JP2003280174A - 位相シフトマスクブランクの製造方法、及び位相シフトマスクブランクの製造装置 - Google Patents

位相シフトマスクブランクの製造方法、及び位相シフトマスクブランクの製造装置

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JP2003280174A JP2003039010A JP2003039010A JP2003280174A JP 2003280174 A JP2003280174 A JP 2003280174A JP 2003039010 A JP2003039010 A JP 2003039010A JP 2003039010 A JP2003039010 A JP 2003039010A JP 2003280174 A JP2003280174 A JP 2003280174A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブランクス間における位相角及び透過率のば
らつきを極力低減でき、歩留まりの良い位相シフトマス
クブランクの製造方法等を提供する。 【解決手段】 透明基板上に少なくともパターンを形成
するための薄膜を有するフォトマスクブランクの製造方
法において、前記薄膜を、前記基板を回転させながら、
前記基板の中心軸からその中心軸がずれた位置に対向す
るターゲットをスパッタリングすることによって成膜す
ることを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にArFエキシマレ
ーザー及びF2エキシマレーザーに適した位相シフトマ
スクブランク製造方法及び製造装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フォトリソグラフィーに要求され
る二つの重要な特性である高解像度化と焦点深度の確保
は相反する関係にあり、露光装置のレンズの高NA化、
短波長化だけでは実用解像度を向上できないことが明ら
かにされた(月刊Semiconductor World 1990.12、応用
物理第60巻第11月号(1991)等)。
【0003】このような状況下、次世代のフォトリソグ
ラフィー技術として位相シフトリソグラフィーが注目を
集めており、一部実用化されている。位相シフトリソグ
ラフィーは、光学系には変更を加えず、マスクだけの変
更で光リソグラフィーの解像度を向上させる方法であ
り、フォトマスクを透過する露光光間に位相差を与える
ことにより透過光相互の干渉を利用して解像度を飛躍的
に向上できるようにしたものである。位相シフトマスク
は、光強度情報と位相情報とを併有するマスクであり、
レベンソン(Levenson)型、補助パターン型、自己整合
型(エッジ強調型)などの各種タイプが知られている。
これらの位相シフトマスクは、光強度情報しか有しない
従来のフォトマスクに比べ、構成が複雑で製造にも高度
の技術を要する。
【0004】この位相シフトマスクの一つとして、いわ
ゆるハーフトーン型位相シフトマスクと称される位相シ
フトマスクが近年開発されている。このハーフトーン型
の位相シフトマスクは、光半透過部が、露光光を実質的
に遮断する遮光機能と、光の位相をシフト(通常は反
転)させる位相シフト機能との二つの機能を兼ね備える
ことになるので、遮光膜パターンと位相シフト膜パター
ンを別々に形成する必要がなく、構成が単純で製造も容
易であるという特徴を有している。ハーフトーン位相シ
フトマスクにおいてはマスクパターンの加工をドライエ
ッチング工程により行っているが、遮光機能と位相シフ
ト機能を別々の層で実現する方法では、遮光機能を有す
る層と位相シフト機能を持つ層の両方について、良好な
パターン形状を得るための高度な制御が必要である。そ
れに対し、遮光機能と位相シフト機能を兼ね備えた単層
の光半透過部を構成することにより、単一のエッチング
工程を用いることができるので、マスクの製造工程を単
純化でき、容易に良好なパターン形状を得ることが可能
である。
【0005】ハーフトーン型の位相シフトマスクは、図
10に示すように、透明基板100上に形成するマスク
パターンを、実質的に露光に寄与する強度の光を透過さ
せる光透過部(透明基板露出部)200と、実質的に露
光に寄与しない強度の光を透過させる光半透過部(遮光
部兼位相シフタ部)300とで構成し(同図(a))、
かつ、この光半透過部を透過する光の位相をシフトさせ
て、光半透過部を透過した光の位相が光透過部を透過し
た光の位相に対して実質的に反転した関係になるように
することによって(同図(b))、光半透過部と光透過
部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手
の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、
境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラ
ストすなわち解像度を向上させるものである(同図
(c))。
【0006】ところで上述したハーフトーン型の位相シ
フトマスクやブランクにおける光半透過部や光半透過膜
(位相シフト層)は、光透過率及び位相シフト量の双方
について、要求される最適な値を有している必要があ
る。具体的には、(1)i線、KrFエキシマレーザ
ー、ArFエキシマレーザー等の露光波長において透過
率を3から20%の範囲で調整可能であること、(2)
前記露光波長において通常は180°近傍の値に位相角
が調整可能であること、(3)検査波長である257n
m、266nm、364nm、488nm等の波長にお
いて通常は65%以下の検査可能な透過率を有している
こと、が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、露光に
用いるレーザの波長がi線(365nm)やKrFエキ
シマレーザー(248nm)から、ArFエキシマレー
ザー(193nm)へと短波長化するにつれて、上述し
た従来のハーフトーン型位相シフトマスク及びその製造
方法には、次に示すような問題が生じてきた。すなわ
ち、位相シフトマスクブランクを量産する場合、そのブ
ランクス間や面内における位相角及び透過率のばらつき
があると、歩留まりが悪く、特にArF、F2エキシマ
レーザーなどの短波長用のマスクブランクスにおいて
は、従来のi線、KrFエキシマレーザー用マスクブラ
ンクスにおけるブランクス間や面内の位相角及び透過率
のばらつきでは、ばらつきが大きく、歩留まりも悪いた
め、そのままま適用できないという問題点があった。
【0008】本発明は上述した背景の下になされたもの
でり、ブランクス間における位相角及び透過率のばらつ
きを極力低減でき、歩留まりの良い位相シフトマスクブ
ランクの製造方法等の提供を第一の目的とする。また、
ブランクスの面内における位相角及び透過率のばらつき
を極力低減でき、歩留まりの良い位相シフトマスクブラ
ンクの製造方法等の提供を第二の目的とする。さらに、
ブランクス間における位相角及び透過率のばらつきを極
力低減でき、歩留まりの良く製造できる位相シフトマス
クブランクの製造装置等の提供を第三の目的とする。ま
た、ブランクスの面内における位相角及び透過率のばら
つきを極力低減でき、歩留まりの良く製造できる位相シ
フトマスクブランクの製造装置等の提供を第四の目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は以下の構成を有する。
【0010】(構成1) 透明基板上に、少なくとも位
相シフト膜を有する位相シフトマスクブランクを、複数
枚連続的に製造する方法において、前記方法は、透明基
板上に位相シフト膜がスパッタリング法を用いて連続的
に成膜される工程を含み、前記複数枚のブランク間にお
ける位相シフト膜の位相角のばらつきが、±2°以内で
あることを特徴とする位相シフトマスクブランクの製造
方法。
【0011】(構成2) 透明基板上に、少なくとも光
半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブラ
ンクを、複数枚連続的に製造する方法において、前記方
法は、透明基板上に光半透過膜がスパッタリング法を用
いて連続的に成膜される工程を含み、前記複数枚のハー
フトーン型位相シフトマスクブランク間における光半透
過膜の位相角及び透過率のばらつきが、それぞれ±2°
以内及び±4%以内であることを特徴とするハーフトー
ン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
【0012】(構成3) 透明基板上に、少なくともパ
ターンを形成するための薄膜を有するフォトマスクブラ
ンクを、複数枚連続的に製造する方法において、前記方
法は、前記透明基板上に前記薄膜がスパッタリング法を
用いて連続的に成膜される工程を含み、前記透明基板上
に前記薄膜がスパッタリング法を用いて連続的に成膜さ
れる工程は、透明基板がスパッタ室に搬入され、前記ス
パッタ室においてパターンを形成するための薄膜が形成
され、前記スパッタ室から成膜後の透明基板が搬出され
る一連のプロセスが複数枚の基板に対して順次行われ、
その透明基板の搬入と搬出とを略一定間隔で行うことに
よって、成膜時間を複数枚のブランク間で一定にする工
程を含み、かつ前記工程において得られたフォトマスク
ブランクのうち成膜開始1枚目から少なくとも5枚目ま
でを除外することを特徴とするフォトマスクブランクの
製造方法。
【0013】(構成4) 前記パターンを形成するため
の薄膜は、位相シフト膜であり、前記フォトマスクブラ
ンクが位相シフトマスクブランクであることを特徴とす
る構成3に記載の製造方法。
【0014】(構成5) 前記パターンを形成するため
の薄膜は、光半透過性の位相シフト膜であり、前記フォ
トマスクブランクがハーフトーン型位相シフトマスクブ
ランクであることを特徴とする構成3に記載の製造方
法。
【0015】(構成6) 透明基板上に少なくともパタ
ーンを形成するための薄膜を有するフォトマスクブラン
クの製造方法において、前記薄膜を、前記基板を回転さ
せながら、前記基板の中心軸からその中心軸がずれた位
置に対向するターゲットをスパッタリングすることによ
って成膜することを特徴とするフォトマスクブランクの
製造方法。
【0016】(構成7) 前記基板とターゲットの対向
する面が、所定の角度を有するように該ターゲットと基
板が配置されていることを特徴とする構成6に記載の製
造方法。
【0017】(構成8) 成膜の開始から成膜の終了ま
での間で透明基板を整数回回転させて成膜を行うことを
特徴とする構成6又は7に記載の製造方法。
【0018】(構成9) 前記パターンを形成するため
の薄膜は、位相シフト膜であり、前記フォトマスクブラ
ンクが位相シフトマスクブランクであることを特徴とす
る構成6〜8のいずれかに記載の製造方法。
【0019】(構成10) 前記位相シフト膜の位相角
の面内のばらつきが、±2°以内であることを特徴とす
る構成9に記載の製造方法。
【0020】(構成11) 前記パターンを形成するた
めの薄膜は、光半透過性の位相シフト膜であり、前記フ
ォトマスクブランクがハーフトーン型位相シフトマスク
ブランクであることを特徴とする構成6〜10のいずれ
かに記載の製造方法。
【0021】(構成12) 前記光半透過性の位相シフ
ト膜の位相角の面内のばらつきが±2°以内かつ透過率
の面内のばらつきが±4%以内であることを特徴とする
構成11に記載の製造方法。
【0022】(構成13) 前記光半透過性の位相シフ
ト膜が、窒素を含む雰囲気中で金属及びシリコンからな
るターゲットをスパッタリングすることによって形成さ
れた金属、シリコン及び窒素を主たる構成成分として含
む膜であり、前記光半透過性の位相シフト膜における窒
素の含有量がシリコンよりも大きくなるように形成され
たことを特徴とする構成11又は12に記載の製造方
法。
【0023】(構成14) 構成1〜13のいずれかに
記載のフォトマスクブランクにおける薄膜にパターニン
グを施すことによって製造されたことを特徴とするフォ
トマスク。
【0024】(構成15) 構成14に記載のフォトマ
スクを用いてパターン転写を行ったことを特徴とするパ
ターン転写方法。
【0025】(構成16) 基板を一枚づつ導入するロ
ードロック機構と、ロードロック室からスパッタ室へ基
板を一定の間隔で一枚づつ導入する基板搬送機構と、基
板上に成膜を行うスパッタ室と、スパッタ室から基板を
一枚づつ排出するアンロードロック機構と、を少なくと
も有することを特徴とするフォトマスクブランクの製造
装置。
【0026】(構成17) 回転機構を有する基板載置
台と、基板の中心軸からその中心軸がずれた位置に対向
するターゲットとを有することを特徴とするフォトマス
クブランクの製造装置。
【0027】(構成18) 前記基板とターゲットの対
向する面が、所定の角度を有するように該ターゲットと
基板が配置されていることを特徴とする構成17に記載
の製造装置。
【0028】(構成19) 基板の回転位置を検出する
手段と、放電をONにした時点(成膜開始)からから基
板が整数回回転し放電をONにした時点と同じ回転角位
置に基板がきた時点で放電をOFF(成膜終了)にする
手段と、を有することを特徴とする構成16〜18のい
ずれかにに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブラ
ンクの製造装置。
【0029】
【作用】上記構成1、2によれば、位相シフトマスクブ
ランク間における位相シフト膜の位相角のばらつきが±
2°あるいはハーフトーン型位相シフトマスクブランク
間における光半透過膜の位相角及び透過率のばらつき
が、それぞれ±2°以内及び±4%以内であるので、A
rF、F2エキシマレーザーなどの短波長用の位相シフ
トマスクの製造の量産実用化を実現できる。この範囲を
超えるとArF、F 2エキシマレーザーなどの短波長用
の位相シフトマスクの製造の量産実用化は困難である。
なお、KrFエキシマレーザー用の場合は、現状におい
ても実用可能であるが、マスクブランク間における光半
透過膜の位相角及び透過率のばらつきは小さい方が好ま
しので、構成1、2記載の発明は、KrFエキシマレー
ザー用位相シフトマスクブランクについても適用可能で
ある。
【0030】上記構成3〜5によれば、フォトマスクブ
ランクにおける膜特性(透過率(OD)、膜厚等)のブ
ランク間のばらつきを抑えることができ、特に位相シフ
トマスクブランク間における位相シフト膜の位相角のば
らつきが±2°あるいはハーフトーン型位相シフトマス
クブランク間における光半透過膜の位相角及び透過率の
ばらつきが、それぞれ±2°以内及び±4%以内である
位相シフトマスクの製造を実現できる。
【0031】上記構成6〜12によれば、フォトマスク
ブランクにおける膜特性(透過率(OD)、膜厚等)の
面内のばらつきを抑えることができ、特に位相シフトマ
スクブランクの面内における位相シフト膜の位相角のば
らつきが±2°あるいはハーフトーン型位相シフトマス
クブランクの面内における光半透過膜の位相角及び透過
率のばらつきが、それぞれ±2°以内及び±4%以内で
ある位相シフトマスクブランクを実現できるため、Ar
F、F2エキシマレーザーなどの短波長用の位相シフト
マスクの実用化を実現できる。この範囲を超えるとAr
F、F2エキシマレーザーなどの短波長用の位相シフト
マスクの実用化は困難である。なお、KrFエキシマレ
ーザー用の場合は、現状においても実用可能であるが、
マスクブランクの面内における光半透過膜の位相角及び
透過率のばらつきは小さい方が好ましので、構成6〜1
2記載の発明は、KrFエキシマレーザー用位相シフト
マスクブランクについても適用可能である。
【0032】上記構成13によれば、位相角のばらつき
をさらに抑えることが可能となる。
【0033】上記構成14によれば、マスク間あるいは
マスク面内のばらつきを抑えたフォトマスクを得ること
ができる。
【0034】上記構成15によれば、優れた微細パター
ン加工が可能となる。
【0035】上記構成16〜19の装置によれば、フォ
トマスクブランクにおける膜特性(透過率(OD)、膜
厚等)のブランク間又は面内のばらつきを抑えることが
でき、特に位相シフトマスクブランク間又は面内におけ
る位相シフト膜の位相角のばらつきが±2°以内である
位相シフトマスクブランクや、ハーフトーン型位相シフ
トマスクブランク間又は面内における光半透過膜の位相
角及び透過率のばらつきが、それぞれ±2°以内及び±
4%以内である位相シフトマスクブランクの製造を実現
できる。
【0036】以下本発明を詳細に説明する。
【0037】上述した目的を達成するために、研究を進
めた結果、以下のことがわかった。ハーフトーン位相シ
フトマスクでは光半透過部の位相角と透過率が所望の値
に調整されていることが機能上重要である。位相角と透
過率の誤差範囲は、ブランクス間変動(ブランクス間ば
らつき)、ブランクス内分布(面内ばらつき)共に、そ
れぞれ±2°程度、±4°程度が要求される。位相角や
透過率を変化させる要因としては、(1)光半透過膜の
成膜手順、(2)光半透過膜を形成するスパッタリング
装置の性能、(3)光半透過膜の材質が挙げられる。
【0038】(1)光半透過膜を形成する成膜手順につ
いて詳しく説明する。光半透過膜の成膜時間をスパッタ
リングの開始と終了で決定する場合、スパッタリング終
了から次のスパッタリング開始までの間隔を一定にする
ことが、位相角及び透過率のブランクス間変動(ブラン
クス間ばらつき)をそれぞれ±2°以内、±4°以内と
すること(再現性向上)に有効である。スパッタリング
現象はターゲットやシールドの温度や表面状態を変化さ
せ、同時に真空槽内の真空度も変化させる。従来のよう
にスパッタリング終了から次のスパッタリング開始まで
の間隔が一定でない間欠的なスパッタリングを行うと、
ターゲットやシールドの状態が刻々と変化する。本発明
のように、スパッタリング終了から次のスパッタリング
開始までの間隔とスパッタリング時間およびスパッタリ
ング条件を常に一定にすると、作製枚数が5から10枚
後以降で位相角、透過率の変動が小さくなる。すなわ
ち、一定間隔で継続的に光半透過膜の形成を行い、開始
から5ないし10枚目以前を除外することで、位相角、
透過率の変動が少ないハーフトーン位相シフトマスクブ
ランクスを安定して製造することが可能である。具体的
には、位相角及び透過率のブランクス間ばらつきがそれ
ぞれ±2°以内、±4°以内であるハーフトーン位相シ
フトマスクブランクスを安定して製造することが可能で
ある。
【0039】この工程を実現するためには、図1に示す
ような、スパッタリングを行う真空槽(スパッタ室)を
常に高真空状態に保持できるロードロック機構を設け、
ロードロック室からスパッタ室への基板導入を、一定の
間隔で、継続的に行えるような装置構成が必要である。
このためには、あえて一枚づつ基板を導入するロードロ
ック機構を設け、しかもロードロック室の容積を、ロー
ドロック室からスパッタ室への基板導入を、一定の間隔
で、継続的に行えるような容積に設計する必要がある。
従来のハーフトーン位相シフトマスクブランクスの製造
装置では、スループットの観点から、ロードロック室内
に10枚程度の基板をセットする方式(あるいはインラ
イン方式)であるが、この方式では、ロードロック室の
容積が大きいため、ロードロック室内を所定の真空度に
するのに時間がかかり、この間スパッタ室内では成膜が
行われないため、すべての成膜が終了し次のカセットを
ロードロック室内にセットして成膜を行う際に、スパッ
タ室への基板導入が一定の間隔で継続的に行なわれな
い。この際さらに問題なのは、スパッタ室への基板導入
が一定の間隔で継続的に行なわれないと、スパッタ室で
の成膜が安定せず最初の5〜10枚程度は位相角や透過
率のブランクス間ばらつきが大きく、歩留まりが悪いこ
とである。
【0040】図1において、ロードロック室11には、
大気とロードロック室11を隔離するバルブ12と、ロ
ードロック室11とスパッタ室13を隔離するバルブ1
4が取り付けられている。ロードロック室11として
は、上記で説明したスパッタ室への基板導入を一定の間
隔で継続的に行いうる枚葉式でしかも所定の容積に設計
されたものを設けている。スパッタ室13は後述する図
2に示すようなスパッタリングを行う真空槽と同等の機
能を有する。スパッタ室13への基板導入をロボットア
ームにて行う場合には、スパッタ室13とロードロック
室11の間に撒送室15を設けてもよい。ロボットアー
ム19は、腕19aが図示A方向に開閉することにより
ハンド19bを図示B方向に移動でき、またロボットア
ーム19は図示C方向に回転でき、さらにロボットアー
ム19は紙面に対し上下方向に移動できる構成になって
いる。さらに、成膜のスループットを向上させるために
は、上記ロードロック室11と同様の構成を有するアン
ロードロック室16を追加してもよい。図1を用いて、
透明基板上に光半透過膜を形成する工程の一例を説明す
る。 1)バルブ14を閉じた後、ベントを行いロードロック
室11内を大気圧にする。 2)バルブ12を開いてロードロック室11内に透明基
板を一枚導入する。 3)バルブ12を閉じてロードロック室11を排気す
る。 4)ロードロック室11が所定の真空度に達した後、バ
ルブ14を開いて透明基板をスパッタ室13に移動させ
る。 5)スパッタ室13にて、後述する図2に示す構成を用
いて光半透過膜を形成する。 6)光半透過膜の成膜終了後、バルブ17を開いて基板
をアンロードロック室16に移動させる。このときアン
ロードロック室16は所定の真空度まで排気されている
ことが必要である。 7)バルブ17を閉じた後、ベントを行いアンロードロ
ック室を大気圧にする。 8)バルブ18を開いて基板を取り出す。 スパッタ室13内における光半透過膜の成膜が終了し、
スパッタ室13からアンロードロック室16に基板が移
動されるまでの間に、上記工程1)から4)までを終了
させ、ロードロック室11に次の基板を待機させる。前
回の成膜が終了して、スパッタ室13からアンロードロ
ック室6に基板が移動されたら、待機させた透明基板を
スパッタ室13に移動させ、引き続き光半透過膜の成膜
を行う。このような工程により、装置のメンテナンス時
等を除いて一定の間隔で継続的(連続的)に光半透過膜
の形成が可能となる。
【0041】(2)次に、光半透過膜を形成するスパッ
タリング装置の性能について詳しく説明する。光半透過
膜を形成するスパッタリング時のガス圧、スパッタリン
グ用DC電源の出力、スパッタリングを行う時間は直接
的に透過率、位相角に影響を与えるため、ガス流量コン
トローラ、DC電源その他機器の精度向上やコントロー
ラから発信する設定信号の精度向上が必要である。スパ
ッタリング時のガス圧は、装置の排気コンダクタンスに
も影響を受けるため、排気ロバルブの開度やシ−ルドの
位置を正確に決定できる機構も必要である。具体的な制
御精度については後述する。また、窒化シリコンを含む
膜では、真空槽内壁から発生する水分等のガスが、膜の
光学特性に大きな影響を与えるため、真空槽内を十分に
排気できるポンプを装着し、真空槽内壁をベーキングで
きる機構を設けることが必要である。真空槽内の真空度
は、成膜速度が10nm/minである場合はおおむね
2×10-5pa以下、成膜速度が5nm/minである
場合には1×10-5pa以下が必要である。さらに位相
角及び透過率のブランクス内分布(面内ばらつき)をそ
れぞれ±2°以内、±4°以内に抑えるためには、透明
基板を回転させながら成膜を行うとともに、成膜の開始
から成膜の終了までの間で透明基板を整数回回転させて
成膜を行うことが必要である。このためには、例えば、
基板の回転角位置を検出するセンサによって、放電をO
Nにした時点(成膜開始)の基板回転角位置検出し、さ
らにこのセンサによって、基板が整数回回転して放電を
ONにした時点と同じ回転角位置に基板がきた時点で放
電をOFF(成膜終了)にする機構を備えることが必要
である。
【0042】位相角及び透過率の面内の分布は、基板と
ターゲットの位置関係によっても変化する。ターゲット
と基板の位置関係について、図8を用いて説明する。オ
フセット距離(基板の中心軸と、ターゲットの中心を通
りかつ前記基板の中心軸と平行な直線との間の距離)
は、位相角及び透過率の分布を確保すべき面積によって
調整される。一般には分布を確保すべき面積が大きい場
合に、必要なオフセット距離は大きくなる。本実施例の
ように、152mm角の基板内で位相角分布±2°以内
及び透過率分布±4°以内を実現するために、オフセッ
ト距離は200mmから350mm程度が必要であり、
好ましいオフセット距離は240mmから280mmで
ある。ターゲット−基板間垂直距離(T/S)は、オフ
セット距離により最適範囲が変化するが、152mm角
の基板内で位相角分布±2°以内及び透過率分布±4°
以内を実現するために、ターゲット−基板間垂直距離
(T/S)は、200mmから380mm程度が必要で
あり、好ましいT/Sは210mmから300mmであ
る。ターゲット傾斜角は成膜速度に影響し、大きな成膜
速度を得るために、ターゲット傾斜角は、0°から45
°が適当であり、好ましいターゲット傾斜角は10°か
ら30°である。図9にオフセット距離を変化させた場
合に、152mm角の基板内で位相角分布±2°以内及
び透過率分布±4°以内を実現できるT/Sの上限とT
/Sの下限を示す。
【0043】(3)次に、光半透過膜の材質が位相角、
透過率に与える影響を詳しく説明する。光半透過膜の位
相角、透過率は成膜速度と窒化の度合いによって変化す
る。成膜速度と窒化の度合いはスパッタリング中の窒素
分圧に影響を受けるが、光半透過膜が完全に窒化した状
態では、スパッタリング中の窒素分圧の影響が小さくな
る。窒化した金属シリサイド膜では、ESCAで測定し
た窒素の含有量がシリコンより大きくなるように、スパ
ッタリング中に導入する窒素流量を調整することによ
り、窒素分圧の変動が光学特性に与える影響を小さくす
ることが可能である。この方法を用いれば、位相角と透
過率の面内分布を小さくすることも同時に可能である。
なお、スパッタリング中に窒素と同時に酸素を添加する
場合には、位相角、透過率が酸素の流量変動の影響を大
きく受けることになるが、少なくとも窒素の流量変動の
影響については、上記の方法にて少なくすることができ
る。
【0044】なお、本発明の構成におけるフォトマスク
ブランクとは、フォトマスクにおける例えば、遮光膜
(クロム又はクロムに酸素、窒素、炭素等を含むクロム
化合物、その他のクロム化合物等)及び位相シフトマス
クブランクにおける位相シフト膜等を含む。また、本発
明の構成における位相シフトマスクブランクにおいて
は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのみなら
ず、位相角のばらつきを±2°以内とする目的で、例え
ば、レベンソン型、補助パターン型、自己整合型(エッ
ジ強調型)など、他の位相シフトマスクを製造するため
のブランクにも適用可能である。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例についてさらに詳細に
説明する。上記図1で説明したDCマグネトロンスパッ
タリング装置を用い、ArFエキシマレーザー(193
nm)用ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス2
00枚を一枚ずつ一定間隔で連続成膜して作製した。具
体的には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との
混合ターゲット(Mo:Si=8:92mol%)を用
い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)との混合ガス雰囲
気(Ar:N2=10%:90%、圧力:0.1Pa)
で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)によ
り、透明基板上に窒化されたモリブデン及びシリコン
(MoSiN)の薄膜(膜厚約670オンク゛ストローム)を形
成して、ArFエキシマレーザー(波長193nm)用
位相シフトマスクブランク(膜組成:Mo:Si:N=
7:45:48)を得た。
【0046】ここで、図1に示すDCマグネトロンスパ
ッタ装置におけるスパッタ室3は、図2に示すように、
真空槽1を有しており、この真空槽1の内部にマグネト
ロンカソード2及び基板ホルダ3が配置されている。マ
グネトロンカソード2にはバッキングプレート4に接着
されたスパッタリングターゲット5が装着されている。
実施例では、バッキングプレート4に無酸素鋼を用い、
スパッタリングターゲット5とバッキングプレート4の
接着にはインジウムを用いている。バッキングプレート
4は水冷機構により直接または間接的に冷却されてい
る。マグネトロンカソード2とバッキングプレート4及
びスパッタリングターゲット5は電気的に結合されてい
る。基板ホルダ3には透明基板6が装着されている。な
お、本実施例では、図2におけるスパッタリングターゲ
ット5と基板6とが、図8に示すように、基板とターゲ
ットの対向する面が所定の角度を有するように、ターゲ
ットと基板が配置されている構成の装置を用いた。この
場合、スパッタリングターゲットと基板のオフセット距
離は340mm、ターゲット−基板間垂直距離(T/
S)は380mm、ターゲット傾斜角は15°とした。
真空槽1は排気口7を介して真空ポンプにより排気され
ている。真空槽内の雰囲気が形成する膜の特性に影響し
ない真空度まで達した後、ガス導入口8から窒素を含む
混合ガスを導入し、DC電源9を用いてマグネトロンカ
ソード2に負電圧を加え、スパッタリングを行う。DC
電源9はアーク検出機能を持ち、スパッタリング中の放
電状態を監視できる。真空槽1内部の圧力は圧力計10
によって測定されている。透明基板上に形成する光半透
過膜の透過率は、ガス導入口8から導入するガスの種類
及び混合比により調整する。混合ガスがアルゴンと窒素
である場合には、窒素の比率を大きくすることで、透過
率が上昇する。窒素の比率を調整するだけでは所望の透
過率が得られない場合、窒素を含む混合ガスに酸素を添
加することで、さらに透過率を上昇させることが可能で
ある。光半透過膜の位相角はスパッタリング時間により
調整し、露光波長における位相角が約180°に調整し
た。
【0047】ブランク間ばらつきの評価 上記で得られた200枚の位相シフトマスクブランクス
(サイズ:15.2cm角)について、位相角及び透過
率のブランクス間ばらつきを調べた。その結果を図3に
示す。図3から、3枚目以降では、位相角及び透過率の
ブランクス間ばらつきがそれぞれ±2°以内、±4°以
内であるハーフトーン位相シフトマスクブランクスを安
定して製造できることがわかる。なお、11枚目以降か
ら200枚目までについても位相角及び透過率のブラン
クス間ばらつきがそれぞれ±2°以内、±4°以内であ
ることを確認した。この場合、位相角及び透過率に関し
ては歩留まりは100%である。
【0048】なお、実施例1において、途中(190枚
目)でメンテナンスのためスパッタ室を開けたこと以外
実施例1と同様にしてブランクスを200枚作製し、位
相角及び透過率のブランクス間ばらつきを調べた。その
結果を図4に示す。図4から、本発明の装置を用いる
と、最初の数枚、及びスパッタ室開放直後の5枚を除
き、位相角及び透過率のブランクス間ばらつきがそれぞ
れ±2°以内、±4°以内であるハーフトーン位相シフ
トマスクブランクスを安定して製造でき、位相角及び透
過率に関しては歩留まりが100%であることがわか
る。
【0049】また、従来のロードロック室内に10枚程
度の基板をセットする方式、及びインライン方式の製造
装置を用いて、ハーフトーン位相シフトマスクブランク
スを製造したが、いずれの場合も位相角及び透過率のブ
ランクス間ばらつきがそれぞれ±2°以内、±4°以内
に収めることは困難であり、歩留まりも悪かった。
【0050】また、実施例1において、透明基板を回転
させながら成膜を行うとともに、成膜の開始から成膜の
終了までの間で透明基板を整数回回転させて成膜を行
い、位相角及び透過率の面内ばらつきを調べた。その結
果、位相角及び透過率の面内ばらつきがそれぞれ±2°
以内、±4°以内であるハーフトーン位相シフトマスク
ブランクスを安定して製造できることを確認した。
【0051】さらに、上記実施例において、次のことが
わかった。図5に示すように、位相角のばらつきを約1
80°〜約172°の範囲に抑えるためには、DC電源
の電力(パワー)を約1.77kW〜約1.825kW
(位相角のばらつきを約180°〜約178°の範囲に
抑えるため好ましくは約1.82kW〜約1.81k
W)の範囲で制御する必要があることがわかる。したが
って、DC電源の電力(パワー)の変動は中心値±0.
5%に抑えることが必要である。同様に、図6から位相
角及び透過率のばらつきを抑えるためには、成膜時間を
約560秒〜約615秒(位相角のばらつきを約180
°〜約178°の範囲に抑えるため好ましくは約600
秒〜約594秒)の範囲で制御する必要があることがわ
かる。したがって、成膜時間の変動は中心値±0.5%
に抑えることが必要である。同様に、図7から位相角の
ばらつきを抑えるため、及び、窒化した金属シリサイド
膜中のESCAで測定した窒素の含有量がシリコンより
大きくなるように、スパッタリング中に導入する窒素流
量を調整することにより、窒素分圧の変動が光学特性に
与える影響を小さくするためには、窒素流量を約35s
ccm以上(位相角のばらつきを約180°〜約178
°の範囲に抑えるため好ましくは約35sccm〜約3
5.5sccm)の範囲で制御する必要があることがわ
かる。なお、窒素分圧の変動が光学特性に与える影響を
小さくできる窒素流量は、装置の排気性能やDCパワー
によって変化する。
【0052】面内ばらつきの評価 上記で得られた位相シフトマスクブランクのうちの1枚
について、面内の位相角及び透過率のばらつきを調べ
た。その結果、基板周辺部10mmを除く132mm角
の範囲で、位相角のばらつきが±0.8°以内(平均値
179.5°、範囲178.8°〜180.3°)であ
った。また、透過率のばらつきは±1.3%以内(平均
値6.16%、範囲6.08%〜6.23%)であっ
た。なお、比較のため、オフセット距離340mm、タ
ーゲット−基板間垂直距離(T/S)400mm、ター
ゲット傾斜角15°で成膜を行った場合、位相角のばら
つきが±3.5°(平均値178.8°、範囲175.
3°〜181.7°)であった。また、透過率ばらつき
は±8%(平均値6.07%、範囲5.83%〜6.5
6%)であった。さらに、比較のため、基板と対向する
位置にターゲットを配置した場合(オフセット距離0m
m、ターゲット傾斜角0°)には、ターゲット径16イ
ンチφにて、位相角のばらつきが±2.7°(平均値1
79.8°、範囲177.1°〜182.0°)であっ
た。また、透過率ばらつきは±4.2%(平均値6.1
9%、範囲6.00%〜6.45%)であった。オフセ
ット距離は大きい方が面内ばらつきを小さくするのが容
易であるが、大きすぎると真空槽の容積が大きくなるた
め真空排気の性能が悪化し、同時に成膜速度も遅くな
る。なお、面内におけるばらつきは、平均値(中心値)
に対する最高点(プラス分)と最低点(マイナス分)の
両方が規定の範囲に入っているかどうかで評価した。
【0053】以上好ましい実施例をあげて本発明を説明
したが、本発明は上記実施例に限定されるものではな
い。例えば、光半透過膜を構成する金属としてモリブデ
ンを用いたが、これに限定されず、ジルコニウム、チタ
ン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、ニ
ッケル、パラジウムなどを用いることができる。また、
金属とシリコンとを含むターゲットとして、モリブデン
とシリコンからなるターゲットを用いたが、これに限定
されない。金属とシリコンとを含むターゲットにおい
て、モリブデンは上記金属の中で特に、透過率の制御性
と金属とケイ素を含有するスパッタリングターゲットを
用いた場合夕一ゲット密度が大きく、膜中のパーティク
ルを少なくすることができるという点において優れてい
る。チタン、バナジウム、ニオブはアルカリ溶液に対す
る耐久性に優れているが、ターゲット密度においてモリ
ブデンに若干劣っている。タンタルはアルカリ溶液に対
する耐久性及びタ一ゲット密度において優れているが、
透過率の制御性においてモリブデンに若干劣っている。
タングステンはモリブデンとよく似た性質を持っている
が、スパッタリング時の放電特性においてモリブデンよ
り若干劣っている。ニッケルとパラジウムは、光学特
性、及びアルカリ溶液に対する耐久性の面では優れてい
るが、ドライエッチングがやや困難である。ジルコニウ
ムは、アルカリ溶液に対する耐久性に優れているが、タ
ーゲット密度においてモリブデンに劣っており、かつド
ライエッチングがやや困難である。これらのことを考慮
すると現在のところモリブデンが最も好ましい。窒化さ
れたモリブデン及びシリコン(MoSiN)の薄膜(光
半透過膜)は、耐酸性や耐アルカリ性などの耐薬品性に
優れる点でも、モリブデンが好ましい。
【0054】また、成膜時の放電安定性を確保しつつ位
相シフトマスとしての諸特性を満足する組成の薄膜を得
るためには、70〜95mol%のシリコンと、金属と
を含んだターゲットを、窒素を含む雰囲気中でDCマグ
ネトロンスパッタリングすることにより、窒素、金属及
びシリコンとを含む光半透過膜を形成することが好まし
い。これは、ターゲット中のシリコン含有量が95mo
l%より多いと、DCスパッタリングにおいては、ター
ゲット表面上(エロージョン部)に電圧をかけにくくな
る(電気が通りにくくなる)ため、放電が不安定とな
り、また70mol%より少ないと、高光透過率の光半
透過部を構成する膜が得られないからである。また、窒
素ガスとDCスパッタリングとの組合せによって、放電
安定性はさらに向上するからである。なお、成膜時の放
電安定性は膜質にも影響し、放電安定性に優れると良好
な膜質の光半透過膜が得られる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ブ
ランクス間における位相角及び透過率のばらつきを極力
低減でき、歩留まりの良い位相シフトマスクブランクの
製造方法を提供できる。また、ブランクスの面内におけ
る位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留ま
りの良い位相シフトマスクブランクの製造方法を提供で
きる。さらに、ブランクス間における位相角及び透過率
のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良く製造できる
位相シフトマスクブランクの製造装置を提供できる。ま
た、ブランクスの面内における位相角及び透過率のばら
つきを極力低減でき、歩留まりの良く製造できる位相シ
フトマスクブランクの製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハーフトーン型位相シフトマスクの転写原理を
説明するための図である。
【図2】実施例で使用したDCマグネトロンスパッタリ
ング装置におけるスパッタ室の模式図である。
【図3】実施例におけるブランクス間における位相角及
び透過率のばらつきを示す図である。
【図4】他の実施例におけるブランクス間における位相
角及び透過率のばらつきを示す図である。
【図5】DC電力と位相角との関係を示す図である。
【図6】成膜時間と位相角及び透過率との関係を示す図
である。
【図7】窒素流量と位相角との関係を示す図である。
【図8】ターゲットと基板の位置関係を説明するための
模式図である。
【図9】オフセット距離を変化させた場合に、位相角分
布±2°以内及び透過率分布±4°以内を実現できるT
/Sの上限とT/Sの下限を示す図である。
【図10】本発明のスパッタリング装置を説明するため
の模式図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 マグネトロンカソード 3 基板ホルダ 4 バッキングプレート 5 スパッタリングターゲット 6 透明基板 6a 透明基板を保持する部分 7 排気口 8 ガス導入口 9 DC電源 10 圧力計10 11 ロードロック室 12 バルブ 13 スパッタ室 14 バルブ 15 撒送室 16 アンロードロック室 17 バルブ 18 バルブ 19 ロボットアーム 100 透明基板 200 光透過部 300 光半透過部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/027 H01L 21/30 502P

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に少なくともパターンを形成
    するための薄膜を有するフォトマスクブランクの製造方
    法において、 前記薄膜を、前記基板を回転させながら、前記基板の中
    心軸からその中心軸がずれた位置に対向するターゲット
    をスパッタリングすることによって成膜することを特徴
    とするフォトマスクブランクの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基板とターゲットの対向する面が、
    所定の角度を有するように該ターゲットと基板が配置さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 成膜の開始から成膜の終了までの間で透
    明基板を整数回回転させて成膜を行うことを特徴とする
    請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記パターンを形成するための薄膜は、
    位相シフト膜であり、前記フォトマスクブランクが位相
    シフトマスクブランクであることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記位相シフト膜の位相角の面内のばら
    つきが、±2°以内であることを特徴とする請求項4に
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記パターンを形成するための薄膜は、
    光半透過性の位相シフト膜であり、前記フォトマスクブ
    ランクがハーフトーン型位相シフトマスクブランクであ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記光半透過性の位相シフト膜の位相角
    の面内のばらつきが±2°以内かつ透過率の面内のばら
    つきが±4%以内であることを特徴とする請求項6に記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記光半透過性の位相シフト膜が、窒素
    を含む雰囲気中で金属及びシリコンからなるターゲット
    をスパッタリングすることによって形成された金属、シ
    リコン及び窒素を主たる構成成分として含む膜であり、
    前記光半透過性の位相シフト膜における窒素の含有量が
    シリコンよりも大きくなるように形成されたことを特徴
    とする請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載のフォト
    マスクブランクにおける薄膜にパターニングを施すこと
    によって製造されたことを特徴とするフォトマスク。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のフォトマスクを用い
    てパターン転写を行ったことを特徴とするパターン転写
    方法。
  11. 【請求項11】 回転機構を有する基板載置台と、基板
    の中心軸からその中心軸がずれた位置に対向するターゲ
    ットとを有することを特徴とするフォトマスクブランク
    の製造装置。
  12. 【請求項12】 前記基板とターゲットの対向する面
    が、所定の角度を有するように該ターゲットと基板が配
    置されていることを特徴とする請求項11に記載の製造
    装置。
  13. 【請求項13】 基板の回転位置を検出する手段と、放
    電をONにした時点(成膜開始)からから基板が整数回
    回転し放電をONにした時点と同じ回転角位置に基板が
    きた時点で放電をOFF(成膜終了)にする手段と、を
    有することを特徴とする請求項11又は12に記載のハ
    ーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造装置。
  14. 【請求項14】 基板を一枚づつ導入するロードロック
    機構と、ロードロック室からスパッタ室へ基板を一定の
    間隔で一枚づつ導入する基板搬送機構と、基板上に成膜
    を行うスパッタ室と、スパッタ室から基板を一枚づつ排
    出するアンロードロック機構と、を少なくとも有するこ
    とを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のフ
    ォトマスクブランクの製造装置。
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