JP2003274974A - 薬物のスクリーニング方法 - Google Patents

薬物のスクリーニング方法

Info

Publication number
JP2003274974A
JP2003274974A JP2002106992A JP2002106992A JP2003274974A JP 2003274974 A JP2003274974 A JP 2003274974A JP 2002106992 A JP2002106992 A JP 2002106992A JP 2002106992 A JP2002106992 A JP 2002106992A JP 2003274974 A JP2003274974 A JP 2003274974A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
cardiac function
mammal
left ventricle
aorta
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002106992A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Nishimura
篤 西村
Nobuyuki Koyama
信行 小山
Toshifumi Watanabe
敏文 渡邉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
Priority to JP2002106992A priority Critical patent/JP2003274974A/ja
Publication of JP2003274974A publication Critical patent/JP2003274974A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】薬物等の心臓への投与方法の提供。過剰な代償
機序あるいは代償破綻の抑制という観点からの治療薬開
発に関する薬物、遺伝子またはその遺伝子産物を投与す
る手法を念頭においており、その探索ターゲットの機能
解析及び薬効評価を目的として、心臓特異的かつ効率的
に薬物あるいは遺伝子あるいはその遺伝子産物を投与す
る方法を提供する。 【解決手段】従来の頸動脈よりカテーテルを左心室に挿
入後、その管を通じてウイルスに組み込まれた遺伝子を
投与する手法に比べて、大動脈を狭窄した状態で左心室
に直接ウイルスに組み込まれた遺伝子を投与する手法の
方がより、予想外にも心臓特異的であり、効率的で、動
物の予後も良好であることを見い出した。本発明は、実
質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態で左心室に物質
を投与することを特徴とする心臓への当該物質の投与方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疾患関連遺伝子の
機能解析等に関する。さらに詳しくは、心筋症、心筋梗
塞、心不全、狭心症などに関与する心疾患及び心疾患関
連遺伝子の心臓および心筋細胞への作用を解析する際の
薬物、遺伝子またはその遺伝子産物の投与方法、その方
法を用いる心機能調節薬をスクリーニング方法などに関
する。
【0002】
【従来の技術】心不全とは、心筋の収縮不全が原因で起
こる疾病と考えられており、その発症機序は次の様に考
えられている。心筋の障害、心臓ポンプの機械的異常、
心臓ポンプの機能的異常、高血圧及び肺高血圧による圧
負荷及び貧血、急性腎炎など容量負荷が生じたとき、生
体の需要に応じた血液量を心臓が拍出し得なくなる状態
に対して、心臓は交感神経系、神経―体液―内分泌系な
どの代償機序を作動し、生体の恒常性を維持しようとす
る。結果として、心筋細胞が肥大することにより心肥大
が生じ、心不全が発症する。上記の障害あるいは負荷が
慢性的に継続された場合、その代償機序に破綻が生じ、
肥大した心筋細胞に十分量の血液が供給されない結果、
虚血状態が生じ、そのため心筋収縮不全などの心筋障害
が生じ、心拍出量の低下、臓器循環障害、静脈鬱血、体
液貯留などを伴う心不全症候群を起こすことになる。そ
の治療としては、心筋細胞障害の改善、心保護作用の強
化、心筋収縮不全による心機能低下の回復及び生体の代
償機序破綻の抑制あるいは過剰な代償機序の改善が考え
られる。現在、臨床的には上記不全症候群の治療に強心
薬として、強心配糖体(ジゴキシンなど)、交感神経作
動薬(ドブタミンなど)、ホスホジエステラーゼ阻害薬
(アムリノンなど)が用いられており、血管拡張薬とし
てヒドララジン、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン
交換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬などが
使用されており、他拡張型心筋症の治療にはβブロッカ
ーなどが使用されている。現在の所、過剰な代償性機序
の抑制あるいは代償破綻抑制(アポトーシス抑制を含
む)の観点からの治療薬は見当らない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、過剰な代償
機序あるいは代償破綻の抑制という観点からの治療薬開
発に関する薬物、遺伝子またはその遺伝子産物を投与す
る手法を念頭に置いており、その探索ターゲットの機能
解析及び薬効評価を目的として、心臓特異的かつ効率的
に薬物あるいは遺伝子あるいはその遺伝子産物を投与す
る方法などを提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来の頸動
脈よりカテーテルを左心室に挿入後、その管を通じてウ
イルスに組み込まれた遺伝子を投与する手法(トランス
プランテーション、第27巻、1726頁、1996年)に比べ
て、大動脈を狭窄した状態で左心室に直接ウイルスに組
み込まれた遺伝子を投与する手法の方がより、予想外に
も心臓特異的であり、効率的で、動物の予後も良好であ
ることを見い出した。本発明者らは、これらの知見に基
づいて、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。
【0005】すなわち、本発明は、〔1〕実質的に哺乳
動物の大動脈を狭窄した状態で、左心室に物質を投与す
ることを特徴とする心臓への当該物質の投与方法、
〔2〕物質が薬物、遺伝子または遺伝子産物である第
〔1〕項記載の投与方法、〔3〕遺伝子がセンスDN
A、アンチセンスDNA、ウイルスベクターまたは
プラスミドベクターである第〔2〕項記載の方法、
〔4〕実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄した状態
で、左心室に遺伝子を投与することを特徴とする当該遺
伝子を含有する非ヒト哺乳動物の製造法、〔5〕実質的
に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄した状態で、左心室に
遺伝子を投与することを特徴とする当該遺伝子産物を産
生する能力を有する非ヒト哺乳動物の製造法、〔6〕実
質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態で、左心室に遺
伝子を投与することを特徴とする当該遺伝子を含有する
心筋細胞の製造法、〔7〕実質的に哺乳動物の大動脈を
狭窄した状態で、左心室に遺伝子を投与することを特徴
とする当該遺伝子産物を産生する能力を有する心筋細胞
の製造法、〔8〕実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した
状態で、左心室に機能が不明な遺伝子を投与することを
特徴とする当該遺伝子またはその遺伝子産物の機能を解
明する方法、
〔9〕機能が不明な遺伝子を投与した場合
と投与しない場合の心機能の変化を測定することを特徴
とする第〔8〕項記載の方法、〔10〕機能が不明な遺
伝子を投与した場合と投与しない場合の心筋細胞の機能
を測定することを特徴とする第〔8〕項記載の方法、
〔11〕心筋細胞を低酸素条件下で伸展刺激を与えて培
養することを特徴とする第〔10〕項記載の方法、〔1
2〕心筋細胞を致命的な条件下で培養することを特徴と
する第〔10〕項記載の方法、〔13〕致命的な条件
が、血清の除去または心筋細胞に対して毒性の高い
抗癌剤を投与することである第〔12〕項記載の方法、
〔14〕機能が不明な遺伝子を投与した場合と投与しな
い場合の心筋細胞の保護状態を測定することを特徴とす
る第〔10〕項〜第〔13〕項記載の方法、〔15〕実
質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態で、左心室に機
能が不明な遺伝子を投与することにより得られる当該遺
伝子を含有する心筋細胞を含む当該遺伝子またはその遺
伝子産物の機能解明用キット、〔16〕実質的に哺乳動
物の大動脈を狭窄した状態で、左心室に遺伝子を投与し
て得られる当該遺伝子産物を産生する能力を有する心筋
細胞を含む当該遺伝子またはその遺伝子産物の機能解明
用キット、〔17〕第〔8〕項記載の方法または第〔1
5〕項もしくは第〔16〕項記載のキットを用いて機能
が解明された遺伝子を含有してなる医薬、〔18〕心機
能調節剤である第〔17〕項記載の医薬、〔19〕心筋
梗塞、心不全、狭心症または心筋症の予防・治療剤であ
る第〔17〕項記載の医薬、〔20〕哺乳動物に対し
て、第〔8〕項記載の方法または第〔15〕項もしくは
第〔16〕項記載のキットを用いて機能が解明された遺
伝子の有効量を投与することを特徴とする心機能調節方
法、〔21〕心機能調節剤を製造するための第〔8〕項
記載の方法または第〔15〕項もしくは第〔16〕項記
載のキットを用いて機能が解明された遺伝子の使用、
〔22〕実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態で、
左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝子を含有す
る心筋細胞を用いることを特徴とする心機能調節薬のス
クリーニング方法、〔23〕実質的に哺乳動物の大動脈
を狭窄した状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる
当該遺伝子産物を産生する能力を有する心筋細胞を用い
ることを特徴とする心機能調節薬のスクリーニング方
法、〔24〕当該心筋細胞に低酸素条件下で伸展刺激を
与える第〔22〕項または第〔23〕項記載のスクリー
ニング方法、〔25〕当該心筋細胞を致命的な条件下で
培養する第〔22〕項または第〔23〕項記載のスクリ
ーニング方法、〔26〕致命的な条件下が、血清の除
去または心筋細胞に対して毒性の高い抗癌剤を投与す
ることである第〔25〕項記載のスクリーニング方法、
〔27〕当該心筋細胞に試験化合物を加えた場合と加え
ない場合において、当該遺伝子に対応するmRNA量を
測定する第〔22〕項〜第〔26〕項記載のスクリーニ
ング方法、〔28〕当該心筋細胞に試験化合物を加えた
場合と加えない場合において、当該遺伝子産物の産生量
を測定する第〔22〕項〜第〔26〕項記載のスクリー
ニング方法、〔29〕当該心筋細胞に試験化合物を加え
た場合と加えない場合において、当該心筋細胞の保護状
態を観察する第〔22〕項〜第〔26〕項記載のスクリ
ーニング方法、〔30〕実質的に哺乳動物の大動脈を狭
窄した状態で、左心室に遺伝子を投与することにより得
られる当該遺伝子を含有する心筋細胞を含むことを特徴
とする心機能調節薬のスクリーニング用キット、〔3
1〕実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態で、左心
室に遺伝子を投与することにより得られる当該遺伝子産
物を産生する能力を有する心筋細胞を含むことを特徴と
する心機能調節薬のスクリーニング用キット、〔32〕
第〔22〕項〜第〔29〕項のいずれかに記載の方法ま
たは第〔30〕項もしくは第〔31〕項記載のスクリー
ニング用キットを用いて得られる心機能調節薬、〔3
3〕第〔22〕項〜第〔29〕項のいずれかに記載の方
法または第〔30〕項もしくは第〔31〕項記載のスク
リーニング用キットを用いて得られる心機能調節薬を含
有してなる医薬、〔34〕心筋梗塞、心不全、狭心症ま
たは心筋症の予防・治療剤である第〔33〕項記載の医
薬、〔35〕哺乳動物に対して、第〔22〕項〜第〔2
9〕項のいずれかに記載の方法または第〔30〕項もし
くは第〔31〕項記載のスクリーニング用キットを用い
て得られる心機能調節薬の有効量を投与することを特徴
とする心機能調節方法、〔36〕心機能調節剤を製造す
るための第〔22〕項〜第〔29〕項のいずれかに記載
の方法または第〔30〕項もしくは第〔31〕項記載の
スクリーニング用キットを用いて得られる心機能調節薬
の使用、〔37〕実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭
窄した状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該
遺伝子を含有する非ヒト哺乳動物またはその心臓を用い
ることを特徴とする心機能調節薬のスクリーニング方
法、〔38〕実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄し
た状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝
子産物を産生する能力を有する非ヒト哺乳動物またはそ
の心臓を用いることを特徴とする心機能調節薬のスクリ
ーニング方法、〔39〕当該非ヒト哺乳動物に試験化合
物を加えた場合と加えない場合において、当該非ヒト哺
乳動物またはその心臓の心機能を測定する第〔37〕項
または第〔38〕項記載のスクリーニング方法、〔4
0〕第〔37〕項〜第〔39〕項のいずれかに記載の方
法を用いて得られる心機能調節薬、〔41〕第〔37〕
項〜第〔39〕項のいずれかに記載の方法を用いて得ら
れる心機能調節薬を含有してなる医薬、〔42〕心筋梗
塞、心不全、狭心症または心筋症の予防・治療剤である
第〔41〕項記載の医薬、〔43〕哺乳動物に対して、
第〔37〕項〜第〔39〕項のいずれかに記載の方法を
用いて得られる心機能調節薬の有効量を投与することを
特徴とする心機能調節方法、〔44〕心機能調節剤を製
造するための第〔37〕項〜第〔39〕項のいずれかに
記載の方法を用いて得られる心機能調節薬の使用、〔4
5〕実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態で、左心
室に心機能調節物質の有効量を投与することを特徴とす
る心機能調節方法、〔46〕実質的に哺乳動物の大動脈
を狭窄した状態で、左心室に心機能調節遺伝子の有効量
を投与することを特徴とする心機能調節方法、〔47〕
心筋梗塞、心不全、狭心症または心筋症の予防・治療方
法である第〔46〕項記載の方法、〔48〕実質的に哺
乳動物の大動脈を狭窄した状態で、左心室に試験化合物
を投与することを特徴とする当該化合物の薬効評価方
法、〔49〕試験化合物を投与した場合と投与しない場
合の心機能の変化を測定することを特徴とする第〔4
8〕項記載の方法、〔50〕試験化合物を投与した場合
と投与しない場合の心筋細胞の機能を測定することを特
徴とする第〔48〕項記載の方法、〔51〕心筋細胞を
低酸素条件下で伸展刺激を与えて培養することを特徴と
する第〔50〕項記載の方法、〔52〕心筋細胞を致命
的な条件下で培養することを特徴とする第〔50〕項記
載の方法、〔53〕致命的な条件が、血清の除去また
は心筋細胞に対して毒性の高い抗癌剤を投与すること
である第〔52〕項記載の方法、〔54〕試験化合物を
投与した場合と投与しない場合の心筋細胞の保護状態を
測定することを特徴とする第〔50〕項記載の方法、
〔55〕試験化合物が遺伝子産物である第〔48〕項〜
第〔54〕項記載の方法、〔56〕第〔48〕項〜第
〔55〕項のいずれかに記載の方法を用いて薬効が請か
された化合物を含有してなる医薬、〔57〕心機能調節
剤である第〔56〕項記載の医薬、〔58〕心筋梗塞、
心不全、狭心症または心筋症の予防・治療剤である第
〔56〕項記載の医薬、〔59〕哺乳動物に対して、第
〔48〕項〜第〔55〕項のいずれかに記載の方法を用
いて薬効が評価された化合物の有効量を投与することを
特徴とする心機能調節方法、〔60〕心機能調節剤を製
造するための第〔48〕項〜第〔55〕項のいずれかに
記載の方法を用いて薬効が評価された化合物の使用、
〔61〕第〔8〕項または第〔55〕項記載の方法で機
能または薬効が解明された遺伝子産物、その部分ペプチ
ドまたはその塩に対する抗体、〔62〕第〔8〕項記載
の方法で機能が解明された遺伝子に対するアンチセンス
核酸、〔63〕第〔61〕項記載の抗体または第〔6
2〕項記載のアンチセンス核酸を含有してなる医薬、
〔64〕心機能調節剤である第〔63〕項記載の医薬、
〔65〕心筋梗塞、心不全、狭心症または心筋症の予防
・治療剤である第〔63〕項記載の剤、〔66〕第〔6
1〕項記載の抗体または第〔62〕項記載のアンチセン
ス核酸を含有してなる心機能診断剤、〔67〕心筋梗
塞、心不全、狭心症または心筋症の診断剤である第〔6
6〕項記載の剤、〔68〕哺乳動物に対して、第〔6
1〕項記載の抗体または第〔62〕項記載のアンチセン
ス核酸の有効量を投与することを特徴とする心機能調節
方法、〔69〕心機能調節剤を製造するための第〔6
1〕項記載の抗体または第〔62〕項記載のアンチセン
ス核酸の使用、〔70〕実質的に哺乳動物の大動脈を狭
窄した状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該
遺伝子を含有する心筋細胞を用いて心機能調節薬をスク
リーニングすることを特徴とする心機能調節薬の製造
法、〔71〕実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態
で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝子産物
を産生する能力を有する心筋細胞を用いて心機能調節薬
をスクリーニングすることを特徴とする心機能調節薬の
製造法、〔72〕実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭
窄した状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該
遺伝子を含有する非ヒト哺乳動物またはその心臓を用い
て心機能調節薬をスクリーニングすることを特徴とする
心機能調節薬の製造法、および〔73〕実質的に非ヒト
哺乳動物の大動脈を狭窄した状態で、左心室に遺伝子を
投与して得られる当該遺伝子産物を産生する能力を有す
る非ヒト哺乳動物またはその心臓を用いて心機能調節薬
をスクリーニングすることを特徴とする心機能調節薬の
製造法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】〔薬物、遺伝子または遺伝子産物
の投与方法〕本発明の投与方法は、実質的に哺乳動物の
大動脈を狭窄した状態で、左心室に物質を投与すること
により、心臓へ当該物質を投与することを特徴とするも
のである。哺乳動物としては、例えば、ヒト、モルモッ
ト、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サ
ルなどが挙げられ、なかでもモルモット、ラット、マウ
ス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなどの非ヒト哺
乳動物が好適である。大動脈を狭窄した状態とは、胸部
大動脈に糸をかけ、この糸を引き締めることにより大動
脈を一時的に狭窄することを指し、狭窄により左心室内
から全身に還流すべき血液が一時的に左心室内に貯留
し、効率的に投与した物質が左心室に作用するような状
態をいう。大動脈の狭窄は、自体公知の方法、例えば後
述する実施例3の方法またはそれに準じる方法を用いて
行うことができる。実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄し
た状態とは、例えば、哺乳動物の大動脈を約80〜10
0%、好ましくは約90〜100%、さらに好ましくは
100%狭窄することをいう。投与対象となる物質とし
ては、薬物、遺伝子、遺伝子産物(例、タンパク質、ペ
プチド)などが用いられる。薬物としては、各種疾患に
対して治療・予防効果を有する物質であれば特に限定さ
れない。具体的には、日本薬局方に収載されている薬物
などが用いられる。さらに、薬物としては、薬理作用が
不明な試験化合物、第二医薬用途が不明な薬物なども用
いることもできる。試験化合物としては、例えば、生体
由来非ペプチド性化合物(糖質、脂質など)、合成化合
物(ペプチドを含む)、微生物培養物、細胞抽出液、植
物抽出液、動物組織抽出液などが用いられ、これら化合
物は新規化合物であってもよいし、公知の化合物であっ
てもよい。遺伝子としては、機能が不明な遺伝子、機能
が解明されている遺伝子の何れであってもよく、ゲノム
DNA、cDNAの何れであってもよい。また、遺伝子
は、センスDNA、アンチセンスDNAの何れであって
もよい。また、該DNAを単独で投与することもできる
が、リポソームの形で、またはレトロウイルスベクタ
ー、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエ
イテッドウイルスベクターなどのウイルスベクター;プ
ラスミドベクターなどの適当なベクターに挿入して使用
することができる。さらに、これら遺伝子は、全長のタ
ンパク質またはペプチドをコードするものであってもよ
く、またタンパク質またはペプチドの一部をコードする
遺伝子断片であってもよい。遺伝子産物としては、タン
パク質、ペプチドの何れであってもよい。また、機能が
不明な遺伝子産物、機能が解明されている遺伝子産物の
何れをも用いることができる。
【0007】これら投与対象となる物質は、哺乳動物の
心臓の左心室へ直接、またはカテーテルなどを用いて投
与される。投与方法は、特に限定されないが、通常、
(1)投与対象となる物質を含む溶液を注射針を用いて
左心室に突き刺す方法、(2)投与対象となる物質を含
む溶液をカテーテルを用いて投与する方法などが用いら
れる。より具体的には、投与対象となる物質を含む溶液
を注射針を用いて左心室に突き刺し、これと同時に、胸
部大動脈を狭窄する。狭窄確認後、物質を含む溶液を左
心室内へゆっくりと投与し、左心室内に還流させる。投
与に伴って左心室が肥大するため、狭窄は10秒以内にと
どめる事が必要であり、具体的にはテフロン(登録商標)
チューブの引き締めを若干ゆるめ、物質を含む溶液を全
身に還流させ、左心室の肥大を防ぐ。この投与とテフロ
ン(登録商標)チューブの引き締めをゆるめる操作を合計
3回程度繰り返して、物質を含む溶液を左心室内へ全量
還流させる。狭窄は約80〜100%程度、好ましくは
約80〜100%、さらに好ましくは100%狭窄す
る。本発明の投与方法は、この具体的方法と実質的に同
一の方法を用いる限り、適宜変更することができる。す
なわち、哺乳動物の手術は、通常1〜4個程度、好まし
くは15〜30個程度の個々の術式から構成され、これ
らの術式は基本が同じであれば個々の実験者が改変して
取得した術式に置き換えることができる。これらの術式
は公知の書籍あるいは文献などから収得することができ
る。したがって、本発明の投与方法は、上記の具体的方
法と実質的に同一の方法を用い、心臓特異的かつ効率的
に対象物質を心臓に投与できる限り、適宜改変すること
ができる。改変の程度としては、例えば、上記した投与
方法と約70%以上、好ましは約80%以上、より好ま
しくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の同
一性を有する範囲である。特に、哺乳動物の大動脈を狭
窄した状態で左心室に遺伝子をウイルスやリポソームに
組み込んで直接投与する工程を含み、全体として約70
%以上、好ましは約80%以上、より好ましくは約90
%以上、最も好ましくは約95%以上の同一性を有する
場合が好ましい。大動脈を狭窄した状態にすることによ
り、短時間で効率よく投与対象となる物質を還流するこ
とができる。一方、狭窄しない場合は、対象薬物がすぐ
全身に回ってしまうために投与薬物の効果はほとんど期
待できない。このような本発明の投与方法を用いること
により、投与対象となる物質を心臓特異的かつ効率的に
心臓に投与することができる。
【0008】〔遺伝子を含有する非ヒト哺乳動物の製造
法〕本発明の非ヒト哺乳動物の製造法は、実質的に非ヒ
ト哺乳動物の大動脈を狭窄した状態で左心室に遺伝子を
投与することを特徴とするものである。非ヒト哺乳動物
としては、例えば、モルモット、ラット、マウス、ウサ
ギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなどが挙げられる。具体
的な操作は、上記した本発明の投与方法と同様である。
この製造法を用いることにより、当該遺伝子を含有する
非ヒト哺乳動物または当該遺伝子産物を産生する能力を
有する非ヒト哺乳動物を製造することができる。また、
これら非ヒト哺乳動物から、当該遺伝子を含有する心臓
または当該遺伝子産物を産生する能力を有する心臓を常
套手段を用いて摘出することができる。 〔遺伝子を含有する心筋細胞の製造法〕本発明の心筋細
胞の製造法は、実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
態で左心室に遺伝子を投与することを特徴とするもので
ある。具体的な操作は、上記した本発明の投与方法と同
様である。この製造法を用いることにより、当該遺伝子
を含有する心筋細胞、または当該遺伝子産物を産生する
能力を有する心筋細胞を製造することができる。心臓か
ら当該心筋細胞を単離する方法は、それ自体公知、例え
ば、サーキュレーション(Circulation、第100巻、1116
-1124頁、1999年)に記載されている方法あるいはそれ
に準じる方法が用いられる。
【0009】〔機能が不明な遺伝子の機能を解明する方
法〕本発明の遺伝子の機能解明方法は、実質的に哺乳動
物の大動脈を狭窄した状態で左心室に機能が不明な遺伝
子を投与することを特徴とするものである。機能が不明
な遺伝子としては、前記したとおり、ゲノムDNA、c
DNAの何れであってもよい。また、当該遺伝子は、全
長のタンパク質またはペプチドをコードするものであっ
てもよく、またタンパク質またはペプチドの一部をコー
ドする遺伝子断片であってもよい。機能が不明な遺伝子
の投与方法は、上記の本発明の投与方法と同様である。
機能としては、例えば、心機能が挙げられ、より具体的
には、代償破綻に伴う心機能低下促進活性、過度の代償
機序の抑制作用などが挙げられる。機能の解明は、例え
ば、(1)機能が不明な遺伝子を投与した場合と投与し
ない場合の心機能の変化を測定すること、(2)機能が
不明な遺伝子を投与した場合と投与しない場合の心筋細
胞の機能を測定すること、(3)機能が不明な遺伝子を
投与した場合と投与しない場合の心筋細胞の保護状態
(心筋細胞保護作用)を測定すること、などにより行わ
れる。(1)の方法において、心機能の測定は、例え
ば、サーキュレーション(Circulation、第100巻、2093
-2099頁、1999年)に記載の方法を用いて行うことがで
きる。(2)の方法において、心筋細胞の機能の測定
は、例えば、サーキュレーション(Circulation、第100
巻、1116-1124頁、1999年)に記載の方法を用いて行う
ことができる。心筋細胞の培養は、自体公知の方法、例
えば、サーキュレーション(Circulation、第100巻、11
16-1124頁、1999年)に記載の方法を用いて行うことが
できる。さらに、心筋細胞を低酸素条件下で伸展刺激を
与えて培養したり、致命的な条件下で培養することによ
り、心筋細胞の機能をより効率よく解明することができ
る。低酸素条件下とは、心筋細胞を培養する過程でイン
キュベーター内の酸素濃度を低下させ、あたかも心筋が
虚血状態に陥ったかのような条件を指す。低酸素条件下
では心筋細胞は低酸素ストレスを受けることになり、細
胞はシグナルを整理し、伝達し、ストレスに対する手段
を整えることになる。伸展刺激とは、たとえば心筋細胞
を伸展可能なシリコン膜上で培養し機械的に伸展するこ
とにより細胞に刺激を与えることを指す。これにより伸
展という機械的刺激がリン酸化のカスケードを活性化し
心筋細胞内に特異的な遺伝子発現や肥大形成を起こすこ
とが明らかになるものである。致命的な条件としては、
血清の除去、心筋細胞に対して毒性の高い抗癌剤(例え
ば、アドリアマイシン)を投与することなどが挙げられ
る。心筋細胞保護作用としては、例えば、短時間の虚血
状態が続くと心筋は虚血耐性を獲得し、その後に生じる
長時間虚血による心筋細胞障害作用に対して保護的に働
く作用があることなどが挙げられる。これら心筋細胞保
護作用は、自体公知の方法、例えば、ジャーナル・オブ
・カルディオワスキュラー・パルマコロジー(J.Cardiov
as.Pharmacol. 第33(5)巻、703-710頁、1999年)、アナ
ルズ・オブ・トーラキック・サージェリー(Ann.Thorac.
Surg.第67(3)巻,699-704頁、1999年)、ジャパニーズ・
ハート・ジャーナル( Jpn. Heart J.第39(6)巻、707-71
4頁、1998年)、プロシーディングス/クリニカル・ダイ
アライシス・アンド・トランスプラント・フォーラム(T
ransplant Proc.第31(1-2)巻、1016-1017頁、1999年)な
どに記載された方法あるいはそれに準じる方法に従って
測定することができる。また、心筋細胞保護作用などの
心機能調節作用は、(1)分泌されるサイトカインなど
を指標としたり、(2)心機能調節遺伝子の発現量を指
標としたりして、測定することもできる。試験化合物と
しては、例えば、ペプチド、タンパク、生体由来非ペプ
チド性化合物(糖質、脂質など)、合成化合物、微生物
培養物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液など
が挙げられ、これら化合物は新規化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。
【0010】本発明の機能解明用キットは、当該遺伝子
を含有する心筋細胞または当該遺伝子産物を産生する能
力を有する心筋細胞を含むものである。本発明の機能解
明用キットの例としては、次のものが挙げられる。 1.試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 当該遺伝子を含有する心筋細胞または当該遺伝子産物
を産生する能力を有する心筋細胞 これらの心筋細胞を、12穴プレートに5×105個/
穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日
間培養したもの。
【0011】上記の機能解明方法または機能解明用キッ
トを用いることにより、機能が不明な遺伝子を投与しな
い場合に比べて、投与した場合の心機能、心筋細胞の機
能または心筋細胞保護作用が約20%以上、好ましくは
約30%以上、より好ましくは約50%以上上昇した場
合、当該遺伝子は心機能促進作用を有すると判断でき
る。一方、機能が不明な遺伝子を投与しない場合に比べ
て、投与した場合の心機能、心筋細胞の機能または心筋
細胞保護作用が約20%以上、好ましくは約30%以
上、より好ましくは約50%以上低下した場合、当該遺
伝子は心機能低下作用を有すると判断できる。心機能促
進作用を有することが解明された遺伝子または心機能低
下作用を有することが解明された遺伝子は、それぞれ心
機能調節剤などの医薬組成物として有用である。特に、
心機能促進作用を有することが解明された遺伝子は、例
えば、心筋梗塞、心不全、狭心症、心筋症などの心疾患
の予防・治療剤として有用である。機能が解明された遺
伝子を上記の医薬組成物として使用する場合は、当該遺
伝子を単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウ
イルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイ
ルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套
手段に従って実施することができる。当該遺伝子は、そ
のままで、あるいは摂取促進のための補助剤とともに、
遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテル
によって投与できる。例えば、当該遺伝子は、必要に応
じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マ
イクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もし
くはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、
または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用でき
る。例えば、当該遺伝子を生理学的に認められる公知の
担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結
合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求され
る単位用量形態で混和することによって製造することが
できる。これら製剤における有効成分量は指示された範
囲の適当な用量が得られるようにするものである。錠
剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤とし
ては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガン
ト、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースの
ような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸
などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのよう
な潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味
剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような
香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルであ
る場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液
状担体を含有することができる。注射のための無菌組成
物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、
椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸
濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することが
できる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩
水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、
D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム
など)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、ア
ルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イ
オン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO
−50)などと併用してもよい。油性液としては、例え
ば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である
安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用して
もよい。また、上記の医薬組成物は、例えば、緩衝剤
(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、
無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカ
インなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポ
リエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジ
ルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配
合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプ
ルに充填される。このようにして得られる医薬組成物は
安全で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、
ヒト、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができ
る。当該遺伝子の投与量は、投与対象、対象臓器、症
状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に例えば、心筋梗塞患者(60kgとして)
においては、一日につき約0.1mg〜100mg、好
ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0
〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1
回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
よっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例え
ば、不妊症患者(60kgとして)においては、一日に
つき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜
20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度
を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物
の場合も、60kg当たりに換算した量を投与すること
ができる。
【0012】〔医薬候補化合物のスクリーニング方法〕
哺乳動物に投与される遺伝子の機能が解明されている場
合、以下のような方法を用いて、医薬候補化合物をスク
リーニングすることができる。 〔心筋細胞を用いる医薬候補化合物のスクリーニング方
法〕本発明は、(1)実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄
した状態で左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝
子を含有する心筋細胞を用いることを特徴とする心機能
調節薬のスクリーニング方法、および(2)実質的に哺
乳動物の大動脈を狭窄した状態で左心室に遺伝子を投与
して得られる当該遺伝子産物を産生する能力を有する心
筋細胞を用いることを特徴とする心機能調節薬のスクリ
ーニング方法を提供する。当該心筋細胞としては、上記
したものと同様のものが用いられる。また、心筋細胞の
培養も上記と同様にして行うことができる。遺伝子とし
ては、心機能に関与する遺伝子が用いられる。より具体
的には、ラットCardiac adriamycin responsive protei
n(ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
ー(J.B.C.)、第272巻、22800-22808頁、1997年、デベロ
プメント、第124巻、793-804頁、1997年)などが用いら
れる。このスクリーニング方法は、例えば、前記の同様
に、 当該心筋細胞に低酸素条件下で伸展刺激を与えるこ
と、 当該心筋細胞を致命的な条件下で培養すること、など
により実施することができる。 致命的な条件下としては、血清の除去、心筋細胞に対し
て毒性の高い抗癌剤(例、アドリアマイシン)を投与す
ることなどが挙げられる。
【0013】より具体的には、このスクリーニング方法
は、例えば、(1)当該心筋細胞に試験化合物を加えた
場合と加えない場合において、当該遺伝子に対応するm
RNA量を測定すること、(2)当該心筋細胞に試験化
合物を加えた場合と加えない場合において、当該遺伝子
産物の産生量を測定すること、(3)当該心筋細胞に試
験化合物を加えた場合と加えない場合において、当該心
筋細胞の保護状態を観察すること、などにより実施する
ことができる。試験化合物としては、例えば、生体由来
非ペプチド性化合物(糖質、脂質など)、合成化合物
(ペプチドを含む)、微生物培養物、細胞抽出液、植物
抽出液、動物組織抽出液などが用いられ、これら化合物
は新規化合物であってもよいし、公知の化合物であって
もよい。mRNAの発現量は、自体公知の方法、例え
ば、ノーザンブロッティングやReverse transcription-
polymerase chain reaction(RT-PCR)やTaqMan polymera
sechain reactionなどの方法あるいはそれに準じる方法
にしたがって測定することができる。遺伝子産物の産生
量は、自体公知の方法、例えば、抗体を用いる方法、ク
ロマトグラフィーを用いる方法などによって測定するこ
とができる。心筋細胞保護作用としては、例えば、短時
間の虚血状態が続くと心筋は虚血耐性を獲得し、その後
に生じる長時間虚血による心筋細胞障害作用に対して保
護的に働く作用があることなどが挙げられる。これら心
筋細胞保護作用は、自体公知の方法、例えば、ジャーナ
ル・オブ・カルディオワスキュラー・パルマコロジー
(J.Cardiovas.Pharmacol. 第33(5)巻、703-710頁、1999
年)、アナルズ・オブ・トーラキック・サージェリー(An
n.Thorac.Surg.第67(3)巻,699-704頁、1999年)、ジャパ
ニーズ・ハート・ジャーナル( Jpn. Heart J.第39(6)
巻、707-714頁、1998年)、プロシーディングス/クリニ
カル・ダイアライシス・アンド・トランスプラント・フ
ォーラム(Transplant Proc.第31(1-2)巻、1016-1017
頁、1999年)などに記載された方法あるいはそれに準じ
る方法に従って測定することができる。また、心筋細胞
保護作用などの心機能調節作用は、(1)分泌されるサ
イトカインなどを指標としたり、(2)心機能調節遺伝
子の発現量を指標としたりして、測定することもでき
る。このスクリーニング用キットは、当該心筋細胞を含
むものであり、前記した遺伝子の機能解明用キットと同
様のものが用いられる。
【0014】上記のスクリーニング方法またはスクリー
ニング用キットを用いることにより、試験化合物を投与
しない場合に比べて、投与した場合のmRNA量、遺伝
子産物量、心筋細胞保護作用が約20%以上、好ましく
は約30%以上、より好ましくは約50%以上上昇した
場合、当該試験化合物は心機能促進作用を有すると判断
できる。一方、試験化合物を投与しない場合に比べて、
投与した場合のmRNA量、遺伝子産物量、心筋細胞保
護作用が約20%以上、好ましくは約30%以上、より
好ましくは約50%以上低下した場合、当該試験化合物
は心機能低下作用を有すると判断できる。心機能促進作
用または心機能低下作用を有することが試験化合物は、
それぞれ心機能調節剤などの医薬組成物として有用であ
る。特に、心機能促進作用を有する試験化合物は、例え
ば、心筋梗塞、心不全、狭心症、心筋症などの心疾患の
予防・治療剤として有用である。このように上記のスク
リーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて
得られた化合物を上記の医薬組成物として使用する場合
は、常套手段を用いて製剤化することができる。例え
ば、当該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カ
プセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとし
て経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許
容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射
剤の形で非経口的に使用できる。例えば、当該化合物を
生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベ
ヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認
められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和する
ことによって製造することができる。これら製剤におけ
る有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られる
ようにするものである。錠剤、カプセル剤などに混和す
ることができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コ
ーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合
剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスター
チ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステア
リン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖また
はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ
油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調
剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材
料にさらに油脂のような液状担体を含有することができ
る。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒク
ル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出
植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実
施に従って処方することができる。注射用の水性液とし
ては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬
を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニ
トール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な
溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、
ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソ
ルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよ
い。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用
いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジル
アルコールなどと併用してもよい。また、上記の医薬組
成物は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢
酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザ
ルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、
ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、
保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールな
ど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注
射液は通常、適当なアンプルに充填される。このように
して得られる医薬組成物は安全で低毒性であるので、例
えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、ウサ
ギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対
して投与することができる。当該化合物の投与量は、投
与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあ
るが、経口投与の場合、一般的に例えば、心筋梗塞患者
(60kgとして)においては、一日につき約0.1m
g〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より
好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与
する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症
状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤
の形では通常例えば、心筋梗塞患者(60kgとして)
においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好
ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。
【0015】〔非ヒト哺乳動物またはその心臓を用いる
医薬候補化合物のスクリーニング方法〕本発明は、例え
ば、(1)実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄した
状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝子
を含有する非ヒト哺乳動物またはその心臓を用いること
を特徴とする心機能調節薬のスクリーニング方法、およ
び(2)実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄した状
態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝子産
物を産生する能力を有する非ヒト哺乳動物またはその心
臓を用いることを特徴とする心機能調節薬のスクリーニ
ング方法を提供する。当該非ヒト哺乳動物またはその心
臓としては、前記と同様のものが用いられる。試験化合
物としては、例えば、生体由来非ペプチド性化合物(糖
質、脂質など)、合成化合物(ペプチドを含む)、微生
物培養物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液な
どが用いられ、これら化合物は新規化合物であってもよ
いし、公知の化合物であってもよい。遺伝子としては、
心機能に関与する遺伝子が用いられる。より具体的に
は、ラットCardiac adriamycin responsive protein(ザ
・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J.B.C.)、第272巻、22800-22808頁、1997年、デベロプ
メント、第124巻、793-804頁、1997年)などが用いられ
る。このスクリーニング方法は、当該非ヒト哺乳動物に
試験化合物を加えた場合と加えない場合において、当該
非ヒト哺乳動物またはその心臓の心機能を測定すること
により実施することができる。心機能の測定は、前記と
同様に実施できる。このスクリーニング方法を用いるこ
とにより、試験化合物を投与しない場合に比べて、投与
した場合の心機能が約20%以上、好ましくは約30%
以上、より好ましくは約50%以上上昇した場合、当該
試験化合物は心機能促進作用を有すると判断できる。一
方、試験化合物を投与しない場合に比べて、投与した場
合の心機能、心筋細胞の機能または心筋細胞保護作用が
約20%以上、好ましくは約30%以上、より好ましく
は約50%以上低下した場合、当該試験化合物は心機能
低下作用を有すると判断できる。
【0016】心機能促進作用または心機能低下作用を有
することが試験化合物は、それぞれ心機能調節剤などの
医薬組成物として有用である。特に、心機能促進作用を
有する試験化合物は、例えば、心筋梗塞、心不全、狭心
症、心筋症などの心疾患の予防・治療剤として有用であ
る。このように上記のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られた化合物を上記の医薬
組成物として使用する場合は、常套手段を用いて製剤化
することができる。例えば、当該化合物は、必要に応じ
て糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイ
クロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしく
はそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、ま
たは懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用でき
る。例えば、当該化合物を生理学的に認められる公知の
担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結
合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求され
る単位用量形態で混和することによって製造することが
できる。これら製剤における有効成分量は指示された範
囲の適当な用量が得られるようにするものである。錠
剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤とし
ては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガン
ト、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースの
ような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸
などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのよう
な潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味
剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような
香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルであ
る場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液
状担体を含有することができる。注射のための無菌組成
物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、
椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸
濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することが
できる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩
水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、
D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム
など)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、ア
ルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イ
オン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO
−50)などと併用してもよい。油性液としては、例え
ば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である
安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用して
もよい。また、上記予の医薬組成物は、例えば、緩衝剤
(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、
無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカ
インなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポ
リエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジ
ルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配
合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプ
ルに充填される。このようにして得られる医薬組成物は
安全で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、
ヒト、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができ
る。当該化合物の投与量は、投与対象、対象臓器、症
状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に例えば、心筋梗塞患者(60kgとして)
においては、一日につき約0.1mg〜100mg、好
ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0
〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1
回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
よっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例え
ば、心筋梗塞患者(60kgとして)においては、一日
につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1
〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程
度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動
物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与するこ
とができる。
【0017】〔遺伝子治療法〕本発明の投与方法を用い
て、心機能調節遺伝子などの心機能調節物質の有効量を
哺乳動物に投与することにより、哺乳動物の心機能を調
節することができる。特に、本発明の投与方法を用いる
ことにより、心筋梗塞、心不全、狭心症、心筋症などの
心疾患の予防・治療をすることができる。心機能調節遺
伝子としては、例えば、ラットCardiac adriamycin res
ponsiveprotein(ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカ
ル・ケミストリー(J.B.C.)、第272巻、22800-22808頁、
1997年、デベロプメント、第124巻、793-804頁、1997
年)などが挙げられる。従来の頸動脈よりカテーテルを
左心室に挿入後、その管を通じてウイルスに組み込まれ
た遺伝子を投与する手法(トランスプランテーション、
第27巻、1726頁、1996年)に比べて、本発明の投与方
法、すなわち大動脈を狭窄した状態で左心室に直接遺伝
子を投与することにより、心臓特異的に、かつ効率的に
疾患を治療することができ、哺乳動物の予後も良好とな
る。当該遺伝子の投与量は、投与対象、症状などにより
差異はあるが、通常例えば、心筋梗塞患者(60kgと
して)においては、約0.01〜30mg程度、好まし
くは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1
〜10mg程度を直接左心室に投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。
【0018】〔化合物の評価方法〕本発明の投与方法を
用いることにより、薬効が解明されていない化合物の薬
効を評価することができるので、以下のような方法を用
いて、医薬候補化合物をスクリーニングすることができ
る。すなわち、本発明は、(1)実質的に哺乳動物の大
動脈を狭窄した状態で左心室に試験化合物を投与するこ
とを特徴とする当該化合物の薬効評価方法を提供する。
試験化合物としては、遺伝子以外のもの、例えば、遺伝
子産物、生体由来非ペプチド性化合物(糖質、脂質な
ど)、合成化合物(ペプチドを含む)、微生物培養物、
細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが用いら
れ、これら化合物は新規化合物であってもよいし、公知
の化合物であってもよい。遺伝子を用いる場合、前記し
た遺伝子の機能解明方法と同様にして実施できる。試験
化合物の投与方法は、前記した本発明の投与方法と同様
である。この薬効評価方法では、例えば、(1)試験化
合物を投与した場合と投与しない場合の心機能の変化を
測定すること、(2)試験化合物を投与した場合と投与
しない場合の心筋細胞の機能を測定すること、(3)試
験化合物を投与した場合と投与しない場合の心筋細胞の
保護状態を測定することなどにより、試験化合物の薬効
を評価する。上記(2)の方法では、 心筋細胞を低酸素条件下で伸展刺激を与えて培養する
こと、 心筋細胞を致命的な条件下で培養することなどによ
り、より効果的に薬効評価を行うことができる。致命的
な条件としては、血清の除去、心筋細胞に対して毒性の
高い抗癌剤(例、アドリアマイシン)を投与することな
どが挙げられる。この薬効評価方法は、前記した本発明
の遺伝子の機能解明方法、医薬候補化合物のスクリーニ
ング方法と同様にして実施することができる。
【0019】上記の薬効評価方法を用いることにより、
試験化合物を投与しない場合に比べて、投与した場合の
心機能、心筋細胞機能、心筋細胞保護作用などが約20
%以上、好ましくは約30%以上、より好ましくは約5
0%以上上昇した場合、当該試験化合物は心機能促進作
用を有すると判断できる。一方、試験化合物を投与しな
い場合に比べて、投与した場合の心機能、心筋細胞の機
能または心筋細胞保護作用が約20%以上、好ましくは
約30%以上、より好ましくは約50%以上低下した場
合、当該試験化合物は心機能低下作用を有すると判断で
きる。心機能促進作用または心機能低下作用を有するこ
とが試験化合物は、それぞれ心機能調節剤などの医薬組
成物として有用である。特に、心機能促進作用を有する
試験化合物は、例えば、心筋梗塞、心不全、狭心症、心
筋症などの心疾患の予防・治療剤として有用である。こ
のように上記のスクリーニング方法またはスクリーニン
グ用キットを用いて得られた化合物を上記の医薬組成物
として使用する場合は、常套手段を用いて製剤化するこ
とができる。例えば、当該化合物は、必要に応じて糖衣
を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカ
プセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ
以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸
濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例え
ば、当該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香
味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤など
とともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用
量形態で混和することによって製造することができる。
これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当
な用量が得られるようにするものである。錠剤、カプセ
ル剤などに混和することができる添加剤としては、例え
ば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビア
ゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形
剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのよう
な膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、
ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパー
ミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤など
が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合に
は、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を
含有することができる。注射のための無菌組成物は注射
用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油な
どのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させる
などの通常の製剤実施に従って処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ
糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビ
トール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)など
が用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール
(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界
面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)
などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ
油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸
ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、上記の医薬組成物は、例えば、緩衝剤(例えば、
リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤
(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインな
ど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチ
レングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアル
コール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合して
もよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充
填される。このようにして得られる医薬組成物は安全で
低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、
ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、
イヌ、サルなど)に対して投与することができる。当該
化合物の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方
法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に
例えば、心筋梗塞患者(60kgとして)においては、
一日につき約0.1mg〜100mg、好ましくは約
1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg
である。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は
投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異
なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、心筋梗塞
患者(60kgとして)においては、一日につき約0.
01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
以上のとおり、本発明のスクリーニング方法を用いるこ
とにより、心機能調節物質を効率良く探索することがで
きる。
【0020】〔抗体〕本発明は、上記した本発明の機能
解明方法または薬効評価方法を用いることにより機能ま
たは薬効が明らかになった遺伝子産物、その部分ペプチ
ドまたはその塩に対する抗体を提供する。本発明の抗体
は、当該遺伝子産物、その部分ペプチドまたはその塩を
認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノク
ローナル抗体の何れであってもよい。当該遺伝子産物、
その部分ペプチドまたはその塩(以下、当該遺伝子産物
と略記する)に対する抗体は、当該遺伝子産物を抗原と
して用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従っ
て製造することができる。
【0021】〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 当該遺伝子産物は、哺乳動物に対して投与により抗体産
生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤ととも
に投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、
完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュ
バントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回
ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺乳動
物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモッ
ト、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、マ
ウスおよびラットが好ましく用いられる。モノクローナ
ル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温
血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を
選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採
取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融
合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリ
ドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測
定は、例えば、後記の標識化遺伝子産物と抗血清とを反
応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定する
ことにより行なうことができる。融合操作は既知の方
法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャ
ー(Nature)、256巻、495頁(1975年)〕に
従い実施することができる。融合促進剤としては、例え
ば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィ
ルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられ
る。骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U
1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好まし
く用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数
と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程
度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PE
G6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約
20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10
分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を
実施できる。モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、当該遺伝子産物の抗原を直接あるいは担体とともに
吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリド
ーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標
識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細
胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用い
られる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモ
ノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗
体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドー
マ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識した
当該遺伝子産物を加え、固相に結合したモノクローナル
抗体を検出する方法などが挙げられる。モノクローナル
抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従
って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサン
チン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞
用培地などで行なうことができる。選別および育種用培
地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばど
のような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好
ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1
640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地
(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無
血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用
いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好
ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週
間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5
%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培
養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同
様にして測定できる。 (b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナ
ル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法
〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気
泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテ
インAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗
体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精
製法〕に従って行なうことができる。
【0022】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法にしたがって製造することができる。例えば、免
疫抗原(当該遺伝子産物)とキャリアー蛋白質との複合
体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様
に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から当該遺伝子
産物に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を
行なうことにより製造できる。哺乳動物を免疫するため
に用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に
関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプ
テンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハ
プテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なもの
をどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血
清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リ
ンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対
し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプ
ルさせる方法が用いられる。また、ハプテンとキャリア
ーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができ
るが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミ
ド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有
する活性エステル試薬等が用いられる。縮合生成物は、
温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あ
るいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して
抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバント
や不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投
与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程
度行なうことができる。ポリクローナル抗体は、上記の
方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水など、好ましく
は血液から採取することができる。抗血清中のポリクロ
ーナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と
同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製
は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫
グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0023】本発明の抗体は、当該遺伝子産物を特異的
に認識することができるので、被検液中の当該遺伝子産
物の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量など
に使用することができる。すなわち、本発明は、例え
ば、(i)本発明の抗体と、被検液および標識化遺伝子
産物とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化遺
伝子産物の割合を測定することを特徴とする被検液中の
当該遺伝子産物の定量法、(ii)被検液と担体上に不溶
化した本発明の抗体および標識化された本発明の抗体と
を同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上
の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の
当該遺伝子産物の定量法を提供する。上記(ii)におい
ては、一方の抗体が当該遺伝子産物のN端部を認識する
抗体で、他方の抗体が当該遺伝子産物のC端部に反応す
る抗体であることが好ましい。当該遺伝子産物に対する
モノクローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗
体と称する場合がある)を用いて当該遺伝子産物の測定
を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうことも
できる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いて
もよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、ある
いはFab画分を用いてもよい。当該遺伝子産物に対す
る抗体を用いる測定法は、特に制限されるべきものでは
なく、被測定液中の抗原量(例えば、当該遺伝子産物
量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の
量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知
量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算
出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよ
い。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリッ
ク法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感
度、特異性の点で、後に記載するサンドイッチ法を用い
るのが特に好ましい。標識物質を用いる測定法に用いら
れる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、
蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素
としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、
14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で
比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクト
シダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファタ
ーゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用
いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミ
ン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられ
る。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノー
ル誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられ
る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオ
チン−アビジン系を用いることもできる。
【0024】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常、蛋白質あるいは酵素
等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用い
る方法でもよい。担体としては、例えば、アガロース、
デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリス
チレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、
あるいはガラス等が用いられる。サンドイッチ法におい
ては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を
反応させ(1次反応)、さらに標識化した本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)た後、不溶化担
体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本
発明のレセプター蛋白質量を定量することができる。1
次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、また、同時
に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標
識化剤および不溶化の方法は上記のそれらに準じること
ができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法にお
いて、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体
は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上さ
せる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよ
い。本発明のサンドイッチ法による当該遺伝子産物の測
定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発
明のモノクローナル抗体は当該遺伝子産物の結合する部
位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1
次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2
次反応で用いられる抗体が、レセプター蛋白質のC端部
を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好まし
くはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いら
れる。本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以
外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック
法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。
競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対し
て競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原と(F)
と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分
離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗
原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体
を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、上記抗
体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1
抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体
は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用い
る固相化法とが用いられる。
【0025】イムノメトリック法では、被検液中の抗原
と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応
させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中
の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化
抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたの
ち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識
量を測定し被検液中の抗原量を定量する。また、ネフロ
メトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の
結果、生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中
の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場
合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリ
ーなどが好適に用いられる。これら個々の免疫学的測定
法を本発明の測定方法に適用するにあたっては、特別の
条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法
における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配
慮を加えて当該遺伝子産物の測定系を構築すればよい。
これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成
書などを参照することができる〔例えば、入江 寛編
「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発
行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談
社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定
法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵
素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医
学書院、昭和62年発行)、「メソッズ・イン・エンザ
イモロジー(Methods in ENZYMOLOGY)」 Vol. 70(Immu
nochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immu
nochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immu
nochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immu
nochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassay
s))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part
E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Me
thods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques
(Part I:HybridomaTechnology and Monoclonal Antibod
ies))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。
以上のように、本発明の抗体を用いることによって、当
該遺伝子産物を感度良く定量することができる。さら
に、本発明の抗体を用いて、生体内での当該遺伝子産物
を定量することによって、当該遺伝子産物に関連する各
種疾患の診断をすることができる。すなわち、本発明の
抗体は、機能が解明された遺伝子産物を検出することが
できるので、当該遺伝子産物が関与する疾患の診断剤と
して有用である。例えば、当該遺伝子産物が心機能に関
与する場合は、本発明の抗体は心機能診断剤として、よ
り具体的には心筋梗塞、心不全、狭心症、心筋症などの
心疾患の診断剤として有用である。また、本発明の抗体
は、体液や組織などの被検体中に存在する当該遺伝子産
物を特異的に検出するために使用することができる。ま
た、当該遺伝子産物を精製するために使用する抗体カラ
ムの作製、精製時の各分画中の当該遺伝子産物の検出、
被検細胞内における当該遺伝子産物の挙動の分析などの
ために使用することができる。さらに、本発明の抗体は
低毒性であり、生体内における当該遺伝子産物の機能を
調節することができるので、例えば、哺乳動物の心機能
調節剤などの医薬組成物として、より具体的には心筋梗
塞、心不全、狭心症、心筋症などの心疾患の予防・治療
剤として有用である。
【0026】〔アンチセンス核酸〕本発明は、本発明の
機能解明方法を用いて機能が解明された遺伝子に対する
アンチセンス核酸を提供する。機能が解明された遺伝子
(以下、当該遺伝子と略記する)の複製または発現を阻
害することのできるアンチセンス・ポリヌクレオチド
(核酸)を、クローン化した、あるいは決定された遺伝
子産物をコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計
し、合成しうる。そうしたポリヌクレオチド(核酸)
は、当該遺伝子のRNAとハイブリダイズすることがで
き、該RNAの合成または機能を阻害することができる
か、あるいは当該遺伝子産物関連RNAとの相互作用を
介して当該遺伝子の発現を調節・制御することができ
る。当該遺伝子産物関連RNAの選択された配列に相補
的なポリヌクレオチド、および当該遺伝子産物関連RN
Aと特異的にハイブリダイズすることができるポリヌク
レオチドは、生体内および生体外で当該遺伝子の発現を
調節・制御するのに有用であり、また病気などの治療ま
たは診断に有用である。用語「対応する」とは、遺伝子
を含めたヌクレオチド、塩基配列または核酸の特定の配
列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味す
る。ヌクレオチド、塩基配列または核酸とペプチド(蛋
白質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核
酸)の配列またはその相補体から誘導される指令にある
ペプチド(蛋白質)のアミノ酸を通常指している。
【0027】当該遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’
端6−ベースペア・リピート、5’端非翻訳領域、ポリ
ペプチド翻訳開始コドン、蛋白質コード領域、ORF翻
訳開始コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドロー
ム領域、および3’端ヘアピンループは好ましい対象領
域として選択しうるが、当該遺伝子内の如何なる領域も
対象として選択しうる。目的核酸と、対象領域の少なく
とも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関係は、対象
物とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド
との関係は、「アンチセンス」であるということができ
る。アンチセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ
−D−リボースを含有しているポリデオキシヌクレオチ
ド、D−リボースを含有しているポリデオキシヌクレオ
チド、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドで
あるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌ
クレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市
販の蛋白質核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)
または特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、
該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基
のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレ
オチドを含有する)などが挙げられる。それらは、2本
鎖DNA、1本鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RN
A、さらにDNA:RNAハイブリッドであることがで
き、さらに非修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリ
ゴヌクレオチド)、さらには公知の修飾の付加されたも
の、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャッ
プの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然
のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレ
オチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、
メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルア
ミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有す
る結合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエー
ト、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えば蛋
白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、ト
キシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンな
ど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖
基を有しているもの、インターカレント化合物(例え
ば、アクリジン、プソラレンなど)を持つもの、キレー
ト化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ
素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤
を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、
αアノマー型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌ
クレオシド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、
プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修
飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含ん
でいて良い。こうした修飾物は、メチル化されたプリン
およびピリミジン、アシル化されたプリンおよびピリミ
ジン、あるいはその他の複素環を含むものであってよ
い。修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオ
チドはまた糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個
以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換され
ていたり、あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変
換されていてよい。
【0028】本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド
(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸
(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例と
しては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そ
してポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミ
ドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定さ
れるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のよ
うな方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内で
のアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセ
ンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス
鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし
毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなも
のにする。こうして修飾は当該分野で数多く知られてお
り、例えば J. Kawakami et al.,Pharm Tech Japan, Vo
l. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Cr
ooke et al. ed., Antisense Research and Applicatio
ns, CRC Press, 1993 などに開示がある。本発明のアン
チセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、
塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロス
フェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療
により適用されたり、付加された形態で与えられること
ができうる。こうして付加形態で用いられるものとして
は、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジ
ンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高め
たり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例え
ば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった疎水
性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質として
は、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリ
ルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こ
うしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させ
ることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介
して付着させることができうる。その他の基としては、
核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャ
ップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどの
ヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げら
れる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコー
ルをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が
挙げられるが、それに限定されるものではない。
【0029】本発明のアンチセンス核酸は低毒性であ
り、生体内における当該遺伝子または遺伝子産物の機能
を調節することができるので、例えば、哺乳動物の心機
能調節剤などの医薬組成物として、より具体的には心筋
梗塞、心不全、狭心症、心筋症などの心疾患の予防・治
療剤として有用である。本発明のアンチセンス核酸を上
記の医薬組成物として使用する場合は、当該アンチセン
ス核酸を単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノ
ウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウ
イルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常
套手段に従って実施することができる。当該アンチセン
ス核酸は、そのままで、あるいは摂取促進のための補助
剤とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのよう
なカテーテルによって投与できる。例えば、当該アンチ
センス核酸は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセ
ル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経
口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し
得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の
形で非経口的に使用できる。例えば、当該アンチセンス
核酸を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形
剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一
般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混
和することによって製造することができる。これら製剤
における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得
られるようにするものである。錠剤、カプセル剤などに
混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチ
ン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのよう
な結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンス
ターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ス
テアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖
またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカ
モノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられ
る。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイ
プの材料にさらに油脂のような液状担体を含有すること
ができる。注射のための無菌組成物は注射用水のような
ベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天
然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の
製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性
液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の
補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−
マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、
適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノー
ル)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、
ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用して
もよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油など
が用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベン
ジルアルコールなどと併用してもよい。また、上記の医
薬組成物は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝
液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化
ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例
えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールな
ど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノー
ルなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製され
た注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
【0030】このようにして得られる医薬組成物は安全
で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒ
ト、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
当該アンチセンス核酸の投与量は、投与対象、対象臓
器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与
の場合、一般的に例えば、心筋梗塞患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.1mg〜100m
g、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約
1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、
その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法
などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常
例えば、不妊症患者(60kgとして)においては、一
日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.
1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg
程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の
動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与する
ことができる。さらに、当該アンチセンス核酸は、組織
や細胞における本発明の手法を用いて開発されたDNAの
存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレ
オチドプローブとして使用することもできる。さらに、
本発明のアンチセンス核酸は、機能が解明された遺伝子
を検出することができるので、当該遺伝子が関与する疾
患の診断剤として有用である。例えば、当該遺伝子が心
機能に関与する場合は、本発明のアンチセンス核酸は心
機能診断剤として、より具体的には心筋梗塞、心不全、
狭心症、心筋症などの心疾患の診断剤として有用であ
る。
【0031】〔遺伝子診断剤〕本発明の遺伝子の機能解
明方法を用いて機能が解明された遺伝子(DNAやmR
NA)は、例えばプローブとして使用することにより、
ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモ
ット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、イ
ヌ、ネコ、サル、チンパンジーなど)における当該遺伝
子の異常(遺伝子異常)、例えば、当該遺伝子の損傷、
突然変異あるいは発現低下や、当該遺伝子の増加あるい
は発現過多などを検出することができるので、遺伝子診
断剤としても有用である。上記遺伝子診断は、例えば、
自体公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR-SSCP
法などにより実施することができる。例えば、ノーザン
ハイブリダイゼーションにより発現過多が検出された場
合やPCR-SSCP法により当該遺伝子の突然変異が検出され
た場合は、例えば、心機能低下を伴う心疾患などの疾病
である可能性が高いと診断することができる。
【0032】〔プロモーター活性調節薬のスクリーニン
グ方法〕本発明は、(1)本発明の機能解明方法または
薬効評価方法を用いて機能または薬効が解明された遺伝
子の発現を制御しているプロモーターを用いたレポータ
ー遺伝子アッセイ方法において、試験化合物を投与した
場合と試験化合物を投与しない場合の当該プロモーター
活性を測定することを特徴とする当該プロモーター活性
を調節する化合物のスクリーニング法を提供する。より
具体的には、初代心筋細胞、H9c2 細胞株または本発明
の投与方法を用いて製造された遺伝子を導入した初代心
筋細胞もしくはH9c2 細胞株を宿主細胞としてレポータ
ー遺伝子アッセイを行う。レポーター遺伝子アッセイ
は、自体公知の方法、例えば、ザ・ジャーナル・オブ・
バイオロジカル・ケミストリー(J.B.C.)、第272巻、228
00-22808頁、1997年、デベロプメント、第124巻、793-8
04頁、1997年などに記載の方法を用いることができる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク、生
体由来非ペプチド性化合物(糖質、脂質など)、合成化
合物、微生物培養物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組
織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規化合物で
あってもよいし、公知の化合物であってもよい。心筋細
胞の培養は、前記と同様にして行うことができる。プロ
モーター活性は、レポーター遺伝子の発現量を調べるこ
とによって測定することができる。例えば、ノーザンブ
ロッティングやReverse transcription-polymerase cha
in reaction(RT-PCR)やTaqMan polymerase chain react
ionなどの方法あるいはそれに準じる方法に従って、レ
ポーター遺伝子の発現量を測定することができる。
【0033】この方法において、試験化合物を投与しな
い場合に比べて、試験化合物を投与した場合のレポータ
ー遺伝子の発現量が、約20%上、好ましくは30%以
上、より好ましくは約50%以上増強する化合物を、機
能が解明された遺伝子またはその遺伝子産物の活性を増
強する化合物として選択することができる。一方、試験
化合物を投与しない場合に比べて、試験化合物を投与し
た場合のレポーター遺伝子の発現量が、約20%上、好
ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上阻害
する化合物を、機能が解明された遺伝子またはその遺伝
子産物の活性を阻害する化合物として選択することがで
きる。したがって、機能が解明された遺伝子またはその
遺伝子産物の活性を増強する化合物は、当該遺伝子また
はその遺伝子産物の機能増強剤などの医薬として有用で
ある。一方、機能が解明された遺伝子またはその遺伝子
産物の活性を阻害する化合物は、当該遺伝子またはその
遺伝子産物の機能阻害剤などの医薬として有用である。
これら医薬は、前記した医薬組成物と同様にして製造
し、使用することができる。
【0034】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
【0035】
【実施例1】手術の準備 渡邉らの報告(サーキュレーションリサーチ、第69
巻、370−377頁、1991年)に従い雄性ウイス
ターラット(8週齢:体重250-300g)をペントバルビタ
ールナトリウム(50mg/kg,i.p.)で麻酔した。バリカン
にて胸部及び頸部の腹側被毛を削毛し、仰臥位に手術台
に寝かせた。四肢及び上顎切歯にたこ糸をかけ手術台に
固定し、80%エタノール溶液にて術部を消毒した。頸部
皮膚及びその直下の筋肉を切開し、気管を露出させた。
肉眼で確認しながら14Gの留置針外筒(テルモ社)を口
腔より気管内に導管し、人工呼吸器に接続した。人工呼
吸器がはずれないように手術用絹糸(夏目、ブレード絹
製縫合糸3-0)を用いて口唇と留置針外筒を結びつけ
た。
【0036】
【実施例2】胸腔の切開と心臓の露出 ラット胸骨より約5ミリメートル左側付近の皮膚及び体
幹皮筋を正中方向に約4センチメートル切開した。次に
切開部直下にある第2から第5肋軟骨の胸骨付近を切開
した。外科バサミにて肋間筋を剥離し、止血後、開胸器
により胸腔を約3センチメートル開口した。さらに、心
嚢膜を綿棒にて鈍性剥離、開口し、心臓を露出させた。
【0037】
【実施例3】胸部大動脈狭窄用絹糸の設置 胸腺を持ち上げ、心臓より出ている胸部大動脈の心臓付
近の結合組織を綿棒にて剥離した。手術用絹糸(夏目、
ブレード絹製縫合糸5-0)を先曲がり虹彩無鈎ピンセッ
トにてつまみ、胸部大動脈左側から右側にかけて背部を
回して通し、ループ上にして胸部大動脈に狭窄用の絹糸
を設置した。設置した絹糸を内径約1ミリメートルの狭
窄用のテフロン(登録商標)製チューブに通し、この絹糸
をテフロン(登録商標)チューブにて引き締めるようにし
てはさみ、胸部大動脈が狭窄出来るようにした。
【0038】
【実施例4】左心室への薬物あるいは遺伝子あるいはそ
の遺伝子産物の投与 綿棒を用いて心耳を軸に心尖側より心臓を反転させ、左
心室を腹側へ移動させた。目的の薬物あるいは遺伝子あ
るいはその遺伝子産物をウイルスベクターとしてあるい
はリポソームの形で27G注射針をつけた1mlシリンジ(テ
ルモ)に計り取った。冠動・静脈を避けて左心室へ注射
針をつきさし、その後テフロン(登録商標)チューブを引
き締めることによって胸部大動脈を狭窄した。狭窄確認
後、目的の薬物あるいは遺伝子あるいはその遺伝子産物
を含んだ溶液を左心室内へゆっくりと投与し、左心室内
に還流させた。投与に伴って左心室が肥大するため、約
5秒間に一度、テフロン(登録商標)チューブの引き締め
をゆるめ、目的の薬物あるいは遺伝子あるいはその遺伝
子産物を含んだ溶液を全身に還流させ、左心室の肥大を
防いだ。この投与とテフロン(登録商標)チューブの引き
締めをゆるめる操作を合計3回繰り返して、目的の薬物
あるいは遺伝子あるいはその遺伝子産物を含んだ溶液を
左心室内へ全量還流させた。
【0039】
【実施例5】胸部大動脈狭窄用絹糸の撤去と閉胸 胸部大動脈狭窄用絹糸のループの一方を切除し、もう一
方を引き抜くことで絹糸を撤去した。胸腔内の血液を綿
棒にて吸収排除後、縫合用絹糸にて胸壁及び皮膚を約5
ミリメートルの間隔で縫合した。頸部の導管時に切開し
た皮膚及びその直下の筋肉も同様の方法にて縫合した。
手術直後から1時間以上、人工呼吸器にて強制呼吸をさ
せた後、動物が麻酔より覚めた状態で動物の自発呼吸を
確認した後、導管を撤去した。手術後の動物は飼育用ケ
ージに収容した。本発明の投与方法によれば、従来の頸
動脈よりカテーテルを左心室に挿入後、その管を通じて
薬物等を投与する方法、または開胸後、胸部大動脈の狭
窄なしに薬物等を左心室に直接投与する方法と比較し
て、前者の方法よりもより簡便で、動物の予後も良好で
あること、後者の方法よりも非常に効率よく心臓特異的
に薬物等を投与できることが分かった。
【0040】
【参考例1】ラットCARP遺伝子のクローニング Total RNAからゲノムDNAを除去する目的で
enzyme set for DD(宝酒造社製)を用いてDNA分解
操作を加えた後、FluorescenceDiffe
rential Display kit Fluor
esceinversion(宝酒造社製)を用いてデ
ィファレンシャルディスプレー(DD)を行った。対象
組織として偽手術した後8週経過した左心室由来のTo
tal RNAを用いた。その結果、対象組織と比較し
て術後1週、20週、30週経過した組織で顕著な増加
を示し、術後8週で逆に低下するバンドを見出した。こ
のバンドをアクリルアミドゲルからカッターで切り出
し、滅菌蒸留水に懸濁し、95℃、10分間加熱するこ
とによりゲルから遺伝子断片を抽出した。次にPCRで
再増幅した後、DNA塩基配列を解読した。そこで明ら
かとなった塩基配列を基に公のデータベースであるGe
nebleデータベースを用いてBlastNによるホ
モロジー検索を行ったところ、本遺伝子断片は、公知の
ラットCARP(J.B.C.、第272巻、2280
0−22808頁、1997年、デベロプメント、第1
24巻、793−804頁、1997年)をコードして
いる塩基配列であることが判明した。次に術後1週経過
した左心室由来のTotalRNAからPEアプライド
バイオシステムズ社の逆転写反応キットを用いてcDN
Aライブラリーを作製し、これを鋳型としてCARP遺
伝子5'非翻訳領域(配列番号:3)と3’非翻訳領域
(配列番号:4)の2種のプライマーDNAを用いてP
CRを行い、ラットCARP(配列番号:1)をコード
する遺伝子の全長を取得した(配列番号:2)。反応は
Pfu DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)を用いてサ
ーマルサイクラーgene amp PCR syst
em9700(パーキンエルマー社製)にて行い、95
℃で10秒、60℃で30秒、72℃で3分を1サイク
ルとして33サイクルを繰り返した。このようにして得
られた全長CARP遺伝子をZero Blunt T
OPO PCR cloning Kit(インビトロ
ジェン社製)を用いてpCR II-Blunt TOPOベクターにク
ローニングした。さらに公知の合成プライマー(T7 プ
ライマーとSP6プライマー)を用い、PEアプライドバ
イオシステムズ社のサイクルシーケンスキットによって
反応を行い、蛍光DNAシーケンサー(ABI PRI
SM 377,パーキンエルマー社製)で分析し、その
遺伝子断片がラットCARP遺伝子であることを確認し
た。
【0041】
【参考例2】組換えアデノウイルスの作製 参考例1でクローニングしたラットCARP cDNA
のウイルスベクターへのクローニングは、宝酒造株式会
社のアデノカスタムサービスにて作製した。宝酒造社製
adenovirus expression vector kit (6150)を用い、そ
の添付されている方法に従ってクローニングを行い、C
ARPセンス鎖発現アデノウイルスを作製した。高純度
精製ウイルスの調製及び力価の測定は、公知の方法(実
験医学別冊 新遺伝子工学ハンドブック、238頁から
244頁)を用いて行い、最終的に3.6X1010pfu/
ml濃度の精製ウイルス原液を調製した。ヌルウイルス
(インサートを含まないウイルス)の調製も上記に従い
作製し、最終的に1.3X109pfu/ml濃度の精製ウイ
ルス原液を調製した。
【0042】
【実施例6】左心室へのウイルス溶液の投与 実施例1、2および3に準じて投与されうる心臓を準備
した。綿棒を用いて心耳を軸に心尖側より心臓を反転さ
せ、左心室を腹側へ移動させた。高純度CARP発現ウ
イルスベクター水溶液を生理食塩水にて希釈し、108p
fu/ml濃度の溶液を調製し、それを27G注射針をつけ
た1mlシリンジ(テルモ)に計り取った。ラット心臓
に体重1キログラムあたり2X108pfuのウイルスを投
与した。その方法は冠動・静脈を避けて左心室へ注射針
をつきさし、その後テフロン(登録商標)チューブを引き
締めることによって胸部大動脈を狭窄した。狭窄確認
後、ウイルス溶液を左心室内へゆっくりと投与し、左心
室内に還流させた。投与に伴って左心室が拡張するた
め、約5秒間に一度、テフロン(登録商標)チューブの引
き締めをゆるめ、ウイルス溶液を全身に還流させ、左心
室の拡張による2次的な影響を防いだ。この投与とテフ
ロン(登録商標)チューブの引き締めをゆるめる操作を合
計3回繰り返して、ウイルス溶液を左心室内へ全量還流
させた。この後、実施例5にしたがって実験を終了し
た。投与した心臓の心機能の測定、左心室重量の測定、
TaqMan PCRによる遺伝子発現解析、及び病理
学的解析の結果から、心臓におけるin vivoでのCAR
P遺伝子の機能が心機能低下作用であることが確認でき
た。
【0043】
【発明の効果】本発明の投与方法によれば、薬物等を簡
便に、効率よく心臓特異的に哺乳動物に投与することが
できる。したがって、本発明の投与方法は、機能が不明
な遺伝子の機能解明方法、医薬候補化合物のスクリーニ
ング方法、薬効評価方法などに利用できる。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> A Method For Screening For Drug <130> B02114 <150> JP 2001-110990 <151> 2001-04-10 <150> JP 2002-009142 <151> 2002-01-17 <160> 4 <210> 1 <211> 319 <212> PRT <213> Rat <400> 1 Met Met Val Phe Arg Val Glu Glu Leu Val Thr Gly Lys Lys Asn Ser 5 10 15 Asn Gly Ser Ser Gly Glu Phe Leu Pro Gly Glu Phe Arg Asn Gly Glu 20 25 30 Tyr Glu Ala Ala Val Ala Leu Glu Lys Gln Glu Asp Leu Lys Thr Leu 35 40 45 Pro Ala Asn Ser Val Asn Leu Gly Glu Glu Gln Arg Lys Ser Glu Lys 50 55 60 Val Arg Glu Ala Glu Leu Lys Lys Lys Lys Leu Glu Gln Arg Ser Lys 65 70 75 80 Leu Glu Asn Leu Glu Asp Leu Glu Ile Ile Val Gln Leu Lys Lys Arg 85 90 95 Lys Lys Tyr Lys Lys Thr Lys Val Pro Val Val Lys Glu Pro Glu Pro 100 105 110 Glu Ile Ile Thr Glu Pro Val Asp Val Pro Arg Phe Leu Lys Ala Ala 115 120 125 Leu Glu Asn Lys Leu Pro Val Val Glu Lys Phe Leu Ser Asp Lys Asn 130 135 140 Ser Pro Asp Val Cys Asp Glu Tyr Lys Arg Thr Ala Leu His Arg Ala 145 150 155 160 Cys Leu Glu Gly His Leu Ala Ile Val Glu Lys Leu Met Glu Ala Gly 165 170 175 Ala Gln Ile Glu Phe Arg Asp Met Leu Glu Ser Thr Ala Ile His Trp 180 185 190 Ala Cys Arg Gly Gly Asn Leu Asp Val Leu Lys Leu Leu Leu Asn Lys 195 200 205 Gly Ala Lys Ile Ser Ala Arg Asp Lys Leu Leu Ser Thr Ala Leu His 210 215 220 Val Ala Val Arg Thr Gly His Tyr Glu Cys Ala Glu His Leu Ile Ala 225 230 235 240 Cys Glu Ala Asp Leu Asn Ala Lys Asp Arg Glu Gly Asp Thr Pro Leu 245 250 255 His Asp Ala Val Arg Leu Asn Arg Tyr Lys Met Ile Arg Leu Leu Met 260 265 270 Thr Phe Gly Ala Asp Leu Asn Val Lys Asn Cys Ala Gly Lys Thr Pro 275 280 285 Met Asp Leu Val Leu His Trp Gln Asn Gly Thr Lys Ala Ile Phe Asp 290 295 300 Ser Leu Lys Glu Asn Ala Tyr Lys Asn Ser Arg Ile Ala Thr Phe 305 310 315 <210> 2 <211> 957 <212> DNA <213> Rat <400> 2 atgatggttt ttcgagtaga ggagctggta acgggcaaaa agaacagcaa tgggtcctca 60 ggggagttcc ttcctggcga gttcagaaat ggagagtatg aagctgctgt tgccttggag 120 aaacaagagg acttgaagac acttccagcc aacagtgtga acctggggga agaacaacgg 180 aaaagtgaga aagttcgaga ggcagagctc aaaaagaaaa aactagaaca aagatcaaag 240 cttgaaaact tagaagacct tgaaataatt gttcaactga agaaaagaaa aaaatacaag 300 aaaactaaag ttccagttgt gaaggaaccg gagcctgaaa ttattactga acctgtggat 360 gtgccaaggt ttctgaaagc tgcactggag aacaaactgc cagttgtaga gaaattcctg 420 tcagacaaga acagccccga cgtctgcgat gagtataaac ggaccgctct ccatagagca 480 tgcttagaag gacacttggc gatcgtggag aagttaatgg aggctggagc ccagattgaa 540 ttccgagata tgctggaatc cacagccatc cactgggcat gtcgtggagg aaacctggat 600 gtcctgaaac tgttgctaaa caaaggtgcc aaaatcagtg cccgagacaa gctgctcagc 660 acagcgctgc acgtggcggt gaggaccggt cactacgagt gtgctgagca cctcatcgcc 720 tgcgaggcgg atctcaatgc caaggacaga gaaggagaca cccctctgca tgatgcggtg 780 aggttgaatc gctacaagat gatccggctc ttgatgacct tcggtgcgga cctcaatgtc 840 aagaactgtg ctgggaagac ccctatggat ctggtgttgc actggcagaa tggaaccaaa 900 gcgatattcg acagcctcaa ggagaatgcc tacaaaaact cgcgcatagc tacgttc 957 <210> 3 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 3 acatagacta acggctgcca ac 22 <210> 4 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 4 agctcctgtc gagtctcttt cc 22
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/04 C07K 16/00 4C086 C07K 16/00 C12Q 1/02 4H045 C12N 5/10 1/68 A C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 M 33/53 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 B (72)発明者 渡邉 敏文 アメリカ合衆国 カルフォルニア州 パロ アルト市 マーシャルドライブ 2637 Fターム(参考) 2G045 AA40 BA11 BB50 DA12 DA13 DA14 DA36 FB02 4B024 AA01 CA01 EA02 EA04 GA18 HA17 4B063 QA01 QA18 QQ02 QQ20 QQ43 QR32 QR38 QR68 QR69 QR77 QS12 QS20 QS25 QS34 QS39 QX01 4B065 AA90X AA91X AB01 AC14 BA01 CA24 CA44 CA60 4C084 AA13 AA17 BA35 MA66 NA14 ZA361 ZC781 4C086 AA01 EA16 MA66 NA14 ZA36 ZC78 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA86 EA23 FA72 FA74

Claims (73)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態
    で、左心室に物質を投与することを特徴とする心臓への
    当該物質の投与方法。
  2. 【請求項2】物質が薬物、遺伝子または遺伝子産物であ
    る請求項1記載の投与方法。
  3. 【請求項3】遺伝子がセンスDNA、アンチセンス
    DNA、ウイルスベクターまたはプラスミドベクタ
    ーである請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄し
    た状態で、左心室に遺伝子を投与することを特徴とする
    当該遺伝子を含有する非ヒト哺乳動物の製造法。
  5. 【請求項5】実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄し
    た状態で、左心室に遺伝子を投与することを特徴とする
    当該遺伝子産物を産生する能力を有する非ヒト哺乳動物
    の製造法。
  6. 【請求項6】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態
    で、左心室に遺伝子を投与することを特徴とする当該遺
    伝子を含有する心筋細胞の製造法。
  7. 【請求項7】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態
    で、左心室に遺伝子を投与することを特徴とする当該遺
    伝子産物を産生する能力を有する心筋細胞の製造法。
  8. 【請求項8】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状態
    で、左心室に機能が不明な遺伝子を投与することを特徴
    とする当該遺伝子またはその遺伝子産物の機能を解明す
    る方法。
  9. 【請求項9】機能が不明な遺伝子を投与した場合と投与
    しない場合の心機能の変化を測定することを特徴とする
    請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】機能が不明な遺伝子を投与した場合と投
    与しない場合の心筋細胞の機能を測定することを特徴と
    する請求項8記載の方法。
  11. 【請求項11】心筋細胞を低酸素条件下で伸展刺激を与
    えて培養することを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】心筋細胞を致命的な条件下で培養するこ
    とを特徴とする請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】致命的な条件が、血清の除去または
    心筋細胞に対して毒性の高い抗癌剤を投与することであ
    る請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】機能が不明な遺伝子を投与した場合と投
    与しない場合の心筋細胞の保護状態を測定することを特
    徴とする請求項10〜13記載の方法。
  15. 【請求項15】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に機能が不明な遺伝子を投与することによ
    り得られる当該遺伝子を含有する心筋細胞を含む当該遺
    伝子またはその遺伝子産物の機能解明用キット。
  16. 【請求項16】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝子産
    物を産生する能力を有する心筋細胞を含む当該遺伝子ま
    たはその遺伝子産物の機能解明用キット。
  17. 【請求項17】請求項8記載の方法または請求項15も
    しくは16記載のキットを用いて機能が解明された遺伝
    子を含有してなる医薬。
  18. 【請求項18】心機能調節剤である請求項17記載の医
    薬。
  19. 【請求項19】心筋梗塞、心不全、狭心症または心筋症
    の予防・治療剤である請求項17記載の医薬。
  20. 【請求項20】哺乳動物に対して、請求項8記載の方法
    または請求項15もしくは16記載のキットを用いて機
    能が解明された遺伝子の有効量を投与することを特徴と
    する心機能調節方法。
  21. 【請求項21】心機能調節剤を製造するための請求項8
    記載の方法または請求項15もしくは16記載のキット
    を用いて機能が解明された遺伝子の使用。
  22. 【請求項22】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝子を
    含有する心筋細胞を用いることを特徴とする心機能調節
    薬のスクリーニング方法。
  23. 【請求項23】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝子産
    物を産生する能力を有する心筋細胞を用いることを特徴
    とする心機能調節薬のスクリーニング方法。
  24. 【請求項24】当該心筋細胞に低酸素条件下で伸展刺激
    を与える請求項22または23記載のスクリーニング方
    法。
  25. 【請求項25】当該心筋細胞を致命的な条件下で培養す
    る請求項22または23記載のスクリーニング方法。
  26. 【請求項26】致命的な条件下が、血清の除去または
    心筋細胞に対して毒性の高い抗癌剤を投与することで
    ある請求項25記載のスクリーニング方法。
  27. 【請求項27】当該心筋細胞に試験化合物を加えた場合
    と加えない場合において、当該遺伝子に対応するmRN
    A量を測定する請求項22〜26記載のスクリーニング
    方法。
  28. 【請求項28】当該心筋細胞に試験化合物を加えた場合
    と加えない場合において、当該遺伝子産物の産生量を測
    定する請求項22〜26記載のスクリーニング方法。
  29. 【請求項29】当該心筋細胞に試験化合物を加えた場合
    と加えない場合において、当該心筋細胞の保護状態を観
    察する請求項22〜26記載のスクリーニング方法。
  30. 【請求項30】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に遺伝子を投与することにより得られる当
    該遺伝子を含有する心筋細胞を含むことを特徴とする心
    機能調節薬のスクリーニング用キット。
  31. 【請求項31】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に遺伝子を投与することにより得られる当
    該遺伝子産物を産生する能力を有する心筋細胞を含むこ
    とを特徴とする心機能調節薬のスクリーニング用キッ
    ト。
  32. 【請求項32】請求項22〜29のいずれかに記載の方
    法または請求項30もしくは31記載のスクリーニング
    用キットを用いて得られる心機能調節薬。
  33. 【請求項33】請求項22〜29のいずれかに記載の方
    法または請求項30もしくは31記載のスクリーニング
    用キットを用いて得られる心機能調節薬を含有してなる
    医薬。
  34. 【請求項34】心筋梗塞、心不全、狭心症または心筋症
    の予防・治療剤である請求項33記載の医薬。
  35. 【請求項35】哺乳動物に対して、請求項22〜29の
    いずれかに記載の方法または請求項30もしくは31記
    載のスクリーニング用キットを用いて得られる心機能調
    節薬の有効量を投与することを特徴とする心機能調節方
    法。
  36. 【請求項36】心機能調節剤を製造するための請求項2
    2〜29のいずれかに記載の方法または請求項30もし
    くは31記載のスクリーニング用キットを用いて得られ
    る心機能調節薬の使用。
  37. 【請求項37】実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄
    した状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺
    伝子を含有する非ヒト哺乳動物またはその心臓を用いる
    ことを特徴とする心機能調節薬のスクリーニング方法。
  38. 【請求項38】実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄
    した状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺
    伝子産物を産生する能力を有する非ヒト哺乳動物または
    その心臓を用いることを特徴とする心機能調節薬のスク
    リーニング方法。
  39. 【請求項39】当該非ヒト哺乳動物に試験化合物を加え
    た場合と加えない場合において、当該非ヒト哺乳動物ま
    たはその心臓の心機能を測定する請求項37または38
    記載のスクリーニング方法。
  40. 【請求項40】請求項37〜39のいずれかに記載の方
    法を用いて得られる心機能調節薬。
  41. 【請求項41】請求項37〜39のいずれかに記載の方
    法を用いて得られる心機能調節薬を含有してなる医薬。
  42. 【請求項42】心筋梗塞、心不全、狭心症または心筋症
    の予防・治療剤である請求項41記載の医薬。
  43. 【請求項43】哺乳動物に対して、請求項37〜39の
    いずれかに記載の方法を用いて得られる心機能調節薬の
    有効量を投与することを特徴とする心機能調節方法。
  44. 【請求項44】心機能調節剤を製造するための請求項3
    7〜39のいずれかに記載の方法を用いて得られる心機
    能調節薬の使用。
  45. 【請求項45】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に心機能調節物質の有効量を投与すること
    を特徴とする心機能調節方法。
  46. 【請求項46】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に心機能調節遺伝子の有効量を投与するこ
    とを特徴とする心機能調節方法。
  47. 【請求項47】心筋梗塞、心不全、狭心症または心筋症
    の予防・治療方法である請求項46記載の方法。
  48. 【請求項48】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に試験化合物を投与することを特徴とする
    当該化合物の薬効評価方法。
  49. 【請求項49】試験化合物を投与した場合と投与しない
    場合の心機能の変化を測定することを特徴とする請求項
    48記載の方法。
  50. 【請求項50】試験化合物を投与した場合と投与しない
    場合の心筋細胞の機能を測定することを特徴とする請求
    項48記載の方法。
  51. 【請求項51】心筋細胞を低酸素条件下で伸展刺激を与
    えて培養することを特徴とする請求項50記載の方法。
  52. 【請求項52】心筋細胞を致命的な条件下で培養するこ
    とを特徴とする請求項50記載の方法。
  53. 【請求項53】致命的な条件が、血清の除去または
    心筋細胞に対して毒性の高い抗癌剤を投与することであ
    る請求項52記載の方法。
  54. 【請求項54】試験化合物を投与した場合と投与しない
    場合の心筋細胞の保護状態を測定することを特徴とする
    請求項50記載の方法。
  55. 【請求項55】試験化合物が遺伝子産物である請求項4
    8〜54記載の方法。
  56. 【請求項56】請求項48〜55のいずれかに記載の方
    法を用いて薬効が請かされた化合物を含有してなる医
    薬。
  57. 【請求項57】心機能調節剤である請求項56記載の医
    薬。
  58. 【請求項58】心筋梗塞、心不全、狭心症または心筋症
    の予防・治療剤である請求項56記載の医薬。
  59. 【請求項59】哺乳動物に対して、請求項48〜55の
    いずれかに記載の方法を用いて薬効が評価された化合物
    の有効量を投与することを特徴とする心機能調節方法。
  60. 【請求項60】心機能調節剤を製造するための請求項4
    8〜55のいずれかに記載の方法を用いて薬効が評価さ
    れた化合物の使用。
  61. 【請求項61】請求項8または55記載の方法で機能ま
    たは薬効が解明された遺伝子産物、その部分ペプチドま
    たはその塩に対する抗体。
  62. 【請求項62】請求項8記載の方法で機能が解明された
    遺伝子に対するアンチセンス核酸。
  63. 【請求項63】請求項61記載の抗体または請求項62
    記載のアンチセンス核酸を含有してなる医薬。
  64. 【請求項64】心機能調節剤である請求項63記載の医
    薬。
  65. 【請求項65】心筋梗塞、心不全、狭心症または心筋症
    の予防・治療剤である請求項63記載の剤。
  66. 【請求項66】請求項61記載の抗体または請求項62
    記載のアンチセンス核酸を含有してなる心機能診断剤。
  67. 【請求項67】心筋梗塞、心不全、狭心症または心筋症
    の診断剤である請求項66記載の剤。
  68. 【請求項68】哺乳動物に対して、請求項61記載の抗
    体または請求項62記載のアンチセンス核酸の有効量を
    投与することを特徴とする心機能調節方法。
  69. 【請求項69】心機能調節剤を製造するための請求項6
    1記載の抗体または請求項62記載のアンチセンス核酸
    の使用。
  70. 【請求項70】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝子を
    含有する心筋細胞を用いて心機能調節薬をスクリーニン
    グすることを特徴とする心機能調節薬の製造法。
  71. 【請求項71】実質的に哺乳動物の大動脈を狭窄した状
    態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺伝子産
    物を産生する能力を有する心筋細胞を用いて心機能調節
    薬をスクリーニングすることを特徴とする心機能調節薬
    の製造法。
  72. 【請求項72】実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄
    した状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺
    伝子を含有する非ヒト哺乳動物またはその心臓を用いて
    心機能調節薬をスクリーニングすることを特徴とする心
    機能調節薬の製造法。
  73. 【請求項73】実質的に非ヒト哺乳動物の大動脈を狭窄
    した状態で、左心室に遺伝子を投与して得られる当該遺
    伝子産物を産生する能力を有する非ヒト哺乳動物または
    その心臓を用いて心機能調節薬をスクリーニングするこ
    とを特徴とする心機能調節薬の製造法。
JP2002106992A 2001-04-10 2002-04-09 薬物のスクリーニング方法 Withdrawn JP2003274974A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002106992A JP2003274974A (ja) 2001-04-10 2002-04-09 薬物のスクリーニング方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-110990 2001-04-10
JP2001110990 2001-04-10
JP2002009142 2002-01-17
JP2002-9142 2002-01-17
JP2002106992A JP2003274974A (ja) 2001-04-10 2002-04-09 薬物のスクリーニング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003274974A true JP2003274974A (ja) 2003-09-30

Family

ID=29219434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002106992A Withdrawn JP2003274974A (ja) 2001-04-10 2002-04-09 薬物のスクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003274974A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2010246504B2 (en) Methods and kits for diagnosing tumorigenicity
JP2005536186A (ja) リンパ管および血管内皮細胞遺伝子
US20100311161A1 (en) Method for tissue regeneration
JPH09509570A (ja) Mts−1遺伝子により転移性癌の診断
JPH11507332A (ja) 結合組織成長因子
JP2009510002A (ja) 反発誘導分子(rgm)タンパク質ファミリーのタンパク質の結合ドメイン、及びその機能的断片、及びそれらの使用
JP2003509011A (ja) 脈管形成タンパク質およびそれらの使用
JP2000516456A (ja) 視床下部特異的ポリペプチド
WO1998022510A9 (en) Methods for the production of chicken monoclonal antibodies
EA013251B1 (ru) БЕЛКИ, СОДЕРЖАЩИЕ ДОМЕНЫ vWFA И/ИЛИ ANT_IG
CA2924001A1 (en) Methods for the identification, assessment, prevention, and treatment of neurological disorders and diseases using fndc5
EP1403367A1 (en) Method of testing drug for treating or preventing diseases such as hyperlipemia
US20070117138A1 (en) Splice variant cannabinoid receptor (cb1b)
US20080268478A1 (en) Use of Eotaxin as a Diagnostic Indicator For Atherosclerosis and Vascular Inflammation
JP2008536880A (ja) 哺乳動物の中枢神経系におけるgpr39遺伝子の機能および使用
US6429010B1 (en) DNA encoding the human synapsin III gene and uses thereof
CA2389662A1 (en) Pentraxin i and pentraxin receptor, inhibitors of said proteins and pharmaceutical compositions containing said compounds
JP2003274974A (ja) 薬物のスクリーニング方法
JPH10502252A (ja) Dp−1及びその他のdpタンパク質の阻害剤のアッセイ
JP2002530058A (ja) 31個のヒト分泌タンパク質
WO2009081854A1 (ja) アレルギー性疾患のバイオマーカーおよびその利用
JP4503287B2 (ja) 星状細胞及び星状細胞性腫瘍細胞の増殖を阻害する方法と、ニューロンの生存を高める方法、並びにその使用
Zhang et al. Separate and synergistic effect of progesterone and estradiol on induction of annexin 2 and its interaction protein p11 in pregnant sheep myometrium
US20070031415A1 (en) Regulation of interaction between rapl and rap1
JP2011523352A (ja) 抗hmga1モノクローナル抗体、それらの作製のための方法およびhmga1の定量のためのそれらの使用

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050705