JP2003277480A - 硬化性樹脂組成物及びそれを用いたプリント配線板 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及びそれを用いたプリント配線板

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JP2003277480A
JP2003277480A JP2002084594A JP2002084594A JP2003277480A JP 2003277480 A JP2003277480 A JP 2003277480A JP 2002084594 A JP2002084594 A JP 2002084594A JP 2002084594 A JP2002084594 A JP 2002084594A JP 2003277480 A JP2003277480 A JP 2003277480A
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Masaki Sasaki
正樹 佐々木
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Taiyo Ink Mfg Co Ltd
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  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)
  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的低温で硬化反応が速やかに進行し、熱
かぶりや硬化塗膜の着色や硬化収縮を生じることもなく
諸特性に優れた硬化皮膜を形成できる硬化性樹脂組成
物、特に光硬化性・熱硬化性樹脂組成物、及びその硬化
物によりソルダーレジスト及び/又は導体回路層間の絶
縁層が形成されたプリント配線板を提供する。 【解決手段】 硬化性樹脂組成物は(A)カルボキシル
基含有樹脂、(B)オキセタニル基を有する化合物、及
び(C)下記構造式(1)を有する有機ホスホニウム塩
化合物を含有し、光硬化性・熱硬化性樹脂組成物はこれ
らの各成分に加えてさらに(D)光重合性モノマー及び
(E)光重合開始剤を含有する。 【化1】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ炭素数2〜
20のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基
又はアラルキル基を表わし、互いに同一でも異なってい
てもよく、またXは弱求核性アニオン種を表わす。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状形態又は回路
基板の製造、電子部品への実装等のアプリケーションに
好適なドライフィルム形態にある硬化性樹脂組成物に関
し、特に民生用乃至産業用プリント配線基板のソルダー
レジストや導体回路層間の絶縁層などの形成に適した光
硬化性・熱硬化性樹脂組成物に関する。本発明はまた、
かかる組成物の硬化物によりソルダーレジスト及び/又
は導体回路層間の絶縁層が形成されているプリント配線
板に関する。
【0002】
【従来の技術】ビスフェノールA型エポキシ樹脂に代表
されるエポキシ樹脂は、その優れた密着性や耐熱性、耐
薬品性、電気絶縁性を有することから、従来から広く接
着剤やレジスト剤、注型剤、積層材、塗料、封止剤など
の用途に使用されている。しかしながら、電気産業や半
導体産業の発展に伴い、例えば耐熱性、強靱性、耐水
性、耐薬品性などの特性向上が要求され、かかる特性を
満足すべく種々のエポキシ樹脂が提案されてきた。例え
ば、耐熱性の優れたエポキシ樹脂として、クレゾールノ
ボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポ
キシ樹脂などの多核エポキシ樹脂が提案されている。し
かし、これらのエポキシ樹脂は、確かに耐熱性には優れ
ているものの、硬化時の収縮が大きく、伸びが少なく、
強靱性に欠けるため、熱衝撃によるクラックが発生し易
いという欠点があった。
【0003】また、一般に民生用乃至産業用プリント配
線基板においては、電子部品実装時のはんだ供給に当た
って、不要部分へのはんだ不着防止や回路保護を目的と
して、ソルダーレジストが形成される。このソルダーレ
ジスト用の樹脂組成物としては、高精度、高密度の観点
からフォトリソ法にてパターンを形成する現像型ソルダ
ーレジスト組成物が普及しており、なかでも環境への配
慮、コストの面から希アルカリ水溶液を用いるアルカリ
現像タイプのソルダーレジスト組成物が主流となってい
る。
【0004】このようなソルダーレジスト組成物には、
はんだ耐熱性などを向上させるために、通常、2個以上
のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂が熱硬化性成
分として含まれている。しかしながら、この多官能エポ
キシ樹脂は反応性が高いために、これを含有する光硬化
性・熱硬化性樹脂組成物は、シェルフライフ(保存寿
命)が短く、回路板ブランクへの塗布前に増粘し易いた
め、一液型に組成することが困難である。そのため、多
官能エポキシ樹脂を主体とした硬化剤溶液と、感光性プ
レポリマーを主体とし、これに硬化促進剤等を配合した
主剤溶液の二液型に組成し、使用に際してこれらを混合
して用いる必要があり、作業性の点で問題があった。
【0005】また、有機溶剤に可溶性の多官能エポキシ
樹脂を含む光硬化性・熱硬化性樹脂組成物では、エポキ
シ樹脂は感光性プレポリマーと絡み合った状態で溶け込
んでいる。そのため、その塗膜を露光して未露光部を現
像したときに、上記絡み合いのために感光性プレポリマ
ーの溶解性を低下させ、またエポキシ樹脂は溶剤に溶け
ているがために反応が速くなり、現像時に現像残りが生
ずる現象、所謂「熱かぶり」を生じ易くなり、現像性が
悪くなるといった問題もあった。さらに、多官能エポキ
シ樹脂を含む光硬化性・熱硬化性樹脂組成物は、ドライ
フィルムの如き形態にすると、シェルフライフ(保存寿
命)が短くなり、0℃以下の冷凍保存を行なう必要性が
あった。つまり、室温保存性に問題があった。
【0006】このような問題がなく、エポキシ樹脂に代
わり得る化合物として、近年、オキセタン化合物が注目
されている。また、新しい有機反応の創造や、その高分
子合成への応用の観点から、4員環エーテルであるオキ
セタン環の開環付加反応を利用した有機反応が研究され
ており、例えばオキセタン化合物と活性エステルとの付
加反応(T. Nishikubo and K. Sato, Chem. Lett., 697
(1992))や、ビスオキセタンとジカルボン酸との重付
加反応による側鎖に一級の水酸基を有するポリエステル
の合成(T. Nishikubo, A. Kameyama, A. Suzuki, Reac
tive & Functional Polymers, 37, 19 (1998))が研
究、報告されている。さらに最近では、ビスオキセタン
類とビスフェノール類との重付加反応(T. Nishikubo,
A. Kameyama, M. Ito, T. Nakajima, H. Miyazaki, Jou
rnal of Polymer Chemistry, Vol.37, pp. 2781-2790
(1998))が報告されており、また特開平11−4354
0号公報にはオキセタン化合物とポリカルボン酸を含有
する熱硬化性組成物が開示されているが、いずれの場合
も、具体例においては、硬化反応の触媒としてテトラフ
ェニルホスホニウムブロミド(TPPB)等のハロゲン
イオンをアニオン種とする四級オニウム塩が用いられて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ように、硬化反応の触媒としてテトラフェニルホスホニ
ウムブロミド(TPPB)等のハロゲンイオンをアニオ
ン種とする四級オニウム塩を用いたオキセタン化合物の
硬化反応系では、約180℃での硬化が必要である。こ
れよりも低温での硬化では長時間の硬化反応が必要とな
り、実用的でない。一方、例えばプリント配線板に用い
られている汎用の基材(FR−4)では、耐熱性が17
0℃前後である。そのため、約180℃での硬化が必要
な従来のオキセタン化合物を含む硬化反応系では汎用の
基材を用いることができず、これがオキセタン化合物を
含む硬化性樹脂組成物を実用化できない最も大きな障害
となっていた。また、プリント配線板に適用した場合、
(銅回路をハロゲンイオンが腐食するためとも考えられ
るが)硬化塗膜に着色を生じるという問題もあった。
【0008】従って、本発明の基本的な目的は、従来の
汎用の基材が使用可能な程度の比較的低温で硬化反応が
速やかに進行するオキセタン化合物を含む硬化性樹脂組
成物を見出すことにある。本発明の他の目的は、前記し
たような熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂使用による
問題がなく、それに代えて用いるオキセタン化合物の利
点をそのまま具有し、比較的低温で硬化反応が速やかに
進行し、硬化塗膜の着色や硬化収縮を生じることもな
く、耐熱性、密着性、電気絶縁性等の諸特性に優れた硬
化皮膜を形成できる硬化性樹脂組成物、特に、保存安定
性に優れて一液型に組成することが可能であり、また現
像時のライフが長く(現像の作業余裕度が大きく)現像
性に優れと共に、熱かぶりを生じることなく前記した諸
特性に優れた硬化塗膜が形成でき、それによって絶縁信
頼性の向上を図ることができる光硬化性・熱硬化性樹脂
組成物を提供することにある。さらに本発明の目的は、
上記のような硬化性樹脂組成物、特に光硬化性・熱硬化
性樹脂組成物の硬化物によりソルダーレジスト及び/又
は導体回路層間の絶縁層が形成されたプリント配線板を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の第一の側面によれば、(A)カルボキシル
基含有樹脂、(B)オキセタニル基を有する化合物(以
下、「オキセタン化合物」という。)、及び(C)下記
構造式(1)を有する有機ホスホニウム塩化合物を含有
することを特徴とする硬化性樹脂組成物が提供される。
【化3】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ炭素数2〜
20のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基
又はアラルキル基を表わし、互いに同一でも異なってい
てもよく、またXは弱求核性アニオン種を表わす。)
【0010】また、本発明の第二の側面によれば、
(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)オキセタン化合
物、(C)前記構造式(1)を有する有機ホスホニウム
塩化合物、(D)光重合性モノマー、及び(E)光重合
開始剤を含有することを特徴とする光硬化性・熱硬化性
樹脂組成物が提供される。さらに本発明の第三の側面に
よれば、前記硬化性樹脂組成物又は光硬化性・熱硬化性
樹脂組成物の硬化物によりソルダーレジスト及び/又は
導体回路層間の絶縁層が形成されていることを特徴とす
るプリント配線板が提供される。
【0011】好適な態様においては、前記構造式(1)
において、Xは共役酸HXのpKaが−9以下となるア
ニオン種X-であり、例えばBrよりも求核性の小さい
アニオン種であり、より好ましくはBF4 -、PF6 -、S
bCl5 -、AsCl5 -、B(C654 -、B(C65
4 -、CF3SO3 -及びCH3SO3 -よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種である。前記硬化性樹脂組成物あるい
は光硬化性・熱硬化性樹脂組成物は、液状形態であって
もよく、あるいはドライフィルムの形態であってもよ
い。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、前記した課題を解
決するために鋭意検討した結果、オキセタン化合物を含
む硬化反応系の触媒として、有機ホスホニウム塩の中で
も特に求核性の小さいアニオン種を含むもの、すなわち
前記構造式(1)で示される触媒がオキセタニル基とカ
ルボキシル基の反応に有効であり、該触媒を用いること
により、160℃で90分程度の硬化条件で充分な硬化
特性が得られ、充分に実用可能であることを見出し、本
発明を完成するに至ったものである。また、上記触媒を
用いることの利点は、硬化性が良好であると共に、硬化
物の着色が少ないという点にあり、このためプリント配
線板だけでなく、硬化塗膜の着色が望まれない液晶部品
等の様々な用途に有利に用いることができる。
【0013】また、カルボキシル基含有樹脂と共にオキ
セタン化合物を含有する硬化性樹脂組成物、あるいはさ
らに光重合性モノマー、光重合開始剤を含有する光硬化
性・熱硬化性樹脂組成物は、従来のように熱硬化性成分
としてエポキシ樹脂を用いた場合の不利益がなく、オキ
セタン化合物使用による利点を享受できる。すなわち、
本発明の硬化性樹脂組成物及び光硬化性・熱硬化性樹脂
組成物に熱硬化性成分として添加されるオキセタン化合
物は、四員環のオキセタニル基を有し、これが熱硬化時
にカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と反応して
主に一級の水酸基が発生するので、主に二級の水酸基を
発生する多官能エポキシ化合物を用いた場合に比べて基
板との密着性に優れた硬化皮膜が得られると共に、四員
環故に反応後にエチレンユニットが多い分、体積収縮が
少なく、靭性に優れ、その結果、耐クラック性にも優れ
た硬化皮膜が得られる。また、多官能オキセタン化合物
は多官能エポキシ化合物に比べて反応性が遅いため、こ
れを含有する光硬化性・熱硬化性樹脂組成物はシェルフ
・ライフ(保存寿命)が長く、一液型に組成することが
可能となり、また室温保存が可能な感光性ドライフィル
ムを作成でき、さらにかかる一液型の光硬化性・熱硬化
性樹脂組成物や感光性ドライフィルムを用いることによ
り作業性の点でも有利であり、さらに、現像ライフが長
いと共に熱かぶりが起こり難いという効果も得られる。
【0014】以下、本発明の硬化性樹脂組成物及び光硬
化性・熱硬化性樹脂組成物の各成分について詳細に説明
する。まず、カルボキシル基含有樹脂(A)としては、
カルボキシル基を有する樹脂、具体的にはそれ自体がエ
チレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感
光性樹脂及びエチレン性不飽和二重結合を有さないカル
ボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能であり、特定の
ものに限定されるものではないが、特に以下に列挙する
ような樹脂(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよ
い)を好適に使用できる。
【0015】(1)(a)不飽和カルボン酸と(b)不
飽和二重結合を有する化合物を共重合させることによっ
て得られるカルボキシル基含有樹脂、(2)(a)不飽
和カルボン酸と(b)不飽和二重結合を有する化合物の
共重合体にエチレン性不飽和基をペンダントとして付加
させることによって得られるカルボキシル基含有感光性
樹脂、(3)(c)エポキシ基と不飽和二重結合を有す
る化合物と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重
合体に、(a)不飽和カルボン酸を反応させ、生成した
二級の水酸基に(d)飽和又は不飽和多塩基酸無水物を
反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(4)(e)不飽和二重結合を有する酸無水物と(b)
不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(f)水
酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得ら
れるカルボキシル基含有感光性樹脂、(5)(g)1分
子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する多官能エポ
キシ化合物のエポキシ基と(h)不飽和モノカルボン酸
のカルボキシル基をエステル化反応(全エステル化又は
部分エステル化、好ましくは全エステル化)させ、生成
した水酸基にさらに(d)飽和又は不飽和多塩基酸無水
物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹
脂、(6)(b)不飽和二重結合を有する化合物とグリ
シジル(メタ)アクリレートの共重合体のエポキシ基
に、(i)1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エ
チレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成
した二級の水酸基に(d)飽和又は不飽和多塩基酸無水
物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂、
(7)(j)水酸基含有ポリマーに(d)飽和又は不飽
和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基
含有樹脂、(8)(j)水酸基含有ポリマーに(d)飽
和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカル
ボキシル基含有樹脂に、(c)エポキシ基と不飽和二重
結合を有する化合物をさらに反応させて得られるカルボ
キシル基含有感光性樹脂、(9)(g)1分子中に少な
くとも2個のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物
と、不飽和モノカルボン酸(h)と、(k)1分子中に
少なくとも2個の水酸基と、エポキシ基と反応する水酸
基以外の1個の他の反応性基を有する化合物との反応生
成物(I)に、(d)飽和又は不飽和多塩基酸無水物を
反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(10)上記反応生成物(I)と、(d)飽和又は不飽
和多塩基酸無水物と、(m)不飽和基含有モノイソシア
ネートとの反応生成物からなる不飽和基含有ポリカルボ
ン酸ウレタン樹脂、(11)(n)1分子中に少なくと
も2個のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物
に(h)不飽和モノカルボン酸を反応させ、得られた変
性オキセタン樹脂中の一級水酸基に対して(d)飽和又
は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキ
シル基含有感光性樹脂、(12)(p)ビスエポキシ化
合物と(q)ジカルボン酸との反応生成物に、不飽和二
重結合を導入し、引き続き(d)飽和又は不飽和多塩基
酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹
脂、及び(13)(p)ビスエポキシ化合物と(r)ビ
スフェノール類との反応生成物に、不飽和二重結合を導
入し、引き続き(d)飽和又は不飽和多塩基酸無水物を
反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0016】前記(1)のカルボキシル基含有樹脂は、
アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和カルボン酸
(a)と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキ
ル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和二重
結合を有する化合物(b)の共重合体であり、一方、前
記(2)のカルボキシル基含有感光性樹脂は、不飽和カ
ルボン酸(a)と不飽和二重結合を有する化合物(b)
の共重合体のカルボキシル基の一部に、充分な光硬化深
度が得られる程度にまで光硬化性を向上させる割合で、
ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル
基等のエチレン性不飽和基とエポキシ基、酸クロライド
等の反応性基を有する化合物、例えばグリシジル(メ
タ)アクリレートを反応させ、該化合物の不飽和二重結
合を側鎖に導入した樹脂である。上記共重合体の一方の
モノマー成分である不飽和カルボン酸(a)の有するカ
ルボキシル基の一部は未反応のまま残存するため、得ら
れるカルボキシル基含有感光性樹脂は、アルカリ水溶液
に対して可溶性である。そのため、このような樹脂を含
有する組成物から形成した皮膜は、選択的露光後にアル
カリ水溶液により安定した現像が可能となる。なお、本
明細書中で(メタ)アクリレートとは、アクリレートと
メタアクリレートを総称する用語であり、他の類似の表
現についても同様である。
【0017】前記(3)のカルボキシル基含有感光性樹
脂は、(c)分子中にエポキシ基と不飽和二重結合を有
する化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、
α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等と、前記
(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体のエポ
キシ基に、充分な光硬化深度が得られる程度にまで光硬
化性を向上させる割合で、前記(a)不飽和カルボン酸
のカルボキシル基を反応させ、該不飽和カルボン酸の不
飽和二重結合を側鎖に導入すると共に、上記付加反応で
生成した二級の水酸基に、(d)多塩基酸無水物、例え
ば無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸等をエステル化反応させ、側鎖にカル
ボキシル基を導入した樹脂である。
【0018】前記(4)のカルボキシル基含有感光性樹
脂は、(e)不飽和二重結合を有する酸無水物、例えば
無水マレイン酸、無水イタコン酸等と、前記(b)不飽
和二重結合を有する化合物の共重合体の酸無水物基の一
部に、充分な光硬化深度が得られる程度にまで光硬化性
を向上させる割合で、(f)水酸基と不飽和二重結合を
有する化合物、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレート類、(メタ)アクリレートにカプロラクトンを
反応させたモノマー、(メタ)アクリレートにポリカプ
ロラクトンオリゴマーを反応させたマクロモノマー等の
水酸基を反応させてハーフエステルとし、該化合物
(f)の不飽和二重結合を側鎖に導入した樹脂である。
【0019】前記(5)のカルボキシル基含有感光性樹
脂は、(g)ビスフェノールA型、ビスフェノールF
型、ビスフェノールS型、フェノールノボラック型、ク
レゾールノボラック型、ビフェノール型、ビキシレノー
ル型、N−グリシジル型等の公知慣用のエポキシ化合物
のエポキシ基に、充分な光硬化深度が得られる程度にま
で光硬化性を向上させる割合で、(h)(メタ)アクリ
ル酸等の不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基を反応
させ、例えばエポキシアクリレートを生成させると共
に、上記付加反応で生成した二級の水酸基に前記(d)
多塩基酸無水物をエステル化反応させ、側鎖にカルボキ
シル基を導入した樹脂である。このようなカルボキシル
基含有感光性樹脂は、光硬化性に優れると共に、バック
ボーンポリマーのエポキシアクリレートは疎水性を示
す。従って、該樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物を用
いた場合、エポキシアクリレートの疎水性が有利に利用
され、光硬化し難いパターン深部の耐現像性が向上す
る。その結果、現像及び露光工程における条件設定の余
裕度が広がる。
【0020】前記(6)のカルボキシル基含有樹脂は、
前記(b)不飽和二重結合を有し、水酸基や酸性基を持
たないアルキル(メタ)アクリレート、置換もしくは非
置換スチレンなどの化合物と、グリシジル(メタ)アク
リレートを主鎖とする共重合体のグリシジル基に、
(i)1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレ
ン性不飽和結合を持たない有機酸、例えば炭素数2〜1
7のアルキルカルボン酸、芳香族基含有アルキルカルボ
ン酸等を反応させ、生成した二級の水酸基に前記(d)
多塩基酸無水物を付加反応させて得られる樹脂である。
この樹脂におけるカルボキシル基の導入は、上記共重合
体のペンダントのグリシジル基に有機酸を反応させるこ
とによって生成し、かつ主鎖近傍に位置する二級の水酸
基に、多塩基酸無水物を付加反応させて行なわれるもの
であるため、カルボキシル基は側鎖の主鎖近傍部位に結
合しており、主鎖と側鎖の立体的障害により塩基性の無
機微粒子との接触が制御される。その結果、無機フィラ
ーと共にこのようなアルカリ可溶性のカルボキシル基含
有樹脂を含有する組成物は、優れた保存安定性を示し、
保存中に粘度の変化やゲル化を殆ど生ずることはない。
【0021】前記(7)のカルボキシル基含有樹脂は、
(j)水酸基含有ポリマー、例えばオレフィン系水酸基
含有ポリマー、アクリル系ポリオール、ゴム系ポリオー
ル、ポリビニルアセタール、スチレンアリルアルコール
系樹脂、セルロース類等に、酸性度の比較的弱い前記
(d)多塩基酸無水物を反応させてカルボキシル基を導
入した樹脂である。このようなカルボキシル基含有樹脂
は、親水性基(カルボキシル基、水酸基)を有するた
め、基板に対する良好な濡れ性を示し、これを含有する
光硬化性樹脂組成物は乾燥、露光、現像の各工程におい
て基板に対する安定した密着性や良好な保存安定性を示
す。
【0022】一方、前記(8)のカルボキシル基含有感
光性樹脂は、前記カルボキシル基含有樹脂(7)のカル
ボキシル基に、充分な光硬化深度が得られる程度にまで
光硬化性を向上させる割合で、前記(c)エポキシ基と
不飽和二重結合を有する化合物のエポキシ基を反応さ
せ、該化合物(c)の不飽和二重結合を側鎖に導入した
樹脂である。このようなカルボキシル基含有感光性樹脂
は、光硬化性に優れ、充分な光硬化深度を示す。
【0023】前記(9)のカルボキシル基含有感光性樹
脂の合成反応は、多官能エポキシ化合物(g)に不飽和
モノカルボン酸(h)(又は化合物(k))を反応さ
せ、次いで化合物(k)(又は不飽和モノカルボン酸
(h))を反応させる第一の方法と、多官能エポキシ化
合物(g)と不飽和モノカルボン酸(h)と化合物
(k)を同時に反応させる第二の方法とがある。どちら
の方法でもよいが、第二の方法が好ましい。前記1分子
中に少なくとも2個以上の水酸基と、エポキシ基と反応
する水酸基以外の1個の他の反応性基(例えば、カルボ
キシル基、二級アミノ基等)を有する化合物(k)の具
体例としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジ
メチロール酢酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草
酸、ジメチロールカプロン酸等のポリヒドロキシ含有モ
ノカルボン酸;ジエタノールアミン、ジイソプロパノー
ルアミン等のジアルカノールアミン類等が挙げられる。
【0024】一方、前記(10)の不飽和基含有ポリカ
ルボン酸ウレタン樹脂の合成反応は、前記反応生成物
(I)と多塩基酸無水物(d)を反応させ、次いで、生
成した不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂中の水酸基に対
して不飽和基含有モノイソシアネート(m)を反応させ
るのが好ましい。前記不飽和モノイソシアネート(m)
の具体例としては、例えばメタクリロイルイソシアネー
ト、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートや、有
機ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と前記
の1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレー
ト類を約等モル比で反応させることにより得られる反応
生成物等が挙げられる。
【0025】前記(11)のカルボキシル基含有感光性
樹脂は、出発原料として、不飽和モノカルボン酸との反
応によって主として二級の水酸基を生じるエポキシ樹脂
に代えて、オキセタン環を有する化合物を用い、多官能
オキセタン化合物(n)に不飽和モノカルボン酸(h)
を反応させ、得られた変性オキセタン樹脂の一級の水酸
基に対してさらに多塩基酸無水物(d)を反応させるこ
とにより、結合部位が熱的に切断され難く、熱安定性に
優れた樹脂としたものであり、このカルボキシル基含有
感光性樹脂を用いることによって耐熱性、熱安定性に優
れたアルカリ現像型の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物を
調製できる。
【0026】前記(12)及び(13)のカルボキシル
基含有樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポ
キシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水
添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エ
ポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂等のビスエ
ポキシ化合物(p)と、シュウ酸、マロン酸、コハク
酸、フタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸(q)又
はビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノ
ール類(r)との反応生成物に、不飽和二重結合を導入
し、引き続き、上記反応で生成した二級の水酸基あるい
は残存する水酸基等に対してさらに多塩基酸無水物
(d)を反応させることにより、熱安定性に優れた樹脂
としたものである。不飽和二重結合の導入は、一般に、
ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル
基等のエチレン性不飽和基と、上記反応で残存する水酸
基、カルボキシル基等や生成した水酸基との反応性を有
するエポキシ基、酸クロライド等の反応性基を有する化
合物を反応させることによって行なわれる。
【0027】前記したようなカルボキシル基含有樹脂及
びカルボキシル基含有感光性樹脂は、単独で又は混合し
て用いてもよいが、いずれの場合でもこれらは合計で組
成物全量の10〜80質量%、好ましくは20〜60質
量%の割合で配合することが好ましい。また、前記カル
ボキシル基含有樹脂及びカルボキシル基含有感光性樹脂
としては、それぞれ酸価30〜250mgKOH/g、
好ましくは50〜200mgKOH/g、かつ、カルボ
キシル基含有感光性樹脂の場合、その二重結合当量が3
50〜2,000、好ましくは400〜1,500のも
のを好適に用いることができる。上記樹脂の酸価が30
mgKOH/gより低い場合、オキセタン化合物(B)
との充分な硬化反応が進行し難くなり、また、光硬化性
・熱硬化性樹脂組成物の塗膜形成性分としても含有され
ている場合には、アルカリ水溶液に対する溶解性が不充
分で現像不良を生じ易く、一方、250mgKOH/g
より高い場合、現像時に皮膜の密着性の劣化や光硬化部
(露光部)の溶解が生じるので好ましくない。さらに、
カルボキシル基含有感光性樹脂の場合、感光性樹脂の二
重結合当量が2,000よりも大きいと、現像時の作業
余裕度が狭く、また光硬化時に高露光量を必要とするの
で好ましくない。
【0028】前記オキセタン化合物(B)としては、分
子中に1つのオキセタニル基を有する単官能オキセタン
化合物、分子中に2つ以上のオキセタニル基を有する多
官能オキセタン化合物のいずれも使用可能であり、特定
の化合物に限定されるものではない。単官能オキセタン
化合物としては、下記一般式(2)で表わされるオキセ
タン化合物を好適に用いることができる。
【化4】 (式中、R5は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基
である。) アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、
ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等の
直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。これらの中
でも、3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−
3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒ
ドロキシメチルオキセタンが好ましい。
【0029】2官能オキセタン化合物としては、下記一
般式(3)で示されるビスオキセタン類が挙げられる。
【化5】 上記一般式(3)において、R5は前記と同じ意味であ
り、R6は、炭素数1〜12の線状又は分岐状飽和炭化
水素類、炭素数1〜12の線状又は分岐状不飽和炭化水
素類、下記式(A)、(B)、(C)、(D)及び
(E)で示される芳香族炭化水素類、式(F)及び
(G)で示されるカルボニル基を含む直鎖状又は環状の
アルキレン類、式(H)及び(I)で示されるカルボニ
ル基を含む芳香族炭化水素類から選択される2つの原子
価を持った基である。その他の2官能オキセタン化合物
としては、カルド型、ナフタレン型などが挙げられる。
【0030】
【化6】 式中、R7は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル
基、アリール基、又はアラルキル基を表わし、R8は、
−O−、−S−、−CH2−、−NH−、−SO2−、−
CH(CH3)−、−C(CH32−、又は−C(C
32−を表わし、R9は、水素原子又は炭素数1〜6
のアルキル基を表わす。
【0031】
【化7】 式中、nは1〜12の整数を表わす。
【0032】
【化8】
【0033】3官能オキセタン化合物としては、下記一
般式(4)で示されるような化合物の他、オキセタンと
ノボラック樹脂、ポリ(ヒドロキシスチレン)、カリッ
クスアレーン類、又はシルセスキオキサン等のシリコー
ン樹脂類などの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物な
どが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和
モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体
等も挙げられる。
【0034】
【化9】 上記一般式(4)において、R5は前記と同じ意味であ
り、R10は、前記エーテル化物の水酸基含有樹脂残基、
下記式(J)、(K)及び(L)で示されるような炭素
数1〜12の分岐状アルキレン基、式(M)、(N)及
び(P)で示される芳香族炭化水素類である。また、m
は残基R10に結合している官能基の数を表わし、3以上
の整数、好ましくは3〜5000の整数である。
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】 式中、R11は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、
又はアリール基を表わす。
【0037】前記したようなオキセタン化合物(B)
は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることがで
きるが、特に後述する有機溶剤に難溶性の微粒状のオキ
セタン化合物、あるいは難溶性のオキセタン化合物と可
溶性のオキセタン化合物を組み合わせて用いることが好
ましい。上記熱硬化性成分としてのオキセタン化合物
(B)の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂(A)
100質量部に対して5〜200質量部の割合が適当で
あり、好ましくは15〜100質量部である。
【0038】本発明では、硬化反応の触媒として前記構
造式(1)を有する有機ホスホニウム塩化合物(C)を
用いることを特徴としている。この有機ホスホニウム塩
化合物(C)では、弱求核性のアニオン種、即ち前記構
造式(1)におけるXが共役酸HXのpKaが−9以下
となるアニオン種X-、例えばBF4 -、PF6 -、SbC
5 -、SbF6 -、AsCl5 -、AsF6 -、B(C65
4 -、B(C654 -や、CF3SO3 -、CH3SO3 -、C
817SO3 -あるいはさらに下記式で示されるようなス
ルホン酸アニオンなどが用いられるが、好ましくは、前
記構造式(1)において、XはBrよりも求核性の小さ
いアニオン種であり、より好ましくはBF4 -、PF6 -
SbCl5 -、AsCl5 -、B(C 654 -、B(C
654 -、CF3SO3 -、及びCH3SO3 -よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種である。
【0039】
【化12】
【0040】
【化13】
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】前記構造式(1)を有する有機ホスホニウ
ム塩化合物(C)の使用量は、オキセタニル基1モルに
対して0.1〜25モル%の範囲であり、好ましくは
0.5〜20モル%であり、より好ましくは1〜15モ
ル%である。有機ホスホニウム塩化合物(C)の使用量
がオキセタニル基に対して0.1モル%よりも少ないと
実用的な速度で反応が進行し難く、一方、25モル%よ
りも多量に使用しても顕著な反応促進効果は見られない
ため、経済性の点で好ましくない。
【0044】前記したカルボキシル基含有樹脂(A)、
オキセタン化合物(B)及び有機ホスホニウム塩化合物
(C)、さらに必要により有機溶剤、充填剤、硬化促進
剤等が配合された本発明の硬化性樹脂組成物は、従来知
られている方法と同様の方法で容易に硬化物を得ること
ができ、プリント配線板のレジスト材料、樹脂絶縁材
料、封止剤、接着剤、塗料等として利用できる。また、
本発明の硬化性樹脂組成物を必要に応じて押出機、ニー
ダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合・溶融
した後、注型あるいはトランスファー成形機などを用い
て成形し、加熱することにより硬化物を得ることができ
る。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶
解させ、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊
維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含
浸させ、加熱乾燥して得たプリプレグを、熱プレス成形
して硬化物を得ることもできる。また、カルボキシル基
含有樹脂(A)がカルボキシル基含有感光性樹脂の場
合、前記成分に加えて後述する光重合開始剤(E)を添
加することにより、活性エネルギー線の照射によって硬
化させることもできる。
【0045】本発明の硬化性樹脂組成物が光硬化性・熱
硬化性樹脂組成物を組成する場合、前記各成分(A)〜
(C)に加えて光重合性モノマー(D)及び光重合開始
剤(E)を配合する。前記カルボキシル基含有樹脂
(A)が不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有
樹脂の場合、光重合性モノマー(D)は必須成分とな
る。一方、不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有
感光性樹脂の場合、光重合性モノマー(D)は必ずしも
含有していなくても光硬化は可能であるが、充分な光硬
化深度が得られ難いため、光重合性モノマー(D)を配
合することが好ましい。
【0046】光重合性モノマー(D)の代表的なものと
しては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルアクリレート、N−ビニルピロリドン、
アクリロイルモルフォリン、メトキシテトラエチレング
リコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコー
ルアクリレート、ポリエチレグリコールジアクリレー
ト、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロ−ル
アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアク
リルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、メ
ラミンアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピ
レングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコー
ルジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリ
レート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、フ
ェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、グリセリ
ンジグリシジルエーテルジアクリレート、グリセリント
リグリシジルエーテルトリアクリレート、イソボルニル
アクリレート、シクロペンタジエン モノ−あるいはジ
−アクリレートや、ヘキサンジオール、トリメチロール
プロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプ
ロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシ
エチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれら
のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付
加物の多価アクリレート類、及び上記アクリレートに対
応する各メタクリレート類、多塩基酸とヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又
はそれ以上のポリエステルなどが挙げられ、単独で又は
2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】上記光重合性モノマー(D)の使用目的
は、前記カルボキシル基含有樹脂(A)を希釈せしめ、
塗布しやすい状態にするとともに、光重合性を付与(不
飽和二重結合を有さないカルボキシル含有樹脂の場合)
又は向上(不飽和二重結合を有するカルボキシル含有感
光性樹脂の場合)させることにあり、好適な使用量は前
記カルボキシル基含有樹脂(A)100質量部に対し3
〜50質量部の割合である。3質量部未満の場合は光硬
化性付与又は向上効果が充分ではなく、一方、50質量
部を超えると指触乾燥性が低下するため好ましくない。
【0048】前記光重合開始剤(E)としては、活性エ
ネルギー線の照射によりラジカルを発生する公知の化合
物が使用可能であり、例えば、アセトフェノン、2,2
−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−
ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチ
ルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、
トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリ
クロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチ
オ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オ
ン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モ
ルフォリノフェニル)−ブタノン−1、N,N−ジメチ
ルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾ
フェノン、メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフ
ェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、4,4´
−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ビス
ジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4
−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド等
のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾイ
ンメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾ
インイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエー
テル等のベンゾインエーテル類;アセトフェノンジメチ
ルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール
類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,
4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキ
サントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等の
チオキサントン類;2−メチルアントラキノン、2−エ
チルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキ
ノン、1−クロロアントラキノン、2−アミノアントラ
キノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアント
ラキノン類;ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキ
シド等の有機過酸化物;2,4,5−トリアリールイミ
ダゾール二量体、リボフラビンテトラブチレート、2−
メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾ
オキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチ
オール化合物;2,4,6−トリス−s−トリアジン、
2,2,2−トリブロモエタノール、トリブロモメチル
フェニルスルホン等の有機ハロゲン化合物;2,4,6
−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド等が挙げられる。またその他の例として、アクリジン
化合物類、オキシムエステル類などが挙げられる。これ
らの化合物は、単独で用いることもでき、また2種以上
を組み合わせて使用することもできる。
【0049】さらに、上記のような光重合開始剤(E)
は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、
N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、
ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチ
ルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類及
び、β−チオジグリコールなどのチオエーテル類;(ケ
ト)クマリン、チオキサンテンなどの増感色素類、及び
シアニン、ローダミン、サフラニン、マイカライトグリ
ーン、メチレンブルー等の色素のアルキルホウ酸塩のよ
うな光増感剤もしくは促進剤の1種あるいは2種以上と
組み合わせて用いることができる。
【0050】前記光重合開始剤(E)の好ましい組合せ
は、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]
−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(例えばチバ
・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー9
07)と、2−クロロチオキサントン(例えば日本化薬
(株)製カヤキュアーCTX)や2,4−ジエチルチオ
キサントン(例えば日本化薬(株)製カヤキュアーDE
TX)、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾ
イル−4´−メチルジフェニルサルファイド等との組合
せである。また、上記のような光重合開始剤(E)の使
用量の好適な範囲は、前記カルボキシル基含有樹脂
(A)100質量部に対して0.2〜30質量部、好ま
しくは2〜10質量部となる割合である。光ラジカル重
合開始剤の配合割合が0.2質量部未満の場合には光硬
化性が悪くなり、一方、30質量部より多い場合には硬
化塗膜の特性が悪くなり、また、保存安定性が悪くなる
ので好ましくない。
【0051】さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、必
要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤
としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カ
ルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトー
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレング
リコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソ
ルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレン
グリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレン
グリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エ
ステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタ
ン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナ
フサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶
剤などが挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0052】有機溶剤の使用目的は、前記カルボキシル
基含有樹脂(A)を溶解し、希釈せしめ、それによって
液状として基板上に塗布し、次いで仮乾燥させることに
より造膜せしめ、接触露光を可能とするため、あるいは
また、支持フィルム上に塗布し、次いで仮乾燥させるこ
とにより造膜せしめ、感光性ドライフィルムを作成可能
とするためである。有機溶剤の使用量は特定の割合に限
定されるものではないが、前記カルボキシル基含有樹脂
(A)100質量部に対して30〜300質量部程度の
範囲が適当であり、選択する塗布方法等に応じて適宜設
定できる。
【0053】さらに本発明の硬化性樹脂組成物には、前
記した熱硬化性成分としてのオキセタン化合物(B)使
用の効果を損なわない範囲で、熱硬化性成分の一部とし
てエポキシ化合物を混合することもできる。このエポキ
シ化合物としては、分子中に2つ以上のエポキシ基を有
する化合物であれば全て使用可能であり、例えば、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA
型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシ
レノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、フェノ
ールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック
型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂
などのグリシジルエーテル化合物、テレフタル酸ジグリ
シジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエ
ステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルなどのグリシ
ジルエステル化合物、トリグリシジルイソシアヌレー
ト、N,N,N′,N′−テトラグリシジルメタキシレ
ンジアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジルビ
スアミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル
アニリンなどのグリシジルアミン化合物などの公知慣用
のエポキシ化合物が挙げられる。これらのエポキシ化合
物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが
できる。エポキシ化合物としては、有機溶剤に難溶性及
び可溶性のいずれのエポキシ化合物も使用可能である
が、現像性等の点からは難溶性の室温で固形もしくは半
固形の微粒状エポキシ化合物又はこれと可溶性エポキシ
化合物の混合物を用いることが好ましい。さらに、熱硬
化反応を促進するために、四級アンモニウム塩類、四級
ホスホニウム塩類、三級アミン類、イミダゾール類、ジ
シアンジアミドなどの公知のエポキシ硬化促進剤を少量
併用することができる。
【0054】また、本発明の組成物には、密着性、硬度
などの特性を向上させる目的で、必要に応じて硫酸バリ
ウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、無定形シリ
カ、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化
アルミニウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、炭素
繊維、雲母粉などの公知慣用の無機充填剤が配合でき、
その配合割合は組成物の0〜60質量%の範囲が適当で
あり、好ましくは5〜40質量%である。さらに必要に
応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グ
リーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、ク
リスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラッ
ク、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、ハイ
ドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、te
rt−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジ
ンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、アスベスト、微粉シ
リカなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素
系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イ
ミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン
カップリング剤などの密着性付与剤のような公知慣用の
添加剤類を配合することができる。
【0055】本発明のドライフィルムの製造に際して
は、前述したような本発明の硬化性樹脂組成物又は光硬
化性・熱硬化性樹脂組成物を必要に応じて塗布方法に適
した粘度に調整し、従来の方法と同様に、適当な支持フ
ィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(P
P)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポ
リ塩化ビニル等の15〜125μm程度の膜厚の可撓性
ベースフィルム上に、乾燥後の厚さで10〜150μm
程度の膜厚となるように塗布した後、乾燥し、例えば約
60〜140℃、一般には約120℃の温度で組成物中
に含まれる有機溶剤を揮発乾燥させることにより、タッ
クフリーの乾燥皮膜層を有するドライフィルムとする。
支持フィルム上に形成された乾燥皮膜層は、未使用時、
この上にPETフィルム、PPフィルム、PEフィル
ム、あるいはこれらにシリコーンをコーティング又は焼
き付けしたフィルムなどの15〜100μm程度の膜厚
の離型性を有する保護フィルムを積層して保存すること
が好ましい。保護フィルムは、未使用時の乾燥皮膜を安
定に保護しておくためのものであり、使用時に除去され
る。また、光硬化性・熱硬化性樹脂組成物の酸素減感作
用を防止すると共に、露光時に密着されるパターン形成
用のフォトマスクの粘着を防止するために、乾燥皮膜層
上にさらにポリビニルアルコール、部分けん化ポリ酢酸
ビニル等の水溶性樹脂組成物の膜厚1〜10μm程度の
層を形成することができる。
【0056】本発明の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物を
用いたパターン形成方法について説明すると、まず、必
要に応じて塗布方法に適した粘度に調整し、これを例え
ば、回路形成されたプリント配線板にスクリーン印刷
法、カーテンコート法、ディップ法、スプレーコート
法、ロールコート法、スピンコート法等の方法により塗
布し、例えば約60〜100℃の温度で組成物中に含ま
れる有機溶剤を揮発乾燥させることにより、タックフリ
ーの塗膜を形成できる。
【0057】その後、接触式又は非接触方式によりパタ
ーンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性光線
により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば
0.5〜5%炭酸ソーダ水溶液)により現像してレジス
トパターンを形成できる。さらに、例えば約140〜2
00℃の温度に加熱して熱硬化させる。これにより、前
記熱硬化性成分の硬化反応に加えて、光硬化性成分の重
合促進ならびに熱硬化性成分との共重合を通して、得ら
れるレジスト皮膜の耐熱性、耐はんだ付着性、耐溶剤
性、耐酸性、密着性、無電解金めっき耐性、電気特性、
印刷性、及び硬度などの諸特性を向上させることができ
る。また、ビルドアップ多層プリント配線板の層間絶縁
層(導体回路層間の絶縁層)として用いる場合にも、同
様にしてパターンを形成することができる。
【0058】保護フィルムを有する感光性ドライフィル
ムの場合には、その保護フィルムを剥離し、パターン形
成しようとする基材上に乾燥皮膜層が接触するように密
着せしめ、支持フィルムを剥離して、光硬化性・熱硬化
性樹脂組成物からなる乾燥皮膜層を転写する。転写方法
としては、被処理基材を予め加熱しておく熱圧着方式が
好ましい。また、真空下で圧着する真空圧着方法を用い
てもよい。被処理基材は、感光性ドライフィルムを使用
する目的に応じて任意に選択できるが、例えばプリント
配線板のソルダーレジストとして用いる場合には、予め
回路形成されたプリント配線板に転写する。また、ビル
ドアップ多層プリント配線板の層間絶縁層として用いる
場合には、内層板に転写する。その後、前記と同様に、
転写後の乾燥皮膜層をパターンマスクを通して露光し、
次いで現像を行ない、未露光部分を除去することにより
パターン形成される。
【0059】上記現像に使用されるアルカリ水溶液とし
ては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリ
ウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロ
オキシド、有機アミン類などのアルカリ水溶液が使用で
きる。また、光硬化させるための照射光源としては、低
圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キ
セノンランプ又はメタルハライドランプなどが適当であ
る。その他、レーザー光線、電子線なども露光用活性光
線として利用できる。
【0060】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示して本発明につ
いてより具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の
例示のためのみのものであり、本発明を限定するもので
はない。なお、以下において「部」とあるのは、特に断
りのない限り全て「質量部」を示す。
【0061】感光性樹脂溶液の調製 合成例1 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エピクロンN−
695、大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量
220g/eq)220部を撹拌機及び還流冷却器の付
いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート2
14部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤として
ハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてトリフェニ
ルホスフィン2.0部を加えた。この混合物を95〜1
05℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、1
6時間反応させた。この反応物を80〜90℃まで冷却
し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時
間反応させ、冷却後、取り出した。このようにしてエチ
レン性不飽和結合及びカルボキシル基を併せ持つ感光性
樹脂を、不揮発分65%、固形分酸価100mgKOH
/gの感光性樹脂溶液として得た。以下、この感光性樹
脂溶液をA−1ワニスと称す。
【0062】合成例2 平均の重合度nが6.2であるビスフェノールF型エポ
キシ化合物(エポキシ当量950g/eq、軟化点85
℃)380部とエピクロルヒドリン925部をジメチル
スルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下、7
0℃で98.5%NaOHを60.9部(1.5モル)
100分かけて添加した。添加後、さらに70℃で3時
間反応を行なった。反応終了後、水250部を加え水洗
を行なった。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシ
ドの大半及び過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下
に蒸留回収し、次いでジメチルスルホキシドを留去し、
副生塩を含む反応生成物をメチルイソブチルケトン75
0部に溶解させ、さらに30%NaOHを10部加え、
70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で
2回水洗を行なった。油水分離後、油層よりメチルイソ
ブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/
eq、軟化点69℃のエポキシ樹脂を得た。得られたエ
ポキシ樹脂は、エポキシ当量から計算すると、前記出発
物質ビスフェノールF型エポキシ化合物におけるアルコ
ール性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化された
ものであった。このエポキシ樹脂310部及びカルビト
ールアセテート251部を仕込み、90℃に加熱攪拌
し、溶解した。得られた溶液を60℃まで冷却し、アク
リル酸60部、ダイマー酸(酸価196mgKOH/
g)97部、メチルハイドロキノン0.8部、トリフェ
ニルホスフィン2.5部を加え、80℃で加温溶解し、
98℃で35時間反応させ、酸価が0.5mgKOH/
g、固形分が65%であるエポキシアクリレートを得
た。次いで、このエポキシアクリレート718.5部、
無水コハク酸100部、カルビトールアセテート54部
を仕込み、90℃で6時間反応させ、固形分酸価が99
mgKOH/g、固形分が65%である感光性樹脂溶液
を得た。以下、この感光性樹脂溶液をA−2ワニスと称
す。
【0063】下記実施例1、2及び比較例1、2で用い
た原材料を表1に示す。
【表1】
【0064】実施例1、2及び比較例1、2 表2に示す配合割合で各成分を配合し、ロールミルを用
いて混練し、熱硬化性組成物を調製した。
【表2】
【0065】性能評価: (1)熱硬化性 前記実施例1、2及び比較例1、2の各熱硬化性組成物
を、それぞれ銅張り積層板に50μmの膜厚にアプリケ
ーターで塗布し、80℃にて20分間乾燥した後、表3
に示す条件で熱硬化反応を行ない、硬化塗膜を作製し
た。得られた硬化塗膜の表面を、アセトンを染み込ませ
た脱脂綿で50回こすり、表面の曇りの有無を目視にて
評価した。 ○:全く変化の無いもの △:表面に曇りが生じたもの ×:塗膜が完全に溶解し、下地まで達したもの
【0066】(2)硬化塗膜の変色 前記実施例1、2及び比較例1、2の各熱硬化性組成物
を、それぞれ銅張り積層板に50μmの膜厚にアプリケ
ーターで塗布し、80℃にて20分間乾燥した後、17
0℃にて60分間熱硬化反応を行ない、硬化塗膜を作製
した。この塗膜の変色の程度を目視により評価した。
【0067】上記の試験結果を表3にまとめて示す。
【表3】 表3に示す結果から明らかなように、本発明の硬化触媒
を用いた実施例1及び2では、反応性が向上するだけで
なく硬化塗膜の着色も低減できることが判明した。
【0068】次に、光硬化性・熱硬化性組成物に関する
実施例について説明する。下記実施例3及び4に使用し
た原料を表4に示す。
【表4】
【0069】実施例3及び4 表5に示す配合割合で各成分を配合し、ロールミルを用
いて混練し、光硬化性・熱硬化性組成物を調製した。
【表5】
【0070】性能評価: (3)PETフィルム上での現像ライフ 前記実施例3及び4の各光硬化性・熱硬化性組成物を、
125μmのPETフィルム上に100μmの厚さにアプ
リケーターを用いて塗布した後、120℃にて所定時間
乾燥後、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液にて120秒
間現像し、塗膜が除去される程度を目視にて評価した。
なお、比較のために熱硬化性成分としてエポキシ樹脂を
用いた光硬化性・熱硬化性組成物についても行なった
が、120℃にて20分間乾燥した場合、ゲル化して全
く現像できなかったため、以後の試験は中断した。 ○:完全に現像除去されているもの △:わずかに塗膜が残存しているもの ×:全く現像されていないもの
【0071】(4)光特性 実施例3及び4の各光硬化性・熱硬化性組成物を銅張り
積層板にスクリーン印刷にて約20μmの膜厚になるよ
うに塗布し、次いで80℃で30分間加熱乾燥させた。
その後、これらの基板にステップタブレット及びネガフ
ィルムを介して300mJ/cm2の露光量にて露光を
行なった。次いで、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液に
て60秒間現像を行ない、画像形成した。感度は塗膜が
残存しているステップタブレットの段数で、また、解像
性は残存する独立細線の線幅にて評価した。なお、ネガ
フィルムはUGRA PLATE CONTROL W
EGGIを使用した。
【0072】(5)保存安定性 実施例3及び4の各光硬化性・熱硬化性組成物を50℃
のオーブンに投入し、7日後の粘度の変化率で評価し
た。 ○:粘度の変化率が10%以下のもの △:粘度の変化率が10〜50%のもの ×:粘度の変化率が50%以上のもの
【0073】(6)ドライフィルムでの保存安定性 実施例3及び4の各光硬化性・熱硬化性組成物を常法に
て膜厚50μmのドライフィルムとし、室温で1ヶ月保
管した後、回路形成されたプリント配線板にラミネート
し、所定のネガフィルムを介して300mJ/cm2
露光量にて露光した。次いでカバーフィルムを剥離した
後、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液にて60秒間現像
し、基板を作成した。このようにしてドライフィルム形
態での保存安定性を、作製直後のものと1ヶ月保管後の
ものとの画像形成性の有無を目視にて評価した。 ○:全く変化が認められないもの △:未露光部にわずかな残渣が見られるもの ×:全く画像形成出来ないもの
【0074】上記の評価結果を表6にまとめて示す。
【表6】 表6に示される結果から明らかなように、本発明の硬化
触媒を用いた実施例3及び4の光硬化性・熱硬化性組成
物は、光特性に優れると共に、優れた保存安定性を示
し、常温保存可能なドライフィルムに有用であることが
明らかとなった。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の硬化性樹
脂組成物及び光硬化性・熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化
性成分としてオキセタン化合物を含む硬化反応系の触媒
として、有機ホスホニウム塩の中でも特に求核性の小さ
いアニオン種を含む前記構造式(1)で示される触媒を
用いているため、従来の汎用の基材が使用可能な程度の
比較的低温で硬化反応が速やかに進行する。また、本発
明の硬化性樹脂組成物及び光硬化性・熱硬化性樹脂組成
物は、従来の熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂使用に
よる問題がなく、それに代えて用いるオキセタン化合物
の利点をそのまま具有し、硬化塗膜の着色や硬化収縮を
生じることもなく、耐熱性、密着性、電気絶縁性等の諸
特性に優れた硬化皮膜を形成でき、各種レジスト材料、
封止剤、接着剤、塗料、印刷インキ等の種々の用途に有
用である。また、本発明の光硬化性・熱硬化性樹脂組成
物は、現像時のライフが長い(現像の作業余裕度が大き
い)と共に、現像性に優れ、また保存安定性に優れて一
液型に組成することが可能であり、さらに室温保存性に
優れた感光性ドライフィルムを作成できることから、作
業性の点でも有利である。さらに、熱かぶりや硬化塗膜
の着色、硬化収縮を生じることがなく、クラック耐性
(靱性)、密着性、硬度、はんだ耐熱性、電気絶縁性等
の諸特性に優れる硬化物が得られることから、各種レジ
スト材料や絶縁材料、特にプリント配線基板のソルダー
レジストや、ビルドアップ多層プリント配線板の層間絶
縁材料などとして有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/28 H05K 3/28 F 3/46 3/46 T Fターム(参考) 2H025 AA10 AA14 AB11 AB15 AB17 AC01 AD01 BC13 BC42 CA00 CC17 CC20 FA29 4J036 AJ16 AK19 DB17 EA03 FA10 FB03 GA04 GA26 HA02 JA08 JA10 5E314 AA25 AA27 AA32 AA47 BB06 BB11 BB12 BB13 CC15 FF01 GG24 GG26 5E346 AA12 AA17 BB01 CC08 CC09 CC32 DD02 DD31 EE31 GG02 HH31 HH33

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)カルボキシル基含有樹脂、(B)
    オキセタニル基を有する化合物、及び(C)下記構造式
    (1)を有する有機ホスホニウム塩化合物を含有するこ
    とを特徴とする硬化性樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ炭素数2〜
    20のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基
    又はアラルキル基を表わし、互いに同一でも異なってい
    てもよく、またXは弱求核性アニオン種を表わす。)
  2. 【請求項2】 (A)カルボキシル基含有樹脂、(B)
    オキセタニル基を有する化合物、(C)下記構造式
    (1)を有する有機ホスホニウム塩化合物、(D)光重
    合性モノマー、及び(E)光重合開始剤を含有すること
    を特徴とする光硬化性・熱硬化性樹脂組成物。 【化2】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ炭素数2〜
    20のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基
    又はアラルキル基を表わし、互いに同一でも異なってい
    てもよく、またXは弱求核性アニオン種を表わす。)
  3. 【請求項3】 前記構造式(1)において、Xは共役酸
    HXのpKaが−9以下となる弱求核性アニオン種であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記構造式(1)において、XはB
    4 -、PF6 -、SbCl 5 -、AsCl5 -、B(C65
    4 -、B(C654 -、CF3SO3 -及びCH3SO 3 -より
    なる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 ドライフィルムの形態にあることを特徴
    とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 前記請求項1乃至5のいずれか一項に記
    載の組成物の硬化物によりソルダーレジスト及び/又は
    導体回路層間の絶縁層が形成されていることを特徴とす
    るプリント配線板。
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