JP2003279346A - 昇降部材支持機構およびこれを用いた測定機 - Google Patents

昇降部材支持機構およびこれを用いた測定機

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JP2003279346A JP2002081119A JP2002081119A JP2003279346A JP 2003279346 A JP2003279346 A JP 2003279346A JP 2002081119 A JP2002081119 A JP 2002081119A JP 2002081119 A JP2002081119 A JP 2002081119A JP 2003279346 A JP2003279346 A JP 2003279346A
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満 福田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 昇降部材の移動精度を向上できる昇降部材支
持機構を提供するとともに、測定精度が向上される測定
機を提供すること。 【解決手段】 昇降部材を支持する支持軸28に固定さ
れた自動調心玉軸受41をスライドパッド36に嵌合す
る。スライドパッド36と横梁26に固定された軸受部
材37との間に形成されたスライド面40にエア孔43
を通して圧搾空気を供給して、エア膜を形成する。昇降
部材が昇降することで支持軸28に生じる水平方向の力
Pmは、スライドパッド36がエア膜を介してスライド
面40においてスライドすることで低減される。また、
支持軸28の水平方向の移動により生じた角度変動は、
自動調心玉軸受41によって吸収される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、昇降部材支持機構
およびこれを用いた測定機に関する。詳しくは、上下方
向へ昇降する昇降部材を支持する昇降部材支持機構およ
びこれを用いた測定機に関する。
【0002】
【背景技術】昇降部材を上下方向へ昇降駆動させるZ方
向駆動機構が知られている。このような昇降部材のZ方
向駆動機構は、例えば、測定対象物の位置および/また
は座標を測定する三次元測定機などに利用されている。
従来、Z方向駆動機構は、図4に示されるように、下端
に測定子13を有し垂直に支持されたZ軸スピンドル1
2と、このZ軸スピンドル12を垂直方向にガイドする
ガイド部材22と、Z軸スピンドル12の移動軸と平行
に設けられたボールねじ軸221と、Z軸スピンドル1
2に設けられボールねじ軸221に螺合するボールねじ
ナット222と、ボールねじ軸221を回転駆動させる
駆動モータ223とを備えて構成されている。
【0003】ガイド部材22はガイド筒部22Aを有
し、このガイド筒部22AにZ軸スピンドル12が上下
方向移動可能に挿通されている。ガイド筒部22Aの内
周にはエアベアリング23が設けられ、Z軸スピンドル
12との間にエア膜による空気軸受けが形成されること
により、ガイド部材22とZ軸スピンドル12との間の
摩擦抵抗が低減されている。ガイド部材22には、垂直
上方に向かって立設された支柱25が設けられている。
この支柱25の上端には、Z軸スピンドル12の上方を
覆うように、Z軸スピンドル12の移動軸に対して垂直
な横梁26が形成されている。ボールねじ軸221は、
Z軸スピンドル12の移動軸に対して平行で、かつ、一
定の間隔を隔ててガイド部材22に設けられている。ボ
ールねじ軸221の上端は支柱25の横梁26に支持さ
れ、下端ではベルト224によって駆動モータ223と
連動されている。
【0004】Z軸スピンドル12には、その重心近傍を
通るように支持軸28が挿通されており、この支持軸2
8の上端は支柱の横梁26でスラスト玉軸受35によっ
て揺動支持されている。スラスト玉軸受35は、支持軸
28の軸に直交する方向の負荷を吸収するための機構
で、図5(A)に示されるように、二つの平板33A,3
3Bに挟まれたボール34を備える。一方の平板33A
が支持軸28に、他方の平板33Bが横梁26に固定さ
れることにより、これらの間のボール34を介して支持
軸28と横梁26とが接続されている。また、この支持
軸28とZ軸スピンドル12の間には、Z軸スピンドル
12の重量に見合う押上力を発生させるエアバランス機
構が設けられているが、詳しくは省略する。図4に戻っ
て、ボールねじナット222は、Z軸スピンドル12の
外側面に設けらた結合部材121を介してZ軸スピンド
ル12に固定されているとともに、ボールねじ軸221
に螺合されている。
【0005】このような構成において、駆動モータ22
3を回転駆動させると、ボールねじ軸221が回転され
る。すると、ボールねじ軸221とボールねじナット2
22との螺合によってボールねじナット222がボール
ねじ軸221に沿って移動される。このボールねじナッ
ト222の駆動力が結合部材121を介してZ軸スピン
ドル12に伝達されるので、Z軸スピンドル12が上下
方向に駆動される。ガイド部材22とZ軸スピンドル1
2との間は、エアベアリング23によって摩擦抵抗が低
減されており、また、エアバランス機構によってZ軸ス
ピンドル12の重量に見合う力でバランスされているの
で、Z軸スピンドル12はなめらかに移動することが可
能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
Z方向駆動機構には次のような問題があった。Z軸スピ
ンドル12が上下方向に移動する場合、Z軸スピンドル
12はエアベアリング23によって軌道を拘束されて移
動する。この時、ガイド筒部22Aのガイド方向と支持
軸28との方向がずれていた場合、図5(B)に示される
ように、支持軸28には、支持軸28に直交する方向
(水平方向)に力Pmがかかる。この力Pmは、Z軸ス
ピンドル12の移動精度に影響を与えるため、支持軸2
8の上端に設けられたスラスト玉軸受35によって力P
mを除去する。つまり、スラスト玉軸受35に力Pmが
かかると、ボール34が水平方向に転がり、ボール34
の上に配置された平板33Aが水平方向にスライドして
力Pmを除去する。
【0007】ところが、ボール34と平板33A,33
Bとの間には、ボール34の転がり抵抗Pfが存在す
る。したがって、この転がり抵抗Pfによって支持軸2
8にかかる負荷を十分に除去することができず、支持軸
28には曲げ応力が発生し、Z軸スピンドル12の移動
精度に影響を与えるという問題があった。
【0008】ところで、Z軸スピンドル12に駆動力を
与えるボールねじ軸221およびボールねじナット22
2は、Z軸スピンドル12の移動軸から距離を隔てて配
置されている。ボールねじナット222の駆動力は、結
合部材121を介してZ軸スピンドル12の外側面に伝
達される。その結果、Z軸スピンドル12の重心に対し
ては、Z軸スピンドル12の移動軸とは交差する方向に
トルクが発生するため、Z軸スピンドル12の移動の垂
直性に影響が生じる。この影響は、Z方向駆動機構を測
定機などに用いた場合には測定誤差に繋がる。
【0009】そこで、本出願人は、先にZ方向駆動機構
をZ軸スピンドル12の内部に備えたものを提案した。
これは、Z軸スピンドル12の上方に支持軸28を挟み
込む一対のローラと、これらのモータを駆動するモータ
とを設け、モータでローラを回転させることにより支持
軸28とローラとの間の摩擦でZ軸スピンドル12を上
下移動させるものである。これによれば、Z軸スピンド
ル12を駆動する力がZ軸スピンドル12の重心近傍に
接続された支持軸28に沿ってかかるので、前述のボー
ルねじ軸221の駆動機構によるようなトルクが発生せ
ず、Z軸スピンドル12の垂直移動性が確保され、移動
精度が向上する。
【0010】このような構成を有するZ軸スピンドル1
2では、高精度な移動が可能となったため、スラスト玉
軸受35のボール34の転がり抵抗による精度への影響
が無視できなくなるという問題が新たに派生してきた。
また、Z軸スピンドル12の上下移動が繰り返し行われ
るうちに、ボール34の滑りによりボール34が移動し
て支持軸28にあたってしまう可能性もあった。
【0011】本発明の目的は、従来の問題を解消し、昇
降部材の移動精度を向上できる昇降部材支持機構を提供
するとともに、測定精度が向上される測定機を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の昇降部
材支持機構は、ガイド手段によってガイドされた昇降部
材を支持する昇降部材支持機構であって、前記昇降部材
の重心位置近傍で、かつ、前記ガイド手段によるガイド
方向に略平行に配置された支持軸と、この支持軸の下端
と前記昇降部材との間に形成され、支持軸方向への昇降
部材の昇降を許容しつつ、前記昇降部材の重量に見合う
押上力を発生するバランス機構と、前記支持軸の上端側
に固定され、下端側に前記支持軸に直交するスライド面
を有するスライドパッドと、このスライドパッドのスラ
イド面と対向する位置に設けられた支持部材と、前記ス
ライドパッドの前記スライド面と前記支持部材との間に
エア膜を形成する空気軸受手段とを備えていることを特
徴とする。
【0013】このような構成によれば、昇降部材が昇降
する際に、例えばガイド手段のガイド方向と支持軸との
方向がずれていた場合でも、スライドパッドがスライド
面でスライドすることにより支持軸にかかる負荷を除去
する。スライドパッドは空気軸受手段によって形成され
たエア膜を介してスライドするので、スライドパッドと
支持部材とが摺動せず、スライド面における摩擦抵抗を
最小限に抑えることができる。したがって、支持軸にか
かる曲げ応力を低減でき、昇降部材の移動精度を向上す
ることができる。
【0014】請求項2に記載の昇降部材支持機構は、請
求項1に記載の昇降部材支持機構において、前記支持軸
と前記スライドパッドとの間には、前記支持軸が揺動し
た際に生じる角度変動を吸収する調心機構が設けられて
いることを特徴とする。
【0015】このような構成において、スライドパッド
がスライドして支持軸にかかる負荷を除去すると、支持
軸の他端は揺動するが、一端は昇降部材に設けられたバ
ランス機構に接続されているので、支持軸は垂直方向に
対して角度を持つこととなる。本発明では、調心機構に
より、支持軸の角度変動を調節し、支持軸と昇降部材と
の軸方向を略一致させるので、支持軸に生じる曲げ応力
を最小限に抑えることができ、昇降部材の移動精度をよ
り一層向上することができる。
【0016】請求項3に記載の昇降部材支持機構は、請
求項1または請求項2に記載の昇降部材支持機構におい
て、前記昇降部材に設けられ前記支持軸を相挟み込む少
なくとも一対のローラと、前記ローラの少なくとも一つ
を回転させる回転駆動手段とを備えていることを特徴と
する。
【0017】このような構成において、回転駆動手段に
よってローラの少なくとも一つが回転されると、支持軸
を挟み込みながらローラが回転される。すると、ローラ
には支持軸との摩擦力によって上方向もしくは下方向に
移動する力が生じる。ローラは昇降部材に設けられてい
るので、ローラとともに昇降部材には上方向もしくは下
方向に移動する力が生じる。よって、昇降部材がガイド
手段によってガイドされつつ上方向もしくは下方向に移
動される。本発明によれば、昇降部材を移動させる力は
ローラと支持軸との間で生じる。支持軸は昇降部材の重
心位置近傍でかつガイド手段のガイド方向と略平行に配
置されているので、昇降部材を移動させる力も同様に、
昇降部材の重心位置近傍でかつガイド手段のガイド方向
と略平行に働く。従来、昇降部材に働く力は、昇降部材
の外側面に作用していたため、昇降部材の重心位置に対
しては、ガイド手段のガイド方向と略平行に作用してい
なかった。そのため、昇降部材にはガイド方向とは交差
する力が働き、昇降部材の移動の垂直性に影響が生じる
おそれがあった。しかしながら、本発明によれば、昇降
部材に働く力は、昇降部材の重心を通る移動軸に沿って
作用するので、昇降部材はガイド手段に沿って垂直に上
下移動され、移動の垂直性が確保される。また、このよ
うな構成を有する昇降部材では、昇降部材の移動の垂直
性が確保されることで、昇降部材の移動精度が向上す
る。したがって、従来一般的に使用されていたスラスト
玉軸受による昇降部材支持機構では、ボールの転がり抵
抗による精度への影響を無視できなくなる。本発明によ
れば、支持軸にかかる負荷は、低摩擦係数を有するエア
膜を介してスライドパッドがスライドすることで除去さ
れるので、移動精度への影響を最小限に抑えることがで
きる。
【0018】請求項4に記載の昇降部材支持機構は、請
求項1から請求項3のいずれかに記載の昇降部材支持機
構において、前記バランス機構は、エアによって前記押
上力を発生させるエアバランス機構であり、前記エアバ
ランス機構は、前記支持軸および前記昇降部材のいずれ
か一方に設けられたピストンと、前記支持軸および前記
昇降部材のいずれか他方に設けられ、かつ、内部に前記
ピストンを収納して、そのピストンに対して上下方向へ
相対往復運動可能なシリンダ室とを備え、前記シリンダ
室の前記ピストンで区画された室にエアを送り込むこと
により、前記昇降部材の重量に見合う押上力を発生する
ことを特徴とする。
【0019】このような構成によれば、シリンダ室のエ
アを送り込まれた室とエアを送り込まれなかった室との
間に内圧の差が生じ、この内圧の差からピストンおよび
シリンダ室の内壁を押圧する力が生じる。ピストンとシ
リンダは互いに摺動可能であるが、支持軸は垂直方向に
は移動されないので、ピストンおよびシリンダ室の内壁
を押圧する力は、実質的に昇降部材に作用する。ピスト
ンで区画されたシリンダ室のうち、エアを送り込む室を
適宜選択することによって、昇降部材を重力に抗して押
し上げる方向に力を作用させることができる。このよう
に、昇降部材に押上げる力を作用させ、その重量に見合
う押上力で押し上げると、昇降部材を昇降させる駆動機
構には昇降部材の重量がかからないこととなる。例え
ば、支持軸に一対のローラとローラを回転させる回転駆
動手段とを設けてローラを支持軸に対して回転させるこ
とで昇降部材を駆動する機構では、昇降部材の重量はロ
ーラにかからないこととなる。よって、ローラで支持軸
を相挟み込んで、ローラと支持軸の摩擦力で昇降部材を
上下に移動させる際に、ローラに昇降部材の重量による
負荷がかからないので、ローラの駆動力で昇降部材の移
動を精密に制御することができる。さらに、ローラの駆
動力で昇降部材の重量を支える必要はないので、ローラ
の駆動力は小さい力でよく、動力の小さな回転駆動手段
を用いることができるので、低コスト化に繋がる。
【0020】請求項5に記載の昇降部材支持機構は、請
求項1から請求項4のいずれかに記載の昇降部材支持機
構において、前記ガイド手段は、前記昇降部材を取り囲
んで垂直方向にガイドするガイド筒と、前記ガイド筒と
前記昇降部材との間に設けられたエアベアリング機構と
を備えていることを特徴とする。
【0021】このような構成によれば、ガイド手段のガ
イド筒によって、昇降部材は垂直方向にガイドされるの
で、昇降部材の移動の垂直性が確保される。ガイド筒と
昇降部材との間にはエアベアリング機構が設けられてい
るので、ガイド筒と昇降部材との間の摩擦を低減するこ
とができ、昇降部材をなめらかに、且つ、軽い力で移動
させることができる。
【0022】請求項6に記載の測定機は、請求項1から
請求項5のいずれかに記載の昇降部材支持機構を用い
て、測定対象物の位置および/または座標を測定するた
めの測定子を移動させる移動機構を構成していることを
特徴とする。
【0023】このような構成によれば、請求項1〜5に
記載の発明の効果を利用した測定機を構成することがで
きるので、測定子の移動の垂直性を確保できる測定機と
することができる。その結果、この測定機を用いた測定
の測定精度を向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる昇降部材支
持機構およびこれを用いた測定機の実施の形態を図示例
と共に説明する。図1は、本発明にかかる昇降部材支持
機構を測定機としての三次元測定機1に用いた一実施形
態である。この三次元測定機1は、測定対象物を載置す
るベース2と、測定子13を移動させる移動機構を備え
て構成されており、この移動機構として、測定子13を
Y方向へ移動させるY方向駆動機構3と、測定子13を
X方向へ移動させるX方向駆動機構7と、測定子13を
Z方向へ移動させるZ方向駆動機構11を備えている。
【0025】ベース2は測定対象物を載置するために精
密平坦加工された上面を備える四角柱状である。説明の
ために、ベース2の上面で互いに直交する二方向をそれ
ぞれX方向、Y方向とし、ベース2の上面に垂直な方向
をZ方向とする。Y方向駆動機構3は、ベース2上でY
方向に設けられたYガイドレール4と、このYガイドレ
ール4に沿って移動可能に設けられたYスライダ5L
と、Yスライダ5Lと対になってベース2上をY方向へ
移動するYスライダ6Rとを備えて構成されている。な
お、Yガイドレール4とYスライダ5L、ベース2とY
スライダ6Rとの間にはエアベアリングが設けられてい
るが、説明を省略する。
【0026】X方向駆動機構7は、Yスライダ5LとY
スライダ6Rに両端を支持された長手状のガイド部材で
あるXビーム8と、Xビーム8の長手方向に沿って移動
可能に設けられた可動部材であるXスライダ9と、Xス
ライダ9を移動させるXスライダ駆動手段10とを備え
て構成されている。Xビーム8は、長柱状であり、両端
がYスライダ5LとYスライダ6Rの上に支持され、Y
方向スライド機構3がY方向にスライドされると、Xビ
ーム8もY方向に移動される。Xスライダ9は、Xビー
ム8に沿ってスライド可能に設けられている。Xスライ
ダ9とXビーム8との間にはエアベアリングが設けられ
ているが詳細は省略する。
【0027】Z方向駆動機構11は、図2に示されるよ
うに、昇降部材としてのZ軸スピンドル12と、このZ
軸スピンドル12を垂直方向にガイドするガイド手段と
してのガイド筒22と、上端を揺動支持され下端にピス
トン29を有しZ軸スピンドル12の重心近傍を通るよ
うにZ軸スピンドル12に挿通された支持軸28と、前
記Z軸スピンドル12と支持軸28との間に設けられた
摩擦駆動手段14と、これらをハウジングするハウジン
グ部32とを備えて構成されている。
【0028】Z軸スピンドル12は、長角柱状に形成さ
れ、ガイド筒22によって垂直方向にガイドされてい
る。Z軸スピンドル12の下端には測定対象物に接触
し、測定対象物の位置および/または座標を測定するた
めの測定子13が設けられている。Z軸スピンドル12
の上端にはこのZ軸スピンドル12を上下方向に駆動さ
せるための摩擦駆動手段14が設けられている。
【0029】この摩擦駆動手段14は、支持軸28を相
挟み込む一対のローラである駆動ローラ15および従動
ローラ16と、駆動ローラ15を駆動させるモータ17
とを備えて構成されている。駆動ローラ15と従動ロー
ラ16は所定の押圧力で支持軸28を挟み込み、両ロー
ラ15、16と支持軸28との間で生じる摩擦力で両ロ
ーラ15、16が支持軸28に対して空転しない構成と
なっている。駆動ローラ15とモータ17にはそれぞれ
図示しないプーリが設けられ、これらのプーリに掛け渡
されたベルト18を介してモータ17の動力が駆動ロー
ラ15に伝達される。
【0030】Z軸スピンドル12の内部には、バランス
機構としてのエアバランス機構19が設けられている。
このエアバランス機構19は、Z軸スピンドル12に設
けられたシリンダ室20と、支持軸28のピストン29
とから構成され、シリンダ室20の一室201にエア供
給されるようになっている。Z軸スピンドル12の重心
を通るようにZ軸スピンドル12の軸に沿ってシリンダ
室20が設けられている。このシリンダ室20には支持
軸28の下端に設けられたピストン29が摺動可能に挿
通されている。ピストン29に区画されたシリンダ室2
0のうち、支持軸側の室201には、この室201にエ
アを供給する噴気孔21が設けられている。エアは、シ
リンダ室20の支持軸側の室201の内圧によってZ軸
スピンドル12の重量に見合う押上力を発生させる程度
の圧力でもって供給される。
【0031】ガイド筒22は、筒孔を垂直方向に向けた
状態でXスライダ9に設けられ、Z軸スピンドル12が
このガイド筒22に上下方向に昇降可能に挿通されてい
る。ガイド筒22とZ軸スピンドル12との間にはエア
ベアリング23が設けられている。エアベアリング23
は、エアパッド24がガイド筒22の筒孔に設けられ、
このエアパッド24からZ軸スピンドル12の摺動面に
エアが噴気されることによって形成されている。
【0032】支持軸28は、ガイド筒22に立設された
支柱25に上端を支持されている。支柱25は、ガイド
筒22から少なくともZ軸スピンドル12の移動量以上
の高さを有する位置に横梁26を有し、この横梁26と
Z軸スピンドル12の移動軸の交点に孔が設けられてい
る。この孔には支持軸28が挿通され、この支持軸28
の上端には、支柱25に対して支持軸28を揺動可能に
支持する支持軸逃げ機構42が設けられている。また、
支持軸28の下端には前述したようにピストン29が設
けられ、Z軸スピンドル12のシリンダ室20に挿通さ
れている。
【0033】支持軸逃げ機構42は、図3(A)に示され
るように、横梁26に固定された空気軸受手段としての
エアパッド39と、このエアパッド39に当接されるス
ライドパッド36と、スライドパッド36と支持軸28
との間に設けられた自動調心玉軸受41とを備える。エ
アパッド39は、横梁26に固定されたリング状の支持
部材としての軸受部材37を備え、この軸受部材37に
は、スライドパッド36と当接される面に複数のエア孔
43が軸受部材37の周囲に略等間隔に形成されてい
る。これらのエア孔43は、軸受部材37の内部におい
て環状に合流し、外部のエア配管38に接続されてお
り、このエア配管38より圧搾空気を供給することによ
り、軸受部材37とスライドパッド36との間にエア膜
が形成されている。スライドパッド36は、軸受部材3
7の上方に設けられたリング状部材で、支持軸28に直
交し、軸受部材37に当接される面がスライド可能なス
ライド面40となっている。また、スライドパッド36
の内周には、自動調心玉軸受41の外周が嵌合されてい
る。自動調心玉軸受41は、リング状の外輪がスライド
パッド36に嵌合され、内輪が支持軸28に固定され、
これら外輪と内輪との間に複数の玉が設けられているも
のである。外輪の軌道が球面に形成されており、その曲
率中心が支持軸28の中心と一致しているため、内輪お
よび玉が自動調心玉軸受41の中心の周りを自由に回転
でき、調心性を有する。
【0034】ハウジング部32は、ガイド筒22から支
柱25を覆うようにXスライダ9に設けられている。
【0035】このような構成からなる三次元測定機1に
おいて、測定対象物の位置および/または座標を測定す
る際には、ベース2上に測定対象物を載置し、Y方向駆
動機構3、X方向駆動機構7を駆動させて測定子13を
移動させ、測定対象物に測定子13を接触させる。この
ときの測定子13の位置を記録することによって、測定
対象物の位置および/または座標を測定することができ
る。
【0036】Z方向駆動機構11を駆動させるときは、
モータ17を回転駆動させて駆動ローラ15を回転させ
る。すると、支持軸28を駆動ローラ15と従動ローラ
16で挟み込みこんでいるので、この両ローラ15,1
6と支持軸28との間の摩擦力で駆動ローラ15と従動
ローラ16が支持軸28に沿って移動される。駆動ロー
ラ15と従動ローラ16が移動されると、この両ローラ
15,16とともにZ軸スピンドル12がガイド筒22
にガイドされつつ上下方向に昇降され、測定子13が移
動される。
【0037】ガイド筒22のガイド方向と、支持軸28
の方向とがずれている場合には、図3(B)に示されるよ
うに、Z軸スピンドル12が移動する際に支持軸28に
直交する方向に力Pmがかかる。スライド面40に形成
されたエア膜は、低摩擦係数を有するので、スライドパ
ッド36は力Pmを受けて支持軸28とともにスライド
面40においてスライドし、これにより、支持軸28に
かかる力Pmを低減する。また、この時、支持軸28が
水平方向に移動したことによって、支持軸28は垂直方
向に対して角度を有することとなる。この場合には、自
動調心玉軸受41の外輪および内輪が玉を介して相対的
に傾くことで、支持軸28とZ軸スピンドル12との方
向を略一致させ、支持軸28に生じた角度変動を吸収す
る。
【0038】従って本実施形態によれば次の効果があ
る。本実施形態では、支持軸28の上端に、スライドパ
ッド36およびエアパッド39によってスライド面40
にエア膜を形成し、このエア膜を介してスライドパッド
36をスライドさせることによって支持軸28のずれを
除去する。エア膜は低摩擦係数を有し、従来のスラスト
玉軸受のようなボールの転がり抵抗がないので、支持軸
28にかかる力Pmをほぼ除去することができ、Z軸ス
ピンドル12の移動精度を向上することができる。ま
た、スライドパッド36およびエアパッド39は間にボ
ールを有しないので、スライドパッド36が繰り返しス
ライドした場合でも、ボールが支持軸28に当たってし
まうというような不都合がない。
【0039】スライドパッド36および支持軸28の間
に自動調心玉軸受41を設けたので、支持軸28がスラ
イドパッド36によってスライドしたことで生じる垂直
方向に対しての角度変動を吸収することができ、Z軸ス
ピンドル12の移動精度をより一層向上することができ
る。
【0040】Z軸スピンドル12を移動させる力は両ロ
ーラ15、16と支持軸28との間で生じる。支持軸2
8はZ軸スピンドル12の重心位置を通るシリンダ室2
0に挿通されているので、Z軸スピンドル12を移動さ
せる力の作用も同様に、Z軸スピンドル12の重心位置
近傍を通る軸線にそって作用する。従来、Z軸スピンド
ル12に働く力は、Z軸スピンドル12の外側面に作用
していたため、Z軸スピンドル12の重心位置に対して
は、ガイド筒22のガイド方向と略平行に作用していな
かった。そのため、Z軸スピンドル12にはガイド方向
と交差する力が働き、Z軸スピンドル12の移動の垂直
性に影響が生じるおそれがあった。しかしながら、本実
施形態によれば、Z軸スピンドル12に働く力は、Z軸
スピンドル12の重心を通る移動軸に沿って作用するの
で、Z軸スピンドル12はガイド筒22に沿って垂直に
上下移動され、移動の垂直性が確保される。その結果、
測定子13の移動の垂直性も確保されるので、三次元測
定機1の測定精度が向上される。
【0041】Z軸スピンドル12に設けられたシリンダ
室20のピストン29で区画された支持軸側の室201
には、エアが供給され、このエアはZ軸スピンドル12
の重量に見合う押上力を発生するので、両ローラ15,
16にはZ軸スピンドル12の重量がほとんどかからな
い。よって、両ローラ15,16にZ軸スピンドル12
の重量がかからないのでZ軸スピンドル12の移動を精
密に制御することができる。また、両ローラ15,16
の駆動力でZ軸スピンドル12の重量を支えなくてもよ
いので、両ローラ15,16の駆動力は小さくてよい。
つまり、駆動ローラ15と従動ローラ16が支持軸28
を挟みこむ力は、支持軸28と両ローラ15,16との
間に摩擦力を発生できる程度でよく、また、駆動力の小
さなモータ17を使用することができるので、低コスト
化に繋がる。
【0042】ガイド筒22とZ軸スピンドル12の間に
はエアベアリング23が設けられているので、ガイド筒
22とZ軸スピンドル12との間の摩擦を低減すること
ができ、Z軸スピンドル12をなめらかに、かつ、軽い
力で移動させることができる。よって、Z軸スピンドル
12の移動を精密に制御でき、三次元測定機1の測定精
度を向上させることができる。
【0043】支持軸28はその上端で揺動支持されてい
るので、ガイド筒22にガイドされたZ軸スピンドル1
2の移動に従って、支持軸28はその方向を柔軟に変え
ることができる。よって、支持軸28はZ軸スピンドル
12の移動の垂直性に影響を与えず、Z軸スピンドル1
2の移動の垂直性が確保される。その結果、測定子13
の移動の垂直性が確保されるので、三次元測定機1の測
定精度が向上される。
【0044】また、従来は、Z軸スピンドル12を駆動
させるために、ボールねじのボールねじ軸等を備える必
要があったので、そのためのスペースが必要であった
が、本実施形態においては、支持軸28を両ローラ1
5、16で挟むだけなので、Z方向駆動機構11を小型
化することができ、三次元測定機1を小型化することが
できる。さらには、Z方向駆動機構11が小型化される
ことによって、X方向駆動機構7およびY方向駆動機構
3の必要強度も小さくできることから、三次元測定機1
を小型化、低コスト化することができる。
【0045】尚、本発明の昇降部材支持機構は、上記実
施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を
逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿
論である。例えば、本実施形態において、支持軸28を
挟み込むローラは、駆動ローラ15と従動ローラ16の
二つであるが、ローラは三つ以上設けられていてもよい
ことはもちろんである。また、モータ17で駆動される
ローラは一つではなく二つ以上でもよい。本実施形態に
おけるエアバランス機構19では、Z軸スピンドル12
にシリンダ室20が設けられ、支持軸28にピストン2
9が設けられているが、Z軸スピンドル12にピストン
29が設けられ、支持軸28にシリンダ室20が設けら
れていてもよい。
【0046】本実施形態においては、スライドパッド3
6は自動調心玉軸受41を介して支持軸28に固定され
ていたが、自動調心玉軸受41は角度変動を吸収するも
のであり、必ずしも設けなくても本発明の目的を達成で
きる。
【0047】摩擦駆動手段14は、支持軸28に接続さ
れて、支持軸28とローラ15,16との摩擦によって
駆動されていたが、これに限らず、図4に示されるよう
にZ軸スピンドル12に平行にボールねじ軸221を設
け、このボールねじ軸221に沿ってZ軸スピンドル1
2が昇降するように構成してもよい。
【0048】本実施形態においては、Z軸スピンドル1
2の重量に見合う押上力を発生させるバランス機構とし
て、エアバランス機構19が採用されていたが、これに
限らず、油圧など、その他の方法によって押上力を発生
させてもよい。
【0049】本実施形態においては、昇降部材支持機構
を三次元測定機1に適用した例を示したが、本発明の昇
降部材支持機構は三次元測定機1に限られず、種々の用
途が考えられる。たとえば、一次元測定機(ハイトゲー
ジ)や二次元測定機(表面粗さ測定機)はもちろん、精密
加工を行う各種工作機械等にも適用できる。
【0050】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の昇降部材
支持機構によれば、昇降部材の移動精度を向上できる昇
降部材支持機構を提供するとともに、測定精度が向上さ
れる測定機を提供することができるという優れた効果を
奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる昇降部材支持機構
を用いた三次元測定機を示す図である。
【図2】前記実施形態において、Z方向駆動機構の断面
図である。
【図3】前記実施形態において、昇降部材支持機構の拡
大図である。
【図4】従来におけるZ方向駆動機構を示す図である。
【図5】従来における支持軸の支持機構を示す拡大図で
ある。
【符号の説明】
1 三次元測定機(測定機) 11 Z方向駆動機構 12 Z軸スピンドル(昇降部材) 13 測定子 19 エアバランス機構(バランス機構) 20 シリンダ室 22 ガイド筒(ガイド手段) 28 支持軸 29 ピストン 36 スライドパッド 39 エアパッド(空気軸受手段) 40 スライド面 41 自動調心玉軸受(調心機構) 42 支持軸逃げ機構 201 支持軸側の室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金勝 綾子 栃木県宇都宮市下栗町2200番地 株式会社 ミツトヨ内 (72)発明者 大坪 聖一 栃木県宇都宮市下栗町2200番地 株式会社 ミツトヨ内 Fターム(参考) 2F069 AA04 AA66 GG01 MM04 MM33 RR01 3J102 AA02 AA09 BA18 CA32 EA02 EA13 GA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガイド手段によってガイドされた昇降部
    材を支持する昇降部材支持機構であって、 前記昇降部材の重心位置近傍で、かつ、前記ガイド手段
    によるガイド方向に略平行に配置された支持軸と、 この支持軸の下端と前記昇降部材との間に形成され、支
    持軸方向への昇降部材の昇降を許容しつつ、前記昇降部
    材の重量に見合う押上力を発生するバランス機構と、 前記支持軸の上端側に固定され、下端面に前記支持軸に
    直交するスライド面を有するスライドパッドと、 このスライドパッドのスライド面と対向する位置に設け
    られた支持部材と、 前記スライドパッドの前記スライド面と前記支持部材と
    の間にエア膜を形成する空気軸受手段とを備えているこ
    とを特徴とする昇降部材支持機構。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の昇降部材支持機構にお
    いて、 前記支持軸と前記スライドパッドとの間には、前記支持
    軸が揺動した際に生じる角度変動を吸収する調心機構が
    設けられていることを特徴とする昇降部材支持機構。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の昇降部
    材支持機構において、 前記昇降部材に設けられ前記支持軸を相挟み込む少なく
    とも一対のローラと、 前記ローラの少なくとも一つを回転させる回転駆動手段
    とを備えていることを特徴とする昇降部材支持機構。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の昇降部材支持機構において、 前記バランス機構は、エアによって前記押上力を発生さ
    せるエアバランス機構であり、 前記エアバランス機構は、前記支持軸および前記昇降部
    材のいずれか一方に設けられたピストンと、 前記支持軸および前記昇降部材のいずれか他方に設けら
    れ、かつ、内部に前記ピストンを収納して、そのピスト
    ンに対して上下方向へ相対往復運動可能なシリンダ室と
    を備え、 前記シリンダ室の前記ピストンで区画された室にエアを
    送り込むことにより、前記昇降部材の重量に見合う押上
    力を発生することを特徴とする昇降部材支持機構。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の昇降部材支持機構において、 前記ガイド手段は、前記昇降部材を取り囲んで垂直方向
    にガイドするガイド筒と、 前記ガイド筒と前記昇降部材との間に設けられたエアベ
    アリング機構とを備えていることを特徴とする昇降部材
    支持機構。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記載
    の昇降部材支持機構を用いて、測定対象物の位置および
    /または座標を測定するための測定子を移動させる移動
    機構を構成していることを特徴とする測定機。
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JP2010107282A (ja) * 2008-10-29 2010-05-13 Mitsutoyo Corp 測定装置

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