯を作製し、その初期輝度(ラン
プ点灯100時間)を測定した結果である。表2に示す
ように、実施例5〜7のサンプルにおける物性値は、比
較例5のサンプルの物性値と大差なく、ランプの発光管
に用いる場合に要求される条件を満足するものである。
各サンプルの物性値は、具体的に、熱膨張係数αが33
〜43×10-7[K-1]、ガラス転移温度が500〜6
00[℃]、軟化温度が750〜850[℃]、作業温
度が1200[℃]以下(例えば、1100〜1200
[℃])の範囲内にある。
【0058】表2に示すように、これらのサンプルから
作製した冷陰極蛍光管における輝度は、実施例5〜7の
ものが比較例5のものに比べて6〜10%高い値を有し
ている。つまり、ガラス内の希土類の酸化物が発光物質
として機能していることを示すものである。従って、表
2中の実施例5〜7のガラス組成物は、発光管に用いる
場合に比較例5のガラス組成物と同等のガラス物性値を
有するとともに、比較例5よりも優れた可視光あるいは
近紫外線への変換効率を有する。 (実験3)実験3では、ランプの電極部分に用いること
を想定したガラス組成物のサンプルを作製し、物性およ
びランプでの性能について評価した。サンプルの組成と
各物性値およびランプ光束の測定結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】ガラス組成物の作製方法については、上述
の実験1、2と同じである。また、ランプ光束について
は、各ガラス組成物を用いて20W直管蛍光灯を作製
し、上記実験1と同様にランプの初期光束(ランプ点灯
100時間)を測定した。表3に示すように、実施例8
〜10と比較例6、7との組成面における相違点は、希
土類の酸化物(Eu23)が含有されているか否かとい
う点が主である。
【0061】また、実験3で作製の全てのガラス組成物
には、PbOが18.0〜25.1wt%含有されてい
る。表3に示すように、各サンプルの物性値は、熱膨張
係数αが93.5〜95.5×10-7[K-1]、ガラス
転移温度が405〜420[℃]、軟化温度が638〜
655[℃]、作業温度が953〜986[℃]、アル
カリ溶出量が0.2〜0.3[mg]であって、このガ
ラス組成物をランプの電極部分に用いる場合に要求され
る範囲内となっている。ランプの電極部分へ用いる場合
におけるガラス組成物の望ましい物性値の範囲は、熱膨
張係数αが90〜100×10-7[K -1]、ガラス転移
温度が400〜500[℃]、軟化温度が600〜70
0[℃]、作業温度が1100[℃]以下(例えば、9
50〜1050[℃])である。
【0062】また、希土類の酸化物が含有されている実
施例8〜10のサンプルにおける電気抵抗率も、8.2
〜8.7[log(Ω・cm)]の範囲内にあり、比較
例6、7のサンプルのそれと差異がないことが分かる。
一方、実施例8〜10のガラス組成物を用いて作製した
蛍光灯のランプ光束は、1520〜1530[lm]で
あり、比較例6、7のものが1460〜1480[l
m]であるのに対して、明らかに高い値をとっている。
【0063】従って、実施例8〜10のガラス組成物
は、ランプの電極部分に用いる場合に比較例6、7と同
様の物性値を有し、且つ、比較例6、7よりも優れた可
視光あるいは近紫外線への変換効率を有していることが
分かる。 (実験4)実験4では、高輝度放電ランプ(HID)の
発光管に用いることを想定したガラス組成物のサンプル
を作製し、物性およびランプでの性能について評価し
た。実験には、250Wマルチハロゲン灯を用いた。サ
ンプルの組成と各物性値およびランプ光束の測定結果を
表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】表4に示す通り、高輝度放電ランプの発光
管に用いるためのガラス組成物は、上記実験1〜3で作
製したガラス組成物に比べてSiO2の含有率が極端に
高い(93.0〜95.0wt%)。これは、高輝度放
電ランプがランプ点灯時に高い熱を発し、且つ高い可視
光取り出し能力が要求されるためである。このため、こ
のようなようとのガラス組成物では、1100〜130
0[℃]のガラス転移温度、1500〜1700[℃]
の軟化温度を有することが望ましい。
【0066】表4に示すように、実施例11〜13のサ
ンプルは、ガラス転移温度が970〜1012[℃]、
軟化温度が1439〜1476[℃]であって、比較例
8とともに、上記高輝度放電ランプの発光管に用いる場
合に求められる条件を満たしている。実施例11〜13
と比較例8との組成面における主な相違点は、希土類の
酸化物が含有されているか否かという点にある。
【0067】表4からも明らかなように、組成中に希土
類の酸化物を含有している実施例11〜13では、ラン
プ光束が16600〜17100[lm]であり、比較
例8のそれが16000[lm]であるのと比べて、高
いレベルにある。従って、実施例11〜13のガラス組
成物は、高輝度放電ランプの発光管として用いる際に要
求される物性条件を満足しながら、可視光あるいは近紫
外線への高い変換効率を有している。 (実験5)実験5では、保護膜に希土類の酸化物を含有
させることによる得られる効果について確認した。この
保護膜を備える20W直管蛍光灯におけるランプ特性に
ついて評価した。その結果を表5に示す。
【0068】
【表5】
【0069】表5に示すように、実施例14〜16の保
護膜には、励起発光成分としての希土類の酸化物が含有
されている。これに対して、比較例9の保護膜は、Si
2のみから形成されており、比較例10の保護膜は、
Al23のみから形成されている。実施例14〜16の
サンプルでは、点灯開始時の光束が1502〜1513
[lm]であり、比較例9、10のサンプルで1458
〜1462[lm]であるのと比較して、2.7〜3.
8%向上している。
【0070】また、表5に示すように、実施例14〜1
6の保護膜の光束維持率(点灯開始時のおける光束に対
する点灯2000時間経過時点における光束の割合)
は、89.9〜91.0%であり、比較例9、10に比
べてほぼ同等かあるいは若干優れていることが分かる。
従って、実施例のように希土類の酸化物が含有された保
護膜では、希土類の酸化物を含有しない保護膜に比べて
ガラス中のアルカリ金属と放電空間のHgとの反応抑制
機能を損なうことなく、ランプの発光効率を向上させる
ことが出来る。
【0071】
【発明の効果】以上説明のように、本発明のランプ用ガ
ラス組成物は、SiO2を主成分とし、紫外線を受けて
励起発光する希土類の酸化物が0.01wt%以上30
wt%以下含有されているとともに、Al23およびB
23の内の少なくとも一方が1wt%以上含有されてい
ることを特徴とする。
【0072】上記ガラス組成物は、成分中に希土類の酸
化物とともに、Al23およびB23の内の少なくとも
一方を少なくとも1wt%含有しているので、発光能が
高い。これは、ガラス成分中にAl23およびB23
内の少なくとも一方を1wt%以上含有させた場合、A
23およびB23が希土類と希土類とを分散させる働
きをするためである。具体的には、ガラス中で酸素と結
合したAlやBが1価の負電荷を有し、この負電荷が希
土類の周囲に配位することで希土類の分散を促す。
【0073】従って、本発明のランプ用ガラス組成物
は、含有された希土類の酸化物が局在化することがな
く、入射された紫外線を高い効率で可視光あるいは波長
の長い紫外線に変換出来るので、高い発光効率を有する
ランプを実現するために好適である。具体的な希土類と
しては、Pr,Nd,Eu,Gd,Tb,Dyなどが挙
げられる。これらの希土類の元素は、必ずしも一種類で
ある必要はなく、複数の種類を含有させても良い。
【0074】また、本発明のランプ用ガラス部品は、上
記ランプ用ガラス組成物から形成されることにより、優
れた可視光変換率が確保される。さらに、このランプ用
ガラス部品を有するランプでは、管内で発生した紫外線
を効率よく可視光に変換して外部に放射することが出来
るので、高い発光効率を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る蛍光灯10を示す外観図
(一部断面図)である。
【図2】図1における蛍光灯の発光原理を示す模式図で
ある。
【図3】実施の形態2に係る蛍光灯20を示す外観図
(一部断面図)である。
【符号の説明】
10、20.蛍光灯 11.ガラス管 12、22.保護膜 13.蛍光体層 14.放電空間 15.電極 17.電極ガラス部
フロントページの続き Fターム(参考) 4G062 AA03 BB01 DA06 DA07 DA08 DB02 DB03 DC01 DC02 DC03 DC04 DD01 DE01 DE02 DE03 DE04 DF01 EA01 EA02 EA03 EA04 EA10 EB01 EB02 EB03 EB04 EC01 EC02 EC03 EC04 ED01 ED02 ED03 ED04 EE01 EE02 EE03 EE04 EF01 EF02 EF03 EF04 EG01 EG02 EG03 EG04 FA01 FA10 FB01 FC01 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK02 KK03 KK04 KK05 KK06 KK07 MM02 MM24 MM25 NN01 5C043 AA02 CC09 DD03 EB15 EC10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化珪素を主成分とし、 紫外線を受けて励起発光する希土類の酸化物が0.01
    wt%以上30wt%以下含有されているとともに、 酸化アルミニウムおよび三酸化二硼素の少なくとも一方
    が1wt%以上含有されていることを特徴とするランプ
    用ガラス組成物。
  2. 【請求項2】 前記希土類は、プラセオジム、ネオジ
    ム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプ
    ロシウムの中から選ばれる少なくとも一種類の元素であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のランプ用ガラス組
    成物。
  3. 【請求項3】 60wt%以上75wt%以下の二酸化
    珪素と、 1wt%以上5wt%以下の酸化アルミニウムと、 0wt%以上5wt%以下の三酸化二硼素と、 3wt%以上30wt%以下のR2O(R:リチウム、
    ナトリウム、カリウムの中から選ばれる少なくとも一種
    類の元素)と、 3wt%以上20wt%以下のR’O(R’:マグネシ
    ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛の
    中から選ばれる少なくとも一種類の元素)とを成分中に
    含有することを特徴とする請求項2に記載のランプ用ガ
    ラス組成物。
  4. 【請求項4】 熱膨張係数が90×10-7-1以上10
    0×10-7-1以下であることを特徴とする請求項3に
    記載のランプ用ガラス組成物。
  5. 【請求項5】 55wt%以上85wt%以下の二酸化
    珪素と、 1wt%以上8wt%以下の酸化アルミニウムと、 5wt%以上20wt%以下の三酸化二硼素と、 0wt%以上10wt%以下のR2O(R:リチウム、
    ナトリウム、カリウムの中から選ばれる少なくとも一種
    類の元素)と、 0wt%以上10wt%以下のR’O(R’:マグネシ
    ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛の
    中から選ばれる少なくとも一種類の元素)とを成分中に
    含有することを特徴とする請求項2に記載のランプ用ガ
    ラス組成物。
  6. 【請求項6】 熱膨張係数が33×10-7-1以上43
    ×10-7-1以下であることを特徴とする請求項5に記
    載のランプ用ガラス組成物。
  7. 【請求項7】 55wt%以上85wt%以下の二酸化
    珪素と、 0wt%以上5wt%以下の酸化アルミニウムと、 0wt%以上5wt%以下の三酸化二硼素と、 0wt%以上15wt%以下のR2O(R:リチウム、
    ナトリウム、カリウムの中から選ばれる少なくとも一種
    類の元素)と、 0wt%以上15wt%以下のR’O(R’:マグネシ
    ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛の
    中から選ばれる少なくとも一種類の元素)と、 1wt%以上40wt%以下の酸化鉛とを成分中に含有
    することを特徴とする請求項2に記載のランプ用ガラス
    組成物。
  8. 【請求項8】 熱膨張係数が90×10-7-1以上10
    0×10-7-1以下であることを特徴とする請求項7に
    記載のランプ用ガラス組成物。
  9. 【請求項9】 75wt%以上98.7wt%以下の二
    酸化珪素と、 0.1wt%以上3wt%以下の酸化アルミニウムと、 0.1wt%以上3wt%以下の三酸化二硼素と、 0.1wt%以上3wt%以下のR2O(R:リチウ
    ム、ナトリウム、カリウムの中から選ばれる少なくとも
    一種類の元素)とを成分中に含有することを特徴とする
    請求項2に記載のランプ用ガラス組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1から9の何れかに記載のガラ
    ス組成物からなるランプ用ガラス部品。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のランプ用ガラス部
    品を有するランプ。
JP2002093017A 2002-03-14 2002-03-28 ランプ用ガラス組成物およびランプ用ガラス部品およびランプ Pending JP2003286046A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002093017A JP2003286046A (ja) 2002-03-28 2002-03-28 ランプ用ガラス組成物およびランプ用ガラス部品およびランプ
US10/388,084 US6921730B2 (en) 2002-03-14 2003-03-13 Glass composition, protective-layer composition, binder composition, and lamp
CNB03121665XA CN100336155C (zh) 2002-03-14 2003-03-14 玻璃组合物和灯具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002093017A JP2003286046A (ja) 2002-03-28 2002-03-28 ランプ用ガラス組成物およびランプ用ガラス部品およびランプ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003286046A true JP2003286046A (ja) 2003-10-07

Family

ID=29237671

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002093017A Pending JP2003286046A (ja) 2002-03-14 2002-03-28 ランプ用ガラス組成物およびランプ用ガラス部品およびランプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003286046A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005111587A1 (ja) * 2004-05-18 2005-11-24 Kabushiki Kaisya Advance 生体試料検出装置
JP2006269428A (ja) * 2005-03-19 2006-10-05 Schott Ag 外部電極を有する発光手段を具備する背面照明付きディスプレー
CN100392794C (zh) * 2005-12-08 2008-06-04 上海交通大学 节能灯管用溶胶-凝胶法γ-Al2O3保护膜涂料
JP2012527390A (ja) * 2009-05-19 2012-11-08 海洋王照明科技股▲ふん▼有限公司 希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスおよびその調製方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005111587A1 (ja) * 2004-05-18 2005-11-24 Kabushiki Kaisya Advance 生体試料検出装置
JPWO2005111587A1 (ja) * 2004-05-18 2008-03-27 株式会社アドバンス 生体試料検出装置
JP2006269428A (ja) * 2005-03-19 2006-10-05 Schott Ag 外部電極を有する発光手段を具備する背面照明付きディスプレー
CN100392794C (zh) * 2005-12-08 2008-06-04 上海交通大学 节能灯管用溶胶-凝胶法γ-Al2O3保护膜涂料
JP2012527390A (ja) * 2009-05-19 2012-11-08 海洋王照明科技股▲ふん▼有限公司 希土類イオンドープしたケイ酸塩発光ガラスおよびその調製方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6921730B2 (en) Glass composition, protective-layer composition, binder composition, and lamp
KR100248067B1 (ko) 잔광성 램프
US20050179358A1 (en) Optimized phosphor system for improved efficacy lighting sources
JP2004269845A (ja) 蛍光灯用途の青−緑蛍光体
US20070132360A1 (en) Low-pressure vapor discharge lamp with a mercury-free gas filling
US4890033A (en) Light-emitting composition and fluorescent lamp
EP1428241A1 (en) Low-pressure gas discharge lamp with a mercury-free gas filling
US6906475B2 (en) Fluorescent lamp and high intensity discharge lamp with improved luminous efficiency
JP4561194B2 (ja) 冷陰極蛍光ランプ用アルカリ土類アルミン酸塩蛍光体および冷陰極蛍光ランプ
HU187992B (en) Fluorescent lamp
JP2005529461A (ja) 蛍光灯およびその製造方法
JPH07316551A (ja) 水銀蒸気放電灯用けい光体とこのけい光体を用いた水銀蒸気放電灯およびこの放電灯を用いた照明装置
JP2003286046A (ja) ランプ用ガラス組成物およびランプ用ガラス部品およびランプ
JP2001319619A (ja) 蛍光ランプ
EP1626078B1 (en) Quantum-splitting fluoride-based phosphors, method of producing, and devices incorporating the same
JP2005267974A (ja) 冷陰極蛍光ランプ用ガラス組成物、冷陰極蛍光ランプおよびバックライトユニット
JP3678203B2 (ja) ガラス組成物、保護層組成物、結着剤組成物、蛍光ランプ用ガラス管、蛍光ランプ、高輝度放電ランプ用外管及び高輝度放電ランプ
JP2007091533A (ja) 蛍光ランプ用ガラス組成物および蛍光ランプ
JP2001335777A (ja) 真空紫外線励起蛍光体およびそれを用いた発光装置
JP5515142B2 (ja) 蛍光体および蛍光ランプ
EP0618608A1 (en) Fluorescent lamp
JP5515141B2 (ja) 蛍光体および蛍光ランプ
JP3402028B2 (ja) 冷陰極放電管およびその点灯装置
JP3768976B2 (ja) 蛍光ランプ
JP3376670B2 (ja) けい光ランプおよびこれを用いた照明装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040524

A977 Report on retrieval

Effective date: 20070201

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070417

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070615

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070911

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02