JP2003285404A - 加飾シートと加飾成形品の製造方法 - Google Patents
加飾シートと加飾成形品の製造方法Info
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Abstract
シートとの接着力が向上した加飾シートと加飾成形品の
製造方法を提供する。 【解決手段】 3次元形状に加工可能な熱可塑性シート
上1にアクリル系、ビニル系、ウレタン系から選択され
る少なくとも1つの樹脂を含む加飾層2、アクリル系樹
脂−塩素化ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂を含むア
ンカー層3、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む接着層を
順次積層した加飾シートにおいて、アンカー層3が2層
以上の構成であり、且つ、加飾層と接する第1アンカー
層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比
%)をM1、接着層と接する第nアンカー層中における
塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をMnと
したとき、5≦M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn≦9
5(nは2以上10以下の自然数)の関係を満たす。
Description
建材、住宅設備等に用いられるポリプロピレン樹脂から
なる加飾成形品を得るための加飾シートと、それを用い
た加飾成形品の製造方法に関する。
ン樹脂を用いた成形品の表面に加飾シートを形成する製
造方法として、次のようなものがある。つまり、アクリ
ル樹脂シート上に加飾層と接着層を有する印刷層が形成
された加飾シートを、射出成形金型内に入れ、型閉めし
て溶融状態のポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂をキ
ャビティに射出し、成形樹脂を固化した成形品に加飾シ
ートの印刷層側を一体化接着させるものである。
ことができるポリプロピレン樹脂は、射出成形後の収縮
率が15/1000〜18/1000程度と大きい。こ
のため、例えば、収縮率4/1000〜6/1000程
度のアクリル樹脂シートを用いた加飾シートを成形樹脂
に一体化接着したものは、成形樹脂と加飾シートとの収
縮率の差が大きくなる。したがって、射出成形後の収縮
時に発生する応力により成形品と加飾シートとの間に接
着不良が発生する。特に成形品のコーナー部では、加飾
シートの延伸度合が大きく、加飾シートの接着層の接着
力自体が低下するため、より顕著に加飾シートと成形樹
脂との間に接着不良が発生する。この発明は、ポリプロ
ピレン樹脂からなる成形樹脂と加飾シートとの接着力が
向上した加飾シートと加飾成形品の製造方法を提供する
ことにある。
は、3次元形状に加工可能な熱可塑性シート上にアクリ
ル系、ビニル系、ウレタン系から選択される少なくとも
1つの樹脂を含む加飾層、アクリル系樹脂−塩素化ポリ
プロピレン樹脂の共重合体樹脂を含むアンカー層、塩素
化ポリプロピレン樹脂を含む接着層を順次積層した加飾
シートにおいて、アンカー層が2層以上の構成であり、
且つ、加飾層と接する第1アンカー層中における塩素化
ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をM1、接着層
と接する第nアンカー層中における塩素化ポリプロピレ
ン樹脂の割合(重合比%)をMnとしたとき、5≦M1
≦M2≦……≦Mn−1≦Mn≦95(nは2以上10
以下の自然数)の関係を満たすことを特徴とする。ま
た、この発明の加飾シートは、アンカー層の膜厚をTa
(μm)、接着層の膜厚をTb(μm)、最大延伸倍率
(面積比)をTc(%)としたとき、0.7≦Tb/T
a≦2(但し2≦Tb≦10)であり、且つ、1.3≦
(Ta+Tb)×102/Tc≦10の関係を満たすこ
とを特徴とする。上記この発明の加飾シートは、第1ア
ンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合
(重合比%)が10%であってもよい。この発明の加飾
成形品の製造方法は、上記いずれかに記載の加飾シート
を射出成形金型内に入れ、所望の3次元形状に加工した
後、射出成形金型内でポリプロピレン樹脂からなる成形
樹脂と加飾シートの接着層側とを一体化接着させること
を特徴とする。この発明の加飾成形品の製造方法は、上
記いずれかに記載の加飾シートの接着層側に、JIS−
C2318によるシートのMD方向における収縮率が4
/1000〜10/1000のプロピレン樹脂シートを
裏打ちシートとしてラミネートし、3次元形状に加工
し、不要な部分をカットした後、射出成形金型に入れ、
ポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂を射出して、ポリ
プロピレン樹脂からなる成形品と裏打ちシート側とを一
体化接着させることを特徴とする。上記この発明の加飾
成形品の製造方法は、ポリプロピレン樹脂からなる成形
樹脂の射出成形後の収縮率が4/1000〜18/10
00であってもよい。
る。この発明の加飾シートは、3次元形状に加工可能な
熱可塑性シート上にアクリル系、ビニル系、ウレタン系
から選択される少なくとも1の樹脂を含む加飾層、アク
リル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂
を含むアンカー層、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む接
着層を順次積層した加飾シートにおいて、アンカー層が
2層以上の構成であり、且つ、加飾層と接する第1アン
カー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重
合比%)をM1、接着層と接する第nアンカー層中にお
ける塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をM
nとしたとき、5≦M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn
≦95(nは2以上10以下の自然数)の関係を満たす
ことを特徴とする。
能なものである。3次元形状に加工する方法としては、
真空成形や圧空成形などがある。熱可塑性シート1とし
ては、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリカーボネート−ポリブチレンテレフ
タレート系樹脂、ポリプロピレン樹脂、A−PET(ア
モルファスポリエチレンテレフタレート)、ポリアクリ
ロニトリル系樹脂からなるものがある。熱可塑性シート
1の膜厚は50〜300μmとすることができる。50
μmより薄いと3次元形状に加工する際の延伸に追従で
きず破れや皺が発生する不具合がある。300μmより
厚いと真空成形金型や圧空成形金型の屈曲部に追従でき
なかったり、コストが上がったりするという不具合があ
る。例えば、加飾成形品を自動車内装用に使用するに
は、熱可塑性シート1としては、透明性、耐光性を兼ね
備えたアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂からな
るものが好ましい。また、加飾成形品を建材用に使用す
るには、安価で且つ透明性もあり柔軟性に優れたポリプ
ロピレン樹脂、塩化ビニル系樹脂からなるものが好まし
い。
タン系から選択される少なくとも1つの樹脂を含むもの
である。これらの樹脂を選択する理由は、アクリル系樹
脂の割合(重合比)が大きい第1アンカー層との接着力
を確保するためである。また、3次元形状に加工しやす
い樹脂であるためである。さらに、有機あるいは無機顔
料を混練した時の分散性、発色性、増粘性、塗膜となっ
た時の造膜性が優れるためである。アクリル系樹脂とし
ては、メチルメタクリレート樹脂やアクリル酸メチルが
ある。ビニル系樹脂としては、塩化ビニル樹脂や塩化ビ
ニリデン樹脂、酢酸ビニルがある。ウレタン系樹脂とし
ては、ポリウレタンがある。有機あるいは無機顔料とし
ては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、モノア
ゾイエロー、フタロシアニンがある。加飾層2の形成方
法としては、印刷法、コート法がある。印刷法として
は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、
フレキソ印刷がある。コート法としては、リバースコー
ト法、ダイレクトコート法、リップコート法、コンマコ
ート法がある。
ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂を含むものである。
アンカー層3にアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン
樹脂の共重合体樹脂を含ませる理由は、アクリル系樹脂
と塩素化ポリプロピレン樹脂とは、元来、相溶性がよく
ないので共重合体樹脂を用いることにより、加飾層2に
含まれる樹脂と接着層4に含まれる塩素化ポリプロピレ
ン樹脂との両方に接着できるようにするためである。
つ、加飾層2と接する第1アンカー層31の樹脂中にお
ける塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をM
1、接着層4と接する第nアンカー層3n中の塩素化ポ
リプロピレン樹脂の割合(重合比%)をMnとしたと
き、5≦M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn≦95(n
は2以上10以下の自然数)の関係を満たすものであ
る。nの値が2以上である理由は、nが1であると塩素
化ポリプロピレン樹脂の割合が少なすぎてアンカー層3
と接着層4との間で接着不良が起るからである。nの値
が10以下である理由は、nが11以上であるとインキ
層の絶対数が増えるため、残留溶剤が増える結果とな
り、成形樹脂を射出するときにアンカー層3や加飾層2
などの飛散が起るからである。M1、M2、……、Mn
−1、Mnの下限が「5」である理由は、塩素化ポリプ
ロピレン樹脂の割合が5より小さいと、加飾層2とアン
カー層3との接着力が強くなりすぎてアンカー層3内で
剥離が起るからである。M1、M2、……、Mn−1、
Mnの上限が「95」である理由は、塩素化ポリプロピ
レン樹脂の割合が95より多くなるとアンカー層3と接
着層4との接着力が強くなりすぎてアンカー層3内で剥
離が起るからである。
した理由は、第1アンカー層31と加飾層2との接着力
を有効に保つためには、アンカー層3中のアクリル系樹
脂の割合(重合比%)を極力大きくすることが有効であ
るからである。一方、第nアンカー層3nと接着層4と
の接着力を有効に保つためには、アンカー層3中の塩素
化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)を極力大きく
することが必要となるからである。そこで、接着層4に
近づく程、つまりnの数値が大きくなる程、アンカー層
3中の塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)が
漸次増加するようにすることによって、nの数値が小さ
いアンカー層間では、アクリル系樹脂の割合が大きいた
めアクリル系樹脂どうしの接着力が隣接するアンカー層
間の接着力に大きく寄与する反面、nの数値が大きくな
るにしたがって、塩素化ポリプロピレン樹脂の割合がお
互いに大きくなるため塩素化ポリプロピレン樹脂どうし
の接着力が隣接するアンカー層間の接着力に大きく寄与
することになるのである。このようにすることにより、
加飾層2/アンカー層3/接着層4の各層間のファンデ
ルワールス力が均等に分散される結果、各層間の接着力
が安定し加飾シート全体としての接着力が増すのであ
る。
樹脂と塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)が
10%であるのが特に好ましい。その理由は、前記値を
外れると、加飾層2と第1アンカー層31との接着力が
強くなりすぎて、第2アンカー層以降で層間剥離が起り
やすくなる場合があるからである。
含む層である。塩素化ポリプロピレン樹脂の割合が大き
くなった第nアンカー層との接着力を確保するためと、
成形樹脂として用いるポリプロピレン樹脂との一体化接
着の接着力を確保するためである。塩素化ポリプロピレ
ン樹脂は塩素化されているためポリプロピレン樹脂に比
べ、耐溶剤性が弱くて分散しやすく容易にインキ化でき
て効果的である。塩素化ポリプロピレン樹脂の形成方法
としては、印刷法、コート法がある。印刷法としては、
グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレ
キソ印刷などがある。コート法としては、リバースコー
ト法、ダイレクトコート法、リップコート法、コンマコ
ート法などがある。
膜厚をTa(μm)、接着層4の膜厚をTb(μm)、
最大延伸倍率(面積比)をTc(%)としたとき、0.
7≦Tb/Ta≦2(但し2≦Tb≦10)であり、且
つ、1.3≦(Ta+Tb)×102/Tc≦10の関
係を満たすのが好ましい。接着層4の膜厚Tbの範囲が
限定されている理由は、つぎのとおりである。膜厚が2
μmより小さいと、アンカー層3との接着力が弱くな
り、膜厚が10μmより大きいとアンカー層3や加飾層
2に層間剥離が発生するからである。最大延伸倍率(面
積比)Tcをパラメーターに採用したのは、アンカー層
3の膜厚と接着層4の膜厚とを足した数値を最大延伸倍
率で割ると、三次元形状に加工されて延伸した後の加飾
シートにおけるアンカー層3の膜厚と接着層4の膜厚と
を足した数値がわかるからである。Tb/Taが0.7
以上であるのは、0.7より小さいと、接着層4の厚み
が薄すぎて、接着層4とアンカー層3との接着力、およ
び、成形樹脂と接着層4との接着力が弱くなり、接着不
良が起るからである(表1〜3中の「接着性」の欄が△
か×のものを参照)。Tb/Taが2以下であるのは、
2より大きいと、アンカー層3の厚みが薄すぎて、アン
カー層と接着層4との接着力、あるいはアンカー層3内
の結合力が弱くなり、接着不良が起るからである(表1
〜3中の「接着性」の欄が△か×のものを参照)。(T
a+Tb)×102/Tcが1.3以上であるのは、
1.3より小さいと、アンカー層3と接着層4の合計の
厚みが薄すぎて接着層4とアンカー層3との接着力、お
よび、成形樹脂と接着層4との接着力が弱くなり、接着
不良が起るからである。(Ta+Tb)×102/Tc
が10より大きいと、残留溶剤が増える結果となり、成
形樹脂を射出するときにアンカー層3や加飾層2などの
飛散が起るからである。
を説明する。まず、加飾シート6を射出成形金型内に入
れる。枚葉の加飾シートを1枚づつ入れることもできる
し、長尺の加飾シートのまま、間欠的に連続して入れる
こともできる。長尺の加飾シートを入れる場合、位置決
め機構を有する送り装置を使用して、加飾シートの絵柄
層と射出成形金型との見当が一致するようにすることが
できる。不要な部分を切り取る方法としては、トリミン
グ装置やカッター等を用いる方法がある。
に加工する。所望の3次元形状に加工するには、真空成
形、圧空成形あるいはプレス成形により行うことができ
る。加飾シートは、射出成形金型のキャビティ形成面9
の凹部や凸部のコーナー部10に沿って部分的あるいは
全面に延伸しながら接着することにより3次元形状に加
工する。3次元形状に加工する前に、射出成形金型7の
キャビティの周囲で加飾シート6をクランプ材8により
枠状にクランプしてもよい。真空成形とは、熱成形の一
種であって、一般的には、加熱軟化させた加飾シートと
型との間の空気を真空吸引孔11から吸引して、大気圧
により加飾シートを型に密着させて3次元形状の加飾シ
ートを得る方法をいう。圧空成形とは、熱成形の一種で
あって、一般的には、圧空を送り込み、加熱軟化させた
加飾シートを型に密着させて3次元形状の加飾シートを
得る方法をいう。
樹脂からなる成形樹脂と加飾シートの接着層側とを一体
化接着させる。成形樹脂は、射出成形金型の射出口12
から注入する。加飾シートの接着層4が塩素化ポリエチ
レン樹脂からなるため、成形樹脂のポリプロピレン樹脂
との分子間力により、強固に一体化接着する。ポリプロ
ピレン樹脂からなる成形樹脂の射出成形後の収縮率は、
2/1000〜20/1000である。特に、収縮率と
して4/1000〜18/1000のものを使用するの
が好ましい。その理由は、次のとおりである。収縮率が
4/1000より低いと、多くの充填材を使用している
ため、成形時または成形後に充填材が表面に突き出てく
ることがあり、これにより接着力が低下する場合がある
という不具合がある。収縮率が18/1000を超える
と、成形時にヒケが発生したり、成形サイクルが長くな
ったりして、成形時の保圧を高圧にしたり射出速度を高
速にしなければならないなど制限項目が多くなる場合が
あるという不具合がある。
は、ポリプロピレン樹脂からなる試験片を軟化温度以上
に加熱し、固化したのち24時間以内に起る収縮の割合
であり、より詳しくはJIS規格6911に従って作成
した試験片を用いて、次式によって算出される値であ
る。収縮率=(D1−d1)/D1+(D2−d2)/
D2………+(Dn−dn)/Dn。なお、d1〜dn
は試験片の最長内径を示す。D1〜Dnはd1〜dnに
対応する射出成形金型の最長外径を示す。また、この発
明では、高収縮率のポリプロピレン樹脂からなる成形樹
脂を用いる場合に、特に効果的である。この発明におい
て高収縮率とは、ポリプロピレン樹脂にガラス繊維やタ
ルク(滑石)などの充填剤を全く混入しないか、あるい
は、混入しても5〜10重量%程度のごく少量であるポ
リプロピレン樹脂を指す。数値的には10/1000〜
18/1000の成形樹脂が高収縮率の成形樹脂であ
る。
トを3次元形状に加工して、成形樹脂を一体化接着する
製造方法であるが、加飾シートの接着層4側に、JIS
−C2318によるシートのMD方向の収縮率が4/1
000〜10/1000のポリプロピレン樹脂シートを
裏打ちシートとしてラミネートしたものを使用する場合
は、予め、3次元形状に加工して不要な部分をカットし
た後に、射出成形金型に入れ、ポリプロピレン樹脂から
なる成形樹脂と裏打ちシート側とを一体化接着させるこ
とができる。なお、MD方向とは、ロール状に巻取った
加飾シートを巻き出す方向を意味する。裏打ちシートの
材質としてポリプロピレン樹脂を用いる理由は成形樹脂
として用いられるポリプロピレン樹脂との相溶性を向上
させるためである。つまり、プロピレン樹脂シートのM
D方向の収縮率が4/1000〜10/1000である
ものを用いる。その理由は、裏打ちシートとしてのプロ
ピレン樹脂シートの収縮率は、3次元形状に加工した後
の形状保持のために低めに設定したほうがよいからであ
る。つまり、4/1000〜10/1000の収縮率の
範囲内に設定すると、予め3次元形状に加工した加飾シ
ートに反りが発生せず、射出成形金型内に入れて成形樹
脂を注入しても、成形樹脂が加飾シートとキャビティ形
成面9との間に侵入することがなく、射出成形金型内に
入れる際にズレ落ちることもないからである。プロピレ
ン樹脂シートの膜厚は100〜700μmが好ましい。
ポリプロピレン樹脂シートの膜厚が100μmより薄い
と、成膜時に膜厚が均一にならなかったりシートが破れ
たりする不具合がある。ポリプロピレン樹脂シートの膜
厚が700μmより厚いと折れ曲がっている部分や曲率
半径の小さなコーナー部に沿わなかったり加熱時間が長
くなったりするので、成形サイクルが長くなったりコス
トが高くなったりする不具合がある。プロピレン樹脂シ
ートの製造方法としては、Tダイ、カレンダー、注型法
がある。ラミネート法としては、熱ラミネート法、ドラ
イラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラ
ミネート法などを用いることができる。
呈する自動車内装用ドアトリムを作製した。3次元形状
に加工可能な熱可塑性シートとしては、膜厚125μm
のアクリル系樹脂シート(三菱レイヨン製HBXN4
7)を用いた。膜厚5μmの図柄層を木目意匠となるよ
うにアクリル系樹脂を20〜30重量%含むインキ(顔
料としてカーボンブラック、酸化鉄 、モノアゾイエロ
ーを含む。)を用いてグラビア印刷法にて形成した。膜
厚2μmの第1アンカー層をアクリル系樹脂−塩素化ポ
リプロピレン樹脂(重合比9:1)でグラビア印刷法に
て形成した。膜厚2μmの第2アンカー層をアクリル系
樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂(重合比5:5)でグ
ラビア印刷法にて形成した。膜厚2μmの第3アンカー
層をアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂(重合
比1:9)でグラビア印刷法にて形成した。アンカー層
全体の膜厚は6μmであった。膜厚6μmの接着層を塩
素化ポリプロピレン樹脂からなるインキを用いてスクリ
ーン印刷法にて形成した。以上のように形成されたシー
トを、供給装置により射出成形金型内に送り、自動車内
装用ドアトリム形状のキャビティ形成面の周囲で加飾シ
ートをクランプし、セラミックヒーターにより加熱して
軟化させ真空吸引して、キャビティ形成面の凹部や凸部
に沿って接着させた。その後、溶融したポリプロピレン
樹脂を成形樹脂として射出成形し、加飾シートの接着層
側と成形樹脂とを一体化接着させて加飾成形品を得た。
真空吸引前の加飾シートの表面温度は150℃、成形樹
脂の樹脂温度は210℃であった。得られた加飾成形品
は、曲率半径2mmのコーナー部分でも接着不良が発生
することなく美麗な仕上がりであった。コーナー部分の
最大延伸倍率は185%であった。アンカー層の膜厚T
aは6μmであり、接着層の膜厚Tbは6μmであった
ので、Tb/Ta=1であり、0.7≦Tb/Ta≦2
(但し2≦Tb≦10)の条件を満たしていた。また、
最大延伸倍率(面積比)Tcは185%であったので、
(Ta+Tb)×102/Tc=6.4であり、1.3
≦(Ta+Tb)×102/Tc≦10を満たしてい
た。
を呈する自動車内装用センタークラスターを作製した。
3次元形状に加工可能な熱可塑性シートとしては、膜厚
125μmのアクリル系樹脂シート(三菱レイヨン製H
BXN47)を用いた。膜厚5μmの図柄層を木目意匠
となるようにアクリル系樹脂を20〜30重量%含むイ
ンキ(顔料としてカーボンブラック、酸化鉄 、酸化チ
タン、モノアゾイエローを含む。)を用いてグラビア印
刷法にて形成した。膜厚2μmの第1アンカー層をアク
リル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂(重合比9:
1)でグラビア印刷法にて形成した。膜厚2μmの第2
アンカー層をアクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹
脂(重合比7:3)でグラビア印刷法にて形成した。膜
厚2μmの第3アンカー層をアクリル系樹脂−塩素化ポ
リプロピレン樹脂(重合比3.5:6.5)でグラビア
印刷法にて形成した。アンカー層全体の膜厚は6μmで
あった。膜厚6μmの接着層を塩素化ポリプロピレン樹
脂からなるインキを用いてスクリーン印刷法にて形成し
た。以上のように形成されたシートを、供給装置により
射出成形金型内に送り、自動車内装用センタークラスタ
ー形状のキャビティ形成面の周囲で加飾シートをクラン
プし、セラミックヒーターにより加熱して軟化させ真空
吸引して、キャビティ形成面の凹部や凸部に沿って接着
させた。その後、溶融したポリプロピレン樹脂を成形樹
脂として射出成形し、加飾シートの接着層側と成形樹脂
とを一体化接着させて加飾成形品を得た。真空吸引前の
加飾シートの表面温度は150℃、成形樹脂の樹脂温度
は210℃であった。得られた加飾成形品は、曲率半径
0.5mmのコーナー部分でも接着不良が発生すること
なく美麗な仕上がりであった。コーナー部分の最大延伸
倍率は185%であった。アンカー層の膜厚Taは6μ
mであり、接着層の膜厚Tbは6μmであったので、T
b/Ta=1であり、0.7≦Tb/Ta≦2(但し2
≦Tb≦10)の条件を満たしていた。また、最大延伸
倍率(面積比)Tcは185%であったので、(Ta+
Tb)×102/Tc=6.4であり、1.3≦(Ta
+Tb)×102/Tc≦10を満たしていた。
加工可能な熱可塑性シート上にアクリル系、ビニル系、
ウレタン系から選択される少なくとも1の樹脂を含む加
飾層、アクリル系樹脂−塩素化ポリプロピレン樹脂の共
重合体樹脂を含むアンカー層、塩素化ポリプロピレン樹
脂を含む接着層を順次積層した加飾シートにおいて、ア
ンカー層が2層以上の構成であり、且つ、加飾層と接す
る第1アンカー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂
の割合(重合比%)をM1、接着層と接する第nアンカ
ー層中における塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合
比%)をMnとしたとき、5≦M1≦M2≦……≦Mn
−1≦Mn≦95(nは2以上10以下の自然数)の関
係を満たすことを特徴とする。この発明の加飾成形品の
製造方法は、加飾シートを射出成形金型内に入れ、所望
の3次元形状に加工した後、射出成形金型内でポリプロ
ピレン樹脂からなる成形樹脂と加飾シートの接着層側と
を一体化接着させることを特徴とする。したがって、成
形樹脂として用いるポリプロピレン樹脂と収縮率の差が
大きいアクリルシートを加飾シートとして用いた場合で
も、樹脂の収縮時に発生する応力は、多層のアンカー層
の各層により吸収・分散されるので、加飾シートと成形
樹脂との間に接着不良が発生しない。また、加飾シート
の延伸度合が他の平面部に比して大きいコーナー部にお
いては、接着層の膜厚が小さくなったとしても、この発
明の加飾シートのアンカー層には、その成分自体に接着
層の成分が配合されているため、特定の箇所において加
飾シートと成形樹脂との間に接着不良が発生することは
なく、各アンカー層間の接着力も確保できる。
着した状態を示す一部断面図である。
示す断面図である。
Claims (6)
- 【請求項1】3次元形状に加工可能な熱可塑性シート上
にアクリル系、ビニル系、ウレタン系から選択される少
なくとも1つの樹脂を含む加飾層、アクリル系樹脂−塩
素化ポリプロピレン樹脂の共重合体樹脂を含むアンカー
層、塩素化ポリプロピレン樹脂を含む接着層を順次積層
した加飾シートにおいて、アンカー層が2層以上の構成
であり、且つ、加飾層と接する第1アンカー層中におけ
る塩素化ポリプロピレン樹脂の割合(重合比%)をM
1、接着層と接する第nアンカー層中における塩素化ポ
リプロピレン樹脂の割合(重合比%)をMnとしたと
き、5≦M1≦M2≦……≦Mn−1≦Mn≦95(n
は2以上10以下の自然数)の関係を満たすことを特徴
とする加飾シート。 - 【請求項2】アンカー層の膜厚をTa(μm)、接着層
の膜厚をTb(μm)、最大延伸倍率(面積比)をTc
(%)としたとき、0.7≦Tb/Ta≦2(但し2≦
Tb≦10)であり、且つ、1.3≦(Ta+Tb)×
102/Tc≦10の関係を満たすことを特徴とする加
飾シート。 - 【請求項3】第1アンカー層中における塩素化ポリプロ
ピレン樹脂の割合(重合比%)が10%である請求項1
または2に記載の加飾シート。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シー
トを射出成形金型内に入れ、所望の3次元形状に加工し
た後、射出成形金型内でポリプロピレン樹脂からなる成
形樹脂と加飾シートの接着層側とを一体化接着させるこ
とを特徴とする加飾成形品の製造方法。 - 【請求項5】請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シー
トの接着層側に、JIS−C2318によるシートのM
D方向における収縮率が4/1000〜10/1000
のプロピレン樹脂シートを裏打ちシートとしてラミネー
トし、3次元形状に加工し、不要な部分をカットした
後、射出成形金型に入れ、ポリプロピレン樹脂からなる
成形樹脂を射出して、ポリプロピレン樹脂からなる成形
品と裏打ちシート側とを一体化接着させることを特徴と
する加飾成形品の製造方法。 - 【請求項6】ポリプロピレン樹脂からなる成形樹脂の射
出成形後の収縮率が4/1000〜18/1000であ
る請求項4また5に記載の加飾成形品の製造方法。
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JP2014142496A (ja) * | 2013-01-24 | 2014-08-07 | Dainippon Printing Co Ltd | 前面側基板および前面側基板の製造方法 |
JP2018024247A (ja) * | 2016-08-09 | 2018-02-15 | 日本ポリプロ株式会社 | 加飾フィルムおよびそれを用いた加飾成形体の製造方法 |
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