JP2003275186A - 心電図モニター装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被験者の腕に装着して、腕手首での単極誘導
の心電図を得るための空間的に離れた不関電極を設ける
必要のない心電図モニター装置を提供する。 【解決手段】 抵抗の一端を心電図を得るための体表面
に接するただ一つの電極に接続し、前記抵抗の反対側の
一端を自己静電容量を持つ導体板に接続することによっ
て、前記抵抗の両端に心電図の微分波形として現れる電
圧を差動増幅器へ入力し、前記差動増幅器からの出力を
積分する積分回路によって元の心電図波形を再現する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は携帯用心電図モニタ
ー装置に関するもので、特に超小型にし、被験者の腕に
装着して、心電図を単極肢誘導で常時検出・記録かつモ
ニターする装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、心電図の１週間以内のモニタリン
グのためには携帯用心電図モニターとしてホルター心電
計が広く使用されている。しかしながら、これは数個の
電極を胸部に装着するため、比較的負担が大きく、長期
間に渡っての使用には適していない。ところが、軽度の
狭心症などでは発作の頻度が極めて低く、短期間のモニ
タリングでは検出できないことが多々あった。このよう
な、それほど重症でないが気になる患者の簡易心電図モ
ニターとして腕時計型で心電図を取得する方法もあり、
例えば特開昭６０−１０３９３７号広報に開示されてい
る。そこでは、時計の腕に接する裏蓋部分に接地電極と
差動増幅器への一方への入力用の電極、表側に差動増幅
器へのもう一方への入力用の電極を設けている。患者は
腕時計を通常のように腕に嵌める。反対側の手指を表側
の電極に接触させることにより心電図のモニターあるい
は記録を行うことができる。これはＪＩＳに定められた
標準肢誘導の第１誘導の心電図を取得するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報では、日常生活中に心電図をモニターする必要の生じ
たときモニターしている間中、両手を拘束されるという
問題があった。例えば作業中、自動車の運転中などに起
きる軽度の狭心症においては心電図をモニターするため
に、作業・行為などすぐには中断出来ないことも多い。

【０００４】また、例えば就寝中に起きる狭心症におい
ては、睡眠が深いと心電図を取得するための操作が出来
ず、結局見過ごされてしまう場合が多々あった。

【０００５】また、乳幼児に於いては自分では心電図取
得の操作ができないという問題があった。

【０００６】このように、身体への装着の負担の少ない
腕時計型心電図モニターであっても心電図をモニター或
いは取得する際には一定時間両手を必要とする問題が有
った。これは、電位は基準点に対しての大きさを示すも
のであるから、必ず２点で計らなければならないことに
起因するのである。

【０００７】さて、ＪＩＳで定められた心電図導出の方
法として標準１２誘導がある。特にこの中に単極誘導と
呼ばれる導出方法があるが、この単極誘導の場合であっ
ても、従来では必ず複数の電極を体表面に配置し、抵抗
接続で電気的中性点を作り出し、基準電位としている
か、あるいは近似的に電位の動きの少ない部位に電極を
配置するのであって、決して一つの電極だけで心電図を
導出しているのではない。なお、電気的中性点は不関電
極と呼ばれる。

【０００８】本発明の目的は被験者の腕に装着して、腕
手首での単極誘導の心電図を得るための空間的に離れた
不関電極を設ける必要のない常時心電図検出・記録かつ
モニター可能な心電図モニター装置を提供することにあ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の心電図モニター装置では下記記載の手段を採用
する。すなわち、本発明の心電図モニター装置は、抵抗
と、該抵抗の一方の端子に接続される一つの電極と、自
己静電容量を有して前記抵抗の他方の端子に接続される
導体板と、前記一方の端子と前記他方の端子の間に現れ
る電圧を入力する差動増幅器と、該差動増幅器の出力を
積分する積分回路を備え、前記一つの電極を体表面に接
することにより、心電図を得ることを特徴とする。

【００１０】（作用）心電図を誘導する電極を一つと
し、抵抗を介して外部の導体板に接続し、前記導体板の
静電容量結合により前記抵抗を流れる電流によって前記
抵抗両端に生じる電圧を測定する。前記電圧の波形は体
表面に誘導される心電図の微分波形となるから、積分す
ることによって元の心電図を再現することができる。片
腕で完結した心電図モニター装置であり、両腕を使う必
要がないため、常時心電図データを取得することが出来
る。就寝中でも心電図データを取得できる。腕時計型
で、常時身に付けても装着の負担が少なく、煩わしい電
極間の配線が不要である。狭心症・心筋梗塞など自覚症
状を感じたら心電図データを記録し、医師による診断に
役立てることができる。軽度の心疾患に対して標準の心
電計で検査する必要性や出現頻度・時刻などの目安を与
えるものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明の最適な
実施形態を説明する。図１は本発明の全体ブロック図を
示している。電極１は左手首乃至右手首で体表面に接触
している。また、電極１は抵抗２の一端に接続されてい
る。抵抗２の反対側の一端は数１０ｐＦの自己静電容量
を持つ導体３に結合している。抵抗２の両端に現れる電
圧を超低雑音のオペアンプで構成された差動増幅器４へ
入力する。作動増幅器４の出力は５０乃至６０Ｈｚノイ
ズをカットするノッチフィルター５及び心電図の周波数
成分のみを通すローパスフィルター６を経由して、積分
器７に入力する。積分器７の出力はＣＰＵ９で制御され
るＡ／Ｄコンバーター１０でデジタル信号に変換された
後メモリー１１に記録される。

【００１２】図２（ａ）は本発明を腕時計に適用した場
合の表側を示し、図２（ｂ）は裏側を示している。心電
図取得用の電極１は図２（ｂ）に示されている腕時計の
裏蓋とすることができる。心電図のモニターは、例えば
心電図取得用ボタンＡ２１，心電図取得用ボタンＢ２２
を本人或いは第３者が同時に押すことによって開始さ
れ、心電図が液晶ディスプレイに表示され、同時にメモ
リー１１に記憶されるようにすることが出来る。

【００１３】以下本発明の動作を説明する。心電図の基
本波形は図３に示されるようにＰＱＲＳＴＵ波からな
る。 Ｒ波が通常最も波高値が大きくかつ鋭い。心筋の
活動電位は概ね１００ｍＶの振幅を有しているが、導体
と見なされる人体中を電流が分布し、体表面ではＲ波で
１ｍＶ程度の微弱な電圧となって現れる。この微弱な電
圧を定められた点で測定したものが心電図である。

【００１４】本発明で用いる基本的な原理は、体表面に
現れた心電図を体表面から空間的に離れた導体板３の持
つ自己静電容量に抵抗２を介して接続し、静電容量結合
により抵抗２に流れる電流を抵抗２の両端に現れる電圧
として測定することである。前記自己静電容量は腕時計
サイズの導体板では概ね２０〜３０ｐＦ程度である。

【００１５】抵抗２の両端に現れる電圧は本発明の回路
構成では電極１を接触させた体表面の部位の心電図の微
分波形となる。抵抗２の両端に現れる電圧が心電図の微
分波形と見なせる条件は導体板３の静電容量Cと抵抗２
の抵抗値Rから得られる時定数RCが心電図の変化を特徴
付ける時定数τより十分小さいことである。本発明で用
いる自己静電容量Cは概ね２０ｐF、抵抗値Rは１MΩであ
るから、RC=２０μsであり、心電図のＲ波のτ＝２０ｍ
ｓ程度に比べて十分小さく、抵抗２の両端に現れる電圧
は実質的に微分波形と見なして差し支えないことが分か
る。このとき抵抗２の両端に現れる電圧は、前記時定数
τと前記時定数ＲＣから元の心電図電位の概ねＲＣ／τ
倍となる。したがって、抵抗２の両端に現れる電圧はＲ
波の波高値として２μＶ程度となる。抵抗２の両端に現
れた電圧は差動増幅器４へ入力する。

【００１６】差動増幅器４からの出力は心電図の微分波
形であるため、積分器７で積分することによって元の心
電図を得ることができる。積分器７の出力を適宜増幅
し、デＡ／Ｄコンバーター１０に入力しデジタル化し、
デジタル化された心電図波形をメモリー１１に記憶す
る。

【００１７】

【発明の効果】電極が唯一つで心電図を誘導することが
可能で、心電図取得のために両腕を使う必要がない片腕
だけで完結した心電図モニター装置である。したがっ
て、腕時計型とすることができ、煩わしい電極間の配線
が不要となり、常時身に付けても装着の負担の少ないも
のとなる。したがって日常生活中に心電図データを簡便
に必要の生じた時いつでもどこでも取得することが出来
るようになる。また毎日でも就寝中の心電図データを取
得できる。発作頻度の少ない狭心症などではいつでも自
覚症状を感じたら心電図データを記録することができ、
医師による診断に役立てることができるようになるた
め、標準の心電計で検査する必要性や出現頻度・時刻な
どの目安を与えることが可能となる。或いは心筋梗塞の
患者のための普段の健康管理機器として役立てることも
可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を説明する全体ブロック図
である。

【図２】本発明を腕時計に適用した場合の実施の形態を
説明する外観図である。

【図３】代表的な心電図波形を示したものである。

【符号の説明】

１ 電極 ２ 抵抗 ３ 導体板 ４ 差動増幅器 ５ ５０／６０Ｈｚノッチフィルター ６ ローパスフィルター ７ 積分器 ８ 増幅器 ９ ＣＰＵ １０ Ａ／Ｄコンバーター １１ メモリー ２１ 心電図取得ボタンＡ ２２ 心電図取得ボタンＢ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 心電図モニター装置において、抵抗と、
   該抵抗の一方の端子に接続される一つの電極と、自己静
   電容量を有して前記抵抗の他方の端子に接続される導体
   板と、前記一方の端子と前記他方の端子の間に現れる電
   圧を入力する差動増幅器と、該差動増幅器の出力を積分
   する積分回路を備え、前記一つの電極を体表面に接する
   ことにより、心電図を得ることを特徴とする心電図モニ
   ター装置。
2. 【請求項２】 前記一つの電極は、携帯機器の裏蓋であ
   ることを特徴とする請求項１に記載の心電図モニター装
   置。
3. 【請求項３】 前記携帯機器は腕時計であって、前記体
   表面は腕であることを特徴とする請求項２に記載の心電
   図モニター装置。