JP2003281994A - プラズマディスプレイパネル用基板構体の製造方法および製造装置 - Google Patents
プラズマディスプレイパネル用基板構体の製造方法および製造装置Info
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Abstract
工程において、基板上の電極を覆う誘電体層形成用グリ
ンシートの焼成時に発生するハイドロカーボンが残留す
ることによる蛍光体等の特性劣化を防ぐ。 【解決手段】誘電体層用のグリンシートを貼り付けた基
板を焼成する際に、少なくとも基板の加熱工程の一部ま
たは全部において、焼成炉内に水蒸気を含む雰囲気を導
入することにより、当該グリンシートに含まれるバイン
ダ樹脂の燃焼時に発生するハイドロカーボンの影響によ
る、誘電体層の不良や蛍光体特性の経時的な劣化を防止
する。
Description
イパネル(PDP)の製造に関し、特に、電極を被覆す
る誘電体層用低融点ガラス材料の焼成方法および装置に
関する。
う平面型表示装置で、比較的簡単な構造で大画面のカラ
ー表示が可能であることから、業務用/家庭用の大画面
テレビやモニタとして普及しつつある。
電極型面放電カラーPDPの斜視概略断面図を示す。図
において、1は背面側のガラス基板、2はアドレス電
極、3はアドレス電極を被覆する低融点ガラスからなる
誘電体層、4は表示セルに対応した放電領域を区画する
低融点ガラスからなる隔壁、5R、5G、5Bは放電に
より発生した紫外線をそれぞれR、G、Bの可視光に変
換する蛍光体である。また、6は前面側のガラス基板、
7、8は対になった維持電極、9は維持電極を被覆する
低融点ガラスからなる誘電体層、10は酸化マグネシウ
ム等からなる保護層である。以上のようなアドレス電極
等を有してなる背面基板構体1と維持電極等を有してな
る前面基板構体6とは各電極が交差するように対向配置
され、かつ、基板間に挟まれた空間に図示しない放電性
の気体が充填され、さらに、図示しない基板の周辺部に
おいて、背面基板1と前面基板6とは低融点ガラスから
なるシール材により封止される。
を示す。駆動はアドレスを行う前にパネル内の壁電荷量
を均一にするために、パネル全面に放電を発生させるリ
セット期間、表示を行う画素にアドレス放電を発生させ
て壁電荷を形成するアドレス期間、維持放電パルスを印
加することで、選択された画素の放電を継続させて表示
を行う維持放電期間の繰り返しからなる。
5R、5G、5B、シール材の各層は、いずれも、基板
表面に各層の材料粉末とバインダ樹脂とを混合したペー
ストを塗布、印刷するか、あるいはそのペーストをシー
ト状に加工したグリンシートと呼ばれるシート材料等を
貼り付けた後、その基板を焼成して形成している。
工程の温度プロファイルの一例を図3に示す。通常、昇
温の途中に、バインダ樹脂を完全燃焼させると同時に、
バインダ燃焼時に発生するガスを、焼成炉の外部から導
入する雰囲気に置換するために、脱バインダプロセスと
呼ばれる、400℃程度の温度を一定時間保持する期間
が設けられる。
層3、9の形成については、バインダ樹脂と低融点ガラ
スを混合してシート状に加工したグリンシートを基板表
面に貼り付けた後に焼成する方法が使用される。これ
は、誘電体層の厚みが10〜30μm程度と比較的厚
く、印刷や塗布では、1回でこの厚さを確保するのが困
難で、ピンホール等の欠陥も発生しやすいと言う問題が
ある一方で、グリンシートでは、1回の工程で容易に形
成でき、ピンホール等の欠陥も生じにくいからである。
するために、ペーストに比べてバインダ量が約10倍と
多く含まれる。このため、従来の脱バインダプロセスで
はバインダ燃焼時の生成物であるハイドロカーボンが、
脱バインダプロセス後にも除去され切らず、誘電体層と
なる低融点ガラスの材料を還元して、低融点ガラスの流
動性を低下させ、誘電体層の形成を阻害したり、誘電体
層の特性劣化を引き起したりする。さらに、ガラス化し
た誘電体層にハイドロカーボンの形で残留する場合もあ
る。特に、この残留したハイドロカーボンは、パネル組
立後のPDPの放電セルを実際に放電させた際に、背面
側基板の内側表面に形成された蛍光体層5R、5G、5
B(図1)に悪影響を及ぼして、蛍光体の特性の劣化を
引き起こす事が判った。
シート焼成工程のバインダ燃焼時に発生するハイドロカ
ーボンによる還元反応や、その残留を防止する製造方法
と、製造装置を提供することを目的とする。
プレイパネルの製造方法は、基板上に複数の電極とそれ
ら電極を被覆する誘電体層を少なくとも有してなるプラ
ズマディスプレイパネル用基板構体の製造方法であっ
て、前記誘電体層が、前記電極の形成された基板上にガ
ラス材料粉末とバインダ樹脂とを含むシート状材料を貼
り付けた後、焼成することにより形成され、その焼成工
程において、前記シート状材料からバインダ樹脂を除去
する過程で、焼成炉内に水蒸気雰囲気を導入することを
特徴としている。
去過程において、炉内温度が200℃以下で水蒸気雰囲
気の導入を開始し、500℃以上で前記水蒸気雰囲気の
導入を中止することを特徴とする。
工程に用いる焼成装置であって、該焼成装置は、その装
置内において、連続的に温度が変化する区間、または、
一定温度に保持される区間を含む複数のゾーンと、前記
複数のゾーンにわたって基板を連続的に移動させる基板
搬送機構とを有し、前記複数のゾーンのうちで、基板が
移動するに伴い、該基板の温度が上昇するように炉内温
度を設定されたゾーンにおいては、前記炉内温度が20
0℃から500℃まで変化する区間内にわたって水蒸気
雰囲気が導入されるようにしたことを特徴とする。
記水蒸気雰囲気導入区間において、水蒸気雰囲気は炉内
温度の高温側から炉内温度の低温側へ流れるように導入
するようにしたことを特徴とする。
成時におけるハイドロカーボンの影響を抑制するために
検討を行った結果、以下のa)〜d)の事を明らかにし
た。
樹脂を十分に燃焼させ、かつ、その際に発生するハイド
ロカーボンによる金属酸化物成分の還元を抑制するため
には、脱バインダプロセスにおける少なくとも300℃
〜450℃の温度期間の間は、水蒸気雰囲気とする必要
がある。
に行われ、温度が450℃〜600℃の区間に基板が移
動した時には、基板表面には主に無機物と金属酸化物と
からなる低融点ガラス材料のみが残っており、この領域
で前記低融点ガラス材料は溶融し、ガラス化する。その
際には、雰囲気中にハイドロカーボンが含まれている
と、ガラス化が阻害されたり、ガラス中にハイドロカー
ボンが取り込まれたりするため、問題となる。また、水
蒸気の反応性は、温度が高くなるにつれて活発になるた
め、この領域においては、水蒸気量はできるだけ少なく
する必要がある。
いては、バインダ樹脂燃焼に伴い、大量のハイドロカー
ボンや一酸化炭素や二酸化炭素がガスとなって発生して
おり、圧力は、炉内の他の領域よりも高くなっている。
そのため、炉内に気流が無い状態では、他の領域にハイ
ドロカーボン等の炭素系成分を含むガスが拡散する。特
に、高温側の領域にこのようなガスが拡散すると、上記
b)に述べたように、ガラス化の過程でハイドロカーボ
ンが悪影響を及ぼすため、問題となる。
発生したガスおよび、水蒸気を大量に含む雰囲気が流れ
込まないように、炉内の脱バインダが終了する温度とな
る部分から、低温側に向かって水蒸気雰囲気を流すよう
に導入口を設ければ高温領域への炭素系ガスと水蒸気の
拡散は抑制できる。この際、脱バインダが完全に終了す
る温度としては、基板温度の上昇のタイムラグも考慮し
て、50℃程度のマージンを取り、500℃程度に設定
するとよい。また、脱バインダが開始する温度は、一般
に300℃付近からバインダの燃焼が開始するが、材料
等により、200℃付近から燃焼し始める場合もあるた
め、水蒸気雰囲気は、炉内温度200℃の部分をカバー
していることが望ましい。
するハイドロカーボンを水蒸気の持つ強い酸化力を利用
して除去することにより、誘電体層形成工程中の焼成時
における低融点ガラスの溶融不良や、パネル完成後の放
電セルを放電させた際の蛍光体特性の劣化を防止でき
る。
誘電体層形成方法を適用した、コンベア方式の基板焼成
装置の概略断面と炉内各部の温度プロファイルの一例を
示す。図3の従来例の温度プロファイルと比較してわか
るように、図4の本発明の実施形態の焼成装置では、基
板の昇温ゾーンにおいて、脱バインダの温度保持区間を
設けていない。その代わりに、設定温度200℃付近か
ら500℃付近に上昇する期間中、水蒸気雰囲気を導入
している。その際、炉内温度がほぼ500℃となる部分
の、炉体11の上部から、低温側に向かって気流が生じ
るように水蒸気雰囲気の導入口12を傾けて設けてい
る。ここで、水蒸気雰囲気は、清浄な空気をキャリアガ
スとして60〜80℃の温水中に潜らせる、バブリング
法を用いて生成している。
温側には、乾燥エアの導入口13〜14を設け、少なく
とも、水蒸気雰囲気が導入されている領域に向かって乾
燥エアの気流が生じるようにすることで、脱バインダ工
程により発生したガスや水蒸気雰囲気が高温側に拡散し
ないように抑制している。
ンダ工程の始まる部分との間には排気ダクト16を設け
ることにより、より効率的に脱バインダにより発生する
ガスや水蒸気雰囲気を排出することもできる。
分としている。この実施例によれば、従来、数%程度発
生していた、誘電体層の形成不良が見られなくなった。
改善が見られている。表1には、グリンシートを用いて
前面基板構体の誘電体層を形成する工程に本発明の製造
方法を適用して完成させた42型カラーPDP(実施例
1)と、グリンシートの焼成を前記従来の方法で行った
場合の同一構造を有する42型カラーPDP(比較例
1)との、エージング時間による特性変化が最も顕著な
緑色蛍光体での、特性(発光スペクトルのピーク強度
比)の変化の違いを示す。エージングは、維持電極間に
15kHz、180Vの方形波を印加している。なお、
製造直後の放電開始時には、パネルを構成する各層の状
態が安定しておらず、放電も不安定になるため、放電が
ほぼ安定する、放電開始から2時間後を「初期」とし
た。表のように、従来のものでは、40時間のエージン
グ後に初期の78%までピーク強度が低下しているが、
本発明のパネルでは初期の92%までしか低下していな
いことが判る。
工程におけるグリンシートの焼成時での、ハイドロカー
ボンの残留や、それによる還元反応を抑え、ハイドロカ
ーボンに起因する誘電体層の形成不良や、パネル組立工
程後における放電セルの放電時での蛍光体劣化等のPD
P特性の経時変化による不良の発生を防止できる。
イルの一例
Claims (4)
- 【請求項1】 基板上に複数の電極とそれら電極を被覆
する誘電体層を少なくとも有してなるプラズマディスプ
レイパネル用基板構体の製造方法であって、前記誘電体
層が、前記電極の形成された基板上にガラス材料粉末と
バインダ樹脂とを含むシート状材料を貼り付けた後、焼
成することにより形成され、その焼成工程において、前
記シート状材料からバインダ樹脂を除去する過程で、焼
成炉内に水蒸気雰囲気を導入することを特徴とするプラ
ズマディスプレイパネル用基板構体の製造方法。 - 【請求項2】 前記バインダ樹脂の除去過程において、
炉内温度が200℃以下で水蒸気雰囲気の導入を開始
し、500℃以上で前記水蒸気雰囲気の導入を中止する
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ
パネル用基板構体の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1の焼成工程に用いる焼成装置で
あって、該焼成装置は、その装置内において、連続的に
温度が変化する区間、または、一定温度に保持される区
間を含む複数のゾーンと、前記複数のゾーンにわたって
基板を連続的に移動させる基板搬送機構とを有し、前記
複数のゾーンのうちで、基板が移動するに伴い、該基板
の温度が上昇するように炉内温度を設定されたゾーンに
おいては、前記炉内温度が200℃から500℃まで変
化する区間内にわたって水蒸気雰囲気が導入されるよう
にしたことを特徴とする、プラズマディスプレイパネル
用基板構体の製造装置。 - 【請求項4】 前記水蒸気雰囲気導入区間において、水
蒸気雰囲気は炉内温度の高温側の領域から炉内温度の低
温側の領域へ流れるように導入するようにしたことを特
徴とする請求項3記載のプラズマディスプレイパネル用
基板構体の製造装置。
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Cited By (4)
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-
2002
- 2002-03-22 JP JP2002080821A patent/JP3962832B2/ja not_active Expired - Fee Related
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