JP2003274929A - 着色成分を含む難分解性物質を分解する微生物及びこれを用いた下排水処理方法 - Google Patents

着色成分を含む難分解性物質を分解する微生物及びこれを用いた下排水処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下排水中の着色成分やダイオキシンやCOD
成分等の難分解性物質を分解処理する新規な微生物を発
見し、この微生物を使った独創的な下排水処理方法を実
現する。 【解決手段】 本発明に係る着色成分を含む難分解性物
質を分解する微生物は、クラドスポリウム・クラドスポ
リオイデス(Cladosporium cladosporioides)DD61
8株(FERM P−18791)からなることを特徴
とする。このDD618株を反応槽2で培養し、この反
応槽2に下排水Gを導入して下排水中の着色成分を含む
難分解性物質を分解処理する下排水処理方法を提案す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は屎尿、下水、埋立排
水、染色排水などからなる家庭用排水・産業用排水の下
排水処理方法に関し、更に詳細には、下排水中に含有さ
れる着色成分・COD成分・ダイオキシン類などの難分
解性物質を分解処理する新規な微生物及びこの微生物を
用いて着色成分を含む難分解性物質を分解する下排水処
理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大きく分けると、下排水は家庭用排水と
産業用排水からなり、公共下水道に排出されて集中浄化
処理される場合もあれば、より小さなミニ下水道による
浄化処理もあり、また各家庭や各事業所の個別浄化装置
で浄化処理されることもある。
【0003】公共下水道は、主として市街地において排
出される下水を処理するためのもので、家庭から排出さ
れる屎尿・生活排水、工場・事業所から排出される汚
水、その他雨水を受け入れ、終末処理場で生物処理を行
なっている。しかし、公共下水道の普及率は欧米と比べ
るとまだまだ低い水準にあるのが現状である。
【0004】コミュニティプラントは、住宅団地などに
設置された所謂ミニ下水道で、屎尿と生活雑排水を合わ
せて処理している。浄化槽は、屎尿のみを処理する単独
処理浄化槽と、屎尿と合わせて台所や風呂の排水を処理
する合併処理浄化槽がある。
【0005】以上は、トイレの水洗化を可能とした施設
であるが、水洗化されていない各家庭の汲み取り屎尿
は、主として、屎尿処理施設で処理されている。屎尿処
理施設は、市町村単位で整備されている処理施設で、各
家庭から収集された汲み取り屎尿や、浄化槽から排出さ
れた汚泥を集中して処理する。その処理方法は、公共下
水道、コミュニティプラント等と同様に生物処理を中心
としたものである。
【0006】これらの下水処理や屎尿処理に共通した基
準は、水汚染の程度を示す各種パラメータを法律による
規制レベル以下にすることである。水汚染のパラメータ
は、衛生的理由から問題とされる項目[化学的酸素要
求量(COD)、生物学的酸素要求量(BOD)、全窒
素(T−N)、全リン(T−P)、一般細菌、大腸菌
類、塩素イオンなど]、処理場の施設機能的理由から
問題とされる項目[pH、硬度、浮遊物質(SS)、残
留塩素など]、人の感覚的理由から問題とされる項目
[濁度、色度、透視度、臭気など]に分けられる。
【0007】下水処理や屎尿処理において、との項
目は生物処理を中心とした浄化処理技術により比較的達
成しやすいが、の項目を達成するにはかなり高度の技
術を必要とする。その理由は、着色成分の大部分が、活
性汚泥微生物や脱窒素微生物により分解されない溶解性
有機化合物や難分解性有機化合物だからである。また、
このような着色成分以外に、下排水中に含まれるダイオ
キシンや環境ホルモン等の分解処理も緊急性を要し、こ
れらの難分解性物質を分解処理する効果的方法の開発が
課題となってきている。
【0008】従来、これらの難分解性物質の低減化に
は、BOD、COD、SS、T−Pの低減も含めて、通
常処理と高度処理を併用して当たっている。屎尿処理に
おける高度処理の方式は、凝集分離、オゾン酸化、砂ろ
過、活性炭吸着に分類され、目的により組み合わせて使
用されている。
【0009】凝集分離は下排水に高分子凝集剤を添加し
て凝集沈殿成分を除去することにより、BOD、CO
D、SS、T−P、濁度を低減化する技術である。砂ろ
過は凝集分離で除去できなかったSSを更に除去する必
要がある場合に採用される。オゾン酸化処理は色度とC
ODを除去することが主目的である。活性炭吸着はCO
Dに対する規制が特に厳しい場合に採用され、色度の除
去も目的とする。
【0010】図16は通常生物処理と高度処理を組み合
わせた従来の最新鋭屎尿処理フロー図である。この従来
例では、高度処理方式として活性炭吸着法が使用されて
いる。まず、屎尿Gを砂沈殿槽8に通して夾雑物を除去
し、その後、通常生物処理装置NBに導入する。この通
常生物処理装置NBは、生物処理槽10と脱窒槽12と
微生物分離膜14から構成されている。
【0011】生物処理槽10では、活性汚泥処理により
好気的に有機物を二酸化炭素とアンモニアに分解し、更
にこのアンモニアを亜硝酸を経て硝酸にまで分解する。
次に、脱窒槽12に炭素源としてメタノールを添加し、
嫌気的に硝酸性窒素を窒素分子に変換して大気中に放出
する。更に、微生物分離膜14によりポリオレフィン仕
様の管型限外ろ過膜を用いて微生物を分離し、通常処理
水NWだけを高度処理装置HTに放出する。
【0012】高度処理装置HTは、無機凝集剤によりリ
ンを凝集させる凝集処理槽16と、このリン凝集物をポ
リスルホン仕様の管型限外ろ過膜により分離する凝集物
分離膜18と、活性炭により着色成分を除去する活性炭
槽20と、最後に次亜塩素酸塩により滅菌処理する滅菌
槽22から構成される。滅菌された処理水は高度処理水
HWとして自然界に放流される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】図16の従来処理フロ
ーでは、高度処理として活性炭吸着法が用いられている
が、活性炭は極めて高価であるため、着色物質の除去に
運転経費のかなりの部分を要するという弱点がある。活
性炭は上水道の高度処理に使用される上質の材料であ
り、下排水の高度処理に適用するには高価過ぎると云わ
ねばならない。
【0014】凝集分離や砂ろ過は活性炭吸着法に代替で
きるほどの高度処理能力を有しているとは現状では云え
ない。オゾン酸化法においては、オゾン発生設備にコス
トがかかり過ぎる欠点を有している。この他に、光触媒
を用いた着色物質の除去研究も行なわれているが、活性
炭にとって代わるほど光触媒は安価ではない。つまり、
活性炭に代わる、或いは活性炭の使用量を減らすような
革新的で安価な着色成分の除去方法は、現在のところ報
告がほとんど無い。
【0015】従って、本発明の目的は、活性炭処理やオ
ゾン処理などに代わって、下排水中の難分解性物質、例
えば着色成分・ダイオキシン・環境ホルモン・COD成
分などを分解処理する新規で独創的な微生物処理方法を
提案するものである。つまり、本発明の目的は、難分解
性物質を分解する新規な微生物及びこの微生物を用いた
下排水処理方法を提案することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、クラドス
ポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium clado
sporioides)DD618株(FERM P−1879
1)からなることを特徴とする着色成分を含む難分解性
物質を分解する微生物である。
【0017】第2の発明は、クラドスポリウム・クラド
スポリオイデス(Cladosporiumcladosporioides)DD
618株(FERM P−18791)を反応槽で培養
し、この反応槽に下排水を導入して下排水中の着色成分
を含む難分解性物質を分解処理することを特徴とする下
排水処理方法である。
【0018】第3の発明は、下排水を沈澱処理して固形
分を除去し、この下排水を生物処理して有機物を分解
し、この下排水を前記反応槽に導入して残留する着色成
分を含む難分解性物質を分解する下排水処理方法であ
る。
【0019】第4の発明は、炭素源としてグルコースを
前記反応槽に投入する下排水処理方法である。
【0020】第5の発明は、窒素源として硫酸アンモニ
ウム及び/又は硝酸アンモニウムを前記反応槽に投入す
る下排水処理方法である。
【0021】第6の発明は、培地を置換しながらDD6
18株を反復培養する下排水処理方法である。
【0022】第7の発明は、DD618株を固定化担体
に固定化して前記反応槽に投入する下排水処理方法であ
る。
【0023】第8の発明は、前記固定化担体として微小
孔を有するポリウレタンフォームを使用する下排水処理
方法である。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明者等は、下排水に含まれる
難分解性物質、特にその中でも難分解性の高い着色成分
に着目して、その分解方法を鋭意研究した結果、着色成
分等の難分解性物質を分解する新規な微生物を発見し、
この発見に基づいて難分解性物質を分解する下排水処理
方法を想到するに到った。着色成分が分解できれば、ダ
イオキシン・環境ホルモン・COD成分のような他の難
分解性物質を分解する作用も当然高いと考えられる。
【0025】近年、環境汚染の問題が深刻化する中、汚
染の主体である難分解性物質も特定の微生物によって分
解される事例が報告されている。例えば、アゾ系色素、
フタロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、ポ
リウレタン、ポリエステル、1,1,1−トリクロロ−2,2−
ビス(p−クロロフェニル)エタン、ダイオキシン、2,
4,6−トリニトロトルエンなどが報告されている。
【0026】そこで、本発明者等は屎尿の脱色を行なう
微生物の探索を行なうことにした。各地の下水処理場で
採取した下水や汚泥から得られた菌、研究室に保管して
ある菌、外国で採取した菌などを試験管で培養した。こ
の後、試験管内の培養液に屎尿を混合し、この菌を培養
増殖させる中で屎尿の脱色を示した菌を選別して屎尿脱
色菌とした。この屎尿脱色菌の中で、屎尿の脱色率が最
も高かった糸状菌を本発明における屎尿脱色菌とした。
【0027】本発明者等は、以後この屎尿脱色菌をDD
618株と称する。まず、このDD618株を麦芽エキ
ス寒天培地上で増殖させて、DD618株が菌類の中で
も糸状菌であることを確認した。
【0028】次に、このDD618株の属と種を決定す
るために、形態学的試験が行なわれた。その結果、以下
のような形態学的特徴が明らかになった。 (1)分生子柄が分岐せず、隔壁部でふくれていない。 (2)分生子は出芽型分生子で、樹枝状に連なり楕円形
である。 (3)胞子は射出胞子で、古い胞子には隔壁が見られ
る。 (4)集落は暗緑色で、波のようにしわを作って広が
る。
【0029】以上の結果、DD618株はクラドスポリ
ウム属(Cladosporium)に属する糸状菌の一種であるこ
とが確認され、更に種の同定を行なった結果、クラドス
ポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium clado
sporioides)であることが分った。
【0030】これまでクラドスポリウム属糸状菌による
屎尿の脱色作用は全く報告されていない。従って、本発
明は屎尿脱色作用を有する新規なクラドスポリウム・ク
ラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)
DD618株の発見と、この屎尿脱色作用を利用して、
下排水中の着色成分を含む難分解性物質を分解処理する
下排水処理方法の提案である。
【0031】本発明に係るクラドスポリウム・クラドス
ポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)DD6
18株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄
託センターにFERM P−18791として既に寄託
されている。従って、この菌株は独立行政法人産業技術
総合研究所特許生物寄託センターから所定の手続に従っ
て入手することができる。
【0032】本発明に係るDD618株は屎尿を脱色す
る作用を有している。屎尿の色は胆汁色素の色であるか
ら、DD618株は胆汁色素を分解脱色する作用を有す
ると考えられる。胆汁色素はビリルビンなどの複数の難
分解性色素から構成され、DD618株がこのような難
分解性色素の分解能力を有するということは、他の難分
解性物質の分解可能性を有することをも意味する。
【0033】DD618株の培養は比較的容易であり、
培養温度については20〜40℃の広範囲で培養可能で
あるが、屎尿の脱色効率は27℃近傍の培養温度で最大
になる。また、DD618株は広範囲のpH領域で培養
可能であるが、屎尿の脱色効率については初発pHが約
5.7のときに最大になる。
【0034】DD618株の炭素源としては各種の炭素
含有物質が利用できるが、その中でもグルコース、グリ
セリンが好適である。特に、グルコース濃度が約3.0
g/L近傍で屎尿の脱色効率が最大になる。また、窒素
源としても各種の窒素含有物質が利用できるが、その中
でも硫酸アンモニウムや硝酸アンモニウムが好適であ
る。特に、硫酸アンモニウム濃度が約0.4g/L近傍
で屎尿の脱色効率が最大になることが分かった。
【0035】DD618株が難分解性物質を吸着してい
るのか、分解しているのかについて鋭意検討した結果、
難分解性物質を菌体表面に吸着するだけでなく、吸着物
質を菌体内で分解していることが分かった。つまり、D
D618株は吸着と分解の同時作用により下排水の脱色
を達成しており、そのうち分解作用が本質的であると考
えられる。
【0036】屎尿を添加した液体培地でDD618株を
培養し、定期的に培地を新しいものと置換しても脱色効
率はほぼ一定に保持される事が分かり、DD618株の
菌体は繰り返して利用することが可能であり、耐久性の
高い菌体であるといえる。
【0037】DD618株を液体培地中で浮遊させて培
養するだけでなく、固定化担体に固定して培養すれば脱
色効率が向上することが分かった。即ち、担体の一種で
あるポリウレタンフォームを液体培地に投入して培養し
たところ、培地を定期的に置換しても脱色能力は低下せ
ず、脱色時間は浮遊培養時よりも短縮することが分かっ
た。
【0038】DD618株を連続培養して屎尿含有液体
培地を連続的に供給する場合の脱色試験を行なった。液
体培地の供給速度にも依存するが、適切な供給速度を保
持することによりフラスコを用いた置換培養の場合より
も屎尿の脱色速度は速くなることが分かった。従って、
DD618株を用いて実際の屎尿処理プロセスにおいて
連続的に脱色処理できる事が示され、DD618株が難
分解性物質を含有した下排水の浄化処理に有効であるこ
とが分かった。
【0039】
【実施例】以下に、本発明に係る着色成分を含む難分解
性物質を分解する微生物及びこれを用いた下排水処理方
法の実施例を詳細に説明する。
【0040】[実施例1:DD618株の選別と同定]屎
尿を含有した液体培地は次のように調製された。生物膜
で処理された屎尿サンプルに、グルコースを5.0g/
L、硫酸アンモニウムを0.6g/Lの濃度になるよう
に溶解させ、塩酸でpHを7.0に調整して液体培地を
調製した。この液体培地の400nmの吸光度A400
0.7であった。このようにして得られた液体を5mL
ずつ試験管に分注して殺菌し、液体培地を調製した。こ
こで、Lはリットルを表している。
【0041】DD618株を選別するために利用したサ
ンプルは、札幌市内から集めた土壌サンプル、下水処理
場で採取した下水と汚泥、他の研究者から提供していた
だいた菌、研究室に保管してある菌、フィリピン国で採
取した菌など多数に及ぶ。これらのサンプルの一白金耳
を5mLの前記液体培地の入った試験管に接種し、往復
振とう培養器(TA100R,高崎科学)により115
rpm、30℃で10日間継続して振とう培養した。増
殖が認められたサンプルを逐次継代培養し、最も吸光度
が低くなった菌サンプルをDD618株として分離し
た。
【0042】DD618株の保存のための斜面培地に
は、前記液体培地に15g/Lの寒天を加えた寒天培地
を使用し、胞子接種のための斜面培地には、ポテトデキ
ストロース寒天培地(PDA培地)又は麦芽寒天培地
(MEA培地)を使用した。
【0043】DD618株の培養には、液体培地100
mLを含む500mLの三角フラスコを用い、滅菌水3
mLを加えて胞子を遊離させた胞子懸濁液3mLを斜面
培地に接種して行った。この三角フラスコを往復振とう
培養器により115rpm、30℃で培養した。
【0044】DD618株の脱色特性を分析するため、
以後の試験では、単離されたDD618株を100mL
の液体培地を含む500mL容の三角フラスコで培養し
た。この培養液を注射器の先に濾過膜(GA55、東洋
濾紙株式会社)をセットして濾過し、吸光度A400の減
少により脱色効率を測定した。pH測定はpHメーター
(MP220、Metller toledo)を用いて行なわれ
た。
【0045】[実施例2:微生物の分離条件での脱色試
験]DD618株の最適培養条件を求める前に、一般に
用いられる培養条件でDD618株を培養することにし
た。培養条件はグルコース濃度5.0g/L、硫酸アン
モニウム濃度0.6g/L、pH7.0、培養温度30
℃に設定し、115rpmで振とう培養した。
【0046】図1は微生物の分離条件でのpHと脱色の
経時変化を表すグラフである。培養開始から0日、1
日、2日、3日、4日、5日の各時点で培養液の吸光度
400とpHを測定した。吸光度A400が小さくなるほど
色度が小さくなり、即ち透明度が高くなることを意味し
ている。従って、本明細書における試験データは着色の
度合いを吸光度A400の測定値で評価することとする。
【0047】図中、●は色度を与え、□はpHを表して
いる。96時間(4日間)の経過時点で72%の脱色が
認められ、同時にpHは2.6にまで低下し、培養液の
酸度が高くなっていることが分かる。従って、適当に設
定された培養条件でありながら、DD618株の培養に
より、脱色が確実に生起していることが確認された。
【0048】[実施例3:最適培養温度の導出]DD61
8株の最適培養温度を調べるために、培養温度を20〜
40℃の範囲に変化させて培養を行った。他の培養条件
は、前述した適当条件であるグルコース濃度5.0g/
L、硫酸アンモニウム濃度0.6g/L、pH7.0に
設定され、115rpmで振とう培養した。
【0049】図2は脱色に対する温度の影響を表すグラ
フである。培養温度は20℃、24℃、27℃、30
℃、33℃、37℃、40℃の7段階に設定された。●
は48時間後の吸光度A400を示し、□は72時間後の
吸光度A400を示している。
【0050】図2から分かるように、72時間後の色度
は48時間後の色度より小さくなり、両グラフにおいて
色度は27℃で極小を示している。従って、最適培養温
度は27℃であることが実証された。培養温度が37℃
を超えると、48時間後と72時間後の色度はほとんど
変化無く、48時間で色度が飽和点に達していることが
理解される。
【0051】[実施例4:最適初発pHの導出]DD61
8株の最適初発pHを調べるために、培養開始時のpH
(初発pH)を3.3〜7.7の範囲に変化させて培養
を行った。他の培養条件は、グルコース濃度5.0g/
L、硫酸アンモニウム濃度0.6g/L、培養温度27
℃に設定され、115rpmで振とう培養した。
【0052】図3は脱色に対する初期pHの影響を表す
グラフである。初発pHは3.3、4.6、5.7、
6.9、7.7の5段階に設定された。●は48時間後
の吸光度A400を示し、□は72時間後の吸光度A400
示している。
【0053】図3から分かるように、72時間後の色度
は48時間後の色度より全体的に小さくなり、両グラフ
において色度はpH5.7で極小を示している。従っ
て、最適の初発pHは5.7であることが実証された。
【0054】[実施例5:グルコースの最適濃度の導出]
DD618株を培養するには栄養素として炭素源が必要
となる。微生物の炭素源としてはグルコースやグリセリ
ンその他の炭素化合物が利用されることが多い。そこ
で、炭素源としてグルコースを用い、グルコースの最適
濃度を調べるために、グルコース濃度を0〜8.0g/
Lの範囲に変化させて培養を行った。他の培養条件は、
硫酸アンモニウム濃度0.6g/L、培養温度27℃、
pH5.7に設定され、115rpmで振とう培養し
た。
【0055】図4は脱色に対するグルコース濃度の影響
を表すグラフである。グルコース濃度は0、0.5、
1.0、1.5、3.0、5.0、6.5、8.0(g
/L)の8段階に設定された。●は48時間後の吸光度
400を示し、□は72時間後の吸光度A400を示してい
る。
【0056】図4から分かるように、72時間後の色度
は48時間後の色度より一様に小さくなり、脱色が進行
している。グルコース無添加でも脱色は起こるが、グル
コース濃度が増えるごとに色度は低下し、3.0g/L
で最も脱色が良くなり、それ以上の濃度では色度はほと
んど変化しないことが分かる。従って、最適グルコース
濃度は3.0g/Lであることが導出される。
【0057】前述したように、炭素源としてはグルコー
ス以外の炭素化合物、例えばグリセリンを使用すること
ができる。グルコースの最適濃度が3.0g/Lであっ
ても、他の炭素化合物の最適濃度がこの値に一致すると
は限らない。従って、正確には、炭素源の変更に応じて
最適濃度を測定する必要がある。しかし、他の炭素化合
物を炭素源とする場合でも、3.0g/Lを一つの目安
とすることができることは云うまでもない。
【0058】[実施例6:硫酸アンモニウムの最適濃度
の導出]DD618株を培養するには栄養素として窒素
源が必要になる。そこで、微生物の窒素源として一般に
使用される硫酸アンモニウムを用い、硫酸アンモニウム
の最適濃度を調べるために、硫酸アンモニウム濃度を0
〜1.0g/Lの範囲に変化させて培養を行った。他の
培養条件は、グルコース濃度3.0g/L、培養温度2
7℃、pH5.7に設定され、115rpmで振とう培
養した。
【0059】図5は脱色に対する硫酸アンモニウム濃度
の影響を表すグラフである。硫酸アンモニウム濃度は
0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0(g/
L)の6段階に設定された。●は48時間後の吸光度A
400を示し、□は72時間後の吸光度A400を示してい
る。
【0060】図5から分かるように、72時間後の色度
は48時間後の色度より一様に小さくなり、脱色が進行
している。硫酸アンモニウムの無添加でも脱色は起こる
が、硫酸アンモニウム濃度が0.4g/Lまでは濃度増
加に伴い脱色は速くなり、それ以上の濃度では到達色度
にそれほど変化はなかった。従って、硫酸アンモニウム
の最適濃度は0.4g/Lであることが導出される。
【0061】[実施例7:硝酸アンモニウムの最適濃度
の導出]DD618株の培養窒素源として硝酸アンモニ
ウムを用いて試験した。硝酸アンモニウムの最適濃度を
調べるために、硝酸アンモニウム濃度を0〜0.8g/
Lの範囲に変化させて培養を行った。他の培養条件は、
グルコース濃度5.0g/L、培養温度30℃、pH
7.0に設定され、115rpmで振とう培養した。
【0062】図6は脱色に対する硝酸アンモニウム濃度
の影響を表すグラフである。硝酸アンモニウム濃度は
0、0.2、0.4、0.6、0.8(g/L)の5段
階に設定された。●は48時間後の吸光度A400を示
し、□は72時間後の吸光度A400を示している。
【0063】図6から分かるように、72時間後の色度
は48時間後の色度より小さくなり、透明度が高くなっ
ている。硝酸アンモニウムの無添加でも脱色は起こる
が、硝酸アンモニウム濃度が0.4g/Lまでは濃度増
加に伴い脱色は速くなり、それ以上の濃度では到達色度
に変化はほとんどない。従って、硫酸アンモニウムと同
様に、硝酸アンモニウムの最適濃度は0.4g/Lであ
ることが分かった。
【0064】[実施例8:硫酸アンモニウムと硝酸アン
モニウムの対比試験]硫酸アンモニウムと硝酸アンモニ
ウムの最適濃度は同じ0.4g/Lであった。そこで、
両者の脱色速さを比較試験することにした。他の培養条
件は、グルコース濃度3.0g/L、培養温度27℃、
pH5.7に設定され、窒素源として硫酸アンモニウム
濃度を0.4g/Lとした液体培地と、硝酸アンモニウ
ム濃度を0.4g/Lとした液体培地を作成し、両者を
115rpmで振とう培養した。
【0065】図7は脱色経時変化に対する硫酸アンモニ
ウムと硝酸アンモニウムの影響の対比を表すグラフであ
る。色度の測定は経過日数が0、1、2、3、4、5
(日)の6段階で行なわれた。●は硫酸アンモニウムの
吸光度A400を示し、□は硝酸アンモニウムの吸光度A
400を示している。
【0066】図7において、硫酸アンモニウムと硝酸ア
ンモニウムの色度曲線はほとんど一致しており、両者に
脱色速さの違いはほとんど無いことが判明した。従っ
て、窒素源として多様な窒素化合物が利用できることが
示され、その代表として、以後の実験では硫酸アンモニ
ウムを0.4g/Lの濃度で利用することにした。
【0067】[実施例9:酵母エキスの影響試験]屎尿の
脱色において酵母エキス(Yeast extract)が必要であ
るかどうかを試験した。酵母エキスの濃度を0〜0.8
g/Lの範囲にわたって変化させた液体培地を作成して
培養試験を行なった。他の培養条件は、グルコース濃度
5.0g/L、硫酸アンモニウム濃度0.4g/L、p
H5.7、培養温度27℃に設定し、115rpmで振
とう培養した。
【0068】図8は脱色に対する酵母エキス濃度の影響
を表すグラフである。色度の測定は、酵母エキス濃度が
0、0.2、0.4、0.6、0.8(g/L)の5段
階で行なわれた。●は48時間後の吸光度A400を示
し、□は72時間後の吸光度A4 00を示している。
【0069】図8から分かるように、72時間後の色度
は48時間後の色度よりかなり低下しており、脱色が確
実に進行している。しかし、色度は酵母エキスの濃度に
ほとんど依存せず、ほぼ一定であることが示された。こ
のことは、液体培地に酵母エキスを添加する必要が無い
ことを意味する。従って、以後の試験では液体培地に酵
母エキスは添加しない。
【0070】[実施例10:最適培養条件による脱色試
験]実施例3〜実施例9によってDD618株の最適培
養条件を導出した。最適培養条件はグルコース濃度3.
0g/L、硫酸アンモニウム濃度0.4g/L、初発p
H5.7、培養温度27℃、酵母エキス無添加である。
液体培地を最適条件に設定して、115rpmで振とう
培養した。
【0071】図9は最適脱色条件下でのpH経時変化と
脱色の経時変化を表すグラフである。図1では脱色時間
として96時間を必要としていたが、図9では脱色時間
が72時間にまで短縮できることが分かる。最適条件に
よる培養が効果を発揮することが理解できる。以後の全
ての実施例はこの最適培養条件で培養される。
【0072】[実施例11:置換培養による屎尿の脱色
試験]この微生物は培養中に菌糸の殆んどが壁面に付着
するため、菌体と使用した古い培地を分けるのはフラス
コを傾けるだけでよく、置換培養には好都合であると思
われる。そこで、胞子懸濁液を接種してから72時間
(3日)の培養を行い、その後24時間(1日)毎に新
しい液体培地100mLを置換し、この操作を繰り返し
行なった。
【0073】図10は反復置換培養での脱色経過を表す
グラフである。吸光度A400が0.2に達するのに当初
は3日(72時間)を要したが、置換することによって
1日(24時間)に短縮できることが分かった。更に、
10回の置換を繰り返しても脱色率は約70%を維持す
ることができ、菌体の繰り返し使用が可能であることが
確認された。
【0074】[実施例12:菌体固定化による脱色の影
響]DD618株は培養中に菌糸の殆どがフラスコ壁面
に付着し、置換培養を反復して行うとフラスコ壁面に沿
って液面よりも上方に成長してゆく場合もあるため、菌
全体では培地との接触効率が低下すると思われる。そこ
で、細胞を固定して固定化担体を培養液中に保持できれ
ば、反応効率は上昇すると期待される。そのため、菌体
の固定化を検討することにした。
【0075】固定化担体として、ポアサイズの小さいポ
リウレタンフォーム(セル数20個/25mm)とポア
サイズの大きいポリウレタンフォーム(セル数13個/
25mm)の2種類を使用した。夫々のポリウレタンフ
ォームに菌体を吸着させて菌体を固定化した。培養液は
ポリウレタンフォームに吸引されて菌体と接触する。
【0076】図11は異なる孔径の担体へ固定化した細
胞による脱色経過を表すグラフである。●は固定化しな
い浮遊菌体、□は小ポアサイズのポリウレタンフォー
ム、△は大ポアサイズのポリウレタンフォームを示して
いる。
【0077】72時間培養した後、矢印で示すように2
4時間毎に新しい培地100mLを置換して脱色の割合
を試験した。72時間までは固定化しない方が脱色が速
かったが、置換培養を始めると固定化した方が脱色が速
くなった。また、小ポアサイズのポリウレタンの方が大
ポアサイズよりも脱色が速く、これにより小ポアサイズ
のポリウレタンフォームによる菌体の固定化が有効であ
ることが分かった。
【0078】[実施例13:菌体固定化における担体数
の影響]固定化担体の個数を変化させることによって、
菌体量の違いによる脱色の影響を調べた。胞子懸濁液3
mLをポリウレタンフォームの入った100mLの培地
に接種した後、72時間培養して菌体を固定化させた。
その後、新たな培地100mLに菌体を固定化したポリ
ウレタンフォームを10個、20個、40個投入し、脱
色が終了する毎に新たな培地へと置換した。
【0079】図12は固定化担体数の脱色に対する影響
を表すグラフである。△印は10個の担体を含む培地、
□は20個の担体を含む培地、●は40個の担体を含む
培地を夫々示している。
【0080】10個の担体の場合には、2回の置換で脱
色時間は53〜55時間であった。20個の担体の場合
には、4回の置換で脱色時間は24〜36時間へと短縮
された。40個の担体の場合には、6回の置換で脱色時
間は13〜21時間へと更に短縮された。
【0081】図12から分かるように、培地に含まれる
担体数が増加するほど脱色速度は早くなる。しかし、担
体数が40個を超えると、担体の一部が培養液と接触し
ない場合も出現する。従って、担体数が40個の場合が
脱色効果が最も高いと判断した。
【0082】[実施例14:菌体固定化による置換培養]
菌体の固定化が脱色において有効であることが分かった
ため、菌体固定化による置換培養の影響を調べた。固定
化担体にはポアサイズの小さなポリウレタンフォームを
採用した。
【0083】まず、胞子懸濁液3mLをポリウレタンフ
ォーム40個の入った培地100mLに接種し、その後
72時間培養して菌体をポリウレタンフォームに固定化
した。その後、吸光度A400が0.22以下になる度に
培地を新しいものへと置換し、この置換操作を繰り返し
行なった。
【0084】図13は固定化細胞を用いた反復置換培養
による脱色経過を表すグラフである。矢印は培地の置換
が行なわれたことを示している。1回目の置換では脱色
に24時間掛かったが、2回目以後の置換では脱色時間
が12〜15時間に短縮でき、脱色能力は置換を繰り返
しても維持された。
【0085】[実施例15:連続培養の影響]実際の下廃
水処理を念頭において、連続培養における脱色の影響に
ついて調べた。培養には、2Lのジャーファメンターを
用い、培地1Lを入れ、固定化担体としてポリウレタン
フォーム400個を投入した。通気速度は1vvm、攪
拌速度は500rpmで連続培養が行われた。
【0086】まず、胞子懸濁液をジャーファメンター内
の1Lの培地に接種し、96時間培養することで菌体の
固定化を行なった。その後、ペリスタリックポンプを用
いて培地の供給を始めた。ワーキングボリュームは常に
1Lになるようにペリスタリックポンプで培養液を引き
抜いた。培地の供給速度はジャーファメンター内で培地
が約2回入れ替わる毎に変化させた。
【0087】図14は固定化細胞による連続培養での脱
色に対する流加速度の影響を表すグラフである。まず、
96時間培養後、供給速度を55mL/hにして脱色を
調べた。この場合の脱色率は約60%を維持した。次
に、66、83、92、112mL/hと供給速度を増
加していったが、脱色率(色度)はほとんど変わらず約
60%を維持した。供給速度を128mL/hにすると
脱色率は50%に減少し始めた。
【0088】フラスコを用いた置換培養では最も速くて
12時間で脱色が終了したが、ジャーファメンターの連
続培養では供給速度が83mL/hのときに12時間で
培地が入れ替わる速さに相当する。112mL/hの供
給速度では、滞留時間9時間に相当するが、この場合で
も脱色率は安定していたため、フラスコの置換培養より
も脱色時間を短縮する事ができた。
【0089】[実施例16:下排水処理の一例]図15は
本発明に係るDD618株を下排水処理に適用した浄化
システムの一例である。反応槽2の中には固定化された
DD618株が配置されている。この反応槽2の中にp
H調整剤Pと栄養塩類Nが添加されてDD618株を最
適状態で培養し、更にこの反応槽2に下排水Gを流入さ
せる。空気Aをバブリングさせながら、DD618株は
下排水Gの中の難分解性物質を分解してゆく。
【0090】分解処理された下排水Gはポンプ4により
固液分離装置6に移送され、ここで固体物が分離され、
浄化された処理水Dが自然環境に放出される。この固液
分離槽6の具体例として、UF膜やMF膜を使用した膜
処理装置がある。沈殿池でも構わないが設置面積が膜処
理装置よりはかなり大きくなる。この浄化システムを通
して、下排水GはDD618株により浄化され、処理水
Dとして自然環境に放出されてゆく。
【0091】本発明は上記実施形態及び実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範
囲内における種々の変形例や設計変更などもその技術的
範囲内に包含されることは云うまでもない。
【0092】
【発明の効果】第1の発明によれば、屎尿・ダイオキシ
ン類・COD成分その他の着色成分を含む難分解性物質
を分解するクラドスポリウム・クラドスポリオイデス
(Cladosporium cladosporioides)DD618株(FE
RM P−18791)が本発明者等により発見され、
この菌株を用いることによって通常手段では困難な難分
解性物質を簡単に微生物分解することができる。
【0093】第2の発明によれば、クラドスポリウム・
クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioide
s)DD618株(FERM P−18791)を培養し
た反応槽に下排水を導入するだけで下排水中の難分解性
物質を分解処理でき、従来使用されてきた高価な活性炭
処理やオゾン処理などに代えて使用できるなど、安価で
確実な下排水処理を実現できる。
【0094】第3の発明によれば、下排水の高度処理や
最終処理に前記DD618株を使用するから、着色成分
を含む難分解性物質の分解処理を確実に行うことができ
る。
【0095】第4の発明によれば、グルコースを炭素源
として用いるから、DD618株による脱色条件を好適
状態に保持でき、脱色の効率化を図ることができる。
【0096】第5の発明によれば、窒素源として硫酸ア
ンモニウム及び/又は硝酸アンモニウムを窒素源として
用いるから、DD618株による脱色条件を好適状態に
保持でき、脱色効率の最適化を図ることができる。
【0097】第6の発明によれば、培地を置換しながら
DD618株を反復培養して脱色時間の短縮化を実現す
ることができる。
【0098】第7の発明によれば、DD618株を固定
化担体に固定化することにより、DD618株と下排水
との接触を確実にして脱色時間の短縮化を実現できる。
【0099】第8の発明によれば、固定化担体として微
小孔を有するポリウレタンフォームを使用するから、D
D618株を微小孔に確実に固定でき、ポリウレタンフ
ォームに吸収される下排水とDD618株との接触をミ
クロに行なう事ができ、下排水処理の効率化を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微生物の分離条件でのpHと脱色の経時変化を
表すグラフである。
【図2】脱色に対する温度の影響を表すグラフである。
【図3】脱色に対する初期pHの影響を表すグラフであ
る。
【図4】脱色に対するグルコース濃度の影響を表すグラ
フである。
【図5】脱色に対する硫酸アンモニウム濃度の影響を表
すグラフである。
【図6】脱色に対する硝酸アンモニウム濃度の影響を表
すグラフである。
【図7】脱色経時変化に対する硫酸アンモニウムと硝酸
アンモニウムの影響の対比を表すグラフである。
【図8】脱色に対する酵母エキス濃度の影響を表すグラ
フである。
【図9】最適脱色条件下でのpH経時変化と脱色の経時
変化を表すグラフである。
【図10】反復置換培養での脱色経過を表すグラフであ
る。
【図11】異なる孔径の担体へ固定化した細胞による脱
色経過を表すグラフである。
【図12】固定化担体数の脱色に対する影響を表すグラ
フである。
【図13】固定化細胞を用いた反復置換培養による脱色
経過を表すグラフである。
【図14】固定化細胞による連続培養での脱色に対する
流加速度の影響を表すグラフである。
【図15】本発明に係るDD618株を下排水処理に適
用した浄化システムの一例である。
【図16】通常生物処理と高度処理を組み合わせた従来
の最新鋭屎尿処理フロー図である。
【符号の説明】
2は反応槽、4はポンプ、6は固液分離装置、8は砂沈
殿槽、10は生物処理槽、12は脱窒槽、14は微生物
分離膜、16は凝集処理槽、18は凝集物分離膜、20
は活性炭槽、22は滅菌槽、Aは空気、Dは処理水、G
は下排水、HTは高度処理装置、HWは高度処理水、N
は栄養塩類、NBは通常生物処理装置、NWは通常処理
水、PはpH調整剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芹澤 佳代 兵庫県尼崎市金楽寺町2丁目2番33号 株 式会社タクマ内 (72)発明者 福里 豊 兵庫県尼崎市金楽寺町2丁目2番33号 株 式会社タクマ内 (72)発明者 木下 晋一 北海道札幌市西区八軒三条西4丁目4−22 −41 Fターム(参考) 4B065 AA59X BA23 BB12 BC43 CA56 4D003 AB02 CA02 CA07 CA08 EA19 EA30 4D040 BB02 BB14 BB24 BB33 BB54 BB73 BB93 DD03 DD11 DD31

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラドスポリウム・クラドスポリオイデ
    ス(Cladosporium cladosporioides)DD618株(F
    ERM P−18791)からなることを特徴とする着
    色成分を含む難分解性物質を分解する微生物。
  2. 【請求項2】 クラドスポリウム・クラドスポリオイデ
    ス(Cladosporiumcladosporioides)DD618株(F
    ERM P−18791)を反応槽で培養し、この反応
    槽に下排水を導入して下排水中の着色成分を含む難分解
    性物質を分解処理することを特徴とする下排水処理方
    法。
  3. 【請求項3】 下排水を沈澱処理して固形分を除去し、
    この下排水を生物処理して有機物を分解し、この下排水
    を前記反応槽に導入して残留する着色成分を含む難分解
    性物質を分解する請求項2に記載の下排水処理方法。
  4. 【請求項4】 炭素源としてグルコースを前記反応槽に
    投入する請求項2に記載の下排水処理方法。
  5. 【請求項5】 窒素源として硫酸アンモニウム及び/又
    は硝酸アンモニウムを前記反応槽に投入する請求項2に
    記載の下排水処理方法。
  6. 【請求項6】 培地を置換しながらDD618株を反復
    培養する請求項2に記載の下排水処理方法。
  7. 【請求項7】 DD618株を固定化担体に固定化して
    前記反応槽に投入する請求項2に記載の下排水処理方
    法。
  8. 【請求項8】 前記固定化担体として微小孔を有するポ
    リウレタンフォームを使用する請求項7に記載の下排水
    処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101851586A (zh) * 2010-05-11 2010-10-06 林永慧 一种高效分解合成染料的真菌及其用途
CN116515639A (zh) * 2023-04-10 2023-08-01 中国水产科学研究院 芽枝状枝孢霉C.cladosporioides 11及其应用

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