JP2003286023A - シリコン焼結体の製造方法およびシリコン焼結体 - Google Patents

シリコン焼結体の製造方法およびシリコン焼結体

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貴弘 中野
Masatada Yodogawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 緻密なシリコン焼結体を製造する。 【解決手段】 平均粒径15μm以下のシリコン粉末を
非酸化性雰囲気下で1100℃以上の温度域に所定時間
だけ保持した後に、50kgf/cm2以上の圧力を付
与しつつ焼結することにより、相対密度90%以上のシ
リコン焼結体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体デバイスに
用いられるシリコン多結晶体に関し、特にシリコンを主
体とする緻密な焼結体とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスの多くは、周知のように
シリコン単結晶が用いられている。シリコンが半導体デ
バイスに用いられる主要な材料である理由は、シリコン
が地球上に豊富に存在すること、高純度の原料が比較的
安価に入手できること、ある種の方法で作製されたシリ
コンは割合機械的強度もありかつ重金属汚染物を捕獲す
る能力があること、等種々ある。一方で、単結晶からな
るシリコンを用いるのは、多結晶体の場合には粒界にお
ける電子の挙動が異なり、半導体デバイスが設計通り機
能しないのに対して、単結晶の場合には結晶内における
電子の挙動が均一だからである。
【0003】これまで、単結晶シリコンはウェハとして
供給され、このウェハから半導体デバイスを作製するこ
とが行われていた。単結晶シリコンの製造方法は、FZ
(Floating Zone:浮遊帯)法とCZ(Czochralaski:
チョクラルスキー)法に大別される。FZ法は、まず、
アルゴンガス雰囲気中で、多結晶棒状のシリコンの周囲
から高周波コイルにより加熱して融液を形成する。この
融液に、一定の結晶軸方向に切り出した単結晶の種を接
触させ、高周波コイルを上下に移動することによって、
棒状のままで多結晶を単結晶にする。FZ法によれば、
高い抵抗率の単結晶が得られるため、高耐圧・大電力が
要求されるパワー・トランジスタや、サイリスタなどの
個別半導体に適用されている。
【0004】CZ法は、まず、塊状のシリコン多結晶を
不活性ガス下の石英坩堝で溶融する。ついで、一定の結
晶軸方向に切り出した単結晶の種棒を、シリコン融液に
接触させ、かつ石英坩堝と単結晶種棒を逆方向に回転さ
せながら徐々に引き上げて単結晶を成長させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、例えばCZ法で
は、単結晶作製時のシリコン融液中に添加物(ドーパン
ト)を溶融させておくだけでなく、さらに所望の半導体
特性を得るためのドーパントを熱拡散あるいはイオン注
入していた。ところが、この方法では、添加物の添加量
に限界があるため、十分な性能を引き出せないこともあ
った。また、ドーパントによって、結晶格子に大きな欠
陥や歪を発生させて、特性あるいは信頼性を低下させる
事例もあった。一方で、半導体デバイスの中には、ツェ
ナー・ダイオードのように、多結晶でも十分な特性を発
揮できる用途がある。したがって、この用途には、焼結
体からなるシリコン多結晶体を用いることが想定され
る。ところが、従来、シリコンの焼結体を作製する試み
はほとんどなされていなかった。例えば、不活性ガスあ
るいは中性ガス中で焼結を行う提案がなされているが、
この方法ではほとんど密度が上らなかった。
【0006】そこで本発明は、緻密なシリコン焼結体を
製造する方法の提供を課題とする。また、本発明は、半
導体デバイスに供することのできる緻密なシリコン多結
晶焼結の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはシリコンを
主体とする緻密な焼結体を得るべく検討を行った。その
結果、焼結に供するシリコンの原料粉末の粒度を所定の
値以下に制御すること、その原料粉末を加圧下で焼結す
ることにより、焼結後の相対密度が90%以上のシリコ
ンを主体とする焼結体を得るに到った。
【0008】本発明は以上の検討結果に基づいてなされ
たものであり、平均粒径15μm以下のシリコン粉末を
得る工程と、前記シリコン粉末を非酸化性雰囲気下で1
100℃以上の温度域に所定時間だけ保持する熱処理工
程と、前記熱処理が施された前記シリコン粉末に50k
gf/cm2以上の圧力を付与しつつ焼結する加圧焼結
工程と、を備えることを特徴とするシリコン焼結体の製
造方法である。本発明によれば、後述する実施例に示す
ように、相対密度が90%以上のシリコン焼結体を得る
ことができる。なお、本願でいうところの相対密度と
は、単結晶シリコンの密度に対する相対密度をいい、ア
ルキメデス法で測定された値である。
【0009】本発明のシリコン焼結体の製造方法におい
て、前記熱処理工程は、前記加圧焼結のための昇温過程
で行うことができる。例えば、加圧焼結をホット・プレ
スにて行う場合、前記シリコン粉末をホット・プレスの
ダイス内に充填した状態で1100℃以上の所定温度で
所定時間だけ保持し、その後に焼結温度までさらに昇温
して加圧焼結を行うことができる。また本発明のシリコ
ン焼結体の製造方法において、気相法により作製された
シリコン体に基づいて得ることが望ましい。ここで、シ
リコン体に基づいてとは、気相法により平均粒径が15
μm以下のシリコン粉末を直接得ることができれば、そ
の粉末をそのまま本発明の熱処理工程に供し、そうでな
い場合はそのシリコン体を平均粒径15μm以下に粉砕
して本発明の熱処理工程に供する2つの態様を含んでい
る。気相法の中で、モノシラン法は、平均粒径が15μ
m以下のシリコン粉末を直接得ることができるので、本
発明にとって望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明をより具体的に説明す
る。本発明によるシリコンを主体とする焼結体は、90
%以上の相対密度(以下、単に密度)を持つ。密度が9
0%未満では、機械的な強度が不足し、また吸湿が顕著
となるからである。機械的な強度が不足すると、半導体
デバイスを得るための機械加工時に、十分な加工精度を
確保することができなくなり、また半導体デバイス自身
としての信頼性が不足する。また、焼結体が吸湿性を備
えてしまうと、半導体デバイスとして使用している最中
にその特性を変動させる虞があり、やはり製品としての
信頼性が不足する。そこで、本発明では、多結晶体シリ
コンの密度を90%以上とする。本発明において、望ま
しい密度は93%以上、さらに望ましい密度は97%以
上である。
【0011】次に、本発明によるシリコン焼結体は、前
述したように、90%以上の高い密度を呈するととも
に、酸素含有量が低減されることが望ましい。具体的に
は、1000ppm以下、望ましくは500ppm以
下、さらに望ましくは200ppm以下とする。シリコ
ン焼結体の酸素含有量を低減するためには、焼結に供す
る粉末の酸素含有量を低減する、さらにシリコン焼結体
を製造するいずれかの工程で酸素を除去すればよい。本
発明では、後述するように、加圧焼結する以前に、シリ
コン粉末を所定雰囲気下で所定温度以上に加熱保持する
熱処理工程を採用する。また本発明によるシリコン焼結
体は、シリコンのみから構成される場合のほか、種々の
元素を添加することができる。例えば、P、As、S
b、B、Al、GaおよびIn等のドーパントを添加す
ることを許容する。本発明の場合、これら元素を焼結原
料として添加することができるので、添加量に大きな制
約がない。また、ドーパントを添加しても、加圧焼結工
程を経ることによって、結晶格子に欠陥や歪を発生させ
ることもない。
【0012】次に、本発明のシリコン焼結体の製造方法
について説明する。本発明の出発原料として、平均粒径
15μm以下のシリコン粉末を用いる。シリコン粉末の
粒径が大きいと緻密な焼結体を得ることが困難だからで
ある。望ましいシリコン粉末の平均粒径は10μm以
下、さらに望ましい平均粒径は5μm以下である。ま
た、出発原料としては、気相法により得られたシリコン
体に基づいて得られたシリコン粉末を用いることが望ま
しい。気相法としては、モノシラン法およびトリクロロ
シラン法を適用することができる。
【0013】図1はモノシラン法を適用したシリコン焼
結体の製造方法を、また図2はトリクロロシラン法を適
用したシリコン焼結体の製造方法の手順を示している。
以下、この図1および図2を適宜参照しつつ本発明のシ
リコン焼結体の製造方法を説明する。モノシラン法は、
図1に記載されているように、リン酸肥料の副産物とし
て生成されるH2SiF6を出発原料とする。H2SiF6
からH2SiF6→SiF4+2HFの反応式により、S
iF4を生成する。次に、SiF4+NaAlH4→Si
4+NaAlF4の反応式により、SiH4を生成す
る。このSiH4を流動床中で、水素還元・熱分解(S
iH4→Si+2H2)することにより、種シリコン粒子
表面にSiを析出させる。この粒子が15μm以下の平
均粒径を有していれば、そのまま本発明の製造方法に適
用することができるし、15μmを超える平均粒径を有
していれば、粉砕すればよい。
【0014】一方、トリクロロシラン法は、珪石からS
iO2+2C→Si+2COの反応式による炭素還元に
よってSiを生成する。このSiは純度が98%程度で
ある。このSiを、例えばSi+3HCl→SiHCl
3+H2の反応式により、中間物質としてのSiHCl3
生成する。この中間物質に所定の精製を施した後に、化
学的気相成長方法(反応式:SiHCl3+H2→Si+
3HCl)によりSiを析出させる。得られる多結晶体
のシリコンは棒状であり、これを15μm以下の平均粒
径まで粉砕することが必要となる。なお、得られる多結
晶体シリコンは、11Nレベルの高純度を有している。
【0015】モノシラン法およびトリクロロシラン法に
おいて、平均粒径が15μm以下の粉末を得るために粉
砕を行う場合があるが、粉砕過程で不純物が混入するこ
とが想定される。したがって、高純度のシリコン焼結体
を得るためには、製造工程が粉砕を伴わないことが望ま
しいから、モノシラン法により平均粒径15μm以下の
粉末を作製し、それを焼結の原料粉末とすることが望ま
しい。もっとも、本発明は粉砕工程を排除するものでは
ないことは言うまでもない。粉砕工程を伴う場合には、
極力不純物の混入の少ない粉砕手法を採用すべきであ
る。例えば、ボール・ミルで粉砕を行う場合には、Si
34、SiCのようにシリコンを含むメディアを用いる
ことが望ましい。ボール・ミルにより粉砕する場合に
は、粉砕前のサイズにもよるが、エタノール、トルエ
ン、アセトン等の有機溶媒を所定量混合せしめ、10〜
20時間程度粉砕することにより、15μm以下の粉末
を得ることができる。
【0016】以上のようにして得られた平均粒径が15
μmのシリコン粉末は、非酸化性雰囲気中で1100℃
以上の温度に所定時間だけ加熱保持する熱処理が施され
る。この熱処理は、図1および図2に示すように、シリ
コン粉末に含まれる酸素を除去することを目的としてい
る。前述のように、焼結体中に含まれる酸素はその電気
的特性を害するからである。加熱保持される雰囲気は、
真空または不活性ガスとすればよい。熱処理雰囲気を真
空とする場合には1Pa以下の真空度にすること、不活
性ガス雰囲気とする場合には含有される酸素の濃度を5
0ppm以下に規制することが望ましい。熱処理の温度
は、1100℃以上の温度、特に1200℃以上の温度
範囲で行う。一方、後述する実施例でも示すように、シ
リコンは、常圧においては相当高い温度に加熱保持して
も焼結が進行しないため、熱処理の融点以下のいずれか
の温度範囲、例えば1400℃以下、あるいは1380
℃以下で行うことができる。熱処理の保持時間、酸素除
去の効果を十分に得るために、最低4時間、望ましくは
8時間とするのがよい。
【0017】以上の熱処理の後に、シリコン粉末は加圧
焼結に供される。この加圧焼結を用いることにより、密
度が90%以上の緻密なシリコン焼結体を得ることがで
きる。加圧焼結としては、ホット・プレスまたは熱間静
水圧プレス(以下、HIP)を適用することができる。
図3に示すように、ホット・プレス1は、ダイス2と、
上パンチ3と油圧ポンプにより昇降自在な下パンチ4と
の間に形成されるキャビティ内に焼結の対象物である粉
末を投入し、ダイス2の外周に配置されたヒータ5によ
って所定温度まで加熱した後に、下パンチ4によってキ
ャビティ内の粉末に一軸加圧を付与する焼結方法であ
る。ホット・プレス1は、以上のようにキャビティ内に
粉末を投入した後に、加熱するものであるから、この加
熱に前述した酸素除去のための熱処理の機能を持たせる
ことができる。例えば、加圧焼結を1380℃とする
と、それまでの昇温過程である1100〜1380℃の
温度範囲を通過することによって、前述した熱処理を施
したことになる。もちろん、酸素除去のための熱処理で
あるから、この温度範囲を、上述した時間をかけて通過
するように制御する必要がある。この酸素除去のための
熱処理、あるいは後に行われる加圧焼結のとき、ホット
・プレス1内を真空ポンプにより真空とし、あるいは不
活性ガスを供給して不活性ガス雰囲気とすることができ
る。なお焼結の温度も、熱処理と同一の範囲とすること
ができる。ホット・プレス1により付与する圧力は、5
0kgf/cm2以上、望ましくは100kgf/cm2
以上、さらに望ましくは150kgf/cm2以上とす
る。この加圧焼結は、酸素除去のための熱処理が終了し
た後に開始することが必要である。パンチによるプレス
が開始された後には、酸素除去を十分に行うことができ
ないからである。なお、以上では、加圧焼結のための昇
温過程において酸素除去のための熱処理を実行すること
について説明した。しかし本発明は、酸素除去のための
熱処理と加圧焼結を別個独立に実行することを許容す
る。
【0018】加圧焼結としてHIPを適用することがで
きることは前述の通りである。HIPを本発明に適用す
る場合、熱処理されたシリコン粉末を所定の容器に投
入、密閉した後に、所定の温度下で静水圧加圧を付与す
る。または、シリコン粉末を所定の容器に投入した後
に、酸素除去のための熱処理を施した後に容器を密閉
し、所定の温度下で静水圧加圧を付与する。温度、圧力
は、ホット・プレス1の条件と同様でよい。
【0019】以上により得られるシリコンを主体とする
焼結体は、切断、機械研磨、化学研磨、熱処理および鏡
面加工等の種々の処理が施されて、ツェナー・ダイオー
ド、サイリスタ等の半導体デバイスに供される。また、
焼結前の成形体を複数または複数種積層した後に焼結す
ること、あるいは本発明により得られた焼結体を複数ま
たは複数種積層化することも可能である。
【0020】
【実施例】以下本発明を具体的な実験例に基づいて説明
する。 (実験例1)モノシラン法による平均粒径8.1μm、
最大粒径40μmの原料シリコン粉末、および試薬(粉
砕法による)として市販されている平均粒径75μmの
原料シリコン粉末を用意した。この2種類のシリコン粉
末を用いて、常圧焼結およびホット・プレスによる加圧
焼結による焼結実験を行った。モノシラン法による原料
粉末を用いた実験は、表1に示すように、モノシラン法
による原料粉末をそのまま焼結に供する実験(表1のN
o.1〜3)と、ボール・ミルを用いて平均粒径0.86
μm(最大粒径7μm)まで粉砕した後に焼結に供する
実験(表1のNo.4、5)を行った。
【0021】
【表1】
【0022】モノシラン法による原料粉末をそのまま焼
結に供する実験のうち、No.1および2は、焼結を常
圧焼結とした。表1に示すように、焼結温度は1380
℃、焼結時間は2時間であり、No1は焼結雰囲気をA
r雰囲気、No.2は焼結雰囲気を真空(真空度:1.
3×10-2Pa以下)とした。また、モノシラン法によ
る原料粉末をそのまま焼結に供する実験のうち、No.
3はホット・プレスを用いて焼結した。表1に示すよう
に、ホット・プレスによる加圧力は200kgf/cm
2、焼結温度は1380℃、焼結時間は2時間であり、
焼結雰囲気を真空(真空度:1.3×10-2Pa以下)
とした。No.1〜3の焼結後の密度を表1に示すが、
モノシラン法による原料粉末をそのまま常圧焼結に供し
た場合には、収縮率が2%近傍であり、焼結体を得るに
到っていない。これに対して、ホット・プレスを用いた
No.3は焼結後の相対密度が97.2%に達している。
以上より、加圧焼結法を用いることにより、緻密なシリ
コン焼結体を得ることができることがわかった。
【0023】次に、モノシラン法による原料粉末を粉砕
した後にホット・プレスによる焼結を行ったNo.4お
よび5は、99.5%、97.6%と高い相対密度が得ら
れている。焼結雰囲気が真空であるNo.4の方が高い
密度を示していることから、焼結は真空下で行うことが
望ましい。また、No.3とNo.4との比較から、平均
粒径の小さい粉末を用いた方が焼結密度は向上すると考
えられるが、加圧焼結を用いて適切な条件で焼結を行う
限り、平均粒径が15μm以下の範囲であれば、相対密
度が90%以上の緻密な焼結体を十分に得ることができ
る。ただし、No.6のように、平均粒径が75μmも
ある場合には、ホット・プレスによる加圧焼結を適用し
ても80%程度の焼結密度しか得ることができない。
【0024】以上より、シリコンからなる緻密な焼結体
を得るためには、焼結に供される粉末の粒径を微細に
し、かつ加圧焼結を用いることが必要であることがわか
る。なお、No.4およびNo.6による焼結体を、水中
に浸漬した後に水中から引き上げたところ、No.4に
よる焼結体に変色は観察されなかったが、No.6によ
る焼結体は内部に水が浸透したことによると思われる変
色が観察された。
【0025】(実験例2)実験例1のNo.4は、99.
5%の相対密度を有する緻密な焼結体であるが、その含
有酸素量を測定したところ、表1に示すように6890
ppmにも及んだ。モノシラン法により得られるシリコ
ン粉末は、一般的に11Nの高純度を有していることと
比較すると、この酸素量は極めて高い値である。酸素は
電気的特性に大きな影響を与えることから、その量を低
減すべきである。なお、酸素量は、試料約100mg
を、黒鉛るつぼ中で約2000℃まで加熱して昇温脱離
法により測定した。そこで、実験例2では、No.4と
同様の粉末を用い、脱酸素のための熱処理を行った後に
加圧焼結を行う工程の実験を行った。熱処理は、表2に
示すように、シリコン粉末が1200〜1380℃の温
度範囲に 8時間保持されるようにホット・プレスの
昇温速度を制御することにより行った。なお、熱処理
は、真空下(真空度:1.3×10-2Pa以下)および
Ar雰囲気の2種類とした。また、ホット・プレスによ
る加圧は、上記熱処理が完了した後に開始した。焼結後
の酸素含有量を表2に示すが、酸素除去のための熱処理
を行うことにより、酸素含有量を1000ppm以下、
あるいは100ppm以下に低減できることがわかる。
【0026】
【表2】
【0027】以上の実験の結果より、加圧焼結前に、シ
リコン粉末に熱処理を施すことは、焼結体の酸素含有量
を低減する上で極めて有効であることがわかる。なお、
以上の実験例1および2には、本発明に該当する焼結体
およびその製造方法が含まれているが、あくまで本発明
の一例を示すに過ぎない。例えば、ドーパントを添加し
たシリコン焼結体とすることもできる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
これまで得ることのできなかったシリコンを主体とし、
90%以上の相対密度を有する焼結体を得ることができ
るようになった。しかも、本発明の熱処理を施すことに
より、その酸素含有量を著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 モノシラン法を適用した本発明のシリコン焼
結体の製造方法の手順を示す図である。
【図2】 トリクロロシラン法を適用した本発明のシリ
コン焼結体の製造方法の手順を示す図である。
【図3】 ホット・プレス装置の構成概要を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…ホット・プレス、2…ダイス、3…上パンチ、4…
下パンチ、5…ヒータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径15μm以下のシリコン粉末を
    非酸化性雰囲気下で1100℃以上の温度域に所定時間
    だけ保持する熱処理工程と、 前記熱処理が施された前記シリコン粉末に50kgf/
    cm2以上の圧力を付与しつつ焼結する加圧焼結工程
    と、 を備えることを特徴とするシリコン焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱処理工程は、前記加圧焼結工程の
    昇温過程で行われることを特徴とする請求項1に記載の
    シリコン焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記シリコン粉末は、気相法により作製
    されたシリコン体に基づいて得られたことを特徴とする
    請求項1に記載のシリコン焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記シリコン体は、モノシラン法により
    得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の
    シリコン焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 シリコンを主体とし、90%以上の相対
    密度を有することを特徴とするシリコン焼結体。
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