JP2003272868A - 有機el素子 - Google Patents
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Abstract
を抑制可能な有機EL素子を提供する。 【解決手段】 陽極20の上に、正孔注入層30、正孔
輸送層40、発光層50電子輸送層60、電子注入層8
0、陰極90が順次積層されてなる有機EL素子におい
て、電子輸送層60内に、電子注入性材料からなる拡散
層70が設けられている。この拡散層70を構成する電
子注入性材料が、発光時間とともに有機層30〜60内
を陽極20側へ拡散するため、該有機層内における電子
注入材料の濃度勾配が小さくなり、電子注入層80の電
子注入性材料の陽極20側への拡散を大幅に抑制するこ
とができる。
Description
らなる電子注入層を有する有機EL(エレクトロルミネ
ッセンス)素子に関する。
材料からなる発光層を含む有機層、電子注入層、陰極が
順次積層されてなる。ここで、有機層は一般に、陽極側
から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層が積
層されたものからなる。
し、陽極からは正孔が、陰極からは電子がそれぞれ発光
層へ向かって注入・輸送され、これら正孔と電子が発光
層にて再結合し、その再結合時のエネルギーにより発光
層が発光するようになっている。
め、視認性に優れ、かつ数V〜数十Vの低電圧駆動が可
能なため駆動回路を含めた軽量化が可能である。そこ
で、有機EL素子は、薄膜型ディスプレイ、照明、バッ
クライトとしての活用が期待されている。また、自発光
ゆえの視認性の高さから車載用ディスプレイとしての期
待も非常に大きい。
L素子は発光時間とともに輝度が低下する問題すなわち
輝度劣化という問題や、発光時間とともに駆動電圧が上
昇するという問題を有している。
る規格が厳しく、さらなる輝度劣化特性の改善が要望さ
れている。また、駆動電圧の上昇については駆動回路の
設計において、電圧上昇を見越した設計を採ることが必
要となり、コストアップにつながってしまう。
輝度劣化および駆動電圧上昇を抑制可能な有機EL素子
を提供することを目的とする。
め、本発明者等は鋭意検討を行った。まず、輝度劣化お
よび駆動電圧上昇の原因を把握するために、輝度低下前
後での有機EL素子の組成分析を、TOF−SIMS分
析法(時間飛行型2次イオン質量分析法)により行っ
た。
ラス等からなる透光性基板上にインジウム−スズの酸化
物(ITO)等からなる陽極を形成し、その上に有機層
を形成する。有機層を形成する各有機薄膜が低分子系の
場合には真空蒸着で形成し、高分子系の場合にはスピン
キャスト法で形成する。
類金属化合物等の電子注入性材料からなる電子注入層
を、真空蒸着やスパッタ法で形成した後、陰極を真空蒸
着やスパッタ法で形成する。陰極としては、Alおよび
Al合金、MgおよびMg合金、Ca等が挙げられる。
のもので、その一例としては、ガラス基板上に、ITO
からなる陽極、銅フタロシアニンからなる正孔注入層、
トリフェニルアミン4量体からなる正孔輸送層、ジメチ
ルキナクリドンが添加された8−ヒドロキシキノリンア
ルミニウム錯体(Alq3)からなる発光層、Alq3
からなる電子輸送層、LiFからなる電子注入層、Al
からなる陰極を順次積層したものである。以下、これを
検討品という。
0cd/m2、1/64デューティ駆動で定電流駆動に
よる耐久試験を行った。そして、試験前のものと、この
試験によって輝度が半減した後のものについて組成分析
を行い、両者を比較検討した。その分析結果を図11
(a)、(b)に示す。
れは図中に示したように、陰極からガラス基板へ向かう
深さに相当するものである。また、縦軸の「Count
s」は検出されたイオン種の数である。なお、図11で
はLiのピークを太線にて示し、他のCおよびInのピ
ークと区別している。
機層と陰極との間に位置する電子注入層のLiFに起因
するLiのピーク、有機層(電子輸送層〜正孔注入層)
に起因するCのピーク、および陽極のITOに起因する
Inのピークが見られる。そして、各ピークは、各層が
位置する深さに対応して現れている。
合では、陽極であるITO付近にまでLiの析出が見ら
れる。このITO付近のLiは、図11(a)では見ら
れなかった。また、図示しないが、LiFにおけるFの
ピークもLiと同様の結果であった。このLiの陽極付
近での析出と輝度劣化との関係について、以下のように
考えた。
有機層内に拡散することにより、陰極と有機層との界面
に存在する電子注入層としてのLiFの濃度が低下す
る、つまり、電子注入層が減少していく。その結果、電
子注入効率も低下していき、耐久試験時間すなわち発光
時間とともに駆動電圧が上昇する。
電荷(正孔、電子)の再結合分布が発光層から陰極側に
広がるため、発光効率が低下し、それによって輝度劣化
が促進されると考えられる。
抑制のためには、電子注入層を構成する電子注入材料
が、発光時間の経過とともに陽極側へ拡散するのを抑制
することが効果的であると考えた。本発明は、このよう
な検討結果に基づいて創出されたものである。
極(20)の上に、有機EL材料からなる発光層(5
0)を含む有機層(30〜60)、電子注入層(8
0)、陰極(90)が順次積層されてなる有機EL素子
において、有機層内に、電子注入性材料からなる拡散層
(70)が設けられていることを特徴とする。
としては、電子注入層以外に、この電子注入層よりも陽
極側に位置する拡散層が存在する。そして、この拡散層
を構成する電子注入性材料が、発光時間とともに有機層
内を陽極側へ拡散するため、有機層内における電子注入
材料の濃度勾配が小さくなる。
にある電子注入層の電子注入性材料は、拡散層が存在し
ない場合に比べて、その陽極側への拡散を大幅に抑制さ
れ、結果、発光時間に伴う電子注入層の減少を抑制でき
る。
輝度劣化および駆動電圧上昇を抑制可能な有機EL素子
を提供することができる。
にも拡散するので、もし、拡散層が電子注入性材料でな
い場合には、陰極近傍に拡散した拡散層の成分によって
電子注入効率が低下してしまう。そのため、拡散層は電
子注入性材料であることが必要である。
拡散層(70)を構成する電子注入性材料は、電子注入
層(80)を構成する電子注入性材料と同一材料である
ことが好ましい。
(70)は、有機層(30〜60)における電子注入層
(80)に接する層(60)内に設けられていることを
特徴とする。
料の拡散を、より陰極に近いところで抑制できるため、
好ましい。
(70)の膜厚は2nm以下であることを特徴とする。
が多いため、あまり厚く形成すると駆動電圧の上昇を引
き起こすことから、2nm以下が好ましい。
(20)の上に、有機EL材料からなる発光層(50)
を含む有機層(30〜60)、電子注入層(80)、陰
極(90)が順次積層されてなる有機EL素子におい
て、有機層内には、電子注入性材料が添加されているこ
とを特徴とする。
を構成する電子注入性材料を、層の形ではなく、有機層
内に添加した形で設けたものである。つまり、有機層の
うちの或る層は、本来の構成材料に加えて電子注入材料
が混合された材料からなる層となるものである。そし
て、本発明によっても、請求項1と同様の効果が発揮さ
れる。
有機層(30〜60)内に添加される電子注入性材料
は、電子注入層(80)を構成する電子注入性材料と同
一材料であることが好ましい。
(30〜60)内に添加される電子注入性材料は、有機
層における電子注入層(80)に接する層(60)に添
加されていることを特徴とする。
子注入層の電子注入性材料の拡散を、より陰極に近いと
ころで抑制できるという理由から、好ましい。
入性材料は、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金
属化合物であることを特徴とする。請求項1〜請求項7
に記載の電子注入性材料としては、このようなものを採
用できる。
で電子注入性材料が拡散した場合、駆動電圧はその上昇
が抑制されるばかりか、かえって低下する現象がみられ
ることが実験的に見出された。請求項9に記載の発明
は、この現象を利用したものである。
極(20)の上に、有機EL材料からなる発光層(5
0)を含む有機層(30〜60)、電子注入層(8
0)、陰極(90)が順次積層されてなる有機EL素子
において、有機層のうち電子注入層と発光層との間に、
電子注入性材料からなる第1の拡散層(70)が設けら
れており、有機層のうち陽極と発光層との間に、電子注
入性材料からなる第2の拡散層(71)が設けられてい
ることを特徴とする。
層が拡散することによって、請求項1に記載の発明と同
様、電子注入層の電子注入性材料の陽極側への拡散を大
幅に抑制し、結果、発光時間に伴う電子注入層の減少を
抑制できる。よって、本発明によれば、発光時間に伴う
輝度劣化および駆動電圧上昇を抑制可能な有機EL素子
を提供することができる。
2の拡散層が、発光時間に伴い拡散することによって、
陽極近傍に電子注入性材料を存在させることが容易とな
ることから、駆動電圧を低下させることができる。その
ため、結果的に発光効率が向上し、発光時間に伴う輝度
劣化および駆動電圧上昇の抑制が、より高レベルにて実
現される。
に、第1および第2の拡散層(70、71)を構成する
電子注入性材料としても、アルカリ金属化合物またはア
ルカリ土類金属化合物を採用することができる。
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一
例である。
について説明する。以下、各実施形態相互において、互
いに同一部分には、図中、同一符号を付してある。
形態に係る有機EL素子S1の一例を示す概略断面図で
ある。ガラス基板等からなる透明な基板10の一面上に
は、インジウム−スズの酸化物(ITO)やインジウム
−亜鉛の酸化物等からなる陽極20が形成されている。
本例では、陽極20はITOからなるものとしている。
る正孔注入層30が形成されている。本例では、銅フタ
ロシアニン(CuPc)からなる厚さ15nmの正孔注
入層30としている。この正孔注入層30の上には、正
孔輸送性材料からなる正孔輸送層40が形成されてい
る。本例では、トリフェニルアミン4量体からなる厚さ
40nmの正孔輸送層40としている。
らなる発光層50が形成されている。本例では、ホスト
材料としての8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体
(Alq3)にゲスト材料としてのジメチルキナクリド
ンが添加されたものからなる厚さ40nmの発光層50
としている。
なる電子輸送層60が形成されている。本例では、Al
q3からなる電子輸送層60としている。ここで、電子
輸送層60の内部には、電子注入性材料からなる拡散層
70が設けられている。
側の厚さ10nmの下側電子輸送層61と電子注入層8
0側の厚さ10nmの上側電子輸送層62とに分け、そ
の間にLiFからなる厚さ1nmの拡散層70を介在さ
せている。
は、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物
を用いることができる。具体的には、アルカリ金属また
はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物、塩化物、窒化
物等の絶縁体材料を用いることができる。
性材料からなる電子注入層80が設けられており、本例
ではLiFからなる厚さ0.5nmの電子注入層80と
している。ここで、拡散層70を構成する電子注入性材
料は、電子注入層80を構成する電子注入性材料と同一
材料であることが好ましい。そして、電子注入層80の
上には、Al等の金属等からなる陰極90が形成されて
いる。
の上に、スパッタ法等にて陽極20を形成し、その上
に、真空蒸着法等により、有機層30〜60および拡散
層70を順次成膜し、さらに電子注入層80、陰極90
を成膜することにより製造することができる。
極20と陰極90との間に電界を印加し、陽極20から
正孔を、陰極90から電子をそれぞれ発光層50へ輸送
し、これら正孔と電子とを発光層50にて再結合させ
る。そして、この再結合のエネルギーにより発光層50
が発光し、基板10側から光が取り出されるようになっ
ている。
は、有機層30〜60内、特に本例では電子輸送層60
内に、電子注入性材料からなる拡散層70を設けた独自
の構成を採用している。
としては、電子注入層80以外に、この電子注入層80
よりも陽極20側に位置する拡散層70が存在する。そ
して、この拡散層70を構成する電子注入性材料が、発
光時間とともに有機層30〜60内を陽極20側へ拡散
するため、有機層30〜60内における電子注入材料の
濃度勾配が小さくなる。
遠い位置にある電子注入層80の電子注入性材料は、発
光中に陽極20側へ拡散しようとするけれども、拡散層
70が存在しない場合に比べて、その陽極20側への拡
散を大幅に抑制される。その結果、発光時間の経過に伴
う電子注入層80の減少を抑制することができる。
伴う輝度劣化および駆動電圧上昇を抑制可能な有機EL
素子S1を提供することができる。
く陰極90側にも拡散する。そのことから、もし、拡散
層70が電子注入性材料でない場合には、陰極90近傍
に拡散した拡散層70の成分によって電子注入効率が低
下してしまう。そのため、拡散層70は電子注入性材料
であることが必要である。
0〜60のうち電子注入層80に接する層すなわち電子
輸送層60内に設けられている。このことは、電子注入
層80の電子注入性材料の拡散を、より陰極90に近い
ところで抑制できるため、好ましい。
のように絶縁体である場合が多いため、あまり厚く形成
すると駆動電圧の上昇を引き起こす。このことから、拡
散層70の膜厚は2nm以下であることが好ましく、よ
り好ましくは1nm以下であることが望ましい。
度劣化および駆動電圧上昇の抑制効果について、限定す
るものではないが、本例の有機EL素子S1について具
体的に検証した例を示す。
る陽極20が形成されたガラス基板10の上に、CuP
cからなる厚さ15nmの正孔注入層30、トリフェニ
ルアミン4量体からなる厚さ40nmの正孔輸送層4
0、Alq3にジメチルキナクリドンが添加された厚さ
40nmの発光層50、Alq3からなる厚さ10nm
の下側電子輸送層61、LiFからなる厚さ1nmの拡
散層70、Alq3からなる厚さ10nmの上側電子輸
送層62、LiFからなる厚さ0.5nmの電子注入層
80、Alからなる陰極90を順次成膜し、封止缶(図
示せず)で密封したものとした。
400cd/m2、1/64デューティ駆動で定電流駆
動による耐久試験を行った。この耐久試験における耐久
試験時間すなわち発光時間に対する輝度劣化特性の変
化、駆動電圧の変化を、それぞれ図2、図3に示す。
r)、縦軸に規格輝度をとり、図3では横軸に時間(h
r)、縦軸に駆動電圧の変化値(V)をとってある。こ
こで、規格輝度は初期の輝度を1と規格化したものであ
り、駆動電圧の変化値は初期の駆動電圧に対する変化値
である。
従来品すなわち解決手段の欄に示した検討品と同じもの
を、比較例として、同様に耐久試験を行った。この比較
例としての有機EL素子の概略断面構成を図4に示す。
そして、図2、図3中、黒丸プロットが比較例、黒四角
プロットが本実施形態の有機EL素子S1として示し
た。
の有機EL素子S1では、拡散層70を持たない比較例
に比べて、輝度劣化が抑制されており、駆動電圧の上昇
も抑制されている。
制については、図3に示すように、電圧の上昇度合が少
なくなるかもしくは電圧が変化しないだろうという予想
に反して、駆動電圧が発光時間とともにかえって低下す
るという現象が見られた。
耐久試験後における本実施形態の有機EL素子S1と上
記比較例とについて、TOF−SIMS法(時間飛行型
2次イオン質量分析法)により分析を行った。
の分析結果を示し、(b)は本実施形態の有機EL素子
S1についての分析結果を示す。図5において、横軸と
縦軸は上記図11と同様であり、横軸は、陰極90から
ガラス基板10へ向かう深さとしての時間(秒)であ
り、縦軸の「Counts]は検出されたイオン種の数
である。
のであり、試験前の初期(上記図11(a)参照)に比
べて、電子輸送層60と陰極90との間に位置する電子
注入層80のLiFに起因するLiのピークが減少し、
陽極であるITO付近にまでLiの析出が見られる。
間に伴い、電子注入層80のLiFが本来の位置から陽
極20側へ拡散し、本来の電子注入層80の位置におけ
るLiFが減少している。
わち本来の電子注入層80の位置におけるLiFの濃度
低下が抑制されていることが確認された。加えて、Li
Fが陽極20であるITOの表面付近に多く析出してい
る(図中のピークP1)ことが確認された。これは、拡
散層70のLiF(図中のピークP2)の拡散によるも
のと考えられる。
示すように、上記図5に示した比較例(従来品)構造に
おいてITO表面にLiF層900を形成した有機EL
素子、すなわちLiF付き素子を作製した。そして、こ
のLiF付素子と上記比較例とについて、電圧電流特性
を調べた。その結果を図7に示す。
密度(mA/cm2)をとってあり、黒丸プロットがL
iF付き素子、白丸プロットが上記比較例すなわち従来
構造を示してある。この電圧電流特性から、陽極20の
表面にLiFが存在すると、従来構造よりも低電圧化さ
れることが判明した。
iF層900は、有機層内に設けられているのではな
く、陽極20であるITOに接して設けられている。そ
のため、上記拡散層70のように、自身が有機層内に拡
散して有機層内の電子注入材料の濃度勾配を小さくする
という効果はほとんどない。そのため、LiF付き素子
では、図7に示すように、初期的に駆動電圧の低下は実
現できるが、発光時間に伴う輝度劣化および駆動電圧上
昇の抑制という効果は無い。
ら、本実施形態の有機EL素子S1において、有機層3
0〜60内に拡散層70を導入した場合には、LiFの
拡散による電子注入層80の濃度低下を抑制するだけで
なく、拡散層70のLiFが陽極20であるITO表面
まで拡散することによって、低電圧化が図れることがわ
かる。
30〜60内にあれば良く、例えば、発光層50と電子
輸送層60との間、発光層50内、発光層50と正孔輸
送層40との間、正孔輸送層40内、正孔輸送層40と
正孔注入層30との間、正孔注入層30内の各位置から
選択した位置に設けることができる。
の電子注入性材料の拡散をより陰極90に近いところで
抑制するという観点からは、有機層30〜60のなかで
もより電子注入層80に近い部位に拡散層70を設ける
ことが好ましい。
すれば、有機層30〜60のなかでもより陽極20に近
い部位に、拡散層70を設けることが好ましいと考えら
れる。この考えに基づいてなされた形態が、次の第2実
施形態である。
形態に係る有機EL素子S2の一例を示す概略断面図で
ある。本実施形態は、陽極20の上に、有機EL材料か
らなる発光層50を含む有機層30〜60、電子注入層
80、陰極90が順次積層されてなる有機EL素子にお
いて、有機層30〜60のうち電子注入層80と発光層
50との間に、電子注入性材料からなる第1の拡散層7
0が設けられており、陽極20と発光層50との間に、
電子注入性材料からなる第2の拡散層71が設けられて
いるものである。
は、上記第1実施形態の拡散層と同様の材質、厚さとす
ることができる。図8に示す例では、第1の拡散層70
は上記第1実施形態における拡散層と同様、電子輸送層
60内に設けられており、第2の拡散層71は正孔注入
層30と正孔輸送層40との間に設けられている。
0が形成されたガラス基板10の上に、CuPcからな
る厚さ15nmの正孔注入層30、LiFからなる厚さ
1nmの第2の拡散層71、トリフェニルアミン4量体
からなる厚さ40nmの正孔輸送層40、Alq3にジ
メチルキナクリドンが添加された厚さ40nmの発光層
50、Alq3からなる厚さ10nmの下側電子輸送層
61、LiFからなる厚さ1nmの拡散層70、Alq
3からなる厚さ10nmの上側電子輸送層62、LiF
からなる厚さ0.5nmの電子注入層80、Alからな
る陰極90を順次成膜し、封止缶(図示せず)で密封し
たものとすることができる。
によれば、発光時間に伴い第1の拡散層70が陽極20
側へ拡散することによって、上記第1実施形態と同様、
電子注入層80の電子注入性材料の陽極20側への拡散
を大幅に抑制し、結果、発光時間に伴う電子注入層80
の減少を抑制できる。
伴う輝度劣化および駆動電圧上昇を抑制可能な有機EL
素子S2を提供することができる。
に近い第2の拡散層71が、発光時間に伴い陽極20側
へ拡散することによって、陽極20近傍に電子注入性材
料を存在させることが容易となることから、駆動電圧を
低下させることができる。そのため、結果的に発光効率
が向上し、発光時間に伴う輝度劣化および駆動電圧上昇
の抑制を、より高レベルにて実現することができる。
度劣化および駆動電圧上昇の抑制効果について、限定す
るものではないが、上記具体例として挙げた有機EL素
子S2について具体的に検証した例を示す。
素子S2と、上記図4に示した比較例とについて、85
℃環境下で400cd/m2、1/64デューティ駆動
で定電流駆動による耐久試験を行った。
ち発光時間に対する輝度劣化特性の変化、駆動電圧の変
化について上記第1実施形態と同様に調べた結果を、そ
れぞれ図9、図10に示す。図9、図10中、黒丸プロ
ットが比較例、黒四角プロットが本実施形態の有機EL
素子S2として示している。
実施形態の有機EL素子S2では、拡散層を持たない比
較例に比べて、輝度劣化が抑制されており、駆動電圧の
上昇も抑制されている。
比較してわかるように、本第2実施形態では、上記第1
実施形態に比べて、駆動電圧を大きく低下させることが
できるため、結果的に発光効率が向上し、発光時間に伴
う輝度劣化および駆動電圧上昇の抑制を、より高レベル
にて実現できている。
有機EL材料からなる発光層50を含む有機層30〜6
0、電子注入層80、陰極90が順次積層されてなる有
機EL素子において、有機層30〜60内には、電子注
入性材料が添加されているものであっても良い。
70を構成する電子注入性材料を、層の形ではなく、有
機層30〜60内に添加した形で設けたものとしても良
い。それによって、有機層30〜60のうちの或る層
は、本来の構成材料に加えて電子注入材料が混合された
材料からなる層となるものである。この場合でも、上記
第1実施形態と同様の効果が発揮されることはあきらか
である。
に添加される電子注入性材料は、電子注入層80を構成
する電子注入性材料と同一材料であることが好ましい。
添加される電子注入性材料は、有機層30〜60におけ
る電子注入層80に接する層、例えば電子輸送層60に
添加されているものにすれば、電子注入層80の電子注
入性材料の拡散を、より陰極90に近いところで抑制で
きるため、好ましい。
陽極20、正孔注入層30、正孔輸送層40、発光層5
0、電子輸送層60、電子注入層80および陰極90
は、有機EL素子にすでに用いられているか、あるいは
用いることの可能な材料に置き換えても良い。
例を示す概略断面図である。
化特性の変化を示す図である。
圧の変化を示す図である。
の概略断面図である。
と比較例とについてTOF−SIMS法により分析を行
った結果を示す図である。
した有機EL素子であるLiF付き素子の概略断面図で
ある。
す図である。
例を示す概略断面図である。
化特性の変化を示す図である。
電圧の変化を示す図である。
ての有機EL素子の耐久試験前後でのTOF−SIMS
法による分析結果を示す図である。
0…発光層、60…電子輸送層、61…下側電子輸送
層、62…上側電子輸送層、70…拡散層(第1の拡散
層)、71…第2の拡散層、80…電子注入層、90…
陰極。
Claims (10)
- 【請求項1】 陽極(20)の上に、有機EL材料から
なる発光層(50)を含む有機層(30〜60)、電子
注入層(80)、陰極(90)が順次積層されてなる有
機EL素子において、 前記有機層内に、電子注入性材料からなる拡散層(7
0)が設けられていることを特徴とする有機EL素子。 - 【請求項2】 前記拡散層(70)を構成する電子注入
性材料は、前記電子注入層(80)を構成する電子注入
性材料と同一材料であることを特徴とする請求項1に記
載の有機EL素子。 - 【請求項3】 前記拡散層(70)は、前記有機層(3
0〜60)における前記電子注入層(80)に接する層
(60)内に設けられていることを特徴とする請求項1
または2に記載の有機EL素子。 - 【請求項4】 前記拡散層(70)の膜厚は2nm以下
であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一
つに記載の有機EL素子。 - 【請求項5】 陽極(20)の上に、有機EL材料から
なる発光層(50)を含む有機層(30〜60)、電子
注入層(80)、陰極(90)が順次積層されてなる有
機EL素子において、 前記有機層内には、電子注入性材料が添加されているこ
とを特徴とする有機EL素子。 - 【請求項6】 前記有機層(30〜60)内に添加され
る電子注入性材料は、前記電子注入層(80)を構成す
る電子注入性材料と同一材料であることを特徴とする請
求項5に記載の有機EL素子。 - 【請求項7】 前記有機層(30〜60)内に添加され
る電子注入性材料は、前記有機層における前記電子注入
層(80)に接する層(60)に添加されていることを
特徴とする請求項5または6に記載の有機EL素子。 - 【請求項8】 前記電子注入性材料は、アルカリ金属化
合物またはアルカリ土類金属化合物であることを特徴と
する請求項1ないし7のいずれか一つに記載の有機EL
素子。 - 【請求項9】 陽極(20)の上に、有機EL材料から
なる発光層(50)を含む有機層(30〜60)、電子
注入層(80)、陰極(90)が順次積層されてなる有
機EL素子において、 前記有機層のうち前記電子注入層と前記発光層との間
に、電子注入性材料からなる第1の拡散層(70)が設
けられており、 前記有機層のうち前記陽極と前記発光層との間に、電子
注入性材料からなる第2の拡散層(71)が設けられて
いることを特徴とする有機EL素子。 - 【請求項10】 前記第1および第2の拡散層(70、
71)を構成する電子注入性材料は、アルカリ金属化合
物またはアルカリ土類金属化合物であることを特徴とす
る請求項9に記載の有機EL素子。
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JP2007294901A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-11-08 | Canon Inc | 有機発光素子 |
JP2010087394A (ja) * | 2008-10-02 | 2010-04-15 | Seiko Epson Corp | 有機エレクトロルミネッセンス装置 |
JP2021068875A (ja) * | 2019-10-28 | 2021-04-30 | コニカミノルタ株式会社 | 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、表示装置及び照明装置 |
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- 2002-03-20 JP JP2002078475A patent/JP3915565B2/ja not_active Expired - Fee Related
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