JP2003276745A - 粉体収容容器、粉体収容製品、静電荷像現像用トナー収容容器、静電荷像現像用トナー収容製品、及び粉体充填方法とトナー充填方法 - Google Patents

粉体収容容器、粉体収容製品、静電荷像現像用トナー収容容器、静電荷像現像用トナー収容製品、及び粉体充填方法とトナー充填方法

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JP2003276745A
JP2003276745A JP2002079851A JP2002079851A JP2003276745A JP 2003276745 A JP2003276745 A JP 2003276745A JP 2002079851 A JP2002079851 A JP 2002079851A JP 2002079851 A JP2002079851 A JP 2002079851A JP 2003276745 A JP2003276745 A JP 2003276745A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟な可撓性を有する材質製の容器でありな
がら、装置装填後も容器の形状維持することで、装置内
への粉体供給を確実に行い、かつ使用済容器の回収時に
容器を折り曲げて回収することの可能な粉体収容容器及
び該容器内に粉体を収容してなる粉体収容製品を提供す
る。 【解決手段】 可撓性を有する容器本体と、該容器本体
の形状を保持する形状保持手段を有する粉体収容容器
で、更に詳しくは形状保持手段として、容器本体の外側
に気体を充填、排出する気体収容室を有する粉体収容容
器及び該容器内に粉体を収容してなる粉体収容製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可撓性を有する容
器本体に粉体を収容し、容器ごと装置に装着して、装置
への粉体供給を行い、使用後の空の容器は畳んで回収可
能な粉体収容容器と該容器に粉体を収容してなる粉体収
容製品、及び可撓性を有する容器本体からなる静電荷像
現像用トナー収容容器と該容器に静電荷像現像用トナー
を収容してなる静電荷像現像用トナー収容製品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、静電荷像現像用トナーを複写機
やプリンタ等の画像形成装置に供給するトナーカートリ
ッジの様に、粉体を収容した容器を装置にそのまま装着
して、装置内で容器を開口させて、装置への粉体供給を
行う技術は粉体を取り扱う分野ではよく行われている。
【0003】装置に容器ごと装填して収容した粉体の供
給を行う容器には、容器に収容された粉体が容器外の環
境の影響を受けることなく、収容した粉体の品質を長期
にわたり安定して維持することや、装置への装着後は粉
体の装置内への供給を確実に行うこと、また、ユーザの
不可抗力等で容器内の粉体がこぼれたり、飛び出したり
して粉体汚染を発生させないことといった機能が要求さ
れる。
【0004】これらの要求に対し、変形しにくい材質の
樹脂や厚紙製の材料で作られた剛体容器が粉体収容用の
ものとして使用され、特開昭58−224364号公報
や特開平10−104922号公報には容器に収容した
トナーの装置への補給性を改良したトナー補給容器に関
する発明や、特開平6−208301号公報には容器内
外の環境差を解消する手段を有する、これら剛体容器を
使用したトナー補給容器に関する発明が開示されてい
る。
【0005】また、昨今では一度使用した容器をメーカ
側で回収して、回収した容器に再度粉体を再充填して市
場供給を行う容器のリユースも頻繁に行われ、剛直で変
形しにくい樹脂製の容器は、その耐久性から容器のリユ
ースにも好ましく適用する。
【0006】しかしながら、剛直で変形しにくい性質を
有する容器は、申し分のない耐久性や形状安定性を有す
る反面、その容積が大きいため空の容器はかさばって物
流効率が低いという問題を有する。特に、容器のリユー
ス使用を展開すると、かさばる空の容器を大量に輸送す
るため、質量の割には大きな容量の輸送機関を利用せざ
るを得ず、輸送機関の物流効率は低く、また輸送機関か
らの排出ガスによる二酸化炭素の発生量も大きく環境汚
染の原因となる。
【0007】一方、粉体収容製品は、粉体粒子に加えて
気体も容器内に収容して製品として供給している。粉体
収容容器において収容した粉体より気体を除去し、製品
の容量をコンパクトにすると、一度に輸送可能な粉体収
容製品の個数は気体を除去しない製品よりも大幅に増大
させることが可能で、輸送コストの削減や輸送機関から
の排出ガス削減に大きく寄与する。また、容器内に粉体
粒子とともに気体が存在することは、粉体製品の品質保
持及び取扱い性の視点から必ずしも好ましいものではな
い。例えば、新鮮な果実から製造される粉末ジュースや
粉チーズ等の粉状、顆粒状食料品、或いは粉剤薬品は、
長期保存されることがあるが保存時に容器内の空気の作
用で製品が酸化する様なことがあってはならない。ま
た、容器が高気密性を有することは、例えば夏期の様な
高温の続く時期に容器内の空気が膨張するため容器内外
に圧力差が生じて、容器を開封した時に粉体が勢いよく
吹き出すことがある。この様に容器内に気体が存在する
ことは、粉体製品の品質を安定保持することや、ユーザ
の取扱性の視点から必ずしも好ましいものではない。し
かしながら、従来の剛体容器は剛性を有することから容
器内に収容された粉体から気体を除去後、容易に形状を
変形させたり、或いは気体除去により減圧状態にある容
器内の環境を維持することは甚だ困難性を有するもので
あった。
【0008】この様な剛体容器に代わり、柔軟性に富む
包装容器を粉体収容容器として使用することは、リユー
ス展開にあたっては使用済みの空の容器を折り畳んで回
収することの可能であり、また、粉体充填作業後に気体
を脱気して粉体粒子を高密度化し容量の小さな粉体収容
容器の提供が可能である。
【0009】しかしながら、柔軟な材質であるため容易
に変形し易く、例えば粉体を収容した容器を装置に装着
した状態では、容器の形状を一定に保持することが困難
で容易に変形する。そして容器の変形状態によっては、
容器内の粉体を装置内に供給することが困難になり好ま
しくない。特に、容器を装着した後粉体の消費に伴って
容器内の粉体量が減少すると容器の変形も大きくなり、
粉体供給はますます困難になる。
【0010】また、柔軟な材質の容器は、装着後に変形
した個所が装置の部品にあたり、容器表面にキズやピン
ホール発生を招き易く剛体容器に比べて耐久性が劣る。
また、装置との装着個所では、局所的に強い力が長期に
わたり加わり、応力集中により力が強く加わった個所の
疲労が進行するため、局所疲労を有する容器ではリユー
ス使用は困難である。また、この様な経時で疲労進行す
る容器では収容粉体の品質を長期的に安定維持すること
は難しい。
【0011】さらに、柔軟な材質からなる容器は容易に
変形するため、ユーザがうっかり容器を押して中の粉体
が飛び出して粉体汚染を発生し易いことや、外部環境の
影響で変形する問題も無視できない。例えば容器を装着
後、装置内の温度上昇により容器が膨張し破裂すること
もあり得る。
【0012】この様に、可撓性を有する柔軟な素材で製
造した粉体用容器は、装置へ装着後の粉体供給の困難な
ことや、変形し易い性質を有するために直ぐに粉体が吹
き出したりして粉体による汚染を起こし易いこと、耐久
性が低いのでリユースに向かないこと、容器の耐久性が
低いため収容粉体の長期にわたる品質維持がとても困難
であるといった問題を有している。
【0013】以上の様に、柔軟性を利用して充填後の粉
体中より気体を脱気して収容製品の容積を小さくし、使
用済容器を折り畳んで回収し物流効率を向上することの
可能な包装材料を使用した粉体収容容器の実現はこれま
で発展途上にあった。
【0014】また、柔軟な包装材料で作製した容器に、
静電荷像現像用トナーを充填した静電荷像現像用トナー
収容製品は、容器の材質が柔軟なため、外部からの圧力
や衝撃が容器内のトナー粒子に容易に伝播するため、容
器内のトナー粒子が凝集し易い状況に置かれている。
【0015】トナー粒子を凝集したまま画像形成に使用
すると転写ぬけの原因となり、形成された画像部に白点
状の画像不良が発生し画像品質を低下させてしまう。
【0016】特に、低い定着温度で画像形成を行う省エ
ネ対応画像形成装置に使用されるトナーは、従来の装置
よりも低温で溶融してトナー像の定着が行われるため、
ガラス転移点も50℃前後という低い樹脂粒子が使用さ
れるが、この様な低ガラス転移点の樹脂粒子は一度凝集
すると凝集の解除が難しい。
【0017】また、樹脂粒子表面に外添剤を付着したト
ナー粒子では、凝集により粒子表面の外添剤が樹脂粒子
に埋め込まれてしまうため、トナー粒子の帯電性に影響
を与えるので好ましくない。
【0018】さらに、水系媒体中で粒子形成して得られ
る小粒径の重合トナーは、確実に凝集を解除しなけれ
ば、せっかく小粒径を有していたものが凝集した状態で
画像形成に使用されるため、デジタル画像形成等の忠実
な細線再現性に影響を与える。
【0019】この様に、柔軟な包装材料に静電荷像現像
用トナーを収容したトナー収容製品では、使用時に確実
に凝集を解除して各粒子が独立状態で画像形成に使用さ
れることが特に要求される。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みてなされたものである。
【0021】本発明の第1の目的は、可撓性を有する材
質の粉体収容容器を作製して、使用済容器は折り畳んで
一度に大量に回収可能な、リユース用の使用済容器の回
収時における物流効率を飛躍的に向上させることの可能
な粉体収容容器と該容器内に粉体を収容してなる粉体収
容容器を提供することである。
【0022】本発明の第2の目的は、可撓性を有し柔軟
な材質でありながら、装置に装着後は容器の形状が保持
されることにより、収容された粉体を装置に確実に供給
可能な粉体収容容器と該容器内に粉体を収容してなる粉
体収容製品を提供することである。
【0023】本発明の第3の目的は、可撓性を有し柔軟
な材質でありながら、装置に装着後、容器の特定箇所に
応力集中を受けても局所的に疲労することがなく、また
装着後に容器が破れたりピンホール発生しない高耐久性
の粉体収容容器と該容器内に粉体を収容してなる粉体収
容製品を提供することである。
【0024】本発明の第4の目的は、可撓性を有し柔軟
な材質でありながら、取扱い時に容器から粉体が飛び出
すことなく、粉体汚染の発生しない粉体収容容器と該容
器内に粉体を収容してなる粉体収容製品を提供すること
である。
【0025】本発明の第5の目的は、可撓性を有し柔軟
な材質でありながら、収容粉体の性能を長期にわたり安
定して品質維持可能な粉体用容器とその容器を使用した
粉体収容製品を提供することである。
【0026】本発明の第6の目的は、可撓性を有し柔軟
な材質の容器を構成する材質を選択することにより、環
境負荷の低減を可能にする容器を提供することである。
【0027】本発明の第7の目的は、静電荷像現像用ト
ナーを収容する容器を可撓性を有する材質で作製し、ユ
ーザで使用済となった容器を業者が回収する時に折り畳
んで回収可能な、リユースのための使用済容器回収にお
ける物流効率を飛躍的に向上させる静電荷像現像用トナ
ーと該容器内に静電荷像現像用トナーを収容してなる静
電荷像現像用トナー収容容器を提供することである。
【0028】本発明の第8の目的は、装置に装填した静
電荷像現像用トナー収容製品のトナー粒子に衝撃や圧力
が容易に伝播することなく、容器内のトナー粒子が凝集
することのない静電荷像現像用トナー収容容器と該容器
に静電荷像現像用トナーを収容してなる静電荷像現像用
トナー収容製品を提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】研究者等は鋭意検討を重
ねた末、可撓性を有する柔軟な素材から製造される容器
であっても、上記問題を解消した粉体収容容器、及び粉
体収容製品を見出した。すなわち、本発明は以下のいず
れか1項に記載の構成により達成される。
【0030】請求項1に記載の発明は、「可撓性を有す
る容器本体と、該容器本体の形状を保持する形状保持手
段と、該容器内の粉体を装置に供給する時に該装置への
装着手段とを有することを特徴とする粉体収容容器。」
である。
【0031】請求項2に記載の発明は、「前記形状保持
手段が、前記容器本体の外側に配置され、内部に気体を
充填し、排出する気体収容室であり、前記気体収容室に
気体を充填した時に該容器本体の容積を拡大してその形
状を保持することを特徴とする請求項1に記載の粉体収
容容器。」である。
【0032】請求項1又は2に記載の発明によれば、粉
体を収容する容器が可撓性を有する柔軟な素材で作製さ
れるため、使用済容器の折り曲げ回収を可能にすること
で物流効率の向上を達成するとともに、形状保持手段を
有することにより可撓性を有する柔軟な材質の容器でも
その形状を長期にわたり維持することが可能なので、該
容器を装置に装着後も容器の形状が保持された状態で粉
体を装置に確実に供給することが可能であり、装置に装
着した容器の特定箇所に応力が集中して局所的な疲労発
生や装着後の容器の破損やピンホール発生のない高耐久
性を有する粉体収容容器の提供を可能にする。また、容
器の形状が保持されることにより、ユーザが容器の取扱
いを誤って容器内の粉体を飛び出させて粉体汚染を発生
させることもない。
【0033】請求項3に記載の発明は、「前記可撓性を
有する容器本体が樹脂製であることを特徴とする請求項
1又は2に記載の粉体収容容器。」である。
【0034】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は2に係る発明で見出された効果に加えて、可撓性を
有する容器本体が樹脂製であることから、耐湿性等に優
れ、容器内部に収容される粉体の品質を長期にわたり、
安定して維持することの可能な粉体収容容器の提供を可
能にする。
【0035】請求項4に記載の発明は、「前記可撓性を
有する容器本体が紙製であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の粉体収容容器。」である。
【0036】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
又は2に係る発明で見出した効果に加えて、可撓性を有
し柔軟な材質の容器を構成する素材を選択することによ
り、環境負荷の低減を可能にする容器を提供粉体収容容
器の提供を可能にする。
【0037】請求項5に記載の発明は、「請求項1〜4
のいずれか1項に記載の粉体収容容器内に粉体を収容し
てなることを特徴とする粉体収容製品。」である。
【0038】請求項5に記載の発明によれば、粉体を収
容する容器が可撓性を有する柔軟な素材で作製されるた
め、使用済容器の折り曲げ回収を可能にすることで物流
効率の向上を達成する粉体収容製品の提供を可能にす
る。また、可撓性を有する柔軟な材質でできた容器でも
その形状を長期にわたり維持することが可能なので、該
容器を装置に装着後も容器の形状が保持された状態で粉
体を装置に確実に供給することが可能であり、該容器は
装置に装着後にその特定箇所に応力集中して局所的に疲
労発生したり、装置に装着後容器の破損やピンホール発
生しない耐久性を有するので、収容された粉体の品質は
長期にわたり安定して維持される粉体収容製品の提供を
可能にする。また、容器の形状が保持されるので、ユー
ザが容器の取扱いを誤り容器内の粉体を飛び出させて粉
体汚染を発生させることのない粉体収容製品の提供を可
能にする。
【0039】請求項6に記載の発明は、「請求項1〜5
のいずれか1項に記載の粉体収容容器内に粉体を充填
後、該充填された粉体より気体を脱気する工程を有する
ことを特徴とする粉体収容製品の粉体充填方法。」であ
る。
【0040】請求項6に記載の発明によれば、容器内に
充填した粉体より気体分の容積が除去されるので、コン
パクトな容量の粉体収容製品を製造可能な粉体充填方法
の提供を可能にする。
【0041】請求項7に記載の発明は、「請求項1〜5
のいずれか1項に記載の粉体収容容器が、静電荷像現像
用トナーを収容する容器であることを特徴とする静電荷
像現像用トナー収容容器。」である。
【0042】請求項8に記載の発明は、「請求項7に記
載の静電荷像現像用トナー収容容器内に静電荷像現像用
トナーを収容してなることを特徴とする静電荷像現像用
トナー収容製品。」である。
【0043】請求項9に記載の発明は、「前記静電荷像
現像用トナー収容製品に収容される静電荷像現像用トナ
ーが、少なくとも44℃以上63℃以下のガラス転移点
を有する樹脂より構成されるものであることを特徴とす
る請求項8に記載の静電荷像現像用トナー収容製品。」
である。
【0044】請求項10に記載の発明は、「前記静電荷
像現像用トナー収容製品に収容される静電荷像現像用ト
ナーは、該トナー表面を外添剤で被覆されるものであ
り、外添剤の被覆面積率が7%以上50%以下であるこ
とを特徴とする請求項8又は9に記載の静電荷像現像用
トナー収容製品。」である。
【0045】請求項11に記載の発明は、「前記静電荷
像現像用トナー収容製品に収容される静電荷像現像用ト
ナーを構成する樹脂粒子が、水系媒体中で凝集して形成
されるものであることを特徴とする請求項8〜11のい
ずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー収容製品。」
である。
【0046】請求項12に記載の発明は、「請求項7に
記載の静電荷像現像用トナー収容容器内に静電荷像現像
用トナーを充填後、該充填されたトナーより気体を脱気
する工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナ
ーの充填方法。」である。
【0047】請求項7〜12のいずれか1項に記載の発
明によれば、静電荷像現像用トナーを収容する容器を可
撓性を有する材質で作製し、使用済となった容器を業者
が回収する時に折り畳んで回収可能な、リユースのため
の使用済容器回収における物流効率を飛躍的に向上させ
る静電荷像現像用トナーと該容器内に静電荷像現像用ト
ナーを収容してなる静電荷像現像用トナー収容容器を提
供することを可能にする。
【0048】また、静電荷像現像用トナーを充填後脱気
して収容し、画像形成装置に使用する時にはトナー粒子
の凝集を確実に解除して、細線再現性等の優れた美しい
画質の得られる静電荷像現像用トナーの性能を維持する
ことの可能な静電荷像現像用トナー収容製品とその充填
方法の提供を可能にする。
【0049】本発明でいう容器本体とは、粉体を実際に
収容、保管する部位を言う。また、可撓性を有する容器
本体とは、容器本体が容易に撓み易い性質を有すること
を意味するが、具体的には、ヒトが容器本体に手で触れ
たり、指で押した程度の力で、その接触個所が容易に曲
がったり、凹んだりして接触個所の形状が変形すること
を意味する。
【0050】本発明でいう形状保持手段は、粉体収容容
器の形状をある一定の形状に維持させるための手段であ
る。すなわち、本発明に係る粉体収容容器は、前述の様
に容器本体が小さな力を受けただけで容易に変形する。
そのため、装置への効果的な粉体供給を達成するため
に、衝撃や振動等の多少の衝撃に対して容器本体の形状
を維持し、容器が変形せずに確実に粉体供給の行える形
状を設定する手段である。また、本発明では、粉体を容
器本体に充填後不要の気体を除去し粉体収容製品をコン
パクト化するものであるが、本発明でいう形状保持手段
は、気体除去した容器内への気体進入を防ぎ、容器の圧
縮状態を維持する手段も含む。
【0051】本発明に係る粉体収容容器における装置へ
の装着手段とは、本発明に係る粉体収容容器を粉体供給
を行う装置に装着するための手段である。該装着手段は
粉体を装置に供給するための開口部の装置への装着を確
実に行うため、主に開口部の周縁や近傍に配される。ま
た、装置からの振動や衝撃で開口部がずれることがない
様容器を装置に固定し、開口部と装置との接続により発
生する応力による容器の疲労劣化や変形を防ぐために開
口部周縁や近傍を補強するものである。
【0052】本発明でいう気体収容室とは、例えば後述
する図1の12に示す様に容器本体にくっついた袋状の
部材で、内部に気体を充填すると剛性を発揮し密着する
容器本体を引っ張り、容器本体の形状保持を可能にする
ものである。
【0053】本発明でいう粉体収容製品とは、前述の粉
体収容容器内に粉体が充填され、包装されて市場供給を
行う際の形態を有し、ユーザが市場で購入後、装置への
粉体供給に供することの可能な状態にあるものを言う。
【0054】本発明に係る静電荷像現像用トナー収容製
品に収容されるトナーにおける外添剤の被覆面積率と
は、外添剤として添加される疎水性シリカのトナー粒子
表面における含有量を定量的に示すものである。具体的
には、トナー粒子表面におけるケイ素原子の表面存在量
をESCA(Electron Spectrosco
py for Chemical Analysis:
電子分光法)で測定し定量化したものである。ESCA
による測定は、例えば島津製作所製ESCA−1000
を用い、トナー粒子表面における炭素、酸素、ケイ素原
子の相対的な強度比から、それぞれの元素の占有する面
積率を求めたものである。
【0055】本発明に係る静電荷像現像用トナーを構成
する樹脂粒子が、水系媒体中で凝集して形成されるもの
とは、少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合して
樹脂を得るものであるが、この製造方法は、重合性単量
体を懸濁重合法により重合して樹脂粒子を調製し、ある
いは、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体
中)にて重合性単量体を乳化重合、あるいはミニエマル
ジョン重合を行って微粒の樹脂粒子を調製した後、有機
溶媒、塩類などの凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を凝
集させ、凝集物を融着して樹脂粒子を製造するものであ
る。
【0056】
【発明の実施の形態】本発明に係る粉体収容容器を構成
する容器本体は、可撓性を有する柔軟な材料で作製さ
れ、少なくとも1つの開口部を有する容器である。開口
部は容器を装置に装着後は装置の粉体供給部に装着され
る。
【0057】本発明に係る粉体収容容器は可撓性を有す
るが、その可撓性の程度は、内部に粉体を収容した状態
では、ヒトが指で容器面を押した時に凹んで、指を離す
と凹みが元に戻る程度の可撓性である。
【0058】図1は本発明に係る粉体収容容器の一例
で、(A)は正面図で、(B)は側面図、(C)は
(A)を上方より見た図を示す。図1に示す粉体収容容
器1は、可撓性を有する柔軟な素材より作製された袋状
の容器本体11と、容器本体11の外周に容器の形状保
持手段である気体収容室12、及び粉体の装置への供給
部となる開口部13から構成される粉体収容容器であ
る。気体収容室12は内部への気体の供給と排出を行う
気体供給排出部14を有している。
【0059】図1の粉体収容容器1は、容器本体11の
外周に配置した気体収容室12の内部に気体供給排出部
14より気体供給することにより、容器本体11の容積
を拡大させ、気体収容室12内の気体を気体供給排出部
14より排出することにより、容器本体11の容積を減
少させる。
【0060】気体収容室12は、容器本体11に密着し
ており、気体収容室12に気体を充填すると気体収容室
12は容器本体11の補強材として機能して、容器本体
11を引っ張りその形状を保持することが可能である。
【0061】この様に、気体収容室12に気体が充填さ
れると、容器本体11は気体収容室12に引っ張られる
ので、図1に示す粉体収容容器1は粉体供給を行う装置
に装着後もその形状が保持され、容器本体11等の容器
構成部材が装置内の部品等にみだりに触れることがない
ので、容器構成部材にキズがついたり、ピンホールを発
生することがない。また、気体収容室12は気体が十分
に充填されているので、容器本体11は均一に引っ張ら
れた状態を維持するので、容器本体11の特定箇所に応
力集中する様なことを防止している。
【0062】開口部13は、容器本体に収容された粉体
を装置に供給する個所であり、本発明に係る粉体収容容
器1を装置に装着する装着手段を有するものである。ま
た、粉体収容容器1を装置に装着後は、容器本体11に
収容した粉体を装置に供給するための状態を維持する必
要がある。開口部13は本発明に係る粉体収容容器1を
装置に装着後、装置の有する粉体取出し装置の作動等に
より発生する振動や衝撃力、或いは開口部と装置との強
固な接続により生ずる応力により容器が疲労、劣化して
ピンホール発生したり破れたりしない様に、開口部13
の周縁に樹脂や厚紙等の剛体で製造した補強材を配置し
ている。
【0063】気体収容室12への気体の充填及び放出を
行う気体供給排出部14は、例えばゴムボートやビーチ
ボールに使用される空気栓の様に蓋を有するものや、或
いは自転車のタイヤチューブに使用されるいわゆるムシ
と呼ばれるバルブの様なもの等、気体収容室12内の充
填気体を通常は外部に漏らさず、気体を外部に排出した
い時には気体漏洩防止を解除することで放出する気体の
遮蔽手段を有するものであればよく、上記の2例に限定
されるものではない。
【0064】また、本発明に係る粉体収容容器では、容
器本体11内部に装置への粉体供給部材を配置させるも
のであってもよい。この様な粉体供給部材を設けること
で、容器内の粉体を確実に装置に供給することが可能で
ある。本発明に係る粉体収容容器に使用される粉体供給
部材は、該容器を装置に装着後装置本体に取り付けられ
ている粉体取り出し装置の作用により粉体を容器外に排
出することを促進させる形状を有するものであれば、限
定されるものではない。例えばスクリュー状のかき上げ
部材であれば、回転運動を行う取出し装置により容器内
の粉体をスクリューの推進力で押し出し供給し、スコッ
プ状部材であれば装置の往復運動で容器内の粉体を装置
内に投げ込むことが可能である。
【0065】また、図2は本発明に係る気体収容室を有
する粉体収容容器の他の実施形態の例で、(A)は正面
図、(B)は断面図、及び(C)は(A)を上方より見
た図である。図2に示す粉体収容容器2は、容器本体1
1の外周に気体収容室12をらせん状に配置したもの
で、容器本体11の外周に配置する気体収容室12を密
に配置することで、前述した容器本体11の引っ張りを
より強く行うことが可能なので、より強固な容器本体1
1の形状維持が可能である。
【0066】また、図2(B)の断面図に示す様にらせ
ん形状の気体収容室12が容器本体11内に凹凸を形成
するので、装置に装着した容器を回転させることでこの
らせん状の凹凸にしたがって、容器内の粉体の装置への
供給を促進させることが可能である。
【0067】さらに、図3は本発明に係る気体収容室を
有する粉体収容容器の他の実施形態の例で、(A)は斜
視図、(B)は(C)を上方より見た上面図、(C)は
正面図、(D)は(C)の側面より見た側面図である。
図3に示す粉体収容容器3は、カマボコ型の形状を有
し、装置との装着部である開口部13にはスライド蓋を
配置したもので、開口部外縁に設けられた剛体からなる
枠状の開口部補強材にフィルム状部材を貼り付けたり、
或いは板状部材で構成される図示されていない蓋を取り
付け、該容器を装置本体に装着後該蓋を開放して容器内
の粉体を装置に供給するものである。そして容器本体1
1上には格子状に配した気体収容室12を有し、気体収
容室12へ気体を充填すると容器本体11を引っ張るの
で、カマボコ状の形状が保持される。なお、図3では気
体収容室12を格子状に配しているが、カマボコ状の容
器本体11の形状を維持可能であれば特に限定されな
い。
【0068】この様に、図1〜図3に示される気体収容
室を有する粉体収容容器により、可撓性を有する材質の
素材で容器を作製し、トナー充填後に不要な気体を脱気
して容積を縮小することで粒子密度の高いコンパクトな
小容量の粉体収容製品の提供を可能にし、使用済容器の
回収では容器を折り畳んで物流効率の向上を達成するこ
とが可能になる。また、可撓性を有する材質の容器本体
の形状も気体収容室の作用により維持が可能となり、装
置装着後も容器の形状が維持されるので収容粉体の装置
への供給が確実に行われるとともに、装着した容器の特
定箇所に応力集中することが避けられるので容器に局所
的な疲労発生がなく、ピンホール発生や破れの発生しな
いリユース使用可能な耐久性を有する粉体収容容器の提
供を可能にする。
【0069】なお、本発明に係る形状保持手段を有する
粉体収容容器は、上記の様に気体収容室を有するものが
好ましいが、本体容器の形状を保持することの可能な手
段を有するものであれば気体収容室に限定されるもので
ないことは言うまでもない。例えば容器本体の外側に室
を設け、該室内に液体或いは粉体を充填させて容器本体
の形状を保持する手段を有するものや、あたかもキャン
プ用のテントを張る時に使用する支柱の様に樹脂棒や竹
くし等の棒状部材を使用して容器本体の形状を保持する
手段を有するものも挙げられる。
【0070】また、本発明に係る形状保持手段を有する
粉体収容容器内に粉体を収容して成る粉体収容製品で
は、粉体を収容した容器本体の形状が形状保持手段によ
り保持されるので、ユーザが製品を不意に押して容器内
から粉体が飛び出すことのない、粉体汚染発生を防止し
た粉体収容製品とその粉体収容容器の提供を達成する。
【0071】本発明に係る粉体収容容器は、可撓性を有
し柔軟性を有する素材から作製される。本発明に係る粉
体収容容器に好ましく使用される材質は、上記の条件を
満足するものであれば特に限定されるものではない。具
体的には、通常知られた可撓性を有するフィルム状の樹
脂材料で、ポリエステルフィルムやポリエチレンフィル
ム、ポリエチレンとポリエステルとをラミネートしたも
の、ポリプロピレンとポリエステルとをラミネートした
もの、アルミ箔にポリエチレン又はポリプロピレンをラ
ミネートしたもの等可撓性を有し、かつ破断等に対して
強度を有するものが使用される。
【0072】本発明に係る粉体収容容器は、紙製の容器
であっても、気体透過性を有するものではなく、製品を
長期保存しても粉体の品質が安定して維持されることの
可能なものであれば問題ない。例えば、ラミネート紙の
様に外部の環境因子の影響を与えにくい性質を有する紙
製材料より製造される粉体収容容器では、同体積を有す
る高密度ポリエチレン製のボトル形状の剛体容器と比較
すると、容器が折り畳み可能なので畳んだ状態での回収
が可能なだけではなく、質量も同体積を有する樹脂製容
器に比べて10分の1未満の質量となるので、容積のみ
ならず容器の質量の大幅な軽量化も達成される。
【0073】本発明に係る粉体収容容器を紙製の容器
は、HDPE製の剛体容器の有する耐震強度や防湿性を
有するとともに、樹脂材料と同様に可撓性を有するので
装置への装着は容易に行うことが可能である。また、紙
製の粉体収容容器は環境負荷を大幅に軽減することが可
能なので、環境に優しい容器材料として将来にわたり期
待される。
【0074】本発明に係る粉体収容容器は、容器ごと装
置に装填して容器内に収容した粉体を装置内に補充、供
給するものであり、該容器に収容される粉体は特に限定
されるものではない。具体的には、粉体塗料、でんぷん
やきな粉等の食料品、おしろい等の化粧品、ラインひき
の石灰等の各種粉体製品が挙げられるが、静電荷像現像
用トナー用の収容容器として使用することが代表的であ
る。
【0075】
【実施例】以下、本発明に係る粉体収容容器、粉体収容
製品の使用例として、静電荷像現像用トナーを収容した
静電荷像現像用トナー収容製品の評価を行った。なお、
本発明の態様はこれに限定されない。以下、文中「部」
は「質量部」を表す。
【0076】トナー用樹脂粒子の製造例 〔ラテックス1HML、2HML及び3HML〕 (1)核粒子の調製(第一段重合):攪拌装置、温度セ
ンサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000m
lのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤 (101) C1021(OCH2CH22OSO3Na 7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面
活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230r
pmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温さ
せた。
【0077】この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫
酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200g
に溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした
後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート1
9.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合
液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間に
わたり加熱、攪拌することにより重合(第一段重合)を
行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分
散液)を調製した。これを「ラテックス(1H)」とす
る。 (2)中間層の形成(第二段重合):攪拌装置を取り付
けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−
ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2
g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステ
ル5.6gからなる単量体混合液に、結晶性物質とし
て、下記化合物98.0gを添加し、90℃に加温し溶
解させて単量体溶液を調製した。
【0078】CH3(CH220COOCH2C(CH2
CO(CH220CH33 一方、アニオン系界面活性剤(上記式(101))1.
6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性
剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒
子の分散液である前記ラテックス(1H)を固形分換算
で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機
「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テク
ニック(株)製)により、前記結晶性物質を含有する単
量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒子径(284n
m)を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)
を調製した。
【0079】次いで、この分散液(乳化液)に、重合開
始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶
解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添
加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱攪拌す
ることにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス
(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹
脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得
た。これを「ラテックス(1HM)」とする。
【0080】前記ラテックス(1HM)を乾燥し、走査
型電子顕微鏡で観察したところ、ラテックスに取り囲ま
れなかった結晶性物質を主成分とする粒子(400〜1
000nm)が観察された。 (3)外層の形成(第三段重合):上記の様にして得ら
れたラテックス(1HM)に、重合開始剤(KPS)
7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤
溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300
g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸1
5.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸
エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけ
て滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌する
ことにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで
冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中
間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる
外層とを有し、前記中間層に上記結晶性物質が含有され
ている複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックス
を「ラテックス(1HML)」とする。このラテックス
(1HML)を構成する樹脂粒子の重量平均粒径は12
2nmであった。
【0081】上記第三段重合で使用する単量体混合液の
スチレンを265g、n−ブチルアクリレート123
g、メタクリル酸19.8g、n−オクチル−3−メル
カプトプロピオン酸11.7gとした他は同様にしてラ
テックスを得た。このラテックスを「ラテックス(2H
ML)」とする。このラテックス(2HML)を構成す
る樹脂粒子の重量平均粒径は124nmであった。
【0082】また、上記第三段重合で使用する単量体混
合液のスチレンを224g、n−ブチルアクリレート1
58g、メタクリル酸24.8g、n−オクチル−3−
メルカプトプロピオン酸エステル13.2gとした他は
同様にしてラテックスを得た。このラテックスを「ラテ
ックス(3HML)」とする。このラテックスを構成す
る樹脂粒子の重量平均粒径は125nmであった。 〔ラテックス4L〕攪拌装置を取り付けたフラスコ内
に、重合開始剤(KPS)14.8gをイオン交換水4
00mlに溶解させた開始剤溶液を仕込み、80℃の温
度条件下に、スチレン600g、n−ブチルアクリレー
ト190g、メタクリル酸30.0g、n−オクチル−
3−メルカプトプロピオン酸エステル20.8gからな
る単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、
2時間にわたり加熱攪拌することにより重合を行った
後、27℃まで冷却しラテックス(低分子量樹脂からな
る樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテ
ックス(4L)」とする。
【0083】このラテックス(4L)を構成する樹脂粒
子の重量平均粒径は128nmであった。 〔着色粒子1〜3の製造〕アニオン系界面活性剤(10
1)59.0gをイオン交換水1600mlに攪拌溶解
した。この溶液を攪拌しながら、カーボンブラック「リ
ーガル330」(キャボット社製)420.0gを徐々
に添加し、次いで、攪拌装置「クレアミックス」(エム
・テクニック(株)製)を用いて分散処理することによ
り、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液」とい
う。)を調製した。この着色剤分散液1における着色剤
粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−80
0」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平
均粒子径で90nmであった。
【0084】ラテックス1HML420.7g(固形分
換算)と、イオン交換水900gと「着色剤分散液」2
00gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪
拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ
攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶
液に5N(mol/l)の水酸化ナトリウム水溶液を加
えてpHを8〜11.0に調整した。
【0085】次いで、塩化マグネシウム・6水和物1
2.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液
を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分
間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて
90℃まで昇温した。その状態で、「コールターカウン
ターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均
粒径が4〜7μmになった時点で、塩化ナトリウム4
0.2gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液
を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成処理とし
て液温度98℃にて6時間にわたり加熱攪拌することに
より融着を継続させた。
【0086】更に、ラテックス4L(樹脂粒子の分散
液)96gを添加し、3時間にわたり加熱攪拌を継続
し、ラテックス(1HML)の凝集粒子表面にラテック
ス4Lを融着させた。ここで、塩化ナトリウム40.2
gを加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を
添加してpHを2.0に調整し、攪拌を停止した。生成
した塩析、凝集、融着粒子を濾過し、45℃のイオン交
換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥す
ることにより、ガラス転移点が63℃の着色粒子1を得
た。なお、ガラス転移点は、高分子学会編プラスチック
加工技術ハンドブック(日刊工業新聞社)等に記載の様
に通常知られた示唆熱分析装置(DTA)や示唆走査熱
量測定装置(DSC)より測定される。
【0087】ラテックス(2HML)を用いた他は同様
の工程を経て得られた着色粒子2はガラス転移点が53
℃だった。また、ラテックス(3HML)を用いた他は
同様の工程を経て得られた着色粒子3はガラス転移点が
44℃だった。
【0088】次に、外添剤である疎水性シリカの調整を
行った。 〔疎水性シリカa1の調製〕一次粒子径0.007μm
のヒュームドシリカ100質量部を高速ミキサーを有す
る容器に入れ、窒素雰囲気中で回転数8500rpmで
撹拌しながら、ジメチルジクロロシラン20質量部を噴
霧し、更に5分間撹拌を続けた後、得られたパウダーリ
キッドを窒素気流下で200℃で3時間還流撹拌を行な
った。その後常温まで冷却し、粉末の疎水性シリカa1
を得た。 〔トナー1〜10の製造〕着色粒子1〜3の各々に、表
1で示される被覆面積率となる量の疎水性シリカa1を
添加し、10リットル用ヘンシェルミキサーの回転翼の
周速を24m/sに設定し15分間混合して得られたト
ナー1〜10を表1に示す。なお、これらの着色粒子に
ついて、外部添加剤の添加によっては、その形状および
粒径は変化しない。
【0089】
【表1】
【0090】なお、外添剤の被覆面積率は、トナー粒子
表面に存在する外添剤粒子の存在量を被覆面積で表した
もので、ESCAにより測定し、得られた結果である。 〔粉体収容容器〕上記トナーを収容する収容容器とし
て、以下のものを用意した。なおかっこ内は容器本体を
構成する材質である。
【0091】容器1:図1の容器(低密度ポリエチレン
製) 容器2:図2の容器(ポリエステル製) 容器3:図3の容器(ポリエステルとポリエチレンとの
ラミネート) 容器4:図1の容器(ラミネート紙製) 容器5:高密度ポリエチレン製の剛体容器 容器6:図1の容器で気体収容室を有さない容器(低密
度ポリエチレン製) 表2に示す様に上記容器内に各トナー1〜10を収容し
たトナー収容製品である実施例1〜13及び比較例1〜
2を準備した。高温高湿環境(30℃、80RH%)下
に3ヶ月間保存した。
【0092】
【表2】
【0093】〔評価〕最初に高温高湿保存に伴う粒子の
凝集状態を評価した。各トナー収納製品内に収納された
トナーを取り出し、透過型電子顕微鏡により粒子100
0個あたり凝集状態にある粒子数を算出した。15個以
上発生していたものを不合格とする。
【0094】各トナー収納容器を搭載可能なトナーリサ
イクルシステムを搭載した市販のデジタル複写機(コニ
カ社製:Konica Sitios7030)改造機
に、高温高湿環境下(温度33℃、相対湿度80%R
H)で実写テストを行い、形成画像上の転写ぬけ発生、
白点状の画像不良発生、ハーフトーンの均一性、微細ド
ットのチリ、スポット状トナー汚れ、かぶり、及び容器
のピンホールと破れ発生について評価した。
【0095】なお、上記評価は、画素率が1%の文字画
像(画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画
像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル
画像を)をA4で1枚間欠モードにて10万枚複写を行
った後に続けて同オリジナル画像のコピー画像を10枚
と全面ハーフトーン画像を印字して評価を行った。 転写ぬけ評価 10万枚コピー後10枚の実写テスト画像を目視により
評価した。
【0096】 ○:10枚とも転写ぬけの全くないもの △:転写ぬけが1〜3個あるものが数枚あるが実用レベ
ルにある画像 ×:転写ぬけが多く実用的に問題のある画像 白点状の画像不良評価 10万枚コピー後10枚の実写テスト画像におけるベタ
黒画像を目視により評価した。
【0097】 ○:白点発生が1枚以下 △:白点発生が2〜5枚あるが実用レベルにあるもの ×:白点発生が6枚以上で実用的に問題のあるもの ハーフトーンの均一性 ハーフトーンの均一性は目視にて判断し、ハーフトーン
画像の均一性を評価した。ランクは下記表示として評価
した。
【0098】 ランクA:ムラの無い均一な画像 ランクB:スジ状の薄いムラが存在する画像 ランクC:スジ状の薄いムラが数本存在する画像 ランクD:スジ状のはっきりしたムラが数本以上存在す
る画像 微細ドットのチリ 画像全面に10%網点画像を形成し、ルーペにてドット
周辺のチリを観察した。チリがほとんど検知できないモ
ノを「◎」、微かにチリがあるが、注視しなければ気づ
かない程度を「○」、チリが容易に検知できるものを
「×」とした。 かぶりの発生状況 マクベス濃度計にて比画像部の白地濃度に対する相対濃
度を測定した。
【0099】 ◎:0.002未満 ○:0.002〜0.005未満 ×:0.005を超えるもの スポット状トナー汚れ 連続10枚、画像全面に白地画像を形成し、トナー凝集
体の飛散による直径0.5μm以上の黒点が発生するも
のを「×」、発生しないものを「○」とした。 ピンホールと破れ発生 上記デジタル複写機に装着した各粉体収容容器表面にお
けるピンホールと破れの発生を30倍ルーペを使用して
目視で評価した。
【0100】以上評価結果を表3に示す。
【0101】
【表3】
【0102】表3の結果から明らかな様に、実施例1〜
13は高温高湿環境下での保存を経て画像形成装置に装
填された状況下でもトナー粒子の凝集は見られないこと
が確認された。また、画像形成に関する特性も全く問題
のない結果が得られ、高温高湿という過酷な環境条件下
で保存したトナーの品質に変化を及ぼすものではないこ
とが確認された。また、収容容器についても高温高湿下
での長期保管や画像形成を経ても可撓性を有する柔らか
い材質のものでありながら、ピンホール発生やキズの発
生も見られず、従来の剛体容器と同等の耐久性を有する
ことが確認された。
【0103】その一方で、本発明に係る形状保持手段を
有さない可撓性を有する粉体収容容器では、凝集したト
ナー粒子が多く発生し、画像形成において良好な画質の
得られないものとなった。また、本発明外の可撓性を有
する容器では高温高湿の条件を経た容器はピンホールや
破れの発生し易い結果が確認された。
【0104】なお、本発明に係る実施例1〜13は、更
に上記高温高湿環境下での保存を6ヶ月及び12ヶ月継
続して収容トナーの画像特性を評価したが、12ヶ月間
高温高湿保存したものでも表3とほぼ同等の画質が再現
されることを確認した。長期保存したトナー収容製品の
容器の劣化も見られなかった。
【0105】
【発明の効果】請求項1又は2に記載の発明によれば、
粉体を収容する容器が可撓性を有する柔軟な素材で作製
されるため、使用済容器の折り曲げ回収を可能にするこ
とで物流効率の向上を達成するとともに、形状保持手段
を有することにより可撓性を有する柔軟な材質の容器で
もその形状を長期にわたり維持することが可能なので、
該容器を装置に装着後も容器の形状が保持された状態で
粉体を装置に確実に供給することが可能であり、装置に
装着した容器の特定箇所に応力が集中して局所的な疲労
発生や装着後の容器の破損やピンホール発生のない高耐
久性を有する粉体収容容器の提供を可能にする。また、
容器の形状が保持されることにより、ユーザが容器の取
扱いを誤って容器内の粉体を飛び出させて粉体汚染を発
生させることもない。
【0106】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は2に係る発明で見出された効果に加えて、可撓性を
有する容器本体が樹脂製であることから、耐湿性等に優
れ、容器内部に収容される粉体の品質を長期にわたり、
安定して維持することの可能な粉体収容容器の提供を可
能にする。
【0107】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
又は2に係る発明で見出した効果に加えて、可撓性を有
し柔軟な材質の容器を構成する素材を選択することによ
り、環境負荷の低減を可能にする容器を提供粉体収容容
器の提供を可能にする。
【0108】請求項5に記載の発明によれば、粉体を収
容する容器が可撓性を有する柔軟な素材で作製されるた
め、使用済容器の折り曲げ回収を可能にすることで物流
効率の向上を達成する粉体収容製品の提供を可能にす
る。また、可撓性を有する柔軟な材質でできた容器でも
その形状を長期にわたり維持することが可能なので、該
容器を装置に装着後も容器の形状が保持された状態で粉
体を装置に確実に供給することが可能であり、該容器は
装置に装着後にその特定箇所に応力集中して局所的に疲
労発生したり、装置に装着後容器の破損やピンホール発
生しない耐久性を有するので、収容された粉体の品質は
長期にわたり安定して維持される粉体収容製品の提供を
可能にする。また、容器の形状が保持されるので、ユー
ザが容器の取扱いを誤り容器内の粉体を飛び出させて粉
体汚染を発生させることのない粉体収容製品の提供を可
能にする。
【0109】請求項6に記載の発明によれば、容器内に
充填した粉体より気体分の容積が除去されるので、コン
パクトな容量の粉体収容製品を製造可能な粉体充填方法
の提供を可能にする。
【0110】請求項7〜12のいずれか1項に記載の発
明によれば、静電荷像現像用トナーを収容する容器を可
撓性を有する材質で作製し、使用済となった容器を業者
が回収する時に折り畳んで回収可能な、リユースのため
の使用済容器回収における物流効率を飛躍的に向上させ
る静電荷像現像用トナーと該容器内に静電荷像現像用ト
ナーを収容してなる静電荷像現像用トナー収容容器を提
供することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】気体収容室を有する粉体収容容器の実施形態例
を示す図である。
【図2】気体収容室を有する粉体収容容器の他の実施形
態例を示す図である。
【図3】気体収容室を有する粉体収容容器の他の実施形
態例を示す図である。
【符号の説明】
1,2,3 粉体収容容器 11 容器本体 12 気体収容室 13 開口部 14 気体供給排出部

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性を有する容器本体と、該容器本体
    の形状を保持する形状保持手段と、該容器内の粉体を装
    置に供給する時に該装置への装着手段とを有することを
    特徴とする粉体収容容器。
  2. 【請求項2】 前記形状保持手段が、前記容器本体の外
    側に配置され、内部に気体を充填し、排出する気体収容
    室であり、 前記気体収容室に気体を充填した時に該容器本体の容積
    を拡大してその形状を保持することを特徴とする請求項
    1に記載の粉体収容容器。
  3. 【請求項3】 前記可撓性を有する容器本体が樹脂製で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体収容
    容器。
  4. 【請求項4】 前記可撓性を有する容器本体が紙製であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体収容容
    器。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉
    体収容容器内に粉体を収容してなることを特徴とする粉
    体収容製品。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉
    体収容容器内に粉体を充填後、該充填された粉体より気
    体を脱気する工程を有することを特徴とする粉体収容製
    品の粉体充填方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉
    体収容容器が、静電荷像現像用トナーを収容する容器で
    あることを特徴とする静電荷像現像用トナー収容容器。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の静電荷像現像用トナー
    収容容器内に静電荷像現像用トナーを収容してなること
    を特徴とする静電荷像現像用トナー収容製品。
  9. 【請求項9】 前記静電荷像現像用トナー収容製品に収
    容される静電荷像現像用トナーが、少なくとも44℃以
    上63℃以下のガラス転移点を有する樹脂より構成され
    るものであることを特徴とする請求項8に記載の静電荷
    像現像用トナー収容製品。
  10. 【請求項10】 前記静電荷像現像用トナー収容製品に
    収容される静電荷像現像用トナーは、該トナー表面を外
    添剤で被覆されるものであり、外添剤の被覆面積率が7
    %以上50%以下であることを特徴とする請求項8又は
    9に記載の静電荷像現像用トナー収容製品。
  11. 【請求項11】 前記静電荷像現像用トナー収容製品に
    収容される静電荷像現像用トナーを構成する樹脂粒子
    が、水系媒体中で凝集して形成されるものであることを
    特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の静電
    荷像現像用トナー収容製品。
  12. 【請求項12】 請求項7に記載の静電荷像現像用トナ
    ー収容容器内に静電荷像現像用トナーを充填後、該充填
    されたトナーより気体を脱気する工程を有することを特
    徴とする静電荷像現像用トナーの充填方法。
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