JP2003275663A - 塗布方法、塗布製造物およびインクジェット記録媒体 - Google Patents

塗布方法、塗布製造物およびインクジェット記録媒体

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JP2003275663A
JP2003275663A JP2002085394A JP2002085394A JP2003275663A JP 2003275663 A JP2003275663 A JP 2003275663A JP 2002085394 A JP2002085394 A JP 2002085394A JP 2002085394 A JP2002085394 A JP 2002085394A JP 2003275663 A JP2003275663 A JP 2003275663A
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coating method
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drying
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Atsushi Saito
篤志 斉藤
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、薄膜の高速塗布、高乾燥性
を実現した塗布方法、その塗布製造物およびインクジェ
ット記録媒体を提供することにある。 【解決手段】 基体上に塗布液を塗布する塗布方法にお
いて、前記塗布液をインクジェットヘッドで吐出して前
記基体上に塗布を行うことを特徴とする塗布方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッドを用いて塗布液を液滴として噴霧することにより塗
布する塗布方法およびそれを用いて塗布製造された塗布
製造物及びインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、基体上に塗布液を塗布する方
法は種々知られている。例えば、搬送される長尺の帯状
基体(以下、単に基体ともいう)上に塗布液を高精度に
塗布する方法としては、Edward Cohen,E
dgar Gutoff著「MODERN COATI
NG AND DRYING TECHNOLOGY」
に述べられている如く、各種の方法が提案されており、
例えば、ディップ塗布法、ブレード塗布法、エアーナイ
フ塗布法、ワイヤーバー塗布法、エクストルージョン塗
布法、スライドビード塗布法、カーテン塗布法等が知ら
れている。そして、これらの塗布方法において、基体の
幅方向に高精度に均一な乾燥膜厚を得るために、塗布時
の(塗布後、乾燥前の)塗布膜厚精度、均一性等に注意
を払い、塗布を行っている。
【0003】これらの塗布法の中で特に、流量規制型の
ダイスを有する塗布装置は、高速、薄膜、多層同時塗布
が可能であり、その特徴により写真感光材料、インクジ
ェット記録材料、磁気記録材料等の塗布装置として広く
用いられている。
【0004】その好ましい一例としては、Russel
l等により米国特許第2,761,791号に提案され
たスライドビード塗布装置、あるいはエクストルージョ
ン塗布装置等が広く用いられている。またカーテン塗布
装置もダイスを有する流量規制型の塗布装置であるが、
同様に広く用いられている。
【0005】例えば、このスライドビード塗布装置の場
合、塗布装置先端と搬送される基体との間に、ビードと
称する塗布液溜まりを形成し、このビードを介して塗布
が行われる。また、カーテン塗布装置の場合、塗布装置
からカーテン状の塗布液膜を自由落下させ、落下先に基
体を位置させることにより塗布が行われる。これらは、
高精度に均一な乾燥膜厚を得るのに大変有用である。
【0006】しかし、これらダイスを有する塗布装置に
よる塗布は、その原理上、ビードやカーテン膜等、塗布
装置と基体との間を連続的に塗布液でつなぐことにな
る。基体上に均一な厚さの塗布膜を形成するためには、
塗布装置からの塗布液流量は、常に一定で、途切れがあ
ってはならない。すなわち、塗布膜を連続的に形成する
ため、また、塗布膜厚を精度高く一定にするために、所
定量以上の塗布液を要することになる。よって、これら
の方式において、塗布装置から吐出される塗布液量を極
端に少なくすることは、均一な膜厚を得る目的からする
と、困難を伴う。
【0007】そのため、塗布層あたりの溶質量が少な
い、つまり、塗布液を塗布し乾燥する前の湿潤膜厚がご
く薄い膜(例えば、1〜50μm程度)を形成する場合
には、塗布液の溶媒量を増やし、塗布液全体を増量する
ことが必要となる。特に塗布液の粘度が低い場合には、
基体上で流れてしまうため、安定な塗布膜を形成するこ
とが難しく、塗布液量をますます増やさねばならない。
【0008】しかし、溶媒量を増やすと、塗布後、溶媒
を飛ばして乾燥させる負荷(乾燥負荷)が大きくなり、
生産効率上好ましくない。また、溶媒量が多かったり、
乾燥に時間がかかると、当該塗布層の下に別の構成層が
存在する場合には、該構成層に当該塗布層の塗布液が過
度に浸透、拡散し、悪影響を及ぼす場合がある。
【0009】よって、薄膜を形成する塗布方法として
は、塗布膜厚の精度が高く、乾燥負荷が少なく、生産性
が高い塗布方法が望まれている。
【0010】このような高精度に均一な塗布膜厚の薄膜
を、構成層上に設けることが必要となる塗布製造物とし
ては色々あるが、たとえば下記に述べるインクジェット
用の空隙型記録媒体等が挙げられる。
【0011】インクジェット記録方法に用いられる記録
媒体は、インク吸収層が、例えば、普通紙のように紙そ
のものであるものや、コート紙のように吸収体を兼ねる
支持体の上にインク吸収層を塗設したもの、あるいは樹
脂被覆紙やポリエステルフィルムのような非吸収性の支
持体の上にインク吸収層を塗設したもの等がある。
【0012】中でも、非吸収性支持体の上にインク吸収
層を塗設したタイプの記録媒体は、支持体の表面平滑性
が高く、うねりが少ない等の理由から、光沢感、つや
感、深み等銀塩写真のような高品位の質感を求められる
出力に好ましく用いられる。さらに、高い光沢感やつや
感がある光沢型記録媒体としては、非吸収性支持体の上
に、インク吸収層としてポリビニルピロリドンやポリビ
ニルアルコール等の水溶性バインダーを塗設した膨潤型
記録媒体や、インク吸収層として顔料あるいは顔料とバ
インダーで微細な空隙構造を形成し、この空隙にインク
を吸収させる、いわゆる空隙型記録媒体が用いられる。
【0013】空隙型記録媒体において、この空隙構造を
有する多孔質インク吸収層は、主に親水性バインダーと
微粒子とで形成されており、微粒子としては無機または
有機の微粒子が知られているが、一般的には、より微粒
子で光沢性が高い無機微粒子が用いられる。そして、該
微粒子に対して比較的少量の親水性バインダーを使用す
ることにより、微粒子間に空隙が形成されて多孔質イン
ク吸収層が得られる。
【0014】一般に、上記の多孔質インク吸収層に対し
ては、さまざまな特性が要求され、これら種々の特性を
改良するために、以下に記載の各添加剤の使用が提案さ
れている。
【0015】1:高い発色性や光沢を達成するために、
多孔質を形成する約0.1μm程度以下の安定な微粒子 2:微粒子の保持力が高く、かつインク吸収速度を低下
させないための低膨潤性親水性バインダー 3:インク吸収速度や被膜の耐水性を改良するための親
水性バインダーの架橋剤 4:最適なドット径を達成するため、表面に配向した界
面活性剤や親水性ポリマー 5:色素の滲みや耐水性を改良するためのカチオン性の
定着剤 6:色素画像の光や酸化性ガスなどによる退色性を改良
するための退色防止剤 7:白地を改良するための蛍光増白剤や色調調整剤(赤
み剤や青み剤など) 8:表面の滑り性を改良するためのマット剤や滑り剤 9:多孔質インク吸収層に柔軟性を持たせるための各種
のオイル成分やラテックス粒子あるいは水溶性可塑剤 10:色素の滲みや耐水性あるいは耐候性を改良するた
めの種々の無機塩類(多価金属塩) 11:多孔質インク吸収層の膜面pHを調整するための
酸やアルカリ類等が挙げられる。
【0016】しかしながら、上記の種々の目的で使用す
る各添加剤を多孔質インク吸収層を形成する塗布液に添
加した場合、多くの添加剤において、製造工程の安定性
の観点から、種々の制約を受けるケースが多い。
【0017】そのような問題点としては、例えば、 A:微粒子や添加剤同士の間で凝集が生じたり、塗布液
中で相分離を起こすことにより、ムラのない安定した塗
布が困難になる、光沢が低下してマット化する、塗布液
の停滞安定性が低下し、生産効率が大幅に低下する等の
問題が生じる B:調製した塗布液を長時間停滞させると、塗布液が大
きく増粘してゲル化したり、逆に著しく減粘して、支持
体上で塗布液が流れやすくなり、その結果安定した塗布
が困難となり、均質な塗膜が得にくくなる C:多孔質インク吸収層を塗布乾燥する際に、表面のひ
び割れが増大する D:多孔質インク吸収層の空隙率が低下する 上記のA項やB項に係る問題は、主に添加剤の電気的な
相互作用に基づく場合が多く、例えば、カチオン性の定
着剤がその主因となり、アニオン基を有する種々の原材
料と反応して、様々な問題を引き起こす結果となる。
【0018】上記課題の解決方法の一つとして、多孔質
インク吸収層の塗布液には前記添加剤を含有させず、支
持体上に構成層としてまず塗布し、その後、前記添加剤
を含有する塗布液を前記構成層上部に塗布する、いわゆ
るオーバーコート層を設ける方法が考えられる。オーバ
ーコート層の塗布液に含有される前記添加剤は、予め設
けられた構成層(例えば、多孔質インク吸収層)に適度
に浸透し、上記問題を起こすことなく好ましい機能を付
与することが期待される。つまり、機能付与化合物とし
て働くことが期待される。もともと機能付与化合物を多
孔質インク吸収層に含浸させる目的であるから、オーバ
ーコート層自体はごく薄いものでよい。また、ごく薄い
方が好ましい。
【0019】しかし、構成層とオーバーコート層の2層
を設ける場合、まず前記構成層を塗布乾燥してから、一
旦ロールに巻き取り、再度ロールから繰り出してオーバ
ーコート層を塗布乾燥する2工程(ツーライン)で行う
と、製造コストが大幅に増大する問題がある。また、構
成層を形成した後、しばらく経時すると、温度履歴や時
間のばらつきにより、品質安定性に問題が生じるだけで
なく、オーバーコート層を設ける際、塗布ムラが生じや
すい等の問題が生じやすい。
【0020】更に、上記オーバーコート層の塗布を行う
のに、上述したような流量規制型のダイスを用いたエク
ストルージョン塗布法、スライドビード塗布法、カーテ
ン塗布法が用いられるのが通常であるが、これらの塗布
法を用いて、膜厚の均一性高く形成しようとする場合に
は、塗布膜厚を厚くしたり、あるいは塗布液に多量の溶
媒を添加して、安定した塗布条件を確立せねばならな
い。
【0021】この結果、オーバーコート層の塗布によ
り、更にインク吸収層表面に多量の溶媒(水や有機溶
媒)が付与される結果となり、乾燥時間や乾燥ゾーンの
延長によるコストアップ、乾燥能力が規定されている場
合には塗布速度の低下が必然となる。更に、厚膜の熱い
オーバーコート層を塗設することにより、乾燥までの間
にインク吸収層への拡散、浸透の度合いが大きく、ま
た、完全に乾燥するまでに時間がかかるため、多孔質イ
ンク層の塗布液に直接添加剤を含有させたような影響が
あり、オーバーコート層の利点を十分に発揮できない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
課題を鑑みなされたものであり、その目的は、高精度に
均一な膜厚の薄膜を高速に、乾燥負荷低く実現する塗布
方法と該塗布方法により塗布製造された塗布製造物及び
インクジェット記録媒体を提供することである。また、
すでに塗布形成された構成層の上に薄膜を設ける場合に
は、該構成層に悪影響がなく、トータルの生産効率の高
い塗布方法を提供することである。特に、インクジェッ
ト用記録媒体の塗布製造において、インク吸収層を構成
層として、この上に薄膜のオーバーコート層を設ける場
合に、記録媒体の諸特性、塗膜均一性、塗布液安定性に
優れた塗布方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、下
記の構成により達成された。
【0024】(1) 基体上に塗布液を塗布する塗布方
法において、前記塗布液をインクジェットヘッドで吐出
して前記基体上に塗布を行うことを特徴とする塗布方
法。
【0025】(2) 前記インクジェットヘッドを、前
記基体の搬送方向に複数台設け、前記塗布液の液滴の吐
出を多段で行うことを特徴とする(1)に記載の塗布方
法。
【0026】(3) 前記塗布液の粘度が0.1〜25
0mPa・sであることを特徴とする(1)又は(2)
に記載の塗布方法。
【0027】(4) 前記塗布液の粘度が0.1〜50
mPa・sであることを特徴とする(1)又は(2)に
記載の塗布方法。
【0028】(5) 前記塗布液の粘度が0.1〜20
mPa・sであることを特徴とする(1)又は(2)に
記載の塗布方法。
【0029】(6) 前記塗布液の溶媒が、水または水
混和性の有機溶媒と水との混合溶液であることを特徴と
する(1)〜(5)のいずれか1項に記載の塗布方法。
【0030】(7) 前記塗布液の湿潤膜厚が、1〜5
0μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれ
か1項に記載の塗布方法。
【0031】(8) 前記塗布の塗布速度が、50〜3
00m/minであることを特徴とする(1)〜(7)
のいずれか1項に記載の塗布方法。
【0032】(9) 前記基体は、支持体上に少なくと
も構成層を1層有していることを特徴とする(1)〜
(8)のいずれか1項に記載の塗布方法。
【0033】(10) 前記構成層が、インク吸収層で
あることを特徴とする(9)に記載の塗布方法。
【0034】(11) 前記構成層が前記支持体上に塗
布された後、前記構成層の減率乾燥以降において、前記
構成層上に塗布することを特徴とする(9)又は(1
0)に記載の塗布方法。
【0035】(12) 前記構成層が前記支持体上に塗
布された後、前記構成層の乾燥終点以降において、前記
構成層上に塗布することを特徴とする(11)に記載の
塗布方法。
【0036】(13) 前記塗布液が、前記構成層に対
する機能賦与化合物を含有していることを特徴とする
(9)〜(12)のいずれか1項に記載の塗布方法。
【0037】(14) 前記機能賦与化合物が、界面活
性剤、親水性バインダーの架橋剤、画像安定剤、水溶性
多価金属化合物のいずれかから選ばれることを特徴とす
る(13)に記載の塗布方法。
【0038】(15) 前記塗布液が、インクジェット
記録紙の最表層用の塗布液であることを特徴とする
(1)〜(14)のいずれか1項に記載の塗布方法。
【0039】(16) 前記支持体が、紙の両面をポリ
オレフィン樹脂で被覆された支持体であることを特徴と
する(1)〜(15)のいずれか1項に記載の塗布方
法。
【0040】(17) (1)〜(16)のいずれか1
項に記載の塗布方法を用いて、塗布製造されたことを特
徴とする塗布製造物。
【0041】(18) (1)〜(16)のいずれか1
項に記載の塗布方法を用いて、塗布製造されたことを特
徴とするインクジェット記録媒体。
【0042】本発明者らは、鋭意研究した結果、基体上
に塗布液を塗布する塗布方法において、前記塗布液をイ
ンクジェットヘッドで吐出して前記基体上に塗布を行う
ことにより、高精度に均一な膜厚の薄膜を高速に、乾燥
負荷低く塗布することができることを見出した。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。図1、2は、本発明で用い
ることができるインクジェットヘッドの一例の概略斜視
図である。
【0044】図1,2に示すインクジェットヘッドにつ
いて説明する。図1はインクジェットヘッドの一部破断
面を有する概略斜視図であり、図2はヘッドのインク室
部分の一例を示す概略断面図である。
【0045】圧電材であるチタン酸ジルコン酸鉛による
下部基板1bと上部基板1cを接着剤6により接着して
形成する。下部基板1bと上部基板1cは図2の矢印の
ように逆方向に分極している。上部基板と下部基板にま
たがって複数の細長い溝2を形成する。これにより複数
の平行な隔壁4と溝2が形成される。
【0046】複数溝の内面には蒸着により電極膜3を設
ける。溝2に電極膜3を取りつけてから基板1の上面の
一部を段加工して段部35を形成する。接着剤6により
隔壁4の上面に蓋8を接着し、隔壁4の端面に接着剤に
より封溝片25を取りつける。複数溝の内面に形成され
た電極膜3の表面にパリレン等の絶縁膜17をコーティ
ングし、絶縁膜17の表面を酸素プラズマ処理により親
水化処理する。この親水化処理により気泡がヘッド内に
残存しにくくなり吐出安定性が向上する。溝2の開口す
る端面にノズル孔11を有するノズル板10を同じ接着
剤6により接着して溝2の1つおきにインク室9を形成
する。ノズル孔は各インク室に対応して設けられ、すな
わち溝2に対応して1つおきに設けられている。蓋8の
上部には共通溝5が彫られ、各インク室に連通するため
の孔12が設けられる。溝2は1つおきにノズル孔11
と連通孔12をともに有する。蓋8の上部にはインク供
給孔15を有する上板14が共通溝5の上部を覆うよう
に接着剤6により接着される。
【0047】電極膜はそれぞれ蓋8の段部35に露出し
ている引き出し配線7につながっている。
【0048】インク供給孔15より塗布液を供給し、図
1、2の並列する溝2の1つおきに形成されたインク室
9に塗布液を満たす。両隣のダミー溝9′には塗布液は
供給されない。
【0049】引き出し配線7に電気信号を送り、インク
室2aの電極膜とその両側のダミー溝の電極膜の間にイ
ンク室の電極膜の電位が高電位となるように駆動電圧を
かけるとインク室2aの両側の隔壁が内側に向けて変形
し、インク室が収縮して塗布液が小滴となって吐出す
る。続いてインク室電極膜を接地すると、変形がなくな
り塗布液がインク室に吸い込まれる。
【0050】本発明に好ましく用いることのできるイン
クジェットヘッドは、上記に示したピエゾ型のインクジ
ェットヘッドに限定されず、公知のインクジェットヘッ
ドを応用して用いることができるが、好ましくはピエゾ
型のインクジェットヘッドである。
【0051】本発明において、基体は、インクジェット
ヘッドに対して相対的に移動させ(搬送させ)、連続的
に塗布製造を行うことが好ましい。インクジェットヘッ
ドは、少なくとも基体の塗布幅(基体の搬送方向と交差
する方向における前記基体の被塗布部の長さのことを指
す)に対応する長さを有し、基体の搬送方向と交差する
ように配置させることにより、塗布装置に対して基体を
搬送させるだけで基体上に塗布液を塗布する。基体が長
尺の帯状支持体である場合、前記帯状支持体の長手方向
に前記帯状支持体自身を搬送させ、インクジェットヘッ
ドを、前記帯状支持体の幅手方向に(長手方向と直行す
る方向に)位置させることが好ましい。インクジェット
ヘッドに対し、基体を一方向に搬送し、塗布液を塗布幅
にわたって液滴として塗布することにより、ごく薄い塗
布膜を、乾燥負荷なく、膜厚均一性高く塗布できる。
【0052】塗布液の粘度としては、好ましくは0.1
〜250mPa・s、より好ましくは0.1〜50mP
a・s、さらに好ましくは0.1〜20mPa・sであ
り、このような低粘度の塗布液をスロットノズルスプレ
ー装置に適用することで、塗布幅にわたって均一な液滴
の噴霧が可能である。
【0053】また、塗布幅にわたって均一な液滴の塗布
を行うには、塗布液の表面張力が20〜70mN/mに
調整すること、好ましくは20〜50mN/m、さらに
好ましくは20〜30mN/mとすることである。
【0054】上記手段を用いて、塗布幅にわたり、連続
ファイバー状ではなく、不連続な液滴状に飛散させるこ
とにより、塗布液が少量であっても、均一に、塗布液を
基体上に供給できる。結果として、塗布膜厚を均一にす
ることができる。また、不連続な液滴の基体上への供給
であって、塗布液量が少なくなるので、乾燥負荷もかか
らない。
【0055】本発明において基体とは、本発明の塗布方
法を用いて塗布液の塗布を行う被塗布対象物のことであ
り、その形態は問わない。上述の長尺の帯状支持体や、
該帯状支持体上にすでに構成層を有するものであること
が本発明の効果を十分に奏することができ好ましいが、
これに限られるものではない。基体は、板状の支持体で
あっても、立体形状を有するものであっても構わず、被
塗布部が面積を有していればよい。
【0056】図3は、上記説明したようなインクジェッ
トヘッドAを配置した塗布製造ラインの一例を示してい
る。ここでは、基体としては支持体上に構成層を塗布し
たものを用いている。該構成層を塗布後、乾燥する工程
内に、複数のインクジェットヘッドAを配置した。この
ように同一ライン上で、構成層の形成と本発明によるオ
ーバーコート層(最表層)の塗布とを行うことをオンラ
イン塗布と呼んでいる。
【0057】図示しない搬送手段によって支持体の元巻
きから、支持体が搬送ローラ21を通過し、さらにバッ
クアップロール22の位置にて反転搬送される過程で流
量規制型のスライドビード塗布装置20より供給される
多孔質インク吸収層(構成層)の塗布液が塗布される。
この多孔質インク吸収層用の塗布液は、親水性バインダ
を含有しているので、冷却装置30で一端冷却して固定
する。この支持体上に構成層を有する基体は、乾燥工程
に搬送される。乾燥工程では、エアを吹き出して塗布膜
表面と非接触で反転搬送させるリバーサ23と基体の裏
面に接触して反転搬送させる通常の搬送ローラ24とを
交互に設けて、基体を蛇行搬送させている。この乾燥工
程においては、温風を吹き付けられて乾燥される(温風
吹きつけ手段は不図示)。この乾燥工程の途中、好まし
くは減率乾燥以降の位置に、2つのインクジェットヘッ
ドによって本発明の上記説明したような塗布が行われ
る。2つのインクジェットヘッドのうち、少なくとも1
つは、乾燥終点以降の位置に載置されることが好まし
い。ここでは2つのインクジェットヘッドを使用した
が、1つでももちろんよく、3つ以上でもかまわない。
多段に分けて塗布を行うことにより、乾燥負荷がより少
なくなると同時に、膜厚均一性も高まる。
【0058】本発明の塗布方法を用いて、基体上に塗布
液の薄膜を形成する際の塗布速度としては、用いる塗布
液の種類、濃度、溶媒含有量、乾燥能力等により変化
し、一概に規定することはできないが、塗布速度とし
て、50〜300m/minであることが好ましく、よ
り好ましくは100〜300m/minである。
【0059】本発明の塗布方法を用いて、少なくとも1
層の構成層を支持体上に有する基体上に、塗布を行う場
合の塗布時期としては、支持体上に形成した構成層の減
率乾燥以降が好ましく、特に好ましくは乾燥終点以降で
ある。
【0060】また、前記構成層をスライドビード塗布等
を用いて行う塗布工程と本発明のインクジェットヘッド
を用いて行う塗布工程は、同じ製造ライン上で、連続し
て行うことが好ましい(オンライン塗布と言う)。本発
明にかかる塗布方法は、少量の塗布液であっても塗布が
可能であるため、該構成層が完全に乾燥していない状態
で行っても乾燥負荷が少なく、該構成層への悪影響も少
ない。また、該構成層が完全に乾燥する前に本発明にか
かる塗布を行う方が、かえって構成層のひび割れ等のデ
メリットを防ぐことも出来ることがわかった。
【0061】本発明の塗布方法は、乾燥負荷が少ないの
で、該構成層の乾燥工程内において実施することができ
る。乾燥工程は、通常は、湿潤状態の塗布膜を連続的に
搬送しながら、その表面あるいは裏面より、特定の温度
及び湿度条件に制御された乾燥風を吹き付けて乾燥させ
る。
【0062】湿潤状態の塗布膜の乾燥過程は、主に以下
のように分類することができる。乾燥の初期は、恒率乾
燥部と呼ばれ、塗布液の溶媒である水や溶剤が蒸発潜熱
を奪いながら蒸発していくため、構成層の表面温度はほ
ぼ一定である。この一定温度の期間を恒率乾燥部とい
う。恒率乾燥部後は、塗布液の溶質とインターラクショ
ンのある水や溶剤を蒸発させるため、蒸発潜熱の他にそ
のインターラクションを解くためのエネルギーも必要と
なるので表面温度は上昇する。この期間を減率乾燥部と
いう。減率乾燥部では、表面からの溶媒の蒸発が層内の
塗膜中の水分移動が勝るときに起きる現象である。次い
で、減率乾燥が終了すると、乾燥風の温度とインクジェ
ット記録媒体の表面温度が一致する領域に入る。この時
点が、乾燥終点と呼ばれている。
【0063】以上説明した恒率乾燥部、減率乾燥部及び
乾燥終点の確認方法としては、特に制限はないが、例え
ば、表面温度をモニターして、表面温度が一定である領
域を恒率乾燥部、表面温度が上昇する領域を減率乾燥部
及び乾燥温度と同一となった時点を、乾燥終点として求
めることができる。
【0064】また、他の方法としては、各領域に含水量
計を設置し、塗膜の含水量をモニターし、含水量の減少
曲線がフラットになった領域を乾燥終点として規定する
ことができる。
【0065】本発明の塗布方法における塗布液の粘度
は、0.1〜250mPa・sであることが好ましい。
より好ましくは0.1〜50mPa・sである。さらに
好ましくは0.1〜20mPa・sである。
【0066】本発明において、塗布液の湿潤膜厚が1〜
50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜3
0μmである。
【0067】本発明の塗布方法は、薄層を均一に形成す
ることができ、幅広い分野に適用することができ、例え
ば、一般銀塩感光材料の最表面に機能層を賦与する、反
射防止膜の形成、電子写真で用いる感光体の電荷発生
層、電荷輸送層の塗布、インクジェット記録媒体上への
塗布等に用いることができるが、特に好ましくはインク
ジェット記録媒体上へのオーバーコート層の塗布に適用
することである。
【0068】本発明の塗布方法が好ましく適用できるイ
ンクジェット記録媒体は、支持体上に親水性バインダー
と微粒子を含有する多孔質インク吸収層を構成層として
有し、その上に本発明の塗布方法でオーバーコート層を
設けたものである。
【0069】多孔質インク吸収層は、主に微粒子と親水
性バインダーから形成される。微粒子としては、気相法
で合成された微粒子シリカを、親水性バインダーとして
は、ポリビニルアルコールなどが好ましく用いられる。
【0070】このようなインクジェット記録媒体に用い
られる支持体としては、吸水性支持体(例えば、紙な
ど)や非吸水性支持体を用いることができるが、より高
品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体が
好ましい。このような支持体としては、紙の両面をポリ
オレフィン樹脂でラミネートした紙支持体がある。
【0071】上記ポリビニルアルコールと微粒子シリカ
を含有する多孔質インク吸収層用(構成層用)の塗布液
は、高温で低粘度、低温で高粘度になりやすい。それ故
に、上記水溶性塗布液を支持体上に塗布した後は、塗布
液を冷却して著しく増粘させることが好ましい。
【0072】多孔質インク吸収層の塗布温度は、一般的
には、30〜60℃であり、塗布後の冷却温度は塗膜温
度が概ね20℃以下になるようにすれば良く、特に、1
5℃以下にすることが好ましい。
【0073】冷却工程は、塗布後、例えば15℃以下に
冷却されたゾーンを一定時間(好ましくは5秒間以上)
通過させることで行うことができる。この冷却時点で
は、あまり強い風を吹き付けないことが、液ヨリを起こ
さず均一でムラのない塗膜を得る観点から好ましい。
【0074】一旦冷却した以降は、強い風を吹き付けて
も、塗布液自体の増粘のため、液ヨリを起こしにくくな
り、強い風を吹き付けても液ヨリの発生を抑制すること
ができる。また、吹き付ける強い風の温度は、20℃以
上の風を吹き付けることができるが、徐々に風の温度を
上げるのが好ましい。
【0075】多孔質インク吸収層用の塗布液を支持体上
に塗布した後の乾燥工程は、風を吹き付けたり高温状態
のゾーンを通過させる、もしくは両者を併用することで
行われる。
【0076】高温ゾーンを通過させて乾燥させる場合、
50〜150℃の乾燥ゾーンを通過させる。この際、乾
燥温度は、支持体の耐熱性や塗膜への悪影響などを考慮
して適切な乾燥温度を選択することが好ましい。乾燥す
る風は、通常、相対湿度が10〜50%、好ましくは1
5〜40%の風で行われる。乾燥時間は、湿潤膜厚にも
よるが、概ね10分以内が好ましく、5分以内にするの
が特に好ましい。
【0077】塗布速度は、湿潤膜厚や設備の乾燥能力に
依存するが、概ね1分当たり10〜1000m、好まし
くは20〜500mである。
【0078】次に、本発明の塗布方法において、インク
ジェット記録媒体の多孔質インク吸収層上にオーバーコ
ート層を設ける場合の、該オーバーコート層用の塗布液
について、以下に説明する。
【0079】オーバーコート層用の塗布液は、インクジ
ェット記録媒体の構成層表面に対する機能賦与化合物を
含有していることが特徴である。
【0080】その機能賦与化合物の使用により、pHが
変化する有機または無機の酸、もしくは各種のアルカリ
性の添加剤、水溶性多価金属イオンの水溶性塩、アニオ
ン、カチオン、両性、もしくはノニオン系の各種界面活
性剤、退色防止剤、カチオン性定着剤、親水性バインダ
ーの架橋剤等が挙げられる。
【0081】多孔質インク吸収層の膜面pHを低下させ
る目的で使用できる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、
硝酸、燐酸などの無機酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、フタ
ル酸、こはく酸、蓚酸、ポリアクリル酸などの有機酸を
挙げることができる。
【0082】多孔質インク吸収層の膜面pHを増大させ
る目的で使用されるアルカリとしては、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム、ほう砂、燐酸ナトリウム、水酸化カルシウム、
有機アミンなどが挙げられる。
【0083】上記pH調整剤は、多孔質形成する塗布液
中のpHが記録媒体の好ましい膜面pHと異なる場合
に、特に好ましい。
【0084】記録媒体の多孔質インク吸収層の膜面pH
は、インクの種類によっても異なるが、一般には、より
酸性側で染料の耐水性や滲みが改善されるが、耐光性は
より高pH側で改良される傾向が大きいため、使用する
インクとの組み合わせで最適なpHは選定される。好ま
しい多孔質表面の膜面pHは、3〜7であり、特に3.
5〜6.5が好ましい。ここでいう膜面pHとは、J.
TAPPI 49に規定される紙の表面pH測定方法に
したがって測定した値であり、具体的には、記録媒体表
面に50μlの純水(pH=6.2〜7.3)を滴下
し、市販の平面電極を用いて測定した値を言う。
【0085】前記機能付与化合物としては、界面活性剤
であってもよい。界面活性剤は、インクジェット記録時
にドット径をコントロールすることが可能であり、その
ような界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、
両性、もしくはノニオン系界面活性剤を挙げることがで
きる。また、界面活性剤は、2種以上を併用することも
できる。界面活性剤の添加量は、記録媒体1m2当たり
概ね0.01〜50mgである。50mgを越えると、
インクジェット記録時にマダラ状のムラになりやすい。
【0086】前記機能付与化合物としては、親水性バイ
ンダーの架橋剤であってもよい。このような架橋剤とし
ては、公知のものを使用でき、好ましいものとしては、
前述のホウ酸類、ジルコニウム塩、アルミニウム塩もし
くはエポキシ系架橋剤である。
【0087】前記機能付与化合物としては、画像安定剤
(以下、退色防止剤ともいう)であってもよい。退色防
止剤は、光照射による退色およびオゾン、活性酸素、N
x、SOxなどの各種の酸化性ガスによる退色を抑制す
るものである。
【0088】前記機能付与化合物としては、カチオン性
ポリマーを使用することができる。一般に、カチオン性
ポリマーは、染料の定着剤として作用し、耐水性や滲み
を防止するため、予め多孔質受容層を形成する塗布液に
添加しておくことが好ましいが、塗布液中に添加した際
に問題が発生する場合には、オーバーコート法で供給す
ることもできる。例えば、カチオン性ポリマーの添加に
より、塗布液が経時で増粘したり、あるいは、多孔質層
内でカチオン性ポリマーの分布を持たせて発色性を改善
する場合などでは、オーバーコート法で供給することが
好ましい。カチオン性ポリマーをオーバーコート法で供
給する場合、記録媒体1m2当たり概ね0.1〜5gの
範囲である。
【0089】前記機能性付与化合物としては、水溶性多
価金属化合物であってもよい。水溶性多価金属化合物
は、一般に、無機微粒子含有の塗布液中に存在すると凝
集を起こしやすいことが多く、これにより微少な塗布故
障や光沢性の低下を引き起こしやすいため、特にオーバ
ーコート法で供給するのが好ましい。
【0090】そのような多価金属化合物としては、例え
ば、Mg2 +、Ca2 +、Zn2 +、Zr 2 +、Ni2 +、Al3 +
などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等で用いられ
る。
【0091】上記の各機能性付与化合物は、単独で使用
しても、あるいは2種以上を併用することもできる。具
体的には、退色防止剤を2種以上含む水溶液を用いるこ
とも、また、退色防止剤と架橋剤を含有する溶液、退色
防止剤と界面活性剤を含有する溶液、更には架橋剤、水
溶性の多価金属化合物、および退色防止剤を併用するこ
ともできる。
【0092】上記機能性付与化合物の溶媒としては、水
または水混和性の有機溶媒と水との混合溶液であること
が好ましく、特に水を用いることが好ましい。また、水
と水混和性を有する低沸点有機溶媒(例えば、メタノー
ル、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノー
ル、アセトン、メチルエチルケトン等)との混合溶媒も
特に好ましい溶媒である。水と水混和性の有機溶媒とを
併せて使用する場合、水の含有率が質量比で50質量%
以上含有していることが好ましい。
【0093】ここで水混和性を有する低沸点有機溶媒と
は、室温で水に対して10質量%以上の溶解性を有し、
沸点が約120℃以下の有機溶媒を言う。
【0094】また、本発明の塗布方法に用いる塗布液の
表面張力は、室温で20〜60mN/mであることが、
均一な塗布性を得る観点から好ましい。
【0095】
【実施例】以下、インクジェット用記録媒体のオーバー
コート層を本発明の塗布方法にて設ける実施例を例に、
本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定される
ものではない。
【0096】実施例1 〔基体の作製〕4層構成の多孔質インク吸収層を構成層
として支持体上に形成した基体を用意した。
【0097】まず、下記の構成層用塗布液を調製した。
シリカ分散液のシリカは、1次粒子の平均粒径が約0.
012μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製:アエ
ロジル200)を用いた。また、オイル分散液は、酸化
防止剤を含有しているものである。各添加量は塗布液1
L当たりの量で表示した。実施例中で「%」は、特に断
りのない限り質量%を表す。
【0098】 〈第1層用塗布液:最下層〉 シリカ分散液 580ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%) 6.5%水溶液 290ml オイル分散液 30ml ラテックス分散液(昭和高分子社製:AE803) 42ml エタノール 8.5ml 純水で全量を1000mlに仕上げる 〈第2層用塗布液〉 シリカ分散液 600ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%) 6.5%水溶液 270ml オイル分散液 20ml ラテックス分散液(昭和高分子社製:AE803) 22ml エタノール 8ml 純水で全量を1000mlに仕上げる 〈第3層用塗布液〉 シリカ分散液 630ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%) 6.5%水溶液 270ml オイル分散液 10ml ラテックス分散液(昭和高分子社製:AE803) 5ml エタノール 3ml 純水で全量を1000mlに仕上げる 〈第4層用塗布液:最上層〉 シリカ分散液 660ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%) 6.5%水溶液 250ml ベタイン型界面活性剤の4%水溶液 3ml サポニンの25%水溶液 2ml エタノール 3ml 純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0099】次に、上記の各塗布液を下記の湿潤膜厚と
なるよう、40℃で両面にポリエチレンを被覆した紙支
持体上に、スライドビード型塗布装置を用いて4層同時
塗布して、基体を作製した。
【0100】〈湿潤膜厚〉 第1層:42μm 第2層:39μm 第3層:44μm 第4層:38μm インク吸収層用塗布液の塗布後は、5℃に保った冷却ゾ
ーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低
下させたあと、以下の温度の風を順次インク吸収層表面
に吹き付けながら乾燥工程の各ゾーンを通過させて乾燥
した。
【0101】なお、全乾燥工程は360秒とし、このう
ち前半の270秒は、吹き付ける風の平均相対湿度を3
0%以下とした。270秒以降は、相対湿度が40〜6
0%の調湿ゾーンとした。
【0102】膜面温度を測定した結果、前半150秒ま
でが恒率乾燥部、それ以降が減率乾燥部を示し、乾燥終
点(膜面温度が風の温度と一致する箇所)は240秒で
あった。
【0103】〔塗布方法1〕オーバーコート層用塗布液
として、4%ホウ酸溶液を用いた。この塗布液の粘度
は、室温で1.5mPa・s、表面張力は、60〜70
mN/mであった。
【0104】塗布製造ラインとしては、図3と同様にし
た。ただし、インクジェットヘッドAは1台とし、前記
多孔質インク吸収層の乾燥工程の200秒の位置(減率
乾燥部であって、乾燥終点前)に配置した。
【0105】塗布条件としては、湿潤膜厚が5μmにな
るように、塗布速度としては150m/minでオーバ
ーコートを行った。
【0106】〔塗布方法2〕上記塗布方法1において、
インクジェットヘッドAの配置を、乾燥工程の300秒
の位置(乾燥終点以降)に変更した以外は、同様にして
塗布方法2を実施した。
【0107】〔塗布方法3〕上記塗布方法1において、
インクジェットヘッドAを2台に変更し、それぞれ乾燥
工程の200秒の位置と300秒の位置に配置した以外
は、同様にして塗布方法3を実施した。
【0108】〔塗布方法4〕上記塗布方法1において以
下を変更した。
【0109】オーバーコート層用塗布液として、ホウ酸
溶液の組成において、ポリビニルアルコール(平均重合
度3800、ケン化度88%)を添加して粘度が上がる
ように調整した。このときの塗布液の粘度は室温で、3
00mPa・sであった。また、表面張力は40mN/
mであった。
【0110】〔塗布方法5〕上記塗布方法1において、
インクジェットヘッドAをエクストルージョン塗布装置
に変更した以外は、同様にして塗布を行った。このとき
の塗布液は、塗布装置から基体まで、ビード状の液膜を
形成していた。
【0111】上記各塗布方法にて得られた各インクジェ
ット記録媒体について、下記の評価を行った結果を表1
に示す。
【0112】(塗布性の評価)塗布、乾燥が終了した各
記録媒体表面を目視観察して、下記に記載の基準に則り
塗布性の評価を行った。
【0113】A:塗布面に、塗布ムラが全く認められな
い B:塗布面に、微小な塗布ムラが確認されるが軽微であ
る C:塗布面に、やや塗布ムラが確認できるが実用上許容
の範囲である D:塗布面に、やや強い塗布ムラが認められ、実用上問
題がある E:塗布面に、極めて強い塗布ムラが認められる (乾燥性の評価)塗布、乾燥が終了した各記録媒体表面
を目視観察して、下記に記載の基準に則り乾燥性の評価
を行った。
【0114】A:塗布面が、完全に乾燥している B:塗布面が、ほぼ乾燥している C:塗布面端部で、弱い未乾燥部が認められるが、許容
の範囲である D:塗布面端部で、やや強い未乾燥部が認められ、実用
上問題がある E:塗布面全面で、未乾燥部が発生している
【0115】
【表1】
【0116】表1の結果より、塗布方法1〜4で作製し
たインクジェット記録媒体は塗布性、乾燥性に優れてい
ることが分かった。
【0117】実施例2 実施例1に記載の塗布方法1〜5において、4%ホウ酸
溶液に代えて、ベタイン型界面活性剤に変更した以外は
同様にして塗布を行ったところ、実施例1と同様な傾向
を示した。
【0118】実施例3 実施例1に記載の塗布方法1〜5において、4%ホウ酸
溶液に代えて、退色防止剤に変更した以外は同様にして
塗布を行ったところ、実施例1と同様な傾向を示した。
【0119】実施例4 実施例1に記載の塗布方法1〜5において、4%ホウ酸
溶液に代えて、多価金属含有水溶液に変更した以外は同
様にして塗布を行ったところ、実施例1と同様な傾向を
示した。
【0120】実施例5 実施例1において、塗布方法5につき、塗布膜厚(乾燥
前)の湿潤膜厚のみ60μmに変更したものを塗布方法
6とした。塗布方法6では、塗布性はCで若干向上した
が実用レベルではなく、同様に乾燥性はEに劣化した。
【0121】実施例6 実施例1において、塗布方法1〜5につき、塗布速度の
み150m/sから300m/sに変更したものを塗布
方法7〜11とした。塗布方法7〜10では、塗布方法
1〜4と略同等の結果となったが、塗布方法11におい
ては、塗布性が更に劣化した。
【0122】
【発明の効果】本発明により、薄膜の高速塗布、高乾燥
性を実現した塗布方法およびその塗布製造物、インクジ
ェット記録媒体を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることができるインクジェットヘ
ッドの一部破断面を有する概略斜視図である。
【図2】本発明に用いることができるインクジェットヘ
ッドのインク室部分の一例を示す概略断面図である。
【図3】インクジェットヘッドを配置した塗布製造ライ
ンの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 基板 2 溝 2a インク室 3 電極膜 6 接着剤 8 蓋 9 インク室 9′ ダミー溝 14 上板 15 インク供給孔 20 スライドビード塗布装置 30 冷却装置 A インクジェットヘッド

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に塗布液を塗布する塗布方法にお
    いて、前記塗布液をインクジェットヘッドで吐出して前
    記基体上に塗布を行うことを特徴とする塗布方法。
  2. 【請求項2】 前記インクジェットヘッドを、前記基体
    の搬送方向に複数台設け、前記塗布液の液滴の吐出を多
    段で行うことを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
  3. 【請求項3】 前記塗布液の粘度が0.1〜250mP
    a・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    塗布方法。
  4. 【請求項4】 前記塗布液の粘度が0.1〜50mPa
    ・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗
    布方法。
  5. 【請求項5】 前記塗布液の粘度が0.1〜20mPa
    ・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗
    布方法。
  6. 【請求項6】 前記塗布液の溶媒が、水または水混和性
    の有機溶媒と水との混合溶液であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれか1項に記載の塗布方法。
  7. 【請求項7】 前記塗布液の湿潤膜厚が、1〜50μm
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に
    記載の塗布方法。
  8. 【請求項8】 前記塗布の塗布速度が、50〜300m
    /minであることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載の塗布方法。
  9. 【請求項9】 前記基体は、支持体上に少なくとも構成
    層を1層有していることを特徴とする請求項1〜8のい
    ずれか1項に記載の塗布方法。
  10. 【請求項10】 前記構成層が、インク吸収層であるこ
    とを特徴とする請求項9に記載の塗布方法。
  11. 【請求項11】 前記構成層が前記支持体上に塗布され
    た後、前記構成層の減率乾燥以降において、前記構成層
    上に塗布することを特徴とする請求項9又は10に記載
    の塗布方法。
  12. 【請求項12】 前記構成層が前記支持体上に塗布され
    た後、前記構成層の乾燥終点以降において、前記構成層
    上に塗布することを特徴とする請求項11に記載の塗布
    方法。
  13. 【請求項13】 前記塗布液が、前記構成層に対する機
    能賦与化合物を含有していることを特徴とする請求項9
    〜12のいずれか1項に記載の塗布方法。
  14. 【請求項14】 前記機能賦与化合物が、界面活性剤、
    親水性バインダーの架橋剤、画像安定剤、水溶性多価金
    属化合物のいずれかから選ばれることを特徴とする請求
    項13に記載の塗布方法。
  15. 【請求項15】 前記塗布液が、インクジェット記録紙
    の最表層用の塗布液であることを特徴とする請求項1〜
    14のいずれか1項に記載の塗布方法。
  16. 【請求項16】 前記支持体が、紙の両面をポリオレフ
    ィン樹脂で被覆された支持体であることを特徴とする請
    求項1〜15のいずれか1項に記載の塗布方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれか1項に記載
    の塗布方法を用いて、塗布製造されたことを特徴とする
    塗布製造物。
  18. 【請求項18】 請求項1〜16のいずれか1項に記載
    の塗布方法を用いて、塗布製造されたことを特徴とする
    インクジェット記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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